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WOCS2011 /22 (株)デンソークリエイト プロジェクトセンター 竹下 千晶 山路 トレーニング指向アプローチによるプロセス改善 「レビューの質モデル」 による品質向上について DENSO CREATE INC. 1

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WOCS2011

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(株)デンソークリエイト プロジェクトセンター

竹下 千晶

山路 厚

- トレーニング指向アプローチによるプロセス改善-

「レビューの質モデル」による品質向上について

DENSO CREATE INC. 1

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目次

1. プロセス改善の体制

2. プロセス改善の経緯

3. トレーニング指向アプローチ:枠組みとつながり

4. 失敗経験

5. レビューの質のモデル化

6. 成長モデルの展開

7. 効果

8. まとめ:学んだこと

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1. プロセス改善の体制

経営企画本部

プロジェクトセンター

企画部

品質管理部

技術管理部

イオタ事業室

・・・人事、採用、経理、購買

・・・QMS管理

・・・社内システム

・・・市販ソフト営業、教育事業

現場改善推進室

技術開発室

システム1室

システム2室

システム3室

・・・SEPG、SQA、定着企画・推進

・・・インフラ開発、市販ソフト開発

・・・カーナビ HMI関連

・・・カーナビコアソフト関連、その他ITS関連

・・・車載用ソフト開発技術関連、車載制御ソフト関連

196名

19名

現場主義、現場主体のプロセス改善

事業部門

システム4室 ・・・基盤ソフト関連

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2. プロセス改善の経緯

97年8月

01年9月

03年 04年 05年96年 ~ 02年(7年間)

ISO9001(94年版)認証取得

ISO9001(2000年版)認証取得

CMM簡易アセス

レベル1!

CMM簡易アセス

レベル2CMMI簡易アセス

レベル2

SURE・SUCCESS★:現場カイゼンを実施する小集団活動

ISO9001取り組み CMM/CMMIレベル2取り組み

06年

CMMIレベル3取り組み

現在

プロセス改善の先取りトップダウン方式

文書化手順化

形式的表面的

やらされ感 疲弊

CMM思想の持ち込みトップダウン方式

工数に着目したプロジェクト支援ツール(TT):

現場密着型・支援型SQA

変化の兆し

トレーニング指向アプローチ現場主体、ボトムアップ方式

失敗の危惧

SURE:Step Up Review for Effectの略。社内用語SUCCESS:Step Up Cheerful Circle for Effect,Skill,Satisfactionの略。社内用語

DENSO CREATE INC. 4

07年

仕事の質のモデル化

CMMI簡易アセス

レベル3

08年

レベル3 CMMI公式アセス

09年

定着トレーニング

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学べる

教える

思い

工数計測(TT)仕事の質のモデル化

SURESUCCESS

CBM★

一人ひとりが改善につながる「なぜ」が分かり主体的に活動できる

プロセス 現場インフラ

支援型現場密着型

SQA

定着トレーニング

事実を捉える 主体的な改善「なぜ」が分かる

仕事の質のモデル化は、「なぜ」が分かるに手当した仕組み

工数計測(TT)

支援型現場密着型

SQAインフラ

進捗管理

理念・思想形式化への歯止め

定着トレーニング TrainingOrientedArchitecture

CBM:Catch Ball Meetingの略。社内用語。顧客との認識合わせを定期に実施する活動

仕事の質のモデル化

SURESUCCESS

CBM★

プロセス

現場

設計レビュー

テスト定着・支援

推進エンジン支援エンジン

主体性醸成小集団活動

枠組み 人が育つ

左図:SQAを中心にインフラ・プロセス・現場に手当した枠組み右図:主体的な改善につながる仕組みのつながり

3. トレーニング指向アプローチ:枠組みとつながり

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「自ら考え自ら行動する」業務スタイルに導く仕組み!現場一人ひとりの事実を捉えることが“人が育つ”出発点!

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4.1.失敗経験:レビュー強化への道筋

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【組み込みソフトウェア開発】

疲弊

終盤は不具合対応と仕様変更の嵐

仕様が曖昧・未定

仕様変更終盤に多発

システム評価終盤に集中

量産日程は死守

不十分な評価

不十分な結合作業

すり合わせ開発

さらに悪化

不具合を上流で摘み取れば、嵐は小さくなる“はず”

レビューを強化しよう!そうすれば品質も向上して楽になる!

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4.2.失敗経験:レビュー強化で陥りやすい罠

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レビュー強化

忙しいから省略

アリバイ作り

儀式 やりすぎ

リーダはやらない

罠 品質向上?

大切と言いながら、サボったりやりすぎたりしてしまう。

だったら、レビューは不要?・・・・・・やっぱり大切。

どこまで、どれだけやれば良いのかはっきりしないゴールが曖昧な活動

なぜ罠にはまってしまうのか

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4.3.失敗経験:レビューの定量化の失敗

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ならば、ゴールを決めよう!

指摘件数

レビュー時間

レビュー回数

効果的な質の高い良いレビュー

実績計測

目的がすり替わる

目標値を設定

目的 指摘件数を目標値に合わせる

質の高いレビューを示す指標(ゴール)

評価

レビューを良くしよう!

指摘件数が足らないなぁ。誤記や誤字でも挙げておくか。

指摘件数が目標値に達っているから大丈夫です。

レビューの質が上がるどころか、形骸化し、失敗に終わる。その繰り返し・・・。

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4.4.失敗経験:定量化が失敗する要因

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指摘件数

レビュー時間

レビュー回数

質の高いレビューを示す指標(ゴール)案件の目的、特徴、規模、難易度

レビュー対象の成果物の作成者のスキル

レビュー対象の成果物の出来具合(品質)

レビューアのスキル

レビューの効率、見る粒度

業務や成果物、関わる人等、その時々で違う要因によって変化する。→実は、レビューの質を表現できていないのに、指標で評価する手順を強いる

今回は以前の業務でやった対応とほぼ同じだから、レビューにあまり時間はかけなくてもよいし、指摘なんて出ないんだよ・・・。

前と同じような対応だけど、今回は新人だから、時間も指摘数も倍以上か。理由を報告しないと・・・。

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効果的な質の高いレビュー

5.1.モデル化:方法論から方向付けへ

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方向性

目的

登り方は現場で考える

なりたい姿

実績計測

目標値を設定

評価

指摘件数レビュー時間

レビュー回数

目標値達成

手順を決める

手順にとらわれて失敗 手順を考える方式に

方向性を表す成長モデル

を導入

都度考える業務スタイル

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5.2.1.モデル化:成長モデル

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モデル化の方式

①レビューの質に影響する要素を「やり方」「評価」という切り口で抽出②「なりたい姿」を段階的・具体的な形式で表現

計画 人・スキル

時期

準備 準備方法

準備時間

レビュー方法

レビュー時間

網羅性 対象の網羅

要求の網羅

実施手順

やり方

評価やり方の評価 レビュー時間

網羅性

方法

指摘の数

指摘の質

完了判断

結果の評価

影響を与える要素(横軸) ステップ(縦軸)

5:最適化4:標準化3:定量的

2:定性的(確度高)1:定性的(確度低)

0:考えていない

5:フィードバック4:最適化3:標準化2:定量的1:定性的

0:評価していない

考えている度合い

考えている度合い

+評価結果の活用

6段階の刻み

14項目

今の位置と次に目指す位置を項目と段階で示す

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5.2.2.モデル化:ステップ(考えている度合い)① 「やり方」

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5:最適化

4:標準化

3:定量的

2:定性的(確度高)

1:定性的(確度低)

0:考えていない 何もしていない、意図がない

未熟な担当者等、あまり確度が高いと思えない個人の感覚による

信頼度の高い個人の感覚や、複数のメンバが納得できる感覚による

手順や標準等、何らかの定義されたルールや値に基づいている

レベル3や4の状態をベースとして、その時々の案

件や担当者の特徴を加味して調整され、その根拠も明確になっている

過去実績等の何らかのデータ(数値や成功実績のある経験値)に基づいている

自分たちに合ったやり方を自分たちで考える

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5.2.3.モデル化:ステップ(考えている度合い)② 「評価」

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5:フィードバック

4:最適化

3:標準化

2:定量的

1:定性的

0:考えていない 評価していない

感覚・印象での評価

実績データを用いた評価

レベル3の状態に加えて、その時々の案件や担当者の特徴を加味した評価

評価結果を標準や以降の活動に反映し、活用している

目標値や目安値等と対比する等、基準やルールに基づいて実績データを評価

自分たちのやり方を自分たちでもっと良くする

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5.3.モデル化:具体的な表現の例

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【 「やり方」の抜粋 】

考えている

レビューアはどうやって決めている?

なぜ、このレビューアでいいの?

なぜ、この人ならレビューできるのだろう?

いつもこの人で本当にいい?

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6.1.展開:内部アセスメントによる啓蒙・コンサルティング

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SQA PM

成長モデル

•業務の内容、特性、体制•モデルの各項目に該当する活動・成果物•問題と認識していること

聞き出す

モデルへ当てはめ

状態の共有と改善支援

•現状でできていることの確認•このプロジェクトにおいての問題点・改善点•改善の具体策•やることの絞り込み

プロジェクト毎にプロジェクトに合った、実際に“できる“成長手段(改善)をPMと共に考える

時には、やめさせることも

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6.2.展開:現場密着型・支援型SQA

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インフラ

3層構造

【クリエイトのSQA】

SQAは、現場改善の推進エンジン・支援グループ!現場の状態・事実を掌握 → 素直な心で聴け、事実に気づく

・現場密着型・支援型SQA。上級管理や現場の眼・耳・頭・手・足である・現場のマネジメントを上級管理の視点でドライブする役割

導く機能 上級SQA

2次SQA

1次SQAインフラ補完機能

動かす機能

つなぐ機能

上級管理

プロジェクト活動(現場・PM)

PM 現場

管理成果物検証

活動

啓蒙 均一

事実の引き出し

事実の確認

内部アセスメントコンサルタント

プロジェクト密着支援PMのブレーン役

SEPG機能 PMO機能 トレーニング機能

毎月、全PM(約 30名)

毎月、全プロジェクト(約 130項目)

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7.1.効果:予測効果

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① レビューの質の向上

②品質の向上

内部アセスメントによる啓蒙・コンサル

「質の高いレビュー」(なりたい姿)に近づく

内部アセスメントの得点向上

質の高いレビューに近づき、レビューで不具合除去

テスト工程以降への不具合流出減尐

テスト工程以降の手戻り工数が減尐

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7.2.効果:レビューの質向上

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【期間】 2006年11月~2010年10月【対象】 プロジェクトセンターの1組織全PM(7~11名、平均10名)【計測】 ステップを点数として、100点満点の得点に換算(合格ライン45点)

39.6 39.8 49.1

58.3 63.5 65.0 69.4 65.4 67.6

0

20

40

60

80

100得点

評価

やり方

内部アセスメント 平均得点

活動開始後2年かけて向上し、毎年新規PMが増えても維持

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7.3.効果:品質の向上

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【期間】 2007年5月~2010年10月【対象】 プロジェクトセンターの1組織(前述と同組織)全プロジェクト【計測】 各月の全開発工数のうちのテスト実施以降の手戻り工数

手戻り率(%) テスト実施以降 手戻り率

テスト実施以降の手戻り減尐→以前の工程での欠陥除去が促進されているはず

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8.まとめ:学んだこと

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手順・ルール

データ計測

分析

改善

質のモデル化

質の診断

目標設定

手法設計

使えない!計測のやり直し定義の見直し

形式的・表面的やらされ感

登り方を考える

考えるモデル

分析の必要なし改善する項目が

決まる

失敗経験:手順重視 モデル化:内容重視

分析しないと改善できない計測にとらわれる

分析しなくてもなすべきことが分かる

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8.まとめ:学んだこと

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①目標値だけでは目的を見失いやすい目標値(データ)は一側面しか表現できないので質を表しにくいそのデータを追い求めるから、目的を見失いやすい

②成長モデルは考える業務スタイルへと導く状況に応じて都度考えるための切り口・考え方を成長モデルで表現成長モデルを使うことで、現場が自ら考え自ら学べる

③成長モデルは改善に繋がりやすい成長モデルは現在位置が分かれば改善の箇所と方向性が分かるデータ分析がいらないから改善に繋がりやすいし、取り組みやすい

考える業務スタイルにより、レビューの質が向上し品質向上に繋がっていく はず..!

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END:ありがとうございました

END:ありがとうございました

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