平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度...

40
平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部 研究推進室 2016年3月

Upload: others

Post on 09-Jul-2020

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

平成27年度

部局長裁量経費 創生研究プロジェクト

報 告 書

徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

研究推進室

2016年3月

Page 2: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

超高感度NaI(Tl)検出器の開発 ・・・ 伏 見 賢 一

立体地理模型とGISデータを使用した感触を伴う情報提示の研究 ・・・ 河原崎 貴 光

徳島農産品に残留している農薬の細胞毒性学的検討 —環境基準の妥当性について—

・・・ 小 山 保 夫

城山のホルトノキの保全に向けたホルトノキ萎黄病治療効果の検証 ・・・ 佐 藤 征 弥

中山間地域における生物多様性の保全と地域の持続的発展に関する総合的研究(作成中)

・・・ 内 藤 直 樹

ICTを利用した運動に関連するヘルスケアシステムの構築 ・・・ 三 浦 哉

徳島県における吃音,聴覚・言語障害を有する学生の就職活動における問題点の調査

・・・ 佐 藤 裕

心身の状態回復に有効な積極的休息法の検討 ・・・ 中 塚 健太郎

グリーンケミストリーを指向する三成分ワンポットカップリング反応の開発 ・・・ 上 野 雅 晴

徳島県海部郡牟岐町における地域医療・地域福祉のシステム構築に向けた調査研究

・・・ 土 屋 敦

International Conference of Historical Geographers 2015 ・・・ 塚 本 章 宏

第9回アジア生物物理学会国際会議での研究成果発表 ・・・ 佐 藤 高 則

第42回 日本毒性学会学術年会での研究成果発表 ・・・ 小 山 保 夫

日本海洋人間学会 ・・・ 中 塚 健太郎

International Conference of Historical Geographers 2015 ・・・ 平 井 松 午

- プロジェクト一覧 -

Page 3: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

第51回X線分析討論会 ・・・ 山 本  孝

RIMS研究集会「数式処理とその周辺分野の研究」 ・・・ 鍋 島 克 輔

日本物理学会 第71回年次大会 ・・・ 真 岸 孝 一

WEAI(Western Economic Association International 12th InternationalConference)

・・・ 内 藤  徹

日本物理学会 第71回年次大会 ・・・ 久 田 旭 彦

第70回日本体力医学会大会ならびに呼吸研究会,運動と循環合同研究会 ・・・ 三 浦  哉

環境徳倫理の理論研究 ・・・ 熊 坂 元 大

神山プロジェクトとの連携による地域創生 ・・・ 佐 原  理

Page 4: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 物質総合コース 配 分 額 560,000

代表者氏名 E 伏見賢一

プロジェクトの

名称

超高感度NaI(Tl)検出器の開発

A参加者氏名 E 伏見賢一

A研 究 成 果 E (具体的に)

(1) 世界最高純度のタリウム添加ヨウ化ナトリウム結晶の製造について援助をい

ただき、イオン交換樹脂による不純物除去作業の工程を最適化した結果、ウラン系

列およびトリウム系列について世界最高レベルの純度を達成することに成功した。 結晶の高純度化の処理は平成27年秋に実行した。合計** kgの超高純度ヨウ化ナ

トリウム粉末を製造し、超高純度の坩堝によって直径13 cm、高さ12 cmのタリウ

ム添加ヨウ化ナトリウム結晶を製造した。結晶製造前に微量に添加するヨウ化タリ

ウムは高純度の物を使用していることをあらかじめ放射線検出器で確認した。 (2) 結晶を密封するための素材をあらかじめ高分解能放射線検出器で測定し、放射

性不純物の量が少ないことを確認して使用の可否を決定した。容器には製錬直後の

無酸素銅を用いて放射性不純物の量をできる限り少なくなるようにした。 (3) 完成した検出器を岐阜県飛騨市の神岡宇宙素粒子研究施設に設置された放射

線遮蔽体に設置して高感度測定を実施した。その結果、ウラン系列については0.5 μBq/kg以下、トリウム系列については1.5±1.9 μBq/kg、ウラン系列に含まれる

226Raと210Pbは放射平行から外れていることが一般的で濃度が高くなる傾向にある

が、これらもそれぞれ57±4 μBq/kgおよび29±7 μBq/kgとなり、世界最高の低

濃度を達成した。一方で、40Kの濃度が非常に高いことが明らかになったので原因

を究明し、対策を施しているところである。

申請計画に 対する達成度 (自己評価)

NaI(Tl)結晶に含まれる放射性不純物のうち、ウラン系列およびトリウム系列の

濃度については計画の目標どおり十分な高純度を達成することに成功した。一方で

カリウムの濃度が一般的なヨウ化ナトリウム結晶と比較しても高い値であること

が明らかになった。これは作業工程のなかにカリウムを効果的に除去するプロセス

を設置していなかったことにより、不運にもカリウム濃度が高い材料を入試した場

合に対応できなかったことが原因である。現在、カリウムの効果的な除去のために

混入過程を追及している。 本研究援助により下記の論文投稿と国際会議の発表を実施しました 論文(査読付きプロシーディングス投稿中) 1. K.Fushimi, H.Ejiri, R.Hazama, H.Ikeda, K.Imagawa, K.Inoue, G.Kanzaki, A.Kozlov, R.Orito, T.Shima, Y.Takemoto, Y.Teraoka, S.Umehara, K.Yasuda, S.Yoshida, “Dark matter search project PICO-LON”, Journal of Physics:

Page 5: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1)

Conference Series (2016) submitted. 2. Ken-Ichi Fushimi, Hiroyasu Ejiri, Ryuta Hazama, Haruo Ikeda, Kunio Inoue, Kyoshiro Imagawa, Gakuji Kanzaki, Alexandre Kozlov, Reiko Orito, Tatsushi Shima, Yasuhiro Takemoto, Yuri Teraoka, Saori Umehara and Sei Yoshida, “High purity NaI(Tl) scintillator to search for dark matter”, JPS Conference Proceedings (2016) submitted. 国際会議発表(伏見による口頭発表) 1. XIV International Conference on Topics in Astr2oparticle and Underground Physics (TAUP2015), Torino Italy, 発表タイトル”Dark matter search project PICO-LON”, 平成27年9月9日 2. International Symposium on Radiation Detectors and Their Uses (ISRD2016), つくば市, 発表タイトル”High purity NaI(Tl) scintillator to search for dark matter”, 平成28年1月20日 国内会議発表(伏見による口頭発表) 1. 日本物理学会秋季大会, 大阪市立大学(大阪市), 「PICO-LON報告~NaI(Tl)検出器の純度測定と感度評価について~」, 平成27年9月28日 2. 新学術領域研究会 Low background technique 2016, 徳島大学(徳島市), 「PICO-LONの成果報告」, 平成28年3月14日 (招待講演) 3. 日本物理学会第71回年次大会, 東北学院大学(仙台市), 「PICO-LON計画~高

純度NaI(Tl)検出器による宇宙暗黒物質探索の現状~」, 平成28年3月20日 講演会(伏見による講演会) 1. 市民科学講座「ニュートリノと宇宙暗黒物質の謎」, 徳島大学けやきホール(徳

島市), 「宇宙暗黒物質を探せ!」, 平成28年3月13日 ※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 6: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

タリウム添加ヨウ化ナトリウム結晶

超高純度坩堝使用

1 559,440 559,440

ワイピングクロスバイリーンクリエイト

2 280 560

560,000

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

0

区   分 金額(円) 備考

0

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

0

560,000

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

備  品  費

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

消 耗 品 費

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

会  議  費

Page 7: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 地域創生コース 配 分 額 560000円

代表者氏名 E 河原崎貴光

プロジェクトの

名称

立体地理模型とGISデータを使用した感触を伴う情報提示の研究

A参加者氏名 E

河原崎貴光、塚本章宏、掛井秀一

A研 究 成 果 E

(具体的に)

過年度の創生研究プロジェクト「プロジェクションマッピングと GISを用いたイン

スタレーション作品の制作」の成果を基に、本学常三島キャンパス2号館東側壁面

にて徳島駅から徳島大学の範囲の津波浸水想定を実物大で体験できる装置を制作

し、より体感的に情報を提示できるインスタレーションとした。その際、63 人か

らアンケートを回収することができた(実際にはより多くの人が展示を見ている)。

特に注目されるのが、「今回作成された展示について、総合的に考えると満足であ

る。」の質問について、5段階で点数をつけてもらったところ、全体の平均が、紙

地図は 3.7に対して、展示が 4.2であった。展示の方がより実感を伴って経験され

たことがわかる結果となった。また、ABS 樹脂で 3D プリントした型を基に透明樹

脂で形成した地理模型をスマートフォンでバックプロジェクションすることで、携

帯可能な GISデータ表示立体地理模型を制作した。実用に向けては課題が残るもの

の、比較的安価に任意の地域を抽出することができるため、例えばこの模型を使っ

た高校・中学における地域学習の教材として利用することができると考えられる。

研究成果を第 11 回 ESRI コミュニティフォーラム 2015、四国 GIS シンポジウムに

て発表報告、ESRI ジャパン事例集、徳大広報とく talkへの掲載、ガレリア新蔵で

の展示「GISと地理情報」に出展をした。

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

本プロジェクトの目的である「地理情報領域とメディアアート領域を横断し、芸術

表現と学術情報の融合をすることでの地域貢献」「情報伝達の有効性について検証

」「展示装置としての確立」はある程度達成できた。

3次元情報の実空間での提示には未だ課題が多く、今後も横断的に研究を継続する

必要がある。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 8: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

プロジェクター設置台制作費 9,853

映像投影関連機器 394,686

ソフトウェア 77,280

3Dプリンタ 78,181

560,000

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

区   分 金額(円) 備考

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

560,000

備  品  費

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

消 耗 品 費

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

会  議  費

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

Page 9: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2‐1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 環境共生コース 配 分 額 75,000円

代表者氏名 小山保夫

プロジェクトの

名称

徳島農産品に残留している農薬の細胞毒性学的検討

―環境基準の妥当性について―

参加者氏名

小山保夫および下記の大学院講義の受講学生10名(申請時の予定)

「環境影響評価特論」および「プロジェクト研究1」

研 究 成 果

(具体的に)

県内産の「貯蔵ミカン」から欧州連合加盟国検疫基準を超える残留量が検

出されたスプラサイドについて細胞毒性試験を行う。スプラサイドの国内基

準は5ppmで、EC基準の250倍となっている。

実験にはラット胸腺細胞を用い、(1)スプラサイドの細胞毒性(細胞生

存率に対する影響)はマイクロプレートリーダーを用いるWST‐8法で、

(2)細胞毒性(細胞致死率に対する影響)とそれに関連すると考えられる

細胞指標変化については蛍光プローブ(ヨウ化プロピジウムなど)とフロー

サイトメーターで測定を行った。スプラサイド300μM以下の濃度では細

胞毒性を示さなかった。これは90ppmを超える濃度であり、実験の環境

科学的意義は低くなった。実際に細胞致死率の低下が観察されたのは1mM

以上の濃度からであり、これは300ppmを超えている。さらに細胞死プ

ロセスに対する影響が確認されたのは3mM(>900ppm)となり、研

究の環境科学・毒性科学的な意義は無くなった。

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

経験的に予想した濃度でスプラサイドの細胞毒性が認められず、申請計画

通りの進展は見られなかった。ある程度の低い濃度(環境科学的に意味のあ

る濃度)のスプラサイドにある程度の細胞毒性があるという前提(仮説)が

崩れ、申請研究自体の組み立てが成立しなくなった。論文作成を前提とする

と国際誌への投稿が可能なレベルでなく、自己評価としての達成度は低い。

計画では、大学院講義の「環境影響評価特論」および「プロジェクト研究

1」の受講学生を参加させての実験だったが、環境科学的意義が乏しいと判

断して参加については取りやめた。それぞれの受講学生については実験化学

物質を前者が桂皮酸メチル、後者がジブロモニトリロプロピオンアミドに変

更して行い、論文として纏まった。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 10: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

FF0000000000(様式2‐1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

0

生細胞染色試薬 同仁化学 1 29,322 29,322

細胞膜染色試薬 Invirogen 1 28,188 28,188

実験消耗品(秤量ディシュ) アズワン 1 7,830 7,830

実験消耗品(匙スパーテル) アズワン 2 1,125 2,250 平均単価

実験消耗品(プラビーカー) アズワン 9 615 5,534 平均単価

0

0

0

0

0

73,124

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

0

0

区   分 金額(円) 備考

0

0

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

0

0

73,124

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

備  品  費

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

消 耗 品 費

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

会  議  費

Page 11: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 環境共生コース 配 分 額 350,000円

代表者氏名 E 佐藤 征弥

プロジェクトの

名称

城山のホルトノキの保全に向けたホルトノキ萎黄病治療効果の検証

A参加者氏名 E

A研 究 成 果 E

(具体的に)

徳島市「城山原生林」のホルトノキは、ファイトプラズマの感染によるホルトノキ萎黄病によ

り現在消滅の危機に瀕している。申請者は、徳島市の許可を受けて治療対策を実施しており、本

プロジェクトはその治療効果を検証し、今後の対策を検討することを目的として行った。

(1) 1回目の試験治療

2015年 4月 21日に東二の丸の 3本のホルトノキ(No.7, 8, 9)および 2006年に「徳島城址を

愛する会」が城山に植えた苗木のうち南麓の 26 本を対象に抗生物質オキシテトラサイクリンを

主成分とする農薬マイコシールドの散布を実施した。散布は徳島市が(株)緑化コンサルタント

に委嘱して行った。

薬剤を散布した東二の丸の No. 7〜9 の 3 本のうち No. 7 と No. 8 の 2 本から葉を採取した。

No. 9 は高枝切りバサミが届く範囲に枝がなく、葉の採取ができなかった。また、南麓の苗木か

らは薬剤散布を実施した 26本のうち 6本から葉を採取した。葉の採取は薬剤散布の当日、その 3

日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、3ヶ月後に行なった。

2015年 4月 21日に 1回目の試験治療としてマイコシールドを散布した。その効果をリアルタ

イム PCRにより分析した結果、No. 7の木ではファイトプラズマの減少は認められず、むしろ治

療後 2週間以降は増加し、1ヶ月には核 rDNAと rbcLに対してそれぞれ初期値の 6.8倍、6.9倍

に達した。増加した理由はファイトプラズマが増殖しやすい時期であったためと考えられる。一

方、No. 8の木では、マイコシールド散布の効果が見られ、核 rDNAに対しては処理後 3日で初期

値の 34%、処理後 1週間で 36%となり、rbcLに対しては処理後 3日で 40%、1週間で 51%に減少し

た。しかし、処理後 2週間経過するとむしろ初期値より増加し、1ヶ月後には核 rDNAと rbcLに

対して対してそれぞれ 5.9倍、7.6倍に増加した。このように No. 7と No. 8の結果を比較する

と、治療後 2週間までは No. 8の方が薬剤散布の効果が強く表れていた。その理由は不明だが、

木の大きさの違いに由来する可能性がある。No. 7と比べて No. 8の方が樹高が低く、さらに No.

8は散布地点よりも 1. 5 m程度低い所に生えているため葉に散布しやすく、その結果、葉に吸着

した薬剤がより多かったのかもしれない。

(2) 2回目の試験治療

前節で述べたようにマイコシールドの散布処理では、効果があったとしても持続するのは 1週

間程度であることが分ったため、次の試験治療として、より効果が強くまたより継続時間も長い

とされる樹幹注入を 2015年 9月 29日に No. 7と No. 8のホルトノキに施した。徳島市の委嘱を

受けて佐藤が(株)徳島県植物市場の協力のもと 9 月 29 日に抗生物質オキシテトラサイクリン

を樹幹注入した。オキシテトラサイクリンの量は、文献を参考にして薬害の発生しない量で行う

ことに決め、0.34%となるように水に溶解させた液を 100 mL用意した。

樹幹注入を施した No. 7と No. 8のホルトノキから葉を採取した。樹幹注入では薬剤の体内の

分布に偏りが生じることが知られており、それを考慮してサイズの大きい No. 7では異なる方向

に伸びる 4 本の大枝のそれぞれから葉を採取した。No. 7 については、果実も採取した。また、

治療を施さない No. 5のホルトノキからも同時に葉を採取し、比較対照とした。葉の採取は樹幹

注入の実施日、その翌日、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2ヶ月後に行った。

リアルタイム PCRにより治療効果を分析した結果、樹幹注入を施していない No. 5の木では、

2ヶ月間大きな変動はみられなかった。一方、No. 8の木では樹幹注入の翌日からファイトプラ

ズマが減り始め、2ヶ月後には治療前の 1/300にまで減少した。No. 7の木については、木の部

位によってオキシテトラサイクリンの広がり方に偏りが生じている可能性を考慮して、異なる方

向に伸びる大枝 4本から別々に葉を採取して分析した。4本の大枝は、各枝で数値にばらつきが

あるもの全てでファイトプラズマの減少が確認された。しかし、最も減った場合でも初期値の 9%

であり、No. 8の木と比べると効果は弱かった。No. 7と No. 8の効果の差は、木のサイズが No.

Page 12: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1)

7の方が圧倒的に大きいため(幹の胸高周囲は No. 7が 167 cm、No. 8が 49 cm)、No. 7では体

内のオキシテトラしクリンがより希薄であるためだと考えられる。オキシテトラサイクリン量が

多いと薬害が表れることが知られているため、今回の試験治療は薬害が出ないよう少ない量で試

験治療を行ったが、量を増やせば効果は高まるものと予想される。

また、春に実施した散布による試験治療とは異なり、今回の樹幹注入は 2ヶ月後でもファイト

プラズマの増加が見られなかったが、それが治療方法の違いによるのか、ファイトプラズマが増

殖しにくい気候であったためかは不明である。

(3) 城山南麓の苗木の分析

城山の南麓に植樹された苗木 26 本について、6 本を選んで nested PCR でファイトプラズマの

感染を調べた。治療日に採取した葉では 6本全てからファイトプラズマは検出されなかったが、

1ヶ月後に採取した葉からは 1本の木から nested PCRの 2回目でファイトプラズマが検出された。

nested PCRの 1回目ではバンドが出ていないので、ファイトプラズマの量はまだわずかであると

思われる。この木がマイコシールド散布後 1ヶ月の間に新たに感染したとは断定できない。検出

限界以下であったものが、No. 7 や No. 8 のように 1 ヶ月間で検出可能なレベルまで増殖した可

能性も考えられる。

2014 年の調査では、城山の野生のホルトノキでは分析した 13 本すべてにファイトプラズマが

感染していたが、公園に植栽されていたホルトノキでは 14本のうち 11本で感染が確認された。

今回調査した苗木は 2006年に植えられたもので、6本中感染が確認されたのは 1本であり、樹齢

が若いほど感染個体の割合は低くなっているように思われる。感染拡大の早さはもしかしたら以

前よりも遅くなっているのかもしれない。だとすれば城山のホルトノキの保存において、これは

明るい情報である。しかし、ホルトノキ萎黄病がどのように広がるのかは不明である。媒介昆虫

が存在すると推測されているが、いまだ特定されていない。今後新たな感染をどのように防ぐか

を考える上でその点を明らかにすることが必要であり、今後の課題の一つである。

(4) 種子の分析

消滅の危機に瀕している城山のホルトノキ群落を再生させようとする場合、種子感染するかど

うかは大きな問題となる。なぜなら野生個体のすべてが感染している現状において、種子感染が

起こるとすれば自然繁殖にまかせていては再生が不可能であるからである。そこでホルトノキの

果実を採取し、種子を取り出し内部の組織から DNAを抽出して分析した。調べたのは No. 7の木

の大枝①の樹幹注入後 1週間、2週間、2ヶ月後、大枝②の樹幹注入後 1週間、2ヶ月後の果実で

ある。分析の結果、これら全ての種子からファイトプラズマが検出された。試験治療の効果があ

ったかどうかはサンプル数が少なく判断できないが、葉中の核 rDNAに対する存在比と同程度に

種子中にもファイトプラズマが存在していた。

感染した種子が発芽するかどうか、さらに発芽後の個体にファイトプラズマが存在し続けて発

病するかどうかは不明だが、城山において野生の若木がほとんど育っていないことからすると、

現状のままでは自然繁殖により個体数を増やすことは大変難しく、ホルトノキを増やすためには

現存するホルトノキを延命させるだけでは不十分であると考えられる。

申 請 計 画 に

対する達成度

(自己評価)

申請計画に記した内容は全て実施した。その結果から考えられる今後の治療方針と課題につい

て以下に記す。

(1) 現存するホルトノキ消滅への対策

本調査では 2回の試験治療を実施し、その効果を比較検討した。時期が違うので単純に比較す

ることはできないが、マイコシールド散布よりもオキシテトラサイクリンの樹幹注入の方がファ

イトプラズマの減少の程度が強くみられた。付け加えると、今回の試験治療において、マイコシ

ールド散布は通常使用する濃度で実施し、オキシテトラサイクリン樹幹注入はかなり量を抑えて

実施しており、樹幹注入の量を増やせばさらに効果も強まると予想される。しかし、ホルトノキ

の樹幹注入法を報告している方々のお話では、この方法でファイトプラズマを完全に消滅させる

ことは難しいとのことであった。例え消滅させたとしても、いずれ新たに感染する可能性もあり、

1回の樹幹注入で治療が終わることはないと思われる。また、樹幹注入法の欠点として木に穴を

開けるということがあり、頻繁に実施すると木を大きく傷めてしまう。従って、実効的な対策と

しては、現存するホルトノキに対しては定期的にファイトプラズマ量をモニタリングし、症状が

悪化する兆候が表れた場合には樹幹注入を実施して発病を防ぐという方針で延命を図るのが適

当であろう。

(2) ホルトノキ群落の再生に向けて

本調査により城山の野生のホルトノキは種子にも感染していることが明らかになり、現存する

木の自然繁殖にまかせていては、かつてのようなホルトノキ群落を再生させるのは不可能である

と考えられる。ホルトノキ群落を再生させるためには、植樹や播種が必要である。幸い苗木につ

Page 13: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1)

いては分析した 6本のうち 5本は未感染であり、感染が確認された 1本も他の感染木に比べると

ファイトプラズマはまだ少ない。これらが順調に生育していけば、再生は可能であるかもしれな

い。この苗木は徳島市役所公園緑地課の許可のもとで 2006 年に「徳島城址を愛する会」により

全部で 300本植えられたが、それらがその後どうなっているか詳細な追跡調査は行われていない。

今回の調査でも南麓に植えられた一部を調べただけである。植えられた 300本の生存数と感染の

有無を確認することが今後の対策を考える上で急務である。また、これらの苗木を植えたのは城

山の麓の部分であるが、現存する大きなホルトノキのある近傍あれば多くの人の目に触れて注目

され、それが永続的にホルトノキを残すことにつながると考えられるため、そのような場所に新

たな植樹や播種を行うことも検討すべきである。

以上の結果と提言は、市に伝えて今後の治療対策に役立てていただく予定である。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 14: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

備  品  費 0オキシテトラサイクリン塩酸塩25g

和光純薬、156-03132 1 9,504 9,504

DNA抽出キットNucleon PhytoPureGEヘルスケア,RPN8511 1 47,142 47,142

くえん酸 500 g和光純薬、030-05525 1 1,468 1,468

植物活性素メネデール樹幹注入液メネデール社、250 mLx 10本入 1 6,048 6,048

切口癒合助成塗布剤トーラス ケアヘルス-O(オー)

IK化学研究所 1 800 800Cycleave ICANカンキツグリーニング病(HLB)原因菌検出キット

TaKaRa, CY111 1 44,928 44,928POP-6 Polymer for the 310Genetic Analyzer

アプライドバイオシステムズ, 1 28,825 28,825

KOD SYBR qPCR Mix TOYOBO, QKD-201 1 27,300 27,300

KOD SYBR qPCR Mix TOYOBO, QKD-201 2 20,736 41,472PCRチューブ フラット ナチュラル

ThermoSCIENTIFIC, AB- 2 6,305 12,610

Hi-Di Formamideアプライドバイオシステムズ、 1 5,961 5,961

マイクロピペットチップ(200 uL用)

Quality社、QSP-110NEW 1 1,944 1,944

10 ul ショートチップ、1000本入りエイコーサイエンス、110-204C 2 1641.5 3,283

『植物病理学』眞山滋志, 難波成任著

文永堂出版、ISBNコード: 1 4,942 4,942

充電式ドライバドリル RYOBI, BD-710 1 4,590 4,590リリーフ(RELIFE) 木工ドリル 9本組

ミツトモ製作所9本組 木工用ド 1 713 713

サクラメン手袋(エンボス、M)テラオカ,No.30-0520-31 1 810 810

サクラメン手袋(エンボス、L)テラオカ,No.30-0520-32 1 810 810

KOD SYBR qPCR Mix TOYOBO, QKD-201 1 20,736 20,736puRe Taq Ready-To-Go PCR Beads(0.2 ml hinged tube with cap)

GEヘルスケア、No.27955901 2 26,049 52,098

エタノール(3 L)和光純薬,No.057−00451 1 8,856 8,856

2−プロパノール和光純薬、No.164-08335 1 1,468 1,468

プリンター・リサイクルトナーカートリッジ

ブラザー、TN-27J用 1 4,644 4,644

昆虫採集用吸虫管(管付き)二重式 志賀昆虫普及社 1 2,628 2,628ピペットチップ空ラック(PP 空ラック 705用)

WATSON, 1298-705RA 1 2,750 2,750

薬品瓶保護ネット N-4(500 mL)ケニス総合科学機器、No.3-335- 1 1,836 1,836

A4 クリヤーホルダーコクヨ、フ-TC750-0 1式 1,534 1,534

印 刷 製 本 費 0

通 信 運 搬 費 0

賃 借・保 守 費 0

会  議  費 0

そ  の  他 0

339,700

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

人  件  費 0

0

区   分 金額(円) 備考

旅 費 交 通 費 0

0

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

10,300

350,000

消 耗 品 費

2015年9月28日〜30日、城山のホルトノキの樹幹注入、森本泰好

10 1030

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

10,300

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

Page 15: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 心理健康コース 配 分 額 294,000円

代表者氏名 E 三浦 哉

プロジェクトの

名称

ICTを利用した運動に関連するヘルスケアシステムの構築

A参加者氏名 E

三浦 哉 (SAS研究部・教授),掛井秀一 (SAS研究部・准教授)

A研 究 成 果 E

(具体的に)

本研究の目的は,中山間地域居住者を対象に実施されている訪問介護/訪問リハ

ビリテーションの際に,身体機能を改善するための運動プログラムを,ICTを利用

して提供するシステムを構築することが目的であった.代表者はこれまでに地域在

住の高齢者の介護予防事業を展開しており,運動機能の維持・改善が介護予防に大

きく貢献することを明らかにしている.一方,在宅介護を要する高齢者は運動する

時間,場所などが限られ,身体機能の低下が著しくなっている.そこで,訪問介護

/訪問リハビリテーションする際に,対象者に応じた身体機能を維持・改善する運

動プログラムを提供することは大変重要であるが,介護士,理学療法士では十分に

対応できない現状にある.そこで,ICTを活用し,携帯用端末で運動プログラムの

映像を配信し,また,対象者の健康/身体機能状態などを電子カルテとして管理す

るヘルスケアシステムを構築しようとした.当初予定していた申請額の約半分とな

ったため,本プロジェクトでは,対象者の健康/身体機能をWeb上で管理できる電

子カルテシステムを構築した.構築したシステムは既に地域住民の体力測定事業等

で利用し,その利便性が明らかになっており,今後は本システムをベースに運動プ

ログラム等の映像配信を含めた訪問介護/訪問リハビリテーションの際のツールに

構築していく予定である.

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

申請した研究計画の目的は,ICTを活用し,①携帯用端末で運動プログラムの映

像を配信し,②対象者の健康/身体機能状態などを電子カルテとして管理するヘル

スケアシステムを構築することであった.②については,申請計画通り十分に達成

できた.一方,①については予算の都合上,完成できなかったが,そのベースは構

築できたため,最終的な達成度は70%であった.

今後は,自治体,病院,介護施設などと連携しながら,本システムを利用した訪

問介護/訪問リハビリテーションのツールとして確立を目指す予定である.

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 16: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

備  品  費

ノートパソコン Lenovo 1 85,320 85,320iPad mini Apple 1 55,944 55,944

トナーカートリッジ Canon 1 18,707 18,707トナーカートリッジ Brother 1 6,312 6,312

ハードディスク バッファロー 1 10,000 10,000コーナー Apple 1 4,860 4,860ケース Apple 1 8,424 8,424ルーター WiMAX 1 99,800 99,800ボールペン アスクル 1 154 154

ファイルケース アスクル 1 4,479 4,479

294,000

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

0

区   分 金額(円) 備考

0

0

区   分時間数

単価(円) 金額(円) 備考

0

0

294,000

消 耗 品 費

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

会  議  費

そ  の  他

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

Page 17: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 心理健康コース 配 分 額 140,000円

代表者氏名 E 佐藤裕

プロジェクトの

名称

徳島県における吃音,聴覚・言語障害を有する学生の

就職活動における問題点の調査

A参加者氏名 E

A研 究 成 果 E

(具体的に)

本調査研究では,難聴や吃音を有する学生における就職活動,特に面接に焦点を

当て,その実態を徳島県にて調査し問題点を浮き彫りにするとともに,その解決策

を考察することで,難聴・吃音を有する学生の就職支援の拡充を目指すことを目的

とした。

1) 徳島県における大学等(回答3校)の就職支援課に対する調査結果、

・過去数年間で、吃音の相談件数は0件、難聴1件であった。

・各校、就職支援担当職員の約33~60%が吃音を良く知っているとの回答

・各校から、「相談があった場合に、関係機関や希望就職先と協議する」旨の回答

→吃音の有病率から考えて、吃音を有する学生は支援課等へ相談に行っていないと

推察される。吃音をよくご存知の職員の存在や試験を受ける企業等との相談を実

施してくださるとのことから、学生から積極的に就職支援課に相談に行くことを

促進する試みが必要であると考えられる。

2) 徳島県における企業・官公庁に対する調査結果

・接客や音声でのやり取りをする業務を任せるのは厳しいだろうが、職種に関して

は希望を尊重する旨の回答が多くあった。

・「吃音が理由だけで不合格にはしない」が「事前に連絡をしてほしい」との記述

もあり、前もって企業側に吃音・難聴を伝えておくことが望ましいと考えられる。

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

本研究では上記の目的遂行のため「徳島県内の,1)就職活動を実施している大学

・大学院生,及び 2)大学等の就職支援関係部署,(可能な限りの)3)企業・官公

庁に対して,吃音を含む聴覚・言語障害を有する者の就職活動状況とその対応策に

ついて,質問紙調査や個別聞き取り調査を実施する」計画であった。

2,3)については、未だ回答の返送がない場合もあるが、予想を上回る回収率で回

答が得られたため当初の計画を遂行できたと評価し得る。これらの結果は、データ

を整理し学会発表や論文作成を実施するとともに、外部資金の獲得に繋げる計画で

ある。1)に関しては、2)の大学等の就職支援部署に相談に来た学生を紹介してもら

う予定であったが、吃音に関しては0件であったため、他で知り合った学生1名のみ

しか学生への聞き取り調査が実施できなかった。この点は計画通りでなかったが、

総合的に80%程度の達成度であると自己評価する。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 18: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

切手ぬらし器 オープン工業 R-35 1 777 777

USBフラッシュメモリ 東芝 UHYBS-008GH 40 513 20,520

インクカートリッジ エプソン IC6CL80L 1 6,040 6,040

インクカートリッジ エプソン ICBK80L 4 1,060 4,240

ラベルシール エーワン 72312 1 820 820

立替払(コンパクトスピーカー代) 1 2,851 2,851

ミネラルウォーター クリスタルガイザー【500ml×48本 】 2 1,944 3,888

切手 92円 248 92 22,816

ラベル用紙 エーワン 72312 2 864 1,728

OAタップ スマートオフィス T-H3750NM 1 3,291 3,291

OAタップ スマートオフィス  T-Y053DA 1 2,937 2,937

コンセントキャップ スマートオフィス  A701J-5 1 1,949 1,949

マグネットクリップ スマートオフィス B145J- 10 1 1,902 1,902

ホッチキス針 スマートオフィス No.10-1M MS91187 1 988 988

SDHCカード スマートオフィス トランセンド TS32GSDHC4 2 2,599 5,198

両面収納アルミケース スマートオフィス FC-MMC5SDN 1 950 950

USBハブ スマートオフィス U2H-TZ420SBK 1 2,340 2,340

ボックスファイル スマートオフィス D044J-GR 1 1,452 1,452

再生紙ふせん スマートオフィス 560RP-K 混色 1 276 276

Gボックス スマートオフィス 赤 PP4633N 1 255 255

ゆうメール特別 500g 242 61 14,762

99,980

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

870 40,020

40,020

区   分 金額(円) 備考

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

140,000

備  品  費

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費H.27.12月~3月,調査用紙の作成・郵便物準備・結果の整理,小松理史

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

Page 19: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 心理・健康コース 配 分 額 140,000円

代表者氏名 E 中塚 健太郎

プロジェクトの

名称 心身の状態回復に有効な積極的休息法の検討

A参加者氏名 E 中塚 健太郎(ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部 准教授)

A研 究 成 果 E

(具体的に)

本プロジェクトでは,単調な作業によって生じる覚醒水準の低下や疲労など,

心身の状態を回復させるための「積極的休息」に着目し,その中でもアクティベー

ション(軽運動等の活性化技法)を伴う積極的休息の及ぼす影響を検討する。また

,心身の状態回復が,その後の作業におけるパフォーマンスにどのような影響を与

えるかについても併せて実験的に検討することを目的とした。そこで,単調作業と

して,事故防止に主目的をおく監視作業に注目し,軽運動が監視において持続的注

意集中が保持するために有効であるかを検討するために,以下の方法を用いて研究

を実施した。被験者は,日本ライフセービング協会有資格者のライフセーバー14

名(平均年齢20.9±2.3歳)であった。1セッションにつき30分間の監視シミュレー

ション課題を3セット(計90分間)実施し,溺者発見時間等を測定するとともに,

セット間の休息(1分間)前後で心理的・生理的覚醒水準および疲労度の変化を測

定した。休息・監視時の介入条件は,安静(安静休息+通常椅子),軽運動(軽運

動休息+通常椅子),Gボール椅子(軽運動休息+Gボール椅子)の3つとした。軽運

動休息では,Gボールを用いて上下のバウンスを実施した。結果として,監視作業

時における休息後の心身の状態回復及びパフォーマンスについて,他の条件に比べ

ると軽運動とGボール椅子の組合せに顕著な効果があった(p <.05)。このことか

ら,持続的注意集中が必要となるような他の活動時のパフォーマンス保持にも結果

を活用できると考えられる。

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

本プロジェクトは,単調な作業実施時の心身の状態を測定することで人間の持

続的注意集中を維持するために効果的な介入方法を検討することを目的として研

究を計画した。その結果,介入技法としての積極的休息法によって心身の状態を変

化させることができた。一般的には,ストレスや疲労感が減少し,快適感が上昇す

ることで休息(心身の状態回復)効果が得られたとする場合が多いが,仕事やスポ

ーツではパフォーマンスを重視する状況もある。そのため,心身の状態回復だけで

は,必要十分条件になり得ない場合も想定される。今回の研究においては,最終的

なアウトカムとしてのパフォーマンスの変化をデータとして示すことができたた

め,大きな成果であったと考えられる。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 20: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

タブレット端末 MKQT2J/A 1 119,664 119,664

タブレット端末ケース Apple iPhone6s用 1 1,944 1,944

ネットワーク対応体重計 WS-50ホワイト 1 17,280 17,280

マスクフィッティ ふつうサイ

ズ 60枚入 1 1,112 1,112

140,000

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

区   分 金額(円) 備考

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

140,000

備  品  費

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

消 耗 品 費

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

会  議  費

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

Page 21: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 自然科学分野 配 分 額 ¥140,000

代表者氏名 E 上野 雅晴

プロジェクトの

名称

グリーンケミストリーを指向する三成分ワンポットカップリング反応の

開発

A参加者氏名 E

上野 雅晴

A研 究 成 果 E

(具体的に)

実践的なグリーンケミストリーを目指し、パラジウム触媒を用いたカップリング

反応の効率化を行なうことで、一つの触媒・一つの反応容器で異なるカップリング

反応を選択的かつ連続的に行い、多置換ビアリール化合物を一挙に合成する手法の

確立を検討した。

触媒量のパラジウム錯体存在下、フェニルアセチレン誘導体、及びホウ酸エステ

ル誘導体との薗頭カップリングの検討を行った。その結果、Et3N溶媒中、30 ℃、

12時間反応させることにより目的物が高収率で得られることを見い出した。次にタ

ンデム薗頭/鈴木-宮浦カップリング反応の検討を行ったところ、先の条件にアリー

ルブロミド誘導体及び水酸化カリウムを添加し、110 ℃で加熱することにより、3

成分がカップリングした目的の生成物を得ることに成功した。また、基質を逐次投

入することなくすべての基質を加えた上で反応を行なっても、途中昇温操作を行な

うのみで目的とする生成物が中程度の収率で得られた。

種々のフェニルアセチレン誘導体、およびホウ酸エステル誘導体を合成し、各ユ

ニットの置換基効果、及び基質一般性の検討を行ったところ、いずれのカップリン

グ体も中程度から高収率で得ることができた。一方で、アルキン部分の分子変換反

応の例の一つとして、水素添加を行なったところ、目的の還元体を良好な収率で得

ることに成功した。

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

多置換ビアリール化合物は、医薬品中間体をはじめ高分子前駆体や液晶といった

機能性材料として用いられている化合物群であり、これまでに様々な類縁体が報告

されている。申請者は活性なパラジウム触媒を用い反応条件を途中で適宜変えるこ

とにより、多成分からなるカップリング反応を一挙に進行させることを着想し、検

討を行なったところ、予期した以上の成果をあげることができ、国内学会でその結

果を報告している。本手法の開発により、触媒として用いるパラジウムの省資源化

、および反応後の処理に用いる有機溶媒や汚染排水の少量化の実現が期待できる。

今回のプロジェクトでは基本的な検討、および基質一般性の概略を掴めたため、

周辺条件の精査および、基質例の拡充をもう少し検討することで、速やかに論文投

稿が可能であると思われる。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 22: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

無し 0

p-トルイジン東京化成 25gT0300-25 1本 1,900 1,900

ベンジルトリメチルアンモニ東京化成 25gB0447-25 1本 1,814 1,814

2,4-ジアミノトルエン関東化学 25g10078-32 1本 1,900 1,900

2-アミノ-3-メチルピリジン東京化成 25gA0400-25 1本 3,196 3,196

一塩化ヨウ素キシダ化学 1級25g 010-40032 1本 3,024 3,024

1,3-ビス(ジフェニルホス東京化成 5gB1138-5 1本 5,788 5,788

4-ヨードアニリン東京化成 25gI0048-25 1本 4,924 4,924

sec-ブチルアミンAldrich 100mlB89000-100 1本 3,121 3,121

(S)-(+)-カルボン東京化成 25mlC0704-25 1本 6,825 6,825

(+)-メントール東京化成 25gM0826-25 1本 6,566 6,566

(+)-リモネン東京化成  25mlL0047-25 1本 1,555 1,555

(-)-リモネン東京化成 25mlL0132-25 1瓶 2,678 2,678

過ヨウ素酸ナトリウム関東化学 特級100g 37233-20 1本 5,011 5,011

シクロヘキサノン関東化学 特級500ml 07555-00 1本 1,555 1,555

4‐tert‐ブチルアニリン関東化学 25ml04468-32 1本 6,480 6,480

ホウ酸トリイソプロピル東京化成 100mlB0521-100 1本 4,924 4,924

一塩化ヨウ素キシダ化学 1級25g 010-40032 2本 3,024 6,048

ベンジルトリメチルアンモニ東京化成 25gB0447-25 2本 1,814 3,628

ヨウ素関東化学 特級100g 20035-20 1本 2,764 2,764

tert‐ブチルベンゼン関東化学 25ml05182-32 1本 1,296 1,296

4‐アミノベンゾトリフルオ関東化学 25ml01206-32 1本 3,888 3,888

硫酸銀(I)キシダ化学 1級25g 010-70672 2本 2,970 5,940

4-ヨードアニリン東京化成 25gI0048-25 1本 4,924 4,924

トリメチルシリルアセチレ関東化学 25ml40031-35 1本 12,096 12,096

亜硝酸イソアミル東京化成 25mlI0089-25 1本 2,160 2,160

蛍光ランプ 32W日立ライティング25本入 FHF32EX-NK 1箱 21,146 21,146

クロロホルム関東化学 特級500ml 07278-00 1本 1,209 1,209

テトラエチレングリコール東京化成 500gT0099-500 1本 2,505 2,505

グリシドール関東化学 25g17566-32 1本 1,987 1,987

スクリュー管瓶アズワン 5-099-07No.5 褐色 4個 97 388

スクリュー管瓶アズワン 5-099-05No.3 褐色 2個 70 140

サンプル管瓶アズワン 5-097-05No.3 褐色 1個 56 56

サンプル管瓶アズワン 5-097-08No.6 褐色 1個 108 108

ネオコール R7日本アルコール販売(株) 14kg 1缶 4,914 4,914

tert-アミルアルコール東京化成 P0059-500 500ml 1瓶 3,542 3,542

無し 0

無し 0

備  品  費

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

消 耗 品 費

Page 23: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

無し 0

無し 0

無し 0

140,000

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

0

0

区   分 金額(円) 備考

0

0

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

0

0

140,000

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金 無し

賃 借・保 守 費

会  議  費

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費無し

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

無し

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

Page 24: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 地域創生コース 配 分 額 140,000円

代表者氏名 E 土屋 敦

プロジェクトの

名称

徳島県海部郡牟岐町における地域福祉調査

A参加者氏名 E

土屋敦(総合科学部社会創生学科地域創生コース 准教授)

藤田将也(総合科学部社会創生学科地域創生コース3年)

萩山絵梨(総合科学部社会創生学科地域創生コース3年)

大塚あやね(総合科学部社会創生学科地域創生コース3年)

大山暉仁(総合科学部社会創生学科地域創生コース3年)

大上真莉子(総合科学部社会創生学科地域創生コース3年)

A研 究 成 果 E

(具体的に)

本研究は、徳島県海部郡牟岐町における地域福祉のガバナンスのあり方と住民ニ

ーズを調査することを目的としてなされた。徳島県海部郡牟岐町は、高齢化率47

%と65歳以上人口の割合が極めて高い「過疎地域」に属し、急激な人口減少や高齢

者の独居単身世帯が急激に増加している地域であり、「地域包括ケアシステムの構

築」が声高にさけばれる昨今の状況下でも、未だ将来的な地域福祉のあり方の青写

真が描き切れていない地域である。

本研究では、同町に在住する65歳以上80歳未満の方300名を牟岐町役場選挙管理

課の選挙人名簿から等間隔法で無作為に抽出し質問票を送付し回答を得た(回収率

48.2%)。質問項目には年齢、性別、居住地域、ADL指標、家族構成といったフェ

イスシート部分に加えて、将来望む介護形態とその理由、介護予防の意識と実践、

終末期の延命治療への希望などを加えた。また質問票に加えて、質問票に回答いた

だいた方の中で、ヒアリング調査への同意が得られた方への聴き取り調査も行った

。得られたデータはデータ入力およびダブルチェック、データクリーニングを行っ

た後、EXCELおよびSPSSで分析を行った。また聴き取り調査で得られた録音記録は

逐語録に起こした。貴裁量経費は、主に質問票調査の郵送代、逐語録の業者委託、

報告書の作成費用にあてさせて頂いた。

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

今年度の部局長裁量経費で得られた一次情報は現在営為解析中であるが、特に過

疎化が進み(高齢化率41.6%)、単身高齢者世帯が増加する徳島県県南部にあって

、この家族形態のあり方が高齢者の方々の介護ニーズのあり方に大きく影響してい

ることが分かってきている。また、県南部の牟岐町内部での格差も大きく、牟岐浦

などの町内中心地区の住民の方々と、それ以外の辺川、橘、中村地区などとの介護

ニーズの差が顕著に表れていることも本調査で明らかにされつつある点である。ま

た同地域に在住する方々の中でも介護予防に積極的に取り組まれている方々と、そ

うでない方々との「二極化」が顕著に表れている点も本調査で明らかにされつつあ

ることである。今年度頂いた部局長裁量経費は、大変有効に活用させて頂き、感謝

を申し上げる次第である。単年度のプロジェクトとしては相当量の成果があがった

(上がりつつある)と自己評価する。

Page 25: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) ※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 26: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

A4コピー用紙 997円

クリップ 8円

報告書印刷 15冊 5700円 85,500円

ゆうメール特別 300通 61 18,300円

9月分後納郵便受取人払 22,230円

10月分後納郵便受取人払 310円

テープ起こし 12,655円

140,000円

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

区   分 金額(円) 備考

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

140,000円

備  品  費

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

消 耗 品 費

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

会  議  費

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

Page 27: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 地域創生コース 配 分 額 10万円

発表者氏名 塚本章宏

学会等名称 International Conference of Historical Geographers 2015

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地:the Royal Geographical Society, London, United Kingdom

開催日:2016年7月5~10日(発表日:7月6日)

発表題目: Precision Research of Japanese Survey Maps in the 19th Century using Digital

Archives and GIS Techniques

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

研究成果発表旅費支援の助成を受けたことで、歴史地理学の代表的な国際学会で

あるInternational Conference of Historical Geographers 2015において、学会報告を行う

ことができた。

今回、成果発表した研究は、2014年度に図書館振興財団の助成を受けて作成した、

徳島大学附属図書館所蔵の伊能図のデジタルアーカイブとGIS分析の成果である。

昨年度から徳島大学附属図書館では、所蔵する伊能図を解像度800dpiの精度でデジ

タルアーカイブするプロジェクトを進めており、本成果発表はこれまでの伊能図研

究では注目されてこなかった0.2mm以下の針穴を、はじめて分析対象とすることが

できるようになり、それら針穴の全容把握にむけた途中経過を報告するものであっ

た。

学会が行われた当時において、このデジタルアーカイブの成果は、インターネッ

トで閲覧できるようにする段階まで進めていたため、絵図・古地図の研究分野にお

ける超高精細画像を活用した研究成果は、世界規模の学会で発表する意義があるも

のと考えられる。とりわけ、従来の絵図・古地図のデジタルアーカイブは、3-400dpi

で実施されていたこともあり、本研究プロジェクトで行った800dpiの高精細デジタ

ルアーカイブの公開は、世界的にみても先進的な事例であり、高く評価することが

できる。また、徳島大学所蔵する資料を世界的にアピールする絶好の機会にもなり、

総合科学部創生研究プロジェクトの一つとして、十分な達成度があったと考えられ

る。

Page 28: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 環境共生コース 配 分 額 84千円

発表者氏名 佐藤 高則

学会等名称 The 9th Symposium of Asian Biophysics Association (第9回アジア生物物理学会国際会

議, ABA2015)

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

本申請は、これまで検討を行なってきた中等度好熱性細菌由来ウリジンキナー

ゼ(UK)の耐熱化因子について、その知見をまとめ国際学会で発表するものであ

る。まず中等度好熱性細菌である7種のGeobacillus属細菌からUK遺伝子のクロ

ーニングを行い、そのうちアミノ酸配列の異なる4種のUKを大腸菌で発現させ

耐熱性の解析を行なったところ、Geobacillus thermocatenulatus (Gtc)由来UKが最

も高温での構造安定性を有していた。この耐熱化の要因として、4種の

Geobacillus 属 細 菌 由 来 UK で 異 な る 4 残 基

(Ser/Pro50,Phe/Leu65,Thr/Ala91,Met/Ile147)に着目し、このうちThr/Ala91を除く

Gtc UKの3種の変異型酵素(S50P/F65L/M147I)を作製し、各アミノ酸残基のGtc UKの耐熱性に対する寄与の検討を行なった。その結果、Ser50およびMet147はGtc UKの四次構造の熱安定性に、Phe65はGtc UKの高次構造の熱安定性にそれ

ぞれ寄与していることが明らかとなった。これらの研究成果をShangyu International Hotel (中国浙江省上虞区市民大道333号)で開催されたThe 9th Symposium of Asian Biophysics Associationにて、2015年5/10-12に佐藤がPoster sessionにて「Contribution of different amino acids among Geobacillus uridine kinases to the conformational thermostabilities」というタイトルで発表を行ない、発表した内

容について他研究者と活発な議論を行なった。このプロジェクトでは、核酸医

薬作製のツールとしてとして利用が期待されるUKの耐熱化部位に関する重要

な知見であると考えられるため、国際学会での発表を行なった。

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

本研究は、上記に述べたように、中等度好熱性細菌由来のUKの耐熱化部位につ

いて、部位特異的変異法で作製した変異型酵素の解析から、Gtc UKにおける

Ser50, Phe65,Met147の耐熱性への寄与を明らかにした。その内容について申請

計画通りに、The 9th Symposium of Asian Biophysics Association国際会議にて発表

を実施したため、申請計画はほぼ100%達成された。

Page 29: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2‐2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 環境共生コース 配 分 額 45,000円

発表者氏名 小山保夫

学会等名称 第42回日本毒性学会学術年会

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地:金沢市 ホテル日航金沢

開催日:平成27年6月29日~平成27年7月1日

発表題目:脂溶性亜鉛イオンキレート剤としてのクリオキノールの細胞毒性

発表日は平成27年6月29日

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

(1)学会出張(発表)経費65,500円の内、45,000円を助成して

いただき、感謝する。

(2)私達は化学物質に囲まれて生活をしていると言って過言ではない。化学

物質の毒性を調べることで安心・安全な社会の形成に資する情報を提供するこ

とを目的とした。従来、化学物質の細胞毒性発現には細胞内Ca2+濃度の上昇が

深く関与していると考えられてきた。しかし、小山研究室ではこの定説とは異

なる実験成績を積み上げてきている。Zn2+は細胞に対して保護的と考えられる

ことが多かった。ところが、酸化ストレス条件下ではZn2+添加は細胞死促進、

Zn2+キレート剤添加は細胞死抑制と、Zn2+が細胞死に関与していることを明らか

にした。これは定説に対するチャレンジである。今回、脂溶性Zn2+キレート剤

であるクリキノールが(A)細胞内Zn2+濃度をベル型(低濃度で濃度上昇、高

濃度でピーク値の低下)に変化させることを、(B)過酸化水素(生体での酸

化ストレスの一種)の細胞毒性を二相性(細胞死の促進と抑制)に修飾するこ

とを明らかにした。さて、Zn2+と錯体を形成する化学物質は少なくないことか

ら、生活に関係している化学物質(医薬品も含む)の細胞毒性をZn2+との関連

性から考え直す必要がある。以上のことから、発表自体には達成度(100%

に近い)はあるが、私達の研究を取り巻く状況は難しいと実感している。それ

はZn2+関与説はCa2+の細胞死への関与を否定するものでなく、現時点では多様な

細胞死メカニズムを補完する立場にすぎない。

Page 30: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 心理・健康コース 配 分 額 50,000円

発表者氏名 中塚 健太郎

学会等名称 日本海洋人間学会

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

日本海洋人間学会第4回大会(東京海洋大学品川キャンパス,9/26・27,積極的休

息法としての軽運動とGボール椅子の組合せが監視時の心身の状態及びパフォーマ

ンスに与える影響)

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

本研究は,単調な作業実施時の心身の状態を測定することで人間の持続的注意

集中を維持するために効果的な介入方法を検討することを目的として研究を計画

した。その結果,介入技法としての積極的休息法によって心身の状態を変化させる

ことができた。一般的には,ストレスや疲労感が減少し,快適感が上昇することで

休息(心身の状態回復)効果が得られたとする場合が多いが,仕事やスポーツでは

パフォーマンスを重視する状況もある。そのため,心身の状態回復だけでは,必要

十分条件になり得ない場合も想定される。今回の研究においては,最終的なアウト

カムとしてのパフォーマンスの変化をデータとして示すことができたため,大きな

成果であったと考えられる。

また,関連する学会で,口頭発表もおこない,高い評価を得ることができた

【日本海洋人間学会 奨励研究発表賞 受賞】。

Page 31: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 地域創生コース 配 分 額 10万円

発表者氏名 平井松午

学会等名称 International Conference of Historical Geographers 2015

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地:the Royal Geographical Society, London, United Kingdom

開催日:2016年7月5~10日(発表日:7月6日)

発表題目: Precision Research of Japanese Survey Maps in the 19th Century using Digital

Archives and GIS Techniques

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

研究成果発表旅費支援の助成を受けたことで,歴史地理学分野の代表的な国際学

会であるInternational Conference of Historical Geographers 2015に参加し,学

会報告を行うことができた。 今回,成果発表(ポスター)した研究内容は,平成21~24年度採択の科研Bおよ

び平成25~28年度採択の科研Aにおいて作成したGIS鳥取城下町マップで,それに

もとづいて,1)絵図に記載された武家屋敷や町人地の総数や面積,2)土地利用の実

態把握と武家屋武士(侍)の居住実態について報告した。 これまで,日本の近世絵図や城下絵図に関する世界規模の国際学会での発表例は

あるものの,城下絵図のGIS分析に関する報告はほとんどなく,その点で学会参加

者からは大いに関心が寄せられるとともに,海外の研究者との研究交流を持つこと

ができた。また,世界的に見て, 日本には数多くの古地図・絵図が 残されている地域であり,そうし た古地図・絵図のGISコンテンツ 化やGIS研究の進展に対しても期 待が寄せられた。 それゆえ,創生研究プロジェク

ト経費を受けることで,本発表者 が長年取り組んできた古地図GIS 研究の成果の一端を世界に発信で きた,本プロジェクト経費の有効 活用という点で,十分な達成度が あったといえる。

Page 32: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 物質総合コース 配 分 額 35 千円

発表者氏名 山本孝

学会等名称 第51回X線分析討論会

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地: 姫路・西はりま地場産業センター(じばさんセンター)

開催日:2015年10月29日(木)~30日(金)

発表演題:ラボXAFSによる担持白金触媒の調製過程に関する検討

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

本学会では講演15分―5分討論,計20分の口頭による成果発表を行であった

.本成果は申請者が指導する修士課程1年次宮本との共同研究によるものであり,

アルミナおよびシリカ上に含浸担持した白金塩の空気気流下での熱分解過程をそ

の場XAFS法により検討し,空気,ヘリウム気流下ともに塩化白金酸は塩化白金種を

経て分解し,シリカ上では白金粒子を形成すること,アルミナ上では573 Kで金属

状態まで還元後,再酸化されること,それぞれの担体上での前駆体分解プロセスを

論じた.本発表に対して,参加者および座長より数点の質問がなされ,活発な質疑

応答を経て結果は肯定的に受け入れられた.本発表の連名は上述の大学院生のみで

あり,すべて徳島大学総合科学教育部内で行われたものであり,その一部は査読付

き学術論文に掲載されたものである(分析化学2015).

上述の通り,本学のみ設備にて,本学職員及び大学院生のみで実施された研究成

果を全国大会にてアピールできたため,達成度は90点である.減点項目は,質疑

時間が5分と短時間であり,議論が一部不完全にとどまってしまった事である.本

課題に関しては現在も継続して研究を遂行しており,新しい成果を次年度以降にも

発表する所存である.

Page 33: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 数理科学コース 配 分 額 38000円

発表者氏名 鍋島 克輔

学会等名称

RIMS研究集会

「数式処理とその周辺分野の研究 — Computer Algebra and Related Topics」

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地: 京都大学数理解析研究所,

開催日: 平成27年12月2日~12月4日,

発表題目: グレブナー基底を用いた収束べき級数環上での拡張 ideal membership

アルゴリズムについて

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

『グレブナー基底を用いた収束べき級数環上での拡張ideal membershipアルゴリ

ズムについて』というタイトルで研究成果発表を行った.

イデアル所属問題・拡張イデアル所属問題は数学のみならず多くの分野に表れる

重要な問題である。収束べき級数環での解法はスタンダード基底とMoraのTangent

coneアルゴリズムを用いる方法が有名であるが,しかし,スタンダード基底計算の

計算量は大きいという欠点がある.本研究発表では,スタンダード基底計算を介さ

ず,イデアル商とグレブナー基底計算を使うことによりイデアル所属問題・拡張イ

デアル所属問題を効率よく解く画期的な方法を紹介した。この方法により今まで解

くことができなかったイデアル所属問題・拡張イデアル所属問題を解くことができ

るようになった。また,超曲面の特異点解析には,Gauss-Manin 接続,b-関数,integral

dependence relation, 対数的ベクトル場などの計算が必要になるが,これらを計算す

るためには拡張イデアル所属問題が必要であった。しかし,この研究成果により拡

張イデアル所属問題が容易に解けるようになったので,超曲面の特異点解析の研究

がこれから大いに進展すると思われる。

研究発表後は多くの好意的な質問があり,大変満足のいくものであった。今回の

研究発表の内容があまりにも画期的で良いのであったからこそ,研究発表,その後

の質問,他の研究者とのコミュニケーションは大変有意義なものになった。この研

究発表成果に対する達成度は高く,大変満足するものである。

このような画期的な研究結果発表の支援をしていただき創生研究プロジェクト

には大変感謝いたします。

Page 34: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 物質総合コース 配 分 額 50,000 円

発表者氏名 真岸 孝一

学会等名称 日本物理学会第71回年会

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地:東北学院大学 泉キャンパス(仙台市泉区天神沢二丁目1-1)

開催日:平成28年3月18日~22日

発表題目:Sr2Sc(Co1−xFex)PO3 のNMR II(発表:3月21日,講演番号:21aPS-58

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

研究発表では、層状コバルト化合物 Sr2ScCoPO3 の特異物性の解明を目的と

し、NMR測定の結果について、ポスター講演した。また、Co の一部を Fe に

置換した Sr2Sc(Co1-xFex)PO3 について、Fe 置換量の変化によって現れる物性

の違いの原因を究明するために、微視的電子状態の特徴について発表した。

ナイトシフト及び核スピン-格子緩和率 1/T1 の温度変化を詳細に解析し、

Sr2ScCoPO3 の電子状態においては、2次元的な強磁性スピンゆらぎが支配的で

あることを報告した。また、Coの一部をFeで置換してキャリア数を変化させた

場合の状態密度の系統的変化による物性の違いについて報告した。

さらに、その他の強相関電子系の多彩な量子現象に関する講演を聴講して、

最近の研究動向や自身の研究に関係する内容等について参加者と議論を行い、

最新の研究成果についての情報を収集した。

上記のような成果が見られており、当初の計画は、おおむね達成されたもの

と思われる。

Page 35: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 公共政策 配 分 額 100,000円

発表者氏名 内藤 徹

学会等名称 12th Western Economics Association International Pacific Rim Conference

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地:Singapore,Nanyang Technological University 開催日:Thursday-Sunday, January 7-10, 2016 発表題目:“Competition between efficient private firm and ecological public firm under mixed duopoly market”

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

2016年1月7日-10までシンガポールのNanyang Technological Universityで開催さ

れた12th Western Economics Association International Pacific Rim Conference

において拙稿 “Competition between efficient private firm and ecological

public firm under mixed duopoly market”を報告した.また,川原伸哉准教授(

立正大学)が報告した,“Tradable Emission Permits in the presence of Trade

Distortion”に対する討論を行った.本報告の討論者である大森達也教授(中京大

学)および座長である小川光教授(東京大学)からは本論文に対する改善点等の助

言を得た.

本研究は,これまで環境規制の主要な方法として用いられてきた環境税や直接規

制とことなり,費用は割高であるが環境に優しい技術を有する公企業を独占市場に

参入させることにより環境税では制御できなかった汚染水準を改善することが可

能であることを示した意味では本論文の貢献は大きいと思われる.

今後,環境問題に取り組まなければならない国は発展途上国を含め数多く存在す

ることが予想される為,本研究で得た知見はこうした国の環境政策立案の際の基礎

理論となることが期待される.

以上を鑑みると,本助成を受けて行ったプロジェクトについては,一定の単精度

が得られたと考えられる.

Page 36: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-2) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請4)

コ ー ス 名 心理健康コース 配 分 額 47,300円

発表者氏名 三浦 哉

学会等名称 第70回日本体力医学会大会ならびに呼吸研究会,運動と循環合同研究会

研究発表報告

(開催地,開催

日,発表題目等

具体的に記載)

開催地 和歌山県民文化会館

開催日 2015年9月17-20日

発表題目 「座業時の休憩様式の違いが血管内皮機能に及ぼす影響」他

研究成果発表

に対する達成度

(自己評価)

日本体力医学会大会では,「座業時の休憩様式の違いが血管内皮機能に及ぼす影

響」というタイトルで,長時間の座位作業時にともない血管内皮機能は低下するこ

と,作業合間の休息時に軽運動を加えることで血流依存性血管拡張反応の低下が抑

制され,循環器疾患のリスクを軽減する上で,休息時の運動の重要性について口頭

発表した.また,同大会では,共同研究者として「一過性の高強度間欠的運動が血

管内皮機能に及ぼす影響」というタイトルでレペティション形式の運動と血管内皮

機能との関係を,「高齢女性の動脈スティフネスと生活体力との関係」というタイ

トルで高齢者の自立機能と脈波伝搬速度との関係を,「歩幅の異なるWalking様式

の3次元動作解析および酸素消費量へ及ぼす影響」というタイトルでウォーキング

時の歩幅と酸素摂取量との関係について,それぞれ発表された.さらに,学会大会

前日に開催された呼吸・循環セッションでは,その運営・企画に関与した.

以上のことから,研究成果発表に対する達成度は90%であった.

Page 37: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1)

平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 国際文化コース 配 分 額 140千円

代表者氏名 熊坂 元大

プロジェクトの

名称

環境徳倫理の理論研究

参加者氏名

熊坂 元大

研 究 成 果

(具体的に)

採択時期が遅くなったため、当初予定していた翻訳出版という目的に経費をあてる

ことが困難となった。そのため、プロジェクトのテーマに関する文献資料の整理・

保管・持ち運びのため、スキャナー・HDD・タブレットPCを購入した。

購入物品の性質上、論文内容などに直接反映されるような具体的な成果はないが、

国外の研究者から急遽依頼された韓国とUNESCO共催の国際会議 4th World

Humanities Forum 2016(今年10月開催予定)での発表要旨をまとめるにあたって

、関連資料の電子化と整理が進んでいたことは、依頼から締切まで2日しかないと

いう状況で大きな助けとなった。

また今年5月に刊行予定の論文「環境徳倫理学研究における環境徳と受傷性」(総

合人間学10号、総合人間学会)執筆は採択前に行われたが、査読後の修正をするに

あたっても、今回の研究費を投入した電子資料は大きな助けとなった。

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

かねてから必要性を感じていた電子化に踏み切れたことは、今後の研究の進展速度

を高めてくれると思われる。そのための機器購入に十分な額を頂けたことは、とて

もありがたかった。

今回の研究費の使途の性質上、期限までの達成度を報告することは難しいが、査読

論文と国際会議での発表各1本ずつの業績に繋がったことで、さしあたり一定の成

果を上げることができたのではないかと考える。

今年度は、さらに1―2本の論文を投稿したいと考えており、それが成し遂げられ

れば、より高い自己評価を与えてもよいだろうと思われる。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 38: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

ScanSnap iX500 1 42,012 42,012

PZ2.0 U3-BC 1 9,720 9,720

iPad mini4 128GB 1 67,824 67,824

iPad mini4 Smart Cover 1 4,860 4,860

iPad mini4 シリコンケース 1 8,424 8,424

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

区   分 金額(円) 備考

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

132,840

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

印 刷 製 本 費

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

会  議  費

備  品  費

消 耗 品 費

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

Page 39: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1) 平成27年度創生研究プロジェクト実施報告書(申請1~3)

コ ー ス 名 地域創生コース 配 分 額 107,000

代表者氏名 E 佐原 理

プロジェクトの

名称

神山プロジェクトとの連携にによる地域創生

A参加者氏名 E

佐原 理

A研 究 成 果 E

(具体的に)

当初計画では、徳島大学の地域創生に大きく貢献するために、株式会社 GOCCO と

共同研究を進め、神山町にサテライトオフィスの構築によるデザインラボを構築す

ることを目的とした。そのため、2015 年 5 月 30 日に挙行された徳島大学神山サテ

ライトオフィス開設記念式典において株式会社 GOOCO の役員とともに「IT Design

x Innovation デザイン領域からの地域連携+産学接続」として記念講演を行った1。

実際に現地の見学を行った結果、神山プロジェクトをより国際的な知識・情報プラ

ットフォームと接続し、さらに強固なイノベーションの基盤を構築することに思い

至った。そこで、すでにブランド力のある TED を活用し、徳島大学から国際的に

知、創造の成果やシードとなるアイディアの情報収集および発信拠点となるコミュ

ニティー形成を目指すこととした。特に、地域を柱にし、医学、工学、人文科学の

視点から、徳島大学が神山町などの各自治体と連携しながら TED ブランドを活用

し、世界に通用するアイディアを配信する拠点となることを目指す。本年度は学生

実行委員会を組織し、毎週のように論議を重ね TED 運営本部に企画案をまとめ

TEDxTokushimaU の開催申し込みを行い、現在は次年度開催を計画中である。

1徳島大学報道発表 2015年5月26日 http://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2015052600076/files/27052601.pdf

申請計画に

対する達成度

(自己評価)

・計画では徳島大学総合科学部のベンチャー企業の立ち上げを目指し、これまで産

学連携の実績がある株式会社GOCCO.とともに地元企業と連携するイノベーショ

ン拠点を構築したい。しかしながら、神山町を拠点に活動するグリーンバレーと連

携し、サテライトオフィスを開設するメリットは低いと判断され、本年度は徳島大

学佐原研究室と工学部創生開発センター、または株式会社GOCCOによって関西テ

レビやBROTHER工業との仕事、四国初となる成層圏からの撮影プロジェクトなど

をこなしている。 最終的な目標は、こうした活動を通じ、学生にベンチャー精神

やイノベーションの方法論などを実践的な体験を与えることで、本学学生の地域貢

献に関わる意識を向上させ、主体的に、また批判的に社会を視る目を養い、地域に

貢献できる人材育成を行っていく基盤とすることであったため、計画の変更はあっ

たものの、概ね当初の最終目的の基盤作りは100%達成している。

※別表(支出実績表)を添付のうえ,提出願います。

Page 40: 平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト …平成27年度 部局長裁量経費 創生研究プロジェクト 報 告 書 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部

(様式2-1別表)

支出実績表

区   分 品名(事項名) 規 格 員数 単価(円) 金額(円) 備考

スタッフ用ポロシャツ(3枚) 1式 13,899

1式 34,225

図書 1冊 6,462 6,462

プロフェッショナルフォトペーパー 1個 12,960 12,960

QBiCパノラマ用リグ 1個 16,956 16,956

アルカリ単3・単4電池 2箱 638 1,276

付箋 1個 475 475

3色ボールペン 1本 267 267

会  議  費

86,520

区   分 時給(円) 金額(円) 備考

区   分 金額(円) 備考

20,480

20,480

区   分 時間数 単価(円) 金額(円) 備考

107,000

※各経費の枠は,必要に応じ適宜変更願います。

そ  の  他

人  件  費

旅 費 交 通 費

実施日,用務内容,出張者等所属・氏名

11/30-12/1,研究打合せ、名古屋大学、小野瀬良佑

合                計

雇用期間,用務内容,雇用者氏名

備  品  費

実施日,用務内容,実施者氏名

諸  謝  金

消 耗 品 費スタッフ用ポロシャツ(14枚)

通 信 運 搬 費

賃 借・保 守 費

印 刷 製 本 費