【schoo web campus】現代アートが生まれるところ 先生:飯田志保子
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現代アートが生まれるところ あいちトリエンナーレ2013におけるキュレーションの現場
あいちトリエンナーレ2013キュレーター 飯田志保子
【本日の授業のアジェンダ】 「あいちトリエンナーレ2013」のうち現代アート部門のなかから現在制作進行中の3つの新作をケース・スタディとしてとりあげる。 さまざまな人、時間、場所、予算をマトリックスとしながら、キュレーターはアーティストと協議をしていかにオーディエンスを引き付ける新作を実現していくのか。また、その際に重要なこととは?
【目次】 ケース1: 地域にインスパイアされ、応答する作品 ケース2: テーマ性(建築/場所/記憶)、フォーム
(作品形体)、モチーフが共鳴する作品 ケース3: テーマを深める・話し合う場を生む/
ジャンルを横断する作品 まとめ: ・地域に特化したコミッション・ワーク(委嘱作品)、ビエンナーレ/トリエンナーレの重要性について ・事業のオーナーシップとサステナビリティについて
ケース1: 地域にインスパイアされ、応答する作品 ウィット・ピンカンチャナポン(タイ)
Mist, 2011 / Courtesy of the artist
ケース1: 地域にインスパイアされ、応答する作品 ウィット・ピンカンチャナポン(タイ)
(参考図版)
ケース2: テーマ性(建築/場所/記憶)、フォーム (作品形体)、モチーフが共鳴する作品 ソ・ミンンジョン(韓国)
SummeimAugenblick (Sum in a Point of Time) 2010 / Courtesy of the artist
ケース2: テーマ性(建築/場所/記憶)、フォーム (作品形体)、モチーフが共鳴する作品 ソ・ミンンジョン(韓国)
名古屋市市政資料館外観 地下留置所計測風景
ケース3: テーマを深める・話し合う場を生む/ ジャンルを横断する作品 ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニ(ドイツ)
Spelling Dystopia(目を閉じる精霊たち)2008/09 Courtesy of the artists and Galerie Eigen + Art, Berlin
ケース3: テーマを深める・話し合う場を生む/ ジャンルを横断する作品 ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニ(ドイツ)
Spirits closing their eyes(目を閉じる精霊たち)2012 Courtesy of the artists and Galerie Eigen + Art, Berlin
【まとめ 1】 地域に特化したコミッション・ワーク(委嘱作品)、ビエンナーレ/トリエンナーレの重要性について
地域に特化したコミッション・ワークを目玉とするビエンナーレやサイト・スペシフィックなトリエンナーレに対する世界的な注目。なぜ?
地域に特化したコミッション・ワークを目玉とするビエンナーレやサイト・スペシフィックなトリエンナーレに対する世界的な注目。なぜ?
⇒美術館の内外に作品が浸透していくことによって、「芸術至上主義(芸術のための芸術)」や「美術館至上主義(美の殿堂としての美術館)」といった、アートに特化した言説空間のなかに閉じこもらないアートのあり方を提示するから。
地域に特化したコミッション・ワークを目玉とするビエンナーレやサイト・スペシフィックなトリエンナーレに対する世界的な注目。なぜ?
⇒美術館の内外に作品が浸透していくことによって、「芸術至上主義(芸術のための芸術)」や「美術館至上主義(美の殿堂としての美術館)」といった、アートに特化した言説空間のなかに閉じこもらないアートのあり方を提示するから。 ⇒アートの社会性を提示
アートとは
アートとは ・既存の前提や価値観に挑戦し、刷新すること ・「気づき」(=覚醒)をもたらすこと →見えていないものを見えるようにする →聞こえていないものを聞こえるようにする →見えていないものを聴く(またはその逆)など
アートとは ・既存の前提や価値観に挑戦し、刷新すること ・「気づき」(=覚醒)をもたらすこと →見えていないものを見えるようにする →聞こえていないものを聞こえるようにする →見えていないものを聴く(またはその逆)など ⇒人々の認識や社会の前提を見つめ直し、それらを問い直す力を持っている。
【まとめ 2】 事業のサステナビリティとオーナーシップ ・「なぜやるのか?」と「いかにしてやるのか?」の違い ・当事者として事業に関わる意識がオーナーシップを育む
あいちトリエンナーレ2013 Aichi Triennale 2013 2013年8月10日⇒10月27日