sangyo2008 09
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第 2 部 第 4回 (中間総括 )
私的利用・中古売買
著作物は,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(「私的使用」)を目的とするときは,使用する者が複製することができる(著作権法第 30条 )
CD,DVDなどには適用除外が明 記されている
購入した音楽CDをバックアップ目的でコピー
レンタルした音楽CDをコピー購入したCDをクラスの友人から
頼まれてコピーして手渡し遠隔地に住む知人にプレゼントする目的でコピーして郵送する
店頭の高速ダビング機でコピーする
雑誌 1 ページ分をコンビニのコピー機で複写し,サークル・メンバー 12 人に配布する
200ページの書籍を丸ごとコピー して,ゼミで配布する
コピー・プロテクトがかかっているDVDをバックアップ目的で,パソコン・ソフトを用いて複製する
私的録音録画補償金制度私的使用による複製も,著作権者・著作隣接権者 (レコード会社 )に遺失利益を与えているので,その損失を補償する
日本ではデジタルの録音・録画機器とメディアにのみ課金
iPodへの課金は見送られる
-DVD Rにビデオ用と…データ用があるが
ダウンロード違法に著作権改正へ違法にアップロードされたことを認識している音楽・動画をダウンロードした行為を,私的複製の範囲から除外する
文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会で 12月 16日に合意
倫理―内発性・主体性が特徴で,外的強制を伴わない。「強制力なき法」
行為規範―道徳と同義。いかなる状況でも他者の批判を受けず,称賛を集めることが期待できる行為類型。礼儀,約束事 (プロトコル ),倫理綱領。規範集団から有形無形の拘束を受ける
法律―罰則規定を伴う
→倫理 他者の知的成果を無料で利用するのは倫理にもとる
→行為規範 大学のネットワーク資源利用の約束事 (他者〈とくに仲間〉に迷惑をかけない )
→法律 著作権 (送信可能化権 )の侵害 (一罰百戒としての逮捕 )
情報財=無体物。ところが,流通するには有体物に固定する必要があった
①情報本来の価格決定メカニズムが喪失し,有体物としてモノに準ずる扱い (現状は「再販制度」による価格硬直性 )
② →有体物 購入にともない所有権が移転。著作権者の排他的独占権でも対抗できない
価値が不安定 (一物一価ではない)
専有的・排他的ではないコピーしやすい返品がきかない (取引の非可逆性)
規格品ではない (一品〈作〉ごとに品質が変わっている可能性が高い )
著作権者が有体物の流通過程をコントロールする権利 (right of distribution)
譲渡権:正規に一回目に売買された後は消滅 (first sell doctrine)
頒布権:消滅 (消尽 )はない。流通形態は貸与の形をとることが多い
(貸与権 ):所有権が移転しない。すべての著作物に貸与権を付与 (日本 )
著作権者 (ディストリビューター )
販売店
ユーザー ユーザー ユーザー
中古売買店
使用権許諾 頒布権 譲渡権
所有権移転せず
PCソフト DVD, TVゲーム CD,書籍
DVD,ゲームは「映画の著作物」なので,頒布権が存在し,厳密に言えば「中古市場での売買」は違法
しかし,厳密に取り締まると,新品市場に悪影響が及びかねないため,事実上は黙認状態 (一種の慣習 )
著作権者が権利行使する前に,中古市場が定着した ?
○ 独占禁止法の適用除外 (薬品などが次々と対象外となり,残るは著作物のみ)
○ 発売元が「定価」販売を義務づけ,値引き販売する小売店とは契約解除しても構わない (法定再販:時限制も )
時限再販 CDでは「 2年間」,雑誌では「次号発売まで」など,再販制度が適用される期限を明記•雑誌の場合,次号が発売されると,バックナンバーが店頭から消えるケースがほとんど
自由価格本 返本などを受け,出版社が「定価」を明示せずに再流通•取扱う書店が大都市に限定される
全国一物一価 (地域格差の是正 )権利者保護 (一定の報酬の確保 )多品種少量生産の維持 (嗜好品 )文化的生活の基盤 (少数者保護 )販売店の利益確保 (書籍=多くは委託販売〈返品を許容〉,CD=条件付き返品 )
需給関係に応じた価格設定 (値引き販売 )が不可 (競争原理の否定)
→公正取引委員会見直し議論 当面の間は存続の方針 (2001 年 3月 )
ビデオ,DVD,パソコン /ゲームソフトは著作物なのに「再販」が認められないという不合理も(新聞,書籍,雑誌,レコード,カセット,CDの 6品目のみが再販適用対象 )
ビデオは頒布権の行使。店舗への貸与期間など条件を決めて契約
CDは貸与権。レンタルの可否,禁止期間など条件を決めて契約
コミックも貸与権。従来は権利行使してこなかったが,チェーン店に限って行使 ( 有限責任中間法人 出版物貸与権管理センター )。 06年 12月1 日スタート
消費者が必要とする価格での取引(捨てるよりはマシな買い取り価格 )
中身を利用する限り,新品でも中古でも価値は不変 (書籍などでは品質劣化はあるが )
返品制度で新品がすぐに店頭から消える新刊書籍市場BOOK OFF,GEOなどは新古書店,
リサイクル・ブックストアと総称される
1兆 2199億円
9326億円
出典 : 出版科学研究所
1兆 3794億円
9456億円
2837億円
2421億円2480億円
2602億円
① 中古がコミックスの市場を奪っている (中古がなければもっと売れた )
② 中古の存在によりコミックスの市場が下支えされている (相互依存関係で,コミックスが売れている )
③ プラス・マイナスの影響が相殺されて現在の市場が形成されている
④ 中古と新品の市場は無関係
→中古市場 新品市場を圧迫 ? 新品で売れた =販売機会の喪失 ?
→ →中古で売却 得た資金で購入 接触機会・新品購入機会増 ?
→中古・レンタル プロモーション(販売促進 )効果が存在する ? 市場の破壊者 ?
有体物である限り所有権は移転し,財産処分の自由 (禁止はできない )
前提は消尽しない譲渡権の創設 ?中古売買禁止期間を設定 ?中古販売の売上金の一部を出版元(さらには著作権者 )に分配して,機会損失を補填 ?
PCソフト同等の「使用権許諾」に ?
日本複合カフェ協会 (JCCA)→ゲームソフトについては許諾を受け使用料を支払いへ ('02/5月 )
コミックも「 21 世紀のコミック作家の著作権を考える会」と日本雑誌協会と協議開始するも,交渉は難航
著作物の中古売買 (または“ ”違法 ダウンロード )は,著作物の新品流通市場にプラス /マイナスどちらの影響を及ぼすと考えられるか。自らの消費経験など具体的な事例をもとに論じよ。
分量: 400~ 600字締切: 2009年 1 月 14日 (水 )授業終了時 (メールは授業開始時のタイムスタンプまで有効 )
提出: report@ akaokoichi.jp またはプリントアウト (事前提出は個人研究室扉のポストに投函すること )