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電子情報技術産業協会技術レポート 半導体技術委員会/半導体実装・製品技術専門委員会 ベアダイの品質ガイドライン 社団法人 電子情報技術産業協会 Semiconductor Technology Committee/Semiconductor Product Technology Committee of Japan 半導体信頼性技術小委員会 Technical Committee on Semiconductor Reliability Technical Report of Japan Electronics and Information Technology Industries Association Quality Guidelines for Bare Die Japan Electronics and Information Technology Industries Association JEITA EDR-4703A 1999 5 月制定 2008年 3 月改正

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電子情報技術産業協会技術レポート

作  成

半導体技術委員会/半導体実装・製品技術専門委員会

発  行

ベアダイの品質ガイドライン

社団法人 電子情報技術産業協会

Semiconductor Technology Committee/Semiconductor Product Technology Committee of Japan

半導体信頼性技術小委員会Technical Committee on Semiconductor Reliability

Technical Report of Japan Electronics and Information Technology Industries Association

Quality Guidelines for Bare Die

Japan Electronics and Information Technology Industries Association

JEITA EDR-4703A

1999年 5月制定

2008 年 3月改正

0 JEITA EDR-4703A

0

目 次

ページ

1 概要 ······························································································································································ 2

2 一般的な半導体デバイスの品質保証 ········································································································ 2

3 ベアダイの品質レベル分類 ······················································································································· 6

4 ベアダイに関する情報の提示 ················································································································· 10

5 出荷関連 ···················································································································································· 12

6 保管期限の目安 ········································································································································· 12

7 ベアダイの取扱い ····································································································································· 14

8 ベアダイ実装におけるトラブル事例 ······································································································ 16

9 不良品の取扱い ········································································································································· 18

10 関連資料 ·················································································································································· 18

解説 ·································································································································································· 20

(2)

1 JEITA EDR-4703A

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電子情報技術産業協会技術レポート

ベアダイの品質ガイドライン Quality Guidelines for Bare Die

1 概要

近年,電子機器の小型化・軽量化・高機能化は,モバイル製品の普及により益々顕著になっている。そ

の結果,従来は非常に特殊なケースに限られていた,半導体ユーザにおけるベアダイ実装が,民生機器メー

カのアセンブリ工程で広く行われるようになってきた。

このガイドラインは,そのような状況において,半導体メーカと半導体ユーザがベアダイの品質に対し

共通の認識が得られることを目的としてまとめ上げたものである。

注記 ベアダイ:ウェハ状態,又はウェハからダイシング工程などで分割された状態のダイを示す。パッ

ド上に何らかの方法でバンプやビームリードなどの電極が形成されているダイもこれに含まれる。

ベアチップという表現も用いられるが,英訳を考慮しベアダイとした。

2 一般的な半導体デバイスの品質保証

ベアダイの品質保証を述べる前に,出荷形態がパッケージである半導体デバイスの品質保証について,

その概要について触れる。

このガイドラインでは,半導体デバイスの品質保証をデバイス自体の品質を示す,“外観”“電気的特性

保証”“信頼性検証”に着目して考える。ここで,外観と電気的特性は,半導体ユーザにおける組立工程の

品質に影響を与え,半導体メーカでは図 2.1 で示すフローにより選別を行っている。

2.1 電気的特性保証

(1) プロービング特性検査

ウェハ状態における特性検査は,一般的には DC 測定と基本的な機能テストが主体となる。ただ

し,アナログ特性,At Speed,温度保証の追い込みテストなど保証すべき特性に対して十分なテスト

を実施することは困難である。

例えば,MOS 系製品の場合には,以下のような測定項目が挙げられる。

例 オープン/ショート,入出力リーク,入出力電圧/電流

電源電流(動作/スタンバイ),ファンクション

(2) 最終特性検査

パッケージ品における最終特性検査は,上述のプロービング特性検査に,アナログ特性,At Speed,

温度保証の追い込みテストなどのプロービング特性検査では,困難な検査項目を追加し,製品の個別

仕様書に規定される特性仕様を満足するかの選別を行う。

図 2.1―一般的な半導体デバイスの検査フロー例

ウェハ工程 プロービング

特性検査

パッケージ

組立工程

最終特性

検査 外観検査

2 JEITA EDR-4703A

2

2.2 信頼性検証

一般に非修理系部品における瞬間故障率の経時的変化は,図 2.2 のようなバスタブ曲線を呈する。半導

体メーカでは,このような傾向を十分に考慮して,信頼性評価及び保証を行っている。詳細に関しては,

EIAJ EDR-4704「半導体デバイスの加速寿命試験運用ガイドライン」参照。

(1) 初期故障率の検証

動作開始後の早い時期に,工程の不具合などに伴う潜在的な欠陥に起因する故障が生じる。このと

きの故障率は,初期には高い値を示すが,時間を経るに従い単調減少していくのが特徴であり,特に

工程の立ち上がり時期には,それが顕著である。

半導体メーカでは,新プロセスを導入する際には,数 k から数 10k 個の半導体デバイスを用いて信

頼性試験(バーンイン)を繰返し行い,初期故障率(*1)を求めている。

(*1) 半導体メーカでは,電子機器などに搭載され市場で 3 か月から 1 年が経過したときの累積故

障確率,平均故障率,瞬間故障率等で定義している。

なお,得られた初期故障率が所定の値を満足できないときは,初期故障の原因となる潜在的欠陥を

有するデバイスを出荷前に排除するために,以下のようなスクリーニングを実施するのが一般的であ

る。

・ 前述のプロービングテストにおける検査スクリーニング

・ 前述のプロービングテストにおける高電圧スクリーニング

・ 製品状態によるバーンイン

なお,新プロセスの工程が安定化されれば,これらスクリーニングを必要とせずに,所定の初期故

障率を満足することができる。

(2) 製品寿命の検証

初期故障率が収束すると,想定外の環境因子や人為的ミスによるオーバーストレス等による故障が

支配的となり,かつ故障率一定となる。この偶発故障期間を十分に経ると故障率は増加に転じる。こ

の磨耗故障期では,発生する故障は,デバイスの材料・構造・プロセスで決定されるデバイス固有の

故障(真性故障)である。半導体メーカでは,信頼性試験を実施し,想定される市場環境・動作条件

で,所定の期間内にデバイス固有の故障(真性故障)が生じないことを検証している。

図 2.2―非修理系部品のバスタブ曲線

初期故障期 偶発故障期 摩耗故障期

故障率

時間

λ (τ )

3 JEITA EDR-4703A

3

3 ベアダイの品質レベル分類

ベアダイの品質保証を議論する際には,当然ではあるがベアダイの何を検証すべきかを明らかにする必

要がある。もっとも理解が容易なのは,“パッケージ品と全く同じ項目を保証・検証する”ということにな

るが,現状においては,技術及びコストを考慮するとすべての半導体デバイスに適用することは困難であ

る。

そこで,「2 項 一般的な半導体デバイスの品質保証」で述べた,“外観”“電気的特性”“信頼性検証”

の 3 項目をもとに,ベアダイの品質レベルを以下に述べるレベル 1/Known Good Die(以下,KGD),レベ

ル 2/Known Tested Die(以下,KTD),レベル 3/Probed Die(以下,PD)の 3 水準に分類する。

それぞれの位置付けについては表 3.1 のマトリクス表に示す。ここで注意が必要なことは KTD にはあ

らゆるケースが考えられることである。KTD に関する検証項目については半導体メーカと半導体ユーザ間

で個別に取り決める必要がある。

3.1 レベル 1/KGD

(1) 外観

抜取りによる外観検査を実施する。欠点・不良品の定義,検査項目,検査方法等は,個別の製品仕

様書によって規定される。

(2) 電気的特性保証

プロービング検査により,2 項で述べたパッケージ品の最終特性検査に相当する選別を実施する。

その具体的な測定項目及び規格については,個別仕様書によって規定される。ただし,以下について

留意する必要がある。

- 最終特性検査に要する費用は,パッケージ品よりも高価になる。ウェハ状態での AT SPPED TEST

などは技術的に困難であり,難易性の高い専用プローブカードの開発やあらかじめテスト機能を

組み込んだ設計などの方策が必要となる。

- 上述のような方策を実施しても,装置の制約上,一部項目で実測せずに設計保証となる場合があ

る。

- 半導体ユーザでの実装後における電気的特性は,実装により特性が変動する場合があるため保証

対象外である。

(3) 信頼性検証

a) 初期故障率の検証

半導体ユーザにおけるパッケージ組立や実装に起因する故障モードを除く,ウェハ製造工程に起

因するベアダイ固有の初期故障に関する故障率は,2.2 項の(1)で述べた評価によって検証する。た

だし,同一製造プロセス,同一設計基準の同等品の検証結果で代用する場合がある。これはすべて

の LSI を必ずしもパッケージに搭載して評価できないためである。

b) スクリーニング

上述 a)で検証された初期故障率が,あらかじめ半導体メーカと半導体ユーザが規定した水準に達

しない場合には,通常パッケージ品と同様に,半導体メーカの判断により 2.2 項(1)で述べたスク

リーニングを実施し,その達成を計る。このとき留意すべきことは,バーンインを選択せざるを得

ない場合,それに要する費用は,パッケージ品よりも高価になる。バーンイン技術には,ダイレベ

ルとウェハレベルがあるが,前者はベアダイの取扱いや専用ソケットの開発,後者は専用のプロー

ブやバーンインボードを含むバーンイン装置の開発が必要となる。

4 JEITA EDR-4703A

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c) 製品寿命の検証

半導体ユーザにおけるパッケージ組立や実装に起因する故障モードを除く,ウェハ製造工程に起

因するベアダイ固有の故障(真性故障)に関しては,パッケージに搭載後,あらかじめ半導体メー

カと半導体ユーザが規定した信頼度を満足するか否かを検証する。ただし,a)と同様に同等品の検

証結果で代用する場合がある。

3.2 レベル 2/KTD

表 3.1 に示したとおり,KGD,PD の定義に漏れるものはすべてが KTD と定義される。よって電気的特

性,信頼性検証のレベルについては一義的に示すことはできない。

(1) 外観

レベル 1/KGD と同様に抜取り検査を実施する。

(2) 電気的特性保証

レベル 1/KGD と同様に測定選別を実施する。ただし,一部の特性について保証しない場合がある。

保証項目は半導体メーカと半導体ユーザ間の仕様取決めによって明確にする必要がある。なお,半導

体ユーザでの実装後における電気的特性は,実装により特性が変動する場合があるため保証対象外で

ある。

(3) 信頼性検証

a) 初期故障率の検証

レベル 1/KGD と同様に検証することを原則とする。

b) スクリーニング

目標の初期故障率を達成するためにスクリーニングが必要である場合でも実施しない場合がある。

スクリーニング実施の有無は半導体メーカと半導体ユーザ間の仕様取決めによって明確にする必要

がある。

c) 製品寿命の検証

レベル 1/KGD と同様に検証することを原則とする。

3.3 レベル 3/PD

(1) 外観

レベル 1/KGD と同様に抜取り検査を実施する。

(2) 電気的特性保証

2 項で述べたパッケージ品で実施されるプロービング特性検査と同様に DC 測定と基本的な機能テ

ストにより良品選別を実施する。アナログ特性,At Speed,温度保証の追い込みテストなど KGD,KTD

に準ずる内容のテスト項目はこれに含まれない。その具体的な測定項目及び規格については,半導体

メーカが示す個別仕様書によって規定される。なお,半導体ユーザでの実装後における電気的特性は,

実装により特性が変動する場合があるため保証対象外である。

(3) 信頼性検証

a) 初期故障率の検証

原則実施しない。

b) スクリーニング

原則実施しない

c) 製品寿命の検証

原則実施しない。

5 JEITA EDR-4703A

5

表 3.1―ベアダイ信頼性検証・特性保証マトリックス

特性テスト

信頼性

簡易テスト (DC,簡易ファンク ションテストのみ)

おおむね特性保証されている

が,アナログ特性,At Speed,温特追い込み等が PKG 品と

同等の保証ではない

PKG 品と同等 (設計保証でも可)

PKG 品と同等の寿命検

証がされ,同等の初期

故障率を満たしている 該当せず KTD

(レベル 2) KGD

(レベル 1)

寿命検証が不十分,あ

るいは PKG 品と同等

の初期故障率が未達,

又は未検証

PD (レベル 3)

KTD (レベル 2)

KTD (レベル 2)

4 ベアダイに関する情報の提示

半導体メーカは,回路設計や実装設計に要する設計情報,及び品質情報を半導体ユーザに提示する。

4.1 電気的設計情報

電気的設計情報とは,パッケージングされた半導体デバイスの電気的仕様に相当する。その事例を以下

に示す。なお,電気的特性は,プロービングによる測定であるために測定項目,測定条件,スペックなど

は制約される場合が多い。

(1) 絶対最大定格/推奨動作条件

(2) ピン情報

- ピン No,ピン名,電圧,概要説明

(3) ブロック図/ピン配置

(4) 電気的特性

(5) 回路ブロックの機能及び動作説明

4.2 物理的設計情報

物理的設計情報とは,ベアダイに対応したパッケージ設計や実装設計に要する情報である。単に,ディ

メンジョンや構成材料の情報だけではなく,設計上の制約事項や熱設計に関する情報も含まれる。物理的

設計情報の事例を以下に示す。

(1) ダイの名称

(2) ディメンジョン(公差含む)

- ダイ(x,y,t)

- パッド(x,y,t),パッド開口部(x,y),パッド位置座標

- バンプ等の電極サイズ

注記 バンプなどの電極が形成されている場合

(3) 1 ピンの識別

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(4) 材料

- パッド,パッシベーション

- コーティング材

- ダイ裏面

- バンプ等の電極材料

注記 バンプなどの電極が形成されている場合

(5) ダイ裏面電位

- フローティング,Vcc,GND,他

(6) パッケージングやベア実装に対する制約事項

- 設計上の制約

- 熱設計上の制約

- 組立上の制約

4.3 品質情報

半導体メーカは,半導体ユーザと協議の上,ベアダイの品質レベル内容を明らかにする品質情報を提示

する。

5 出荷関連

5.1 出荷形態

ベアダイは,機械的ダメージ,静電気,汚染等から保護するための適切な方法で梱包出荷されなければ

ならない。梱包仕様については,EIAJ EDR-4701B「半導体デバイスの取扱いガイド」の第 6 項「ベアチッ

プの取扱い」に準拠し,詳細は個別仕様書で規定される。

5.2 トレーサビリティ

半導体メーカは,ベアダイのウェハロットトレースを可能とするロット管理システムを有する必要があ

る。また,半導体ユーザも同様にベアダイのウェハロットトレースを可能とする管理システムを有する必

要がある。

5.3 出荷時に添付される情報

出荷時には,梱包の個別仕様書で規定される仕様で,以下の項目に関する情報を添付する。

(1) 製造者名

(2) 品名

(3) 数量

(4) ロット番号

6 保管期限の目安

半導体ユーザにおける保管については,EIAJ EDR-4701B「半導体デバイスの取扱いガイド」の第 6 項

「ベアチップの取扱い」に準拠する。

その概要は,以下のとおりである。

(1) 梱包未開封品

- 保管雰囲気:温度 15~35℃,相対湿度 45~75%

- 保管期限の目安:3 か月以内

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(2) 梱包開封品

- 乾燥窒素(-30℃露点以下)又はドライエア中

- 保管期限の目安:20 日以内

(3) 実装

- 梱包又は乾燥窒素・ドライエア雰囲気から取り出した後

- 実装するまでの期間:5 日以内

7 ベアダイの取扱い

ベアダイの取扱いに際しては,傷等の物理的損傷,汚染,静電気は,品質に致命的な影響を及ぼすため,

十分に留意しなければならない。

7.1 物理的損傷に対する留意点

(1) ベアダイの表面に対する取扱い

- ベアダイを取扱う場合にはベアダイ専用のラバーコレットを用いる。

- ピンセットを用いる場合には,樹脂性のピンセットでベアダイ端面を挟む。

(2) ベアダイの側面及び裏面に対する取扱い

- ベアダイ側面に接触するジグ(例えば,実装時の位置規制ジグ)は,その接触面積を可能な限り

小さくする。

- ベアダイ裏面に接触するジグ(例えば,実装時の位置規制ステージ)は,ベアダイ移動時の傷を

防止するために,ダストなきよう清浄に保つ。

7.2 汚染に対する留意点

ダイ表面がイオン性不純物に汚染されると,市場において配線腐食や特性変動等の不具合が生じる場合

がある。そのために,ベアダイ実装の材料選定や工程設計において,汚染には十分に留意する必要があ

る。

7.3 静電気に対する留意点

ベアダイは,パッケージ品のように絶縁体で覆われていないので,表面が帯電する危険性は少ないが,

帯電体からの誘導帯電には十分に留意する必要がある。

・ スクラバ洗浄等のウェハ洗浄における帯電。

・ ダイシング工程において,洗浄水の CO2濃度が低下し,洗浄水が帯電することによる静電破壊。

・ ピックアップ時のはく離帯電とコレットへの放電。(特に SOI のような絶縁体基板は注意を要する)

・ 実装後のモジュール状態において,コネクタ端子と IC 端子が直結している場合には,IC と同等の取

扱いが必要となる。

8 JEITA EDR-4703A

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8 ベアダイ実装におけるトラブル事例

半導体ユーザは,半導体メーカと取り交わした品質レベル,及びその他品質に関連した事項に基づき,

実装状態における品質・信頼性の検証を十分に行う必要がある。以下,トラブル事例を示す。

(1) パッドのファインピッチ化における Al ワイヤボンディング(図 8.1 参照)

Al ワイヤボンディングでは,ボンディング方式がウェッジボンドである。そのために,超音波印加

時にパッド開口部のエッジにワイヤが接触し,超音波エネルギーが十分に接合界面に伝わらず,接合

信頼性が低下した。

(2) ACF 樹脂を用いた表示パネル用 LSI の COG 実装(図 8.2 参照)

バンプ間隔を十分に考慮して ACF(Anisotropic Conductive Film)樹脂を選択しなかったためバンプ

間でリークが生じた。

(3) 光照射による誤動作(図 8.3 参照)

半導体に光が照射されると,価電子帯や不純物準位にある電子が光子のエネルギーにより励起され,

伝導電子や正孔が増加する。特にベアダイ実装では,光に対する影響を留意する必要がある。以下,

トラブル事例を示す。

a) 実装工程

- 不揮発性メモリを搭載するベアダイの実装工程において,封止樹脂の硬化のために UV 照射を

用いたために,メモリ内の書込み情報が消去されてしまった。

b) 実装状態

- 筐体が透明な携帯機器にフリップチップ実装されたベアダイにおいて,太陽光がダイ裏面に照

射され誤動作が生じた。

- LCD パネルのバックライトが,COG 実装されているベアダイに照射され誤動作が生じた。

(4) COF 実装(図 8.4 参照)

実装時のフレキ基板のたわみを十分に考慮せずにバンプ高さを規定したため,実装後チップエッジ

とフレキ基板の配線がショートした。

Al パッド

Al ワイヤ

パッシベーション

ウェッジボンド バンプ間に残留する導電性樹脂の皮膜が破壊しバンプ間でリークが発生する。

導電粒子

Au バンプ

インナーリード

図 8.1―Al ワイヤボンディングの 接合信頼性低下

図 8.2―ACF バンプ間ショート

9 JEITA EDR-4703A

9

9 不良品の取扱い

第 3 項で述べた該当する品質レベルの適用範囲おいて不具合が生じた場合には,以下を前提に半導体

メーカはクレームとして対応する。具体的な対応については事前に協議をすること。

(1) 返品の形態

ベアダイを原則とし,半導体メーカと半導体ユーザは以下について合意すること。

- 返品されたベアダイが,ダイ損傷,パッド表面状態の変化(eg 酸化),パッド損傷等があった場

合には,電気的解析が不可能であること。

- 何らかの理由により,半導体メーカが,開封作業を代行する場合は,

・ 半導体ユーザは,半導体メーカに対して,パッケージやモジュールの構造,構成材料,開封

方法等の情報を提供する。

・ 正しく開封できず,その結果故障解析が不可能となった場合,その責任を半導体メーカが負

わない。

(2) 故障解析

半導体メーカは,該当する品質レベルの適用範囲以外の不具合に関しては,原則的に故障解析の責

務を負わない。

(3) 情報の提供

半導体ユーザは,不具合の返品に際しては,半導体メーカに対して以下の情報を提供する。

- 品名

- ロット番号

- 不具合状況(ベアダイ単体の詳細な不具合モード,他)

10 関連資料

(1) ㈳日本電子機械工業会(以下,EIAJ という。)技術レポート

EIAJ EDR-4701B「半導体デバイスの取扱いガイド」

(2) EIAJ 電子デバイス実装技術委員会/MCM/KGD 標準化調査研究会

「ベアチップ購入時の要求仕様と標準化提言」

(3) EIA/JESD49「Procurement Standard for Known Good Die」

ショート

フレキ基板

ベアダイ

バンプ

パターン

基板

ベアダイ

バンプ封止樹脂

図 8.3―光照射による誤動作 図 8.4―COF 実装 ダイエッジショート

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2008 年 3 月発行

JEITA EDR-4703A