「海里」の車両概要...鉄道車両工業 5:4 â 3131/2...
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1.はじめに JR東日本では、2018年7月に策定したグループ経営ビジョン「変革2027」で目指す「ヒト(すべての人)の生活における『豊かさ』を起点とした社会への新たな価値の提供」に向け、日々の挑戦を続けていくことで「持続可能な社会」を実現していきたいと考えている。その中で、観光振興の観点から、列車に乗ること自体が旅行の目的となるような魅力的な列車づくりを進めており、‘‘ のってたのしい列車’’を多くの地域で運行している。 2019年10月からの新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーンに合わせて
「新潟の食」、「庄内の食」と「日本海の景観」をコンセプトに、新型のリゾート列車としてHB-E300系一般形リゾートハイブリッド車両「海里(KAIRI)」を新造することとした。 ここでは、新たに新潟地区に投入するHB-E300系について紹介する。
2.デザイン エクステリア(外観)は、「夕日」と「新雪」の時間の移ろいによるダイナミックな融合を編成にわたるグラデーションで表現し、新潟の新たな風景の創出となるようなデザインとしている。これらのデザインを実現するため、
東日本旅客鉄道株式会社鉄道事業本部 運輸車両部
車両技術センター在来線車両グループ
安あ ん ざ い
在 恵け い い ち ろ う
一郎
寄 稿寄 稿
前頭部は朱色のメタリック塗装、側面部は編成全体で夕日の朱色から新雪の白色へとグラデーションとなるようなデザインシートをフルラッピングしている。 また、「海里(KAIRI)」編成オリジナルのロゴ(エンブレム)を用いることとし、前面や側面、車内にロゴを配置している。
インテリア(内装)は、屋外の光を客室内に取り込んで風景との一体感をつくることを目指したデザインとしている。ガラスや艶のある素材、光を反射させる素材を用いて、窓の外から入る光を効果的に利用し、車外と車内が一体となるような演出をしている。また、カラーイメージは、車内も「夕日」の朱色と「新雪」の白色やシルバーを基調にまとめ、一部に稲穂をイメージした金色のアクセントを加えている。そして、1号車を除く各号車には、夕日を想起させるような、朱色から黒色へのグラデーションカラーにダウンライトを当てた意匠パネルを設置し、路線や沿線の特徴を表現している。 さらに、お座り頂くお客さまが包まれているような印象を受ける工夫をしている。HB-E301形(1号車)の腰掛は2席1組で両肩部の背ズリのボリュームを大きくし曲線を多用した構成、HB-E300形100番台(2号車)の半個室の座席は背ズリを窓側壁面まで回し込んだデザイン、HB-E302形(4号車)は、ボックス席や窓向き席には窓を囲うように肩部に曲線を用いたパーティションを設けた構造としている。 また、HB-E300形0番台(3号車)は、イベントスペースを設けた車両で、シルバーを基調とした壁に長手方向のストライプを加え
HB-E300HB-E300系一般形リゾートハイブリッド車両系一般形リゾートハイブリッド車両「海里 」の車両概要「海里 」の車両概要
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ることで奥行き感と精度感を感じさせるデザインとしている。
3.列車名と車内サービス 新潟県や山形県には豊かな海や里があり、その地域の美味しいものや景色を楽しんでいただけるように、列車名として「海」と「里」を入れ「海里」とした。 そして、「新潟の食」、「庄内の食」と「日本海の景観」をコンセプトに、様々なサービスを提供することとしている。 4号車「ダイニング車両」は、食事・ドリンク等をセットにした旅行商品の専用車である。四季折々の地元食材で「新潟の食」、「庄
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内の食」を提供している。下り列車では、新潟を代表する料亭による季節ごとに厳選された日本料理、上り列車では庄内イタリアンのレストランによる庄内地域の在来作物を使った素材を楽しむイタリアンを提供する。1号車(一般座席車)や2号車(コンパートメント車両)のお客さまにも、事前予約により「上り」、「下り」で異なる海里特製お弁当を用意している。 3号車のイベントスペースでは、各種車内イベントを開催している。また、一部期間では途中駅での停車時間を長くとり、景観を楽しんで頂く等のサービスも実施している。
4.編成と主要諸元 HB-E300系は、長野地区、秋田地区、青森地区で運用しているリゾートハイブリッド車両である。今回は、秋田地区で2016年から運用しているリゾートしらかみ「橅」編成を基本にしながらも、エクステリア(外装)やインテリア(内装)を車両のコンセプトに合わせて大幅に変更することとした。
車両形式は、トイレ付き先頭車をHB-E301形(1号車)、トイレなし先頭車をHB-E302形(4号車)、サービスカウンターとイベントスペースを設けた中間車をHB-E300形0番台(3号車)、半個室中間車をHB-E300形100番台(2号車)とした。これら各形式を1両ずつ連結した4両編成である。車両番号についても、リゾートしらかみ「橅」編成からの続番である。 定員は、1号車が30名、4号車が24名、2号車が32名である。編成定員は、3号車であるHB-E300形0番台にサービスカウンターやイベントスペースを設けたこと、3号車以外の各号車の荷物スペースを拡大したことから86名としている。 乗務員室は、前面の眺望性を考慮した非貫通全室構造としている。また、当社では標準左手操作のワンハンドルマスコンを採用した運転台としている。
図1 車両外観
図2 4号車食事メニューの一例(下り列車)
図3 4号車食事メニューの一例(上り列車)
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め、小さなお子さまにも前面展望を楽しんで頂くために踏み段を設けている。また、共用のコンセントを1箇所設けている。 客室内については、座席部を高床構造とし回転式リクライニングシートを長手方向に8列配置し、新潟県や庄内地方の魅力的な景色をお楽しみ頂くため、海側、山側、それぞれ窓側向きに2.9°回転させた状態で固定する構造としている。出入り台寄りの座席は、車いす対応座席とした。さらに、出入り台寄りにはインバウンド需要も考慮し、大型の荷物スペースを設けている。
(2) 2号車 全席4人掛けのコンパートメント車両である。海側に4人用の半個室を8室配置し、山側を通路とし、後位側に荷物スペース、業務用室と出入り台を設けた構成としている。 座席は、リゾートしらかみ「青池」編成と同様に室内をフラット化できる構造としている。テーブルは飲食も考慮して大型のものとし、窓側にはすりガラスを半円形にデザインしたテーブル灯を設けている。各半個室内にはダウンライトやテーブル灯のスイッチを設け、沿線風景に合わせお客さまが自由に操作することで様々なシーンを演出可能にしている。また、コンセントも設けている。 半個室と通路部を仕切るパーティション部には、ガラス内にグラデーションの意匠パネルを配置し、それぞれのパネルにダウンライトを当てる構造とした。ガラスによる車窓の映り込みや、トンネルや夜間には夕日のイ
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車両の走行システムは、リゾートしらかみ「橅」編成と同一で、DMF15HZB-G形エンジンを搭載し、DM113A形主発電機と主回路用蓄電池、CI24形主変換装置によるハイブリッドシステムを構成している。ブレーキ方式は、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式で、T台車優先遅れ込め制御を行っている。 台車は、ボルスタレス式空気ばね台車で、電動台車(M台車)がDT75A、付随台車(T台車)がTR260Aである。保安装置は、ATS-P車上装置の機能とATS-Ps車上装置の機能を兼ね備えた統合型ATS車上装置(Ps形)を搭載している。
5.室内構成 客室については、デザインイメージは各車共通としているが、4両編成のすべての車両で設備は異なり、それぞれの車両のコンセプトに合わせた特徴的な設備を設けている。 照明は、すべてLED灯を採用し間接照明を中心に、出入り台部や半個室にはダウンライトを用いるなど、お客さまに快適にご乗車いただけるよう配慮している。乗客案内と情報サービスとしては、客室の前後妻壁にはLED式車内案内表示器、天井には17インチの液晶表示器を設置している。側窓は、大型複層ガラスの固定窓とし、フリーストップのカーテンを設けた。さらに、各車に車内防犯カメラを設置している。
(1) 1号車 一般座席車とした車両である。前位側から、展望室、客室、出入り台、便洗面所の構成としている。 展望室には、前面、側面と窓側に囲むように、展望を妨げない高さのテーブルを配置し、中央部にも楕円形のテーブルを設け、回遊性を高めつつ、車窓を眺めながらひとときを過ごせるフリースペースとしている。前方の乗務員室との仕切り窓は取り付け位置が高いた
図4 1号車車内
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メージを浮かび上がらせるなど、単なる通路には留まらない演出を楽しむことのできる空間を提供している。
(3) 3号車 供食設備を設けたサービスカウンターとイベントスペースを設けた車両である。前位側から車両中央部付近まで山側に供食設備を設け、すりガラスを中心としたパーティションで区切り海側を通路としている。通路部もすりガラスを用いることで、車窓の光を反射させ奥行き感を出す演出としている。中央部付近にはサービスカウンターを設けた。サービスカウンター内には、「海里(KAIRI)」のロゴを配置したグラデーションパネルを設置して、列車を印象づける大きなアピールポイントとしている。 通路部を含め、窓部にはカウンターを設け、車窓を楽しみながら飲食やくつろぐことのできる空間とした。 また、イベントスペースの海側と山側、それぞれ2枚分の窓を上段下降式の2段窓とし、
開閉可能とすることで日本海や自然の魅力を体感できる構造としたことも特徴の一つである。 後位車端部には、出入り台と便洗面所を設けている。
(4) 4号車 ダイニングをイメージした車両である。前位側から、展望室、客室、出入り台の構成としている。 展望室については1号車と同一であるが、中央部のテーブルの形状を変更している。客室は、海側の前位側に4人用のボックス席を3組、後位側に窓向きの2人用のベンチシートを2組、山側に2人用のボックス席を4組配置した。ゆったりと食事が可能なように側窓2枚分で1ボックスとなるようなソファータイプの腰掛とし、パーティションで囲むことでプライベートな空間を演出している。 テーブルは表面にガラスを用いたものとしており、車窓の光を感じるデザイン上の演出の1つでもある。また、ダイニングルームを印象付けるため、鉄道車両的な設備である窓上の荷棚を廃止し、ボックス席とボックス席の間には荷物置きを設けている。 色調については全体的なイメージは他号車と共通であるが、ダイニングをイメージしていることから、落ち着いた雰囲気を演出するため、側面は黒色系でまとめ、吹き寄せ部にはタイル柄の素材を用いたパネルや、電球色のLED灯を用いたテーブル灯を配置している。
図5 2号車コンパートメント
図6 2号車通路部
図7 3号車サービスカウンター
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また、眺望性を確保するためダイニング部は全体を高床構造とし、出入台部と前位側の展望室の通常床部分へはスロープを配置し、バリアフリーとワゴンでの料理の提供を考慮した構造である。 出入り台側には、大型の荷物スペースを設けている。
6.出入台、便・洗面所 各号車の出入り台、HB-E301形(1号車)とHB-E300形0番台(3号車)に大型の洋式便所、男性用トイレ、洗面所を設けた構成もリゾートしらかみ「橅」編成と同一である。色調は、インテリアデザインに合わせて白色と朱色を基調としたデザインに変更している。 また、各出入り台にも、車内防犯カメラを設置している。
7.業務用室 HB-E300形0番台(2号車)の後位寄りに、業務用室を2室設けている。リゾートしらかみ「橅」編成よりも1室増やしており、乗務するアテンダントの控室や搭載品等を保管することを可能としている。
8.供食設備 HB-E300形0番台(3号車)の前位側のサービスカウンター内に供食設備を設けている。3箇所の流し台や給湯設備、冷蔵庫、冷凍庫、温蔵庫、コンセント、収納等を機能的に配置している。 また、車端部に供食設備専用の水タンクと
水揚装置を搭載し、床下には汚水タンクを設けている。
9.AVシステム HB-E302形(4号車)の機器室内にシステム全体を制御する制御器を装備し、両先頭車両にはシステムを操作する設定器を装備している。映像素材としては、カメラ映像とDVD映像の2種類がある。カメラは両先頭車両の乗務員室内に設けた展望カメラ、展望室内に設けた展望室カメラ、HB-E300形0番台(3号車)のイベントスペースにイベントカメラを設け、その映像を客室に設置した液晶表示器(LCDモニタ)に表示することが可能である。また、DVD装置を装備し、DVD映像を液晶表示器に表示することが可能なシステム構成としている。 3号車については、イベントスペースを設けた構成としたことから、リゾートしらかみ
「橅」編成から、液晶表示器の取り付け台数やカメラの設置位置を変更している。
10.おわりに 2019年10月5日から新潟地区で営業運転を開始したHB-E300系(海里)について、デザインや室内構成を中心に紹介させて頂いた。各号車で異なる車内設備を設け、季節で移ろう車窓の光で車内の印象も大きく変わり、何度でもお楽しみ頂ける車両である。 新潟、庄内エリアは、素晴らしい景観やおいしい食、温泉、観光スポット等、とても魅力的な地域であり、ぜひ足をお運び頂きたい。この車両が、新たな新潟、庄内エリアの顔となり、多くのお客さまのご旅行のサポートやきっかけを提供し、皆さまに愛される車両に成長させられればと願っている。
末筆となるが、本誌をお借りして、HB-E300系(海里)の企画、デザイン、設計、製造等にご助言、ご協力頂きました関係者の皆さまに深く感謝の意を表したい。
図8 4号車車内
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形 式 HB-E301 HB-E300-100 HB-E300-0 HB-E302 記 事
片運転台(非貫通全室) 無 ← 片運転台(非貫通全室)
オープン席(回転リクライニング)+展望室
半個室(ソファー個室)+業務用室
イベントカー+サービスカウンタ ダイニングカー+展望室 LED照明
客室座席定員 人 30 32 0 24
39.8 41.0 39.5 40.9
100 ← ← ←
VVVFインバータ制御
回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重・滑走
再粘着機能付)、直通予備ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキ
ATS-P,Ps、地方デジタル無線、防護無線、EB・TE装置
1010×2 ← ← ←
車体長(mm) 20600 ← ← ←
車体幅(mm) 2920 ← ← ←
屋根高(mm) 3620 ← ← ←
台車中心間距離(mm) 14400 ← ← ←
床面高(mm) 1130 (970) ← ←1130 (970)
[1260]( ) 内ステップ高さ[ ] 内高床部高さ
動台車 DT75A (1:707) ×1 従台車:TR260A ×1
ボルスタレス式空気ばね台車、軸ハリ式、1本リンク
直噴式直列6気筒横型ディーゼルエンジン×1
型式×台数 DMF15HZB-G×1
出力 331kW(450PS)/2100rpm
550ℓ×1 油面センサ付
主回路 主発電機 DM113A×1 270kW
主回路用蓄電池
主電動機 MT78×2 定格95kW
主制御装置 CI24×1 遮断器付
補助電源装置 CI24×1 (三相440V 70KVA) 主制御装置と一体化
電動空気圧縮機 MH3125-C600N×1 610ℓ/min以上 三相440V駆動
三相440V駆動
洋式便所、小便所 無 洋式便所、小便所 無電動車イス対応、真空式汚物処理装置、自動扉
無 ← ← ←
○ ← ← ←
その他 ステンレス(前頭部は軟鋼製)車体、耐寒耐雪構造、車椅子スペース、LED式行先表示器、
車内案内表示器(両妻)、自動放送、側引戸(空気式、弱メ制御付)、外部スピーカ
セラミック噴射装置、三相接触器、燃料漏れ検知装置、前面映像カメラ
イベント用カメラ、液晶表示器、AVシステム、GPS列警車載装置、車両用防犯装置
ワンマン設備
モニタ装置
機関 方式
燃料タンク 容量×台数
MB3Aリチウムイオンバッテリー 新製時15.2kWh
冷房装置/暖房装置AU732 38.4kW(33000kcal/h) ×1電気暖房器 客室約11.8kW+空調ヒータ8kW
便所
編成
運転台
客室
重量 t
最高運転速度(km/h)
制御装置
ブレーキ装置
保安装置
側出入口 開口寸法×個数
主要寸法
台車形式(歯数比)
+:密着式連結器凡例 :動台車
▽:自動解結式密着式連結器(電連付):従台車
運運
酒田← 新潟 →
便便
便:車椅子対応洋式トイレ
*:密着式連結器(BP管なし) -:半永久連結器
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JAF|国内競技車両規則2014年 第2編 ラリー車両規定 ための構造等変更検査手続きを行った車両は除く。)で、第4章RPN車両 用改造規定に従った道路運送車両法による自動車登録番号標(車両番号標)を
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