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リオ地球サミット20年を再出発の契機に 自然・人間・社会経済の再構築へ~ 古沢広祐(環境・持続社会研究センター) (1)時代変化のとらえ方 (2)気候変動・生物多様性の危機 (3) システム変革、持続可能な発展、文明の在り方 (4)ローカルからグローバルへの戦略・展望

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リオ地球サミット20年を再出発の契機に

~自然・人間・社会経済の再構築へ~

古沢広祐(環境・持続社会研究センター)

(1)時代変化のとらえ方

(2)気候変動・生物多様性の危機

(3) システム変革、持続可能な発展、文明の在り方

(4)ローカルからグローバルへの戦略・展望

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• 現代社会と世界経済の動向をどう見るか

金融危機とその後の世界状況に対する現状認識、

調整過程のとらえ方について

• グリーン・ニューディール、グリーン・エコノミー、グリーン・ジョブと成長戦略の課題

・・・・・・ 導入的な問題提起など

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1992年1980年代 2002年 (2012)

オイルショック(1973) 湾岸戦争(1991)

ODA大綱(1992)

GEFへの拠出(1994) ODA中期政策(1999)

OECFガイドライン改定(1995)

★地球サミット開催理念の提示

環境案件の浮上

JICA開発調査環境ガイドライン(1994)

情報公開法の施行(2001)

JBICガイドライン策定(2002)

外務省定期協議開始(1996)

MoF定期協議開始(1997)

JBIC定期協議開始(2001)

制度の改善 GEFへの拠出(1998)

同時多発テロとアフガン攻撃(2001)

JICA定期協議開始(1998)

***理念のゆらぎ ***?★ヨハネスブルク・サミット

*国連MDGs目標

ODA批判理念の模索

「人道主義」

「相互依存関係の認識」

国際状況(ODA・環境社会配慮)の変遷

→ 冷戦構造の終焉★

★グローバル市場経済の拡大へ →

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文明発展の3つの特徴と持続可能な発展"

●はてしない拡大と成長(膨張)

●単一価値のモノカルチャー的展開(多様性の破壊)

●格差の拡大(豊かさと貧困)

☆「持続可能な発展」:環境・経済・社会の3つのバランスの調整、<環境的適正>と<社会的公正>をふまえた経済発展

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気候変動枠組み条約、生物多様性条約、リオ宣言、アジェンダ21、森林原則声明など国際環境レジーム(体制)を形成

★ 従来の発展様式(化石燃料型文明)が、気候条約

によって終止符、転換を迫られている。

★ 人間中心(単線系モノカルチャー型文明)から、

多様性と循環に基づく生命文明の再構築へ。

双子の条約の意義

地球サミット(1992)

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地球サミット1992

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自然・生命系の推移 ⇔ 制約要因:天敵、食料・資源、環境

経済・産業系の推移 ⇔ 市場経済: 価格、収益・・・・景気循環、バブル・恐慌、金融政策、税・財政介入

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モノカルチャー型文明<価値の画一化・標準化・序列化>による自然支配・管理の拡大・膨張

劣ったもの・後れたもの・捨て去るべき無価値な存在( = 絶滅危惧種 )

追いやられたきた存在に新たな価値の光があたる動き

先住民の権利、小農民の権利の復権、伝統・文化の再発見

生物多様性条約に内在する潜在的可能性

文化多様性というもう一つの領域との融合

文化多様性条約(UNESCO, 2007~)

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冷戦体制の終結(軍事費1兆ドル)の行方は?平和の配当への期待と落胆<・・根源的な矛盾の先送り・・>

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MDGs達成に向けて、年間500 億ドル追加拠出が必要なのだが・・・・(国連)

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歴史的転機としての2001~11年

• 2001.9.11同時多発テロ事件:世界の揺らぎ• 08年前半深刻化した世界食糧危機・資源高騰

• 世界全体で都市人口が農村人口を上回る年となった(2009)

• 京都議定書の実施約束期間が2008年からスタート

★100年に1度規模の未曾有の世界経済危機に突入 2008~(サブプラム危機から信用・金融システム崩壊、国家破綻危機の進行)

• G8からG20へ(世界覇権国家の揺らぎ、欧米からアジア?)

• 深刻な時代認識下で、米国でオバマ新政権の動向(2008~

• 「グリーン・ニューディール」政策から「グリーン・エコノミー」へ? (構造改革・変革が、どのように起きるのか?・・・2012:リオ+20?)

・・・2011.3.11 東日本大震災・福島原発事故の発生・・・

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グローバル金融資本主義の破綻?商業資本主義 → 産業資本主義 → 金融資本主義(マネー、情報)

*世界の金融資産規模(証券・債権・公債・銀行預金の総計)は、2006年に総額167兆ドル(実体経済の約3.5倍、1990年は約2倍)

*その成長率は年平均9.1%(1996-2006)で、同期間の実体経済の名目GDP成長率(年平均)5.7%を大きく上回った。

*世界のデリバティブ(金融派生商品)の市場規模は、12兆ドル(2006年、 2000年の約3倍に拡大)。その想定元本は、516兆ドルに達した (実体経済の約10倍)。

(数字は「通商白書2008」より)

・・・・金融バブルの崩壊と実体経済の動向は・・・・(資本主義経済を、どうコントロールするか・・・)

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現代のグローバル経済の歴史的な展開とその発展過程

自給的経済 → 拡大と交流( 「ローカル」から「グローバル」へ )(自然資本依存)

商業資本主義↓

産業資本主義↓

<実体経済からマネー経済へ>

金融資本主義(マネー・信用膨張)

<?>

資本主義的・拡大膨張経済(成長経済システム)

膨張・破綻・再調整(ニューディール型ケインズ政策?)(従来型枠組みでの需要拡大・成長の強制)

↓ ↓環境産業形成による再調整(グリーンニューディール)

( サステイナブル・ウエルフェア社会への構造変革 ? )環境的適正(有限性)と社会的公正の両立

<定常型・環境福祉社会の実現>

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経済成長への夢は今後も続くのか???

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グローバル経済の歪:世界経常収支の推移

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経済危機は転機となるのか???<金融危機>石油生産が2008年まで停滞、そこを金融投機が襲い、価格高騰を引き起こした。だが、金融経済の瓦解で金融のみならず実体経済はしぼみ始めた。

*以前は、金融資本の成長は国内とグローバルな経済成長(エネルギー多消費を土台とした)によって支えられていた。

↓ ↓

・・・・・・・(危機は転機になるか?・・・経済の失速?)・・・・・・・・・・・・

■ グローバル経済が縮小、将来の石油、石炭、天然ガス生産プロジェクトへの投資の衰え、同時に、再生可能エネルギープロジェクトへの投資もまた減尐。

■ 経済が再び成長し始めるや否や、エネルギー供給の制約と急上昇するエネルギー価格によって経済回復は芽のうちに摘み取られてしまう。

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環境の限界に再調整を迫られる世界

・・・・逸脱期 ⇒ 調整期 ⇒ 安定・調和期

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4つのシナリオにおける抗争

①市場優先シナリオ③安全(既得権)優先シナリオ

・・・・ 市場優先・格差社会から転換?現実のグローバル経済の実態は?

②政策優先シナリオ経済成長を重視するが、政府は環境保護と福祉に向けた強力な政策を展開する。④持続可能性優先シナリオ持続可能性を最優先にする、より公平な価値や制度に基づいて新しい環境と開発のパラダイムを目指す。環境保護と福祉の実現のために政府、市民社会、民間企業が対等に協力し合う。

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国内経済・政治

国際経済・政治

国内枠組み政策展開

国際枠組み国際展開

さまざまなレジーム(体制・制度・勢力枠組み)の全体像を把握する(対立、抗争、調整、協調)

*貿易(WTO体制)、経済・金融体制・・・*軍事・平和、人権、援助・開発協力・・・*環境(気候変動、生物多様性、海洋、廃棄物・化学物質)・・・*NGO・国際機関・・・

・・・・

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地球環境にみる勢力図(パワーバランス)の変化

• 世界の枠組みが大きく変化しつつある

*「カーボン・レジーム」(温暖化・CO2削減の国際枠組み編成)でのせめぎ合いと、世界のパワーバランスの変化。とくに、EUのリード体制から米国・中国(新興国)などの存在感が大きくなってきた。

*また根底には、かつて1970~80年代に深刻化した南北問題が、新たな様相をおびて再現しだす動きも起きつつある。 ・・・・・生物多様性条約の位相

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低炭素世界形成のプロセス

• 当面は、グリーン・ニューディール政策の推進。(どちらかと言えば限定的かつ対処療法的な対応の展開)

• 問題を幅広くとらえ、経済や社会の歪みの是正を組み入れた政策展開の方向性が重要。

その際、経済・社会の歪みのとらえ方と改善策で幅が出てくる。

当面は既存の国際機関や国際政治の枠組みの延長線上で、踏み込んだ戦略的構造改革の内容がどこまで打ち出せるか、どう変革の道筋をつけていけるかが鍵。

• 方向性としては、長期的かつ本質的な変革の可能性について、脱成長の視点から「持続可能な環境・福祉社会」の道筋を検討することが重要。

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危機への処方箋:‘グリーン・ニューディール’は可能か?

「真のニューディール:エネルギー及び経済、環境の回復への道」(09/1/13 カリフォルニア州セバストーポリ、 ポストカーボン研究所)

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エネルギー転換への5つの道

• 再生可能エネルギーへの大規模なシフト

• 交通システムの改造(公共的な交通、近隣系)

• 電力システム(電力網の再建)

• 建物ストック改造(省エネ、創エネ)

• 食料システム(脱炭素化とローカル化)

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大規模な再生可能エネルギーへの移行

• 化石燃料型社会インフラの建設に100年間かかっており、再構築には最低でも30~40年間かかるだろう。

• 風力、ソーラー、進歩した地熱など再生可能エネルギー源を、世界のエネルギー問題に対する長期的な解決策と見込む。

• しかし、新たな太陽電池材料とプロセス、新たな地熱や潮力発電技術などと同じく、新たなエネルギー貯蔵技術についても更なる研究が必要。

• エネルギー収支比、環境影響、規模拡大の可能性、資源必要量を含めた規準を用いた、代替エネルギー源の相対比較評価を基本ベースとする。

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エネルギー転換の意味する事柄

*現在の化石燃料ほど大量に、安くエネルギーを供給する能力をもった

代替エネルギー源は(再生可能その他)ない。

*これまで、石油、天然ガスと石炭のそれぞれの特性に合わせるよう、

交通や電力、食料システムのインフラや建物のストックを設計し建て

てきたことから、異なるエネルギー源に移行するためには、これらの

システムの多くのインフラを再設計しなおす必要がある。

(2050年の脱化石燃料経済は、今日の社会・経済とは著しく異なる)

■ 都市のデザイン、土地利用パターン、食料システム、生産と輸送ネットワーク、雇用市場、交通システム、医療保険、旅行、

その他・・・

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交通システムの改造(公共交通、近隣系)

• 高速道路の建設と拡張を中止し、電化され非モーター化された交通インフラやサービスのために、連邦の交通資金を振り向ける。

• 当面、バスと鉄道といった公共交通、あるいは自転車や歩行などのモーターなしの代替案、次第に電化された高速の鉄道が主要都市間を結び、一番安価な手段となっていく。(全国高速鉄道ネットワークはその揺籃期にある)

• 今のところ、現存する私有自動車のストックは、カープーリング、カーシェアリング、ライドシェアリングの(連邦政策と資金で支援された)地域ネットワークを通じて、より効率的に用いられなければならない。

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電力システム(電力網の再建)

• 単なる既存のシステムの強化ではないシステム再編。新たな発電容量は、再生可能エネルギー源から来るべきであり、その多くは中規模の容量で、既存の電力網から離れた地域において建設される。

• 送電システムは、頑健な双方向のコミュニケーションや進化したセンサー、送電システムの効率や信頼性、安全性向上のための分散コンピュータ、と同じく分散型発電を支援しなければならない。

• 地域の発電会社は、再生可能エネルギーと「スマートグリッド」への更新に集中的に投資をおこなう。

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建物ストック改造(省エネ、創エネ)

• 新旧の建物のエネルギー効率を向上させる技術はすでに存在している。(ドイツは冷暖房に必要なエネルギーを劇的に減らすための先駆的な「パッシブハウス」基準を採用している)

• アメリカ国中で、数百万軒の建物をスーパー断熱にし、代替熱源を用いることが可能である。住宅と公共ビルを改造するため、知識と経験をそなえた労働者と投資が必要である。ここにも、数百万人分の雇用創出の可能性がある。資金、新たな規制、教育が必要である。

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食料システム(脱炭素化とローカル化)

• 工業的食料システムは、人力を激減させ安価で豊富な食料生産を実現した。それはトラクター燃料や肥料、殺虫剤、除草剤と各種の輸送・加工の面で、多大な化石燃料に依存している。

• 現在の食料システムは、米国の場合、人為活動による温室効果ガス排出量の20%以上となっている。

• 新たな農業技術(有機・環境保全型)、新たな農民、生産と消費に関わるローカル化への全面的展開。

そのための、土地政策、新たな農民像と消費者教育、財政支援、地域の食料加工、流通、ローカル市場の形成。

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投資・調整・政策・雇用・教育

*膨大な投資、資本が必要(今後10年間で1500億ドルを再生可能エネルギーに投資する計画だがそ

れ以上の規模で必要な資本を作りだす必要がある)

*再編・調整の過程:エネルギー転換オフィスの設置(高速道路から鉄道サービスへ交通転換には、製造・流通、農家、商業、企業活動の間の調整が必要)

*環境税・財政改革:排出権取引(炭素市場、カーボン経済への移行)

*グリーンカラー雇用:エネルギー転換に、数百万人の新規雇用(新政権では5百万人のグリーンカラー雇用を計画、その10倍規模に・・・)

・・・持続的農業、再生可能エネルギー源の設置、電力網再建、鉄道延伸、公共交通の建設、住宅エネルギーの改造などの担い手・雇用のため教育機関、教員養成、カリキュラム開発の組織化・・・。

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210万ドル支援、雇用わずか70人「グリーンジョブ」中国の低賃金に苦慮

2010.2.10 05:00

オバマ米大統領は210万ドル(約1億8800万円)を費やし、中国の太陽電池メーカー大手、サンテック・パワー・ホールディングスの太陽電池パネル工場の米アリゾナ州への建設を支援する。同工場では、現地で米国人70人を雇用し、本国で中国人従業員1万1000人が製造した部品の組み立てを行う計画だ。

2国間でのこのような差は、「グリーンジョブ」と呼ばれる環境関連の雇用創出においてオバマ大統領が直面する困難を象徴している。米国の工場がクリーン・エネルギー分野での需要と労働費の安さでアジアに押されるなか、世界の風力・太陽光発電装置の5割以上を製造するアジア地域は、勢力を増しつつある。

薄膜太陽電池メーカー世界最大手の米ファーストソーラーは、同社オハイオ工場で200件の雇用を創出するため1630万ドルの補助金を獲得した。しかし同社は、今後新たに建設する生産拠点の71%をマレーシアに置く計画にしている。同社は全世界で4500人を雇用している。

グリーンジョブに関する最近のニュースより( http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100210/)

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「緑の経済と社会変革」(日本版グリーンニューディール)2009.4.21

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「新成長戦略(基本方針)~輝きある日本へ~」2009.12

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シナリオA(活力、成長志向型)技術志向社会(GDP成長率2%)

(2050 日本低炭素社会シナリオ、環境省戦略研究開発プロジェクト、2008.6)

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シナリオB(ゆとり、足るを知る型)自然志向スロー社会(GDP成長率1%)

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シナリオAでは、家庭・業務や産業、運輸での高効率機器の導入など需要側のエネルギー効率改善と原子力や水素利用による供給側のエネルギー転換での低炭素エネルギー利用の効果が大きい。シナリオBでは、交通や家庭・業務、産業でのバイオマス利用や太陽エネルギーの利用などの需要側での低炭素エネルギー利用の効果が大きい。

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70%削減の可能性・コスト・分野

・ CO2 排出量70%削減は、エネルギー需要の40%削減とエネルギー供給の低炭素化で可能。

• 2050 年CO2 排出量70%削減に関わる技術の直接費用は、年間約7 兆円~9 兆9千億円である。これは想定される2050 年のGDP の約1%程度。

• 需要側のエネルギー削減は、人口減や合理的なエネルギー利用によるエネルギー需要減、需要側でのエネルギー効率改善で可能。

各部門でのエネルギー需要量削減率(2000 年比)

• 産業部門:構造転換と省エネルギー技術導入などで30~40%• 運輸旅客部門:適切な国土利用、エネルギー効率、炭素強度改善などで80%• 運輸貨物部門:物流の高度管理、自動車エネルギー効率改善などで50%• 家庭部門:建て替えにあわせた高断熱住宅の普及と省エネ機器利用などで40~50%

• 業務部門:高断熱ビルへの作り替え・建て直しと省エネ機器導入などで40%

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基本的な留意点• 世界経済が抱える時限爆弾的な矛盾構造:膨大な財政投入と負債の急増、マネー経済の動向(国家破綻リスクの回避)

• グローバル経済としてみた場合、途上国への製造業の移転などは、先進諸国の資源・エネルギー多消費構造の外部への置き換え現象が起きているのではないか?

• 経済発展と環境負荷の相関性を脱却するプロセスとは、個別技術(省エネ等)や産業構造の転換のみならず、個々人の消費スタイルや社会編成の在り方や、各国の経済的基盤がグローバルに組み込まれている重層構造を改革する必要がある。

<“グローバル・エコノミー展開の構造改革”の視点が必要>

• 持続可能な発展をベースに、各国での経済・社会の低炭素型発展パターンのモデル化と適用可能性の検討をすすめる。

<トータルな地球経済の着地点を探る:地球的共存社会モデル構想>

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政策対応における4つのカテゴリー

①技術的解決方法・・・革新的・改良的技術開発、公害防止・環境保全技術、環境効率、LCA、環境管理・監査等

②法・制度(規制)形成・・・・環境規制(禁止・罰則・制限)、許認可・利用規制等 (大きな制度枠組みの土台づくり)

③経済的(インセンティブ)手法 ・・・・課徴金、助成金、環境税・財政改革、排出権(市場)取引、エコラベル等

④社会・文化による内部化・・・・ライフスタイル、慣習、倫理、社会規範、教育、生活文化形成、市民意識の高まり等

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持続可能な社会の形成へ (ミクロレベルからマクロレベルまで)

① 個人・家庭レベル: エコライフの普及、環境改善・環境家計簿づくりの動き。

②製品・商品レベル: 製品の設計(エコデザイン)、環境効率、エコラベル、環境影響評価(LCA)など、各種エコプロダクト(環境調和型製品)の開発の促進。

③ 企業・自治体・事業者レベル: 事業評価、環境マネジメント、環境管理計画、環境監査、環境会計の導入の動き。 異業種エコロジー産業体の形成(ゼロ・エミッションの取り組み等)。環境調和型の地域・街づくり、地域計画

(エコシティ、エコタウン、サステイナブル・コミュニティ等)。

⑤ 広域(地域・自治体以上の領域)・国家規模の動き: 水源・水系・流域全体の保全管理などの「バイオリージョナル」(生命地域主義)的な取り組み。広域事業での環境影響評価(アセスメント)の徹底、国民経済計算に環境影響評価を組み込む動き(グリーンGDP、経済環境統合勘定)、環境基本法と環境基本計画の制定、各種法規制・政策の整備と拡充。

⑥ 国際・世界規模での動き: 国際環境条約、二国間・多国間協定の締結、持続可能な発展を枠組みとした国際機関、援助・開発協力の推進。

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低炭素世界形成のプロセス(中短期的視点)

• 当面は、グリーン・ニューディール政策の推進。

(限定的かつ対処療法的な対応)

• 問題を幅広くとらえ、経済や社会の歪みの是正を組み入れた政策展開の方向性が重要。

→経済・社会の歪みのとらえ方や改善策に幅が出てくる。

当面は既存の国際機関や国際政治の枠組みの延長線上だが、踏み込んだ戦略的構造改革の内容がどこまで練り上げられるかどう変革の道筋をつけていけるかが鍵。

• 基本的方向性は、より長期的かつ本質的な変革の可能性について、「持続可能な発展」の道筋を検討することが重要。

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基本的な視点• グローバル経済として見ると、途上国への産業移転などは、先進諸国の資源・エネルギー多消費構造の外部への置き換え現象が起きている

• 経済発展と環境負荷の相関性を脱却するプロセスとは、産業技術(省エネ等)や産業構造の転換のみならず、個々人の消費スタイルや社会編成の在り方や、各国の経済的基盤をグローバルにどう組み立てるか、入り組んだ構造を調整する必要がある

<“グローバル・エコノミー展開の構造改革”との相互調整>

持続可能な発展をベースに、各国・地域での「グリーン・

エコノミー」のモデル形成と普及

トータルな地球経済の着地点を探る: 「地球共存社会」の形成へ

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