osaka university iot端末の低消費電力化を 実現するデータ圧縮 … · 2019. 3....

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Osaka University IoT端末の低消費電力化を 実現するデータ圧縮技術 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報システム工学専攻 招へい教授 今井 正治 准教授 武内 良典 2016/07/21 ©2016, Osaka University 1

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OsakaUniversity

IoT端末の低消費電力化を実現するデータ圧縮技術

大阪大学 大学院情報科学研究科情報システム工学専攻招へい教授 今井 正治

准教授 武内 良典

2016/07/21©2016, Osaka University1

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ビッグデータ時代の到来

2016/07/21©2016, Osaka University2

(引用)総務省平成26年度情報通信白書

蓄積量だけではなく通信量も爆発的に増大

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ビッグデータ

2016/07/21©2016, Osaka University3

センサの小型化,低消費電力化,低価格化により,大量のデータ収集が可能に

物流,交通,農業,安全,医療などに活用

構造化されたディジタルデータだけでなく,構造化されていないデータも爆発的に増加

通信がボトルネックに

センサの出荷量の予想

(出展)総務省平成26年度情報通信白書

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IoTの例:センサノード

2016/07/21©2016, Osaka University4

機能:

各種情報のセンシング

データ処理

データの送信(無線通信)

センシング対象情報の種類の増加に伴い,センサノード数も今後爆発的に増加

送受信されるデータ量も増加

解決すべき課題

無線通信で使われる電波帯域の競合の解消

無線通信に必要なエネルギーの削減

センサノード自体が消費するエネルギーの削減

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従来のデータ圧縮技術とその問題点

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従来技術

マイクロプロセッサ上のソフトウェアで実現

複雑なデータ圧縮アルゴリズムを採用するとリアルタイム処理が困難になる

専用HW(ASIC)で実現

開発期間の長期化

本技術の特徴

生体情報データの性質に応じた高い圧縮比を持つアルゴリズムを採用

ASIP(特定応用分野向きプロセッサ)の利用

データ圧縮処理の高速化

データ圧縮処理に必要なエネルギーを削減

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ASIP:特定応用分野向きプロセッサ

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汎用プロセッサとの違い

「汎用」プロセッサは現実には「PC用」のプロセッサ

応用分野ごとに最適なプロセッサ(ASIP)が存在するはず

マルチメディア情報処理(積和演算の繰返し)

通信( ビット演算)

制御( ステートマシン)

応用分野に適した命令セットを持つプロセッサを用いる

vs

General Purpose

Special Purpose

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ASIPのアドバンテージ

2016/07/21©2016, Osaka University

処理能力/ Watt

処理能力/ mm2

プログラマビリティ(柔軟性)

専用LSI(ASIC)

汎用プロセッサ(GPP)

ASIP

ASIC並みの高性能

低消費電力

GPP並のプログラマビリティ

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膀胱内圧および直腸内圧用センサノード

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センサノードの構造

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Antenna

Coin Battery

SoC(MeSOC-I)

Flexible PCB

MEMS Pressure Sensor

Capacitor

Nylon String

18mm

6.5 mm Φ

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センサノード制御用LSI(MeSOC-I)

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RAM(8KB)

Analog Circuit・ CDC・ EMI・ CLK・ RST

ROM(6KB)

Digital Circuit・MeDIX-I・TIMER・UART・PMT

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MEMS圧力センサ

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Size:1.7mm x2.21mm x0.85mmt

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膀胱内圧の時間変化

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1

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Pres

sure

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mH

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Data Number

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直腸内圧の時間変化

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Pres

sure

[m

mH

2O]

Data Number

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従来の圧縮手法との比較(圧縮比の平均と標準偏差)

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6.0

Exp-Golomb(k=0)

miniLZO Huffman AdaptiveHuffman

Arithmetic Dictionary

Intravesical Rectum

Com

pres

sion

Rat

io

提案手法 従来手法

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評価結果(面積,消費電力)

RISC : Brownie Micro 16(RISCプロセッサ)

ASIP : RISCへ専用命令を追加

2016/07/21©2016, Osaka University15

面積[μ ]消費電力

[μ /MHz]RISC 61,449 39.9

ASIP74,262

(+20.9%)40.6

(+1.8%)

※0.18μ CMOSライブラリを利用※動作電圧1.8 V,動作周波数100 MHzの場合の論理合成の結果※消費電力は膀胱内圧のデータを1000個符号化/復号した場合の結果

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評価結果(実行サイクル数・消費電力量)

符号化処理時の実行サイクル数の平均[Cycles]

符号化処理時の消費電力量の平均 [ J]

2016/07/21©2016, Osaka University16

膀胱内圧平均 直腸内圧平均

RISC 101,254 101,367

ASIP 72.572(-28.3%)

72,781(-28.2%)

= × × 10 [ J]

: 消費電力量 [ J] : 消費電力 [ W / MHz] : 実行サイクル数

[Cycles]

膀胱内圧平均 直腸内圧平均

RISC 4.045 4.044

ASIP2.951

(-27%)2.957

(-27%)

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本技術に関する知的財産権

2016/07/21©2016, Osaka University17

発明の名称:生体情報の圧縮方法およびデータ圧縮装置

出願番号:特願2013-225643出願日 2013年10月30日

公開番号:特開2015-88911

発明者:武内 良典,今井 正治,中塚 祥子

出願人: 国立大学法人大阪大学

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想定される用途の例

2016/07/21©2016, Osaka University18

バイタルサイン・モニタリング用ウェアラブル端末連続・長時間のバイタルサインのセンシング(記憶容量の削減)

データ通信低レート化エンジン(周波数帯域の有効利用)

例: 心不全の予兆を把握するためのデータのセンシング

体内インプラント可能な医療機器データ通信低レート化エンジン(低発熱化)

機器の小型化・軽量化(1次/2次電池の小型化)

多数のノードを持つセンサネットワークデータ通信低レート化エンジン(通信帯域の有効利用,輻輳の軽減)

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企業への期待

新たなアプリケーションへの適用に関する共同研究

システム試作による実証に関する共同研究

2016/07/21©2016, Osaka University19

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お問い合わせ先

2016/07/21©2016, Osaka University20

大阪大学 コーディネータ

鍵谷 圭

TEL: 06-6879-4206

FAX: 06-6879-4208

e-mail:contact@uic.osaka-u.ac.jp