「プログラミング教育について」1...
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「プログラミング教育について」
平成31年1月17日(木)
北海道教育庁学校教育局教育環境支援課情報化推進グループ
プログラミング教育研修会 資料1
1 プログラミング教育について、皆さんが感じておられる、①個人の課題②学校としての課題を思い浮かべてください。
2 近くの人同士で、①と②について交流してください。
↓
3 研修のねらいの明確化「プログラミング教育の実践に向け、授業をイメージしよう。」「自分や学校の課題を解決するヒントをみつけよう。」など
4 本研修講座のねらいや内容を確認します。
「課題の認識の確認と受講者間での共有」 2
◯ 資料確認「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」
1 プログラミング教育導入の理由(手引P1/8/9/10)
2 プログラミング教育のねらい(P5/11~15)
3 各教科等における学習活動の位置付け(P6/7/22~41)
↓
4 上記の1~3について、自分が理解しやすい、学校のほかの先生や児童、保護者等に伝えやすい表現で整理してみましょう。
「小学校プログラミング教育の手引(第二版)を読む」 3
小学校プログラミング教育のねらいと位置付けについて 4
小学校プログラミング教育のねらいと位置付けについて 5
【知識・技能】(小)身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順が
あることに気付くこと。
(中)社会におけるコンピュータの役割や影響を理解するとともに、簡単なプログラムを作成できるようにすること。
(高)コンピュータの働きを科学的に理解するとともに、実際の問題解決にコンピュータを活用できるようにすること。
【思考力・判断力・表現力等】発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。【学びに向かう力・人間性等】発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。
小学校だけではなく
「プログラミング的思考」などを育むプログラミング教育の実施を、子供たちの生活や教科等の学習と関連付けつつ、発達の段階に応じて位置付けていくことが求められる。
その際、小・中・高等学校を見通した学びの過程の中で、「主体的・対話的で深い学び」の実現に資するプログラミング教育とすることが重要である。(H28.12中教審答申より)
プログラミング教育を通じて目指す育成すべき資質・能力 6
プログラミング的思考
動きに対応した命令(記号)にする
組み合わせる
必要な動きを分けて考
える
意図した一連の活動の
実現(学習課題)
問題の解決
既習の知識・技能等の活用
問題を見いだす
発達の段階
※プログラミング的思考は、繰り
返し学習することで高次に育つ
試行錯誤しながら継続的に改善する
プログラミング的思考について 7
E 学校を会場とするが、教育課程外のもの
F 学校外でのプログラミングの学習機会
C 各学校の裁量により実施するもの(A、B及びD以外で、教育課程内で実施するもの)
B 学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの
A 学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの
D クラブ活動など、特定の児童を対象として、教育課程内で実施するもの
① プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面(算数第5学年)② 身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面(理科第6学年)③ 「情報化の進展と生活や社会の変化」を探究課題として学習する場面(総合的な学習の時間)④ 「まちの魅力と情報技術」を探究課題として学習する場面(総合的な学習の時間)
⑤ 「情報技術を生かした生産や人の手によるものづくり」を探究課題として学習する場面(総合的な学習の時間)
⑥ 様々なリズム・パターンを組み合わせて音楽をつくることをプログラミングを通して学習する場面(音楽第3 学年~第6学年)⑦ 都道府県の特徴を組み合わせて47都道府県を見付けるプログラムの活用を通して、その名称と位置を学習する 場面(社会第4学年)⑧ 自動炊飯器に組み込まれているプログラムを考える活動を通して、炊飯について学習する場面(家庭第6学年)
⑨ 課題について探究して分かったことなどを発表(プレゼンテーション)する学習場面(総合的な学習の時間)
⑩ プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する取組⑪ 各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立って、プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎について学習を実施する例⑫ 各教科等の学習を基に課題を設定し、プログラミングを通して課題の解決に取り組む学習を展開する例
⑬ 各教科等の学習を基に、プログラミングを通して表現したいものを表現する学習を展開する例
⑨ コンピュータクラブ、プログラミングクラブなどのクラブ活動の例
教育課程内
教育課程外
「プログラミング教育に関する学習活動の分類と指導の考え方」 8
本手引における指導例(算数・第5学年・「正多角形の作図」) ①
A 学習指導要領に例示されている単元等で実施するものA-① プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面
ここでは、正多角形について、「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等し
い」という正多角形の意味を用いて作図できることを、プログラミングを通して確
認するとともに、人にとっては難しくともコンピュータであれば容易にできることがあることに気付かせます。
(学習の位置付け)この学習は、正多角形の単元において、正多角形の基本的な性質や、円と関連させて正
多角形を作図することができることを学習した後に展開することが想定されます。
(学習活動とねらい)学習活動としては、例えば、「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等し
い」という正多角形の意味を用いて正多角形を作図するといった課題を設定し、定
規と分度器を用いた作図とプログラミングによる作図の双方を試みるといったことが考えられます。
はじめに、正六角形などを定規と分度器を用いて作図することを試みさせ、手書
きではわずかな長さや角度のずれが生じて、正確に作図することは難しいことを実感させます。
次いで、プログラミングによる正方形の作図の仕方を学級全体で考え、個別又は
少人数で実際にプログラミングをして正方形が正確に作図できることを確認した上で、プログラミングによる正三角形や正六角形などの作図に取り組みます。
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本手引における指導例(算数・第5学年・「正多角形の作図」) ②
児童は、手書きで正方形を作図する際の「長さ□cmの線を引く」、「(線の端から)角度
が90度の向きを見付ける」といった動きに、どの命令が対応し、それらをどのような順序で
組み合わせればよいのかを考え(プログラミング的思考)、また、繰り返しの命令を用いるとプログラムが簡潔に書けることに気付いていきます。
そして、「正三角形をかこうとして60度(正六角形をかこうとして120度)曲がる」と命令
すると正しくかくことができないのはなぜか、
なぜ「正三角形のときは120度で、正六角形のときは60度でかける」のかといった疑問をもち、
他の児童と話し合い試行錯誤することによって、図形の構成要素に着目して、正多角形の角
の大きさと曲がる角度との関係を見いだしていきます。また、正三角形や正六角形だけでなく、
正八角形や正十二角形など、辺の数が多い正多角形も繰り返しの回数や長さ、角度を通して考えてかいていきます。
さらに、「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」という正多角形の意味を用い
て考察することにより、今までかいたこともない正多角形をかくことができることとともに、
人が手作業でするのは難しかったり手間がかかりすぎたりすることでも、コンピュータであれば容易にできることもあるのだということに気付くことができます。
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新学習指導要領
「情報活用能力」※を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、教科横断的に育成する旨を明記するとともに、小・中・高等学校を通じてプログラミング教育を充実
※ 「情報活用能力」は、コンピュータ等の情報手段を適切に用いて情報を収集・整理・比較・発信・伝達したりする力であり、さらに、基本的な操作技能やプログラミング的思考、情報モラル、情報セキュリティ、統計等に関する資質・能力等も含むもの(学習指導要領解説の要約)
小学校 必修化• 総則において、各教科等の特質に応じて、「プログラミングを体験しながら、
コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」を計画的に実施することを明記
• 算数、理科、総合的な学習の時間において、プログラミングを行う学習場面を例示
中学校 技術・家庭科(技術分野)• プログラミングに関する内容を充実(「計測・制御のプログラミング」に加え、
「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」について学ぶ)
高等学校 情報科 (平成29年度中に改訂予定)
• 全ての生徒が必ず履修する科目(共通必履修科目)「情報Ⅰ」を新設し、全ての生徒が、プログラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学ぶ
• 「情報Ⅱ」(選択科目)では、プログラミング等について更に発展的に学ぶ
現行学習指導要領
小学校 明記していない
※学校の判断で実施可能
中学校 技術・家庭科(技術分野)
• 「プログラムによる計測・制御」が必修
高等学校 情報科
• 「社会と情報」「情報の科学」の2科目からいずれか1科目を選択必履修
• 「情報の科学」を履修する生徒の割合は約2割(約8割の生徒は、高等学校でプログラミングを学ばずに卒業する)
学習指導要領改訂
プログラミング教育の充実について 11
「学校教育の情報化指導者養成研修」(安彦広斉氏)講義資料」
「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論のとりまとめ)」の概要 12
●プログラミング教育の必要性の背景・近年、飛躍的に進化した人工知能は、所与の目的の中で処理を行う一方、人間は、みずみずしい感性を働かせながら、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかなどの目的を考え出すことができ、その目的に応じた創造的な問題解決を行うことができるなどの強みを持っている。こうした人間の強みを伸ばしていくことは、学校教育が長年目指してきたことでもあり、社会や産業の構造が変化し成熟社会に向かう中で、社会が求める人材像とも合致するものとなっている。・自動販売機やロボット掃除機など、身近な生活の中でもコンピュータとプログラミングの働きの恩恵を受けており、これらの便利な機械が「魔法の箱」ではなく、プログラミングを通じて人間の意図した処理を行わせることができるものであることを理解できるようにすることは、時代の要請として受け止めていく必要がある。・小学校段階におけるプログラミング教育については、コーディング(プログラミング言語を用いた記述方法)を覚えることがプログラミング教育の目的であるとの誤解が広がりつつあるのではないかとの指摘もある。
「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論のとりまとめ)」 平成28年6月16日を参考に作成
●プログラミング教育とは子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示するこ
とができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するもの。
●プログラミング的思考とは自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組
合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力
こうした資質・能力を育成するプログラミング教育を行う単元について、各学校が適切に位置付け、実施していくことが求められる。また、プログラミング教育を前提として、言語能力の育成や各教科等における思考力の育成など、全ての教育の基盤として長年重視されてきている資質・能力の育成もしっかりと図っていくことが重要である。
【小学校段階におけるプログラミング教育の実施例】総合的な学習の時間:自分の暮らしとプログラミングの関係を考え、そのよさに気付く学び理科:電気製品にはプログラムが活用され、条件に応じて動作していることに気付く学び算数:図の作成において、プログラミング的思考と数学的な思考の関係やそれらのよさに気付く学び音楽:創作用のICTツールを活用しながら、音の長さや高さの組合せなどを試行錯誤し、音楽をつくる学び図画工作:表現しているものを、プログラミングを通じて動かすことにより、新たな発想や構想を生み出す学び
【実施のために必要な条件整備】(1)ICT環境の整備(2)教材開発や指導事例集の整備、教員研修等の在り方
(3)指導体制の充実や社会との連携・協働
プログラミング教育の充実に向けた取組 13
(1)プログラミング教育の充実に向けた教育内容の改善
○学習指導要領の改訂
• 情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、教科等横断的に育成。
• プログラミング教育を、小学校において必修化(※)するなど充実。
※算数、理科、総合的な学習の時間など各教科等において、プログラミングを体
験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施。
プログラミング教育の必修化【平成32年度~ 】
プログラミングに関する内容の拡充【平成33年度~ 】
プログラミングを必修とする共通必履修科目「情報Ⅰ」を新設【平成34年度~ 】
小学校
中学校
高校
○「小学校プログラミング教育の手引」の策定
• プログラミング教育の趣旨等をわかりやすく解説した手引を平成30年3月30日に策定し公表。
• 優れた指導事例の創出、教員研修用教材の開発等に取り組み(平成30年度予算額:約1.1億円)、各教育委員会・学校の取組を支援。
学校現場で授業を実施する際に参考となるよう、
• 小学校プログラミング教育の基本的な考え方
• 各教科等の目標・内容を踏まえた具体的な指導例
等について盛り込んでいる。
(2)プログラミング教育を支える教材開発・外部人材活用の促進
○未来の学びコンソーシアムの設立
• 文部科学省・総務省・経済産業省が連携し、プログラミング教育の推進等を目的とした官民協働の「未来の学びコンソーシアム」 (※)を平成29年3月に設立。学校のニーズに応じた民間企業・団体による教材開発の促進や、学校が外部人材を活用しやすくする人的支援体制の構築に向けた取組を推進。
【今後の主な取組(例)】・教材開発の促進:教師が参照できる指導事例や活用可能なツールの情報発信、教材開発企業等と学校が連携した教材改善 等
・外部人材活用の促進:学校が外部人材を活用しやすくする人的支援体制の検討、教育委員会が研修等を実施する際の講師等紹介・派遣 等
※ 賛同者数:194(企業・団体等)・124(教育委員会・学校法人)、
後援実績:20イベント 【平成30年3月16日現在】
• 文部科学省に、コンソーシアムの事務局を担う「未来の学びコンソーシアム」プロジェクト推進本部(本部長:文部科学省大臣官房審議官)及び同プロジェクト推進チームを設置。
民間企業経験者を迎え、コンソーシアムの推進体制を強化_(平成29年12月)。プログラミング教育戦略マネージャー:元IT系企業 業務執行役員プログラミング教育プロジェクトオフィサー:独立行政法人情報処理推進機構「未踏事業」の採択者(2名) など
• ポータルサイトをリニューアル(H30.3.30)。プログラミングの指導事例や教材などの学校現場に役立つ情報を提供するとともに、全国への普及展開を図る。
• 教育委員会等に赴き、新学習指導要領の趣旨説明や学校
現場等で用いる教材紹介、当該教材を用いた授業展開(指導事例)等について戦略的に周知し、学校におけるプログラミング教育を促進。
「学校教育の情報化指導者養成研修」(安彦広斉氏)講義資料」
☞ https://miraino-manabi.jp/
○ 文部科学省・総務省・経済産業省が連携して、教育・IT関連の企業・ベンチャーなどと共に、「未来の学びコンソーシアム」を立ち上げ(平成29年3月9日設立)、多様かつ現場のニーズに応じたデジタル教材の開発や学校における指導に向けたサポート体制構築を推進。
○ 当面、小学校プログラミング教育の充実・普及促進の実現に貢献すべく取組を推進。→平成30年3月に「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」を立ち上げ、プログラミング教育の具体的な指導事例を掲載。今後内容を充実。
未来の学びコンソーシアムによる「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」 14
小学校プログラミング教育に関する道教委の取組 15
○ 北海道における教育の情報化推進指針の策定(平成29年12月)
○ 小学校教育課程編成の手引の配布(平成30年4月)
○ 研修事業の実施(平成30年度実施)・タブレット活用研修講座・「市町村教委連携」研修講座・「管内研修センター等連携」研修講座(ミニ道研)
○ 教育ICTフォーラム等における行政説明・事例発表(平成30年8月)
○ 北海道立教育研究所におけるプロジェクト研究(平成30~31年度)
○ 平成30年5月に発行した「教育の情報化に関する実践事例集」にプログラミング教育に関する実践事例を追加掲載(平成30年度予定)
○ プログラミング教育事業の実施(平成31年1月)