これまでの議論の整理(案)についての対照表 資料2€¦ · か。...

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-1- 資料2 これまでの議論の整理(案)についての対照表 (1)基本的考え方 総論 (消費者の意識の変化と業界・行政の対応) (消費者重視の行動規範の確立) 14 食の安全・安心、公正な表示や流通、企業倫理等に対する消費者の関心が高まっ 21 食肉企業、食肉関係団体、食肉行政それぞれに ついて、消費者の視点から在り方を ている中で、こうした変化に、食肉業界・行政が十分対応し切れず、問題点が表面化し、B 見直す必要があるのではないか。 SE対策に係る牛肉偽装事件や食肉の表示違反事件が明るみに出ることとなったのではない か。 (国民に対し透明性のあるシステムへの改革) 22 食肉流通の透明性、政策決定の透明性を確保する観点から、国民に対し説明責任を 果たせるシステムへの改革が必要なのではないか。 (2)具体的な対応方向 コンプライアンス 食肉関係企業 (企業のコンプライアンスの実効性の確保) 23 法令遵守はもとより、倫理あるいは自主基準を守るというコンプライアンス経営の 実効性を確保することが重要ではないか。 15-① ・ 食肉企業・業界の体質として、近代化、透明性確保、コンプライアンス意識の改 そのためには、行動規範や自主行動基準を策定す るだけでなく、これを担保するた 革などについての遅れがあるのではないか。 めの体制の整備(経営システム、経営トップの意識(企業統治の在り方 、取引先も含めたコ 15-② 特に、不況、企業の業績悪化の中では、社会的公正さよりも利益追求を優先する ンプライアンスの確立等、ステークホルダーとのコ ミュニケーション(消費者も含めた利害関 弊害が強く出るのではないか。 係者への情報提供による信頼の確保)等)が必要ではないか。 15-③ また、一般に日本の企業では、個人のモラルはあっても、それが集団(企業)の ために発揮できないのもやむを得ないという状況が今もあるのではないか。 食肉関係団体 (業界全体のコンプライアンスの構築) 26 食肉関係団体が、会員の食肉企業のコンプライアンス経営を推進するための指導、 (偽装を行った企業の偽装の目的、問題点) 監視等の取組(業界憲章、行動規範の手引き等)を行うことが必要ではないか。 10 偽装は、BSE発生による売上減の下で、損失の補填、不良在庫の解消が目的だ 27 「食肉の表示に関する公正競争規約」の遵守が 必要であり、そのための実施体制の ったと考えられ、企業としては、社会的公正さより目先の利益を優先したもので、コンプラ 確保が重要ではないか。 イアンス意識の欠如、モラルの問題が挙げられるのではないか。 行政一般 (公益通報者保護制度の必要性) 36 今回の牛肉偽装事件が内部告発により明らかとなったことを踏まえれば、企業のコ ンプライアンス経営を推進するため 現在検討が行われている公益通報者の保護制度について その早期導入が望まれるのではないか。 14.12.19 第9回委員会

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Page 1: これまでの議論の整理(案)についての対照表 資料2€¦ · か。 (国民に対し透明性のあるシステムへの改革) 22 ・ 食肉流通の透明性、政策決定の透明性を確保する観点から、国民に対し説明責任を

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資料2これまでの議論の整理(案)についての対照表

問 題 点 対 応 方 向

(1)基本的考え方

総論

(消費者の意識の変化と業界・行政の対応) (消費者重視の行動規範の確立)

14 ・ 食の安全・安心、公正な表示や流通、企業倫理等に対する消費者の関心が高まっ 21 ・ 食肉企業、食肉関係団体、食肉行政それぞれについて、消費者の視点から在り方を

ている中で、こうした変化に、食肉業界・行政が十分対応し切れず、問題点が表面化し、B 見直す必要があるのではないか。

SE対策に係る牛肉偽装事件や食肉の表示違反事件が明るみに出ることとなったのではない

か。 (国民に対し透明性のあるシステムへの改革)

22 ・ 食肉流通の透明性、政策決定の透明性を確保する観点から、国民に対し説明責任を

果たせるシステムへの改革が必要なのではないか。

(2)具体的な対応方向

コンプライアンス ① 食肉関係企業

(企業のコンプライアンスの実効性の確保)

23 ・ 法令遵守はもとより、倫理あるいは自主基準を守るというコンプライアンス経営の

実効性を確保することが重要ではないか。

15-① ・ 食肉企業・業界の体質として、近代化、透明性確保、コンプライアンス意識の改 そのためには、行動規範や自主行動基準を策定するだけでなく、これを担保するた

革などについての遅れがあるのではないか。 めの体制の整備(経営システム、経営トップの意識(企業統治の在り方 、取引先も含めたコ)

15-② 特に、不況、企業の業績悪化の中では、社会的公正さよりも利益追求を優先する ンプライアンスの確立等、ステークホルダーとのコミュニケーション(消費者も含めた利害関

弊害が強く出るのではないか。 係者への情報提供による信頼の確保)等)が必要ではないか。

15-③ また、一般に日本の企業では、個人のモラルはあっても、それが集団(企業)の

ために発揮できないのもやむを得ないという状況が今もあるのではないか。 ② 食肉関係団体

(業界全体のコンプライアンスの構築)

26 ・ 食肉関係団体が、会員の食肉企業のコンプライアンス経営を推進するための指導、

(偽装を行った企業の偽装の目的、問題点) 監視等の取組(業界憲章、行動規範の手引き等)を行うことが必要ではないか。

10 ・ 偽装は、BSE発生による売上減の下で、損失の補填、不良在庫の解消が目的だ 27 ・ 「食肉の表示に関する公正競争規約」の遵守が必要であり、そのための実施体制の

ったと考えられ、企業としては、社会的公正さより目先の利益を優先したもので、コンプラ 確保が重要ではないか。

イアンス意識の欠如、モラルの問題が挙げられるのではないか。

④ 行政一般

(公益通報者保護制度の必要性)

36 ・ 今回の牛肉偽装事件が内部告発により明らかとなったことを踏まえれば、企業のコ

、 、ンプライアンス経営を推進するため 現在検討が行われている公益通報者の保護制度について

その早期導入が望まれるのではないか。

14.12.19 第9回委員会

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問 題 点 対 応 方 向

トレーサビリティ ① 食肉関係企業

(消費者の視点に立ったトレーサビリティの確立、品質管理の向上)

16 ・ 偽装企業には、これぐらいのことでは批判は出ないだろうという「甘え 、一種 24 ・ 消費者の信頼を得る観点から、生産・流通・消費をつなぐトレーサビリティ・シス」

の消費者軽視があったのではないか。 テムを確立する必要があるのではないか。

16' ・ 食肉の流通においては、流通過程でと殺・解体、カット処理等が行われ、商品形 25 ・ 食肉の加工・流通段階におけるHACCP方式のソフト面での取組の強化等によ

態が枝肉、部分肉、精肉へと変化するという特徴を有していること、ブロック形態でなくス り、安全管理、品質管理の向上を図ることが必要ではないか。

ライス形態で販売されることなど、複雑な流通事情があることから、不透明であると思われ

ているのではないか。 ③ 食肉行政

31-① ・ トレーサビリティについては、現在、農場からと畜場までとなっている制度を小売

店からもさかのぼれるシステムに整備することが必要であるが、

ⅰ)表示の正しさを担保するものであるという考え

ⅱ)リスク管理のための追跡システムであるという考え

ⅲ)流通の透明性を高める役割を果たすものであるという考え

があり、それらを踏まえて、具体的にどのような仕組みにするかを検討すべきではないか。

31-② また、トレーサビリティについても、偽装防止のためにも、システムそのものの信

頼性確保のためにも、システムそのもののチェックシステムが必要ではないか。

表示

11-① ・ 品質表示違反の背景、要因としては、競争激化の下で欠品を回避したいという考

え、そのことと裏腹の関係にもあるが無理な受注があったことが挙げられるのではないか。

11-② 一方、欠品のペナルティーは大きな問題ではなく、食肉企業の体質の問題である コンプライアンス (1頁)と同じ

という意見があったが、どうか。

12 ・ また、JAS法の品質表示基準について十分な認識が不足していること、企業の

モラルの低さ、多少のことは許されるのではないかという甘えがあったのではないか。 ① 食肉行政

(表示の正しさを担保する仕組み、トレーサビリティシステム、HACCP)

30 ・ 偽装を防ぐには、表示の正しさを担保するチェックの仕組みが必要である。その一

13-① ・ 過去において虚偽表示がしばしば行われていたにもかかわらず、行政はこれを厳 つの方策として、トレーサビリティやHACCP方式における記帳、記録の保管の仕組みを利

しく取り締まらず、また、表示の正しさを担保する仕組みがないことから、業界もそれに甘 用することができるのではないか。

えていたのではないか。

13-② 今年2月からJAS法の品質表示の監視・指導体制を強化(食品表示110番の (表示制度の見直し検討)

設置、食品表示ウォッチャーの委嘱)したが、こうした消費者の要望を踏まえた法制度や監 32 ・ 食品の表示基準について、JAS法、食品衛生法等別々の法制度になっているが、

視体制の整備が行われた一方で、業者の意識や対応が遅れていることも、JAS法違反事件 法律の一本化も含めて一元的な検討を行うなどの見直しが必要なのではないか。

の頻発の一因ではないか。 32'-①・ 国産牛肉の表示については、品種により価格差が大きいことから、単に「国産」と

表示するのでなく、品種の表示を義務付けることが必要という意見があったが、どうか。

32'-② なお、どこまで詳細な表示義務を課すかは、消費者のニーズやコストを勘案して考

えるべきという意見もあったが、どうか。

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問 題 点 対 応 方 向

事業者団体のあり方 ② 食肉関係団体

(業界団体の機能の強化と協同組合組織の在り方)

17 ・ 事業者団体が会員企業の利益の代弁の役割しか果たしておらず、消費者利益や公 28 ・ 業界団体は、会員の利益の代弁・代行のみでなく、公益的な見地から、消費者への

益という問題意識が希薄なことは問題ではないか。 情報提供や消費者の視点を踏まえた改革の取組、そうした視点からの補助事業の適切な実施な

ど、食肉関係企業と行政や消費者との間の橋渡しの役割を適切に果たしていくことが必要なの

ではないか。

18 ・ 相互扶助を理念とする中小企業協同組合において、大企業が中心的役割を担って 29 ・ 協同組合組織を補助事業の実施主体等とする際には、協同組合の理念に照らし適切

いたり、補助事業実施主体として行政の一端を担わせることは問題があるのではないか。 であるかどうかを十分踏まえたうえで行うべきではないか。

政策決定のあり方

(国民に対し透明性のあるシステムの導入)

19 ・ 需要の増大、輸入自由化の中で食肉産業の振興を図っていく必要から、業界と一 22 ・ 食肉流通の透明性、政策決定の透明性を確保する観点から、国民に対し説明責任を

体となって行政を進めてきたことが 業界の甘えを招き 政策決定過程における消費者不在 果たせるシステムへの改革が必要なのではないか。、 、 、

不透明さにつながっているのではないか。

③ 食肉行政

(事業創設の手続き、事業の仕組み、実施体制の不十分・不徹底) (政策決定過程の透明性の確保、消費者重視の政策決定システムの構築)

4-① ・ 事業創設の検討が、政党、行政のみの議論で進められ、消費者団体等関係者の意 33-① ・ 消費者を重視し、政策決定過程の透明化を図るため、政策評価制度を活用しつつ、

見を聴いていないことは問題があるのではないか。 事業創設前に、消費者等を含めた第三者の意見を聴くような仕組みはできないか。

33-② あるいは、事業の創設の際には、あらかじめ委嘱した、消費者や業界についての専

5-① ・ 結果的に偽装を招いたことからみれば、偽装防止の手だてが不十分だったと考え 門家(アドバイザー)の意見を聴くこととしてはどうか。

られるのではないか。 33-④ 更に、消費者と一概に言っても、意識の高い者から風評に流されるような者まで様

5-② 例えば、と畜証明書に代わる別の担保措置、当初からの全箱検品の実施などの措 々であり、ある施策に対する評価について、消費者の意見は賛成もあれば反対もあるので、施

置を採るべきではなかったのか。 策立案に当たってこれをどう捉えるべきか。

5-③ 一方、当時の状況の下で可能な限り全ての在庫を緊急的に市場隔離する必要性や

、 。行政コストを考慮したとき そうした措置が採り得たかどうかには疑問があるのではないか

4-② なお、事業創設時の状況は、緊急的対応が求められる事態であり、危機管理シス

テムが構築されていない限り、消費者の意見を聴くことは事実上難しく、中途半端に意見を 33-③ この場合、緊急時に迅速かつ的確に意見を聴くシステムをあらかじめ作っておく必

聴くのでは対応にバイアスがかかるおそれもあったのではないか。 要があるという意見があったが、緊急のため事業創設前に意見を聴くことができないときはど

4-③ 一方、当時の状況は、時間単位での対応が求められるような事態ではなく、消費 うするのかを、併せて考えておく必要があるのではないか。

者から意見を聴く努力をすべきだったとの意見もあったが、どうか。

6 ・ こうした緊急時の対応について、今後の教訓としてどういうやり方、システムに

すれば、同じようなことを避けることができるのかを検討すべきではないか。

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問 題 点 対 応 方 向

危機管理、リスクコミュニケーション ③ 食肉行政

(危機管理のあり方、リスクコミュニケーション)

20-① ・ BSEに対する危機管理の失敗、消費者に対するリスク・コミュニケーションの 34-① ・ 緊急事態の下での危機管理体制の構築と危機管理対策が重要であり、特に消費者等

不備が、消費者の不安と不信を招き、本来なら必要でなかった対策(安全な牛肉なのに、隔 に対するリスク・コミュニケーションを科学的知見と消費者の受け止め方(認知構造)に即し

離・焼却しなければならないという対策)まで実施せざるを得なくなったのではないか。 て適切に実施することが必要ではないか。

20-② これは、我が国にBSEが発生するまでと発生時の行政対応の問題であるが、こ 34-② また、リスク・コミュニケーションについては、平常時からきちんと行うことが重

のことについては既にBSE問題調査検討委員会で検証済みであり、その上に立って、当委 要であり、それが欠けていると信頼を失い、深刻な危機状態を招くことになるのではないか。

員会では、その後のBSE対策に係る牛肉偽装事件や食肉の表示違反事件が何故起こったか 34-③ これらのことについては、BSE問題調査検討委員会の報告を受けた対応(食品安

という背景・原因の究明と今後の対応方向を考えていくのではないか。 全委員会の設置に向けての取組等)が既に行われているところではないか。

(事業の性格、必要性)

1-① ・ この事業は、牛肉は安全であるということから法的な規制措置が採れない中で、

任意の制度として、流通業者の協力を得て、可能な限り全ての在庫を緊急的に市場隔離しよ

うとしたもの(その後焼却に移行した)であり、その点で矛盾(安全なものであるのに、隔

離・焼却しなければならないこと)が生じた面があったのではないか。

1-② この事業、特に焼却事業は、本来法律により強制的な措置として仕組むべきだ

1-③ ったという意見があるが、一方、立法には時間を要することから緊急的な対応とし

てやむを得なかった面もあるのではないか。

2 ・ この事業が、消費者対策か、業者対策かについては、

ⅰ)隔離・焼却により業者にとって保管料の軽減、滞留在庫の解消となったことか

ら業者対策である。

ⅱ)消費者の不安の解消につながったことから消費者対策である。

ⅲ)両方の効果があった対策である。

という3つの意見があったが、どうか。

3-① ・ この事業は、と畜場におけるBSE全頭検査とあいまって、牛肉に対する消費者

の不安を解消する上で効果があったと考えられるのではないか。

3-② 一方、消費者の不安解消には、全頭検査を行い、検査済みシールを添付するとい

う手法で良かったのではないかという意見があったが、どうか。

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問 題 点 対 応 方 向

(保管事業から処分事業への移行)

7 ・ 保管事業から処分事業へ移行する際に業者に参加意思を再確認すれば偽装は防げ

たとの意見もあるが、確かに、将来買い戻すのだからと安易に偽装を行ったとすれば、処分

事業への移行の際には、事の重大性に気付き事業に参加しなかったかも知れない。

8 一方、その時点では既に偽装行為が行われており、そもそも保管事業であっても

偽装すれば保管料の詐欺になるという問題があるのではないか。

9 また、業者が参加取下げを希望した場合、当該保管牛肉が市場に出回り、消費者

に不安を与えるおそれがあること等の問題があったのではないか。

9' ・ 一方、保管事業の創設時に国会等では処分すべきとの議論が行われていることか

ら、偽装は処分を想定して行われたものと考えられ、処分することになった場合にも対応で

きるような保管事業の制度設計(品種、部位等の明確化)をすべきだったとの意見もあった

が、そのような対応をすることは可能であったのか。

(農畜産業振興事業団の業務運営の改善)

35 ・ 農畜産業振興事業団については、独立行政法人への移行を契機として、業務に消費

、 、 ( )者の視点の導入 業務運営の透明性の確保 種々の補助事業の見直し 第三者による評価制度

が必要ではないか。

⑤ その他

(マスメディアとのかかわり方)

37-① ・ 企業、団体、行政のそれぞれが積極的な情報提供や意見交換を行うことにより、消

費者の信頼確保を図ることが必要であるが、その際にはメディアとのかかわり方が問われるの

ではないか。

37-② ・ 食の安全・安心に関し、科学的・客観的な情報を伝えるには、マスメディアの中で

その分野を担当する部局(科学部、家庭部等)とのつながりを日常的に持っておく必要がある

のではないか。