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Keysight Technologies PNA マイクロ波ネットワーク・アナライザ Application Note PNAによる バンド別 ミリ波測定

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Keysight Technologies PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ

Application Note

PNAによる バンド別 ミリ波測定

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02 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

目次

はじめに ........................................................................................................................ 3

システム構成 ................................................................................................................. 4

システム操作 ................................................................................................................. 8

– ミリ波モジュールの構成 ........................................................................................ 9

– 外部シンセサイザの構成 ...................................................................................... 11

– 操作に関する注意 ................................................................................................ 13

– パワー制御 ..................................................................................................... 13

– パワー・レベリング ....................................................................................... 14

– 期待出力パワー .............................................................................................. 14

– IF BW選択 .................................................................................................... 14

– 周波数信号源の分解能 ................................................................................... 14

– 複数チャネル ................................................................................................. 14

システム校正 ............................................................................................................... 15

– 適切な校正技術の選択 ......................................................................................... 15

– 校正定義ファイルのロードとチェック ................................................................. 16

– 構成 1:2個の T/Rモジュール ............................................................................ 19

– 構成 2:1個の T/Rモジュールと 1個の Tモジュール ........................................ 20

アプリケーション例 .................................................................................................... 22

– 例 1:アンテナ測定 ............................................................................................. 22

– 例 2:パルスド測定 ............................................................................................. 23

– 例 3:材料測定 .................................................................................................... 25

付録A:導波管(WG)校正キット用カスタム定義ファイルの作成 ................................. 26

付録B:校正の実行 ...................................................................................................... 31

– SmartCal、2ポート ............................................................................................ 31

– SmartCal、1ポート ............................................................................................ 34

– ガイドなし校正、スルー・レスポンス ................................................................. 36

付録C:導波管インタフェースの手入れ ...................................................................... 38

付録D:補足データ ..................................................................................................... 38

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03 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

はじめに

110 GHz、220 GHz、325 GHz、さらには1 THzを超える測定が必要となるにつれ、ミリ波はますます一般化しつつあります。アプリケーションには、オンウェーハ・デバイスの特性評価や、さまざまな種類の材料測定が挙げられます。

PNAシリーズ ネットワーク・アナライザを適切に構成すれば、ミリ波周波数でコンポーネントの反射/伝送特性を広いダイナミック・レンジで測定できます。キーサイトでは、2種類のミリ波ソリューションを提供しています。

1. 1つめのソリューションはN5250Cネットワーク・アナライザです。N5250Cと1.0 mm同軸コネクタで10 MHzから110 GHzまでの測定が可能です。

2. もう1つのソリューションは、導波管(WG)インタフェースを備えたバンド別ミリ波テスト・ヘッド・モジュールをベースとしています。システム構成は、目的とする周波数レンジによって異なります。

本アプリケーション・ノートでは、バンド別ミリ波ソリューションのシステム構成、システム操作、システム校正、代表的な測定例について詳しく説明しています。また、PNAおよびPNA-XシリーズのE8362B、E8363B、E8364B、E8361A、N5242A、N5244A、N5245Aをもとに記載されています。

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04 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

Bバンド別ミリ波システムの構成

バンド別ミリ波測定システムを構成するには、以下の3つの基本コンポーネントが必要です。1. 高性能ネットワーク・アナライザ2. ミリ波テスト・セット・コントローラ3. アプリケーションと周波数バンドに対応した導波管モジュール4. オプションの導波管用校正キット(オンウェーハなどの他の媒体を使用しない場合)

パフォーマンス・ネットワーク・アナライザ製品番号 概要 最小限の必須オプションE8362C 20 GHz、2ポート・パフォーマンス・

ネットワーク・アナライザH11、080、081、014、UNL

E8363C 40 GHz、2ポート・パフォーマンス・ ネットワーク・アナライザ

H11、080、081、014、UNL

E8364C 50 GHz、2ポート・パフォーマンス・ ネットワーク・アナライザ

H11、080、081、014、UNL

E8361C 67 GHz、2ポート・パフォーマンス・ ネットワーク・アナライザ

H11、080、081、014、UNL

N5242/44/45A オプション2xx

2ポートPNA-Xネットワーク・アナライザ オプション020

N5242/44/45A オプション4xx

4ポートPNA-Xネットワーク・アナライザ オプション020

注記:N5242/44/45A(必須オプション:200および224)をN5262A 4ポート・ミリ波テスト・セット・コントローラと組み合わせる場合は、4ポート校正用のオプション551も必要です。

RF信号源のリア・パネルからN5261A/N5262Aテスト・セット・コントローラに接続できますが、この場合は、上記で選択したN5242/44/45Aにスイッチ・コンバイナのオプションを追加してください。オプション2xx搭載のN5242/44/45Aにはオプション224を、オプション4xx搭載のN5242/44/45Aにはオプション423を追加します。

E836xベースのシステムを200 GHz以上のモジュールと組み合わせる場合は、ダイナミック・レンジを向上させるために、ペアの外部シンセサイザ(RF用とLO用)が必要です。性能の向上については、図9を参照してください。外部シンセサイザは、オプション520およびUNX搭載のE8257Dをお奨めします。

ミリ波テスト・セット・コントローラ製品番号 概要 オプションN5260A PNA用の

2ポート・テスト・コントローラ

PNAとの接続用のすべてのケーブルと、ペアのT/Rミリ波モジュールに接続するためのRF、LO、DC、IF用の約120 cmケーブルが2セット付属。

N5261A PNA-X用の 2ポート・テスト・コントローラ

オプション102:2ポートPNA-Xへの接続用ケーブルが1セット。オプション104:4ポートPNA-Xへの接続用ケーブルが1セット。オプション50x:1個のT/Rミリ波モジュールに接続するためのRF、LO、DC、IFケーブルが1セット。

N5262A PNA-X用の 4ポート・テスト・コントローラ

オプション102:2ポートPNA-Xへの接続用ケーブルが1セット。オプション104:4ポートPNA-Xへの接続用ケーブルが1セット。オプション50x:1個のT/Rミリ波モジュールに接続するためのRF、LO、DC、IFケーブルが1セット。

PNA-XとN5260Aミリ波テスト・セット・コントローラを組み合わせて構成する場合は、LOへの接続用の10 dB 3.5 mmパッドと、BNC-SMAアダプタ(4個1セット)が必要です。

ミリ波モジュールいくつかのモジュールが利用でき、リクエスト・ベースでスペシャル・オプションも用意しています。測定セットアップに最適なモジュールの数を選択できます。特別な構成のテスト・モジュールが必要な場合は、計測お客様窓口にご相談ください。

アンテナ・アプリケーションおよび1ポート・シングル・パスSパラメータ測定用には、シングル/デュアル・チャネル・レシーバ・モジュールを使用します。

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05 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

伝送反射モジュール

導波管フランジ

周波数(GHz)

標準伝送/ 反射モジュール

25 dBメカニカル・ アッテネータ搭載の 伝送/反射モジュール

15 dB LO/RF アンプ 1 搭載の 伝送/反射 モジュール

WR22 33~ 50 N5256AW22 - STD N5256AW22 - 001 N5256AW22 - 002

WR15 50~ 75 N5256AW15 - STD N5256AW15 - 001 N5256AW15 - 002

WR12 60~ 90 N5256AW12 - STD N5256AW12 - 001 N5256AW12 - 002

WR10 75~ 110 N5256AW10 - STD N5256AW10 - 001 N5256AW10 - 002

WR08 90~ 140 N5256AW08 - STD N5256AW08 - 001 N5256AW08 - 002

WR06 110~ 170 N5256AW06 - STD N5256AW06 - 001 N5256AW06 - 002

WR05 140~ 220 N5256AW05 - STD N5256AW05 - 001 N5256AW05 - 002

WR03 220~ 325 N5256AW03 - STD N5256AW03 - 001 N5256AW03 - 002

WR02.2 325~ 500 N5256AW02 - STD 使用できません N5256AW02 - 002 2

拡張WR12 56~ 94 N5256AX12 - STD N5256AX12 - 001 ご相談ください1. RF/LOアンプ搭載のモジュールは、アンテナ・アプリケーション用で、使用するテスト・セット・ポートとモジュールとの間

に15 dBmのケーブル損失があります。標準の約120 cmケーブルを使ってテスト・セット・コントローラに直接接続しないでください。必要な場合は、15 dBパッドをご使用ください。

2. このモジュールをN5260Aと組み合わせて使用する場合は、外部DC電源(E3615Aなど)が必要です。3. 25 dBメカニカル・アッテネータと15 dB LO/RFアンプを搭載した伝送反射モジュールが必要な場合は、N5256AWxx-003を

注文してください。N5256AWxx-002では使用できません。

シングル・チャネル・レシーバ・モジュール

導波管フランジ 周波数(GHz)標準シングル・ チャネル・レシーバ・ モジュール

15 dB LOアンプ搭載の シングル・チャネル・ レシーバ・モジュール

WR22 33~ 50 N5257AR22 - STD N5257AR22 - 001WR15 50~ 75 N5257AR15 - STD N5257AR15 - 001WR12 60~ 90 N5257AR12 - STD N5257AR12 - 001WR10 75~ 110 N5257AR10 - STD N5257AR10 - 001WR08 90~ 140 N5257AR08 - STD N5257AR08 - 001WR06 110~ 170 N5257AR06 - STD N5257AR06 - 001WR05 140~ 220 N5257AR05 - STD N5257AR05 - 001WR03 220~ 325 N5257AR03 - STD N5257AR03 - 001WR02.2 325~ 500 N5257AR02 - STD ご相談ください

デュアル・チャネル・レシーバ・モジュール

導波管フランジ 周波数(GHz)標準デュアル・ チャネル・レシーバ・ モジュール

15 dB LOアンプ搭載の デュアル・チャネル・ レシーバ・モジュール

WR15 50~ 75 N5258AD15 - STD N5258AD15 - 001WR12 60~ 90 N5258AD12 - STD N5258AD12 - 001WR10 75~ 110 N5258AD10 - STD N5258AD10 - 001WR08 90~ 140 N5258AD08 - STD N5258AD08 - 001WR06 110~ 170 N5258AD06 - STD N5258AD06 - 001WR05 140~ 220 N5258AD05 - STD N5258AD05 - 001WR03 220~ 325 N5258AD03 - STD N5258AD03 - 001

ミリ波校正キット導波管フランジ 周波数(GHz) 校正キットWR22 33~ 50 Q11644AWR15 50~ 75 V11644AWR12 60~ 90 N5260AC12WR10 75~ 110 W11644AWR08 90~ 140 N5260AC08WR06 110~ 170 N5260AC06WR05 140~ 220 N5260AC05WR03 220~ 325 N5260AC03WR02.2 325~ 500 N5260AC02拡張WR12 56~ 94 N5260AC12

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06 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

OML VNA2導波管テスト・ヘッド・モジュールは、伝送/反射(T/R)構成と伝送(T)構成で使用することができます。各キーサイト部品番号N5260AWxxには、T/Rテスト・ヘッド・モジュール・ペアとそれぞれのWG校正キットが含まれています。図2と3に、OML VNA2 T/Rテスト・ヘッド・モジュールとTテスト・ヘッド・モジュールの簡略化したブロック図を示します。この他にも、たとえばT/Rモジュール1個とTモジュール1個で構成されるテスト・ヘッド・モジュールの組み合わせがあります。詳細は計測お客様窓口にお問い合わせください。

図2. OML T/Rテスト・ヘッド・モジュールの簡略化したブロック図

図3. OML Tテスト・ヘッド・モジュールの簡略化したブロック図

RF入力

テストIF出力

LO入力

基準IF出力

基準チャネル

テスト・チャネル

IF増幅器および/またはLPF<300 MHz

IF増幅器および/またはLPF<300 MHz

ダブラ/増幅器 WGテスト・ポート

RF入力およびLO入力:WR-22~WR-10、+5 dBm 最小値WR-08~WR-03、+7 dBm 最小値

N52

60Aミリ波ヘッド・コントローラへ

LO入力

WGテスト・ポート

LO入力:WR-22~WR-10、+5 dBm 最小値WR-08~WR-03、+7 dBm 最小値

テストIF出力

IF増幅器および/またはLPF<300 MHz

プレシジョン・アッテネータ:WR-10、WR-12、WR-15 & WR-22、20 dBWR-05、WR-06 & WR-08、10 dBWR-03 & WR-04、TBD

テストでの選択N52

60Aミリ波ヘッド・コントローラへ

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07 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

同じ周波数レンジをカバーする、異なる組み合わせのテスト・ヘッド・モジュールを一緒に使用することができますが、測定できるパラメータが違ってきます。表3に、可能な構成の詳細を示します。フル「Sパラメータ」テスト・セットには、2個のT/Rモジュールが必要です。1個のT/Rモジュールと1個のTモジュールでは、1つの伝送測定と1つの反射測定だけが行えます。

組み合わせ2でS12とS22が必要な場合、次の2つの方法が可能です。1. DUTを反転して、反転パラメータを測定します。2. ポート2にT/Rモジュールを、ポート1にTモジュールを配置することにより、テスト・ヘッ

ド・モジュールを再構成します。この方法の場合、測定の前に校正する必要があります。

図4. テスト・ヘッド・モジュールの2つの構成:(a)2個のT/Rモジュール、および(b)1個のT/R モジュール(左)と1個のTモジュール

表3. テスト・ヘッド・モジュールの組み合わせと測定パラメータ

ポート1 ポート2 測定パラメータ コメント

組み合わせ1(図4a)

T/Rモジュール T/Rモジュール S11、S21、S12、S22ポート1とポート2からDUTに入力信号を供給可能

組み合わせ2(図4b)

T/Rモジュール Tモジュール S11、S21ポート1のみDUTに 入力信号を供給可能

(a)

(b)

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08 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

システム操作

ここでは、バンド別ミリ波システムの操作方法について説明します。システム操作には、各ミリ波モジュール・セット用の構成、システム校正、測定が含まれます。

図5と6に、システムのフロント・パネルとリア・パネルの接続を示します。外部シンセサイザを使用する場合、リア・パネルの接続が多少異なります(図6b)。システムのインストールの詳細については、『N5250Aネットワーク・アナライザ・システムインストール・ガイド』部品番号N5250-90001を参照してください。

図5. N5260Aミリ波コントローラから導波管テスト・ヘッド・モジュールへの接続

図6. リア・パネルの接続:(a)外部シンセサイザがない場合と(b)2つのPSGを外部シンセサイザとして使用する場合。PNAとPSGをUSB/GPIBインタフェース(Keysight 82357A)経由で接続し、PNAのTrig OUTをRFシンセサイザのTrig INに接続する必要があります。

L

RF LO B R2

Test Set Interface

Test Set I/O

Test Set Interconnect

RF

A IF

R1 IF

R1 A

R2 IF

B IF

(a)

(b)

RF

LO

B R2 RF LO

RF LO

Test Set I/O

A IF

R1 IF

R1

R1

A

A

R2 IF

B IF

10 MHz Ref IN

10 MHz OUT

10 MHz IN

10 MHz OUT

GPIB

GPIB

USB

E8257D PSGw/Opt.520 & UNR(“RF”, GPIB #19)

E8257D PSGw/Opt.520 & UNR(“LO”, GPIB #18)

Trig OUT

Trig OUT

Trig OUT

Trig IN

Trig IN

Trig IN

*

* USB/GPIBインタフェース(Keysight 82357A)

B R2 RF OLO

R1 A Test Set Interface

Test Set Interconnect

R2B

Po rt 1 rt 2

R1 IF

R2 IF

B IF

E8361A Network Analyzer 45 MHz to 67 GHz

Port 1

Port 1 Port 2

Port 2

AIFRF OUT RF OUTN5260AMillimeter Head Controller

BIAS

BIA

S

BIA

S

BIA

S

RF

IN

Ref

IF

RF

IN

Ref

IF

2 AMP FUSE 2 AMP FUSE

LINE

0 1

LO O

UT

LO O

UT

Test

IFLO

IN

Test

IFLO

IN

CP LRAR M

CP LRTHRU

SOURCEOUT

SOURCEOUT

CP LRAR M

SOURCEOUT

SOURCEOUT

RCV RA IN

RCV RR1 IN

Port 1

Reference 1

CP LRTHRU

RCV RA IN

RCV RR1 IN

Port 1

Reference 1

OMLテスト・ヘッド OMLテスト・ヘッド

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09 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

PNAの機能が強化され、システムのセットアップ手順が大幅に単純化されました。次のステップで、各ミリ波モジュールの構成方法を紹介します。複数周波数バンドの場合、それぞれのバンドに1つの構成が必要です。

ミリ波モジュールの構成:

PNAのフロント・パネルに移動する前に、リア・パネルの接続が図6aのとおりに行われ、N5260Aミリ波コントローラがオンになっていることを確認します。

1. System > Configure > Millimeter Module Config... を選択します。これにより図7に示す画面(a)が表示されます。

2. Module Configをクリックします。これにより画面(b)が表示されます。3. Newをクリックします。これにより画面(c)が表示されます。構成の名前を入力します。周波

数バンドを表した説明的な名前にします(この例では、「60 to 90 GHz」です)。4. OKをクリックします。これにより画面(d)が表示されます。RFとLOの周波数レンジの値と周

波数逓倍器の値を入力します。周波数逓倍器の値は、テスト・ヘッド・モジュール上のラベル、または次の表4を参照してください。実行後、Saveをクリックします。

5. 構成を適用するため、構成を強調表示し、Activate Selected Configをクリックします。これにより画面(e)が表示されます。OKをクリックします。PNAが終了し、図8に示すように、新しい構成でリスタートします。このステップには1分かかります。

表4. 各周波数レンジのRFおよびLO高調波周波数逓倍器

バンド動作周波数レンジ(GHz)

RF周波数 レンジ(GHz)

RF高調波 周波数逓倍器

LO周波数 レンジ±IF オフセット LO高調波(GHz)

周波数 逓倍器

WR-15 50 – 75 12.5~ 18.8 N=4 10.0~ 15.0 M=5

WR-12 60 – 90 10.0~ 15.0 N=6 12.0~ 18.0 M=5

WR-10 75 – 110 12.5~ 18.4 N=6 9.3~ 13.8 M=8

WR-08 90 – 140 7.5~ 11.7 N=12 11.2~ 17.5 M=8

WR-06 110 – 170 9.1~ 14.2 N=12 11.0~ 17.0 M=10

WR-05 140 – 220 11.6~ 18.4 N=12 14.7~ 18.1 M=12

WR-04 170 – 260 8.5~ 13.0 N=20 12.1~ 18.6 M=14

WR-03 220 – 325 12.2~ 18.1 N=18 12.2~ 18.1 M=18

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10 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

手順1:System Configure Millimeter Wave設定を選択してセットアップを起動します。

手順3:テスト・セットの設定

– 使用しているTest Setコントローラを選択します。 – パルス測定を実行する必要がある場合のみ、“RF ALC”のチェックを外します。 – ミキサ測定を実行する場合のみ、“Use Full Bandwidth”にチェックします。 – 他のすべての設定はデフォルトにしておきます。

手順2:設定の名前を入力します。

手順4:周波数の設定

– 周波数逓倍器のRFの乗数を設定します。 – 周波数逓倍器のLOの乗数を設定します。 – 周波数逓倍器のStart FrequencyとStop Frequencyを設定します。 – 外部信号源を使用する場合は、PNA RFまたはPNA LO信号源を選択します。

図7. ミリ波モジュール構成の作成に必要なステップ。この例では周波数バンド67~ 110 GHzを 使用しています。

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図8. 新しく作成したミリ波バンド構成でのPNAの動作

外部シンセサイザの構成:

外部シンセサイザは、バンド別ミリ波構成にいつでも追加できます。PNAのフロント・パネルに移動する前に、以下を実行します。

– リア・パネルの接続が図6bのとおりに完了していることを確認します。 – N5260Aミリ波コントローラをオンにします。 – 両方の外部シンセサイザをオンにし、図6bに示すように、フロント・パネルから各ユニットのGPIBアドレスを設定します。

– Utility > GPIB/RS-232 LAN > GPIB addressを選択します。19(RFユニット用)と18(LOユニット用)を入力します。ソフトキー Enterを押します。

PNAフロント・パネルに移動して、外部シンセサイザを構成します。

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12 | Keysight | PNAマイクロ波ネットワーク・アナライザ – Application Note

(a)

(b)

2番目の外部 シンセサイザの 名前を入力

(c)

(d)

最初の外部 シンセサイザの 名前を入力

(e)

(f)

図9. 外部シンセサイザの構成と操作手順

1. System > Configure > External Source Config...を選択します。これにより図9に示す画面(a)が表示されます。

2. Addをクリックします。これにより画面(b)が表示されます。“Source Name”を入力し、ドロップダウン・メニューを使って“Source Type”として“AGPSG”を選択します(サポートされているのはKeysight PSG Seriesだけです。詳細については、「操作に関する注意」を参照してください)。OKをクリックします(この例では、“Source Name”として“PSG RF 19”を使用します。これは、使用するシンセサイザがPSGシリーズで、ユニットがRF信号用であり、GPIBアドレスが19であることを示しています)。

3. これにより画面(c)が表示されます。信号源名“PSG RF 19”を強調表示して、Hardware List (BNC)をクリックし、セットアップに合わせて“GPIB Address”を更新します(アドレスは19です)。

4. Addをクリックします(次にLO信号源を追加します)。これにより画面(d)が表示されます。“Source Name”を入力し、ドロップダウン・メニューを使って“Source Type”として“AGPSG”を選択します。OKをクリックします(この例では、“Source Name”として“PSG LO 18”を使用します。これは、使用するシンセサイザがPSGシリーズで、ユニットがLO信号用であり、GPIBアドレスが18であることを示しています)。

5. これにより、画面(e)が表示されます。信号源名“PSG LO 18”を強調表示して、Hardware List (BNC)をクリックし、セットアップに合わせて“GPIB Address”を更新します(今回、アドレスは18です)。OKをクリックします。これで、外部シンセサイザの構成が終了しました。

外部シンセサイザの構成をアクティブにします。

6. System > Conf igure > Mil l imeter Module Config...を選択します。これにより図9の画面(f)が表示されます(この例では、“Selected

Module”が“220 to 325 GHz”になっています)。

7. Use External Sourcesをクリックしてから、ドロップダウン・メニューを使って“External

Source Select”の下の“RF”と“LO”を選択します。実行後、OKをクリックします(各ドロップダウン・メニューには構成したすべての信号源が表示されるため、“Source Name”を説明的な名前にしておけば、信号源がすぐに見つかります)。

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操作に関する注意

パワー制御バンド別ミリ波周波数で操作する時にはパワー制御が使用できません。Channel > Power... > Test Port Powerでパワーを変更できるように見えますが、実際には導波管インタフェースでの変化はありません。これには2つの理由があります。(1)テスト・ヘッド・モジュール内部の増幅器は飽和状態で動作するよう設計されています(図2を参照)。このため、PNAのRFテスト・ポート・パワーを増加しても、導波管インタフェースで変化が起こりません。(2)スプリッタまたは他の制御機構の前でPNAのリア・パネルからのRF出力とLO出力の結合がオフになります。このため、パワーに対する制御が得られません。

外部シンセサイザがない場合、RF信号とLO信号はPNAのリア・パネル(オプションH11)によって供給されます。これらの値は、広範囲にわたって変化します。表5に代表値を示します。

外部シンセサイザを使用する場合、PSGの信号源はPNAによって制御されます。PNAは、周波数リストを各PSG(E8257D、オプション520付き)にダウンロードし、各周波数ポイントの出力を0

dBmに設定します。

ヘッドが十分なパワーでドライブされていることを確認するにはどうすればよいでしょうか?テスト・ヘッドでドライブのための十分なRFパワーが得られるように、N5260Aミリ波コントローラ内部のALCループを所定の場所に配置します(図10を参照)。

表5. PNAのリア・パネルからのRF出力とLO出力の代表値

リア・パネルのLOパワー(代表値)

1.7 GHz~ 20 GHz -16~-7 dBm

リア・パネルのRFパワー、E8362B用(代表値)

1.7 GHz~ 20 GHz -16~-5 dBm(テスト・ポート・パワーが-5 dBm 1)

リア・パネルのRFパワー、E8363B/E8364B用(代表値)

1.7 GHz~ 10 GHz -12~-2 dBm(テスト・ポート・パワーが-5 dBm 1)

10 GHz~ 16 GHz -8~ 0 dBm(テスト・ポート・パワーが-5 dBm 1)

16 GHz~ 20 GHz -1~ 5 dBm(テスト・ポート・パワーが-5 dBm 1)

図10. N5260Aミリ波コントローラの簡略化したブロック図

テスト・ヘッド・

モジュール用の十分なドライブを提供するためテスト

周波数は8.333 MHzで、

PNAの2番目の

コンバージョン・ステージに移動

ALC+15

ALC+15

0955-014887304C

5087-7238

RFセクション

LOセクション

33330-80021

33330-80021

RF入力

LO入力

ポート2 RF出力

ポート1 RF出力

ポート2 LO出力

ポート1 LO出力

A IF

B IFR2 IF

A IFR1 IF

電源電源

AC LINE IN

+12V +5V -12V -15V +15VZ5623-63271

テスト・セット・インタフェース

テスト・セット・インタフェース・コントローラ

B IFR2 IF+12V

R1 IF+12V

0955-0243

0955-0243

0955-0246

0955-1595

0955-1595

1. テスト・ポート・パワーは“Drop Cal”が発生しないように十分なパワー・レベルが必要です。Drop Calが発生すると、リア・パネルのRFコネクタから出力されるパワーが約15 dB低下します。

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パワー・レベリングバンド別ミリ波周波数で操作する時にはパワー・レベリングが使用できません(詳細については、本書の「パワー制御」を参照してください)。

期待出力パワーOMLのテスト・ヘッド・モジュールには、出荷の際、導波管インタフェースにおける出力パワー対周波数のプロットが添付されます。これらの値は、目的の周波数バンドに応じて異なります。

IF BW選択ミリ波周波数で最適な性能を得るため、IF BWが1 kHzを超えないよう(できれば10 Hz)にすることをお勧めします。IF BWが大きいと、トレースのノイズが大きくなります。

周波数信号源の分解能Keysight PSG信号源だけがサポートされています。テスト・ヘッドでの周波数アップコンバージョンには、より高次の高調波周波数逓倍器が必要であるため(周波数バンドが高いほど、周波数逓倍器の次数が上がります。詳細については、表4を参照)、外部シンセサイザには1 Hz未満の周波数分解能が要求されます。1 Hz分解能の信号源を使用する場合、かなり大きな周波数誤差が発生します。

PSGシリーズ(CW)の周波数分解能は0.001 Hzです。PNA 1st IF=8.333333... MHz

IF=N*rf ± M*LO

例: RF=110 GHz(WR-10の測定周波数) N=6(表4から) rf=RF / N=110 GHz / 6

rf=18.333333333... GHz(外部RF信号源の周波数) M*LO=IF+N*rf

M*LO=8.333333... MHz+110 GHz=110008333333.333... Hz

M=8(表4から) LO=110008333333 Hz / 8

LO=13751041666.625 Hz(外部LO信号源の周波数)

PNA 1st IFの固有値から見て、外部RFシンセサイザと外部LOシンセサイザに必要な値は、おそらく自然数にはならないはずです。このため正確なPNA 1st IFを生成するには、外部シンセサイザに1 Hz未満の分解能が必要となります。

複数チャネル外部シンセサイザ構成では、複数チャネルはサポートされません。これは主に、あるチャネルから次のチャネルに切り替えるときに、PNAがすべての必要な情報をPSGにダウンロードしてから掃引を開始する必要があるためです。チャネル切り替え(PNA内)とトリガ・チェーン内の信号(PNA

の外)とのタイミング差により、誤差の多いデータが収集される可能性があります。

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適切な校正技術の選択

適用可能な校正技術は、システム(ハードウェア)構成によって異なります。表6に、2つの可能なシステム構成(2個のT/Rモジュールを持つシステムと、1個のT/Rモジュールと1個のTモジュールを持つシステム)に対して使用可能な校正技術を示します。選択した技術に応じて、PNA上の校正インタフェースが異なります。

表6. テスト・ヘッド・モジュールと適用可能な校正技術の組み合わせ

システム構成校正 インタフェース

構成1 1 構成2 2

SmartCal (ガイド付き校正) ガイドなし校正

2個のT/Rモジュール (Sパラメータ・テスト・セット)

1個のT/Rモジュールと1個のTモジュール (伝送/反射(T/R)テスト・セット)

オープン・レスポンス √ S11 OR S22 √ S11 √

ショート・レスポンス √ S11 OR S22 √ S11 √

スルー・レスポンス √ S21 OR S12 √ S21 √

1ポート反射 √ S11 OR S22 √ S11 √ √

フルSOLT 2ポート √ S11、S21、S12、S22 √ √

フルTRL 2ポート √ S11、S21、S12、S22 √ √

1. 図4aを参照してください。

2. 図4bを参照してください。

各N5260AWxxには、T/Rテスト・ヘッド・モジュールのペア(構成1)とそれぞれのWG校正キットが含まれています。構成1のセットアップでは、S11、S21、S12、S22の測定が可能になります。さらに、SOLTとTRLによるフル2ポート校正も可能です。

構成2のセットアップでは、S11とS21の測定のみが可能で、S11用に1ポート校正、S21用にスルー・レスポンス校正(ノーマライゼーション)を実行できます。また、1ポート校正にスルー・レスポンス校正を追加して1つの測定チャネル内に2つのトレース用の校正セットを1つ作成することもできます 1。以下は、2つの校正を追加する手順です:

– トレースS11をアクティブにした状態で、SmartCalを使用して1ポート校正を実行し、Save As User CalSetをクリックして終了します。

– トレースS21をアクティブにした状態で(同じチャネルで)、1ポート校正を選択し、レスポンス校正(ノーマライゼーション)をガイドなし校正を使って実行した後、Save As User CalSetをクリックして終了します。選択した校正セットがアクティブ状態の1ポート校正と同じであることを確かめて、Saveをクリックして終了します。

– Calibration Wizardに、この校正を既存の校正に追加するかどうかを尋ねる文が図11のように表示されるので、OKをクリックして確定します。これが完了すると、1つの校正セットでS11用の1ポート校正とS21用のスルー・レスポンス校正の両方を実行できます。この場合、S11をクリックするとステータス・バー(画面の下部)にC 1-Portが表示され、S21をクリックするとステータス・バーにはC Responseが表示されます。

注記システムZ0の1 Ωへの設定:導波管インタフェースを使ってガイドなし校正を行うときには、システムZ0を1 Ωに手動で設定して、導波管キットを整合させる必要があります。ガイドなし校正では、校正計算中にシステムZ0を使用します。一方、SmartCalは、コネクタ定義によって定義されたZ0を使用し、校正中に自動的に適用されます。

System > Configure > System Z0を選択します。導波管の場合、値1を入力し、OKをクリックします。

1. エンハンスド・レスポンス校正は現在使用 できません。

図11. 既存の校正セットへの校正の追加

– 精密終端、固定ロード、2個 – 精密(フラッシュ)ショート、2個 – 精密挿入A(ライン1)、Null Shim

– 精密挿入B(ライン2)、1/4 Offset Shim

– 調節可能ロード – 精密セクション

OMLの各WG校正キットには、次の標準と、PNA用にフォーマットされた校正定義ファイルを収録したフロッピーディスクが付属しています。

システム校正(誤差補正)

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校正定義ファイルのロードとチェック

各PNAには、Keysight校正キットからの校正定義ファイルが付属しています。OMLからのWG校正キットなど、キーサイト以外の校正キットの場合、最初にファイルをロードし、すべてのアイテムが適切な状態になっていることを確認する必要があります(必要に応じて、独自のWG校正キット・ファイルを作成できます。詳細については、付録Aを参照してください)。

Calibration > Advanced Modify Cal Kit... > Import Kit...を選択します。ドロップダウン・メニューを使って“3 ½ Floppy (A:)”を選択します。インポートするファイルを強調表示し、Openをクリックします。

ファイルをロードすると、図12に示すように、ファイルがInstalled Kitsリストに表示されます。目的のファイルを強調表示し(例ではV05_OML)、キット定義を表示するためEdit Kit...をクリックします。このページで、選択したWG校正キットに対して定義されているすべての標準(および組み合わせ)が表示されます。

図12. 校正定義ファイルのロードとコネクタ定義のチェック

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図14の例は、TRLとSOLTの標準とクラス割り当てを示したものです。これらは、表7に示すように定義されています。図15に、各標準定義の詳細の例を示します。

表7. TRL校正とSOLT校正の標準とクラス割り当て

クラス割り当て クラス・ラベル 選択された標準TRL TRL THRU THRU Thru+Null Shim

TRL REFLECT REFLECT Flush ShortTRL LINE/MATCH LINE Thru+¼ Offset Shim

SOLT S11A、S22A OPENS Short+Null ShimS11B、S22B SHORTS Short+¼ Offset ShimS11C、S22C LOADS Flush Fixed LoadFWD TRANS THRU Thru

図13. オフセット・ロードの定義の例

スルー・リフレクト・ライン(TRL)校正:テスト・ポート基準面の設定テスト・ポート基準面の設定では、Thru StandardかReflect Standardを選択します(図13を参照)。反射標準にフラッシュ・ショートを使用する場合、“Test Port Reference Plane”に対して“Reflect

Standard”を選択します。フラッシュ・ショートにより、スルー標準よりもはるかに高確度の位相基準が得られます。

ショート・オープン・ロード・スルー(SOLT)校正:調節可能ロードOMLの各WG校正キットには調節可能ロードが付属していますが、機械的許容値により、再現性のある結果が得にくいため、ミリ波周波数には適しません。調節可能ロードは、スミス・チャートで円を描こうとするときにステップ・サイズが大きい値から小さい値に変化する場合に適しています。SOLT校正キットの周波数レンジでは、再現性がある結果を得るのは困難です。このため、SOLTのロード標準には固定ロードを使用します。

オフセット・ロードファームウェア6.0のPNAではオフセット・ロードを使用できます。広帯域ロードよりもオフセット・ロードを使用した方が正確に校正できますが、外部接続が必要です。通常、オスセット・ロードには、2つの既知のオフセットと1つのロードエレメントが必要です。このように、一方の接続ではこのロードと第1オフセットが使用され、もう一方ではこのロードと第2オフセットが使用されます。図13はオフセット・ロードの定義を示したものです。

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図14. TRLおよびSOLTのクラス割り当ての例

図15. 標準定義の例。チェックする主要パラメータには、周波数レンジの最小値と最大値、 および遅延とZ0があります。

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構成1:2個のT/Rモジュール(Sパラメータ・テスト・セット)

この構成でフル2ポート校正を使用すると、4つのSパラメータすべて(S11、S21、S12、S22)を測定できます。フル2ポート校正は、TRL校正またはSOLT校正で可能です。これらの校正は、PNAの校正ウィザードのSmartCal(ガイド付き)またはガイドなし校正で使用できます。

例1: WR-12、60~ 90 GHz

機器: E8364B、オプション014、UNL、080、081、H11付き N5260Aテスト・セット・コントローラ WR-12(60~ 90 GHz)T/Rテスト・ヘッド・モジュールセットアップ: IF BW:100 Hz

ポイント数:201

校正: チャネル1:SmartCal、2ポート、Flush Thru、TRL

導波管での2ポート校正の場合、SmartCalのデフォルト設定は、Flush ThruによるTRL校正です。図16に、システムのダイナミック・レンジが90 dBより優れ、トレース・ノイズが±0.10 dBより優れていることを示します。

注記TRL校正

TRL校正に必要なステップは4ステップだけです。各テスト・ポートに1つのリフレクト標準と、1つのスルー、1つのライン(定義された長さを持つセクション)が必要です。

– 基準は、SHORT(リフレクト)標準によって構築する必要があります。

– インピーダンスとしてLINE Z0を選択する必要があります。

SmartCalを使用するときには、これらがデフォルト設定となっています。ガイドなし校正を使用するときには、これらの設定、およびシステムZ0が1 Ωに設定されていること(System > Configure > System Z0)をチェックして確認する必要があります。

SOLT校正

SOLT校正には、TRL校正より3つ多い、7

つのステップが必要です。各テスト・ポートに3つの標準と、1つのスルーが必要となります。

SOLT校正では、未知のスルーを使用できます。SOLT校正はステップ数が多く、TRL校正より確度が低いため、未知のスルーを使用すると利点がある場合にのみ、SOLT校正をお勧めします。例えば、テスト・ヘッドの移動が制限されている場合(ケーブルが動かないようにボルトで留められているなど)には未知のスルーが有効です。こうした場合、未知のスルーを使用するとテスト・ヘッドを動かす必要がありません。あるいは、テスト・ポート・ケーブルが90度になっていて、ストレート・スルーが接続できない場合にも有効です。SOLTが必要な場合は、固定ロードの代わりにオフセット・ロードを使用すると、より正確に校正できます。ただし、校正キットの定義の修正が必要で、校正中の接続回数が増えます。

図16. WR-12、60~ 90 GHz、Flush Thru TRL校正の結果

ダイナミック・ レンジ

トレース・ノイズ

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構成2:1個のT/Rモジュールと1個のTモジュール(T/Rテスト・セット)

図18. WR-05、140~ 220 GHz、トレース・ノイズの比較。右は外部シンセサイザを使用したもので、 左は使用しなかったものです。両方のグラフは、0.10 dB/Divで表示されています。

0.00

–20.00

–40.00

–60.00

–80.00

–100.00

–120.00

140 150 160 170 180 190 200 210 220

Frequency (GHz)

PSG, 10 Hz, Normalized No PSG, 10 Hz, THRU Response Cal

dB

図17. WR-05、140~ 220 GHz、T/RおよびTモジュール。外部シンセサイザを使用した測定と 使用しない測定でのダイナミック・レンジの比較

この構成では、2つのSパラメータ(S11とS21)のみを測定できます。この2つのパラメータの同時補正測定を行うには、トレースS11用に1ポート校正を実行した後でトレースS21用にスルー・レスポンス校正(ノーマライゼーション)を実行します。結果は、2つのトレースに対して1つの校正セットで行ったことになります。

1ポート校正は、SmartCal(ガイド付き)またはガイドなし校正で使用できます。スルー・レスポンス校正(ノーマライゼーション)は、ガイドなし校正でのみ使用できます(表6を参照)。

例2: WR-05、140~ 220 GHz

機器: E8364B、オプション014、UNL、080、081、H11付き N5260Aテスト・セット・コントローラ WR-05(140~ 220 GHz)T/RおよびTテスト・ヘッド・モジュールE8257D、オプ

ション520およびオプションUNR付き、2台セットアップ: IF BW:10 Hz

ポイント数:201

図17は140~ 220 GHzの周波数レンジでのダイナミック・レンジ、図18はS21のトレース・ノイズを比較したものです。どちらも、外部シンセサイザにはKeysight PSGシリーズを使用しています。ダイナミック・レンジは平均で最大10 dB、トレース・ノイズは220 GHz近傍の0.05 dB未満から現実的には存在しないまで、性能が向上しているのが分かります。

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例3: WR-03、220~ 325 GHz

機器: E8364B、オプション014、UNL、080、081、H11付き N5260Aテスト・セット・コントローラ WR-03(220~ 325 GHz)T/RおよびTテスト・ヘッド・モジュール E8257D、オプション520およびUNR付き(2台)セットアップ: IF BW:10 Hz

ポイント数:201

図19は、220~ 325 GHzの周波数レンジでのダイナミック・レンジ、図20はS21のトレース・ノイズを比較したものです。前述の例(WR-05)と同様に、どちらの場合も、外部シンセサイザにはKeysight PSGシリーズを使用していますが、より高い周波数レンジでは性能が大幅に向上していることが分かります。ダイナミック・レンジは平均で最大20 dB、トレース・ノイズは300 GHz近傍で0.20 dBから0.02 dB未満にまで、10倍以上も性能が向上しています!

図19. WR-03、220~ 325 GHz、T/RおよびTモジュール。外部シンセサイザを使用した測定と 使用しない測定でのダイナミック・レンジの比較

図20. WR-03、220~ 325 GHz、トレース・ノイズの比較。右は外部シンセサイザを使用したもので、 左は使用しなかったものです。両方のグラフは、0.20 dB/Divで表示されています。

Frequency (GHz)

PSG, 10 Hz, Normalized No PSG, 10 Hz, THRU Response Cal

dB

0.00

–20.00

–40.00

–60.00

–80.00

–100.00

–120.00

220 230.5 241 251.5 262 272.5 283 293.5 304 314.5 325

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図21. 屋内アンテナ測定用PNAバンド別ミリ波ソリューション。送信側(左)はOML T/Rモジュールを 使用し、受信側(右)はOML Dual Tモジュールを使用します。Dual Tモジュールは、アンテナの 垂直方向と水平方向の測定に最適です。

OML導波管ヘッド

DMLデュアル・リア・ヘッド

受信AUT

V

H

N5260A KD1

リフレクタ

E836X O14、UNL、081、D16、H11

ポート1 ポート2

V = B R1H = R2 R1S11 = A.R1

最大3 m

最大2 m送信フィードOML TRヘッド

OML導波管ヘッド

N5260Aテスト・セット・コントローラ

R1A B

R2

LO LO

RF RF

IF1 IF2 IF3 IF4LO RF

アプリケーション例

例1:アンテナ測定

以下は、2つのアンテナ構成の例です。詳細は、「アンテナ・テスト」(カタログ番号5968-

6759JAJP)を参照するか、www.keysight.co.jp/find/antenna をご覧ください。

図22. 屋外アンテナ測定用PNAバンド別ミリ波ソリューション。送信側(左)はOML T/Rモジュールを使用し、受信側(右)はOML Dual Tモジュールを使用します。Dual Tモジュールは、アンテナの垂直方向と水平方向の測定に最適です。

OML導波管ヘッド

OML導波管ヘッド

送信フィードOML TRヘッド

DMLデュアル・リア・ヘッド

最大3 m最大2 m

N5260A KD1

受信AUT

V

H

E836XX H11 PNA

ポート1 ポート2

V = B R1H = R2 R1S11 = A.R1

R1A B

R2

IF1 IF2 IF3 IF4LO

LO LO

RF

RF RFN5260Aテスト・セット・コントローラ

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例2:パルスド測定

バンド別ミリ波構成では、N5260Aミリ波コントローラのフロントまたはPNAのリアから来るRF

信号をパルス変調できます。どちらの場合も、変調器およびPNAのBゲートにパルスを提供するため、デュアル出力パルス・ジェネレータ(Keysight 81110A)が必要です。Vバンド(50~ 75 GHz)とWバンド(75~ 110 GHz)に対して、ポイント・イン・パルスとパルス・プロファイリングを測定できます。

図23は、N5260Aミリ波コントローラ、テスト・ヘッド・モジュール、パルス変調器(Keysight

Z5623AH81)の接続図です。このパルス変調器は単方向性であるため、ポート1パスにのみ接続されます。この構成では、変調器がN5260Aのフロントから出力されるCW信号を取り込み、パルスドRF信号をポート1のテスト・ヘッド・モジュールへ送り、次に被試験デバイス(DUT)へパルスドRF信号が供給されます。

図23. N5260Aミリ波コントローラのフロントから来るRF信号をパルス変調

Port 2Port 1

0 1

Reference 2

Port 2RCVR B IN

CPLR ARM

SOURCE OUT

CPLRTHRU

SOURCE OUT

RCVRR2 IN

Reference 1

Port 1RCVR A IN

CPLR ARM

SOURCE OUT

CPLRTHRU

SOURCE OUT

RCVRR1 IN

N5260A

E8361A Network Analyzer 45 MHz to 67 GHz

Millimeter Head Controller

LINE

Port 1

Port 1Port 2

Port 2

RF OUTRF OUT

LO O

UT

BIAS

2 AMP Fuse

2 AMP Fuse

R1

R2 IF

A IF

B IF

RF IN

RF IN

LO IN

LO IN

Ref I

F

Ref I

F

Test

IF

Test

IF

Bias

Bias

LO O

UT

BIAS

GPIB

XZ5623A H81

81110A

IF

OMLテスト・ヘッド OMLテスト・ヘッド

パルス入力

クロック入力10 MHz出力

Bゲート

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図24に、PNAとN5260Aミリ波コントローラとの間に配置されたパルス変調器を示します。この構成では、変調器がPNAのリア・パネルから出力されるCW信号を取り込み、パルスドRF信号をN5260A

ミリ波コントローラに送ります。パルス変調器は単方向性であるものの、この構成ではパルスドRF信号がポート1と2の両方に提供されます。コントローラ内部にスイッチが存在するため、ミリ波コントローラへの入力はすべて、ポート1と2の両方に供給されるからです。図25は100 GHzでの各パルス・プロファイリングの測定結果を比較したものですが、フロントとリアのパルスド信号に差がないことが分かります。

図24. PNAからのRF信号をパルス変調

RF LO B R2RF

LO

A IF

R1 IF

R1 A

R2 IF

B IF

B R2 LOR1 A RF Z5623A H81

81110A

GPIB

X

テスト・セットI/O

10 MHz出力

クロック入力

パルス入力

テスト・セット・インタフェース

テスト・セット相互接続

Pulsed RF from FRONT

Pulsed RF from REAR

PRF:250 kHzPRI:4 msIF BW:145 Hz信号源:PW、2 ms(50 %)信号源:遅延、500 nsB:PW、20 ns(0.5 %)B:遅延、1 ms

図25. N5260AとPNAからのパルス変調されたRF信号の100 GHzでのパルス・プロファイリングの 測定結果

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例3:材料測定

図26はWバンド(75~ 110 GHz)での材料測定の構成例です。このアプリケーションでは、テスト信号の送受信用に、2個のWバンド導波管ホーンとテスト・ヘッドの調整が必要です。さらに、図のアプリケーションを使用するには、2個のT/Rテスト・ヘッド(Sパラメータ・セットアップ)が必要です。詳細は、www.keysight.co.jp/find/materials をご覧ください。

図26. 材料測定ソフトウェアとFree Space校正技術によるミリ波での材料測定。

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1. Calibration > Advanced Modify Cal Kit > Insert Newを選択します。2. “Kit Name”と“Kit Description”を入力し、“Add or Edit”をクリックしてコネクタ情報を入

力します(図27)。

付録A: 導波管(WG)校正キット用カスタム定義ファイルの作成

“Kit Name”と“Kit Description”を入力します(“Kit Name”は、次に“Advanced Modify Cal Kit”をクリックしたときに“installed kits”リストに表示されます)。

“Add or Edit”をクリックしてコネクタ情報を入力します。

“Connector Family”を入力します。この説明は、“Edit Kit”ページに戻ったときに“Connector Description”の下に表示されます。

導波管媒体に対して“No Gender”を選択します。

“Min Frequency Range”は“Cutoff Frequency”と同じです。

デフォルトは“50”です。導波管の場合、“1”を入力します。

デフォルトは“COAX”です。ドロップダウン・メニューを使って“WAVEGUIDE”を 選択します。

図27. 校正キット名を入力

3. “Connector Family”、“Frequency Range”(最小周波数=カットオフ周波数)を入力し、“Z0;”に1

を入力し、“No Gender”と“WAVEGUIDE”を選択します(図28)。

図28. コネクタ(WG)の説明を入力

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4. OKをクリックします。これにより“Edit Kit”ページに戻ります(ページの名前はダイアログ・ボックスの左上隅に表示されます)。“Add”をクリックして、標準を追加します(図29)。

(“Add or Edit Connector”ページの)OKをクリックして“Edit Kit”ページに戻ると、コネクタ情報が表示されます。

“Add”をクリックして、 標準を追加します。

図29. 完了したコネクタ説明と、標準の追加

5. 導波管の場合、最適な校正技術はスルー・リフレクト・ライン(TRL)です。TRLの方が高確度で、SOLTの方がステップ数が多いので、SOLTを使用する理由はほとんどありません。したがって、TRLやライン・リフレクト・ライン(LRL)などのバリエーションの場合、次の標準を追加できます。

TRL THRU Thru(0遅延) REFLECT Flush Short(0遅延) LINE Thru、オフセット(既知の遅延)を使用

LRL LINE 1 Thru、オフセット1(既知の遅延)を使用 REFLECT Flush Short(0遅延) LINE 2 Thru、オフセット2(異なる既知の遅延)を使用

しかし、SOLTが必要な場合は、オフセット・ロードを固定ロードの代わりに使用できます。オフセット・ロードを使用することで、広帯域ロードの場合よりも正確な校正を実行できます。以下の標準が必要です:

SOLT SHORT Flush Short

OPEN Flush ShortおよびOffset

OFFSET LOAD Load、オフセット1(既知の遅延)を使用 Load、オフセット2(異なる既知の遅延)を使用 THRU Thru(0遅延)

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標準をクリックして選択します。例ではSHORTを選択しています(図30、左)。これにより“Shorts”ページが表示されます。注意する主要パラメータは、周波数レンジ、遅延値(適用可能な場合)、Z0の値です(図30、右)。OKをクリックすると、“Add Standard”ページに戻ります。すべての標準を追加するまでこのステップを繰り返します。図31に、THRU標準の追加を示します。

図30. SHORT標準を追加

図31. THRU標準の追加

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6. すべての標準を追加した後、“Add Standard”ページでOKをクリックし、“Edit Kit”ページに戻ります。追加された標準が表(図33、左)に表示されます。“Class Assignments”の下で、ドロップダウン・メニューを使って“TRL”(または“SOLT”)を選択し、Editをクリックします。これにより“Class Assignments”ページが表示されます。図33(右)では“Class

Assignments”としてTRLが示されています。選択した各“Class”に対して、左側の標準を強調表示し、中央の“>>”ボタンをクリックして、標準を右の“Selected Standards”の下に移動します。

ドロップダウン・メニューを使って“TRL”を選択し、“Edit”をクリックして標準の各クラスへの割り当てを行います。

追加したすべての標準がこのリストに表示されます。

1個の固定ロードと2個の長さの異なるオフセットを追加すると、オフセットロードを定義できます。図32は“Loads”ページです。デフォルトは“Fixed Load”に設定されていますが、この図では“Offset Load”が選択されていて、“Offset Load Definition”領域がアクティブとなり、ドロップダウン・メニューを使って各標準エレメントを選択します。“Fixed Load”ではアクティブな“Delay Characteristics”領域は、非アクティブになります。

図32. オフセット・ロード標準の追加

図33. クラスTRLに対する標準の割当て

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図34. クラスSOLT(オフセット・ロードなしの場合)に対する標準の割当て

7. 最後にOKをクリックして“Edit Kit”ページに戻り、もう一度OKをクリックして“Edit PNA Cal

Kits”ページに戻ります。この時点で、“Installed Kits”リストの下に作成したばかりのキットが表示されます(図35)。

図35. 作成を終了した校正キット・ファイル

8. これで、導波管での校正の準備が整いました。

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図36. SmartCalとDUTコネクタを選択

付録B: 校正の実行

Ⅰ. SmartCal、2ポート校正

1. Calibration > Calibration Wizard ...を選択します。2. SmartCal (GUIDED Calibration)を選択し、Next>をクリックします(図36、上部)。3. Cal Typeを選択し、Next>をクリックします(図36、中央)。4. ドロップダウン・メニューとスクロール・バーを使って、DUTコネクタを選択します(図36、

下部)。ドロップダウン・メニューを使って、DUTコネクタに合う校正キットを選択します。デフォルトのCal Methodは2-Port、Defined Thru、TRLです。また、“Modify Cal”が選択されていない場合は、図37のステップはスキップされます。Next>をクリックします。

ドロップダウン・メニューを使ってDUTコネクタを選択します。

“Modify Cal”を選択すると、 図36のステップが表示され ます。

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5. “Modify Cal”を選択すると、Cal Typeを変更できます。図37(上部)はCal Type: TRLを示しています。Mod Stdsをクリックして右側のドロップダウン・メニューを使って別の校正タイプを選択できます。図37(中央)はSOLTが選択されている状態です。OKをクリックして前の画面に戻り、今度はCal Type: SOLTを表示します(図37、下部)。

図37. Cal Typeの変更

6. 校正を開始します。各画面ショット(図38)の左上隅に示されるように、2ポート、Flush

Thru、TRL校正には4つのステップが含まれます。この例ではOMLの校正キットを使用しています。

Step 1:ポート1、Short

Step 2:ポート2、Short

Step 3:ポート1、THRU+NULL Shim、Port 2

Step 4:ポート1、THRU+1/4 Offset Shim、Port 2

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図38. 2ポート、Flush Thru、TRL校正のステップ(OMLの校正キットを使用)

7. これで2ポート、Flush Thru、TRL校正が終了しました。

その他の方法:OMLの校正キットを使用して、オフセット・ロードによるSOLT校正を実行するには以下の9ステップが必要です:

Step 1:ポート1、Short+NULL Shim

Step 2:ポート1、Short+1/4 Offset Shim

Step 3:ポート1、THRU+NULL Shim、Load

Step 4:ポート1、THRU+1/4 Offset Shim、Load

Step 5:ポート2、Short+NULL Shim

Step 6:ポート2、Short+1/4 Offset Shim

Step 7:ポート2、THRU+NULL Shim、Load

Step 8:ポート2、THRU+1/4 Offset Shim、Load

Step 9:ポート1、Port 2

OMLの校正キットを使用して、固定ロードによるSOLT校正を実行するには以下の7ステップが必要です:Step 1:ポート1、Short+NULL Shim

Step 2:ポート1、Short+1/4 Offset Shim

Step 3:ポート1、Load

Step 4:ポート2、Short+NULL Shim

Step 5:ポート2、Short+1/4 Offset Shim

Step 6:ポート2、Load

Step 7:ポート1、Port 2

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Ⅱ. SmartCal、1ポート校正

1. Calibration > Calibration Wizard...を選択します。2. SmartCal (GUIDED Calibration)を選択し、Next>をクリックします(図39、上部)。3. Cal Typeを選択します。1ポート校正のテスト・ポートとして、ポート1とポート2が選択でき

るので注意してください。Next>をクリックします(図39、中央)。4. ドロップダウン・メニューを使ってDUTコネクタを選択します(図39、下部)。また、ドロッ

プダウン・メニューを使ってDUTコネクタに適合する校正キットを選択できます。この例でのCal Methodは単に1ポート校正です。さらに、“Modify Cal”が選択されていない場合は、図40はスキップされます。Next>をクリックします。

ドロップダウン・メニューを使ってDUTコネクタを選択します。

5. “Modify Cal”を選択すると図40のスクリーンが表示されます。しかし、1ポート校正の場合、SOL校正のみに制限されます。このため、“Modify Cal”をクリックしても選択肢は表示されません。Cal TypeはOne Portのままです。

図39. SmartCalとDUTコネクタを選択。

図40. Modify Calディスプレイの表示

“Modify Cal”を選択すると 図39のステップが表示され ます。

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6. 校正を開始します。各画面ショットの左上隅に示されるように(図41)、1ポート校正には3つのステップが含まれます。この例ではOMLの校正キットを使用しています。

Step 1:ポート1、Short+Null Shim

Step 2:ポート1、Short+1/4 Offset Shim

Step 3:ポート1、Load

7. これで1ポート校正が終了しました。

その他の方法:OMLの校正キットを使用して、オフセット・ロードによる1ポートSOLT校正を実行するには以下の4ステップが必要です:

Step 1:ポート1、Short+NULL Shim

Step 2:ポート1、Short+1/4 Offset Shim

Step 3:ポート1、THRU+NULL Shim、Load

Step 4:ポート1、THRU+1/4 Offset Shim、Load

図41. 1ポート校正のステップ

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Ⅲ. ガイドなし校正、スルー・レスポンス

1. Calibration > Calibration Wizard...を選択します。2. UNGUIDED Calibrationを選択し、Next>をクリックします(図42、上部)。3. ガイドなし校正の場合は、デフォルト(または最後に使用したキット)が使用するものと異なる場合

が多いので、ここで校正キットの選択が必要です。View/Select Cal Kitをクリックして(図42、中央)、スクロール・バーを使って校正キットを選択します(図42、下部)。OKをクリックします。

図42. ガイドなし校正を選択して、校正キットを選択。

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4. 前のページに戻ると、校正キット情報が更新されています(図43、上部)。左側でResponse

が強調表示されていることを確認してください(強調表示されていない場合は、これをクリックします)。Next>をクリックしてレスポンス校正を開始します。

レスポンス校正の選択は、アクティブ・トレースによって異なります。アクティブ・トレースがS11の場合は、反射レスポンスの標準選択が図43の中央のように表示されます。アクティブ・トレースがS21の場合は、伝送レスポンスの標準選択が図43の下部のように表示されます。

図43. レスポンス校正と、反射レスポンスおよび伝送レスポンスに関連する標準の選択

5. これで、レスポンス校正が完了しました。

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付録C: 導波管(WG)インタフェースの手入れミリ波では低周波数のときよりも、表面を清潔に保つことが非常に重要です。表面上のごみが測定に加わると、測定結果が歪む可能性があるからです。

WGインタフェースの手入れは簡単です。汚れやほこりは次のツールを使って除去できます。 – イソプロピル・アルコール99.5 %

– けばのない布 – ほこりを除去するための圧縮空気

表面から汚れを除去するには、けばのない布にイソプロピル・アルコールを数滴たらして、表面を軽く拭きます。

ほこりを除去するには、表面に圧縮空気を吹きかけます。

付録D: 補足データ

図17~図20から分かるように、外部シンセサイザを140~ 220 GHz(WR-05)、220~ 325 GHz

(WR-03)のより高い周波数レンジで使用すると、ダイナミック・レンジはそれぞれ最大10 dB、20 dB向上し、トレース・ノイズも改善されます。下の図44~図46から、PSGシリーズを外部シンセサイザとして使用した場合は、超低位相雑音のオプションUNXのあるなしで差がないことが分かります。220~ 325 GHzの周波数レンジのみを説明しているのは、差異が大きな場合に低周波レンジよりもこの周波数レンジで明確にわかるからです。この比較から、オプションUNXのあるなしで差がないことが分かります。

トレース・ノイズの場合は、伝送(S21)および反射(S11)の両方でオプションUNXはほとんど関係しません。S21では290 GHz以上、S11では305 GHz以上のワーストケースでも差は±0.0300 dB未満です。

以上の測定結果より、外部シンセサイザとして使用する場合は、PSG構成にオプションUNXを付ける必要はありません。

S21、トレース・ノイズ

-0.060000

-0.040000

-0.020000

0.000000

0.020000

0.040000

0.060000

220 241 262 283 304 325

周波数(GHz)

トレース・ノイズ(

dB)

標準のPSG オプションUNX付きPSG

図44 PSGに超低位相雑音のオプションUNXを付けた場合と付けない場合での、S21トレース・ノイズの測定結果の比較

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図45. 外部シンセサイザとしてのPSGに超低位相雑音のオプションUNXを付けた場合と付けない場合での、S21のダイナミック・レンジの測定結果の比較

図46. 外部シンセサイザとしてのPSGに超低位相雑音のオプションUNXを付けた場合と付けない場合での、S11トレース・ノイズの測定結果の比較

S21、ダイナミック・レンジ

-120.00

-100.00

-80.00

-60.00

-40.00

-20.00

0.00

241 262 283 304 325

周波数(GHz)

ダイナミック・レンジ(

dB)

標準のPSG オプションUNX付きPSG

220

S11、トレース・ノイズ

-0.060000

-0.040000

-0.020000

0.000000

0.020000

0.040000

0.060000

220 241 262 283 304 325

周波数(GHz)

トレース・ノイズ(

dB)

標準のPSG オプションUNX付きPSG

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PSG信号発生器:

www.keysight.co.jp/find/psg電子計測アクセサリ:

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