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95 ISCED(国際教育標準分類)を用いた 比較教育分析の試み: 学校種間の接続を検討事例として 吉田 重和・佐藤 裕紀 キーワード:ISCED、国際教育標準分類、多国間比較、比較教育分析、オランダ、デンマーク、接続、中等 教育 【要 旨】ISCEDInternational Standard Classification of Education;国際教育標準分類)とは、ユネスコ United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization; UNESCO)が策定した国際統計上のフレーム ワークであり、教育分野における多国間比較を可能とすることが策定目的の一つに挙げられている。しかし ながら、多国間比較を扱うことが多い比較教育研究において、ISCED を用いた比較教育分析の蓄積は必ず しも十分とはいえない。この点を踏まえ本論文では、オランダ及びデンマークにおける前期中等教育から後 期中等教育への接続状況を検討事例として設定した上で、両事例を分析の俎上に載せた比較教育分析を試行 し、その在り方について検討を加えた。すなわち本研究は、二国間の比較教育分析を試行的に実施しながら、 ISCED2011を活用した比較教育研究の実施可能性について検討するものでもあるといえる。本研究により、 比較教育研究における指標としてのISCED の重要性と可能性が検証され、比較教育分析の方法論的深化の端 緒が示された。その端緒とは、従来の比較教育研究において各国・地域の文脈に基づき「ターム」として示 されていた内的事象の一部が、国際統計として合意を得た「コード」として示されうることを意味している。 比較教育研究を実施する上で対象国の並置が求められることを想起したとき、ISCED を用いることは、研究 対象の内実の一部を共通記号である「コード」として可視化するという点に、その意義を見出すことができる。 1.はじめに 世界各国の教育システムは、社会全体のグローバル化が著しく進展した今日であっても、固有 の構造やカリキュラムなどを有しており、総じて多様である。このような状況においては、各国 の教育システムに関する比較可能性を担保する工夫なくしては、教育の内的データに着目して国 際比較及び比較教育研究を行うことは困難である。この点については、佐々木が、1990年代の日 本の比較教育研究の状況について論究した松崎の見解に言及し、「信頼できる政府統計を備えて いる国は少なく、各国について同質・同量の情報をそろえることは困難である(佐々木 1994: 9)」と整理したことからも明らかなように、長年にわたり、国際比較や比較教育研究の課題と して認識されてきた。佐々木の言及を踏まえて改めて整理すれば、対象国について同質・同量の 信頼できる情報をそろえるためには、「データの比較可能性が担保されていることが肝要」(UIS 2012:iii)になってくるといえる。 このような背景がある中で、国家間の比較を可能とすべく、教育統計の標準的なフレーム ワークとして1970年代に開発・運用されはじめたのが国際教育標準分類(International Standard

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ISCED(国際教育標準分類)を用いた比較教育分析の試み:学校種間の接続を検討事例として

吉田 重和・佐藤 裕紀

キーワード: ISCED、国際教育標準分類、多国間比較、比較教育分析、オランダ、デンマーク、接続、中等

教育

【要 旨】ISCED(International Standard Classification of Education;国際教育標準分類)とは、ユネスコ

(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization; UNESCO)が策定した国際統計上のフレーム

ワークであり、教育分野における多国間比較を可能とすることが策定目的の一つに挙げられている。しかし

ながら、多国間比較を扱うことが多い比較教育研究において、ISCEDを用いた比較教育分析の蓄積は必ず

しも十分とはいえない。この点を踏まえ本論文では、オランダ及びデンマークにおける前期中等教育から後

期中等教育への接続状況を検討事例として設定した上で、両事例を分析の俎上に載せた比較教育分析を試行

し、その在り方について検討を加えた。すなわち本研究は、二国間の比較教育分析を試行的に実施しながら、

ISCED2011を活用した比較教育研究の実施可能性について検討するものでもあるといえる。本研究により、

比較教育研究における指標としての ISCEDの重要性と可能性が検証され、比較教育分析の方法論的深化の端

緒が示された。その端緒とは、従来の比較教育研究において各国・地域の文脈に基づき「ターム」として示

されていた内的事象の一部が、国際統計として合意を得た「コード」として示されうることを意味している。

比較教育研究を実施する上で対象国の並置が求められることを想起したとき、ISCEDを用いることは、研究

対象の内実の一部を共通記号である「コード」として可視化するという点に、その意義を見出すことができる。

1.はじめに

世界各国の教育システムは、社会全体のグローバル化が著しく進展した今日であっても、固有の構造やカリキュラムなどを有しており、総じて多様である。このような状況においては、各国の教育システムに関する比較可能性を担保する工夫なくしては、教育の内的データに着目して国際比較及び比較教育研究を行うことは困難である。この点については、佐々木が、1990年代の日本の比較教育研究の状況について論究した松崎の見解に言及し、「信頼できる政府統計を備えている国は少なく、各国について同質・同量の情報をそろえることは困難である(佐々木 1994:9)」と整理したことからも明らかなように、長年にわたり、国際比較や比較教育研究の課題として認識されてきた。佐々木の言及を踏まえて改めて整理すれば、対象国について同質・同量の信頼できる情報をそろえるためには、「データの比較可能性が担保されていることが肝要」(UIS 2012:iii)になってくるといえる。このような背景がある中で、国家間の比較を可能とすべく、教育統計の標準的なフレームワークとして1970年代に開発・運用されはじめたのが国際教育標準分類(International Standard

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Classification of Education; ISCED、以下 ISCED)である。ユネスコ(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization; UNESCO)が開発・運用している ISCEDは、その後改訂が加えられ、現在は ISCED2011として機能している。しかしながら、先に挙げたような研究遂行に関する方法上の課題を長年抱えているにも関わらず、比較教育研究の文脈でISCED2011に着目し、その機能性や有効性を検討した論考は、管見の限り見当たらない1。上述の状況を踏まえ、ここで改めて比較教育研究における手順の基本について確認してみたい。長島は、1960年代以降にヒルカー(Hilker, F.)やベレディ(Bereday, G.Z.F.)らにより提唱された段階比較法について、①記述、②解釈、③並置(対置)、④比較の諸段階を以下のように整理している(長島 2014:9)。

①記述の段階では、比較する教育の現象をできる限り綿密に記述する。そのためには資料や情報が必要であり、調査旅行、学校訪問などが行われる。②解釈は、記述された情報を、吟味する段階である。その際、(略)様々な面から社会科学的な分析が試みられることになる。③並置(対置)は、比較への移行過程であり、解釈された内容から統一的な概念や仮説を導き出す段階とされる。この概念や仮説がさらに分析され、証明されるのが④比較の段階である。

この段階比較法については、仮説検証を目的に据えた点を捉え、「科学としての比較教育学の発達に大きく貢献した」一方、「並置(juxtaposition)の段階で定立される仮説の検証のための比較分析の手順が明確にされない点に課題がある(杉村 2011:277)」とされている。比較教育研究における手順の課題をこのように認識した上で ISCEDに目を向けたとき、とりわけ国単位での教育システムを研究対象とする場合、その機能性と有効性が注目に値しよう。すなわち、標準のフレームワークである ISCEDに即して、それぞれの教育プログラムに対して当該国が自ら割り振った「3桁のコード(Three-digit coding)(UIS 2012:21)」は、データの比較可能性を担保する指標として有効だと考えられる。少なくとも、二国間の教育システム内にある何らかの内的事象を研究対象として設定する場合、ISCEDにおけるコードは、並置して比較分析する際の始点として機能することが期待される。以上の点を踏まえ本論文では、オランダ及びデンマークにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況を検討事例として設定した上で、両事例を分析の俎上に載せた比較教育分析を試行し、その在り方について検討を加えてみたい。分岐型の公教育システム上に多様な中等教育機関が展開しているオランダとデンマークは、これらの教育機関の多元性がその外形から明らかではないという点において、ISCEDの機能性と有効性を検討する本研究の検討事例として適切であると考えられる。本研究は、二国間の比較教育分析を試行的に実施しながら、ISCED2011を活用した比較教育研究の実施可能性について検討するものでもあるといえる。

2.ISCEDの概要

先述したように ISCEDとは、多国間比較を可能とするためにユネスコにより策定された、教育統計を分類・報告するための標準的なフレームワークである。現在機能しているISCED2011

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97ISCED(国際教育標準分類)を用いた比較教育分析の試み:学校種間の接続を検討事例として

は、1970年代に開発され、1997年に改訂された ISCED1997の改訂版であり、2011年11月に開催された第36回ユネスコ総会により承認されている。大がかりな改訂を経て公開されたISCED2011は、「世界各国で進んでいる教育システムの進展を反映し、教育統計に関しこれまで以上に国際比較可能で信頼性が高い指標として貢献する(UIS 2012:iii)」ことが期待されている。

表1 ISCED2011における前期中等教育及び後期中等教育のコード

レベル名称

レベルコード

カテゴリ名称

カテゴリコード

サブカテゴリ名称

サブカテゴリコード

前期中等教育

2 普通教育 4

未修了/未接続 1一部修了/未接続 2修了/未接続 3修了/接続 4

2 職業教育 5

未修了/未接続 1一部修了/未接続 2修了/未接続 3修了/接続 4

後期中等教育

3 普通教育 4

未修了/未接続 1一部修了/未接続 2修了/未接続 3修了/接続 4

3 職業教育 5

未修了/未接続 1一部修了/未接続 2修了/未接続 3修了/接続 4

 出所:UIS(2012:21-22より筆者作成)

ISCED2011を通して提示されるすべての教育プログラムは、レベル(level)、カテゴリ(category)、サブカテゴリ(sub-category)からなるコード体系に従い、3桁の数字が割り振られる。1桁目のレベルは、「就学前教育(レベル0)」から「高等教育の大学院博士課程(レベル8)」までの9つの教育段階に、「分類なし(レベル9)」を加えた10種類の数字で表される。続く2桁目のカテゴリは、「職業教育(カテゴリ5)」や「普通教育(カテゴリ4)」などで表される7つのプログラム内容2を示す数字があてられる。最後に3桁目のサブカテゴリは、プログラム修了の状態及び修了に伴う上位の教育段階へのアクセスなどについて、「プログラムの修了認定は ISCEDレベルの修了を満たしているが、上位の ISCEDレベルのプログラムへの直接的なアクセスはない(サブカテゴリ3)」や「プログラムの修了認定は ISCEDレベルの修了を満たしていて、上位の ISCEDレベルのプログラムへの直接的なアクセスがある(サブカテゴリ4)」などの10種類の表現で表される(UIS 2012:21-22)。これらを踏まえ、次節以降で取り扱う前期中等教育及び後期中等教育のコード例について、表1に示した。

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最後に、次節以降で取り扱う前期中等教育(ISCEDレベル2)及び後期中等教育(ISCEDレベル3)について確認しておきたい。ISCED2011によれば、前期中等教育の主たる特徴とは以下の通りである(UIS 2012:33)。

• 通常は ISCEDレベル1の学習成果の上に設計されている。その目標は、たいてい、教育制度がその上に継続する教育機会を広げることができる、生涯学習と人間発達の基盤を形成することである。• ISCEDレベル2のプログラムは、たいてい、幅広い科目を横断する理論的概念を導入する、より科目志向のカリキュラムで組織化されている。教員は、通常、特定の科目に関する教育学的訓練を受けており、一つのクラスの生徒たちには、ISCEDレベル1よりも、教授する科目に関して専門的知識を有する様々な教員がいるかもしれない。• ISCEDレベル2は、6年間が最も一般的な期間である ISCEDレベル1の教育の4年目から7年目より後に開始される。生徒は、通常、10歳から13歳の間に ISCEDレベル2に入学する(12歳が最も一般的である)。• ISCEDレベル2に分類されるプログラムは、中等学校(secondary school)、前期中等学校(junior

secondary school)、ミドルスクール(middle school)、中学校(junior high school)など多くの学校で提供される。

また、後期中等教育の主たる特徴とは以下の通りである(UIS 2012:38)。• 通常は、高等教育の準備のための中等教育を修了するため、雇用と関連した技能を提供するため、またはこれらの両方のために設計されている。• この段階のプログラムは、生徒に、ISCEDレベル2のプログラムよりも多様で、専門的かつ深い指導を提供する。プログラムは、選択枠や利用できるコース(streams)の増加に伴い、分化している。教員は、特に高学年では、教授する科目または専門領域に関して、しばしば高度な資格を有している。• ISCEDレベル3は、ISCEDレベル1の開始から8年間から11年間の教育の後に開始される。生徒はこの段階に、通常、14歳から16歳の間に入学する。ISCEDレベル3のプログラムは、たいてい ISCEDレベル1の開始から12年間または13年間で終わる(または17歳、18歳あたり)が、通算期間では12年間が最も一般的である。• ISCEDレベル3に分類されるプログラムは、中等学校、後期中等学校(senior secondary school)、高等学校((senior)high school)など多くの学校で提供される。

これらの特徴を前提としつつ、レベルやカテゴリ、サブカテゴリにて示されている基準にしたがい、各国は自身の教育システム内のプログラムに3桁のコードを振ることになる。次節以降、ISCEDの具体的運用について、事例を通して確認していく。

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3.オランダの事例分析:前期中等教育修了後の接続に着目して

本節及び次節では、ISCEDを用いた比較教育研究の可能性を検証すべく、事例の分析を行っていく。本節ではオランダの前期中等教育機関及び前期中等教育修了後の接続を、次節ではデンマークのそれを各々提示する。なお両国の ISCEDに関するデータについては、ユネスコのウェブサイト3に掲出されているものを参照した。

3-1.オランダの前期中等教育プログラム

オランダの前期中等教育プログラムは下記表2の通りである。表2から、後期中等教育に接続されていないプログラム(コード【253】実地教育)の存在を確認することができる。また職業教育の一部に、就学形態・時間によって複数のプログラム(コード【254】職業教育(助手レベル)フルタイム学校教育・デュアルプログラム、コード【254】職業教育(助手レベル)パートタイム学校教育プログラム)が併存している。ただしコードの性質上、就学形態・時間による区分はなされていないことがわかる。

表2 オランダの前期中等教育プログラム

コード 名称(日本語)/在籍者数 名称(蘭語・英語)253 実地教育/28,051人 蘭:Praktijkonderwijs  英:Practical training

254職業教育(助手レベル):フルタイム学校教育・デュアルプログラム/19,116人

蘭:WEB-assistentenopleiding, voltijd bol en bbl英: Vocational education: training to assistant level; (level 1); full time

school based and dual programmes

254職業教育(助手レベル):パートタイム学校教育プログラム/222人

蘭:WEB-assistentenopleiding, deeltijd bol英: Vocational education: training to assistant level; (level 1); parttime

programmes, school based

244 職業準備中等教育/427,465人

蘭: Voorbereidend middelbaar beroepsonderwijs (VMBO) (beroepsgerichte, gemengde en theoretische leerwegen)

英: Pre-vocational secondary education (icluding programmes with prevocational content, general content and mixed content)

244 一般中等教育(HAVO-VWOクラス1-3)/286,825人

蘭:HAVO en VWO klas 1-3, en de gecombineerde AVO klassen 1-3英: Junior general secondary education (first three grades of HAVO and

VWO and combined classes)

244 特別中等教育/37,595人 蘭:Expertisecentra-voortgezet onderwijs英:Secondary special needs education in Centres of Expertise

244 一般中等教育(成人対象)/2,327人

蘭:VAVO-MAVO-niveau英:Junior general secondary education for adults

出所: UNESCOウェブサイト ISCED Mappings(http://uis.unesco.org/en/isced-mappings)のオランダに関するデータより筆者作成。なお各機関の名称の邦訳については、見原(2016;284)などを参照した。

3-2.オランダの後期中等教育プログラム

続いて、オランダの後期中等教育プログラムについて、表3に示す。表3から、高等教育に接続していないプログラム(コード【353】職業教育(職業教育(基礎レベル):フルタイム学校教育・デュアルプログラム、職業教育(基礎レベル):パートタイム学校教育プログラム、職業教育(上級レベル):フルタイム学校教育・デュアルプログラム、職業教育(上級レベル):パート

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タイム学校教育プログラム)が、就学形態・時間・プログラム内容により複数展開されていることがわかる。他方で職業教育・普通教育の別を問わず、接続先の学校種を限定するプログラムが存在する(たとえば、コード【344】上級中等教育(VWOレベル)など)が、これらについても、コード上の区分はなされていない。

表3 オランダの後期中等教育プログラム

コード 名称(日本語)/在籍者数 名称(蘭語・英語)

353職業教育(基礎レベル):フルタイム学校教育・デュアルプログラム/107,671人

蘭:WEB-basisberoepsopleiding, bol en bbl英: Vocational education, basic vocational training (level 2); school

based and dual programmes

353職業教育(基礎レベル):パートタイム学校教育プログラム/560人

蘭:WEB-basisberoepsopleiding, deeltijd bol英: Vocational education, basic vocational training (level 2); parttime

programmes, school based

353職業教育(上級レベル):フルタイム学校教育・デュアルプログラム/134,899人

蘭:WEB-vakopleiding, voltijd bol en bbl英: Vocational education, professional training (level 3); fulltime school

based and dual programmes

353職業教育(上級レベル):パートタイム学校教育プログラム/683人

蘭:WEB-vakopleiding, deeltijd bol英: Vocational education, professional training (level 3); parttime

programmes, school based

354職業教育(中間管理レベル):フルタイム学校教育・デュアルプログラム/232,675人

蘭:WEB-middenkaderopleiding, voltijd bol en bbl英: Vocational education, middle-management training (level 4);

fulltime school based and dual programmes

354職業教育(中間管理レベル):パートタイム学校教育プログラム/1,715人

蘭:WEB-middenkaderopleiding, deeltijd bol英: Vocational education, middle-management training (level 4);

parttime programmes, school based

344 上級中等教育(HAVOレベル)/112,321人

蘭:Klas 4-5 HAVO英:Senior general secondary education

344 上級中等教育(VWOレベル)/118,277人

蘭:Klas 4-6 VWO英:Senior general secondary education

344 上級中等教育(HAVOレベル/成人対象)/7,907人

蘭:VAVO-HAVO英:Senior general secondary education for adults

344 上級中等教育(VWOレベル/成人対象)/3,219人

蘭:VAVO-VWO英:Senior general secondary education for adults

出所: UNESCOウェブサイト ISCED Mappings(http://uis.unesco.org/en/isced-mappings)のオランダに関するデータより筆者作成。なお各機関の名称の邦訳については、見原(2016;284)などを参照した。

3-3.オランダにおける前期中等教育から後期中等教育の接続状況

前節及び前々節にて示したオランダにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況について、最低限度の入学要件(Minimum entry requirements)及び上位の教育段階への進学条件(Direct access to higher educational level)を確認し、図1に整理した。図1内にある矢印は、原則として、矢印元にあるコードのプログラムから矢印先に位置するコードのプログラムへと接続していることを表している。

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図1に示したように、特別支援教育として展開されているコード【253】の実地教育を除き、前期中等教育の各プログラムは、それぞれに対応する後期中等教育のプログラムに接続している。ただし、コード【244】の一般中等教育の各プログラムがコード【354】の職業教育(中間管理レベル)ほかへ接続しているように、普通教育プログラムから職業教育プログラムへの移行が可能である。また、たとえばコード【353】の職業教育(初級・中級レベル)からコード【354】職業教育(中間管理レベル)に矢印があるように、上位の教育段階ではなく、同位の教育段階内での移行も可能である。この場合、各プログラムの修了を条件として、移行先のプログラムに編入するかたちで履修することが可能となる。また職業教育においては、コード【254】職業教育(助手レベル)やコード【353】職業教育(基礎・上級レベル)にみられるように、中等教育全体を通して、年長者を主対象としたパートタイムプログラムが準備されていることがわかる。これらの点を踏まえたとき、オランダにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況は、対応する上位の教育段階プログラムへの接続を中心に、職業教育プログラムや同教育段階での移行が可能となるよう、制度設計がなされていると考えられる。

4.デンマークの事例分析:前期中等教育修了後の接続に着目して

4-1.デンマークの前期中等教育プログラム

デンマークの前期中等教育プログラムは下記表4の通りである。デンマークの ISCEDのデータの特徴として、表4の中で後期中等教育に接続されていないプログラム(コード【241】国民高等学校コース、コード【243】通学制国民高等学校、デンマーク語1、音楽アカデミー予備校、中等補習コース、成人教育プログラム導入コース、その他予備コース、コード【253】成人職業訓練プログラム、職業学校短期コース、海事予備コース)が多数あることが挙げられる。この後期中等教育に接続されていないプログラムには、成人職業訓練プログラム、全寮制で幅広く教養を身に着ける国民高等学校、そして非全寮制で都市部の若者や失業者、移民の女性を対象とした通学制国民高等学校を始めとした成人教育のプログラムも含まれている。

図1 オランダにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況  (出所:筆者作成)

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表4 デンマークの前期中等教育プログラム

コード 名称(日本語)/在籍者数 名称(丁語・英語)

253 成人職業訓練プログラム 丁:AMU-kurser英:Adult vocational training

253 職業学校短期コース 丁:Korte kurser på level 3英:Short courses at vocational schools

253 海事予備コース 丁:Maritimt forberedelseskursus英:Maritime preparatory courses

241 国民高等学校コース/4,000人 丁:Højskolekurser英:High-school courses

243 通学制国民高等学校 丁:Daghøjskoler英:Folk- and youth high-schools

243 デンマーク語1 丁:Dansk 1  英:Danish 1

243 音楽アカデミー予備校 丁:Forskole - musikkonservatorium英:Preparatory training - Academy of Music

243 中等補習コース 丁:Gymnasial suppleringskursus GSK英:Secondary supplementary course GSK

243 成人教育プログラム導入コース 丁:Indledende kurser til VVU英:Introductory courses to higher adult education programmes

243 その他予備コース 丁:Øvrige forberedende uddannelser英:Other preparatory courses

244 国民学校7-9年生/280,000人

丁:Grundskole 7.-9. klasse英:Primary school 7th-9th grade

244 国民学校10年生/150,000人 丁:Grundskole 10. klasse  英:Primary school 10th grade

244 高等予備試験単科コース/12,000人

丁:HF-enkeltfag英:HF higher prepatory examination, single subject

244 デンマーク語2 丁:Dansk 2  英:Danish 2244 デンマーク語3:普通試験 丁:Dansk 3, almenprøve 2  英:Danish 3, general test 2出所: UNESCOウェブサイト ISCED Mappings(http://uis.unesco.org/en/isced-mappings)のデンマークに関するデータ

より筆者作成。同データに在籍者数の記載がないプログラムについては、その記載を省略した。なお各機関の名称の邦訳については、岩田(2016;10)などを参照した。

また後期中等教育に接続されているプログラムとして、コード【244】国民学校7-9年生プログラム、国民学校10年生プログラム、デンマーク語2、デンマーク語3:普通試験がある。なお、後期中等教育に接続されているコード【244】高等予備試験単科コースは、ISCEDレベル2に分類されているが、入学には ISCEDレベル2の修了が求められる。

4-2.デンマークの後期中等教育プログラム

続いて、デンマークの後期中等教育プログラムについて表5に示す。高等教育に接続されているプログラム(コード【344】普通後期中等教育、コード【354】職業教育訓練:主要コース、移民や難民を対象としたコード【344】デンマーク語3:学習準備試験、難民のための高等教育予備コース、難民の中等段階統合プログラム:GIF)が存在している。他方で、高等教育に接続されていないプログラムとして、コード【342】自由青年教育、特別青年教育、コード【353】職業

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教育訓練:主要コース、その他職業教育訓練がある。また、コード【344】エンジニア教育のための入学試験は、ISCEDレベル3に分類されているが、入学には ISCEDレベル3の修了が求められる。なお、この ISCEDレベル3には、コード【344】エンジニア教育のための入学試験、コード

【353】職業教育訓練:主要コース、その他職業教育訓練や、コード【354】職業教育訓練:主要コースなど、前期中等教育から直接接続しなかった成人も対象としたプログラムも存在している。

表5 デンマークの後期中等教育プログラム

コード 名称(日本語)/在籍者数 名称(丁語・英語)

342 自由青年教育/0人 丁:Den fri ungdomsuddannelse (FUU)英:The free secondary education

342 特別青年教育/3,000人 丁:Særlig ungdomsuddannelse英:Special secondary education

344 普通後期中等教育:AGYM/75,000人

丁:Gymnasiale uddannelser, AGYM英:Upper secondary education

344 普通後期中等教育:EGYM/24,000人

丁:Gymnasiale uddannelser, EGYM英:Upper secondary education

344 エンジニア教育のための入学試験/300人

丁:Adgangseksamen, ingeniøruddannelsen英:Admittance examinations for engineering programmes

353 職業教育訓練:主要コース/56,000人

丁:EUD, hovedforløb英:Vocational educational training, main course

353 その他職業教育訓練/1,000人 丁:Øvrige erhvervsfaglige uddannelser英:Vocational educational training, others

354(高等教育へのアクセスを伴う)職業教育訓練:主要コース)/20,000人

丁:EUD, hovedforløb (access to higher level)英: Vocational educational training, main course (access to higher

level)

344 デンマーク語3:学習準備試験 丁:Dansk 3, studieprøven英:Danish 3, study preparatory test

344 難民のための高等教育予備コース

丁:Flygtninge vidg. udd., adgangskursus英:Preparatory courses to higher education for refugees

344 難民の中等段階統合プログラム:GIF

丁:Gymnasial indslusning for flygtninge GIF英:Secondary level integration of refugees, GIF

出所: UNESCOウェブサイト ISCED Mappings(http://uis.unesco.org/en/isced-mappings)のデンマークに関するデータより筆者作成。同データに在籍者数の記載がないプログラムについては、その記載を省略した。なお各機関の名称の邦訳については、岩田(2016;10)などを参照した。

4-3.デンマークにおける前期中等教育から後期中等教育の接続状況

前節及び前々節にて示したデンマークにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況について、図2に整理した。図2内にある矢印は、オランダの事例を示した図1と同じく、原則として、矢印元のプログラムから矢印先のプログラムへと接続していることを表している。なお本節では、表4及び表5に示したプログラムのうち、データが国際的に蓄積・共有されている4プログラム間の接続のみを扱うこととする。

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図2に示したように、前期中等教育であるコード【244】国民学校7-9年生、国民学校10年生は、大別すると普通後期教育と職業教育訓練の2つに分化し接続されていく。具体的には、コード【344】普通後期中等教育、コード【354】高等教育への接続がある職業教育訓練:主要コース、コード【353】職業教育訓練に接続している。また、コード【241】国民高等学校は、ISCEDレベル1を修了し、かつ一定の年齢以上であれば入学することができ、コード【342】自由青年教育や特別青年教育は、ISCEDレベル2を修了していれば入学することができる。ただし、これらのプログラムには上位の教育段階への接続はない。国民高等学校や自由青年教育は、デンマークの教育思想家グルントヴィ(Grundtvig, N. F. S.)の思想的な影響を強く受けた教育プログラムであるが、教育システムにおける位置づけにおいても、その独自性を窺うことができる。またコード【244】高等予備試験単科コースや、コード【344】エンジニア教育のための入学試験は、各々同じ教育段階である ISCEDレベル2、ISCEDレベル3を修了した後に入学することができるプログラムである。これらの点を踏まえたとき、デンマークにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況は、普通後期中等教育と職業教育訓練に分化した接続をするとともに、国民高等学校や自由青年教育をはじめとした、上位段階への接続はないが特徴的な教育を行うプログラムが存在し、これらへの接続を可能とする制度設計がなされていることがわかる。また、コード【244】高等予備試験単科コースや、コード【344】エンジニア教育のための入学試験のように、成人になった後でも進路変更が可能な制度となるよう設計されている点に特徴があると考えられる。

5.比較教育分析の試み

本節では、前節までの内容を踏まえ、オランダ及びデンマークの前期中等教育から後期中等教育への接続状況に関し比較教育分析を試行してみたい。

図2 デンマークにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況    (出所:筆者作成)

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図3は、比較教育分析の試みとして作成したものである。ISCEDにより情報の信頼性及び比較の妥当性が担保されているという前提の下、図1及び図2を統合し、普通教育と職業教育という観点でプログラムを単純化した上で、両国に共通して確認されたプログラム及び接続を実線で、いずれかの国のみで確認されたプログラム及び接続を点線で示した。

図3から明らかなように、両国に共通して、前期中等教育段階の普通教育であるコード【244】プログラムからは、後期中等教育段階の普通教育であるコード【344】プログラム、職業教育であり上位の教育段階への接続があるコード【354】プログラム、職業教育であり上位の教育段階への接続がないコード【353】プログラムへと接続が可能となっている。表2から表5までに掲載されている各プログラムの在籍者数を勘案したとき、両国の教育システムにおいて、これらが主たる接続の道筋であると考えられる。他方で、図3中に点線で示されたプログラムや接続についても、注目すべきものがあると思われる。たとえば、前期中等教育の普通教育であるコード【241】は、国民高等学校(フォルケホイスコーレ)と呼ばれるデンマークの特徴的な教育機関であるが、修了や接続の観点から見ても特別な位置づけにあることを確認することができる。またオランダにおいては、コード【254】があるように、前期中等教育段階から職業教育プログラムが提供されており、職業教育の就学年数が相対的に長期にわたっている。いわゆる早期分岐型学校体系の典型であるが、この点についても、両国を並置することでその特質が際立つことがわかる。オランダとデンマークの接続に関して、上記のように共通点や相違点を簡潔に整理できるのは、ISCEDが、従来タームやセンテンスで記述されていた研究対象を、共通の枠組にしたがい

図3 オランダ・デンマークにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況比較       (出所:筆者作成)

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一つに定まるコードに置き換え、可視化しているからである。コードを示すことである事象に対し大枠が与えられ“共通言語”となること、また情報の信頼性と比較の妥当性が担保されているということは、当該研究の質を高めるという点で重要なだけでなく、先に言及したような、比較教育分析を行う上での「並置」の困難さを取り除く可能性があるという点で意義があると思われる。また ISCEDを用いた比較教育研究の蓄積が進むことになれば、比較教育研究の方法論の深化をも併せて期待できる。この点についても、ISCED活用に伴い得られる肯定的な側面として挙げておきたい。

6.おわりに

本論文では、オランダ及びデンマークにおける前期中等教育から後期中等教育への接続状況を検討事例として設定した上で、両事例を分析の俎上に載せた比較教育分析を試行し、その在り方について検討を加えてきた。すなわち本研究は、二国間の比較教育分析を試行的に実施しながら、ISCED2011を活用した比較教育研究の実施可能性について検討するものでもあった。本研究により、比較教育研究における指標としての ISCEDの重要性と可能性が検証され、比較教育分析の方法論的深化の端緒が示されたと考えられる。その端緒とは、従来の比較教育研究において各国・地域の文脈に基づき「ターム」として示されていた内的事象の一部が、国際統計として合意を得た「コード」として示されうることを意味している。比較教育研究を実施する上で対象国の並置が求められることを想起したとき、ISCEDを用いることは、研究対象の内実の一部を共通記号である「コード」として可視化するという点に意義を見出すことができる。ISCEDを用いた比較教育分析が蓄積されることで、比較教育研究の方法論的深化も期待される。

本論文は、早稲田大学教育総合研究所研究事業(2016年度-2017年度)「『国際教育標準分類(ISCED)2011』の分析と活用」(部会主任 長島啓記 教育・総合科学学術院教授)における成果の一部である。

引用文献・ウェブサイト一覧UIS (UNESCO Institute for Statistics). (2012). International Standard Classif ication of Education: ISCED 2011.

Montreal, Quebec: UNESCO Institute for Statistics.岩田克彦(2016)「デンマークの職業教育訓練:現状と課題」名古屋大学大学院教育発達科学研究科 技術・職業教育学研究室『技術教育学の探究』14号、9-20頁。

佐々木毅(1994)「比較教育学の理論と方法」日本比較教育学会編『比較教育学研究』20号、7-14頁。杉村美紀(2011)「日本における比較教育研究の方法論をめぐる論議:日本比較教育学会の研究動向を中心に」マーク・ブレイ、ボブ・アダムソン、マーク・メイソン編著[杉村美紀、大和洋子、前田美子、阿古智子訳]『比較教育研究:何をどう比較するか』上智大学出版、259-292頁。

舘 昭(2013)「学士課程と研究の関係についての一考察」桜美林大学『大学アドミニストレーション研究』3号、1-9頁。

長島啓記(2014)「なぜ、何を、どのように比較するのか:比較教育学の目的、理論、方法」長島啓記編著『基礎から学ぶ比較教育学』学文社、3-16頁。

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107ISCED(国際教育標準分類)を用いた比較教育分析の試み:学校種間の接続を検討事例として

見原礼子(2016)「西欧諸国におけるイスラーム学校の展開と学習達成度の現状」園山大祐編『岐路に立つ移民教育:社会的包摂への挑戦』ナカニシヤ出版、275-290頁。

UNESCO Website http://uis.unesco.org/

注1 本研究の問題意識や目的とはやや異なるが、舘(2013)は、高等教育研究の文脈において、学士課程と研究との国際的な関係性を検討するに際して ISCEDに着目している。舘によれば、ISCED1997と ISCED2011の「最大の変更点は、レベルの7(0から6)層から9(0から8)層への変更であり、その増分2層がすべて高等教育のものである(舘昭 2013:2)」点であり、高等教育のレベル体系が国際的に収斂しつつある現状について、ISCEDの分類が変更されている点をその証左としている。

2 カテゴリでは「これ以上の定義がない(カテゴリ0)」や「どこにも分離されない(カテゴリ9)」などがあるが、カテゴリ3、カテゴリ7、カテゴリ8が「使用されない(Not Used)」ため、7種類の数字で表されることになる(UIS 2012:21)。

3 UNESCO(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization). “ISCED Mappings” Internet: http://uis.unesco.org/en/isced-mappings, [Sep. 27, 2017].

4 UNESCOウェブサイト ISCED Mappings(http://uis.unesco.org/en/isced-mappings)においては、「UOE(UNESCO-OECD-EUROSTAT)にデータがない(Not included in UOE graduates date)」と記されている。

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