中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 生活・総合的 ... ·...

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-1- 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ(第9回) 1. 平成28年6月17日(金)15時30分~17時30分 2. 文部科学省 3F1会議室 3. (1) 生活科の改善・充実について (2) 総合的な学習の時間の改善・充実について 【見上主査】 それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教 育課程部会生活・総合的な学習の時間ワーキンググループの第9回を開催いたします。ど うぞよろしくお願いいたします。 本日は、桶田委員、黒上委員、徳山委員、奈須委員、野田委員、若江委員の皆様が御欠 席となっております。それでは、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。 【小野教育課程課課長補佐】 配付資料を確認させていただきます。本日は、議事次第に掲載しておりますとおり、資 料1から4までと、その他、机上に参考資料を配付をさせていただいております。参考資料 としまして、後ほどまたお時間を頂いて御紹介させていただきます「小学校段階における プログラミング教育の在り方について」という議論の取りまとめの資料等を入れてござい ます。不足等がございましたら、事務局にお申し付けくださいますようお願いいたします。 【見上主査】 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。本日は、前回に引き続きまして、生活 科・総合的な学習の時間における取りまとめ案について議論してまいりたいと思います。 本日のワーキンググループの流れといたしましては、前半で生活科のまとめ案を議論して いただきまして、後半で、総合的な学習の時間のまとめ案を議論してまいりたいと思いま すので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、まず、生活科のまとめ案について、事務局より説明をお願いいたします。そ の際、併せて、プログラミング教育に関しまして、小学校段階における論理的思考力や創 造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議の報告書案につい ても御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

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中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会

生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ(第9回)

1. 日 時 平成28年6月17日(金)15時30分~17時30分

2. 場 所 文部科学省 3F1会議室

3. 議 題 (1) 生活科の改善・充実について

(2) 総合的な学習の時間の改善・充実について

【見上主査】

それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教

育課程部会生活・総合的な学習の時間ワーキンググループの第9回を開催いたします。ど

うぞよろしくお願いいたします。

本日は、桶田委員、黒上委員、徳山委員、奈須委員、野田委員、若江委員の皆様が御欠

席となっております。それでは、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【小野教育課程課課長補佐】

配付資料を確認させていただきます。本日は、議事次第に掲載しておりますとおり、資

料1から4までと、その他、机上に参考資料を配付をさせていただいております。参考資料

としまして、後ほどまたお時間を頂いて御紹介させていただきます「小学校段階における

プログラミング教育の在り方について」という議論の取りまとめの資料等を入れてござい

ます。不足等がございましたら、事務局にお申し付けくださいますようお願いいたします。

【見上主査】

それでは、議事を進めてまいりたいと思います。本日は、前回に引き続きまして、生活

科・総合的な学習の時間における取りまとめ案について議論してまいりたいと思います。

本日のワーキンググループの流れといたしましては、前半で生活科のまとめ案を議論して

いただきまして、後半で、総合的な学習の時間のまとめ案を議論してまいりたいと思いま

すので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、まず、生活科のまとめ案について、事務局より説明をお願いいたします。そ

の際、併せて、プログラミング教育に関しまして、小学校段階における論理的思考力や創

造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議の報告書案につい

ても御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

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【大杉教育課程企画室長】

失礼いたします。それでは、まず最初に、プログラミング教育の方を、主に高学年中心

になってまいりますので、生活科よりは、総合的な学習の時間の方が関連してくるわけで

はございますけれども、冒頭に少し御説明を申し上げたいと思います。少し唐突な感じを

お受けになる方もいらっしゃるかもしれませんので、少しお時間を頂いて御説明をさせて

いただければというふうに思います。

プログラミングに関しましては、本日、参考資料というもので議論の取りまとめ、6月1

6日付けで取りまとまったものでございます。これと、議論の取りまとめの1枚紙のポンチ

絵、それから、今、追加で有識者会議のメンバーをお配りをさせていただきました。中教

審の小学校部会の主査であります天笠先生、それから、同じく中教審の情報ワーキングの

主査であります堀田先生、それから、本ワーキングのメンバーにも御協力を頂きながら、

また、総合的な学習の時間に加わっておられます小学校の先生にも御協力を頂きながら、

議論を進めさせていただいたところでございます。取りまとめがまとまりましたので、御

報告をさせていただきます。

参考資料の文章の方を御覧いただければというふうに思います。「小学校段階における

プログラミング教育の在り方について」ということでございます。

「有識者会議の議論の視野」とございますけれども、御覧いただいたように、分野、こ

ういった専門家が知見を持ち寄り、特に小学校段階におけるプログラミング教育の意義や

在り方について、認識の共有を図り、今後の円滑な実施につなげていくことを目的とした

会議でございます。

そもそも、プログラミング教育とは何か、それを通じて育む力とは何なのかというとこ

ろにまだまだ共通理解がない状態でございましたので、そこにしっかりと認識の共有を図

っていくために議論をしていただいたものでございます。

また、二つ目の丸にございますように、現在かなり学校と民間が連携した意欲的な取組

が広がりつつあります。そうした中で、特定のプログラミング言語を覚えるというような

ことにプログラミング教育の目的があるのではないかというような誤解が広がりつつあっ

たり、小さいうちにコーディング、こういったプログラミング言語を覚えさせないと、子

供が将来苦労するのではないかといったような観点からの加熱ぶりということも見られる

ところでございます。

実際、総合的な学習の時間におきましても、プログラミング教育、広がりつつあります。

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その他、各教科におきましても実施が広がりつつあるところでございますけれども、そう

した中で、本当に総合の探究というものとしっかり内容が掛け合わされた活動になってい

るかどうかということ、あるいは、理科においても、ともすれば、ブロックで作ったカエ

ルを動かして、生物というような理科の教科の学習と掛け離れたところで活用されてしま

っては少し困りますので、そういったことも含めて、しっかり定義を付けてやっていくと

いうことが求められる段階にあるということでございます。

そうしたことから、三つ目にございますように、プログラミング教育とはとありますけ

れども、プログラミングを体験しながら、子供たちがプログラミング的思考を育むという

ことを主眼として、しかも、教科でやる場合には、既存の教科の内容としっかり掛け合わ

されるような教科の中で学ぶ必然性があるというような形で実施をされるようにというこ

とで整理をさせていただいたところでございます。また、併せて、読解力、言語能力の必

要性ということがますますこの情報化の中で高まってまいりますので、こうしたことも整

理を頂いたところでございます。

おめくりいただきますと、2ページに、いわゆる「第4次産業革命」は教育に何をもたら

すのかということがございます。いわゆるIoTと言われるようなものの働きがインターネ

ット経由で再定義化されるというようなこと、また、人工知能の予測を超えた進化という

ことが言われていることでございますけれども、これがある意味、農業革命以上の社会的

な変化をもたらすというようなことも言われているところでございます。

そうした中で、学校で教えていることが普遍的な価値を持つということ、子供たちに社

会、どのような社会になったとしても、必要な力が身に付くということをしっかりと保証

していくということが学校教育の役割として求められているということ。ある意味、社会

もそうした学校教育が本来的に本質的に目指してきたところを共有できる状況にあるとい

うこと、単にマニュアルをこなすということを超えて、創造的な力を発揮していくという

ことを産業界が求める人材像としても求められているというような一致が見られるのでは

ないかというようなことでございます。

そうした中で、3ページ目は、社会に開かれた教育課程の下、子供たちがよりよい人生

を切り開き、よりよい社会づくりを目指していくということのために、必要な教育課程と

いうことをしっかりと整備していくということ、未来のつくり手として必要な力をという

ことでございます。

「学ぶ」ことの意義と、これからの時代に求められ全く力の再確認というところでござ

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いますけれども、人工知能の脅威ということも言われるわけでございますけれども、いず

れにしても、人工知能は与えられた目的の中で処理を行うという存在であるということ、

一方で、人間は感性を働かせながら、その目的自体を自ら考え出すという存在であるとい

うこと、複雑な文脈の中でも、そうした目的を設定して、多様な他者と協働しながら、考

えをまとめたり、問題解決をしていくことができるという人間の強みがあるということ、

それを支えるのが人間の学習であるということでございます。

現在、中教審全体で御議論いただいている、どのように学ぶのかということを含めた指

導要領の在り方も、こうした人間の強みということをますます強みとして伸ばしていくと

いうことでもあるということでございます。

また、4ページ目は、「次世代の学校」の在り方ということで、ICTの強みを生かした学

校づくりということでございます。

これからの時代に求められる資質・能力とはということで、これはもう既に論点整理で

整理していただいたこととも重なる部分でございますけれども、5ページにございますよ

うに、情報化の中でしっかりと情報を読み解いていく力、子供たちが教科書を読み解けて

いないのではないかという指摘もあるところで、国語教育を中心に、しっかりとテキスト

を理解し、表現していくという力を鍛えていくということの重要性でございます。

また、ICTを使いこなしながら問題解決をしていく、新たな価値を創造していくという

ことの力、6ページ目にもございますように、コンピュータということの働きを理解しな

がら、問題解決に活用していくということ、その中で、プログラミング的思考ということ

の重要性も指摘をされています。

また、6ページ目、下にございますように、人間の強みである感性を働かせながら、よ

りよい人生や社会の在り方について考え、学んだことを生かしていく。これも現在、学び

に向かう力、人間性ということの中で御議論を頂いているところでございます。

7ページ目にございますように、コンピュータと人間の在り方ということで、例えばプ

ログラミング言語自体は時代によって変わっていくわけでございます。数十年先には、も

しかしたら自然言語でコンピュータに指示可能になるのではないかということも言われて

いるわけでございますけれども、仮にそのような時代になったとしても、論理的に思考し

ながら、そのコンピュータを活用していくということの重要性は変わらないのではないか。

こうした時代を超えて変化の中でも普遍的に求められる力を見据えながら、育てていくこ

との重要性ということでございます。

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こうしたことを踏まえながら、8ページ目が、学校教育として実施するプログラミング

教育は何を目指すのかということでございます。知識・技能、思考力・判断力・表現力、

学びに向かう力、人間性とございますが、特に思考力・判断力・表現力のところでござい

ます。プログラミング的思考、論理的思考の一部であると考えられますけれども、特にコ

ンピューテーション・シンキングということの考え方を踏まえながら、意図する一連の活

動を実現するためには、どのような動きの組合せが必要であり、どのように組み合わせ、

それを改善していけば、意図した活動に近付くのかということを論理的に考えていく力と

して有識者会議で定義を頂いたところでございます。

こうしたことを、9ページ目にございますように、発達の段階に即して育んでいくとい

うこと、中学校技術・家庭科では、今回、プログラミングに関する時間を倍増するという

ことが検討されております。また、高等学校では、情報化ということを共有必履修科目と

してプログラミングを全ての高校生が学ぶということになってまいります。そうした中で、

小学校で体験的にプログラミングに触れ、プログラミング的思考ということを小学校の発

達段階に即した形で育んでいくということが求められているということでございます。

小学校における在り方ということで、小学校、特に6年間幅のある発達段階の中で、子

供たちの成長に寄り添いながらという視点が重要であるということでございます。

具体的な知識という中でのプログラミングの作成につながる具体的な力ということは中

学校や高校の段階でも育まれるということで、小学校、具体的な身近な出来事から抽象的

な思考に向かうという段階で、どのような学習が求められるのかということでございます。

11ページ目に具体的に、各小学校の実情を踏まえた柔軟で学習成果のある教育内容の在

り方ということでございますけれども、結論から申し上げれば、何かしら内容を増やすと

いうことではなくて、既存の内容、理科なり各教科、あるいは、総合的な学習の時間で情

報に関する学習をする際ということの中で、プログラミングを体験しながら、学びを深め

ていただくということでございます。こうした単元を、高学年を中心に念頭に置かれてお

りますけれども、どこかで必ず設けていただくというようなことを総則に位置付けていく

ということになるのではないかということでございます。

より具体的には、12ページ目に、総合的な学習の時間とございますけれども、情報に関

する課題を探究する中で、例えば、暮らしの中でプログラミングが生かされている例、お

掃除ロボットでも、何かしら、自動販売機でも、いろんなところでプログラミングが生き

ているわけでございますけれども、そうした社会の中で生きているということとの関係性

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を考えながら体験していくということ、様々な便利な機会が魔法の箱ではなくて、人間の

英知が生み出したものであるということに気付きながら、プログラミングを体験していく

ということでございます。

また、こうした情報以外にも、地域の課題や環境に関する課題というのに取り組む際に、

何かしらプログラミングということの接点があるのかどうかというのは今後しっかりと検

討していくということでございます。

それから、理科におきましては、電気の働きということの中で、プログラミングにも触

れていくということ。算数につきましては、単純に計算を代行するということでは計算力

が身に付きませんので、計算ということではなくて、例えば図の作成ということで考えて

いけるのではないかということ。音楽においては、創作用のICTツールということで、音

を合成していくということで、プログラミングとの関係性ということ。図画工作におきま

しては、何かしら自分が作ったものを動かしてみるということの中で経験ができるのでは

ないかということ。特別活動におきましては、クラブ活動で子供の興味に応じた活動が考

えられるのではないかということでございます。

いずれにつきましても、実際実施していただくに当たっては、指導事例集のようなもの

も必要になってまいりましょうし、また、何よりもICT環境の整備ということが必須でご

ざいますので、こうしたことと併せて、2020年に向けてしっかりと準備を進めていきたい

ということでございます。

また、学校で全てをやるということではなくて、学校でそういった機会を作って、興味

を持った子供は、学校外の様々な経験につなげていけるということで、官民連携したそう

いった体制づくりということもしっかりと進めていきたいということでございます。そう

したことが15、16、17ページに記されているということでございます。

こうした観点から、少し総合的な学習の時間のまとめの方には、プログラミングについ

ても触れていただく必要があるかと存じますけれども、まずは、そういった議論の状況に

ついて御紹介をさせていただきました。

【小野教育課程課課長補佐】

続きまして、生活科の議論のまとめ案につきまして御説明をさせていただきましたから、

御議論いただければというふうに存じます。

お手元の資料で参りますと、2-1から2-7までが生活科のこのまとめに関する資料でご

ざいます。前回、第8回のワーキンググループで、初めてこの資料2-7の形でまとめのイ

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メージを御議論いただきまして、今回はそれを主に修正した部分を中心に御説明させてい

ただきまして、また御議論を加えていただくことができればというふうに思っております。

資料2-7につきましては、委員の先生方のお手元には、同じ資料2-7という番号になっ

てはいるんですけれども、見え消しという形で、前回お出しした文章から修正した箇所が、

上から線を引いたり、文字をこうやったりした形で見え消しという形で作っているバージ

ョンと、中身は同じでございますけれども、それを溶け込ませたものという形の2バージ

ョンを御用意させていただいております。

主に、私から御説明させていただくに当たりましては、前回からの変更点を中心に御説

明させていただければと思いますので、お手元の2-7のうちの見え消しと書いている方を

お手元、御覧いただきながら、御説明させていただければと思います。

資料2-7の生活科の部分の議論のまとめ、たたき台のイメージでございます。

前回、全体の御説明をさせていただきましたが、最初に、これまでの成果と課題という

ことで、生活科ができてからの経緯ということを1ページ目に上げており、それから、2ペ

ージ目には、課題として、課題と上げておりますけれども、今できてないということだけ

ではなくて、これから更なる充実を図ることが期待されるという点も含めまして、大きく

4点を上げております。

一つ目は、活動や体験を行うことで、低学年らしい思考や認識を確かに育成し、次の活

動につなげるような学習活動を重視すること。二つ目は、幼児教育において育成された資

質・能力を存分に発揮するというところからのつながりを考えるということ。三つ目も、

幼児教育との関係でありますけれども、この幼児教育との連携や接続を意識したスタート

カリキュラム、これが生活科固有の課題ではなく、教育課程全体を視野に入れた取組とす

ること。それから、四つ目には、社会、理科、総合的な学習の時間をはじめとする中学年

の各教科等への接続という視点という四つの課題につきまして、御議論を頂いてきました。

それぞれにつきまして、文章の中でいろいろ御指摘いただいたところでございますけれ

ども、おおむねこの四つで議論を進めさせていただいたところなので、そのままにしてお

ります。

3ページ目から4ページ目にかけましては、生活科の特質に応じ、育まれる見方・考え方

という部分でございます。3ページ目の真ん中の上から三つ目の段ですね。「このように、

身近な人々、社会及び自然を自分との関わりで捉え、比較、分類、関連付け、試行、予測、

工夫することなどを通して、自分自身や自分の生活について考えることは、生活科の特質

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に応じて育まれる見方・考え方であると言える」という部分、ここの基本の考え方は変え

ておりません。

若干、言葉の整理をしたり、工夫という部分を後ろに持ってきておりますけれども、試

行・予測に比べて、工夫の方が更にその捉えたもの、感じたものを主体的にまたアレンジ

していくという部分で、もう一段階思考が深まるところがあるのかなということで、順番

を変えたりしております。そういった文言の表記とかを整えているということで、基本的

な捉え方はこの辺りは同じものをそのまま入れております。

それから、資料の5ページ目、4ページ目、5ページ目におきましては、生活科で育成す

る資質・能力ということで、こちらはポンチ絵の資料等も行ったり来たりしながら御議論

いただいてきたところがございます。

それから、5ページ目のところからは、教育課程全体における生活科の役割とカリキュ

ラム・マネジメントというところになってまいります。その、済みません、1のところで

ございますけれども、生活科のこの育成すべき資質・能力の整理のところで、1点、5ペー

ジ目の上の段でございますけれども、学びに向かう力、人間性等という柱の中で、意欲と

自信を持って生活しようとする態度ということを上げておりました。評価の部分で、学ん

だり、生活しようとしたりということを入れておりましたけれども、生活という中に、こ

の学ぶという要素も入るのか、あるいは、特出しした方がいいのかというところ、若干ち

ょっと迷うところもありまして、括弧書きで入れるというような形にしております。この

辺りも、御意見、御指摘等も頂けたらというふうに思います。

それから、5ページ目の下の段から6ページ目にかけましては、スタートカリキュラムの

観点、それから、7ページ目には小学校低学年の学習、あるいは、中学年以降の各教科と

の接続の観点ということを入れております。

7ページ目の一番下に、少し文章を書き加えたところがございます。7ページ目の下から

8ページ目にかけて、文章を加えたところがございます。低学年の各教科とのつながり、

それから、中学年の各教科とのつながりということを、見方や考え方のつながりというと

ころで御説明してまいりましたけれども、この生活科というのが、中学年だけではなくて、

高学年、さらに、中学校へ進んだ上でも、特に実際に中学校に進んで、豊かな経験をして

いる子供というのは、やはり低学年のうちに生活科でみずみずしい意欲的な経験をしてい

るんじゃないかというような御意見があったこと。

あるいは、8ページ目で、少し文章が長くなっておりますけれども、生活科で体験を通

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して一体的な学びを行うというものは総合的な学習の時間につながり、また、それが小学

校中学年、高学年、中学校、それから、高校までつながっていく中で、後ほど、また総合

的な学習の時間の高校における在り方のお話も御議論いただければと思いますけれども、

高校段階では、自己の在り方、生き方との関われで統合されていくということで、最初は

生活科の中で一体的な学びだったのが、だんだん教科の系統的な学習に分かれ、また、分

かれながらも、総合的な学習がそれを束ねていくというような流れを、小学校から中学校、

高校に行き、そして、高校の中では、さらにそれを自分の在り方、生き方と書かれて統合

するというような、この非常にここまで含めた大きな流れの中で、このまず最初に生活科

で一体的な学びをするということに大きな意義があるんじゃないかという御指摘を頂きま

したので、少し文章が長くなっておりますけど、加えているところでございます。

それから、学習過程の在り方、評価の在り方につきましては、8ページ、9ページ目、そ

れから、10ページ目からは、大きな3.ということで、資質・能力の育成に向けた教育内容

ということで、学習指導要領に示す内容の部分でございます。

1番目のところは、教育内容の構造化というところで、資料の中で、これまで、生活科

の中て示しておりました九つの内容項目、あるいは、11の姿・視点ということ、それから、

具体的な15の学習対象というものを整理しましたということ。それが、資質・能力の三つ

の柱とどのように関わっているかというところなどにつきまして、御意見を頂きました。

それから、10ページ目の下の部分で書き加えた部分がございますけれども、生活科にお

きましては、この11の視点とか内容項目とかにつきまして、基本的にいずれも第1学年、

第2学年にまたがった2年間で設定をしておりますけれども、もう少し第1学年、第2学年の

発達の違いや経験していることの違いを考慮したような示し方を工夫することができない

だろうかというような御指摘を受けましたことを踏まえて、文章を加えているところでご

ざいます。

それから、12ページ目は、大きな4番目の柱で、学習指導要領の改善充実や教材の充実

ということで、1番目に、特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実の柱を入れており

ます。こちらの部分におきましては、生活科の学習の中で、何らか学習の上での困難を抱

える子供に対しての配慮ということを中心に記述をしておりましたけれども、単に困難さ

を補うという視点だけではなくて、むしろ、その得意な部分を生かすような指導の工夫と

いうような視点から行うことによりまして、自己肯定感の醸成にもつながるのではないか

というような御指摘を頂いたことを増えまて、文章を加えております。

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それから、12ページ目から13ページ目にかけましては、アクティブ・ラーニングの視点、

「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実というこ

とでまとめていった部分につきまして御意見を伺いました。

この中で、13ページ目の「深い学び」の視点のところでございますけれども、いかにこ

の低学年らしさといいますか、生活科らしさといいますか、そういったところで複数御意

見を頂きましたけれども、低学年らしいみずみずしい感性によって子供たちが感じ捉える

ということと、それを自分自身の実感が伴った言葉にして表したり、様々な事象と関連付

けて捉えようとしたりすることを助けると。そういったような教師の関わりということが

求められるのではないかということで、幼児教育の豊かな体験からつながる部分でのその

みずみずしい感性という部分と、一方で、その教科として生活科が位置付けられていると

ころ、特に教師のどういう関わりが求められるかという形で、こういった一文を加えたと

いうところがあります。この辺りの表し方につきましても是非御意見を頂ければというふ

うに思います。

それから、13ページ目、14ページ目、15ページ目にかけましては幾つか文言を加えてお

りますけれども、15ページ目、16ページ目につきましては、動物の飼育に関するところで

幾つか御指摘がありますので、少し文章を加えているというような修正を行っております。

以上、全体的に、生活科につきましては、大きな構成といいますか、それぞれの表し方、

あるいは、こういう点も忘れずに大事にしていきたいというところを中心に御指摘を頂い

たものかというふうに思います。この頂いたところの反映の仕方、あるいは、それ以外の

ところで、またこういう修正が必要ではないかというところなどにつきまして、御指摘を

頂ければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

【鹿毛委員】

拝見したところ、今回、思考力とか判断力とかというような辺りがかなり強調されてい

るということに伴って、前回も記録によると出たと思うんですけれども、感じたり考えた

りという辺りが両方とも大事であり、また、みずみずしい感性みたいな言葉が出ています

けれども、その感性的なところが、思考として表現する必要があるのではないかなという

ふうに思っているんですね。と申しますのが、奇しくも、先ほどのプログラミングの方で

ちょうど話があったとおり、実は、人間ならではの感性ということがプログラミングの方

でも実は指摘されています。心理学でも、実は理性、論理に代表される理性的な思考だけ

ではなくて、非意識的な思考といいましょうか、感性に基づくような直感であるとか、そ

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ういうことこそがその全人的な発達の基本としては非常に重要であるということが、テク

ノロジーとかが発達すればするほど、強調されていると思うんですね。

そういうふうに考えたときに、この今、そういう観点から読み直しますと、思考という、

思考判断というものが非常にどちらかというと論理的な、生活科でも、かつてから、科学

的な見方・考え方というふうに一部で強調されていたところが、全面的に広がるような形

のように読めてしまうことが個人的には非常に危惧しているところでございます。

とりわけ、生活科の特質に応じて育まれる見方・考え方という案が以前からあるんです

けれども、そこの思考に当たる部分が、比較、分類、関連付けから入っていくんですよね。

これというのは、比較、分類というのはどちらかというと理性的な側面でありまして、む

しろ、生活科が従来から大事にしてきた、感性的な思考と言ったらちょっと論理矛盾のよ

うに聞こえるんですが、実はそこのところにまつわる思考をキーワードとして例えば上げ

るならば、例えば直感であるとか、直感というのは二つ表現があると思いますけれども、

感じるの感と観察の観ですよね。例えばそういうような思考であったり、あるいは、創造

ですね。

イマジネーションでありますとか、今、予測という言葉がありますけど、それはすごく

語感が強くて、どちらかというと、サイエンス的なというか、そちらに偏ったものに対し

て、例えば推測とか、そういうふうにすると、今までの経験とか感じたものを基に、何か

を見通すであるとかというふうな言葉になりますし、あるいは、類推であるとか、その推

という字はもともと推し量るという意味がありまして、だから、どちらかというと、理性

に偏ったものではなくて、ある意味、感性と理性をつなぐような、そういうような働きも

あるんじゃないかなというふうに思っております。

ですので、実はこのことは非常に重要だと思っていて、それはなぜかというと、その後、

評価のところにそれが関わってくるんですね。今の、先の話、じゃないか、まさに今、次

のところですね。次の区切ったところでは次なんですけれども、10ページ辺りに、思考力

は具体的にというふうに評価観点とか、そういうふうになって、具体的に示すようにとな

っていったときに、実は見方・考え方、生活科の見方・考え方に特出しされている言葉と

いうものが非常にインパクトが強いものですし、今出されているものというのが実は限ら

れた、どちらかというと、理性に偏るものばかりが並べられているという印象があるので、

それをどう考えたらいいのか。

これをだらだらといろいろなことを並べていって、イマジネーション、それこそいろい

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ろな多様な思考ということを、感性を含めて提示するのがいいのか、あるいは、何かこう

いうふうに、今はちょっとこれだけ特出ししてしまうと非常に偏っていると思うので、思

考の部分をどれだけ具体的なキーワードとして、この見方・考え方に組み入れるのかとい

うのは結構私は大きな問題だというふうに考えています。

【村川委員】

私は生活科の方に関しては、ほとんど全面的、ほとんど異論はないんですが、ただ、1

か所だけ、今の鹿毛先生のところに少し関連するかと思うんですが、同じく、3ページの

丸の二つ目ですよね。今も出てきた。具体的な活動や体験を通して捉えた対象について、

比較したり、分類したりと書いてあるんですけれども、その個々の子供がこの体験を通し

て捉えた、やっぱりその対象に関わるやっぱり自分なりの思い入れや気付き、そういうも

のがまずあって、そういうものを比較したり、分類したりという、何かこの比較や分類す

るそのものですよね。

その対象がちょっと具体的じゃないので、何かこの対象というのは何か環境であったり、

動物であったりとか、何かそういうイメージが強くなるので、やっぱりそういうものと関

わったことによって生まれた、今言った思いや気付き、そういうものがまずあって、それ

を、今言った比較、分類、関連付けるという、何かちょっとここにもう一文要るかなとい

うふうに思っています。

【小川委員】

いろいろと加わって、また更に分かりやすくなって、いいまとめになったなというふう

に思っているんですが、私も総合の方と比較しながら読んできました。もちろん、それぞ

れの特性があるので、書きぶりは違ってくることもあるのだと思うんですけれども、例え

ばここに、生活科の特質に応じて育まれる見方・考え方と、生活科の特質とはこういうこ

とであるというのは何となくこう読みながら、特徴であるとか特性がどうのとかというふ

うな形で書いてはあるんですけれども、総合の場合は、総合的な学習の時間の特質はとい

うことで最初にどんとこういうことであるというふうに示されている中で、もう少し何か

明確な示し方ができないことはないのではないかなというようなところを一つ感じたこと

と。

あと、5ページのところに、生活科の、「こうした資質・能力を育むために、生活科の目

標としては」というふうにいきなり入っているんですけれども、総合の場合は、この前に

括弧として、総合的な学習の時間の目標というふうに見出しが付いておりますので、細か

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いことなんですが、そういったところも分かりやすいように、何をここで述べているのか

というのが分かりやすいように、そういう書きぶりが必要なのかなというふうに思ったり

しました。

あと、7ページ以降の低学年、中学年以降の接続といったところなどは非常によく示さ

れていて、これは生活科を担当する教員だけじゃなく、本当に学校全体として読み込んで

ほしいところだなというふうに思いました。

【中村委員】

5ページの「学びに向かう力」の三つ目のポツ、「(学んだり)」というのを括弧の中に入

れるか、特出しをするかというところで、もしこれを入れないと、生活科で育成する資質

・能力の知識や技能の基礎にも、思考力・判断力・表現力等の基礎にも、学ぶという言葉

が入らなくなるのかなというのがありますので、そうすると、やっぱり先ほど来皆さん、

委員の皆様がお話しなさっている生活科の特質、「意欲と自信を持って学び、生活しよう

とする態度」というところがやっぱりここは落とせないところかなと思うので、私はこれ

は括弧を取って、「学んだり」にするか、「学び」にするか、そこは御検討いただければ。

このワーキングの中でも、これから小中高大、社会人になっても学び続ける、ごめんなさ

い、幼児教育もそうなんですが、そこのところの「学び」という言葉はやっぱり欠かせな

いのかなという意見を持ちました。

【服部委員】

本当によく分かるようにまとめていただいて、ありがとうございます。12ページの特別

支援教育の充実についても、困難さを補うという視点だけでなく、得意なことを生かすと

いう視点を入れていただきまして、本当に感謝しております。

願わくば、ちょっとここに入れるかどうか、あるいは、入れると分かりにくくなるので

はという懸念もあるんですけども、こうした視点というのは、困難は、特別な支援が必要

な子だけでなく、一般にみんなに必要なのかなという気がしますので、ちょっとしたその

文言で、学習障害、発達障害の子だけじゃないんだよというのがここでうまく言えれば、

そうしていただければと。もし無理でしたら、この単元立てがこういうことになっている

ので、無理でしたらそれは大丈夫で、入れなくて、ここでは入れなくてもいいと思います

けど。それだけちょっと感じたので。

【村川委員】

1つ筆問です。この論点、議論のまとめは私もこれ、非常によくできているなと思うん

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ですが、こちらの方に図がありますよね。この図というのは、公的にまたどっか出ていく

図なんですか。

【小野教育課程課課長補佐】

失礼します。済みません、十分御説明しなくて、申し訳ありません。この図と、あと、

このまとめ案がこれからどうなっていくかということでございますけれども、まず、この

ワーキングのここまでの議論というのを文章で残すということと、併せて、このやはり図

で御議論してきていただいたことを、図の形でも残していきたいと思っております。

一方で、今、各教科、このワーキングごとにこういった議論をしておりますので、添付

資料も含めますと、恐らく全部単純に足し併せますと、すごい厚さになりますので、これ

を最終的にこの教育課程企画特別部会、あるいは、教育課程部会などで、これ、御審議の

まとめ案などにつなげていただくに当たりましては、このエッセンスを概要として入れた

ものをそれぞれ溶け込ませていただくという形で進んでいくことになろうかと思います。

ただ、一方で、そちらは恐らくかなりエッセンスになりますので、そこに至るまでどう

いう議論があったり、どういう整理があったかということを、このワーキングのまとめや、

あるいは、それに至るまで御議論いただいてきた、むしろ、恐らくこの図の方がたくさん

時間を掛けて御意見いただいてきたところだと思いますので、こちらの方も残していきた

いと思っております。

また、そういう意味では、逆に、文章でここにこういう言葉を残すという以外にも、こ

の資料上でこういうところを残すというところもまた是非御指摘を頂ければというふうに

思います。

【鹿毛委員】

この図について、ちょっと気になったところがあるので、今これが外に出ないというこ

とであって、最終的にはこの文章になるんであればいいかなと思っていたんですけれども、

もしそういう外に出る可能性があるとすると、この資料2-2なんですけれども、これは、

これだけを見ますと、生活科の上に、そのまま社会科と総合的な学習の時間と理科が乗っ

かるような形になっていて、他教科が全然ほかにすとんと無関係みたいに見えちゃうんで

すね。

これというのは非常に誤解を生むというか、生活科、文章の中ではそうなってなくて、

むしろ、例えば社会とか理科につながるということは全く触れ、というよりも、むしろ、

全教科の課程全てのことにつながっていくというような理解だと思うんですね。

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ただ、これだと、これだけ見ちゃいますと、ほかの教科はその土台の部分を共有してな

いように読めてしまうので、注意が必要かなと思いました。

【見上主査】

では、生活の方は、まず一旦一区切りいたしまして、続きまして、「総合的な学習の時

間」について議論を行ってまいりたいと思います。総合的な学習の時間のまとめ案につき

まして、事務局から説明をお願いいたします。

【小野教育課程課課長補佐】

失礼します。お手元資料3に枝番の付いたもの、資料3-1から3-6までが、総合的な学

習の時間につきまして、これまで御意見を頂いてきた図表と、資料3-6がそれを文章化し

たたたき台のイメージ案でございます。

こちらも、前回第8回のときに御意見を頂いたものを踏まえまして修正したものを御意

見いただければと存じます。

全体に掛かるお話としましては、ボリュームとしましても、生活科よりも総合的な学習

の時間の方が、一回り、二回り、少し分厚くなっております。御意見、前回御意見としま

して、一個一個の内容というよりは、全体を分かりやすく伝えようとしたときに、非常に

若干繰り返しになっている部分とか、関係性が分かりにくい部分があるので、もう少し全

体を整理していただけないかというような御指摘を頂いたところでございました。

そういった点も踏まえまして、全体で若干繰り返しになっているところは簡略化したり、

あるいは、順番を入れ替えたりして構造を示せるところは工夫したりというようなところ

なども工夫しておりますけれども、それでもまだまだ大部なところでございますので、こ

ういうふうにしたら整理が分かりやすくなるんじゃないかというところなど、是非御指摘

を頂けたらと存じます。

資料3-6でございますけれども、生活科同様、1番目には、「これまでの成果と課題」と

いうことを上げております。この中で、2ページ目のところでございますけれども、「課題

とさらなる期待」というところでございます。ここが、前回少し文章が非常に長くなって

しまっていたところを、生活科と同じように、三つの課題がありますということで構造を

整理しています。

一つ目は、総合的な学習の時間で育成する資質・能力についての視点ということです。

二つ目としましては、3ページ目に掛かりますけれども、探究のプロセスに関する視点と

いうことで、こちらは学習の過程ということになります。それから、三つ目の論点としま

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しては、高等学校における総合的な学習の時間への取組という、全体に大きくこの三つの

課題ということで整理できるんではないかということで、書いている内容のストーリーは

大きく変わっておりませんけれども、見方を少し整理するというような形でまとめ直した

ものでございます。

それから、3ページ目の下以降が大きな2番目の柱としまして、「総合的な学習の時間に

おいて育成する資質・能力の柱について」でございます。3ページ目の下の(1)のところ

から4ページ目にかけましては、総合的な学習の時間の特質に応じて育まれる見方・考え

方についてということで上げております。

ここも前回の御指摘等を踏まえまして修正を加えておりますが、総合的な学習の時間の

見方・考え方につきましては大きく二つの視点がございまして、4ページ目で参りますと、

最初の丸のところ、「横断的・総合的な学習は」というところは、総合的な学習の時間の

固有というよりは、各教科等で学んだもの、身に付けたものということを総合していく、

統合していくというところの横軸的な視点を中心に上げているところでございますが、総

合的な学習の時間の見方・考え方は、単に各教科で学んだものを使うということだけでは

なくて、総合的な学習の時間特有の特質を踏まえて育まれる見方・考え方があるんではな

いかという部分が、同じ4ページ目の中でも、二つ目の丸の部分と三つ目の丸の部分でご

ざいます。ここのところが少し説明が、もう少し説明を加えた方がいいかなというところ

で、説明を丁寧に加えているところでございます。

4ページ目の二つ目の柱のところは、前回も俯瞰的に捉えるということを見方・考え方

のキーワードとして上げておりました。そこを少し丁寧に書き下すような形で、「各教科

等の『見方・考え方』を活用しながら、多様な他者と協働し、異なる意見や他者の考えを

受け入れたりする中で、実社会や実生活との関わりで見出される課題を多面的・多角的に

俯瞰して捉え、考えること」、それによりまして、見方・考え方は多様な文脈でも使える

ようになるなどして確かになっていくというようなこと、その「俯瞰的」という趣旨を少

し書き下すような形で加えております。

それから、同じく4ページ目の三つ目の丸のところは、これは内省的という言葉で表し

ていた部分を、更に少し丁寧に書き加えてみたところであります。この内省的というキー

ワードは、実はちょっと中で事務局でこれを作るときもいろいろ議論がございまして、言

葉の元の言葉で言えば、リフレクティブとかリフレクティブネスというような言葉が恐ら

く当たるのかなと思いますけれども、和訳するときに、内省的というと、どうしても何か

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内にこもるような印象があるんじゃないかというような中での議論の中でありました。

ただ、言葉としてはやはりこれが適切かなと申しますのは、やはりこと総合的な学習の

時間におきましては、いろいろ体験をする、そこで感じたものがあるということをいかに

つなぎ止めるといいますか、自分自身のものにしていくかということをしっかり打ち出し

ていくことが必要ではないかということが今回全体を通した大きな課題として上げられる

のかなと思います。

内省的という言葉が少し語感的なものがあるところは、説明を丁寧に加えまして、赤字

で入れている部分ではありますけれども、内省的に考えるということは、それはいろいろ

な変化に対応したり、経験から学ぶということ、物事を自動的に受け止めるのではなくて、

吟味して見定めたりする。批判的といいますか、クリティカルシンキングといいますか、

こういった視点から行動に結び付ける力というような考え方ができるんじゃないかと。

こういう形で、この内省的という言葉を使っているものとしまして、OECDが示してきた

キーコンピテンシー、三つ大きくございますけど、その真ん中に、この内省的なもの、リ

フレクティブネスというものがあるんじゃないかということが言われているところでもあ

ります。こういった趣旨を少し書き加えることによりまして、この見方・考え方における

内省的な意味、内省的というものを意味を加えたところでございます。

この辺り、これで果たしてその伝えたい表したいことが伝え切れているかどうかという

辺り、是非御意見を頂ければというふうに思います。

それから、5ページ目は、緑線でたくさん見え消しになっておりますけれども、若干文

章の順番、構造が分かりにくいということで、ここは少し短くして、9ページ目に移動す

るという形で削除したところでございます。

6ページ目からが、総合的な学習の時間の中で育成する資質・能力ということで、三つ

の柱に沿って、それぞれその考え方をまとめたところが6ページ目から7ページ目、それか

ら、8ページ目にかけてでございます。若干の文章修正をしておりますけれども、基本的

な元の形のままになっております。

この資質・能力の柱の整理を踏まえた総合的な学習の時間の目標の示し方のイメージと

いうところが8ページ目以降のところでございます。この部分は、これも文章全体の重複

感、分かりにくさと重なるところでございますけれども、他方で、見方・考え方というも

のがあって、それから、学習の目標について、柱書きと1、2、3と具体的に書いていると

ころがあって、また、学習のプロセスが後半、示されているところがあってと。どうして

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も、同じ表現がいろいろ出てきてしまうところもあるので、その趣旨を生かしながらも、

できるだけすっきり示せないかという形で整理したところがここの8ページの目標の部分

でございます。

少し見え消しがくどくなって読みにくくなっているところがあるかもしれませんけれど

も、高等学校につきましては、総合的な学習の時間の特質に応じて育まれる見方・考え方

というのを端的に表すと、探究の見方・考え方というふうに言えるのではないかというこ

とで、探究の見方・考え方を働かせ、よりよく課題を解決し、自己の在り方生き方を考え

ることを通して、次のとおり、資質・能力を育成するとしまして、三つの柱に沿ったもの

を上げるという形に上げております。それぞれ三つの柱に、何々を通してということで、

若干繰り返しになってしまうところは省くような形で整理をし直しております。

8ページ目の一番下から9ページ目にかけまして、同じく小・中学校の目標の書き方のイ

メージにつきましても整理をしました。こちらも、総合的な学習の時間の特質に応じて育

まれる見方・考え方というふうにしたところを、ここも端的に表せば、探究的な見方・考

え方ということが言えるのではないかということで、「探究的な見方・考え方を働かせ、

よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えることを通して、次のとおり、資質・能力を

育成する」としまして、三つの柱に沿ったものを上げているというような書き方にしてい

るところでございます。

この辺りは、見方・考え方にどこまで書くか、それから、この目標の書き方の部分に書

くかというところで伝え方がいろいろあるところかと思いますので、この辺りの書きぶり

の工夫なども是非御意見をまた改めて頂けたらというふうに存じます。

それから、9ページ目で、緑字にしているところは、もともと前の部分に書いていたと

ころをこちらに動かしてまいりました。総合的な学習の時間の目標の表し方としまして、

ほかの教科等と一番違うところとしまして、学習指導要領に示している目標は「第1の目

標」という言い方をしておりますけれども、各学校においては、この「第1の目標」、学習

指導要領において示されているものを踏まえた上で、それぞれの学校の総合的な学習の時

間の目標、それから、内容を定めるという構造になっているということをここで上げてお

ります。

これを前に上げておりますと、行ったり来たりする感がありますので、あえて後ろに持

ってくるという形で整理をし直しまして、また、この「第1の目標」を踏まえて、各学校

が設定する目標につきましても、三つの柱の考え方を踏まえ、また、地域、学校、児童生

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徒の実態に基づき目標を定めることが求められるというようなまとめ方で、今まで述べて

いたことを少しまとめるような形で上げているところでございます。

それから、9ページ目の下の2のところは、総合的な学習の時間の教育課程全体における

役割、それから、カリキュラム・マネジメントの中で果たす役割ということで入れている

ところでございます。

10ページ目の下の段のところで、幾つか書き加えたところがございます。もともと書い

ていたところでありますけど、よりもう少し趣旨をはっきりすることができないかという

ことで書き加えたところであります。

総合的な学習の時間がこのカリキュラム全体の中で果たす意義としまして、同じ10ペー

ジ目の二つ目の丸では、教科横断的な学びを行うという意味で、その横というような軸、

それから、その一つ下の二つ目のところでは、学年間、学校段階間での縦のつながりとい

うものにおいても総合的な学習の時間が果たす役割が大きいということを上げておりまし

た。

それから、「さらに」で上げていた部分、ここを少し言葉を書き加えておりますけれど

も、総合的な学習の時間の目標につきましては、各学校が育てたいと願う児童生徒の姿や

育成すべき資質・能力を表現するということになりますので、これはいわば学校の教育目

標そのものに直接つながるということで、他の教科等の目標にはない特質を有するという

ことがあるということで、その特質を改めて明示するような形で書き加えたところであり

ます。

こういった各学校の目標に直結するという意味から、学校の教育目標を、教育課程で具

体的、具体化していくに当たって、総合的な学習の時間が果たす役割は大きいのではない

かということを改めて書き加えたというところでございます。

また、高等学校においては、特に多様性というものがございますので、総合的な学習の

時間でどのような資質・能力の育成を目指すかということが、いわばその学校のミッショ

ンを体現するということを入れておりました。

更に書き加えまして、小・中学校におきましてでもございますけれども、小・中学校で

も、これまで様々な取組ということが行われてきておりますけれども、ただ、この10年、

20年、実践を重ねてくる中で、その積み重ねを、もう一度、総合的な学習の時間の取組に

つきまして、学校教育全体の目標で育成したいと願う児童生徒の姿、育成すべき資質・能

力の視点から評価し直して、更なる改善につなげていくと。このカリキュラム・マネジメ

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ントのPDCAのCAの部分をもう一度強調すべきじゃないかというような御意見もありました

ので、こういった文章も加えているところでございます。

それから、10ページ目の一番下の段から11ページ目にかける、12ページ目にかけまして

は、資質・能力を育む学習過程の在り方ということで、ここは幾つか文言の整理で文章の

表記を分かりやすくするというような修正を行っているところであります。

12ページ目のこの章の最後のところの「なお」のところでありますけれども、この探究

のプロセスにつきましては、ポンチ絵で御議論いただいたときにも再三御意見いただきま

したけれども、必ずしもこの順序であるわけではないと。順序性が決まっているものでは

ないということは特に強調すべきというところ、たびたび御指摘、御意見を頂いてきたと

ころでありますけれども、それにも関連しまして、特にこの探究のプロセスを意識したと

きに、ときには失敗をする、あるいは、立ち止まって前提を疑って、場合によっては戻っ

てみる、考え直してみるということがあってこその探究的な学びなのではないかというこ

とで、このプロセスというものと、そのプロセスを行かないことにも意義があると、非常

に大きな意義があるということを改めて書き加えるというような修正を加えたところでご

ざいます。

また、12ページ目から13ページ目にかけましては、評価の観点のあり方ということで、

ここも目標の書き方全てを修正をするという形で直しているところでございます。

それから、14ページ目の下の段のところからが大きな3番目の柱としまして、「資質・能

力の育成に向けた教育内容の改善、充実」というところでございます。このうちの(1)

のところは、「探究」の意義からの領域構成の見直しというところで、他の教科であれば、

小中高を通じた教科構成の見直しというところでございますけれども、ここは総合的な学

習の時間という領域の構成というのをこの「探究」の意義からどう見直すかということで、

前回も御意見いただいたところでございます。

14ページ目から15ページ目にかけまして、小学校、中学校における意義、それから、高

校における意義ということで、特に高校のところを強調してきたところでございます。こ

の高校につきましては、その総合的な学習の時間の在り方につきまして、より探究的な学

びであるということを意識する、強調するために、その名称についても見直すべきである

というような大きな見直しの方向性を出しているところでありますけれども、一方で、下

の15ページ目の丸を加えておりますけれども、大きなこの見直しに踏み込むべきであると

いうことの一方で、その改革、新しい取組を進めていくに当たりましては、小・中学校の

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総合的な学習の時間、これまで育んできたことを生かすということも当然重要であります

し、また、高等学校の中におきましても、探究的な学習の実践の積み重ねというのが生ま

れつつあるというものもございます。

また、専門学科における実践的な学習ですとか、スーパーサイエンスハイスクールやス

ーパーグローバルハイスクールにおける取組といった事例、それから、国際バカロレアの

ディプロマプログラムにおける「知の技能」(Theory of Knowledge)といったものの取組、

あるいは、学ぶ内容なども参考にしながら、どのような進路に進もうとも、生涯にわたり

学び続け、探究し続けていくことの意義を理解する、そのために必要な力を付ける時間と

するよう各学校における取組の一層の充実が期待されるということで、もう一段、この意

義をはっきりと示す。また、これまでやってきたこともしっかり生かすということを加え

るということで、1文加えたところでございます。

それから、16ページ目は、この同じ柱の(2)としまして、資質・能力の整理と学習過

程の在り方を踏まえた教育内容の構造化という部分でございます。総合的な学習の時間に

おきましては系統的に内容を示すという教科等ではございませんので、主にこの学習活動

の設定に関する示し方をどうするかというところを中心に御意見を頂いてきたところでご

ざいました。

頂いた御意見等を踏まえまして、幾つか加えているところがございますけれども、16ペ

ージ目の三つ目の丸の中にぶら下げております黒丸の一つ目のところでございますが、学

習活動の例示についての考え方を示すという中で、特に御意見を頂いたところは、地域社

会における課題を扱う、その課題に対する解決を扱うということを強調すべきであるとい

うこと、それから、その目標の取り上げ方につきましては、実際に地域にあるかどうかと

いうことも含めてではありますけれども、児童生徒にとって身近に感じられるようなテー

マを取り扱うということもこの学びを深めるものにつながっていくんではないか。あるい

は、それを学ぶことによって、探究的に学ぶことの意義や価値、そういったことが実感し

やすいような課題を設定するということが考えられるのではないかということで、幾つか

具体的に書き加えるというような修正をしているところでございます。

また、こういう学習活動の例示をすることを踏まえまして、(1)、(2)、(3)では、それ

ぞれ知識・技能、思考・判断・表現、それから、学びに向かう力、人間性等に関しまして

も、ここもまだ具体的にどういう示し方ができるかというところは今後検討が必要なとこ

ろではあるかとは思いますけれども、知識・技能については、その学習対象を学ぶことを

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通じて獲得されるような概念的な知識、これについての方向性を例示するということを検

討するということ。思考力・判断力・表現力につきましては、探究のプロセスを通じて働

く学習方法に関する資質・能力、これの例示ができないかということを検討してみたいと、

どういう示し方ができるかを考えてみたいということを上げているところでございます。

それから、17ページ目には、同じ柱の(3)ということで、現代的な諸課題を踏まえた

教育内容の見直しということを加えてございます、入れております。ここは元から文章を

入れておりましたけれども、もともとは総則の見直しを踏まえた総合的な学習の時間でも

必要な規定を置くという、まだ少し漠としたものを入れておりますけれども、大きく二つ

の視点を書き加えております。

一つは、これは本来は総合的な学習の時間というよりは、論点整理の中でも触れられて

おりますように、今回、全般、各教科全体に関わる話ではございますけれども、特に総合

的な学習の時間と関わりが深いと考えられる持続可能な開発のための教育、ESDの視点と

いうことで書き加えております。

若干少し説明的な部分も入れていますので、丸としましては五つの丸になっております

けれども、我が国が提唱しUNESCOを中心としまして取り組んできたこの持続可能な開発の

ための教育、ESDにつきましては、教育課程全体の中で育成すべき資質・能力の根底にあ

るというようなものであるというふうに言えると思います。

具体的に、こういう内容の学習をすることがESDであるということではなくて、持続可

能な開発の担い手を育むために、地球規模の課題を自分のこととして捉え、その解決に向

けて自分で考え、行動を起こす力を身に付ける、そういったいわば資質・能力を育むため

の教育ということで、ESDは示されてきたというものがございます。

このESDでは、じゃあ、どういう資質・能力を育むのかというところにつきまして、こ

れは一つの整理でございますけれども、国立政策研究所がまとめたものとしまして、この

持続可能な開発の担い手を育むということに掛かる資質・能力としまして、六つ挙げてお

ります。「持続可能な社会づくりの構成概念」、それから、「多様性」、「相互性」、「有限性」、

「公平性」、「連携性」、「責任性」、こういったような六つの概念、こういったものの理解

を深めるということ、これを基本的な構成概念の例というふうに挙げております。

これはESDで例示として挙げているところではありますけれども、先ほどの総合的な学

習の時間の学習の示し方の中で、この概念的な理解の例ということを示せないかというと

ころを上げていますけれども、このESDで整理されているこの概念的なものの理解という

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ものもまたそこの参考になるのかなという意味も含めまして、ここは少し具体的に紹介さ

せていただきました。

それから、18ページ目の最初のところですけれども、「ESDの視点に立った学習指導で重

視する能力・態度」ということで、これも国立教育政策研究所が整理したものであります。

批判的に考える力、未来像を予測して計画を立てる力、多面的・総合的に考える力、コミ

ュニケーションを行う力、他者と協力する力、つながりを尊重する態度、進んで参加する

態度といったものが例示されているところであります。

これも総合的な学習に限らず、非常に教科横断的に関わってくるところではありますけ

れども、総合的な学習の時間の中で探究的に学習する過程の中で、こうした力を実際に働

かせ、その力をより確かなものにしていくというようなことにつながっていくことが考え

られるのではないかということで、ここも具体的に紹介させていただきました。

こうしたような資質・能力を育成するためには、例えばどのようなテーマを設定するか、

このテーマを設定することが大事であるというよりは、この持続可能な社会づくりのため

の構成概念の獲得、あるいは、資質・能力を育むということを意識した学習を展開すると

いうことが重要なのではないかということで、各学校がESDのこうした視点ということを、

視点から学習を充実させていくに当たりまして、総合的な学習の時間が中心的な役割を果

たすということが期待できるのではないかというようなことを入れているところでござい

ます。

それから、もう一つ大きく書き加えたところとしまして、先ほど、協力有識者会議の方

で検討いただいておりました情報活用能力、プログラミングの視点でございます。情報活

用能力に関しましては、総則・評価特別部会の方で、教育課程全体を通じまして、情報教

育活用能力の育成というものの充実を図っていくということが示されたところであります

と。それに加えまして、このプログラミングに関する会議の中で御意見いただいて、先ほ

ど大杉室長から御説明したところの中で、総合的な学習の時間に絡んで入ってきたところ

をほぼ、少し言葉を書き加えながら入れたところがその内容でございます。

プログラミングに対して、小学校段階から体験し、その意義を理解するということが求

められており、教育課程全体を通じて、各教科ごとの特質に応じた取組ということを小学

校段階では期待されるということがあります。

その中で、総合的な学習の時間においてはということでございますけれども、情報に関

する課題について探究的に学ぶ中で、自分の暮らしとプログラミングとの関係を考え、プ

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ログラミングを体験しながらその良さに気付く学びを取り入れていくということが考えら

れるのではないかということで、例えばでありますけれども、プログラミングを体験しな

がら、生活を便利にしている様々なソフトウエアというものだけではなくて、目に見えな

い部分で様々な製品、あるいは、社会のシステムなどにおいて、プログラミングというも

のが機能して働いているものがあるということを体験的に理解するというようなことは、

総合的な学習の時間の学びとして考えられるのではないかということを上げております。

プログラミング教育につきましては、ここもいわば留意点的に入れているところではご

ざいますけれども、プログラミング的思考など、子供たちが将来どういう職業に就くにし

ても、普遍的に求められる力を育むということが目的でありまして、プログラミング言語

を用いたコーディングを覚えることが目的ではありませんし、また、プログラミングを体

験することが総合的な学習の時間における学びの本質である探究的な学習として適切に位

置付けられるようにするというようなことが必要であるということをここで書き加えさせ

ていただいているところでございます。

それから、19ページ目からは、4ポツの柱、「学習・指導の改善充実や教材の充実」とい

う環境整備面の関わってくるところでございます。ここも1番目に特別支援教育の充実の

視点を入れておりますけれども、ここももともとたしか生活科の方で御指摘を頂いたとこ

ろでありましたけれども、総合的な学習の時間にも大いに関わるだろうということで、困

難さを補うという視点だけでなく、むしろ得意なことを生かすという視点をこちらにも加

えているところでございます。

それから、20ページ目以降、「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」というア

クティブ・ラーニングの視点の学習指導改善の充実というものが20ページ目、21ページ目、

それから、22ページ目にかけて入れております。ここは幾つかの文言の整理、あるいは、

後半の部分ですので、前半で述べた部分と重なる部分は文言を整理するというような修正

を加えているところであります。

それから、22ページ、(3)のところでは、教材のあり方ということで、より探究的な学

習を展開するための教材の作成というところで、高校のより探究な在り方に変えていくと

いうところの部分で入れております。ここも特段御意見いただいていないので、そのまま

になっておりますけれども、ここもまた具体的なアイデア等を頂けましたら、加えさせて

いただければというふうに思います。

5番目の「必要な条件整備について」というところで、各学校における体制のところで、

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ミドルリーダー的な教員の大事さというところを入れておりますけれども、そこについて

御指摘があったことを少し文言として書き加えているところであります。

それから、24ページ目におきまして、各地域における推進体制や研修等ということで、

ここで少しこういう総合的な学習の時間の趣旨を踏まえて、各教員には、どういう資質・

能力を向上させることが望まれるのかということで、赤い丸で一つ加えております。育成

すべき資質・能力を意識して、探究的な学習の過程をデザインしたり、指導性という部分

と児童生徒の主体性・自発性という部分、この二つのバランスをどう取りながら関わって、

児童生徒の成長を引き出すことのできる力というのが求められるのではないかと。よくフ

ァシリテーション力ということを言われたりする部分もありますけれども、そういったと

ころとも関わるところなのかなということで、一文加えております。

また、こういう教員の資質向上を図るための国や都道府県のレベルの取組が非常に重要

であるということを前回も御指摘いただいたところでありました。また、具体的に、ジョ

ブシャドウイングというような具体的なアイデアもありましたけれども、やはり総合的な

学習の時間を充実するために必要となる教員の資質・能力というのは、知識の伝達により

向上させるというよりも、とにかくより実践的な学びということを通じて高めていくこと

が必要なんじゃないかということで一文を加えているところであります。

また、学習環境の整備、それから、地域との連携だけでなく、保護者・家庭との連携と

いうことも非常に重要であろうということで、保護者・家庭との連携ということで一文加

えております。

ここは少し高校ということも意識して文章を加えております。高等学校では、総合的な

学習の時間が必ずしも期待されるような役割を果たし切れていないということを課題のと

ころで上げておりますけれども、その背景としまして、よく言われることとしましては、

受験指導を重視しがちであると。なぜその受験指導を重視しがちかというと、保護者や生

徒がそれを望んでいるからだというようなことをよく言われてきたところがございます。

しかし、総合的な学習の時間が導入された当初の高等学校におきましてはそういったと

ころも多かったということはあるかもしれませんし、保護者自身にもそうした学習の経験

がないということで、なかなか趣旨が伝わっていなかったのかなというところはあります

けれども、現在では、多くの保護者に総合的な学習の時間の重要性というのは捉えられて

いるという、調査等の結果でも、そういったところが出てきているところもありますし、

また、子供、これからの高校生というのは、小学校、中学校でこの総合的な学習の時間の

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充実が図られてきているというものをまさに経験した子供たちが高校に入ってきていると

いうこともありますので、そういった中で、改めて社会に開かれた教育課程の視点から、

学校と保護者が育成したい子供たちの資質・能力について共有し、必要な協力を求めてい

くということができるような状況になっていますし、そういったことが大事なんではない

かということを加えたところであります。

また、最後、25ページ目は地域の連携というところで三つほど文章を加えていっている

ところであります。ここも前回の御意見を踏まえて入れております。児童生徒にとっても、

地域の特質に応じた課題を学ぶことに意義がありますし、地域においても、児童生徒がそ

ういった学びをするということは非常に大きな意義があるということがあるということ。

それから、コミュニティ・スクール、学校運営協議会を設置するという枠組みにつきま

しては、この開かれた社会、社会に開かれた教育課程の理念を実際に具現化する仕組みと

して積極的な活用が望まれるんではないかということ。

それから、首長部局との連携ということにつきましては、是非、総合的な学習の時間で

も強調すべきであるという御意見を踏まえまして、最後、書き加えたところでございます。

以上、修正内容は多岐にわたりますし、また、全体を分かりやすくというところをどれ

だけこれで迫れたかというところがございますけれども、また忌憚なく御意見を頂ければ

と存じます。よろしくお願いいたします。

【見上主査】

ありがとうございました。それでは御意見頂戴できればと思います。

【久野委員】

3点に課題をまとめていただいて、非常にすっきりしたものになっているなと思います。

やはり、3点目の高校が一つはやはり一つ重要な鍵を握っているだろうというふうに考

えておりまして、その中で、三つ目、今の記述でいきますと、三つ目は、高等学校におけ

る総合的な学習の時間への取組という視点であるということで、ここの表題のところが少

し、何というんですかね、方向性に欠けるというか、それを更なる充実をするんだ、つま

り、逆に言えば、充実がまだもう一段、是非高めたいというという期待を込める必要があ

るのではないかと。取組という視点だけでは、少し方向性が見えないなと感じました。

【鹿毛委員】

先ほどお尋ねもあった内省ということに関連してなんですけれども、今の課題と方向性

というところにも実は関連することだと思うんですが、今まで、先ほど主査の方からもお

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話があった、総合でいきなり課題の設定というところが入る。要するに、Plan Do Seeみ

たいなことをマネジメントしていく、そういう、自己調整学習というんですけれども、そ

れを乗り越えるところにこそ、今回、方向性があるんじゃないかと思うんですね。

それはどういうところかいうと、まさにOECDが指摘するキーコンピテンシーの三つの背

景、余り語られないんですが、そこにリフレキティビティとかリフレクションということ

が言われていまして、それは内省というふうに訳してしまうと、内省というのは一般には

自分自身に対する反省を意味しますから、いわゆるリフレクションというのは精察という

ふうに訳されるんですね。反省的思考というところから出てきている考え方なんですけれ

ども。そういうふうに考えると、そこは思慮深さであるとか、熟考であるとか、立ち止ま

って振り返って今後を見通していくような思考のことを指しているわけですね。

そうすると、その問題解決プロセスそれ自体も見直すということも含まれているわけで

すから、そこら辺が今までの課題の設定、収集、分析、まとめ、表現という、それがその

まま単元化されて、その順番をステップ化してやっていけば、そういう力が付くかという

と、そうではないところの、今回もし強調するとするならば、その背景にあるそのような

リフレクションのことを重視するということを打ち出さない限り、何ていうんでしょうか、

同じように見えてしまうのではないかなというふうに強く思うんですね。

ですので、もっと言っちゃうと、問うことそれ自体を、探究のやっぱり本質というのは

問うことだと思うんですけれども、その問うといことを学ぶというか、学問そのものだと

思うんですが、問うということを学ぶということ、そういう態度を身に付けるということ

がないと、例えば問題解決としては、自分の問い自体も見直すとか、そういうことが途中

に入らない限り、深い学びには至らないわけです。

ですから、深い学びというキーワードと照らし合わせたときに、やはりもうちょっと力

点を、その内省というところがかなり特出しされていますので、ここを丁寧に、実はもっ

と重視するというか、そもそもの土台のところを時間を掛けてやるとか、ああでもない、

こうでもないというふうに協働的に学ぶだとか、そういうような学習プロセスが埋め込ま

れた単元ということを構想していかない限り、なかなか変わらないというふうに思ったと

いうことです。

【村川委員】

2点あります。まずは、8ページの目標と13ページの評価の観点に関わることなんですが、

8ページの方で申し上げますと、これは高等学校も小・中学校も共通の点なんですが、1の

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「課題に関する概念的知識を獲得し、課題の解決に必要な知識や技能を身に付け」、うん

ぬんというこの目標が当然評価の観点にはなるんですけれども、私もこれまでの会議で述

べてきたように、実際、総合的な学習で子供たちが環境なり、福祉なり、あるいは、防災

なり、取り組んでいった場合に、多分、教科で学ぶ以上に、子供たちは深く、その課題に

ついて本当に概念的な知識を持つと思うんですね。

でも、それは結果として持つんであって、初めからこのように目標や評価の観点にしち

ゃうと、ともすれば、それが目的化してしまって、いわゆる従来型の、何といいますかね、

習得型の学びに陥ってしまって、いや、探究的な学びをしているから、子供たちは自分の

言葉で、それこそ難解な概念も理解し、そして、それもやっぱり人に伝達することによっ

て、自分のものになっていくという、結果としての知識や技能なので、何かもうちょっと

書き方を変えないと、これがどうもやっぱり総合の本質を変えてしまうような、そういう

心配があるので、ちょっとここは配慮していただきたいなと。

せっかくこの課題や探究することを通してということがあると、まだ、これがこういう

ことをするからこういうものが獲得されて、こんな技能が身に付くったというのが分かる

んだけど、消したことによって逆に困ったことにならないかなというのが、これが1点目

です。

2点目は、振り返りに関してはもうプロセスで五つ目に入れてほしいということは2回言

ったんだけども、駄目みたいなので、これは取り下げるしかないかなと思っていますが、

ただ、やはりもう最後一言言わせていただくと、たくさんの総合学習を見てきて、やはり

単元の中にきちっと、2時間なり3時間なり、やっぱり自分がこの課題について取り組んで

きて、それこそ、今回で言われている育成すべき資質・能力の三つの柱で見たときに、例

えばこの防災に関して自分はどういうことがやっぱり学んだのか、今のことにもつながり

ますけど、あるいは、どういう学びをしたから、こういうような問題解決ができたのか、

二つ目ですよね。最後に、今回こういうテーマで、半年間、1年間学習したことによって、

例えば高齢者に対する、あるいは、障害者に対する自分の考え方、あるいは、今後の生き

方がどうなったかと。こういうのはやっぱり2時間、3時間掛けてきちっと振り返るという

ことが、やっぱり僕はずっと見てきて、それはやっぱり大事だなという気持ちは変わらな

いけども、いろんなところに散りばめてはいただいているので、一言それだけ言わせてい

ただいて、もうしゃあないかなと。

【恩田委員】

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まさに4ページ、内省的という言葉を見まして、私はすごく感銘を受けました。といい

ますのは、いわゆる教員の総合的な学習のマネジメントで、本校では、まさに精察的、つ

まり、探究的精察ができたかどうかというのが一つ大きな振り返りにしています。いわゆ

るダブルループ学習だったかどうかということです。既存の枠組みだけで、いわゆるあり

ていな既存のツールの学習じゃなくて、新たな枠組みに挑戦できたかどうかということで

使っている言葉だったので、それを生徒に向けて内省という言葉を使われたということは、

これは振り返りを重視するというふうに私は受け止めました。この振り返りが、個人では

なくて、いわゆる生徒が主体的に協働的なグループの中で内省的な振り返りができたら、

なおいいんじゃないかなと思って受け止めた次第です。

それから、8ページに、高等学校の3なんですけれども、これはキャリアの視点だと思う

のでありますけれども、要は、これ、後の上の学びに向かう力、人間性等にも関連するん

ですけれども、これ、探究したことをどうすれば役立てられるかであるとか、要は、より

よい人生を送る、それから、世界と関わると、まさにその手前にあることだと思うんです

けれども、探究したことをどう工夫すれば、どう役立つのかという、いわゆるHowで終わ

らずに、Whatであるとか、For Whatにつなぐ、そういうイントロダクションに返るという

ことが何か表現できないかなと思いながら、読ませていただきました。

それから、10ページの二つ目の丸の、その横だけじゃなくて縦のつながりということは、

まさしくこれも総合的で探究的な時間を生徒が主体的に協働的にやるという前提に立て

ば、いわゆるその縦の学年間のいわゆるその批評であったりとか、それから、引き継ぎで

あったりとか、更に自分の学校の総合を良くしていこうというような、それこそ運営自体

に生徒が主体的に関わるのが探究的な総合の時間ではないかなというふうにして見まし

た。

これは小学校、中学校でも、いわゆる中間発表であるとか最終の発表を、学年を超えて

評価し合うというような活動自体、すごく大事なことだと思いますので、縦を、そのよう

な学校内の、学年間で理解していただくことが必要なんじゃないかなというふうに思って

おります。

14ページまでということでしたので、その3点だけ、述べさせていただきました。あり

がとうございます。

【小林委員】

ありがとうございます。1点だけなんですが、10ページのところで、総合的な学習の時

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間の目標について、学校の教育目標と直接的につながるんだと、それが他の教科にはない

特質を有するということで、総合的な学習の時間が教育課程全体の中で重要な役割を果た

すと。これを明記したことの意義が大変大きいなというふうに思っています。

今、校長会等でも、学力向上や教育課程の改善について議論することが多いのですけれ

ども、なかなか総合的な学習の時間の話が後回しになりがちな中で、このことが非常に大

きいなと思われますし、それが社会に開かれた教育課程と結び付けられて表現されている

ことや、それから、上のところで、白丸三つ目でしょうか。下の赤で、社会や、「地域・

社会と共有していくことが大きな意義を持つと考えられる」と、この辺が一番最後に出て

くるコミュニティ・スクールとの関連の中で、大きな意味を持ってくるかなと思って、好

意的に受け止めました。

【久野委員】

ありがとうございます。先ほど、村川委員もおっしゃられたんですけれども、やはり目

標のところ、ここは極めて大事かなと思って集中して見ております。

見え消し版で8ページ、それから、溶け込み版、こういう表現があるんですね、溶け込

み版で7ページ、ちょっと比べながら見てみたいなというふうに思っています。

非常に重複を整理するという意味では、非常に洗練されてきてはいると思うんですが、

やはりそれを通してそぎ落とし過ぎると、やはり総合的な学習の時間の本質が少し違った

方向に行きかねないというふうに思っています。

具体的に申し上げますと、特に1、2、3のところで、その溶け込み版の方の1を、高校の

1を見ますと、「やはり課題(学習対象)に関する概念的知識を獲得し」と、やはり、何て

いうんですかね、裸で出てくると言ったらいいんですかね。前段なく出てくると、やはり

これはかなりインパクトの強いものになるように思います。

見え消し版を見ていると文字面が残るので、私たち、感覚的にはあるように透けて見え

るんですけれども、それがなくて、溶け込み版で見ると、非常にインパクトが強く見えま

す。

例えばこの1、2、3それぞれに、冒頭の句は、例えば見え消し版であるように、課題を

探究することを通してということを残し、2の方は今生きていますので、「実社会や実生活

の中から問いを見出し」、これは探究に近い考え方ですので、そこはよいとして、3番目の

ところも、「主体的・協同的に課題を探究し」というふうに出てきます。

やはり、これ、1番目のところ、非常にちょっとここは議論がいざ出ると、非常に難し

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さに直面するかなというふうに思いますので、ちょっと重複はあるかもしれませんが、探

究という言葉はやはり各1、2、3にはやはり残すということが、繰り返し表現するという

ことが総合の探究の道を踏み外さない大事な要素かなというふうに思いました。

【服部委員】

済みません、どこかに書いてあるかもしれないんですけど、1点だけ質問なんですけれ

ども、10ページ、総合が、総合的な学習の時間の目標の中に、学校、各学校が育てたいと

願う児童生徒の姿や育成すべき、要するに、学校の目標を体現する、実現するものである

ということが書いてあるんですけれども、これはあれですよね、学校としてやっぱり教員

同士が連携しながら取り組むということがどこかに書いてあるかなと思って探したら、ち

ょっと見当たらなかったので。あるいは、学校が設定した教育目標に沿ってであれば、個

人プレーでもオーケーみたいな余地を残してあるのか。ちょっとそこだけ確認したくて。

もしないんであれば、連携して取り組むというのがどこかに分かるように入れておいた方

がいいのかなと。多分あるんじゃないかと思うんですけども。

【南郷委員】

4ページで、先ほど来上がっていた内省的、探究的省察などのところなんですけれども、

たしかのDeSeCoキーコンピテンシーの基になったレポートの中の日本語訳が思慮深さとい

う言葉を、鹿毛先生がお使いになった思慮深さという言葉を使っていたかなと思って、こ

れについては、非常に重要な言葉だなというふうに認識をしております。

内省的という言葉、これは本当に熟慮跡が見える文章で、本当に御苦労されたんだなと

いうふうに感じて感銘を受けていますけれど、やっぱりちょっと内面にこもるという印象

は拭い難い部分はあるのかなと。今まで先生方、御指摘いただいたところにも共感をしま

した。

これ、ものの見方、考え方のところにも内省的という言葉が入ってくるので、結構影響

が大きい言葉なのかなと思うので、総合の役割ということを教育課程全体の中での位置付

けや役割ということを考えると、もう少し外に開かれていく、実社会、実生活に開かれて

いくような印象を受けるような言葉にした方が誤解が、恐らく事務局の皆様もお伝えにな

られたいことを伝える上で誤解がないのかななんて思いながら、拝見をいたしました。具

体的な代案がなくて申し訳ないんですが。

関連して申し上げれば、この見方・考え方のところが今、内省的に考えることという結

びで終わっているんですけれども、これ、非常に私、今、悩みながら拝見していたんです

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けれど、やっぱりここにもうちょっと、実社会、実生活に向かっていく行動する姿勢とい

うか、その要素を入れられないんだろうかと思いながら、ちょっと考えていました。

見方・考え方ですので、脳内の思考ですので、そういう態度面というか、を入れるのは

ちょっと違うのかなとも思いつつ、各教科等の見方・考え方を見ると、やっぱり国語は表

現、理解することを通して、自分の思いや考えを形成して深める。社会科は、例えば概念

的枠組みに着目して、課題を見出して解決へ向け、多様な概念を関連付ける。こういう力

を発揮して、まさに課題を解決しようというのが総合的な学習の時間の位置付け、役割で

ありますので、やっぱり各教科は、何ていうんでしょう、やっぱり思考的なものが見方・

考え方で重視されているんですけど、総合はもう一歩進んだ態度面、行動していくという

か、より高次の課題に取り組もうとする態度とか、よりよい社会の実現に努めようとする

態度とかの部分を何かここに入れられないのかなと、悩みながら思いました。

づらづら申し訳ありません。関連でもう一つ。そういう意味では、学習のプロセス、11

ページのところで課題の設定の場面や情報の収集場面などなどについて、11ページの二つ

目の丸のところで書いていらっしゃるんですけれど、既に今も高等学校における総合学習、

中学校における総合学習を含め、このプロセスを踏まえた上で、ダイナミックな実社会で

の実践も行っている取組は非常に多くあるかと思います。そういう実践を、実社会、実生

活での実践を行っていくんだという要素を何か表現できないかなと。このプロセスのどこ

かで、まとめ、表現を何か実社会での実践ということでやってみることもあれば、あるい

は、情報の収集という形で実践をするとか、まさにこのスパイラルでくるくる回すんだと

思いますけれども、それをどこかに入れられないかなというふうに思いました。

【久野委員】

今の内省的のところで、見え消し版の4ページの探究の見方・考え方のところで、高等

学校と小・中学校と書き分けてあると思うんですが、高等学校の場合、4ページの一番下

の行のところ、「実社会や実生活の複雑な文脈や自己の在り方生き方と関連付けて内省的

に考えること」、次のページの小学校の方は、「実社会や実生活の文脈や自己の生き方と関

連付けて振り返り、考えること」というところで、この内省的のところが、今までの議論

では一つもののように考えていましたけれども、それはここで高等学校と小・中の間で段

があるということは、やはりその間での内省の在り方について、もう少しちょっと説明が

要るんではないかなと。

それも踏まえて、先ほどの前半の今までの議論の中でも、内省の質というんですかね、

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字義から来る印象と、それから、内省という言葉や思慮深さが含み込んでいるものの小・

中と高との間、学校での間の含み込むものの違いのようなものが、ここからは、申し訳な

い、うまく表現できないかなと思うわけですけど、ここ、大事な点かなと思いました。追

加させていただけました。

【鹿毛委員】

関連してなんですけれども、まさに今日、その流れの中で、その内省という言葉がキー

ワードになって、そこがポイントだなというふうに改めて思っています。

そのときに、先ほど、南郷委員からもありましたけども、やはりその学習のプロセス、

学習過程の在り方というところが、果たして、例えば11ページの一番上の丸のところのい

わゆる課題の整理、私はさっきからこだわっているところですけど、これ自体は探究なの

かなというか、これ自体は、探究というのはこれ、こういうふうに表現できるものではな

いというふうに、もう表面的な感じがするんですよね。

結局、ここが受け取られて単元構成されてしまいますので、実質的に探究が起こってな

くても、これがなぞられていれば探究だというふうに受け取られたら、それは誤解なわけ

ですよね。

そういうふうに考えると、その内省なるものが、ちょっとその言葉は違った方が私はい

いと思いますけれども、ちょっとそのキーワードを、ちょっと私も何かというのがあれば

いいんですけど、思慮深さとか熟慮とか、多分はまる言葉がないから困っているとは思う

んだけども、それが改めて今回キーワードになると、要するに本当の意味での探究という

ことが、今、形だけで問題解決が表面的にされていることを乗り越えることが今回、探究

というキーワードでやるんだったらば、恐らくそこがキーワードになるところを、ここの

学習過程のところの在り方にも、何らかの形で文章表現、あるいは、一部の、何ていうの

かな、句を挿入する、挿入句でも構わないんですけれども、それを入れないと、このまま

だと、今までとどう違うんだろうというふうになってしまいかねないので、恐らくそこい

ら辺が全て、今日出たポイントってそこが大きいかなと思いますので、是非御検討いただ

ければと思います。

【村川委員】

済みません、関連するところなんですけれども。この課題設定、情報収集、それから、

整理分析、表現のみが探究じゃなくて、実は課題設定の中にも探究がある。実際、この課

題で本当にいいのかどうか、この課題が本当に自分たちで追求すべきなのか。この課題の

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質、ものを、そのものを問う。あるいは、情報の収集においても、この課題を解決する上

で、どのような情報を、どのような手段で見出すきなのか。これも子供たちがいろいろ考

えるべきで、発信表現もそうなんですよね。

結局、自分たちがこう解決したこの情報を誰に発信することによって価値が見出される

のか、そういうことをやっぱり改めて子供が考えるということで、それぞれのプロセスに

おいて探究があるので、そういうことももうちょっと書き込んだ方がいいかなというふう

に思います。

【南郷委員】

今の探究のプロセスは、いろいろ、指導要領の解説であるとか、指導資料などではスパ

イラルでぐるぐる何回も回しましょうということはもう明記されているところであります

ので、この11ページの2個目の丸の1、2、3、4のところにも、こういうものが、ウオータ

ーフォール型というか、計画的にぱんぱん、ぱんぱんと進むようなものは探究ではないの

で、数回繰り返される中でというようなものを少し表現していただくといいかなと思いな

がら、伺いました。

違う観点で、カリキュラム・マネジメントのところも大きく書き込んでいただいている

ので、コメントをさせてください。10ページ、見え消しの10ページの上から三つ目の丸の

ところで、いろいろ前回議論があった学校の教育目標と直接的につながる他教科にはない

特質を有するということで重要な役割を果たすというふうに明記を頂きました。本当にき

れいに整理を頂いて、有り難いなというふうに思います。

是非、そういう意味では、別のところですけれども、前に久野委員もおっしゃっていま

したけど、総則の部分で、今回、第1の4辺りでカリキュラム・マネジメントの実現という

ようなところとか、新たに加わるところもあるかと思いますので、こういうところでも、

総合学習の位置付けというものを明確にしていっていただけるとよいなというふうに思い

ました。

更に言えば、一つ上の二つ目の丸ですけれども、横と縦のつながりという観点なんです

けれども、ここで、小学校の6年間、中学、高校のそれぞれ3年間とありながら、後段の方

では、小学校から中学校の9年間において、地域でどのような資質・能力を育成するのか

を考えていくというふうになっているんですけれど、この辺、今の課題としては、全国の

地域としては、やっぱり高等学校になった途端に都道府県立になって、ちょっと地域から

離れるというところがあります。やっぱり地域の最高学府と呼ばれる高校は結構多いので、

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もうちょっとここ、9年間ではなくて、もう少し上の学校段階までを射程に入れて表現を

頂くといいかなとちょっと思いました。

【服部委員】

見え消し版の18ページのプログラミングについてなんですけれども、冒頭説明がありま

した有識者会議の取りまとめを拝見しますと、プログラミング的、この有識者会議の名称

そのものが論理的思考力やうんぬんで始まっているのもそのせいだと思うんですけど、プ

ログラミング的な思考を学ぶことが主たる目的のような形で取られ、私はそういうふうに

理解したんですけども、そのためには、プログラミング教育が最も有効な手段だろうとい

うことで、小学校ではそういうふうな理解で進めるというのは分かるんですけども。

何かこの18ページの書きぶりだと、プログラミング的思考などというのが後の方に出て

きて、取りあえずプログラム教育をやるんだと、いろいろな効果はあるけど、その中の効

果の、効用、効果効用の一つがプログラミング的思考というふうに何か取られかねないの

かなと。両方とも大杉室長が担当しているんで、これは間違いないと思うんですけど、も

う一度ちょっと確認して、両者の整合性を取っていただければというふうに思います。

【村川委員】

まず、18ページの方ですけれども、このESDのことも大事だし、このプログラミングも

大事なんですが、例えばこの上から二つ目の丸の2行目から、「持続可能な社会づくりのた

めの構成概念の獲得や資質・能力を育むことを意識した学習を展開する」という言葉だと

か、上から三つ目のこのプログラミングのところですけれども、3行目、「教科横断的に活

用できる『学び方』を身に付ける」、あるいは、「情報手段の操作もできるようにする」。

あと、ほかにも、下の方にもあるんですけど、こういうのががっと出てくると、何か総合

的な学習でいわゆるESDのために何か内容も決めて子供に学ばせるとか、総合的な学習の

時間を使って、やはりプログラミング、いわゆる情報操作の学習を主としてやるとか、そ

ういうような動きもちょっと心配されるので、この辺りの文言は少し考え直す必要がある

かなというのが一つです。それから、もう一つは、24ページのその下から二つ目の丸なん

ですけれども、「高等学校が、往々にして総合的な学習の趣旨よりも」うんぬんというも

のの4行目、「現在では多くの保護者が総合的な学習の時間が重要なものと捉えている」と

いうふうに書かれているんですが、これ、多分、エビデンスデータがあると思うんですよ

ね。多分そういう研究機関だとか、民間の教育団体がそういう調査をやったデータ、田村

視学官がよく使われているとは思うんですけれども、それ、もし出せるものであれば、そ

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ういうのを脚注に少し入れられて出した方が説得力があるかなと思いますので、そこの辺

り、また考慮していただければと思います。

【森委員】

私も、18ページのプログラミング教育のところですが、小学校というか、自分がいる教

育委員会の考えで言いますと、物すごくこの格差があるんじゃないかと、学校ごとで。物

すごく取り組んでいる学校はわっと飛び付いていくと思いますし、これからやろうと思っ

ているところは、えっ、総合でこれもやらなきゃいけないのかというそのおそれをちょっ

と感じました。

ただ、ここに書いていただいたことで、そのアプリケーションの、とにかくそれをやる

んじゃないよと、探究ですよとちゃんと書いてあるので、それを本当に細かく説明しない

と、どこでやっていいか今分からないICTの活用のところを、総合の学習で全部やられて

しまったら、わずかしかなくなってしまったものが減っていくので、私ども教育委員会と

しては、そうじゃないよと言っていかなきゃいけないなというのを実感したところではあ

ります。

ただ、探究的な学習の、新聞報道などで、この新しい学習方法だということで、即、そ

れが総合的な学習ではないよということも書かれておりましたので、その辺を丁寧にこれ

から説明しなければならないなというふうに感じました。

【鹿毛委員】

やっぱり18ページのこと、今、先生方のお話を聞いて危惧しているところです。それは

どうしてかというと、カリキュラム・マネジメント、あるいは、単元を構想する際に、プ

ログラミングということを念頭に、先生たちがどういう単元を構想するのなというのがち

ょっとイメージが付かないんですね。というのが、探究ということとそもそもプログラミ

ングということがどういうふうに有機的に結び付いているのかと、私は理解もできないし、

知識もないんですけど、ただ、ここ、ESDの方は、確かにこういうビジョンを持って内容

を構想するという方が分かるんですね。

だから、ちょっとやっぱり水と油みたいな部分がもしかしてあるのかなという。多分、

複数の先生方がそれをおっしゃっているということなので、その折り合いの付け方がすご

く難しいのかもしれませんけども、この少なくとも出し方が、ESDと並んでここにあるの

がいいのかということは、ちょっと根本的に考えないと、いわゆる履修漏れじゃないです

けど、情報とリンクさせて、内容的には情報、先ほど例示されていたんですけど、体験的

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にプログラミングを理解するという学習活動だけだったら、それは総合的な学習の時間で

はないですので、ですから、その程度でもし終わってプログラミングもやったよね、これ

がそういうことだよねというふうになりかねない。それは例えば個々の情報であるとか、

あるいは、小中高でも、小中でもそういうような内容と結び付けたときに、探究まで行く

のかというのがクリティカルなカリキュラムの基準だと思いますので、これはちょっと真

剣に表現を工夫していただきたいと思います。

【大杉教育課程企画室長】

ありがとうございます。一方で、やはり総合で情報に関することを扱うときに、今後の

社会のことを考えたら、プログラミングということに触れないわけにもいかないだろうと

いうふうに思います。

もう思いも寄らない身近なところで、それがもう不思議な箱ではなくて、私たちが生み

出したものであって、その中でいろんなことを実現するためにプログラミングが働いてい

るということ、そのこと抜きに、情報に関する学びということが今後あり得ないというこ

とが考えられるのではないかということが、ある意味、有識者会議の視点でもあるわけで

す。

情報化ということの中で、プログラミングがどんな役割を果たすのか。ただ、時代の変

化の中ですたれていくようなものを扱うのではなくて、もう少し人間とコンピュータの関

わりということも本質的に捉えた、その中で探究が学べるというようなことは、少しヒン

トがいろんな事例で見えてきていますので、それをしっかりと掘り下げて、普及できるよ

うにしていきたいというふうに思います。ありがとうございます。

【久野委員】

ありがとうございます。今の議論にも少し関連するのかもしれませんけども、例えば今

のプログラミングの私自身の認識からしても、恐らくまだ十分認識し切れていない、その

唐突感というのは恐らくあると思うんですね。と同時に、これ、前もほかの教科との関連

のところで申し上げたことがあるんですが、やはりそれぞれがお互いに前へ進んでいる教

育課程なりコンテンツなり、認識なりの中で、やはりプログラミングというものが恐らく

私が今、自分で認識しているよりも、恐らく前の方に、2030年を目指した社会ということ

ですので、恐らく来るんだろうと思います。

その一つ前に掲げてあるESDについても、当初は環境学習のように誤解されて、今でも

そういうこともあるんですけれども、そうじゃなくて、人権があったり、ジェンダーの問

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題も含み込んで、より包括的であり、内容だけじゃなくて、質形成の分も含んだものだと

いうことが次第次第に認識として共有されてきているかなというふうには思っています。

そういう意味で、この情報活用、プログラミングという言葉も、体験という言葉も折に

触れ、出てきますけれども、少しずつ浸透していくのではないかというふうに予想してい

ます。

それを踏まえて、その17ページ、見え消し版の17ページの(3)のタイトル、(3)現代

的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し、恐らくこの辺りで、ESD、それから、プログラ

ミング、それから、一つ消えていますけど、キャリアがありましたね。例えばこの三つを

ここで書き込む、どのような表題の下で書き込むかによって、これがある種、義務がある

とか、あるいは、これは飽くまでも柱なり、事例なりということだというふうにして、そ

の位置付けを見直すことによって、少しは考えられないかということを考えました。

と同時に、もう一つ大きなくくりの、ごめんなさい、14ページの最初の……、というの

が1点です。

14ページの(1)で、「探究」の意義からの領域構成の見直しというところが、ここの文

章は領域構成のことについて論じているのだろうかというのが少し疑問にありましたの

で、ちょっとここを、領域ってどのことを言っているんだろうかというのを少し考えたと

ころ、見通せなかったので、一度考えていただけたらなというふうに思います。これ、2

点目です。

そして、3点目ですけども、16ページの一番下、(2)の内容構成、教育内容の構造化の

ところですけれども、最後に、「全体計画及び年間指導計画の作成に当たり」うんぬんと

いうところで、これはページをまたいで、「資質・能力を踏まえた育成すべき資質・能力

を明示し」、その次に、17ページの頭、児童生徒や保護者等々にも共有し、「説明し共有す

ることが求めると考えられる」とあります。

この最後の中黒の項目、ページをわたった中黒の項目について、どうしてもこのように

続けて書かれると、17ページの方の保護者等に説明し、共有することに重点が行くような

気がしまして、むしろ大事にしたいのは、16ページの最後に、16ページの一番下にある「全

体計画及び年間指導計画の作成」については、そのような育成すべき資質・能力を明示す

ることが重要なのであると。また、作成された資質・能力については、保護者等と共有す

ることを求めるというふうに一旦文章を区切って、重みが前にもきちんと掛かるようにし

たい。

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というのは、私、前回の改訂のときも、全体計画、指導計画の辺り、少し中心的にそこ

でやらせていただいた形がありまして、やはりそこ、ここがやっぱり現場とつなぐ生命線

だと思いますので、ここのところの意味がきちんと伝わるようにしたいなというふうに思

っています。

【南郷委員】

17ページの現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しの部分です。ESDのこととプロ

グラミングのことと、大きな二つの括弧でまとめていただいておるのですけれども、私、

これは項目自体が現代的な諸課題を踏まえた教育内容ということでありますので、これっ

て何なのかなというふうに考えると、やっぱりESDの部分でいうと、これだけではなくて、

やっぱり少子高齢化とかグローバル化を踏まえた経済の側面であるとか、そういう部分も

含めて、ESDというのは非常に包含して視点を示してくれているものなんだろうと思いま

す。一方で、情報活用とプログラミングは、冒頭、大杉室長からも御説明がありましたが、

やっぱり技術革新に対応していく力という側面なのかな。

これ、だから、大きく言うと、ESDのところで言いたいことは、持続可能な社会づくり

に向けた価値観も含めた力の転換の必要性を視点として是非持ちましょうねと。プログラ

ミングの方は、知識基盤社会における、情報社会における技術革新に対応していく力を付

けましょうねと。そういう大きなテーマの下、この二つを書いてくださっているんだと思

うんです。

それが、何でしょう、固有名詞が、プログラミングとかESDというのがタイトルに入っ

てしまうと、ちょっと誤解というか、これをやればいいんでしょうというふうな誤解を生

むことを心配しました。書いていることはとてもいいことだと思いますが。

【小林委員】

19ページのところで、先ほどの生活科のところで、服部委員がおっしゃられた特別支援

教育の充実のところなんですが、確かに、何かが難しい場合という、障害の中身に応じて

どうするかという言い方もあるのですけれども、それはそれで大事な配慮になるんですが、

UDLの教育の成果を生かして、どの子供にも分かりやすくというような意味で、例えば、

学習課題の設定に当たっては、設定されたらそれを明示するとか、主な手順を視覚的に表

すとか、その成果の中で現れてきた手立てをどの子供たちにもということが、今度、高等

学校に進学した場合のことも踏まえると、大事なのかなというふうに思います。

どの教科においても、こういう書きっぷりになるのかなというふうに思いますけれども、

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UDLの視点も入れていただくといいのかなというふうに思いました。

【恩田委員】

今、同じ点なんですけれども、19ページの(1)は、どちらかというと、困りを抱えて

いるとか、ネガティブな視点にならないようにという形で書かれていますけれども、実は、

後のアクティブ・ラーニングの視点で、もう超深い学びと、もう主体的にどんどん学ぶこ

とについては他を圧倒する力があるんだけど、対話的な学びが苦手だという子が、実は今

までの教育システムでは駄目な子という形で評価されてこなかった。結構、学校からは学

ぶことがなかったと豪語しているオーナー社長が京都にはたくさんおられるんです。

ですから、やはりそういった、ほんと、エジソンみたいな子が、もう高校であれば、好

きなことを思いっきりやれる場が総合的な学習の場、時間にあれば、是非積極的に支援す

るような、そういう何か文言が混ざればいいなというふうに思いました。

対話的な学びも、学校の中に閉じられているからできないのであって、社会に目を向け

れば、そういう人たちはたくさんいると思いますので、是非積極的にそういった人たちを

評価できるような、今回、システムになればなというふうに思っております。

【鹿毛委員】

今の対話的な学びの視点のところで、今思い付いたことなんですけれども、対話的な学

びを行うということは、いわゆる学習活動として目に見えるところだけではなくて、対話

的な態度というものがないと成立しないことだと私は思っていまして、つまり、相手の言

うことに耳を傾けるであるとかというような、そういうような態度が基盤になるべきこと

なので、これはとても、例えばここでもくぎを刺しているように、グループの話合いをす

ればいいということではないんだけれども、やっぱり共感的な理解であるとか、そのよう

なことのコミュニケーションですよね。コミュニケーション、対話的なコミュニケーショ

ンを積み重ねて、その良さを感じなければ、そういうような構えですよね、心構えのとこ

ろ、そこいら辺の辺りが、恐らく総合的な学習の時間をこれだけ積み重ねるとできるとい

う、そういうことも恐らく狙われていると思うんですね。

ただ、今のままだと、ちょっとそこら辺が強調されてないところがあるので、何かフレ

ーズでももしかして補えるのであれば、修正していただければと思いました。

【南郷委員】

24ページの各地域における推進体制や研修等についてです。こちらも書き加えていただ

いて、本当にありがとうございます。大分これで伝わりやすくなったなと思っております。

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24ページの上から二つ目の丸のところで、総合学習を担当する教員は、育成する資質・

能力を意識し、学習の過程のデザインや児童の主体性とのバランスなどなどと書いていた

だいていますが、この中に、教員には、現代社会や地域課題の、現代社会や地域の課題の

理解というのはやっぱり必要だと思います。これがない、ないと言ったらあれなんですけ

ど、なかなか地域と接する時間がないので。それから、必要な外部の資源を活用していく

力というのもやっぱり必要です。

ですので、このようなことを、後段にあるように、研修等で育んでいく必要があるなと

思います。ここのところで、国や都道府県レベルで各地域のうんぬん、かんぬんと研修の

ことを書いていただいていますが、ここ、是非市町村も加えてもよいのではないかなと思

います。やっぱり地域課題に向き合う教員という意味では、今まさに私の地元でも、市町

村レベルで教員研修を充実させたりすることでやろうとしておりますので。

【小林委員】

それじゃあ、条件整備のところで、5.番の23ページの白丸三つ目、これ、私が以前、ミ

ドルリーダーに仕事が集中してというふうなことでありましたけれども、恐らく総合的な

学習の時間についてのカリキュラムを作るとか地域で取材をするとかという時間的な余裕

が非常に失われつつある現実がありますので、新潟県の中では、ずっと多忙化解消アクシ

ョンプログラムというのを何年も前から稼働して策を講じているんですが、もう乾いた雑

巾を絞るぐらい、限界まで来ているわけです。

先日、学校事務職員の集まる研修会でシンポジウムがあって、いわゆるチーム学校の考

え方があったわけですが、教員以外のスタッフの充実などによって、教員が研修等に当た

る時間的な余裕を生み出すなどの、そういった配慮も文部科学省の政策の中にはあります

ので、関連付けて記述いただくと有り難いなというふうに思いました。

【松田委員】

本当にここら辺を充実して書いていただいて、おまとめいただいて、感謝にたえません。

ありがとうございます。

その中で、23ページから24ページ目にかけまして、校長のビジョンとリーダーシップの

下、ミドルリーダーに対する配慮もしながら、お書き添えいただいております。もしでき

れば、そこの最後のところに、総合的な学習の時間に関して、それを学校全体でやってい

くのだという姿勢をお言葉に表していただけると、更に有り難いかなと思いました。

それと同時に、本当にここまでいろいろ書いていただいた上に、更にもしできればとい

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うお願いなのですが、ちょっと特に高校に対しては懸念されるほかの教科目での代替とい

うことがとても懸念されている中で、そのような代替が安易になされないというようなこ

とを、何かここの部分でも、どこかに盛り込むことができたらなというふうに願望として

持っているのですが、いかがでしょうか。

【森委員】

私も5.番の方の最後の方ですが、今先ほど、南郷委員が言ってくださったみたいに、教

員の資質・能力のところはやっぱり市町村も含めて頑張らなきゃいけないなというふうに

感じたところが1点です。

最後に、コミュニティ・スクールのところを書いていただいて、本当に有り難いなとい

うふうに思いました。前にもお話ししましたけど、子供たちが今どんどん社会、地域に出

ているんですけど、地域に出ていって、大人の人たちが一生懸命子供たちを応援しようと、

何で応援したらいいのかなといったときに、そうか、そういう勉強をしているんだったら、

コミュニティも一緒に頑張るよということがここでしっかりと書いてくださっているの

で、学校としては本当に有り難いなと感じたところです。ありがとうございました。

【久野委員】

一つ前のというか、20ページのところで、今日前半でかなり議論になりましたやはり探

究のプロセス、1から4への過程の捉え方のところを、やはりこの「深い学び」、「対話的な

学び」、「主体的な学び」等を切り離さないでやはり論じることが大事かなというふうに思

っています。

つまり、言い換えると、「深い学び」の過程に向かっていくことで、やはりこの探究の

プロセスというのはかなり深められるだろうと思います。なので、前半の部分とこの後半

の「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」に向けたと、このところがお互いに相

互参照できるような形になれば、文言を余り増やすことなく、つかまえられるかなという

ふうに思っています。これ、1点目です。

もう一点、24ページの推進体制や研修のところで、ここで2点ほど。

先ほどもどなたかおっしゃっていただきました一つ目の丸のところ、小学校と中学校の

9年間のカリキュラム・マネジメント、当然やはり高校におけるカリキュラム・デザイン

の力というのはやはり重要だろうと思っています。

場合によっては、先ほどちょっと言い忘れましたけれども、小・中の9年間、義務教育

の9年間とともに、中学校、高校の中等教育学校の6年間の学びということも恐らく視野に

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入れる必要があるだろうと思いました。

もう一つ、下の丸のところですけれども、教員養成段階のことを触れられていますが、

新しい教免法の中に、総合的な学習の時間の指導法という面もあり、これから設けられる

ようでもありますので、そのことについての言及も必要かなというふうに感じました。

【見上主査】

ありがとうございました。

ちょっと私の不手際で、時間をオーバーしておりますが、一通り御意見頂戴できたかと

思います。それで、9回にわたって御議論いただきました。それで、取りまとめ資料につ

きましては、大部分のところでおおよそ合意は頂けたかと思いますが、ちょっとESDと、

それから、プログラミングのところでちょっと皆様、御意見、まだおありになるかもしれ

ないというところです。

それで、できれば、メール等で御意見をお寄せいただいて、表現については事務局の方

にお任せいただくという形でもよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【見上主査】

ありがとうございます。それでは、そのような形にさせていただきたいと存じます。

それでは、時間も過ぎておりますが、本日の審議はこれまでとしたいと思います。

9回にわたりまして御議論を頂き、ありがとうございました。非常に活発な御意見、頂

きました。私の方は全然苦労しないで進行できました。また、事務局の方も、皆さんの意

見を受けて見事にまとめてきてくださいまして、ありがとうございました。今回で一応の

めどを付けさせていただきたいと思います。

また、本日、言い尽くせない分、あるいは、お気付きの点がございましたら、事務局の

方にどうぞメールで、あるいは、何でも結構ですが、手段は、御連絡いただければと思い

ます。では、今後につきまして、事務局からお願いいたします。

【小野教育課程課課長補佐】

ありがとうございました。本当に9回にわたり、充実した御審議を頂きまして、本当に

ありがとうございました。先ほど主査からおっしゃっていただきましたとおり、今回で、

生活・総合的な学習の時間ワーキンググループの議論をひとまず終了とさせていただきた

いと考えております。

また、頂きました御意見を、主査、主査代理とも御相談させていただいてまとめさせて

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いただきまして、また、最終的に取りまとめ案ができましたら、お送りさせていただけれ

ばというふうに存じます。

【見上主査】

では、生活・総合的な学習の時間のワーキンググループを終了させていただきます。本

当に皆さん、どうもありがとうございました。

―― 了 ――