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温暖化対策シンポジウム2011
パシフィックコンサルタンツ 1
タイ国・廃棄物・廃水管理セクター・NAMA 事業調査
2011年9月21日
パシフィックコンサルタンツ㈱
平成22年度 環境省委託事業
◆調査の背景
■タイ国は、マレーシア、ベトナム等、東南アジアの主要国と同様、NAMA を未提出
■しかし政府内では、本調査のカウンターパートであるTGO を中心として活発な議論
■日本が二国間クレジット制度を創設して、NAMA 活動を技術的、資金的に支援
↓
タイ国はじめ東南アジア諸国の緩和策の推進を図るとともに、日本の目標達成に貢献する好機
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◆調査対象活動
図1 調査対象活動のイメージ
◆企画立案の背景
□国家環境質向上保全法
□国家環境質向上政策・計画(1997~2016)
①一般廃棄物の発生量を1 人1 日1.0 ㎏以下
②バンコクと全国の市(municipality)における一般廃棄物のリサイクル率を15%以上
③市における一般廃棄物を全て管理することとし、市外での未処理廃棄物を10%以下
④各県(province)で衛生的な一般廃棄物管理のマスタープランを策定する、等の目標を設定
→施策を積極的に進めてはいるものの、現時点では必ずしも不十分
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◆企画立案の背景
未利用エネルギーの利用の観点からも非常に重要であり、一般廃棄物を含む、有機性廃棄物(食品残渣、農業廃棄物)や有機性廃水(アルコール工場廃液、パーム油工場廃液)のエネルギー利用に非常に積極的。
一方、タイ国のCDM 事業は、有機性廃水・廃棄物のエネルギー利用の事業が多かったが、近年の景気後退に起因して、BOT 事業への出資者の減少や初期投資のリスク考慮から、停滞傾向
↓
2013 年以降に予想されるNAMA クレジットを、廃棄物・廃水セクターのコベネフィット型温暖化対策の推進に役立てる現地のニーズは非常に大きい
◆活動によるGHG 削減効果
①都市廃棄物管理:• NAMA 活動として準好気性埋立処分技術を導入
• 熱回収(発電技術)の導入
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◆活動によるGHG 削減効果
②有機性廃棄物(固形廃棄物、農業廃棄物、食品残渣)管理:
• NAMA 活動としてコンポスト化技術を導入
◆活動によるGHG 削減効果
③有機性廃水(アルコール、パーム油)管理
• NAMA 活動として嫌気性処理及び
CH4 利用・発電技術/システムを導入
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◆ホスト国における廃棄物・排水管理の状況
①都市廃棄物管理
◆ホスト国における廃棄物・排水管理の状況
②廃水管理
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◆調査内容
(1)文献調査
①NAMAに関する課題整理
②調査対象セクターに関する課題整理
(2)現地調査
①実施回:8月、11月、1~2月※ホスト国会議は8月及び2月に実施
※バンコク近郊の埋立処分場の嫌気性発酵・メタンガス発電施設の現地視察
②データ収集及び関係者との意見交換
◆調査結果
■NAMA 計画策定の方法論の開発
1) 7STEPS方法論の内容
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2) 7STEPS方法論のアウトプット(1~3)
2) 7STEPS方法論のアウトプット(4~7)
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■都市廃棄物サブ・セクターへの7 STEPS 方法論の適用
優先的NAMA プロジェクト候補によるGHG 削減ポテンシャル
優先的NAMA事業案 GHG排出削減想定量 備考
Introduction of composting plants in BMA 1,000,000 tCO2/year バンコク都の全ての都市廃棄物をコンポスト化すると仮定。YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化の計算例を参照
Introduction of composting facilities in small and medium size municipalities
1,000,000 tCO2/yearバンコク都の都市廃棄物を除く、全ての都市廃棄物をコンポスト化すると仮定
Introduction of LFG recovery system and power generation in closed major sanitary landfills
500,000 tCO2/year同種の登録済みCDM 事業(ref-1413)を参照して、同事業と同程度のCDM 事業が大規模・中規模都市において10 件実現化すると仮定。
New construction of semi-aerobic landfills system in small and medium size municipalities
1,830,000 tCO2/year
2011年以降にバンコク都の都市廃棄物処分用に建設される埋立処分場以外に、タイ国の都市で建設される全ての埋立処分場において準好気性処分方式を採用すると仮定
New construction of semi-aerobic landfills system in BMA
500,000 tCO2/year2011 年以降に、バンコク都の都市廃棄物処分用に建設される全ての埋立処分場において準好気性処分方式を採用すると仮定
(1)準好気性埋立処分技術導入
「処理状況は今後10 年程度、現状のまま推移する」と設定
①リファレンスシナリオの設定
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(1)準好気性埋立処分技術導入
浸出水の水質改善、臭気の発生抑制などの環境改善効果(コベネフィット効果)も見込まれ、CDM の方法論として承認されていない活動であっても、緩和策としての効果は明確であることから、NAMA 活動としての適格性は十分
②当該技術の適格性
バウンダリーは当該処分場
③バウンダリーの設定
(1)準好気性埋立処分技術導入
◆Methodological tool “Tool to determine methane emissions avoided from disposal of waste at a solid waste disposal site” (Version 05)に従って実施
④GHG 排出削減量の推計
◆今後10 年間、タイ全土で発生する都市廃棄物を準好気性埋立処分技術で処理した場合」のGHG 排出削減量を試算
◆計算例として、リファレンスシナリオである嫌気性埋立処分に比較して、メタンの発生量が50%に低減
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(1)準好気性埋立処分技術導入
パイプ等から定期的にメタン濃度を計測して準好気環境が形成されているか否かの確認、又は浸出水の水質測定をして、好気性分解が進んでいるか否かの確認
→実現性が高い、簡易なモニタリング手法を考案することが今後の検討課題
⑤モニタリング手法・計画
実現性が高い、簡易なMRV の方法を考案することが今後の検討課題。まずは搬入廃棄物の量と組成をMRV することとし、FOD モデルに由来するメタンの排出削減量の推定の不確実性が高い場合は、「調整係数」等を設定して対応。
⑥計測・報告・検証(MRV)の方法
(2)YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化
目標として全都市廃棄物量の30%の処理を掲げているが、進捗していないことから、「処理状況は今後10 年程度、現状のまま推移する」と設定
①リファレンスシナリオの設定
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(2) YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化
通常よりも短期間(45 日間)でコンポスト化させることが可能であることに加え、生成したコンポスト(堆肥)は、完熟肥料として販売が可能であり、複数のアドバンテージを有することから、NAMA 活動としての適格性は十分
②当該技術の適格性
(2) YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化
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(2) YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化
バウンダリーは当該コンポスト化施設
③バウンダリーの設定
◆Methodological tool “Tool to determine methane emissions avoided from disposal of waste at a solid waste disposal site” (Version 05)に従って実施
④GHG 排出削減量の推計
◆「今後10 年間、タイ全土で発生する都市廃棄物をYM 菌による都市廃棄物のコンポスト化技術で処理した場合」のGHG 排出削減量
◆計算例として、リファレンスシナリオである嫌気性埋立処分に比較して、メタンの発生量が0に低減
(2) YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化
④GHG 排出削減量の推計
なお、YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化技術は、し尿処理に適用できる可能性があるため、今後の検討調査が期待される
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処理する廃棄物の量と組成。組成に関しては、全国レベル、又は地域レベルでの「デフォルト値を設定することが望ましい。
⑤モニタリング手法・計画
準好気と同様
⑥計測・報告・検証(MRV)の方法
(2) YM 菌による都市廃棄物のコンポスト化
◆排出削減量のクレジット化の可能性
CDM とは異なり日本の技術協力、資金支援が必要条件となる二国間クレジット制度において、日本側にクレジットを供給することが可能なNAMA 活動(GHG 排出削減活動)として十分な適格性を有する
・純粋な民間主導の利潤追求型活動ではないため、民間が主導しにくく、政府の財政支援に依存する形で進められる場合が多い
・一方、政府としては国民の福祉への貢献として積極的に進めたいものの、財政的な制約から後回しになりやすい事業
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◆活動の実施体制
本調査においては、PFI(Private Finance Initiative)により実現化していくことを提案
(1)バイオガス発電案件評価手法
①評価システムのアプローチ
◆ バイオマス残渣発電事業検討
東北大学大学院工学研究科 中田俊彦研究室より
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②モデルの概要(ACM0014をベース)
◆ バイオマス残渣発電事業検討
ベースラインシナリオプロジェクトシナリオ
③方法論:ACM0014
東北大学大学院工学研究科 中田俊彦研究室より
④評価手法
東北大学大学院工学研究科 中田俊彦研究室より
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◆新柔軟性メカニズム制度提案
■新柔軟性メカニズムの構成
<新柔軟性メカニズムの構成-適格性と技術的要件>
○ プロジェクト全体像の記述
○ 適格性の判断
○ ベースライン/リファレンスシナリオの設定
○ GHG 排出削減量計算
○ MRV
◆新柔軟性メカニズム制度提案
■新柔軟性メカニズムに関する課題
1)IPP(独立系発電事業)投資をCDM 事業化する際の課題
2)事業継続性の確保の重要性
3)新柔軟性メカニズムに向けて
• 長期的に安定した事業の操業を可能にするためには、それを実現させるインセンティブを制度に組み込む必要がある
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◆持続可能な開発への貢献に関して
■都市廃棄物や農業残渣、廃水メタン等を利用することで廃棄物管理の問題に対処すると同時にエネルギー資源として活用し、かつ温暖化対策ともなり得るものとして、「Waste to Energy」が重要な課題
■2011 年までに都市廃棄物から100MWのエネルギー生産を可能とするシステムを導入することを目標としているが、現在までに導入された設備によるエネルギー生産量は4.075MW (主として地方レベルにおける資金と技術の不足による)
今後の取組について、NAMA活動による貢献を期待
ご清聴ありがとうございました!