オールズ...

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-7- 人文研究 大阪市立大学文学部紀要 51 10 分冊 1999 7~23 オールズ (JamesOlds) 回顧 1.緒言 「ジ ェームズ ・オール ズは 20 世紀の最も重要な心理学者の一人である.か れによる報酬系 (rewardsystem) の発見は明らかに行動の神経基盤の理解 に貢献す るものである。数年前,ジムがアメ リカ心理学会大会で講演を した とき,わた しはかれを紹介する光栄に浴 した。そのとき,わた しは,ジムは ノ-ベル賞を最初に受賞する心理学者となるであろうと大胆な予言をした. 1976 8 21 日,心臓発作によってかれの生涯が閉 じるという悲劇がなけ れば,わた しは,わた しの予言が実現 したであろうと今でも確信 している」。 これはアメリカ心理学雑誌 (Am.J.Psycho1 ., 1979)に掲載されたカリ フ ォル ニ ア大学 ア- ヴ ァイ ン分校 の トンプソ ン (RichardF.Thompson) のオ-ルズ追悼文の冒頭の一節である. 2 .履歴 1922 年,ジェームズ ・オ-ルズ (JamesOlds)は シカ ゴに生 まれ た。 1947 年,AmherstCollege を卒業 し,その年,Harvard 大学大学院に進 んだ。指導教授は社会心理学のソロモ ン (RichardL.Solomon) で あ った。 1949 年,ヘ ップ (Donald0.Hebb)の 『行動 の機 構』が公刊 され た。「心 理学の理論は神経系の構造と機能から引き出されなければならない」という ヘ ップの主張は大学院生のジムに強烈 な影響を与えた。 1952 年,パ-ソンズ (TarcottParsons) , ソロモ ン両教授 の指導 の下で , ト-ルマ ン (EdwardC.Tolman)と,ヘ ップの理論 に強 く影響 された学位 論文 『動機の獲得』で PhDを取得 した。 PhDを得た頃,かれは生理学的な動物実験を行なうための研究方法とそ のテクニ ックについて実践的知識を何も持たなかったが,かれは自分のこと をいっぱ しの神経科学者 (neuroscientist) であると自負 していた。当然の (957)

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人 文 研 究 大 阪 市 立 大 学 文 学 部 紀 要第51巻 第10分冊 1999年 7貢~23貢

オールズ (JamesOlds)回顧

梅 本 守

1.緒言

「ジェームズ ・オールズは20世紀の最も重要な心理学者の一人である.か

れによる報酬系 (rewardsystem)の発見は明らかに行動の神経基盤の理解

に貢献するものである。数年前,ジムがアメリカ心理学会大会で講演をした

とき,わたしはかれを紹介する光栄に浴 した。そのとき,わたしは,ジムは

ノ-ベル賞を最初に受賞する心理学者となるであろうと大胆な予言をした.

1976年8月21日,心臓発作によってかれの生涯が閉 じるという悲劇がなけ

れば,わたしは,わた しの予言が実現 したであろうと今でも確信 している」。

これはアメリカ心理学雑誌 (Am.J.Psycho1.,1979)に掲載されたカリ

フォルニア大学ア-ヴァイン分校の トンプソン (RichardF.Thompson)

のオ-ルズ追悼文の冒頭の一節である.

2.履歴

1922年,ジェームズ ・オ-ルズ (JamesOlds)はシカゴに生まれた。

1947年,AmherstCollegeを卒業 し,その年,Harvard大学大学院に進

んだ。指導教授は社会心理学のソロモン (RichardL.Solomon)であった。

1949年,ヘップ (Donald0.Hebb)の 『行動の機構』が公刊された。「心

理学の理論は神経系の構造と機能から引き出されなければならない」という

ヘップの主張は大学院生のジムに強烈な影響を与えた。

1952年,パ-ソンズ (TarcottParsons),ソロモン両教授の指導の下で,

ト-ルマン (EdwardC.Tolman)と,ヘップの理論に強く影響された学位

論文 『動機の獲得』でPhDを取得 した。

PhDを得た頃,かれは生理学的な動物実験を行なうための研究方法とそ

のテクニックについて実践的知識を何も持たなかったが,かれは自分のこと

をいっぱ しの神経科学者 (neuroscientist)であると自負 していた。当然の

(957)

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帰結として,かれはその後の進路をヘップが所属するカナダのマギル大学に

定め,そこでヘップ,ジャスパ- (H.H.Jasper)や,ペンフィール ド (W.

Penrield)の仕事を受け継ぎたいと考えていた。

1953年,マギル大学 (ヘ ップ研究室)のポス トドック (Post-doctoral

ResearchFellow)となり,生理学的心理学の実験の仕方を同じ研究室の院

生であったミルナー (PeterMilner)に教わり,翌年早くも,そのミルナ-

(現マギル大学教授)との共著論文を比較 ・生理心理学雑誌に発表 した。(3)

この論文はCurrentContents:LireScience(1988)によると生命科学の論

文の中で引用される回数が トップセブンにランクされるほど評価されている

論文である。

オールズの脳内報酬系の発見の経緯についてミルナ-は雑誌 『神経科学評

論』(Rev. Neurosci.,1983)の中で,次のように記している。

「かれは,かれ独特のエネルギーと情熱を持って,生理学的心理学の理論

と実践の旅に船出した。脳固定装置を一人で使いはじめてから,数週間を経

ずに,かれはかれの生涯を決定した `̀実験"を行なったことになるム練習の

ためにラットの脳に植え込んだ電極を介しての刺激は,結果として,報酬だっ

たのである。電極の位置以外,(注】) この発見には偶発的なものは何も無い。

遅かれ早かれ,かれは報酬部位を発見したと思われる。何となれば,かれは

最初からそれを探 していたからである。かれは "学習における強化の役割"

に強い関心を持ってマギルにやって来た。かれがマギルに来たとき,すでに

ヘップの生徒たちはそれに関連した研究に従事していたわけであるが,他の

誰でもない,新参のかれが最初にジャックポットを仕留めたのである」。

1955年,かれは次のポス トドックとしてのポジシ ョンをカリフォルニア

大学 ロサ ンゼルス分校医学部,脳幹網様賦活理論で知 られるマグ- ン

(H.W.Magoun)の研究室に求めた。

1957年, ミシガン大学心理学部に助教授として赴任。

1969年,カリフォルニア工科大学生物学部に教授 (BeingProfessoror

BehavioralBiology)として迎えられる。

1976年,54才。ロングビーチの南に位置する海岸で水泳中に心臓発作に

襲われる。逝去。

(注])このときのオールズが,ヘップの指示に従って意図した電極部位は中脳網様体であっ

たが,初心のかれの植え込んだ電極は予定点をはるかにずれて中隔野に位置していた。

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オールズ (JamesOlds)回顧 - 9 -

3.オールズの研究テーマ

オールズの研究は次の3つのテーマに大別される。

(1) 動機の発達と構造に関する研究

(2) 正の強化 (報酬)の中枢神経機構に関する研究

- 脳内自己刺激行動の発見-

(3) 学習と記憶の中枢神経機構に関する研究

- 無拘束 ・無麻酔下の動物からの単一細胞活動の導出-

最初のテーマである 「動機の発達と構造」に関する研究業績は,ハーバー

ド大学大学院時代に行なった実験報告 (I)と,それを纏めた博士論文 『動機

l

次に行なった研究は,かれが博士号取得後,ポス トドックとして赴いたマ

ギル大学での最初の仕事に関係 し,かれの最大の学問的貢献となった 「脳内

自己刺激 (intracranialselfっtimulation)」である。 】

そして,最後に取り組んだ研究は,カリフォルニア工科大学 (California

InstituteorTechnology)において大学院生およびポス トドックと共に行

なった単一細胞活動を指標にした 「学習の中枢神経機構」を明らかにする試

みである。

以下,順を追って,オールズの研究業績を説明しながら紹介し,さらに,

いささかの私的回顧を脚注として加えたいと思う.(那 )

他 2)わたしが初めて心理学専門書なるものを購入したのがこの本である♭その理由は,心

理学演習 (外書講読)の授業のテキス トとして恩師,八木菟先生が土の本を選定した

ためである。260貢余の本であるが,わたしたちは授業中に読了したようで,最後ま

で辞書を引いた跡がある。ポス トドックとして,初めてオールズ研究室に行ったとき

にこの本を持参した.わたしのオフィスの机の上に置いてあるのをオールズ教授が目

にとめられた。この本を持っている訳を説明したとき,「ありがとう」と言われたのL

を今でも思い出す。そして,八木先生は弱冠 34才の若き学徒の処女作をなぜ選ばれ

たのだろうか。

(&3'本論は定年を1年後に控えた筆者の大阪市立大学文学部紀要 『人文研究』に書く最後

のものである。なお.筆者は博士号取得後のポス トドック,研究員 (Research

Fellow),および客員教授 (DelwebVisitingProfessor)として前後5回,オールズ

教授の所属するカリフォルニア工科大学に赴き,教授の研究プロジェクトに参加する

と同時に,教授御家族と親しく私的な付き合いをさせて戴いた経験を持っている0

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4.動機の発達とその構造に関する研究

実験心理学雑誌 (JournalorExperimentalPsychology)に掲載された

オールズの最初の論文 (1)は14名のこどもを被験者にした二次動因に関する

実験報告である。この論文は,その時期に同雑誌に掲載されたほとんどの論

文の例に漏れず,(注4)ハルの公準を検証するためのものである。すべての事

物は2つの報酬価 (rewardvalue)を持っている。1つはシンボリックな,

道具的な,外在的な性質のもので,1つは其の,究極的な,内在的な性質を

持つものである。二次強化 (secondaryreinforcement)とは前者に関わる

ものである。一次強化子が永続的で,なかなか変わりにくいものであるのに

対して,二次強化子は効果が短く,かつ容易に変化するものであるという特

徴を持っている。 このことをベ-スにして,「過剰学習後の二次強化子の遅

延は,その強化価を増すのではないだろうか」という仮説を立て,その正さ

を検証している。

『心理学評論』に発表 したかれの二番目の論文 (2)は,博士論文の序論の一

部をまとめたものである。内容は, トールマンのサインー記号学習理論の神

経モデルをヘップの細胞集合理論で説明したものである。

ヘップの言う細胞集合 (cellassembly)(注 5)とは欲求 (wants),思考

(ideas)の神経構造と見倣すことができ,この2つの概念は構造的にほぼ

同等と見倣すことができるが,強いて両者の違いを探せば,その場における

欲求には思考より強い動機力 (motiveforce)が存在することである。刺激

の繰り返し提示は細胞の集合を促す。 トールマンの理論がハルの強化論より

優る点の1つは潜在学習の現象を説明しきることである。オールズはハルの

他 4'K.W.Spenceは1952年のアメリカ心理学雑誌のハルの功績を讃えた追悼文の中で,

「1940-50年代のアメリカ実験心理学雑誌,比較生理心理学雑誌に掲載された学習 ・

行動 ・発達に関する研究論文の実に70%以上のものがハルの著書 ・概念を引用し,

その公準を検証するためのものであった」と述べている。 H.Ruja(1956)も雑誌

『アメリカの心理学者』の中で,「1949年から1952年の 『異常 ・社会心理学雑誌 (J.

AbnormalandSocialPsychology)』全論文の中でハルの 『行動の原理』を引用し

ているものは105簾であったのに対して,次に引用の多いものは25欝に過ぎなかっ

たと述べている。事情はわが国の心埋学にも言えて,筆者が学部4年の時,たまたま

通っていた大学で心理学大会が開催され,学生はそれぞれが関わる分野の発表会場の

スライ ド係を言いっけられた。わたしは 「行動 ・学習」の会場の係として,そのとき●の発表のすべてを聴く機会に恵れたが,演題のほとんどのものに sHR,IRとか 歪と

いった記号が使われており,心理学とはこんな学問かという印象を受けた記憶がある。

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オールズ (JamesOlds)回顧 - ll-

公準の検証を試みたが,ハルよりも トールマンの記号学習理論の方が神経生

理学的モデルに適合していることに気づき,潜在学習の現象をヘ ップの細胞

集合理論で説明してはどうかと提言している。

この辺りにオールズの次の発見に繋がった,かれの,行動の中枢神経機構

に対する強い関心を読み取ることができる。

5.正の強化 (報酬)の神経機構の研究一自己刺激行動の発見-

ラットをスキナ一箱に入れ,ラットが レバーを押すとラットの脳に予め植

え込まれた電極を介 して電流が流れる仕組みにしておくと,電流が正の強化

価を持っている場合,ラットはレバー押 しを盛んにするようになる。ラット

自らが己れの脳を刺激するので,この行動は自己刺激 (intracranialself-

stimulation;ICSS,あるいは,単にSS)と呼ばれている。SSの命名は1957

年にプレイディ (J.V.Brady)によってなされている。1954年,オールズ

はSSに関する最初の論文 (3)をミルナ-との連名で 『比較 ・生理心理学雑

誌』に発表 したが,プレイディが同じ雑誌に報告するまで3年間,SSに関

する論文はオールズ以外のものはなく,オールズはそれまでSSを 「正の強

化 ;positivereinrorcement」あるいは 「報酬 ;reward」として論文題目,

文中に用いていたが,プレイディがSSという語を用いた後はオールズもプ

レィディに倣ってSSという語を用いている。

マギル大学に到着したオールズがヘップから最初に言われた仕事は生理学

的心理学の手法に習熟するということで,その具体的指示は, 「脳幹網様体

刺激によって惹起される行動の観察」,つまり,マ ッピングと呼ばれるもの

であった。マッピングの仕事はノ-ベル賞受賞者のヘス (W.氏.Hess)以来,

電気生理学において伝統的なものであり,多くの研究者の報告があり,ここ

に新知見発見の余地が残されていると期待されるものではなかった。

ある日,オールズは60cm四方のオープン・フィール ド内でラットの脳刺

激誘発行動の観察をしていた。そのラットは刺激を受けると,右廻りに歩行

し,刺激が切れる瞬間,ピョンとジャンプした。何回か刺激を繰り返 してい

(注5)「刺激の繰り返し提示は細胞集合を促す」という細胞集合の仮説は当時はあまり神経

生理学的に注目されるものではなかったが,50年余経った近時,かれの仮説は 「ヘッ

プのシナプス」と呼ばれ,学習,行動の中枢神経基盤として引用されることが多い。

cellassemblyは,心理学においては白井常氏が 『行動の機構』を訳したときに使っ

た細胞集成体で知られるが,神経生理学では定訳になっていない。

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るうちに,オールズはラットが試行間隔の間に,前の刺激を受けた場所に戻っ

ているのに気づいた。その電気刺激は正の強化価 (快感をもたらす効果)を

持っているのかもしれない。オープン・フィール ドでの観察,走路,オブス

トラクション箱での観察ののち,この電気刺激が正の強化効果を持っている

ことを確信したオールズは,電気刺激の効果を数量化するためにスキナ一箱

を用いて実験を行ない,この結果を先に述べた論文 (3)をミルナ-との連名

で発表した。

次の問題はこの強化 (報酬)をもたらす刺激部位の確認とその報酬の内容

であった。(7)刺激強度と反応数の関係から最も強い報酬効果を持つ部位は

中隔野,扇桃体,前部視床下部で,中等度の報酬効果を持つ部位は帯状回,

海馬回,後部視床下部,および前部視床で,その他の部位は反応数がオペラ

ントレベル以下で,報酬効果を持たないか,負の強化効果をもたらす部位で

あることを結論している。論文20,23,25は,刺激強度と反応数を指標にし

てSSを行なう部位とそうでない部位を全脳にわたって組織的に検討した実

験結果を纏めたものである。この研究結果を受けたその後の研究はカテコラ

ミン作動神経系,つまり,起始細胞の在る黒質鍛密層,腹側被蓋,青斑核,

走行部位であるノルア ドレナリン背束,内側前脳束,神経終末部の内側前頭

前野,側坐核であることを明らかにしている。

SSの最初の論文では刺激パラメーターを電圧で表示している.脳に埋め

込まれた電極間の抵抗はそれぞれ異なるのだから,刺激パラメーターとして

この表示は誤りである。オールズは次の論文 (13)の中でこの誤りを認めて,

今後は電流値で表示すると述べている。

同様の訂正をかれはもう1度している。それはSSを惹起させるものは快

感であるとし,SSを引き起こす部位を快感中枢 (pleasurecenter)と呼ん

でいたが,(5・11) かれは,これは擬人的すぎるとして今後は快感中枢とは呼ば

ないと述べている。(13) 誤り,あるいは訂正すべきところを率直に認め,それ

を論文中で述べるところに,第 1人者でありながら人の意見に耳を傾ける姿

勢を取り続けたことの証明であると思われる.(Zt6)

SSを引き起こす 「快感」は何か。次の間題は 「快感」の内容の検討であっ

た。もしそれが食物を摂取 したときの快感であれば,満腹時と絶食時では反

応数に差が出るであろう。また性的快感であれば性ホルモンの投与はSSに

影響をあたえるであろう。この仮説を検証するために,動因とSS反応数と

の関係を検討している。(12・13・15)刺激電極を視床下部外側,中隔野に置くと,

(962)

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オールズ (JamesOlds)回顧 - 13-

絶食時および高アン ドロジェンレベルの SS頻度は増加 し,満腹時あるいは

低アン ドロジェンレヴェルでは減少す る結果を得ている。

SSに対する薬物効果の研究は,共同研究者であ り,生涯の伴侶であった

マ リアンヌ ・オールズ (M.E.01ds)に譲 っているが,薬物の効果を検討す

る最初の論文は,SSを指標に して トランキライザーのスク リーニ ングがで

きるという主張を盛 り込んだものである。(8)その頃,画期的新薬と して登場

した chlorpromazine, お よび 当時 唯一 の トラ ンキ ライ ザー で あ った

meprobamate,麻酔薬 pentobarbitalの抑制効果を明 らかに している。(17・18)

その他に,客員研究員 (VsitingResearchFellow)との共著論文 (16・18・21・24・

26・27・28)がある。 これ らはプロフェッシ ョナルの研究者が ミシガン大学 (オー

ルズ研究室)に一時的に滞在 し,かれ らが抱えた独 自の問題 とSSとの関係

を検討 したものである。 ビュレス (∫.0.Bures)は拡延性抑制 (spreading

depression;SD)の現象を発見 したことで知 られた人である。SDとは,ス

トリキニーネのような痩撃を引き起 こす薬物の溶液を浸 した小片の布きれを

大脳皮質の表面に添付す ると,添付箇所を中心に して,同側性に,大脳皮質

の活動が抑制される現象である。このとき抑制された側の大脳皮質に情報を

送 り込んでも適切に処理 されない。抑制の現象は一般には脳波を指標に して

観察され る。 ビュレスはこのときの SDと扇桃体 SSとの関係を検討 してい

る。扇桃体は海馬とともに電気刺激され ると,痩撃を引き起 こす部位である。

(注6)オールズは2度わが国を訪れている。箱根で行なわれた日米脳科学者会議 (1968)と,

東京プリンスホテルで行なわれた第20会国際心理学会 (1972)である。2つの学術

集会に小生もたまたま参加した。最初の時にはネコのSSの8ミリフイルムを持参し,

2回目のときには条件づけと細胞活動に関わる実験結果を発表するためであった.負

初の会議の翌日,オールズは京都の会議に出席するために大阪に来た。その日は主催

者の用意した京都観光に当てられた日であったが,それをせず,前日知合ったばかり

なのにわたしの勤務していた研究所に来て,ネコのSSのフイルムをもう一度見たい

と言う。 5分ほどに編集したフイルムを何度も何度も繰り返し映写させられた。ネコ

が実験箱に自ら入る様子がえらく気に入ったようであったO当時,オールズは,SSは運動の脱抑制ではないかというドイッチェらの批判に曝されていた。このフイルム

は脱抑制ではないことの証拠になるものである。「ネコはこの箱の中でいい目を見た

のだね」とわたしに言った。その後,手帳を見ながら,オールズは阪大のAに会いた

いと言う。阪大と言えば,Y教授が居られたのに,なぜ院生のAなのかなと討ったが,

その理由は,先頃Aの論文を読み,手続きの詳細を聴きたいとのことであった。主催

者の用意した観光をキャンセルして折角の摸会だからと日頃の疑問を質すところにオー

ルズの学問に対する姿勢と人柄が窺われる。

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扇桃体刺激により惹起 され る行動のマ ッピングを完成させたア-シン

(Ursin,R)は,痩撃とSSとの関係を見るために海馬に電極を植え込んでい

る.ノースウエスタン大学解剖学教室のルーテンパーグ (A.Routenberg)

は刺激をダブらせたときの効果を見る実験をそれまでしていたが,オ-ルズ

の処に滞在し,中隔,視床下部SSに対する背側中脳刺激の影響を検討して

いる。

オールズの,オールズ研究室におけるSS研究は1968年で終わっている.

以後のSSに関する研究はPhDを取って名実とも共同研究者となったマリ

アンヌ ・オールズ (以後,紛らわしさを避けるためミセス ・オ-ルズと呼ぶ

ことにする)の手に任されることになった。(注7)

論文M1,M2は彼女のPhD取得のための実験の結果の一部を纏めたもの

である。内容は,SSを指標にして脳内電気刺激の正と負の強化効果を全脳

にわたって組織的に検討し,そのマッピングをしたものである。この2つの

論文に記載されているマッピングの図は後学のものにとって道標べとなるも

のである.論文M3は視床下部SSに対する トランキライザー (diazepam,

chlordiazepoxide)の促進作用を認めている.論文M5とM8,M9,Mllで

はいろいろな中枢神経薬・つまり,amphetamine,scoporaTine,chlordiazepoxide, diphenylhidantoin,tetrabenazine,physostigmin,

chlorpromazine,pentobarbitalなどのSSにたいする作用を比較検討して

いる。この辺りの薬物の使い方は手当たり次第と言った感じで,当該の薬物

を使用する理由に難点を抱えている薬理学の研究者によく見られる薬物の使

用法と言え無くはない。文献M24はその難点を克服するものである。神経

解剖学的にSSはジャーマンとボーデン (German,D.C.&Bowden,

D.W.;1974)によってカテコラミン作動神経系が関与することが指摘され

た。その後,薬理学的にカテコラミンのうち, ドーパミンが重要で,一方の

ノルエピネフリンの役割に疑いを投げ掛ける実験事実が寄せられた。この論

争を受け,文献M24,M26,M28は筆者らのグループの得た結果とそれに基

づく提案 (もし,カテコラミンのうち, ドーパミンがSSに関与するのであ

れば,新生児期に ドーパンミン作動神経系を選択的に破壊する神経毒の6-

(&7)薬物の行動に対する影響を研究主題に選んだミセス ・オールズのSS研究は勢い薬物

実験を中心に進められる。ミセスの業績集は巻末に載せている。文献番号の表示はジ

ム・オールズの論文と区別するため,マリアンヌの頭文字のMを付ける.

(964)

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オールズ (JamesOlds)回顧 - 15-

OHDAを脳室内に微量投与 し, ド-パミン作動神経系の未発達なラットを

用いれば, ドーパミン作動神経系に刺激電極を植え込んだラットではSSが

認められないのではないか)を検証するために行なったものである。実験結

果は仮説に反して ドーパミン作動神経系の起始核である背側被蓋,神経終末

のある大脳皮質内側前頭前野,および側坐核で SSが統制群のラットと同じ

ように認められた。また,6-OHDAを新生児期に投与されたラットに認め

られた青斑核 SSに対 してphenoxyzenzamineは作用が認められなかったの

に,pimozid,yohimbineは抑制効果が認められ,青斑核 SSはシナプス前

抑制が関与する現象であることが確認された。そして,当該の神経細胞は ドー

パミン含有細胞に神経繊維を送る内在性神経細胞 (intrinsicneuron)であ

ることが推定された。さらに,この神経細胞のプロフィールを推測すると,

モルフィンの持つ陶酔感惹起異作用を橋渡しするエンケファリン含有細胞で

あろう。その神経回路モデルは梅本 (M.Umemoto;1988)によって提案さ

れているが,文脈を外れるので省略する。

Ⅴ.学習と記憶に関与する (条件づけ時の)細胞活動に関する研究

無麻酔 ・無拘束の状態の動物から初めて単一細胞活動を記録 したのはシュ

トゥルムヴァッサー (Strumwasser;1962)であるが,オールズが単一細胞

活動を指標にして行動の中枢神経機構の研究に手を付けたのは1967年からで

ある。(30・3】)雑誌 『Science』に掲載された最初の報告は,当然のことながら,

新しい技術の可能性を確認するためのものなので,自分たちの考案 した装置

と手続きで無拘束状態でのニュ-ロンを導出 ・記録できるかという点に焦点

が合わされている。ネコに比べてからだの小さいラットを用いるので,シュ

トゥルムヴァッサーのようにプレアンプを背中に背負わせることができない。

そこでプレアンプに繋ぐ脳からの信号を導出するリー ド線をフレキシブルに

し,さらに動物の動きにも絡まない仕掛けが工夫されている。今日,世界的

に使われている小動物からのニューロン活動導出の方式はこのオールズが考

案したものが一般に用いられている。

論文31は睡眠状態と絶食状態のニューロン活動を見たもので,ノンレム

睡眠期に較ベレム睡眠期には検討した脳のどの領域のニューロン活動が増加

することと,絶食時には視床下部ニューロン活動が特に活発になることを報

告している。論文33は探索行動,スニッフインク,摂食行動,ロ ド-シス,

歩行運動などの個別的行動と視床下部,視索前野,中脳網様体,海馬ニュ-

(965)

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ロンの発射活動の関係を見たものである。論文35はそれに対する向精神薬

の効果を見ているが,ただ観察をしただけで,その内容には特に述べるべき

ものはない。

1969年の論文36はオールズグループが初めて条件づけのパラダイムを用

いてニューロン活動との関係を見たもので,その後の実験の方向を定めるも

のとなっている。わたしの前任者であった平野はこの時期にミシガンを訪れ,

この先駆的研究に参加 している。(27・40) 周波数の違う2つの音刺激 (例えば,

10(氾Hz音と2(氾0Hz音)を提示する。一方の音には報酬 (水,またはフー

ド・ペレットとそれに先立っマガジンが作動するガチャン音)が与えられ,

他方の音には報酬は与えられない。音刺激開始20mSecからニュ-ロン活動

の記録を行い,刺激後400msecまでの合計600msecにおけるニューロン発

射活動を検討する。ラットの首に筋電図用の電極を装着し,ラットの動きを

モニターする.ラットの動きの前に認められるニューロン活動は摂食 ・摂水

行動を行なうためのニュ-ロン活動で,それ以後 (実験では60msec以後)

のニューロン反応には運動に関わるニューロン活動が含まれるとして分析か

ら削除し,学習と記憶に関わるニュ-ロン活動の検討を行なう.

筆者はこの時期にポス トドックとしてカリフォルニア工科大学のオールズ

研究室に赴いた。院生 ・ポス トドックは各自分担する部位と実験装置を与え

られ,同じ方法を用いて,それぞれの部位のニューロン活動の応答が調べら

れた。(注8) 論文生産工場の感が無くもなかった。

オールズ研究室の実験成果は論文43-46,48-50,56-57,59-61に纏

められている。手続きと結果を要約すると, 1つのニューロンに関する実験

は3日間 ;初日は音刺激に対する順応試行で,強化刺激は与えられない。2

日目は条件づけ試行で, 2つの刺激音,つまり, (強化子を伴う)CS+,

(強化子を伴わない)CS-を240回与え,条件づけ成立に伴うニューロン

反応を潜時を指標にして記録する。 3日目は消去試行に当てられる。検討さ

れた部位は海馬,視床,大脳皮質,脳幹網様体,視床下部,中脳である。扇

桃体は筆者に任せられた部位であった。2日目の条件づけに伴うニューロン

反応を,潜時を指標にして,脳内での刺激伝達回路モデルを構築することが

オールズの究極の目的であったが,それは果たされていない.

今回,あらためてオールズの研究業績を振り返るために、著書 ・論文一覧

を作成した。奇妙なことに,死の直前の3年間 (1974-1976)の実験論文が

見当らない。『神経生理学雑誌』に連続 して投稿 ・掲載された一連の研究が

(966)

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オールズ (JamesOlds)回顧 - 17-

中断されている.筆者は与えられた扇桃体ニューロン活動の一応の実験デー

タを渡したときに,オールズに 「方法論的に間違いはないか」と質した。オー

ルズの答は 「われわれは先端60βのニクロム線を使ったためにマルチユニッ

ト(電極付近の複数個のニューロン活動)しか導出できない,その批判は甘

んじて受ける。しかし,走りだしてしまっているので,しばらくはこれを続

けるつもりである。注意深 く見ていて欲 しい」。ヴァックバル ト (E.L.Buchwald)もオ-ルズとは独立にマルチユニットで仕事をしているが,筆

者を含めて大方の研究者は単一神経細胞の反応を導出しようとして先端を1

〃ほどに細く研磨 した電極を用いている。この細胞外誘導法によって単一の

ニューロンの興奮性,抑制性反応と神経情報伝達の流れを記録することがで

きるわけである。

この3年間,オールズは行き詰まっていたのかもしれない。

わたしが教えを願った手紙の返信にはいくつかの模索をしていることが書

かれていたことが思い出される。

新しい方向をわれわれに示す前に去ってしまったことが今も悔 しくてたま

らない。

JamesOlds(および M.E.Olds)著書 ・論文一覧

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ー 18 -

(8) 01ds,J.,Killam,K.F.&Bach-Y・Rita,P.,Sel一-stimulationorthebrainasa

(9)

)

)

8

)

0

1

5

2

1

1

9

1

iuJH-n_Hl=Lin

(13)

scr既ningmethodfortranquilizingdrugs.,Scien伐,124,265-266.

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オールズ (JamesOlds)回顧 - 19-

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7

)

)

6

9

0

9

2

3

r:nH川はuiZ'5

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)

3

)

7

7

8

4

9

4

in

:iZq

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