食安発0709第2号 平成25年 7月 9日 各検疫所長殿 (公 印 省 ......2013/07/09 ·...
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食安発0709第2号
平成25年 7月 9日
各 検疫所長 殿
医薬食品局食品安全部長
(公 印 省 略)
安全性未審査の組換えDNA技術応用食品の検査方法の一部改正について
安全性未審査の組換えDNA技術応用食品の検査方法については、平成24年11
月16日付け食安発1116第4号当職通知により通知しているところである。
今般、本邦において、パパイヤ加工製品から安全性未審査の遺伝子組換えパパ
イヤが検出されたことから、その検査方法を国立医薬品食品衛生研究所において
検討し、当該通知の別添「安全性未審査の組換えDNA技術応用食品の検査方法」
のⅡの「パパイヤ(PRSV-YK)の検査方法」を別添のとおり改正することとした
ので、検査に当たっては本検査方法により実施されたい。
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パパイヤ(PRSV-YK、PRSV-SC)の検査方法
本法では生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品を検査対象とし、DNA抽出精製は、以下
の陰イオン交換樹脂タイプキット法(QIAGEN社製Genomic-tip 100/G)を用いる。別法とし
て、シリカゲル膜タイプ法(QIAGEN DNeasy Plant mini)を使用したDNA抽出精製を生鮮パパ
イヤおよび乾燥パパイヤなど加工度の低い製品*に適応できる。1検体から2併行でDNAを抽
出精製し、DNA試料液を得る。そのDNA試料液を用いて定性リアルタイムPCR法を実施す
る。
*繰り返し検査に必要な十分量のDNAが抽出精製できるもの。
1. 生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品からのDNA抽出精製
生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品は以下の7 種類の製品に細分類し、以下に示した
それぞれの試料前処理プロトコルに従ってDNA抽出精製前の試料調製を行う。
① 生鮮および調味漬け製品 (生鮮パパイヤ、缶詰、漬物など乾固されていないある程度
パパイヤの原型を保持している試料)
② 乾物製品 (乾燥パパイヤ)
③ 砂糖漬け乾燥製品 (ドライフルーツ)
④ 乾燥製品 (健康食品、お茶など)
⑤ 果肉含有ゲル状製品 (ジャム、ピューレなど)
⑥ 果汁・飲料製品 (フルーツミックスジュース、ドリンク剤など)
⑦ 氷菓等製品 (アイス、シャーベットなど)
1.1. 試料前処理
1.1.1. 生鮮および調味漬け製品
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し(生鮮パパイヤについて
は種子・果皮を除いた果肉部分)、その重量の 2 倍以上の滅菌蒸留水で 3 回洗浄した後、
よく水分をきり、Millser 等で粉砕する(生鮮パパイヤに関しては果肉を洗浄せず粉砕する)。
粉砕した試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液* 30 mL
を加え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.2. 乾物製品
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し、Millser 等で粉砕する。
粉砕した試料 2 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液* 30mL を
加え、よく転倒混和して均質にする。
(別 添)
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1.1.3. 砂糖漬け乾燥製品
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し、その重量の 2 倍以上の
滅菌蒸留水で 3 回洗浄した後、等重量分の滅菌蒸留水を加え、Millser 等で粉砕する。粉砕
した試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液 30 mL*を加
え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.4. 乾燥製品
Millser 等で粉砕し均質にした試料 2 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りと
り、G2 緩衝液 30 mL* を加え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.5. 果肉含有ゲル状製品
Millser 等で粉砕し均質にした試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りと
り、G2 緩衝液 30 mL* を加え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.6. 果汁・飲料製品
開封前によく転倒混和して均質にした製品 100 mL をメスシリンダーで量りとり、凍結乾
燥用容器(500 mL 容量)に移し、傾けた状態で-80°C 冷凍庫中で 2 時間凍結させる。その
後、凍結乾燥機にセットし、24 時間乾燥後、試料 30 g を乳鉢に量りとり G2 緩衝液* 20 mL
に乳棒を用いて溶解させる。次いで全量をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に移し、
乳鉢と乳棒の残存試料を新たに G2 緩衝液* 10 mL を追加し洗いいれ、よく転倒混和して均
質にする。
1.1.7. 氷菓等製品
試料 100 g を凍結乾燥用容器に量りとり、24 時間凍結乾燥する。その後、試料 10 g を先
に G2 緩衝液* 30 mL を入れたポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に少しずつ加えながら
溶解させ、よく転倒混和して均質にする。
* G2 緩衝液はキアゲン社(Cat. No. 19060)に付属しているが、足りない場合には単品で購入するかキッ
トの説明書に従って調製可能である。
1.2. パパイヤ試料からの DNA 抽出精製
1.2.1. DNA の抽出精製
1.2.1.1. 陰イオン交換樹脂タイプキット法(QIAGEN 社製 Genomic-tip 100/G)
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DNA 抽出用試料に、100 mg/mL RNase A*1 20 μL、cellulase*2 500 μL を加えて(なお、⑤
果肉含量ゲル状製品のジャム製品に限り、-Amylase*3 20 μL も同時に加える)、転倒混合し
均質化した後、50 °C で 1 時間放置する。その間 2~3 回遠沈管を反転させて試料を転倒混
和する。次いで Proteinase K*4 200 μL を加え 50 °C で 1 時間放置する。その間も 2 ~3 回
遠沈管を反転させて試料を転倒混和する。次いで、その遠沈管を 3,000× g、低温下(4 °C)、
20 分間遠心し、得られた上清(約 25~35 mL)を採取し、あらかじめ QBT 緩衝液*5 4 mL
を用い平衡化した QIAGEN Genomic-tip 100/G に負荷する。次いで、100/G を QC 緩衝液*5
で 7.5 mL ずつ 3 回洗浄した後、あらかじめ 50 °C に温めておいた QF 緩衝液*5 1 mL を負
荷し、はじめの溶出液は捨てる。新しい遠沈管に移し、再度 50 °C に温めておいた QF 緩衝
液*5 2 mL を負荷し、DNA を溶出する。溶出液と等量のイソプロピルアルコールを加えよ
く混合し、遠沈管(1.5 mL もしくは 2.0 mL 容)に移し、10,000 × g 以上で、低温下(4 °C)
15 分間遠心する。上清を捨てる。この際、上清を極力除去する*6。70%エタノール 1 mL を
加え、さらに 10,000 × g 以上で、低温下(4 °C)5 分間遠心する。さらに上清を捨て*6、残
った沈殿を、乾燥させた後、予め 50 °C に温めた滅菌蒸留水 50 μL に溶解し、DNA 試料原
液とする。
*1 キアゲン社(Cat. no. 1018048)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*2 シグマアルドリッチ社(Cat. no. C2730-50ML)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*3 ニッポン・ジーン社(Cat. no. 312-06671)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*4 プロメガ社(Cat. no. V3021)100 mg を滅菌水 5 mL に溶解したもの又は同等の効力を持つものを用い
る。*5 QBT 緩衝液、QC 緩衝液および QF 緩衝液はキアゲン社(Cat. No. 19060)に付属しているが、足りな
い場合には単品で購入するかキットの説明書に従って調製可能である。*6 沈殿物が見えない場合でも、遠沈管内の底部付近にはできるだけ触れないように、上清を除去する。
1.2.1.2. シリカゲル膜タイプキット法(QIAGEN 社製 DNeasy Plant Mini)採取したパパイヤから種子を除いた果肉部分をおよそ 10 mm角に切り出し、凍結乾燥を行う。次にミルサ
ー等でこれらを混合し、粉砕する。粉砕試料を用い、以下の方法に従って DNA を抽出精製する。
粉砕試料 80 mg をマイクロ遠沈管(2 mL 容)に量り採り、あらかじめ 65 °C に温めておいた AP1
緩衝液 600 L と RNase A*1 4 L を加え、試料塊がないよう混合し、65 °C で 15 分間放置する。
その間数回遠沈管を反転させ試料を撹拌する。その後 AP2 緩衝液 195 L を加え、氷上に 5 分
放置後、室温下 10,000×g で 5 分間遠心する。上清を QIAshredder spin column に負荷し、室温下
10,000×g で 2 分間遠心し、溶出液をマイクロ遠沈管(2mL 容)に移す。遠沈管に 1.5 倍量の AP3
緩衝液・エタノール混液を加え、10 秒間ボルテックスミキサーで撹拌した後、得られた混合液のう
ち 500 L を mini spin column に負荷し、室温下 10,000×g で 5 分間遠心し*2、溶出液を捨てる。
次いで、残りの混合液のうち、さらに 500 Lを同じ mini spin columnに負荷し、同条件で遠心し溶
出液を捨てる。最終的に混合液がすべてなくなるまで同様の操作を繰り返す。次いで、column に
AW緩衝液 500 L を加え、室温下 10,000×g で 5 分間遠心し、溶出液を捨てもう一度 AW緩衝液
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を加え、同じ操作を繰り返す。溶出液を捨て、mini spin column を乾燥させるため、10,000×g 以上
で 15 分間遠心する。mini spin columnをキットの遠沈管に移し、あらかじめ 50 °C 温めておいた水
50 Lを加え、5分間放置した後、10,000×gで 1分間遠心しDNAを溶出する。もう一度水を加え、
同様の操作を行い、得られた溶出液を合わせ、DNA 試料原液とする。
*1 キアゲン社(Cat. no. 1018048)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*2 混合液中に析出物が有る場合columnが詰まりやすくなる。その場合、完全に溶出させるため遠心時間を10分
程度まで延ばす。
1.2.2. DNA試料原液中のDNAの純度の確認並びにDNA試料液の調製と保存
DNA試料原液の適当量を取り、滅菌蒸留水を用いて適宜希釈*1し、200~320 nmの範囲で
紫外部吸収スペクトルを測定し、260および280 nmの吸光度*2(A260およびA280)を記録する。
次いでA260の値 1 を50 ng/μL DNAと換算し、DNA濃度を算出する。またA260/ A280を計算す
る。この比が1.7~2.0になれば、DNAが十分に精製されていることを示す*3。得られたDNA
濃度から、DNA試料原液を10 ng/μLに滅菌蒸留水で希釈して調製し、DNA試料液とする。
DNA試料液は40 μLごとにマイクロ試料管に分注後、-20 °C以下で冷凍保存する。分注し
たDNA試料液は、融解後直ちに使用し、残った溶液は再度保存せず廃棄する。なお、DNA
試料原液の濃度が10 ng/μLに達しないときは、そのままDNA試料液として用いる。
*1 希釈する場合には、滅菌蒸留水を用いる。また、希釈倍率は、吸光度測定装置により適切な測定に要
する液量および濃度域が異なるため、適宜とする。*2 A260が DNA 由来の吸光度、A280がタンパク質等不純物由来の吸光度と考える。*3 A260/ A280の比が1.7~2.0の範囲外であっても精製等の更なる操作は要さない。
2. 定性リアルタイムPCR法(ABI PRISMTM7900 または7500)
遺伝子組換えパパイヤ2系統(PRSV-YK,PRSV-SC)検知試験用として、カリフラワー
モザイクウイルス35Sプロモーター配列とそれぞれの系統に特異的に導入されている
Papaya Ringspot Virus coat protein(PRSV-cp)遺伝子の境界領域を検知するプライマー、プ
ローブを用いる。カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター配列(CaM)検知試験用
として、CaMを検知するプライマー対、および、プローブを用いる。また、パパイヤ陽性
対照試験用として、Chymopapain遺伝子配列を検知するプライマー、プローブを用いる。各
プライマー、プローブは滅菌蒸留水に溶解する。プライマー、プローブの塩基配列は以下
のとおりである。
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験用プライマー対、および、プローブ
YK-2F: 5’-ACA CGG GGG ACT CTA GAG -3’
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YK-2R: 5’-ACC GGT ATC CAC AGC TTC -3’
YK-2P: 5’-FAM- TCC CTT CCA TGG CGTC-TAMRA-3’
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-SC)検知試験用プライマー対、および、プローブ
SC-F: 5’-CAT TTC ATT TGG AGA GAA CACG-3’
SC-R: 5’-ACC AGC ATC CAC AGC TTC-3’
SC-P: 5’-FAM-ACT CTA GAG GAT CCA TGT CCAA-TAMRA -3’
CaM配列検知試験用プライマー対、プローブ
35S-F:5’-GCC TCT GCC GAC AGT GGT -3’
35S-R:5’-AAG ACG TGG TTG GAA CGT CTTC-3’
35S-P:5’-FAM- CAA AGA TGG ACC CCC ACC CACG-TAMRA-3’
パパイヤ陽性対照試験用プライマー対、プローブ*
Q-Chy-1F2: 5’-CCA TGC GAT CCT CCCA-3’
Q-Chy-2R: 5’-CAT CGT AGC CAT TGT AAC ACT AGC TAA-3’
Q-Chy-P: 5’-FAM-TTC CCT TCA T(BHQ1)CC ATT CCC ACT CTT GAGA-3’
* Q-Chy-Pプローブのクエンチャー(消光物質)は、T-baseのblack-hole quencher 1 (BHQ1)を使用する。
2.1. PCR用反応液の調製
PCR用反応液は25 μL/wellとして調製する。組成は以下のとおりである。TaqMan Gene
Expression Master Mix*1 12.5 μL、対象プライマー対溶液(各プライマー、50 μmol/L)各0.4 μL、
対象プローブ溶液(10 μmol/L)0.25 μLを混合し、DNA試料液5 μLを添加し滅菌蒸留水で全
量25 μLに調製する。PCRのブランク反応液として、必ずDNA試料液を加えないものについ
ても同時に調製する*2。分注操作終了後、真上からシール*3し、完全にウェルを密閉する。
このとき、しわが寄らないよう注意し、専用のシーリング用アプリケーターを用いて行う。
最後にウェルの底を観察し、底に気泡がある場合は、プレートの縁を軽く叩いて気泡を抜
いておく。プレートの確認後、MicroAmp Optical Cover Compression Pad*4を茶色の面が上に
なるよう、プレートの上面にセットする。DNA試料液あたりパパイヤ陽性対照試験、遺伝
子組換えパパイヤ(PRSV-YK, PRSV-SC)検知試験、およびCaM配列検知試験をそれぞれ2
ウェル並行して行うものとする。
*1 TaqMan Gene Expression Master Mix
本試薬は粘性が高いため、混合操作を行う際には、混合が確実に行われるように注意する。不十分な
場合には、PCR がうまくいかない場合がある。使う直前には必ず軽く攪拌後、遠心し、溶液を試料管の
底に集めておいてから使用する。また、ウェルに分注する際は、以後撹拌、遠心が困難なことを考慮し、
ウェルの底に確実に入れる。*2 Non-Template Control(NTC)
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DNA 試料液の添加の際、NTC には DNA 試料液の代わりに滅菌蒸留水をウェルに 5 μL 添加する。*3 96 ウェルプレート、シール、および、シーリングアプリケーター
MicroAmp Optical 96-Well Reaction Plate(Life Technologies 社)、および、ABI PRISM Optical Adhesive
Cover(Life Technologies 社)を使用する。シーリングの詳細については製品付属のマニュアルを参考の
こと。*4 MicroAmp Optical Cover Compression Pad(ABI PRISMTM7900 の場合、Life Technologies 社)を使用する。
ABI PRISMTM 7500 では使用しない。
2.2. プレート情報の設定
反応に際しては、プレート情報の設定を行わなければならない。設定を行う項目は、検
体の配置と種類、および、プローブ特性である。具体的には新規シート上で、調製したプ
レートの配置に対応するように気を付けながら、検体の種類(「NTC」:Non-Template Control、
「UNKN」:DNA 試料液)の設定を行う。またプローブ特性に関しては、YK-2P、35S-P、
Q-Chy-P ともに Reporter が「FAM」、Quencher が YK-2P, SC-P, 35S は「TAMRA」、Q-Chy-P
は「Non Fluorescent」となるように設定する。また、Passive Reference は「ROX」に設定す
る。なお、ランモードの設定は 9600 emulation モードを選択する。Sample Volume は 25 μL
に設定する。
2.3. PCR 増幅
装置にプレートをセットし、反応とデータの取り込みを開始する。反応条件は以下のと
おりである。50 °C、2 分間の条件で保持した後、95 °C で 10 分間加温し、ホットスタート
法で反応を開始する。その後、95 °C で 15 秒間、60 °C で 1 分間を 1 サイクルとして、45
サイクルの増幅反応を行う。Remaining time が 0 分となっていることを確認し、反応を終
了させた後、測定結果の解析を行う。
3. 結果の解析と判定(図1,2参照)
2種類の遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK, PRSV-SC)検知試験、CaM配列検知試験およ
びパパイヤ陽性対照試験のいずれについても、結果の判定はAmplification plot上で指数関数
的な増幅曲線とCt値の確認、および、multicomponent上での対象色素由来の蛍光強度(FAM)
の指数関数的な明確な増加の確認をもって行う。
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK, PRSV-SC)検知試験、および、CaM配列検知試験の両
試験とも目視でAmplification plot上に指数関数的な増幅曲線が確認された場合には、遺伝子
組換えパパイヤ(PRSV-YK, PRSV-SC)陽性を疑う。次いで、ベースラインを(3サイクル
から15サイクル)設定し、ΔRnのノイズ幅の最大値の上側で、安定した指数関数的な増幅
曲線上で交わるThreshold line(Th. line)として0.2に設定する。ただし、Th. lineがノイズや
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指数関数的でない増幅曲線と交わる場合は、それらと交わらないようTh. lineを適宜設定す
る。そのTh. lineからCt値が得られるか否かを解析する。
PRSV-YKまたはPRSV-SC の判定は,2併行抽出より得られたDNA試料液(1抽出あたり2
ウェル並行で測定)の合計8ウェルすべてを用いて判定する(PRSV-YKを判定する場合は、
PRSV-YKの2併行4ウェルとCaMの2併行4ウェルの計8ウェル、PRSV-SCを判定する場合は、
PRSV-SCの2併行4ウェルとCaMの2併行4ウェルの計8ウェル)。
*CaMの結果は、PRSV-YKとPRSV-SCで共通
PRSV-YKの判定:
DNA試料液において、
(1)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、かつ遺伝
子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともす
べてのウェルで43未満のCt値が得られた場合(STEP 2のパターン①)に、当該試
料はPRSV-YK陽性と判定する。
(2)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組
換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべて
のウェルで43未満のCt値が得られない場合(STEP 2のパターン②)には、PRSV-YK
陰性と判定する。
(3)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組
換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験あるいはCaM配列検知試験の結果の組み合わ
せがSTEP 2のパターン①又はSTEP 2のパターン②のいずれにも該当しない場合は、
粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目のDNA抽出精製を行い、さらに「2. 定
性リアルタイムPCR法」以降の操作を実施して、判定を行う。2回目のDNA試料液
を用いた場合でも陽性の判定が得られない場合には、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-YK)陰性と判定する。
2併行抽出のそれぞれの抽出DNA試料液(各2ウェル)について、結果の判定スキームに
従って判定し、両方の抽出DNA試料液についてPRSV-YKおよびCaMの両方で陽性と判定さ
れた検体を陽性と判断する。
PRSV-SCの判定:
DNA試料液において、
(1)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、かつ遺伝
子組換えパパイヤ(PRSV-SC)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともす
PRSV-YK陽性検体のパターン陽性対照用Chy PRSV-YK CaM
抽出DNA試料液-① (+/+) (+/+) (+/+)抽出DNA試料液-② (+/+) (+/+) (+/+)
PRSV-YK 陽性
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べてのウェルで43未満のCt値が得られた場合(STEP 2のパターン①)に、当該試
料はPRSV-SC陽性と判定する。
(2)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組
換えパパイヤ(PRSV-SC)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべて
のウェルで43未満のCt値が得られない場合(STEP 2のパターン②)には、PRSV-SC
陰性と判定する。
(3)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組
換えパパイヤ(PRSV-SC)検知試験あるいはCaM配列検知試験の結果の組み合わ
せがSTEP 2のパターン①又はSTEP 2のパターン②のいずれにも該当しない場合は、
粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目のDNA抽出精製を行い、さらに「2. 定
性リアルタイムPCR法」以降の操作を実施して、判定を行う。2回目のDNA試料液
を用いた場合でも陽性の判定が得られない場合には、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-SC)陰性と判定する。
2併行抽出のそれぞれの抽出DNA試料液(各2ウェル)について、結果の判定スキームに
従って判定し、両方の抽出DNA試料液についてPRSV-SCおよびCaMの両方で陽性と判定さ
れた検体を陽性と判断する。
なお上記により陽性と判定された結果についてmulticomponentを解析し、目視でFAMの蛍
光強度の指数関数的な増加が観察でき、ROXの蛍光強度の明確な下降やFAMの蛍光強度の
緩やかな上昇がないことを確認する。
また、パパイヤ陽性対照試験の すべてのウェルで43未満のCt値が得られないDNA試料液
については、再度、粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目のDNA抽出精製を行い、さ
らに「2. 定性リアルタイムPCR法」以降の操作を行い、それでもパパイヤ陽性対照試験の
すべてのウェルで43未満のCt値が得られない場合には、本試料からの検知は不能とする。
* DNA 抽出精製を行うために必要な試料量が不足している場合には、「1.1. 試料前処理」から実施する。
PRSV-SC陽性検体のパターン陽性対照用Chy PRSV-SC CaM
抽出DNA試料液-① (+/+) (+/+) (+/+)抽出DNA試料液-② (+/+) (+/+) (+/+)
PRSV-SC 陽性
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新 旧
パパイヤ(PRSV-YK,PRSV-SC)の検査方法
本法では生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品を検査対象とし、DNA抽出精製は、以下の陰イオン交換
樹脂タイプキット法(QIAGEN社製Genomic-tip 100/G)を用いる。別法として、シリカゲル膜タイプ法
(QIAGEN DNeasy Plant mini)を使用したDNA抽出精製を生鮮パパイヤおよび乾燥パパイヤなど加工度の低
い製品*に適応できる。1検体から2併行でDNAを抽出精製し、DNA試料液を得る。そのDNA試料液を用い
て定性リアルタイムPCR法を実施する。
*繰り返し検査に必要な十分量のDNAが抽出精製できるもの。
1. 生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品からのDNA抽出精製
生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品は以下の7 種類の製品に細分類し、以下に示したそれぞれの試料
前処理プロトコルに従ってDNA抽出精製前の試料調製を行う。
① 生鮮および調味漬け製品 (生鮮パパイヤ、缶詰、漬物など乾固されていないある程度パパイヤの原型
を保持している試料)
② 乾物製品 (乾燥パパイヤ)
③ 砂糖漬け乾燥製品 (ドライフルーツ)
④ 乾燥製品 (健康食品、お茶など)
⑤ 果肉含有ゲル状製品 (ジャム、ピューレなど)
⑥ 果汁・飲料製品 (フルーツミックスジュース、ドリンク剤など)
⑦ 氷菓等製品 (アイス、シャーベットなど)
1.1. 試料前処理
1.1.1. 生鮮および調味漬け製品
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し(生鮮パパイヤについては
種子・果皮を除いた果肉部分)、その重量の 2 倍以上の滅菌蒸留水で 3 回洗浄した後、よく
水分をきり、Millser 等で粉砕する(生鮮パパイヤに関しては果肉を洗浄せず粉砕する)。粉砕
した試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液* 30 mL を加え、
よく転倒混和して均質にする。
1.1.2. 乾物製品
パパイヤ(PRSV-YK)の検査方法
本法では生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品を検査対象とし、DNA抽出精製は、以下の陰イオン交換
樹脂タイプキット法(QIAGEN社製Genomic-tip 100/G)を用いる。別法として、シリカゲル膜タイプ法
(QIAGEN DNeasy Plant mini)を使用したDNA抽出精製を生鮮パパイヤに適応できる。1検体から2併行でDNA
を抽出精製し、DNA試料液を得る。そのDNA試料液を用いて定性リアルタイムPCR法を実施する。
1. 生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工品からのDNA抽出精製
生鮮パパイヤおよびパパイヤ加工食品は以下の7 種類の製品に細分類し、以下に示したそれぞれの試料
前処理プロトコルに従ってDNA抽出精製前の試料調製を行う。
① 生鮮および調味漬け製品 (生鮮パパイヤ、缶詰、漬物など乾固されていないある程度パパイヤの原型
を保持している試料)
② 乾物製品 (乾燥パパイヤ)
③ 砂糖漬け乾燥製品 (ドライフルーツ)
④ 乾燥製品 (健康食品、お茶など)
⑤ 果肉含有ゲル状製品 (ジャム、ピューレなど)
⑥ 果汁・飲料製品 (フルーツミックスジュース、ドリンク剤など)
⑦ 氷菓等製品 (アイス、シャーベットなど)
1.1. 試料前処理
1.1.1. 生鮮および調味漬け製品
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し(生鮮パパイヤについては
種子・果皮を除いた果肉部分)、その重量の 2 倍以上の滅菌蒸留水で 3 回洗浄した後、よく
水分をきり、Millser 等で粉砕する(生鮮パパイヤに関しては果肉を洗浄せず粉砕する)。粉砕
した試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液* 30 mL を加え、
よく転倒混和して均質にする。
1.1.2. 乾物製品
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製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し、Millser 等で粉砕する。粉
砕した試料 2 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液* 30mL を加え、
よく転倒混和して均質にする。
1.1.3. 砂糖漬け乾燥製品
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し、その重量の 2 倍以上の滅
菌蒸留水で 3 回洗浄した後、等重量分の滅菌蒸留水を加え、Millser 等で粉砕する。粉砕した
試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液 30 mL*を加え、よく
転倒混和して均質にする。
1.1.4. 乾燥製品
Millser 等で粉砕し均質にした試料 2 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、
G2 緩衝液 30 mL* を加え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.5. 果肉含有ゲル状製品
Millser 等で粉砕し均質にした試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、
G2 緩衝液 30 mL* を加え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.6. 果汁・飲料製品
開封前によく転倒混和して均質にした製品 100 mL をメスシリンダーで量りとり、凍結乾燥
用容器(500 mL 容量)に移し、傾けた状態で-80°C 冷凍庫中で 2 時間凍結させる。その後、
凍結乾燥機にセットし、24 時間乾燥後、試料 30 g を乳鉢に量りとり G2 緩衝液* 20 mL に乳棒
を用いて溶解させる。次いで全量をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に移し、乳鉢と乳棒
の残存試料を新たに G2 緩衝液* 10 mL を追加し洗いいれ、よく転倒混和して均質にする。
1.1.7. 氷菓等製品
試料 100 g を凍結乾燥用容器に量りとり、24 時間凍結乾燥する。その後、試料 10 g を先に
G2 緩衝液* 30 mL を入れたポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に少しずつ加えながら溶解さ
せ、よく転倒混和して均質にする。
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し、Millser 等で粉砕する。粉
砕した試料 2 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液* 30mL を加え、
よく転倒混和して均質にする。
1.1.3. 砂糖漬け乾燥製品
製品から目視でパパイヤと判断されるもののみを全て取り出し、その重量の 2 倍以上の滅
菌蒸留水で 3 回洗浄した後、等重量分の滅菌蒸留水を加え、Millser 等で粉砕する。粉砕した
試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、G2 緩衝液 30 mL*を加え、よく
転倒混和して均質にする。
1.1.4. 乾燥製品
Millser 等で粉砕し均質にした試料 2 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、
G2 緩衝液 30 mL* を加え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.5. 果肉含有ゲル状製品
Millser 等で粉砕し均質にした試料 10 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量りとり、
G2 緩衝液 30 mL* を加え、よく転倒混和して均質にする。
1.1.6. 果汁・飲料製品
開封前によく転倒混和して均質にした製品 100 mL をメスシリンダーで量りとり、凍結乾燥
用容器(500 mL 容量)に移し、傾けた状態で-80°C 冷凍庫中で 2 時間凍結させる。その後、
凍結乾燥機にセットし、24 時間乾燥後、試料 30 g を乳鉢に量りとり G2 緩衝液* 20 mL に乳棒
を用いて溶解させる。次いで全量をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に移し、乳鉢と乳棒
の残存試料を新たに G2 緩衝液* 10 mL を追加し洗いいれ、よく転倒混和して均質にする。
1.1.7. 氷菓等製品
試料 100 g を凍結乾燥用容器に量りとり、24 時間凍結乾燥する。その後、試料 10 g を先に
G2 緩衝液* 30 mL を入れたポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に少しずつ加えながら溶解さ
せ、よく転倒混和して均質にする。
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* G2 緩衝液はキアゲン社(Cat. No. 19060)に付属しているが、足りない場合には単品で購入するかキット
の説明書に従って調製可能である。
1.2. パパイヤ試料からの DNA 抽出精製
1.2.1. DNA の抽出精製
1.2.1.1. 陰イオン交換樹脂タイプキット法(QIAGEN 社製 Genomic-tip 100/G)
DNA 抽出用試料に、100 mg/mL RNase A*1 20 μL、cellulase*2 500 μL を加えて(なお、⑤果肉
含量ゲル状製品のジャム製品に限り、-Amylase*3 20 μL も同時に加える)、転倒混合し均質化
した後、50 °C で 1 時間放置する。その間 2~3 回遠沈管を反転させて試料を転倒混和する。
次いで Proteinase K*4 200 μL を加え 50 °C で 1 時間放置する。その間も 2 ~3 回遠沈管を反
転させて試料を転倒混和する。次いで、その遠沈管を 3,000× g、低温下(4 °C)、20 分間遠心
し、得られた上清(約 25~35 mL)を採取し、あらかじめ QBT 緩衝液*5 4 mL を用い平衡化
した QIAGEN Genomic-tip 100/G に負荷する。次いで、100/G を QC 緩衝液*5で 7.5 mL ずつ 3 回
洗浄した後、あらかじめ 50 °C に温めておいた QF 緩衝液*5 1 mL を負荷し、はじめの溶出液
は捨てる。新しい遠沈管に移し、再度 50 °C に温めておいた QF 緩衝液*5 2 mL を負荷し、DNA
を溶出する。溶出液と等量のイソプロピルアルコールを加えよく混合し、遠沈管(1.5 mL も
しくは 2.0 mL 容)に移し、10,000 × g 以上で、低温下(4 °C)15 分間遠心する。上清を捨て
る。この際、上清を極力除去する*6。70%エタノール 1 mL を加え、さらに 10,000 × g 以上で、
低温下(4 °C)5 分間遠心する。さらに上清を捨て*6、残った沈殿を、乾燥させた後、予め 50 °C
に温めた滅菌蒸留水 50 μL に溶解し、DNA 試料原液とする。
*1 キアゲン社(Cat. no. 1018048)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*2 シグマアルドリッチ社(Cat. no. C2730-50ML)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*3 ニッポン・ジーン社(Cat. no. 312-06671)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*4 プロメガ社(Cat. no. V3021)100 mg を滅菌水 5 mL に溶解したもの又は同等の効力を持つものを用いる。*5 QBT 緩衝液、QC 緩衝液および QF 緩衝液はキアゲン社(Cat. No. 19060)に付属しているが、足りない場
合には単品で購入するかキットの説明書に従って調製可能である。*6 沈殿物が見えない場合でも、遠沈管内の底部付近にはできるだけ触れないように、上清を除去する。
1.2.1.2. シリカゲル膜タイプキット法(QIAGEN 社製 DNeasy Plant Mini)
採取したパパイヤから種子を除いた果肉部分をおよそ 10 mm 角に切り出し、凍結乾燥を行う。次にミルサー
等でこれらを混合し、粉砕する。粉砕試料を用い、以下の方法に従って DNA を抽出精製する。
粉砕試料 80 mg をマイクロ遠沈管(2 mL 容)に量り採り、あらかじめ 65 °C に温めておいた AP1 緩
衝液 600 L と RNase A*1 4 L を加え、試料塊がないよう混合し、65 °C で 15 分間放置する。その間
* G2 緩衝液はキアゲン社(Cat. No. 19060)に付属しているが、足りない場合には単品で購入するかキット
の説明書に従って調製可能である。
1.2. パパイヤ試料からの DNA 抽出精製
1.2.1. DNA の抽出精製
1.2.1.1. 陰イオン交換樹脂タイプキット法(QIAGEN 社製 Genomic-tip 100/G)
DNA 抽出用試料に、100 mg/mL RNase A*1 20 μL、cellulase*2 500 μL を加えて(なお、⑤果肉
含量ゲル状製品のジャム製品に限り、-Amylase*3 20 μL も同時に加える)、転倒混合し均質
化した後、50 °C で 1 時間放置する。その間 2~3 回遠沈管を反転させて試料を転倒混和する。
次いで Proteinase K*4 200 μL を加え 50 °C で 1 時間放置する。その間も 2 ~3 回遠沈管を反
転させて試料を転倒混和する。次いで、その遠沈管を 3,000× g、低温下(4 °C)、20 分間遠心
し、得られた上清(約 25~35 mL)を採取し、あらかじめ QBT 緩衝液*5 4 mL を用い平衡化
した QIAGEN Genomic-tip 100/G に負荷する。次いで、100/G を QC 緩衝液*5で 7.5 mL ずつ 3 回
洗浄した後、あらかじめ 50 °C に温めておいた QF 緩衝液*5 1 mL を負荷し、はじめの溶出液
は捨てる。新しい遠沈管に移し、再度 50 °C に温めておいた QF 緩衝液*5 2 mL を負荷し、DNA
を溶出する。溶出液と等量のイソプロピルアルコールを加えよく混合し、遠沈管(1.5 mL も
しくは 2.0 mL 容)に移し、10,000 × g 以上で、低温下(4 °C)15 分間遠心する。上清を捨て
る。この際、上清を極力除去する*6。70%エタノール 1 mL を加え、さらに 10,000 × g 以上で、
低温下(4 °C)5 分間遠心する。さらに上清を捨て*6、残った沈殿を、乾燥させた後、予め 50 °C
に温めた滅菌蒸留水 50 μL に溶解し、DNA 試料原液とする。
*1 キアゲン社(Cat. no. 1018048)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*2 シグマアルドリッチ社(Cat. no. C2730-50ML)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*3 ニッポン・ジーン社(Cat. no. 312-06671)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*4 プロメガ社(Cat. no. V3021)100 mg を滅菌水 5 mL に溶解したもの又は同等の効力を持つものを用いる。*5 QBT 緩衝液、QC 緩衝液および QF 緩衝液はキアゲン社(Cat. No. 19060)に付属しているが、足りない場
合には単品で購入するかキットの説明書に従って調製可能である。*6 沈殿物が見えない場合でも、遠沈管内の底部付近にはできるだけ触れないように、上清を除去する。
1.2.1.2. シリカゲル膜タイプキット法(QIAGEN 社製 DNeasy Plant Mini)
採取したパパイヤから種子を除いた果肉部分をおよそ 10 mm 角に切り出し、凍結乾燥を行う。次にミルサー
等でこれらを混合し、粉砕する。粉砕試料を用い、以下の方法に従って DNA を抽出精製する。
粉砕試料 80 mg をマイクロ遠沈管(2 mL 容)に量り採り、あらかじめ 65 °C に温めておいた AP1 緩
衝液 600 L と RNase A*1 4 L を加え、試料塊がないよう混合し、65 °C で 15 分間放置する。その間
数回遠沈管を反転させ試料を撹拌する。その後 AP2 緩衝液 195 L を加え、氷上に 5 分放置後、室
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数回遠沈管を反転させ試料を撹拌する。その後 AP2 緩衝液 195 L を加え、氷上に 5 分放置後、室
温下 10,000×g で 5 分間遠心する。上清を QIAshredder spin column に負荷し、室温下 10,000×g で 2
分間遠心し、溶出液をマイクロ遠沈管(2mL 容)に移す。遠沈管に 1.5 倍量の AP3 緩衝液・エタノー
ル混液を加え、10秒間ボルテックスミキサーで撹拌した後、得られた混合液のうち500 Lをmini spin
column に負荷し、室温下 10,000×g で 5 分間遠心し*2、溶出液を捨てる。次いで、残りの混合液のう
ち、さらに500 Lを同じmini spin columnに負荷し、同条件で遠心し溶出液を捨てる。最終的に混合
液がすべてなくなるまで同様の操作を繰り返す。次いで、column に AW 緩衝液 500 L を加え、室温
下 10,000×g で 5 分間遠心し、溶出液を捨てもう一度 AW 緩衝液を加え、同じ操作を繰り返す。溶出
液を捨て、mini spin column を乾燥させるため、10,000×g 以上で 15 分間遠心する。mini spin column
をキットの遠沈管に移し、あらかじめ 50 °C 温めておいた水 50 L を加え、5 分間放置した後、
10,000×g で 1 分間遠心し DNA を溶出する。もう一度水を加え、同様の操作を行い、得られた溶出液
を合わせ、DNA 試料原液とする。
*1 キアゲン社(Cat. no. 1018048)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*2 混合液中に析出物が有る場合columnが詰まりやすくなる。その場合、完全に溶出させるため遠心時間を
10分程度まで延ばす。
1.2.2. DNA試料原液中のDNAの純度の確認並びにDNA試料液の調製と保存
DNA試料原液の適当量を取り、滅菌蒸留水を用いて適宜希釈*1し、200~320 nmの範囲で紫外部吸収スペ
クトルを測定し、260および280 nmの吸光度*2(A260およびA280)を記録する。次いでA260の値 1 を50 ng/μL
DNAと換算し、DNA濃度を算出する。またA260/ A280を計算する。この比が1.7~2.0になれば、DNAが十分
に精製されていることを示す*3。得られたDNA濃度から、DNA試料原液を10 ng/μLに滅菌蒸留水で希釈して
調製し、DNA試料液とする。DNA試料液は40 μLごとにマイクロ試料管に分注後、-20 °C以下で冷凍保存
する。分注したDNA試料液は、融解後直ちに使用し、残った溶液は再度保存せず廃棄する。なお、DNA試
料原液の濃度が10 ng/μLに達しないときは、そのままDNA試料液として用いる。
*1 希釈する場合には、滅菌蒸留水を用いる。また、希釈倍率は、吸光度測定装置により適切な測定に要す
る液量および濃度域が異なるため、適宜とする。*2 A260 が DNA 由来の吸光度、A280 がタンパク質等不純物由来の吸光度と考える。*3 A260/ A280の比が1.7~2.0の範囲外であっても精製等の更なる操作は要さない。
2. 定性リアルタイムPCR法(ABI PRISMTM7900 または7500)
温下 10,000×g で 5 分間遠心する。上清を QIAshredder spin column に負荷し、室温下 10,000×g で 2
分間遠心し、溶出液をマイクロ遠沈管(2mL 容)に移す。遠沈管に 1.5 倍量の AP3 緩衝液・エタノー
ル混液を加え、10秒間ボルテックスミキサーで撹拌した後、得られた混合液のうち500 Lをmini spin
column に負荷し、室温下 10,000×g で 5 分間遠心し*2、溶出液を捨てる。次いで、残りの混合液のう
ち、さらに500 Lを同じmini spin columnに負荷し、同条件で遠心し溶出液を捨てる。最終的に混合
液がすべてなくなるまで同様の操作を繰り返す。次いで、column に AW 緩衝液 500 L を加え、室温
下 10,000×g で 5 分間遠心し、溶出液を捨てもう一度 AW 緩衝液を加え、同じ操作を繰り返す。溶出
液を捨て、mini spin column を乾燥させるため、10,000×g 以上で 15 分間遠心する。mini spin column
をキットの遠沈管に移し、あらかじめ 50 °C 温めておいた水 50 L を加え、5 分間放置した後、
10,000×g で 1 分間遠心し DNA を溶出する。もう一度水を加え、同様の操作を行い、得られた溶出液
を合わせ、DNA 試料原液とする。
*1 キアゲン社(Cat. no. 1018048)のもの又は同等の効力を持つものを用いる。*2 混合液中に析出物が有る場合columnが詰まりやすくなる。その場合、完全に溶出させるため遠心時間を
10分程度まで延ばす。
1.2.2. DNA試料原液中のDNAの純度の確認並びにDNA試料液の調製と保存
DNA試料原液の適当量を取り、滅菌蒸留水を用いて適宜希釈*1し、200~320 nmの範囲で紫外部吸収スペ
クトルを測定し、260および280 nmの吸光度*2(A260およびA280)を記録する。次いでA260の値 1 を50 ng/μL
DNAと換算し、DNA濃度を算出する。またA260/ A280を計算する。この比が1.7~2.0になれば、DNAが十分
に精製されていることを示す*3。得られたDNA濃度から、DNA試料原液を10 ng/μLに滅菌蒸留水で希釈して
調製し、DNA試料液とする。DNA試料液は40 μLごとにマイクロ試料管に分注後、-20 °C以下で冷凍保存
する。分注したDNA試料液は、融解後直ちに使用し、残った溶液は再度保存せず廃棄する。なお、DNA試
料原液の濃度が10 ng/μLに達しないときは、そのままDNA試料液として用いる。
*1 希釈する場合には、滅菌蒸留水を用いる。また、希釈倍率は、吸光度測定装置により適切な測定に要す
る液量および濃度域が異なるため、適宜とする。*2 A260 が DNA 由来の吸光度、A280 がタンパク質等不純物由来の吸光度と考える。*3 A260/ A280の比が1.7~2.0の範囲外であっても精製等の更なる操作は要さない。
2. 定性リアルタイムPCR法(ABI PRISMTM7900 または7500)
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遺伝子組換えパパイヤ2系統(PRSV-YK,PRSV-SC)検知試験用として、カリフラワーモザイクウイルス
35Sプロモーター配列とそれぞれの系統に特異的に導入されているPapaya Ringspot Virus coat protein
(PRSV-cp)遺伝子の境界領域を検知するプライマー、プローブを用いる。カリフラワーモザイクウイルス
35Sプロモーター配列(CaM)検知試験用として、CaMを検知するプライマー対、および、プローブを用い
る。また、パパイヤ陽性対照試験用として、Chymopapain遺伝子配列を検知するプライマー、プローブを用
いる。各プライマー、プローブは滅菌蒸留水に溶解する。プライマー、プローブの塩基配列は以下のとお
りである。
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験用プライマー対、および、プローブ
YK-2F: 5’-ACA CGG GGG ACT CTA GAG -3’
YK-2R: 5’-ACC GGT ATC CAC AGC TTC -3’
YK-2P: 5’-FAM- TCC CTT CCA TGG CGT C-TAMRA-3’
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-SC)検知試験用プライマー対、および、プローブ
SC-F: 5’-CAT TTC ATT TGG AGA GAA CAC G-3’
SC-R: 5’-ACC AGC ATC CAC AGC TTC-3’
SC-P: 5’-FAM-ACT CTA GAG GAT CCA TGT CCA A-TAMRA -3’
CaM配列検知試験用プライマー対、プローブ
35S-F:5’-GCC TCT GCC GAC AGT GGT -3’
35S-R:5’-AAG ACG TGG TTG GAA CGT CTT C-3’
35S-P:5’-FAM- CAA AGA TGG ACC CCC ACC CAC G-TAMRA-3’
パパイヤ陽性対照試験用プライマー対、プローブ*
Q-Chy-1F2: 5’-CCA TGC GAT CCT CCC A-3’
Q-Chy-2R: 5’-CAT CGT AGC CAT TGT AAC ACT AGC TAA-3’
Q-Chy-P: 5’-FAM-TTC CCT TCA T(BHQ1)CC ATT CCC ACT CTT GAG A-3’
* Q-Chy-Pプローブのクエンチャー(消光物質)は、T-baseのblack-hole quencher 1 (BHQ1)を使用する。
2.1. PCR用反応液の調製
PCR用反応液は25 μL/wellとして調製する。組成は以下のとおりである。TaqMan Gene Expression Master
Mix*1 12.5 μL、対象プライマー対溶液(各プライマー、50 μmol/L)各0.4 μL、対象プローブ溶液(10 μmol/L)
0.25 μLを混合し、DNA試料液5 μLを添加し滅菌蒸留水で全量25 μLに調製する。PCRのブランク反応液とし
て、必ずDNA試料液を加えないものについても同時に調製する*2。分注操作終了後、真上からシール*3し、
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験用として、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモ
ーター配列とPapaya Ringspot Virus coat protein(PRSV-cp)遺伝子の境界領域を検知するプライマー、
プローブを用いる。カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター配列(CaM)検知試験用として、
CaMを検知するプライマー対、および、プローブを用いる。また、パパイヤ陽性対照試験用として、
Chymopapain遺伝子配列を検知するプライマー、プローブを用いる。各プライマー、プローブは滅菌蒸
留水に溶解する。プライマー、プローブの塩基配列は以下のとおりである。
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験用プライマー対、および、プローブ
YK-2F: 5’-ACA CGG GGG ACT CTA GAG -3’
YK-2R: 5’-ACC GGT ATC CAC AGC TTC -3’
YK-2P: 5’-FAM- TCC CTT CCA TGG CGTC-TAMRA-3’
CaM配列検知試験用プライマー対、プローブ
35S-F:5’-GCC TCT GCC GAC AGT GGT -3’
35S-R:5’-AAG ACG TGG TTG GAA CGT CTTC-3’
35S-P:5’-FAM- CAA AGA TGG ACC CCC ACC CACG-TAMRA-3’
パパイヤ陽性対照試験用プライマー対、プローブ*
Q-Chy-1F2: 5’-CCA TGC GAT CCT CCCA-3’
Q-Chy-2R: 5’-CAT CGT AGC CAT TGT AAC ACT AGC TAA-3’
Q-Chy-P: 5’-FAM-TTC CCT TCA T(BHQ1)CC ATT CCC ACT CTT GAGA-3’
* Q-Chy-Pプローブのクエンチャー(消光物質)は、T-baseのblack-hole quencher 1 (BHQ1)を使用する。
2.1. PCR用反応液の調製
PCR用反応液は25 μL/wellとして調製する。組成は以下のとおりである。TaqMan Gene Expression Master
Mix*1 12.5 μL、対象プライマー対溶液(各プライマー、50 μmol/L)各0.4 μL、対象プローブ溶液(10 μmol/L)
0.25 μLを混合し、DNA試料液5 μLを添加し滅菌蒸留水で全量25 μLに調製する。PCRのブランク反応液とし
て、必ずDNA試料液を加えないものについても同時に調製する*2。分注操作終了後、真上からシール*3し、
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完全にウェルを密閉する。このとき、しわが寄らないよう注意し、専用のシーリング用アプリケーターを
用いて行う。最後にウェルの底を観察し、底に気泡がある場合は、プレートの縁を軽く叩いて気泡を抜い
ておく。プレートの確認後、MicroAmp Optical Cover Compression Pad*4を茶色の面が上になるよう、プレー
トの上面にセットする。DNA試料液あたりパパイヤ陽性対照試験、遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK,
PRSV-SC)検知試験、およびCaM配列検知試験をそれぞれ2ウェル並行して行うものとする。
*1 TaqMan Gene Expression Master Mix
本試薬は粘性が高いため、混合操作を行う際には、混合が確実に行われるように注意する。不十分な場
合には、PCR がうまくいかない場合がある。使う直前には必ず軽く攪拌後、遠心し、溶液を試料管の底に
集めておいてから使用する。また、ウェルに分注する際は、以後撹拌、遠心が困難なことを考慮し、ウェ
ルの底に確実に入れる。*2 Non-Template Control(NTC)
DNA 試料液の添加の際、NTC には DNA 試料液の代わりに滅菌蒸留水をウェルに 5 μL 添加する。*3 96 ウェルプレート、シール、および、シーリングアプリケーター
MicroAmp Optical 96-Well Reaction Plate(Life Technologies 社)、および、ABI PRISM Optical Adhesive Cover
(Life Technologies 社)を使用する。シーリングの詳細については製品付属のマニュアルを参考のこと。*4 MicroAmp Optical Cover Compression Pad(ABI PRISMTM7900 の場合、Life Technologies 社)を使用する。
ABI PRISMTM 7500 では使用しない。
2.2. プレート情報の設定
反応に際しては、プレート情報の設定を行わなければならない。設定を行う項目は、検体の配置と種類、
および、プローブ特性である。具体的には新規シート上で、調製したプレートの配置に対応するように気
を付けながら、検体の種類(「NTC」:Non-Template Control、「UNKN」:DNA 試料液)の設定を行う。ま
たプローブ特性に関しては、YK-2P、35S-P、Q-Chy-P ともに Reporter が「FAM」、Quencher が YK-2P, SC-P,
35S は「TAMRA」、Q-Chy-P は「Non Fluorescent」となるように設定する。また、Passive Reference は「ROX」
に設定する。なお、ランモードの設定は 9600 emulation モードを選択する。Sample Volume は 25 μL に設定
する。
2.3. PCR 増幅
装置にプレートをセットし、反応とデータの取り込みを開始する。反応条件は以下のとおりである。50 °C、
2 分間の条件で保持した後、95 °C で 10 分間加温し、ホットスタート法で反応を開始する。その後、95 °C
で 15 秒間、60 °C で 1 分間を 1 サイクルとして、45 サイクルの増幅反応を行う。Remaining time が 0 分と
なっていることを確認し、反応を終了させた後、測定結果の解析を行う。
完全にウェルを密閉する。このとき、しわが寄らないよう注意し、専用のシーリング用アプリケーターを
用いて行う。最後にウェルの底を観察し、底に気泡がある場合は、プレートの縁を軽く叩いて気泡を抜い
ておく。プレートの確認後、MicroAmp Optical Cover Compression Pad*4を茶色の面が上になるよう、プレー
トの上面にセットする。DNA試料液あたりパパイヤ陽性対照試験、遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検
知試験、およびCaM配列検知試験をそれぞれ2 ウェル並行して行うものとする。
*1 TaqMan Gene Expression Master Mix
本試薬は粘性が高いため、混合操作を行う際には、混合が確実に行われるように注意する。不十分な場
合には、PCR がうまくいかない場合がある。使う直前には必ず軽く攪拌後、遠心し、溶液を試料管の底に
集めておいてから使用する。また、ウェルに分注する際は、以後撹拌、遠心が困難なことを考慮し、ウェ
ルの底に確実に入れる。*2 Non-Template Control(NTC)
DNA 試料液の添加の際、NTC には DNA 試料液の代わりに滅菌蒸留水をウェルに 5 μL 添加する。*3 96 ウェルプレート、シール、および、シーリングアプリケーター
MicroAmp Optical 96-Well Reaction Plate(Life Technologies 社)、および、ABI PRISM Optical Adhesive Cover
(Life Technologies 社)を使用する。シーリングの詳細については製品付属のマニュアルを参考のこと。*4 MicroAmp Optical Cover Compression Pad(ABI PRISMTM7900 の場合、Life Technologies 社)を使用する。
ABI PRISMTM 7500 では使用しない。
2.2. プレート情報の設定
反応に際しては、プレート情報の設定を行わなければならない。設定を行う項目は、検体の配置と種類、
および、プローブ特性である。具体的には新規シート上で、調製したプレートの配置に対応するように気
を付けながら、検体の種類(「NTC」:Non-Template Control、「UNKN」:DNA 試料液)の設定を行う。ま
たプローブ特性に関しては、YK-2P、35S-P、Q-Chy-P ともに Reporter が「FAM」、Quencher が YK-2P は
「TAMRA」、35S-P は「TAMRA」、Q-Chy-P は「Non Fluorescent」となるように設定する。また、Passive Reference
は「ROX」に設定する。なお、ランモードの設定は 9600 emulation モードを選択する。Sample Volume は 25
μL に設定する。
2.3. PCR 増幅
装置にプレートをセットし、反応とデータの取り込みを開始する。反応条件は以下のとおりである。50 °C、
2 分間の条件で保持した後、95 °C で 10 分間加温し、ホットスタート法で反応を開始する。その後、95 °C
で 15 秒間、60 °C で 1 分間を 1 サイクルとして、50 サイクルの増幅反応を行う。Remaining time が 0 分と
なっていることを確認し、反応を終了させた後、測定結果の解析を行う。
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3. 結果の解析と判定(図1,2参照)
2種類の遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK, PRSV-SC)検知試験、CaM配列検知試験およびパパイヤ陽性
対照試験のいずれについても、結果の判定はAmplification plot上で指数関数的な増幅曲線とCt値の確認、お
よび、multicomponent上での対象色素由来の蛍光強度(FAM)の指数関数的な明確な増加の確認をもって行
う。
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK, PRSV-SC)検知試験、および、CaM配列検知試験の両試験とも目視で
Amplification plot上に指数関数的な増幅曲線が確認された場合には、遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK,
PRSV-SC)陽性を疑う。次いで、ベースラインを(3サイクルから15サイクル)設定し、ΔRnのノイズ幅の
最大値の上側で、安定した指数関数的な増幅曲線上で交わるThreshold line(Th. line)として0.2に設定する。
ただし、Th. lineがノイズや指数関数的でない増幅曲線と交わる場合は、それらと交わらないようTh. lineを
適宜設定する。そのTh. lineからCt値が得られるか否かを解析する。
PRSV-YKまたはPRSV-SC の判定は,2併行抽出より得られたDNA試料液(1抽出あたり2ウェル並行で測
定)の合計8ウェルすべてを用いて判定する(PRSV-YKを判定する場合は、PRSV-YKの2併行4ウェルとCaM
の2併行4ウェルの計8ウェル、PRSV-SCを判定する場合は、PRSV-SCの2併行4ウェルとCaMの2併行4ウェル
の計8ウェル)。
*CaMの結果は、PRSV-YKとPRSV-SCで共通
PRSV-YKの判定:
DNA試料液において、
(1)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、かつ遺伝子組換えパパイ
ヤ(PRSV-YK)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべてのウェルで43未満のCt値が
得られた場合(STEP 2のパターン①)に、当該試料はPRSV-YK陽性と判定する。
(2)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-YK)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべてのウェルで43未満のCt値が得
られない場合(STEP 2のパターン②)には、PRSV-YK陰性と判定する。
(3)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-YK)検知試験あるいはCaM配列検知試験の結果の組み合わせがSTEP 2のパターン①又は
STEP 2のパターン②のいずれにも該当しない場合は、粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目
のDNA抽出精製を行い、さらに「2. 定性リアルタイムPCR法」以降の操作を実施して、判定を行
う。2回目のDNA試料液を用いた場合でも陽性の判定が得られない場合には、遺伝子組換えパパイ
ヤ(PRSV-YK)陰性と判定する。
2併行抽出のそれぞれの抽出DNA試料液(各2ウェル)について、結果の判定スキームに従って判定し、
両方の抽出DNA試料液についてPRSV-YKおよびCaMの両方で陽性と判定された検体を陽性と判断する。
3. 結果の解析と判定(図1参照)
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験、CaM配列検知試験およびパパイヤ陽性対照試験のいずれ
についても、結果の判定はAmplification plot上で指数関数的な増幅曲線とCt値の確認、および、
multicomponent上での対象色素由来の蛍光強度(FAM)の指数関数的な明確な増加の確認をもって行う。
遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)検知試験、および、CaM配列検知試験の両試験とも目視でAmplification
plot上に指数関数的な増幅曲線が確認された場合には、遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)陽性を疑う。次
いで、ベースラインを(3サイクルから15サイクル)設定し、ΔRnのノイズ幅の最大値の上側で、安定した
指数関数的な増幅曲線上で交わるThreshold line(Th. line)として0.2に設定する。ただし、Th. lineがノイズ
や指数関数的でない増幅曲線と交わる場合は、それらと交わらないようTh. lineを適宜設定する。そのTh. line
からCt値が得られるか否かを解析する。
2併行抽出より得られたDNA試料液(1抽出あたり2ウェル並行で測定)の合計8ウェルすべてを用いて判
定する(YKの2併行4ウェル + CaMの2併行4ウェルの計8ウェル)。
DNA試料液において、
(1)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで48未満のCt値が得られ、かつ遺伝子組換えパパイ
ヤ(PRSV-YK)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべてのウェルで48未満のCt値が
得られた場合(STEP 2のパターン①)に、当該試料は陽性と判定する。
(2)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで48未満のCt値が得られ、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-YK)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべてのウェルで48未満のCt値が得
られない場合(STEP 2のパターン②)には、遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)陰性と判定する。
(3)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで48未満のCt値が得られ、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-YK)検知試験あるいはCaM配列検知試験の結果の組み合わせがSTEP2のパターン①又は
STEP2のパターン②のいずれにも該当しない場合は、粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目
のDNA抽出精製を行い、さらに「2. 定性リアルタイムPCR法」以降の操作を実施して、判定を行
う。2回目のDNA試料液を用いた場合でも陽性の判定が得られない場合には、遺伝子組換えパパイ
ヤ(PRSV-YK)陰性と判定する。
2併行抽出のそれぞれの抽出DNA試料液(各2ウェル)について、結果の判定スキームに従って判定し、
両方の抽出DNA試料液についてPRSV-YKおよびCaMのいずれの試験でも陽性と判定された検体を陽性と判
断する。
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PRSV-SCの判定:
DNA試料液において、
(1)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、かつ遺伝子組換えパパイ
ヤ(PRSV-SC)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべてのウェルで43未満のCt値が
得られた場合(STEP 2のパターン①)に、当該試料はPRSV-SC陽性と判定する。
(2)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-SC)検知試験およびCaM配列検知試験の両試験ともすべてのウェルで43未満のCt値が得
られない場合(STEP 2のパターン②)には、PRSV-SC陰性と判定する。
(3)パパイヤ陽性対照試験の2併行すべてのウェルで43未満のCt値が得られ、遺伝子組換えパパイヤ
(PRSV-SC)検知試験あるいはCaM配列検知試験の結果の組み合わせがSTEP 2のパターン①又は
STEP 2のパターン②のいずれにも該当しない場合は、粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目
のDNA抽出精製を行い、さらに「2. 定性リアルタイムPCR法」以降の操作を実施して、判定を行
う。2回目のDNA試料液を用いた場合でも陽性の判定が得られない場合には、遺伝子組換えパパイ
ヤ(PRSV-SC)陰性と判定する。
2併行抽出のそれぞれの抽出DNA試料液(各2ウェル)について、結果の判定スキームに従って判定し、
両方の抽出DNA試料液についてPRSV-SCおよびCaMの両方で陽性と判定された検体を陽性と判断する。
なお上記により陽性と判定された結果についてmulticomponentを解析し、目視でFAMの蛍光強度の指数関
数的な増加が観察でき、ROXの蛍光強度の明確な下降やFAMの蛍光強度の緩やかな上昇がないことを確認
する。
また、パパイヤ陽性対照試験の すべてのウェルで43未満のCt値が得られないDNA試料液については、再
度、粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目のDNA抽出精製を行い、さらに「2. 定性リアルタイムPCR
なお上記により陽性と判定された結果についてmulticomponentを解析し、目視でFAMの蛍光強度の指数関
数的な増加が観察でき、ROXの蛍光強度の明確な下降やFAMの蛍光強度の緩やかな上昇がないことを確認
する。
また、パパイヤ陽性対照試験の すべてのウェルで48未満のCt値が得られないDNA試料液については、再
度、粉砕・均質後の当該試料から改めて2 回目のDNA抽出精製を行い、さらに「2. 定性リアルタイムPCR
陽性検体のパターン陽性対照用Chy PRSV-YK CaM
抽出DNA試料液ー① (+/+) (+/+) (+/+)抽出DNA試料液ー② (+/+) (+/+) (+/+)
PRSV-YK 陽性
PRSV-YK陽性検体のパターン陽性対照用Chy PRSV-YK CaM
抽出DNA試料液-① (+/+) (+/+) (+/+)抽出DNA試料液-② (+/+) (+/+) (+/+)
PRSV-YK 陽性
PRSV-SC陽性検体のパターン陽性対照用Chy PRSV-SC CaM
抽出DNA試料液-① (+/+) (+/+) (+/+)抽出DNA試料液-② (+/+) (+/+) (+/+)
PRSV-SC 陽性
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法」以降の操作を行い、それでもパパイヤ陽性対照試験のすべてのウェルで43未満のCt値が得られない場
合には、本試料からの検知は不能とする。
* DNA 抽出精製を行うために必要な試料量が不足している場合には、「1.1. 試料前処理」から実施する。
法」以降の操作を行い、それでもパパイヤ陽性対照試験の すべてのウェルで48未満のCt値が得られない場
合には、本試料からの検知は不能とする。
* DNA 抽出精製を行うために必要な試料量が不足している場合には、「1.1. 試料前処理」から実施する。
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食 安 発 1 1 1 6 第 4 号
平 成 2 4 年 1 1 月 1 6 日
(最終改正:平成25年7月9日)
各 検疫所長 殿
厚生労働省医薬食品局食品安全部長
(公 印 省 略)
安全性未審査の組換えDNA技術応用食品の検査方法について
組換えDNA技術応用食品の検査方法については、平成13年3月27日付け食発第
110号厚生労働省医薬局食品保健部長通知(最終改正:平成20年6月18日。以下「旧
通知」という。)によって通知しているところですが、食品表示規制業務が消費者庁に
移管されたことに伴い、食品表示規制に係る安全性審査済みの組換えDNA技術応用
食品の検査方法については消費者庁より通知されることから、これまでの関係通知に
ついても、一つの通知に取りまとめることとしました。
このため、安全性未審査の組換えDNA技術応用食品の検査方法について、別添
のとおり定め、旧通知及び別紙に掲げる通知を廃止します。
参 考 (本通知による改正後の通知全文)
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(別紙)
・安全性未審査の中国産米及び米加工品の検知法について
(平成 19 年1月 26 日付食安監発第 0126006 号医薬食品局食品安全部監視安全課
長通知、最終改正:平成 24 年 5 月 28 日)
・安全性未審査の遺伝子組換えナタネ(RT73 B.rapa)の暫定検査法について
(平成 21 年6月 26 日付食安監発第 0626008 号医薬食品局食品安全部監視安全課
長通知、最終改正:平成 21 年 9 月 14 日)
・安全性未審査の遺伝子組換え亜麻(FP967)の暫定検査法について
(平成 21 年 10 月 27 日付食安監発 1027 第3号医薬食品局食品安全部監視安全課
長通知)
・安全性未審査の遺伝子組換えパパイヤ(PRSV-YK)の暫定検査法について
(平成 23 年2月 22 日付食安監発 0222 第4号医薬食品局食品安全部監視安全課長
通知)
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1
(別添)
安全性未審査の組換え DNA 技術応用食品の検査方法
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2
目次
Ⅰ.検体採取方法
Ⅱ.個別検査方法
・亜麻(FP967)の検査方法
・コムギ(MON71800)の検査方法
・コメ(63Bt、NNBt、CpTI)の検査方法
・コメ(LL601)の検査方法
・トウモロコシ(Bt10)の検査方法
・トウモロコシ(CBH351)の検査方法
・トウモロコシ(DAS59132)の検査方法
・ナタネ(RT73 B. rapa)の検査方法
・パパイヤ(PRSV-YK、PRSV-SC)の検査方法
-
3
Ⅰ.検体採取方法
-
4
1. 亜麻、コムギ、コメ、トウモロコシ、ナタネの検体採取
1.1. 亜麻、コムギ、コメ、トウモロコシ、ナタネの穀粒の検体採取
組換えDNA技術応用食品が不均一に分布しているということを前提として、ロットを代
表するような検体採取を行うため、対象となるロットの大きさ、荷姿、包装形態に応じて、
以下に掲げる検体採取を行う。検体採取に際しては、他ロットの穀粒が混入しないよう十
分配慮し、使用する器具・容器包装等は使い捨てのものを使用するか、その都度、十分に
洗浄等を行い使用する。
次に、検体採取した穀粒が均質になるよう十分に混合した後、この中から検査に必要な
一定量を採り、粉砕器等を用いて均質に粉砕する。
ナタネの穀粒に関しては、1 検体(検体採取量 1 kg)のうち500 gを粉砕して用いる。残り
の500 gは穀粒の状態で保管する。粒検査の時にはこれを用いる。
1.1.1. 袋積みの場合
以下の表に従って検体採取を行う。
ロットの大きさ 検体採取のための開梱数 検体採取量(kg) 検体数
≦ 15 2 1 1
16 ~ 25 3 1 1
26 ~ 90 5 1 1
91 ~ 150 8 1 1
151 ~ 280 13 1 1
281 ~ 500 20 1 1
501 ~ 1,200 32 1 1
1,201 ~ 3,200 50 1 1
3,201 ~ 10,000 80 1 1
10,001 ~ 35,000 125 1 1
35,001 ~ 150,000 200 1 1
150,001 ~ 500,000 315 1 1
≧ 500,001 500 1 1
1.1.2. ばら積みの場合
1.1.2.1. サイロ搬入時
サイロに搬入する際に 1 サイロを 1 ロットとして、ロット全体を代表する検体となるよ
うオートサンプラー等を用いて検体採取を行うものとし、適正な時間的間隔をもって15 回、
計10 kg以上を検体採取したものを縮分してサイロ毎に1 検体(1 kg以上)とする。
既にサイロに搬入したものについては、他のサイロに移動させる時点で同様に検体採取
を行う。
-
5
1.1.2.2. はしけ搬入時
はしけ(内航船を含む。)に搬入する際に 1 はしけを 1 ロットとして、ロット全体を代
表する検体となるようオートサンプラー等を用いて検体採取を行うものとし、適正な時間
的間隔をもって 15 回計 10 kg 以上を検体採取したものを縮分してはしけ毎に 1 検体(1 kg
以上)とする。
1.1.2.3. はしけにおける検体採取
すでにはしけに搬入したものについて検体採取を行う場合、 1 はしけを1 ロットとして、
ロット全体を代表する検体となるよう上層、中層、下層毎に各5カ所、計15カ所から、
計10 kg以上を検体採取したものを縮分してはしけ毎に1 検体(1 kg以上)とする。
1.2. トウモロコシ加工食品の検体採取
加工食品の検体採取については、対象となるロットの大きさに応じて以下の表に従い検体
採取を行う。
1.2.1. トウモロコシの粉砕加工品(コーングリッツ、コーンフラワー、コーンミール等、
穀粒を粉砕したもの)
検体採取については、1.1.1.の袋積みの場合に従う。
1.2.2. それ以外の加工食品
以下の表に従って検体採取を行う。
ロットの大きさ 検体採取のための開梱数 検体採取量(g) 検体数
≦ 15 2 120 1
16 ~ 50 3 120 1
51 ~ 150 5 120 1
151 ~ 500 8 120 1
501 ~ 3,200 13 120 1
3,201 ~ 35,000 20 120 1
35,001 ~ 500,000 32 120 1
≧ 500,001 50 120 1
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6
1.3. コムギの粉砕加工品の検体採取(小麦粉等、穀粒を粉砕したもの)
検体採取については、1.1.1.の袋積みの場合に従う。
2. パパイヤの検体採取
2.1. 生鮮パパイヤの検体採取
生鮮パパイヤの検体採取については、対象となるロットの大きさに応じて以下の表に従
い検体採取を行う。
ロットの大きさ 検体採取のための開梱数 検体採取量(個)
≦ 50 2 2
51 ~ 500 3 3
501 ~ 35,000 5 5
≧ 35,001 8 8
2.2. パパイヤ加工食品の検体採取
パパイヤ加工食品の検体採取については、対象となるロットの大きさに応じて 1.2.2.の
表に従い検体採取を行う。なお、果汁・飲料製品、氷菓等製品については、検体採取量を
480 g とする。また、パパイヤの含有量が少ない加工品について実施する場合は、製品分類
ごとに複数回の前処理試行が可能となるよう適宜検体採取量を増やして採取すること。
検査原則
当検査は、生鮮パパイヤおよび種々の加工食品が検査対象検体として想定されるため、その性状によ
り測定結果は変動する。これらを縮小するための原則について記す。
・ 検査対象検体は、一検体数を一単位とする。
・ 検査対象検体の食さない部分を廃棄した可食部を試料とする。(生鮮パパイヤについては種子・果皮
を除いた果肉部分)
・ 試料中の成分は、不均一に分布すると考えられるため、検査に供する前に試料全量を粉砕器等*で十分
に破砕し、均質混和して調製試料とする。
・ 検査に供する調製試料は固体や液体の性状に関わらず、重量測定にて一定量を採取する。
・ 試料調製を含む検査全般は、空気の動きがなく温度・湿度の変動が少ない区切られた空間で行い、コ
ンタミネーションを防ぐよう実施する。
・ 微量測定のため、粉砕用器具*1容器、秤量用器具、凍結乾燥瓶は中性洗剤等で洗浄後、アルカリ洗剤
に一晩浸け置きする。あるいは超音波洗浄機を用い、30分間の超音波処理を行う。
* レッチェGM200(レッチェ社製)、ミルサー(イワタニ社製)、Force Mill(大阪ケミカル社製)、Xtreame Blender
(Waring社製)、磁製乳鉢・乳棒および同等の結果が得られるものを用いる。
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7
3. その他
市販の亜麻、コメ、ナタネに関しては、検体採取量は検査を繰り返し行うのに十分の量と
する。
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Ⅱ.個別検査方法
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9
亜麻(FP967)の検査方法
本検査法では亜麻穀粒を検査対象とし、DNA抽出精製は、以下の陰イオン交換樹脂タイ
プキット法(QIAGEN社製Genomic-tip 20/G)を用いる。1 検体から2 併行でDNAを抽出し、
各抽出DNA試料液を用いて定性リアルタイムPCR法を実施する。
1. DNA抽出精製
1.1. イオン交換樹脂タイプのDNA抽出精製キット法(QIAGEN Genomic-tip)
粉砕試料 0.5 g をポリプロピレン製遠沈管(50 mL 容)に量り採り、イオン交換樹脂タ
イプのDNA 抽出精製キット(QIAGEN Genomic-tip)を用いて以下のように DNA を抽出
精製する。試料に、G2 緩衝液*1 7.5 mL と-Amylase*2 20 μLを加えて、ボルテックスミキ
サー等で激しく混合し、37°Cで 1 時間保温する。さらにG2 緩衝液 7.5 mL、Proteinase K*3
200 μL、および、RNaseA*4 20 μLを加え、サンプルがチューブの底に残らなくなるまで撹
拌し、50 °Cで1 時間保温する。その間、2 ~3 回遠沈管を反転させて試料を転倒混和する。
次いで、5,000 × g、4 °Cで15 分間遠心分離し、得られた上清を2 mLずつ2 mL容チューブ5 本
(計10 mL)に移し*5、20,000 × g、4 °Cで15 分間遠心分離する。あらかじめQBT 緩衝液*1 1
mLで平衡化したQIAGEN Genomic-tip 20/G に、各2 mL 容チューブから上清を1 mLずつ採
取し*5 負荷する(計5 mL)。次いで、チップをQC 緩衝液*1 で2 mLずつ3 回洗浄した後、
チップを新しい遠沈管に移し、あらかじめ50 °Cに加温したQF 緩衝液*1 500 μLを負荷し、
DNAを溶出する(溶出 1)。チップを新しい遠沈管に移し、さらにQF 緩衝液*1 500 μLで
DNAを溶出する(溶出 2)。
次いで、溶出液と等量のイソプロパノールを溶出 1と溶出 2にそれぞれ添加し、ゆっく
り10 回転倒混和した後、5 分間室温で静置する。12,000 × g、4 °Cで15 分間遠心し、上清
を廃棄した後に70 % エタノール500 μLを添加し、10 回転倒混和する。12,000 × g、4 °Cで3
分間遠心した後、上清を破棄し、残った沈殿を適度に乾燥させる。溶出 2 の遠沈管にあら
かじめ60 °Cに加温した滅菌蒸留水50 μL を加えて沈殿物を溶解させ、その溶解液全量を
溶出 1の遠沈管に移し入れ、よく混合し*6、抽出DNA試料液とする。抽出DNA試料液は分
光光度計を用いてDNA濃度測定を行う。
*1 G2緩衝液、QBT緩衝液、QC緩衝液、および、QF緩衝液はキットに付属しているが、足りない場合に
はキットの説明書に従って調製可能である。*2 α-Amylase (高濃度品)はニッポンジーン社製のもの、又は、同等の活性を持つものを用いる。*3 Proteinase Kはキアゲン社製(20 mg/mL)または同等の効力をもつものを用いる。*4 RNaseAはキアゲン社製(100 mg/mL)または同等の効力をもつものを用いる。*5 沈殿物や上層の膜状の部位を取らないように注意する。*6 沈殿物(DNA)が溶解しない場合は、65 °Cで15分間振とう溶解する。それでも完全に溶解できず、
不溶物が認められる場合は、12,000 × g、4 °Cで3 分間遠心して得られた上清を新しい遠沈管に移し、
これを抽出DNA試料液とする。
-
10
1.2. DNA 試料原液中の DNA の純度の確認並びに DNA 試料液の調製と保存
DNA 試料原液の適当量を取り、滅菌蒸留水を用いて適宜希釈し*1、200~320 nm の範囲
で紫外部吸収スペクトルを測定し、260 および 280 nm の吸光度(A260 および A280*2)を記
録する。次いで A260 の値 1 を 50 ng/L DNA として DNA 濃度を算出する。また A260/A280
を計算する。この比が 1.7~2.0 になれば、DNA が十分に精製されていることを示す*3。得
られた DNA 濃度から、滅菌蒸留水で DNA 試料原液を 50 ng/L に希釈して調製し、DNA
試料液とする。DNA 試料液は 15 L ごとにマイクロ遠沈管に分注し、-20°C 以下で冷凍保
存する。分注した DNA 試料液は、融解後直ちに使用し、残った溶液は再度保存せず廃棄
する。なお、DNA 試料原液の濃度が PCR で規定された濃度に達しないときは、そのまま
DNA 試料液として用いる。
*1 希釈倍率は、吸光度測定装置により適切な測定に要する液量および濃度域が異なるため、適宜とする。*2 A260が DNA 由来の吸光度、A280がタンパク質等不純物由来の吸光度と考える。*3 A260/A280の比が1.7~2.0の範囲外であっても精製等の更なる操作は要さない。
2. 定性リアルタイムPCR法(ABI PRISMTM 7900または7500)
FP967の検出はFP967検知用のプライマー、プローブを用いたリアルタイムPCRと亜麻陽
性対照用のプライマー、プローブを用いたリアルタイムPCRの2 試験を行い判定する。
FP967検知用として、NOSターミネーターとスペクチノマイシン耐性遺伝子の境界領域を
検知するプライマー、プローブを用いる。また、亜麻陽性対照用としてstearoyl-acyl carrier
protein desaturase 2(SAD)遺伝子配列を検知するプライマー、プローブを用いる。各プラ
イマー、プローブは滅菌蒸留水に溶解する。プライマー対、プローブの塩基配列は以下の
とおりである。
FP967検知用プライマー対、プローブ
NOST-Spec F: 5’- AGC GCG CAA ACT AGG ATA AA-3’
NOST-Spec R: 5’- ACC TTC CGG CTC GAT GTC TA-3’
NOST-Spec probe: 5’-FAM- CGC GCG CGG TGT CAT CTA TG-BHQ1-3’
亜麻陽性対照用プライマー対、プローブ
SAD F: 5’- GCT CAA CCC AGT CAC CAC CT -3’
SAD R: 5’- TGC GAG GAG ATC TGG AGG AG -3’
SAD probe: 5’-FAM- TGT TGA GGG AGC GTG TTG AAG GGA-BHQ1-3’
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2.1. PCR用反応液の調製
PCR用反応液は25 μL/well として調製する。組成は以下のとおりである。Universal PCR
Master Mix*1 12.5 μL、対象プライマー対溶液(各プライマー、50 μmol/L)各 0.4 μL、対
象プローブ溶液(10 μmol/L)0.25 μLを混合し、滅菌蒸留水で全量 22.5 μL に調製後、
50 ng/μL DNA試料液 2.5 μL(125 ng)を添加する。PCRのブランク反応液として、必ずDNA
試料液を加えないものについても同時に調製する*2。分注操作終了後、真上からシール*3 し、
完全にウェルを密閉する。このとき、しわが寄らないよう注意し、専用のシーリング用ア
プリケーターを用いて行う。最後にウェルの底を観察し、底に気泡がある場合は、プレー
トの縁を軽く叩いて気泡を抜いておく。プレートの確認後、MicroAmp Optical Cover
Compression Pad*4 を茶色の面が上になるよう、プレートの上面にセットする。各DNA試料
液あたりFP967検知用リアルタイムPCRと亜麻陽性対照用リアルタイムPCRをそれぞれ
2 ウェル並行して行うものとする。
*1 Universal PCR Master Mix
本試薬は粘性が高いため、混合操作を行う際には、混合が確実に行われるように注意する。不十分な
場合には、PCR がうまくいかない場合がある。使う直前には必ずボルテックスミキサーを用いて3 秒程
度混合した後、軽く遠心し、溶液を試料管の底に集めておいてから使用する。また、ウェルに分注する
際は、以後撹拌、遠心が困難なことを考慮し、ウェルの底に確実に入れる。*2 Non-Template Control(NTC)
DNA 試料液の添加の際、NTC にはDNA 試料液の代わりに水をウェルに2.5 μL 添加する。*3 96 ウェルプレート、シール、および、シーリングアプリケーター
MicroAmp Optical 96-Well Reaction Plate、およびABI PRISM Optical Adhesive Cover(Life Technologies
社)を使用する。シーリングの詳細については製品�