固液平衡 -...

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新潟大学晶析工学研究室 1 固液平衡 ( 令和2(2020) 年4 月 9 日改訂) 1.相平衡 外部より系に熱量 dq [J]と仕事 dw [J]が与えられる場合、熱力学第一法則より、系の内部エネルギーの 微小変化量 dU [J]は、次式で表される。 d d d U q w (1.1) 一定の圧力 p [Pa]において、系が外部に対して dw だけ仕事して系の体積が dV [m 3 ]だけ増大した場合、 上式は次式のようになる。 d d d U q pV (1.2) pV の全微分は、次式のようになる。 d( ) d d pV pV Vp (1.3) 定圧条件下の場合、上式は次式となる。 d( ) d pV pV (1.4) 上式を式(1.2)に代入して pdV を消去すると、エンタルピー(enthalpy)H J の定義式を得る。 d d d( ) U q pV (1.5) d d q H (1.6) H U pV (1.7) 熱力学第二法則より、エントロピー(entropy)の微小変化量 dS J/K は、次式で表される。 d d q S T (1.8) (1.6)を上式に代入して dq を消去し、エンタルピーの定義式を用いると、次式のようになる。 d( ) d U pV S T (1.9) d d 0 H TS (1.10) TS の全微分は、次式のようになる。 d( ) d d TS TS ST (1.11) 定温条件下の場合、上式は次式となる。 d( ) d TS TS (1.12) 上式を式(1.10)に代入して TdS を消去すると、 ギブズ自由エネルギー(Gibbs free energy)G J の定義式を得 る。 d d( ) 0 H TS (1.13) d 0 G (1.14) G H TS (1.15) ギブズ自由エネルギーG は、エンタルピーH から熱力学第二法則のために系外へ散逸するエネルギーTS を差し引いた分に相当する。残りのエネルギーは、仕事として利用することができる。 (1.14)より、系の自発的変化が起こる条件ならびに相平衡(phase equillibrium)が成り立つ条件は、定温お

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Page 1: 固液平衡 - 新潟大学crystallization.eng.niigata-u.ac.jp/solid-liquid...新潟大学晶析工学研究室 4 3.融液系の固液平衡 3.1 van’t Hoff の式 融液が充填された管型容器を冷凍機中へゆっくりと降下させると、容器底部より固体が析出する。固

新潟大学晶析工学研究室

1

固液平衡

(令和 2(2020)年 4 月 9日改訂)

1.相平衡

外部より系に熱量 dq [J]と仕事 dw [J]が与えられる場合、熱力学第一法則より、系の内部エネルギーの

微小変化量 dU [J]は、次式で表される。 d d dU q w …(1.1)

一定の圧力 p [Pa]において、系が外部に対して dw だけ仕事して系の体積が dV [m3]だけ増大した場合、

上式は次式のようになる。

d d dU q p V …(1.2)

pV の全微分は、次式のようになる。 d( ) d dpV p V V p …(1.3)

定圧条件下の場合、上式は次式となる。 d( ) dpV p V …(1.4)

上式を式(1.2)に代入して pdV を消去すると、エンタルピー(enthalpy)H J の定義式を得る。

d d d( )U q pV …(1.5)

d dq H …(1.6) H U pV …(1.7)

熱力学第二法則より、エントロピー(entropy)の微小変化量 dS J/K は、次式で表される。

dd qST

…(1.8)

式(1.6)を上式に代入して dq を消去し、エンタルピーの定義式を用いると、次式のようになる。

d( )d U pVS

T …(1.9)

d d 0H T S …(1.10)

TS の全微分は、次式のようになる。 d( ) d dTS T S S T …(1.11)

定温条件下の場合、上式は次式となる。 d( ) dTS T S …(1.12)

上式を式(1.10)に代入して TdS を消去すると、ギブズ自由エネルギー(Gibbs free energy)G J の定義式を得

る。

d d( ) 0H TS …(1.13)

d 0G …(1.14) G H TS …(1.15)

ギブズ自由エネルギーG は、エンタルピーH から熱力学第二法則のために系外へ散逸するエネルギーTS

を差し引いた分に相当する。残りのエネルギーは、仕事として利用することができる。

式(1.14)より、系の自発的変化が起こる条件ならびに相平衡(phase equillibrium)が成り立つ条件は、定温お

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よび定圧条件下において次式で表される。

系の自発的変化 d 0G …(1.16)

相平衡条件 d 0G …(1.17)

2.化学ポテンシャル

純物質の化学ポテンシャル(chemical potential)μ [J/mol]は、1 モルあたりのギブズ自由エネルギーで定義

される。

Gn …(2.1)

ただし、n は物質量[mol]。

ギブズ自由エネルギーの微小変化量 dG は、式(2.1.1.15)とエンタルピーの定義式を用いて次式で表される。 d d( )G U pV TS …(2.2) d d d d d dG U p V V p S T T S …(2.3)

系の内部エネルギーの微小変化量 dU は、熱力学第一法則の式(2.1.1.1)および式(2.1.1.2)と第二法則の式

(2.1.1.8)を結合した次式で表される。

d d dU T S p V …(2.4)

上式を式(2.1.1.20)に代入して dU を消去すると、次式のようになる。 d ( d d ) d d d dG T S p V p V V p S T T S …(2.5) d d dG V p S T …(2.6)

上式において圧力一定のとき、次式が導かれる。

d dG S T …(2.7)

上式を 1 モルあたりに書き換えると、化学ポテンシャルの定義式を用いて次式のようになる。

md dS T …(2.8)

ただし、Smはモルエントロピー[J/(mol・K)]。

式(2.6)において温度一定のとき、次式が導かれる。 pVG dd …(2.9)

理想気体の状態方程式は、次式で与えられる。 nRTpV …(2.10)

ただし、R は気体定数[J/(mol・K)]。

上式を V について整理したものを式(2.9)に代入すると、次式のようになる。

dd pG nRTp …(2.11)

d dlnRT p …(2.12)

ここで、式(2.11)から式(2.12)にかけての数式変換 dp/p=dlnp は、y=lnp と置くことで導かれる。 lny p …(2.13)

d 1d

yp p

…(2.14)

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d d lnp pp

…(2.15)

式(2.12)の両辺を積分すると、理想気体の化学ポテンシャル μG [J/mol]を得る。

oG oln pRT

p …(2.16)

ただし、μoは基準状態の化学ポテンシャル[J/mol]。

上式より、純物質の気体の化学ポテンシャル μG0 [J/mol]は、次式で表される。

o 0G0 oln pRT

p …(2.17)

ただし、p0は純物質の気体の圧力[Pa]。

実在気体の場合は、理想気体の状態方程式が成り立たない。そこで、式(2.12)の圧力 p をフガシティーf [Pa]

に置き換えると、フガシティー(fugacity)の基本式を得る。 d dlnRT f …(2.18)

pf …(2.19)

ただし、φ はフガシティー係数[-]であり、理想気体の場合は 1 となる。

純物質が気液平衡状態にあるとき、純物質の液体の化学ポテンシャル μL0 [J/mol]は、純物質の気体の化

学ポテンシャル μG0 に等しい。このとき、式(2.17)を用いて次式が導かれる。

o 0L0 oln pRT

p …(2.20)

溶質が溶媒に溶解して混合物となっている場合、溶質に関する液体の化学ポテンシャル μL [J/mol]は、次

式で表される。

oL oln pRT

p …(2.21)

式(2.20)と式(2.21)を辺々引き算すると、次式を得る。

L L00

ln pRTp

…(2.22)

理想溶液の場合、ラウールの法則(Raoult’s law)が成り立つ。

0xpp …(2.23)

ただし、x は溶質のモル分率[-]。

上式を式(2.22)に代入すると、理想溶液の化学ポテンシャルを得る。 xRTlnL0L …(2.24)

実在溶液の場合、上式の x を活量(activity)a [-]に置き換えると、実在溶液の化学ポテンシャルを得る。 aRTlnL0L …(2.25)

a x …(2.26)

ただし、γ は活量係数(activity coefficient)[-]であり、理想溶液の場合は 1 となる。

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3.融液系の固液平衡

3.1 van’t Hoff の式

融液が充填された管型容器を冷凍機中へゆっくりと降下させると、容器底部より固体が析出する。固

液界面は、十分に撹拌されて平衡状態にあるものとする。

図 3.1.1 融液固化装置(Normal freezing) [文献 1]

このとき、液体、界面、固体の化学ポテンシャル μL、μLS、μS は、それぞれ次式のように表される。 液体: xRTlnL0L …(3.1.1)

界面: *xRTlnL0LS …(3.1.2)

固体: zRTlnS0S …(3.1.3)

ただし、μL0 と μS0 は純物質の化学ポテンシャル[J/mol]、x と z は溶質のモル分率[-](z≒1)、x*はモル基

準の溶解度[-]、R は気体定数[J/(mol・K)]、T は温度[K]。

固液平衡状態のとき、次式のように導かれる。

LS S …(3.1.4)

L0 S0ln * lnRT x RT z …(3.1.5)

S0 L0*ln xz RT

…(3.1.6)

mΔ*ln Gxz RT

m L0 S0[Δ ]G …(3.1.7)

ただし、 Gmは融解モルギブズエネルギー[J/mol]。

Gmについて、次式が成り立つ。

mmm ΔΔΔ STHG …(3.1.8)

ただし、 Hmは融解モルエンタルピー[J/mol]、 Smは融解モルエントロピー[J/(mol・K)]。

上式を式(3.1.7)に代入して Gmを消去すると、次式のようになる。

m mΔ Δ*ln H Sxz RT R

…(3.1.9)

Smについて、定圧条件下かつ平衡状態の場合、次式が成り立つ。

固体

固体

融液

融液

冷凍機

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mm

m

ΔΔ HST

…(3.1.10)

ただし、Tmは融点[K]。

上式を式(3.1.9)に代入すると、理想系での van’t Hoff 式を得る。

m

m

Δ* 1 1ln Hxz R T T

…(3.1.11)

非理想系の場合は、液相と固相の活量係数 γLと γCを用いて次式で表される。

Lm

Cm

Δ* 1 1ln HxR T Tz

…(3.1.12)

上の導出は、平衡温度における相変化過程にのみ着目している。より厳密には、相変化前後での顕熱の

やりとり、すなわち純液体と純固体のモル熱容量差 Cm [J/(mol・K)]を考慮する必要がある。

混合液体中の成分 i のフガシティー Lif は、fi=φp の式を用いて次式のように表される。

Lif =piφi

L= pxiφiL= fi

Lxi …(3.1.13)

ただし、fiLは純液体 i のフガシティー[-]、φi

Lは純液体 i のフガシティー係数[-]、piは混合液体中の成

分 i の分圧[Pa]、xiは混合液体中の成分 i のモル分率[-]。

実在溶液の場合、上式の xiを活量 aiに置換して a=γxの式を用いると、上式は次式のように表される。 L

if = fiLai= fi

LγiLxi …(3.1.14)

ただし、γiLは混合液体中の成分 i の活量係数[-]。

同様にして、混合固体中の成分 i のフガシティー Cif を得る。

Cif = fi

CγiCzi …(3.1.15)

ただし、fiC は純固体 i のフガシティー[-]、γi

C は混合固体中の成分 i の活量係数[-]、ziは混合固体中の

成分 i のモル分率[-]。

固液平衡状態の場合、混合液体および固体中のフガシティーfiは等しいことから、次式のようになる。

Lif = C

if …(3.1.16)

fiLγi

Lxi = fiCγi

Czi …(3.1.17)

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平衡温度 T における純物質 i の液固フガシティー比の導出については、小島の著書[文献 2]が丁寧で分

かり易い。小島の導出方法を以下に紹介する。なお、途中計算の詳細については、別途追記した。

----------------------------------------------

[出典]小島和夫;プロセス設計のための相平衡,培風館(1977),pp.164-166

純固体 i から純液体 i への融解過程について、次の過程Ⅰ~Ⅲをもとに考える。

過程Ⅰ:純固体 i を温度 T から融解温度 Ti

mまで加熱する。

過程Ⅱ:純固体 i を温度 Timで融解させて純液体 i とする。

過程Ⅲ:純液体 i を温度 Timから T まで冷却する。

図 3.1.2 純固体の融解過程[文献 2]

フガシティーの基本式(2.18)を純固体 i から純液体 i まで積分すると、次式のようになる。

L

L C ii i C

iln fRT

f …(3.1.18)

L L C

i i iC

iexpf

RTf …(3.1.19)

上式の(μiL-μi

C)は、過程Ⅰ~Ⅲにおける化学ポテンシャルの変化により次式で表される。

μiL-μi

C = (μiC’-μi

C) + (μiL’-μi

C’) + (μiL-μi

L’) …(3.1.20)

ここで、右辺第1~3項は、それぞれ過程Ⅰ~Ⅲにおける化学ポテンシャルの変化を表す。

式(2.8)をもとに、各過程における化学ポテンシャルの変化は、次式のように表される。

過程Ⅰ:m

iC' C Ci i i d

T

TS T …(3.1.21)

過程Ⅱ: L' C'i i 0 …(3.1.22)

過程Ⅲ:m

i

L L' Li i i d

T

TS T …(3.1.23)

上の3式を式(3.1.20)に代入すると、次式を得る。

純固体i 純液体i

T, Pfi

C, μiC, si

CT, P

fiL, μi

L, siL

Tim, P

fiC’, μi

C’, siC’

Tim, P

fiL’, μi

L’, siL’

過程Ⅰ

過程Ⅱ

過程Ⅲ

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m

iL C L Ci i i i( )d

T

TS S T …(3.1.24)

上式の(SiL-Si

C)は、式(3.1.20)と同様に次式で表される。

SiL-Si

C = (SiC’-Si

C) + (SiL’-Si

C’) + (SiL-Si

L’) …(3.1.25)

各過程におけるモルエントロピーの変化は、次式のように表される。

過程Ⅰ:m

iC

C' C ii i d

T

T

CS S TT

…(3.1.26)

過程Ⅱ:f

L' C' ii i m

i

ΔHS ST

…(3.1.27)

過程Ⅲ:m

i

LL L' ii i d

T

T

CS S TT

…(3.1.28)

ただし、CiC は純固体 i の定圧モル比熱 [J/(mol・K)]、Ci

Lは純液体 i の定圧モル比熱 [J/(mol・K)]、 Hifは

温度 Timにおけるモル融解熱[J/mol]。

上の3式を式(3.1.25)に代入すると、次式を得る。

m

i

L C fL C i i ii i m

i

Δd +T

T

C C HS S TT T

…(3.1.29)

CiLおよび Ci

C を一定とみなして積分すると、次式が導かれる。

f

L C L C ii i i i m m

i i

Δ( ) ln + HTS S C CT T

…(3.1.30)

上式を式(3.1.24)に代入すると、次式のようになる。

m

if

L C L C ii i i i m m

i i

Δ( ) ln + dT

T

HTC C TT T

…(3.1.31)

Timおよび Hi

fを一定とみなして積分すると、次式のように導かれる。

m m m

i i if

L C L C L C m ii i i i i i i m

i

Δ( ) ln d ( )ln d + dT T T

T T T

HC C T T C C T T TT

…(3.1.32)

m m m

i i if

L C L C L C m ii i i i i i i m

i

Δ( ) ln ( )ln +T T TT T T

HC C T T T C C T T TT

…(3.1.33)

mL C L C m m m L C m m f ii i i i i i i i i i i i m

i( ){( ln ) ( ln )} ( )ln ( )+Δ T TC C T T T T T T C C T T T H

T …(3.1.34)

mL C L C m m m m m f ii i i i i i i i i i m

i( ){( ln ) ( ln ) ln ( )}+Δ T TC C T T T T T T T T T H

T …(3.1.35)

m

L C L C m m m m m m f ii i i i i i i i i i i m

i( )( ln ln ln ln )+Δ T TC C T T T T T T T T T T H

T …(3.1.36)

m

L C L C m m f ii i i i i i i m

i( )( ln ln )+Δ T TC C T T T T T T H

T …(3.1.37)

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m

L C m f ii i i i im m

i iΔ ln +Δ T TTC T T T H

T T L C

i i i[Δ ]C C C …(3.1.38)

式(3.1.31)から(3.1.32)にかけての右辺第 1 項における積分計算には、部分積分法を用いた。 { ( ) ( )} ( ) ( ) ( ) ( )f x g x f x g x f x g x …(3.1.39)

( ) ( ) { ( ) ( )} ( ) ( )f x g x f x g x f x g x …(3.1.40)

( ) ( )d ( ) ( ) ( ) ( )db bb

aa af x g x x f x g x f x g x x …(3.1.41)

上式において f(x)=lnx、g(x)=x と置き、変数を x から T に変換する。さらに、積分区間を a=T および b=Tim

とすると、次式のように導かれる。

m mmi iiln d ln (ln ) d

T TTTT T

T T T T T T T …(3.1.42)

m m mi i iln d lnT T T

T TTT T T T T …(3.1.43)

m mi iln d lnT T

TTT T T T T …(3.1.44)

式(3.1.38)を式(3.1.19)に代入して以下のように整理すると、固液平衡の基本式が導かれる。

L m

m fi ii i iC m m

i i i

1exp Δ ln +Δf T TTC T T T HRTf T T

…(3.1.45)

L m f m

i i i i i iC m m

i i i

Δ Δ Δexp ln +f C T T C H T TTR T R RTf T T

…(3.1.46)

L m fi i i i

iC m mi i i

Δ Δexp Δ lnf T T H C TCRT Rf T T

…(3.1.47)

iΔL m f

i i iiC m m

i i i

Δexp Δ ln

CRf T T H TC

RTf T T …(3.1.48)

iΔC m f

i i iiL m m

i i i

Δexp Δ

CRf T T HT C

RTf T T …(3.1.49)

(小島の方法[文献 2]は、以上で終わりである。)

----------------------------------------------

固液モル組成比は、式(3.1.17)より次式で表される。

L Ci i iC Li i i

x fz f

…(3.1.50)

上式に式(3.1.49)を代入すると、実在溶液における固溶体系の固液平衡式を得る。

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iΔL m fi i i i

iC m mi i i i

Δexp Δ

CRx T T HT C

RTz T T …(3.1.51)

活量係数 γiLおよび γi

C を 1 とおくと、理想溶液における固溶体系の固液平衡式を得る。

iΔm f

i i iim m

i i i

Δexp Δ

CRx T T HT C

z RTT T …(3.1.52)

上式より、液体組成 xiが既知のときの固体組成 ziを求めることができる。

上の2式において、 Ci≒0 と近似すると、固溶体系における van’t Hoff の式が導かれる。

0L m fi i i iC m mi i i i

Δexp 0Rx T T HT

RTz T T …(3.1.53)

L f mi i i iC mi i i

Δln x H T TRz TT

…(3.1.54)

L fi i iC mi i i

Δ 1 1ln x HR Tz T

…(3.1.55)

理想溶液の場合は、次式となる。

f

i im

i i

Δ 1 1ln x Hz R T T

…(3.1.56)

単純共晶系の場合は、固相が純固体として得られる。実在溶液における固溶体系の固液平衡式に zi=1

と γiC=1 をそれぞれ代入すると、実在溶液における単純共晶系の固液平衡式を得る。

iΔm f

L i ii i im m

i i

Δexp Δ

CR T T HTx C

RTT T …(3.1.57)

上式で γiL=1 と置おくと、理想溶液における単純共晶系の固液平衡式を得る。

iΔm f

i ii im m

i i

Δexp Δ

CR T T HTx C

RTT T …(3.1.58)

上の2式において、 Ci≒0 と近似すると、単純共晶系における van’t Hoff の式が導かれる。

0m f

i ii m m

i i

Δexp 0R T T HTx

RTT T …(3.1.59)

f mi i

i mi

Δln H T TxR TT

…(3.1.60)

fi

i mi

Δ 1 1ln HxR T T

…(3.1.61)

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理想溶液の場合は、次式となる。

f

L ii i m

i

Δ 1 1ln HxR T T

…(3.1.62)

3.2 固液平衡計算[文献 3]

固溶体系の場合について、アセナフテン-アントラセン系の 101.3 kPa における平衡計算を行う。計算

にあたっては理想溶液を仮定し、下表の物性値を用いる。

表 3.2.1 アセナフテンとアントラセンの物性値 [文献 3]小島和夫;化学技術者のための熱力学 改訂版,培風館(1996),p.255 例題 10・6 を参考に作成

成分名 融点 Tm [K]

モル融解熱 Hm [J/mol]

固液相間のモル熱容量差 Cm [J/(mol・K)]

アセナフテン(成分 1) 368.15 20710.8 0 アントラセン(成分 2) 489.19 28827.8 0

理想溶液における固溶体系の固液平衡式は、次式で表される。

m mm

m m

Δ* exp Δ

CR T T Hx T C

z T RT T …(3.2.1)

上式にアセナフテン(成分 1)の物性値を代入すると、次式のようになる。

08.3141

1

368.15 20710.8exp 0368.15 8.314 368.15

x T Tz T

…(3.2.2)

1

1

368.15exp 6.766x Tz T

…(3.2.3)

同様にして、アントラセン(成分 2) の物性値を代入すると、次式のようになる。

08.3142

2

489.19 28827.8exp 0489.19 8.314 489.19

x T Tz T

…(3.2.4)

2

2

489.19exp 7.088x Tz T

…(3.2.5)

液相側の平衡組成 x1と x2の和は 1 であることから、式(3.2.3)と式(3.2.5)を用いて次式が導かれる。

1 2368.15 489.19exp 6.766 exp 7.088 1T Tz zT T

…(3.2.6)

固相側の平衡組成 z1と z2の和は 1 であることから、z2を消去して整理すると、固相線(solidus line)を得る。

1 1368.15 489.19exp 6.766 exp 7.088 (1 ) 1T Tz zT T

…(3.2.7)

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11

1368.15 489.19 489.19exp 6.766 exp 7.088 1 exp 7.088T T TzT T T

…(3.2.8)

1

489.191 exp 7.088

368.15 489.19exp 6.766 exp 7.088

TT

zT T

T T

…(3.2.9)

1

489.19 489.191 exp 7.088 exp 7.088

368.15 489.19 489.19exp 6.766 exp 7.088 exp 7.088

T TT T

zT T T

T T T

…(3.2.10)

1

489.19exp 7.088 1

368.15 489.19exp 6.766 7.088 1

TT

zT T

T T

…(3.2.11)

1

489.19exp 7.088 1 1

368.15 489.19exp 6.766 1 7.088 1 1

Tz

T T

…(3.2.12)

1

(7.088)(489.19)exp 7.088 1

(6.766)(368.15) (7.088)(489.19)exp (6.766 7.088) 1

Tz

T T

…(3.2.13)

1

3467.4exp 7.088 1

976.48exp 0.322 1

Tz

T

…(3.2.14)

液相線(liquidus line)の導出について、固相側の平衡組成 z1 と z2の和は 1 であることから、式(3.2.3)と式

(3.2.5)を用いて次式が導かれる。

1 2368.15 489.19exp 6.766 exp 7.088 1T Tx xT T

…(3.2.15)

液相側の平衡組成 x1と x2の和は 1 であることから、x2 を消去して整理すると、液相線を得る。

1 1368.15 489.19exp 6.766 exp 7.088 (1 ) 1T Tx xT T

…(3.2.16)

1368.15 489.19 489.19exp 6.766 exp 7.088 1 exp 7.088T T TxT T T

…(3.2.17)

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1

489.191 exp 7.088

368.15 489.19exp 6.766 exp 7.088

TT

xT T

T T

…(3.2.18)

1

489.19 489.191 exp 7.088 exp 7.088

368.15 489.19 489.19exp 6.766 exp 7.088 exp 7.088

T TT T

xT T T

T T T

…(3.2.19)

1

489.19exp 7.088 1

368.15 489.19exp 6.766 7.088 1

TT

xT T

T T

…(3.2.20)

1

489.19exp 7.088 1 1

368.15 489.19exp 6.766 1 7.088 1 1

Tx

T T

…(3.2.21)

1

(7.088)(489.19)exp 7.088 1

(6.766)(368.15) (7.088)(489.19)exp ( 6.766 7.088) 1

Tx

T T

…(3.2.22)

1

3467.4exp 7.088 1

976.48exp 0.322 1

Tx

T

…(3.2.23)

固相線の式(3.2.14)と液相線の式(3.2.23)を用いると、任意の温度 T におけるアセナフテン(成分 1)の固液

平衡組成(x1, z1)を計算することができる。また、固溶体系の相図が描かれる。

次に、単純共晶系の場合について、o-キシレン-m-キシレン系の 101.3 kPa における固液平衡計算を行

う。計算にあたっては理想溶液を仮定し、下表の物性値を用いる。

表 3.2.2 o-キシレンと m-キシレンの物性値

[文献 3]小島和夫;化学技術者のための熱力学 改訂版,培風館(1996),p.256 例題 10・7 を参考に作成

成分名 融点 Tm [K]

モル融解熱 Hm [J/mol]

固液相間のモル熱容量差 Cm [J/(mol・K)]

o-キシレン(成分 1) 247.41 13598 24.941 m-キシレン(成分 2) 224.15 11568.8 24.941

理想溶液における単純共晶系の固液平衡式は、次式で表される。

iΔm f

i ii im m

i i

Δexp Δ

CR T T HTx C

RTT T …(3.2.24)

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上式に o-キシレン(成分 1)の物性値を代入すると、次式のようになる。

24.9418.314

1247.41 13598exp 24.941

247.41 8.314 247.41T Tx

T …(3.2.25)

3

1247.41exp 3.611

247.41T Tx

T …(3.2.26)

同様にして、m-キシレン(成分 2)の物性値を代入すると、次式のようになる。

24.9418.314

2224.15 11568.8exp 24.941

224.15 8.314 224.15T Tx

T …(3.2.27)

3

2224.15exp 3.208

224.15T Tx

T …(3.2.28)

共晶点(eutectic point, ユーテクティック・ポイント)における温度と組成を求める。液相側の平衡組成 x1

と x2の和は 1 であることから、式(3.2.26)と式(3.2.28)を用いて次式が導かれる。

3 3247.41 224.15exp 3.611 exp 3.208 1

247.41 224.15T T T T

T T …(3.2.29)

試行錯誤法(エクセルソフトのソルバー機能)を用いると、共晶温度の数値解 Te=210.5 K を得る。これを

式(3.2.26)に代入すると、共晶組成 x1=0.327 を得る。

o-キシレン(成分 1)の融点 Tm=247.41 K から共晶温度 Te=210.5 K の範囲における固相線は、次式となる。

1 1z …(3.2.30)

液相線は、式(3.2.26)で与えられる。次式のように変形しておく。 3

1247.41exp 3.611

247.41T Tx

T …(3.2.26)

3

1(3.611)(247.41)exp 3.611

247.41Tx

T …(3.2.31)

3

1893.40exp 3.611

247.41Tx

T …(3.2.32)

m-キシレン(成分 2)の融点 Tm=224.15 K から共晶温度 Te=210.5 K の範囲における固相線は、次式となる。

1 0z …(3.2.33)

液相側の平衡組成 x1と x2の和は 1 であることから、式(3.2.28)を用いて液相線を得る。

3

1224.15exp 3.208 1

224.15T Tx

T …(3.2.34)

3

1(3.208)(224.15)1 exp 3.208

224.15Tx

T …(3.2.35)

3

1719.071 exp 3.208

224.15Tx

T …(3.2.36)

固相線の式(3.2.30)、式(3.2.33)と液相線の式(3.2.32)、式(3.2.36)を用いると、任意の温度 T における o-キ

シレン(成分 1)の固液平衡組成(x1, z1)を計算することができる。また、単純共晶系の相図が描かれる。

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Molar fraction of acenaphthene [-]0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

Tem

pera

ture

[°C]

50

100

150

200

250

A B

TmA

TmB

L

L+S

S

Liquidus lineSolidus line

Molar fraction of o-xylene [-]0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

Tem

pera

ture

[°C]

-80

-70

-60

-50

-40

-30

-20

A B

TmA

TmB

L

SA+L

E

SB+L

SA+SB

Liquidu

s line

Solidus line

Liquidus line

(左)図 3.2.1 固溶体系相図(アセナフテン-アントラセン系)

(右)図 3.2.2 単純共晶系相図(o-キシレン-m-キシレン系)

3.3 固液平衡相図の読み方

①単純共晶系相図(2成分系) この系で析出する固体は、純粋な A(SA)、純粋な B(SB)、純粋な A と B

の固体混合物(SA+SB)のいずれかである。純粋成分の固体混合物を共晶という。もし固体が粒状であるな

らば、粒子のひと粒ひと粒が、A または B のいずれかの成分のみからなる。X 軸の値は、成分 B の組成

を表す。成分 A の組成は、読み取った B の組成を1から引いた値となる。Y 軸の TmAと Tm

Bは、それぞ

れ純粋 A と B の融点を表す。このことは、X=0 のとき A の組成が 100%、X=1.0 のとき B の組成が 100%

であることから理解される。図中の L は液相、S は固相を表す。A と B の混合液体の状態にある点 X(-

25℃、A20%・B80%)から冷却していくと、点 C を越えた辺りで固体 B が出現する。このときの固体 B

の組成は点 Zc で示され、B100%が得られる。さらに点 M(-50℃)へ向かって冷却してゆくと、液体組成

は液相線に沿って点 C→Y’→Y の順に推移し、それと同時に固体組成は点 Zc→Z’→Z の順に推移する。

点 M(-50℃)の時点で、液体 Y(A50%・B50%)と固体 Z(B100%)が共存した状態となる。なお、固体 B100%

は、あくまで理想的な条件の下で固体が析出した場合の値である。工業的には、固体中に不純物や母液

が取り込まれるため、純度 100%にはならない。点 E を共晶点(eutectic point, ユーテクティック・ポイン

ト)という。この点では、固体 A、固体 B、A と B の混合液体の3相が共存する。共晶点以降は、固体 A

と固体 B が同時に析出する。また、共晶点の真上から温度を下げていった場合に限り、固相(SA+SB)へ直

に到達する。

共晶点の自由度(degree of freedom)F について考える。ある系の平衡条件を成分の数 C と相の数 P で規

定したものを相律(phase rule)といい、次式で表される。

2F C P …(3.3.1)

図に示されたの相図の場合、成分数 C は2、相の数 P は3であることから、いったんは自由度 F=2-3

+2=1 と求められる。しかし、温度と組成の二次元で表されたこの相図は、もとの温度-組成-圧力の

三次元相図から圧力一定の下で平面上に切り出されたものであることから、その時点で自由度を一つ失

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15

っている。したがって、この場合の自由度 F は 0 となる。このことから、共晶点は、温度・圧力・組成

の各条件に依存しない固有の値であることが分かる。

点 X の原料液体 F [mol](成分 B のモル分率 xF=0.8)を冷却して点 M に達したときの固液混合物 M

[mol](xM=0.8)を得たときの物質収支式は、次式で表される。

全物質収支: F M …(3.3.2) B成分収支: F MFx Mx …(3.3.3)

固液混合物 M は、点 Y の液体 L [mol](xL=0.5)と点 Z の固体 S [mol](xZ=1.0)よりなることから、次の収支

式が成り立つ。

全物質収支: M L S …(3.3.4) B成分収支: M L ZMx Lx Sx …(3.3.5)

M を定数とみなして連立方程式を解くと、液体モル L [mol]と固体モル S [mol]を得る。

Z M

Z L

x xL Mx x

…(3.3.6)

M L

Z L

x xS Mx x

…(3.3.7)

上の2式より M を消去すると、次式が導かれる。 M L Z M( ) ( )L x x S x x …(3.3.8)

これら3式を、てこの原理(lever rule)という。(最後の式が覚えやすい。うでの長さ(線分の長さ)と重さ(モ

ル)の積で表されている。) いま点 X で与えられる原料液体が 100 mol のとき、液体モル L [mol]と固体モ

ル S [mol]は、それぞれ次式のようにして求められる。 100molM F …(3.3.9)

Z M

Z L

1.0 0.8100 40mol1.0 0.5

x xL Mx x

…(3.3.10)

100 40 60molS M L …(3.3.11)

②固溶体系相図(2成分系) この系で析出する固体は、成分AとBが混ざり合った固体化合物(S)である。

これを固溶体(solid solution)という。もし固体が粒状であるならば、粒子のひと粒ひと粒が、A と B の両

方を含んでいる。A と B の混合液体からなる点 X(230℃、A32%・B68%)から冷却していくと、点 C を越

えた辺りで固体 Zc が出現する。さらに点 M1(140℃)へ向かって冷却してゆくと、液体組成は液相線に沿

って点 C から点 Y1 へ推移し、固体組成は点 Zc から点 Z1 へ推移する。点 M1 の時点で、X よりも B に

富む液体 Y1 とA に富む固体 Z1 が共存した状態となる。固液分離した液体Y1 を点 M2 まで冷却すると、

Y1 よりも B に富む液体 Y2(A4%・B96%)が得られる。同じ2回の再結晶操作であれば、点 M1 と M2 を

もっと低温まで冷却した方が、より高純度の B が得られる。しかしその反面、冷却を進めると同時に固

体が析出して液体の量が減少するので、液体側 B の収量が減少する。かといってあまり冷却しないとな

ると、所定純度の B を含む液体が得られるまでに必要となる再結晶の回数が増大する。一方、分離後の

固体 Z1 や Z2 にもまだ原料の成分が含まれている。そこで、これらの固体に含まれる A を固体側へ、B

を液体側へ濃縮することで、さらに分離を進める。たとえば固体 Z1 の場合、最初の温度である点 X’ま

で加熱融解した後、点 M’まで冷却することで、固体 Z1 よりも A に富む固体 Z’と B に富む液体 Y’が得

られる。固体 Z’に対してもう一度同じ操作を繰り返すと、さらに分離が進んだ固体 Z’’(A94%・B6%)と

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16

液体 Y’’が得られる。こうして最終的には、固溶体中の成分 A と B をほぼ完全に分離することができる。

(分離段が細かくなるので、有限の分離回数では純度 100%にはならない。)

(左)図 3.3.1 単純共晶系相図の読み方(o-キシレン-m-キシレン系)

(右)図 3.3.2 固溶体系相図の読み方(アセナフテン-アントラセン系)

4.溶液系の固液平衡

4.1 溶解度の温度依存性

所定量の溶媒または溶液に最大限溶解する溶質量を溶解度(solubility)という。溶解度の単位には、溶媒

基準[kg-溶質/kg-溶媒]、溶液基準[kg-溶質/kg-溶液]、モル分率あるいは質量分率[-]がある。単位中の分

母は、質量基準に加えて、体積基準もよく用いられる。溶解度の温度依存性を図上で表したものを溶解

度曲線(solubility curve)という。多くの場合、温度上昇に伴い溶解度は増大するが、硫酸ナトリウム無水

塩のように例外もある。

無機塩や有機物の溶液系におけるモル分率基準溶解度 x*は、van’t Hoff の式をもとに次式で表される。

d1 1

1 22 2

Δ 1 1ln HxR T Tx

…(4.1.1)

ただし、γ1 および γ2は温度 T1および T2 における活量係数[-]、x1*および x2*は温度 T1 および T2におけ

るモル分率基準の溶解度[-]、 Hdは溶解モルエンタルピー[J/mol]。

比較的狭い温度範囲では、近似的に理想溶液条件が成り立つと見なせることから、上式は次式のように

書き換えられる。

d1

1 22

Δ 1 1ln HxR T Tx

…(4.1.2)

上式において、基準温度 T2 とそれに対応する溶解度 x2*を既知の定数とみなし、T1 と x1

*をそれぞれ変数

T と x*に置き換えると、上式は次式のように書き換えられる。

Molar fraction of o-xylene [-]0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

Tem

pera

ture

[°C]

-80

-70

-60

-50

-40

-30

-20

A B

TmA

TmB

L

SA+L

E

SB+L

SA+SB

Solidus line

Liquidus line

MYZ

(0.8−0.5) (1.0−0.8)

Z’Y’Zc

Molar fraction of acenaphthene [-]0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

Tem

pera

ture

[°C]

50

100

150

200

250

A B

TmA

TmB

L

L+S

S

Liquidus line

Solidus line

Y1

M1

M2

C

Y1

Y2

Zc

Z1

Z2

X’

M’M’’

Y’Z’

X’’

Z’’Y’’

0.960.06

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17

d d2

2

Δ Δ1 1ln ln H Hx xR T R T

…(4.1.3)

dΔ 1ln Hx AR T

…(4.1.4)

d2

2

Δ 1ln HA xR T

…(4.1.5)

lnx*を 1/T に対して点綴することで(van’t Hoff プロット)、傾きより溶解モルエンタルピー Hdを、切片よ

り定数 A をそれぞれ求めることができる。

van’t Hoff 式の他、たとえば次の実験式が知られている。 [文献 4] 2*m a bT cT …(4.1.6)

* lnbx a c TT

…(4.1.7)

ただし、m*は質量基準の飽和モル濃度[mol/kg]、a, b, c は定数[-]。

図 4.1.1 溶解度曲線と van’t Hoff プロットの例

4.2 電解質水溶液の溶解度[文献 5]

炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの難溶性塩に代表される希薄な電解質水溶液の溶解度は、溶解度

積(solubility product)を用いて表される。化学式 AxByで表される難溶性塩の溶解平衡を考える。

x yA B A Bz zx y …(4.2.1)

難溶性塩 AxByの溶解度が C*のとき、A および B のイオン種の飽和濃度は、それぞれ次式で表される。

C+*=xC* …(4.2.2)

C-*=yC* …(4.2.3)

このときの溶解度積 Ksp と溶解度 C*は、それぞれ次式で表される。

Temperature [°C]0 10 20 30 40 50 60 70 80

Solu

bilit

y [g

-unh

ydro

us sa

lt/10

0 g-

wat

er]

0

10

20

30

40

50

60

70

80

KNO 3

AlK(SO 4) 2

CuSO 4NaCl

Na2SO4

Na2S

O 4 10H

2O

1/T [K-1]

0.0027 0.0030 0.0033 0.0036

lnC

* [g

/100

g-w

ater

]

1

2

3

4

5

6

KNO3

AlK(SO4 )2

CuSO4

NaCl

Na2 SO

4

Na2SO4 10H2O

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18

Ksp=(C+*)x(C-*)y=xxyy(C*)x+y …(4.2.4)

1

sp*x y

x y

KC

x y …(4.2.5)

濃厚な電解質水溶液の場合は、非理想溶液として扱う。式(4.2.4)において、濃度 C の代わりに活量 a を

用いると、活量積 Ksp,a は次式のように導かれる。

Ksp,a=(a+*)x(a-*)y=(γ+*C+*)x(γ-*C-*)y= (γ±*)x+y Ksp …(4.2.6)

ただし、γ±*は平均活量係数[-]。

式(4.2.5)を用いると、濃厚な電解質水溶液の溶解度 C*は次式のように導かれる。

Ksp,a=(γ±*)x+y [xxyy(C*)x+y] …(4.2.7) 1

sp,a*x y

x y

KC

x y …(4.2.8)

平均イオン活量係数 γ±*の推算式について、希薄な単一電解質系水溶液で成り立つ Debye-Hückel の式

が有名である。

log1A z z I

Ba I …(4.2.9)

2

i i12

N

i

I m z …(4.2.10)

ただし、A と B は定数、a はイオンサイズパラメーター[cm]、miはイオン種 i の質量モル濃度[kg/mol]、z

+と z-は陽イオンと陰イオンの電荷数、I はイオン強度。

十分に希薄な溶液では 1Ba I で成り立つことから、式(4.2.9)より Debye-Hückel の極限則が導かれる。

log A z z I …(4.2.11)

活量係数の推算式には、上記のほか、Debye-Hückel 式を濃厚な単一電解質系水溶液系に拡張した

Pitzer-Debye-Hückel 式[文献 6]、Pitzer-Debye-Hückel 式にイオン種や分子種の相互作用項を含む

NRTL(Non-Random Two Liquid)式を加えた Chen らの電解質 NRTL 式[文献 7]、Chen らの電解質 NRTL 式

を修正して多成分系の電解質水溶液における平均イオン活量係数を推算できるようにした前田・倉持ら

の修正電解質 NRTL 式などがある。[文献 8-10]

4.3 溶解度の粒径依存性[文献 11]

結晶核を球と仮定するとき、均一核発生前後における系の自由エネルギー変化 G [J]は、表面自由エネ

ルギーと体積自由エネルギーの和で表される。

2 3V

4Δ 4 Δ3

G πr πr G …(4.3.1)

ただし、r は結晶核の半径[m]、γ は界面張力[J/m2]、 GV は体積自由エネルギー[J/m3]。

上式を r で微分すると、次式のように導かれる。

2V

d(Δ ) 8 4 Δd

G πr πr Gr

…(4.3.2)

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液相と固相の化学ポテンシャル差 μ [J/mol]を用いると、 GVは次式で表される。

VA

ΔΔG

N …(4.3.3)

Δ lnRT S …(4.3.4)

ただし、 は分子体積[m3/#]、NAはアボガドロ数[#/mol]、R は気体定数[J/(K・mol)]、S は過飽和度[-]、T

は温度[K]。

上式を式(4.3.3)に代入する。過飽和状態(S>1)のとき、次式のように導かれる。

VA

lnΔ RT SGN

…(4.3.5)

VA

Δ ln*

RT CGN C

…(4.3.6)

上式を式 (4.3.2)に代入して得られる式を 0 と置いて整理すると、溶解度の粒径依存性を表す

Gibbs-Thomson の式を得る。

2

A8 4 ln 0

*RT Cπr πrN C

…(4.3.7)

A

2 ln 0*

RTr CN C

…(4.3.8)

A2ln*

NCC RTr

…(4.3.9)

c

2ln*

C MC RT r

…(4.3.10)

Ac

MN …(4.3.11)

ただし、M はモル質量[kg/mol]、ρc は固体密度[kg/m3]。

難溶性塩の希薄な電解質水溶液の場合、式(4.3.10)はイオン積(ion product)IP と溶解度積 Ksp を用いて次

式で表される。

sp c

2ln IP MK RT r

…(4.3.12)

難溶性塩 AxByの溶解平衡式において、水溶液中における AxByの濃度が C [mol/m3]のとき、A および B

のイオン濃度 C+および C-[mol/m3]は、それぞれ次式で表される。

C+=xC …(4.3.13)

C-=yC …(4.3.14)

このときのイオン濃度積 IP は、次式で表される。

IP=(C+)x(C-)y=xxyyCx+y= xxyyCν …(4.3.15)

ν=x+y …(4.3.16)

溶解度積の式(4.2.3.4)についても同様にすると、次式が導かれる。

Ksp=(C+*)x(C-*)y=xxyy(C*)x+y= xxyy(C*)ν …(4.3.17)

式(4.3.15)と上式の比をとると、次式が導かれる。

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sp *IP CK C

[ν≡x+y] …(4.3.18)

上式を式(4.3.12)に代入して左辺を消去すると、難溶性塩系における Gibbs-Thomson の式が導かれる。

c

2ln*

C MC RT r

…(4.3.19)

易溶性塩の塩化カリウム(γ=25 mJ/m2)と難溶性塩の硫酸バリウム(γ=130 mJ/m2)に対する計算例を以下

に示す。塩化カリウムについては式(4.3.10)を、硫酸バリウムについては式(4.3.19)を用いた。通常の溶解

度では、相対濃度比 C/C*が 1 となる。いずれも粒径がナノオーダーになると、溶解度が急激に増大する。

その傾向は、難溶性塩において顕著となる。

Particle radius, r [ m]

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

Rela

tive c

once

ntra

tion,

C/C

* [-]

0.95

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

1.25

KCl ( =0.025 J/m2)

BaSO4 ( =0.130 J/m2)

298 K

図 4.2.4.1 溶解度の粒径依存性[文献 12]

5.理論結晶収量[文献 13,14]

回分晶析操作の初期と最終における水溶液中の溶質濃度を C1および C2 [kg-anhydrous/kg-solvent]、水溶

媒量を W1 および W2 [kg-solvent]とする。製品結晶が無水物であるとき、水および溶質の物質収支はそれ

ぞれ次式で表される。 (溶媒収支) 1 2 1W W W V …(5.1) (溶質収支) 1 1 2 2 anhydW C W C Y …(5.2)

ただし、V は初期の溶媒量に対する蒸発量比[kg-solvent/kg-initial solvent]、Yanhyd は無水物の理論結晶収量

[kg- anhydrous]。

式(5.1)を式(5.2)に代入して最終の溶媒量 W2 を消去すると、回分蒸発晶析における無水物の理論結晶収量

Yanhyd が導かれる。

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1 1 1 1 2 anhyd( )W C W W V C Y …(5.3)

anhyd 1 1 2 2( )Y W C C VC …(5.4)

anhyd 1 1 2[ (1 )]Y W C C V …(5.5)

蒸発法以外の回分晶析操作の場合は、上式において蒸発量比 V を 0 と置くことで導かれる。

anhyd 1 1 2( )Y W C C …(5.6)

製品結晶が水和物であるとき、溶媒および溶質の物質収支は、無水物に対する水和物のモル質量比 R [-]

を用いてそれぞれ次式で表される。

1 2 1 hyd1RW W W V Y

R …(5.7)

hyd

1 1 2 2Y

W C W CR

…(5.8)

ただし、Yhyd は水和物の理論結晶収量[kg- hydrous]。

ここで、式(5.7)の右辺第 3 項の物理的意味は、次式のように変形することで理解される。

anhyd anhyd anhydhyd hyd hyd hyd hyd hyd hyd hyd hyd

hyd hyd hyd

anhydhyd hyd hyd anhyd

hyd

1 1 M M n WRY Y Y Y Y Y Y Y YR R M M n W

WY Y Y W

Y

…(5.9)

ただし、Manhyd と Mhyd は無水物または水和物のモル質量[kg/mol]、n は物質量[mol]、Wanhyd と Whyd は無水

物または水和物の質量[kg]。

上式の質量比 Wanhyd/Whyd は水和物中に含まれる無水物の質量割合を表すことから、(Wanhyd/Whyd)Yhyd は水

和物中に含まれる無水物の質量を表す。Whyd は Yhyd に等しいことから、上式の(Yhyd-Wanhyd)は、水和物

中に含まれる結晶水量[kg]を表す。

同様にして、式(5.8)の右辺第 2 項の物理的意味は、次式のように変形することで理解される。

hyd anhyd anhyd anhyd anhyd

hyd hyd hyd hyd anhydhyd hyd hyd hyd

Y M M n W WY Y Y Y W

R M M n W Y …(5.10)

すなわち、水和物中に含まれる無水物量[kg]を表す。

次に、式(5.7)を式(5.8)に代入して最終の水溶媒量 W2 を消去すると、回分蒸発晶析における水和物の理

論結晶収量 Yhyd、すなわち理論結晶収量に関する一般式が導かれる。

hyd1 1 1 1 hyd 2

1 YRW C W W V Y CR R

…(5.11)

hyd hyd

1 1 1 2 1 2 2( 1)Y Y

W C W C W C V R CR R

…(5.12)

hyd

1 1 2 2 2( ) [1 ( 1)]Y

W C C C V C RR

…(5.13)

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hyd

2 1 1 2[1 ( 1)] [ (1 )]Y

C R W C C VR

…(5.14)

1 1 2hyd

2

[ (1 )]1 ( 1)

W R C C VYC R

…(5.15)

蒸発法以外の回分晶析操作の場合は、上式において蒸発量比 V を 0 と置くことで導かれる。

1 1 2hyd

2

( )1 ( 1)W R C CY

C R …(5.16)

製品結晶が無水物の場合は、上式においてモル質量比 R を 1 と置くことで導かれる。

anhyd 1 1 2( )Y W C C …(5.17)

参考文献

1) G.J. Arkenbout; Melt Crystallization Technology, CRC Press(1995), Chapter 4.2

2) 小島和夫; プロセス設計のための相平衡, 培風館(1977), pp.164-166

3) 小島和夫; 化学技術者のための熱力学 改訂版, 培風館(1996), pp.254-257

4) J.W. Mullin; Crystallization 4th ed., Butterworth-Heinemann (2001), p.94

5) J.W. Mullin; Crystallization 4th ed., Butterworth-Heinemann (2001), pp.104-105

6) K.S. Pitzer; Thermodynamics of electrolytes. I. Theoretical Basis and General Equations, J. Phys. Chem., 77

(1973), 268-277

7) C-C. Chen, H.I. Britt, J.F. Boston and L.B. Evans; Local Composition Model for Excess Gibbs Energy of

Electrolyte Systems Part I: Singe Solvent, Single Completely Dissociated Electrolyte System, AIChE J., 28

(1982), 588-596

8) K. Maeda, H. Kuramochi, T. Shinkawa and K. Fukui; Solubility of Two Salts Containing Sulfate and Chloride

Ions in Water for Ternary Systems at 313 K, J. Chem. Eng. Data, 47 (2002), 1472-1475

9) H. Kuramochi, M. Osako, A. Kida, K. Nishimura, K. Kawamoto, Y. Asakuma and K. Fukui; Determination of

Ion-Specific NRTL Parameters for Predicting Phase Equilibria in Aqueous Multielectrolyte Solutions, Ind. Eng.

Chem. Res., 44 (2005), 3289-3297

10)前田光治, 高本佳典, 倉持秀敏, 朝熊祐介, 福井啓介; 海水資源に関する電解質の溶解度モデルの開発,

日本海水学会誌, 64, 323-328 (2010)

11)J.W. Mullin; Crystallization 4th ed., Butterworth-Heinemann (2001), pp.108-110

12)久保田徳昭, 松岡正邦; 改訂・分かり易い晶析操作, 分離技術会(2009), p.23

13)J.W. Mullin; Crystallization 4th ed., Butterworth-Heinemann (2001), pp.96-98

14)久保田徳昭, 松岡正邦; 改訂・分かり易い晶析操作, 分離技術会(2009), pp.13-14

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平成 30(2018)年 11 月 15 日作成

平成 30(2018)年 11 月 25 日改訂

令和元(2019)年 5 月 15 日改訂

令和元(2019)年 8 月 28 日改訂

令和 2(2020)年 4 月 9 日改訂