画像処理(2) - web.tuat.ac.jpweb.tuat.ac.jp/~masuda/gazojoho/gazojoho05.pdfbayer型 渦巻型...

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5画像処理(2) 画像情報工学(3年生後期) グレースケールと2値画像 画像処理の過程が、グレースケール(濃淡画像)と2値画像のどちらを 対象とするか、結果はどうなるか %" ( 原画像(256階調) 2値化処理 f (x,y) g(x,y) Th 1 0 モード法: 対象領域と背景がはっきりしている画像では、ヒストグラムに 谷がある場合が多いため、ヒストグラムの谷を検出し、しきい 値を決定(ヒストグラムに谷がない場合は不可) P-タイル法: 画像全体の面積をS , 抽出したい対象の面積をS 0 とし、画素 数の割合が S 0 /S となるところに閾値を決定 ヒストグラムと閾値の決定 ヒストグラム上で、閾値によって分けられるクラ ス間の分離を統計処理により決定 分離の基準 クラス間分散 σ b 2 w 2 の比が最大と なるような閾値を決定 判別分析法(大津の2値化) クラス内分散 N.Otsu: IEEE Trans. Systems, Man and Cybernetics. Vol. 9, pp.62-66 (1979) 判別分析法による2値化処理結果

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Page 1: 画像処理(2) - web.tuat.ac.jpweb.tuat.ac.jp/~masuda/gazojoho/gazojoho05.pdfBayer型 渦巻型 網点型 擬似濃淡表示法(ディザ法) 1766496144 192 0 32224 11212816080

第5回画像処理(2)

画像情報工学(3年生後期)グレースケールと2値画像

画像処理の過程が、グレースケール(濃淡画像)と2値画像のどちらを対象とするか、結果はどうなるか

���

%"��

(�������

原画像(256階調)

2値化処理

f (x,y)

g(x,y)

Th

1

0

モード法: 対象領域と背景がはっきりしている画像では、ヒストグラムに谷がある場合が多いため、ヒストグラムの谷を検出し、しきい値を決定(ヒストグラムに谷がない場合は不可)

P-タイル法: 画像全体の面積をS, 抽出したい対象の面積をS0とし、画素

数の割合が� S0 /S�となるところに閾値を決定

ヒストグラムと閾値の決定

ヒストグラム上で、閾値によって分けられるクラス間の分離を統計処理により決定

分離の基準

クラス間分散

σb2/σw

2の比が最大と

なるような閾値を決定

判別分析法(大津の2値化)

クラス内分散

N.Otsu: IEEE Trans. Systems, Man and Cybernetics. Vol. 9, pp.62-66 (1979)

判別分析法による2値化処理結果

Page 2: 画像処理(2) - web.tuat.ac.jpweb.tuat.ac.jp/~masuda/gazojoho/gazojoho05.pdfBayer型 渦巻型 網点型 擬似濃淡表示法(ディザ法) 1766496144 192 0 32224 11212816080

画面全体に対して1つの閾値で2値化すると、照明の当たり方などで、画像の平均的濃度が場所により不均一になり、画面全体に対して閾値を決定してもうまく2値化できない場合がある

画像全体を適当な大きさの小領域に分割し、それぞれの領域ごとに適当な閾値を用意して2値化

可変閾値法による閾値決定

原画像 通常の2値化 通常の2値化 可変閾値による 2値化

2値化における閾値を画素毎に変化させ、擬似的に濃淡画像を再現 新聞などの印刷物によく使われる

ランダムディザ法各画素に対するしきい値を乱数で決定 輝度値が高い値ほど1になる確率が高く、 輝度値が低い値ほど0になる確率が高い

組織的ディザ法

NxN個のしきい値からなるディザマトリクスに基づき、2値化

ディザマトリックスの例

0 128 32 160

192 64 224 96

48 176 16 144

240 112 208 80

96 112 128 144

80 0 16 160

64 48 32 176

240 224 208 192

Bayer型 渦巻型 網点型

擬似濃淡表示法(ディザ法)

176 64 96 144

192 0 32 224

112 128 160 80

48 240 208 16

4近傍

8近傍

2値画像の連結成分処理★ある画素に注目し、その画素から一定の距離にある画素との

関連に注目するフィルタ処理 ★一般的には3x3のフィルタで、中心の画素に対する近傍を観察 ★ 4近傍、8近傍が一般的であるが、5近傍、9近傍など、様々なも

のがある

5近傍

9近傍

収縮か膨張か?

���

通常、黒(0)を背景とし、白(1)の領域を収縮させるか膨張させるか(逆もあり)

収縮(Erosion):近傍画素の全てが1なら1、それ以外なら0

膨張(Dilation):近傍画素のいずれかが1なら1、それ以外なら0

原画像

Dilation4近傍

Erosion4近傍

2値画像の収縮・膨張Opening

Closing

ErosionDilation

Opening, Closing

Erosion Dilation

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練習問題(1)0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0

0 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 1 1 1 0 0 0 0 0 0

0 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 0 0 0 1 0

0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0

0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 0 0 1 0

0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 0 0 1 0

0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0

0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 0

0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0

0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 *

0 1 1

* 1 *

2値画像上の図形を幅1の線画像に変換する処理例 0 0 0

* 1 *

1 1 *

* 0 0

1 1 0

* 1 *

1 * 0

1 1 0

* * 0

* 1 *

1 1 0

* 0 0

* 1 1

* 1 *

0 0 0

* 1 *

0 1 1

0 0 *

0 * *

0 1 1

0 * 1

左のパターンのいずれかがある場合、中心画素に0を返す。この操作を、処理できなくなるまで繰り返す。( *は考慮しない画素)

細線化処理

指紋の特徴点抽出法

• 指紋画像を細線化処理し、例えば図のような空間フィルタを設計し、線の端点や分岐点を特徴点として検出

• 4近傍をとるか、8近傍をとるか

number = W(m,n)1

Σ m = −1

1

Σ n = −1

W(m,n) 2値画像における面積計算面積 S :連結成分内の画素数 (対象の大きさ)

∑∑=x y

yxfS ),(0 0 0

0 1 0

0 0 0

★@

2値画像の連結成分(同じ輝度値が近接している固まり)に番号(ラベル)をつける

例B C D

E A原画像

ラベルリング後の画像(色はラベルに対応)

ラベリング処理

1. 画像の左上から走査し、A=1の時、以下のようにラベル付けを行う

• B~Eが全て0�⇒�Aに新しいラベル • B~Eに1種類のラベル�⇒�Aに同じラベル • B~Eに2種類以上のラベル�⇒�Aに最小番号のラベル

2. 次の画素に移動 3. 全走査が終わったら、左上から再度走査を行い、連

結成分に同一ラベルを付け直す

練習問題(2)0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 1 1 1 1 1 0 0 1 0 0 0 1 0

0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0

0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0

0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0

0 0 0 1 0 0 1 0 0 1 1 1 0 0

0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0

0 0 0 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1 0

0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

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画像と係数の演算

原画像 f

g1 = f/2

g2 = g1 +128

g3 = 256 - g1

画像間の乗算処理1 0

x

&&→x

画像間の減算処理

f0 f1 fk-1 fk fk+1

frames(time)

fk (x,y) f0 (x,y)

fk (x,y) fk+1 (x,y)

Digital Subtraction Angiography (DSA)

血管造影画像 マスク画像 血管のみの画像

撮影・処理された画像は、血管の形状や血液の流れを表示するだけでなく、デジタルデータとしてコンピュータ上で解析を行うことで診断・治療に役立つ情報を引き出すことができる。

演算画像のオフセットとスケール負の演算子を含む演算や、加算・乗算の結果、画素値の取りうる範囲が画像の階調数を超える場合は、オフセットとスケールを調整する

輝度値

画素数

輝度値

画素数

0

0 255

255-255�� ��� g(x,y)

�� ��� g’(x,y)

輝度値

画素数

0 255-255�����������!$'#���

輝度変換曲線と画像間演算

8bit/pixel

Th=150.5

Th=60.5

+-

a

dc

b

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練習問題(3) CT画像からのガン組織の自動認識

1. 閾値処理

2. 分離処理

3. 連結成分の大きさの計算

4. 微小領域の除去

自動認識のメリット:膨大な画像の中から、医師が目視で患部を発見することは困難であり、負担も大きい

閾値処理

5. 平滑化 6. 連結成分の大きさによる分類

7. 正常な例との比較

早瀬、目加田、森ほか「3次元胸部X線CT像からの多発性小結節検出手法」、電子情報通信学会論文誌、Vol.J87-D-II, No.1, pp.219-227, 2004�より改変

ラベリング処理と画像間演算の例

http://blogs.mathworks.com/steve/2007/08/21/gray-scale-pixel-values-in-labeled-regions/