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平成26年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 非接触給電関連技術 平成27年3月 問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線2155)

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平成26年度 特許出願技術動向調査報告書(概要)

非接触給電関連技術

平成27年3月

特 許 庁 問い合わせ先

特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線2155)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第1章 調査概要

第1節 調査目的

グリーンイノベーション(環境・エネルギー)関連技術として、近年、電源ケーブル

を用いることなく電力を伝送する非接触給電技術が注目されている。

非接触給電技術は、1831 年にファラデーによって発見された電磁誘導現象等、古くか

ら既に現象・原理が知られていた技術であるが、2007 年にマサチューセッツ工科大学

(MIT)の研究チームが 2m 離れた距離で 60W の電力を送ることに成功し、本技術分野へ

の更なる関心を呼び起こした。非接触給電技術は、送電側と受電側とがワイヤレスとな

ること等、高い利便性が期待できる技術であり、近年では、携帯電話等の小型機器から

電気自動車(EV)等の大型機器まで、多様で幅広い製品分野への応用が進められている。

企業や大学・研究機関等の研究開発・知的財産活動の結果として、非接触給電技術に関

する特許出願が世界的に増加していると推察され、そのような特許情報から非接触給電

の技術全体を俯瞰し、市場や産業界における動向を踏まえた技術開発の状況・方向性を

把握することで、我が国における非接触給電に関する産業の発達に寄与することができ

る。

本調査では、非接触給電に関する特許動向を世界的に調査し、国内外の技術発展状況・

研究開発状況を含む技術動向や、我が国及び外国の技術競争力・産業競争力、我が国の

企業・政府機関等が取り組むべき課題を整理することで、今後、我が国が目指すべき研

究・技術開発の方向性を明らかにする。

そして、特許庁においては審査体制の構築や的確かつ効率的な審査等のための基礎資

料として活用するとともに、企業や大学・公的研究機関等においては技術開発戦略や知

的財産戦略、経営戦略を策定する際の有用な情報源として活用される情報の提供を目的

とする。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 調査対象

非接触給電に関する調査対象技術を図 1-2-1 に俯瞰する。

非接触給電のシステムは、主に送電側装置と受電側装置から成り、送電側装置及び受

電側装置は各給電方式に応じたコイル、コア、電磁シールド、コンデンサ等の部分構造

技術の組み合わせで構成される。また、送電側装置と受電側装置の動作は、送受電電力

制御や共振周波数制御、インピーダンス調整制御等の技術によって制御される。

非接触給電に関する技術課題としては、故障への対応や小型化・軽量化・コスト削減

等の一般的な技術課題のほか、伝送効率向上や異物侵入対策、漏洩電磁界対策等の非接

触給電特有の技術課題についても取り組みがなされている。

これらの技術課題の広がりは、応用先の製品分野の広がりにも起因しており、近年で

は、モバイル機器、電気自動車(EV/PHEV)、医療機器等、多様で幅広い製品分野への応

用が進められている。

なお、本調査において IC カードは調査対象外である。

図 1-2-1 技術俯瞰図

応用技術

給電方式

磁界結合磁界共振磁界共振以外の磁界結合

電界結合電界共振電界共振以外の電界結合

マイクロ波 レーザー 超音波

部分構造技術 制御技術 技術課題

送受電電力制御 インピーダンス制御

位置検出の関連制御 送受電装置間の通信

共振周波数制御 異物検知の関連制御

電源周波数制御 冷却制御

一般的課題 特有課題故障への対策 伝送効率・伝送距離小型・軽量・コスト対策 異物侵入対策標準化対応技術 漏洩電磁界対策過熱対策、課金対応 (含:干渉・混信防止)認証対応、盗電対策 複数給電への対応状態表示・報知技術 位置ズレ対策測定・評価技術

コイル・コア 通信装置

電磁シールド 複数の部品配置

コンデンサ、ケース 冷却のための構造

電源装置、整合器 位置調整機構

携帯電話スマートフォンウェアラブル端末時計音楽プレーヤータブレット端末ノート型パソコンカメラ

産業用ロボット生活支援ロボット特殊環境用ロボット

ロボット

磁気浮上列車電車電気自動車(EV/PHEV)バス無人搬送車(AGV)

車両

ペースメーカー人工心臓人工目人工内耳補聴器内視鏡診断機器

医療機器

宇宙太陽光発電航空機への給電水中での給電回転体・回転軸センサへの給電空気中の微弱な電波の利用

その他

モバイル機器

大型家電

テレビ掃除機

小型家電

電動シェーバー電動歯ブラシキーボード・マウス

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 技術概要

給電方式別の技術概要を以下に示す。

各給電方式の技術概要や用語は学術的にも議論されており、明確な定義が存在してい

ない状況である。そこで、本章では本調査委員会における委員より提供を受けた資料に

基づいて、技術を紹介する。

1.電磁誘導方式

電磁誘導方式の非接触給電の基本原理は図 1-3-1 に示すように、一般的にはトランス

と呼ばれる変圧器である。変圧器と同様に、1 次側コイルに交流電流を流すとコイル周

囲に磁界が発生し、1 次/2 次コイルを共通に鎖交する磁束により 2 次側コイルに誘導起

電力が発生する。理想的な変圧器の磁束は全て主磁束で構成され、漏れ磁束がない。こ

の場合の 1 次コイルと 2 次コイルとの結合の度合いを示す結合係数 k は 1 である。商用

電源に使われている電力用変圧器などはコア間のギャップが殆ど無く、理想変圧器に近

い密結合が得られ、大型のものでは 0.995 以上の結合係数となる。

非接触の場合にも送電用コイルと受電用コイルに共通に鎖交する鎖交磁束が伝送の要

であり両コイルの結合度が高いことが望ましい。しかし、大きなギャップにより磁路が

切れていて、漏れ磁束があるために、結合係数は 1 よりもかなり小さくなる。そこで、

電力を効率よく伝達するために、1 次側の印加周波数を高周波にすることや、コイルの

インダクタンスにコンデンサを並列もしくは直列に接続した共振回路を最適設計するこ

とで、1 次側と 2 次側のコア間のギャップを拡げている。

図 1-3-1 電磁誘導方式の非接触給電の基本原理

出典:特許出願技術動向調査「非接触給電関連技術」委員会 委員提供資料

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.磁界共振方式

磁界共振(Magnetic Resonance)方式は、2007 年に米国 Massachusetts Institute of

Technology(MIT)のマリン・ソウルヤチーチ教授の研究チームが、2m 離れた距離で 60W

の電力を送ることに成功したことで一躍注目を浴びた。図 1-3-2 は MIT が発表したシス

テムの概要である。これは、送信側と受信側のコイルを高 Q にして電磁的に同じ周波数

で LC 共振させ、空間に蓄積される磁気エネルギーを通して電力伝送をする磁気共振の技

術を活用していて、その基本原理は新しくはないものの、給電方式としては新たな方式

といえる。送電側コイルから放射される磁束を直接受電側コイルに鎖交させれば前述の

電磁誘導方式となるが、送信側と受信側のコイルが殆ど鎖交していない結合係数 k が

0.01 以下となるようコイル間距離を十分に離した状態で、磁界共振方式は電磁誘導方式

と殆ど同じシステムを使いながら送受電コイルサイズと空間波長、空間磁界分布をうま

く制御してエネルギーを伝送している。そのため伝送量を確保するためにコイル形状、

サイズ、波長、伝送距離に一定の制約が生まれ、その制約条件が崩れると共振が起こら

ず電力伝送ができない。磁界共振方式は、電磁誘導方式と比較して利用する磁場がずっ

と弱く、それでいてより長い距離を伝送できる。放射電磁波を使用するマイクロ波方式

と比較して、非放射型の磁界共振方式はシステムの遠方に電磁波の形で流出するエネル

ギーが少ないため、電力の伝送効率が高く、MIT の発表している送電ヘリカルコイルか

ら負荷までの伝送効率はアンテナ間の距離が 2m の場合に 40%,75cm の場合に 96%である

という。2 つのアンテナコイルの間に障害物があっても利用可能であり、電磁波方式の

電力伝送システムは人体に悪影響を及ぼすが、このシステムでは磁場を使っているため

生体などへの影響も弱いことなど利点も多い。ただし、伝送電力がまだ小さく、国内外

の各社が開発に取り組み製品化を進めている。

図 1-3-2 MIT が発表したシステムの概要

m2

2/32

/210

)25.1(/1

mW

mV

TmA

MHz9.9

Marin Soljaci(MIT 2007)

m6.0

W60

m1

W400

W150

25.5NW400

W150 W60

受電コイル 送電コイル

送電側共振コイル

(LのみでCは空間容量)

電磁結合 電磁結合 磁界共振

受電側共振コイル

(LのみでCは空間容量)

同じ周波数で共振

(高次成分)

出典:特許出願技術動向調査「非接触給電関連技術」委員会 委員提供資料

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

3.電界共振方式

磁界共振方式のように送電側と受電側の LC 共振器間の「磁界」エネルギーを媒介にし

て非接触電力伝送が可能であれば、送電側と受電側にそれぞれ電極を設置し、電極が近

接したときに発生する「電界」のエネルギーを媒介にした方式もまた成り立つ、これが

電界共振方式である。これはまさにコンデンサであり、コンデンサはいわば極板間に変

位電流を流すことでワイヤレスにエネルギー伝送を行うデバイスである。

すなわち、電界共振方式は電極を近接させたときに形成される静電容量(接合容量)

に交流電圧を印加し、静電誘導の作用によって電力伝送させる方式で、電界を利用した

電力伝送回路には共振を取り入れた電界共振方式と共振を用いないアクティブキャパシ

タンス方式があるが、ここでは共振を用いる電界共振式について取り上げる。

電界共振方式にも直列共振型と並列共振型があり、図 1-3-3(左)に直列共振型回路、

(右)に並列共振型回路を示す。

直列共振回路は、接合容量 C に直列にインダクタンス L を接続して共振条件を満たす

ことにより、接合部のインピーダンスをきわめて小さくすることでエネルギー伝送して

いる。ただ、送電側と受電側電極間の容量はギャップ状態によって変化するので、共振

条件を維持するためには、発信周波数 f またはインダクタンスを調整しなければならな

いという課題がある。インダクタンスを変えるのは大変なため周波数を調整する方式を

採用すると、占有帯域幅の増大につながる。さらに、共振回路の Q に応じて接合容量お

よびインダクタンスに高い電圧が印加されるという課題もある。

並列共振型回路は接合容量が共振回路の一部となっていないために、C1 や C2 に比し

て接合容量が小さい場合には、接合容量が変化しても共振回路の周波数に与える影響が

小さいことが特徴である。さらに、共振回路②が共振している場合には、その両端のイ

ンピーダンスが極めて大きくなるため、接合容量が変化しても共振回路①の出力電圧が

共振回路②に印加されることになり、接合容量の変化、すなわちギャップ間距離の変動

に対して大きな余裕度を持つことになる。

回路的には LC 共振を用いる点では、電磁誘導方式と同様であるが、電流を流すことで

磁界を作らねばならない電磁誘導方式に対し、電界を利用するため電極間に電圧を印加

するだけで良い。従って、電磁誘導方式に比べ装置が小型化する特色があるが、空気中

への放電を避けるために電界強度に上限が存在する。その結果、静電エネルギーは数 J/m3

程度であり、小電力機器が対象になると思われる。一方、電界結合の電極間はコンデン

サと同じなので、磁界に比べて平等電界は比較的実現し易く、水平方向の位置ずれに対

応しやすいが、送電側と受電側の電極を近づける必要がある。現在実用化されているコ

イルからコイルへ電力を給電する電磁誘導方式の非接触電力伝送技術で問題となる異物

侵入時の誘導加熱や、人体への電磁波防護、高周波による電波法の制限といった問題が

生じないメリットがある。しかも、電磁誘導方式と違い、フェライトやリッツ線コイル

を用いないため、機器の重さやコストを低減できる。出力が大きな機器に対しても、接

触させる面積を広げるだけで対応できるのも利点である。

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資料編

第6部

図 1-3-3 電界共振方式の伝送回路図

出典:特許出願技術動向調査「非接触給電関連技術」委員会 委員提供資料

4.マイクロ波方式

本来は遠方にまで伝搬する遠方界の電磁波を利用する方式で 2.45GHzや 5.8GHzの周波

数を用いるのが一般的で、マイクロ波の発振源は家庭用などの電子レンジ向けのマグネ

トロン管が大量に生産されていることから、非常に安価にシステムを構成することがで

きる。電波自体は原理的に真空中を伝搬する性質を持っており、どんな遠方にも到達さ

せることができるため、航空宇宙分野での利用が可能な規模の距離、電力容量でエネル

ギー伝送が行える反面、電磁波のエネルギーが拡散してしまい伝送効率が上がらない、

電磁波による生体への影響など懸念すべき課題がある。また、受電後の直流への整流に

ついても小電力であれば、かなりの高効率を保つことができるため、小電力の非接触給

電においてマイクロ波は強力なツールとなると考えられる。EV を含めた大電力の非接触

給電系では、逆に受電後の整流の高効率化が課題と言える。

5.レーザー方式

レーザー方式は T(テラ)Hz 帯のレーザーで送信し、ソーラーセルと同じように半導

体で受信し、半導体の光起電力効果を利用して光エネルギーを直接電気に変換すること

で電力を伝送する技術である。レーザー光は遠方界を利用することでビームを形成でき、

飛散角が小さく少ない減衰で長距離にまでエネルギーを伝搬できる。従って、マイクロ

波と同様に宇宙エレベータといった航空宇宙分野を中心に研究が進められてきたが、近

年は宇宙からより近距離の移動体が対象となり、災害監視用無人飛行機、月面探査ロー

バーや一般のロボットなどへの給電が試みられている。

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第6部

6.超音波方式

超音波方式は、超音波を伝送手段とした電力伝送システムで、送電部はパルスジェネ

レータ・アンプ・超音波トランスデューサで構成され、送電部から発生した超音波を受

電部で受信することで電力を伝送する技術である。uBeam 社(米)が 2014 年 8 月に初期

プロトタイプデバイス開発を行っており、20kHz 以上の超音波を利用して伝送可能距離

は 7m 程度となっている。

第4節 給電方式の用語定義

非接触給電に関する技術分野においては、統一された用語定義が存在せず、種々の用

語が種々の意味で用いられている。

本要約編においては、第2章(非接触給電に関する市場環境)、第3章(非接触給電に

関する政策・標準化動向)を除き、各給電方式に対応する用語として、表 1-4-1 に示す

用語を用いる。

なお、要約編の第2章(非接触給電に関する市場環境)、第3章(非接触給電に関する

政策・標準化動向)は、種々の資料を参照してとりまとめる都合上、本技術分野で広く

用いられている用語として電磁誘導(磁界共振以外の磁界結合方式に概ね対応)、電磁界

共鳴(電界共振方式および磁界共振方式に概ね対応)、電界結合(電界共振方式および電

界共振以外の電界結合方式に概ね対応)という用語も用いている。

表 1-4-1 給電方式の用語一覧

本報告書で用いる用語 関連する用語

磁界結合 -

磁界共振 磁界共鳴、磁気共鳴、磁界共振結合

磁界共振以外の磁界結合 電磁誘導

電界結合 -

電界共振 電界共鳴、電界共振結合

電界共振以外の電界結合 -

マイクロ波 -

レーザー -

超音波 -

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資料編

第6部

第2章 非接触給電に関する市場環境

本章では用途別、給電方式別に非接触給電関連技術の市場環境についてまとめる。用途

別の市場環境動向の調査結果を、表 6-1-1~表 6-1-5、表 2-1-1 に示す。給電方式別の市場

環境動向調査の結果を、表 6-1-6、表 2-2-1、表 6-1-7 に示す。

第1節 用途別の市場環境

1.小型家電 -電動歯ブラシ、電気カミソリ、コードレス電話-

表 6-1-1 小型家電に関する市場環境・開発動向

応用製品 市場環境・開発動向 市場の主要メーカー

電動歯ブラシ ・国内市場(乾電池方式など非接触給電式ではないもの

も含む)は 2009 年までは 220 万台前後で推移し、2010

年には 350 万台程度へ拡大した。2012 年以降の市場予測

では、440 万台前後で推移し、ほとんど変化しないと予

測されている。

パナソニック、

オムロンヘルスケア、

Philips(蘭)、Braun(米)

など

電気カミソリ ・国内における生産量は 2012 年にかけて減少したもの

の、2013 年には再び増加に転じている。2013 年の市場

規模は 19.5 億円程度である。販売量は 700 万台、840 億

円前後で推移しており、今後はわずかながら拡大すると

予測されている。

パナソニック、

オムロンヘルスケア、

Philips(蘭)、Braun(米)

など

コードレス電話 ・2012 年時点での市場規模は 130 億円程度であるが、携

帯電話の普及によって市場規模は縮小していくと予想

されている。

2.モバイル機器 -スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン-

表 6-1-2 モバイル機器に関する市場環境・開発動向

応用製品 市場環境・開発動向 市場の主要メーカー

スマートフォン ・スマートフォン市場はここ数年で急速に拡大し、世界

の販売台数は 2009年に約 1.72億台であったものが 2012

年には約 6.8 億台に拡大した。国内でも 2009 年に約

1,743万台であったものが 2012年には約 2,500万台に拡

大している。

・2011 年 4 月にパナソニックが Qi に対応した無接点充

電パットを市場に投入。

・2011 年 5 月に NTT ドコモが Qi 対応のスマートフォン

を発売。

富士通、パナソニック、

シャープ、ソニー、

Nokia(フィンランド)、

Samsung(韓)、 Apple(米)

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資料編

第6部

応用製品 市場環境・開発動向 市場の主要メーカー

・Qi に対応したスマートフォンは機種数を拡大してお

り、シャープ、富士通、パナソニック、NEC カシオモバ

イルコミュニケーションズ、LG Electronics Japan とい

ったメーカーが発売している。

・P&G(米)傘下の Duracell(米)と Powermat Technologies

(イスラエル)等が中心となり立ち上げた Power Matters

Alliance(PMA)でも、給電方式の規格化がなされてい

る。

・スマートフォンに対する磁界共鳴方式での非接触給電

は、Qualcomm(米)、Samsung などが参加している Alliance

for Wireless Power(A4WP)が開発を進め、Rezence の

ブランド名で普及を図っているが、2014 年 9 月時点では

対応した商品はまだ市場投入されていない。

タブレット端末 ・タブレット端末市場は、2010 年に Apple が「iPad」の

販売を開始したことで大きく成長。

・引き続きノート型パソコン市場からの需要の移行が進

むと見られ、今後もタブレット端末市場の堅調な拡大が

予測される。

・日立マクセルは、2011 年 11 月に Apple のタブレット

端末向けに非接触充電器セットを発売。同製品は村田製

作所が開発した電界結合方式の非接触給電モジュール

を採用している。

・タブレット端末の市場はここ数年で急速に立ち上がっ

た市場であるが、今後も引き続き拡大することが見込ま

れており、2025 年の国内市場は販売台数 1,400 万台、販

売金額は 460 億円に達すると予測されている。

富士通、東芝、日本電気、

ソニー、Apple、Samsung、

ASUS(台)、Amazon(米)

など

ノート型パソコ

・タブレット PC と合わせた携帯型コンピューターの輸

出入動向は近年大きく変化している。輸出金額は 2007

年からの 6 年間で 3 分の 1 以下に減少している反面、輸

出数量は 2009 年までは減少しているものの、それ以降

は増加に転じており、2012 年には 2007 年を上回った。

・一方、輸入に関しては金額・数量ともに大きく増加し

ており、輸入金額は 2007 年からの 6 年間で 1.7 倍に拡

大している。

・代表的なパソコンメーカーとしては、Dell(米)が A4WP

に参加している。

日本電気、ソニー、東芝

Lenovo(中)、ASUS など

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第4部

第5部

資料編

第6部

3.車両 -電気自動車・ハイブリッド自動車、電気バス、無人搬送車(AGV)-

2013 年の国内における EV 販売台数(図 2-1-14)は、16,000 台程度であり、累計販売

台数は 2014 年に 5 万台を超えた。車両価格が高いことや充電インフラが依然として整備

中であること等もあり、本格的な普及には至っていない状況である。

しかしながら、今後はこうした課題が徐々に解決され、EV が普及していくことが予想

されており、非接触給電技術を搭載する EV も増加していくことが予測される。

車両に関する市場環境・開発動向について表 6-1-3 にまとめて示す。また、車両に関

する国内・海外メーカーの取組みについて表 6-1-4、表 6-1-5 にまとめて示す。

図 2-1-14 国内における EV 販売台数の推移(2009 年~2014 年)

308 944 1,415 6,210 6,390 9,089 6,808 7,649 8,324 7,704308 1,252 2,667

8,877

15,267

24,356

31,164

38,813

47,137

54,841

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

2009年

下期

2010年

上期

2010年

下期

2011年

上期

2011年

下期

2012年

上期

2012年

下期

2013年

上期

2013年

下期

2014年

上期

台数

(台

販売台数(台) 累計販売台数(台)

出典:日本自動車販売協会連合会「新車販売台数状況」及び

全国軽自動車協会連合会「軽四輪車通称名別新車販売確報」より日本総研作成

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表 6-1-3 車両に関する市場環境・開発動向

応用製品 市場環境・開発動向 市場の主要メーカー

電気自動車/ハイブ

リッド自動車

・2013 年の国内における EV 販売台数は、およそ 16,000

台であり、累計販売台数は 2014 年に 5 万台に到達して

いる。

・2008 年に三菱自動車工業が i-MiEV を一般向けに発売

したことを皮切りに、日産自動車が EV を市販しており、

トヨタ自動車や本田技研工業などは少数ながら実証実

験や自治体向けにリース販売を行っている。プラグイン

ハイブリッドに関しては 2012 年 1 月にトヨタ自動車が

プリウス PHV を発売し、三菱自動車もアウトランダー

PHEV を発売している。

・ EV への非接触給電技術の搭載は、1990 年代後半に充

電パッドとして電磁誘導方式を用いた無接点充電を開

発していた。

トヨタ自動車、日産自動

車、本田技研工業、三菱

自動車工業、ゼネラル・

モ ー タ ー ス 、 Audi

(独) 、BMW(独)など

電気バス(EV バス) ・電気バスの市場も今後成長すると予測されており、ハ

イブリッドを含む電気バス・トラックの市場規模は 2020

年に 1,900 億円に達すると予測されている。

・BYD Auto(中)は電気バス「K9」を発売しており、こ

れまでに 1,000 台以上を販売したとしている。

BYD Auto(中)など

無人搬送車(AGV) ・AGV の輸出額は 12 億円前後で推移している一方で、輸

入額は 1 億円以下に収まっている年が多い。近年では、

2004 年頃のように圧倒的な輸出超過の状態ではなく、市

場の変化が見られる。

豊田自動織機、ヘッズ、

ダイフク、昭和飛行機工

業など

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 6-1-4 車両に関する国内メーカーの取組み

国内メーカー 取組み

昭和飛行機工業 ・電磁誘導方式を用いた EV、特に電気バスへの充電装置に関して多数の取り組み実

績を有する。

・2010 年 10 月には環境省からの受託事業として、早稲田大学とともに非接触給電が

可能な電動マイクロバスの運行に関する実証実験を、翌年 2011 年 1 月には、日野自

動車と協力して都営バスの一部路線において実証実験を行っている。

・2012 年には、経済産業省からの受託事業として東北大学や日産自動車とともに電

磁界共鳴方式による走行中非接触給電の実証実験を行った。

・電動バス向けに電磁誘導方式の非接触充電システムを 30kW 型~150kW 型として製

品化している。

・近年では、先行する市場として AGV 向けに用途を変えた製品も発売している。

東芝 ・2014 年 3 月に電磁界共鳴方式による EV 向けワイヤレス給電システムの開発を発表

している。

・環境省からの受託事業において、羽田空港にて同社のリチウムイオン電池を搭載

した全日本空輸(ANA)用の EV バスを利用した実証実験も行うことも発表している。

実験は 2015 年から 1 年間かけて行われる。

トヨタ自動車 ・2011 年 4 月、WiTricity(米)と、EV 向けの非接触給電システム開発のための技

術提携を結んだ。この提携をもとにして、2014 年 2 月からの 3 か月間愛知県内での

実証実験を行っていた。

デンソー ・トヨタ自動車と同時期に、独自に開発した電磁誘導方式を用いて同市内で実証実

験を行った。

パイオニア ・2010 年 9 月に開催された CEATEC JAPAN 2010 で、電磁誘導方式による EV・PHEV

向けのワイヤレス給電システムを出展した。

・2012 年の開発部資料にて、電磁界共鳴方式の開発も開始したことを発表している。

IHI ・2011 年 6 月に WiTricity と技術ライセンス提携を行った。

・同年 9 月には三菱自動車と WiTricity の 3 社にて共同開発を行う事を発表し、11

月には共同で開発したテスト車両を完成。

・2012 年 2 月に三井ホームとも提携し、戸建住宅用充電装置を開発したと発表。

・2014 年 7 月に 2017 年度内の EV 向け非接触給電装置の商用化を目指すことを発表。

長野日本無線 ・2009 年に、WiTricity とは異なる方法の電磁界共鳴方式を用いた 30W 非接触給電

システムを開発した。2011 年 6 月には 1kW の充電を可能にした EV 向け非接触給電シ

ステムを試作している。

・2013 年 6 月には昭和飛行機工業、NEXCO 中日本等と共同で可能給電容量 1~3kW の

同方式を用いた高速道路維持管理用車両のワイヤレス給電システムを開発。翌7月

のテスト走行を経て、同年秋に実証実験を行った。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 6-1-5 車両に関する海外メーカーの取組み

海外メーカー 取組み

WiTricity

Corporation(米)

・2011 年 3 月に IHI と技術提携した際には、Witricity の技術を初めて実際の EV に

搭載して試験を行った。

・同年 9 月には IHI および三菱自動車工業との技術提携を行った。

・2013 年 1 月にはアルプス電気株式会社との OEM 契約、2014 年 4 月には TDK 株式会

社との技術ライセンス契約をそれぞれ締結している。

・海外企業に対しても、2011 年 5 月にペースメーカー企業 Thoratec(米)や 2014

年 6 月に大手半導体メーカーIntel(米)と技術提携を行う等、活発に活動している。

Qualcomm(米) ・2010 年 9 月にはフロリダ大学発の非接触給電技術ベンチャーである WiPower(米)

を買収した。

・2011 年 1 月には Powermat Technologies(イスラエル)と提携、また同年 11 月に

は電磁誘導方式の EV 向け非接触充電技術を保有する Halo IPT(米)を買収したこと

を発表した。

・その後、Qualcomm Halo というブランド名で EV に対する電磁誘導方式の非接触給

電システムの開発を進めている。

・2012 年初頭から、Qualcomm Halo を搭載した 50 台の EV をイギリスのロンドン市

内の East London Tech City(ELTC)開発特区にて走らせる実証実験を行った。この

際、イギリス政府は同実証実験を含む英国国内の 8 カ所のプロジェクトに向けて、

合計 3,000 万ポンド(約 37 億円)の補助金を支出している。

Evatran(米) ・2013 年に EV 向けの非接触給電技術を実用化し、Plugless L2 Electric Vehicle

Charging System という製品名にて市販している。

・Evatran の EV 向け非接触給電技術の開発は 2009 年頃から活発化している。2009

年 12 月にはエンジニアリング会社である Syncroness(米)と、2011 年には矢崎総

業の北米グループ会社である Yazaki North America と提携している。

・Evatran は 2011 年 12 月に「Apollo Program」と題した実証実験を始めることを発

表した。その内容は、日産自動車のリーフと General Motors(米)の Chevrolet Volt

に非接触給電システムを搭載し、2012 年 2 月より 1 年間、アメリカにて実証走行を

行うというものである。参画した組織は、クレムゾン大学(米)、Google(米)、Bosch

(独)を含む全 10 社である。

・2013 年 6 月に、日産自動車のリーフと General Motors の Chevrolet Volt に対応

した非接触給電システムの独占販売契約を Bosch と結び、市販化された。

・2014 年 7 月に、General Motors の EV である Cadilac ELR を対象とした非接触給

電システムの販売も決定しており、ラインナップを充実させている。

Audi(独) ・2012 年 3 月に WiTricity と提携。

BMW(独) ・2012 年 7 月に EV に非接触給電装置を搭載し、マサチューセッツ州からコネティカ

ット州へのテスト走行を成功させた。

BYD Auto(中) ・自主開発した Green City Bus(K9)はワイヤレス充電マットを利用して充電する

ことが可能となっている。現在、K9 は中国市場だけではなく、海外にも輸出され、

世界 35 都市で利用されている。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

4.埋め込み型医療機器

埋め込み型(植え込み型)医療機器のなかでも、埋め込み型(植え込み型)ペースメ

ーカーは年間約 200~400 億円の市場規模がある。なお、国内の埋め込み型(植え込み型)

ペースメーカーはほぼすべて輸入品である。埋め込み型(植え込み型)医療機器の開発

動向を表 2-1-1 に示す。

表 2-1-1 非接触給電技術を用いる埋め込み型(植え込み型)医療機器の開発動向

企業・団体名 開発動向

東北大学 ・チタンケースを 2 分割した充電式ペースメーカーモデルを考案

・渦電流損による発熱、伝送効率の低下を防ぐ

・10mm の伝送距離において伝送効率 50%、渦電流損 1/2 を実現

スタンフォード大学(米)

(Ada Poon 氏)

・5cm の深さに埋め込んだ直径 1.6mm のデバイスへワイヤレス で電力を

送る技術を開発(2012 年 8 月)

・米粒サイズのペースメーカーを開発(2014 年 5 月)

・神経刺激装置やその他のセンサに応用可能

Medtronic(米) ・カプセルサイズのペースメーカー

・カテーテルで体内挿入可能

Thoratec Corporation(米) ・WiTricity と技術開発提携

Cambridge Consultants(英)

EBR Systems Inc.(米)

・電極に対して超音波による給電を行うことでリード線を使わずに心臓

(左心室)に刺激を与えることができるペースメーカー

・一次電池型のペースメーカーと組み合わせる

・高度な手術技術が不要

DUALIS MedTech(独) ・通信機能を搭載した電力・情報伝送システム MedBase を開発中

・ペースメーカーだけではなく人工臓器への応用を想定

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 給電方式別の市場環境

電磁誘導方式、電磁界共鳴方式、電界結合方式(容量結合方式)、マイクロ波方式の給

電方式別に市場規模や製品動向をまとめたものを表 6-1-6 に示す。また、各メーカーの

製品情報について、表 2-2-1 に示す。さらに、電磁界共鳴方式に関する海外メーカーの

取組みについて表 6-1-7 に示す。

表 6-1-6 給電方式別の市場環境・開発動向

給電方式 市場環境・開発動向 市場の主要メーカー

電磁誘導方式 ・2009 年夏には WPC(Wireless Power Consortium)より Qi

(チー)規格が誕生し、応用製品はスマートフォンの他に、

充電ステーション、デスクスタンド、モバイルバッテリー、

ビデオカメラ、充電アダプター、EV/PHEV などがある。

・給電モジュールの 2013 年の市場規模は 8 億 4,000 万円程

度と見込まれており、2020 年には約 10 倍の 87 億円、2025

年にはその倍の 175億円程度に拡大すると予測されている。

パナソニック、日立マ

クセル、ヘッズ、昭和

飛行機工業など

電磁界共鳴方式 ・研究開発途上の技術であり、2014 年 9 月時点において市

場投入されている商品はなく、市場規模はない。

・しかし、位置ずれに強く離れた距離の給電も可能なこと

から、今後市場は拡大していく見込みで、2025 年の国内市

場は 192 億円に達すると予測されている。

WiTricity 、

Qualcomm、トヨタ自動

車、IHI、など

電界結合方式 ・電界結合給電モジュールは、タブレット端末用に 2011 年

から製品化されているが、対応機種が少ないことや既存の

充電器と比べてコスト高であること等から、2012 年に 10 万

円、2013 年では 20 万円程度の市場規模に留まっている。

・2015 年以降から市場は成長期、2020 年には普及期に入り、

2025 年には 4 億円の国内市場になると予測されている。

・2012 年時点で実用化されている電界結合給電モジュール

は村田製作所によるもののみ。

・2011 年に竹中工務店が同技術方式で伝送電力 150W、伝送

効率 95%以上を達成した製品を開発した。

村田製作所、竹中工務

店、 E×H(イークロ

スエイチ)など

マイクロ波方式 ・現在、研究開発段階の技術であって実用化された製品は

ない(試作品のみである)。

・2015 年の電波法改正を受けて市場が立ち上がり、2020 年

頃には本格的に普及・拡大、2025 年には 302 億円の国内市

場を形成していくものと予測されている。

・日本電業工作は、2012 年、Volvo Technologies Japan と

共同で、電気トラック用ワイヤレス給電を可能とする高効

率なレクテナの試作に成功した。宇宙太陽光発電(SSPS)

も、国のプロジェクトを含め研究開発を進めている。

・三菱重工業は EV/PHEV 向けの非接触給電システムを開発

しており、2015 年頃の実用化をめざしている。

日本電業工作、三菱重

工業など

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 2-2-1 電磁誘導方式の主な製品

企業名 製品

パナソニック(日)

充電器:QE-TM102-K 等

USB モバイル電源:QE-PL203 等

デジタルビデオカメラ:HC-W970M 等

スマートフォン:P-06D ELUGA V(生産終了)等

ブルーレイレコーダー:DMR-BZT830(生産終了)等

日立マクセル(日)

充電器:WP-PD20SBK, WP-QIST10BK2 等

iPhone 専用カバー:MXQI-CVA20BK 等

ポータブルスピーカー:MXSP-WP2000

RICOH(日) デジタルカメラ:Optio WG-3 GPS P 等

富士通(日) スマートフォン:ARROWS X F-10D(生産終了)等

シャープ(日) スマートフォン:AQUOS PHONE f SH-13C(生産終了)等

NTT docomo(日) 充電器:ワイヤレスチャージャー01,ポケットチャージャー02 等

KDDI(日) 充電器:0101PUA

電池フタ:KYY21TFA 等

Google(米) 充電器:Nexus Wireless Charger

ASUS(台湾)

ワイヤレス充電器内蔵 PC:ET2323INT-55,M70AD-JP006S 等

タブレット:Nexus 7(2013)

充電器:90XB018P-BPW050

Huawei(中) Wi-Fi ルーター:HWD14 Wi-Fi WALKER WiMAX2+等

LG(韓) スマートフォン:Optimus it L-05E(生産終了)等

出典:各種情報を基に日本総研作成

表 6-1-7 電磁界共鳴方式に関する海外メーカーの取組み

海外メーカー 取組み

Qualcomm(米) ・ Qualcomm(米)や Samsung(韓)が中心になり立ち上げたコンソーシアム Alliance

for Wireless Power(A4WP)は、2013 年 12 月に Rezence という商標で電磁界共鳴

方式のワイヤレス給電を発表し、2014 年中の製品化を目指しているとしていたが、

2015 年 2 月時点で搭載製品は確認されていない。

WiTricity

Corporation(米)

・ Consumer Electronics Show International 2015 において自社ブースを出展し、

木やゴムを挟んで非接触で給電できるデモ展示や、EV 充電向けの応用提案がなさ

れた。給電パッド(Prodigy)をはじめ、主にデモ・評価用の製品を販売している。

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第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3章 非接触給電に関する政策・標準化動向

第1節 科学技術政策・産業政策

非接触給電関連技術に関する研究開発や実証プロジェクトは、トヨタ自動車や本田技

研工業などの民間企業が主導するものもあるが、多くは省庁の委託や助成事業として行

われる。電波に関する部分として総務省によるものや、EV・電動バスを中心に経済産業

省(NEDO を含む)、国土交通省、環境省などが関連するテーマを実施している。日本の

国家プロジェクト等について表 3-1-2 に示す。また、諸外国の政策・プロジェクトを表

6-1-8 に示す。各国において、非接触給電技術の実証試験が進められている。

表 3-1-2 非接触給電に関する国家プロジェクト等

年度 省庁 プロジェクト名 概要

2002 年

経済産業省 先進電動バスシステムの

開発・導入可能性に関する

調査

電気自動車の特性や先進電動バス WEB の設計コ

ンセプトを早稲田大学が調査・提案。

2002 年~

2007 年

国土交通省 次世代低公害車開発・実用

化促進事業

(独)交通安全環境研究所を中核として、第一

事業期間(2002 年~2004 年)では、「次世代大型

低公害車」の開発を行い、第二事業期間(2005

年~2006 年)では、開発者の実用化促進に加え、

新たな次世代低公害車の開発促進を進める。

2004 年~

2005 年

経済産業省 先進電動マイクロバス交

通システムモデル事業

「先進電動マイクロバス交通システム」を構築

し、本庄市内におけるモデル地区での公道実証

試験を早稲田大学環境総合研究センターと昭和

飛行機工業が共同で実施。

2005 年~

2006 年

経済産業省 非接触給電装置の研究開

早稲田大学、昭和飛行機工業、東北大学等が連

携して、電動車両用非接触急速誘導充電装置

(IPS System)を開発し、システム高性能化を

図る。

2006 年

経済産業省 先進電動バスシステムの

大都市近郊への適合性に

関する調査事業

早稲田大学、(独)交通安全環境研究所、昭和飛

行機工業、三鷹市が協力して、コミュニティー

バス導入時に採用されるディーゼルマイクロバ

スに関する現状の問題点の把握と電動バス導入

可能性の検討を行う。

2006 年~ 国土交通省 次世代大型車開発・実用化

促進事業

(独)交通安全環境研究所と民間企業が連携・

協力して、次世代の運輸エネルギーを利用し、

環境性能を向上させた次世代低公害車(大型ト

ラック・バス)の開発・実用化を促進。

2007 年~

2012 年

経済産業省 非接触給電装置の研究開

昭和飛行機工業、日産自動車、東北大学が連携

して、走行中の非接触誘導充電装置を開発。

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第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

年度 省庁 プロジェクト名 概要

2008 年

環境省 電気バスを使った社会実

堺市や関西電力等の協力のもと、電動バスの電

費とディーゼルバスの燃費を比較し、電動化に

よる CO2 排出量削減効果を評価する。本実証実

験に早稲田大学の開発した非接触給電型電気バ

スを使用。

2009 年 経済産業省 エネルギーハーベストに

よる低コストセンシング

システムの開発

NEDO 若手研究グラントの一つ。センサーネット

ワークを閉暗所でも、電気交換の必要もなく低

価格で実現可能にする技術開発。東京大学大学

院情報理工学系研究科電子情報学専攻。

2009 年

経済産業省 奈良市内における電動バ

スを用いた低炭素型観光

交通システム実証実験

早稲田大学、奈良県、昭和飛行機工業が連携し

て、電動バスの観光地での実用化に向けて、既

存電動バスの能力向上を図る他、バス停の非接

触給電システムの改良を行う。(1億 4,000万円)

2009 年~

2010 年

環境省 地域普及型の電動マイク

ロバスシステムの開発

早稲田大学と昭和飛行機工業等が最新の非接触

充電装置とリチウムイオンバッテリ搭載の「先

進電動マイクロバス”WEB-3”」を共同開発

し、本庄市と熊谷市で実証実験を実施。(約 2

億円)

2010 年~

2013 年

総務省 近距離無線伝送システム

の高度利用に向けた周波

数共用技術の調査検討

東芝が磁界共鳴方式、竹中工務店が電界共鳴方

式を用いた近距離無線伝送システムについて、

大出力の電波送受信の実用化に向けた利用条件

や他の無線機器への影響等を調査・検討する。

2011 年 国土交通省 電動バス運行に関する実

証実験

「次世代低公害車開発・実用化プロジェクト」

で開発された非接触給電ハイブリッドバスの実

証運行を日本交通計画協会に委託。日野自動車

製非接触給電ハイブリッドバスと昭和飛行機工

業製非接触給電装置を使用。

2011 年~

2013 年

環境省 実用的な電動マイクロバ

スシステムの構築実証事

昭和飛行機工業が長野県と連携して、長野市の

営業バス路線を実証試験フィールドとした非接

触充電型電動バスの事業性と低炭素性を検証。

(約 3 億円)

2012 年~

2013 年

総務省 電磁波エネルギー回収技

術の研究開発

電磁波エネルギーを効果的に捕捉・回収・再利

用する技術の研究開発・実証実験等を ATR とル

ネサスエレクトロ二クスに委託。(約 10 億円)

2013 年 総務省 ワイヤレス電力伝送シス

テム等における漏えい電

波の影響評価技術に関す

る研究開発

複合的な漏えい電波の状況を正確に把握し、そ

の影響を分析する技術の研究開発を株式会社パ

ナソニックシステムネットワーク開発研究所が

実施。(3 億 4800 万円)

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第4部

第5部

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第6部

年度 省庁 プロジェクト名 概要

2014 年

経済産業省 商用施設用蓄電池付き

BEMS と商用車、EV/PHV の

連携システム研究開発と

実証検証

「次世代エネルギー、社会システム実証地域」

の一つである豊田市において、デンソーと豊田

通商株式会社が連携して実証実験を行う。ヤマ

ト運輸株式会社の車両を使用して、アイドリン

グストップ中に非接触で受電し、電動式冷凍庫

の駆動を行う。(総額 10 億 3,200 万円)

2014 年 環境省 EVバス早期普及にむけ

た充電設備を乗用車と共

有するワイヤレス充電バ

スの実証研究

ワイヤレス充電地上設備を含めたシステムを開

発し、川崎市の協力のもとで企業用連絡 EV バス

の運行等による実証を東芝と早稲田大学理工学

術院が共同で行う。

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第6部

表 6-1-8 諸外国における非接触給電に関する国家プロジェクト等

国 施策年 プロジェクト名・政策など 概要

米国 2010 年 ORNL プロジェクト ・クレムゾン大学の International Center for

Automotive Research(CU-ICAR)(米)、Cisco(米)、

Duke Energy(米)が当プロジェクトに参画。

・2013 年 3 月 18 日には Evatran が技術導入と製品

のデザインを担当する下請け契約を結んだことを

発表した。

・2013 年以降、1 年目はデザイン研究を行い、2 年

目は 6.6kWと 10kWのデザインを 6種の市販 EVに導

入、3 年目にはそれらの EV を現場に設置し、限定

的な実証実験を行う。

米国 2012 年 DOE : Hydrogen and Fuel

Cells Program and Vehicle

Technologies Program

・Hyundai America Technical Center、Mojo Mobility

(米)が参画している。

・本プロジェクトの目的は、85%以上の総合システ

ム効率を持ち、6.6kW 以上の給電が可能で、規定の

電磁波放射ガイドラインに従いながら最大限の位

置ずれ許容性を持つ非接触給電システムを開発、導

入、実証することにある。

米国 2012 年 Assistant Secretary of

Defense for Operational

Energy Plans and Programs

・空軍は海外基地における研究開発に投資してお

り、その予算は 2012年度には 160万ドル、FYDP(Five

Year Defense Plan)を通して 860 万ドルが充てら

れている。その一つに line‐of‐sight energy

transfer が可能な非接触給電システムの調査と開

発が含まれていた。

欧州 2012 年 FastInCharge ・2012 年 10 月より 2015 年 9 月まで行われている

プロジェクトで、フランス、スペイン、ギリシャ、

ブルガリア、イタリア、スロバキアから 9 つの組織

が参加。

・FastInCharge とは、innovative FAST Inductive

CHARGing solution for Electric vehicles からの

略称であり、電磁誘導方式による EV 向け非接触給

電技術を開発するものである。

・当プロジェクトは、駐車中と走行中の 2 つの状況

下で、自動車に対し 40kW の給電を可能とする電磁

誘導技術である。

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第2部

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資料編

第6部

国 施策年 プロジェクト名・政策など 概要

イギリス 2011 年 Wireless Electric Vehicle

Charging(WEVC)

・Qualcomm はロンドン初となる WEVC(電磁誘導技

術)の実験を英国政府と協力し行うと発表。

・実験では、Delta Motorsport(英)や Renault(仏)

等と協力し 50 台の自動車が設置された。また、充

電スポットの設置を行う Chargemaster(英)とも

協力した。

イギリス 2014 年 ミルトンキーンズ市におけ

る非接触充電 EV バス運行

・三井物産、ミルトンキーンズ市、Arup(英)、

Wrightbus(英)、Arriva(英)のプロジェクトとし

て、2014 年 1 月末から開始。

・EV バス路線の始点・終点で電磁誘導方式を利用

して毎回充電する。

・実路線での運行データを収集・分析し、他路線へ

展開する際に最適な車載電池容量・充電設備数をシ

ミュレーションする。

ドイツ 2014 年 マンハイム市における非接

触充電 EV バス

・RNV(独)は Bombardier PRIMOVE という技術を搭

載した EV バスをマンハイムに設置する。

・RNV、マンハイム市、Bombardier Transportation

(加)、Karlsruhe Institute of Technology(独)

がプロジェクトパートナーである。

・電磁誘導技術によって充電される EV バスをマン

ハイムに設置。

・Bombardier の PRIMOVE は非接触充電の技術であ

り、道路の表面の下と自動車の床の下に設置され

る。充電は、自動車が充電部分を完全に覆ったとき

に行われる。

オランダ 2012 年 スヘルトーヘンボスでのワ

イヤレス充電 EV バス

・2012 年に全長 12 メートルの EV バスに対して非

接触給電技術が初めて適用された。

・電池容量を 240kWh から 120kWh に減らすことで、

エンジンで駆動する同型のバスと比較し座席など

の車内空間を犠牲にすることのない一方で、18 時

間以上の運行、290km の航続距離を実現したとされ

る。

中国 2010 年 WPC は Qi の国際標準規格を

中国へ導入

・WPC には元中国情報産業部の通信電磁互換性の品

質監督検査センターが参加している。また、深セン

桑菲消費通信有限公司が中国企業として唯一、WPC

の常務理事メンバーになっている。

韓国 - 国家戦略技術として非接触

給電技術の開発強化

・走行中に給電が可能な電動バス(OLEV:On-Line

Electric Vehicle)などが試作されている。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 基準や規制に関する政策

現在、国内では、50W を超える非接触給電設備に関しては高周波利用設備として個別

の設置許可を得る必要がある。電波の適切な利用の実現や障害を防止するために必要な

措置であるが、非接触給電技術の普及を考えると、すべての設備について個別の設置許

可を取ることは煩雑になる。このため、より簡便な仕組みづくりや規制の緩和について

議論が行われている。

家庭に広く普及している電子レンジや電磁誘導式加熱調理器(IH 調理器)は型式確認

という制度によって、無電極放電ランプ、誘導式読み書き通信設備、広帯域電力線搬送

通信設備などは型式指定の制度により、個別の設置許可を不要にしている。

非接触給電設備に関しても同様の制度によって普及を図るべきであるとして、BWF の

WPT-WG では要望を出している状況である。

通常の使用状態にある非接触給電機器やシステムにおいて、人体の一部または全体が

電力伝送路間や近傍に存在する場合の電磁界ばく露の指針値として、各種の指針が整理

されている。国内では「国内指針(総務省 電波防護指針)」に、国際的には「ICNIRP

指針」又は「IEEE 指針」が存在している。

第3節 標準化動向

非接触給電関連技術に関して、標準規格や法規制についての議論が各国で行われてい

る。各標準化団体が策定した標準化文章等の状況をまとめたものを表 3-3-2 に示す。

表 3-3-2 標準化動向まとめ

策定団体 文章名 概要 状況

WPC(Wireless Power

Consortium)

Qi 1.1.2 / Qi 1.2 ローパワーの技術規格。最新は 1.2だが、

2015 年 2 月現在公開されているのは

1.1.2

策定済み

A4WP(Alliance for

Wireless Power)

Rezence Technical

Specifications

ワイヤレス電力伝送に関する基本的な

機器構成に関する規格。

策定済み

PMA(Power Matters

Alliance)

N/A 製品認証を行っているが、公開されてい

る標準化文章等はない。

N/A

ブロードバンドワイヤ

レスフォーラムワイヤ

レス電力伝送ワーキン

ググループ

ワイヤレス電力伝

送技術の利用に関

するガイドライン

(2.0 版)

人体防護、電波法にまつわる日本国内指

針をまとめたもの。

策定済み

CEA(Consumer

Electronics

Association)R6.3

Subcommittee

CEA-TR-2 電波暴露に関する安全性のための標準

ルールについての規格。

策定済み

CEA-2042.1(ANSI) ワイヤレス給電技術における関連用語

(技術方式、伝送効率指標など)の統一

がなされている。

策定済み

CEA-2042.2

安全と EMC

安全性と RFエミッションに関する規格。 策定中

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

策定団体 文章名 概要 状況

CEA(Consumer

Electronics

Association)R6.3

Subcommittee

CEA 2042.3

効率&待機電力

システムの伝送効率や待機電力などに

関する技術要件や標準的な試験方法に

ついての規格。

策定中

CEA 2042.4

(A4WP)

磁界共鳴

磁界共鳴方式に関する標準規格。高共鳴

WPT の技術仕様を検討中で、利用周波数

や標準的な試験方法が定められる。

策定中

CEA 2042.5a

(WPC)

電磁誘導

CEA 2042.5b

(CEA Original)

電磁誘導方式に関する標準規格。既に製

品化されている Powermat や「Qi 規格」

に対する利用周波数の割り振りについ

ての規定されたもの。

策定中

IEC(International

Electrotechnical

Commission)

TC69 PT61980

IEC61980-1 電磁誘導、磁界共鳴、共振型電磁誘導を

対象とし、EV に向けた標準化における一

般要件を規格化したもの。

策定中

2015 年 8 月リ

リース予定

IEC61980-2 EV 向け、制御通信に関する標準規格。 策定中

(1CD)

*1stCommittee

Draft

IEC ( International

Electrotechnical

Commission)

TC69 PT61980

IEC61980-3 EV 向け、磁界結合方式にまつわる標準規

格。

策定中

(1CD)

*1stCommittee

Draft

IEC ( International

Electrotechnical

Commission)

TC100PT 62827 Ed1

IEC 62827-1

Ed. 1.0

Common components 策定中

(ACDV)

*Draft

approved for

committee

Draft with

vote

IEC 62827-2

Ed. 1.0

Multiple devices control management 策定中

(ANW)

*Approved New

Work

IEC 62827-3

Ed. 1.0

Multiple sources control management 策定中

(1CD)

*1st Committee

Draft

SAE(Society of

Automotive

Engineers)

J1773_201406 Electric Vehicle Inductively Coupled

Charging

策定済み

(2014 年 6 月

改定)

J2836/6 Wireless Charging Specific Use Cases 策定済み

(2013 年 5 月)

J2847/6 Wireless Charging Specific Messages 策定中

J2931/6 Wireless Charging Specific Protocols 策定中

J2954 電磁誘導、磁界共鳴を対象として、標準

仕様を完成させる事を目標としている。

策定中

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

策定団体 文章名 概要 状況

UL(Underwriters

Laboratories Inc )

UL2738 Induction Power Transmitters and

Receivers for use with Low Energy

Products

策定済み

UL2750 電力供給側のインターフェース、テスト

方法等に関する安全規格(米国 ANSI 規

格)。

策定中

(ドラフト化

済み)

CCSA

(China

Communications

Standards

Association)

N/A 中国の標準化団体。検討が進められてい

るが、公開されている標準化文章等はな

い。

N/A

TTA

(Tele-communications

Technology

Association)

TTA PG709 韓国国内における WPT 標準規格。 策定中

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4章 特許動向調査

第1節 調査対象範囲と調査方法

今回調査した特許の出願先国は、日本、米国、欧州、中国、韓国への出願および国際特

許出願(PCT 出願)である。欧州への出願については、欧州特許庁への広域出願(EPC 出願)

だけでなく、EPC 加盟国のうち使用した特許検索データベースに収録された国への出願も

対象とした。

本調査では、出願年(優先権主張年)を基準に、1995 年から 2012 年に出願された非接

触給電関連技術についての特許文献を対象とした。データベースはトムソン・ロイター社

が提供する DWPI(Derwent World Patents Index)を使用し、検索式を設定して対象特許

の抽出を行った。この結果、抽出された日本特許文献 6,823 件(パテントファミリー)、外

国特許文献 8,948 件(パテントファミリー)についてノイズ除去を行い、ノイズ以外の

11,351 件(パテントファミリー)について詳細解析を行った。

技術区分別調査にあたっては、表 4-1-2 から表 4-1-6 に示す技術区分を設定した。技術

区分は、「応用機器」、「給電方式」、「技術課題」、「部分構造技術」、「制御技術」のそれぞれ

5つに大別し設定した。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 4-1-2 応用機器の技術区分表

大区分 中区分 小区分家電機器(非モバイル)

小型家電機器電動シェーバ電動歯ブラシキーボード・マウス

大型家電機器テレビ掃除機

その他・不明モバイル機器

受電側機器携帯電話・スマートフォンめがね時計音楽プレーヤータブレット端末ノート型パソコンカメラその他・不明

送電側機器公共の場に設置されたもの車内に設置されるもの

移動体・産業用機器・ロボット等車両

EV/PHEV(バス、電車、特殊車両を除く)電動自転車バス電車磁気浮上列車無人搬送車(AGV)電動車いすその他・不明

車両の送電側公共の場に設置された充電設備自宅等に設置されるものコイルが設置された設備(路面等)の修繕、保守に配慮したコイルの設置手法

車両に関するその他の要素自動運転技術を利用して位置合わせを行うもの走行中給電技術サーキュラー型コイルソレノイド型コイル

ロボット産業用ロボット生活支援ロボット特殊環境用ロボットその他

回転体・回転軸宇宙太陽光発電システムサーフェイス給電システム航空機への給電水中での給電センサへの給電

構造物診断のためのセンサその他

空気中の微弱な電波による給電医療機器

ペースメーカー人工心臓人工目人工内耳補聴器内視鏡体内植込型計測器その他・不明

特殊なシステム複数台への同時給電技術仕様の異なる給電対象に給電を行うもの電力中継技術

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 4-1-3 給電方式の技術区分表

大区分 中区分 小区分磁界結合

磁界共振磁界共振以外の磁界結合

電界結合電界共振電界共振以外の電界結合

マイクロ波レーザー超音波その他

表 4-1-4 技術課題の技術区分表

大区分 中区分 小区分一般的課題

故障への対策小型化・軽量化・コスト削減標準化対応技術過熱対策課金対応認証対応状態表示・報知技術盗電対策測定・評価技術

非接触給電特有課題伝送効率向上・伝送距離延伸

何らかの部品の制御による解決構造・構成の工夫による解決その他

異物侵入対策何らかの部品の制御による解決(異物検知も含む)構造・構成の工夫による解決その他

漏洩電磁界対策(干渉・混信防止技術を含む)何らかの部品の制御による解決構造・構成の工夫による解決その他

複数の給電方式への対応送受電部の位置ズレ対策

その他・不明不明その他

注:『漏洩電磁界対策(干渉・混信防止技術を含む)』には、人体に対する電磁界の影響、及び、周辺機器

に対する電磁界の影響の双方を対象として調査している。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 4-1-5 部分構造技術の技術区分表

大区分 中区分 小区分コイル又はコアの改良電磁シールドの改良コンデンサの改良ケースの改良電源装置の改良整合器の改良整流器の改良通信装置の改良複数の部品配置の改良その他の部品の改良冷却のための構造、構成送受電部の位置調整機構

可動コイル式マルチコイル式マグネット式その他

注:『その他の部品の改良』は、「コイル又はコアの改良」、「電磁シールドの改良」、「コンデンサの改良」、

「ケースの改良」、「電源装置の改良」、「整合器の改良」、「整流器の改良」、「通信装置の改良」、「複数

の部品配置の改良」以外の要素部品の改良技術を対象とし、技術区分別動向調査では『部分構造技術 そ

の他』と表記する。

表 4-1-6 制御技術の技術区分表

大区分 中区分 小区分送受電電力制御送受電部の位置検出/位置検出に基づく制御(送受電部間の距離又は位置を検出するもの)

人への位置関係の指示送受電部又はコイルの位置制御送受電電力、共振周波数、インピーダンス調整等の制御具体的な検出方法(下記①~③以外に具体的な検出方法が記載されているもの)①給電系を構成する部分の電気的パラメータに基づく検出②給電系以外の部分の電気的パラメータに基づく検出③光学的な手段を用いた検出その他

共振周波数制御(状況に応じて共振周波数を可変にするもの)電源周波数制御(状況に応じて電源周波数を可変にするもの)インピーダンス調整制御(状況に応じてインピーダンスを可変にするもの)送受電装置間で通信を行うもの

通信の内容が、電力伝送に関係するパラメータを制御するためのもの通信の内容が、課金、認証のために使用されるものその他

異物検知/異物検知に基づく制御異物検知後に何らかの動作(下記④~⑦以外の動作)をすることが記載されているもの④ユーザへの報知⑤送受電の停止または送受電電力の低減⑥送受電電力制御、共振周波数制御等、又はインピーダンス調整制御⑦異物の除去具体的な検出方法(下記⑧~⑩以外に具体的な検出方法が記載されているもの)⑧給電系を構成する部分の電気的パラメータに基づく検出⑨給電系以外の部分の電気的パラメータに基づく検出⑩光学的な手段を用いた検出その他

冷却制御(状況に応じて何らかの品を制御し、冷却を行うもの)

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 全体動向

本調査の調査範囲は、出願年(優先権主張年)が 1995 年から 2012 年までとした。詳

細解析の対象とする出願先国として、日本、米国、欧州、中国、韓国を選定した。

本調査に関する日米欧中韓への出願件数は、20,061 件である。非接触給電関連技術の

特許出願件数推移(日米欧中韓への出願・PCT 出願)を図 4-2-1 に示す。日米欧中韓へ

の出願は、2006 年までは微増傾向であったが、2007 年以降急増した。2011 年の出願件

数は 3,905 件であり、2006 年の出願件数(799 件)の約 5 倍となった。2007 年にマサチ

ューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、磁界共振方式で 2m 離れた距離で 60W の電

力を送ることに成功したと発表したことにより、非接触給電技術についての出願が増加

したものと考えられる。

図 4-2-1 非接触給電関連技術の特許出願件数推移(日米欧中韓への出願・PCT 出願、出願年(優

先権主張年):2000 年-2012 年)

444 395 396603 576

711 799

1,238

1,605

2,120

2,635

3,905

2,952

45 24 46 78 68 99 119 170 238 321420

751 752

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数

出願年(優先権主張年)

日米欧中韓への出願 PCT出願

優先権主張

2000-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性がある。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日米欧中韓への出願における出願先国別出願件数推移及び出願件数比率を図 4-2-3 に

示す。日本を出願先国とする出願が最も多く 26.5%を占めており、次いで米国(24.9%)、

欧州(19.9%)、中国(15.4%)、韓国(13.2%)となっている。日・米・欧・中・韓の

各国とも 2011 年までの出願件数は増加しており、非接触給電技術の普及拡大とともに今

後も継続して増加していくことが考えられる。

図 4-2-3 出願先国別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年):2000 年-2012 年)

日本への出願

4,872件26.5%

米国への出願

4,579件24.9%

欧州への出願

3,666件19.9%

中国への出願

2,829件15.4%

韓国への出願

2,433件13.2%

合計

18,379件

444 395 396603 576

711 799

1,238

1,605

2,120

2,635

3,905

2,952

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

優先権主張2000-2012年

出願件数(国・地域別)

出願件数(年合計)

優先権主張2000-2012年

出願件数(年合計)

出願先国(地域)

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

次に、日米欧中韓への出願における出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率を図

4-2-5 に示す。日本国籍による出願が最も多く、全体の 37.2%を占めている。次いで米

国籍(20.6%)、欧州国籍(17.3%)、韓国籍(14.6%)、中国籍(5.5%)となっている。

2009 年以降、日本国籍による出願が他を圧倒している。2010 年以降、韓国籍の出願が米

国籍を上回っている。後述するが、2009 年以降、サムソン電子、KAIST の出願が急増し

ていることから、韓国籍の出願は、サムソン電子、KAIST の出願傾向の影響を強く受け

ていると考えられる。

図 4-2-5 出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年):2000 年-2012 年)

444 395 396603 576

711 799

1238

1605

2120

2635

3905

2952

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

優先権主張2000-2012年

出願件数(国・地域別)

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

日本国籍

6,830件37.2%

米国籍

3,784件20.6%

欧州国籍

3,180件17.3%

中国籍

1,004件5.5%

韓国籍

2,677件14.6%

その他

904件4.9%

合計

18,379件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日米欧中韓の 5 ヶ国・地域での出願件数収支を図 4-2-9 に示す。日本国籍出願人は米

国(1,153 件)・中国(745 件)を中心に多数の外国出願を行っており、日本から他国へ

の出願が他国から日本への出願に比べ多い(出超)。一方、韓国籍出願人は米国以外への

出願が少なく、中国籍出願人は外国への出願が少ない。

図 4-2-9 出願先国別-出願人国籍別出願件数収支(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年):2000 年‐2012 年)

684 件

1,153 件

2 件

676 件

138 件

539 件

602 件

62 件

16 件

211 件 447 件

745 件

202 件

191 件

367 件

450 件

124 件

378 件

278 件

37 件

日本国籍

1,153件25.2%

米国籍

1,826件39.9%

欧州国籍

602件13.1%

中国籍

62件1.4%

韓国籍

539件11.8%

その他

397件8.7%

米国への出願

4,579件

日本国籍

745件26.3%

米国籍

450件15.9%

欧州国籍

367件13.0%

中国籍

887件31.4%

韓国籍

191件6.8% その他

189件6.7%

中国への出願

2,829件

日本国籍

3,978件81.7%

米国籍

447件9.2%

欧州国籍

211件4.3%

中国籍

16件0.3%

韓国籍

137件2.8%

その他

83件1.7%

日本への出願

4,872件

日本国籍

676件18.4%

米国籍

684件18.7%欧州国籍

1,876件51.2%

中国籍

37件1.0%

韓国籍

202件5.5%

その他

191件5.2%

欧州への出願

3,666件

日本国籍

278件11.4%

米国籍

377件15.5%

欧州国籍

124件5.1%中国籍

2件0.1%

韓国籍

1,608件66.1%

その他

44件1.8%

韓国への出願

2,433件

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- 32 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 技術区分別動向

1.応用機器

応用機器に関する出願人国籍別出願件数を図 4-3-11~図 4-3-13 に示す。

各種モバイル機器についてみると、いずれの出願人国籍も携帯電話の出願件数が他の

モバイル機器よりも多くなっている。また、モバイル機器において、日本国籍は携帯電

話に次いでカメラの出願件数(204 件)が多く、米国籍はノート型パソコンの出願件数

(66 件)が多い。

各種車両についてみると、いずれの出願人国籍も EV/PHEV の出願件数が他の車両に比

べて圧倒的に多くなっている。日本国籍は、EV/PHEV に次いで無人搬送車(185 件)を多

く出願している。米国籍と欧州国籍は、全体に対して医療機器の占める割合が高くなっ

ている。

図 4-3-11 技術区分(応用機器)別出願人国籍別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年)2000 年-2012 年)

10 2 9 3

17 6 24 7 2

15 36 1 24 11 31

18 5 1 5 12

1 1 8 6

74 94 74 110 62 18

555 217 85 42 314 59

4 7 2 1 29 2

23 9 3 4 3

5 39 7 3 8

4 15 2 2 8

38 66 4 8 20 13

204 19 3 4 3 2

211 161 47 30 142 51

9 16 7

94 57 19 13 24 6

1420 294 509 52 292 46

24 27 4

3 3 7

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

家電:電動シェーバー

家電:電動歯ブラシ

家電:キーボード・マウス

家電:テレビ

家電:掃除機

家電:その他

モバイル:携帯電話

モバイル:めがね

モバイル:時計

モバイル:音楽プレーヤー

モバイル:タブレット端末

モバイル:ノート型パソコン

モバイル:カメラ

モバイル:その他

送電機器:公共の場

送電機器:車内

車両:EV/PHEV

車両:電動自転車

車両:バス

出願人国籍(地域)

技術区分(応用機器)

優先権主張 2000-2012年

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- 33 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 4-3-12 技術区分(応用機器)別出願人国籍別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年)2000 年-2012 年)

6 27 1 13

42 1 4

185 3 4

13 3 1

19227 159 16 6 4

318 48 46 30 4 1

15 3 3

3 5 17

6 2 3

53 15 1 6 29 11

584 91 34 5 87

130 21 14 1 13 5

28 17 12 5

3 4 3 6

6 1

19 1 8 3 3

23 26 26 10 15

62 53 9 14 6

19 1

1 17 28 3 4

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

車両:電車

車両:磁気浮上列車

車両:無人搬送車

車両:電動車いす

車両:その他

車両送電設備:公共の場

車両送電設備:自宅

修繕、保守に配慮した

コイルの設置

位置合わせ(自動運転を利用)

走行中給電技術

サーキュラー型コイル

ソレノイド型コイル

ロボット:産業用

ロボット:生活支援

ロボット:特殊環境用

ロボット:その他

回転体・回転軸

宇宙太陽光発電システム

サーフェイス給電システム

航空機への給電

出願人国籍(地域)

技術区分(応用機器)

優先権主張 2000-2012年

図 4-3-13 技術区分(応用機器)別出願人国籍別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年)2000 年-2012 年)

10 9 21 11 8

2 2 4

45 51 29 11 5 2

2670

33 18 21 3

207 438 262 51 58 61

60 21 5 22 73 2

53 8 16

79 17 1 25

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

水中での給電

構造物診断のためのセンサ

センサへの給電 その他

空気中の微弱な電波による給電

医療機器

複数台への同時給電技術

仕様の異なる対象への給電

電力中継技術

出願人国籍(地域)

技術区分(応用機器)

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

水中での給電

構造物診断のためのセンサ

センサへの給電 その他

空気中の微弱な電波による給電

医療機器

複数台への同時給電技術

電力中継技術

出願人国籍(地域)

技術区分(応用機器)

優先権主張 2000-2012年

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

水中での給電

構造物診断のためのセンサ

センサへの給電 その他

空気中の微弱な電波による給電

医療機器

複数台への同時給電技術

仕様の異なる対象への給電

電力中継技術

出願人国籍(地域)

技術区分(応用機器)

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

水中での給電

構造物診断のためのセンサ

センサへの給電 その他

空気中の微弱な電波による給電

医療機器

複数台への同時給電技術

電力中継技術

出願人国籍(地域)

技術区分(応用機器)

優先権主張 2000-2012年

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

応用機器の技術区分(中区分:モバイル機器)における出願人国籍別の出願件数の推

移と比率を、図 4-3-20 に示す。日本国籍による出願が最も多く、全体の 41.8%を占め

ている。次いで韓国籍(22.0%)、米国籍(19.8%)となっている。日本国籍及び米国籍

による出願は 2007 年に急増しているのに対し、韓国籍による出願は 2010 年から急増し

ている。韓国籍の出願件数は 2012 年に日本国籍の出願件数を上回っている。

図 4-3-20 技術区分(中区分:モバイル機器)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

1646

6941

27

67 75

229203 210

299

485 494

0

100

200

300

400

500

600

0

50

100

150

200

250

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

945件41.8%

米国籍

448件19.8%

欧州国籍

153件6.8%

中国籍

87件3.8%

韓国籍

497件22.0%

その他

131件5.8%

合計

2,261件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

応用機器の技術区分(中区分:車両)における出願件数の推移と比率を、図 4-3-21

に示す。日本国籍の出願人による出願件数割合が全体の過半数を占めている。日本国籍

による出願は、2008 年から急増している。欧州国籍も 2009 年から出願件数を増加させ

ている。韓国籍は、2009 年と 2011 年に出願件数を増加させている。

図 4-3-21 技術区分(中区分:車両)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

77 8236 52 73 51 73 90

218

438

565

964

598

0

200

400

600

800

1,000

1,200

0

100

200

300

400

500

600

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

1,783件53.8%

米国籍

324件9.8%

欧州国籍

756件22.8%

中国籍

75件2.3% 韓国籍

329件9.9%

その他

50件1.5%

合計

3,317件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

応用機器の技術区分(大区分:医療機器)における出願件数の推移と比率を、図 4-3-28

に示す。出願人国籍の割合は米国籍が最も高く、全体の 40.7%を占めている。次いで、

欧州国籍(24.3%)、日本国籍(19.2%)、韓国籍(5.4%)、中国籍(4.7%)となってい

る。米国籍は 2009 年から増加している。欧州国籍は 2007 年をピークに出願件数が減少

している。日本国籍の出願件数は 2008 年をピークに以降減少している。韓国籍の出願件

数は近年増加傾向にあり、2006 年に 1 件であったが、2012 年には 12 件となった。

図 4-3-28 技術区分(大区分:医療機器)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

64

21

38

75 72

47

72

127

147

96

112

123

83

0

20

40

60

80

100

120

140

160

0

10

20

30

40

50

60

70

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

207件19.2%

米国籍

438件40.7%

欧州国籍

262件24.3%

中国籍

51件4.7%

韓国籍

58件5.4%

その他

61件5.7%

合計

1,077件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

応用機器の技術区分(中区分:回転体・回転軸)における出願人国籍別の出願件数の

推移と比率を、図 4-3-24 に示す。全体の出願件数は少ないが、2007 年の 8 件から 2011

年の 24 件へと増加している。また、出願件数比率は日本国籍 23.0%、米国籍 26.0%、欧

州国籍 26.0%、韓国籍 15.0%、中国籍 10.0%であり、日本国籍・米国籍・欧州国籍が

ほぼ同程度である。また、2009 年に米国籍がまとまって出願しているが、2011 年以降は、

欧州国籍、日本国籍、韓国籍の出願が増加している。

図 4-3-24 技術区分(中区分:回転体・回転軸)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

1 12

9

6 6 6

8

4

16

6

24

11

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

12

14

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

23件23.0%

米国籍

26件26.0%

欧州国籍

26件26.0%

中国籍

10件10.0%

韓国籍

15件15.0%

合計

100件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

応用機器の技術区分(中区分:空気中の微弱な電波による給電)における出願人国籍

別の出願件数の推移と比率を、図 4-3-27 に示す。全体の出願件数は少ないものの、米国

籍による出願件数が最も多く、全体の 40.9%を占めている。次いで欧州国籍(19.3%)、

日本国籍(15.2%)、韓国籍(12.3%)、中国籍(10.5%)となっている。米国籍は 2005

年に出願のピークがあり、その後は 10 件前後で毎年推移している。欧州国籍は、2008

年から出願件数を増加させている。米国籍が先行して技術開発を強化し、その後、欧州

国籍も技術開発を強化していることが考えられる。

また、給電方式の技術区分(大区分:マイクロ波方式)における出願人国籍別の出願

件数の推移と比率を、図 4-3-34 に示す。日本国籍による出願割合が最も多く、全体の

52.2%を占めている。日本国籍は 2000 年から継続して出願している。マイクロ波方式に

よる給電と、空気中の微弱な電波による給電は、共通の技術を活用する。日本国籍はマ

イクロ波方式による給電について他の出願人国籍よりも多く出願している。一方、空気

中の微弱な電波による給電については米国・欧州国籍よりも出願件数が少なくなってい

る。

図 4-3-27 技術区分(中区分:空気中の微弱な電波による給電)別出願人国籍別出願件数推移

及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

24

0

3 3

18

15

4

14

24

2931

24

0

5

10

15

20

25

30

35

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

26件15.2%

米国籍

70件40.9%

欧州国籍

33件19.3%

中国籍

18件10.5%

韓国籍

21件12.3%

その他

3件1.8%

合計

171件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

図 4-3-34 技術区分(大区分:マイクロ波方式)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

58

35 35

73

92

63

135

85

141 137

161

124

144

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

670件52.2%

米国籍

334件26.0%

欧州国籍

120件9.4%

中国籍

56件4.4%

韓国籍

72件5.6%

その他,

31,件2.4%

合計

1,283件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

応用機器の技術区分(中区分:仕様の異なる給電対象に給電を行うもの)における出

願人国籍別の出願件数の推移と比率を、図 4-3-29 に示す。全体の出願件数は少ないもの

の、日本国籍が全体の約 70%を占め、韓国籍による出願も 2009 年以降徐々に増加して

いる。

図 4-3-29 技術区分(中区分:仕様の異なる給電対象に給電を行うもの)別出願人国籍別出願

件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

0 0

3

01

0 0

19

2

9

13

20

10

0

5

10

15

20

25

0

2

4

6

8

10

12

14

16

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本

53件68.8%

米国

8件10.4%

韓国

16件20.8%

合計

85件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.給電方式

給電方式に関する技術区分別出願件数推移を図 4-3-4 に示す。磁界共振と磁界共振以

外の磁界結合は 2007 年以降急増している。また、マイクロ波方式は、2007 年以前から

一定の割合で出願件数が増加している。また、非接触給電技術の全出願件数に対する給

電方式別の出願件数割合推移を図 4-3-5 に示す。図 4-3-5 のパーセンテージは、その年

の全出願件数に占める各給電方式の出願件数割合を示す。磁界共振以外の磁界結合の出

願件数割合は、2000 年以前からほぼ一定(50%前後)で推移している。一方、磁界共振

の出願件数割合は、2002 年に 10%前後だったが、2006 年から急増し、2011 年には 36.3%

と非接触給電技術の中でもその出願件数割合が増加している。

図 4-3-4 技術区分(給電方式)別出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)

2000 年-2012 年)

54 37 42 117 99 147 167 309 571 646 981 1426 918

279 281 255 345 323 381 403 758 792 1107 1198 1962 1664

11 5 6 8 7 5 8 13 8 13 47 99 51

44 20 15 28 30 32 20 43 73 84 125 146 147

58 35 35 73 92 63 135 85 141 137 161 124 144

6 5 8 8 7 5 6 14 29 11 23 18 16

1 3 9 6 11 9 7 1 37 13 8

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

磁界共振

磁界共振以外の磁界結合

電界共振

電界共振以外の電界結合

マイクロ波方式

レーザー方式

超音波方式

技術区分(給電方式)

出願年(優先権主張年)

優先権主張 2000-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性がある。

図 4-3-5 非接触給電技術の全出願件数に対する給電方式別の出願件数割合推移(日米欧中韓へ

の出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

11.6% 8.3% 10.5% 19.4% 17.3% 20.7% 23.2%

24.4% 34.5% 29.2% 36.5% 36.3% 31.4%

66.6% 71.4% 65.2% 56.0% 56.9% 51.4% 47.9% 61.1% 50.6% 52.7% 46.0% 50.5% 55.5%

2.3% 1.1% 2.4% 1.6% 1.5% 0.5% 0.8% 0.9% 0.4%0.5% 1.8%

2.6% 2.0%

13.7% 5.5% 3.8% 3.9% 4.8% 4.0% 2.5% 3.6% 4.1% 3.8% 4.8% 3.6% 5.1%

10.0% 8.7% 7.5% 14.4% 15.8% 9.7% 16.0% 6.6% 7.7% 6.5% 6.2% 3.1% 4.6%

1.6% 1.5% 2.1% 1.0% 1.1% 0.5% 0.9% 1.2% 1.7% 0.5% 0.9% 0.4% 0.6%

0.2% 0.4% 1.4% 0.8% 1.3% 0.6% 0.3% 0.0% 1.2% 0.3% 0.3%

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

磁界共振

磁界共振以外の磁界結合

電界共振

電界共振以外の電界結合

マイクロ波方式

レーザー方式

超音波方式

出願年(優先権主張年)

技術区分(給電方式)

優先権主張 2000-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性がある。

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- 39 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

給電方式の技術区分(中区分:磁界共振)における出願人国籍別の出願件数の推移と

比率を、図 4-3-30 に示す。日本国籍の出願件数が最も多く、全体の 37.3%を占める。

次いで韓国籍(22.6%)、米国籍(21.7%)、欧州国籍(10.6%)、中国籍(4.1%)とな

っている。米国籍は 2007 年から出願を増加させ、2008 年の 324 件をピークにそれ以降

100 件前後で推移している。日本国籍は 2007 年から出願件数を増加させ、2011 年は 676

件となった。韓国籍は、2009 年から出願件数を増加させ、2010 年以降日本国籍に次いで

出願件数が多くなっている。磁界共振については米国籍が先行して技術開発を強化し、

その後を追うように日本国籍と韓国籍が技術開発の強化を行っていることがわかる。

図 4-3-30 技術区分(中区分:磁界共振)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

54 37 42117 99

147 167

309

571646

981

1426

918

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

0

100

200

300

400

500

600

700

800

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

2,058件37.3%

米国籍

1,196件21.7%

欧州国籍

582件10.6%

中国籍

227件4.1%

韓国籍

1,247件22.6%

その他

204件3.7%

合計

5,514件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

給電方式の技術区分(中区分:磁界共振以外の磁界結合)における出願人国籍別の出

願件数の推移と比率を、図 4-3-31 に示す。日本国籍による出願割合が最も多く、全体の

38.0%を占める。次いで、欧州国籍(20.5%)、米国籍(18.7%)、韓国籍(11.3%)、中

国籍(6.1%)となっている。2007 年から全体の出願件数が増加しており、2010 年以降

日本国籍の出願件数が急増している。韓国籍の出願件数比率は、磁界共振と比べると低

くなっており、韓国籍は磁界共振の技術開発に注力していると考えられる。

図 4-3-31 技術区分(中区分:磁界共振以外の磁界結合)別出願人国籍別出願件数推移及び

出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

279 281 255345 323 381 403

758 792

11071198

1962

1664

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

3,700件38.0%

米国籍

1,822件18.7%

欧州国籍

1,996件20.5%

中国籍

599件6.1%

韓国籍

1,104件11.3%

その他

527件5.4%

合計

9,748件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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- 40 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

全出願人国籍( 日・米・欧・中・韓・その他の国籍)による給電方式と応用機器(モ

バイル機器(中区分:受電側機器)、車両(中区分)、医療機器(大区分))の技術区分間

の相関図を図 4-3-76 に示す。モバイル機器、車両、医療機器のいずれも磁界共振以外の

磁界結合に関する出願が多くなっている。車両については給電方式全体に占める割合の

うち、磁界共振が占める割合が 28%となっており、モバイル機器(中区分:受電側機器)

や医療機器に比べて高くなっている(モバイル機器(中区分:受電側機器)は 24%、医

療機器は 20%)。車両についてはモバイル機器や医療機器に比べて、磁界共振が有望視

されていることが考えられる。

図 4-3-76 技術区分(給電方式)と技術区分(応用機器)の相関(全出願人国籍( 日・米・欧・

中・韓・その他の国籍)による出願、出願年(優先権主張年):1995 年~2012 年)

734

1375

324

1992 3007 992

1375

17

114 214 132

161 157 97

613 2

16 4 50

モバイル機器

車両

医療機器

磁界共振

磁界共振以外の磁界結合

電界共振

電界共振以外の電界結合

マイクロ波方式

レーザー方式

超音波方式

技術区分(応用機器)

技術区分(給電方式)

優先権主張 1995-2012年

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- 41 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

3.技術課題

技術課題に関する出願件数推移を図 4-3-6、図 4-3-7 に示す。技術課題毎の出願件数

推移を見ると、2005 年頃から伝送効率・距離向上(制御・ハード)を課題とする出願が

増加し始め、その後 2007 年頃から異物侵入対策や過熱対策を課題とする出願が増加し、

さらにその後 2008 年頃より漏洩電磁界対策を課題とする出願が徐々に増加している。

図 4-3-6 技術区分(技術課題)別出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)

2000 年-2012 年)

10 9 9 30 14 6 27 25 44 27 48 125 67

102 115 86 123 116 132 187 182 207 327 410 655 429

1 7 5 4 5 3 3 6 10 3 38

9 5 10 9 22 14 14 49 48 47 37 141 109

1 1 1 10 6 8 5 20 16 20 15

1 3 3 1 7 2 16 16 19 32 28

2 2 1 2 5 9 14 16 16 38 47 81 55

4 4 3 7 1

6 3 7 5 27 4 15 35 17 18 21 29 30

17 9 18 53 34 33 32 69 111 192 235 339 251

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

故障への対策

小型化・軽量化・コスト削減

標準化対応技術

過熱対策

課金対応

認証対応

状態表示・報知技術

盗電対策

測定・評価技術

伝送効率・距離向上(制御)

技術区分(技術課題)

出願年(優先権主張年)

優先権主張 2000-2012年

図 4-3-7 技術区分(技術課題)別出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)

2000 年-2012 年)

54 50 56 77 79 115 95 163 266 348 515 860 687

41 8 9 14 34 7 21 66 148 120 174 182 157

3 1 3 1 14 5 8 26 43 21 50 128 134

1 1 10 1 17 7 18 23

1 1 2 1 4 1 2 5 4

1 5 4 2 2 10 3 7 7 15 20 54 49

5 5 5 11 3 6 2 15 22 35 26 90 38

3 2 6 13 2 1 15 19 15 27 25

4 8 7 11 18 24

10 5 1 15 8 11 13 40 48 101 105 207 123

18 11 25 47 31 35 27 105 148 86 112 190 62

183 177 178 247 227 325 357 505 569 841 941 1166 933

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

伝送効率・距離向上(ハード)

伝送効率・距離向上(その他)

異物侵入対策(制御)

異物侵入対策(ハード)

異物侵入対策(その他)

漏洩電磁界対策(制御)

漏洩電磁界対策(ハード)

漏洩電磁界対策(その他)

複数の給電方式への対応

送受電部の位置ズレ対策

課題 不明

課題 その他

技術区分(技術課題)

出願年(優先権主張年)

優先権主張 2000-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性がある。

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- 42 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

非接触給電技術の課題に関する出願人国籍別出願件数を図 4-3-15、図 4-3-16に示す。

伝送効率・距離向上の課題についてみると、いずれの出願人国籍も、制御による対策よ

りもハードによる対策に関する出願が多くなっている。また、異物侵入対策の課題につ

いてみると、いずれの出願人国籍も、ハードによる対策よりも制御による対策に関する

出願が多くなっている。また、日本国籍は送受電部の位置ズレ対策について最も多く出

願している。

図 4-3-15 技術区分(技術課題)別出願人国籍別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年)1995 年-2012 年)

230

3082

2657

16

1269 528 606 231 285 152

5 28 19 7 19 7

294 67 41 44 50 18

34 19 5 6 39

51 25 19 4 24 5

116 59 12 27 66 8

14 4 1

4548 88 5 19 12

684263 142

5271

28

958 673 723 102 706 203

308 240 146 145 99 43

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

故障への対策

小型化・軽量化・コスト削減

標準化対応技術

過熱対策

課金対応

認証対応

状態表示・報知技術

盗電対策

測定・評価技術

伝送効率・距離向上(制御)

伝送効率・距離向上(ハード)

伝送効率・距離向上(その他)

出願人国籍(地域)

技術区分(技術課題)

優先権主張 2000-2012年

図 4-3-16 技術区分(技術課題)別出願人国籍別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年)1995 年-2012 年)

299 43 23 1 65 6

36 9 12 1 17 3

13 6 2

112 33 18 1 11 4

162 15 23 4 52 7

57 22 26 5 18

36 6 10 20

446 77 85 13 48 18

40556

156 5 90 50

2,362 1,293 1,164 496 972 362

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

異物侵入対策(制御)

異物侵入対策(ハード)

異物侵入対策(その他)

漏洩電磁界対策(制御)

漏洩電磁界対策(ハード)

漏洩電磁界対策(その他)

複数の給電方式への対応

送受電部の位置ズレ対策

課題 不明

課題 その他

出願人国籍(地域)

技術区分(技術課題)

優先権主張 2000-2012年

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- 43 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

技術課題の技術区分(中区分:小型化・軽量化・コスト削減)における出願人国籍別

の出願件数の推移と比率を、図 4-3-35 に示す。日本国籍の出願割合が最も多く、全体の

41.3%を占めている。次いで欧州国籍(19.7%)、米国籍(17.2%)となっている。日本

国籍による出願は 2007 年以降増加しており、欧州国籍による出願件数は日本国籍よりも

遅れて 2009 年以降徐々に増加している。また、2009 年以降韓国籍による出願件数が徐々

に増加している。

図 4-3-35 技術区分(中区分:小型化・軽量化・コスト削減)別出願人国籍別出願件数推移及び

出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

102 11586

123 116 132

187 182207

327

410

655

429

0

100

200

300

400

500

600

700

0

50

100

150

200

250

300

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

1,269件41.3%

米国籍

528件17.2%

欧州国籍

606件19.7%

中国籍

231件7.5%

韓国籍

285件 9.3%

その他

152件4.9%

合計

3,071件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

技術課題の技術区分(中区分:異物侵入対策)における出願人国籍別の出願件数の推

移と比率を、図 4-3-39 に示す。日本国籍による出願割合が最も多く、全体の 64.9%を

占めている。次いで、韓国籍(15.7%)、米国籍(10.8%)、欧州国籍(6.5%)、中国籍

(0.4%)となっている。日本国籍による出願件数は、2010 年以降急増している。また

近年、韓国籍、米国籍、及び欧米国籍もわずかながら出願している。

図 4-3-39 技術区分(中区分:異物侵入対策)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

3 3 4 1

176 8

4045

40

57

151160

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

0

20

40

60

80

100

120

140

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

347件64.9%

米国籍

58件10.8%

欧州国籍

35件6.5%

中国籍

2件0.4%

韓国籍

84件15.7%

その他

9件1.7%

合計

535件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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- 44 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

技術課題の技術区分(中区分:漏洩電磁界対策)における出願人国籍別の出願件数の

推移と比率を、図 4-3-40 に示す。日本国籍の出願割合が最も大きく、全体の 58.1%を

占めている。次いで、韓国籍(14.2%)、米国籍(12.3%)、欧州国籍(11.8%)、中国籍

(1.8%)となっている。日本国籍による出願件数は 2007 年から増加している。2009 年

から米国籍と韓国籍も出願件数を増加させている。

図 4-3-40 技術区分(中区分:漏洩電磁界対策)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

9 12 9 13 11

29

7

23

44

6961

171

112

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

0

20

40

60

80

100

120

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

331件58.1%

米国籍

70件12.3%

欧州国籍

67件11.8%

中国籍

10件1.8%

韓国籍

81件14.2%

その他

11件1.9%

合計

570件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

技術課題の技術区分(中区分:送受電部の位置ズレ対策)における出願人国籍別の出

願件数の推移と比率を、図 4-3-41 に示す。日本国籍の出願割合が最も大きく、全体の

64.9%を占めている。次いで、欧州国籍(12.4%)、米国籍(11.2%)、韓国籍(7.0%)、

中国籍(1.9%)となっている。日本国籍による出願件数は 2007 年から増加している。

2011 年から米国籍と欧州国籍と韓国籍も出願件数を増加させている。

図 4-3-41 技術区分(中区分:送受電部の位置ズレ対策)別出願人国籍別出願件数推移及び

出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

10 5 115

8 11 13

4048

101 105

207

123

0

50

100

150

200

250

0

20

40

60

80

100

120

140

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

446件64.9%

米国籍

77件11.2%

欧州国籍

85件12.4%

中国籍

13件1.9%

韓国籍

48件7.0%

その他

18件2.6%

合計

687件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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- 45 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

4.部分構造技術

モバイル機器(中区分:受電側機器)における、出願人国籍別の部分構造技術の出願

件数を図 4-3-93 に示す。日本国籍は、コイル又はコアの改良技術、複数の部品配置の改

良技術、電磁シールド、マルチコイル式を除く位置調整機構等について、最も多く出願

している。

図 4-3-93 モバイル機器(中区分:受電側機器)における出願人国籍別-部分構造技術の出願

件数(出願年(優先権主張年):1995 年~2012 年)

69 27 34 1 2 20 30 3 7 14 1 31 7

24 4 3 14 13

2 4 4 5 2 3 3

2 3 3 1

42 1 10 2 24 15 4 1

9 2 1 1 2 8

コイル又はコアの改良

電磁シールドの改良

コンデンサの改良

ケースの改良

電源装置の改良

整合器の改良

整流器の改良

通信装置の改良

複数の部品配置の改良

部分構造技術

その他

冷却構造

位置調整:可動コイル式

位置調整:マルチコイル式

位置調整:マグネット式

位置調整:その他

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

出願人国籍(地域)

技術区分(部分構造技術)

優先権主張 1995-2012年

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- 46 -

本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

5.制御技術

制御技術の技術区分(大区分:共振周波数制御)における出願人国籍別の出願件数の

推移と比率を、図 4-3-50 に示す。日本国籍による出願割合が最も多く、36.0%を占めて

いる。次いで、米国籍(28.4%)、韓国籍(19.5%)、欧州国籍(9.3%)、中国籍(2.4%)

となっている。米国籍による出願は 2003 年をピークに以降減少傾向にある。一方で、日

本国籍による出願は 2008 年以降急増している。また、日本国籍に遅れて 2010 年以降韓

国籍による出願も急増している。

図 4-3-50 技術区分(大区分:共振周波数制御)別出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

2 0

16

42

0

23 2521

27

46

74

133

52

0

20

40

60

80

100

120

140

0

10

20

30

40

50

60

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

166件36.0%

米国籍

131件28.4%

欧州国籍

43件9.3%

中国籍

11件2.4%

韓国籍

90件19.5%

その他

20件4.3%

合計

461件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

制御技術の技術区分(大区分:インピーダンス調整制御)における出願人国籍別の出

願件数の推移と比率を、図 4-3-51 に示す。日本国籍による出願割合が最も多く、34.6%

を占めている。次いで、韓国籍(33.0%)、米国籍(21.9%)、欧州国籍(6.1%)となっ

ている。日本国籍、米国籍による出願は 2008 年以降増加しているのに対し、欧州国籍の

出願人は 2003 年の早い時期から出願をはじめている。2009 年から韓国籍の出願件数が

急増している。

図 4-3-51 技術区分(大区分:インピーダンス調整制御)別出願人国籍別出願件数推移及び

出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)2000 年-2012 年)

27

28 10 12 10

5

47

67

98

122116

0

20

40

60

80

100

120

140

0

10

20

30

40

50

60

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数(国・地域別)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願件数(年合計)

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2012年

日本国籍

175件34.6%

米国籍

111件21.9%

欧州国籍

31件6.1%

韓国籍

167件33.0%

その他

22件4.3%

合計

506件

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 出願人別動向

非接触給電関連技術の日本、米国、欧州、中国、韓国への出願件数上位の出願人ラン

キングを表 4-4-1 に示す。また、携帯電話・スマートフォンの出願件数上位の出願人ラ

ンキングと EV/PHEV の出願件数上位の出願人ランキングを表 4-4-5 と表 4-4-7 に示す。

非接触給電関連技術の出願人別出願件数上位ランキングを見ると、パナソニックが 1 位、

サムソン電子が 2 位、クアルコムが 3 位と、家電メーカーが上位を占めている。自動車

メーカーとしては、トヨタ自動車が 4 位にランキングしている。

上位には、WiTricity や KOREA ADV INST SCI & TECHNOLOGY(KAIST)などのベンチャ

ー企業や研究機関がランクインしているのに対し、日本のベンチャー企業や研究機関か

らの出願は少ない。非接触給電技術の主要な応用製品である携帯電話・スマートフォン、

EV/PHEV の出願件数上位ランキングをみると、日本国籍が上位にランクインしている。

表 4-4-1 出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):

1995 年-2012 年)

順位 出願人 件数

1 パナソニック 943

2 サムソン電子(韓国) 807

3 クアルコム(米国) 715

4 トヨタ自動車 611

5 アクセスビジネスグループ(米国) 503

6 ソニー 437

7 豊田自動織機 360

8 セイコーエプソン 345

9 フィリップス(オランダ) 337

10 SEW-オイロドライブ(ドイツ) 266

11 WITRICITY CORP(米国) 254

12KOREA ADV INST SCI&TECHNOLOGY(韓国)

239

13 LG INNOTEK CO LTD(韓国) 234

14 シーメンス(ドイツ) 229

15 東芝 216

16 ロバート・ボッシュ(ドイツ) 210

17 半導体エネルギー研究所 191

18 BAARMAN D W(米国) 181

19 三洋電機 179

20PHILIPS INTELLECTUAL PROPERTY GMBH(ドイツ)

178

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- 48 -

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 4-4-5 技術区分(携帯電話・スマートフォン、EV/PHEV)における出願人別出願件数上位

ランキング(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1995 年-2012 年)

順位 出願人 件数

1 セイコーエプソン 114

2 サムソン電子(韓国) 104

3 ソニー 93

4 パナソニック 82

5 LG電子(韓国) 63

6 アクセスビジネスグループ(米国) 61

7 ソニーエリクソン 55

8 ハンリム ポステック(韓国) 38

9 サムソン エレクトロメカニクス(韓国) 32

10 キヤノン 30

表 4-4-7 技術区分(EV/PHEV)における出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓への出願、

出願年(優先権主張年):1995 年-2012 年)

順位 出願人 件数

1 トヨタ自動車 503

2 豊田自動織機 175

3KOREA ADV INST SCI&TECHNOLOGY(韓国)

147

4 日産自動車 124

5 住友電装 115

6 住友電気工業 107

7 エクオスリサーチ 105

8 パナソニック 90

9 矢崎総業 76

10 SEW-オイロドライブ(ドイツ) 75

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

注目出願人として選定したサムソン電子、クアルコム、WiTricity、POWERMAT、KAIST

の出願先国別出願件数推移及び出願件数比率を図 4-5-1~図 4-5-3、図 4-5-5、図 4-5-6 に示

す。クアルコムは、2007 年以降出願件数が急増し、日・米・欧・中・韓への出願割合も

均等に出願している。

WiTricity や POWERMAT 等の米国籍ベンチャー企業は、2007 年・2008 年頃に出願のピ

ークがあり、出願先は米国が主である。

近年、サムスン電子や KAIST 等韓国籍出願人の出願が増大している。サムスン電子は

米国にも積極的に出願しているが、KAIST からの外国出願は少ない。

図 4-5-1 サムソン電子に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への

出願、出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

日本への出願

62件7.7%

米国への出願

265件32.8%

欧州への出願

97件12.0%

中国への出願

72件8.9%

韓国への出願

311件38.5%

合計

807件

0 0 0 0 0 0 7 2 10 12 18 1 6

18

66

178

287

202

0

50

100

150

200

250

300

350

0

20

40

60

80

100

120

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願年(優先権主張年)

出願件数(国・地域別)

出願先国(地域)

出願件数(年合計)

優先権主張

1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

図 4-5-2 クアルコムに関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、

出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

日本への出願

137件19.2%

米国への出願

198件27.7%

欧州への出願

114件15.9%

中国への出願

114件15.9%

韓国への出願

152件21.3%

合計

715件

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 14

107

198

178

100

76

41

0

50

100

150

200

250

0

10

20

30

40

50

60

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願年(優先権主張年)

出願件数(国・地域別)

出願先国(地域)

出願件数(年合計)

優先権主張

1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 4-5-3 WiTricity に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、

出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

日本への出願

14件5.5%

米国への出願

186件73.2%

欧州への出願

17件6.7%

中国への出願

19件7.5%

韓国への出願

18件7.1%

合計

254件

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

69

0

18

109

10 8

27

13

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願年(優先権主張年)

出願件数(国・地域別)

出願先国(地域)

出願件数(年合計)

優先権主張

1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

図 4-5-5 POWERMAT に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、

出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

日本への出願

17件16.0%

米国への出願

42件39.6%

欧州への出願

17件16.0%

中国への出願

14件13.2%

韓国への出願

16件15.1%

合計

106件0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

44

25

19

5

10

3

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願年(優先権主張年)

出願件数(国・地域別)

出願先国(地域)

出願件数(年合計)

優先権主張

1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

図 4-5-6 KAIST に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、

出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

日本への出願

4件1.7% 米国への出願

22件9.2%

欧州への出願

10件4.2%

中国への出願

8件3.3%

韓国への出願

195件81.6%

合計

239件

0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 4

1

91

38

69

35

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願年(優先権主張年)

出願件数(国・地域別)

出願先国(地域)

出願件数(年合計)

優先権主張

1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性があるため、点線にて示す。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

サムソン電子、アクセスビジネスグループ、KAIST、クアルコムに関する技術区分別出

願件数推移を図 4-5-8、図 4-5-11、図 4-5-14、図 4-5-17 に示す。クアルコムと KAIST

は、漏洩電磁界対策を課題とする出願を 2009 年に増加させ、サムソン電子は、漏洩電磁

界対策を課題とする出願を 2011 年に増加させている。図 4-3-39 と図 4-3-40 より、日本

国籍は漏洩電磁界対策や異物侵入対策について他の出願人国籍よりも多く出願している

が、近年、クアルコム、アクセスビジネスグループ、サムソン電子、KAIST など米国籍

や韓国籍の出願人も出願を行っている。漏洩電磁界対策や異物侵入対策は、非接触給電

技術の技術開発を進めるうえで大きな技術課題となっており、今後、米国籍や韓国籍か

らの出願件数も増加していくと考えられる。

図 4-5-8 サムソン電子の技術課題と応用機器に関する技術区分別出願件数推移(日米欧中韓

への出願、出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

2 5 9

5 4 4 10 20 15

9

9

3 7 2

3 2 5

7

2 2 5 2 3 1 1 8 42 81 116 91

4 54

12

3 3 7

4 1

2 1 10 11 1 9 22 86 137 60

4 10

9 4

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

故障への対策

小型化・軽量化・コスト削減

標準化対応技術

過熱対策

課金対応

認証対応

状態表示・報知技術

盗電対策

測定・評価技術

伝送効率向上

異物侵入対策

漏洩電磁界対策

複数の給電方式への対応

送受電部の位置ズレ対策

不明・その他

複数台への同時給電技術

仕様の異なる対象への給電

電力中継技術

出願年(優先権主張年)

技術区分(技術課題・応用機器)

優先権主張

1995年-2012年

図 4-5-11 アクセスビジネスグループの技術課題と応用機器に関する技術区分別出願件数推移

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

1 5 1 1

59 30 1 24 16 4 25 4

15 5 4

8

1

5

45

10 1 8 6

49 8 21 8 8 6 16 17 19 10 8

15 8 6 4

4 6 6

2 9 6 6

12 27 13 4 11 17 10 5 3

3

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

故障への対策

小型化・軽量化・コスト削減

標準化対応技術

過熱対策

課金対応

認証対応

状態表示・報知技術

盗電対策

測定・評価技術

伝送効率向上

異物侵入対策

漏洩電磁界対策

複数の給電方式への対応

送受電部の位置ズレ対策

不明・その他

複数台への同時給電技術

仕様の異なる対象への給電

電力中継技術

出願年(優先権主張年)

技術区分(技術課題・応用機器)

優先権主張 1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性がある。

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- 52 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 4-5-14 KAIST の技術課題と応用機器に関する技術区分別出願件数推移(日米欧中韓への

出願、出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

3 1

1 3 8 3 6 8

3

4 1 1 1

1 1 1

2

2

1

34 8 24 12

2 2

13 1 7

12 3

1

1

1

33 22 30 12

1

3

1

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

故障への対策

小型化・軽量化・コスト削減

標準化対応技術

過熱対策

課金対応

認証対応

状態表示・報知技術

盗電対策

測定・評価技術

伝送効率向上

異物侵入対策

漏洩電磁界対策

複数の給電方式への対応

送受電部の位置ズレ対策

不明・その他

複数台への同時給電技術

仕様の異なる対象への給電

電力中継技術

出願年(優先権主張年)

技術区分(技術課題・応用機器)

優先権主張 1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性がある。

図 4-5-17 クアルコムの技術課題と応用機器に関する技術区分別出願件数推移(日米欧中韓へ

の出願、出願年(優先権主張年):1995 年‐2012 年)

1 7 3 8

2

5 5 1

1

24 45 35 30 33 21

1 3

5 5 5 1

5

114 83 153 126 55 35 15

7 3

5 5

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

故障への対策

小型化・軽量化・コスト削減

標準化対応技術

過熱対策

課金対応

認証対応

状態表示・報知技術

盗電対策

測定・評価技術

伝送効率向上

異物侵入対策

漏洩電磁界対策

複数の給電方式への対応

送受電部の位置ズレ対策

不明・その他

複数台への同時給電技術

仕様の異なる対象への給電

電力中継技術

出願年(優先権主張年)

技術区分(技術課題・応用機器)

優先権主張 1995-2012年

注:2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可

能性がある。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5節 米国登録特許における権利譲渡の動向

本調査にて抽出した非接触給電関連技術のうち、米国で登録された登録特許 1,927 件

を対象に、米国における権利譲渡の解析を行った。

米国における登録特許の権利譲渡に関する情報は、米国特許商標庁のデータベース

Public Pair、及び日立製作所の Shareresearchを用いた。解析の対象とする譲渡種別は、

担保譲渡、ライセンス譲渡、及び企業間譲渡(グループ間譲渡を除く)を対象とし、発

明者譲渡は対象から除いた。また、1つの登録特許が複数回にわたって譲渡されている

場合は、譲渡 1 回につき譲渡件数 1 件として集計した。

譲り受けを行った回数が多い上位5社を表 4-7-1(米国登録特許の譲受人ランキング)

に示す。クアルコムの譲受回数が最も多く 23 回となった。なお、WiTricity が譲り受け

た特許は、全て MIT からの譲渡である。

表 4-7-1 米国登録特許の譲受人ランキング

順位 譲受人 譲受回数1 クアルコム(米国) 232 BLACK SAND TECHNOLOGIES INC(米国) 203 INVENTION SCI FUND I LLC(米国) 174 WiTricity(米国) 155 アクセスビジネスグループ(米国) 14

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目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5章 研究開発動向調査

第1節 調査対象範囲と調査方法

本調査では、2000 年から 2013 年までに主要国際論文誌で発表された非接触給電関連技

術についての学術論文、学術専門誌を対象とした。データベースはトムソン・ロイター社

が提供する Web of Science と、IEEE の収録データベースである IEEE Xplore を使用した。

調査対象論文誌と検索式を設定して対象論文の抽出を行った結果、3,020 件の文献が得ら

れた。この 3,020 件の文献のうち、ノイズ以外の 1,891 件を用いて詳細解析を行った。

技術区分別調査にあたっては、特許動向調査で用いた技術区分を設定した。

第2節 全体動向

研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び論文発表件数比率を図 5-2-1 に示す。

2000 年代前半は横ばいであったが、2006 年から微増傾向、さらに 2010 年から急増した。

2013 年の発表件数は、2006 年の 9 倍以上となった。米国籍が 21.0%と最も多く、次い

で日本国籍(17.4%)、欧州国籍(15.0%)、中国籍(10.3%)、韓国籍(9.2%)と続い

ている。

図 5-2-1 研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び論文発表件数比率(論文発表年 2000 年~

2013 年)

17 1722 29 21

38 55 6189

108

168

328

412

527

0

100

200

300

400

500

600

0

50

100

150

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

論文発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

発表年2000-2013年

論文件数(国・地域別)

論文件数(年合計)

研究者所属機関国籍(地域)

日本国籍

330件17.4%

米国籍

397件21.0%

欧州国籍

284件15.0%

中国籍

194件10.3%

韓国籍

175件9.2%

その他

512件27.1%

合計

1,892件

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 技術区分別動向

給電方式に関する論文発表件数推移を図 5-3-4に示す。図 4-3-4の特許動向と同じく、

磁界共振以外の磁界結合が最も多く、次いで磁界共振の発表件数が多い。磁界共振以外

の磁界結合および磁界共振は、2010 年までは微増傾向、2011 年以降急増している。図

4-3-4 の特許動向と比較してマイクロ波方式の割合が若干多く、全体の約 10%を占める。

図 5-3-4 技術区分(給電方式)別論文発表件数推移(論文発表年 2000 年~2013 年)

1 3 2 3 6 4 3 9 18 35 65 118 132

12 7 13 15 11 19 31 33 41 48 70 122 141 188

1 2 3 2 4 6

2 2 1 1 1 2 1 5 7 6 8 6 11

2 1 4 8 3 4 5 4 7 7 17 51 32 53

1 1 1

1 3 1 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

磁界共振

磁界共振以外の磁界結合

電界共振

電界共振以外の電界結合

マイクロ波方式

レーザー方式

超音波方式

論文発表年

技術区分(給電方式)

発表年 2000-2013年

応用機器に関する研究者所属機関国籍別論文発表件数を図 5-3-12 に示す。また、

給電方式に関する研究者所属機関国籍別論文発表件数を図 5-3-13 に示す。空気中の微弱

な電波による給電に関して、米・欧州国籍と比べて日本国籍の発表件数が少ない。一方、

マイクロ波方式に関して、日本国籍からの発表件数が最も多くなっている。

図 5-3-12 技術区分(応用機器)別研究者所属機関国籍別論文発表件数(論文発表年 2000 年~

2013 年)

1 3 1

22 8 10 5 3 12

2

2 1

3 1 1 1 1

3 4

520 6

11 4 10

9

41

4514 10 49

20 64 17 18 10 60

2 2

1 1

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

回転体・回転軸

宇宙太陽光発電システム

サーフェイス給電システム

航空機への給電

水中での給電

構造物診断のためのセンサ

センサへの給電 その他

空気中の微弱な電波による給電

医療機器

複数台への同時給電技術

仕様の異なる給電対象に給電

電力中継技術

研究者所属機関国籍(地域)

技術区分(応用機器)

発表年 2000-2013年

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 5-3-13 技術区分(給電方式)別研究者所属機関国籍別論文発表件数(論文発表年 2000 年~

2013 年)

89 66 42 49 6885

68 177 126 77 53 250

8 2 3 1 4

10 11 5 3 2 22

78 42 26 11 7 34

2 1

3 1 2

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

磁界共振

磁界共振以外の磁界結合

電界共振

電界共振以外の電界結合

マイクロ波方式

レーザー方式

超音波方式

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

磁界共振

電界共振

マイクロ波方式

レーザー方式

超音波方式

研究者所属機関国籍(地域)

技術区分(給電方式)

制御技術に関する研究者所属機関国籍別論文発表件数を図 5-3-18 に示す。日本国籍は

他の国籍出願人と比較してインピーダンス調整制御が 16 件と最も多く、次いで、共振周

波数制御が 9 件となっている。

図 5-3-18 技術区分(制御技術)別研究者所属機関国籍別論文発表件数(論文発表年 2000 年~

2013 年)

9 4 5 8 4

9

23

16

16 5 2 1 3 5

2 1 1

1

4 8 5 2 2 6

1

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

その他

共振周波数制御

電源周波数制御

インピーダンス調整制御

通信:電力伝送に関係する

通信:課金・認証

通信:その他

異物検知後の動作

異物検知後:報知

異物検知後:送受電の停止・低減

異物検知後:電力・周波数・

インピーダンス制御

異物検知後:除去

異物検出方法

異物検出方法:給電系

異物検出方法:給電系以外

異物検出方法:光学的手段

異物検出:その他

冷却制御

研究者所属機関国籍(地域)

技術区分(制御技術)

発表年 2000-2013年

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

給電方式の技術区分(中区分:磁界共振)における研究者所属機関国籍別の論文発表

件数の推移と論文発表件数比率を、図 5-3-25 に示す。日本国籍による発表件数が 22.3%

と最も多くなっており、次いで韓国籍(17.0%)、米国籍(16.5%)、中国籍(12.3%)、

欧州国籍(10.5%)となっている。2008 年以降全体の発表件数が増加し、2013 年の全体

の発表件数は 132 件と 2008 年の約 15 倍となった。2010 年まで日本国籍の発表件数は米

国・欧州よりも少なかったが、2011 年以降急増し、2012 年は最も多くの論文発表をして

いる。

図 5-3-25 技術区分(中区分:磁界共振)別研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び

論文発表件数比率(論文発表年 2000 年-2013 年)

1 3 2 0 3

6 4 3 9

18

35

65

118

132

0

20

40

60

80

100

120

140

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

論文件数(国・地域別)

発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

論文件数(年合計)

研究者所属機関国籍(地域)

発表年

2000-2013年

日本国籍

89件22.3%

米国籍

66件16.5%

欧州国籍

42件10.5%

中国籍

49件12.3%

韓国籍

68件17.0%

その他

85件21.3%

合計

399件

給電方式の技術区分(中区分:磁界共振以外の磁界結合)における研究者所属機関国

籍別の論文発表件数の推移と論文発表件数比率を、図 5-3-26 に示す。米国籍による発表

件数が 23.6%と最も多くなっており、次いで欧州国籍(16.8%)、中国籍(10.3%)、日

本国籍(9.1%)、韓国籍(7.1%)となっている。全体として、2005 年以降緩やかに増

加し、2010 年以降急増している。米国籍は 2009 年以降、毎年発表件数を増加させてい

るが、欧州国籍は 2013 年の発表件数が急増している。

図 5-3-26 技術区分(中区分:磁界共振以外の磁界結合)別研究者所属機関国籍別論文発表件数

推移及び論文発表件数比率(論文発表年 2000 年-2013 年)

12 7

13 15 11

19

31 33 41

48

70

122

141

188

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

0

10

20

30

40

50

60

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

論文件数(国・地域別)

発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

論文件数(年合計)

研究者所属機関国籍(地域)

発表年

2000-2013年 日本国籍

68件9.1%

米国籍

177件23.6%

欧州国籍

126件16.8%

中国籍

77件10.3%

韓国籍

53件7.1%

その他

250件33.3%

合計

751件

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

制御技術の技術区分(中区分:共振周波数制御)における研究者所属機関国籍別の論

文発表件数の推移と論文発表件数比率を、図 5-3-35 に示す。日本国籍による発表件数が

23.1%と最も多くなっており、次いで中国籍(20.5%)、欧州国籍(12.8%)、米・韓国

籍(10.3%)となっている。

図 5-3-35 技術区分(中区分:共振周波数制御)別研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び

論文発表件数比率(論文発表年 2000 年-2013 年)

1

0 0 0 0

1

3

1

2

3

4 4

12

8

0

2

4

6

8

10

12

14

0

1

1

2

2

3

3

4

4

5

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

論文件数(国・地域別)

発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

論文件数(年合計)

研究者所属機関国籍(地域)

発表年

2000-2013年

日本国籍

9件23.1%

米国籍

4件10.3%

欧州国籍

5件12.8%

中国籍

8件20.5%

韓国籍

4件10.3%

その他

9件23.1%

合計

39件

制御技術の技術区分(大区分:インピーダンス調整制御)における研究者所属機関国

籍別の論文発表件数の推移と論文発表件数比率を、図 5-3-36 に示す。日本国籍による発

表件数が 50.0%と最も多くなっており、次いで米国籍(15.6%)、韓国籍(9.4%)、欧

州国籍(6.3%)、中国籍(3.1%)となっている。

図 5-3-36 技術区分(大区分:インピーダンス調整制御)別研究者所属機関国籍別論文発表件数

推移及び論文発表件数比率(論文発表年 2000 年-2013 年)

0 0 0 0 0 0 0 0

1 1

4 4

8

14

0

2

4

6

8

10

12

14

16

0

1

2

3

4

5

6

7

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

論文件数(国・地域別)

発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

論文件数(年合計)

研究者所属機関国籍(地域)

発表年

2000-2013年

日本国籍

16件50.0%

米国籍

5件15.6%

欧州国籍

2件6.3%

中国籍

1件3.1%

韓国籍

3件9.4%

その他

5件15.6%

合計

32件

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

応用機器の技術区分(中区分:空気中の微弱な電波による給電)における研究者所属

機関国籍別の論文発表件数の推移と論文発表件数比率を、図 5-3-23 に示す。欧州国籍に

よる発表件数が 26.8%と最も多くなっており、次いで米国籍(24.4%)、中国籍(8.3%)、

韓国籍(6.0%)、日本国籍(5.4%)となっている。2011 年以降、欧州国籍の増加とと

もに全体としても発表件数が急増している。日本国籍の 2011 年以降の発表件数は停滞し

ている。

図 5-3-23 技術区分(中区分:空気中の微弱な電波による給電)別研究者所属機関国籍別論文

発表件数推移及び論文発表件数比率(論文発表年 2000 年-2013 年)

0 1 1 1 1 3 4 4

6

9

19

30

40

49

0

10

20

30

40

50

60

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

論文件数(国・地域別)

発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

論文件数(年合計)

研究者所属機関国籍(地域)

発表年

2000-2013年

日本国籍

9 件5.4%

米国籍

41件24.4%

欧州国籍

45件26.8%

中国籍

14件8.3%

韓国籍

10件6.0%

その他

49件29.2%

合計

168件

給電方式の技術区分(大区分:マイクロ波方式)における研究者所属機関国籍別の論

文発表件数の推移と論文発表件数比率を、図 5-3-29 に示す。日本国籍による発表件数が

39.4%と最も多くなっており、次いで米国籍(21.2%)、欧州国籍(13.1%)、中国籍(5.6%)、

韓国籍(3.5%)となっている。図 4-3-34 の特許動向と同様、日本国籍はマイクロ波に

よる給電についての発表件数は最も多いのに対し、空気中の微弱な電波による給電につ

いての発表件数は少なくなっている。

図 5-3-29 技術区分(大区分:マイクロ波方式)別研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び

論文発表件数比率(論文発表年 2000 年-2013 年)

2 1

4

8

3 4 5 4

7 7

17

51

32

53

0

10

20

30

40

50

60

0

5

10

15

20

25

30

35

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

論文件数(国・地域別)

発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

論文件数(年合計)

研究者所属機関国籍(地域)

発表年

2000-2013年

日本国籍

78件39.4%

米国籍

42件21.2%

欧州国籍

26件13.1%

中国籍

11件5.6%

韓国籍

7件3.5%

その他

34件17.2%

合計

198件

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 研究者所属機関・研究者別動向

研究者所属機関別論文発表件数上位ランキングを表 5-4-1 に示す。1 位のオークラン

ド大学は 182 件で、2 位の KAIST(69 件)の約 2.6 倍となっている。上位 10 位以内の日

本国籍は、東京大学が 5 位、京都大学が 9 位という結果となっている。

携帯電話・スマートフォン、EV/PHEV における研究者所属機関別論文発表件数上位ラ

ンキングを表 5-4-3 と表 5-4-4 に示す。携帯電話・スマートフォンでは、上位は韓国籍

と中国籍の研究者所属機関が占める結果となった。ただし、応用機器が携帯電話・スマ

ートフォンであることが特定されている論文は非常に少なかった。EV/PHEV では、1 位は

オークランド大学の 50 件で、2 位の KAIST(23 件)の 2 倍以上となっている。日本国籍

では、埼玉大学と東京大学が 3 位、京都大学が 5 位となっている。

特許動向と比べ、大学による研究開発の割合が多い。また、研究者別論文発表件数上

位ランキングを表 5-4-5 に示す。1 位から 5 位まではオークランド大学の研究者がラン

クインしている。日本国籍からは 6 位の京都大学、11 位の東京大学、16 位の東北大学、

24 位の名古屋工業大学の研究者がランクインしており、10 位には龍谷大学の企業(リュ

ーテック)がランクインしている。日本の大学や研究機関も上位に位置し、非接触給電

関連技術の基礎研究も進展していると考えられる。

表 5-4-1 研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング(論文発表年:2000 年-2013 年)

順位 研究者所属機関 件数

1 オークランド大学 (ニュージーランド) 1822 KAIST (韓国) 693 Hong Kong Polytech Univ (香港) 614 カリフォルニア大学 (米国) 575 東京大学 566 Texas A&M Univ (米国) 537 ジョージア工科大学 (米国) 488 Natl Univ Singapore (シンガポール) 459 京都大学 409 Chongqing Univ (中国) 4011 メリーランド大学 (米国) 3612 東北大学 3412 香港大学 (中国) 3412 Kyungpook Natl Univ (韓国) 3415 MIT (米国) 3116 テキサス大学 (米国) 3017 ピッツバーグ大学 (米国) 2817 サウサンプトン大学 (イギリス) 2819 Zhejiang Univ (中国) 2720 ジョージア大学 (米国) 24

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 5-4-3 研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング

(携帯電話・スマートフォン、論文発表年:2000 年-2013 年)

順位 研究者所属機関 件数1 Kyungpook Natl Univ (韓国) 32 Chinese Acad Sci (中国) 22 Hanyang Univ (韓国) 22 Seoul Natl Univ (韓国) 22 Tsing Hua Univ (中国) 26 名古屋工業大学 16 奈良先端科学技術大学院大学 16 オークランド大学 (ニュージーランド) 16 Chongju Univ (韓国) 16 Chungnam Nat Univ (韓国) 1

表 5-4-4 研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング

(EV/PHEV、論文発表年:2000 年-2013 年)

順位 研究者所属機関 件数1 オークランド大学 (ニュージーランド) 502 KAIST (韓国) 233 埼玉大学 83 東京大学 85 京都大学 55 Oak Ridge Nat Lab (米国) 57 デルフト工科大学 (オランダ) 48 コンコルディア大学 (カナダ) 38 メリーランド大学 (米国) 38 名古屋工業大学 3

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 5-4-5 研究者別論文発表件数上位ランキング(論文発表年:2000 年-2013 年)

順位 研究者 所属機関 件数1 Covic, G.A オークランド大学 (ニュージーランド) 652 Hu, A.P オークランド大学 (ニュージーランド) 473 Boys, J.T オークランド大学 (ニュージーランド) 464 Madawala, U オークランド大学 (ニュージーランド) 385 Thrimawithana, D オークランド大学 (ニュージーランド) 346 Shinohara, N 京都大学 327 Fu, W.N Hong Kong Polytech Univ (香港) 248 Ghovanloo, M ジョージア工科大学 (米国) 228 Ho, S.L Hong Kong Polytech Univ (香港) 2210 Awai, I リューテック 1911 Hori, Y 東京大学 1811 Imura, T 東京大学 1811 Georgakopoulos, S.V フロリダ工科大学 (米国) 1814 Mingui Sun Hong Kong Polytech Univ (香港) 1715 Joungho Kim KAIST (韓国) 1616 Matsuki, H 東北大学 1516 Sato, F 東北大学 1516 Georgiadis, A Ctr Tecnol Telecomunicac Catalunya (中国) 1516 Jonah, O フロリダ工科大学 (米国) 1516 Mongiardo, M Perugia Univ (イタリア) 1521 Collado, A CTTC (スペイン) 1421 Dionigi, M Perugia Univ (イタリア) 1421 Ishizaki, T ジョージア工科大学 (米国) 1424 Kikuma, N 名古屋工業大学 1324 Hirayama, H 名古屋工業大学 13

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第6章 提言

本調査における調査結果に基づき、「技術開発の方向性」、「市場開拓のための課題」、及

び「知的財産戦略に関する課題」の観点から、以下の提言を行う。

提言1 技術開発の方向性(1) 電気自動車

提言2 技術開発の方向性(2) モバイル機器

提言3 技術開発の方向性(3) 新たな応用分野

提言4 市場開拓のための課題(1) 電気自動車への普及戦略

提言5 市場開拓のための課題(2) ニーズに適合した技術開発

提言6 市場開拓のための課題(3) 複数規格への対応

提言7 知的財産戦略に関する課題(1) 標準化と連携した知的財産戦略

提言8 知的財産戦略に関する課題(2) 実証実験と知的財産戦略

提言9 知的財産戦略に関する課題(3) 中小企業・ベンチャー企業への支援

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

提言 1 技術開発の方向性(1)電気自動車

「車両用の磁界共振技術」の研究開発をさらに進め、漏洩電磁界対策、異物侵入

対策、ロバスト性能向上等の周辺課題に取り組んでいくことが重要である。

①車両用の非接触給電方式として、磁界共振方式が有望。

磁界共振方式は、共振現象を利用することにより、離れた距離での給電が可能といった

利点を有する。電気自動車等の車両ではその構造上、受電コイルと給電コイルとの距離が

離れていることが多いため、車両への非接触給電方式としては、磁界共振方式が有望視さ

れている。

②漏洩電磁界対策、異物侵入対策が大きな課題となっている。

車両への非接触給電においては、漏洩電磁波や漏洩電磁界による周辺機器や人体に対す

る影響を抑えることが国内外ともに大きな課題となっている。また、送電部(給電コイル)

と受電部(受電コイル)の間に異物が侵入すると過熱されてしまうため、品質安全上、異

物侵入対策についても製品化を進める上で大きな課題となっている。

このため、非接触給電を行う際に発生する電磁波からの人体防護に関連する基準として、

国内では、「国内指針(総務省電波防護指針)」、国際的には、「ICNIRP 指針」や「IEEE 指

針」が策定されている。また、非接触給電を行う際に電気・電子機器から発する電磁波障

害に関しては、許容値及び測定法の検討が CISPR において検討が行われている。

③我が国企業は、車両用の非接触給電技術、さらに漏洩電磁界対策・異物侵入対策に関する

技術において技術的優位性を有する。

特許出願動向では、日本国籍による車両用の非接触給電に関する出願件数は、53.8%を占

め、他国を圧倒している(特許:図 4-3-21)。また、漏洩電磁界対策・異物侵入対策に関

して、日本国籍の出願が最も多くなっている(特許:図 4-3-16, 図 4-3-39, 図 4-3-40)。

このように、我が国企業は、車両用の非接触給電技術において技術的優位性を有する。

さらに、非接触給電技術で大きな課題となっている漏洩電磁界対策・異物侵入対策の課題

に関する技術において技術的優位性を有する。

④クアルコム、サムソン等の米韓国籍も出願件数を増加。留意すべき。

漏洩電磁界対策を課題とする特許出願動向では、サムソン電子、KAIST、クアルコムの特

許出願をみると、KAIST とクアルコムは 2009 年から出願を増加させ、サムソン電子は 2011

年に出願を増加させている(特許:図 4-5-8, 図 4-5-14, 図 4-5-17)。

このように、漏洩電磁界対策については、米韓国籍も出願件数を増加させており、米韓

国籍の今後の動向に留意すべきである。

⑤磁界共振方式を用いた車両への非接触給電においては、ロバスト性能も重要。

磁界共振方式は、最適な状況においては高い電力伝送効率での送電が可能であるが、最

適な状況を外れると電力伝送効率が大きく低下するという性質を有する。例えば送電側や

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

受電側のコンデンサの容量がばらつくと、非接触給電システムの回路パラメータが最適値

から外れ、高い電力伝送効率を維持できなくなる。さらに車両においては、非接触給電シ

ステムの回路パラメータを変動させる要因として、車高の変動や駐車位置のズレ(送電部・

受電部の位置ズレ)、電池残量の変化による負荷状態の変動等種々の要因が存在し、これら

も電力伝送効率を低下させる原因となっている。したがって、磁界共振方式による車両へ

の非接触給電の実用化にあたっては、非接触給電システムの回路パラメータ等が変動して

も高い電力伝送効率を維持する性能(ロバスト性能)を向上させることが重要である。

⑥ロバスト性能向上に関する特許出願は日本が多く、強みを持つ。

非接触給電システムの回路パラメータの変動への対策技術の1つとして、「送受電部の位

置ズレ」への対策技術がある。送受電部の位置ズレを課題とする技術の特許出願動向では、

日本国籍の出願が最も多くなっている(特許:図 4-3-16,図 4-3-41)。

また、他の対策技術として、共振周波数を制御することや、インピーダンスを調整する

ことが検討されている。そして、共振周波数制御を行う技術の特許出願動向では、日本国

籍と米国籍から同程度の出願がなされており(特許:図 4-3-50)、インピーダンス調整制

御を行う技術に関しては、日本国籍と韓国籍の出願は同程度なされている(特許:図

4-3-51)。

このように、我が国企業は、車両用の非接触給電のロバスト性能向上技術において技術

的優位性を有する。

⑦我が国は「車両用の磁界共振技術」の研究開発をさらに進めることが重要。

以上のように、車両用の磁界共振技術には、実用化にあたって取り組むべき種々の周辺

課題が存在している。これらの周辺課題に引き続き対応していくことが必要である。我が

国は「車両用の磁界共振技術」の研究開発をさらに進め、これらの周辺課題に対して引き

続き取り組んでいくことが重要である。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

提言 2 技術開発の方向性(2)モバイル機器

「モバイル機器用の磁界結合技術」の研究開発をさらに進めるとともに、非接

触受電部のモバイル機器内への実装技術やモジュール製造技術のプロセスとノ

ウハウを確立することが重要である。

①モバイル機器用の非接触給電方式として、磁界結合方式が有望。

特許出願動向において、モバイル機器について給電方式別の出願件数をみると、磁界共

振と磁界共振以外の磁界結合の出願件数が多くなっていることから、モバイル機器用の非

接触給電方式としては、磁界結合方式が有望視されている(特許:図 4-3-76)。

②漏洩電磁界対策、異物検出対策が課題。ただし、車両用の課題とは異なる部分がある。

モバイル機器に関しても、スマートフォン(5W 程度)からタブレット(10W 以上)、ノー

トPC(数十 W)へと伝送電力の大電力化が進展しており、電気自動車等の車両と同様に

漏洩電磁波や漏洩電磁界の対策が大きな課題となっている。但し、モバイル機器の消費電

力は車両の消費電力に比べ2ケタほど電力が小さいため、車両用の非接触給電技術とは具

体的な解決手法が必ずしも一致せず、用途に合わせて上記課題に対応していく必要がある。

③我が国企業は、モバイル機器用の非接触給電、さらに漏洩電磁界対策・異物侵入対策に関

する技術において技術的優位性を有する。

特許出願動向では、モバイル機器用の非接触給電について、日本国籍による出願が最も

多い(特許:図 4-3-20)。また、漏洩電磁界対策・異物侵入対策に関して、日本国籍の出

願が最も多い(特許:図 4-3-16, 図 4-3-39, 図 4-3-40:再掲)。

このように、我が国企業は、モバイル機器用の非接触給電技術において技術的優位性を

有する。さらに、非接触給電技術で大きな課題となっている漏洩電磁界対策・異物侵入対

策の課題に関する技術において技術的優位性を有する。

④クアルコム、サムソン等の米韓国籍も出願件数を増加。留意すべき。

特許出願動向において、サムソン電子、KAIST、クアルコムの特許出願動向は前述(提言

1)のとおりであり、米韓国籍の今後の動向に留意すべきである。

⑤モバイル機器用の非接触給電技術においては、非接触受電部のモバイル機器内へのコンパ

クトな実装や、非接触受電部のモジュール化が重要。

小型化・軽量化が強く求められるモバイル機器に非接触給電技術を採用するには、非接

触受電部を構成するコイル、コア、シールド、制御回路等といった複数の部品をモバイル

機器内にコンパクトに実装することが必要となる。

また、モバイル機器の中でもスマートフォンや電子ブック等の世界市場の多くは海外企

業に占められている。このような状況の中でモバイル機器用の非接触給電技術で優位にな

るためには、上記非接触受電部をモジュール化し、モジュールでの優位を獲得した上で、

多くのモジュールがモバイル機器に組み込まれるようにしていくことも重要である。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

⑥我が国企業は、小型化・軽量化・コスト削減へ対応する技術や、モバイル機器でのコイル、

コア、複数の部品配置を改良する技術において技術的優位性を有する。

特許出願動向では、非接触給電部・受電部の小型化・軽量化・コスト削減に関して、日

本国籍の出願が最も多くなっている(特許:図 4-3-35)。

また、非接触受電部をモバイル機器内に実装する場合や、非接触受電部をモジュール化

する場合には、コイル等の部品自体を改良することが必要であるとともに、複数の部品(コ

イル、シールド、制御回路等)をモジュールにまとめる改善も必要である。特許出願動向

では、モバイル機器でコイル又はコアを改良する技術や、モバイル機器で複数の部品配置

を改良する技術に関して、日本国籍の出願が最も多くなっている(特許:図 4-3-93)。

このように、我が国企業は、小型化・軽量化・コスト削減へ対応する技術や、モバイル

機器でのコイル、コア、複数の部品配置を改良する技術において技術的優位性を有する。

⑦我が国は「モバイル機器用の磁界結合技術」の研究開発をさらに推進することが必要。非

接触受電部のモバイル機器内への実装技術やモジュール製造技術のプロセスとノウハウ

を確立することが重要。

以上のように、我が国は「モバイル機器用の磁界結合技術」の研究開発をさらに推進す

ることが必要である。そして、モバイル機器用の非接触給電技術で優位になるためには、

非接触受電部のモバイル機器内への実装技術やモジュール製造技術のプロセスとノウハウ

を確立することが重要である。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

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第6部

提言 3 技術開発の方向性(3)新たな応用分野

非接触給電の技術的優位を活かして、エナジーハーベスティング、回転体への

給電、医療機器への給電に応用し、研究開発を進めていくことが期待される。

①マイクロ波給電技術の適用先として、「エナジーハーベスティング」が注目されている。

人が近づきにくい環境や高メンテナンス負荷環境に設けられる機器(センサ等)に搭載

される電池を交換不要にしたいとのニーズは大きく、電波によるエナジーハーベスティン

グが実用化すれば大きな市場が期待できる。しかしながら、電波によるエナジーハーベス

ティングについては、電波の出力が微弱であるため実用化には時間がかかるとみられてい

る。

②我が国企業・研究機関によるマイクロ波給電の技術は他国に先行しているものの、エナジ

ーハーベスティングの技術開発は、他国に後れをとっている。

特許出願動向では、空気中の微弱な電波による給電に関して、米国籍・欧州国籍の出願

が多いのに対し、日本国籍の出願は少ない(特許:図 4-3-13, 図 4-3-27)。研究開発動向

でも、米国籍・欧州国籍の論文発表は多いのに対し、日本国籍の発表件数は少ない(論文:

図 5-3-12)。

一方、マイクロ波方式の非接触給電技術の特許出願件数及び論文発表件数は、日本国籍

の出願及び発表が最も多くなっている(特許:図 4-3-14, 図 4-3-34、論文:図 5-3-13, 図

5-3-29)。

③マイクロ波給電に関する高い技術力をエナジーハーベスティングに応用すべく、研究開発

を行うべきである。

電波によるエナジーハーベスティングは、マイクロ波方式の非接触給電と共通の技術を

活用できるため、我が国は電波によるエナジーハーベスティングに関する技術力を潜在的

に有している可能性がある。したがって、我が国はマイクロ波方式の非接触給電に関する

高い技術力を電波によるエナジーハーベスティングに応用すべく、研究開発を推進してい

くべきである。

④「回転体への非接触給電」について様々なニーズが発出してきており、新たな応用分野と

して期待が大きい。

車軸等の回転体を介した部材への給電や回転する部材への給電は、電源ケーブルを用い

て行うことは困難であり、非接触給電技術を回転体への給電に適用することは期待が大き

い。例えば、軸を中心に 360°回転するロボットアームやタイヤの空気圧センサー等への

給電に非接触給電技術を採用することにより、電源ケーブルが不要となり、回転方向が自

由になるという大きなメリットが存在する。このように、回転体への給電について様々な

ニーズが発出してきており、新たな応用分野として期待が大きい。

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第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

⑤日本、米国、欧州の企業・研究機関による特許出願は増加傾向でほぼ同程度であり、ニー

ズとのマッチングを的確に行って、研究開発を進めるべき。

特許出願動向では、回転体・回転軸への給電に関する出願は件数規模は小さいながら、

ばらつきがあるものの 2007 年 8件から 2011年 24件へと増加している(特許:図 4-3-24)。

また、出願件数比率は日本国籍 23 件(23%)、欧州国籍 26 件(26%)、米国国籍 26 件(26%)で

あり、日本国籍・米国籍・欧州国籍がほぼ同程度である。

回転体・回転軸への給電技術の適用先についてのアイデア、即ち技術ニーズは、前述の

ロボットアームやタイヤの他にも種々の用途が発出してくると考えられる。したがって、

回転体・回転軸への給電に対する技術ニーズを見極め、当該技術ニーズとの非接触給電技

術のマッチングを的確に行って、研究開発を推進していくべきである。

⑥「医療機器への非接触給電」は、検査・診断機器による検査・診断や人工臓器等の蓄電池

交換における人体負担を軽減することから期待が大きい分野である。

人工心臓や埋め込み型ペースメーカー等の人工臓器の蓄電池交換は人体負担が大きいた

め、人工臓器への非接触給電は期待が大きい分野である。また、人体に装着する検査・診

断機器や動作支援機器への給電は電源ケーブルの存在が利便性を損ねるため、当該機器へ

の非接触給電も人体負担を軽減することから期待が大きい分野である。

特許出願動向では、医療機器への非接触給電の出願件数は、2000 年頃より緩やかに増加

している(特許:図 4-3-28)。しかしながら、日本国籍の出願件数は、米国、欧州に次ぐ 3

位であり、また、2009 年から出願件数は減少している(特許:図 4-3-28)。これは、我が

国企業が埋め込み型ペースメーカー等の体内埋め込み型機器や人工臓器の製造を行ってい

ないこと、人体に対して行う実証実験に強い抵抗感があること、人体の安全性の観点から

厳しい基準が設けられていること等が理由と考えられる。

⑦日本国の企業・研究機関の強みを活かして、検査・診断機器を主たる応用先として研究開

発を進めるべき。

医療機器への非接触給電の適用先としては、ペースメーカー等の体内埋め込み型機器が

検討されてきたが、人体装着型の検査・診断機器や動作支援装置にも応用が広がっていく

ことが予想される。このような検査・診断機器や動作支援装置の研究開発や普及には体内

埋め込み型機器のような課題が比較的少なく、我が国企業の技術的優位性を活かして研究

開発を推進できると期待されている。したがって、日本国の企業・研究機関の強みを活か

して、非接触給電の検査・診断機器への応用研究開発を進めるべきである。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

提言 4 市場開拓のための課題(1)電気自動車への普及戦略

我が国車両メーカー主導による電気自動車への非接触給電技術の普及に期待。

車両メーカー間での連携やインフラ事業者との連携により、非接触給電方式の

電気自動車及び給電設備を普及させることが重要である。特許のライセンシン

グを積極的に行うこと、特許を開放することなどが一案である。

①非接触給電システムの普及により、電気自動車の市場規模がさらに拡大することが期待さ

れる。また、バス・電車等の公共交通車両への普及も期待される。

電気自動車の市場規模は今後拡大していくと予測されている(市場調査:図 2-1-15)。

現在、充電コネクタを用いて充電する電気自動車・プラグインハイブリッド車が市場に

投入されている。しかし、車両の充電コネクタと電源とをつなぐ充電ケーブルが必要とな

り、充電の際には重い充電ケーブルの引き回し/収納やケーブル汚れなど利便性が悪いこ

とが課題となっている。電気自動車・プラグインハイブリッド車に非接触給電技術と組み

合わせることにより、充電ケーブルの着脱する手間と時間、ケーブル汚れ等の問題がなく

なり、利便性が著しく向上するものと期待されている。現在、車両への非接触給電技術は、

電気乗用車だけでなく、電気バス・電車等の公共交通車両についても実証実験が行われて

いる。

このように、電気自動車への非接触給電システムの普及により、電気自動車の市場規模

が拡大するとともに、バス・電車等の公共交通車両への普及も期待されている。

②電気自動車の市場が拡大しても、受電側機器、給電側機器の両者がある程度普及しなけれ

ば、車両への非接触給電の市場が立ち上がらない恐れがある。

しかしながら、車両への非接触給電は非接触給電設備と電気自動車側の受電側機器の両

者があって初めて実現されるものであるから、非接触受電装置を搭載した電気自動車を市

場に投入しようとしても、各地に非接触給電設備が無ければ電気自動車の充電ができず利

便性が著しく低下してしまう。

また、非接触給電設備及び非接触受電装置を搭載した電気自動車を製造/販売する企業

は多数想定され、このような中で、非接触給電設備及び電気自動車搭載の非接触受電装置

で互換性を確保しなければ、ユーザーの利便性を大きく低下させてしまう。

このように、電気自動車の市場が今後拡大し、車両への非接触給電の市場が立ち上がる

ためには互換性を有する受電側機器と送電側機器との両者の技術開発及びその普及が必須

である。電気自動車の普及拡大とあわせて非接触給電設備の設置拡大などインフラ整備も

重要である。

③我が国企業は、車両への非接触給電において技術的優位性を有する。我が国企業が主導し

て車両への非接触給電技術を普及することが期待される。

特許出願動向では、日本国籍の車両への非接触給電に関する出願件数は、53.8%を占め他

国を圧倒している(特許:図 4-3-21:再掲)。このように、我が国企業は、車両への非接

触給電技術において技術的優位性を有する。

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

また、日産自動車、三菱自動車、トヨタ自動車、本田技研工業など我が国企業の電気自

動車・プラグインハイブリッド車の市場シェアは高い。

よって、我が国企業による車両への非接触給電の開発及び製品化の優位性を維持しつつ、

車両への非接触給電技術の普及を主導していくことが期待される。

④我が国内における非接触給電の普及には、非接触給電システムから発生する電磁波に関す

る法規制・規格や、車両や建物・公共施設・道路等における使用に関する法規制の整備が

不可欠である。

我が国内において車両への非接触給電が普及するには、技術開発の推進や実証実験に取

り組むことに加えて、関連する法規制・規格の整備が不可欠であるとともに、非接触給電

機器の評価方法・測定方法の明確化も必要である。

非接触給電システムから発生する電磁波については、関連の国際的な検討動向や電波利

用状況の変化等を踏まえ、人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針値等(電波防護指針)

や漏洩電磁波と他の無線利用との共存に関する基準等の整備が不可欠である。

また、非接触給電システムを設置・利用する車両や建物・公共施設・道路等に関連する

各種の法規制・規格等の整備も必要である。

⑤車両メーカー間で協調して技術開発を行うこと、特許のライセンシングを積極的に行うこ

と、特許を開放することなどが一案。

互換性を有する受電側機器と送電側機器との両者の技術開発を推進するには、車両メー

カー間で協調して技術開発を行うことに加えて、車両メーカーと送電側機器メーカーとの

協調、車両や機器メーカーとインフラ事業者との協調による技術開発を進めることも重要

である。

その際には、受電側である車両メーカー、送電側機器メーカー及びインフラ事業者等の

双方が利益を享受できる仕組みを十分に検討すべきであり、多数の関係者が協調して積極

的に標準化を進めることが期待される。さらに、互換性を有する非接触給電システムの開

発を加速させるため、非接触給電技術に関連する特許の利用環境の整備(妥当な実施料・

条件(FRAND 条件)による特許ライセンシングや、特許技術の無償開放が一案として考え

られる)を行うことも大切である。

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

提言 5 市場開拓のための課題(2)ニーズに適合した技術開発

非接触給電技術の用途開発、製品開発には、ニーズと基礎研究とのマッチング

が不可欠である。そのためには、産官学連携を推進し、マッチングのための場

を醸成し活性化させることが大切である。

①日本の大学、研究機関において、非接触給電関連技術の基礎研究が進展中。

研究開発動向では、日本の大学・研究機関からも非接触給電関連技術について多くの論

文発表がなされている(論文:表 5-4-1)。

給電方式別の研究者所属機関国籍別の発表件数では、磁界共振方式、電界共振方式、マ

イクロ波方式について日本国籍の発表件数が最も多くなっており、制御技術別では、送受

電電力制御、共振周波数制御、インピーダンス調整制御に関する技術について、日本国籍

の発表件数が米・欧・中・韓国籍よりも多くなっている(論文:図 5-3-25、図 5-3-27、図

5-3-29、図 5-3-34、図 5-3-35、図 5-3-36)。

このように、我が国の大学や研究機関における非接触給電関連技術の基礎研究は、先進

的に進展している状況となっている。

しかしながら、特許出願動向では、我が国の大学・研究機関(ベンチャー含む)は出願

件数上位にランキングされていない。(特許:表 4-4-1、表 4-4-5、表 4-4-7)

なお他方で、特許出願件数が上位にランキングされる WiTricity(米)や、Auckland

Uniservices(ニュージーランド)においては、企業とのライセンス契約や、企業による買

収により、基礎研究の段階で創出された技術が企業に技術移転されている状況にある。

②非接触給電技術の用途開発、製品開発には、ニーズと基礎研究とのマッチングが不可欠。

非接触給電技術の用途開発、製品開発は、市場ニーズと基礎研究とのマッチングが必要

不可欠である。実証試験などを通じて市場の技術課題や技術ニーズを把握することにより、

技術ニーズに即した製品を市場へ投入し普及していくことが必要となる。

③産官学連携を推進し、マッチングのための場を醸成し活性化させることが大切。

そのためには、我が国の産官学連携を更に推進し、市場ニーズと基礎研究のマッチング

のための様々な場を醸成し活性化させることが大切になる。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

提言 6 市場開拓のための課題(3)複数規格への対応

様々な標準化団体により、非接触給電技術の標準化作業が進められている下、

我が国企業は、標準化作業に積極的に関与していくことが必要である。複数規

格が並立する状況下では、仕様が異なる給電装置へ安全で効率良く給電する製

品の開発も一つの道である。

①非接触給電には様々な方式、様々なプレイヤーが存在し開発が行われている。各種コンソ

ーシアムなど標準化団体によって標準化作業が進められ、互換性を高める戦略が採られて

いる。

非接触給電には様々な方式、様々なプレイヤーが存在し、それぞれのプレイヤーが独自

の方法で開発を進め、技術的な優劣や普及のためのマーケティング手法を競い合っている

状態である。このような状況下では、同一の方式であっても互換性を確保できず、整備さ

れた給電側装置やインフラが使用できない、あるいは複数の給電側装置を重複整備するこ

とを招くなど、ユーザーの利便性を損ねるとともに不要な設備投資を発生させることとな

る。さらにはユーザーが本技術の導入を躊躇する事態となり、ひいては本技術の普及発展

そのものを妨げる恐れがある。

このため、非接触給電技術の標準化が不可欠であり、IEC や ISO などの国際標準化機関

において標準化作業が進められており、国際標準化機関に加えて各国の業界団体、さらに

は多国籍の企業からなるコンソーシアム(WPC、A4WP、PMA など)においても積極的に標準

化作業が進められている。

②我が国企業は、各標準化団体の標準化作業に積極的に関与していくことが必要である。

各国際標準化機関及び標準化団体には多数の我が国企業が参加し、標準化作業に参画し

ている。我が国企業は、今後とも、他の参加企業と積極的に討議を行い、標準化作業に関

与していくことが極めて重要である。

③複数規格が並立する状況下では、仕様が異なる給電装置へ安全で効率良く給電する製品の

開発も一つの道である。

現在、A4WP と PMA の統合など各団体・各規格の統一化の動きも見えるが、当面は各団体

で策定した仕様が乱立する状況が続くことが予想され、各仕様に対応した製品が市場に溢

れかえる可能性も十分に考えられる。

また、特許出願動向において、Qi や Rezence のように仕様の異なる給電対象への給電に

関する特許出願件数は、日本国籍が最も多くなっている。(特許:図 4-3-29)

このようなことから、各標準化団体の標準化作業に積極的に関与していく必要がある一

方、どの仕様の製品に対しても安全で効率よく給電する技術開発を行うことも、日本の競

争力を生かす一つの道となると考えられる。標準化への積極的な関与とともに、日本が持

つ技術の強みを活かした技術開発が重要である。

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第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

提言 7 知的財産戦略に関する課題(1)標準化と連携した知的財産戦略産戦略

標準化すべき技術と特許によって保護すべき技術とを見極め、標準化すべき技

術の標準化と保護すべき技術の特許取得を進めるべきである。

①標準化への取組を更に積極的に進めつつ、標準化戦略と連携した知財戦略を行うことが重

要である。

非接触給電技術では、IEC や ISO 等の国際標準化機関や多様な国籍企業が参画するコン

ソーシアム(WPC、A4WP、PMA 等)で議論されている。我が国企業は、今後とも、他の参加

企業と積極的に討議を行い、標準化作業に関与していくことが極めて重要である。

その際、標準化された技術は他社が容易に利用可能となるため、引き続き競争力を維持

するために、標準化すべき部分と自らのコア技術とを明確に分け、標準化戦略と知財戦略

とを連携させることが重要である。

②標準化すべき技術と特許によって保護すべき技術とを見極め、標準化すべき技術の標準化

と保護すべき技術の特許取得を進めるべきである。

標準化戦略と知財戦略の連携においては、技術優位性を有するコア技術を特許制度で保

護し、それを活かし際立たせる標準の策定を行うことがひとつの方策である。

特許出願動向においては、日本国籍は漏洩電磁界対策や異物侵入対策等の周辺技術に関

する出願が他国(地域)に比べて多く、技術優位性を有している(特許:図 4-3-16, 図 4-3-39,

図 4-3-40:再掲)。

技術優位性を有する漏洩電磁界対策や異物侵入対策の具体的手法を特許権として保護し、

それが活かされるような規格の策定を行うことが考えられる。電波法等の法規制では漏洩

電磁界の制限値は設定されているものの、漏洩電磁界を制限するための具体的手法は規定

されておらず、今後研究開発が活発化すると見込まれることから、この観点における今後

の標準化戦略と知財戦略の連携が期待される。

その他の要素技術についても、標準化すべき技術と特許によって保護すべき技術の見極

めが重要であり、標準化すべき技術は標準化を推し進め、保護すべき技術は適時に特許出

願を行い、権利取得を行うべきである。

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第1部

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第4部

第5部

資料編

第6部

提言 8 知的財産戦略に関する課題(2)実証実験と知的財産

各国の実証実験に参画し、実証実験の成果物としての知的財産を確実に保護す

ることが求められる。

①「車両への非接触給電」は実用化に向けた実証実験が各国で開始。車両への非接触給電の

実証実験では、給電側装置(住宅、道路、駐車場等の構造物に設置)が大切である。

近年、電気自動車や電気バスなどの車両への非接触給電技術の実証実験が各国で行われ

ている。車両への非接触給電では、給電側装置が社会インフラの一部として設置されるこ

ととなり、給電側装置を地中に埋め込むか、路上に設置するか等、車両を対象とする給電

側装置には実用化に向けた課題が存在する。

②社会インフラの状況や給電側装置の市場ニーズは国・地域により異なるため、制御内容、

構成(特許の内容)が各国で異なることが必然。

社会インフラの状況は国・地域により異なるため、各国・地域における政策や規制・制

約、道路事情等の影響を必然的に受けることになる。実証実験を行う段階でも同様の影響

を受け、特に、各国・地域の規制・制約の影響は大きい。社会インフラを基礎とした技術

の開発をスムーズに進めるために、実証実験における規制や制約を解消することが求めら

れている。

また、各国・地域における利用環境も異なり、例えば、我が国においては住宅で電気自

動車を充電することが多くなると見込まれ、欧州においては路上での充電も多くなると見

込まれている。

このように、社会インフラの状況や給電側装置に求められる要件は国・地域により異な

り、解決すべき技術課題も国・地域によって異なってくる。したがって、今後は国・地域

毎の規制や制約を解消することが求められるとともに、国・地域に応じた制御内容、ハー

ド構成の技術開発が期待される。

③各国特性に対応するためには、各国における実証実験に参画することが大切。

各国・地域の社会インフラの状況や市場ニーズに対応していくためには、各国・地域に

おける実証実験に参画することが有効である。それにより、課題の違いを早期に把握する

ことができ、市場に応じた技術開発を的確に行うことが可能となる。

④実証実験の中で生まれる成果物としての知的財産を確実に保護することが求められる。

その際、グローバルな実証実験においては海外企業も共同参画することが多いため、実

証実験の中で生まれる知的財産は確実に保護するための知財戦略が重要である。例えば、

各国・地域の利用環境に応じた各種機器の制御技術自体は、当該国にて適時・的確に権利

化し利活用することが期待されるため、共同研究・共同開発を行う企業との適切な契約内

容に配慮するほか、適時・適地での権利取得のための実施体制整備を行うべきである。

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第4部

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資料編

第6部

提言 9 知的財産戦略に関する課題(3)中小企業・ベンチャー企業への支援

需要が少ない分野やニッチ分野は中小企業・ベンチャー企業による市場開拓が

期待される。そのために、中小企業・ベンチャー企業の知的財産管理、知的財

産戦略を支援することが重要である。

①主要な受電側機器(モバイル機器や車両自体)や車両への送電側機器等は、大手企業が開

発・製造を担って市場を拡大する一方、需要が少ない分野やニッチ分野は中小企業・ベン

チャー企業が参入して市場開拓することが期待される。

主要な受電側機器(モバイル機器や車両自体)や車両への送電側機器等は、大手企業が

主な開発・製造の担い手となって、市場が拡大すると見込まれる。一方、需要が小さい分

野やニッチな分野はきめ細やかな課題への対応が求められる分野であり、中小企業やベン

チャー企業の活躍が期待される。そのような分野としては、スマートフォンのケースや充

電器、特殊な機器への非接触給電等、多様な分野が考えられる。

②中小企業・ベンチャー企業が先行者利益を得るには適切な知的財産管理、知的財産戦略の

展開が不可欠。しかしながら、積極的に権利取得を行っている企業は少ない。

中小企業・ベンチャー企業が先行者利益を得るには適切な知財管理、知財戦略の展開が

不可欠である。しかしながら、特許出願動向において、積極的に特許出願を行っている日

本国籍の中小企業やベンチャー企業は少ない。

③中小企業・ベンチャー企業の知的財産管理、知的財産戦略を支援することが重要。

そのため、我が国においては、中小企業・ベンチャー企業の知的財産管理、知的財産戦

略を支援することが重要である。

特許庁の支援施策については、国内出願の審査請求料の軽減措置や国際出願手数料の軽

減措置、弁理士・知財アドバイザーの派遣による特許出願・権利化・活用の支援等があり、

これらの支援施策を有効活用することも一案である。また、特許の早期審査、面接審査、

事業戦略対応まとめ審査などを活用して、出願1件1件を確実に権利化することが重要で

ある。

また、地方公共団体や各種団体の支援策や知的財産専門人材のサポートも多種提供され

ており、これらの支援を受けつつ知的財産管理・知的財産戦略を進めていくことが期待さ

れる。