第 5 章 回帰分析の諸問題(2) ー 計量経済学 ー
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第 5 章 回帰分析の諸問題(2) ー 計量経済学 ー. 第 1 節 分布ラグ 1 幾何級数型分布ラグ 2 幾何級数型分布ラグの推定 3 幾何級数型分布ラグの例 -ブラウン型消費関数- 4 アーモン・ラグモデル 第 2 節 ダミー変数 1 外れ値 2 外れ値の解決 3 季節調整ダミー 4 季節調整ダミーの例 補足1 質的変数ダミー 補足2 係数ダミー 補節 構造変化の検定. 第 1 節 分布ラグ. 第 3 章 例 5 (108-109 ページ ) において、被説明変数が当期と前期の説明変数の影響を受けているモデルを考えた。 - PowerPoint PPT PresentationTRANSCRIPT
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第 5 章 回帰分析の諸問題(2)
計量経済学 ー ー
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第 1 節 分布ラグ1 幾何級数型分布ラグ2 幾何級数型分布ラグの推定3 幾何級数型分布ラグの例 -ブラウン型消費関数-4 アーモン・ラグモデル
第 2 節 ダミー変数1 外れ値2 外れ値の解決3 季節調整ダミー4 季節調整ダミーの例補足1 質的変数ダミー補足2 係数ダミー
補節 構造変化の検定
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第 1 節 分布ラグ
• 第 3 章 例 5 (108-109 ページ ) において、被説明変数が当期と前期の説明変数の影響を受けているモデルを考えた。
このモデルをさらに拡張し、かなり過去からの説明変数が、被説明変数に影響を及ぼしているモデルを考える。
このとき、分布ラグという概念を利用する。
tttt ucYDbYDaC 1
消費 当期の所得 前期の所得
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分布ラグを利用したモデルは、次のように表現できる。
このようなモデルを使う例として、たとえば年間出生数を被説明変数とする回帰モデルなどが考えられる。
出生数に影響を与える説明変数として、婚姻件数が考えられるが、年間出生数を考える場合、その年の婚姻件数だけでなく、前年、さらにその前年と過去数年間にわたる婚姻件数が出生数に影響を及ぼしていると考えられる。このような場合、分布ラグモデルが有効である。
分布ラグにはさまざまな種類があるが、それはこのパラメータ b1,b2, ・・・ にどのような関係を想定するかによるものである。
ttttt uXbXbXbaY 23121
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1 幾何級数型分布ラグ
幾何級数とは 2, 22, 23, ・・・ のように、等倍で変化する級数のことである。(高校の数学では等比数列として習った)
分布ラグモデルのパラメータにおいて、
という関係(ただし、 0<λ<1 )を想定したものが、幾何級数型分布ラグモデルである。
このモデルは図 5-1 のように、過去にさかのぼるに従ってその影響が少なくなっていくものであり、
と表すことができる。
23
12
01
bbbbbb
ttttt uXbXbbXaY 22
1
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※ 幾何級数型分布ラグの例
b=2, λ=0.5 としたとき、幾何級数型分布ラグのパラメータは下のようになる。
bλ 0 2bλ 1 1bλ 2 0.5bλ 3 0.25bλ 4 0.125bλ 5 0.0625bλ 6 0.03125bλ 7 0.015625bλ 8 0.007813bλ 9 0.003906bλ 10 0.001953
幾何級数分布ラグの例
0
0.5
1
1.5
2
2.5
0 2 4 6 8 10
ラグ
パラ
メー
タ
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2 幾何級数型分布ラグの推定
幾何級数型分布ラグモデルは
であり、このモデルを 1 期前について書いてみると
となる。この両辺を λ 倍すると
となる。これを元のモデルから引くと
となる。ここで、
とおくと、
となり、最小 2 乗法で推定できる。
ttttt uXbXbbXaY 22
1
132
211 ttttt uXbXbbXaY
133
22
11 ttttt uXbXbXbaY
11 )1( ttttt uubXaYY
1
)1(
ttt uuu
aa
tttt uYbXaY 1
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3 幾何級数型分布ラグの例 -ブラウン型消費関数-
ブラウン型消費関数は幾何級数型分布ラグモデルと解釈することもできる。
消費を C 、可処分所得を YD とすると
と表すことができる。このモデルでは、被説明変数の過去の値が説明変数に含まれるので、系列相関の判定にはダービン・ワトソン比ではなく、ダービンの h 統計量をもちいる。
tttt uCYDC 1
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4 アーモン・ラグモデル
幾何級数型分布ラグモデルは、無限の項を想定するものであったが、ここでは有限の項について、そのパラメータが多項式の形で表されるモデルを考える。
すなわち
というモデルのパラメータについて、
という多項式を想定するモデルである。このモデルは考案した学者の名前をとって、アーモン・ラグモデルともいわれる。
),,1,0(12
3211 miiciciccb ppi
tmtmtttt uXbXbXbXbaY 123121
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アーモン・ラグモデルにおいて、 m=3, p=2 の場合を考える。このときモデルは
となり、パラメータは
となる。これをモデルに代入すると
となる。
3212
3214
3212
3213
3212
3212
12
3211
93334222
1100
ccccccbccccccb
ccccccbccccb
ttt
tttuXcccXccc
XcccXcaY
33212321
13211)93()42(
)(
tttttt uXbXbXbXbaY 3423121
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この式を c1,c2,c3 についてまとめると、
となる。ここで、
とおくと、このモデルは
という重回帰モデルになる。よって、Ytを W1,W2,W3 に対して回帰し、アーモン・ラグモデルのパラメータを推定する。
tttt
ttt
ttttt
uXXXcXXXc
XXXXcaY
)94()32(
)(
3213
3212
3211
3213
3212
3211
9432
ttt
ttt
tttt
XXXWXXXWXXXXW
tt uWcWcWcaY 332211
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第 2 節 ダミー変数
被説明変数の動きが、説明変数だけで十分に説明できないとき、 0 と 1 の値のみをとる特殊な変数を用いることがある。この変数のことをダミー変数という。
ダミー変数は、次の 3 種類に分類することができる。 ① 一時ダミー(突発的ダミー) → 外れ値への対
応 ② 定数項ダミー → 季節変動や質的変数への対応 ③ 係数ダミー → 構造変化への対応
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700
800
900
1000
1100
1200
1300
160 180 200 220 240
収穫
量(万
t)
作付面積(万ha)
水稲の作付面積と収穫量(1985~2009年)
1 外れ値
下の図は、 1985 年から 2009 年までの日本の水稲の作付面積と収穫量の関係である。
この図を見ると、他のデータは回帰直線の近くにあるのに、 1つのデータのみ大きく外れたところある。
このようなデータを外れ値(または異常値)という。
データ出典:農林水産省『作物統計』
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<外れ値の原因> この例における外れ値は 1993 年のデータである。 この年日本は米の生産地を中心に、異常な冷夏であり米の収穫
が非常に少なかった。 日本では外国産米(当初、カリフォルニア米、その後不足して
タイ米)の緊急輸入をおこなった。(平成コメ騒動といわれることもある)
このような天災、戦争(最近では 1991 年の湾岸戦争など)、オイルショック( 1973 年、 1978 年)、消費税の導入と引き上げ( 1989 年、 1997 年)などは、変数が通常とは異なった異常な値をとることがある。
また、都道府県別データの場合は、北海道、東京都、沖縄県などが特殊な動きをすることがある。
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<外れ値の判定> 回帰直線からどの程度外れたら外れ値となるのであろうか? 1 つの基準として、「標準化残差が ± 2を超えたもの」とする
ものがある。 この例の場合、 1993 年の標準化残差は-2を下回っているの
で、この基準では外れ値とみなされる。 ただし、 ± 2というのは絶対的な基準ではなく、本によっては
± 3や ± 4という基準もある。
- 4
- 2
0
2
4
1985 1990 1995 2000 2005 2010
標準
化残差
年
残差プロット
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2 外れ値の解決
このような外れ値が存在する場合、次のような解決方法が考えられる。
① 外れ値をとり除き、その他のデータで分析をおこなう。 ② 外れ値の部分にダミー変数を用いて分析をおこなう。 都道府県別データのようなクロスセクションデータであれば、
特定の地域のみ除く①の方法を用いることもできるが、時系列データで中間の1年を除くことは不自然である。
この例のような時系列データの場合には、②のように一時ダミー(突発的ダミー)を用いた分析をおこなう。
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700
800
900
1000
1100
1200
1300
160 180 200 220 240
収穫
量(万
t)
作付面積(万ha)
水稲の作付面積と収穫量(1985~2009年)
<一時ダミー>
一時ダミーは、特定の時点のみ1をとり、他の時点はすべて 0をとるダミー変数である。
この例において、コメの収穫量を Yt 、作付面積を Xt とする。そして、 1993 年のみ 1 をとり、それ以外の年はすべて 0 をとるダミー変数 Dt を考えると、次のようなモデルが考えられる。
tttt ucDbXaY
このモデルは、 1993年のデータ以外から回帰直線 を求め、 1993年の と の差を によって埋めるという形になっている。
cDt
Y=a+bXt
tbXa
tY tY tcD
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3 季節調整ダミー
四半期データを用いた分析 - 季節変動の影響を受ける。季節調整済のデータを分析に用いる。
原データを分析に用いる場合、季節調整ダミーを用いる。
季節ダミーを用いた場合のモデルは次のようになる。
D1 =1 ( 第Ⅰ四半期 ) D2 = 1 ( 第Ⅱ四半期 ) D3 = 1 ( 第Ⅲ四半期 )
0( その他 ) 0( その他 ) 0( その他 )
第Ⅰ四半期第Ⅱ四半期第Ⅲ四半期第Ⅳ四半期
ueDdDcDbXaY 321
ubXcaY )(ubXdaY )(ubXeaY )(
ubXaY ae
c d
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
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4 季節調整ダミーの例
季節調整ダミーを入れた分析は、傾きの等しい 4 本の回帰直線を、それぞれの四半期のデータに対して適用するということである。
これは定数項ダミーの一種である。
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補足1 質的変数ダミー
季節調整ダミーと同じように、傾きの等しい複数の回帰直線を引きたい場合がある。
たとえば、ある企業の従業員について、支給される給与額を勤続年数に対して回帰する場合を考えよう。このとき、大卒と高卒で 2 つのグループが作られたとする。
このとき、次のようなモデルが考えられる。
大卒 高卒
a
c
大卒
高卒
ucDbXaY (高卒)
大卒0
)(1D
ubXcaY )(ubXaY
このように、学歴、性別などで複数のグループに分ける場合、ダミー変数が用いられる。
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補足2 係数ダミー
ダミー変数の利用法には、定数項の異なる回帰直線を引くだけでなく、傾きの異なる回帰直線を引くということもある。それが係数ダミーである。
たとえば、 1 次エネルギー需要量を実質 GDP に対して回帰することを考えると、これはオイルショックによって需要量に構造変化が起きた。
このとき、次のようなモデルが考えられる。
オイルショック前 オイルショック後
a
オイルショック前
オイルショック後
ucDXbXaY (オイルショック前)オイルショック後0
)(1D
ubXaY uXcbaY )(
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<係数ダミーと定数項ダミーの併用>
構造変化が起きた場合、ある時点において傾きが変わるということは、傾きと定数項がともに異なる 2 つの回帰直線を組み合わせるものである。これは係数ダミーと定数項ダミーを併用することによってモデル化できる。
オイルショック前 オイルショック後
a
オイルショック前
オイルショック後
udDcDXbXaY
(オイルショック前)オイルショック後0
)(1D
ubXaY
uXcbdaY )()(d
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補節 構造変化の検定
構造変化が起こっているかどうかは、統計的な検定を用いて検証することが可能である。この節では、構造変化の検定(チャウ検定( Chow test ))の説明をおこなう。
最初に、構造変化の前後のモデルを次のようにあらわす。
このとき、構造変化を検定するための仮説は
となる。
(変化後)(変化前)uXbXbaYuXbXbaY
kk
kk
11
11
以外(構造変化あり)(構造変化なし)
01
110
:,,,:
HHbbbbaaH kk
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残差 2 乗和を次のようにあらわす。
SSR 1:変化前の残差 2 乗和
SSR 2:変化後の残差 2 乗和
SSR :全期間の残差 2 乗和
すると検定統計量は
となる。この統計量を、自由度( k+1, n-2(k+1) ) の F 分布と比較すればよい。
))1(2()(
)1())((
21
21
knSSRSSR
kSSRSSRSSRF