pmr まとめスライド
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リウマチ性多発筋痛症 (PMR)
疫学•生涯有病率:女性 2.43 % 男性 1.66 %
•50 歳以上に好発し平均年齢 73 歳。
•50 歳以下では原則考える必要はない。
•人種差:北ヨーロッパに多い ( スカンジナビア諸国: 50 歳以上では 112 人 /10 万人 )
The Lancet 2013;381:63-72
臨床症状•高齢者が「体中が痛い」と訴えた場合に考える
•「起き上がりに時間がかかる」、「寝返るを打つのが大変」、という主訴のみで来ることも。
•原則2週間以上継続するが、急性発症も多い。
•関節炎は原則伴わないが、病態的には滑膜炎・滑液包炎であり画像的上は高頻度に認める。
診断基準 ( 上記3つが特に重要 )
•50歳以上•両肩~両上肢、股関節~大腿部の対称性の疼痛・こわばり
•血沈、CRPの上昇•罹患期間 2 週間以上 ( 急性発症であることも多
い )•朝のこわばり> 45 分 ( 安静でも増悪する )•少量ステロイドへの反応性( 4 週間で完全寛解に
至ったのは 71 %という報告もあり注意)J Rheumatol 2008 ; 35 : 270-7 一部改変
EULAR/ ACR スコアリング• 年齢 50 歳以上• 両側の肩の痛み• CRP および / または ESR* 異常*上記3つは必須基準• 朝のこわばり > 45 分( 2 点)• 股関節痛 / 可動域制限( 1 点)• RF および / または ACPA の欠
如( 2 点)• 末梢関節痛の不在( 1 点)
• 少なくとも片方の肩の三角筋下滑液包炎、および / または
• 二頭筋腱鞘炎、および / または後部または腋窩肩甲上腕の滑膜炎、少なくとも一方の股関節の滑膜炎および / または転子滑液包炎(1点)
• 両肩の三角筋下滑液包炎、上腕二頭筋腱鞘炎や肩甲上腕滑膜炎 (1点)
スコア≥ 4 感度 68 %、特異度 78 %LR+ 3 、 LR- 0.4
スコア≥ 5( エコー所見を追加 ) 感度 66 %、特異度 81 %LR+ 3 .5 、 LR- 0.35
Ann Rheum Dis 2012;71:484-492
その他 PMR の臨床症状。•倦怠感、体重減少、発熱などは 40‐50 %に出現
するが、高熱は稀であれば側頭動脈炎を考える。
•悪性腫瘍では症状が非典型的で、 GC に反応不良。
•RF/CCP が陰性でも末梢関節炎があれば RA を疑う。
•PMR では足部の関節炎は通常みられない。The Lancet 2013;381:63-72 一部改変
PMR mimic
•慣れれば全身が痛い高齢者を見たときに PMRを疑うことはそれほど困難ではない。
•PMR のような症状をきたす PMR mimic を鑑別することがむしろ重要である。
•基本的には除外疾患であり PMR を考えたときは同時に PMR mimic の可能性を否定する。
須藤 博先生の文章より引用
鑑別疾患リスト●リウマチ疾患• 側頭動脈炎• RA• 血清反応陰性関節炎• CPPD• Crowned dens • RS 3 PE•血管炎• 炎症性筋炎• その他膠原病
●内分泌• 甲状腺疾患•副甲状腺疾患
●感染• ウイルス• IE 、菌血症•脊椎炎•化膿性関節炎•前立腺炎•咽頭後膿瘍•結核
●悪性腫瘍•血液系•骨転移
●その他•線維筋痛症• パーキンソン• うつ病• ビタミン D 欠乏•薬剤性筋炎
主な鑑別疾患•RA( 末梢の関節炎がある場合に疑う )•IE•悪性腫瘍•甲状腺異常•多発筋炎•血管炎•CPPD•線維筋痛症
PMR の検査•PMR に特異的な検査はない。
•血沈>30 は感度 98.1% 、血沈>40 は感度95.7% 。
•CRP は血沈より高感度で、 CRP正常は 2/177例。
•画像診断も滑膜炎・滑液包炎検出に有用。
関節エコー
•感度 96% 、特異度 96% で滑膜炎・滑液包炎を検出するとされる。
肩関節に effusion を認める
臀部に effusion を認める
j rheumatol, 2001 may 1049
MRI
•活動期にほぼ全例で MRI陽性となるという報告もある。 ann intern med 1997 jul 127 (1) 27-
31
側頭動脈炎 (TA) の診断•PMR を見たときは、側頭動脈炎の合併を考える。
•新しい頭痛、顎跛行、側頭動脈異常の3項目が診断に非常に有用。
•3項目が全てなければほぼ否定的で、1項目でもあれば疑う。
•血沈も診断に有用で 50 以下であれば側頭動脈炎の可能性は下がる。
PMR の治療⇒•開始量 15mg を推奨する Systematic review
もあり、 Up to date でも採用。•体型にもよるが血沈 50mg 以上なら 20mg から
で、血沈 50未満なら 10mg で開始⇒10mg-20mg
•初期量で寛解導入後は 10mg/day までは 2.5㎎/ 週で減量可能。
•10mg/d 以下では、1 mg/月で慎重に減量を行う。
Arch Intern med 2009 Nov 9;169(20):1839-50
*ステロイドに反応不良なら RA 、 TA 、悪性腫瘍などを念頭に置く!
プレドニン
再発・フォローについて•再発は 1/3 の患者で認められるため減量は慎重
にする。•再発・長期ステロイド内服のリスク 1)初期の PSL 量が多い2) 急激なステロイド減量3) 女性4)CRP 高値5)IL-6 高値
Arch Intern med 2009 Nov 9;169(20):1839-50
The Lancet 2013;381:63-72
Take home message
•高齢者が体中が痛いと言ったら PMR を考える。
•PMR は除外診断なので、 PMR mimic の否定を必ずするように。
•特に PMR を診たら新規頭痛、側頭動脈異常、顎跛行をチェックして TA の否定を。