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UV/VIS Spectrophotometry UV/VIS ライフサイエンスアプリケーションの 概要 核酸分析 タンパク質分析 細胞懸濁液 ヒントとコツ Good UV/VIS Practice

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Page 1: UV/VIS Spectrophotometry...2 METTLER TOLED GmbH Analytical UV/VIS Life Science Applications Content 目次 1. はじめに 3 1.1 分光光度計の種類 41.2 メトラー・トレドのライフサイエンス向けソリューション

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UV/VISライフサイエンスアプリケーションの 概要

核酸分析

タンパク質分析

細胞懸濁液

ヒントとコツ

Good UV/VIS Practice

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2 METTLER TOLEDO GmbH, Analytical UV/VIS Life Science Applications

Cont

ent 目次

1. はじめに 3

1.1 分光光度計の種類 41.2 メトラー・トレドのライフサイエンス向けソリューション 5

2. 核酸分析 62.1 濃度測定 62.2 オリゴ(ssDNA)の濃度測定 82.3 核酸の検出限界 92.4 核酸純度 10

3. タンパク質分析 113.1 タンパク質の濃度測定 113.1.1 直接測定 113.1.2 間接手法(比色分析) 123.1.3 Bradford分析 123.2 反応速度 13

4. 細胞懸濁液の濃度 15

5. ヒントとコツ 155.1 一般的なヒントとコツ 155.1.1 セルの選定と取り扱い 155.1.2 サンプル調製 165.1.3 測定の考慮事項 165.1.4 pH、温度、外気の影響 165.1.5 機器のメンテナンス 175.2 微量測定のヒントとコツ 175.2.1 サンプルの取り扱い 175.2.2 清掃 17 5.2.3 機器のメンテナンス 17

6. Good UV/VIS Practice 18

7. 参考文献 19

このガイドの目的このガイドの目的は、ライフサイエンスで最も重要なUV/VIS分光法アプリケーションを、優れた構成でわかりやすく説明し、分析を成功させるために役立つ重要な情報を提供することです。 関連情報にすばやくアクセスできるので、ラボの便利な参考資料として使用できます。

このガイドは2つのセクションで構成されています。 1つ目は、アプリケーションに特化し、サンプルタイプ別に分類されており、核酸分析、タンパク質分析、細胞懸濁液をカバーします。 2つ目のセクションでは、測定ワークフローを最適化し、測定正確度を向上させることを目的とした、一般的なヒントとコツを紹介します。

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Intro

duct

ion 1. はじめに

UV/VIS分光法は、ライフサイエンスの分野でよく使われる非常に強力な手法です。 多くの研究室で日常的

に使用される標準的な手法になっています。 理由はその簡便な特徴によるもので、複雑なサンプル調製

が必要なく、容易に実施でき、検査結果は多くの場合秒単位で即座にわかります。 一般的な測定では必要

なサンプル量はごく僅かで、非破壊的な方法によりサンプルを引き続き他分析にも使用できます。 ライフ

サイエンスの分野では、一般的に核酸、タンパク質、細菌細胞培養の分析に応用されています。 最も一般

的なアプリケーションには核酸の濃度測定̶DNAとRNA̶核酸の純度、直接的な測定または比色分析に

よるタンパク質の濃度測定、酵素反応の調査、細菌細胞懸濁の増殖曲線のモニタリングなどがあります。

UV/VIS分光法の詳細な説明については、『UV/VIS分光測光法ガイド ̶ 基本と応用』をお勧めします。 この

ガイドはこちらから入手可能です:www.mt.com/uv-vis

ランベルト・ベールの法則:

多くの化合物は紫外線、または可視光線を吸収します。 これはランベルト・ベールの法則によって説明さ

れている動作です。 この法則では、サンプルの吸光度はその濃度に比例すると述べられています。 これ

は、DNAやタンパク質などのサンプルの単純な濃度測定で使用される原理です。 もっと正確に言うと、ラン

ベルト・ベールの法則では、吸光度は吸光係数ε(イプシロン)、光路長d、濃度cに比例すると述べられてい

ます。

A=ε·c·d

A:測光吸光度

ε:吸光係数

c:サンプルの濃度

d:光路長

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ion 1.1 分光光度計の種類

ライフサイエンスでは、基本的に2つの機器カテゴリがあります。 セルを利用する分光光度計と微量分光光度計です。 ハイブリッド機器にはセル設置エリアが装備されており、微量測定とセル測定の両方に使用できます。 ただし、アクセサリ範囲が限定されているため、アプリケーションの範囲も限定的です。

セルベースの分光光度計セルを使った従来のUV/VIS分光光度計は、さまざまな用途に使用できます。 幅広い容量範囲のさまざまなセルタイプに対応でき、チェンジャーやサーモスタット付きホルダなど、オプションのアクセサリも数多く使用できます。

図1:従来型のセルベースの分光光度計。

微量分光光度計微量機器は、サンプル量が少量しか確保できないアプリケーションや、高濃度のサンプルのアプリケーション専用の機器です。 測定に必要なサンプル量は、通常1~3µLです。 高濃度サンプルを直接測定できるので、面倒な希釈手順が不要となり、ピペッティングエラーも回避できます。 また、セルを必要とせず、サンプルを直接、測定面に載せることができるので便利です。

ほとんどの微量機器は、計測プラットフォームの光路長を変更することにより、さまざまな濃度範囲に対応します。 たとえば、光路長を10分の1に短縮することは、サンプルを10分の1に希釈することと同じ効果があります。 光路長を短くすると測光吸光度も小さくなるからです。 このようにして、非常に高い濃度を中程度の測光吸光度レベルで測定できます。 つまり、光路長が短いほど、測定できる濃度が高くなります。 この方法で正確な結果を得るためには、正確な光路長を知ることが重要です。

図2:微量分光光度計。

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1.2 メトラー・トレドのライフサイエンス向けソリューション

メトラー・トレドでは、ライフサイエンスのアプリケーション向けに2種類のUV/VIS分光光度計を提供しています。

セル測定用UV5Bio分光光度計

UV5Bio分光光度計はFastTrack™技術に基づいており、高速で正確な測定が可能です。 上部のサンプルエリアは開放型の為、セルやその他のアクセサリの取り付けや取り外しが容易です。 OneClick™機能により日本語カラータッチパネルのショートカットより、簡単に分析を実行できます。 分かりやすいメニュー構成と直感的なスマートフォンタイプの機能を備えているため、広範囲のトレーニングは必要ありません。 作業の各ステップを通して、ユーザーを専門的にガイドしてくれます。 ソフトウェアには、すぐに使用できるライフサイエンスメソッドのテンプレートが登録されています。

微量測定用UV5Nano分光光度計UV5Nano分光光度計は、革新的な技術と直感的な使用感を兼ね備えています。 最小1µLの低容量で使用することができ、希釈の時間や貴重なサンプルを節約できます。 標準装備されているセル設置エリアにより、最大3mLの大容量の測定にも対応します。 微量測定は、革新的なLockPath™技術に基づいており、高い正確度と繰返し性が保証されます。 2つの正確に定義された光路長で2つの独立した測定が行われるため、幅広い濃度範囲をカバーできます。 LockPath技術は、固定位置での光路長を保証するので、時間の経過による光路長のずれを心配する必要がありません。 ただし、一部の研究室では手順の検証を文書化する必要があります。 最大限の確実性が必要な場合は、光路長の校正手順を実施できます。

Intro

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ion

図3:メトラー・トレドのUV5Bio分光光度計。

図4:メトラー・トレドのUV5Nano微量分光光度計。

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d An

alys

is 2. 核酸分析

2.1 濃度測定

DNA濃度測定の最も簡単で迅速な方法は、260nmで吸光度を測定することです。 この波長範囲では、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)を塩基とする芳香環構造が最大の吸光度を示します(図5)。

図5:アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)の吸光度スペクトル。

ご覧のように、個々の塩基が、260nmで最大となる全体の吸光度に寄与しています。 ただし、dsDNAとssDNAの吸光度には顕著な違いがあります。 塩基対合により、二本鎖DNAは一本鎖DNAより光の吸収が小さくなります(図6)。 この効果は、濃色効果として知られています。

図6:一本鎖DNAと二本鎖DNAの吸光度スペクトル。

OD(

mMあたり)

15

10

5

220 260 300 0

A

G

C

T

DNAの吸光度最大値(~260nm)

一本鎖

二重らせん

吸光度

波長(nm)

220 260 300

DNAの吸光度最大値(~260nm)

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Aci

d An

alys

is 260nmでの直接濃度測定のために、核酸の特定の吸光係数が既知である必要があります。 この値は、一般的に表1などの参照表に記載されています。 この表には、二本鎖DNA、一本鎖DNA、RNA、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの計算式と吸光係数が示されています(Lottspeich、Engels)。

注意:260nmでのヌクレオチド濃度の測定は、長いランダム化された配列の場合は適切な推定値ですが、反復成分のある短い配列の場合、正確度が劣ります(「オリゴの濃度測定」参照)。

表1:さまざまな核酸の濃度測定と吸光係数の計算式。

サンプル 濃度 1 A= 吸光係数ε260

dsDNA 50 μg/mL 0.02 (μg/mL)-1 × cm-1

ssDNA 37 μg/mL 0.027 (μg/mL)-1 × cm-1

ssDNAオリゴ 33 μg/mL 0.03 (μg/mL)-1 × cm-1

RNA 40 μg/mL 0.025 (μg/mL)-1 × cm-1

mL 0.025 x cm-1 x d

µg A260

(

)=

mL

µg

(

)

-1c

mL 0.02 x cm-1 x d

µg A260

(

)=

mL

µg

(

)

-1c

mL 0.027 x cm-1 x d

µg A260

(

)=

mL

µg

(

)

-1c

mL 0.03 x cm-1 x d

µg A260

(

)=

mL

µg

(

)

-1c

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is 2.2 オリゴ(ssDNA)の濃度測定

一部のパラメータは、短いヌクレオチド配列の分析に影響を与える可能性があります。 特に、塩基組成、配列関係、配列長、オリゴ修飾などです。 これらの要素は、吸光度に影響を与えます。 ssDNAの33.3 (µg/mL)*cmの平均吸光係数を使用して濃度を計算する単純な方法と対照的に、ヌクレオチド配列が既知であればより高い正確度を達成できます。 配列に基づいて吸光係数を計算するために、多くの異なるアルゴリズムが存在します。

ある単純な方法では、ヌクレオチドの個々の吸光係数を合計します。

∑[ε(dNTP)]

モル吸光係数は、表2に記載されています。

表2:ヌクレオチドのモル吸光係数(Lottspeich、Engels)

より正確な方法は、ヌクレオチドの順番を考慮に入れる最近傍法です。 AG、GC、CTなどの二量体の吸光係数を使用すると、個々のヌクレオチド吸光係数を合計するより優れた概算値が得られます。

ライフサイエンスアプリケーション専用のほとんどの分光光度計には、オリゴ固有の吸光係数を計算する機能が備えられています。

メトラー・トレドのUV5Nano分光光度計は、吸光係数の計算に最近傍法を使用しています。 オリゴ配列計算機は、モル吸光係数、モル質量、吸光係数(核酸係数)を自動的に決定します。

図7:オリゴ配列計算機は吸光係数を自動的に計算します。

ヌクレオチド ε(モル吸光係数)dATP 15.4 mM-1 cm-1

dCTP 9.0 mM-1 cm-1

dGTP 13.7 mM-1 cm-1

dTTP 10.0 mM-1 cm-1

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is 2.3 核酸の検出限界

核酸の検出は、上限と下限の検出限界によって制限されます。 これは、測光吸光度、光路長、サンプル濃度が相互に正比例することを述べたランベルト・ベールの法則を考慮すると明らかです(「はじめに」を参照)。 したがって、2つの主な制限要因は、機器の光学的能力、つまり測光吸光度範囲と、測定のために選択された光路長です。 最新の微量分光光度計は吸光度範囲が3A以上であることが多く、光路長は0.1mm以下に設定できます。 これは、高濃度の核酸サンプルを測定する場合に必要です。 二本鎖DNAソリューションの濃度は15,000ng/µL以上になることがあります。 ただし、高DNA濃度の測定は困難で、可能であれば回避するべきです。 DNAを適切に溶解することも容易ではなく、粘度の高いサンプルをピペッティングすることも同様です。 さらに、非常に高い濃度での測定は、機器の線形測光範囲で行われず、真の濃度は実際の測定値より高い可能性があります。 一方で、その対極の低DNA濃度のサンプルもまた、ラボでしばしば測定されます。 収率の低さなど、さまざまな理由から、これが必要になる場合があります。 ただし、低濃度測定にも、以下の例が示すような独自の課題があります。 濃度が異なる2つのdsDNA溶液の測定を考えてみましょう(図8)。 上段は、274ng/µLのdsDNA溶液の測定を示しており、明確に定義されたスペクトルが得られています。 260nmでのピーク吸光度は0.2~0.3吸光度単位で、直線性が大変良好な、理想的な範囲です。 対照的に、下段は5.3ng/µLのdsDNA溶液の測定を示しています。 こちらは、260nmでのピーク吸光度が0.03吸光度単位に近づき、機器の検出限界に近づくにつれて、信号が不良になります。 それにもかかわらず、DNAピークははっきりと見えます。 高濃度と低濃度の測定はどちらも、機器の検出限界付近での測定では誤差が大きくなることに注意が必要です。 最高の正確度を確保するには、常に最適な吸光度範囲で測定する必要があります。

図8:異なる濃度のdsDNA溶液の260nmでの吸光度測定。 各サンプルは6回ずつ測定。

1 272.4

2 268.1

3 263.1

4 262.8

5 272.1

6 269.3

平均 268.0

SD 4.22

変動係数% 1.57

274 ng/μL dsDNA溶液の反復測定

5.3 ng/μL dsDNA溶液の反復測定

1 5.7

2 5.4

3 6.3

4 5.6

5 6.1

6 5.8

平均 5.8

SD 0.30

変動係数% 5.26

波長[nm]

吸光度

[A]

波長[nm]

吸光度

[A]

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is 2.4 核酸純度

濃度に加えて、吸光度測定は核酸の純度の指標にもなります。 汚染物質の吸光度に応じて、異なる波長を分析できます(表3)。

A260/A280タンパク質汚染は、サンプルの核の吸光度最大値(260nm)とタンパク質の吸光度最大値(280nm)を測定することで検出できます。 260/280比は、核酸溶液の純度の既知の指標です。 純粋な溶液では、この比率は、DNAの場合1.8以上、RNAの場合1.9以上のはずです。 ただし、ヌクレオチド配列の塩基組成に応じて、純粋なサンプルであっても、比率がサンプルごとに異なる場合があります。 もう1つの重要な要素は、タンパク質が同等の重量の核酸より低いA260値を示すことです。 したがって、260/280比のわずかな低下が、重大なタンパク質汚染を示す場合があります。

A260/A230精製中は、フェノール、尿素、EDTA、ペプチド結合や芳香族化合物を含む分子など、230nmで吸光するさまざまな薬剤が使用されます。 1.8~2.2のA260/A230比は、サンプルに汚染物質が含まれていないことを示します。

A320~A340320nm~340nmの範囲は、汚れたセルなどからの異物を検出するために適しています。 この範囲では、核酸は吸光度を示さず、測定値はバックグラウンド補正としてしばしば使用されます。

表3:核酸純度の指標としての吸光度値。

吸光度 想定される値 汚染物

A260/A280 DNA: ≥ 1.8RNA: ≥ 1.9

タンパク質

A260/A230 1.8~2.2 フェノール、尿素、EDTA、ペプチド結合や芳香族化合物を含む分子

A320~A340 <0.01 汚れたセルからの粒子

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Anal

ysis 3. タンパク質分析

3.1 タンパク質の濃度測定

タンパク質濃度測定には、2種類の分析方法があります。 直接測定と間接手法です。 直接測定では、タンパク質を適切な波長で直接測定します。 対照的に間接手法では、測定前にタンパク質に発色団で標識する必要があります。 表6に、タンパク質濃度測定の方法と、それぞれの利点と欠点をまとめます。

3.1.1 直接測定タンパク質の直接測定は、タンパク質濃度の近似値を迅速に求めるための方法です。 ロドプシン、クロロフィル、シトクロム、多くの金属タンパク質など、一部のタンパク質は可視領域で光を吸収します。 このようなタンパク質の濃度は、吸光係数が既知であれば、直接測定によって簡単に特定できます(表4)。

ほとんどすべてのタンパク質は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンなどの芳香族側鎖を持つアミノ酸が光を吸収する紫外線範囲内で検出できます。 ただし、タンパク質は多様であり、タンパク質内の芳香族側鎖の割合も大きく異なります。 したがって、280nmでのタンパク質濃度の測定は、近似値とみなす必要があります。 芳香族側鎖だけが吸光度を示します。 芳香族側鎖のないタンパク質は吸光度を示さず、検出できません。 それでもなお、直接手法はタンパク質濃度の迅速な測定に適しています。 また、サンプルを将来の使用のために回収できるという別の利点があります。 図9は、280nmでの全体的なタンパク質吸光度ピークに寄与する、芳香族アミノ酸チロシンとトリプトファンの吸光度スペクトルを示しています。

図9:芳香族アミノ酸チロシン(Tyr)とトリプトファン(Trp)の吸光度スペクトル。

濃度計算には、標準のウシ血清アルブミンの吸光係数、0.67 (µg/mL)-1cm-1を使用することが一般的です。 より正確な結果を得るには、既知のタンパク質配列のために計算できる、タンパク質固有の吸光係数を使用することも可能です。

核酸もまた、280nmで吸光します。 実際、紫外線領域で非常に強く吸収するので、少量の核酸が総合的な吸光度に対して不均衡に大きな影響を与える場合があります。 サンプルに核酸が含まれることが想定される場合は、濃度測定に比色分析を使用することをお勧めします。

吸光度

波長(nm)

トリプトファンチロシン

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ein

Anal

ysis

表4:タンパク質の濃度測定と吸光係数の計算式。

タンパク質とペプチド(タンパク小片)も230nmで吸光度を示します。 これはペプチド結合によるものです。 ただし、多くの他のグループもその範囲で吸光するため、230nm測定値はタンパク質の定量化には適していません。

3.1.2 間接手法(比色分析)より正確なタンパク質濃度は、色素分子がタンパク質に結合する比色手法によって測定できます。 最も一般的な比色分析には、Bradford法、Lowry法、Biuret法、BCA法があります。 すべての比色分析は同じ原理に基づいています。 つまり、試薬(色素)がタンパク質の特定の部分に結合することです。 吸光度は、タンパク質と結合する色素分子の数に比例します。 これらの手法の違いは、色素の結合部位です。 また、呈色反応の強度がタンパク質配列、アミノ酸組成、アミノ酸頻度に依存することを考慮する必要があります。 タンパク質が異なれば、異なる強度の呈色反応を引き起こす可能性があります。 すべての分析には検量線が必要です。 これは通常、一般的なタンパク質の標準ウシ血清アルブミン(BSA)から得られます。

3.1.3 Bradford分析Bradfordタンパク質分析法は、そのシンプルさ、スピード、高感度により人気の高い方法です。 この分析では、タンパク質は色素クマシーブリリアントブルーと複合体を形成します。 色素は、環境の酸性度に基づいて、赤/褐色から青へと色を変えることができます。 Bradford溶液は褐色ですが、タンパク質の結合により色が青に変化します。 Bradford反応の強度は、塩基性アミノ酸(主にアルギニン、リジン、ヒスチジン)の

標準液 BSAの濃度[mg/mL] 595nmでの吸光度S1 0.00 0.0009

S2 0.25 0.0959

S3 0.50 0.1822

S4 1.00 0.3814

S5 1.40 0.5315

サンプル 濃度 1 A= 吸光係数ε260

タンパク質 150 μg/mL 0.67 (μg/mL)-1 × cm-1

mL 0.67 x cm-1 x d

µg A260

(

)

= mL

µg

(

)

-1c

校正曲線

0.0

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0.4 0.8 1.2595nm0.0

濃度[mg/mL]

吸光度

[A]

表5:一般的なタンパク質の標準ウシ血清アルブミン(BSA)で調製された溶液。

図10:595nmで測定されたBSA標準液の検量線。

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ysis 濃度に依存します。 各タンパク質に結合するクマシー色素リガンドの数は、タンパク質で見られる正電荷

の数にほぼ比例します。 未知のサンプルのタンパク質濃度は、通常、ウシ血清アルブミン(BSA)から作成される検量線(図10)を使用して定量化されます。 検量線の標準液を表5に示します。 ただし、正電荷を持つアミノ酸の比率はタンパク質ごとに異なるので、この定量化は近似値です。

表6:タンパク質濃度測定の手法。

3.2 反応速度

反応速度分析は、酵素がその同族基質を生成物に変換する速度を測定します。 これは、経時的な吸光度の変化を測定することで求める事ができます。 通常、酵素反応速度は、基質消費の速度、または生成物発生の速度のいずれかによって測定されます。 このため、基質または生成物は、紫外線または可視範囲内で光を吸収する必要があります。 両方が吸収する場合は、どちらか一方だけが吸収する波長を選択する必要があります。 また、NADやNADPなどの補酵素の変換をモニタリングすることもできます。 還元型のNADHまたはNADPHだけが340nm吸光度を示します。 補酵素の量は、生成物の量に比例するため、反応速度の測定に使用できます。 補酵素は、目的の反応と結合する後続の反応にも使用できます。 図11は、酵素ホスホフルクトキナーゼの活動を、NADHの生成をモニタリングすることで間接的に測定する方法を示しています。 生成されるNADHの量は、PFKによるフルクトース-1,6-ビスリン酸の生成に正比例します。

原理 長所と短所280nmで直接 芳香族側鎖の検出 + 非常にシンプルで高速

+ サンプルは回収可能+ 検量線が不要+ 試薬が不要- その領域で吸収される汚染物質による誤差- さまざまなタンパク質吸光係数による誤差

Bradford法 試薬は主に正電荷を帯びたアミノ酸側鎖に結合する

+ シンプルで比較的高速+ 他の化学物質との干渉が少ない+ 良好な再現性

Lowry法 試薬はチロシン側鎖にのみ結合する + 良好な感度- トリス、EDTAなど、多くの薬剤との干渉

Biuret法 試薬はペプチド結合と複合体を形成する

+ アミノ酸バイアスなし+ 薬剤干渉はほとんどなし- 低感度

BCA 試薬はペプチド結合とシステイン、トリプトファン、チロシンのアミノ酸側鎖との複合体を形成

+ アミノ酸バイアスなし+ 高感度- さまざまなバッファと還元剤との干渉

図11:酵素ホスホフルクトキナーゼ(PFK)の反応速度は、共役反応でのNADHの生成によって決定されます。

フルクトース-6-リン酸 フルクトース1-6-ビスリン酸

1-3-ビスホスホグリセリン酸 グリセルアルデヒド-3-リン酸+ ジヒドロキシアセトンリン酸

PFK

NADH NAD+

アルドラーゼ

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Anal

ysis 例:β-ガラクトシダーゼのミカエリス-メンテン反応速度

酵素反応速度のミカエリス-メンテンモデルは、重要な酵素特性、KmとVmaxを研究するために使用されることがよくあります。 ミカエリス-メンテン反応速度は、薬品が酵素の活性中心をどのように抑制するかなど、酵素阻害薬の研究にも使用されます。 この例では、酵素β-ガラクトシダーゼの反応速度が分析されました。 データの評価は、メトラー・トレドのLabXソフトウェアを使用して自動的に行われました。 これは、反応速度を特定し、次にEadie HofsteeプロットからKMとVmaxを引き出します。

O

NO2

O

OH

OH

OH

OH

H2O

b-Galactosidase

OH

NO2

+OOH

OH

OH

OH

OH

β-ガラクトシダーゼ

100秒での反応速度(OD/秒) [ONPG](mM) v/[s](OD/(秒*mM))0.00108 0.0556 0.0194

0.00139 0.1113 0.0124

0.00184 0.167 0.0110

0.00243 0.5060 0.0048

0.00253 0.835 0.00302

v/[s](OD/(秒*mM))

Eadie Hofsteeプロット

0.00 0.01 0.01 0.02 0.02 0.03

0.003

0.0025

0.002

0.0015

0.001

0.0005

0

v(OD

/秒)

図13:基質としてONPGを使用したβ-ガラクトシダーゼ反応速度のEadie Hofsteeプロット。

表7:ONPGのさまざまな濃度の初期速度定数とv/[s]。

図12:基質o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシド(ONPG)は、酵素β-ガラクトシダーゼによって、o-ニトロフェノール とガラクトースに加水分解されます。

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n 4. 細胞懸濁液の濃度

特定の条件下で、UV/VIS分光法を使用して細胞懸濁液の濃度を測定することができます。 原則として、これは濁度測定であり、細胞懸濁液は濃度が増加するにつれて光を散乱させるという事実に基づいています。 最適な条件を仮定すると、光の強度の減少は懸濁液内の細胞の数に正比例します。 この手法は、細菌、酵母、胞子に使用できます。 この手法の長所は、シンプルで、高速で、非破壊的であることです。 また、成長曲線の連続制御にも適しています。

適切な測定のためには、以下の点を考慮する必要があります(Bast):• 細胞が光を吸収しない、適切な波長を選択する必要があります。 通常、400~600nmの波長が選択されます。

• 細胞のサイズは小さすぎたり、大きすぎたりしてはなりません。 0.1~5µm3程度である必要があります。• 細胞の濃度は低くする必要があります。 • 直線関係との不一致が大きくなりすぎないように、測定は最大約0.5Aで行う必要があります。

5. ヒントとコツ

正確で繰返し性のある測定結果は、いくつかの重要ポイントを考慮することで達成できます。 この章では、適切な測定ワークフローに必要なヒントとコツを紹介します。

5.1 一般的なヒントとコツ

5.1.1 セルの選定と取り扱い• 光路長: ランベルト・ベールの法則によると、吸光度はセルの光路長とサンプル濃度に正比例します。 適切な光路長(1mm~5cmなど)を選択することで、希釈の必要性がなくなります。 0.2A~1.5Aの範囲内の吸光度は、最も正確な結果をもたらします。 光路長が非常に短い(1mmまたは0.1mm)微量機器は、高濃度のサンプルに適しています。

• 透過率範囲: すべてのUV/VIS分析に、高精度の石英ガラスセル(QSグレード)をお勧めします。 可視範囲(>400nm)の場合は、使い捨てのPMMAまたはPSセルがよく使用されます。 現在は、DNA、RNA、タンパク質の分析に使用できる、紫外線範囲用の使い捨てプラスチック製セルも利用できます。

• 配置: セルの透過面を光線に配置して、ブランクとサンプルのセルラベルが同じ方向を向くように注意します。

• セルの取り扱い: セルに指紋をつけないように注意します。 セルは、つや消しの部分だけを持つようにします。 • 充填: 使用する前に、サンプルをよくかき混ぜます。 特に核酸またはタンパク質を再懸濁する場合、十分に混合します。 ガラスのパスツールピペットは光学面を傷つける可能性があるため、セルに充填するために使用しないでください。 使い捨てのプラスチックチップ付きピペットが適しています。

• 清掃: 内側と外側を完全に清掃するためには、60%のイソプロパノール/水溶液を使用して、光学クリーニングクロスまたは糸くずの出ないティッシュで拭き取ります。

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Tips

and

Hin

ts 5.1.2 サンプル調製• 溶媒の選択と透過率範囲: 適用領域全体で透明な、適切な溶媒を選択します。 • 濃度: 良好な吸光度のためにサンプル濃度を調整します(上述の光路長の選択のセクションを参照してください)。

• 副反応: スペクトルに影響を与える可能性がある、被分析物と溶媒分子の間の考えられる副反応に注意してください。 極性サンプルを溶解する極性溶媒(水、ケトン、アルコールなど)は、吸光発色団の電子環境に影響を与える可能性があり、それによりスペクトル分解能が低下します。

5.1.3 測定の考慮事項• ブランク補正: ブランクは、サンプルに使用する、新しい溶媒で構成される必要があります。 • バックグラウンド補正: バックグラウンド補正は、目的の波長で測定された吸光度値から、通常、被分析物に吸光度がない波長で測定された吸光度値を引きます。 たとえば、UV範囲でのDNAやタンパク質の直接測定の場合、バックグラウンド補正は通常、320nmまたは340nmで適用されます。 これらの分子はこの波長範囲で光を吸収しないからです。 したがって、バックグラウンドを測定し、補正することで、サンプル内の粒子、気泡、沈殿物による光散乱から生じる干渉をすべて排除できます。

• 吸光度ピークでの測定: 最適な結果を得るには、測定は吸光度ピークに対応する波長で実施する必要があります。 生じる可能性のある誤差を図14に示します。 測定がピークで行われると、不適切な機器の設定または機器の校正による波長のわずかなずれは、ピークでの吸光度値にほとんど影響しませんが、ピークのショルダーでの吸光度値には大きな影響があります。

• 線形範囲での測定: 測定の正確度は、機器の線形範囲内(通常、0.2~1.5吸光度単位)で分析を実行することで向上させることができます。 非常に高い、または非常に低い吸光度値は避けてください。

5.1.4 pH、温度、外気の影響• pH: pHの吸光度スペクトルへの影響は、共役酸または共役塩基に異なる色がある場合(pH指示薬のフェノールフタレイン、メチルレッド/オレンジなど)、非常に大きい可能性があります。 調査中のサンプルのスペクトルがpHの影響を受けることがわかった場合は、緩衝液で調整する必要があります。

• 温度: 溶媒(主に有機溶媒)の膨張は、見かけの吸光度を変化させ、温度依存性を生じさせる可能性があります。 高い温度依存性のあるサンプルや溶媒の場合は、サーモスタット付きサンプルホルダを使用してください。

• 蓋: 親水性サンプルの場合、溶媒の蒸発や外気からの水分の吸収を制限するために、セル専用の蓋を使用してください。

バンドA

波長の単位変化あたりの吸光度の変化が最小

波長の単位変化あたりの吸光度の変化が大きい

バンドB

吸光度

波長

図14:吸光度ピークでの測定は誤差を最小限に抑えます。

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Tips

and

Hin

ts 5.1.5 機器のメンテナンス• 定期的なメンテナンス: 製造元の推奨にしたがって、機器のメンテナンス手順を定期的に実行してください。 • できれば認証標準物質を使用して、機器の性能を定期的にチェックしてください。 UV5Bio機器の

CertiRefモジュールは、認証標準物質を使用して性能検証テストを実行する便利なアクセサリで、自動評価と合格/不合格レポートを備えています。 測光正確度、波長正確度、分解能、迷光などの重要な光学パラメータを自動的にチェックし、手動の標準調製や手動のデータ分析が不要になります。

5.2 微量測定のヒントとコツ

5.2.1 サンプルの取り扱い• 少量サンプル採取に適したピペットを使用します。 • ピペッティングごとに新しいチップを使用します。 • ピペッティングのテクニック: 気泡が形成されないように、サンプルをスムーズに微量プラットフォームにピペッティングします。 プラットフォームとアーム間が満たされる十分な量をサンプリングします。 サンプルは、図15に示すようなきれいな液滴形状を形成するはずです。 サンプル中の気泡は、誤った測定につながる可能性があります。 必要に応じて、蒸留水で表面を清掃します。

5.2.2 清掃• 微量プラットフォームの光学部品、下部の窓、上部の鏡は、正確で繰返し性のある結果を得るために、常に完全にきれいにしておく必要があります。 一連の測定完了後、または次の測定シリーズのブランク測定前に、窓と鏡を蒸留水で2度清掃します。 これにより、新しい測定が古いサンプルの残留物によって汚染されるのを回避できます。 蒸留水、分析グレードのイソプロパノール/エタノール、またはセル用の特定の洗浄剤(Hellmanex IIIなど)を、傷のない、光学グレードの布に塗布して使用します。

• 測定ごとに、上下のサンプルエリアを、清潔で乾燥した、糸くずの出ないラボ用布で清掃します。 • 徹底した清掃を行う場合は(サンプルがプラットフォーム上で乾燥した場合など)、サンプルを溶解するために使用する溶媒、または3µLの0.5M HCl、100%のイソプロピルアルコールを使用してサンプルエリアを清掃し、その後、水で清掃します。

5.2.3 機器のメンテナンス• 定期的なメンテナンス 製造元のガイドラインにしたがって、定期的なメンテナンス手順を実行します。

• 性能検証: 認証標準物質を使用した、定期的な機器の性能検証により、機器が適切に機能することを確認できます。 たとえば、メトラー・トレドではUV5Nano分光光度計の校正サービスを提供しています。 このサービスでは、独立したメーカーの認証標準物質を使用して両方の光路長を確認します。 この手順で測定された光路長は機器に保存され、ユーザーインターフェイスを介して呼び出して、参照することができます。

図15:微量プラットフォーム上の液滴形状。

図16:認証標準物質を使用した機器のテスト後、校正証明書が発行されます。

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e 6. Good UV/VIS Practice

メトラー・トレドのGood UV/VIS Practiceプログラムは、UV/VIS分光光度計のライフサイクル全体を通じて、包括的なガイダンスを提供します。 リスクを最小限に抑え、測定の品質を最適化するのに役立ち、信頼性の高い結果を得ることができます。 プログラムには次の5つの手順が含まれていますが、個別に検討することもできます。 • ステップ1:評価 1つ目のステップは、研究室の現在と将来の要件を評価して、必要なものを特定することです。 • ステップ2:選定 評価プロセスで特定された要件に基づいて、アクセサリやソフトウェアを含む最適な機器の情報に基づいた提案。

• ステップ3:設置と適格性評価 設置と適格性評価は、特に高度に規制された環境では、これまで以上に重要な役割を果たします。 機器の適格性評価のためのGUVP EQPacは、設置、操作、性能の適格性評価に関する最も厳しい規制要件を満たします。

• ステップ4:トレーニング 適切な機器とソフトウェアのトレーニングを過小評価しないでください。 有能なユーザーはミスが少なく、時間とお金を節約できます。

• ステップ5:日常点検 日常操作中に、機器の性能を時々検証することは重要です。 これは、期待値が正確にわかっている物質を使用して行うことが最善で、できればCertiRefモジュールで使用される認証標準物質を使用してください。

図17:UV/VIS分光光度計のGUVPライフサイクル。

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es 7. 参考文献

1. Lottspeich, Friedrich and Engels Joachim W.: Bioanalytik 2. Taylor, Gwen P.: Current Protocols in Molecular Biology 3. Reddy, C.A et al: Methods for General and Molecular Microbiology4. Bast, Eckhard: Mikrobiologische Methoden5. Mettler-Toledo: UV/VIS Spectrophotometry – Fundamentals and Applications

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製品の仕様は予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承ください。 © 12/2019 Mettler-Toledo K.K.,30581582(09/2018 Mettler-Toledo GmbH, 30392845B)Marketing UV/VIS / MarCom Analytical

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