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Architectural Institute of Japan
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Arohiteotural エnstitute of Japan
日本建築学 会計画 系論文集 第 456 号 ・1994q 三 2 月
Juurna]of Archit. P ]ann . Environ, Engng , A [J, No .456, Feb 、,lgg4
リバ ーフ ロ ン ト住宅 の 眺望景観 が居住性 に及 ぼ す 影響
INFLUENCE OF THE VIEW THROUGH THE WINDOW IN MULTI −STORY
FLATS FRONTING A RIVER ON THE DWELLING CONDITIONS
村 川 三 郎*
, 西 名 大 作* *
, 横 田 幹 朗* **
Saburo MUI 〜AKAWA, Daisallu NISHINA and Mikiro YOKOTA
So as to c ]arify 出 e in恥 ence peroeived from a river on 由 e living environment in multi − story fiats fron加 g a
river , the authors carried out the questionnajres of inhabitanビs evaluatlon on dle environment of dwe1]ing houses andaround areas Gf a river and 山 e investlg面 ons of inhabitant’s preferen for the views 曲 rou 帥 a 踊 ndow at the central
areas of Hirosbima City. ]he phySio]09ica 】 and psycho]ogi 〔zl effeCts perceived from the r〜 er − Kire analyza 】、 τherefore, the auti】ors
clarified 廿】a℃ the feeling of satis 臣cdon for dle view throtigi】 a 幅 ndow is infiuenced by the exlstenoe of a river , and
showed that a river is a noti ⊂ enb ]e point of preference viewS .
「鰰
’廨 ” ,’伽 re 捌 rOtpne πt,ε副 2ω ’翻 ef inhabit硼 亀
Mlt ”t−SloryYZats’iting en 珈 mnent q# est 加 加 擁
眺望 景観 , 河川 環境 , 住民評価 , 集合住宅 , 居住環境 , 住 民意識調査
1 .序
都市内河川 が 居住環境 の 快適性を高 め る構成要素 の一
つ と して 認識さ れ , 洪水制御機能 と併 せ て 環境保全 ・親
水 機 能 な と を重 視 す る 整 備 が 各地で 行 わ れ る よ う に な っ
て きて い る 。 筆者らも,そ れ らの 整備計画を進 め る 上で
の 基礎研究 と して , 河川環境に関す る住 民 意識や , 河川
の 存在 に よる視覚 ・心理的影響,微気候 的影響など,多
岐 に わ た り研究 を 進 め て い る1)−6}
。
こ こで , 昨今 の 河川沿 い に 建つ 高層建築物の 増加をみ
る なら , 河川 が 建築物の 居住性 に 及ぼす影響を , 室内環
境 に おけ る物 理 的 側面,人間行動の 生 理 ・心 理 的側面な
どか ら明 らか に して おくこ と は 都市内河川 とそ の周辺環
境整備 を総合的 に進め て い く上 で 必要 と考える。 そ の中
で 特 に , 生 理 ・心 理 的 影 響 に つ い て は , 窓 を 通 して の 接
触が 主題とな る 。
窓 が 有す る機能 に は , 採光 , 通風 , 眺望などの 側面が
あ り , そ れ ぞ れ で 研究η
が進め られ て い る が , こ こ で は
眺望 景観 と居住者 と の 係 わ り方 か ら捉 え る 。 窓 と景観 と
の 関係 に つ い て は , 心 理 的 影響 に つ い て 乾 ら8〕
, 渡辺 ら
9 )が検討 して い るが , こ れは室内の 視環境を評価す る 立
場 か ら の 研究 で あ る 。 ま た最近,超高層建築物 か らの 眺
望 景観 に 関 して , ス ラ イ ド写 真 を 用い た 平手 ら10 )
の 心
理的評価研究があるが , 筆者 らが意図する河川影響およ
び 景観 の選好性などに っ い て は触れて い ない。
な お , 眺望景観自体に関す る見 え方 , 空間構成に つ い
て は樋 ロ11 )
の研究が あ り , 景観分析の 基礎的知見 を与
え る もの と して 貴重 で あ る。しか し , 樋口 も記述 して い
る よ うに , 現実の 都市空 間 の 構成要素 の あ り様に つ い て
は視覚的な面か らも未だ多 くの 研究課題を残 して い る 。
以 上 の 観点か ら,本研究で は ,太田川 6 派川 が流れて
い る広 島市街 地 を例 と して , 特 に 眺 望 と い う視覚 的 要索
が 重視され る集合住宅 を 対 象 に, 居 住性 お よび 選好景観
に関する調査 を実施 し,河川が住宅 の 居住性 に 及ぼして
い る影響 に つ い て 居住者 の 評価 か ら分析するとと もに ,
本論文は 参 考文献 ユO}− 12)を もと に ,加筆
・再編 した もの で あ る。
*広 島大学工 学 部 教 授 ・工 博 Prof., Faculty of Engineering, Hir shima Univ.,Dr. Eng、
* *
広 島大学 工学 部 助手 ・工 修 Research Assoc ,,Faculty of Engineering, Hiroshiana Univ、,M .Eng .林 * NHK 山口 放 送局 ・修 士 〔学術 > Yamaguchi Station, Japan Broadcasting CorporatL。 n, M . S.
一 43 一
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表一1 調 査 対 象地 区の 概 要
鎚
iA 〔牛 剛
河 ;Bcva 町)
川 ;
li・ 〔1鞫内 }・ 臨
睡 佳mauak __.____ 河川 との闇に堤防 .遊歩辺 あ り。{E居地域 e 5 住悚韓河川に平行 。住居 地域 b 。 。
.河 川との問に河」胤 廟 灘 蜘 劼
1・..
.庄邸よ昇肆伏の復雑 な形憩 P
河川との筒に植え込み .道蹈 、』歩道あら
』』”
c 1 !
、「住榎は 河川に垂直 。 d 14 河川と の 間に植え込 み ・道路 ・歩適あり・商M 岨域 住煙健河四に平行 q . 河川との 冏に駐輿堀:駐蹈場 あり 。
.’』..』 e l1
住棟は河川爆平行 . 氏 U .._酬 ゆ 隊 進冒避麺 貳.商藁地 域 9〜1 且 高 い 隠屑では河川が眺望で き る。
表一2 居住性に 関す る意識調査 票 の賢 問項 目
注 1 ) 2.居住珮境 の鬮 別的評価の うち ,河川 1;面 して い な い D 地区で は ,河川環境に っ い
て は住宅近 くの河川に対する評価を求め ,寞 内環境の 「川の 臭 いが気 にな る 亅「川か
らの反射光がまぶ しい 亅 の 2 項目は 醐査 評価ら剛除 してい る 。2 ) 3.眺望行助 と眺 望景 緲 夢価に開しては ,川が 見える場合 ・見えない場合 .室内か ら
見 る場合 ・ベ ラン ダか ら見る場 合 に区 分 して 回答を求めて い る 。
図一1 調査対 象地 区
表一3 調査 票の 配 布 ・回収状 況
窓 を 通 して の 河川を含む外部環境 との接触行動および 眺
望 景観に 関す る 選好特性か ら , 都市空間の 構成要粟の一
つ と して , 河 川 の 有する 影響 を視覚的 な面 か ら 明 らか に
しようとす る もの で ある 。
2 .調査概喪
2 。1 対象地区と建物 の概要
太 田川 デ ル タを中心と して 発達 して きた 広島旧市内 の
上 ・中 ・下 流 の 3 地 区 か ら,河川 と建 物 と の位 置 関 係や
階層 な どを考慮 に い れ , そ れ ぞ れ 集台住宅数棟を調査対
象住棟 と して 選定した 。 い ずれの 地区も河川 に 面 して い
る住糠 を選 ん だ が , 下 流で は 比較 の ために 河川 に 面 して
い ない 住棟 も選んで い る。以 下 で は調査対象地区 と して ,
河 川 に 面 して い る 3 地 区 を , 上流一A 地区 (牛田 :県営
ア パ ート・公務 員宿舎) , 中流一B 地区 (基町 :市営 ア
パ ート),下 流一C 地区 (河原 ・舟入 ・大手町 :民間分
譲 マ ン シ ョ ン )とし, 下 流 の 河川 に 面 して い ない 地区を
D 地 区 〔舟入 ・加古町 : 民間分譲 ・貿貸マ ン シ ョ ン )と
称す る 。 図一1 に 調査対象地区の位置 を,表一1に 調査
対 象地 区の 概要 を そ れ ぞ れ示 す 。 な お , A 〜 C 地区の ほ
とんどの 住戸 は 河川が 眺望で きる 窓を持 っ が , 河 川 か ら
距離が あ る D 地区で は,そ の よ う な住 戸 の 割合は 少な い 。
A 地区は , 近 くに丘 陵 の 迫 る郊外住 宅地 区で ,対象住
棟と河川 との 間 に は遊歩道があり, 川 辺 で ラ ン ニ ン グ す
る 人も多い 。河岸 は緩傾斜 で , 上部が草本 , 下 部 が コ ン
クリートの一
般的 な整 備 が な され て い る が , 河道中に は
中州があ り自然を残 して い る 。 B 地区は s 都心 再開発居
住地 区である 。 河川周辺は親水面が配慮され , 芝生 と自
居住性 に 関する 住昆恵蔽瑕 査
鵬査
地区
田布薮 有効回答数 有効阿答率
〔票 (剽 〔%
一}住棟
遡 観に園ξる墾査 __一譌査戸数 有効回答敗 有勍回答宰
【戸} 〔 〔% 1 A lT B
C
「T■−. D
110 106 96 ,4齟..齟....幽」....」齟噛..r1..1」..... 208 163 78 .4............一....馳.−−T「r..L.....
262 248 94 、7
.幽幽.L幽齟..rrr....1r馳・L幽.i 」齟・....L 247 2Q6 B3 .4
a...b...TCdef
.=’
21 18 B5 .7−T.....・….L .■■r.馳.幽幽幽.. 26 22 84 .6「.「「「.....・・.....rr.罰■■..幽..幽幽.. 18 18 100 .0 22 19 86 .4 23 20 87 .O l2 9 75 .〇
三..........
二.......馳』_
合酬・ 827 723 87 4 122 106 86 9
注 レ還好環観 に閲する醐銭で は ,写歟 影を依頼 した舮 全て に回答 票 を配お して い る 。
然石で整備 された河岸 と,ラ ン ニ ン グコ ース とな っ て い
る 遊 歩道 が あ る。C ・D 地区 は ほ ほ 同位置で ,い ずれ も
高密居住地区で あ る 。 C 地区の 対象住棟 と河川 との 間 に
は植栽 ・道路 ・歩道 な どが あ る が 場所 に よ り異な る。
2 .2 居住性 に 関 する 調 査概 要
対象住棟 か ら住戸を無作為に抽出 して , 居住性 に 関す
る住 民意識調査を行 っ た 。 調査票 の質問 項 目の 内容を表
一2 に 示す 。 ただ し ,本論文 で は , こ の う ち の 5,河川
との 接 触 ・利用行動 に つ い て は触れ な い
。 調査期間は ,
A 〜c 地 区 が 1991年 7 月下旬 か ら8 月上旬 , D 地区 が 1992年 7 月下旬から8 月下 旬 で あ る。調査 票 の 配布 ・回収
方法と して は,調査員が直接各住 戸 を訪問 して依頼する
留 置 方式 を 採用 した 。 なお 、 調査票へ の 回答は 各住戸 の
主婦 と した が , 困難な場合は 他の 家人も可と した 。 各対
象地区の 調査票の 配布 ・回収状況 を表
一3 の 左櫚 に 示 す 。
2 .3 選好景観 に 関す る調 査概要
住民 に よる眺望景観の 選好調査は , 河川 に 面 して い る
住戸の 住 民 に , 窓や ペ ラ ン ダか ら眺望可能 な好ま しい 景
観 を カ メ ラ で 撮 影 して も らい , 改 め て そ の 写真か ら評価
を求 め る二 段階か ら な る 。 調査対象住戸は , 河川に面し
て い る A 〜C 地 区 に お い て ,上 述の 居住性 に 関す る意識
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A 地 区
B 地区
C 地区
D 地区
全 体
回答構囎 拾 (% )D 20 40 60 BO IOO
甌 諤 鬻量潔゜ 6”8re
(a ) 居住 階の 柵成
1:6A 地区
]TA B 地区
249 C地区
206 D 地区
735 £ 体
回笞構成割合 〔% )0 20 io 60 EO
「 .尸.『…匸」・論 z 多
、、% z
卩・{い姐.3 ・〆 !
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100 n
98
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239
1田
回笞 構,囎 哈 (% )0 20 40 50 巳O IDO
A 地 区
B 地区
C 地区
D地区
5B3 全体
園〜2 郤屋 匚ユ3 部屋 圀 4 部屋 囲 5 部厘
一・ (b) 部屋数
図一2 回答者世 帯の 属 性
n
:ODt4T239tgT6s3
図 使 っ てい る 匸コ 使 っ てい な い
(C ) エ ア コ ン使用 率
濁 これ以降の 図中では n はサンプ ル敗を示す。
BO
60(訳)
0 0
杢 2
虹
爨霾即
回
o 通勤 に 近くに 日当た り 間取 り 空 気が その 他 便利 川 がある が よい が適当 よ い
佐居費 自然に 買い 物 塞盤魏 が が適当 恵まれて い る に便利 整って い る
n
圉 A地 区 Io1
團 B 駆 151
Eコ C地 区 241
圜 D駆 205
錐 598
50
40
§
話3G
馨鬣
2°
回
10
o川の近 く 科便性の 公害のない 郎 外 戸建て モの 礑 考えて ない
高い とこ ろ 環境の よい
とこ ろ
目然の 文化 的施設 が 都 市多い ところ 麟 されて
い るとこ ろ
田 舎 マ ンシ ョ ン 現在の場所
図一3 入 居動機
図一4 住み 替 え希 望
調 査 の 回答住戸 か ら , さ らに 協力 の 得 られ る住戸 を 抽出
したが ,低層階 ,中層階,高層階 とい っ た居住階を考慮
して 選択した 。 また,調査対象者も意識調査結果 との 関
連分析 を行 う必要か ら , 可能な限 り意識調査 の 回答者本
人 と し た 。
第一段階の 調 査 は , 雨天 日 を除 く,午前 10時頃か ら午
後 4 時頃まで の , 屋外景観が撮影可能な日中の 明るい 時
間帯 に , 調 査員 が各住戸 を直接訪 問 して 実施 し た 。 住 民
には ,各住戸か ら眺望可能な範囲 で ,35mmレ ン ズに よ り
好 ま しい 景観 (以 下 , 本論文で は選好景観 と称す る )を,
また , そ の 視野範囲の 中で特に 好 ま れ る事物の 同定 を 行
うた め に , 70mmレ ン ズ に よ り雰囲気 の 良 い 景観・悪 い 景
観をそ れ ぞ れ 撮影す る よ う依頼 し , 撮影 す る度 に そ の 景
観 を選択 し た 理由の 記述 を求 め た 。 ま た,選好景観 の 撮
影時 に は ,撮影方向 の 俯角の 測定も行 っ て い る 。 なお,
撮影 に あた っ て は , 視野 は 横長とする こ と,ベ ラ ン ダが
あ る場合 は そ こ に 出 て 撮影す る こ とな どの 条件を付 し ,
撮影場所 の 申告も求めた 。
第二 段階 の 調査 で は , 第一
段階 の 調査で 得た選好景観
の 写真 (B2x12tmmの 普通 サ イ ズ に 焼 き付 け ) と そ れ に
対す る評価 回答票を調査員が 配布 し , 援に 回答票 の 返送
を求 め た 。 なお,各選好景観写真 の 評価は , そ の 写真が
撮影 さ れ た住 戸 に一対一で 依頼 して お り , 別 の 住 戸 で撮
影 さ れ た 写 真 を 呈 示 し た りは 特 に して い な い 。回 答票 の
質問 項 目は SD 法 に よ.る イ メ ージ 評価 で ,
「どち らで も
ない 」 を中立カテ ゴ リーと した 7 段階評価尺 度 24形容詞
対 (表一5 参照〉か らな っ て い る 。
調 査期間は , 第一
段 階 の 調 査 : 1992年 8 月 初旬 〜 9月
初旬 , 第二 段階 の 調査 : 9 月中旬〜10月中旬 で あ る 。 調
査戸数,回答票 の 回収率を,表一3 右欄 に 示す 。
3 .回答者 と世帯の 属性
本章で は , 居住性 に 関 す る 住民意識調査 の 回答者属性
を概略示す と と も に ,世帯属性か ら各調査対象地区の特
徴 を 整 理 す る。回 答者 と して は 主に 主婦 に 依頼 し た が ,
実際 に は 男性 も含 まれ,A ・C 地 区で 約 2Q% , B ・D 地
区で 約 30% を 占め る 。 ま た , 回答者の 有職率は , A ・B・C ・D 地 区 で そ れ ぞれ 約 40 ・35・55・65%で あ る 。
回答者 の 世帯属性 と し て ,居住階の 構成 ・部屋数 ・エ
ア コ ン 使用 率 の 回答 構 成 を図 一2 に 示 す。居住 階 で は ,
A 地区が 5 階以 下 の み ,B 地区は 13階以上 の 回答が多い
が,C ・D 地区 に は著 し い 差異はない 。 部屋数で は市営
賃貸 の B 地区が 特 に 少な く, 民間分譲の C 地区が 最も多
い 。 また ,エ ア コ ン使用率 で は , 高層 の B地区で 約 40%
と少な く,風通 しの よさが うかが える が,C ・D 地区で
は同程度の 高 い 割合を示 し, 河川が隣接する こ とに よ る
顕著な違 い は み られ な い p
次 に , 現在 の 住宅へ の 入 居動機を 図 一3 に 示 す 。 対象
住 棟 が い ず れ も公 営 の A ・B 地 区 で は 「住 居 費 が 適当」
の 割合 が ,交通の 便 の 良 い C ・D 地 区で は , 「通勤 に便
利 」 の 割合 が それ ぞれ最 も高い 。 特徴的なの は C 地区で ,
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oA
地区
B 地区
C 地区
D地区
錨
02回答櫞成割合 (%)
40 60 80
幽 齢 鮒 中コZr.
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國 あ る 匸コ 多少あ る 四 ど ちらで もない 陬 あま りない 固 ない
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80
篳くil
60
蘿ll 4°回
20
図一5 河川へ の 関心の 有無
o 治 水 利 水 環臆保坐 親 水 防 災 文化歴 史 そ の他
注) 「河 川への関心 の有無 」 で「関心がない 」 と回答した者 を除いて 全体 と して い る。
図一6 河 川 に っ い て の 関心 点
「近 くに川 が あ る」 の割合が これ に 次い で 多 くな っ て い
る 。 ま た,民間 分譲ま た は賃貸で 部屋数 の 多い C ・D 地
区で は 「日当た りが よ い 」・「間取りが適当」 の 割合 も
高 く , 公営 に 比 ぺ て 室内環境 の 質 の 高さも入居 の 大きな
要因 と な っ て い る こ とが わか る 。
現在 の住宅 か ら の 住み 替え先 の 希望 に つ い て の 回 答 構
成 を図 一4 に 示 す 。 C ・D 地区で は , 入居動機 と関係 す
る 「利便性 の 高 い とこ ろ」 に加えて ,厂自然 の 多 い とこ
ろ 」「公害の な い 環境 の よ い とこ ろ」
「川 の近 く」 の 割
合 が 高 く , 自然環境 に 対す る 欲 求が 強 い 。 A 地 区で は ,
「現在 の 場所 」 とする割合が 他 の 地区よ り高 く s 現在 の
住環境に あ る程 度満足 して い る もの と推察され る 。
4 。河川に 対する意讖
本章 で は , 住民の 河川 に 対 す る意識を 示 し , 特 に河川
の 存在に よ る利 点 ・欠点に つ い て の 回答か ら,各地 区の
特徴を把握す る 。
「河川へ の 関 心 の有無」「河川につ い て の 関心点」 の
回 答結 果 を図一5
, 図一6 に そ れ ぞ れ 示 す。前 者 で は ,
い ずれの 地区も関心 の あ る住民の 割合 が 約 60% を占め る
が sBeD 地区で は やや劣 る 。 後者で は ,い ずれ の 地区
も 「環境保 全 」 に対す る関 心 が高 く, 自然環境を欲求す
る C ・D 地 区 で 顕著 で あ る 。 こ れ に 次い で 「親水 」 ま た
は 「治水」 と な るが ,「治水」 で は 地区間の 差 異が 大 き
く , A ・D 地 区 の 割合が高 い 。
近 くに河 川 が あ る こ とで 良 い と 思 う こ と , お よび s 悪
い と思 うこ とに つ い て の 結果 を , そ れ ぞれ 図一7 ,図
一
8 に 示す。 河川 の 存在 に よ る利点と して は ,「景観がよ
一 46 一
50
40
蓴30
1・・
10
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豊
図一7 近 くに河川 が あ るこ とで 良 い と思 う こ と
40
ε3。
lll 10
臭い や ゴ ミ 湿気の 多さ
風の 強さ 子供の 躍O配 利用者の マ ナー 整備 の 不備
1水害の 不安 利用 者の マ ナー 隔た り
の 思さ (水域) 便利が悪い
その 他
の 悪 さ (陸域》
図一8 近くに 河川 があ る こ とで 悪 い と思 うこ と
くな る」「心が 和む」 な ど , 景観面 や そ れに 関連す る心
’理的側面 に 対する効果 が い ずれの 地区で も多 く指摘され
て お り,こ れ ら に 次 ぐ利 点 と して , 地 区 間 で 回 答割合 に
開きが ある もの の ,「風 通 しが よくな る 」 「開放的に な
る」 な どが 挙 げ られ る 。各地 区 の 特徴 と して は , 河川 に
自然 の 残 る A 地 区 で は 「自然 が 豊富に な る」 ,高層の B
地区で は 「風通 しがよくなる」 の 回答 が 多 い 。 また , C
地区で は 「開放的 に な る」 の 割合が 高 く , 下 流 の 高密居
住 地 区 で は 河 川 の 空間的広 が りに よる 開放感 が 強 く意識
され て い る。こ れ に対 し て,河 川 に 隣 接 し な い D 地 区 で
は 「景 観 が よ くな る 」「風通 しが よ くな る」 の 割合 が高
く, 実際に 川辺 に 住 ん で い る者と異な り, 内陸部の 住民
は周辺状況 と の 対比 か ら一
般的 に 予 測され る効用を挙げ
る 傾 向が み ら れ る。こ の 傾 向 は 欠 点 に 関 して も同 様 で ,
図一8 か ら , 川辺 の 住民 は河 川 の 「臭い や ゴ ミ」
「水害
の 不安」「湿気 の 多さ 」 に つ い て , 内陸部 の住民ほど問
題視 し て い な い こ と が わ か る。
河川 が 有する レ ク リエ ーシ ョ ン機能 に 対す る意識を図
一9 に 示 す 。 い ずれ の 地区も,休 日の レ ク リエーシ ョ ン
や プール で の 水遊 び などの 代替利用 に 関 して は 否定的で
あ る が , 公 園利用 の 代替 で は 20% 程度 が 肯定 的 で , タ 涼
み ・散策で は C ・D 地 区 で 約 60% 以 上 , 河 川 環境 の 良好
な A ・B 地 区 で 80% 以 上 の 住民 が 役立 っ て い る と す る側
に 回答して お り , 日 常の 手軽 な活動 に 対 して 機 能 して い
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【地区1
驪 跚 恚謡最絹す ませ るこ とが多い 錐
倉
騒谿鸚重差鷁し、 9 錐
倉
孟螻蠢響 貂に 8
錐
食篷黐 磯 醗姿 い る 9 全体
回答構成割合 (% )0 20 40 6D 80 100 n
平均評価得点 一一1 0 1
圈 思 う 園 やや 思 う 口 とち らと もいえ な い 図 あ ま り思 わな い 圏 思 わな い
}1藩一 『 −
625
ill624
ll521
iil630
図一9 レ ク リエ
ーシ ョ ン機能 に対す る意 識
る こ とが わか る 。 また,C ・D 地区間の 差異が少ない こ
とか ら , 隣接す るか 否か の 距離の 差 で は 河川の レ ク リエ
ーシ ョ ン 機能 に 大 き な 違 い は 生 じない と考え られ る 。
5 .居 住 環 境 評 価
本章で は , 居住環境 の 総体的な 評価 と , 住宅周辺 ・河
川・室内の 3 領域 に 関する個別的な評価の 結果か ら , 各
地 区 の 特徴 を示 すと と も に, 特に C ・D 地 区 間 の 差 異 に
着 目 し て 河 川 の 存在 に よ る 効 果 に つ い て 検討す る 。
5 .1 住宅内外 の 環境評価
住宅に お け る 「住 み 心 地」 「満足 度 」 の 総体的評価 2
項 目と,3 領域 に 関す る個別 的評 価 26項 目 に つ い て,5
段階評価尺度の 悪 い 評価 カテ ゴ リーか ら順 に一2 〜2 点
を付与 し求めた各地区ごとの 平均評価得点 プ ロ フ ィー
ル
を 図一10に 示 す 。
総体的評価 で は ,2項 目とも各地区の 評価順序は同
一
で ,河川に隣接 し,民間分譲 で 住戸 の 質も高い C地区の
評価 が 最も高 く,次 い で A ・D ・B 地区の 順 に な る 。
ζれ に 対 .して , 個 別 的 評 価 で は , 周 辺 環境 ・河 川 環 境
ともに B 地区の 評価が比較的高く , 次にA 地区の 評価が
高 くな っ て お り , 全 般 的 に 内陸部の D 地 区の 評価 が 低 い 。
周辺環境の 良好な B 地区が 総体的評価 で 劣 る の は,部屋
の 狭 さ な と住戸 の 質 に よ る と こ ろが 大 きい と考え られ る。
5 .2 因子分析 に よ る 地区間の 比較
前述 の環境構成要素 の 評 価 に つ い て , 関連す る項目 を
整 理 し , 各地 区の 評価傾向 を検討 す る ため , 主 因子 法 ,
直交パ リマ ッ ク ス 回転に よる因子分析を 行 っ た 。 結果 と
して , 抽出 7 因子 に 対 す る各項目の 因子負荷量 を 表一4
に 示 す。
第 1 因 子 は 周辺 と室内の 夏 の 風 ・風通 し ・日 当たりな
どの 負荷 が高 く河川の 空間的な広が りに よる 「開放性 」 ,
第 2 因 子 は 冬 の 風 に よ る 「冬期微気候性 」 ,第 3 因 子 は
自然に 囲 まれ て い る
周辺に緑が多い
住宅周辺の 眺めが 良い
周 住 宅周辺の 雰囲気が良い
辺騒音が 気に なる
環 夏 の風 が涼 しい
個 境 冬の風が暖か い
害虫 tu・)U な と)が多い
生 物 〔蝶・ト冰 なと)が多い
別 河川周辺が整備されて い る
河対岸景観がきれい
的・ 柴茎鯊 蠧る
環 水が きれい で あ る
境水害などの不 安施 る
評 魚などの 生物が多い
騒音が気になる
川の臭い が気になる
価室
川か ・・ 蹴 ・ … い一
日当た りが良い
内 湿 気が多い
環 夏に風通しが よい
境 夏 の風 が涼 しい
冬 の風 が暖 か い
冷房の必 要が増す
暖房の必要が増す鑒
。 、
一響 一一 一一響 ・ C地区 D 地 区一粛
一一 一庸
一
図一10 環 境評 価 の 平均 評価得 点 プ ロ フ ィ
ール
表一4 周辺 ・河 川 ・室 内環境 評価の 因子 分析結果
個別的評価項目 第 1因子 第 2 因子 第 3因手 第 4 因子 第5因子 第6因子 第 7因子
一1自 然
周 緑の多さ
O.127D.105
一〇.025−0,0且9 鬮
一〇.060−0.1120
」350.0640
.1170.116O
,1370.246
:周辺の眺め O,316 一〇、0530 ,3440 .061D .2820 .163Q .093
辺 :周辺の雰囲気 D,1570 .k590 .280O .170D ,互87D .1150 .0且7…騒 音 D、0460 .0220 .093o ,071D .010 匝 一〇.025
現 夏の風 の涼 しさ
:冬の風の暖か さ .境:害虫の多さ
:生物の 多さ
[砿圃一〇.053
0、022 0,146
0.004唾 豆〕 o.13且一〇.o且6
D.且L50,DID
−0.D150.283
一〇,033 0.027
團
O,110−0.022−0.0530254
D.】77−o.0560.0540.07B
0.0470.0590.038
−0.028.L・.」....・...・.........「「「「齟.齟・.......」・齟.一.」■「「「τ「「■r罰丁■「■.■..・・河 :河川周辺の 整備 . :対岸景覯
O.0620,066
一〇.OMO,0040
,且500.2660
.D330.091D
.IBDO.29D0
.012−0,0Z6 圜
川 :臭 い 0、076 一〇.004 密D. 3a0 .380D .163o ,2L20 .075
:水量 の豊竃さ 1現 水の き れいさ
o、1080.167
一〇.0320.054D
、031D.瓦340
.1190.081 鬮
一〇.0310.1060
,1260.244
1水害の不安 o.o臼o 一〇.081o ,124o ,3140 .i50o .207o ,119
境 :魚などの生物 O.13且 0.O且20 ,145 一〇,215 區 0.043O .072
...:........『、.....T.−「.......」「r1■「1r「■■一「「■.1.r閲.1 「■−..」..L.. .室…飜 りのよさ
・i嬲 畿環i嬲 攤 喜
0.040匝勲
.1
0,277
匿劃.−0.05a
0、05且 0.031 D,077−D,052 0.oo4頤 亘.1
0,且ηD.113D,0040.0740.064
−0.04L
0.183 0.D31匝画o.且930.020
−o,03ユ
D.0440.221D.058D,塵52D,062
−o.o】7
甌一〇,120
0.G95−0.043 D.161−D.038
0.0070、029
−o.0640.OO60,1170.064
・i嬲 鐡o.2930.073
一〇.0330.36{
D.QB10.0190
.2720.148D
、0030.041
一〇.Dm己0.127
一〇.010−0.135
聯 22.816 ,41 … 1i1.711 ,711 .611 ,且
n :505 注 )因子負荷量 O:a以上 を[] で示す。
一 47 一
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平均因子得点 n :晒
一〇,6
−O.4 −0,2 0 0.2 0.ξ 0.6
羅鰡
難濕
堕 ,一一_N _ 一一一_ − Q 一加 一一_ 圓
隈 かい 1〔寒い)一一ロー一一一
つ一一一一一一一一一一△ 一一△ 一一・一一一一
匹 箏)一一一.一一.。壱 一A −.一一一eG −一.貝髄 身
匪 衛生} 衢生[一く)・一冒冒冒r甲一一一一一一一日△ 奇
一一一一一一一一一
【汚ヒ’
し一一一一一.一△ 一一日.一△ 一_一,..一玉き議弖
樽か}瞳 が しい 1・一一一一一一一△ 一一一《}
暫曹曹曹刷☆ o −一一一一一一
購 ._ .一_ △一一一一th −、..._ ..轡l OA 地区 ロ B 地区 △ C地 区 A D 地区
70
薑::
韆::甕・。
ll
− 2
図一11 平均 因子得 点 に よ る地 区 の 布置
70
§::
罌1:奮・。
i
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ノ
跚83脳52醜
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期
0 0 0 G
隶)如
響露回
膕
「llが 毘える宙か ら 川炉見えるベ ラ ン ダから
外を眺める 川を眺める 外を眺める 川を眺める
ニエ
〜)
3層
1階(
21〜9
合
場
る
え
8
見濫5〜3
ラa(
n :374
一
團 よくある 臣コときどき 口 ごくたまに 巳ヨない
』
鈍
.
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ロ
て
・一!
コ
リ踏こ
曜
三\弊
・ 、、
署
コ
・
顎
璽、
;
〜2 3 〜5 6 〜8 9 〜12
川が見えない 川が見えない 臨か ら ベ ラ ンダか ら
外を眺める 外を眺める
注) 「川を眺める 」 は.「外を眺める 」 に
飆 な回簪をし た者を全体とす る .
13 〜{階層)
図一12 外 を 眺 め る頻 度
気分転換 したい 暇なとき 外の様子が気になる 用事 をしなが ら十 一責 一・ 一一一
佃一一一 一一●一一・t
罰慣聾 勉 怒 魯 その 他
(b ) 川が 見えない 場 合
図一13 窓か ら外 を眺 める と きの 動機 ・心 理状態
自然 ・緑 な どに よ る 「自然 性 」 ,第 4 因 子 は 害虫・生 物
・湿気 な ど に よ る 「衛生 性」 , 第 5 因 子 は 河 川 の 水 量 ・
水の きれ い さ ・魚などに よる 「河川流状性 」 ,第 6 因子
は周辺 ・室内の 騒音 に よ る 「公 害性 」 , 第 7 因子 は河 川
周辺整備 ・対岸景観な どに よ る 「河川整備性 」 を示すも
の とそれぞれ解釈できる 。
次 に , 各因子 に つ い て の 各 地 区の 評価傾向を考察す る
た め , 同時に得られた因子得点を各地区ごとに集計 し j
平均因子得点 を求め た 。 結果 を 図一11に 示 す。
第 1因子 の 「開放性」 で は , 河川の存在に よる利点と
して 風通 しの 回答が多い B 地区 , 開放性 の 回 答が多い C
地 区 , 次い で A 地 区 と s 河川 に 面 し た 3 地区の 評価 が D
地区に 比 べ 著 し く高く , 河川 が 風・日 照 な どの 面 で 室内
環境 に 大 きな影響 を及ぼす こ とが わ か る 。 第 2 因 子 の
「冬期微気候牲 」 で は , 河川 の 存在 に よ る 欠点と して 風
の 強 さ が 指摘 され る高層 の B 地区は 寒 くs ヒートア イ ラ
ン ド様の 都市型気候の影響を受け る と推測され る D 地区
で 暖か く評価されて い る 。 第 3 因子 の 「自然性 」 で は ,
下 流 の 高密居 住地 区 C ・D の 評価が低 く,河川整備 が 良
好なB 地区 , 自然が残 る上流 の A 地区で 評価 が 高 い 。 A
地区は , 第 4 因子 「衛生性」 で は 低 く , 第 5 因子 の 「河
川流状性 」 で は高く,い ずれ も著しい 評価傾向を示 し ,
河川上流部 の 特徴 が よく現れ て い る 。 第 6 因子 の 「公害
性 」 で は , 河川による緩和効果と幹線道路 の 位置 が 大 き
な 影 響 を及 ぼす と考 え られ ,B ・C 地 区 の 評価 が 高い 。
第 7 因 子 の 「河川整 備性 」 で は , 河 岸 が 親水讃.岸 と して
整 備 さ れ て い る B 地 区 の 評価 が特 に高 くな っ て い る 。
以 上 の 結果 の うち J 特 に C ・D 両地区の 結果の 比 較 か
ら河川 の 存在 に よ る 効果 に つ いて 考察す る 。 抽出 7 因子
の う ち , C ・D 地区 間で 最も得点差が大なの は 「開放性」
であり , 風通 しや 日 当た りな との 点で 最も影響が 大 き い
こ と が わか る 。 「自然性 」「公害性 」 で もC 地区 の 評価
が 高 い が , 「冬期微気候性 」 で はD 地区 の 評価が高 く,
自然度 を 高 め , 騒 音 を 緩 和 す る も の の , 川 風 に よ り冬期
は多少寒くな る こ とがわか る 。
6 .寤 との 接触行動 と眺望評価
窓などか ら外を眺 め る 行動 は,
そ の 窓か ら眺望 可能 な
景観 の 質に よっ て 影響 を 受け る と考 え られ る 。 第 4章で
述 べ た よ う に , 河川 の 存在に よ る利点 と して , 景観 の 向
上 や 心 理 的効果 が まず 指摘 さ れ る こ とか ら , 本章で は ,
住戸からの 眺望景観 の 中で , 河川 の 存在が 窓 との 接触行
動 や そ れ に よ る心 理 的効 果 に 及 ほす影響を検討する 。 こ
の た め , 以 下 で は , 住戸か ら外 を眺め る際 に ,川 が 「見
え る 」 場合 と 「見 え な い 」 場合 に 大 別 して 検討する。
図一12に外を眺め る頻度 の 回答構成を示す 。 こ こ で は ,
視点が窓か らの 場合 とペ ラ ン ダ か らの 場合 に 分 け , さ ら
に, 川 が 見 え る場合 に は , 視対象 も外 部 全 般 と河 川 とに
場合分けして い る 。 い ずれの 地区も川が見えな い 場合 に
比 して 川が 見 え る場合 に 眺望 頻度 が高 く,特に 「川 を 眺
一 48 一
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100
80
翁
証60
響器
4°
回20
肚〜2 3 〜5 6 〜8 9 〜12 、3 〜 (a ) 川が見える場合 (mm )
too
SO
熏
話6°
蘿、o
籥 20
01
〔階肩)
良 くなる 意識高揚 悪 くな る 変化無 し その 他一 矧トー一 一一一■ 一一 一一一Ey−一一一一莞 一一一一日」一一一
(b) 川が見えない場合
図一14 窓 か ら外 を 眺め た L.きの 気分 変化
め る 」 頻度は , 河川 の 存在が 大 き な入 居動機 とな っ て い
る C 地区 で高く , 内陸部の D 地 区で 低 い 傾向が み られる。
なお,図示は省略す る が , 外 を眺め る の は , 季節 で は 夏
・春,時間帯で は朝 ・夕方に 多 い 傾向がみ られ る 。
窓 か ら外 を 眺 め る ときの 動機 ・心 理 状態を , 図 一13に
居住 階層別 に 示す 。 なお , 階層 は 各居住階を数階ずつ ま
とめ て い る 。 川 が 見 え る,見え ない に か か わ らず, 「気
分 転換 した い と き 」「暇 な と き」 の 割 合が 高 い が , 情報
収集 を目的と し た 「外の 様 子 が 気 に な る」 や , 目的意識
の低 い 「用事を し なが ら」 の 割合は,川が見えない 場合
に 増加 し,見え る場合 の 2倍 弱 に達 す る こ と が わ か る。
ま た , 川 が 見 え る場合,階層の 上 昇 に 伴 っ て , 「気分
転換 したい とき」 の割合は ほ ぼ増加傾 向を示すの に 対 し
て ,「暇なとき」 の 割合は 減少 して い る 。 川 が見え な い
場合 はこ の ような顕著な傾向はみ られ ず , 「気分転換し
た い とき」 の 割合は ,6 〜8 階まで は増加す る が , そ れ
以 上 で はほぼ一
定の値を示す 。
次に,窓から外を眺 め る こ とに よ る気分 の 変化 に つ い
て の 回 答構成 を同様 に 図 一14に示 す 。 川 が 見え る , 見え
ない に か か わ らず , 気分が 「よ くな る 」 の 割合が最も高
い 。 しか し , 川 が 見え る場合 は い ずれ の 階層 で も80% 以
上 を 占 め ,低 層 階 で も生 理 ・心理 的 効 果 が 認 め られ る の
に 対 し , 川 が 見 え ない 場合 は ,階層の 上 昇 に伴う増加 は
あ る も の の 大 略 40〜60% の 範囲に あ り, 1〜2 階で は気
分 に 「変化無 し」 と同等 の 割合を示 す 。
悪い 評価(階層)
13 〜
9 〜12
6〜8
3 〜5
1〜2
一1平均評価 得点
0良い 評価1
悪 い評価(階層) 13 〜
9 〜12
6〜8
3〜5
1〜2
(a ) 川が 見 え る場合
一1 0 3い Evafi
(b ) 川が見えない 場合
図一15 窓 か らの 眺望 景観の 満足度
眺望景観 の 総体的評価 とした 「眺めの 満足度 」 に っ い
て ,5 段階評価 尺 度 の 悪 い 評価 カ テ ゴ リーか ら順 に一2〜2 点を付与 し求め た階層 に よる平均評価得点 プ ロ フ ィ
ール を 各 地区 別 に図
一15に 示 す。い ず れ の 階層 ,地 区で
も川 が 見え る場合は 見 え な い 場合に 比 ぺ 評価 が 高 い 。 川
が 見える場合 , 河川に面 した A 〜C地 区 で は階層に よ ら
ず高評価 を 示すが ,内陸部 の D 地区は評価 が 劣 り , 特 に
1 〜 2 階 の 評 価 が か な り低 くな っ て い る 。 川が 見えな い
場合 , 高密居住地区 の C ・D 地 区 に 階層 に よる評価 の 変
化 が み られ , C 地 区 は 9 階 以 上か ら , D 地 区は 1〜2 階
の 低層か ら階層 の 上昇 に 伴 う 評 価 の 向 上 が み られ る。
以 上 の 結果 よ り,眺望景観 に おける 河川 の存在は , 居
住者 の 生 理 ・心理的側面に影響を与え る こ とが わ か る 。
すなわち , 川 が 見 え な い 場合 , 眺望 景観の 評価は低層 で
低 く , 階層 の 上昇 に 伴 っ て 向上 す るの に 対 し, 川が 見え
る場合は 1〜2 階 の 低層階か ら比較的高い 評価 を 示 し ,
気分転換の 効用 も大 で あ ると考えられ る 。
7 .眺望景観の 選好特性
本章で は , 前章 で 生理 ・心 理 面 へ の 効用を示 した眺望
景観 に っ い て ,評価 に 影 響 を 及 ほ す 要 因 な との 詳細 な 特
一 49 一
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3 階
議 tt
4 階
2階
8 階
9階
B 地 区
6階
C 地 区
15 階
』・・譲 糎 鑞
瞳
攤
17 階
ト .Ut . J
tτ
L:耋L 廴 盤 声…
12 階
9s,贈
鱒
!OD
80
O D
e
4
(δ
鑿02
鯉側」驫措町
街蠍
累
飆
髏
韓着
島州
山緑木
海川河
空D
図一17 着 目要素の 出現 割合
表 一5 イ メージ 評価 の 因子 分 析結果
6
写真一1 選 好景 観写真 の 例
4
2
〔彎
霪0
■
y =− 1.i58 十 2 .030 (1nx }
相関係数 O ,986一2 5 10 15 20注 )前章 と同搬の 階層 区分 (1〜2 階、3噌5 階,6〜8爾 幽9〜12 階,13 陶以上)
ご とに,居住階および選 好億角につい て平 均僑を求めた。
図一16 階層 と俯 角の 関係
形 容 胴 対 第 1因子 第 2因子 節3因子 第 姻 子 1第 5 囲子
快適な一不 快な 0.η 0 一〇.054 一
〇,11L 一〇.2150 .13ゆ
穏やかな一荒々 しい o,535 一〇.L7L 一
〇.309 一〇、2230 .051
安心な 一不安な一〇.692 一〇、101o .372 一〇.148 一
〇.030皿かな
一貧 しい 0.5970 .252o .021 一
〇.ユ3B 一〇.071
ま とま りのある一ば らば らな
大きい一
小 さい
複雑な一単調な
一〇.402 −o.332−D.117
一〇.ogo匸亟型一〇.0190
.380刈 .OB】甌頭珊
o.135−D.1290、DEB
ぴ.0310.276
ゆ.075日本的な
一異国 的な 0.175 一
〇,ユ470 .且150 .010 一〇.046
開放的な一閉頭的な
自然的な一人工 的な さわや かな
一うっと う し い
新 しい 一・古 い
活発な一お とな しい
安らぎのある 一安 らぎのな い
好きな 一撮 い な 潤 いが ある 一潤 いがな い
奥行きがある一奥行きがない
遠 い一近 い
高 い一低 い
上品な一下品 な
口麺 l o.垂121三⊆.照 】 0,297−O,03L
鬮一〇.200−D、D940.182
[麺,典 }
0、005−0.375 02 ]4
鬮 0.09, 0.000 0.000−0.0且4−0.042厘,捌一
〇.205
0.034−0.σ500.17匠
一〇.且530,2D20.25ε一
〇.0950.0且00.04BO、0280」ooo.u6
一D,19置 0.038匝.弖1亙1曹O.G87 0』 55 0.286−o,24咽一〇.057[豆畢霎亘1 0.042−o.025雕 引
0.0且4
匝.砌 0』 76−o.2偲 0、072 0.183−O.025−O.230−D,063
鬮 一 〇.L65
堅 い一柔 らかい 一〇.383o ,249o .3260 .25[ 0、209 き血い
一きた ない
安定な一不安定な
園和 した一
不鬪 和な 鬮一〇.150−O、006−0、D58o
.!22−o.32Lo,263o
.3置5−0.旧 90.3日3
σ」囎0.0550.215
寄 与 串 1% 1 闘 .113 ,3L2 ,且 LL7L
注1因子負荷璽 e.4以上を[:コで示 す 。
性 を把握す る ため, 選 好 景 観 に 関 す る調 査 結 果 に 基 づ き
検討する 。 なお , 選好景観写真 の例 を写真一1 に 示 す 。
7 。1 選好俯角と景観着 目要素
住民が選好景観を撮影 した際 , 同 時に測定した俯角を,
前章 と同様な階層区分 で検討 した 。 図一16に 階層 と俯角
の 関係を示す 。 両者 の 関係は実線 で 示 すよ うな対数回帰
式 で 表すこ とが で きる 。 こ の結果は次の よ うに意味解釈
で き る 。 すなわち , 低層階で は , 近接す る雑多な要素 が
視 野 に 入 らぬ よ う , 俯角 は 河 川 や 対岸景が 視対象とな る
水平方向 に近 くな る の に対 し,階層 の 上昇に伴 っ て 視対
象 を 見 お ろ す 方 向 に 変 化 す る。しか し , 高層階で は 明確
な視 対象の 同定 が 困難 に な り,景観要素が 要素群 と して
知覚さ れ る た め , 構図上 の 問題 か ら , 俯角はあ る一
定 の
値に近 づ くと考え られ る 。
居住者 が 景観 を眺め,評価 ,選 択す る際 に着 目 した 景
観構成要素につ い て 分析 するため , 選好景観 , 特に雰囲
気 の よい 景観 , 悪い 景観そ れ ぞれ の撮影時に 申告さ せ た
理 由の 中か ら景観構成要索 を示す名詞を抽出 し た (以 下 ,
これ ら を着目要 素 と呼 ぶ ) 。 図 一17に , 着 目要素の 出現
割合 (複数回答)を示す 。 選好景観および 特 に 雰囲気の
よ い 景観の 着目要素と して は, 「川 ・河」「緑 ・木」 が
挙げ られ , 「山 」 「橋 」 も 約 15% 程 度 と高 い.。 一方 ,
「建物 」 は, 特 に雰 囲気 の 悪 い 景観 の 着目要素と して 出
現割合 が高い が , よい 側 の 着 目婁素 として も10%程度 は
挙げ られ て い る。
以 上 の 結果 か ら, 前章 で 得 られ た , 河川 が 見え る場合
に 眺望釁観評価が低層階 で も比較的高 くな る傾向も , 河
川 とい う好ましい景観要素を身近に望め るとともに,そ
の 空間的広が りに よ っ て 好ま し くな い 景観要素 を接視 し
なくて すむ こ とに よ る影響 と考え る こ とが で き る 。
7 。2 撮 影 写 真 に よ る イ メージ 評価
選好景観 写 真 に 対す る イ メージ 評 価 24形容詞 対の 評価
結 果 に , 5 .2 節 と 同様 な 手法 に よ る 因子分析を適用 し
た 。 表一5 に , 抽出 5 因子 の 因子負荷量を示す 。 各因子
の 意味は s 第 1 因 子 か ら順 に ,「快適性 」
「躍動性 」
「整然性」 「品 格性 」 「空 間性 」 と解釈 した 。
一 50 一
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第 1因子
{快適園
平均因子得点一〇、B
PO,4 −O,2 0 0,2 0,4 0,8
第2 因子
雕 .
第 3 因子
鏃
第 4 閃子
儡 格樹
第5 因子
倥 間樹
∫褪 L − t −一)e
一骨 日 ◎ 笛 一一一一一一一〔躑
〔静的〕 働 的1−一▲ 一一一 一
廿 一一● ■ + θ 一一△ 一一一 一一ac一
雛然) 鰹然 }一一一一一一一£ ▲ 十一
● →←一
日t −一一一一一〇一一
∫興 .△一一一..一.● 【 直 .o − 一...一一岬
麺 叫 .一量
一一□ △ 一.
+ + 一一一θ一一{享圃
橋
十12
街町
骨
4
勸
兮州▲
ー
島山ロ
ー3
休
■
27
緑海04
河1・●
45
n
図一18 着 目要素の 平均因子 得点
こ れら各因子につ い て ,選好景観 の 着目要素をグルー
プ と し て ,そ れ ぞ れ の 平均因子得点を算定 し た e 結果を
図 一18に 示 す。 「快 適 性 」 の 評 価 は ,「島 ・州 」 「海 」
「川 ・河」 など水 に 係わ る 自然的要素 が 理由に 挙が る場
合 に 高 く,「橋 」 「町 ・街 」 などの 人工 的要素 の 場合は
低 くな るが , 「建物 」 の 場合は特定 の 建築物 が 撮影対象
に な っ た と考 え られ ,そ の 建築物 を評価 し て い る ため に
高 くな っ て い る 。「躍動性」 で は ,
「町・街 」
「建物 」
などの 人工 的要素 が 挙 が る場合は動的, 「島 ・州」 の 場
合 は 静的 と な る 。 また,着 目要素 と して 「湖 が 挙が る
景観 は,調査対象地区の 位置か ら推 して 遠景が主体とな
る た め,単調 さ を示 す 「整 然性」 や , 距離感 や 高さ感 を
示 す 「空 間 性 」 の 評 価 が高 くな る と考 え られ る。
8 .眺望景観 の 快適性評価に及ぼす諸要因
選好景観写真の イ メージ 評価 に 及ぼす諸要因の 影響を
み る た め ,前述 し た 因 子 分 析結果 に お け る 第 1 因 子 「快
適性 」 に つ い て , 因子得点を外的基準に と り, 数量化理
論第 1類に よ っ て 検討 した 。 説明変数 として は , 居 住性
に関する調査 で 得た , 居 住環境 の 総体的 ・個別的評価 ,
眺望景観 の 評価 , 河川へ の関心 ,ペ ラ ン ダの使用状況と,
前章で述 ぺ た選好俯角 , そ れに 地区 ・階層を加えた 。 各
ア イ テ ム の カテ ゴ リース コ ア ,
レ ン ジ , 偏相関係数を結
果 と して 図 一廴9に 示 す。こ こ で , 1E側 が快適 , 負側が 不
快 で あ る 。
こ れ よ り, 「快適性 」 に 及ぼす影響要因と して 偏相関
係数 の 大 き い ア イ テ ム か ら順 に 挙 げ れ ば ,「階層 」
「ペ
ラ ン ダ の ゴ ミ置 き場と して の 使 用 」 「眺め の 満足 度 」
「河川 へ の 関心 の 有無」「河川水 の きれ い さ」 とな る 。
こ の うち , 「眺め の 満足度 」 で は ,満足側が高評価 と
な り , 眺 望 景 観 全 体 の 評 価 と選 好 景観 の 評 価 は対 応 す る
と考え られ る 。 しか し ,「階層」 では , 低層階の 方が高
評価 となる傾向が み られ,第 6章 で述 ぺ た階層 の 上昇 に
アイテム 騨 デ ゴ 1J カテゴ リ
ース コ ア
1 −0.5 0 0・5 1 レンジ
一四■一一一
一一一一一一
一一一一■一
一一一一一一 一一疊一一一一
一一一一一一一
一一一一一一一
一一一一一一一
一一一一一一一
■一■一一一一
1,住み心 地一一一一一一・・糶一一一一一一3,自 然一一一一一一4,緑の多さ一一一一一一5・嬲
辺
一一一一一一6,対岸景観一一
永あ一一
f・者れいさ一一一一一一
9槲騾、冒一一一一一9,地 区一一一1¶罰
10,階 層
罰 ∫貔ン 】2,物 置
蓊脳 毒用 14・憩の場一一一一一一
15,俯 角「
0.175−■0.431一幽0,241− −0.109L
_o、234− −0.260甲一〇.3母2− −0、3BO一一〇、249■−
0.524一膠0.088一一一〇.098− F −o.454_一一〇.058− −
o.233
2 露■一一 宝一, −
2_ 」ド_ 2− , 一
室冒冒冒 2 購一一一 2 ホー一一 あるややあ る
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韈よ3謄 _瀰一一一一轡■ − F鮒一一一一響
二.一五ドーa5解2.『2.5〜7.5°
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一一一一疊一
一一一一一■
一一 π 一
一冒一冒一一一
一一一一一一層
一一一一一一一
0.283−一一1.010■一一〇,595一’−O,251胃−■0.554−一一〇,566−一一〇.837一一一〇、694−一一〇.635−一一
L424一層一〇.130−一一〇,171−一一Lo53−一一〇.100幽一一
〇,626
,冒一一一一一一一一一一一▼一一一冒一一
一一一一一甲一,一一一甲−一一冒一■一冒一 ■
一一一一一一_一一一一一一
一一一一一一一一一一一疊一一謄 重相関係数
0 .759
注 1)図中の 記兮は,O :よい △ :ややよい * :とちらで もない〜悪い を示す。
2)説朋変数の うち.3,〜7,は居住環境の個別 的評価 ,1.は総体的評価で あ るe
図一19 選好景観 の 快 適性に 及 ぼ す諸要 因の 影 響
よ り眺望 景観の 評価が 向上 す る 傾向 と逆 の 結果 が得 られ
た 。 これ は , 低層階で は 間近 に 捉 え られ る河川や緑など
の 快適性を高め る 景観要素の み を対象 と し , 街並 み の ご
み ご み した 部分なとを除外 して 撮影 す る こ と が 可 能 で あ
るの に 対 して , 高層階で は 景観要素が 群と して捉えられ
る た め , 眺望 景観全 体 と して は あ る程度高 い 評価 に なる
もの の , 際 だ っ て 評価 を 向上す る要素 も少 な くな る と考
え られ る 。「階層 」 と関連 する 「俯角 」 も ,
0 °
に近 い
場合 に 高評価側 , 大 きい 場合 に低評価側 に 寄与す る 。
ま た , 視点場 と な るペ ラ ン ダの 環境 が 悪 い 場合や , 河
川 へ の 関心 が 「あ る 」 ま た は 「ない 」 とす る 両極端の 回
答の 場合 に 低評価 と な る傾向 が みられ る 。 周辺河川環境
評価 で は ,「河川水 の きれ い さ 」 に つ い て は , 高評価側
で 快適性 の 評価 も向上す るが , 「自然 」 「河川整備 」
「対 岸 景観 」 に つ い て は 寄 与 は低 く, 本分析結果 か らは
顕著 な対応関係は み られ な か っ た 。
9 .結 語
リパ ー フ ロ ン ト住宅 か らの 眺望景観が居住性 に 及ぼす
影響 を明 らか に す るため , 集合住宅の 住民を対象に実施
した 居 住性 に 関す る意識 調 査 お よ び 選 好景観に 関 す る調
査結果を分析 した 。 こ れより, 次 の 点が 明らかに な っ た。
都市内河川は , 景観 , 通風 , 日照 , 自然性なとの 面に
お い て 居住環境に影響を 及ぼ して お り , 特に市街中心部
の 高密居 住地 区 に おい て は , 空 間 の広 が りに よ る開 放 性
とそ れに付随する通風 ・日照などが強 く意識されて い る 。
住戸か ら の 眺望景観 は , 居 住 者 の生 理 ・心理 的側面に
一 51 一
N 工工一Eleotronio Library
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service
Arohiteotural エnstitute of Japan
影響を与えて お り , 特に 河川 が見え る場合 は見えな い 場
合に 比 して 気 分 転換の 効 用 が大 で あり,評価 も高くな る 。
また ,河 川 が 見 え な い 場 合 , 階層 の 上 昇 に伴 っ て 眺 望 景
観 の 評価は向上するの に 対 し, 河川が 見 える 場合 は低層
か ら比較的高 い 評価 を呈 し , 高層 で も保持され る 。
住戸か ら眺望可能な景観全体か ら,好 ましい 景観を選 も
ぶ際に着目さ れ る景観要素と して は, 河川 ・緑 が挙 げ ら
れ , 島 ・州 , 河川など水に係わる 自然的要素 が 着目され
る景観は快適性 評価が高 くs 町 ・街などの 人工 的要素 が
着目さ れ る 景観は低くな る 。 また , 快適性評価 の 要因分
析結果か ら , 居住階層 ,ベ ラ ンダの 利用状況 , 眺望景観
評価,河川 へ の 関心,水質性状な どの 寄 与 が 大 で あ る こ
と を 把握 した。
好 率しい 景観の 俯角と居住階層との 関係 は 対数回帰式
で 表 され , 階層 の 上昇 に 従 っ て 俯角 は 大 とな る が , そ の
増加 率 は漸 減 す る 。 こ の 結果 は ,階層 の 上昇 に従 い ,初
め は 河 川 な ど 明 らか な視対象 が あ るが ,次第 に 各景観要
素が要素群 として 知覚され , 景観 が構 図として 捉 え られ
る ように な る ため と考え られ る 。 河 川 が 見え る場合 , 眺
望景観評価 が低層で も高評価 とな るの は , 要素として の
河川の 存在 とそれによる空間的広 が りの確保 が寄与 して
い る と予想 され る 。
以 上 の 点 か ら,都市内河川 の 存在は そ の 空間的広が り
の み に着 目して も高密化 した居住空間 の快適性を高め る
ため に大 き な役割 を 果た して お り s さらに そ の 効果を高
め る た め に は河 川 と そ の 周辺 建物 との 調和 を図 っ た整備
の 重要性 が 指摘 で き る 。
謝 辞
本研 究 の一
部 は , 平 成 2 年度 「財団法人 河川環境管
理 財団」 研究助成金 に よっ た 。 ま た, 研究 の 遂行に あ た
っ て は , 広 島大学平成 3 年度卒論 生 山下千映嬢 , 同平
成 4 年度卒論 生 井 上泰彦君 , 呉 工 業高等専門学校平成
4 年度卒論生 金川公之君に 多大 なご 協力を戴 い た 。 こ
こ に 記 して 感謝の 意 を 表 す る。
捗考文献
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}2
)3
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」5
」6
レ7
レ呂
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11}
12}
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N 工工一Eleotronio Library