report on seminar - japan national tourism …µ·外レポート report on seminar...

1
海外レポート JNTOロサンゼルス事務所 80 11 10 便12 Luxury Travel Exchange Wi-Fi 使アメリカの富裕層を日本へ 試されるインバウンドの実力 船旅会社のPrincess Cruisesと共 同セミナーを開催(2014年9月) Luxury Travel Exchangeで日本の魅力を アピール(2014年12月) 7 Reporter ロサンゼルス事務所長 藤内大輔 18 No.698

Upload: vohanh

Post on 21-May-2018

215 views

Category:

Documents


2 download

TRANSCRIPT

海外レポート

Re p o r t o n Se m i n a r

日本ホテル協会第79回幹部育成セミナー

[マーケティング・セールス関係]2014年11月20日(木)・21日(金)の2日にわたり

東京都新宿区の京王プラザホテルで幹部育成セミナーを開催しました。「マーケティング・セールス関係」をテーマとする今回は、

クールジャパン戦略やLINEの活用方法、食品表示のルールなど、いずれも時代の動きを感じさせる興味深いセミナーとなりました。

1日目の講義 2日目の講義

講義4

ブランド戦略と営業江口泰広 氏学習院女子大学国際コミュニケーション学科教授

商品はホテル側でつくられるが、ブランドやイメージは顧客の頭の中でつくられる。人は本当に満足すると他人に伝え、人は人の“評判”を信用して商品を購入し、そうやってブランドができていく。

つまりブランド戦略とは、顧客に明確な独自性とイメージを植えつけること。営業はそのためにプレゼンテーション力=価値伝達力を高める必要があるが、まずは自分で何でも体感することが大切である。

講義5

企画担当者が知っておくべき表示のルールと考え方~メニュー偽装を起こさないために~

中村啓一 氏公益財団法人食の安全・安心財団 事務局長

メニュー偽装事件が起こった結果、景品表示法に課徴金制度が設けられたほか、新しい食品表示法も施行される予定である。ホテル側はそれら、特に食品の産地の表示方法などを把握するとともに、信頼性確保のための社内体制づくりを

しなければならない。信頼の要である品質管理部門の社内での位置づけと権限をはっきりさせ、お客様相談室や広報との情報の共有ができる体制が必要である。

講義6

訪日外客2000万人時代に向けた観光政策~外国人旅行者向け消費税免税制度改革を中心として~

森 哲也 氏観光庁 観光戦略課長補佐

訪日外国人旅行者数2000万人を目指して、日本はビザ要件の緩和などさまざまな施策をとっているが、消費税免税制度の改正もそのひとつである。この10月に食品・化粧品といった消耗品も免税対象品となり、百貨店の売上が大幅

に伸びている。今後はさらに店舗数を増やし、免税店の検索サイトを充実させ、免税手続きを担当する「一括カウンター」の各所への設置を推進していきたい。

講義1

デジタル時代のおもてなし田村康一 氏シスコシステムズ合同会社エンタープライズネットワーキング事業ユニファイドアクセス部部長

ホテルは、Wi-Fiを使ったサービスをもっと展開するとよいのではないか。海外のホテルでは専用のアプリをつくり、宿泊客が今ホテルのどこにい

るかがわかる位置情報や、レストランの空席情報、館内施設の割引クーポンなどを配信しているところもある。ホテル側はこれをマーケティング調査に役立てるだけでなく、アプリの多言語化によって、通訳の時間が短縮できるといったメリットも得られる。

講義2

クールジャパン機構の戦略と今後の展望鈴木雅之 氏クールジャパン機構マネージングディレクター

クールジャパン機構は、日本のよいものを海外に広めてビジネスとして成り立たせ、日本のファンを増やし、最終的にはインバウンドを促進すべく企業を支援する組織である。主にメディアやア

ニメ、食、サービス、ファッション、ライフスタイルなどの分野に投資をしているが、「外国人観光客にとって魅力的な場所づくり」などの国内事業にも投資しているので、ホテルにもぜひ活用していただきたい。

講義3

ホテルマーケティングにおけるLINEの活用方法長福久弘 氏LINE Business Partners(株)代表取締役社長

本日は「LINE@」というマーケティングツールを紹介したい。主なサービスは3つで、スマートフォン専用のホームページがLINE上で作れる機能、問い合わせがあった際にユーザーと直接メッ

セージのやりとりができる機能、一括メッセージ配信機能がある。LINEは今や5.6億人を突破するほどのユーザーを抱え、使用頻度も高いため、集客につながるツールとして活用できると思う。

JNTOロサンゼルス事務所

訪日需要の底上げへ

ターゲットは富裕層

 

訪日米国人は2013

年に約80万人、2014年

は1月から11月までで前

年比10%以上の伸びを示

し、過去最高を記録する勢

いです。米国人にとって日

本はお金も時間もかかる旅

行先であり、訪日を決断し

ていただくのは容易では

ありませんが、2020年

2000万人の実現に向け、

さらに数を増やすため、鍵

を握るのは「富裕層」です。

 

富裕層は高学歴で、知的

好奇心が旺盛で、旅行経験

も豊富であるため、月並み

でない、その場所でしかで

きない特別な旅行体験を

求め、そのための支出は厭

いません。独自の歴史と文

化、質の高いサービスを有

し、各地域の多様な魅力が

強みである日本は、米国人

富裕層のニーズに最適な

旅行先です。富裕層は日米

航空直行便が就航する大

都市に多く在住しており、

その意味でも有望な訪日

層です。

 

訪日米国人の約9割が

個人旅行者で、富裕層も例

外ではありません。個人旅

行者の旅行予約経路は多

岐にわたるためアプロー

チが難しいところですが、

富裕層はお金に余裕があり、

前述のニーズを満たす高

度な旅行手配を求めるため、

旅行会社利用率が相対的

に高く、富裕層を顧客に抱

える大手旅行会社が複数

存在します。

情報不足を補う

総合的プロモーション

 

当所では2014年12月

にラスベガスで開催され

たLuxury Travel Exchange

や当所主催セミナーなど

を通じ、これらの旅行会社

の社員に対して富裕層向

けの訪日旅行に関する情

報提供や商談を行い、販促

を働きかけています。

 

日本に関する知識に乏し

い米国の旅行会社には、ホ

テルに関する情報も不足し

ており、当所では意欲的な

事業者の皆様と連携して積

極的に情報発信しています。

その際、あくまでも「旅先」

あってのホテルですので、

周辺の観光地の魅力や交

通情報とセットで、観光地

としての総合的な魅力の

中でホテルを売り込むこ

とを心がけています。言葉

の不安を抱える米国人には、

Wi-Fi

等の環境が整備され

ていることもセールスポ

イントになります。

 

米国人富裕層の旅行客

が増えているある地方では、

地元の農家の方々との郷土

料理体験などを通じた身振

り手振りの交流が好評だ

そうです。「心のこもった

おもてなし」「さりげない

気配り」「驚きの演出」など

といったフレーズが、富裕

層のニーズを表現する際

によく使われますが、これ

らは日本が得意とすると

ころであり、あとは熱意と

工夫が問われるところです。

 

実力が問われるマーケッ

トでありますが、観光地と

しての日本のレベルアッ

プのためにも、取り組む意

義のある市場だと考えます。

アメリカの富裕層を日本へ試されるインバウンドの実力

船旅会社のPrincess Cruisesと共同セミナーを開催(2014年9月)

Luxury Travel Exchangeで日本の魅力をアピール(2014年12月)

第7 回

Reporter ロサンゼルス事務所長

藤内大輔

18No.698

19No.698