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植物科学最前線 11:150 (2020) Y. Hiwatashi - 1 BSJ-Review 11:150 (2020) ヒメツリガネゴケ微小管関連因子から探る植物細胞の分裂と伸長の制御 日渡 祐二 宮城大学・食産業学群 982-0215 仙台市太白区旗立 2-2-1 Regulation of cell division and expansion mediated by microtubule associated proteins in the moss Physcomitrella patens Yuji Hiwatashi School of Food Industrial Sciences, Miyagi University, 2-2-1 Hatatate, Taihaku-ku, Sendai 982-0215, Japan Key words: moss, Physcomitrella patens, cell division, cell expansion, microtubule-associated protein DOI: 10.24480/bsj-review.11b5.00187 1.はじめに 植物の細胞は動物細胞とは異なり,硬い細胞壁を持っているため,動物細胞のように移動 する能力がない。そのため,細胞分裂によって生じた娘細胞は,分裂が生じた位置に存在し 続ける。細胞が分裂した後,細胞の体積は伸長を介して大きくなるので,細胞がどのように 分裂し,どのように体積が拡大するかに依存して,植物個体の形は決まってくる。従って, 植物の形づくりの理解には,細胞の分裂と伸長のしくみを解明することが不可欠である。さ らに,道端に自生している植物をざっと眺めてみると,さまざまな形をもつ植物が存在して いることがわかるはずである。このような植物の複雑な形は,それぞれの植物の形づくりの 過程で細胞の分裂や伸長が時空間的に組み合わさることにより,出来上がる。陸上植物の形 の多様化を考える際にも,植物種ごとに細胞の分裂や伸長の仕方を見出していくことが重要 である。 微小管は細胞の分裂や伸長の進行に不可欠で,これらの過程で特徴的な微小管構造体を 形成する。例えば,被子植物の体細胞では,細胞周期の各過程で,表層微小管,分裂準備帯 Preprophase band: PPB),スピンドル(紡錘体),フラグモプラスト(隔膜形成体)とい った,異なった微小管構造体を形成する(図1)。 図1. 植物細胞の分裂過程の微小管構造体の模式図

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植物科学最前線 11:150 (2020)

Y. Hiwatashi - 1

BSJ-Review 11:150 (2020)

ヒメツリガネゴケ微小管関連因子から探る植物細胞の分裂と伸長の制御

日渡 祐二

宮城大学・食産業学群

〒982-0215 仙台市太白区旗立 2-2-1

Regulation of cell division and expansion mediated by microtubule

associated proteins in the moss Physcomitrella patens

Yuji Hiwatashi

School of Food Industrial Sciences, Miyagi University, 2-2-1 Hatatate,

Taihaku-ku, Sendai 982-0215, Japan

Key words: moss, Physcomitrella patens, cell division, cell expansion,

microtubule-associated protein

DOI: 10.24480/bsj-review.11b5.00187

1.はじめに

植物の細胞は動物細胞とは異なり,硬い細胞壁を持っているため,動物細胞のように移動

する能力がない。そのため,細胞分裂によって生じた娘細胞は,分裂が生じた位置に存在し

続ける。細胞が分裂した後,細胞の体積は伸長を介して大きくなるので,細胞がどのように

分裂し,どのように体積が拡大するかに依存して,植物個体の形は決まってくる。従って,

植物の形づくりの理解には,細胞の分裂と伸長のしくみを解明することが不可欠である。さ

らに,道端に自生している植物をざっと眺めてみると,さまざまな形をもつ植物が存在して

いることがわかるはずである。このような植物の複雑な形は,それぞれの植物の形づくりの

過程で細胞の分裂や伸長が時空間的に組み合わさることにより,出来上がる。陸上植物の形

の多様化を考える際にも,植物種ごとに細胞の分裂や伸長の仕方を見出していくことが重要

である。

微小管は細胞の分裂や伸長の進行に不可欠で,これらの過程で特徴的な微小管構造体を

形成する。例えば,被子植物の体細胞では,細胞周期の各過程で,表層微小管,分裂準備帯

(Preprophase band: PPB),スピンドル(紡錘体),フラグモプラスト(隔膜形成体)とい

った,異なった微小管構造体を形成する(図1)。

図1. 植物細胞の分裂過程の微小管構造体の模式図

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植物科学最前線 11:151 (2020)

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表層微小管は,細胞表層付近の細胞質に張り巡らされた微小管である。この微小管はある

方向性を持って配向することで細胞の伸長方向を規定する役割を持つ(Fishel and Dixit,

2013)。例えば,素早く伸長する細胞では,伸長軸に対して垂直方向へ平行に配向した表層

微小管が重要であることがわかっている。PPBは,将来の細胞質分裂面に局在し,分裂面

を規定する微小管である。PPBは,G2期に核を囲むように環状に形成される表層微小管の

束であり,前中期には核膜崩壊と同時に消失する。また,PPBはスピンドルの空間的位置

や,フラグモプラストによる細胞分裂面の形成位置に関与することが知られている。従っ

て,植物細胞の表層微小管の配向制御機構は,細胞の伸長と形態形成の制御系として,また

PPBは,分裂面制御系として重要である。スピンドルとフラグモプラストは,M期で構築

される微小管構造体で,スピンドルは染色体を娘細胞に分配する役割を持ち,フラグモプラ

ストは細胞質を二分する細胞板形成の足場として機能する(de Keijzer et al. 2014)。スピン

ドルが「核分裂装置」とすれば,フラグモプラストは「細胞質分裂装置」である。陸上植物

の細胞質分裂は,後生動物の細胞質分裂とは細胞の仕切られ方が異なっている。後生動物で

は,細胞分裂面に収縮環とよばれる構造体が形成され,細胞の外側から内側に向かって「求

心的」に細胞質が括れ切られる。一方,陸上植物では,細胞内部にてスピンドルがあった位

置にフラグモプラストが形成され,この構造体が細胞の内側から外側へ拡大することで,細

胞板が「遠心的」に拡大し細胞質が仕切られる。

これらの微小管構造体の形成や維持には,どのような制御機構がはたらくのだろうか?制

御機構解明のアプローチとして,微小管関連因子に着目した解析が考えられる。微小管関連

因子は微小管に共局在する因子で,微小管に直接的あるいは間接的に作用することによっ

て,微小管構造体の形成や維持に機能する(Hamada 2014)。モデル被子植物であるシロイ

ヌナズナを材料とした研究から,様々な微小管関連因子が見出されており,これらの因子は

真核生物に共通にみられるものから,被子植物といった分類群にだけ存在するものまで,

様々な種類の因子が同定されている。筆者らのグループは,陸上植物における細胞の分裂と

伸長制御の共通基盤を明らかにするために,基部陸上植物ヒメツリガネゴケの細胞分裂や細

胞伸長に対する微小管関連因子群の機能解析を行っている。本稿では,ヒメツリガネゴケの

配偶体の分裂と伸長の実験系を紹介するとともに,微小管関連因子の機能解析の結果に基づ

いて,陸上植物の細胞分裂や細胞伸長に対する微小管制御の共通性と多様化について論じ

る。

2. ヒメツリガネゴケの細胞分裂と細胞伸長の解析系:原糸体と茎葉体

ヒメツリガネゴケでは,胞子が発芽すると原糸体と呼ばれる糸状構造の組織が形成される

(図 2)。原糸体はクロロネマ細胞(図 2b)とカウロネマ細胞(図 2c)と呼ばれる 2種類

の細胞からなる。クロロネマ細胞は,胞子発芽後の原糸体細胞で,糸状組織の頂端に位置す

るクロロネマ頂端幹細胞が先端成長と細胞分裂することにより,クロロネマ組織を生み出す

(Kofuji & Hasebe 2014)。その後,クロロネマ頂端幹細胞は,カウロネマ頂端幹細胞ヘと

分化する。カウロネマ頂端幹細胞は,クロロネマ頂端幹細胞と同様に,先端成長と細胞分裂

を行うことにより,カウロネマ組織からなる原糸体が形成される。これらの頂端幹細胞の細

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植物科学最前線 11:152 (2020)

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胞分裂は細胞内のほぼ一定の位置で起こり,分裂面は細胞短軸方向に生じる。特に,カウロ

ネマ頂端幹細胞は,クロロネマ頂端幹細胞に比べて,細胞周期が短く伸長速度が速いため,

細胞の分裂や伸長を解析する対象として適している。クロロネマ細胞,カウロネマ細胞とも

に基部側の細胞において頂端側の隔壁近傍で分裂が起こり,側枝始原細胞(図 2d)が形成

される。カウロネマ細胞の側枝始原細胞は主にクロロネマ頂端幹細胞(図 2e)か,または

茎葉体頂端幹細胞(図 2g)となる。クロロネマ頂端幹細胞の場合は,先端成長と細胞分裂

を繰り返し,2次元的な原糸体組織(図 2f)が形成される。一方,茎葉体頂端幹細胞は拡散

成長しながら,3面の分裂面となるような細胞分裂を行い,3次元的な茎葉構造(図 2h)を

生み出す。また,茎葉体頂端幹細胞の分裂により生じた細胞の一部から葉頂端幹細胞が形成

され,2面の分裂面となる細胞分裂を行って,葉が形成される(Kofuji & Hasebe 2014)。

図2. ヒメツリガネゴケの胞子発芽からの原糸体と茎葉体

ヒメツリガネゴケの原糸体や茎葉体の細胞分裂や細胞伸長において,微小管はどのように

組織化されているだろうか?原糸体頂端幹細胞では細胞長軸に沿って微小管が配向してい

る。この微小管は被子植物でみられる表層微小管とは異なり,細胞内部に存在する細胞質微

小管(endoplasmic microtubules)である(Nakaoka et al. 2015)。原糸体頂端幹細胞の伸長領

域中央部には,微小管の重合端(プラス端)が集合した微小管束(MT foci)が形成され

る。この構造体は伸長速度が速いカウロネマ頂端幹細胞(図 2c)で顕著にみられ,先端成

長の方向性の制御に関与する(Hiwatashi et al. 2014)。また原糸体頂端幹細胞の分裂では,

被子植物の体細胞でみられる PPBが形成されない(Doonan et al. 1987)。一方,茎葉体の微

小管の組織化は原糸体とは大きく異なっている。側枝始原細胞から形成される初期の茎葉体

(図 2g)には表層微小管はない。また,分裂期の細胞には PPBは形成されず,分裂前期に

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植物科学最前線 11:153 (2020)

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頂端側にガメトソーム(gametosome)と呼ばれる雲状の微小管構造体が形成される。この

ガメトソームが微小管形成中心となり,細胞分裂面の決定に関与する。茎葉体の発生が進

み,茎が作られる茎葉体(図 2h)になると,間期の細胞には表層微小管が観察されるとと

もに,分裂期の細胞ではガメトソームおよび PPBが形成される(Doonan et al. 1987, Spinner

et al. 2010, Kosetsu et al., 2017)。なお,ガメトソームが形成される一方,PPBが形成されな

い細胞もあり,ガメトソームと PPBは独立に機能しているようである(Kosetsu et al.,

2017)。以上のように,原糸体と茎葉体では細胞分裂や細胞伸長の様式が異なり,またそれ

ぞれの細胞において微小管の組織化の様相も違っている。

3. 細胞分裂面決定に関与する PP2A 制御因子 FASS によるヒメツリガネゴケ茎葉

体細胞の分裂と伸長の制御

FASSは Protein phosphatase 2A(PP2A)調節サブユニットで,シロイヌナズナの fass変異

体から同定された。この fass 変異体では植物体がきわめて矮性になり,PPBが形成されず

細胞分裂面のランダム化が生じる(Torres-Ruiz & Jurgens 1994, Camilleri et al. 2002)。ま

た,FASSをコードする遺伝子は,シロイヌナズナ,イネ,イヌカタヒバ,ヒメツリガネゴ

ケに 1つずつオーソログが存在する(Banks et al. 2011)。シロイヌナズナ FASSは,他の

PP2Aサブユニットに加えて TON1 や TRM(TON1-recruiting motif protein)とともにタンパ

ク質複合体 TTP(TON1/TRM/PP2A)を形成し,細胞分裂の分裂面制御に機能している

(Spinner et al. 2013)。ヒメツリガネゴケでは,TON1 のオーソログ PpTON1を遺伝子破壊

すると茎葉体が矮化し,茎葉体の細胞分裂において PPBが形成されなくなり,またシロイ

ヌナズナ TON1 遺伝子をヒメツリガネゴケの ppton1遺伝子破壊系統に発現させると,これ

らの表現型が相補される(Spinner et al. 2010, Kosetsu et al. 2017)。我々もヒメツリガネゴケ

において FASSの機能を欠失させたところ,PpTON1 の遺伝子破壊体と同様に,茎葉体が矮

化し,細胞分裂で PPBが形成されないことがわかった。これらの結果は,TTPを構成する

サブユニットの機能が,シロイヌナズナとヒメツリガネゴケにおいて保存されていることを

示している。さらに,ヒメツリガネゴケの茎葉体において TTP複合体が形成され,細胞分

裂面を制御する可能性も考えられる。

ヒメツリガネゴケ FASSの遺伝子欠失体では,茎葉体細胞の表層微小管が異常になり,短

い微小管がランダムに存在する(図 3)。従って,分裂期のみならず間期の微小管制御にも

関与している。シロイヌナズナ fass変異体では間期の表層微小管の分枝が乱れ,細胞形態

が異常となることから(Kirik et al. 2012),ヒメツリガネゴケとシロイヌナズナで FASSは

表層微小管にも作用し,細胞伸長に関与するようである。

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植物科学最前線 11:154 (2020)

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図3. ヒメツリガネゴケ FASS の機能欠失体の茎葉体細胞の間期微小管。微小管と DNA

が緑色,赤色で示されている。コントロールでは表層微小管が見られるのに対して,欠失体

は短い微小管が検出される。

4. 植物特異的キネシン KINID1a と KINID1b による原糸体細胞の分裂と伸長の制御

植物特異的なキネシン KINID1a は原糸体や茎葉体の分裂細胞で発現するタンパク質とし

てジーントラップ法で同定された分子モーターである(Hiwatashi et al. 2001, Hiwatashi et al.

2008)。キネシンは真核生物に分布する微小管依存的な分子モーターで,遺伝子の系統解析

により,複数のサブファミリーに分類されている(Shen et al. 2012)。KINID1a と KINID1a

類似タンパク質 KINID1b(以下,KINID1a と KINID1b を合わせて KINID1a/1bとする)はど

のサブファミリーにも属さず,植物特異的なグループ(以下,KINID1a/1b キネシングルー

プとする)を形成する。原糸体頂端幹細胞の分裂に対する KINID1a/1b の機能を調べたとこ

ろ,KINID1a/1b はフラグモプラスト赤道面で微小管重合端を架橋することで,細胞質分裂

の進行を制御することがわかった(Hiwatashi et al. 2008)。さらに,先端成長の伸長領域で

は,KINID1a/1b が微小管重合端を架橋することで微小管束を維持し,先端成長の方向性制

御に関与することが明らかになった(Hiwatashi et al. 2014)。このことは,KINID1a/1b が細

胞質分裂と先端成長を同時に調節する微小管制御因子であることを示している(図 4)。

図4. カウロネマ頂端幹細胞における KINID1a-GFP の細胞内局在

細胞質分裂と先端成長は細胞の異なる場所に起こる現象であることから,KINID1a/1b

は,それぞれフラグモプラストと微小管束にリクルートされて微小管重合端に作用しなけれ

ばならない。KNID1a/1bは核局在シグナルを有し,核にも蓄積する(図 4)。蛍光タンパク

質(FP)を用いたライブイメージング解析によって,KINID1a/1b が核膜崩壊後にスピンド

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ル形成に伴ってスピンドル赤道面に局在後,フラグモプラスト赤道面に蓄積することが示さ

れた(Hiwatashi et al., 2008)。そのため,フラグモプラストへのリクルートはタンパク質レ

ベルでの移動である可能性が高い。一方,伸長領域の微小管束へのリクルートについては,

FPでラベルした KINID1a の解析では細胞質から微小管束への移動が検出できないこと,

FPを融合した KINDI1a において 5’UTRを欠失した mRNAを発現させると FP融合 KINID1a

はフラグモプラストには蓄積するが,微小管束には蓄積しないことから,タンパク質の移動

と異なるメカニズムによる可能性がある。神経細胞では mRNAの長距離移動と局所的翻訳

によるタンパク質の局在化メカニズムが知られている(Bramham & Wells 2007)。

KINID1a/1b のリクルートは,伸長領域への mRNAの移動と局所的翻訳によるのかもしれな

い。Dendra2 のような光変換タンパク質によって KINID1a/1b の移動を詳細に解析すれば

(Kitagawa & Fujita 2013),局在化のメカニズムの一端を明らかにできると考えられる。

シロイヌナズナ PAKRP2 は KINID1a/1b キネシングループのオーソログで,ゲノムに 1遺

伝子のみ存在する(Lee et al. 2001)。PAKRP2はフラグモプラストにドット状に蓄積するこ

とから,細胞板形成のための小胞を輸送する機能が提唱されている(Lee et al. 2001, Gicking

et al. 2019)。また,ヒメツリガネゴケでは,PAKRP2は KINID1a/1b の機能を代替できない

ことから(Hiwatashi et al. 2008),KINID1a/1bキネシングループの機能はコケ植物と被子植

物で異なっている可能性が高い。それでは,KINID1a/1bキネシングループの祖先的な機能

は,微小管架橋あるいは小胞輸送のどちらであろうか?KINID1a/1b キネシングループの祖

先的な機能は,陸上植物に近縁な緑藻を用いて解析すれば推定できるかもしれない。実際に

シャジクモ(Chara braunii)のゲノム(Nishiyama et al. 2018)には,KINID1a/1bのオーソロ

グが存在する。細胞分裂や細胞伸長に対するシャジクモオーソログの機能解析は,この植物

特異的なキネシングループの祖先的機能を理解する上で興味深いと考えられる。

5. 微小管依存的微小管生成タンパク質複合体オーグミンによる細胞分裂制御

微小管は,微小管形成中心体(microtubule-organizing center: MTOC)と呼ばれる構造から

形成される。MTOCでは,γ-tubulin リング複合体(γ-tubulin ring complex: γTuRC)が微小管

重合の核となり,γTuRCを起点として微小管が形成される。動物細胞では中心体が主要な

MTOCとして機能し,中心体に存在する γTuRCから微小管が形成される。一方,陸上植物

の体細胞では中心体が存在しないため,微小管形成を担う分子メカニズムは動物細胞に比べ

て不明な点が多い(Hashimoto 2013)。

近年,既存の微小管上から微小管が形成されることが報告され(Murata et al. 2005),こ

の微小管依存的微小管形成に動物および植物細胞に共通なタンパク質複合体オーグミンが機

能することが明らかになった(Goshima et al. 2008, Petry et al. 2011, Nakaoka et al. 2012)。オ

ーグミンは微小管に結合するタンパク質複合体で,微小管重合の核となる γTuRCをリクル

ートして新規の微小管形成を促進する。オーグミン複合体は 8種類のサブユニットで構成さ

れており,それぞれのサブユニットの機能解析が進んでいる。ヒメツリガネゴケにおいて

も,オーグミンサブユニット AUG3の機能解析が行われ,フラグモプラスト微小管生成にオ

ーグミンが機能することがわかった(Nakaoka et al. 2012)。分裂後期の動物細胞でも,

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植物科学最前線 11:156 (2020)

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細胞質分裂に生じる中央スピンドルの微小管生成にオーグミンが作用することから,細胞質

分裂の微小管生成に対するオーグミンの機能は動植物で保存されていると言える。8種類の

オーグミンサブユニットのうち,AUG1 から AUG4,かつ AUG7 はヒメツリガネゴケゲノム

に 1種類,AUG5 は 3種類,AUG6 は 2種類の遺伝子が存在する。AUG8 の遺伝子は 4種類

であり,サブユニットの中では最も遺伝子数が多い(図 5)。AUG8 をコードする遺伝子数

の増加は被子植物で顕著であり,例えばシロイヌナズナにおいて,AUG1 から AUG7 までは

ゲノムに 1遺伝子しか存在しないが,AUG8 には 10 種類のパラロガスな遺伝子が認められ

る(図 5)。また,AUG8 のアミノ酸配列は動物の AUG8 と類似性がみられず,植物特異的

な配列である。

図5. 近隣結合法による陸上植物オーグミンサブユニット AUG8 の遺伝子系統解析。ブート

ストラップ値が 70%以上の場合のみ枝上に示してある。

シロイヌナズナ AUG8のうち,EDE1(AT2G44190)はスピンドルとフラグモプラストの

微小管の組織化に関与する。この EDE1の機能は,パラログの 1つである AUG8

(AT4G30710)では代替できないことから,分裂期のオーグミンの機能は EDE1に依存する

ことが示唆される(Lee et al. 2017)。EDE1の機能を完全に欠失した変異体は分裂異常を示

し致死になるが(Pignocchi et al. 2009),AUG8の機能欠失変異体は分裂や成長に異常は見

られない(Lee et al. 2017)。このことも分裂期特異的な EDE1の機能を支持している。ま

た,別なパラログの SCO3は,間期の細胞で微小管とペルオキシソームにターゲットし葉緑

体の発達に関与する(Albrecht et al. 2010)。これらの結果から,シロイヌナズナの AUG8

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植物科学最前線 11:157 (2020)

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は遺伝子数の増加に伴って,分裂期や間期で特異的に作用するように,それぞれの AUG8 機

能が多様化している可能性が考えられる。AUG8 には微小管結合ドメインを有するため,オ

ーグミンは AUG8 を介して微小管に結合することが示唆されている(Nakaoka et al. 2012, Lee

et al. 2017)。従って,細胞周期に応じてオーグミンを構成する AUG8サブユニットが変わ

り,オーグミンの微小管結合性を時空間的に制御しているのかもしれない。

ヒメツリガネゴケの 4種類の AUG8(AUG8a,AUG8b,AUG8b,AUG8b)の機能が,シ

ロイヌナズナ AUG8 のように多様化しているかを明らかにするために,それぞれの遺伝子欠

失体を作出した。それぞれの遺伝子を欠失させた一重欠失体,遺伝子を組み合わせた二重欠

失体は正常な原糸体および茎葉体を形成し,野生型と同様な形態を示した(図 6)。さらに

三重欠失体を作出すると,AUG8a,AUG8b,AUG8d の組合せ,また AUG8b,AUG8c,

AUG8d の組合せでは欠失体が得られなかった。これらの遺伝子の組み合わせでは,原糸体

が致死になる可能性を示している。また,AUG8a,AUG8c,AUG8d の組合せでの欠失体で

は,微小管脱重合剤依存的に原糸体先端成長の伸長速度が低下し,これらの AUG8 は先端成

長の伸長に関与することがわかった。従って,ヒメツリガネゴケの AUG8 の機能は重複して

いるものの,4種類の AUG8 の間で機能に対する寄与度が違っているようである。今後は

AUG8の条件的機能阻害実験から,分裂や伸長における微小管への作用を解析することが必

要である。

図6. ヒメツリガネゴケ AUG8 の一重遺伝子欠失体の植物体

ヒメツリガネゴケ AUG8 でも示唆されたように,AUG8 は分裂で機能するが,どのパラロ

グが分裂期の微小管に作用するのかは特定されていないことが多く,分裂期のパラログの特

徴や普遍性はわかっていない。それぞれの植物種で AUG8 パラログの詳細な機能解析を行う

ことによって,分裂期の微小管に対してどのパラログが機能を持つかわかるはずである。ま

た,間期での AUG8 の機能についても,AUG8 を介した細胞伸長の制御機構を解析すること

により,どのパラログが間期の微小管に対してどのような機能を持つか,知見が得られだろ

う。コケ植物と被子植物の AUG8 パラログの機能解明は,微小管関連因子の遺伝子数増加と

微小管制御の関連性を考える上で,モデル的な研究になると思われる。

6. おわりに

ヒメツリガネゴケの原糸体や茎葉体は,細胞分裂や細胞伸長に対する微小管制御の解析が

容易であるため,これらの微小管関連因子の共通性を探る上で優れている。実際にヒメツリ

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植物科学最前線 11:158 (2020)

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BSJ-Review 11:158 (2020)

ガネゴケで微小管関連因子の解析を行うと,FASSのようにヒメツリガネゴケとシロイヌナ

ズナでゲノムの遺伝子数はほとんど変わらず機能も類似しているもの,KINID1a/1b のよう

にヒメツリガネゴケとシロイヌナズナでゲノムの遺伝子数はほとんど変わらないが,その機

能に差異があるもの,また AUG8 ではシロイヌナズナの遺伝子数が増加しており,そのうち

ヒメツリガネゴケとシロイヌナズナでパラログの機能が類似するものもあれば,シロイヌナ

ズナで特異的な機能をもつもの,などいろいろなケースがある。このように微小管関連因子

の種類により,細胞分裂や細胞伸長に対する機能は類似していたり,異なっていたりする。

それぞれの植物群での機能解析が進めば,細胞の分裂や伸長における微小管制御の普遍的分

子基盤が見えてくるのかもしれない。普遍的分子基盤が明らかになれば,植物種に特徴的な

分裂様式や伸長様式に特異的に機能する因子群も見出されるはずで,これらの因子群のはた

らきにより植物の多様な形態形成の理解が進むと期待される。この点を踏まえると,基部陸

上植物ヒメツリガネゴケの微小管関連因子を介した細胞分裂と細胞伸長の解析は,重要な布

石であると考えられる。

7. 謝辞

本稿で紹介した研究成果の一部は,European Commission FP-PEOPLE-2010-IIF

(275257),日本学術振興会・科学研究費(16K07406),宮城大学指定研究費の支援を受

けて実施したものである。また,顕微鏡観察は,先端バイオイメージングプラットフォーム

(ABiS)の支援を受けている。また,Aberystwyth大学 National Plant Phenomics Centreの皆

様,宮城大学食産業学群植物分子遺伝育種学研究室の皆様,基礎生物学研究所生物進化研究

部門の皆様には,研究の遂行にあたり多大な支援を受けた。心からの感謝の意を表したい。

8. 引用文献

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