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2PCM通信、多重化方式 PCM通信 ディジタル符号変調 ASK、FSK、PSK、QAM(教科書にはないので注意) 多重化方式 FDM、ハイアラーキ、TDM 1 パルス符号変調(P.18) PAM波 (b) 信号波をパルスの振幅で表す PWM波 (c) 信号波をパルスの幅で表す PPM波 (d) 信号波をパルスの位置で表す PCM波 (e) 信号波を符号化されたパルス で表す PAM,PWM,PPMは雑音の 影響が大で通信に不向き アナログパルス変調とも呼ぶ PCMは雑音の影響小で 安定した通信可能 ⇒通信によく用いられる PWMは電力制御用の信号として よく利用される(1年時実験でも使いましたね) 2

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第2回 PCM通信、多重化方式

• PCM通信• ディジタル符号変調

– ASK、FSK、PSK、QAM(教科書にはないので注意)• 多重化方式

– FDM、ハイアラーキ、TDM

1

パルス符号変調(P.18)

PAM波 (b)信号波をパルスの振幅で表す

PWM波 (c)信号波をパルスの幅で表す

PPM波 (d)信号波をパルスの位置で表す

PCM波 (e)信号波を符号化されたパルスで表す

PAM,PWM,PPMは雑音の影響が大で通信に不向きアナログパルス変調とも呼ぶ

PCMは雑音の影響小で安定した通信可能⇒通信によく用いられる

PWMは電力制御用の信号としてよく利用される(1年時実験でも使いましたね) 2

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PCM通信(P.19)

送信側で、アナログ信号を標本化、量子化、符号化でPCM波(ディジタル信号)に変換し、受信側で復号化後、低域フィルタ(LPF)を用いて、元のアナログ信号に戻す

3

標本化(P.20)一定時間間隔Tごとに、パルス列で抜き出すことを標本化(sampling)という。また、一定間隔の繰り返し周波数を標本化周波数(サンプリング周波数)という。サンプリング周波数 𝑓 1/𝑇 となる。

標本化定理:アナログ信号の最高周波数が𝑓 であるとき、サンプリング周波数 𝑓 ≧ 2𝑓 とすればパルス列から元の

アナログ信号を復元できる

音声信号の最高周波数が4kHzであれば、標本化周波数fsは8kHzで良い

標本化の間隔TはT=1/fs=1/8000

=0.000125s=125μs4

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標本化定理(P.21)

問1 最高周波数が10kHzであるアナログ信号を標本化する際、正しく元のアナログ信号に復元するために必要なサンプリング周波数はいくつとなるか、正しい単位をつけて答えなさい。

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量子化(P.21)

アナログ信号の振幅を整数などの決められた離散値で表現することを量子化という。コンピュータ内部では、2進数表現されるので、表現に利用するビット数を量子化ビットという。下記の量子化の例では、24.2を四捨五入し、整数値24と表現、同様に31.3は四捨五入し、整数値31と表現している。このとき、元の振幅値との間にそれぞれ0.2、0.3の誤差が生じる。これを量子化誤差という。

上記の例では、振幅値を整数で量子化している。(⇒ 1,2,4,8,・・・,2n の和で表現できる)

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符号化(P.21)

量子化された信号を、下図のように2進符号の形に変換する操作を符号化といい、符号化された信号をPCM波という。2進符号の場合、伝送中、減衰や雑音によって波形が崩れても、パルスの“ある” “なし”で信号を正しく受信できるメリットがある。

例えば、振幅18のパルスの2進符号は、10進数の18を2進数で表し、信号が1の場所にパルスを配置する

18 ⇒ 1 0 0 1 0

破線部分は、パルスがない場所

1の場所にパルスを入れる

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PCM波の復元

ローパスフィルタによる復元

低域通過フィルタの応答Low Pass Filter

-+

R2 C2R1

C1

Op Amp.

24

31

25

13

8

18

振幅

時間

24

31

25

13

8

18

振幅

時間

1

0 t

パルス入力 LPF出力

少し時間が遅れて出力される

0

パルスの出力が重ねあわされて、信号を復元する

教科書にないので注意

PCM波

DA変換器

入力10010の例

1 0 0 1 0

ローパスフィルタ

出力18

ON OFF OFF ON OFF

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PCM通信の特徴(P.22)

• 伝送路の途中でパルスの波形が減衰しても、1か0かの

判定ができれば、忠実度の高い伝送および再生が可能

• 伝送路において、外部からの雑音の影響を受けにくい

• LSIなどを使った多重装置のディジタル化の低コスト化

• ディジタルネットワークとの整合が良い

• 量子化操作を行うので、量子化誤差を生じる欠点がある

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PCM波の標本間隔

問1 PCM伝送方式によって音声を標本化し、8bitのディジタルデータに変換し伝送したところ、伝送速度は64,000bit/秒であった。このとき、標本化の間隔は何マイクロ秒か答えなさい。ただし、圧縮は行われていないものとする。

問2 PCM波の特徴、解答用紙の問に答えなさい

⇒ 解答⽤紙 問1, 問2 10

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ディジタル変調(P.23)

ASK (a)振幅を変調

例:0→振幅小1→振幅大

FSK (b)周波数を変調

例:0→周波数低1→周波数高

PSK (c)位相を変調

例:0→位相0°1→位相180° 正弦波位相 0°→ 𝐴 sin 2𝜋𝑓𝑡 0° 𝐴 sin 2𝜋𝑓𝑡

正弦波位相180°→ 𝐴 sin 2𝜋𝑓𝑡 180° 𝐴 sin 2𝜋𝑓𝑡

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ディジタル変調の特徴

ASK(振幅偏移変調) Amplitude Shift Keying利用例:ETC、キーレスエントリー、電波時計、赤外通信 etc特徴:振幅に依存するため雑音に弱い → 近距離通信用

FSK(周波数偏移変調) FrequencyShift Keying利用例:Bluetooth、ポケベル、ヨーロッパの携帯電話 etc特徴:振幅に依存しないので雑音に強いが、占有周波数帯域が広がるため伝送速度を上げられない

PSK(位相偏移変調) PhaseShiftKeying利用例:GPS、PHS、CSディジタル放送 etc特徴:周波数利用効率が高い、伝送速度を上げるための

2相PSK(BPSK)、4相PSK(QPSK)、8相PSKがある

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2相PSK(BPSK)コンスタレーション図*constellation:星座

Q (直交軸)

I(同相軸)0

1

0 1

送りたい情報が“0”⇒ 位相0°の波形

送りたい情報が“1”⇒ 位相180°の波形

0 1 1 0

位相を2種類にすると、1つの波形で

1ビットの情報を送れる

信号の配置を位相の位置で

示した図

位相0°

位相180°

教科書にないので注意

Binary PSK

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4相PSK(QPSK)

コンスタレーション図

位相45°の波形

位相135°の波形

Q

45°

0001

1011

I

00 11 1001

位相225°の波形

位相315°の波形

01 10 11 00

315°225°

135°

位相を4種類にすると、1つの波形で

2ビットの情報を送れる

⇒ 解答⽤紙 問3

教科書にないので注意

Quadrature PSK

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QAM(直交位相変調)PSKとASKを組み合わせて、より多くの情報を送る

⇒ QAM(直交位相変調) : Quadrature Amplitude Modulation

QAMは、地デジや携帯電話で最も利用される変調方式です

位相が異なる(2種類)

振幅が異なる(2種類)

2進数「00」 2進数「10」 2進数「01」 2進数「11」

波形が4種類2ビット割り当て

られる

10 11 01 10 00

波形の種類が増えると、一度に多くのデータが送れる可能性が出てくるただし、ASK特徴の雑音に弱くなる性質も出る

教科書にないので注意

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16QAM(一般的なQAM)⇒ 16種類の波で表現 ⇒ 4ビットの情報を1つの波形で送信できる

Q

I

0000 0100 1100 1000

0001 0101 1101 1001

0011 0111 1111 1011

0010 0110 1110 1010

Q方向(位相90°)の振幅を変化⇒ cos波の振幅を4種類に変化させる

I方向(位相0)の振幅を変化⇒ sin波の振幅を4種類に

変化させる

10xx

xx01

1001

xx00

xx01

xx11

xx10

00xx 01xx 11xx 10xx

この波形で4ビット1001 を送信できる

重ね合わせて波形を作る

より高速にするには 64QAM、256QAMといった方法がある

⇒ 解答⽤紙 問4, 問5

教科書にないので注意

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多重方式(1) FDM(P.26)FDM(周波数分割多重方式):Frequency Division Multiplex

左の例(6チャンネル)①ch1~ch6に異なる人の音声入力②各チャンネルを

fc = 4,8,12,16,20,24kHzでAM変調

③各チャンネルのBPFで単側波帯を取り出す

④各チャンネルの単側波帯を並べて送信

複数の音声信号で、異なる周波数の搬送波をAM変調し、周波数が重ならないように並べて伝送する方式

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多重方式(1) 多段変調(P.27)

多段変調のハイアラーキ

高い周波数(GHz)で、チャンネル単位の音声分離は技術的に困難⇒チャンネルをまとめて変調

群変調という⇒群となった信号を再度変調する

複数回の変調を多段変調という

右図の様な、多段変調による階層構成をハイアラーキという

1 3チャンネルでのFDM(12kHz幅)

2 3チャンネル×4での群変調(12kHz×4=48kHz幅となる)⇒ B群とする

3 違う12チャンネル分も同様に群変調して A群 を作る

それぞれに3チャンネル分のFDM信号が含まれる

同様に、違う12chで1,2の手順でA群を作成

⇒ 解答⽤紙 問6, 問7 18

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多重方式(2) TDM(P.28)

TDM(時分割多重方式):Time Division Multiplex

一つの伝送路で、多数の信号を異なった時間位置に配置して、時間的に分けて伝送する方式

左の例(a)は各チャンネル、標本化周波数8kHz、量子化ビット8ビットのPCM波を時分割多重化したものである

多重化された信号は、各チャンネル毎に割り当てられた時間(タイムスロットという)に圧縮されており、タイムスロットをチャネル分集めたものをフレームという

各チャネルの信号は、記憶

装置に格納後、時間をずらして送信されます

現在の世の中で、FDMよりTDMが多く利⽤される理由を述べなさいそれぞれの⽅式の利⽤される信号の違いで考えてみなさい ⇒ 解答⽤紙 問8 19

本日の講義はここまで

残っている解答用紙の問題を解答

20