第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(pulsecircuit)...

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第9章 デジタル回路

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Page 1: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

第9章 デジタル回路

Page 2: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

デジタル回路

パルス回路 (Pulse Circuit)パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。微分回路、積分回路、(単安定、双安定)マルチバイブレータ回路、同期回路、クリッパ、リミッタ回路、ゲート回路、トリガ回路、他

論理回路 (Logical Circuit)、論理演算 (Logical Operation)デジタル回路では“0”または“1”という値だけなので、数や文字記号の間の

関係を論理的に求める論理代数とは相性がよい。この論理演算を実行するための回路を論理回路という。OR回路、 AND回路、NOT回路、NAND回路、NOR回路、他

順序回路 (Logical Circuit)、論理演算 (Logical Operation)論理回路は記憶能力を持たないので、入力値によって出力が決定するが、順序回路は論理回路と異なって記憶能力を持ち、回路の状態と入力の双方の要素で出力が決定される。フリップフロップ、 カウンタ、シフトレジスタ、ROM、RAM、他

Page 3: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

パルス回路パルスは計測周期を決めるトリガや、

マイコンの動作クロックなど様々な回路の基本動作を決める重要な回路である。

実験計測では、図のようなファンクションジェネレータを用いてパルスの発生を行う。

Page 4: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

マルチバイブレータは二段の増幅回路を結合回路によって正帰還を施した回路で、自走型の非安定、トリガによる単発パルス発生の単安定型、ONトリガとOFFトリガを要する双安定型の3種がある。

結合回路結合回路

増幅回路増幅回路入力 入力出力

自走型の出力波形

単安定型の出力波形とトリガパルス

双安定型の出力波形とトリガパルス

マルチバイブレータ

回路の動作原理 出力波形

Page 5: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

各点での出力波形回路図

vb1 vb2

vc1 vc2

ib1

ib2

Rc1 Rc2R1 R2

C1 C2

Ec Ec

Ec

Ec

Ec

00

00

vc2

vc1

vb1

vb2

自走形非安定マルチバイブレータ

Page 6: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

RDとCDによる微分回路とダイオードDを用いた入力トリガ発生回路もつマルチバイブレータ

実用形単安定マルチバイブレータ

Page 7: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

RDとCDによる微分回路とダイオードD1およびD2を用いた入力トリガ発生回路 をもつ実用形マルチバイブレータ

実用形双安定マルチバイブレータ

フリップフロップ回路

Page 8: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

入力信号の上の電圧レベルと横切った点をONトリガ点とし、これに続く下の電圧レベルと横切った点をOFFトリガ点として、その間にパルスを作り出す回路で、双安定マルチバイブレータ(フリップフロップ)の変形。

シュミットトリガ回路

Page 9: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

順方向クリッパ

逆方向クリッパ

voR

D

viE

E

vo

t

vi

0

voR

D

viE

Et

vi

0

vo

波形整形回路(ダイオードクリッパ)

Page 10: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

vo

R

viE1

D1

E2

D2 t

vi

0E1

E2

vo

t

vi

0

vo

ダイオードリミッタ

vo

R

viZD

ZD

ツェナダイオードリミッタ

波形整形回路(リミッタ回路)

Page 11: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

E2

t

vi

0vo

R

viE1

D1

E2

D2

R

vi D1 D2 vo

vo

E1

t

vi

0

vo

波形整形回路(ダイオードスライサ)

Page 12: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

t0

voR

C

vi D

voR

C

vi D

t0

2v

t0

v

v

2v

入力波形

出力波形

出力波形

vi

vo

波形整形回路(クランパ)

Page 13: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

C D

vout

R

vin

RL

vG

V

0

入力信号

ゲートパルス

出力信号

ゲート回路

Page 14: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

利得A~1の非反転増幅器とCR回路で構成され、正帰還がかかっている。(注:ミラー積分は負帰還)出力電圧voはコンデンサCの端子電圧と等しいのでP点とQ点は等電位になり、V Ri = 0、すなわちV = Riとなる。t =0でスイッチSを開くとCには電流にによる充電が行われ、vc(= vo)は、

となる。

1

1

c ov v idtC

VdtCRV tCR

ブートストラップ回路

Page 15: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

論理回路論理回路とはブール代数(デジタル回

路ではHとL、1と0を表す)の演算を行う回路をさす。

Page 16: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

A

BC

A

BC

+

A

B

C

+

A

A

AND回路

OR回路

NOT回路

真理値表

真理値表

真理値表

記号

記号

記号

C=A・B

C=A+B

A

B C

AA

論理回路(AND、OR、NOT)

A

A B

A B

A B C0 0 00 1 01 0 01 1 1

A B C0 0 00 1 11 0 11 1 1

A A0 11 0

Page 17: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

真理値表

真理値表

C=A・B

C=A+B

記号

A

BC

記号

A

BC

NAND回路

NOR回路

not (A and B)

not (A or B)

A

B

C

+

A

B

C

+

論理回路(NAND、NOR)

A B

A B

A B C0 0 10 1 11 0 11 1 0

A B C0 0 10 1 01 0 01 1 0

Page 18: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

XNOR: Exclusive NOR

A・B =A・B

A

BC

A

BC

A Z

A+B =A+B

A =Z

XOR:排他的和 (Exclusive OR)

Aそのもの

論理回路(その他)

A B

A B

A

A B C0 0 00 1 11 0 11 1 0

A B C0 0 10 1 01 0 01 1 1

A Z0 01 1

真理値表

真理値表

真理値表

A+B =C

Page 19: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

順序回路

Page 20: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

NOR回路によるRS-FlipFlop

SQ

RQ

SQ

RQ

1

01

01

01

0

S

R

Q

Q

“1”を記憶

“0”を記憶

t=0

NAND回路によるRS-FlipFlop

S=“1”でQは“1”、Qは“0”。次にRが加えられて“1”になるとQは“0”、Qは“1”。

1

01

01

01

0

S

R

Q

Q

“1”を記憶

“0”を記憶

t=0

S=“0”でQは“1”、Qは“0”。次にreset入力Rが “0”になるとQは“0”、Qは“1”。

RS-フリップフロップ

S R Q0 0 記憶0 1 01 0 11 1 不定

S R Q0 0 不定0 1 11 0 01 1 記憶

Page 21: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

1

01

01

01

0

D

CLK

Q

Q

Dはデータを意味し、CLKはクロック入力である。CLKの立上がった時のデータが通過し、データの切れた最初のCLKでOFF。

CLK

Q

Q

D

D-フリップフロップ

CLK

Q

Q

J

K

JK-フリップフロップ

JKフリップフロップではJが“1”でKが“0”のときQは“1”で、J、Kが逆のときはQが“0”。J、Kともに“1”のとき、出力Qが前の状態と反転する。Qが“1”のときは“0”、“0”のときは“1”。

1

01

01

01

0

K

CLK

Q

Q

J1

0

D-フリップフロップ、JK-フリップフロップS CLR Q0 0 01 1 00 1(立上) 01 1(立上) 0

J K Q0 0 記憶0 1 01 0 11 1 反転

Page 22: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

カウンタは、数を数える機能をもつ順序回路で、入出力が “0” “1”の2値をとる。順序回路等を用いて普通に1、2、3・・・と数えることができないので、10進数を2進数に変換する。

1桁は2進数の情報の単位:ビット(bit、binary、digit)8ビットの情報は8桁の2進数で表される情報:1バイト

10進数の“365”は 3×102 + 6×10 + 5 を表している。一方、2進数の“10010011”は10進数の“147”を表している。

1×27 + 0×26 + 0×25 + 1×24 + 0×23 + 0×22 + 1×21 + 1×20 = 1471ビットの2進カウンタ回路(a)とタイムチャート(b)は図のようになる。

D Q

CLK Q

出力

入力

(a) 回路構成 (b) タイムチャート

1

0

1

0

入力

出力

カウンタ回路

Page 23: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

D Q

CLK Q 出力入力D Q

CLK Q

D Q

CLK Q

D Q

CLK Q

Q0 Q1 Q3Q2

1

010

入力

Q0

10

Q1

10

Q2

10

Q3

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

4bitカウンタ回路

1bitの2進カウンタ回路を4個接続すると、4bitのカウンタを

構成することができる。この回路は0~15までの数を数えることができる。

Page 24: 第9章デジタル回路...デジタル回路 パルス回路(PulseCircuit) パルス波形は広い意味で正弦波以外の波形で、一定間隔ごとに同一波形 を繰り返す周期的なものをさす。最も基本的な波形が矩形パルス波である。このような波形を発生したり変形したり、または応用する回路をさす。

1

010

入力

10

Q0

10

Q1

10

Q2

“1” “1” “0” “0”

“1”

“1”

“0”

“0”

0Q3

1

CLK

D Q

CLK Q 出力

入力D Q

CLK Q

D Q

CLK Q

D Q

CLK Q

Q0 Q1 Q3Q2

CLK

シフトレジスタ

クロックが入力されるごとに、データが1bitだけ左右

にシフトする回路をシフトレジスタという。レジスタ回路はデータを一時的に記憶する回路で、1bitのレジスタは1個のフリップフロップで構成でき、n個のフリップフロップを並べるとnbitのレジスタが構成できる。