oracle identity analyticsアーキテクチャ · pdf...

19
Oracle Identity Analyticsアーキテクチャ Oracleホワイト・ペーパー 2010 2

Upload: lekien

Post on 26-Mar-2018

224 views

Category:

Documents


4 download

TRANSCRIPT

Oracle Identity Analyticsアーキテクチャ

Oracleホワイト・ペーパー

2010 年 2 月

Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

はじめに .............................................................................................................................. 2

コア・アーキテクチャ ........................................................................................................ 3

Oracle Identity Analytics アーキテクチャ ........................................................................... 4

概要 ................................................................................................................................ 4

Oracle Identity Analytics Web UI ................................................................................... 5

Ajax ベース ............................................................................................................... 5

Spring Web MVC ...................................................................................................... 5

カスタマイズ性 ........................................................................................................ 6

Web UI のセキュリティ............................................................................................ 6

SSO .......................................................................................................................... 6

Web サービス ........................................................................................................... 6

Oracle Identity Analytics サーバー ................................................................................. 7

テクノロジー ............................................................................................................ 7

モジュール ................................................................................................................ 7

レイヤー ................................................................................................................... 8

バックエンド・システム統合レイヤー ........................................................................ 11

配置オプション ................................................................................................................. 12

オプション 1 - シンプル配置 ...................................................................................... 12

オプション 2 - クラスタ配置 ...................................................................................... 13

オプション 3 - プロキシ配置 ...................................................................................... 14

オプション 4 - Oracle 統合配置 ................................................................................... 15

結論 ................................................................................................................................... 16

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

2

はじめに

Oracle Identity Analytics(OIA)- 旧称Sun Role Manager(SRM)は、エンタープライズ・ロールに

対する包括的なライフ・サイクル管理機能とIDコンプライアンス機能の提供を通じて、業務の効率

化、コンプライアンス強化、コスト削減を実現します。エンタープライズ・ロールのライフ・サイ

クル管理には、ロールの作成、保守、およびユーザーへの割当てを管理するビジネス・プロセスと

テクノロジーが含まれます。IDコンプライアンス機能には、ユーザーのアクセス権の証明、ロール

の証明、および企業の職務分掌(SoD)実施をサポートする、シンプルかつ費用効果に優れたソリュー

ションが含まれます。

このテクニカル・ホワイト・ペーパーでは、Oracle Identity Analyticsを支える堅牢なコア・テクノロ

ジーについて説明します。はじめにOracle Identity Aanalyticsアーキテクチャの基盤となるテクノロ

ジーの概要を示し、続いて、これらのテクノロジーがスケーラビリティと可用性に優れたソリュー

ションを通じて、おもに異機種混在環境においてどのようにロールを管理し、持続可能で費用効果

に優れたIDコンプライアンス機能を提供するかについて説明します。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

3

コア・アーキテクチャ

Oracle Identity AnalyticsはSpring Frameworkを使用して構築されています。Springはエンタープライズ

対応アプリケーションを構築するための軽量ソリューションを提供しながら、宣言的トランザクショ

ン管理、Webサービスを使用したロジックへのリモート・アクセス、メール機能、データベースに対

する各種データ永続化オプションの使用を引き続きサポートしています。また、SpringはMVCフレー

ムワーク、ソフトウェアにアスペクト指向プログラミングを透過的に取り入れる仕組み、および独

自に定義した例外構造からの自動マッピングを含む優れた例外の階層構造をサポートしています。

このアーキテクチャでは、クロスプラットフォームのJ2EEサービスの中でも、もっとも柔軟で幅広

くサポートされているJava、XML、オブジェクト・テクノロジーの組合せを利用することができる

ようになります。このようなアーキテクチャに支えられて、Oracle Identity Analyticsは業界でもっと

も大規模なグローバル配置向けのスケーラブルで耐障害性の高いソリューションを実現しています。

Oracle Identity Analyticsは、GlassFish、Oracle WebLogic、IBM WebSphereをはじめとするJ2EE準拠の

主要アプリケーション・サーバー・プラットフォーム上で稼働することで、JSP/Javaサーブレットと

EJB実行をサポートするとともに、これらのサーバーに備わったパフォーマンスおよびスケーラビリ

ティ機能を活用しています。また、Oracle Identity Analyticsはアプリケーション・サーバー・クラス

タリングをサポートしているため、ミッションクリティカルなコンピューティング環境においてパ

フォーマンスを向上するとともに、事実上の自動フェイルオーバーを実現しています。さらに、標

準ベースのアプローチを採用しているため、Oracle、MySQL、Microsoft SQL Serverなど複数のエンター

プライズ・データベースをデータ層で利用できます。

Oracle Identity Analyticsアーキテクチャは、次の目的および目標を達成するよう設計されています。

製品化までの期間 - Oracle Identity Analyticsサービスの迅速なデプロイ

パフォーマンス - 迅速な応答と効率的なナビゲーション

移植性 - プラットフォームおよび外部システムへの依存を最小化

スケーラビリティ - ローエンドから数千ユーザーにまで対応するスケーラビリティ

保守性 - 容易なサポートおよび保守

信頼性 - アプリケーションおよびトランザクションの一貫性

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

4

Oracle Identity Analyticsアーキテクチャ

Oracle Identity Analyticsアーキテクチャは、J2EEコンポーネントに対してSpring Frameworkを利用して

います。また、Spring Frameworkとシームレスに統合できるコンポーネントおよびライブラリを使用

することで、Direct Web Remoting(DWR)を利用して使いやすいAjaxインタフェースを提供すると

ともに、Quartzを利用したスケジューリング機能などの高度な機能やOSワークフローを使用した

ロール管理のワークフロー機能を提供します。

概要

Oracle Identity AnalyticsシステムはOracle Identity AnalyticsサーバーとWebプレゼンテーション・レイ

ヤーから構成されており、前者はコンプライアンス・サービスとロール管理サービスを提供し、後

者はWebサービスAPIおよびHTTPプロトコルを介してWebブラウザ内で提供されます。

図 1. Oracle Identity Analyticsアーキテクチャ

OIAサーバー層はJavaアプリケーション・サーバーのコンテナ内にデプロイされます。また、OIAは

データ永続性を実現するためにRDBMSを使用する必要があります。OIAサーバー・レイヤーの最上

層にはOIA Webコンポーネントが含まれており、OIA Webインタフェースとやり取りします。その下

にあるのが認証および認可レイヤーです。さらにその下にビジネス・ロジック・レイヤーとサービ

ス・レイヤーがあり、最後のトランザクションおよび永続化レイヤーへと続きます。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

5

Oracle Identity Analyticsアプリケーションはアプリケーション・サーバーにデプロイされたWebベー

スのJ2EEアプリケーションであり、Web 2.0 機能を利用するためにJava 1.5 以上を使用して構築され

ています。

Oracle Identity Analytics Web UI

OIA Web UIはWebブラウザからアクセスできる本格的なシン・クライアントです。OIA Web UIは

SpringのWeb MVCレイヤーを利用することで、DWRコンポーネントを使用したAjaxサポートを提供

しています。また、Webサービスを介してコアのIDコンプライアンス要素とロール管理要素を公開

しています。

Ajax ベース

Oracle Identity Analytics Web UIのプレゼンテーション・レイヤーでは、簡単なAjax機能の提供とパ

フォーマンス向上を目的としてDWRが使用されています。DWRレイヤーはサーバー・レイヤー上の

Javaオブジェクトとやり取りし、UIへのレンダリングが簡単なJavaスクリプト・オブジェクトに変換

します。この際、オブジェクト間に複雑な変換は必要ありません。Reverse Ajaxを使用すると、サー

バー上のJavaコードから表示クライアントの種類を特定し、Java APIまたは手動によって生成した

JavaScriptを送信できます。

図 2. DWR

Spring Web MVC

Spring Web MVCはModel-View-Controller実装を提供しています。この実装はドメイン・モデル・コー

ドとWebフォームを明確に分離するとともに、検証などのその他の機能を提供します。また、アプリ

ケーションUIで使用できるWeb 2.0 テクノロジーをOracle Identity Analyticsに提供するため、アコー

ディオンを利用してウィジェットなどのコンポーネントとの統合をサポートしています。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

6

カスタマイズ性

Oracle Identity Analytics UIはサーバー・コードやアプリケーション・レベルのコードを変更しなくて

も、各要素をカスタマイズできるように構築されています。変更はWeb UIレイヤーで実施でき、デ

プロイメントごとに情報をカスタマイズできます。

ブランディング:カスタマイズ可能なアイコン、ラベル、およびイメージ。これらは、CSSを変

更することでカスタマイズできます。

ローカライゼーション:ラベルはカスタマイズ可能であるため、アプリケーションのブラウザ設

定に基づいてローカライズすることもできます。

ビジネス・ロジック:UI上の一部のモジュールにはビジネス・ロジックが組み込まれており、フ

ル・デプロイメント向けにカスタマイズすることもできます。

Web UI のセキュリティ

Oracle Identity Analytics UIはメニュー、サブメニュー、およびスクリーンに分割されます。ユーザー

へのアクセスはシステム内のロールを使用して保護されます。ロールによって、ユーザーが参照で

きるビューとアクセスの組合せが定義されます。メニューとスクリーンはすべてセキュリティに基

づいており、適切なロールなしに表示することはできません。メニューとスクリーンに加えて、ユー

ザーに表示されるスクリーン内の一部のオブジェクトもユーザーがアクセスできるオブジェクトに

よって制御されます。これらはすべて、アプリケーション内に定義されたOracle Identity Analyticsロー

ルによってコントロールされます。

SSO

OIAではヘッダーに基づく任意のシングル・サインオン・アプリケーションを利用して、アプリケー

ションを認証できます。また、設定変更によって、OIAから別のSSO対応アプリケーションに対して

SSOを使用することもできます。

Web サービス

Oracle Identity Analytics UIでは、アプリケーション内の特定の機能を外部コードから起動できるよう

に、一連の関数を提供しています。これらは、XFire経由で公開されているWebサービスを使用して

実現されています。これはコンテキスト・レイヤーからSpringに緊密に統合されているもう 1 つのコ

ンポーネントであり、サービスに必要な正しい認可セットを提供します。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

7

Oracle Identity Analytics サーバー

OIAサーバー・アーキテクチャは複数のモジュールに分割されます。OIAの各機能は個別に扱われて

おり、下の図に示すとおりモジュールに分割されます。

テクノロジー

Oracle Identity AnalyticsサーバーではJava 1.5 が使用されています。具体的には、全文検索用にApache

Luceneが、スケジューリング用にQuartzが、またデータ操作用にCloverETLが、レポート用にJasper

が、そしてロール管理のワークフロー・コンポーネントではOSワークフローが使用されています。

モジュール

Oracle Identity Analyticsサーバーはアプリケーションが提供する機能に基づいて、さまざまなモ

ジュールに分割されます。ここからは、おもなモジュールについて説明します。

Identity Warehouse

Identity WarehouseはOIAアプリケーションの基盤を成すコア・モジュールです。このモジュールは、

提供される機能に対してOIAで生成および表示されるデータに相当します。Identity Warehouseの生成

方法は複数あり、Oracle Identity Manager(OIM)やその他の信頼できるソースを含む既存IDMソリュー

ションからWeb UIを介して情報を抽出したり、API、CSV、XMLなどの図 1 に記載された各種手法

を使用したりすることができます。

ID認定

ID認定はOracle Identity Analyticsに含まれるコンプライアンス・モジュールの 1 つです。このモジュー

ルは、製品内でのユーザー情報とロールのコンプライアンス証明を実施します。このモジュールで

は、ユーザー、ロール、データ所有者などの各種認定タイプが提供されています。また、認定後に

行われた変更を追跡し、適切なコメントを付けて変更を修正します。

ID監査

ID監査は、SOXの遵守機能を提供するOracle Identity Analyticsで 2 番目のコンプライアンス・モジュー

ルです。このモジュールは、互いに矛盾するアクセス権を持つユーザーや、アクセス権とユーザー

職務が矛盾するユーザーを特定します。

ロール管理とロール分析

最後は、ロール管理モジュールとロール分析モジュールです。これらのモジュールはOracle Identity

Analyticsが提供するロール管理サービスの中核を成します。ロール管理モジュールは、特定のルール

に基づくロール割当てを含む、ロールの定義およびライフ・サイクル管理を実行します。ロール分

析モジュールは、ロール統合を実行して重複したロールを削除します。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

8

レイヤー

Oracle Identity Analyticsサーバーは各種の抽象化レイヤーに分割され、それぞれのレイヤーが異なる

機能を実行します。ここまでに説明したモジュールと同じモジュールを使用するレイヤーもあれば、

それぞれに相当するモジュールをレイヤー内に保持しているレイヤーもあります。

セキュリティ

セキュリティ・レイヤーはOIAサーバーの最初のレイヤーです。このレイヤーはOIAアプリケーショ

ンに対する認証と認可の責任を負います。OIAでは、Springに基づくエンタープライズ・アプリケー

ション向けに包括的な認証および認可サービスを提供しているAcegi Securityを利用しています。

Acegiは、(少なくとも)3 つのフィルタ・チェーンを使用して、Webアプリケーション・セキュリ

ティを実現しています。

図 3. Acegiフィルタ

認証処理フィルタは認証リクエスト・チェック("アプリケーションへのログイン")を実行しま

す。また、処理を実行するためにAuthentication Managerを使用します。

HTTPセッション・コンテキスト統合フィルタは各種のリクエスト間で認証オブジェクトを維持

し、必要に応じてAuthentication ManagerおよびAccess Decision Managerに渡します。

例外変換フィルタは既存の認証チェックを実行し、セキュリティ例外を処理して適切なアクショ

ンを実行します。この際のアクションとして、認証ダイアログが表示されるか、または適切な

HTTPセキュリティ・エラー・コードが返されます。例外変換フィルタは、次のフィルタである

フィルタ・セキュリティ・インターセプタにその処理を依存しています。

フィルタ・セキュリティ・インターセプタは制限付きアクセス・チェックと認可チェックを管理

し、どのリソースがセキュアで、どのロールがこれらにアクセスできるかを把握しています。実

際の処理にはAuthentication ManagerとAccess Decision Managerを使用します。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

9

認証

セキュリティの認証部分は、Oracle Identity AnalyticsリポジトリのユーザーIDに暗号化して格納され

たパスワードを使用して、Acegiのネイティブ機能によって処理されます。

Acegiでは、Oracle Access Manager(OAM)などのSSOソリューションやLDAPに対してユーザー認証

を外部委任する機能も提供されています。認証に成功すると識別子がOracle Identity Analyticsに提供

され、ユーザーのログインが可能になります。

認可

認証がネイティブで実行されたか外部に委任されたかに関係なく、ユーザー・アクセスの認可はAcegi

のロール・ベース・アクセスとアクセス制御リストを使用して、Oracle Identity Analytics内部で管理

されます。ユーザー・アクセスの一部は、Acegiと緊密に統合されているSpringインターセプタによっ

て、"AfterMethodInvocationインターセプタ"を使用して特定されます。これにより、上述のようにユー

ザーがオブジェクトを読み取ることができない場合、コレクションからオブジェクトが削除され

ます。

ビジネス・ロジック・レイヤー

このレイヤーは、セキュリティ・レイヤーの次のレイヤーです。このレイヤーによって、各種モジュー

ルのビジネス・ロジックが管理されます。モジュールによって、このレイヤーが共通コードを持つ

場合もあります。Oracle Identity AnalyticsのWeb UIおよびWebサービスから送信されたすべてのリク

エストは、このレイヤーで受信され、処理されます。

ビジネス・ロジック・レイヤーはモジュール化方式で実装されているため、簡単にビジネス機能を

変更および拡張できます。また、このレイヤーはOracle Identity Analytics Web UIを使用して設定でき

る構成の一部に依存しています。ビジネス機能の一部はモジュールごとに変更可能であり、そのす

べてがこのレイヤーによって管理されています。

サービス・レイヤー

サービス・レイヤーは、ビジネス・ロジック・レイヤーをトランザクション・レイヤーとデータ・

アクセス・レイヤーから抽象化するレイヤーです。サービス・レイヤーは、ビジネス・レイヤーに

サービスを提供する"コンテナ・レベル・サービス"を使用して管理されています。サービス・レイヤー

には、次の"コンテナ・レベル"またはモジュールによる各種サービスが含まれます。

Identity Warehouseサービス

これは、OIAのIdentity Warehouseに保存されたデータへのアクセスを提供するサービス・レイヤーで

す。このサービス・レイヤーはその他の各種コンポーネントを使用して、OIAのサポート機能を提供

しています。

ルール・サービス

このサービス・レイヤーはOIA製品全体にわたってルール・サービスを提供します。OIAには、ルー

ル・ベースのロール割当て機能を提供するためのカスタム・ルール・エンジンがあります。OIAは、

Identity Auditやアプリケーション内に存在するその他のルールにも同じルール・エンジンを使用し

ます。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

10

レポーティング・サービス

このサービス・レイヤーは、Oracle Identity Analyticsのレポーティング機能を提供します。このレイ

ヤーはJasperレポートを使用して、デプロイメント内のアプリケーションに対して、カスタマイズ・

レポートを実行時に追加する機能を提供します。また、レポーティング・サービスはiReportsを使用

したレポートの再設計機能とWeb UIへのプラグイン機能を提供します。

スケジューラ・サービス

ビジネス・システムは頻繁に実行する必要があるため、OIAは高度なスケジューリング機能を提供し

ており、この設定を通じて特定の時間にプログラムを繰り返し実行することができます。これによ

り、OIAは手動介入なしで自動的にジョブを実行できます。OIAはQuartzと呼ばれるJ2EEスケジュー

リング製品を使用しています。OIAでは、Quartz内の設定をユーザー・フレンドリーな方法で表示す

るWeb UIを使用してQuartzサービスを管理します。

ワークフロー・サービス

ワークフロー・サービスはOIAのロール管理モジュールのコア・コンポーネントです。ワークフロー・

サービスを使用すると、ロール定義やロール権限付与を承認するビジネス・プロセスを定義できま

す。この機能およびサービスをOIAに提供するために、OSのワークフロー・コンポーネントが使用

されています。OIAでは、Web UIを使用してワークフローを構成し、ビジネス・プロセスに合わせ

て編集できます。

ETLサービス

OIAはCloverETLを使用してデータを変換し、Identity Warehouseにインポートします。ETLサービス

はOIAに組み込まれており、OIAのインポートおよびエクスポート機能内から呼び出すことができま

す。インポートおよびエクスポート・プロセスにおいて、システム更新の前にETLコードが呼び出さ

れ、OIAが読み取れる形にデータが変換されます。

全文検索サービス

全文検索はOracle Identity Analyticsが提供する検索機能の中でもっとも高度なものの 1 つです。この

機能は、サービス・レイヤー内のApache Luceneコンポーネントを利用して提供されています。これ

を利用すると、Web UI検索内で複雑な条件を持つ検索を実行できます。また、大規模データセット

内のデータを検索する際のルール・エンジンのパフォーマンス向上にも貢献します。

AOPサービス

OIAでは、セキュリティ、監査、ロギング向けにAOPインターセプタを使用しています。AOPインター

セプタはSpringを使用して簡単に設定できます。また、ユーザーのアクセス権の自動作成を含むOIA

内のすべてのセキュリティ機能はAOPによって処理されています。OIAは、AOPを使用してユーザー

が実行した操作を監査し、ウェアハウスにロギングします。

トランザクションおよびデータ・アクセス・レイヤー

OIAサーバーの最下層にあるのが、トランザクションおよびデータ・アクセス・レイヤーです。OIA

は、Springが提供する組込みのデータ・アクセス・レイヤーを使用します。また、SpringのiBATIS統

合を使用してデータを永続化します。さらに、接続プーリングやバッチ更新機能も提供しています。

OIAは、堅牢なインフラストラクチャを使用して宣言的トランザクション管理を実現しており、JTA

を介したグローバル・トランザクションとローカル・トランザクションをサポートしています。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

11

Oracle Identity Analyticsでは、データベース層との通信にデータソースを使用することもできます。

バックエンド・システム統合レイヤー

データベース

Oracle Identity Analyticsのデータ層を構成するOracle Identity Analyticsリポジトリは、SQLリレーショ

ナル・データベースを使用してOracle Identity Analyticsメタデータを管理および保存します。Oracle

Identity Analyticsはメタデータへの依存度が高く、すべてのデータはOracle Identity Analyticsリポジト

リに格納されています。このため、データベースはOracle Identity Analyticsアーキテクチャにとって

必要不可欠なコンポーネントです。

データベース・システムが提供するデータ・レイヤーは、十分なスケーラビリティと冗長性を持つ

必要があります。Oracle Identity Analyticsアーキテクチャは、使用するエンタープライズ・データベー

ス管理システムが提供する機能に大きく依存します。次にデータベース機能の例を挙げます(以下

に限定されるわけではありません)。

クラスタリング

スタンバイ・データベース

レプリケーション

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

12

配備オプション

Oracle Identity Analyticsプラットフォームではパフォーマンス要件や高可用性要件に応じて、多数の

配備オプションが提供されています。このセクションでは、いくつかの一般的な配備オプションに

ついて確認していきます。

オプション 1 - シンプル配置

下図に示されたシンプル配置では、アプリケーション・サーバーとデータベース・サーバーが 1 台

ずつ使用されます。このシナリオでは、それぞれのサーバーにCPUやメモリを追加することで多少

のスケーラビリティを実現できます。

図 4.シンプル配置

この配置シナリオは開発やステージングには適していますが、本番環境にはふさわしくありません。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

13

オプション 2 - クラスタ配置

このオプションでは、ロードバランシング機能とフェイルオーバー機能を提供するため、オプショ

ン 1 のアプリケーション・サーバーがクラスタリングされています。また結果的にこの配置では高

可用性要件がサポートされます。また、各種の手法を通じてデータベース・サーバーを設定すると、

データ層で高可用性をサポートすることもできます。アプリケーション・サーバーへのユーザー・

セッションを分散するために、ハードウェアまたはソフトウェア・ベースのHTTP/HTTPSロードバラ

ンサが使用されます。

図 5.クラスタ配置

この配置は本番として最適な配置です。負荷が増加した場合は、必要に応じてクラスタにアプリケー

ション・サーバーを追加すると、"水平型"の方法で簡単に拡張できます。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

14

オプション 3 - プロキシ配置

プロキシ配置オプションでは、オプション 2 の配置にもう 1 つのエンタープライズ要素が追加され

ます。この配置では、アプリケーション・サーバーのOracle Identity Analyticsコンポーネントに対す

るWebページ・リクエストをプロキシするWebサーバー(IISやApacheなど)を介して、エンドユー

ザーにWebインタフェースを提供できます。この配置では、次の追加機能が提供されます。

アプリケーション・サーバーのプラグインをWebサーバーで使用することで、Webクライアント

のフェイルオーバーが透過的にサポートされます。

SSOベースの認証がサポートされます。

静的コンテンツおよびイメージをWebサーバーにオフロードできるため、パフォーマンスが向上

します。

図 6.プロキシ配置

ユーザー負荷が増加した場合、アプリケーション・サーバーとは別にWebサーバーの数を増やすと、

水平方向に拡張できます。また、さらに処理量を増やす必要がある場合は、アプリケーション・サー

バーの数を増やすことでも水平型の拡張を実現できます。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

15

オプション 4 - Oracle 統合配置

この配置は、本番環境において典型的なOracle統合配置です。上述のとおり、Oracle Identity Analytics

ではOracle Access Managerを利用してSSO認証を実現できます。また下図に示すとおり、Oracle Identity

Managerへ接続することもできます。

図 7. Oracle統合配置

上図において、OIAはコンシューマとエンフォーサの両方の役割を果たします。OIAはAPIベースの

メカニズムを使用してOIMに接続することで、OIMから情報を取得してIdentity Warehouseデータを生

成します。また、OIAは更新やロール定義をOIMに送信することもでき、この場合OIMがOIAで定義

されたロールのコンシューマになります。

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle Identity Analytics アーキテクチャ

16

結論

Oracle Identity Analyticsは、要件に応じてカスタマイズでき、スケーラビリティと柔軟性に優れ、費

用効果の高いセキュアなロール管理ソリューションを提供します。OIAの基盤を形成しているのは

Spring Frameworkであり、J2EEモデルを使用することで、単一配置またはクラスタ配置されている任

意のJ2EEアプリケーション・サーバー上にOIAを配置できます。クラスタ配置の場合、水平および垂

直に拡張可能であり、単一配置の場合は垂直に拡張可能です。また、ロードバランシング機能とフェ

イルオーバー設定が提供されているため、高可用性ソリューションを実現できます。

Oracle Identity Analyticsアーキテクチャ

2010 年 2 月

著者:

共著者:

Oracle Corporation

World Headquarters

500 Oracle Parkway

Redwood Shores, CA 94065

U.S.A.

海外からのお問い合わせ窓口:

電話:+1.650.506.7000

ファクシミリ:+1.650.506.7200

oracle.com

Copyright © 2010, Oracle and/or its affiliates.All rights reserved.本文書は情報提供のみを目的として提供さ

れており、ここに記載される内容は予告なく変更されることがあります。本文書は一切間違いがないことを

保証するものではなく、さらに、口述による明示または法律による黙示を問わず、特定の目的に対する商品

性もしくは適合性についての黙示的な保証を含み、いかなる他の保証や条件も提供するものではありませ

ん。オラクル社は本文書に関するいかなる法的責任も明確に否認し、本文書によって直接的または間接的に

確立される契約義務はないものとします。本文書はオラクル社の書面による許可を前もって得ることなく、

いかなる目的のためにも、電子または印刷を含むいかなる形式や手段によっても再作成または送信すること

はできません。

Oracleは米国Oracle Corporationおよびその子会社、関連会社の登録商標です。その他の名称はそれぞれの

会社の商標です。

0109