有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス...

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Tokyo University of Science 1 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス 諏訪東京理科⼤学 工学部 電気電子工学科 准教授 渡邊 康之

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Page 1: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

Tokyo University of Science

1

有機薄膜太陽電池を使った発電するビニールハウス

諏訪東京理科⼤学 工学部 電気電子工学科

准教授 渡邊 康之

Page 2: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

LED トランジスタ太陽電池

有機半導体デバイス有機半導体デバイス有機半導体デバイス有機半導体デバイス の出口戦略の出口戦略の出口戦略の出口戦略

液晶テレビ

LED照明太陽光発電

集積回路

有機EL 、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ

【現状の課題】既存の技術分野の置き換えでは実用化困難

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http://homepage2.nifty.com/tanimurasakaei/syousimi.htm

2100年の日本の人口年の日本の人口年の日本の人口年の日本の人口

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http://www.carview.co.jp/company/recruit/market/

【課題】日本は少子高齢化そのとき世界は・・・・エネルギー不足(化石資源枯渇)・環境悪化(地球温暖化)・食糧不足

2100年の世界の人口年の世界の人口年の世界の人口年の世界の人口

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http://www.kumagera.ne.jp/marutoku/ondanka.htm

人口増加 ⇒二酸化炭素濃度上昇 ⇒温暖化(エネルギー不足) (環境悪化) (食糧不足)

1日100億人の胃袋を満たせるのだろうか?

→日本の科学技術で解決!

持続可能のシナリオ持続可能のシナリオ持続可能のシナリオ持続可能のシナリオ

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1976年

ソーラー電卓

1994年

屋根に搭載

2011年

メガソーラ―

太陽電池市場の「今まで」と「これから」太陽電池市場の「今まで」と「これから」

<これから(有機系)>・柔らかい・軽い・シースルー⇒用途の拡大(垂直面展開、曲面展開)

<今まで(無機系)>・堅い・重い・透けない⇒用途に限界

https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=22370000142&GroupCD=0&no=

http://www.pref.kanagawa.jp/promotion/topics/images/kigyou_illust.jpg

2015年~

建材への展開

農業への展開

太陽電池の新規市場開拓に向けて太陽電池の新規市場開拓に向けて太陽電池の新規市場開拓に向けて太陽電池の新規市場開拓に向けて

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ロールツーロール製膜のイメージ(KonarkaのHPより)

�柔軟

�軽量

�シースルー

�低コスト

印刷印刷印刷印刷で安く作れる有機薄膜太陽電池で安く作れる有機薄膜太陽電池で安く作れる有機薄膜太陽電池で安く作れる有機薄膜太陽電池

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Page 8: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

メガソーラの次は農地発電?

太陽光太陽光太陽光太陽光発電発電発電発電の次代の次代の次代の次代

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Page 9: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

そもそも、従来の太陽電池で実現できるのか?

⇒有機薄膜太陽電池で解決!(実証済)

「農地への太陽光パネル設置、農業継続なら許可」農水省が発表(平成25年3月31日)

✓容易に撤去可能な簡易な構造であること

✓収穫量が2割以上減少していないこと

✓品質が著しく低下していないこと

✓農業委員会が監視していること

農水省の試み農水省の試み農水省の試み農水省の試み

http://www.housejapan-yume.jp/solar%20sharing.html

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ソーラーシェアリング

<先行研究での課題>

・日陰による農作物の収穫量減

・支柱など初期投資が必要

→農水省への許可必要

・農作業に若干の不便さ

従来技術とその問題点従来技術とその問題点従来技術とその問題点従来技術とその問題点

「ソーラーシェアリングのすすめ」http://www.d3.dion.ne.jp/~higashi9/jisho/fig001.htm

• 農作物と太陽電池で太陽光を分け合って両立させる

�通常の(太陽光発電設備のない)耕作地と比較し、収穫減が20%以内であれば良いとされる

�そもそも、収穫減が想定されていること自体が問題

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新技術の特徴・従来技術との比較新技術の特徴・従来技術との比較新技術の特徴・従来技術との比較新技術の特徴・従来技術との比較

農地に対して100%設置可能なため、トータルの発電量は

従来のソーラーシェアリングを上回る!

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Page 12: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

発電発電発電発電するビニールハウスのコンセプトするビニールハウスのコンセプトするビニールハウスのコンセプトするビニールハウスのコンセプト

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実証例(ハウス栽培・植物工場)実証例(ハウス栽培・植物工場)実証例(ハウス栽培・植物工場)実証例(ハウス栽培・植物工場)

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実証例①:ビニールハウス@屋外実証例①:ビニールハウス@屋外実証例①:ビニールハウス@屋外実証例①:ビニールハウス@屋外

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◆トマト収穫結果

比較ハウス(Nハウス) 2,595個

実験ハウス(Rハウス) 2,386個(8%減)

→農水省の条件をクリア!

農地への太陽光パネル設置、農業継続なら許可

農水省が発表(平成25年3月31日)

POINT

①容易に撤去可能な構造であること

②収穫量が2割以上減少していないこと

③品質が著しく低下していないこと

結果:従来の収穫量を実現結果:従来の収穫量を実現結果:従来の収穫量を実現結果:従来の収穫量を実現

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Page 16: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

実証例②:植物工場@屋内実証例②:植物工場@屋内実証例②:植物工場@屋内実証例②:植物工場@屋内

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MR-OPVの透過光 農ビの透過光

OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と比べて同量のサンチュを収穫

結果:従来の収穫量を実現結果:従来の収穫量を実現結果:従来の収穫量を実現結果:従来の収穫量を実現

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得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?

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得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?

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得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?得られた電力で何ができるか?

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想定される用途想定される用途想定される用途想定される用途

1⽇当たりの発電量が農業に寄与するもの

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実用化に向けた課題実用化に向けた課題実用化に向けた課題実用化に向けた課題

「電気・食物」の自給自足を目指して

【現状】

農作物栽培に影響なく

太陽光発電が可能なことを実証

【課題】

有機薄膜太陽電池を製造する会社が事業撤退

【今後】

産学官連携体制での

研究推進が必要□開発資金の支援□研究体制(人材、場所)の強化□新規市場開拓

� ビニールハウスに載せて農業資材として使用

� 従来通り農作業が可能、収穫量の減少もなし

� 現状のソーラーシェアリングのような支柱不要

� 自家発電、自己消費型であれば申請不要

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企業への期待企業への期待企業への期待企業への期待

• 課題の太陽電池製造については、プリンテッドエレプリンテッドエレプリンテッドエレプリンテッドエレクトロニクスの技術クトロニクスの技術クトロニクスの技術クトロニクスの技術により克服できると考えている

• 農業用フィルム等の農業資材の技術を持つ、企業との共同研究を希望

• 農業ICT等の情報通信技術を持つ、企業との共同研究を希望

• また、農業用センサーを開発中の企業、ヘルスケア

分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。

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有機薄膜太陽有機薄膜太陽有機薄膜太陽有機薄膜太陽

電池メーカー電池メーカー電池メーカー電池メーカー

農業従事者農業従事者農業従事者農業従事者

アドバイザーアドバイザーアドバイザーアドバイザー

食品業界食品業界食品業界食品業界

栽培委託栽培委託栽培委託栽培委託

野菜の提供野菜の提供野菜の提供野菜の提供

メニューの提案メニューの提案メニューの提案メニューの提案

太陽光パネル開発太陽光パネル開発太陽光パネル開発太陽光パネル開発

(渡邊研)(渡邊研)(渡邊研)(渡邊研)

植物工場植物工場植物工場植物工場

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農業資材メーカー農業資材メーカー農業資材メーカー農業資材メーカー

農業農業農業農業ICTICTICTICT

アグリビジネス創出への展開戦略アグリビジネス創出への展開戦略アグリビジネス創出への展開戦略アグリビジネス創出への展開戦略

Page 25: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

産学連携の産学連携の産学連携の産学連携の経歴経歴経歴経歴

〇グランパと植物工場に関わる包括提携

〇透明電子材料の開発等で複数の企業と

共同研究実施

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産学連携産学連携産学連携産学連携で

有機薄膜太陽電池を応用して植物工場の植物工場の植物工場の植物工場の

生産性生産性生産性生産性、省エネ性省エネ性省エネ性省エネ性を高める取組みを実施。

Page 26: 有機薄膜太陽電池を使った 発電するビニールハウス …...OPVを用いた植物栽培において、通常の方法と 比べて同量のサンチュを収穫 結果:従来の収穫量を実現

お問い合わせ先お問い合わせ先お問い合わせ先お問い合わせ先

東京理科大学 研究戦略・産学連携センターリサーチアドミニストレーター 弁理士 是成 幸子

TEL: 03-5228-7431FAX: 03-5228-7442E-mail: [email protected]

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