北海道大学における 博士人材の育成・輩出のための...
TRANSCRIPT
北海道大学における博士人材の育成・輩出のための
データ分析事例の紹介
2017年1月25日
北海道大学 URAステーション 和田肖子
科学技術イノベーション政策オープンフォーラムセッション:政策当局・大学・研究機関等の政策・戦略を支える
エビデンスの充実に向けて:データの接続と活用の新たな展開
背景① 大学院進路フロー推計
全国の大学進学者のうち、博士課程に進む者は全体の約1%
国際的にみても日本の博士号取得者数の割合は少なく、かつ減少傾向にある
1
出典:学術研究懇談会(RU11)今後取り組むべき学術研究に関する施策について(提言・見解)
出典:「科学技術指標2016」(2016年8月、科学技術・学術政策研究所)
博士号取得者数の比較
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20%
40%
60%
80%
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2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
修了者数(人)
②博士課程の入学者数と属性比率(RU11)
入学者数 修士からの進学者比率
社会人比率 留学生比率
出典:①③文部科学省「学校基本調査報告」より作成②学術研究懇談会(RU11)今後取り組むべき学術研究に関する施策について(提言・見解)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0
4,000
8,000
12,000
16,000
20,000
①博士課程入学者数と属性比率(全国)
入学者数 修士からの進学者比率
社会人比率 留学生比率
0%
10%
20%
30%
40%
50%
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70%
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100%
0
100
200
300
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500
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2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
③博士課程入学者数と属性比率(北大)
入学者数 社会人率 留学生率 修士からの進学者率
背景② 博士課程入学者数の推移2
全国、RU11、北大とも進学者数は減少傾向但し、内訳等北大特有の傾向がある
31 2132 25 25 16 18 18 10 8 8 4 11 11 6 10
41 3956
38 4051
67 6381
58 5771 65
4758
36
6954 56 49
37 39 4736
121108
144120
133110
122124
13 14 14 20 16 9 8 13
7763 61 69 61 66 59 6410
48 14 16
20 11 82 5 6 7
9 3 5 1
1 9
8
6 711
6 9
13
21 21
2122
1918
11
16
16 2018
23 2021
18
88
7
117
65 10
0 4 14 3
1 2 0
815 19
2219 9 13
18
0
40
80
120
160
H20 H22 H24 H26 H20 H22 H24 H26 H20 H22 H24 H26 H20 H22 H24 H26 H20 H22 H24 H26 H20 H22 H24 H26 H20 H22 H24 H26 H20 H22 H24 H26
人文科学 社会科学 理学 工学 農学 保健 教育 その他
北海道大学 学科系統分類別入学者数推移(本学)(博士後期課程及び博士一貫課程)
合計 / 留学生以外 合計 / 留学生※データ出典:学校基本調査
1812 8 101013101412 8 7 10 9 6 4 1214 92820221421
484332
45
80747581738172
82
4930
474146514353
3936
104
768090
75
1008791
80
10 6 5 9 7 11 5 7 31724
333433
61583742
323236
432722
192225
131812 8 137
7 42
403428
2834
33
1923
17
2829
4435
25
40
19
36
3253
4950
523538
283742
30
3425
38
30
26
1925
31
7 10 45 9 8
28
2
2531
513835
2346
412450
444453
373529
3637
2125221719
111918
11
68
545042
55
81
6255
62
108103
119116
98
121
91
118
8183
9691
98
868181
7678
134
110105
128
105
126
106116
111
17169
141619
715
5
42
55
84
7268
84
104
78
66
0
50
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21
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23
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20
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1H
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20
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21
H2
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23
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1H
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28
H2
0H
21
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6H
27
H2
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20
H2
1H
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H2
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24
H2
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26
H2
7H
28
人文科学 社会科学 理学 工学 農学 保健 教育 その他
(名) 北海道大学 学科系統分類別修了者数推移(本学)(博士後期課程及び博士一貫課程)
合計 / 就職者 合計 / 就職者以外※データ出典:学校基本調査
分野によっても傾向は異なる(入学者が増えている分野もある)
3
図)博士進学を真剣に検討したことがあると回答した就職者が博士課程進学を考える際に重要な条件出典:NISTEP 調査資料-165「日本の理工系修士学生の進路決定に関する意識調査」(2009年3月)
仮説: 博士進学には「経済的支援」「雇用」が重要な条件
4背景③ 博士課程進学を考える際に重要な条件とは
博士人材の育成・輩出を促進するには、フローを増大させる
(IN:進学者、OUT:就職者の増加)
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出典:学術研究懇談会(RU11)今後取り組むべき学術研究に関する施策について(提言・見解)
IN:進学者 OUT:就職者
P.1図再掲
大学院進路フロー推計
プロジェクトチームを結成し検討会議を実施
メンバー:理事、部局長、総長補佐、人材育成本部、総務企画部、URA
進学・就職者が多い部局の事例
進学・就職者が少ない部局の事例
SNSでのコメント分析
6
【目的】優秀な人材の博士進学を促進し、社会変革を生み出す人材として育成し、社会の様々な分野で活躍させる持続的システムを構築する。
北大での検討
●就職民間への就職が豊富な専攻でも、進学者は減ってきている。説明会等でPRしているのだが…
●経済的な課題民間の奨学金への申請が減ってきている。学費、生活費に本当に困っているのだろうか。
●情報源良いうわさは広がらないが、悪いうわさはすぐ拡散する。SNSの影響も大きいのでは?
学生本人にしてみれば、統計として多い・少ないよりも、自分はどうなのか、周りの人はどうかが重要。
実際に学生はどう考え、行動しているのか?
7
北大での検討
印刷版に掲載なし
出典:北海道大学人材育成本部吉原拓也特任教授による簡易調査
2016.5.1~7.8のつぶやきを抽出 検索条件は
博士×進学、博士×就職、博士×企業 明らかに関係がないつぶやきは削除
ex.ポケモン博士など
大学院生にとって博士課程への進学がネガティブかポジティブかを判定
twitter分析結果例
検討会議での考察
仮説:博士進学には「経済的支援」「雇用」が重要な条件
実際:
○奨学金支援、就職先が豊富な学科・専攻でも進学者が減少
している。
○学生に対して正しい情報が届いていない可能性がある。
○学生の質が変化している。
考察:
学生の思考・行動に沿った施策を打つべき。情報提供の
タイミングを変えることでも効果が上がるかもしれない。
8
学生の思考・行動調査
カスタマージャーニーマップ
(CJM=顧客の旅の地図)
「顧客の行動文脈を旅
=ジャーニーのプロセスに
見立てて可視化し、
把握する手法」
活用事例:
トヨタレクサス、ANA webツール、ネスレ等
9
<協力機関>株式会社日立テクニカルコミュニケーションズ株式会社日立製作所東京社会イノベーション協創センタ
出展:http://webtan.forum.impressrd.jp/e/2013/11/14/16305
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調査内容# 活動
1 情報収集およびペルソナ/CJM骨格の作成・学生像および進学/就職に関するイベントの整理・学生のタイプ、進学/就職の判断の背景の推測・ステークホルダーの洗い出し・作成するペルソナ/CJMの選定
2 ステークホルダーへのインタビュー・民間企業への就職者(予備調査)・大学関係者(キャリアセンターなど)・学生(キャリアセンターなど、大学関係者へのインタビュー結果で対象者を決定)
3 インタビュー結果を基にしたワークショップにてペルソナ/CJMのブラッシュアップ
4 ペルソナ/CJM完成
11
写真挿入予定
博士課程進学におけるCJM12
親戚
学生を取り巻く相関図
本人(学生)
兄弟・姉妹
先輩
SNS等
就職サイト
助教・PD
OB・OG
キャリアセンター
学校外の友人
大学の友人
同専攻の友人親
企業サイト
人材育成本部
親類群本人にとっての一番身近なロールモデル。良い、悪いの価値観にも大きく影響する。相談相手になる場合もある。
友人群大きな情報源。相談相手。競争相手。同世代の価値観の影響も大きい。
先生・先輩群DC進学におけるロールモデル。研究や社会性の能力を育成してもらっている。世代の近い先輩、助教が楽しそうだと進学への気持ちも高まる。
大学の支援機関就職に係る知識、能力向上、企業との交流の場を提供。個人的な相談にも乗ってくれる。
企業との接点仕事に関する大きな情報源。自分とのマッチング、将来像が見えるほど魅力的に感じる。
就職情報獲得ツール仕事に関する大きな情報源。SNSによる生の声は気になるところ。人によっては大きく影響を受ける可能性がある。
指導教官
相談・励ましあう・気になる
情報提供
情報提供リクルート
知りたい・体験したい
期待・心配・
応援
期待に応えたい
師匠・尊敬・身近な博士像・メンター
指導・支援・応援・学生が活躍すると助かる
影響・啓蒙・誘導?
気になる・知りたい・
見たくない?
情報源・相談・メンター?
支援・育成・
応援
印刷版に掲載なし
調査途中ですが、、、
印刷版に掲載なし
●情報源Web上の情報も見るが、一番重要なのは身近なロールモデル(研究室の先輩、若手の研究者)。
情報の有無・タイミング、研究室の体制⇒ 博士進学へのフローの制約・促進条件になりうる
●博士課程に進むメリット・海外でも研究者として通用する資格。分野によっては学位がないと勝負できない。・専門知識、研究経験以外にも様々なことが身につく(コミュニケーション、マネジメント等)。
●進学について・大学受験時に、理系は修士に行くのが当たり前だと聞いていて、実際その通りだった。博士は想像がつかなかった。・博士課程に進んだらどのようなメリットがあるのか知ることができればいいと思った。(キャリア教育的な授業はあるのだが、全員参加ではない。)
●経済的な課題・学振の特別研究員に申請できるように、早めに業績を成果をまとめられるよう先生・先輩が支援してくれた。
全体的な傾向・調査対象の博士課程学生の半数以上が修士で就職活動を行った経験があった。
・民間への就職志望の博士課程学生は、組織的に働くことや変化への期待が高
い。
最後に
• 仮説、推測を検証するためには調査が重要である。
• 調査手法として、行動、思考を掘り下げる際にはマーケティングツールが効果的な場合もある。
• 施策を考える上で、施策対象の前後も一連のフローとして捉え、制約条件や促進条件を考える。
そして...
追跡調査ができれば、施策の評価や
より効果的な施策考案につなげられる。
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ご清聴どうもありがとうございました。
北海道大学 大学力強化推進本部URAステーション 和田 肖子
E-mail: [email protected] http://www.cris.hokudai.ac.jp/cris/ura/
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