地図種類 :気流分布図-風向・風速平均場(昼間:10~16時...

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P.65 65 地図種類 :気流分布図-風向・風速平均場(昼間:10~16 時) 対象スケール :市区町村スケール 対象期間 :1998 年 8 月・1999 年 8 月 使用データ :大気環境時間値データ(東京都)、大気環境時間値データ(港区) 図2.10(9) 気流分布図-8月の風向・風速平均場(昼間:10~16時) (市区町村スケール、1998年8月・1999年8月) ・ 時刻別の風向・風速データより作成した風ベクトルを合計して、対象期間を通じたの平 均ベクトルを作成した。 ・ 風ベクトルの方位については、ほとんどの計測点で南南東を中心とした向きを示してい る。

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Page 1: 地図種類 :気流分布図-風向・風速平均場(昼間:10~16時 ...h:建物の平均高さ[m] ※ 出典:高効率の熱交換・熱拡散促進型の省エネ都市形成手法の開発(個別編Ⅲp45~49)

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地図種類 :気流分布図-風向・風速平均場(昼間:10~16 時)

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1998 年 8 月・1999 年 8 月

使用データ :大気環境時間値データ(東京都)、大気環境時間値データ(港区)

図2.10(9) 気流分布図-8月の風向・風速平均場(昼間:10~16時)

(市区町村スケール、1998年8月・1999年8月)

・ 時刻別の風向・風速データより作成した風ベクトルを合計して、対象期間を通じたの平

均ベクトルを作成した。 ・ 風ベクトルの方位については、ほとんどの計測点で南南東を中心とした向きを示してい

る。

Page 2: 地図種類 :気流分布図-風向・風速平均場(昼間:10~16時 ...h:建物の平均高さ[m] ※ 出典:高効率の熱交換・熱拡散促進型の省エネ都市形成手法の開発(個別編Ⅲp45~49)

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地図種類 :気流分布図-8 月の風向・風速平均場(夜間:1~6 時)

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1998 年 8 月・1999 年 8 月

使用データ :大気環境時間値データ(東京都)、大気環境時間値データ(港区)

図2.10(10) 気流分布図-8月の風向・風速平均場(夜間:1~6時)

(市区町村スケール、1998年8月・1999年8月)

・ 時刻別の風向・風速データより作成した風ベクトルを合計して、対象期間を通じたの平

均ベクトルを作成した。 ・ 昼間と比べて、風ベクトルの合計値は小さくなる傾向が見られる。風向については、ほ

とんどの計測点で北方向より南方向が卓越する結果となった。

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地図種類 :地形図-標高図

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1996 年・1997 年

使用データ :東京都 GIS データ

図2.10(11) 地形図-標高図

(市区町村スケール)

・ 港区および周辺地域の地形図を作成した。 ・ 内陸の北西部には起伏のある台地が、東側の沿岸部には低地が広がっている。中央部に

は、西から東に流れる古川(金杉川)流域に平地部が見られる。

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地図種類 :土地利用・被覆図-植生・水面の分布

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1996 年

使用データ :東京植生図第 9 系データ

図2.10(12) 土地利用・被覆図-植生・水面の分布

(市区町村スケール、1996年)

・ 港区および周辺地域の樹木・草地・水面の分布状況を整理した。 ・ 周辺地域と比較すると、対象地域は緑地面積の割合が多い。地域の中央から西側にかけ

てまとまった緑地が点在しており、東側の沿岸部ではほとんど見られない。

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地図種類 :土地利用・被覆図-建物の分布

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1996 年・1997 年

使用データ :東京都 GIS データ

図2.10(13) 土地利用・被覆図-建物の分布

(市区町村スケール、1996年・1997年)

・ 東京都 GIS データから得られた建物高さ情報をもとに、建物を高さ階級別の分布図を作

成した。 ・ 地域の北東部に中高層建物が集中するエリアが見られる。南西部には住宅を中心として

低層建物のエリアが広がっている。

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地図種類 :土地利用・被覆図-建物平均高さの分布(50m メッシュ)

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1996 年・1997 年

使用データ :東京都 GIS データ

図2.10(14) 土地利用・被覆図-建物平均高さの分布(50mメッシュ)

(市区町村スケール、1996年・1997年)

・ 50mメッシュ内に位置する建物について、建物の高さを建築面積で加重平均したものを

建物平均高さとして立体表示している。 ・ 複数のメッシュにまたがって位置する建物については、分割してそれぞれのメッシュに

別の建物として扱っている。 ・ 対象地域の北部から北東部、東部にかけて建物平均高さの高いメッシュが連続している。

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地図種類 :土地利用・被覆図-天空率の分布(100m メッシュ)

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1996 年・1997 年

使用データ :東京都 GIS データ

図2.10(15) 土地利用・被覆図-天空率の分布(100mメッシュ)

(市区町村スケール、1996年・1997年)

・ 東京都 GIS データの建物データをもとに、100m メッシュ毎の天空率を算出した。天空率

は地上から見上げた場合に空の見える割合を表す指標であり、天空率が大きい空間ほど構

造物による遮蔽が少なく、日射の入射や天空への放射、気流の流出入が行われやすい。 ・ ここではメッシュ内の建物配置を単純化して天空率を求めている。天空率の推定式※を以

下に示す。

+−

+=

2222 4arctan

244

whw

whwSa

π

π

224 wh

wSb+

=

( ) ( )wbwwbSSwS ba 2/2 22 ++= Sa:交差点中央(A)における天空率 Sb:道路中央(B)における天空率 b:建物平均幅[m] w:道路平均幅[m]

h:建物の平均高さ[m] ※ 出典:高効率の熱交換・熱拡散促進型の省エネ都市形成手法の開発(個別編Ⅲp45~49)

建物

建物

建物

建物 b

w w

A

B モデル建物

図2.10(16) 天空率算出における建物配置の単純化

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地図種類 :土地利用・被覆図-粗度長の分布(100m メッシュ)

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1996 年・1997 年

使用データ :東京都 GIS データ

図2.10(17)土地利用・被覆図-粗度長の分布(100mメッシュ、南風に対するシルエットエリア)

(市区町村スケール、1996年・1997年)

・ 東京都 GIS データの建物データをもとに、100m メッシュ毎の粗度長を算出した。 ・ ここでは南風に対するシルエットエリアを対象として、粗度長を求めている。 ・ メッシュ内の建物形状およびその配置からメッシュ毎の粗度長を算出し、粗度長が小さ

いメッシュが風向に沿って連続するエリアを、都市内部まで風を取り込む空間として評

価することができる。粗度長の算定式(Lettau の推定式※)を以下に示す。 SshZ /*5.00 =

Z0:粗度長[m] h*:建物の平均高さ[m] s:シルエットエリア[m2] →地表面に対して平行に投光したときに垂直面に投影される建築物の陰の面積 S:区画の面積[m2]

※ 出典:H.Lettau : Note on Aerodynamic Roughness-Parameter Estimation on the Basis of Roughness-Element Description, JOUNAL OF APPLIED METEOROLOGY, Volume 8,pp828~832, Oct.1969

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地図種類 :排熱分布図-人工排熱密度の分布(14 時、100m メッシュ)

対象スケール :市区町村スケール

対象期間 :1996 年・1997 年

使用データ :東京都 GIS データ、UCSS データ

図2.10(18) 排熱分布図-人工排熱密度(顕熱分)の分布(100mメッシュ)

(市区町村スケール、14時)

・ 東京都 GIS データより得られる建物用途別の延床面積に、建物用途別の床面積あたりの

人工排熱発生源単位を乗じて排熱発生密度を算出した。 ・ ここでは 100m メッシュ単位で排熱密度を集計している。 ・ 対象地域の北東部に高排熱密度メッシュが集中している。また、主要道路に沿って高排

熱密度メッシュが連なっている。

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2-4-5.ケーススタディ対象地区における考察図の試作

これまでのケーススタディの結果に基づき、考察図の試作を行った。ここでは、沿岸部に

位置し、地域内に大規模な緑地が点在する港区の特性を考慮して、海風を活用した熱拡散の

促進を目的として考察図を検討した。検討には、気流に影響を及ぼす地形図および建物高さ

分布図、オープンスペースとして機能する道路および緑地の分布図、熱拡散対策の必要性と

関連する排熱密度分布図、建物の空気力学的な粗度を表す粗度長分布図を用いた。 都市内のベンチレーションを促進する“風の道”の形成は、汚染物質や排熱の拡散や体感

温度の改善等を促進するものであり、都市におけるヒートアイランド対策として有効である

が、風は局所性が強く、統計値の補間等により作成される都市環境気候図においては、風の

道に相当する気流を直接検証することは極めて困難である。このため、都市環境気候図では

対象地域の空間特性からみた“風の通りやすさ”を評価の対象とし、気流分布図から得られ

る卓越風の分析結果とあわせて“風の通り道”を検討することが考えられる。なお、ここで

は都市空間内の相対的な風の通りやすさの把握を目的として検討を行うものであり、絶対的

な通風性を評価するものではない点に留意する必要がある。

図2.11 標高および建物高さの分布と各地点における風速出現率

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・ 検討対象地区およびその周辺の標高(図 2.10(11))および 50mメッシュ単位の建物平

均高さ(図 2.10(14))を合計して地表面の起伏状況を表す地図を作成し、地区内の各観

測点における風向出現率(図 2.10(6))を重ね合わせたものを図 2.11 に示す。各観測点

における風向出現率より、夏季の日中には南東方向を中心とする風が卓越する傾向がみ

られる。標高および建物高さの分布は地表面の凹凸を表しており、卓越風の方向に起伏

が小さい地表面が連続しているところでは周囲と比べて風が吹き込みやすく、起伏が大

きいところでは気流が乱れやすい、あるいは気流が遮蔽される可能性が高いと考えられ

る。

図2.12 地形からみて想定される風の通り道の抽出結果(例)

・ 検討対象地区およびその周辺の地形図(図 2.10(11))から想定される風の通り道の抽出

を行った。結果を図 2.12 に示す。建物がない状態では卓越風の方角に沿った谷筋が内

陸部まで風が入りやすい風の通り道として機能している可能性があり、この風の通り道

は対象地区における潜在的な風の通りやすさの分布を表しているものと考えられる(図

中の青色の矢印)。

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図2.13 地形および建物分布からみて想定される風の通り道の抽出結果(例)

・ 次に、地表面の起伏状況を表す地図(図 2.11)と、先に抽出した想定される風の通り

道を重ね合わせた。結果を図 2.13 に示す。北部の千代田区との区界付近にある想定さ

れる風の通り道は建物平均高さの高いエリアと重なっており、風の通り道としては機能

していない可能性が考えられる(図中の緑色の矢印)。