喬木中学校 | takagi junior high school -...

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2 期末テストが終わり、懇談会で2学期のまとめの話し合いをす る時期となっています。 3年生は、第4回の実力テストも終了し、ほっと一息の人もい るかも知れません。しかし、入試本番まで気の抜けない日々が続 いていきます。朝学習のようすを見ますと、7:50のスタート 時間にはほとんどの人が教室に入り、真剣に学習に取り組んでい ます。一人ではなかなか勉強に取り組めなくてもみんなで取り組 めばできるようになるという3年生のチームとしての学習ですげ 毎日の積み重ねは大きいものです。 これから3月までの積み重ねは、多くの人の学力向上の成果が 現れることでしょう。がんばってください。 2年生は生徒会選挙も終わり、新しい役員による生徒会の運営のスタートが切られます。 来年度の喬木中をしょって立つ2年生です。2年生一人ひとりがみんなで協力し、よりよい喬木中学校を つくりあげていきましょう。 また、修学旅行の学習も始まりました。奈良・京都を訪れるということは、日本の歴史の素晴らしさを 実物に触れることで深く感じとるということを目的にしています。奈良時代から平安時代、鎌倉時代、室 町時代、安土桃山時代、江戸時代 と続く時代を代表する仏像や寺院、建築物を実際に見ることで文化を 感じ取ってください。そのために、事前学習をしっかり行って、訪れるところはどういうところで、何が あるのか、何のために建てられたのかなどを深く学習していきましょう。 学習すればするほど修学旅行は意義のあるものになると思います。 1年生は、2年生になる準備をしていきます。先日は、来年度入学し てくる小学校6年生のみなさんが、中学の体験学習に来てくれました。 1年生が、6年生に、中学の様子を説明する場面がありました。 すごいなと感じたのは、その自分の説明内容をしっかり覚えてきて、 原稿も何も見ないで発表していたことです。これから先輩になる心構え ができてきているなあと思いました。来年度に向けて良い見本を示せる ようにみんなで様々な活動に取り組んでいきましょう。 校長講話より 12月の校長講話がありました。今月の講話は、「立志」についてお話をいただきました。幕末の志士 の一人で、福井藩士 橋本左内の「啓発録」の中からの言葉を紹介していただきました。裏面を参照して ください。

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Page 1: 喬木中学校 | Takagi Junior high school - 校長講話よりtakagijh.vill-takagi.info/.../wp-content/uploads/img315.pdf · 2015-01-19 · 第7回校長講話「立志」 26t1210(永)

2 学 期 も 終 盤

期末テストが終わり、懇談会で2学期のまとめの話し合いをす

る時期となっています。

3年生は、第4回の実力テストも終了し、ほっと一息の人もい

るかも知れません。しかし、入試本番まで気の抜けない日々が続いていきます。朝学習のようすを見ますと、7:50のスタート

時間にはほとんどの人が教室に入り、真剣に学習に取り組んでい

ます。一人ではなかなか勉強に取り組めなくてもみんなで取り組

めばできるようになるという3年生のチームとしての学習ですげ

毎日の積み重ねは大きいものです。

これから3月までの積み重ねは、多くの人の学力向上の成果が

現れることでしょう。がんばってください。

2年生は生徒会選挙も終わり、新しい役員による生徒会の運営のスタートが切られます。

来年度の喬木中をしょって立つ2年生です。2年生一人ひとりがみんなで協力し、よりよい喬木中学校を

つくりあげていきましょう。

また、修学旅行の学習も始まりました。奈良・京都を訪れるということは、日本の歴史の素晴らしさを

実物に触れることで深く感じとるということを目的にしています。奈良時代から平安時代、鎌倉時代、室

町時代、安土桃山時代、江戸時代 と続く時代を代表する仏像や寺院、建築物を実際に見ることで文化を

感じ取ってください。そのために、事前学習をしっかり行って、訪れるところはどういうところで、何が

あるのか、何のために建てられたのかなどを深く学習していきましょう。

学習すればするほど修学旅行は意義のあるものになると思います。

1年生は、2年生になる準備をしていきます。先日は、来年度入学し

てくる小学校6年生のみなさんが、中学の体験学習に来てくれました。

1年生が、6年生に、中学の様子を説明する場面がありました。

すごいなと感じたのは、その自分の説明内容をしっかり覚えてきて、

原稿も何も見ないで発表していたことです。これから先輩になる心構え

ができてきているなあと思いました。来年度に向けて良い見本を示せる

ようにみんなで様々な活動に取り組んでいきましょう。

校長講話より

12月の校長講話がありました。今月の講話は、「立志」についてお話をいただきました。幕末の志士

の一人で、福井藩士 橋本左内の「啓発録」の中からの言葉を紹介していただきました。裏面を参照して

ください。

Page 2: 喬木中学校 | Takagi Junior high school - 校長講話よりtakagijh.vill-takagi.info/.../wp-content/uploads/img315.pdf · 2015-01-19 · 第7回校長講話「立志」 26t1210(永)

第7回校長講話「立志」26t1210(永)

早いもので、今年の二学期ももう少しで終わりという時季まで来ました。今年最後のテストも先月終わり、明日からは保護者

懇談会。お母さんやお父さんの前で、担任の先生に何を言われるのだろうかとドキドキしながら過ごしている人もいるかもしれませんが、皆さんにとっても、お家の方にとっても、「懇談会をやって良かった」と患えるようにして欲しいと先生方にお願いし

てあります。3年生は、進路の決定にかかわる重大な意味をもつ時間ですね。一人ひとりが自分にとって最も意義のある進路選

択をして欲しいと患います。時間は無尽蔵にあるように思いがちですが、限られています。

ところで、時間の感じ方というのは年齢によって違いがあり、年をとるほど時間を早く感じるのだそうです。ジャネーの法則

とかいうらしいですが、私の時間の感じ方と、皆さんの感じ方では違いがあります。生まれてからの時間密度が違うためらしい

です。皆さんの今年の一年は13分の1から15分の1ですが、私は50ケン分の1。密度の違いは明らかです。今年、平成26年

もそろそろ終わりますが、今でしか感じることのできない色んなことを、色んな思いの中で経験して、密度の濃い青春時代を過ごして欲しいと思います。

さて今日のテーマはr立志」です。r立志」とは何でしょうか。どういう意味でしょうか・今日は、このことについてお話しし

たいと思います。r立志」とは、15歳になること。もしくは、15歳のことをいいます。つまり、中学2年生から3年生にかけての皆さんが対

象ということになります。今日のお話とは直接関係ありませんが、30歳を「自立」40歳を「不惑」50歳を「知命」というのだそうです。3年生は国語の教科書で「諭薄」を学習しますが、その「論語」に記されていることです。「30にして立つJ「40にして惑わずj「50にして天命を知る」などという言葉を軌、たことがあるのではないでしょうか。それはいいとして、「立志」は、15歳。日本でこの年齢は、「元服jとも呼ばれていました。元版とは、成人。つまり大人の仲間入りをすることを意味します。

昔は15歳で、すでに大人凌いだったのですね。

話は更に飛びますが、江戸時代後期、ある人が立志を迎えるにあたり、後世にまで残る書軌本を書きました。その人の名は「橋本左内」今の福井県の方です。3年生は社会科の歴史学習で出てきた名前かと思います。幕末の改革に取り組み、日本の将

来について広い視野に立って物事を考え、見通しをもって行動していたのですが、「安政の大獄」という暗黒裁判にかけられ、処

刑されてしまいます。26歳の若すぎる死でした。皆さんもよく知っている西郷隆盛をして「その才気、識見、到底自分が及ぶものではない。」と言わしめた人です。その橋本が14歳の時、15歳の立志を迎えるにあたって自分の弟たちに向けて著した本がr啓

発録」です。その中の一節に、r立志の誓い」と呼べる文言があります。「穐心を去り・気を奮い■泰を立て・学に励み・麦を遭ベ」もうー度凍みます。

r穐心を去り・先を奮い・轟を立て呼に励み麦を選べJ一つひとつの文言の意味を確かめましょう。

まず「稚心を去り」です。「稚心」の「軌は「幼稚・幼稚園」の「稚」ですね。橋本は、自分と自分の運命を変えようと患うのであれば、自分の手で何とかする以外に方法はないふ自分を変える第一歩は「稚心」、つまり子どもっぽい心を捨て去ることだ

と考えました。人の中にある稚心とは、自分の好きな遊びばかりに熱中し、自分にとって簡単で楽な方へ楽な方へと流れるよう

な生き方です。それらは、幼いうちであれば許されることであるが、14、15歳という年になってもこういう心を残し、親の目を

盗んで勉強やけいこごとをおろそかにし、父母に甘えてばかりの生活を送っているようであれば、何をやっても決して上達せず、とても世の中に知られるような人物になることはできない。したがって、「稚心を去る」ことこそ、運命を変える第一歩だと書いています。

次は「気を奮い」です。「知とは人に負けまいと患う心をもつことであり、恥ずかしいことを「無念だ。」と思うことから生まれる意気込みのことです。「負けじ軋」ともいいます。橋本は、「負けてたまるか。」「くじけてなるものか。」という負けじ魂こそが人を変えるエネルギーになるのだと書いています。常にそうした心をもち、その精神を奮い立たせ、緊張を緩めずに油断

のないように努力しなければならない、としています。

三番目は「志を立て」です。橋本は「志を立つ志のない者は、魂のない虫けらと同じ。」と言っています。そして、生き方の決

意を固め、一度決心したからには真っ直ぐにその方向を目指し、迷わず進むべし、としています。知識や人格が優れた先人たちの教えや歴史の書物を多く溌み、その中から深く心に感じた部分を書き抜いて壁に貼り、いつもそれを眺めて反省したり、不足

している部分を充たすよう努力したりすることが大事だと書いています。自分が良い方向に向かっていると感じた時の自己評価

も大事だと書いています。

四番目はr学に励み」です。これは、言葉通りに私たちがイメージするものと少し違います。橋本は、読書をして知識を吸収

することだけが学問だというようなことは、大きな間違いだと言っています。彼にとって学問とは、良い成頴をとることでも、暗記した知識をひけらかすことでもないのです。橋本の説く学問とは、優れた入物の立派な行いを習い、その人の生き方に劣らないように努力することこそが、何より大切な学問であるとしています。そして「励み」とは自分の力を出し尽くし、目的を達

成するまではどこまでも続けるという意味であり、どんなことでも、強い意志をもって努力し続けることがr学に励む」ことだと書いています。

最後は「友を選べ」です。友人には「益友」と「損友」という二種類あるので、違いを見きわめて、つきあう事が大事だとしています。自分と交際してくれる友人は、皆大切にしなければいけない。しかし、飲み食いや歓楽を共にするためだけにつきあい、馴れ合うことは決して良いことではない。学問の追究、武芸の練習、志や精神の研究などの上で交わりを深めるべきであり、

堕落につながる交際を求める友人がいたら、それはr「損友」であって、正しい方向へ導くべきだ、と書いています。また、自分のあやまちを遠慮なく指摘してくれる友は、時に厄介な存在だと感じることもあるが、大切にしなければならないとも書いてい

ます。

以上、橋本左内の語る5つの誓い、いかがでしょうか。14歳の少年がこれを書いているということが驚くばかりですが、この

決意と覚悟には強くたくましいものを感じるのは私だけではないでしょう。2年生の皆さん、二学期も今月で終了。平成26年もあと20日でおしまいです。時間は刻々と過ぎ去り、全員平等に新たな時間が与えられます。迎える平成27年、2015年は15歳。立志の年です。今日解介した一つひとつの文言と、現在の自分を重ね合わせて、新たな誓い、決意や覚悟を自分の中で作って下

さい。また、1年生は来年15歳を迎える自分と重ねて下さい。3年生は、現在15歳を過ごす自分と重ねてみて下さい。新たな

年に、新たな自分を耕す皆さんの姿を、「立志」という言葉の覇介と共に期待します。終わります。