大地を探る part...

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第6学年 理科授業案 大地を探る Part ~大地のでき方を発見しよう~ 単元の目標 (1)大地の様子やつくりに興味・関心をもち、地層の構成物を観察したり、推論を検証する実験をしたり するなど、大地のでき方について進んで調べようとする。 【関心・意欲・態度】 (2)地層が流れる水のはたらきによってできたことを示す事実を整理し、それらを総合的に判断すること によって、地層のでき方を推論することができる。 【科学的な思考】 (3)地層の特徴を捉えて観察記録をとり、自分の予想をもとにした小麦粉粘土によるモデル実験や、水槽 での堆積実験を計画的に進めることができる。 【観察・実験の技能・表現】 (4)地層の空間的な広がりを認識し、流れる水のはたらきによって地層が堆積することを理解することが できる。 【知識・理解】 指導にあたって (1)子どもの実態 本学級の子どもたちは、「ものの燃え方と空気」の単元において、実験に対する興味を高く示していた。 また、自ら疑問を見い出して、その現象を解釈しようとする子どもも多く見られた。その一方、観察事実 や実験結果を科学的に解釈し、その自然事象が起因している理由を推論により導こうとする科学的な態度 が養われていない子どももいる。理科の学習姿勢に関するアンケートを実施したところ、「結果を予想し て実験をしているか。」という項目では「している」が76%、「自分なりの考えをもつことができるか。」 という項目では「できる方」が71%というように、科学的に解釈しようとする気持ちが高いことが見て 取れた。また、自分の考えを具体的な理由をつけて説明することに苦手意識をもつ子どももいる。 子どもたちは、結果と原因が簡単に結びつく課題については、よく理解することができるけれども、推 論する力を発揮しなければ因果関係を捉えられない課題については戸惑うことが多い。こうした子どもた ちの実態から、推論により問題を解決していく経験を積むことで、科学的な思考力を身につけてほしいと 考えた。 (2)教材観 本単元「大地を探る Part ~大地のでき方を発見しよう~」では、直接経験で確かめることが困難な 地層について学習を進める。学習を進めるにあたり、①地下に広がる地層の大きさや重なりを捉える空間 認識能力の育成と②長い年月をかけて地層や化石が生成される時間スケールの認識について、配慮を要す る単元でもある。 地層の学習は、地質や地形・岩石や化石などの過去の痕跡を手がかりに、散在する痕跡の状況を整理し て、直接経験できない事実を推論により発見していく興味深い内容である。また、推論を通して事実を導 こうとする科学的な態度を育成するのに適した教材であると考えた。 本校南側の礫層と豊橋公園内の地層面を観察したり、サンプル資料の観察やアクリルパイプ内の土砂の 堆積実験など、どれもその結果からでは地層の全容を捉えることができない。よって、一つひとつの活動 から得られた発見をもとに、推論する力を発揮して次なる解決の糸口につながっていく問題解決学習を組 むことのできる教材でもある。また、地層の広がりや堆積の仕方などモデルを作成することにより、直接 経験できない部分を補うことができる。このような操作を伴う活動を設定することで、知識だけではなく、 より実感の伴う理解につながる効果も期待できる。 (3)指導観 地層との出会いでは、本校南側の礫層と豊橋公園内の地層面を活用することにした。アスファルトで地 面がすべて覆われているような街中の校区であるため、本物の地層を観察させることで興味を高めて疑問 を膨らませたいと考えたからである。そして、単元を通して推論する力が伸びるように付箋を活用したノ ートづくりに取り組ませた。付箋の色によって観察的な事実と推論的な考えを区別して記述させることで、 科学的な思考が表面的なところで留まることなく、推論により事実を導こうとする意欲を高めることがで きると考えたからである。 地層の広がりを捉える段階では、しま模様を再現する活動を行った。土砂をふるいにより粒径ごとに分 け、それをプラスチックコップ内に重ねる操作を行うことで、①各層は粒の大きさで分かれていること、 ②層が積み重なってしま模様に見えることの2点を意識させることができると考えた。そして、子どもた ちに地層が水の力でできることを意識させた後、海での堆積について追究していく。堆積の予想を砂粒で 立体モデルに表す活動を通して、実際の堆積のイメージをつかみやすくすることができると考えた。また、 全長約 80 ㎝の水槽を使用しての堆積実験を行うことで、流れる水のはたらきによる土砂の堆積位置と粒 径の大きさの関係を確かめることができると考えた。地層のでき方に気づけた子どもたちに、地層デジタ ルコンテンツを見せることで、地層が形成される年月に関心が向くであろう。そこで、地層の歴史につい て考える活動を行う。また、伊古部の海岸で採取した貝類の化石を含む層の岩石を用意し、子どもたちに 発掘体験をさせることで、地層を調べる楽しさも実感させられると考えた。 単元を通して、子どもたちは自らの力で問題解決していく楽しさやよろこびを感じ取ることができるで あろう。また、自然事象を意欲的に追究したことで科学的な思考を深めていくことができるであろう。そ して、推論する力を発揮し、大きな疑問を解決したいという強い探求心が生まれることを期待したい。 【目指す子ども像】 推論する力を発揮し、問題解決を楽しむ子どもたち

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Page 1: 大地を探る Part ~大地のでき方を発見しよう~小麦粉粘土で層を再現しよう ⑥※7 ・粘土で崖を再現すれば 黒い層の広がりがわかるかも…。

第6学年 理科授業案

1 単 元 大地を探る Part Ⅰ~大地のでき方を発見しよう~2 単元の目標(1)大地の様子やつくりに興味・関心をもち、地層の構成物を観察したり、推論を検証する実験をしたり

するなど、大地のでき方について進んで調べようとする。 【関心・意欲・態度】(2)地層が流れる水のはたらきによってできたことを示す事実を整理し、それらを総合的に判断すること

によって、地層のでき方を推論することができる。 【科学的な思考】(3)地層の特徴を捉えて観察記録をとり、自分の予想をもとにした小麦粉粘土によるモデル実験や、水槽

での堆積実験を計画的に進めることができる。 【観察・実験の技能・表現】(4)地層の空間的な広がりを認識し、流れる水のはたらきによって地層が堆積することを理解することが

できる。 【知識・理解】3 指導にあたって(1)子どもの実態

本学級の子どもたちは、「ものの燃え方と空気」の単元において、実験に対する興味を高く示していた。また、自ら疑問を見い出して、その現象を解釈しようとする子どもも多く見られた。その一方、観察事実や実験結果を科学的に解釈し、その自然事象が起因している理由を推論により導こうとする科学的な態度が養われていない子どももいる。理科の学習姿勢に関するアンケートを実施したところ、「結果を予想して実験をしているか。」という項目では「している」が76%、「自分なりの考えをもつことができるか。」という項目では「できる方」が71%というように、科学的に解釈しようとする気持ちが高いことが見て取れた。また、自分の考えを具体的な理由をつけて説明することに苦手意識をもつ子どももいる。

子どもたちは、結果と原因が簡単に結びつく課題については、よく理解することができるけれども、推論する力を発揮しなければ因果関係を捉えられない課題については戸惑うことが多い。こうした子どもたちの実態から、推論により問題を解決していく経験を積むことで、科学的な思考力を身につけてほしいと考えた。

(2)教材観本単元「大地を探る Part Ⅰ~大地のでき方を発見しよう~」では、直接経験で確かめることが困難な

地層について学習を進める。学習を進めるにあたり、①地下に広がる地層の大きさや重なりを捉える空間認識能力の育成と②長い年月をかけて地層や化石が生成される時間スケールの認識について、配慮を要する単元でもある。

地層の学習は、地質や地形・岩石や化石などの過去の痕跡を手がかりに、散在する痕跡の状況を整理して、直接経験できない事実を推論により発見していく興味深い内容である。また、推論を通して事実を導こうとする科学的な態度を育成するのに適した教材であると考えた。

本校南側の礫層と豊橋公園内の地層面を観察したり、サンプル資料の観察やアクリルパイプ内の土砂の堆積実験など、どれもその結果からでは地層の全容を捉えることができない。よって、一つひとつの活動から得られた発見をもとに、推論する力を発揮して次なる解決の糸口につながっていく問題解決学習を組むことのできる教材でもある。また、地層の広がりや堆積の仕方などモデルを作成することにより、直接経験できない部分を補うことができる。このような操作を伴う活動を設定することで、知識だけではなく、より実感の伴う理解につながる効果も期待できる。

(3)指導観地層との出会いでは、本校南側の礫層と豊橋公園内の地層面を活用することにした。アスファルトで地

面がすべて覆われているような街中の校区であるため、本物の地層を観察させることで興味を高めて疑問を膨らませたいと考えたからである。そして、単元を通して推論する力が伸びるように付箋を活用したノートづくりに取り組ませた。付箋の色によって観察的な事実と推論的な考えを区別して記述させることで、科学的な思考が表面的なところで留まることなく、推論により事実を導こうとする意欲を高めることができると考えたからである。

地層の広がりを捉える段階では、しま模様を再現する活動を行った。土砂をふるいにより粒径ごとに分け、それをプラスチックコップ内に重ねる操作を行うことで、①各層は粒の大きさで分かれていること、②層が積み重なってしま模様に見えることの2点を意識させることができると考えた。そして、子どもたちに地層が水の力でできることを意識させた後、海での堆積について追究していく。堆積の予想を砂粒で立体モデルに表す活動を通して、実際の堆積のイメージをつかみやすくすることができると考えた。また、全長約 80 ㎝の水槽を使用しての堆積実験を行うことで、流れる水のはたらきによる土砂の堆積位置と粒径の大きさの関係を確かめることができると考えた。地層のでき方に気づけた子どもたちに、地層デジタルコンテンツを見せることで、地層が形成される年月に関心が向くであろう。そこで、地層の歴史について考える活動を行う。また、伊古部の海岸で採取した貝類の化石を含む層の岩石を用意し、子どもたちに発掘体験をさせることで、地層を調べる楽しさも実感させられると考えた。

単元を通して、子どもたちは自らの力で問題解決していく楽しさやよろこびを感じ取ることができるであろう。また、自然事象を意欲的に追究したことで科学的な思考を深めていくことができるであろう。そして、推論する力を発揮し、大きな疑問を解決したいという強い探求心が生まれることを期待したい。

【目指す子ども像】 推論する力を発揮し、問題解決を楽しむ子どもたち

Page 2: 大地を探る Part ~大地のでき方を発見しよう~小麦粉粘土で層を再現しよう ⑥※7 ・粘土で崖を再現すれば 黒い層の広がりがわかるかも…。

4 単元構想(19時間)単元:大地を探る Part Ⅰ~地層のでき方を発見しよう~

しま模様のひみつを探ろう

試料を洗って観察をしよう ④ ※ 5・砂の粒の色にも、いろいろ種類があるよ。・小石は、やっぱり丸みがあるよ。・茶色っぽい色は、

砂や小石についている泥の色だね。・粒の大きさの違いによって

層にわかれているのかな?・同じ層では、粒の大きさが

そろっているのかな?いろいろな砂で、しま模様を再現しよう ⑤ ※ 6

・粒の大きさが違えば本当に層になるのかな?・ふるいを使って、砂を同じ粒にわけることができたら?・粒の大きさが違う砂を重ねると…

きっと層ができるはずだ。

・粒の大きさで分かれている。・ 層が重なって広がっている。

地層のでき方を考えよう ⑦

・地層は、自然の何の力でできたのかな?

風 水(川) 山崩れ

火山 地震・化石には、水中の生き物が多いよ。

・小石に丸みがあるとういうことは川に流された石だと思うよ。

・地層は、水を使ってできるかな?

小麦粉粘土で層を再現しよう ⑥※ 7・粘土で崖を再現すれば

黒い層の広がりがわかるかも…。・観察した崖の側面でも、

同じ順に層が見えそうだね。・吉田城の堀の両側では、

どのように層が表れるのかな?

予想面

露頭再現面

露頭の観察(出会い)

しま模様の秘密(つかむ)

意欲を高める体験活動

【※教師支援】

※1学校南側の露頭では、小石の丸みと並びに着目するように、観察の視点を指示する。

※2豊橋公園の野外観察では、粒子の違いに気づかせるように、手触りによる観察も指示する。また、後に詳しく観察させるためにサンプリングをする。

※3黒色の際だつ層をに着目し、層の広がりを追っていけるようにするための鍵として話題に挙げる。

※4児童が観察露頭の様子を思い起こせるように、露頭の全体画像や拡大画像を撮影する。

※5サンプルを水洗いし、地層に対する認識を色から粒径の大きさに焦点化する。

※6粒径の違いにより層に分かれて見えることを、理解させるために、土砂をふるいにより分別する方法を説明する。

※7小麦粉粘土で、野外観察の現場を再現させることで、モデルと実物をリンクさせ空間認識の補助とする。

アスファルトの下の地面は、どうなっているのだろうか①

・石や砂があるよ。 ・岩があると思うな。 ・工事現場で見たら・ 色が違う土があるかな。 ・砂利がある。 柔らかそうな土だったよ。

・すぐ足下のことなのによくわからないね。

学校の南側にある崖を観察しよう ※ 1

・小石が横に並んでいるよ。 ・小石がつもっているのかな。 ・小石の間には砂もあるぞ。・丸みがあるから、河原の石みたい。 ・平べったい石が同じように重ねっている。

・松葉小学校の付近は、昔、河原だったのかな。・他の場所でも崖を見てみたいな。 ・どこでも小石が出てるのかな?

豊橋公園で野外観察をしよう②③ ※ 2 ※ 3 ※ 4

・きれいなしま模様になっているね。 ・離れたところで見たしま模様と・やっぱり小石のしま模様があるぞ。 つながっているのかな。

・砂の層みたいなところもあるよ。・ここは、土の層かな。 ・この層は、どこまで広がっているのかな。

・でも・・・ ・黒い線のようなしま模様があるよ。どうしてこんなしま模様になっているのかな。 ・一続きのしま模様を発見したいな。

・しま模様は、表面だけではなくてずっと地面の下に広がっていそうだよ。

・サンプルをもって帰ろう。・層の特徴を記録しておこう。

層の色は? 粒の大きさは? ・層の厚みも計測しておこう。・しま模様は、何からできているのかな? ・サンプルをよく観察してみよう。

・ 手触りは? 色は? 粒の大きさは? 小石の様子は?

※8二つの疑問を解き明かしていくために、児童の活動時間を十分確保する。

※9実物の地層とアクリパイプ内の層を比較して、層の順序を確認するために、観察露頭の画像を提示する。

※ 10 沈む速さを比較しその速さの違いに気づくように、粒径が大きく異なる土砂を用意する。

アクリルパイプで実験しよう ⑧⑨泥 砂 礫※ 8 ※ 9 ※ 10

・土砂を混ぜて入れてみたらどうなるのか? ・粒の大きさで

どんな違いがあるのかな?・別々に観察してみよう。

・下から順に礫の層、砂の層、泥の層になるよ。 ・泥は、いつまでも沈まないね。

・何回やってもこの順は変わらないよ。 ・礫は、速く沈んでいくよ。・粒の大きい方が速く沈み、 ・粒の大きさによって

粒の小さい方が遅く沈むのかな。 沈む速さが違うぞ。・くり返し土砂を入れると

地層になるよ。 実験結果を伝え合おう ⑩・水の中だ。粒の大きいのが下になるよ。

・でも・・・ ・粒の大きさで沈む速度が違うよね。いつも同じ順番にしかつもらないよ。 ・豊橋公園の地層みたいな順番にならねいね。

・小石には丸みがあって河原の石と似ていた。・流れのある川でできたのかな?海?湖?

Page 3: 大地を探る Part ~大地のでき方を発見しよう~小麦粉粘土で層を再現しよう ⑥※7 ・粘土で崖を再現すれば 黒い層の広がりがわかるかも…。

大地を探る Part Ⅱ~大地の変化をとらえよう 火山と地震~

大地の歴史について調べよう ⑯⑰⑱ ※ 16 ※ 17 ※ 18 ※ 19

堆積岩の観察を観察しよう 化石の観察をしよう・岩石をよく見ると粒々が見えるよ。

・堆積岩っていうのかぁ。 化石発掘体験・土や砂の層も長い年月が経つと石になるんだね。 ・泥の層を割ると貝の化石が出てくるよ。

・地層には化石が含まれているんだ!!火山灰の堆積について 地層の変化を知ろう 標本の海洋性化石

・しま模様がない崖があるよ。 ・層がずれたり ・化石には、海の生物が多いよ。・火山灰が一度につもってできたんだ 曲がっていたりするよ。・アンモナイトは海に生きていたから

・火山灰がくり返しつもれば ・大地に力が加わり 地層は海でつもったんだ。層になるんだね。 断層や褶曲ができるんだ。・海でつもるから

・火山灰の粒はどうなっているのかな? 大きな広がりになるんだね。火山灰を見てみよう・とてもきれいな結晶が見えるよ。

・ 長い年月をかけて 火山活動 ・ 海の生物の化石がよく見つかるよ。くり返し土砂や火山灰が堆積して 地震活動とは? 地層は、海で土砂が堆積することで

地層ができて来たんだね。 大きな広がりをもつ層になるんだね。

海でできる地層を再現しよう ※ 13

・水槽(DVD ボックス)が海だね。 ・山の方から土砂が流れてくるよね。・水槽の中の傾斜が海底を表しているよ。 ・泥、砂、礫を混ぜたものを流そう。

・河川と海はつながっているから雨樋と水面は接するようにしよう。 ・雨樋が河川だ。

・だから雨樋の傾斜は変えないことにしよう。・くり返し土砂を堆積させないとね。

土砂のつもり方を、予想しよう ⑫ ※ 14(垂直方向に注目) 《1 回の流し込み》 (水平方向に注目)

・速く沈むが小石が ・流れる水の勢いで一番下につもるよ。 泥は遠くに運ばれる。

泥 ・流れる水の影響を考えているかな?砂 ・流れる水の勢いで ・泥と砂の重なりは礫 ・土は沈むのが遅い 斜面を小石は転がるはず。 どうなるかな?

から上につもるね。 ・洪水のときに土砂が運ばれるから 泥 砂 礫強い水流があるはずだぞ?。 ・小石はすぐに沈ずむから

手前にたまると思うよ。水槽に、どのように土砂はつもるのだろうか ⑬本時

【泥の堆積】 【砂の堆積】 【礫の堆積】・簡単に流れていったよ。 ・水槽の半分ぐらいまで ・水槽に入って・一番遠くのところに 運ばれて底に沈んだね。 すぐその場に沈んだ。

うすく泥の層ができているよ。 ・礫と砂が重ねって沈む・遠いとところは泥だけだ。 距離もありそうだね。

地層をつくろう ⑭ 砂粒でつくる・土砂を流し込むとどうなるんだろう。楽しみだね。 立体モデル・モデル通りになったよ。 ・でも、層が重なっていないよ。・何度も流し込めば地層にならないかな?

デジタルコンテンツを見よう ⑮ ※ 15・地層のでき方には、陸地の隆起・沈降や海面の上昇・下降が関係あるんだね。

砂場で川を再現しよう ⑪※ 11 ※ 12

・礫、砂、泥の混ざったものが海に運ばれるよ。

・土砂が運ばれるのは、大雨や洪水のときだね。

・川で大地が削られて、・海に土砂がつもるんだね。 流されてくる小石も削られて丸くなるんだね。

・いろいろな大きさの粒が運ばれているよ。

豊橋公園付近の地層をボーリング資料から想像しよう ⑲ ※ 20

・柱状図を見ると、上から順に、礫層、砂質層、礫層となっているね。・豊城中学校の下も、その順に地層が重なっているぞ。・柱状図をもとに、地層の断面図を描いてみよう。

まとめ

大地の歴史(広げる)

地層のでき方(深める)

【※教師支援】

※ 11 底の浅い水槽に水をはり、土砂が堆積する様子を観察できるように砂山をつくる。また、浸食、運搬、堆積の過程を広域で捉えられるように助言する。

※ 12 洪水時に大量の土砂が運ばれることに気づくように、水流の勢いを変化させる。

※ 13 水槽と雨樋が海と河川に当たることを確認し、堆積実験を行う。また、泥と砂の堆積場所が分かれるように、DVD ボックスをつなげて作成した細長い水槽を使用する。

※ 14 水流による運搬を意識させるために水平方向の矢印と、沈降速度の違いによる堆積を意識させるために垂直方向の矢印を活用する。

※ 15 堆積実験の結果を踏まえ、子どもの地層のでき方に対する概念を固定するためにデジタルコンテンツを活用する。http://www.kobe-c.ed.jp/digicont/rika/RC040018_9/index.htmlhttp://www.saga-ed.jp/kenkyu/kenkyu_chousa/h16/11syojyouho/contents/student.htm

※ 16 化石を実際に自分の手で発掘させるために、貝化石を含む層を事前に採取しておく。

※ 17 大地の歴史の長さを実感するために、岩石標本と化石標本を提示する。

※ 18 火山灰のくり返しの堆積でも層ができること確認するために、写真を提示する。火山灰が堆積岩の粒子と違うこと理解するために火山灰の観察を行う。

※ 19 断層や褶曲の成り立ちを理解するために、ウレタンモデルを活用する。

※ 20 豊橋公園付近の地層の広がりを捉えるために、ボーリング資料及び柱状図を提示する。

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5 本時の指導(1)目 標

泥・砂・礫を別々に水槽へ流し込み比較する実験を通して、流れる水のはたらきによってどのように土砂が堆積するかについて、自分の考えを深めることができる。 【科学的な思考】(2)本時にあたって

子どもたちは、地層のでき方を発見するために「水のはたらき」に着目して実験をくり返してきた。水のはたらきにより、粒径の大きなものほど下に堆積することに気づき、粒径が異なれば沈降速度も違ってくることを確かめている。また、地層の広がりは、洪水時に河川によって多量の土砂が海に運ばれ、海底に堆積することで生成されるであろうと仮説を立てることができた。

本時では、「流れる水のはたらき」と土砂の堆積の関係を、推論する力を発揮して、自分の考えを深めていくことがねらいである。前時では、水槽への堆積予想図を作成し、流れる水のはたらきによりどのように土砂が堆積するか、互いの考えを伝え合う場をつくった。子どもたちは、クラスの仲間の意見を参考に、自分の予想をふり返りを図り、本時をむかえている。

子どもたちの予想を変容させるために、粒径の違いにより、水平方向に堆積位置が異なることを確かめさせたい。そこで、細長い水槽(全長約 80 ㎝)を製作し、海での堆積に近似する状況を再現できるように工夫した。また、泥・砂・礫を別々に水槽に流し込む実験を行い、堆積位置に違いが出ることを比較できる活動を設定した。3種類の砂粒を、泥・砂・礫に見立て、実験を根拠とした堆積立体モデルをつくることで、堆積への推論を深めていきたいと考えている。

次の授業時間に土砂を混合し堆積実験を予定しているわけであるが、実際に、混合物を水槽に堆積させると、水平方向に堆積位置が異なることを認識できる。しかし、堆積概念の形成がされていない子どもたちにとって、その事実を観察により理解することは難しい。そのため、本時では、泥・砂・礫を別々に水槽に流し込む実験を行い、粒径の違いによる特徴を捉えることが必要不可欠である。その特徴を知ることで、見かけが判然としない混合物の堆積を分析する目が養われ、より理解が深まるはずである。(3)準 備

教師:【実験水槽 雨樋 堆積物(泥・砂・礫) プラスチックコップ バケツ】×7班【透明パック 色つきの砂 3 種 デジタルカメラ】×7班

子ども:水槽への堆積予想図(画用紙で作成)

【参考資料】

水槽の全景(長さ約 80 ㎝) 雨樋の設置位置

泥の堆積位置 砂の堆積位置 礫(小石)の堆積位置

水位

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(4)本時の展開

時間 活 動 内 容 ※教師の支援・留意点 ◎評 価

水槽の中で、土砂はどのようにつもるだろうか

予想をふり返ろう下から礫→砂→泥 泥が遠くまで

層が広がる 運ばれる。 ※各予想図の特徴を代表の子どもに簡単

に 紹介させる。粒が大きい 礫はすぐ沈む。礫が下になる。 もし礫だけ流したら、どうつもるかな?

※考えの違い・水流の勢いで端まで ・礫は広がって ・すぐ手前に を明確にする

運ばれるよ。 つもるよ。 礫は沈んでつもるはず。 ため、礫に焦・礫→砂→泥の順に ・地層は広がって ・粒の大きさによって 点を当てる。

つもるはずだから…。 できるよね。 堆積する場所が変化するよ。

5 泥、砂、礫を別々に流し込んだ方がわかりやすいよね。 ※粒径の違いによる堆積の違いを捉える

泥・砂・礫を別々に水槽へ流し込んで確かめよう ために、別々に流し込む実験を行う。

・流し込む水の勢いは、変えないようにしよう。【泥の堆積】 【砂の堆積】 【礫の堆積】

・簡単に流れていったよ。 ・砂が流れ込んでも水は ・礫の流されるスピードが・水が濁ってしまった。 あまり濁らないね。 遅いね。

・一番遠いところに ・水槽の半分ぐらいまで ・水槽に入ってすぐその場に薄く泥の層ができているよ。 運ばれて、底に沈んだ。 沈んでしまったよ。

・砂の上に、泥がつもる ・砂と礫が重なる距離もありそう。場所もありそうだな。 ・礫は、遠くまで運ばれそうもない。

・一番遠いところは泥だけつもるぞ。・泥、砂、礫が混ざって流れたら本当はどうなるのかな?

15 土砂のつもり方を立体的に考えよう ※色で識別しやすい 3 種の砂で作成した立体的なモデルを撮影

・色つきの砂をどう重ねていけばいいかな? させるために、デジタルカメラ・泥を表す砂は、砂の堆積場所の上にも重ねよう。 を用意する。・礫の粒は手前に。次は砂を表す粒をつもらせよう。※根拠の伴う説明を付箋に書き・手前から、徐々に堆積の様子が変化するかも… 込むように指示する。

◎実験結果から推論し、土砂の30 できた立体モデルを発表しよう 堆積について論理的に立体モデ

粒の大きさによって ルをつくることができたか。河口からの沈む距離がちがってくる。

礫は流される速さ流れる水の勢いで 粒の大きさで沈む が遅く、水槽に入泥は遠くまで運ば 速さが違うから、 りすぐに沈んだ。れて沈んだ。 砂の上には泥が重水が濁る。 なる部分もある。

礫の隙間には、泥礫の上には砂が や砂が入り込むは

泥は全体に広がる つもるところも ずだ。実際の地層ようにうすくつも ある。 もそうだった。るよ。

感想を書こう45

※デジタルカメラと OHC をプロジェクターに接続し、各班が作成した立体モデルの画像をスクリーンに出力する。※根拠や理由が伴わない発言に対して、その根拠を問う投げかけをする。

◎ 流れる水のはたらきと粒の大きさを関連づけて考え、土砂の堆積について説明できたか。