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木下 順久 先生 豊橋ハートセンター  循環器内科 部長 術者 当院においては、経験則から拡張不十分病変(STENT、 石灰化)には、Non-compliant balloon の中でも特に Compliance が低く、拡張時に横方向にも伸びにくい Pantera LEO を使用する機会が多い。本レポートでは Pantera LEO の拡張力の強さが示唆される症例を経験し たので報告する。 はじめに 年齢:61 歳 性別:女性 診断名: 危険因子: 現 病 歴:2014 年 6 月 27 日 に 留 置 し た Xience Xpedition 2.5/38mm の初回 ISR に対しDCB 施行後の ISR(Fig. 1-a, 1-b)。 患者背景 CASE 1 Fig. 1-a Fig. 1-b 主な使用システム Balloon catheter : Pantera LEO 4.0/12mm (Japan Lifeline) Cutting balloon : FlextomeBoston Scientific JapanDCB : Sequent Please 4.0/20mm (NIPRO) Coronary Marketing Report Vol.62 Pantera LEOの拡張力の有用性

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Page 1: 【NEW】Coro 62 豊橋ハート Dr木下 160311œ¨下 順久 先生 豊橋ハートセンター 循環器内科 部長 術者 当院においては、経験則から拡張不十分病変(STENT、

木下 順久 先生豊橋ハートセンター 循環器内科 部長

術者

当院においては、経験則から拡張不十分病変(STENT、石灰化)には、Non-compliant balloon の中でも特にCompliance が低く、拡張時に横方向にも伸びにくいPantera LEO を使用する機会が多い。本レポートではPantera LEO の拡張力の強さが示唆される症例を経験したので報告する。

はじめに

年齢:61歳 性別:女性診断名:危険因子:現 病 歴:2014 年 6 月 27 日 に 留 置した Xience Xpedition 2.5/38mmの初回 ISR に対しDCB施行後の ISR(Fig. 1-a, 1-b)。

患者背景

CASE 1

Fig. 1-a Fig. 1-b

主な使用システム

Balloon catheter : Pantera LEO 4.0/12mm (Japan Lifeline)

Cutting balloon : Flextome(Boston Scientifi c Japan)

DCB : Sequent Please 4.0/20mm (NIPRO)

Coronary Marketing Report Vol.62

Pantera LEOの拡張力の有用性

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Coronary Marketing Report Vol.62

Fig. 2

Fig. 3-a

Fig. 4

Fig. 3-b

DCB施行後のXience Xpedition 2.5/38mmの拡張不十分が原因と考えられる ISR。病変性状は Baseline IVUS からMLD は Stent 径 4.22 × 3.91mm、内径 2.18 × 1.49mmで Stent 内に全周性の石灰化を認め、また、同部位にはStent Fractureも認められ、拡張に難渋することが予想された(Fig. 2, Fig. 3-a, 3-b)。まずは、Cutting balloon 3.75mmにて18気圧から20気圧で拡張(Fig. 4)。

手技内容

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Fig. 7Fig. 6

さらに Pantera LEO 4.0/12mmで 16気圧、20気圧と連続で拡張するが一部 indentation が解除できず(Fig. 5-a, 5-b, Fig. 6)同balloonで 16気圧 3回拡張したところindentation 解除に成功(Fig. 7)。

Fig. 5-a Fig. 5-b

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2016-03-odp-01-s00568

[企画・発行]

〒 140-0002 東京都品川区東品川二丁目 2番 20号 天王洲郵船ビルTVI 事業部 TEL.03-6711-5232http://www.jll.co.jp

Coronary Marketing Report Vol.62

1992年 島根医科大学(現 ・島根大学)卒業1992年 島根医科大学(現 ・島根大学)医学部 第四内科 入局1996年 国立療養所豊橋東病院1998年 周南高原温泉病院1999年 松江市立病院 2005年 豊橋ハートセンター

本症例は、全周性に近い石灰化とStent Fractureを伴う病変であったため拡張困難が予想されたが、Pantera LEOを使用し期待どおりの病変拡張に成功した。その要因の一つとして、Pantera LEOの balloon 特性があげられる。Pantera LEOはフラットな compliance 設計のため高い加圧によるNominal balloon 径(そもそもの Balloon Size 径)の拡大の影響を受けにくく、且つ、balloon 有効長の伸長も殆ど無いため必要以上の圧をかけなくとも拡張力が効率的に血管壁に伝達されたと推察する。このように精度の高い拡張コントロールができるPantera LEO は、石灰化を伴うLesion modification(Stent 留置前)とStent 留置後の高圧拡張の際の病変および病変近位部血管への損傷の予防に対して有用性と安全性を備えたNon-compliant-balloonであると考える。

最後に石灰化病変を安全にPOBAするうえで、市販されている各メーカーのNon-compliant balloon の特性を知っておいていただきたい。最近市販されているNon-compliant balloon は、balloon 部分に Semi-compliant の様な柔軟性を持たせた通過性重視の設計になっているモデルが少なくない。それらの balloon 特性は正確にはNon-compliant ではなくLow-compliant である。そのため拡張力は多少なりとも犠牲になっていると推測される。当然、Balloon catheter のデリバリーに難渋する症例においてはこのような通過性重視のNon-compliant-Balloonを選択するが、注意すべき点は柔軟性があるが故に一定の径とballoon 有効長の伸長があることを念頭に入れておくことである。病変が拡がらないからといってその特性を知らず、必要以上に高圧をかけてしまい血管損傷を誘起することは避けるべきである。

考察・まとめ

木下 順久 先生豊橋ハートセンター 循環器内科 部長

PROFILE

Sequent Please4.0/20mmを12気圧で 1分間拡張し薬剤塗布した。最終造影で良好な血流を確認し手技を終了(Fig. 8, 9)。

販売名 : パンテラ・レオ PTCAバルーンカテーテル承認番号 : 22500BZX00314000製造販売業者 : バイオトロニックジャパン株式会社販売業者 : 日本ライフライン株式会社

Fig. 8 Fig. 9