microsoft word - 糖鎖生物学 総説
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2012 年 09 月 14 日(17:30~19:00)
STEMCELL SEMINAR #71
講演:Dr.Alexandru Radu Aricescu
University of Oxford, MRC Career Development Award Fellow and PI.
"Proteoglycan-specific control of receptor oligomerization and neuronal extension"
■今回は生理学教室セミナ-と G-COE プログラムの合同セミナーということで、プロテオグリカ
ンと神経・軸索再生に特化した話であった。演者は Oxford 大学で神経細胞学を構造生物学の
観点から長年研究して 2011 年には Science にも論文が掲載された、structure biology では著
名な研究者のひとりである。
■レポートでは糖鎖生物学全般から PNH、MS など糖鎖タンパク、脂質の異常によって発症する
と考えられている疾患について考察を交えつつ、最終的に、最近 Publish された受容体型チロ
シンホスファターゼ RPTPσに関する演者の論文の中で最もインパクトのある Science 誌の論文
を読んでセミナ-のまとめをしていきたいと思う。実際にセミナーでは”The more, the merrier”
(多ければ多いほど楽しい)という英語の諺をタイトルにして受容体型チロシンキナーゼである
HER2/3、JAK2の重合(dimerization)がシグナル伝達をON/OFFにする上で如何に大切である
かを冒頭で強調していた。実際に T 細胞では T cell receptor (TCR)に結合する形で ICAM-1 や
CD45 が複合体を形成することや、癌幹細胞では EpCAM と CD98hc、CD147、CD44v6 が結合
することで中性アミノ酸トランスポーターである xCT、ASCT2、LAT1 などの細胞膜へのリクルー
トがなされる。また、Ephrin(エフリン:リガンド)と Eph(受容体)を紹介してシグナル伝達が一方
向性ではなく bi-directional であることを強調していた。
[ 詳述メモ: ephrin と Eph について]
ephrinとEphはそれぞれリガンド、チロシンキナーゼ型受容体であり、それぞれ破骨細胞と骨芽
細胞に発現を認める。破骨細胞に発現している ephrinB2 と骨芽細胞に発現している EphB4 が
相互作用すると、破骨細胞の分化抑制と骨芽細胞の分化促進が起きる。ephrinB2 の発現は破
骨細胞分化に伴いNFAT1c依存性に緩やかに発現誘導され、多核な成熟破骨細胞に分化する
と最高になる一方で、受容体であるEphB4は未分化な骨芽細胞でも恒常的に発現している。ま
た逆に、ephrinA2 と Eph2 の相互作用では、破骨細胞分化の活性化というシグナルと、骨芽細
胞分化の抑制というシグナルが誘導されて、ephrin-Eph 相互作用は bidirectional signals を呈し
ていると考えられる。分化した破骨細胞はカルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)などのホルモ
ンや他のサイトカインによって活性化されるが、約 3 週間程度でアポトーシスを起こす。一方で
骨芽細胞は、破骨細胞による骨吸収の過程で発生するハイドロキシアパタイトに代表されるよ
うな骨マトリックスなどで活性化されて、約 3 ヶ月間のスパンで turnover していると考えられる。
【序説】
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=糖鎖生物学と神経細胞について=
糖鎖はプロテオグリカン、糖タンパク質、糖脂質の形で複合糖質として生体内で存在しており、
タンパク質や脂質と結合して機能すると言われている。プロテオグリカンはコアとなるタンパク
質に 2 つの糖から成るリピート構造によって、長い鎖の糖鎖を呈している点が特徴的であり、細
胞外マトリックス(ECM)の主成分の一つとして組織普遍的に発現している。プロテオグリカンの
糖鎖付加は翻訳後修飾によってもたらされ、ゴルジ体(Golgi apparatus)で生成され細胞外へと
分泌される。背髄損傷を起こした際に、リピート構造である CS(コンドロイチン硫酸)鎖を分解す
る酵素であるコンドロイチナーゼ(CSase)を投与することによって、損傷神経の再生が劇的に誘
発されて、損傷後の麻痺から回復する。ゆえに、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)は
一般的に神経可塑性や軸索再生を阻害する物理的障壁であると認識されている。
糖タンパク質は、数種類の単糖がプロテオグリカンで認められるようなリピート構造を持たずに
直接的にタンパク質と結合しており、生体内のタンパク質の 60-70%を占めている。糖タンパク
質の糖鎖は、アミノ酸のアスパラギン酸に結合している N 結合型と、セリンやスレオニンに結合
するО結合型糖鎖とに大別される。
【Glycobiology を臨床的観点から考える】
=CD44 と Glycobiology=
われわれの研究室で注目している癌幹細胞のマーカーでもある糖タンパク質である CD44 は、
N 結合糖鎖部位・O 結合糖鎖部位・コンドロイチン硫酸結合部位を複数有しており、糖鎖に富む
構造を呈する。細胞膜貫通部付近の細胞内部分にはリン酸化されるセリン残基があり、アンキ
リンを介してアクチンと結合することで Rho ファミリ-と協調して細胞運動、癌細胞の運動能、浸
潤能を促進する。一方で、糖脂質はスフィンゴ糖脂質とグリセロ糖脂質に分類されている。例え
ば、ガングリオシドは、脳の灰白質(神経細胞体)に最も多く含まれているが、神経細胞の修復
(ニューロン軸索突起の伸長)や神経細胞の分化・増殖に対するレセプター機能を発揮する。
=学習記憶とプロテオグリカン=
プロテオグリカンを構成するコアタンパク質であるアグリカン、ニューロカン、バーシカン、ブレ
ビカンは、ヒアルロン酸分子との結合に必要なヒアルロン酸結合ドメインを有している。神経幹
細胞が存在する脳室下帯(subventricular zone; SVZ)ではコンドロイチン硫酸プロテオグリカン
(CSPGs) が豊富に発現している(J Biol Chem. 2006;281:5982-91.)。すべてのアグリカン/ レク
チカン/ ヒアレクタン(プロテオグリカン)がヒアルロン酸と結合することが可能であるという事実
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は、ヒアルロン酸が神経幹細胞のニッチとして重要な役割を果たしている可能性を強く支持す
る。ヒアルロン酸がプロテオグリカンの活性を介してヒアルロン酸受容体と結合することで、シ
グナル伝達を活性化して神経幹細胞を G0 期に閉じ込める(Dormancy induction)ことによって、
ステムニスの維持を誘導している可能性が高い。実際に CD44 ノックアウトマウスはストレスを
与えると抑欝傾向を示す精神行動を呈するが、CD44-/-マウスの海馬では学習・記憶の障害が
認められる。中枢神経内の損傷領域に侵入する神経前駆細胞は ECM を分解するヒアルロニダ
ーゼを発現しており、このヒアルロニダーゼ活性の産物が、前駆細胞の増殖と成熟を促すとい
う所見も報告されている。コンドロイチン硫酸プロテオグリカンをあらかじめ塗布したディッシュ
の上で神経細胞を培養すると、神経突起はコンドロイチン硫酸プロテオグリカンが存在する領
域を避けるようにして伸長することから、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンは神経突起伸長
阻害因子として機能すると考えられている。いずれにせよ神経幹細胞/前駆細胞で発現する
CD44 と ECM(perineuronal net;コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ヒアルロン酸、テネイシン
などの細胞外基質成分によるシナプスを取り囲むような分子複合体)との相互作用が神経可塑
性やニューロンネットワークの構築に重要であることは間違いないなさそうである。
≪≪≪≪Short Summary1Short Summary1Short Summary1Short Summary1≫≫≫≫
ヒアルロン酸はプロテオグリカンを介して神経幹細胞と神経前駆細胞のステムニスに影響す
る。
≪≪≪≪Advanced Memo1Advanced Memo1Advanced Memo1Advanced Memo1≫≫≫≫
多発性硬化症(MS; mutiple scelrosis)のモデルマウスである自己免疫性脳脊髄炎マウスにお
いて、ヒアルロン酸が慢性的な脱髄部位に集積することが知られている。脱髄部位でのヒアル
ロン酸の集積は、ミエリンに特異的なプロモーターの制御下でヒアルロン酸の受容体の一つで
ある CD44 を異所性に発現している神経細胞に認められる。逆に、ミエリン鞘が傷害されて脱髄
を呈している部位では、局所的なヒアルロン酸濃度が高く、再ミエリン化されている部位ではヒ
アルロン酸の濃度が低いことが分かっている(J Intern Med. 1997;242:27-33.)。この事実は、
CD44 のうち特にヒアルロン酸との親和性が高いとされているのは、スタンダードフォーム
(CD44s)であり、『異所性発現 CD44s-ヒアルロン酸』の相互作用が時間空間的な増悪を呈する
MS の病態に関与していることを示唆していると考えられる。CD44s とは、選択的スプライシング
で可逆性エクソンが挿入されないアイソフォームである。糖鎖修飾を受けて SDS-PAGE で
85kDa 付近に出現するアイソフォームで間葉系細胞で predominant に発現している。
※多発性硬化症について※※多発性硬化症について※※多発性硬化症について※※多発性硬化症について※
中枢神経の炎症性疾患で再発と寛解を反復し、細胞傷害性T細胞によって引き起こされ、標的
抗原はミエリンなどの髄鞘構成タンパク質と考えられている。MS では発病時から神経細胞の変
性も認められるので、早期診断と早期治療が重要である。最初の脱髄病変によると思われるエ
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ピソードを clinically isolated syndrome(CIS)と呼ぶ。標準的な治療法は、インターフェロンβ、
ステロイド投与や血漿交換療法などが挙げられる。natalizumab などの分子標的薬の適応も注
目されているが、免疫低下によって腎臓に潜伏している JC virus が活性化して進行性多巣性
白質脳症(Progressive Multifocal Leukoencephalopathy;PML)を発症するという重篤な副作用も、
New England Journal of Medicine で報告されて以来、危険視されている薬剤である。
=血液腫瘍性疾患である発作性夜間血色素尿症(PNH)と Glycobiology=
また、発作性夜間血色素尿症(PNH)は多能性造血幹細胞に後天的に生じた PIG-A 遺伝子の
突然変異によって、glycosylphosphatidylinositol(GPI)アンカー蛋白が欠損した血球が作られる
ため慢性的に血管内溶血、汎血球減少をきたす疾患である。GPIアンカータンパクであるPIG-A
は、ホスファチジルイノシトールにグルコサミン、マンノース、エタノールアミンリン酸が結合した
糖脂質の一種である。PNH の病態生理や新規治療薬(抗 C5 モノクローナル抗体)に関して
Duke 大学の西村純一先生や PNH の世界的第一人者として知られている Rosse 博士の論文を
学生時代に拝読した際に、まとめた考察を再度ここで「糖タンパク質異常病」として述べたいと
思う。PNH 細胞の存在に着目して従来の AA,MDS,PNH(骨髄造血幹細胞の遺伝子変異により汎
血球減少を来たす疾患群)を bone marrow failure syndrome と提唱することで、IST 奏功率をク
リアカットに分類していることは驚きに値する。
現段階で判明している PNH の発症機構は
①PIG-A 遺伝子の体細胞突然変異を有する造血幹細胞が発生する
②骨髄中 cytokine による免疫機構から PNH 細胞が escape する
③12 番染色体遺伝子 HGMA2 変異などの細胞増殖に有利な遺伝子変異が PNH 細胞に付加的
に発生し骨髄中で dominant になる
以上の 3 段階からなると認識されているが不明な点も多い。
PNH is a clonal disorder due to PIG-A gene mutation, resulting in deficient expression of
CD55, 59 (GPI-anchored-proteins). The expansion of the PGI-A negative clone is the
consequence of somatic cell selection resulting from the presence of autoreactive T-cells
directed against GPI-anchored-proteins. In aplastic anemia, a disease closely related to PNH,
over-expression of Th1 cytokines (TNF,α IFNγ, IL-2) lead the dynamic damage to bone
marrow. PIG-A(-) clones are more resistant to Th1 cytokines than PIG-A(+), besides,
PIG-A(+) clones in PNH patients express Fas ligand, leading to apoptosis.
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How is paraxysmal nocturenal hemoglobinuria (PNH) composed dominantly of cells lacking
GPI-anchoring proteins? PNH is one of the disorders of hematopietic cells, which do not have
GPI-anchoring proteins. All the lineages of blood cells, including platelets and white blood cells,
are lacking GPI-anchoring proteins. This has been demonstrated that mutation of PIG-A
(phosphatidylinositol glycan class-A) is responsible for the missing of GPI-anchoring proteins.
However, only PIG-A mutation cannot lead most of the cells in the bone marrow to lack
GPI-anchoring cells. This suggests another mechanism lies in this disorder.
さらに加えて、日本人が発症する PNH 亜型では AA(再生不良性貧血)に移行しやすい骨髄不
全型が多く、また PNH 型血球陽性 MDS、AA では CyA+ATG 投与(IST 療法)の効果が高いとい
うコンセンサスがある。
⇒ ここで腫瘍学的に興味深い疑問点がいくつかある。
Ⅰ.PIG-A 変異により補体制御因子 CD55,CD59 が欠損すると教科書的には書かれているが、
高感度 flow cytometry では部分欠損型(PNH 細胞タイプⅡ)、完全欠損型(PNH 細胞タイプⅢ)
の2種類があり変異細胞集団だけに着目してもheterogenousである。一方で、PNHの症状は多
彩でヘモグロビン尿・血栓症など血管内溶血・腎不全を前面に出す症例群と、脂肪髄で造血不
全を前面に出す症例群の二面性を有する。部分欠損型(PNH 細胞タイプⅡ)、完全欠損型(PNH
細胞タイプⅢ)の割合とその後の AA-PNH 発症相関を調べた論文が PubMed で見つからず想像
の域を脱さないが、PNH の genotype-phenotype 非相関は①での細胞分布で説明できる可能性
があるのだろうか?
Ⅱ.ATG が 91%という高確率で奏功する PNH 細胞陽性 AA-PNH の骨髄でさえも PNH 型血球
割合のカットオフはせいぜい 0.005%である。AA に移行する PNH 群と PNH 型血球の割合が多
い群とは一致するが、それでも非常に微小な割合で骨髄中に存在しており、それが ATG 応答
性に大きく寄与している。仮説として「ATG に暴露された PNH 型細胞は特殊な cytokine を BM
中に放出し他の非 PNH 型血球に影響を与える」と考えられるのではないだろうか?
Ⅲ.PNH が AA に移行する場合まず血小板が減少するためにしばしば臨床の現場では ITP と誤
診される傾向にある。造血幹細胞が somatic mutation of PIG-A gene を起こしているわけで、3
血球系統の分化成熟速度の違いを考慮したとしても、AA 移行初期の段階で WBC,RBC 数が
spare されるのはとても不思議な現象である。
ProteoglycanProteoglycanProteoglycanProteoglycan----specific molecular switch for RPTPspecific molecular switch for RPTPspecific molecular switch for RPTPspecific molecular switch for RPTPσσσσ clustering and neuronal extension.clustering and neuronal extension.clustering and neuronal extension.clustering and neuronal extension.
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Science 2011;332:484Science 2011;332:484Science 2011;332:484Science 2011;332:484----488.488.488.488.
【演者の 2011 年サイエンスの論文から・・・】
ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸(Heparan and chondroitin sulfate proteoglycans ; HSPGs
and CSPGs)は互いに相反するシグナル伝達を細胞膜で誘導する。コンドロイチン硫酸は受容
体型チロシンホスファターゼである RPTPσ(receptor protein tyrosine phosphatase sigma)を
介して神経再生を抑制することとは対照的に、ヘパラン硫酸は神経再生を促す方向に働く。受
容体型チロシンホスファターゼ RPTPσの感覚性ニューロンの軸索伸長に対する影響には 2 面
性がある。コンドロイチン硫酸とチロシンホスファターゼRPTPσは神経細胞のin vitroでの培養
条件で細胞内において班点状に共局在しており、細胞外の ECM においてヘパラン硫酸が豊富
に含まれている(Proteoglycan-specific molecular switch for RPTPσ clustering and neuronal
extension. Science 2011;332:484-488.)。Figure2 で彼らはプロテオグリカンが RPTPσと結合
す るド メ インを同 定す るべ く 、RPTPσ タン パク質 の立体 構造 を明ら かに し ている 。
glycosaminoglycan(グリコサミノグリカン)によって C-D (“Lys”) loop (residues K67-F77)の
conformational plasticity(立体構造の可逆的変化)が誘引されて、4 量体などの重合体を形成
する RPTPσの構造生物学を明らかにしている Figure3 の基盤となるデータと言える。
実際に、CSPG と HSPG とはお互いに拮抗する形で、セマフォリン依存的な軸索伸長に寄与し
ており、その背景には CSPG と HSPG とが CAG 鎖の chemical composition が異なることが主た
る原因であると考えられている。へパラン硫酸ではコンドロイチン硫酸と対照的に islands of
high sulfation が 存在することが結果的 に、Tyrosine phosphatase である RPTPσの
conformational change (packing and formation of oligodimer)に関連している。
★注釈★
●RPTP ノックアウトマウスでは CSPG や HSPG に対する軸索成長やその伸長方向性における
応答性が消失する。
●CSPG(Kd=21nM):Neurocan、HSPG(Kd=10.5nM):Glypican2
・・・進化学的に保存された Glypican-binding domain ゆえに幅広い CAG を認識して結合するこ
とが可能である。
≪≪≪≪Short Summary2Short Summary2Short Summary2Short Summary2≫≫≫≫
Proteoglycans can exert opposing effects on neuronal extension by competing to control the
oligomerization of a common receptor. Opposing HSPG and CSPG effects have been reported
in semaphorin-mediated axon guidance.
≪≪≪≪Advanced Memo2Advanced Memo2Advanced Memo2Advanced Memo2≫≫≫≫
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CSPG:HSPG ratio(コンドロイチン硫酸:ヘパラン硫酸)の存在量の割合が軸索再生、伸長を促
進するチロシンホスファターゼ RPTPσの重合化を規定するので、CSPG:HSPG ratio の制御は
神経変性疾患や神経再生医療において臨床応用が期待されると思われる。実際に脊髄損傷を
負った患者では損傷部位のグリア瘢痕部位で CSPG が蓄積しており、神経軸索再生を抑制して
いる可能性が考えられる。