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ImageJ を使った画像解析実習 2値化・領域抽出
第185回農林交流センターワークショップ 「 植物科学・作物育種におけるフェノーム解析 - はじめて画像解析を行う研究者のための入門実習 - 」
2014-10-03 9:15-10:30 (実習75分)
朽名 夏麿1,2,湖城 恵1,2 ,林 世莉3 ,相阪 有理2 1.東京大学, 2. エルピクセル(株),3. 東京理科大学
基本画面とメニューの構成
ImageJ のメニュー と 画像解析の流れ
大雑把な流れ
cf. 実験のプロトコル,料理のレシピ
画像処理1 画像処理2…
ImageJ の基本画面 ← メニューバー ← ツールバー ← ステータスバー
← 画像ウインドウ
http://rsb.info.nih.gov/ij/docs/tools.html
ツールバー
赤い三角形の付く アイコンは右クリック で機能切り替え可.
赤い線: 頻用するもの. 青い線: selection (ROI).
← 画像タイトル 画像情報(サイズ等)
タバコBY-2 液胞膜
File メニュー: ファイルの読み込み・書き込み等
New: 新規作成. System Clipboard で他アプリから画像の ペーストができる. Open...: 画像ファイル等を開く. Import: 各種フォーマットのファイルを開く. Save: 画像ウインドウの内容をファイルに 保存する. ※ 保存するまで画像データを変更しても ファイルは書き変わらない.
Edit メニュー: 画像の切り貼り,描画 Undo: 直前の作業の取消し. 1ステップ限定かつ 一部のみ対応. Cut, Copy, Paste: 画像の切り貼り. 対象は画像全域かROI . Copy to System: 他アプリへのコピー. Clear, Fill, Draw: 単色描画. Color Pickerで色は設定. Selection: ROI の制御. (Selection = ROI) Add To Manager: 複数のROI を管理.
Image メニュー: 種別,色,スタック,変形,複製等,色々 Type: 輝度タイプの変換. 8-bit, 16-bit, 32-bit, RGB color... Adjust: 表示上の明るさの調整や二値化等. Color: グレイスケール画像とカラー画像の 変換等. Stacks: 時系列画像(動画像),立体画像の 処理.輝度投影,スライス一覧(montage) の作成等. Crop: ROI 部分の切り出し. Duplicate: 画像ウインドウの複製. Rename: 画像ウインドウのタイトル変更. Scale: 画像解像度の変更.つまり画像サイズ の拡大・縮小. ※表示の拡大・縮小と混同しないよう注意.
Process メニュー: 基礎的な画像処理(フィルタ等) Find Edges: 輪郭強調. Binary: 2値画像(白黒画像)処理. Math: 加減乗除等による 各画素の輝度変更. Filters: ノイズ抑制等のフィルタ. Image Calculator: 画像と画像の間 の演算. 加減乗除等.
Analyze メニュー: 測定やグラフ関係 Measure: ROI 部分の諸パラメタの測定. Analyze Particles...: 粒子解析. Set Measurements...: 'Measure' で測定する パラメタの選択. Set Scale...: 1画素が何 µm かを設定する. Histogram: 輝度ヒストグラムの表示. Plot Profile: 輝度プロファイルの表示.
他のメニュー
Plugins: プラグイン,マクロ,ショートカット キー設定等. Window: 画像ウインドウ,ログウインドウ等 の一覧や並び換え. Help:ブラウザにウェブ上のマニュアルを 表示する等.
デジタル画像の基本
←画像情報: 159x153 pixels; 8-bit; 24K 画素と画素数
(3200%) : 拡大・縮小率
画像ウインドウ左上に青い枠が表示されている場合, ウインドウに画像全域が収まっていない. 現在表示されている部位が,画像全域のどこに相当する かを示している.
159
153
画素, pixel (picture element)
+ キーで拡大 - キーで縮小
* Voxel * Binning
座標系と画素と輝度
←画像情報: 159x153 pixels; 8-bit; 24K
y
x
(x,y) = (0, 0) 輝度 35
(3, 0) 輝度30
(3, 2) 輝度 21
ImageJ では左上を原点(0, 0)とし,右に X 軸,下にY軸が伸びる 各画素には輝度 (強度,intensity.明度 brightness とも言う) が割り当てられている. ※ 「0 から数えること」「左上が原点であること」 に注意.
座標系と画素と輝度
y
(x,y) = (0, 0) 輝度 35
(3, 0) 輝度30
(3, 2) 輝度 21
x
Excel で開いた例 表示を縮小
159列
159 153
153行
File > Save As > Text Image...
座標系と画素と輝度
y
(x,y) = (0, 0) 輝度 35
(3, 0) 輝度30
(3, 2) 輝度 21
x
Excel で開いた例 表示を縮小
159列
159 153
153行
File > Save As > Text Image...
PowerPoint 等での強拡大に注意
PowerPoint や Photoshop 等で補間を ともなう"強拡大"をするとデジタル的 な解像度や分解能と関係なく擬似的 にズームしたようになるが,解像度や 分解能が上がる訳ではない. データ解釈を誤らないよう注意.
PowerPoint で拡大
補間なし
補間あり
Brightness & Contrast による表示状態の変更 ( Shift + c キー)
スライドバーを動かすことによる調整は,表示上の"明るさ"を 変えているに過ぎない.→ 輝度は変化しない. 8-bit 画像の場合は Apply ボタンを押すことによって,その時の 表示範囲が0~255にスケールされる.→ 輝度が変化する.
真っ白
真っ黒
ImageJ で最初に(?)とまどう所 Brightness & Contrast や Image > Lookup Tables による 「見ため」の変化は,画像データの加工を必ずしも意味しない. ImageJ における操作の多くは - 読み込んだ画像データを加工するもの Image > Transform > Rotate... など - ImageJ 上での表示の仕方を変えるもの Image > Zoom > ... など に大別できる. サイズ: Image > Scale... Image > Zoom > ... 明るさ: Process > Enhance Contrast Image > Adjust > Brightness & Contrast
輝度ヒストグラム ( h キー )
h
位置情報を無視した上で,全画素について 輝度の分布を可視化したもの. 輝度の基本的な統計量(最小,最大,平均, 標準偏差等)も表示されている.
輝度ヒストグラム ( h キー )
輝度プロファイル (k キー)
線分上の輝度を「形 (プロファイル)」として可視化. 横軸が距離 or 位置,縦軸が輝度. 多重蛍光標識像から局在関係を示す直観的手法.
輝度プロファイル Plugins > Graphics > RGB Profile Plot
RGB 信号のうち主に Blue が果皮の位置により 変化していることがわかる.
Higaki T et al. (2006) Plant Cell Physiol 47(7): 839-852.
輝度のタイプ
(0, 0) 輝度 35
(3, 0) 輝度30
(3, 2) 輝度 21
8-bit: 0~255 の整数(integer) 16-bit: 0~65535 の整数(integer) 32-bit: 浮動小数点数(float) 実数の近似値.±3.4*1038 の 範囲で7桁位の精度.
グレイスケール画像, 濃淡画像
輝度のデータ型. ビット深度(bit depth), bits per pixel, 量子化ビット数等とも呼称.
カラー画像
≠白黒画像
8-bit Color: 使わない. RGB Color: 赤緑青の3チャネルを 重ねることによるカラー表現. 各チャネルのデータ型は8-bit, 16-bit, 32-bit のいずれかで, チャネル間では統一されている.
輝度のビット深度
8-bit: 0~255 の整数(integer) 16-bit: 0~65535 の整数(integer) 32-bit: 浮動小数点数(float) 実数の近似値.±3.4*1038 の 範囲で7桁位の精度.
グレイスケール画像, 濃淡画像 ≠白黒画像
原画像のビット深度はカメラによって異なる. 顕微鏡用のモノクロカメラでは 8~16 bits グレイスケール /pixel デジタルカメラやスキャナでは 8 * 3 bits RGB /pixel 12 bits/pixel (212 , 0~4095) や 14 bits/pixel (214 , 0~16383)の カメラで得た画像は 16 bits/pixel の画像フォーマットとして扱う. 画像処理的には内部で 32-bit (float) を用いることも多い (浮動小数点数やマイナスの値が扱えるので) .
輝度
位置(pixel) 8 bits/pixel
28 =256 段階
0
255
画像情報の修正 (ビット深度,スケール情報) ビット深度: Image > Type
スケール情報: Analyze > Set Scale...
この章のまとめ: デジタル画像の基本 まず解析対象をさまざまな「見方」で見よう. 表示上の"明るさ"をさまざまに設定し,必ず一度は「サチる」状態 までコントラストを上げる. Shift + c キー ズーム機能によって,必ず「画素」の大きさが認識できる倍率まで 拡大する. 回転(Image > Transform), 白黒反転や擬似色表示(Image - Lookup Tables - ...)も有効. 画像処理・画像解析の基本的概念を覚えておこう. 画素(pixel),輝度(intensity),ビット深度(bit depth), 輝度ヒストグラム(intensity histogram), 輝度プロファイル(intensity profile)
+ キーで拡大,- キーで縮小
二値化・領域抽出
手作業でのROI設定を介した形状解析: 長さ
線分や曲線をマウスで引き, t キーで ROI Manager に登録,を繰返す. ROI Manager の「Show All」をチェックしておくと見やすい. Measure ボタンで登録済の ROI 全部をまとめて測定. 角度や長さ(画素単位)が得られる. Excel等でμmに変換し,統計処理.
Excel 等にペースト or テキストファイルに保存して R スクリプトで統計処理 等.
t
ROI: region of interest,関心領域,注目領域
手作業でのROI設定を介した形状解析: 面積
or
測定項目は Analyze > Set Measurements... で決定. 「測定対象領域をマウスで指定し, t キーで ROI Manager に登録」を繰返す. Measure ボタンで測定.
t
二値化による領域抽出 ( Shift + t キー)
or
蛍光像の場合,「高い輝度の領域」が「測定対象領域」の 場合が多い.閾値となる輝度を決め,二値画像(白黒画像) に変換することで,領域抽出(領域分割, segment)ができる. ではどのように閾値を決めればいいのか?
グレイスケール画像 (濃淡画像)
二値画像 (白黒画像)
人間の目視による閾値決定
作業者の感覚が頼り. 同じ人が作業しても, 閾値が同じになるとは 限らない(部屋やモニタ の明るさの影響など).
Threshold ウインドウでは, 人間による閾値決定だけでなく 自動閾値決定もできる. 右図のように, 複数のアルゴリズムから選択する. いずれも輝度ヒストグラムをもとに 「ある明るさ」を閾値として 背景と背景(解析対象)を分ける. 画像自体と解析対象に関する 輝度分布の性質によって, 適切なアルゴリズムは異なる. ※形状情報は用いていない. → 前処理による ヒストグラム形状の変化
自動閾値決定