ikeph11 20141210

28
池袋物理学勉強会(11) 高橋康 量子力学を学ぶための解析力学入門 第5章 Poisson括弧 @gm3d2 Dec. 10, 2014 池袋バイナリ勉強会会場

Upload: gm3d

Post on 25-Jul-2015

65 views

Category:

Science


3 download

TRANSCRIPT

Page 1: Ikeph11 20141210

池袋物理学勉強会(11)

高橋康 量子力学を学ぶための解析力学入門第5章 Poisson括弧

@gm3d2Dec. 10, 2014

池袋バイナリ勉強会会場

Page 2: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の定義● 物理量A, Bはそれぞれp, qの関数

● Poisson括弧を使うと今までに出てきた重要な式がシンプルな形で書ける– 正準変換– Hamilton方程式

● 量子力学にすぐに移行できる形

(5.2)

Page 3: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の基本性質

● 反対称

● 正準変数q, pについてのPoisson括弧

(5.2)

(5.20)

(5.3)

Page 4: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の定義の不変性● 一組の変数(q, p)を使って書かれている● 別の正準変数を使っても同じものになるか?● 無限小の正準変換について証明する

● 旧変数による微分操作を新変数で表す

(5.6)

Page 5: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の定義の不変性(2)

(5.5)

Page 6: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の定義の不変性(3)

(5.7)

Page 7: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の定義の不変性(4)

(5.8)

Page 8: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の定義の不変性(5)

(5.8)

Page 9: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の定義の不変性(5)● Poisson括弧は、正準変数の選び方によらない

(ここでの証明→恒等変換から連続的に実現できる変換についてのみ)

● 記号は文献によって異なる

● 古典力学で二つの量の間の括弧式が出てきたらおおむねPoisson括弧

● 量子力学では通常演算子としての交換関係/反交換関係なので注意

Page 10: Ikeph11 20141210

● (x, p)で計算

(1.40)

(5.9)

Page 11: Ikeph11 20141210

例(続)

● (X, P)で計算

(5.10)

Page 12: Ikeph11 20141210

Poisson括弧を不変に保つ変換は正準変換になるか

● 新変数(Q, P)(まだ正準変換かどうか分からない)で計算しても

であったとする● 無限小変換に話を限る

(5.12)

Page 13: Ikeph11 20141210

Poisson括弧を不変に保つ変換は正準変換になるか(2)

(5.13)

Page 14: Ikeph11 20141210

無限小の一次までの計算

(5.14b)

Page 15: Ikeph11 20141210

無限小の一次までの計算(2)

(5.14a)

Page 16: Ikeph11 20141210

無限小の一次までの計算(3)

(5.14c)

Page 17: Ikeph11 20141210

無限小の一次までの計算(3)

(5.15a)

(5.15b)

(5.16)

(5.17)

(5.18)

(5.19)

Page 18: Ikeph11 20141210

Poisson括弧の性質● 反交換性: ● 自分自身とのPoisson括弧は0: ● 双線形性● Jacobiの恒等式

(5.20)

(5.21)

(5.22)

(5.23)

(5.25)

(5.24)

Page 19: Ikeph11 20141210

正準方程式をPoisson括弧を用いて書く

● 任意の物理量F(q, p)を考える

● qとpに対する正準方程式

● 任意の物理量の時間変化は、HamiltonianとのPoisson括弧によって求められる

(5.26)

(5.27)

Page 20: Ikeph11 20141210

q, pに対する正準方程式● 一般のFの特別な場合としてq、pをとってみる

…元の形の正準方程式にもどる● Poisson括弧を使えば、qもpもまったく同じ形で正準方

程式が記述できる

(5.29)

Page 21: Ikeph11 20141210

コメント:量子力学との対応● 一粒子のHamiltonian(一次元)

● 量子力学ではx、p、Hなどの物理量は直接値を持つのではなく、「状態」に作用する演算子と考える

● 「状態」Ψはこの演算子が作用する空間のベクトルとして表される

● Hamiltonianが状態Ψにおいて値Eを持つとする

HΨ = EΨ

Page 22: Ikeph11 20141210

量子力学との対応(2)● 古典力学でのPoisson括弧式の値が量子力学に

おける交換関係に引き継がれる

x、pについては特に● これを満たす最も単純な一つの実現方法は、x

を普通の値をとる変数、pをその微分、Ψをxの関数として表すこと

Page 23: Ikeph11 20141210

量子力学との対応(3)● 任意のf(x)に対し、

● この表示の下でのHΨ = EΨ

…Shrödinger方程式

Page 24: Ikeph11 20141210

Poisson括弧と無限小変換の母関数

● 任意の物理量F(q, p)について、q、pに(無限小)正準変換を施したときの変化を考える

● Fとしてq、pをとった場合:● 正準変換もPoisson括弧で書ける

(5.31)

(5.32)

Page 25: Ikeph11 20141210

Poisson括弧と無限小変換の母関数(2)

● FとしてHamiltonianをとる

● 正準変換によってHamiltonianが変化しなければ、その変換の母関数は保存量となる

…対称性と保存量の対応

空間推進(並進)⇔運動量

時間推進(時間発展)⇔ハミルトニアン

空間回転⇔角運動量

(5.33,34)

Page 26: Ikeph11 20141210

二粒子系の例● 二粒子系のHamiltonian

● 以下の正準変換(並進)の元で不変

● 母関数 : →全運動量保存

(5.35)

(5.36)

Page 27: Ikeph11 20141210

中心力場内の粒子の例● このHamiltonianは以下の正準変換(回転)の元で不

変(R: 3次元直交行列)

● 母関数: ● p^2の項(kinetic term)は常に回転不変→ポテンシャ

ルが回転に対して不変なら全角運動量は保存

ポテンシャルがrのみの関数(中心力)なら成り立つ

Page 28: Ikeph11 20141210

5章まとめ● Poisson括弧の定義

● Poisson括弧でHamilton方程式を表せる● 任意の物理量の時間発展をPoisson括弧で表せる ● Poisson括弧で正準変換を表せる● 正準変換でHamiltonianが不変

⇔正準変換の母関数が保存量になっている● 量子力学に移行すると交換関係に読み替えられる