(卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … ·...

21
- 43 - (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業については、百貨店から、スーパー、コンビニエンスストア、専門 店、そしてインターネットショッピングというように、消費者の嗜好やニーズの変化に伴い、 構造変化が起きているといわれている 注) こうした中、小売業と密接な関係がある卸売業についても、何らかの変化が起きているも のと考えられる。たとえば、日本の流通経路は長く複雑で非効率と思われていたが、それも 近年、解消されつつあるともいわれている。 こうしたことから、本稿では、特に卸売業に焦点を当て、その動向と構造変化について 考察してみることとする。 また、鉱工業製品の多くは流通の第一段階で卸売業に出荷され、鉱工業生産と、卸売 業の動向は密接な関係にあることから、鉱工業生産と卸売業の関係についても併せてみ ることとした。 (1) 卸売業の動向 まず、「第3次産業活動指数」を用いて、卸売・小売業の推移をみると、両者は同様な 推移を示しているものの、卸売業の方が、小売業よりもおおむね激しく動いており、3年 以降、卸売業は、小売業に比べて急激に低下させてきた。 しかしながら、卸売業は、小売業に先んじて、14年1~3月期を底として下げ止まった ようにみえ、直近の17年4~6月期は、前期に比べ若干低下したものの、最近は緩やか ながら上昇傾向にあると考えられる(第Ⅰ-2-7図)。 第Ⅰ-2-7図 卸売・小売業活動の推移(季節調整済、12年=100) 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130 63 10 11 12 13 14 15 16 17 卸売・小売業 <卸売業> <小売業> (注)網掛け部分は、景気後退期を示す(以下の図も同様)。 注)詳しくは、「産業活動分析」(16年7~9月期「小売業の構造変化についての検討」、並びに16年年間回顧 「最近の消費の特徴~所得と消費の関係の変化と消費のサービス化」)を参照されたい。 卸売業は、緩やか に上昇傾向。

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Page 1: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

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(卸売業の動向と構造変化について)

流通業のうち、小売業については、百貨店から、スーパー、コンビニエンスストア、専門

店、そしてインターネットショッピングというように、消費者の嗜好やニーズの変化に伴い、

構造変化が起きているといわれている注)。

こうした中、小売業と密接な関係がある卸売業についても、何らかの変化が起きているも

のと考えられる。たとえば、日本の流通経路は長く複雑で非効率と思われていたが、それも

近年、解消されつつあるともいわれている。

こうしたことから、本稿では、特に卸売業に焦点を当て、その動向と構造変化について

考察してみることとする。

また、鉱工業製品の多くは流通の第一段階で卸売業に出荷され、鉱工業生産と、卸売

業の動向は密接な関係にあることから、鉱工業生産と卸売業の関係についても併せてみ

ることとした。

(1) 卸売業の動向

まず、「第3次産業活動指数」を用いて、卸売・小売業の推移をみると、両者は同様な

推移を示しているものの、卸売業の方が、小売業よりもおおむね激しく動いており、3年

以降、卸売業は、小売業に比べて急激に低下させてきた。

しかしながら、卸売業は、小売業に先んじて、14年1~3月期を底として下げ止まった

ようにみえ、直近の17年4~6月期は、前期に比べ若干低下したものの、最近は緩やか

ながら上昇傾向にあると考えられる(第Ⅰ-2-7図)。

第Ⅰ-2-7図 卸売・小売業活動の推移(季節調整済、12年=100)

80

85

90

95

100

105

110

115

120

125

130

63

10

11

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卸売・小売業

<卸売業>

<小売業>

(注)網掛け部分は、景気後退期を示す(以下の図も同様)。

注)詳しくは、「産業活動分析」(16年7~9月期「小売業の構造変化についての検討」、並びに16年年間回顧

「最近の消費の特徴~所得と消費の関係の変化と消費のサービス化」)を参照されたい。

卸売業は、緩やか

に上昇傾向。

Page 2: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 44 -

同じく「第3次産業活動指数」を用いて、業種別にその動きをみると、直近の17年4~

6月期では、医薬品・化粧品等卸売業の水準が最も高く、次いで機械器具卸売業となっ

ており、63年からの推移をみると、この両業種はほかの業種と異なり、全体的に上昇傾

向にある。他方、繊維・衣服等卸売業は、平成3年4~6月期をピークに、近年では、小

売業での販売不振などを受け、急激に指数水準を低下させている(第Ⅰ-2-8図)。

第Ⅰ-2-8図 卸売業活動の推移(季節調整済、12年=100)

60

80

100

120

140

160

180

63

10

11

12

13

14

15

16

17

<卸売業>

各種商品卸売業

繊維・衣服等卸売業

飲食料品卸売業

建築材料,鉱物・金属材料等卸売業

機械器具卸売業

家具・建具・じゅう器等卸売業

医薬品・化粧品等卸売業

その他の卸売業

「商業動態統計調査」を用いて、卸売業販売額の前年同期比を業種別に寄与度分

解してみると、12年以降(2000 年代)の平均寄与度は、鉱物・金属材料が全体の伸び

率に大きく寄与していることが分かる。これは、数量指数の推移を示した前掲第Ⅰ-2-

8図注)において、最近の「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」が低下傾向にあることを

考慮すると、近年の原油を始めとした鉱物資源の価格上昇によるところが大きいと考え

られる。この鉱物・金属材料は、昭和56~平成元年(1980 年代)で、平均寄与度は最

下位であったことから、大きな変化であったと考えられる。全期間をみると、機械器具が

卸売業全体の伸びに最も大きく寄与しているが、12年以降(2000 年代)でみると、13~

14年頃は、取扱商品の価格低下に起因する販売額の大幅な落ち込みを受け、全体に

対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。

注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

を採用しているため、数量指数ととらえることができる。

Page 3: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 45 -

第Ⅰ-2-9図 卸売業販売額の要因分解(前年同期比、名目値) ①要因分解

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15(%)

Ⅰ└

Ⅱ63

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ元

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ2

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ3

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ4

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ5

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ6

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ7

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ8

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ9

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ10

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ11

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ12

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ13

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ14

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ15

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ16

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

各種商品 繊維品・衣服・身の回り品 農畜産物・水産物・食料・飲料 建築材料・家具・建具・じゅう器

化学製品 鉱物・金属材料 機械器具 医薬品・化粧品

その他 卸売業

②期間別平均寄与度

順位昭和56~平成元

(1980年代)2~11年

(1990年代)12~17年

(2000年代)全期間

1 機械器具 機械器具 鉱物・金属材料 機械器具

2 各種商品 医薬品・化粧品 医薬品・化粧品 食料・飲料

3 農畜産物・水産物 食料・飲料 家具・建具・じゅう器 その他

4 食料・飲料 化学製品 化学製品 医薬品・化粧品

5 その他 その他 繊維品 化学製品

6 医薬品・化粧品 家具・建具・じゅう器 衣服・身の回り品 農畜産物・水産物

7 建築材料 建築材料 食料・飲料 衣服・身の回り品

8 化学製品 衣服・身の回り品 その他 建築材料

9 衣服・身の回り品 鉱物・金属材料 農畜産物・水産物 家具・建具・じゅう器

10 家具・建具・じゅう器 繊維品 建築材料 鉱物・金属材料

11 繊維品 農畜産物・水産物 機械器具 繊維品

12 鉱物・金属材料 各種商品 各種商品 各種商品

(注)1.①図において、煩雑さを避けるため、作図にあたっては、下記のように整理している。 各種商品 各種商品繊維品 繊維品・衣服・身の回り品衣服・身の回り品化学製品 化学製品鉱物・金属材料 鉱物・金属材料機械器具 機械器具一般機械器具自動車電気機械器具その他建築材料 建築材料・家具・建具・じゅう器家具・建具・じゅう器農畜産物・水産物 農畜産物・水産物・食料・飲料食料・飲料医薬品・化粧品 医薬品・化粧品その他 その他

2.①図では、昭和63年以降のみ作図しているが、②表において、昭和56年以降のデータを用いて

期間別平均寄与度を求めている。

資料:「商業動態統計調査」

前述で、12年以降の「鉱物・金属材料卸売業」が卸売業全体の伸びに大きくプラス

に寄与し、一方で、近年において「機械器具」の卸売業全体の伸びへの寄与が小さい

背景には、物価の影響が大きいとしたが、ここで改めて業種別の企業物価について確

Page 4: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 46 -

認してみると、「石油・石炭製品」の物価は11年以降から上昇傾向にあったが、さらに1

6年頃から急激に上昇、また「鉄鋼」の物価についても16年頃から同様に急激に上昇し

ており、「鉱物・金属材料卸売業」の販売額が上昇するのに物価が大きな役割を果たし

ていることがうかがえる。一方、卸売業で「機械器具」に相当する「電気機器・精密機器」

「輸送用機器」の企業物価は、63年以降、全体的に低下傾向を示しており、特に「電気

機器・精密機械」の企業物価の低下が著しい。このことは数量指数でみた前掲第Ⅰ-2

-8図において最近の推移が好調であっても「機械器具」の販売額が伸び悩んでいる

原因と考えられる(第Ⅰ-2-10図)。

第Ⅰ-2-10図 企業物価指数の推移(12年=100)

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

Ⅰ└

Ⅱ63

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ元

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ2

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ3

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ4

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ5

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ6

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ8

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ9

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ11

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ15

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ16

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

農水産物・加工食品 繊維製品 製材・木製品・パルプ・紙・同製品

化学製品・プラスチック製品 石油・石炭製品 鉄鋼

非鉄金属 金属製品 一般機器

電気機器・精密機器 輸送用機器 石油・石炭製品

鉄鋼

輸送用機器

電気機器・精密機器

非鉄金属

資料:「企業物価指数」(日本銀行)

卸売業と小売業の、それぞれの物価に相当する企業物価指数と消費者物価指数の

推移をみると、消費者物価指数は、最近こそ緩やかに低下しているが、10年10~12月

期までは緩やかに上昇していた。他方、企業物価指数は、最近は15年10~12月期を

底に上昇してきているが、3年1~3月期をピークに全体的に低下傾向を示してきており、

卸売業の販売額は小売業のそれに比べ、デフレの影響を大きく受けていると考えられる

(第Ⅰ-2-11図)。

Page 5: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

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第Ⅰ-2-11図 企業物価指数と消費者物価指数の推移(12年=100)

80

85

90

95

100

105

110

115

Ⅰ└

Ⅱ63

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ元

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ2

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ3

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ4

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ5

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ6

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ7

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ8

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ9

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ10

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

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Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

企業物価指数

消費者物価指数(除く、帰属家賃)

資料:「企業物価指数」(日本銀行)、「消費者物価指数」(総務省)

卸売業と小売業の年間販売額の推移をみると、卸売業は16年に上昇に転じたものの、

企業物価指数と同様に、3年をピークに低下傾向を示している。このように小売業販売

額のピークが8年であるのに先んじて、卸売業のそれが3年をピークとして低下傾向を示

す背景には、販売不振のみならず、取扱商品の価格低下もあると考えられる(第Ⅰ-2

-12図)。

第Ⅰ-2-12図 商業販売額の推移と要因分解(名目値) ①商品販売額

0

100

200

300

400

500

600

700

800

昭和63

平成元

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16年

(兆円)

商業販売額合計

卸売業販売額

小売業販売額

卸売業販売額のピーク。

小売業販売額の

ピーク。

②要因分解(卸売業、前年同期比) ③要因分解(小売業、前年同期比)

資料:「商業動態統計調査」、「企業物価指数」(日本銀行)、「消費者物価指数」(総務省)

消費者物価指数に比べ、企

業物価指数は急激に低下し

ている。

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10(%)

昭和63

平成元

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16年

実質卸売業販売額要因

企業物価要因

卸売業販売額

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

(%)

昭和63

平成元

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16年

実質小売業販売額要因

消費者物価要因

小売業販売額

Page 6: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 48 -

(2) 卸売業の構造変化

①事業所数

「商業統計調査」注)を使って、卸売業の事業所数の推移を法人・個人でみると、法

人はバブル崩壊後の平成3年、個人は昭和57年がそれぞれピークとなった後、低下

傾向を示している。また昭和47年を基準とした指数でみると、法人に比べ個人の減

少が著しく、個人経営から、法人企業に集約されつつあると考えることができる(第Ⅰ

-2-13図)。

第Ⅰ-2-13図 事業所数の推移(卸売業)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

昭和47

49 51 54 57 60 63 平成3

6 9 11 14 16年

(千件)

0

50

100

150

200

250個人(事業所数)

法人(事業所数)

個人(昭和47年=100)(右目盛)

法人(昭和47年=100)(右目盛)

資料:「商業統計調査」

従業員規模別にみると、昭和47年から比較すれば、それほど大きな動きはないが、

ピークの平成3年から比べてみると、大規模店、中規模店、小規模店とも全般的に低

下傾向を示しているが、特に中規模、小規模店は大規模店に比べ大きく減少してい

る。直近の16年における全事業所数をピーク時と比べると、卸売業は▲19%と約 2

割の減少となっている(第Ⅰ-2-14図)。

注) 本稿で掲載する「商業統計調査」の平成16年の値はすべて速報値であり、確報(11月末公表予

定)に向けて数値の変更があることに注意されたい。

3年をピークに全事業

所数、法人事業所数

は、減少。

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- 49 -

第Ⅰ-2-14図 従業員規模別の事業所数の推移(卸売業)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

昭和47

49 51 54 57 60 63 平成3

6 9 11 14 16年

(千店)

0

50

100

150

200

250小規模店(4人以下) 中規模店(5~99人) 大規模店(100人以上)

小規模店(47年=100)(右目盛) 中規模店(47年=100)(右目盛) 大規模店(47年=100)(右目盛)

資料:「商業統計調査」

昭和60年を基準とした時の各業種の事業所数の推移をみると、事業所数が大きく

伸びた業種は、総合商社が含まれる「各種商品」、次に「医薬品・化粧品」であり、事

業所数を大きく減らしたのは、「繊維品」であった。しかしながら、卸売業の全事業所

数に占める業種別の割合をみると、「各種商品」の事業所数は絶対数が少なく、直近

の16年では全体(375,378 事業所)のうち 0.3%(1,245 事業所)を占めるに過ぎない。

全体的に各業種が占める割合に大きな変化はみられないものの、事業所数を大きく

減らした「繊維品」の事業所数の割合は縮小し、事業所数を増やした「医薬品・化粧

品」の同割合は拡大している。そのほか、事業所数自体にはあまり変化はなかったが、

「機械器具」の割合は拡大している(第Ⅰ-2-15図)。

第Ⅰ-2-15図 卸売業の業種別事業所数と業種別事業所数の割合の推移

①事業所数(昭和60年=100)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

昭和60

63 平成3

6 9 11 14 16年

合計

各種商品 

繊維品 

衣服・身の回り品 

農畜産物・水産物 

食料・飲料 

建築材料 

化学製品 

鉱物・金属材料 

再生資源 

家具・建具・じゅう器等 

医薬品・化粧品 

機械器具 

各種商品

繊維品

医薬品・化粧品

ピーク時(平成3年)に比

べ、約 19%の減少。

全般的に減少

Page 8: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 50 -

②業種別事業所数の割合

2.9

2.8

2.6

2.2

2.1

1.9

1.6

1.5

9.5

9.4

9.1

9.9

10.2

10.3

10.1

10.5

20.7

21.8

23.4

22.8

22.9

23.6

23.7

24.0

4.1

4.3

4.5

4.6

4.5

5.5

4.9

5.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

昭和60

63

平成3

6

9

11

14

16年

各種商品 

繊維品 

衣服・身の回り品 

農畜産物・水産物 

食料・飲料 

建築材料 

化学製品 

鉱物・金属材料 

再生資源 

機械器具 

家具・建具・じゅう器等 

医薬品・化粧品 

その他 

0.4

0.3(各種商品) 資料:「商業統計調査」

事業所数に関していえば、卸売業は、小売業と異なり、必ずしも多店舗展開する必

要はなく、また、消費者ニーズの多様化や小売業者からの配送の多頻度・小口化

ニーズ、さらには独自の流通ルートを持つ大規模小売店や専門店などの伸長により

卸売業を通さない新しい流通ルートが出てくるなど、今後も、卸売業は、淘汰や再編

などを通じ、事業所数が減少していくことも考えられる。

②商業販売額

1 事業所当たりの年間商品販売額の推移でみると、事業所数の増加に伴い、「各

種商品」が特に減少したものの、事業所数を減らした「繊維品」は 1 事業所当たりの

商品販売額においても減少している。

逆に 1 事業所当たりの年間商品販売額が特に増えたのは、「医薬品・化粧品」であ

り、事業所数を増やしながら、商品販売額も増加させている。前掲第Ⅰ-2-9図で

みても、12年以降における、卸売業全体に対する医薬品・化粧品の寄与は第2位と

大きい。健康・美容への関心の高まりなどを背景とした最近のドラッグストアの隆盛や、

長期的には高齢化社会に伴う医療市場の広がりの可能性も考慮すると、この業種は

今後も成長が見込まれるものと考えられる(第Ⅰ-2-16図、第Ⅰ-2-17図)。

Page 9: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 51 -

第Ⅰ-2-16図 1 事業所当たりの業種別商品販売額の推移(昭和60年=100)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

昭和60

63 平成3

6 9 11 14 16年

0

20

40

60

80

100

120

140

160 合計

各種商品 

繊維品 

衣服・身の回り品 

農畜産物・水産物 

食料・飲料 

建築材料 

化学製品 

鉱物・金属材料 

再生資源 

家具・建具・じゅう器等 

医薬品・化粧品 

機械器具(右目盛) 

医薬品・化粧品

各種商品繊維品

資料:「商業統計調査」

第Ⅰ-2-17図 1 事業所当たりの年間販売額の推移(名目値)

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

4.5

繊維

衣服

・身の

回り品

農畜

産物

・水産

食料

・飲料

建築

材料

化学

製品

鉱物

・金属

材料

再生

資源

機械

器具

家具

・建具

・じゅ

う器等

医薬

品・化

粧品

(10億円)

3年

11年

16年

0

20

40

60

80

100

120

140

160

各種

商品

(10億円)

(注)「各種商品」とそれ以外の業種はグラフの目盛が異なるため、注意されたい。

資料:「商業統計調査」

業種別年間販売額の割合の推移をみると、特に顕著な変化がみられるのが「各種

商品」と「機械器具」である。「各種商品」は、昭和60年では卸売業全体の約 2 割を

占めていたのに対し、直近の16年では、約 1 割にまでその割合を縮小させている。

「各種商品」には複数の業種の商品を扱う総合商社などが含まれていることから、この

「各種商品」の割合が減少したということは、取扱商品の価格低下に加え、この期間に

不採算部門の統合・廃止、分社化などの取扱商品の特化が行われていたのではな

いかと考えられる。一方、「機械器具」は、前掲第Ⅰ-2-15図で事業所数の割合が

拡大しているのと同様に年間販売額の割合もおおむね拡大しており、直近の16年で

は約 4 分の 1 を占めるにいたっている(第Ⅰ-2-18図)。

Page 10: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 52 -

第Ⅰ-2-18図 業種別年間販売額の割合の推移

19.6

17.1

17.2

17.8

15.0

12.9

11.6

12.1

3.4

3.1

2.6

1.8

1.6

1.4

1.4

1.2

12.5

12.5

10.5

11.1

10.7

10.1

9.7

10.5

14.0

10.0

10.7

9.2

9.2

9.1

10.6

10.1

17.9

20.1

22.8

21.5

24.5

26.9

24.9

24.4

3.0

3.5

3.5

4.1

4.2

4.4

5.2

5.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

昭和60

63

平成3

6

9

11

14

16年

各種商品 

繊維品 

衣服・身の回り品 

農畜産物・水産物 

食料・飲料 

建築材料 

化学製品 

鉱物・金属材料 

再生資源 

機械器具 

家具・建具・じゅう器等 

医薬品・化粧品 

その他 

資料:「商業統計調査」

③大規模卸売店販売

「商業動態統計調査」を使って、卸売業の商業販売額を大規模卸売店注)販売額と

中小規模卸売店販売額(卸売業全体の商業販売額から大規模卸売店販売額を差し

引いた額)に分けて、7年からの推移をみると、大規模卸売店販売額と中小規模卸売

店販売額の卸売業全体の販売額に占める割合は、それぞれ約 3 割、約 7 割と、ほと

んど変化はない。

また、要因分解をしても、大規模、中小規模の動向に、さしたる特徴はみられない。

したがって、卸売業では、規模による販売額の変化はみられないと考えられる(第

Ⅰ-2-19図)。

注)「大規模卸売店」とは、従業員 100 人以上の各種商品卸売商店および従業員 200 人以上の卸売商店のこ

とを指す。

Page 11: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 53 -

第Ⅰ-2-19図 大規模卸売店と中小規模卸売店の販売額の推移とその要因分解

(名目値)

①商品販売額

0

20

40

60

80

100

120

140

Ⅰ└

Ⅱ7

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ8

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ9

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ10

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ11

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ12

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ13

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ14

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ15

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ16

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

(兆円)卸売業全体

大規模卸売販売額

中小規模卸売

②要因分解(前年同期比)

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

(%)

Ⅰ└

Ⅱ7

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ8

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ9

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ10

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ11

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ12

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ13

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ14

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ15

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ16

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

中小規模卸売業要因

大規模卸売業要因

卸売業全体

(注)大規模卸売店の販売額は、数年に一度、標本入れ替えが行われているため、このギャップを調整す

るリンク係数を乗じて調整したものを採用している。

資料:「商業動態統計調査」

ちなみに、「第3次産業活動指数」の「各種商品卸売業」の系列作成にあたっては、

「商業動態統計調査」の「各種商品卸売業」のデータが採用されている。この「各種商

品卸売業」に分類される企業の規模は概して大規模であり、「各種商品卸売業」の多

くが「大規模卸売店」としても分類されていると考えられる。そこで「第3次産業活動指

数」の「各種商品卸売業」と「商業動態統計調査」の「大規模卸売店販売額」の推移を

みると、同じ傾向を示していることが分かり、両者の相関をとると 0.9751 と極めて高い

相関が得られた。したがって、各種商品卸売業をみる場合、併せて大規模卸売店販

売額をみることにより、更にその要因分解を行うことで、近似的に各種商品卸売業の

寄与度分析ができると考えられる(第Ⅰ-2-20図)。

Page 12: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 54 -

第Ⅰ-2-20図 各種商品卸売業と大規模卸売店販売額の推移

(季節調整値、12年=100)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

Ⅰ└

Ⅱ7

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ8

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ9

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ10

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ11

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ12

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ13

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ14

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ15

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ16

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

50

60

70

80

90

100

110

120

130

各種商品卸売業(第3次産業活動指数)

大規模卸売店販売(商業販売統計)(右目盛)

(注)「商業動態統計調査」の大規模卸売店販売額は、X-12-ARIMA の X-11 デフォルトにより独自に季

節調整をしている。

資料:「商業動態統計調査」

参考までに、大規模卸売店販売額を要因分解すると、16年7~9月以降、前年同

期比がプラスとなっているのは、もっぱら、石油・石炭、鉱物・鉄鋼によるものであるこ

とが分かる(第Ⅰ-2-21図)。

第Ⅰ-2-21図 大規模卸売店販売額の要因分解(前年同期比、名目値)

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10(%)

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

Ⅰ└

Ⅱ10

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ11

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ12

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ13

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ14

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ15

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ16

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

(%)

繊維品・衣服・身の回り品 農畜産物・水産物・食料・飲料 医薬品・化粧品

化学製品 石油・石炭 鉱物・鉄鋼

非鉄金属 一般機械器具 自動車

その他の輸送用機械器具 家庭用電気機械器具 建築材料

その他の商品(含む、紙・紙製品) その他の機械器具 (参考)各種商品(右目盛)

販売額合計

資料:「商業動態統計調査」

④輸出入

大規模卸売店の販売額を、商品輸出額、輸入品の国内卸販売額、国内仕入品の

国内卸販売額の 3 つに分け、それらの推移をみると大きな変化はないものの、10年

と16年の、それぞれの割合を比べると、16年は、商品輸出額と輸入品の国内卸販売

Page 13: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 55 -

額の割合が増加し、国内仕入品の国内卸販売額の割合が減少している。このことか

ら、大規模卸売店販売についていえば、6 割以上は国産品を国内で流通させている

ものの、輸出入品を取り扱う割合は徐々にではあるが増加しつつあると考えられる(第

Ⅰ-2-22図)。

第Ⅰ-2-22図 大規模卸売店の仕入れ先・仕向先別販売額の推移

(季節調整済、名目値)

①販売額

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

Ⅱ9

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ10

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ11

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ12

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ13

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ14

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ15

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ└

Ⅱ16

Ⅲ年

Ⅳ┘

Ⅰ17

Ⅱ年

(10億円) 大規模卸販売額

国内仕入品の国内卸売販売額

商品輸出額

輸入品の国内卸売販売額

②割合

18.613.4

67.9

20.4

13.9

65.7

0

20

40

60

80

商品輸出額 輸入品の国内卸売販売額

国内仕入品の国内卸売販売額

(%)

10年

16年

(注)①図における大規模卸売店販売額、商品輸出額、輸入品の国内卸販売額、国内仕入品の国内卸販

売額は、X-12-ARIMA の X-11 デフォルトにより独自に季節調整をしている。

資料:「商業動態統計調査」

⑤効率化

1)W/W比率

W/W比率は、卸売業全体の販売額から「本支店間移動」を除いた値を「小売

業者向け、産業用使用者向け、外国(直接輸出)向け及び消費者向けの合計値」、

いわゆる卸売業者向け以外の販売額で除した値であり、流通経路の長さ、あるい

Page 14: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 56 -

は多段階性を表す指標として用いられている。この値が大きいほど流通経路は長く、

卸売業者間の取引回数が多いとみなすことができ、「1」に近いほど流通経路は短

く、卸売業者間の取引回数が少ないとみなすことができる。昭和51年から比較す

れば、全体的にW/W比率は低下しており、流通経路は短縮化しつつあると考え

られる。特に、繊維品卸売業は急激に低下している。前掲第Ⅰ-2-8図において、

数量ベースでみた場合、繊維・衣服等卸売業の推移が3年頃をピークに急激に低

下しているのは、販売不振もあるが、流通経路の短縮化によるためとも考えられる

(第Ⅰ-2-23図)。

第Ⅰ-2-23図 W/W比率の推移

1.2

1.6

2.0

2.4

2.8

3.2

昭和51

54 57 60 63 平成3

6 9 14年

繊維品卸売業(衣服・身の回り品を除く)

化学製品卸売業

鉱物・金属材料卸売業

機械器具卸売業

建築材料卸売業

衣服・身の回り品卸売業

農畜産物・水産物卸売業

食料・飲料卸売業

家具・建具・じゅう器等卸売業

医薬品・化粧品等卸売業

卸売業全体

繊維品卸売業

農畜産物・水産物卸売業

機械器具卸売業

(注)W/W比率を、ここでは、卸売業全体もしくは各業種の販売額から「本支店間移動」を除いた値を、卸

売業者以外の販売額(「小売業者向け」「産業用使用者向け」「外国(直接輸出)」及び「消費者向け」

の合計値)で除すことによって算出した。

資料:「商業統計調査」

2)電子商取引化

小売業では、最近のインターネットショッピングの隆盛にみられるとおり、電子商

取引化が進んでおり、卸売業でも、流通の効率化に資すると思われる電子商取引

化が進んでいると考えられることから、「商業統計調査」から14年における法人企

業の卸売業の電子商取引化率を金額ベースで、商品仕入れ・販売別にみると、卸

売業全体では、仕入れで 7.7%、販売で 5.4%が電子商取引化されている。特に

電子商取引化率が高いのは、医薬品・化粧品等卸売業、電気機械器具卸売業な

どが挙げられる。この2業種は、前掲第Ⅰ-2-8図において、12年を基準とした場

合、他業種と比べ、活動水準が高い業種でもあり、電子商取引化といった効率化

Page 15: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 57 -

が同業種の活動の上昇に寄与していると考えられる(第Ⅰ-2-24図)。

第Ⅰ-2-24図 業種別の電子商取引化率(金額ベース、14年)

7.7

1.0 1.7 2.8

14.3

3.55.4

13.1

21.4

30.1

5.4

0.9 1.73.3 2.1

4.2

9.0

12.715.7

14.2

0

5

10

15

20

25

30

35

卸売

業全

各種

商品

卸売

繊維

・衣服

等卸

売業

農畜

産物

・水産

物卸

売業

食料

・飲料

卸売

建築

材料

、鉱物

・金属

材料

等卸

売業

一般

機械

器具

卸売

自動

車卸

売業

電気

機械

器具

卸売

医薬

品・化

粧品

等卸

売業

(%)

商品仕入れ

商品販売

資料:「商業統計調査」

3)流通経路

卸売業の流通経路は第1次卸、第2次卸、その他の卸と、大きく 3 つに分けられ

る。また第1次卸の中でも、直取引卸と元卸、第2次卸の中でも、中間卸と最終卸に

分けられる(第Ⅰ-2-25図)。

第Ⅰ-2-25図 卸売業の流通経路イメージ

生産業者 海外

卸売業者(元卸)

卸売業者(直取引卸)

卸売業者(中間卸)

卸売業者(最終卸)

消費者産業用使用者 小売業者 海外

第1次卸(30.2%)

第2次卸(47.0%)

その他の卸(22.8%)

販売先や仕入れ先が同一企業内である卸売業者(例:製造メーカーの販売会社など)

(注)( )内の数値は、14年における事業所数の割合。

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- 58 -

流通経路別に法人企業の事業所数と年間商品販売額の推移をみる。まず事業

所数をみると、第2次卸に分類される「中間卸」を除き、平成3年までは増加し、その

後、各流通経路別の事業所数は減少傾向にある。こうした背景には、景気不振に

伴う産業用使用者や小売業者向けなどへの販売額減少から卸売販売先別の販売

構成が変化し、最終卸などから中間卸への格付け移動があったことなどが指摘注)さ

れている(第Ⅰ-2-26図)。

他方、年間商品販売額の推移をみると、平成3年のピークから比べるといずれの

流通経路も減少している。

このように流通経路別の推移をみると、一般に卸売業の効率化というと、中間卸

の減少ととらえがちであるが、中間卸の商品販売額は確かに減少しているものの、

事業所数自身は格付け移動などもあり、逆に増加しているのが実状である。

第Ⅰ-2-26図 流通経路別事業所数と年間商品販売額の推移(法人のみ)

①事業所数

0

50

100

150

200

250

300

350

400

昭和57

60 63 平成3

6 9 14年

(千件)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

(57年=100)

直取引卸 元卸 中間卸 最終卸

その他卸 直取引卸(右目盛) 元卸(右目盛) 中間卸(右目盛)

最終卸(右目盛) その他卸(右目盛) 全体(右目盛) 中間卸

直取引卸

注)詳しくは、「2005 我が国の商業」(経済産業省)を参照されたい。

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- 59 -

②年間商品販売額

0

100

200

300

400

500

600

昭和57

60 63 平成3

6 9 14年

(兆円)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

(57年=100)直取引卸 元卸 中間卸 最終卸

その他卸 直取引卸(右目盛) 元卸(右目盛) 中間卸(右目盛)

その他卸(右目盛) 全体(右目盛) 最終卸(右目盛)

直取引卸

中間卸

資料:「商業統計調査」

ピークの3年と至近の14年の、事業所数と 1 事業所当たりの年間販売額の変化

率をプロットしてみると、中間卸の事業所数は増加したものの、1 事業所当たりの年

間販売額は大きく減少している。直取引については、事業所数が減少したほど、年

間販売額が減少しなかったため、1 事業所当たりの年間販売額は増加している(第

Ⅰ-2-27図)。 第Ⅰ-2-27図 事業所数と 1 事業所当たりの年間販売額の変化の割合(3年→14年)

▲ 60

▲ 40

▲ 20

0

20

40

60

▲ 60 ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60

事業所数(%)

1事

業所あたりの年

間販売額

(%

)中間卸

直取引卸

その他卸

最終卸

元卸

全体卸

資料:「商業統計調査」

Page 18: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 60 -

(3) 鉱工業生産との関係

鉱工業製品の多くは流通の第一段階である卸売業に出荷され、鉱工業生産と、卸売

業の動向は密接な関係にあることから、鉱工業生産と卸売業の関係についてみてみる。

月次の鉱工業指数の生産(以下、「生産指数」)と第3次産業活動指数の卸売業(以

下、「卸売業指数」)を、原指数、季節調整済指数とで分けて、両者の関係をみる。なお、

ラグについては、特に原指数のグラフからも明らかであるが、「一致」の場合の相関係数

が高いため注)、原指数、季節調整済指数の相関係数を求める場合、ラグは考慮しない

ことにした。

原指数と季節調整済指数で、期間別に生産指数と卸売業指数の相関係数をとると、

概して原指数の相関係数の方が高いことが分かる。

したがって、高い相関係数が得られた原指数の方で63年以降の期間別の相関係数

をみると、全期間の相関係数が 0.594 に対し、バブル期の昭和63年から平成元年の期

間を除けば、どの期間も、全期間よりは高く、特に大きな違いはみられない。しかしなが

ら、15年以降、16年以降、17年とみると、最近年になるほど、その相関係数が高まる傾

向があり、17年に至っては、まだデータの個数が少ないこともあるが、相関係数は 0.975

と原指数でみた場合の生産指数と卸売業指数は極めて強い相関にあるといえ、現在も、

製造業と卸売業の関係は極めて強い、と考えられる(第Ⅰ-2-28図)。

注)生産指数と卸売業指数のラグ相関(生産指数を先行させた場合)は以下のとおり(計測期間:昭和63年1月

~平成17年6月)。 一致 1ヶ月先行 2ヶ月先行 3ヶ月先行 4ヶ月先行 5ヶ月先行 6ヶ月先行 7ヶ月先行

原指数 0.594 0.019 -0.161 0.150 0.005 0.171 0.297 -0.154季節調整済指数 0.203 0.191 0.196 0.203 0.203 0.200 0.210 0.203

Page 19: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

- 61 -

第Ⅰ-2-28図 鉱工業生産と卸売業の推移と期間別相関係数

①鉱工業生産と卸売業の推移(原指数、季節調整済指数)

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

└ 63年 ┘└ 元年 ┘└ 2 年 ┘└ 3 年 ┘└ 4 年 ┘└ 5 年 ┘└ 6 年 ┘└ 7 年 ┘└ 8 年 ┘└ 9 年 ┘└ 10年 ┘└ 11 年 ┘└ 12年 ┘└ 13年 ┘└ 14年 ┘└ 15年 ┘└ 16年 ┘└17年

鉱工業(原)

卸売業(原)

鉱工業(季)

卸売業(季)

②期間別相関係数(原指数) ③期間別相関係数(季節調整済指数)

(注)参考として、原指数で、15年以降の回帰分析を行うと以下のとおり。

W = 1.255 P - 29.428

(8.363) (-1.994)

R2 = 0.714 D.W. =1.827 ( )内は t 値。

W:卸売業指数 P:生産指数

注)参考までに、前年同月比(原指数)で相関係数をみても、概して、原指数そのものの相関の方が強い。

0.594

0.918

0.788

0.817

0.841

0.795

0.845

0.845

0.923

0.975

0.000 0.200 0.400 0.600 0.800 1.000

全期間

63~2

3~5

6~8

9~11

12~14

15~17

15年以降

16年以降

17年

0.203

0.940

0.930

0.743

0.863

0.679

0.676

0.771

0.806

▲ 0.283

▲ 0.400 ▲ 0.200 0.000 0.200 0.400 0.600 0.800 1.000

全期間

63~2

3~5

6~8

9~11

12~14

15~17

15年以降

16年以降

17年

0.617

0.494

0.907

0.602

0.575

0.738

0.537

0.537

0.489

0.430

0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600 0.700 0.800 0.900 1.000

全期間

63~2

3~5

6~8

9~11

12~14

15~17

15年以降

16年以降

17年

Page 20: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

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両者は、季節調整済指数よりも、原指数の相関の方が概して強いことから、業種別の

相関係数も原指数でみることとする。卸売業の中分類に相当する生産指数を求める際

には、相関係数が 0.6 以上のものを目安とした。相関係数のばらつきはあるが、業種ご

とでみても、卸売業指数と生産指数にはおおむね相関関係があることが分かる(第Ⅰ-

2-7表)。

ただし、「衣服・身の回り品卸売業」だけは、目安とした相関係数 0.6 以上とならな

かったが、これは卸売業がアパレル、アクセサリーといった一般に輸入浸透度が高いと

いわれている商品を扱っており、国内生産の減少に比べ、卸売業の活動はそれほど低

下していないためと考えられる注)。

第Ⅰ-2-7表 鉱工業生産と卸売業の業種別相関係数(原指数)

第3次産業活動指数 相関係数 鉱工業指数(生産)卸売業 0.665 鉱工業

各種商品卸売業 0.712鉄工業、化学工業(除く、医薬品)、石油、石炭製品、一般機械、電気機械、繊維、食料品・たばこ工業

繊維・衣服等卸売業 0.626 繊維工業、皮革製品工業 (再掲)繊維品卸売業 0.879 繊維工業(除.衣類) (再掲)衣服・身の回り品卸売業 0.511 衣類、皮革製品工業飲食料品卸売業 0.774 食料品・たばこ工業 (再掲)農畜産物・水産物卸売業 0.794 肉製品、乳製品、水産製品、野菜・果実製品 (再掲)食料・飲料卸売業 0.830 食料品・たばこ工業

建築材料,鉱物・金属材料等卸売業 0.954石油・石炭製品工業、金属製品工業、窯業・土石製品、塗料・印刷インキ

 (再掲)建築材料卸売業 0.907 窯業・土石製品工業 (再掲)化学製品卸売業 0.701 塗料・印刷インキ (再掲)鉱物・金属材料卸売業 0.869 石油・石炭製品工業、金属製品工業

機械器具卸売業 0.902一般機械器具工業、輸送機械工業(除.鋼船)、電気機械工業、精密機械工業

 (再掲)一般機械器具卸売業 0.825 一般機械工業 (再掲)自動車卸売業 0.828 輸送機械工業(除.鋼船・鉄道車両) (再掲)電気機械器具卸売業 0.829 電気機械工業 (再掲)その他の機械器具卸売業 0.621 精密機械工業家具・建具・じゅう器等卸売業 0.784 家具工業医薬品・化粧品等卸売業 0.619 医薬品、化粧品、石けん・合成洗剤・界面活性剤その他の卸売業 0.781 その他工業

(注)1.ラグはとらず、「一致」の相関係数を計測した(計測期間:10年1月~17年6月)。

2.鉱工業指数(生産)に複数の業種が掲載されているものは、それらの業種のウェイトを元に加重平

均した系列を意味する。

注)「衣服・身の回り品」(卸売業)と、「衣類、皮革製品工業」(生産)の推移をみると、両者にはかい離がみ

られる(①図)。ちなみに、同じく、一般的に輸入比率が高いといわれている「繊維品」の卸売、生産そ

れぞれの指数の推移をみると、両者とも減少傾向であり、こちらの相関は強い(②図)。

①衣服・身の回り品 ②繊維品

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

└ 10 年 ┘└ 11 年 ┘└ 12 年 ┘└ 13 年 ┘└ 14 年 ┘└ 15 年 ┘└ 16 年 ┘└ 17 年

【生産】衣類、皮革製品工業(原)

【卸売】衣類・身の回り品卸売業(原)

(参考)【生産】衣類、皮革製品工業(季)

(参考)【卸売】衣類・身の回り品卸売業(季)

生産指数

卸売業指数

60

70

80

90

100

110

120

130

140

└ 10 年 ┘└ 11 年 ┘└ 12 年 ┘└ 13 年 ┘└ 14 年 ┘└ 15 年 ┘└ 16 年 ┘└ 17 年

【生産】繊維工業(除.衣類)(原)

【卸売】繊維品卸売業(原)

(参考)【生産】繊維工業(除.衣類)(季)

(参考)【卸売】繊維品卸売業(季)

卸売業指数

生産指数

Page 21: (卸売業の動向と構造変化について) 流通業のうち、小売業につい … · 対する寄与は12業種中11位となっている(第Ⅰ-2-9図)。 注)「第3次産業活動指数」において、卸売・小売業の場合は、販売額金額をデフレータで実質化したしたもの

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以上をまとめると、卸売業活動は、14年1~3月期を底として、現在、緩やかながら上昇

傾向にあるが、販売額でみると、特に16年以降は鉱物資源の価格上昇を背景に、「鉱物・

金属材料」が卸売業の上昇に大きく寄与している。しかしながら、長期的にみると事業所

数と 1 事業所当たりの商品販売額が増加傾向にある「医薬品・化粧品」が、ドラッグストア

の隆盛、高齢化社会などを背景に今後も成長が見込まれるものと考えられる。

商品販売額についてみると、卸売業全体は3年をピークに減少を続けているが、この背

景にはバブル崩壊後の販売不振の影響のほか、消費者物価の低下幅を上回る企業物価

の低下、流通経路の短縮化や電子商取引化といった中間流通コストの削減などがあると

考えられる。また、かつては、「各種商品」が卸売業全体の販売額の約 2 割を占めていた

が、現在は 1 割程度にまでシェアが低下しており、取扱商品の価格低下に加え、不採算

部門の統合・廃止、分社化などの取扱商品の特化が行われたのではないかと考えられる。

「医薬品・化粧品」は、電子商取引化が最も進んでいる業種であり、W/W比率も比較的

小さく、特に効率化が進んでいる業種と思われる。

鉱工業指数と卸売業指数には相関があり、期間別に相関関係をみたところ、大きな変

化はないが、最近の相関は相対的に高くなっており、製造業と卸売業の関係は依然として

強いことがうかがえる。

近年、全国にチェーン展開しているコンビニエンスストアやドラッグストアのような小売店

の特徴の一つとして、品揃えが豊富なことが挙げられるが、多品種・少消費商品を小売店

がメーカーと直接やりとりしているとは考えにくいことから、こうした豊富な品揃えは卸売業

が担っているともいえ、今後、再編や淘汰は行われるとしても、効率化を通じた卸売業の一

層の発展が期待される。