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GARD INSIGHT 7 JANUARY 2020
GARD INSIGHT 2020年海事規制の全体像
こちらは、英文記事「Charting the 2020 maritime regulatory landscape」(2020 年 1 月 7 日付)の和訳です。
2019年には、船員、救命、防災、環境、貨物、認証に関する規制が施行されました。本年は、
これまでと同様に多数の規制の変更が行われる予定であり、また、初めて「IMO」と「年」の組
み合わせだけから成る国際規制(すなわち、大いに期待されている「IMO 2020」硫黄濃度規
制)が発効する年でもあります。また、今後 12か月間に、世界全体においてその他の様々な規
制が IMOと ILOによって実施される予定です。
本稿では、大気排出と船舶リサイクルに関するいくつかの主要な国内規制の変更をはじめ、2020 年
に施行される重要な国際的規制のいくつかの概要を取り上げます。
2020年 1月 1日
決議 MSC.280(70):燃料油の硫黄分濃度 0.50%規制の全世界での実施
2010 年 1月 1日以降、排出規制海域外では、船舶の推進または運航に使用する燃料油の硫黄分濃度
の上限が 0.50%になります。ただし、認証された排ガス浄化システム(EGCS)が設置されている
か、または代替燃料を使用している船舶は除きます。この要件は、MEPC.1/Circ.795/Rev.4 に基づ
き、非常用発電機や救命艇等、搭載されている非常用設備にも適用されます。この規制に関する重要
な IMO サーキュラーのほか、硫黄濃度規制に関する有用な情報の入手先を以下に記載します。
http://www.gard.no/web/updates/content/28978013/charting-the-2020-maritime-regulatory-landscapehttp://www.gard.no/web/updates/content/26910125/charting-the-2019-maritime-regulatory-landscapehttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Marine-Environment-Protection-Committee-%28MEPC%29/Documents/MEPC.280%2870%29.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/MEPC.1-Circ.795-Rev.4.pdf
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• IMOサーキュラー
o 硫黄濃度 0.50%規制の統一的実施に関するガイドライン - MEPC.320(74)
o 船舶実施計画書(SIP)に関するガイダンス - MEPC.1/Circ.878
o ポート・ステート・コントロールに関するガイドライン – MEPC.321(74)
o 不適合燃料油への対応のための緊急時対応計画に関するポート・ステート・コント
ロール用ガイダンス – MEPC.1/Circ.881
o 船上サンプリングのガイドライン - MEPC.1/Circ.864/Rev.1
o 規制適合油入手不可時の報告書(FONAR)テンプレート – MEPC.320(74)附属書 1
o サプライヤーによる適合燃料の供給 - MSC-MEPC.5/Circ.15
o 燃料油購入者/利用者のベストプラクティスに関するガイダンス – MEPC.1/Circ.875
o 燃料の品質保証のための燃料油サプライヤーのベストプラクティスに関するガイダ
ンス – MEPC.1/Circ.875/Add.1
o 排ガス浄化システム(EGCS)に関するガイドライン - MEPC.259(68)
o EGCSの故障時に推奨される措置 - MEPC.1/Circ.883
• その他の情報源
o Gard insight「PSC による船舶燃料油のスポットサンプリングに備える」
o Gard insight「経験を通して学ぶ:排ガススクラバーの運用上の課題」
o 硫黄規制に関する ICSガイダンス
o 欧州海事安全庁(EMSA)による船舶検査に関するガイダンス
o 燃料油の単独安定性と混合安定性に関する CIMAC ガイドライン
o 硫黄分濃度 0.50%の船舶燃料の供給と使用に関する共同業界ガイダンス
o 船級協会 DNV-GL による FAQ
決議 MSC.402(96):救命艇、救難艇、進水装置、離脱装置の整備
MSC.402(96)の要件は、以下の SOLAS規則に関するものです。
• SOLAS 規則 III/20 – 操作の準備、保守および点検
• SOLAS 規則 III/36 – 船上における保守のための手引書
週次・月次の点検と日常の整備は、上級士官の監督の下、承認された整備事業者または乗組員が実施
できます。年次および 5年ごとの点検、試験等は、製造者または旗国の海事当局またはその認定機関
により認証された整備事業者の「認定された者」が行われなければなりません。人員の認定に関する
詳細な基準が示されており、認定書の有効期間は発行日から 3年です。船主および船舶管理者は、す
べての活動を対象とする安全衛生環境(HSE)手続きを整備しなければならず、その船員と整備担当
者は、検査、作動試験、オーバーホール、修理の際にこれを遵守しなければなりません。
http://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/Resolution%20MEPC.320%2874%29.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/MEPC.1-Circ.878.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/MEPC.321%2874%29.pdfhttps://www.mardep.gov.hk/en/msnote/pdf/msin1917anx2.pdfhttps://www.mardep.gov.hk/en/msnote/pdf/msin1917anx2.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/MEPC.1-Circ.864-Rev.1.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/Resolution%20MEPC.320%2874%29.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/MSC-MEPC.5-CIRC.15.pdfhttps://www.mardep.gov.hk/en/msnote/pdf/msin1806anx1.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/MEPC.1-Circ.875-Add.1.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/Documents/MEPC.1-Circ.875-Add.1.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/AirPollution/Documents/MEPC.259%2868%29.pdfhttps://www.mardep.gov.hk/en/msnote/pdf/msin1917anx3.pdfhttp://www.gard.no/Content/27629749/Gard%20Alert%20-Prepare%20crews%20for%20PSC%20spot%20sampling%20of%20ships%C3%BCf%20fuel%20(JP)%2020190502.pdfhttp://www.gard.no/Content/28586473/Gard%20Insight%20-%20Learning%20as%20we%20go%20challenges%20with%20the%20use%20of%20exhaust%20gas%20scrubbers%20(JP).pdfhttp://www.gard.no/Content/28586473/Gard%20Insight%20-%20Learning%20as%20we%20go%20challenges%20with%20the%20use%20of%20exhaust%20gas%20scrubbers%20(JP).pdfhttps://www.ics-shipping.org/docs/default-source/resources/guidance-for-compliance-with-the-2020-global-sulphur-cap-july-2019.pdf?sfvrsn=24http://www.emsa.europa.eu/news-a-press-centre/external-news/download/5910/2407/23.htmlhttps://www.cimac.com/cms/upload/Publication_Press/WG_Publications/CIMAC_WG07_Guideline_Stability_and_Compatibility_Nov_2019.pdfhttps://www.cimac.com/cms/upload/Publication_Press/Press_Releases/Joint_Industry_Guidance_on_the_supply_and_use_of_0.50_-_sulphur_marine_fuel_20_August_2019.pdfhttps://www.dnvgl.com/maritime/global-sulphur-cap/FAQ.htmlhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.402%2896%29.pdf
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GARD INSIGHT 多くの救命艇や救難艇の事故においては、船上作業手順や船員の能力が不十分であるということが要
因であると認められていることから、この機会に、運航者の皆様には、適切な船員訓練の重要性を再
認識していただきたいと思います。認定教育機関から正式な「救命いかだ、救難艇および高速救難艇
の技能認証」を受けた船員は、一般論として、着水途中や着水後の救命いかだや救難艇を管理するた
めの分な能力と知識を備えているとは言えますが、その乗船する船に装備されている救命いかだや救
難艇を操縦するための適切な訓練を受けていないかもしれません。詳細については、Gard Alert「救
命器具の保守および点検に関する新 IMO 作業手順」をご参照ください。
MARPOL条約附属書 VI:HCFCを含有する設備の禁止
MARPOL 条約附属書 VI の第 12 規則によると、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を含有
するシステム/装置を、2020 年 1月 1日以降に建造された船に搭載することは認められません。既
存の船舶については、同日以降、そのようなシステム/装置を新たに搭載してはなりません。既に搭
載されているシステムや装置は、引き続き使用することができ、必要に応じて再充填することができ
ます。この規則は、オゾン層破壊物質(ODS)の大気への意図的な放出も禁止しています。
決議 MSC.403(96)および MSC.404(96):ヘリコプター甲板およびヘリコプター着陸区域に対する泡
消火装置
火災安全設備のための国際コード(FSSコード)に第 17 章(ヘリコプター設備泡消火装置)が新設
されました。これには、ヘリコプター甲板とヘリコプター着陸区域を保護するため、泡消火装置の仕
様が定められており、「ヘリコプター甲板については、泡装置には最低 2 個の固定式泡モニターまた
は甲板一体型泡ノズルを備えるほか、泡生成分岐管が装備された最低 2個のホースリール、およびヘ
リコプター甲板のいずれかの部分に十分に届く折り畳み式ではないホースを設置すること」が要求さ
れています。
決議 MSC.404(96):旅客船の脱出手段
2019 年 7月 1日以降に建造された RO-RO 旅客船および建造日が 2020 年 1月 1日以降の旅客定員
36人超のその他の旅客船については、設計プロセスの早い段階において、避難解析により、脱出経
路を評価しなければなりません。解析目的は、避難経路に沿った乗客や船員の通常の動きにより、退
船中に混雑が発生する可能性のある場所を特定し、こうした場所を無くすことにあります。
決議 MSC.403(96):自動スプリンクラーの水質管理
火災安全設備のための国際コード(FSSコード)に対して 2 点の重要な改正が行われます。1 点目
は、作業中に凍結のおそれがある設備の部品の保護を求めるもので、2点目は、管内腐食や閉塞を防
ぐために設備の製造者が提供する水質の仕様に注意を払うべきであるとするものです。
決議 MSC.421(98):自動車運搬船の定義
http://www.gard.no/Content/29262894/Gard%20Alert%20-%20New%20IMO%20procedures%20for%20maintenance%20and%20inspection%20of%20life-saving%20appliances%20(JP)%20%2020191010.pdfhttp://www.gard.no/Content/29262894/Gard%20Alert%20-%20New%20IMO%20procedures%20for%20maintenance%20and%20inspection%20of%20life-saving%20appliances%20(JP)%20%2020191010.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Environment/PollutionPrevention/AirPollution/Pages/Ozone-depleting-substances-(ODS)-%E2%80%93-Regulation-12.aspxhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.403%2896%29.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.404%2896%29.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.404%2896%29.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.403%2896%29.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.421%2898%29.pdf
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SOLAS 条約の規則 II-2/3.56 を以下の文言で置き換えます。「自動車運搬船とは、ロールオン・ロー
ルオフ貨物区域または車両積載区域内でのみ貨物を運送する貨物船で、人が乗車しておらず荷物も積
んでいない自動車を貨物として運送するよう設計されたものをいう。」また、自動車とロールオン・
ロールオフ貨物区域の保護のほか、圧縮水素や天然ガスがタンクに入った自動車の運送に関する要件
も追加されます。
決議 MSC.421(98):36人以下の旅客を運送する旅客船の窓の火災遮断性
SOLAS 条約 II-2/9.4.1.3 が改正され、救命いかだ乗艇場所のほか、避難経路に使用される集合場所、
外部階段、オープンデッキに面した窓、救命いかだおよび脱出用滑り台の乗艇場所の下方にある窓に
は「A-0」級以上の火災遮断性が要求されることになりました。
決議 MSC.440(99)、MSC.441(99)、MSC.446(99)および MSC.447(99):IBCコード、IGCコード、
BCHコードの適合証書の書式の変更
ガス輸送船およびケミカル・タンカーの適合証書の書式が改訂され、船舶には承認された書式の積
載・安定性に関する情報冊子が備えられている旨を明確に記載することが求められています。
決議 MSC.453(100):特殊目的船の安全性に関するコードの改正
特殊目的船とは、科学者、派遣軍、ケーブル敷設要員等、12名を超える特別人員を輸送する船舶を
いいます。MSC.183(79)、MSC/Circ.739、MSC.439(99)に含まれている規則および改正は、特殊目
的船(SPS)コードの一部を構成する 1 つの決議に融合されました。この改正により、救命器具、特
殊目的船が SOLAS条約の第 IV 章の規定を遵守する義務、特殊目的船の安全証書および特殊目的船
安全証書の設備の記録の様式の改訂に関する 1 つの章が設けられました。
決議 MSC.442(99):IMDGコードの改正
2019 年 1月 1日以降任意であった改正 39-18 が強制適用されます。重要な変更としては、例えば、
温度管理下での貨物輸送ユニットに関する規定の改訂、特別規定リストの変更、多数の物質に関する
積み付けコードの改訂が挙げられます。変更の概要は、こちらからご覧いただけます。
決議 MSC.436(99)、MSC.438(99)、MSC.439(99)および MSC.445(99):GMDSSの改正
第 99 回会合において、MSC は、イリジウムを全世界的な海洋遭難安全システム(GMDSS)の移動
衛星通信事業者として認めました。これまで、インマルサットが GMDSS向けに承認された唯一の
衛星事業者でした。これにより、規則および無線証書の文言に対し、「認定された移動衛星業務」と
いう文言を追加するという軽微な変更が加えられます。
決議 MSC.436(99):旅客船の安全性
http://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.421%2898%29.pdfhttp://www.crs.hr/Portals/0/docs/eng/imo_iacs_eu/imo/msc_reports/MSC%2099-22-Add.1%20-%20Report,%20Annexes.pdf?ver=2018-08-01-105627-460http://www.crs.hr/Portals/0/docs/eng/imo_iacs_eu/imo/msc_reports/MSC%2099-22-Add.1%20-%20Report,%20Annexes.pdf?ver=2018-08-01-105627-460http://shippingregs.org/Portals/2/SecuredDoc/IMO/Docs/msc_res453.pdfhttps://info.lr.org/l/12702/2018-08-20/56kdfg/12702/195629/RESOLUTION_MSC.442_99_.pdfhttp://www.imo.org/en/Publications/Documents/IMDG%20Code/IMDG%20Code,%202018%20Edition/Changes%2039-18.pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Safety/RadioCommunicationsAndSearchAndRescue/SearchAndRescue/Documents/Documents%20relevant%20to%20SAR/Res.MSC.436%2899%29%20SOLAS%20amendments.pdfhttp://asp.mot.gov.il/media/com_form2content/documents/c3/a1295/f27/MSC%20438(99).pdfhttp://asp.mot.gov.il/media/com_form2content/documents/c3/a1296/f27/MSC439(99).pdfhttp://asp.mot.gov.il/media/com_form2content/documents/c3/a1301/f27/MSC%20445(99).pdfhttp://www.imo.org/en/OurWork/Safety/RadioCommunicationsAndSearchAndRescue/SearchAndRescue/Documents/Documents%20relevant%20to%20SAR/Res.MSC.436%2899%29%20SOLAS%20amendments.pdf
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安全帰港に関する規定は、2025 年 1月 1日以降の最初の更新検査までに、2014 年 1月 1日より前に
建造された既存の旅客船に適用されます。浸水事故後の安全な帰港を円滑化するため、船舶には、操
船情報が提供されなければならず、また、復原性計算機を搭載するか、または陸上からの支援措置を
提供しなければなりません。
決議 MSC.462(101):IMSBCコードの改正
改正 05-19が 2021 年 1月 1日に施行されます。ただし、2020 年 1 月 1 日から任意で実施すること
ができます。この改正には、種別 A貨物である細かなボーキサイトに関する新たな個別スケジュー
ル等、各種スケジュールの改訂が含まれます。
決議 MSC.421(98):区画と損傷時復原性、水密ハッチに関する要件
SOLAS 条約の第 II-I 章に対しては、以下の事項を含む多数の改正が行われました。
• 貨物船にあっては、船首隔壁を貫通する管には、ねじ下げ弁の代わりにバタフライ弁を使用
することができること。
• 旅客船にあっては、損傷制御訓練を実施すること。
• 水密ハッチの試験は、水密扉に準じる方法で行うこと。
決議 MSC.411(97):ガス運搬船の船橋の窓の火災遮断性
液化ガスばら積み船の船橋の窓には A-0 級以上の火災遮断性を求める規定が削除されました。
決議 MSC.409(97):検査期間の統一
非 ESP 貨物船、すなわち、検査強化プログラム(ESP)コードの対象外である船舶と、ESP船の検
査期間を統一するための要件が新たに設けられました。
決議 MSC.409(97):ボイラーの設置場所向けの泡消火器
SOLAS 条約 II-2/10.5 の改正により、固定式放水型消火装置が設置されているボイラー設置場所に
は、135 リットルの泡消火器の設置義務はなくなりました。メンバーの皆様は、消火装置に何らかの
変更があった場合には、消防設備図および消防設備操作冊子/火災訓練マニュアルも同様に変更する
ことを忘れないでください。
決議 MSC.409(97):船内騒音コード
コードに対する軽微な改正が行われ、船内騒音コードの適用に際しての矛盾に対処するため、「ただ
し、2015 年 1 月 1 日より前」という文言が削除されます。
https://www.crclass.org/chinese/download/ti-tc/105/1-7%20MSC.462(101).pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.421%2898%29.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-(MSC)/Documents/MSC.411(97).pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-(MSC)/Documents/MSC.409(97).pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-(MSC)/Documents/MSC.409(97).pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-(MSC)/Documents/MSC.409(97).pdf
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GARD INSIGHT 決議 MSC.425(98):進水装置および乗艇装置のウィンチブレーキ試験
ウィンチ、その構造要素およびウィンチブレーキにかかる負荷と安全率を明確にするため、国際救命
設備(LSA)コードの第 6.1 項が改正されました。
決議 MSC.449(99):船載インド地域航法衛星システム(IRNSS)の性能標準
IRNSSは、インドが開発し運営する地域航法衛星システムで、全世界における他の航法衛星システ
ムとの互換性があります。決議 MSC.449(99)は、IRNSS 受信機の性能標準を定めています。IRNSS
受信機は、以下の最小限の設備を備えたものでなければなりません。
• IRNSS信号を受信することができるアンテナ
• IRNSS受信機およびプロセッサー
• 計算された緯度/経度の位置へのアクセス手段
• データ制御およびインターフェース
• 位置表示のほか、必要に応じてその他の出力形式
国内法:中国における硫黄分濃度 0.1%規制
航洋船で使用される燃料油の硫黄分濃度は、内陸河川規制区域内を航行する際には、0.1%が上限と
なります。内陸河川規制区域は、長江の主流(雲南省水富市から江蘇省瀏河河口まで)および西江の
主流(広西省南寧市から広東省肇慶市まで)の可航水路です。中国の ECA に関する Gard Alertは
こちらからご覧いただけます。また、中国の MSAの実施の枠組みをまとめた、Gard のコレスポン
デントからの最新情報がこちらからご覧いただけます。
国内法:カリフォルニアの着桟中の排出に関する要件
カリフォルニア州の「着桟中の外航船に関する規則」により、フリートオペレーターは、2020 年 1
月 1日以降、カリフォルニア州の各港において、その船舶の補機からの着桟中の排出を 80%減らす
ことが求められます。これは 2017 年 1月に設定された 70%の削減目標に続くものです。着桟中排
出規則は、一定の種類の船舶のみを対象に、これらの船舶がカリフォルニアの港に頻繁に寄港する船
舶である場合に限り適用されます。1つの港に 1年に累計 25回以上寄港するコンテナ船と冷蔵貨物
船のフリートが規則の対象となります。1つの港に 1 年に累計 5回以上寄港する旅客船のフリートも
これに該当します。「フリート」とは、同じ会社の直接支配下にある 1つの船型のすべての所有船お
よび用船をいいます。このテーマに関する Gard alert は、こちらからご覧いただけます。
2020年 3月 1日
決議 MSC.305(73):EGCSを備えていない船舶に係る不適合燃料の輸送禁止
http://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Maritime-Safety-Committee-%28MSC%29/Documents/MSC.425%2898%29.pdfhttps://www.crclass.org/chinese/download/ti-tc/98/1-14%20MSC.449(99).pdfhttps://www.msa.gov.cn/page/article.do?type=hsfg&articleId=963211E33E380E72E0533A0820C68EA2http://www.gard.no/Content/27264222/Gard%20Alert%20-%20China%20expands%20its%20sulphur%20emission%20control%20areas%20(JP)%2020181217.pdfhttp://www.huataimarine.com/index.php?m=newscon&id=361&twoid=574https://ww3.arb.ca.gov/ports/shorepower/finalregulation.pdfhttps://sustainableworldports.org/wp-content/uploads/CARB-FACTS-ABOUT-At-Berth-Ocean-Going-Vessels-Regulation.pdfhttp://www.gard.no/web/updates/content/22359850/gard-alert-californias-at-berth-emission-requirements-toughenshttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Marine-Environment-Protection-Committee-%28MEPC%29/Documents/MEPC.305%2873%29.pdf
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GARD INSIGHT 排ガス浄化システム(EGCS)、すなわちスクラバー、が設置されていない船舶は、2020 年 3 月 1
日以降、硫黄分濃度 0.50%を超える燃料油を輸送することを禁止されます。硫黄分濃度の高い燃料
が 2020 年 1月 1日より前に消費されない場合には、その燃料はこの日までに受入施設にて処分され
なければなりません。2020 年 3月 1日以降、不適合燃料が船上に残っている場合、旗国および寄港
国に相談しなければなりません。なお、船舶にスクラバーが設置されていること、または船舶が適合
燃料の使用を選択したことが記載された新しい IAPP 証書が、2020 年 3月 1日以降の最初の IAPP 中
間検査までに発行されなければなりません。MSC.305(73)の要件は、船舶の推進または運航に使用さ
れる燃料について、2020 年 1月 1日以降の 0.50%の規制の発効日を何ら変更するものではありませ
ん。
2020年 3月 31日
決議 MSC.278(70):IMOデータ収集制度(DCS)
IMO DCSの最初の報告期間の開始日は 2019 年 1月 1 日であり、この報告期間における燃料油の消
費に関する報告書を、2020 年 3月 31日までに旗国または認定機関に提出しなければなりません。船
舶には、データの確認後、2020年 5月 31日までに、船級協会から適合証書が発行されます。この
適合証書は、その有効期間中、すなわち、それが発行された暦年と翌暦年の最初の 5か月間、船上に
備え付けておかなければなりません。
2020年 10月 1日
決議 MEPC.312(74)、MEPC.314(74)、MEPC.316(74)および MEPC.317(74):電子記録簿の使用
ハードコピーによる記録に代わるものとして、IMO の MEPC’74は、電子記録簿(ERB)の使用に関
する改正を採択しました。IMO は、これが事務処理に関わる大きな負荷を減らすのに役立ち、環境
への取組みに貢献することを期待しています。会社、船員、オフィサーによる記録の保存に関して
は、IMO は恩恵も予想しています。IMO のガイドラインは、以下の記録に関する要件を満たすよ
う、船上での電子記録の使用にのみ適用されます。
• 油記録簿パート I および II(MARPOL 条約附属書 I 第 17.1 規則および第 36.1 規則)
• 貨物記録簿(MARPOL 条約附属書 II 第 15.1 規則)
• 廃物記録簿パート I およびパート II(MARPOL 条約附属書 V 第 10.3 規則)
• オゾン層破壊物質記録簿(MARPOL 条約附属書 VI 第 12.6 規則)
• 舶用ディーゼルエンジンの層およびオン/オフ状態の記録(MARPOL 条約附属書 VI 第 13.5.
規則 3)
• 燃料油切替の記録(MARPOL 条約附属書 VI 第 14.6 規則)
• エンジンパラメーター記録簿(NOXテクニカルコード第 6.2.2.7 項)
http://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Marine-Environment-Protection-Committee-(MEPC)/Documents/MEPC.278(70).pdfhttps://ltsa.lrv.lt/uploads/ltsa/documents/files/Naudinga%20informacija/aktualus-TJO-pakeitimai/MEPC_312(74).pdfhttps://www.mardep.gov.hk/en/msnote/pdf/msin1922anx2.pdfhttp://asp.mot.gov.il/media/com_form2content/documents/c3/a1286/f27/MEPC%20316(74).pdfhttp://rise.odessa.ua/texts/MEPC317_74e.php3
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GARD INSIGHT 7 JANUARY 2020
GARD INSIGHT 重要なのは、電子記録簿は旗国の書面による確認を付して提供されなければならず、また、当局の調
査・検査を目的として船上に備え付けなければならないということです。電子記録の PSC 検査につ
いて、MEPC.312(74)では、「船舶が PSC 検査中に電子記録簿または海事当局が提供した宣言署を
提出することができない場合、PSC 担当職員は、確認のために、記録の代替認証コピーまたはハー
ドコピーの記録簿の閲覧を要請しなければならない」と定められています。
決議 MEPC.313(74)および MEPC.317(74):NOxテクニカルコード 2008の改正
選択的触媒還元(SCR)が装備されたディーゼルエンジンについては、以下の 2 つの NOx 認証制度
があります。
• 制度 A:SCR とエンジンの調査が一緒に行われる場合、すなわち、結合試験
• 制度 B:設置前に認証が別個に行われる
現在、旗国の海事当局が制度 Aは適切でないと判断した場合には制度 B のみを使用することができ
ます。新たな改正により、制度 B を申請するにあたり、海事当局の承認は必要ではなくなりまし
た。
2020年 10月 28日
決議 MEPC.300(72):バラスト水管理装置(BWMS)
2020 年 10月 28 日以降に設置されるバラスト水管理装置は、バラスト水管理装置の承認のための
IMO コード(BWMS Code)に従って承認されなければならないのに対し、2020 年 10月 28 日より
前に設置された装置は、BWMS コードまたは MEPC.279(70)によって採択された 2016 年 G8ガイド
ラインまたは MEPC.174(58)によって採択された G8 ガイドラインのいずれかに従って承認されなけ
ればなりません。バラスト水管理条約(BWMC)の実施に関するタイムラインを取り上げた Gard
Alert がこちらからご覧いただけます。船主および船舶管理者の皆様は、BWMC の更なる明確化のた
めに IMO および ICS が作成した FAQ もご参照ください。
2020年 12月 26日
MLC 2006:海上労働条約の規範に対する 2018年改正
基準 A2.1 および A2.2 が改正され、船舶に対する海賊行為および武装強盗の結果、船上または船外で
船員が捕虜となった場合に、船主が賃金その他給付金を船員に支払う義務を負うことになりました。
すなわち、船員の雇用契約は、有効期間が経過したとしても、船員が捕虜となっている間は、有効に
存続します。
2020年 12月 31日
https://ltsa.lrv.lt/uploads/ltsa/documents/files/Naudinga%20informacija/aktualus-TJO-pakeitimai/MEPC_312(74).pdfhttps://www.crclass.org/chinese/download/ti-tc/104/1-2%20MEPC.313(74).pdfhttps://www.mardep.gov.hk/en/msnote/pdf/msin1922anx4.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Marine-Environment-Protection-Committee-%28MEPC%29/Documents/MEPC.300%2872%29.pdfhttp://www.imo.org/en/Publications/Documents/Newsletters%20and%20Mailers/Mailers/IA621E.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Marine-Environment-Protection-Committee-%28MEPC%29/Documents/MEPC.279%2870%29.pdfhttp://www.imo.org/en/KnowledgeCentre/IndexofIMOResolutions/Marine-Environment-Protection-Committee-(MEPC)/Documents/MEPC.174(58).pdfhttp://www.gard.no/Content/26376354/Gard%20Alert%20-%20Do%20not%20wait%20too%20long%20before%20installing%20BWM%20systems%20(JP).pdfhttp://www.imo.org/en/MediaCentre/HotTopics/Documents/FAQ%20-%20Implementing%20the%20Ballast%20Water%20Management%20Convention.pdfhttp://www.ics-shipping.org/docs/default-source/resources/environmental-protection/ballast-water-management---frequently-asked-questions-(faqs).pdf?sfvrsn=20https://www.ilo.org/dyn/normlex/en/f?p=1000:51:::NO:51:P51_CONTENT_REPOSITORY_ID:3952969
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船舶リサイクル(SRR)に関する EUの法制度:有害物質インベントリ(IHM)
EU 加盟国の港または錨地に寄港しているすべての非 EU 籍船および既存の EU 籍船は、IHM を備え
付けていなければなりません。EU に登録している船には、インベントリ証書(IC)または国際リサ
イクル準備証書を備え付けていなければならないのに対し、非 EU 籍船については、初期の管理は適
合証書(SOC)に限定されます。これらの書類は、ポート・ステート・コントロールの検査中に検
査官が確認することができます。船主と船舶管理者は、IMO の船舶の安全かつ環境上適正な再生利
用のための香港国際条約(HKC)と比較して、EU 法では、インベントリに関して追加の要件が定め
られていることに注意する必要があります。
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