林業・木材産業の働き方をめぐる 現状の整理...3 mitsubishi ufj research and...
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林業・木材産業の働き方をめぐる
現状の整理
参考資料
1 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
森林資源の現況
わが国の森林資源は人工林を中心に年々増加しており、現在(2012 年)の蓄積量は 49 億 m3(1990 年比 56% 増)に達している。
森林資源の充実を受けて、今後、間伐や主伐、再造林等の事業量の増大が見込まれる。
1,598 1,892 2,338 2,651
3,042
1,538 1,590
1,701 1,779
1,858
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
1990 1995 2002 2007 2012
蓄積量(百万
m3 )
(年)
天然林 人工林
資料)林野庁「森林資源の現況」に基づき三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱(以下、MURC)作成。
3,138
4,901
4,4324,040
3,483
2 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
生産動向
林業における産出額と素材生産量は、これまで長期にわたって減少し続けてきたが、近年はいずれも増加傾向に
転じつつある。直近年(2016 年)の林業産出額と素材生産量(国産材)は、それぞれ 4,660 億円(2010 年比
10% 増)、2,070 万 m3(2010 年比 20% 増)である。
木材産業も製造品出荷額等でみると近年は増加傾向にあり、直近年(2016 年)は 2 兆 6,560 億円(2010 年比
24% 増)となっている。用材供給量も 1996 年以降減少傾向にあったところ、近年は下げ止まっている。
資料)左図は農林水産省「林業産出額」及び農林水産省「木材統計調査」、右図は経済産業省「工業統計調査 産業別統計表」及び林野庁「木材需給表」に基づき MURC 作成。注)右図の製造品出荷額等は「木材・木製品製造業(家具を除く)」の値を参照。
0
5
10
15
20
25
30
35
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1990 1995 2000 2005 2010 2015
国産
材の素材生産量(百万
m3 )
林業
産出額(
10億円)
(年)
その他
栽培きのこ類生産
木材生産
素材生産量
0
20
40
60
80
100
120
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
1990 1995 2000 2005 2010 2015
用材
供給量(百万
m3 )
製造
品出荷額等(
10億円)
(年)
その他
木材チップ製造業
合板製造業
集成材製造業
一般製材業
用材供給量
林業 木材産業
2016年2,070万m3
2016年4,660億円
2016年7,190万m3
2016年26,560億円
3 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
経営動向(林業)
わが国の林業経営体の数は約 87,000 経営体(2015 年現在)であり、そのうちの約 9 割を 1 世帯(雇用の有無
を問わない)で事業を行う家族経営体が占めている。経営体の数は 2010 年から 38% の減少となっている。
家族経営体が大半を占める一方で、生産規模が 5,000 m3 を超える経営体(全体の 10%)による素材生産が全体
の 76% に達している。
資料)農林水産省「2015 年農林業センサス」に基づき MURC 作成。注)右図は過去 1 年間に素材生産を行った経営体(10,490 経営体)を対象にしたデータ。
2010 2015
法人化している 6,789 5,599 ▲ 1,190 -18%
森林組合 2,261 1,819 ▲ 442 -20%
株式会社 2,429 2,365 ▲ 64 -3%
その他 2,099 1,415 ▲ 684 -33%
1,673 1,289 ▲ 384 -23%
法人化していない 131,724 80,396 ▲ 51,328 -39%
家族経営体 125,136 77,692 ▲ 47,444 -38%
その他 6,588 2,704 ▲ 3,884 -59%
140,186 87,284 ▲ 52,902 -38%
増減
地方公共団体・財産区
組織形態
計
53%
2%
22%
5%
15%
18%
5%
18%
5%
58%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
実経営体数
素材生産量
200 m3未満 200~1,000 m3 1,000~5,000 m3
5,000~10,000 m3 10,000 m3以上
全体の約9割
10%
76%
4 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
経営動向(木材産業)
木材産業では、工場の数が年々減少する一方で、大規模工場への生産集中が進んでいる。例えば製材業の場合、
2002 年から 2016 年にかけて工場の数は 53% 減少したが、特に落ち込みが大きかったのは出力規模が 75.0 kW 未満の小規模工場であった。その結果、従業員数と素材入荷量において、出力規模が 300.0 kW 以上の大規模工
場が占める割合が増加している。
資料)農林水産省「木材統計調査」に基づき MURC 作成。注1)いずれの図表とも製材業を対象としており、木材産業全体
のデータではない。注2)製材工場の出力数と年間素材消費量の関係の目安は次の通
り。75.0kW 未満:2,000m3 未満、75.0kW 以上~300.0kW 未満:2,000m3 以上 10,000m3 未満、300.0kw以上:10,000m3 以上。
4%
4%
12%
9%
27%
17%
21%
18%
16%
18%
19%
35%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
2002
2016
~22.5 kW未満 22.5~37.5 kW 37.5~75.0 kW75.0~150.0 kW 150.0~300.0 kW 300.0 kW以上
1%
1%
5%
2%
14%
5%
17%
9%
18%
13%
45%
70%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
2002
2016
2002 2016 増減
10,394 4,896 -53%
~22.5 kW未満 943 614 -35%
22.5~37.5 kW 2,460 941 -62%
37.5~75.0 kW 3,832 1,445 -62%
75.0~150.0 kW 1,761 913 -48%
150.0~300.0 kW 886 571 -36%
300.0 kW以上 512 412 -20%
計(工場数)
従業員数
素材入荷量
工場数
割合増
割合増
減少幅が大
5 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
従事者数(林業)
林業の従事者数は年々減少する傾向にあり、直近年(2015 年)は 45,440 人(1985 年比 64% 減)である。う
ち、女性の従事者数は 2,750 人であり、その割合は年々減少している(1985 年:15% ⇒ 2015 年:6%)。
直近年(2015 年)の若年者率(35 歳未満の従事者の割合)は 17% であり、概ね増加傾向にある。一方、高齢
化率(65 歳以上の従事者の割合)は、2000 年に 30% に達した後、減少に転じ、現在は 25% となっている。
107,192
86,243 71,096
59,552 47,685 48,210 42,680
19,151
14,254
10,468
8,006
4,488 3,020 2,750
8%6%
7%
10%
14%18% 17%
10%
14%
23%
30%
27%
21%
25%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
若年者率・高齢化率
従事者数(人)
(年)
女性
男性
若年者率
高齢化率
資料)総務省「国勢調査」に基づき MURC 作成。
女性比率15%
女性比率6%
45,440
126,343
6 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
従事者数(木材産業)
木材産業の従事者数は年々減少しており、直近年(2015 年)は 117,960 人(1985 年比 64% 減)である。う
ち、女性の従事者数は 26,660 人であり、その割合は年々減少している(1985 年:30% ⇒ 2015 年:23%)。
直近年(2015 年)の若年者率は 20% であり、概ね横ばいで推移している。一方、同年の高齢化率は 16% であ
り、1985 年以降増加傾向にある。
231,394 224,441 184,076
149,088 120,824
93,640 91,300
99,282 95,965
74,675
55,598
40,040
29,060 26,660
17% 17% 19%
22% 22%20% 20%
6%8%
11%12%
13%
14%
16%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,000
1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
若年者率・高齢化率
従事者数(人)
(年)
女性
男性
若年者率
高齢化率
資料)総務省「国勢調査」に基づき MURC 作成。注)「木材・木製品製造業(家具を除く)」の値を参照。
女性比率30%
117,960
女性比率23%
330,676
7 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
入職者数(林業)
直近年(2016 年)の林業への入職者数(現場技能者として新規に就業した者)は 3,055 人である。過去 6 年間
は概ね 3,000 人前後で推移しているものの、事業量の増大を見据え、労働力の確保と育成が課題となっている。
就業先については、2006 年まで森林組合の割合が民間事業体よりも高かったが、2007 年以降は逆転し、現在は
森林組合が 33%、民間事業体が 67% となっている。
資料)林野庁ホームページ「林業労働力の動向」に基づき MURC 作成。
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
5,000
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
新規就業者数(人)
(年)
民間事業体
森林組合
「緑の雇用」事業がスタート(2003年)
3,0553,204
3,0332,827
3,1903,181
4,014
2,843
2,3142,051(67%)
1,004(33%)
8 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
入職者数・離職者数(木材産業)
木材産業の入職者数と離職者数はいずれも年変動が大きいものの、概ね離職者数が入職者数を上回っている。木
材産業の従事者数が年々減少する中、人材の定着と育成を図る必要がある。
入職者数の大半を占めるのは転職入職者である。男女比でみると、男性の入職者数の方が圧倒的に多く、女性比
率は経年的に減少傾向にある。従事者を確保する観点から、女性の入職についても検討する必要がある。
資料)厚生労働省「雇用動向調査」に基づき MURC 作成。注)「木材・木製品製造業」の値を参照。
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,000
22,000
24,000
入職者数(人)
(年)
転職(女性)
未就業(女性)
転職(男性)
未就業(男性)
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,000
22,000
24,000
離職者数(人)
(年)
女性 男性
7,6006,800
8,000
12,400
7,600
12,00012,200
15,40014,000
20,500
9 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
人手不足感(農林漁業)
林業固有のデータではないが、農林漁業の有効求人倍率は全職業平均よりも 1 年早く 2014 年に 1 倍を超え(求
人数が求職者数を超過)、人手不足の状況となっている。
資料)厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」に基づき MURC 作成。注)有効求人倍率とは、求職者数に対する求人数の割合。
0.20
0.40
0.60
0.80
1.00
1.20
1.40
1.60
1.80
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
有効求人倍率(パートを含む)
(年)
職業計
農林漁業の職業
過剰
不足
10 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
人手不足感(木材産業)
木材産業は、他産業と同様に 2013 年頃から雇用人員判断 D.I. がマイナス値となっており、人手が不足している
状況である。
資料)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」に基づき MURC 作成。注)D.I.(%ポイント)は、「第 1 選択肢の回答社数構成比(%)」から「第 3 選択肢の回答社数構成比(%)」を差し引くことによって算出される。
雇用人員判断 D.I. の場合、「1. 過剰」と回答した社の構成比から「3. 不足」と回答した社の構成比を引いて算出。
-60
-50
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
40
50
60
1990 1995 2000 2005 2010 2015
雇用
人員判断
D.I.(
%ポイント)
(年)
全産業
製造業
木材・木製品
不足
過剰
11 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
労働日数(林業)
林業では、正規雇用者数が年々増加する一方、非正規雇用者数は減少傾向にある。
雇用形態に関わらず年間就業日数が 200 日未満の雇用者数は減少傾向にあり、雇用者(正規+非正規)に占め
る割合は 2007 年の 37% から直近年(2017 年)には 24% まで減少している(正規のみ:9%、非正規のみ:
64%)。しかし、依然として全産業平均や建設業よりも割合が大きく、雇用の安定化を図る必要がある。
資料)総務省「就業構造基本調査」に基づき MURC 作成。
22,600
25,600
28,800
4,100
10,400 9,400 7,300
4,100 3,300
2,200
2,200 2,500
1,700
200 200
200
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
16,80015,300
11,400
非正規雇用
4,100 2,900 2,500
9,900 9,600 11,000
7,900 11,800 13,100
600 1,300
2,200
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
300日以上
250~299日200~249日200日未満
正規雇用
9%
18%
62%
64%
12 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
労働日数(木材産業)
木材産業でも、雇用形態に関わらず年間就業日数が 200 日未満の雇用者数は減少しつつある。一方、雇用者
(正規+非正規)に占める割合でみると、概ね 10% 程度の水準で横ばいで推移している(2017 年は正規のみ:
5%、非正規のみ:31%)。また、全産業平均や建設業と比較すると、木材産業の割合の方がやや低い。
資料)総務省「就業構造基本調査」に基づき MURC 作成。注)「木材・木製品製造業(家具を除く)」の値を参照。
5,300 5,800 3,800
26,700 29,600 24,400
59,700 48,100 50,200
5,600
3,500 4,200
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
300日以上
250~299日200~249日200日未満
正規雇用
11,800 8,400 7,400
12,100 9,500 9,700
14,000
7,800 6,400
2,000
500 600
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
非正規雇用
5% 5%
97,300
86,90082,700
39,900
26,100 24,200
30%31%
13 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
労働日数(全産業、建設業)
直近年(2017 年)における全産業平均と建設業の年間就業日数が 200 日未満の雇用者数の割合は、それぞれ
21%、14% である(正規のみで見ると全産業平均:6%、建設業:7%、非正規のみで見ると全産業平均:45%、
建設業:45% )。
資料)総務省「就業構造基本調査」に基づき MURC 作成。
0
5,000,000
10,000,000
15,000,000
20,000,000
25,000,000
30,000,000
35,000,000
40,000,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
0
5,000,000
10,000,000
15,000,000
20,000,000
25,000,000
30,000,000
35,000,000
40,000,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
300日以上
250~299日200~249日200日未満
0
500,000
1,000,000
1,500,000
2,000,000
2,500,000
3,000,000
3,500,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
0
500,000
1,000,000
1,500,000
2,000,000
2,500,000
3,000,000
3,500,000
2007 2012 2017
雇用
者数
(人
)
(年)
全産業-正規雇用 全産業-非正規雇用
建設業-正規雇用 建設業-非正規雇用
6% 6%38% 45%
9% 7% 30% 45%
14 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
労働時間
直近年(2017 年)における林業と木材産業の平均年間就業時間はそれぞれ 1,927 時間、2,049 時間である。過
去の経年変化を見ると、いずれも 2014 年以降微減傾向を示しているが、林業は 2017 年に上昇している。
他産業と比較すると、林業は概ね他産業よりも就業時間が短い(ただし、2017 年は全産業平均と同水準)。
一方、木材産業の就業時間は建設業よりも短いが、全産業平均よりも長くなっている(ただし、2017 年には全
産業平均[生産工程のみ]と同水準になっている)。
資料)総務省「労働力調査」に基づき MURC 作成。注)木材産業は「木材・木製品製造業(家具を除く)」の「生産工程従事者」、建設業は「建設・採掘従事者」のデータを使用。また、全産業については、全職業総数データの
ほか、生産工程従事者のみのデータも示した。
1,861 1,830 1,829 1,826
1,927
2,095 2,121
2,076 2,076 2,049
1,600
1,700
1,800
1,900
2,000
2,100
2,200
2,300
2,400
2,500
2,600
2013 2014 2015 2016 2017
平均
年間
就業
時間
(年)
林業
木材産業
建設業
全産業
全産業(生産工程のみ)
15 Mitsubishi UFJ Research and Consulting
労働生産性
林業と木材産業の労働生産性はいずれも上昇傾向にあり、1985 年以降の 30 年間に林業は約 70%、木材産業は
約 120% 増加している。労働生産性上昇の背景には、高性能機械導入等の要因がある。
資料)左図は農林水産省「木材統計調査」、林野庁「木材需給表」及び総務省「国勢調査」、右図は林野庁「高性能林業機械の保有状況」に基づき MURC 作成。注)林業の労働生産性は国産材の素材生産量を林業従事者数で、木材産業の労働生産性は用材供給量を木材産業従事者数でそれぞれ除することによって算出した。
0
100
200
300
400
500
1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
1人当たり素
材生産量
(m
3/人
・年)
(年)
0
100
200
300
400
500
600
700
1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
1人当たり用材供給量
(m
3/人
・年)
(年)
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
1990 1995 2000 2005 2010 2015
保有台数(台)
(年)
その他
スイングヤーダ
タワーヤーダ
フォワーダ
スキッダ
プロセッサ
ハーベスタ
フェラーバンチャ
林業
木材産業
441
637
289
261
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賃金
林業、木材産業とも賃金のピークは全産業平均と同様に 40 ~ 50 歳代である。ただし、木材産業については、
賃金が減少するタイミングが全産業平均よりも早く訪れている。
林業、木材産業とも若年齢からピークに至るまでの賃金上昇幅が全産業平均よりも小さく、能力が適切に賃金に
反映されていない可能性がある。
資料)左図は国税庁「民間給与実態統計調査(平成25年分)」と林野庁業務資料に基づく。右図は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づき MURC 作成。
注1)左図について、全産業は1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与。また、林業は平成 25 年度アンケート調査結果における年間就業日数 210 日以上の者について、年齢別、所得別回答者数により試算された値。いずれも2013年のデータ。
注2)右図はいずれも 2017 年のデータ。
0.0
100.0
200.0
300.0
400.0
500.0
600.0
きまって支給する現金給与額:月(千円)
(年齢)
木材産業(男女計)
木材産業(男性)
木材産業(女性)
全産業(男女計)
全産業(男性)
全産業(女性)
0 100 200 300 400 500
20歳未満
20代
30代
40代
50代
60代前半
65歳以上
全世代平均
全産業
林業
年間平均所得(万円)
414305
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賃金制度(林業)
林業では、日給制または出来高制で雇用されている労働者が全体の 76% を占めており、月給制の労働者は 23%である。2002 年と比べると月給制の占める割合は増加しているが、依然として割合は高く、さらに雇用の安定
化を図る必要がある。
16%
23%
83%
76%
1%
1%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
2002
2016
月給制 日給制または出来高給 その他
資料)林野庁「森林組合一斉調査」に基づき MURC 作成。注)「月給制」には月給・出来高給併用を、「日給制または出来高給」には日給・出来高給併用を含む。
割合増
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社会保険等への加入(林業)
森林組合の雇用労働者が社会保険等に加入している割合は年々増加傾向にあり、直近年(2016 年)では、雇用
保険、健康保険、厚生年金への加入割合はいずれも 7 割を超えている。
しかし、建設業の雇用労働者と比べると、いずれの保険とも林業労働者の加入割合の方が低い。社会保険の適用
範囲を拡大するため、臨時的、間断的な雇用形態を改めていく必要がある。
資料)林野庁「森林組合一斉調査」及び国土交通省「公共事業労務費調査」に基づき MURC 作成。注)国土交通省「公共事業労務費調査」は、都道府県、政令市等発注の公共工事に従事する建設労働者(約 16 万人)の賃金支払い実態を調査してとりまとめたもの。
58%63%
78%84%
51%58%
75%80%
40%
56%
74%78%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2002 2010 2016 2016(建設業)
(年)
雇用保険
健康保険
厚生年金
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育児・介護休業等制度の利用
直近年(2017 年)における製造業及び農林業の育児・介護休業等制度の利用率は、いずれも 10% 前後である。
全産業平均と比較すると、製造業、農林業とも特に育児休業等制度の利用率が相対的に低くなっている。
ここに示すのは林業、木材産業固有のデータではなく、これら産業の特徴を正確に説明するものではないが、労
働力を確保する観点から、柔軟な雇用を実現していく必要がある。
資料)総務省「就業構造基本調査」に基づき MURC 作成。
全産業 17% 9%
正規雇用 19% 10%
非正規雇用 12% 8%
製造業 12% 10%
正規雇用 12% 10%
非正規雇用 12% 9%
農林業 7% 8%
正規雇用 8% 6%
非正規雇用 6% 9%
育児休業等制度利用 介護休業等制度利用
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労働災害
直近年(2016 年)における林業、木材産業の死傷者数と死亡者数は、林業:1,561 人、41 人、木材産業:1,206 人、9 人であり、時系列的に減少傾向にある。しかしながら、死傷年千人率を用いて他産業と比較すると、林
業、木材産業とも他産業を上回っており(特に林業の値が大きい)、安全な労働環境の整備が求められる。
資料)厚生労働省「労働災害統計」に基づき MURC 作成。
020406080100120140160
01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000
1990 1995 2000 2005 2010 2015
死亡者数(人)
死傷者数(人)
(年)
死亡者数
死傷者数
020406080100120140160
01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000
1990 1995 2000 2005 2010 2015
死亡者数(人)
死傷者数(人)
(年)
死亡者数
死傷者数
林業
木材産業
30.2
31.5
28.7 26.8
28.6
27.0
31.2
17.4
13.4 11.5
9.9
7.4 11.2
11.0
0
10
20
30
40
50
1990 1995 2000 2005 2010 2015
死傷年千人率
(年)
林業
木材産業
全産業
製造業
建設業
2016年死傷者:1,561人死亡者:41人
2016年死傷者:1,206人
2016年死亡者:9人