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U.D.C.る21.397.132:る21.397.331.2:る2l.385.8.032.3 ユーロピウム付活希土類けい光体の発光と励起スペクトル Emission and Excitation Spectra ofEu Activated RareEarth Phosphors 二* 子** RyajiOzawa Hisako Minegishi ユーロピウムで付活したイットリウム,ガドリニウムおよびルテシウムの酸化物とバナジン酸塩けい光体の 発光と励起スペクトルを調べた。これらのけい光体の発光ほ3価ユーロピウムイオンに固有のものであり,そ の発光効率ほ,酸化物けい光体の場合,約260nmに,バナジン酸塩けい光体の場合,約320nmにそれぞれ のピークをもった大きな励起バソドによって決められていた、。これらの励起バソドの性質について検討した。 また,励起スペクトルと発光スペクトルより,ユーロピウムイオンの発光に関与する主要準位を決定した。 1.緒 希土顆を付括剤として用いた発光物質は,レーザ材料 としてばかりでなく,けい光体としても興味がもたれる ようになってきた。希土塀で付活したけい光体の発光効 率は,周期率表の希土類元素配列の中央付近に位置した 元素で付活したとき,最も高く,中央から離れるに従っ て低くなることが経験則として知られている(l)。事実, Eu3十で什活したいくつかのけい光休は,紫外線または電子線なと による励起で,610~620mmの波長範囲に高効率な発光を現わ す。 従来,Eu3十で付活したけい光体は,固体中に導入した不純物元 素のエネルギー準位に対する結晶場の作用を調べる好個な材料とし て,1部の固休物理学者達に注目されていただけだった。それが Eu註+で付活したけい光体は,高価でほあるが今までに知られている どのけい光体より高効率で赤色に発光するため,工業的利用,特iこ カラーテレビジョン受像管の受像面に用いられている赤色成分けい 光体としての利用が注目されるようになってきた。 この報文ほ,カラーテレビジョン用として最近注目されてきたユ ーロピウムで付活した希土類の酸化物およぴバナジン酸塩けい光体 の励起および発光スペクトルを調べ,これらのけい光体の発光特性 について検討したものである。上記希土煩にほ,基底状態がS状態 にあるY,Gd,およぴLuを選んだ。LaもS状態にあるがランタ ン化合物ほ潮解性が大きいので除いた。S状態以外の希土叛を選ん だ場合,けい光体の発光効率は弱くなる(2)ので除いた。 2.実 けい光体試料ほ次のようにして作った。まず,それぞれのけい 光休構成成分元素の酸化物を適当な割合に混合し,この混合物を石 英ルツボに詰めて,酸化物けい光体を作る場合にはGd208を除いて 1,300℃で3時間,/ミナンソ酸塩けい光体を作る場合にほ1,100℃で 1時間ずつそれぞれ空気中で加熱してけい光体とした。Gd203:Eu ほ1,100℃で2時間加熱した。ユーロピウム付括剤量は5×10‾三 mole/mole基体結晶に固定した。使用希土塀の純度は99.99%で ある。 発光および励起スペクトルの測定には日立分光けい光光度計 MPF-2形を使用した。発光スペクトルは,最大発光を与える紫 外線(酸化物けい光体の場合,250nm,バナジン酸塩けい光体の 場合.320nm)を励起側分光器のスリット幅20nmで取り出し, けい光体試料に当て,発光側分光器のスリット幅を1nmにして掛 * 大日本塗料株式会社 ** 日立製作所那珂工場 図1 MPF-2形 分光蛍光光度計 定した。分光器と光電子増陪管の組合せからなる測定系の分光感度 補正は加えてない。励起スペクトルほ,主発光バンドの発光を与え るものとして測定した。すなわち酸化物けい光体の場合,611nm, バナジン酸塩けい光体の場合.619nmである。発光を検出する 側の分光器のスリット幅は6nmに固定した。励起側分光器の スリット幅ほ1.5nmとした。ニの条件で測定した場合,590~600 nm付近にある発光は検出光の中に混入していなかった。Ⅹeラン プの分光エネルギー分布による勧起スペクトルの補正ほ加えてな い。 3.結 ユーロピウムで付活したY.Gd,Luの酸化物およびバナジン酸 塩けい光休の発光スペクトルをそれぞれ図2と図3に示す。スペク トルほ520nm~640nm間についてだけ示したが,この波長範囲外 にも発光バンドほあった。しかし,それらの発光強度は比較すると 弱かったので略した。 酸化物けい光体の発光スペクトルの,励起光の波長による変化は 認められなかった。しかし,バナジン酸塩けい光体(LuVO4:Euを 除く)の発光スペクトルは,後述するEu3+の5Dl準位を直接励起す る537nm光で励起したときのみ,606nmの弱い発光バンドの強度 が609.5nmバンドのそれの6割まで増加していた。そのほかの励 起光で励起した場合,発光スペクトルは変わらなかった。各発光ノミ ンドのピーク波長をnm単位で図中に示した。 酸化物けい光体の発光スペクトルほ,希土澤成分の種殊による差 ほほとんどなく,Gd203を基体結晶とした場合,614nmの副/ミン ドがより見えやすくなっていたくらいである。 バナジン酸けい光体には,619,615および594nmにピークを持っ た強い発光/ミンドがあった。これら3個の発光バンドの相対強度比 ほ希土類成分の種類によって変わっていた,特にGdVO4:Euでほ 594nmの相対威度が増加していた。YVO4:EuとLuVO4:Euの 594nmと538nmバンドほ,それぞれ592.5nmと536.5nmに副バ ンドをもっていた。これらのバンドは後者のけい光体の方が見えや すかった。 バナジソ酸塩および酸化物けい光体の主発光バンドの発光を与え ー42-

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Page 1: ユーロピウム付活希土類けい光体の発光と励起スペ …Ll八一()4二Eu の く=〉 Lわl巾 罵 ∽∽ ∽に ト 岩∽ 琴 空,表芸 520 540 560 5帥 600 620.7

U.D.C.る21.397.132:る21.397.331.2:る2l.385.8.032.35

ユーロピウム付活希土類けい光体の発光と励起スペクトルEmission and Excitation Spectra ofEu Activated RareEarth Phosphors

小 沢 隆 二* 嶺 岸 久 子**RyajiOzawa Hisako Minegishi

要 旨

ユーロピウムで付活したイットリウム,ガドリニウムおよびルテシウムの酸化物とバナジン酸塩けい光体の

発光と励起スペクトルを調べた。これらのけい光体の発光ほ3価ユーロピウムイオンに固有のものであり,そ

の発光効率ほ,酸化物けい光体の場合,約260nmに,バナジン酸塩けい光体の場合,約320nmにそれぞれ

のピークをもった大きな励起バソドによって決められていた、。これらの励起バソドの性質について検討した。

また,励起スペクトルと発光スペクトルより,ユーロピウムイオンの発光に関与する主要準位を決定した。

1.緒 口

希土顆を付括剤として用いた発光物質は,レーザ材料

としてばかりでなく,けい光体としても興味がもたれる

ようになってきた。希土塀で付活したけい光体の発光効

率は,周期率表の希土類元素配列の中央付近に位置した

元素で付活したとき,最も高く,中央から離れるに従っ

て低くなることが経験則として知られている(l)。事実,

Eu3十で什活したいくつかのけい光休は,紫外線または電子線なと

による励起で,610~620mmの波長範囲に高効率な発光を現わ

す。

従来,Eu3十で付活したけい光体は,固体中に導入した不純物元

素のエネルギー準位に対する結晶場の作用を調べる好個な材料とし

て,1部の固休物理学者達に注目されていただけだった。それが

Eu註+で付活したけい光体は,高価でほあるが今までに知られている

どのけい光体より高効率で赤色に発光するため,工業的利用,特iこ

カラーテレビジョン受像管の受像面に用いられている赤色成分けい

光体としての利用が注目されるようになってきた。

この報文ほ,カラーテレビジョン用として最近注目されてきたユ

ーロピウムで付活した希土類の酸化物およぴバナジン酸塩けい光体

の励起および発光スペクトルを調べ,これらのけい光体の発光特性

について検討したものである。上記希土煩にほ,基底状態がS状態

にあるY,Gd,およぴLuを選んだ。LaもS状態にあるがランタ

ン化合物ほ潮解性が大きいので除いた。S状態以外の希土叛を選ん

だ場合,けい光体の発光効率は弱くなる(2)ので除いた。

2.実 験 方 法

けい光体試料ほ次のようにして作った。まず,それぞれのけい

光休構成成分元素の酸化物を適当な割合に混合し,この混合物を石

英ルツボに詰めて,酸化物けい光体を作る場合にはGd208を除いて

1,300℃で3時間,/ミナンソ酸塩けい光体を作る場合にほ1,100℃で

1時間ずつそれぞれ空気中で加熱してけい光体とした。Gd203:Eu

ほ1,100℃で2時間加熱した。ユーロピウム付括剤量は5×10‾三

mole/mole基体結晶に固定した。使用希土塀の純度は99.99%で

ある。

発光および励起スペクトルの測定には日立分光けい光光度計

MPF-2形を使用した。発光スペクトルは,最大発光を与える紫

外線(酸化物けい光体の場合,250nm,バナジン酸塩けい光体の

場合.320nm)を励起側分光器のスリット幅20nmで取り出し,

けい光体試料に当て,発光側分光器のスリット幅を1nmにして掛

*大日本塗料株式会社

**日立製作所那珂工場

図1 MPF-2形 分光蛍光光度計

定した。分光器と光電子増陪管の組合せからなる測定系の分光感度

補正は加えてない。励起スペクトルほ,主発光バンドの発光を与え

るものとして測定した。すなわち酸化物けい光体の場合,611nm,

バナジン酸塩けい光体の場合.619nmである。発光を検出する

側の分光器のスリット幅は6nmに固定した。励起側分光器の

スリット幅ほ1.5nmとした。ニの条件で測定した場合,590~600

nm付近にある発光は検出光の中に混入していなかった。Ⅹeラン

プの分光エネルギー分布による勧起スペクトルの補正ほ加えてな

い。

3.結 果

ユーロピウムで付活したY.Gd,Luの酸化物およびバナジン酸

塩けい光休の発光スペクトルをそれぞれ図2と図3に示す。スペク

トルほ520nm~640nm間についてだけ示したが,この波長範囲外

にも発光バンドほあった。しかし,それらの発光強度は比較すると

弱かったので略した。

酸化物けい光体の発光スペクトルの,励起光の波長による変化は

認められなかった。しかし,バナジン酸塩けい光体(LuVO4:Euを

除く)の発光スペクトルは,後述するEu3+の5Dl準位を直接励起す

る537nm光で励起したときのみ,606nmの弱い発光バンドの強度

が609.5nmバンドのそれの6割まで増加していた。そのほかの励

起光で励起した場合,発光スペクトルは変わらなかった。各発光ノミ

ンドのピーク波長をnm単位で図中に示した。

酸化物けい光体の発光スペクトルほ,希土澤成分の種殊による差

ほほとんどなく,Gd203を基体結晶とした場合,614nmの副/ミン

ドがより見えやすくなっていたくらいである。

バナジン酸けい光体には,619,615および594nmにピークを持っ

た強い発光/ミンドがあった。これら3個の発光バンドの相対強度比

ほ希土類成分の種類によって変わっていた,特にGdVO4:Euでほ

594nmの相対威度が増加していた。YVO4:EuとLuVO4:Euの

594nmと538nmバンドほ,それぞれ592.5nmと536.5nmに副バ

ンドをもっていた。これらのバンドは後者のけい光体の方が見えや

すかった。

バナジソ酸塩および酸化物けい光体の主発光バンドの発光を与え

ー42-

Page 2: ユーロピウム付活希土類けい光体の発光と励起スペ …Ll八一()4二Eu の く=〉 Lわl巾 罵 ∽∽ ∽に ト 岩∽ 琴 空,表芸 520 540 560 5帥 600 620.7

ユーロピウム付括希土簸けい光体の発光と励起スペクトル 559

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図2 ユーロヒウムで付活Lた

希土規酸化物けい光体の発光スぺクト′L

る励起スペクトルを図4と図5に示す。それぞれの励起スペクトル

は短波長側i・こ大きなバンドをもっていた「.バナジン酸塩けい光体で

は323nmに,酸化物けい光体では約260nmにそれぞれのピーク

波長があった。,この大きな助起バンドの長波長側にバンド幅の狭い

幾つかの小さい励起バンドがあった.二】これらの弱い勃起バンドを見

ヤすくするため拡大して国中に示したこ 図中の数字ほそれぞれの励

起バンドのピーク波長をnm単位で示したものである。発光スペグ

ト′レの場合とは反対に,酸化物けい光体の助起スペクトルはバナジ

ン酸塩けい光体のそれに比べ複雑であった。

バナジン酸塩けい光体で,YVO4:EuとGdVO4:Euの466と467

nmの分裂はLuVO4:Euには見られず,468.5nmバンドだけにな

っていた。一方,538nmバンドほ,YVO4:EuとLuVO4:Euで

538と537nmに分裂していた。

酸化物けい光体では,Gd。Osの主励起バンドに277と279nmの

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波 長(Ilm)

励起波長320nm

図3 ユーロピウムで付活した希土類バナジン酸塩けい光体の発光スペクトル

2個の狭いバンドが重なっていた。

1.薯 察

Eu3十で付活した希上叛けい光体の発光効率は図4と図5から明

らかなように,紫外域にある幅広い大きな励起バンドによってほと

んど決められる。このようにけい光体の発光効率を左右する大きな

励起バンドの性質を明らかにするため,YVO4:EuとY208:Euを

主にして調べた。

YVO4:Euの紫外域での反射スペクトルを測定した結果,吸収鳴

渡長(320nm)と主励起バンドのピーク波長(323nm)ほほぼ一致し

た。このことより,YVO4:Euの主励起バンドは,YVO4結晶の最

上位の禁止帯間の電子遷移に帰せられる。上記結果ほYをGdまた

はLuで置き換えても同じであった。これらの希土類のバナジン酸

塩けい光体の最上位の禁止帯幅を決める因子は,希土類の陽イオン

成分でなく,VO3からなるバナジン酸基であるようである。

バナジン酸塩けい光休の電導帯に励起された電子のエネルギーが

ー43-

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560 昭和42年5月 日 比 評 論 第49巻 第5号

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発光の検出は611nmで行なった。

図4 ユーロピウムで付活した希土瞑酸化物けい光体の励起スペクトル

よくシールドされたEua十の内部殻に伝達される機構はよく解って

いないが,この種のエネルギー伝達現象ははかのけい光体でも見ら

れ,基体増感と呼ばれている。

酸化物けい光体の場合,たとえば純粋なセ208の基礎吸収端は

230nmにあって主励起バソドのピーク波長(260nm)より可成短波

長側にある。したがって,バナジン酸塩けい光体の場合と同じよう

に基体結晶に原因した電子遷移iこよって主励起バンドはできている

のでほない。この励起バンドはEu3+のf-d電子遷移によるもの(3)

か,またはfのかく乱準位による(4)と考えられている。

吸収端波長がさらに短波長側(真空紫外域)にあるEu2(SO4)各の

励起と発光スペクトルを図るに示す√)励起スペクトルは/ミンド幅の

狭いバンド群からなり,これらはすべてEu3十の直接励起ノミソドに

帰せられる。この励起スペクトルにほ,Y203:Euに見られた幅広い

大きな励起バンドは見られない。Y203:Euの主励起バンドがEu3+

のf-d電子遷移であるならば,図d中にもその励起バンドは現われ

てよいだろう。したがって,主励起ノミソドほf-d電子遷移によると

は考えにくい。Eu3+を酸化物の結晶場に入れたとき,Eu2(SO4)aに

見られた253~280nm間の小さいバンド群がかく乱されると同時

にその道移確率も極度に増加したと考えれば,酸化物けい光体の主

励起バンドはfのかく乱準位によって作られていると言える(主励

起ノミンドにGd203:Euを除いて構造が現われていないので,断定

は困難である)。

Gd203:Euの277nmと279nmの構造は,Bril代ら(5)による報

告と一致する。かれらは,これほGd3+に固有な吸収であり,ここ

で吸収されたエネルギーがEu3十に伝達されるとした。

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発光の検出は619nmで行なった。

図5 ユーロピウムで付活した希土短のバナジン酸塩けい光体の励起スペクトル

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600 600 620

けい光スペクトルは319nm紫外線で励起して測定した。

励起スべクト/しは発光波長618nmで検出した。

図6 Eu2(SO4)aの発光スペクトル(B)と励起スペクトル(A)

Y203にGdを7moleタg加えて作ったけい光体の発光と励起スペ

クトルを図7に示す。このけい光体ほGda十に原田した314nmの

発光を現わす。この発光を与える励起スペクトルは,220,231,237,

277および279nmにピークをもったバンドからなる。Gd203での

発光および励起スペクトルの測定は,発光が弱く,励起側4nm検

出側2nmまたはその道の条件でスリット幅を設定して測定した図

7の条件では測定できなかった。Y203:Gdにあった237nm以下の

励起ノミンドが,Gd203:Euの励起バンド中に欠険してはいたが,Gヱ

03:Euの場合も図7の例とほぼ同じと考えれば,図4に示した

Gd203:Euの277nmと279nmの励起バンドは314nmの発光を

与えている。一方,Gd203:Euの611nmの発光を与える励起バン

ドだけには314nmに比較的強い励起′ミンドがあり(図4参照)上記

-44-

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ユーロピウム付括希土類けい光体の発光と励起スペクトル 561

■一書I

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励起

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発光

260 300

波 長(nm)

発光スペクトル

励 起 波 長

励 起スリット

けい光スリット

図7 Y203:

発光スべク

220.5nm

4 mm

2 nm

340

励起スペクトル

けい光波長:314nm

けい光スリット 4nm

励 起スリット 2nm

Gd(7×10‾2mole/1TlOleYヨ03)の

トルと励起スペクトル

表1 結晶形に依存したStark効果によるEu3+の分裂数

′針′晶結 0 1 2 3 4 5 6

5 6

7 9

11 13

Gd3+の発光波長と一致する。したがって,277nmまたは279nm

の励起バンドから611nmの発光を与えるまでの過程は,Gd3+の吸

収→Gd3十の発光一Eu3十によるその吸収→Eu3+の発光となってい

る。このようなエネルギー伝達はGdVO4:Euには見られなかった。

図2に示したように,酸化物けい光体の主発光ピークは611nm

にあり,これはEu3十の5Do-7F2の電子遷移に仰せられる(3)。.一方,

バナジン願塩けい光体の主発光バンドは,測定系の分光感度を考え

合わせて,619nmにあり,この発光も5Do→7F2遷移に帰せられ

ている(6)。同じ準位問の電子遷移であるにもかかわらず,基体結晶

の種煩により発光波長がこのように変わる原田は,それぞれの準位

がEu3+の置かれている結晶場から受ける作用が異なるためである。

結晶場の作用のうち,最も大きいのはStark効果である。Stark

効果によりそれぞj‾tの準位が何本の準位に分裂するかは,表1に示

すように,Eu3+を導入する結晶の結晶構造と準位のjの値に依存す

る。発光は5Duからこれらの分裂準位への電子遷移によって生じ

その遷移確率は分裂準位のもつStark成分の大きさに依存するた

め,上記主発光バンドの位置に差が現われたのである。遷移確率は

Stark成分の小さい準位へのものが大きい。

これらの因子ほ,Eu3+を導入する基体結晶の結晶形が決まれば,

あまり大きな変化はない。Y203:Eu,Gd203:EuおよびLu203:

Euの結晶形は立方晶形に属し,YVO4:Eu,Gd2VO4:Euおよび

LuVO4:Euは正方晶形に属しているため,これらを基休結晶とし

たEu3十けい光体の発光スペクトルは二つに塀別される。Gd203ほ

1,250℃以上で作られた場合,単斜品形となり,その発光スペクト

ルは,立方晶形のGd203:Euと異なったものになっていた(図8

+〔

500 550 600 65【l

浩一モミ(11mり

励起波長280nm

図8 単斜晶形Gd203:Euの発光スペクトル

参照)。

励起スペクトルの各吸収バンドは,Eua+内の電子遷移に帰せら

れる。励起はすべて基底準位の7Foから各励起準位への電子遷移で

あると仮定して,励起スペクトルから5Do以上の準位を調べた。し

かし5D3以上の準位のStark成分までをも含めて正確な割り当て

は,この測定データだけでほむずかしい。5D。から5D望までの準位

の割り当てを図4および図5中に示した。

酸化物けい光体の場合,基体結晶の結晶形は立方品形であるの

で,5D2は2個に分裂し,5Dlと5Doは分裂しないはずである。し

かし,5Dlも5D。もともに三つの準位に分裂していた。Eu3十が基体

結晶中で占める位置に二つの対称性(低対称性のC2と高対称性の

S6)を持ち合わせているためだろう。単位セルの中に,24個のC2と

8個のS6が共存し(8),これらの対称性の異なった位置を占めてい

るEu3十の分裂準位がともに励起スペクトルに現われているのだろ

う。この泥り合いは,本来1本であるものが弱い2本のバンドを伴

っているので,ほかの準位もこの割り合いになっていると,5D2の

分裂準位の数が合う。図に示さなかったが,5D2に属するバンドは

458,465,467,472,476およぴ480nmにあった。

バナジン酸塩けい光体の場合,LuVO4:Euの5D2の分裂数が4

本であった例を除けば,図5に示したように5D2ほ5本に,5Dlほ

3本に,5D。は分裂していなかった。これらのけい光体の結晶構造

は正方晶形であるので,上記分裂準位数はよい対応がある。

7Fj準位の状態は,赤外域の吸収スペクトルによって直接明らか

iこされるが,けい光体の発光に関与する主要準位ほ5D。と7F2準位

であるので,5Doを直接励起する方法によって7F2の状態を推測で

きる。

酸化物けい光体の場合,二つの対称性をもった格子ノピ、ミをEu3+が

無作為に占めているが,611nmの発光をもたらす5Do-7F2遷移が

生ずるのは,低対称性(C2)の所を占有したEu3+である。上記遷移

は電気双極子遷移で,対称性のよい結晶中では禁制遷移となるかま

たは許容されても非常に弱いからである。この理由によって発光ス

ペクトルの主発光バンド611nmとその副バンド614nmは,7F2の

分裂に帰せられる。5D。から7Flまたほ7F。準位への遷移は,各上記

遷移とに発光波長域が異なる。

バナジン酸塩けい光体の場合も同様にして,5D。から7F2への遷

移として609.5,613,615,619およぴ624nmの5個の発光が検出

された。

バナジン酸塩けい光体で5Dlをi∈二亡接励起したとき,605nmの発

光が強められた原因,およぴ594nmのバンドに592.5nmの副/ミ

ー45一

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562 昭和42年5月 日 止 評 論 第49巻 第5号

ンドが現われた原田はよく説明できなかった。ただ,594nmに分

裂が検出されたけい光体は,励起スペクトルの538nmバンドもほ

ぼ同じエネルギー差で分裂していたことと,594nmの発光バンド

に分裂が検出されなかったGdVO4:Euけい光体でほ,538nm励起

ノミソドも分裂していなかったことを記しておく。これらを明らかに

するためさらに進んだ研究を続けて行きたい。

5.結 ロ

カラーテレビジョン用赤色発光成分けい光体として注目されてい

るユーロピウム付括希土輝酸化物およびバナジン酸塩けい光体の発

光と励起スペクトルを調べた。主発光バンドはEu3十の5Do-7F2へ

の電子遷移に帰せられる。これらのけい光体の発光効率は,バナジ

ン酸塩けい光体の場合,基体増感と呼ばれる励起バンドの大きさに

よって,酸化物けい光体の場合,4f電子殻のかく乱準位に原因した

と思われる励起バンドの大きさによって決まる。Eu3+の5Do,5Dl,

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5D2およぴ7F2準位のけい光体基体結晶中でのStark効果について

検討し,発光バンドの位置は基体結晶の結晶形によって決められる

ことを明らかにした。

1

2

3

4

5

(6)

(7)

参 鳶 文 献

G.H.DiekeandL.A.Hall:J.Chem.Pbys.,27,

L.G.VanUitert,R.R.SodenandR.C.Linares:

Physリ3る,1797/1962N.C.Chang

R.C.Ropp:

A.Briland

1363/1964F.C.Palilla,

465/1957

J.Chem.

:J.Appl.Physり34,3500/1963J.Electrocbem.Socリ111,312/1964

W.L.Wanmaker:J.Electrochem.Soc.111,

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cbem.Soc.112,776/1965P.Pringsheim:FluorescenceandPhospborescenee.Inter-

science Pub.Inc.,NewYork,/1965

(8)N.C.Chang andJ.B.Gruber:J.Chem.Phys.41,3227/1964

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日 立 評 論 社

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特 言午 の 紹 介

特許第459396号(特公昭40-13301号)

陰 極 線 管 用 電

ニの発明は陰極線管用電・‾f妄充の構造に関するもので,図面に示す

ように陽極またはグリッドと有庶外筒とを結合することによって形

成された室内に陰極オキサイドとヒータとを収蔵し,前記陽極また

はグリッドの電子通過孔を,加熱により蒸発させることのできる金

属で封止することによって,陰極オキサイドとヒータとを収蔵した

室を気密に閉鎖しうる構造とした陰極部構体をその一部にもつこと

を特長とするものである。

この発明iこよれば,あらかじめ陰極部の活性化エージソグを完了

した電子銃を用いて管球を組立てることができるので.経済的でか

つ大量生産に適するというすく、、れた効果を有するものである。

陰瞳オキサイド

スリープ

スリープきさえ

ー46-

テム\ス

図1

今 村 好 信

溶封金属

第2グリッドまたは陽極

リング状セラミック

第1グリッド

外筒

ステムセラミック

ヒータ

封入ガブス