三井住友アセットマネジメント株式会社...customer case study / 1...

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Finance VMware vCenter Site Recovery Managerにより、 BCP 環境の実効性を向上。Disaster Recovery サイトへの 切り替え時間を 1 週間から1 日に短縮 KeY HiGHLiGHTS 成果 ・DRサイトへの切り替え工数を1/4に削減 ・DR サイトへの切り替え時間を1 週間か ら1日に短縮 ・RTO( 目標復旧時間 )、RPO( 目標復旧 地点 ) の明確化 導入環境 ・VMware vSphere ・VMware vCenter Site Recovery Manager SRM 導入の主な目的 ・本番サイトと DR サイトの切り替え作業 工数の削減 ・サーバ切り替え時間の短縮により実効 性の高い BCP 環境の実現 三井住友アセットマネジメント株式会社 日本国内トップクラスの資産運用会社として社会の発展に寄与する三井住友アセットマネジメ ント株式会社。同社は、2007年に情報システムをデータセンターに移行する際、仮想化によ りサーバを集約するとともに Disaster Recovery(DR) サイトを構築。しかし、本番サイトと DR サイトとの間の切り替え作業には多くの工数が必要でした。2011年、東日本大震災をきっ かけに災害対策として BCP 環境の実効性を高めるためにVMware vCenter Site Recovery Manager(SRM) を導入。DR サイトへの切り替え工数を1/4に削減し、切り替え 時間も1週間から1日に短縮しています。 東日本大震災後、BCP環境の実効性が大きな課題に 経済環境の変化や少子高齢化の進展などによる将来の経済面への不安から資産運用のニー ズが高まっています。三井住友アセットマネジメントは、「お客様第一主義」の経営理念のもと、 最高品質の資産運用サービスを通じて日本経済・社会の発展に貢献する国内トップクラスの 資産運用会社です。 同社は、個人から法人まで幅広い層に対する投資信託委託業務と、国内外の公的・私的年金 や銀行、保険会社などの機関投資家向けにオーダーメイドで運用サービスを提供する投資顧 問業務を展開。リサーチを重視し、内外株式、内外債券はもとよりアジア・中国地域などを投 資対象とした豊富な商品ラインナップで多様なニーズに応えています。 同社において、様々な資産運用アプリケーションが動くIT インフラは、企業活動はもとより社 会的信用を支えています。同社では、従来より事業継続性の観点から IT インフラにおける災 害対策に積極的に取り組んできました。そこで 2007 年、社内で稼動していた IT インフラを データセンターに移行する際、VMware を活用してサーバの集約を実現するとともに、DR サイトも本番と同じ環境で構築しました。しかし、本番サイトとDR サイトの間で、データの同 期に関して課題が生じていました。 同社の IT 戦略を担う事務システム戦略部長 松島 士郎 氏は「データの同期方法として、本 番サイトからのバックアップテープの搬送、バッチ処理による連動、ミドルウェアを使ったリア ルタイムでの同期と、システムの優先度に合わせて 3 種類の方法を適用していました。しかし、 手順が複雑化し切り替え作業にも時間がかかるため、災害時の迅速な対応の面で課題があり ました。2011 年 3 月の東日本大震災後、経営層からも BCP 環境の実効性を強く求める声 が挙がっていました」と振り返ります。 実効性とともに復旧手順の自動化を評価してSRMを導入 BCP 環境の実効性を考えたときに、データを同期するレイヤーは重要なポイントになります。 事務システム戦略部 マネージャー 熊谷 貴夫 氏は「ミドルウェアのレイヤーではなく、もっ とベースとなるストレージのレイヤーでデータの同期をしない限り、災害が起きたときに本 番サイトと同じように業務の継続を図ることはできません。ストレージのレベルで日々デー タの同期が行えることは SRM 導入の決め手となりました」と語ります。 実効性とともに手順の簡素化も大きなポイントでした。SRM は、復旧手順の自動化と外部 ストレージとのシームレスな連携により、VMware vSphere 環境を DR サイト構成へと容 易に拡張できます。同社が 2010 年に導入したストレージが SRM 対応だったこともあり、 これを DR サイトでも利用することで SRM のメリットを享受できる点も採用を後押ししまし た。 事務システム戦略部 シニアマネージャー 岡本 氏は次のように話します。「これまでもス トレージの機能でデータのコピーまでは実現できました。しかし、そこから先は手作業で 1 CUSTOMER CASE STUDY / 1 「以前から災害対策用サーバは設置してい ましたが、実効性という意味で問題があり ました。東日本大震災をきっかけに BCP 環境の実効性を強く求める声が経営層か らも挙がり、SRM を導入することで災害対 策として本当に有効な仕組みを確立しよう ということになりました」 三井住友アセットマネジメント株式会社 事務システム戦略部長 松島 士郎 氏

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Page 1: 三井住友アセットマネジメント株式会社...CUSTOMER CASE STUDY / 1 「以前から災害対策用サーバは設置してい ましたが、実効性という意味で問題があり

Finance

VMware vCenter Site Recovery Managerにより、BCP環境の実効性を向上。Disaster Recoveryサイトへの切り替え時間を1週間から1日に短縮

KeY HiGHLiGHTS

成果・DRサイトへの切り替え工数を1/4に削減・DRサイトへの切り替え時間を1週間か

ら1日に短縮・RTO(目標復旧時間)、RPO(目標復旧

地点)の明確化

導入環境・VMware vSphere・VMware vCenter Site Recovery

Manager

SRM 導入の主な目的・本番サイトとDRサイトの切り替え作業

工数の削減・サーバ切り替え時間の短縮により実効

性の高いBCP環境の実現

三井住友アセットマネジメント株式会社

日本国内トップクラスの資産運用会社として社会の発展に寄与する三井住友アセットマネジメント株式会社。同社は、2007年に情報システムをデータセンターに移行する際、仮想化によりサーバを集約するとともに Disaster Recovery(DR) サイトを構築。しかし、本番サイトとDRサイトとの間の切り替え作業には多くの工数が必要でした。2011年、東日本大震災をきっかけに災害対策として BCP 環境の実効性を高めるために VMware vCenter Site Recovery Manager(SRM)を導入。DR サイトへの切り替え工数を1/4に削減し、切り替え時間も1週間から1日に短縮しています。

東日本大震災後、BCP環境の実効性が大きな課題に

経済環境の変化や少子高齢化の進展などによる将来の経済面への不安から資産運用のニーズが高まっています。三井住友アセットマネジメントは、「お客様第一主義」の経営理念のもと、最高品質の資産運用サービスを通じて日本経済・社会の発展に貢献する国内トップクラスの資産運用会社です。

同社は、個人から法人まで幅広い層に対する投資信託委託業務と、国内外の公的・私的年金や銀行、保険会社などの機関投資家向けにオーダーメイドで運用サービスを提供する投資顧問業務を展開。リサーチを重視し、内外株式、内外債券はもとよりアジア・中国地域などを投資対象とした豊富な商品ラインナップで多様なニーズに応えています。

同社において、様々な資産運用アプリケーションが動くITインフラは、企業活動はもとより社会的信用を支えています。同社では、従来より事業継続性の観点からITインフラにおける災害対策に積極的に取り組んできました。そこで2007年、社内で稼動していたITインフラをデータセンターに移行する際、VMwareを活用してサーバの集約を実現するとともに、DR サイトも本番と同じ環境で構築しました。しかし、本番サイトとDRサイトの間で、データの同期に関して課題が生じていました。

同社のIT戦略を担う事務システム戦略部長 松島 士郎 氏は「データの同期方法として、本番サイトからのバックアップテープの搬送、バッチ処理による連動、ミドルウェアを使ったリアルタイムでの同期と、システムの優先度に合わせて3種類の方法を適用していました。しかし、手順が複雑化し切り替え作業にも時間がかかるため、災害時の迅速な対応の面で課題がありました。2011年3月の東日本大震災後、経営層からもBCP環境の実効性を強く求める声が挙がっていました」と振り返ります。

実効性とともに復旧手順の自動化を評価してSRMを導入

BCP環境の実効性を考えたときに、データを同期するレイヤーは重要なポイントになります。事務システム戦略部 マネージャー 熊谷 貴夫 氏は「ミドルウェアのレイヤーではなく、もっとベースとなるストレージのレイヤーでデータの同期をしない限り、災害が起きたときに本番サイトと同じように業務の継続を図ることはできません。ストレージのレベルで日々データの同期が行えることはSRM導入の決め手となりました」と語ります。

実効性とともに手順の簡素化も大きなポイントでした。SRMは、復旧手順の自動化と外部ストレージとのシームレスな連携により、VMware vSphere環境をDRサイト構成へと容易に拡張できます。同社が2010年に導入したストレージがSRM対応だったこともあり、これをDRサイトでも利用することでSRMのメリットを享受できる点も採用を後押ししました。

事務システム戦略部 シニアマネージャー 岡本 貴 氏は次のように話します。「これまでもストレージの機能でデータのコピーまでは実現できました。しかし、そこから先は手作業で1

C U S T O M E R C A S E S T U D Y / 1

「以前から災害対策用サーバは設置していましたが、実効性という意味で問題がありました。東日本大震災をきっかけにBCP環境の実効性を強く求める声が経営層からも挙がり、SRMを導入することで災害対策として本当に有効な仕組みを確立しようということになりました」

三井住友アセットマネジメント株式会社 事務システム戦略部長 松島 士郎 氏

Page 2: 三井住友アセットマネジメント株式会社...CUSTOMER CASE STUDY / 1 「以前から災害対策用サーバは設置してい ましたが、実効性という意味で問題があり

DRサイト 平常時: 待機状態 災害発生時: vCenter SRMにて切替・起動

DB Server

Application Server

Mail Server

Web Server

Storage

バックアップ用広域 Ethernet

本番用広域 Ethernet

インターネット

外部接続系専用線

本番サイト

DB Server

Application Server

Mail Server

Web Server

Storage

バックアップ回線でストレージ同期

ストレージレベルで同期

災害対策用 クラウド環境

ヴイエムウェア株式会社 〒105-0013 東京都港区浜松町1-30-5 浜松町スクエア13F URL:www.vmware.com/jpCopyright©2012 VMware, Inc. All rights reserved. Protected by U.S. and international copyright and intellectual property laws. VMwareおよびVMwareロゴはVMware, Inc.の商標です。他のすべての社名および製品名はそれぞれの企業の商標です。 Item No. CS_SMAM_JPQ212

つ1つのサーバに対して切り替え作業を施していかないといけないため、RTO(目標復旧時間)が長くなります。災害が起きてもシームレスに使えるように、極力時間をかけずに環境を用意することを常に考えていました。さまざまなDRツールを検討した結果、目的に適っていたのが SRMでした」

さらに、別の側面でのメリットについて熊谷氏は、「従来のテスト環境では、本番環境との差異が大きな課題でした。SRMは、本番サイトとの同期を常時行っていますので、DRサイト環境をテスト環境としても利用しています」と話します。

DRサイトへのサーバの切り替え時間を1週間から1日に短縮

現在、同社ではすべての仮想サーバにSRMを適用。従来、すべてのサーバの切り替えに1週間を要しましたが、今では半日で作業を完了、サーバ切替後のデータ補正や業務データ補完作業を含めても1日での対応を実現しています。

また、災害対策として本番サイトからDRサイトへ高度な切り替えが行われますが、SRMでは特別な知識やスキルを必要としません。わかりやすい操作性は、継続的に運用していかなければならない災害対策という観点からも重要です。同社においても人員の追加を行うことなく対応できました。「製品が高度になるほど、運用や迅速な問題解決のために、スキルの高い人材の投入も考えておかなければなりませんが、VMware製品は高度なレベルのスキルは必要とせず設計も運用も容易です」(熊谷氏)

そして、同社では、SRMを導入後、何度か災害を想定したテストを実施しています。「想定通りに本番サイトからDRサイトに切り替わることが実現できています。SRMの信頼性の高さを評価しています」と松島氏は話します。

同時に、SRMの導入を通じてRTO、RPO(目標復旧地点)が明確になるなどBCPの見直しが大きく前進しています。熊谷氏は「災害対策では、SRMを基盤として最大限に活用し業務を復旧させるというミッションを持つことが大切です。その上で、SRMでシステムの復旧として対応することと、業務継続のためにビジネス上の問題として復旧を図っていくことの線引きをしておく。SRMは業務の復旧というゴールに到達するための1つの手段として非常に有効です」と今回の導入を振り返ります。

仮想化を活用してサーバを集約し、SRM導入により災害復旧対策の強化を図った同社が、次に目指しているのはデスクトップの仮想化です。同社では、すでに一部でVMware Viewを使用しており、更なるBCP環境の実効性強化に向けて全社展開を計画しています。

「もしSRMを導入していなかったら、1週間かけてすべてのサーバの切り替えが完了する状況でした。今は半日で作業は終わります」

「災害対策として SRMを基盤として最大限に活用して業務を復旧させるというミッションを持つことが大切です。SRMは業務を復旧するというゴールに到達するための1つの手段として非常に有効です」

三井住友アセットマネジメント株式会社 事務システム戦略部 シニアマネージャー 岡本 貴 氏

三井住友アセットマネジメント株式会社 事務システム戦略部 マネージャー 熊谷 貴夫 氏

Finance

図:BCPシステム環境概要