アジア・オセアニアリート市場の現状と見通し...
TRANSCRIPT
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
情報提供資料
マーケットの視点
1/3
2020年4月23日
アジア・オセアニアリート市場の現状と見通し
「リート」
新型コロナウイルス感染拡大でリート市場の混乱が深まる
新型コロナウイルス感染拡大とロックダウンを背景に生まれ始めた乖離
強い割安感~年後半の収束、経済回復の道筋を確認しながらの展開
60
70
80
90
100
110
120
130
140
18/12 19/4 19/8 19/12 20/4
シンガポール
日本
アジア・パシフィック(除く日本)
香港
オーストラリア
最高値 年初来安値 直近値 下落率 戻り率
①(ポイント) ②(ポイント) ③(ポイント) ②÷①(%) ③÷②(%)
1,203.85 715.65
2020/2/20 2020/3/23
1,011.48 513.45
2020/2/20 2020/3/23
1,135.38 731.89
2019/7/5 2020/3/23
837.28 553.54
2020/2/21 2020/3/23
806.37 502.50
2020/2/19 2020/3/23
167.08 107.26
2019/11/7 2020/3/23
<参考>
552.14 283.28
2020/2/20 2020/3/19
1,579.13 885.73
2020/2/21 2020/3/231,110.81アメリカ
アジア・パシフィック(除く日本)
地域・国
891.65
669.16
807.94
677.80
636.80
121.38
394.21 ▲ 48.7 39.2
▲ 43.9 25.4
オーストラリア
香港
ニュージーランド
シンガポール
韓国
日本
▲ 33.9 22.4
▲ 37.7 26.7
▲ 35.8 13.2
▲ 40.6 24.6
▲ 49.2 30.3
▲ 35.5 10.4
アジア・オセアニアリート市場の代表的な指数であるアジ
ア・パシフィック(除く日本)リート指数は、2月後半に最
高値を付けた後、3月下旬にかけて大幅に下落しました。
最高値からの下落率は▲40.6%でした。新型コロナウイ
ルスの感染拡大による景気悪化懸念等が背景です。主
要市場の下落率は、シンガポールが同▲37.7%、香港
が同▲35.5%、オーストラリアが同▲49.2%でした。
シンガポールリートは、アジア各国に投資するリートが多い
のが特徴ですが、新型コロナウイルスの感染が広範囲に
及んだことから、リスク回避ムードが波及して下落しました。
同国では3月23日以降、すべての外国人の入国及び乗
り継ぎが禁止されました。政府は新型コロナウイルス問題
が年末まで続くことを想定しており、小売業や観光業の
回復には時間がかかると考えられます。香港リートもこれ
までのデモの影響に加え、新型コロナウイルスの影響でオ
フィスを中心に需要の減少が予想されます。
オーストラリアリートは、消費が減少し賃金の成長が鈍化
するなど景気が全般的に減速基調にある中で、新型コロ
ナウイルス問題が景気の悪化に拍車をかけました。小売り
売上高の悪化が続く中、政府は3月20日にすべての外
国人の入国規制、22日にロックダウン(6カ月以上続く
可能性に言及)を発表しました。今後6カ月間、生活必
需品を除き、多くの店舗やレストランが閉鎖を余儀なくさ
れるため、小売り売上高は大幅に落ち込み、テナントの
倒産が増加する可能性が高まると考えられます。ロックダ
ウンにより、住宅取引も停滞するとみられ、住宅市況が
再び低迷する可能性もあります。
新型コロナウイルス感染拡大で
リート市場の混乱が深まる【主要なアジア太平洋地域のリート指数】
(ポイント)
(年/月)
2018年12月31日=100
(注)データは2018年12月31日~2020年4月21日。現地通貨、トータルリターンベース。(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
【国・地域別にみたリート指数の騰落率】
(注)直近値は2020年4月20日現在。すべて現地通貨、トータルリターンベース。(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
情報提供資料
マーケットの視点
2/3
年初来高値 年初来安値 直近値 下落率 戻り率
①(ポイント) ②(ポイント) ③(ポイント) ②÷①(%) ③÷②(%)
1,154.06 627.88
2020/2/20 2020/3/23
896.17 389.84
2020/2/20 2020/3/23
724.28 293.30
2020/1/17 2020/3/19
1,096.07 620.58
2020/2/20 2020/3/23
669.04 385.01
2020/2/20 2020/3/23
872.46 493.90
2020/2/19 2020/3/19
1,469.61 826.54
2020/1/17 2020/3/23
242.83 106.79
2020/2/20 2020/3/19
555.30 337.43
2020/2/20 2020/3/19
84.81 40.46
2020/1/17 2020/3/23
▲ 45.6 27.6
▲ 56.5 40.1
▲ 59.5 33.2
▲ 43.4 35.0
▲ 42.5 19.9
▲ 43.4 39.0
▲ 52.3 31.4
801.06
546.13
390.63
838.02
461.69
686.59
985.51
148.62
▲ 43.8 19.2
▲ 56.0 39.2
▲ 39.2 35.3特殊用途
住宅
セクター
456.62
53.15
アジア・パシフィック
(除く日本)
複合
ホテル
産業用施設
オフィス
ヘルスケア
小売り
倉庫
40
50
60
70
80
90
100
110
120
20/1 20/2 20/3 20/4
特殊用途
産業施設
ヘルスケア
オフィス
アジア・パシフィック(除く日本)
小売り
住宅
ホテル
新型コロナウイルスとロックダウンを背景に生まれ始めた乖離
景気循環セクターを直撃するロックダウン
• 今回、新型コロナウイルスが世界的に拡大する中でアジ
ア・オセアニアリートは大きく下落しました。足元では回
復途上にありますが、セクター別に下落率、戻り率をみ
ると、下落や、その後の戻り方に乖離があることが確認
できます。
• 下落率が相対的に大きいのは「ホテル」、「複合」、「倉
庫」、戻り率が相対的に低いのは「小売り」や「オフィス」
です。こうした景気循環セクターは消費活動に直接依
存しているため、新型コロナウイルスの感染拡大とヒトの
移動を制限するロックダウンは、経済活動にとって大きな
マイナス要因となります。実際に国内外旅行や外食、
宿泊及びショッピングなどの外出を伴う需要が大幅に減
少しました。年初来高値から安値まで「ホテル」は
▲59.5%、「小売り」は▲43.8%の下落となりました。
さらに「小売り」は年初来安値からの足元までの戻り率
が19.2%に留まっており、引き続き厳しい環境が続いて
います。
• 「オフィス」は同▲42.5%の下落となりました。新型コロ
ナウイルスの感染拡大により、在宅勤務を採用する企
業が増加したことで、オフィス・スペースに対する需要の
減少と収益悪化懸念の拡大が背景とみられます。戻り
率も19.9%に留まっています。
新しいビジネススタイルの息吹を取り込むリート
• 相対的に下落率が低く、戻り率の高いセクターもありま
す。一つが「産業用施設」です。「産業用施設」には、
電子商取引の急速な成長を背景に好調となっている
オンライン・ショッピングなども含まれており、ロックダウンが
消費行動の変化を加速させている面も指摘できそうで
す。同様に、「特殊用途」も相対的に堅調です。「特殊
用途」には、データセンターや携帯電話の基地局などと
いったディフェンシブ性の強い物件が多く含まれています。
• 在宅勤務の増加が今後どの程度ビジネススタイルを変
化させるかを見通すのはまだ難しい局面です。しかし、
安定したインターネット環境やデータストレージ及びモバ
イルなどに対する需要の強まりは、新型コロナウイルス問
題が収束した後も長期的な「働き方と働く環境の変
化」として浸透していくことになりそうです。
【新型コロナウイルスで生まれ始めた乖離】(ポイント)
(年/月)
2020年1月1日=100
(注)データは2020年1月1日~2020年4月20日。すべて円、トータルリターンベース。(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
【セクター別に見た騰落率】
(注)直近値は2020年4月20日。すべて円、トータルリターンベース。(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
情報提供資料
ここもチェック!
7.9
6.7
4.8
5.34.9 4.8
7.1
5.4
4.8 4.7 4.54.1
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
オーストラリア シンガポール 日本 米国 英国 香港
リートの配当利回りと
10年国債利回りの差
リートの配当利回り
2020年4月8日 投資環境の見通し(2020年4月号)「世界経済見通しの悪化とマネーフロー」
2020年4月7日 リート市場の振り返り(2020年3月)
3/3
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
2.2
07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
日本
シンガポール
オーストラリア
アジア・パシフィック(除く日本)
香港
2007年以降の平均値を下回るPBR
• 今回の大幅な下落を受け、アジア・パシフィック
(除く日本)リート指数の株価純資産倍率
(PBR)は大きく低下しました。PBRは20年3月
に底を付け4月に若干回復していますが、それでも
0.88倍と、リーマン危機後の下落局面も含めて計
算した平均値(1.10倍)を割り込んでいます。
• 一方、20年3月末の主要国・地域の配当利回り
と各国の国債利回りとの格差は大きく拡大しました。
豪州リートは7.1%、シンガポールリートは5.4%で
す。こうした指標からみると、低金利環境の下で、ア
ジア・オセアニアのリート市場は悪材料を織り込みつ
つ、かなりの水準訂正が進み、割安感の強い位置
にあると思われます。
• ただ、各国経済の悪化はしばらく続きそうです。新
型コロナウイルスの感染の広がりやロックダウンの解
除とその後の経済指標の動向などを確認しつつの
展開が続くと思われます。
アジアでも相次いで打ち出される財政・金融政策
• シンガポールでは、現金給付(最大900シンガ
ポールドル)、従業員の給付の一部肩代わり等
GDP比で11%に及ぶ財政政策が打ち出されま
した。香港では、財政赤字をGDP比で4.8%に
設定し、また、市民に一律1万香港ドルの現金
支給が決定されています。
• オーストラリア政府は、3月30日に財政政策第
3弾を発表しました。具体的には新型コロナウイル
スの影響を受けた企業が雇用を維持する場合、
一律一人当たり2週間につき1,500豪ドル、合
計1,300億豪ドルの給与補助金が支給されます。
• 各国・地域とも、新型コロナウイルスの感染拡大
を阻止するために移動制限を強化する一方、財
政・金融政策を積極的に発動しています。今後
は、年後半の収束、経済回復の道筋が見えるか
が重要です。道筋が見えれば、投資家心理は改
善に向かい、アジア・オセアニアリート市場は大き
な反発局面を迎えると考えられます。
【主要なアジア太平洋地域のPBR】(倍)
(注)データは2007年1月末~2020年4月末。2020年4月は21日現在。平均値は2007年1月末~2020年3月末で計算。
(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
【主要国・地域の利回り格差】
(倍)PBR
(年)
(注)データは2020年3月末。利回り格差は配当利回り-10年国債利回り。(出所)FactSet、Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DS
アセットマネジメント作成
(%)
強い割安感~年後半の収束、経済回復の道筋を確認しながらの展開が続こう
平均値 4月
アジア・パシフィック(除く日本) 1.10 0.88
オーストラリア 1.18 0.93
香港 0.94 0.67
シンガポール 1.04 0.95
<参考>
日本 1.30 1.23