コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章...

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- 1 - コンベンションセンター再構築基本構想について (概要) 1.はじめに ・コンベンション誘致を展開するうえで求められるコンベンションセンターの機能やサ ービス等について検討し、今後の整備方針を策定するために、検討委員会(委員長: 渡辺 厚 ㈱情報伝達研究所代表取締役)を設置し、検討を行った。 2.今後のコンベンション誘致戦略 (1)コンベンション誘致事業の都市戦略上の位置づけ ・神戸市のリーディング産業を推進する重要な「産業インフラ」 ・知の集積による「知の交流拠点」 ・「滞在型観光」を推進するための戦略的施策 (2)将来目標 ・施設整備の目標年次はコンベンション都市として 40 周年を迎える概ね 10 年後の 2022 年度を目指す。 3.神戸コンベンションセンターの現状評価と課題整理 (1)現状評価(医学会を対象に行った聞き取りをもとに) ①センター内に展示場、会議場、ホテルが集約している点やアクセス、アフターコ ンベンションの点で競争力は高い。 ②施設自体については、規模・構成・クオリティ、価格の面において「商品価値」 の低下が顕著である。 ・具体的には、展示場が4フロアに分散するうえに各施設のスペックが異なる (1号館の老朽化、1号館1階の柱、2階の床荷重等)。 ・会議場の各部屋の規模が中途半端で利用者ニーズに合致していない。 ・展示会場と隣接して講演会やパーティー、懇親会が開催できる場所が不足して いる。 ・会議場機能をホテルが代替していることから料金が割高になる。 等 (2)現状評価を受けた今後の課題と方向性 ・利用者からの厳しい評価に対し施設改修等の対応を早急にしなければ、今後、顧客が 逸失する可能性が強く、一方で他都市でも施設拡充の動きがあり、このままでは神戸 市の競争力が大幅に低下する恐れがある。 ・利用者ニーズ、および最近の他都市の施設整備状況を踏まえ、中長期の視点により、 現状のコンベンションセンターゾーンにおいて、集約型のコンベンションセンターの

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Page 1: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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コンベンションセンター再構築基本構想について (概要)

1.はじめに

・コンベンション誘致を展開するうえで求められるコンベンションセンターの機能やサ

ービス等について検討し、今後の整備方針を策定するために、検討委員会(委員長:

渡辺 厚 ㈱情報伝達研究所代表取締役)を設置し、検討を行った。 2.今後のコンベンション誘致戦略

(1)コンベンション誘致事業の都市戦略上の位置づけ

・神戸市のリーディング産業を推進する重要な「産業インフラ」 ・知の集積による「知の交流拠点」 ・「滞在型観光」を推進するための戦略的施策

(2)将来目標

・施設整備の目標年次はコンベンション都市として40周年を迎える概ね10年後の2022年度を目指す。

3.神戸コンベンションセンターの現状評価と課題整理

(1)現状評価(医学会を対象に行った聞き取りをもとに) ①センター内に展示場、会議場、ホテルが集約している点やアクセス、アフターコ

ンベンションの点で競争力は高い。 ②施設自体については、規模・構成・クオリティ、価格の面において「商品価値」

の低下が顕著である。 ・具体的には、展示場が4フロアに分散するうえに各施設のスペックが異なる (1号館の老朽化、1号館1階の柱、2階の床荷重等)。

・会議場の各部屋の規模が中途半端で利用者ニーズに合致していない。 ・展示会場と隣接して講演会やパーティー、懇親会が開催できる場所が不足して

いる。 ・会議場機能をホテルが代替していることから料金が割高になる。 等

(2)現状評価を受けた今後の課題と方向性

・利用者からの厳しい評価に対し施設改修等の対応を早急にしなければ、今後、顧客が

逸失する可能性が強く、一方で他都市でも施設拡充の動きがあり、このままでは神戸

市の競争力が大幅に低下する恐れがある。 ・利用者ニーズ、および 近の他都市の施設整備状況を踏まえ、中長期の視点により、

現状のコンベンションセンターゾーンにおいて、集約型のコンベンションセンターの

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整備を進めるべきである。

4.今後の神戸コンベンションセンターのあり方

(1)基本方針

・ゾーン全体で 15,000 ㎡~20,000 ㎡程度のワンスパン・無柱の展示ホールを有し、会

議室やロビー、控え室等を備えたコンベンションセンターを整備する。

(2)整備プラン

・ゾーンの西エリアにあたる現行の国際展示場1~3号館の敷地内に、建て替えによ

り、展示ホール 15,000㎡を一体としてワンスパンで配置するA案、10,000㎡と 5,000㎡それぞれをワンスパンで配置する B 案を検討する。

・詳細については、誘客計画の策定を踏まえたうえで検討する。

(3)建替え時の対応

・新コンベンションセンターの整備は、現行の国際展示場を順次建替えすることから、

建替え期間中に床面積が大幅に減少する。 ・建替え期間中に顧客を逸失し、戻らなくなる可能性が高く、大きな経済損失が見込ま

れるため、その回避策として代替施設の整備を検討する必要がある。 5.神戸コンベンションセンターの運営・整備のあり方

(1)誘致プラン

・誘致のメインターゲットは医学会とし、その他医療関連の国際会議・展示会や、 医

療関連の資格試験の誘致も進め、アジアのメディカル MICE シティを目指す。 ・医療関連以外にも、神戸の特色・強みを活かしたファッション・デザイン、健康・ス

ポーツ、先端科学技術、防災関連等の国際会議・展示会の積極的な誘致を展開する。 ・産業インフラとしての役割を踏まえ、産業政策との連携を推進する。 (2)運営体制・整備手法

・中長期的な観点から運営や施設への投資、専門性の高い人材育成・確保が必要である。 ・経済効果を確実に市内に還元するための仕組みづくりが必要である。 ・運営体制の長期的継続性と公的戦略の双方を実現するための方策や事業手法について、

さらなる検討が必要である。

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(参考:コンベンションセンター再構築基本構想検討委員会)

1 委員名簿

委員長 渡辺厚 ㈱情報伝達研究所 代表取締役 三輪康一 神戸大学大学院工学研究科 准教授

高橋一夫 近畿大学経営学部 教授 根木昭 神戸大学医学研究科長・医学部長 クリストファー・イブ UBMジャパン㈱ 代表取締役社長 中内仁 ㈱神戸ポートピアホテル 代表取締役社長

山本猛 神戸市産業振興局観光コンベンション部長 林芳宏 ㈶神戸国際観光コンベンション協会理事

アドバイザー 高見牧人 観光庁 MICE推進担当参事官

2 検討経過

日時 議事

第1回 平成 24 年6月

19 日(火)

・基本構想策定の目的、想定年次、検討委員会の役割等について

・本市におけるコンベンション誘致事業の評価と今後の方向性について

・現行施設の評価について

・コンベンションセンター再構築について

・その他 第2回 平成 24 年 8 月

23 日(木)

・神戸市のコンベンション誘致事業を取り巻く状況

・コンベンション誘致事業の基本戦略イメージ

・神戸コンベンションセンターの評価

・今後の施設整備の方向性

・コンベンションセンター再構築の方向性について 第3回 平成 24 年 11 月

1 日(木)

・コンベンションセンター再構築のあり方について

・新コンベンションセンター(西ゾーン一体化)の配置案について

・新コンベンションセンター再整備に関するシナリオ案について

・今後の予定について

・その他 第4回 平成 25 年 2 月

12 日(火)

・コンベンションセンター再構築のあり方について

・新コンベンションセンターの事業・誘致戦略について

・代替施設の必要性について

・新コンベンションセンターの運営体制・整備手法について

・コンベンションセンター再構築基本構想について

・今後の予定について

・その他

- 3 -

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0

コンベンションセンター再構築基本構想

~アジアの MICE センターを目指して~

平成25年3月

神戸市産業振興局

平成 25年 4 月 17日

産業港湾委員会資料

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1

目 次

第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ ....................................................... 1

1.基本構想策定の背景・目的 ................................................................................................... 1

2.基本構想の想定年次 .............................................................................................................. 1

3.検討委員会の設置・開催 ....................................................................................................... 2

第2章 神戸市におけるコンベンション政策の現状と課題 ........................................................... 3

1.コンベンション政策の現状 ................................................................................................... 3

2.コンベンション政策の課題 ................................................................................................... 7

第3章 今後のコンベンション誘致戦略 ........................................................................................ 8

1.コンベンション誘致事業の都市政策上の位置づけ ............................................................... 8

2.コンベンション誘致の基本戦略 ............................................................................................ 9

3.コンベンション誘致の将来目標 ............................................................................................ 9

4.コンベンション誘致戦略上の神戸コンベンションセンターの位置づけ・役割 ................. 10

第4章 神戸コンベンションセンターの現状評価と課題整理 ...................................................... 11

1.神戸コンベンションセンターの現状 .................................................................................... 11

2.利用者からの評価 ................................................................................................................ 12

3.FM(ファシリティーマネジメント)の観点からの評価 ................................................... 12

4.神戸コンベンションセンターの現状評価と課題整理 ......................................................... 13

5.これからの望ましい施設整備のあり方 ............................................................................... 14

第5章 今後の神戸コンベンションセンターのあり方 ................................................................ 15

1.神戸コンベンションセンター再構築の基本方針 ................................................................ 15

2.新コンベンションセンターの基本要件 ............................................................................... 15

3.新コンベンションセンターの整備プラン ........................................................................... 17

4.新コンベンションセンター整備に向けた施設の建替え手順 .............................................. 19

5.整備プラン間の比較 ............................................................................................................ 23

6.建替え時の対応について ..................................................................................................... 23

第6章 神戸コンベンションセンターの整備・運営のあり方 ..................................................... 25

1.事業計画のあり方 ................................................................................................................ 25

2.運営主体・事業主体のあり方.............................................................................................. 27

3.事業手法のあり方 ................................................................................................................ 30

第7章 今後の課題 ....................................................................................................................... 32

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1

第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ

1.基本構想策定の背景・目的

神戸市は、我が国における先進的な国際コンベンション都市として、数多くの会議や展示会等を

開催し、国内外からの集客やビジネス交流機会の提供を通じて、高い経済効果を発揮してきた。

国際コンベンション都市の中核エリアであるポートアイランドにおいては、国際会議場、国際展

示場、コンベンションに対応した大規模ホテル等が立地しており、一大コンベンションゾーンが形

成されている。しかし、一部の施設で建設から 30 余年が経過し、老朽化が進みつつある。また、整

備当初とはコンベンション施設に求められる規模や機能も大きく様変わりしている。

一方、国内外では、大規模なコンベンション施設の整備が進められつつある。アジアでは、国策

として巨大なコンベンション施設の整備が進み、大規模な国際コンベンション誘致競争が展開され

つつある。また、国内でも、京都や大阪等の近隣都市や首都圏の都市のみならず、地方の中枢・中

核都市においても大規模なコンベンション施設の整備が進められつつあり、競争環境が激化してい

る。

神戸市においては、国内外での競争環境が激化するなかで、国際コンベンション都市としての今

までの実績を踏まえながら、これからのコンベンション関連政策のあり方や、そのための具体的な

取り組みの方向性について、明確化していくことが求められている。

そのためには、コンベンション関連政策の都市戦略における位置づけや役割を明確にしながら、

本市におけるコンベンション誘致の基本方針を検討し、中核となるコンベンションセンターの機能

やサービス等のあり方について検討することが急務であることから、今後の整備方針に係る基本構

想を策定する。

2.基本構想の想定年次

施設整備の目標年次は、コンベンション都市として 40 周年を迎える概ね 10 年後の 2022 年を目

指す。

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3.検討委員会の設置・開催

基本構想の策定に向けて、本市のコンベンション誘致事業や施設の評価を外部の視点から客観的

に実施していただくとともに、今後のコンベンション誘致事業や施設整備の望ましいあり方につい

てご意見をいただくことを趣旨に、コンベンションセンター再構築基本構想検討委員会を設置した。

検討委員会の構成および開催状況については以下のとおりである。

検討委員会の構成(敬称略)

検討委員会の開催状況

役 職 氏 名 所 属

委員長 渡辺 厚 ㈱情報伝達研究所 代表取締役

委 員 三輪 康一 神戸大学大学院工学研究科 准教授

委 員 高橋 一夫 近畿大学経営学部 教授

委 員 根木 昭 神戸大学医学研究科長・医学部長

委 員 クリストファー・イブ UBMジャパン㈱ 代表取締役社長

委 員 中内 仁 ㈱神戸ポートピアホテル 代表取締役社長

委 員 山本 猛 神戸市産業振興局観光コンベンション部長

委 員 林 芳宏 ㈶神戸国際観光コンベンション協会理事

アドバイザー 高見 牧人 観光庁 MICE推進担当参事官

オブザーバー 辻 英之 企画調整局企画調整部調整課長

オブザーバー 若松 謙一 企画調整局医療産業都市推進本部推進課長

オブザーバー 木村 陽一郎 行財政局財政部担当課長

(ファシリティマネジメント推進担当)

オブザーバー 山本 雄司 みなと総局技術部計画課担当課長

オブザーバー 河辺 健一 教育委員会事務局社会教育部スポーツ体育課長

回数 日 時 内 容

第 1 回 2012 年 6 月19 日(火)15:30-17:30

・基本構想策定の目的、想定年次、検討委員会の役割等について

・本市におけるコンベンション誘致事業の評価と今後の方向性について

・現行施設の評価について

・コンベンションセンター再構築について

・その他

第 2 回 2012 年 8 月23 日(木)15:00-17:00

・神戸市のコンベンション誘致事業を取り巻く状況

・コンベンション誘致事業の基本戦略イメージ

・神戸コンベンションセンターの評価

・今後の施設整備の方向性

・コンベンションセンター再構築の方向性について

第 3 回 2012年 11月1 日(木)15:00-17:00

・コンベンションセンター再構築のあり方について

・新コンベンションセンター(西ゾーン一体化)の配置案について

・新コンベンションセンター再整備に関するシナリオ案について

・今後の予定について

・その他

第4回 2013 年 2 月12 日(火)14:00-17:00

・コンベンションセンター再構築のあり方について

・新コンベンションセンターの事業・誘致戦略について

・代替施設の必要性について

・新コンベンションセンターの運営体制・整備手法について

・コンベンションセンター再構築基本構想について

・今後の予定について

・その他

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第2章 神戸市におけるコンベンション政策の現状と課題

1.コンベンション政策の現状

(1)神戸市のコンベンション政策の経緯

神戸市では、1981 年(昭和 56 年)に開催したポートアイランド博覧会を契機として、1982 年に

神戸市コンベンション推進本部を設置し、我が国初のコンベンション都市づくりに取り組んできた。

全国に先駆けてコンベンション政策を都市戦略として位置づけ、神戸コンベンションセンターの整

備を核としながら、国際会議をはじめ、コンベンション誘致を積極的に展開してきた。

神戸市での取り組み以降、国内の主要都市において、コンベンション施設の整備や誘致体制の強

化等が図られたが、まさに神戸は我が国におけるコンベンション政策の先駆的な役割を果たしてき

たといえる。

神戸市においては、その後も神戸医療産業都市構想やデザイン都市・神戸など、独自の都市戦略

を策定、様々な事業展開を進めつつある。コンベンション政策についても、こうした神戸市の特色

ある取り組みとの連携をより積極的に図り、産業政策への展開や滞在型観光の推進など、コンベン

ション誘致による様々な効果を多方面に波及させ、都市全体の成長や活性化につなげる取り組みを

推進していく必要がある。

神戸市におけるこれまでの都市戦略等

(出所)神戸市総合基本計画審議会第 2 回総会・参考資料(2010年 2月 24日)より作成

発表年 戦略等の名称 概 要 経 緯

1973年神戸ファッション都市宣言(商工会議所、市)

ファッションをライフスタイルとして提案し、神戸の都市魅力を高める。

・1973年1月 神戸商工会議所会頭提唱・同年 市ミラノ事務所開設、ファッション市民大学開講、コウベファッションショー開催

1982年 コンベンション都市ポートアイランド博覧会を契機にコンベンション都市づくりに取り組む。

・1981年3月 ポートピア‘81(~9月)・1982年6月 神戸市コンベンション推進本部設置

1985年 国際スポーツ都市宣言ユニバーシアード神戸大会を契機にスポーツによる幸せな生活の実現に取り組む。

・1985年8月 ユニバーシアード神戸大会・同年9月 市長表明

1991年 アーバンリゾート都市「市民がいつまでも住み続けたくなるまち、何度も訪れ滞在したくなるまち」をめざす。

・1991年2月 市長表明(予算計上)・1993年4月 アーバンリゾートフェア神戸’93 開催

1994年神戸国際マルチメディア文化都市(KIMEC)構想

市民生活の質の向上や既存産業の高度化と新しい産業の集積を図る情報通信戦略。

・1994年6月 構想公表

1997年 神戸アスリートタウン構想すべての人がそれぞれの価値観・技術レベルに応じてスポーツに親しみ,健康づくりができるまちをめざす。

・1997年12月構想研究会提言

1999年 神戸医療産業都市構想先端医療技術の研究開発拠点を整備し、産学官連携により、21 世紀の成長産業である医療関連産業の集積を図る。

・1999年3月 懇談会報告書・2007年3月 「神戸健康科学(ライフサイエンス)振興ビジョン」報告書(振興会議)

2004年 神戸文化創生都市宣言 文化を活かしたまちづくりの基本目標。 ・2004年12月市長発表

2007年 デザイン都市・神戸デザインをまちづくりのあらゆる分野に活かし、都市魅力を高める。

・2007年2月「デザインをまちづくりに活かすための研究会」報告書・2008年10月ユネスコ・創造都市認定

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(2)施設整備

神戸市内では、1981 年に神戸国際会議場及び神戸国際展示場1号館が開設された。同年には隣接

地に神戸ポートピアホテルも開設され、一体が一大コンベンションゾーンとして整備された。1991

年には神戸国際展示場 2 号館、2006 年には神戸国際展示場3号館が開設、一方、神戸ポートピアホ

テルでも 1997 年に神戸ポートピアホールが開設されるなど、西側のワールド記念ホール等の施設

とも含め、コンベンションゾーンとして発展してきた経緯がある。とりわけ、会議場、展示場、ホ

テルが揃ったオールインワン型の複合ゾーンとして、様々な国際会議・展示会等の開催の舞台とな

ってきた。

神戸市内においては、下図に示したように、ポートアイランドエリア以外にも、三宮エリアや元

町・ハーバーランドエリア、新神戸エリア、六甲アイランドエリア、有馬エリアなどにおいて、コ

ンベンション開催可能なホールやホテルが数多く立地し、コンベンション都市としての充実した施

設ラインアップを誇っている。

神戸市に続き、国内の各都市でもその後コンベンション施設の整備が相次ぐとともに、近年では

アジア各国においても大規模な施設の整備が進められており、都市間の競争が激しさを増している。

先行者である神戸市では、既存施設の老朽化が進みつつあるが、こうした都市間競争のなかで、

施設面での魅力向上への取り組みは欠かせない状況にある。

神戸市における主なコンベンションエリア・コンベンション施設の立地

(出所)各施設の HP等より作成

(注)各施設の代表的な会議スペースのシアター席での人数を記載

神戸空港

医療産業都市

・ANAクラウンプラザH神戸(ザ・ボールルーム:2,000名)・神戸芸術センター(芸術劇場:1,100名) 等

・Hオークラ神戸(平安の間:3,000名)・神戸メリケンパークオリエンタルH(瑞天:930名)・神戸文化ホール(大ホール:2,043名) 等

・神戸ベイシェラトンH&タワーズ(六甲:940名)・神戸ファッションマート(イオ:700名) 等

・神戸国際会館(こくさいホール:2,112名)・神戸サンボ―ホール(1,562㎡)等

神戸コンベンションセンター

新神戸駅

【広域図】

・神戸コンベンションセンター・神戸国際会議場(メインホール:692名)・神戸国際展示場(2号館コンベンションホール:4,000名)

・ポートピアホテル(ポートピアホール:1702名、大輪田:2,800名)・ワールド記念ホール(8,000名) 等

六甲アイランドエリア

新神戸エリア

三宮エリア

元町・ハーバーランドエリア

ポートアイランドエリア

有馬温泉エリア

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(3)交通アクセス

神戸コンベンションセンター(神戸国際会議場、神戸国際展示場)の立地については、神戸空港、

山陽新幹線新神戸駅等の交通結節点にも近く、広域的な交通アクセスが良好である。とりわけ、空

港への近さについては国内随一であり、ポートライナーに乗車すれば8分で最寄駅(市民広場駅)

に到着できるなど、広域的な交通アクセスの利便性が高い。新幹線の新神戸駅からは三宮駅で乗り

換えが必要であり、より一層のアクセス利便性の向上が望まれる。

市内の中心部(三宮周辺)にも近接しており、宿泊やショッピング等にも便利な立地にあるなど、

アフターコンベンション面でも優位である。

(4)アフターコンベンション

神戸市では、観光集客資源としては、南京町や北野などの人気の観光スポットが立地するほか、

有馬温泉など、日本を代表する温泉も立地する。ウォーターフロントや六甲山といった自然・景観

や、神戸ビーフや神戸スイーツなど食事面も充実している。

また、ショッピングについては、市内の三宮から元町にかけてのエリアが商業の中心地であり、

三宮センター街、元町商店街、南京町(中華街)等の商業集積があり、ショッピング、飲食が楽し

める。また、ウォーターフロントのハーバーランドも人気がある。

神戸には、こうした特色ある観光・エンターテインメント・商業資源が点在し、魅力的なアフタ

ーコンベンションが提供できる環境にある。

一方、アジアをはじめとする国外では、ホテル、ショッピングセンター等を併設した巨大なコン

ベンション施設の整備が進み、複合施設・エリアとして高い競争力を誇っている。

神戸市の競争力を維持・強化するためには、より一層、神戸の有する魅力ある資源を総合的に活

用した取り組みが必要である。

(5)産業資源

神戸市においては、三宮周辺が商業・ビジネスの中心地である。市内には、従来からの素材産業、

輸送機械、物流業の立地に加え、ファッション・デザイン、医療分野などの新たな産業が集積して

いる。

近年では、医療産業(再生医療)、スーパーコンピューター、防災等の研究開発拠点の立地も進ん

でいる。また、近接地に神戸空港が整備され、国内各地からのアクセスも容易となっている。

現時点では、コンベンション誘致と、こうした産業・ビジネス・研究開発との連携が必ずしも活

発に行われているわけではないが、今後、コンベンション誘致事業を通じて、地域の経済・産業・

情報発信力を高めていくために、相互の連携策を促進し、地域活性化を総合的に展開していくこと

が求められる。

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(6)コンベンション開催動向

神戸市における国際会議の開催件数の推移をみると、長期的には増加傾向にあるものの、下図に

みられるように、近年では、国内他都市のみならず、アジアを中心とした海外都市の開催件数が伸

びており、国際的な競争環境が激化している。

神戸市の国際会議件数は、近年では国内で6~7位であるが、経済効果の高い大型の医学・医療

関連の会議件数は国内有数である。また、神戸で開催すると他都市開催と比べて参加人数が増える

傾向があり(2012 年の 10 会議中、3会議において今までの最高の参加者数を実現)、医学会誘致に

強みがあるといえる。

また、医学分野に続いて、科学・技術・自然分野の開催件数が多い。

これまでの神戸市における取り組みや、神戸市としての強みを活かして大型の医学会誘致等の促

進をはじめ、競争力を高めていく必要がある。

国際会議開催件数の推移(ICCA統計)

(出所)ICCA「Statistics Report(2000-2010)」

(注)①参加者総数が 50 人以上で、②定期的に開催され、③3ヶ国以上での会議持ち回りがある(2

ヶ国間会議は除外)国際会議を集計

(7)経済効果

数多くの集客を伴うコンベンション誘致においては、コンベンション施設のみならず、周辺地域

においても、高い経済効果が期待できる。特に遠方から来場者を呼び込み、宿泊を伴うような医学

会や国際会議等については、市内での宿泊や飲食、買物等の行動も伴うため、大きな経済効果を生

むことが考えられる。

財団法人神戸国際観光コンベンション協会が 2008 年度に実施した「コンベンション経済効果等

調査業務報告書」では、2007 年度に神戸市内で開催された 797 件のコンベンションの経済効果を算

出しており、合計で 1,447 億円、雇用者誘発人数では 14,471 人の効果を創出しているなど、高い経

済効果を生み出していることがわかる。

上記の効果には、来場者による消費効果のみが算入されているが、例えば展示会等においては、

企業間での新たな取引が発生したり、新規ビジネスの創出の機会ともなっており、産業創出面での

効果も発生しているものと考えられる。

シンガポール

北京

ソウル

香港

上海

東京

京都

横浜

大阪神戸インチョン

名古屋0

20

40

60

80

100

120

140

160

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

(単位:件)

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7

2.コンベンション政策の課題

以上の分析を踏まえて、下表では、各テーマ別にこれまでの評価、および今後の懸念・課題を整

理した。

神戸市では、先進的な国際コンベンション都市として、施設整備やソフト面での充実が図られ、

国際会議や展示会の誘致・開催を通じて高い経済効果を挙げてきたが、国内外の他都市との競合に

より、本市の競争力の低下が懸念される。

産業政策としてのコンベンション誘致事業の位置づけや役割等を明確にしながら、今後の誘致戦

略やそれに基づいた施設整備等のあり方を検討する必要がある。

これまでの評価と今後の懸念・課題について

テーマ これまでの評価 今後の懸念・課題

コンベンション政策 ・我が国における先進的な国際コンベンション都市として施設整備を進め、数多くのコンベンションの開催実績あり。

・国内外の諸都市でMICE戦略が推進され、競合は必至。神戸の強みを活かした独自のコンベンション政策の立案と推進体制が必要。

施設整備 ・展示場、会議場、ホテルが近接したコンベンションセンターを有し、大規模な会議・展示会が開催可能。

・市内他エリアでも 1000 人規模の受け入れが可能な施設があり、市内での複数開催が可能。

・施設の老朽化が進むとともに、施設規模や施設スペックについて最近の主催者ニーズに対応していない面もある。主催者ニーズを踏まえな

がら、誘致戦略を実現していく観点から、施設の更新・整備等を計画的に進める必要がある。

交通アクセス ・神戸空港の開港や高速道路網の整備等によ

り、国内外からのアクセスは比較的良好。

・ポートアイランドに位置するコンベンション

センターについては、新幹線駅や主要駅からはやや離れており、アクセスの改善が望まれる。

アフターコンベンション ・南京町や異人館などの観光スポットや視察

先としての研究機関、有馬温泉、ウォーターフロントや六甲山といった自然・景観、神戸ビーフや神戸スイーツをはじめとした食事面

も充実。

・国内外でホテルやショッピングセンターと一

体となったコンベンション・コンプレックスの整備が進む。競争力を維持・強化するためには、より一層、神戸の有する魅力ある資源を総合的

に活用した取り組みが必要である。

会議誘致 ・医学会系を中心に、防災、デザイン等の会議誘致に実績豊富。

・誘致体制や補助等のソフト面での充実。

・関東よりも価格競争力あり(福岡よりは低い)。

・医学会系は多くの都市で、競争環境が激化している。従来の延長では、神戸市としての競争

力が低下する可能性がある。神戸市として、他都市とは差別化を進める誘致戦略を検討していく必要がある。

経済効果 ・コンベンション集客による市内での消費効果等を通じ、高い経済効果を挙げてきた。

・高い経済波及効果を目指して、施設稼働率の向上や、来訪者の滞在期間の延長、市内での消費機会の拡充などにより、コンベンション集客

による経済効果を高めていく必要がある。

産業政策との連携 ・産業政策との連携については限定的。 ・医療産業やデザイン産業、ものづくり等の産業政策との連携を進め、市内の産業の高付加価

値化等に寄与していく必要がある。

まとめ ・先進的な国際コンベンション都市として、施設整備やソフト面での充実が図られ、会議

や展示会の誘致・開催を通じて高い経済効果を挙げてきた。

・国内外の他都市との競合により、本市の競争力の低下が懸念される。

・産業政策としてのコンベンション誘致事業の位置づけや役割等を明確にしながら、今後の誘致戦略やそれに基づいた施設整備等のあり方を

検討する必要がある。

Page 13: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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第3章 今後のコンベンション誘致戦略

1.コンベンション誘致事業の都市政策上の位置づけ

神戸市の集客戦略においては、拡大するアジア等からの観光需要の取り込みだけでなく、コンベ

ンション誘致事業の推進を通じて、高単価・高付加価値の人材の集客・交流を促進し、消費効果だ

けでなく、ビジネスや先端技術の創出に結び付けていく観点が重要である。

コンベンション誘致事業においては、観光集客や産業政策の戦略と連携しながら、そのためのエ

ンジンとなることが期待される。

以上を踏まえると、コンベンション誘致事業の都市戦略上の位置づけとしては以下の3点となる。

①神戸市のリーディング産業を推進する重要な「産業インフラ」としての位置づけ

コンベンション誘致事業およびその中核であるコンベンションセンターを、医療産業都市構

想の推進、先端成長分野産業の集積、ファッション産業の振興等、神戸の有する強みをさらに

強化し、市内経済の活性化を推進するための重要な「産業インフラ」として位置づける。

②知の集積による「知の交流拠点」としての位置づけ

日本を代表する医療産業クラスター、京速コンピュータ、大学・研究機関等が集積する神戸

の強みを活かし、コンベンション開催等を通じて、国内はもとより、成長著しいアジアをはじ

めとする海外からも知的人材が神戸を訪れ、相互に交流することによって、新たな学術の発展

やビジネスチャンスの創造を図るなど、知の交流拠点として位置づける。

③滞在型観光を推進するための戦略的施策としての位置づけ

アフターコンベンションの充実、インセンティブツアー誘致の強化を図るなど、さらなる観光資

源のブラッシュアップと、まち全体の魅力やブランド力の向上を図ることを通じて、本市におけ

る滞在型観光の推進をするうえでのリーディングプロジェクトとして位置づける。

とりわけ、上記の①および②について、今後の産業政策・産業創造の取り組みに対するコンベン

ション誘致事業の位置づけ、あり方については以下のとおりである。すなわち、神戸市の強みを活

かした高付加価値型の産業創造を推進するために、「QOL(生活の質)」をメインテーマに設定し、

コンベンション誘致において実績が高く、医療産業都市の進展を踏まえ、医療分野を核として、健

康・スポーツや ICT・スパコン、ファッション・デザイン、防災、インフラ・エネルギー等との連

携・交流を促すことを通じて、高付加価値の産業創造を図っていく。そのための知の交流の促進、

およびビジネスチャンスの創出のためのエンジンとしてコンベンション誘致事業を位置付けるもの

である。

今後の誘致のターゲットをはじめ、コンベンション誘致事業の方向性を設定していく際には、上

記の展開を前提として検討していくことが求められる。

Page 14: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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2.コンベンション誘致の基本戦略

神戸市におけるコンベンション誘致事業の基本戦略としては、都市政策上の位置づけを踏まえる

とともに、神戸市としての強みを発揮でき、かつマーケットの成長性が大きい分野を中心に、ター

ゲットを明確化することが求められる。

以上の整理を踏まえ、コンベンション誘致事業の基本戦略としては、まずは医療分野、とりわけ

大型医学会をメインターゲットとして、その他神戸市が強みを発揮できるテーマとして、ファッシ

ョン・デザイン、健康・スポーツ、宇宙分野など先端科学技術、ICT・スパコン、防災などのコン

ベンション誘致を積極的に推進し、知的人材の交流機会を拡大することによって、高付加価値型の

知的産業創造を推進することを基本方針とする。

また、地元企業による企業向けや消費者向けの催事についても、引き続き利用促進に努める。

3.コンベンション誘致の将来目標

上記の基本方針をベースにしながら、中期には医療分野における我が国 NO.1のコンベンション

シティ、さらに、長期的には医療分野におけるアジア有数のコンベンションシティ=国際(アジア)

メディカル MICEセンターとしての地位を目指し、国際的な医学関連の会議の開催を軸に、多様なコ

ンベンションを誘致し、アフターコンベンション等も含めた、質・量とも十分な魅力を備えた競争

力の高いコンベンションシティとなることを目標とする。

Page 15: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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4.コンベンション誘致戦略上の神戸コンベンションセンターの位置づけ・役割

ポートアイランドに立地する神戸コンベンションセンターは、1980 年代初頭にスタートした「コ

ンベンション都市」以来、我が国における先進的なコンベンションエリアとしての取り組みの歴史

を有する。

以来、我が国では類例の少ない、会議場+展示場+ホテルが一体となったオールインワン型のコ

ンベンションゾーンとしての強みを発揮し、コンベンションセンターとポートピアホテルが連携し

て、全国でも屈指の医学会誘致等の実績を挙げてきた。

また、神戸空港からポートライナーで約8分と、国内で最も空港に近いコンベンションセンター

であるとともに、三宮周辺、ポートターミナル等にも近いなど、アクセスの良い利便性の高いエリ

アに立地していることが特徴である。

コンベンション誘致に優位性のある、このような恵まれた立地環境を活かして、神戸コンベンシ

ョンセンターを将来の国際(アジア)メディカル MICE センターの全市的なコア施設として、その

機能・役割をより一層充実していく必要がある。

神戸コンベンションセンターの立地

神戸空港

西神工業団地

研究学園都市

中小企業の集積(ケミカルシューズ等)

神戸サイエンスパーク

神戸ハイテクパーク

六甲アイランドエリア

製造業等の集積(素材、食品等)

HAT神戸

人と防災未来センター

WHO神戸センター

地場産業等の集積(酒造等)

新神戸エリア

三宮エリア

ハーバーランド・元町エリア

ポートアイランドエリア

医療産業都市理化学研究所(京速コンピューター「京」)

神戸大学

先端医療センター等

商業等の集積

有馬温泉エリア

ファッション産業等の集積

港湾・物流機能の集積

製造業の集積(素材、電気、機械等)

神戸テクノ・ロジスティックパーク

Page 16: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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第4章 神戸コンベンションセンターの現状評価と課題整理

1.神戸コンベンションセンターの現状

神戸コンベンションセンターは、国際会議場、国際展示場1~3号館から構成されている。また、

隣接地に神戸ポートピアホテルが立地している。

国際会議場は 1981 年竣工で延床面積が 13,000 ㎡強、692 席のメインホールおよび国際会議室、

レセプションホール、会議室から構成されている。

国際展示場1号館は 1981 年竣工で延床面積が 11,000 ㎡強、1階および2階に 3,000 ㎡の展示ホ

ールを備える。国際展示場2号館は 1991 年竣工で延床面積が 20,000 ㎡弱、1階に 3,800 ㎡のコン

ベンションホール、2階および3階には会議室が設置されている。国際展示場3号館は 2006年竣工

で延床面積が 5,000㎡弱、3,800㎡の展示ホールを備える。国際展示場1~3号館で合計 13,600㎡

の展示空間が整備されている。

神戸コンベンションセンターの現状

1号館

2号館

3号館

ポートピアホテル本館

ポートピアホテル南館

国際会議場

ホール大輪田

偕楽

規模地上 2F展示面積 6,153㎡延床面積 11,377㎡

1981年竣工 SRC造

展示場(1-3号)敷地面積 26,807.41㎡

1F 3,000㎡ H=6m柱24本あり

2F 3,000㎡ H=5m分割可能(1,700㎡+1,300㎡)

建築概要

展示ホール

展示ホール

多目的室 2F 153㎡ H=2.5m

施設概要

規模地下1F 地上4F展示面積 4,859㎡延床面積 19,959.59㎡

1991年竣工 SRC造

1F 3,800㎡ H=12m分割可能(2,000㎡+1,800㎡)可動席 766席ロビー 700㎡

2A 340㎡ H=2.7m2B 124㎡ H=2.6m

建築概要

コンベンションホール

会議室

施設概要

3A 450㎡ H=4.m3B 145㎡ H=3m

会議室

敷地面積 6,759.14㎡

規模地上 1F展示面積 3,800㎡延床面積 4,931.67㎡

2006年竣工 S造

3,800㎡ H=8m(1部6m)

建築概要

展示ホール施設

概要

展示場・1号館

展示場・2号館

展示場・3号館

規模地下1F 地上5F稼動面積 3,062㎡延床面積 13,172.10㎡

1981年竣工 SRC造

1F出入口 575㎡ 692席ステージ・シアター形式

3F 387㎡ H=6.3m傍聴席付き

建築概要

メインホール

国際会議室

施設概要 3F 272㎡ H=2.7m

国際会議場の向いレセプションホール

3F 6室、4F 7室、5F 5室233~40㎡

会議室

国際会議場

本館B1F 1,190㎡ H=7m3分割可能(397㎡×3)

南館1F 2,003㎡ H=7m3分割可能(630㎡×2+684㎡)

偕楽

大輪田施設概要 南館1Fで入口 1,702席

ステージ・シアター形式ポートピアホール

本館B1F 中規模6室南館B1F 中規模6室(結婚式場)

その他

ポートピアホテル

Page 17: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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2.利用者からの評価

誘致のメインターゲットとなりうる大型医学会の神戸コンベンションセンターに対する評価につ

いて聞き取りを実施したところ、1981 年竣工で老朽化の進む国際展示場1号館や国際会議場に対す

る評価が低く、このままでは今後、誘致が困難となるような医学会が多数あることがわかった。

国際展示場1号館については、1階の展示ホールの柱の存在や、2階展示ホールの床荷重の低さ

など、企業出展等に不利な面が低評価の要因となっている。また、展示面積の不足、施設が分散し

ていることによる移動のしにくさ、ホテル利用による割高感等についても低評価の要因となってい

る。

施設面における対策がないままでは、大型医学会等の誘致を推進することは極めて困難になりつ

つある。

ヒアリングで挙げられた神戸市コンベンションセンターの主な課題

施設構成・配置等 ・施設がバラバラに立地しており、施設間の移動が長い。

施設のクオリティ ・国際展示場1号館の1階展示場に柱があり使いづらい。

・国際展示場1号館の 2 階展示ホールの床荷重が低い。

・1号館について施設全体の老朽化が進んでいる。

施設の規模 ・展示面積が不足している。

価格 ・会議の主会場がホテルとなると、割高になる。

まちの魅力 ・アフターコンベンションがマンネリ化している。

・都市としての新しい魅力が不足している。

3.FM(ファシリティーマネジメント)の観点からの評価

大型の医学会や展示会では、国際展示場1~3号館の複数館を利用するケースが多いが、各館に

よって施設のスペックが異なることは、会議運営側や出展企業側にとって好ましくなく、また施設

間の移動も発生することから、施設全体の魅力・競争力を損なう大きな要因となっていることが想

定される。

また、各施設を将来、築 65 年まで機能維持し、安全に利用し続けると想定した場合に必要となる

最小限の将来コスト(ライフサイクルコスト)を試算した結果、特に国際展示場1号館については、

既存の更新が不十分であり、また、今後 10 年間に大きな設備投資をする必要性が高いことが明確と

なった。国際展示場1号館については、先の利用件数の少なさに象徴されるような施設魅力の低下

も背景として、すみやかに施設の更新を実行することが求められているといえる。

Page 18: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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4.神戸コンベンションセンターの現状評価と課題整理

以上で整理した利用者の視点、および FM の観点から神戸コンベンションセンターの各施設の評

価を行うと以下のとおりである。

国際展示場1号館や国際会議場の老朽化が進み、施設スペックが利用者ニーズに対応できていな

いなど、全般的に商品価値が低いこと、各施設によって整備時期が異なり順次の維持・更新が必要

とされていること、各施設間の動線やサインが不十分であること、などが挙げられる。

現状評価を踏まえて、神戸コンベンションセンターにおける課題については以下のとおりである。

まず、現行の強みを活かすためには、センター内で会議場、展示場、ホテル等の多様な施設が集

約しているメリットをより高めていく必要がある。

一方、現行の弱みを克服するためには、エリア内および周辺において会議場や宴会場、宿泊等の

機能の充実や、利用者ニーズに対応できるように施設を改善していく必要性があること、また利用

者負担への公的な支援の拡充や、低価格で抑えることのできる公的施設の整備等による対応、エリ

ア内の回遊性を向上させるような動線の改善や統一的なサイン計画の整備等が課題となる。

また、整備時期や稼働状況の異なる各施設について、施設・設備の更新を計画的・戦略的に進め

ていく必要性が高い。

とりわけ、エリア内および周辺における会議場や宴会場等の各種機能の充実や展示場1号館等の

老朽化が進む施設の改善、ホテル利用の場合の価格競争力の強化等についてはセンター全体の商品

価値に直結した課題であり、改善のための抜本的な対策が求められている。

利用者および FMの視点から見た課題整理

利用者視点の評価

「強み」からみた課題整理

・会議場、展示場、ホテルの各機能が一定エリアに集約しており、施設間の動線も短いため、利便性が高い。⇒センター内で多様な施設が集約しているメリットをより高めていく必要性。

・1,000人規模の会議室を複数有しており、中~大規模コンベンションへの柔軟な対応が可能(同時開催の可能性)。⇒豊富な施設ストックを抱えている強みを活かしていく必要性(複数会議の受け入れなど)。

※複数会議受け入れについては検証が必要

「弱み・問題点」からみた課題整理

・大規模会議開催時における講演会会場や懇話会(パーティー)会場、宿泊施設等が不足。⇒エリア内および周辺において会議場や宴会場、宿泊等の機能の充実が必要。

・とりわけ展示場1号館(特に1階)の展示ホールが非常に使いづらい。⇒利用者ニーズに対応できるように施設を改善していく必要性(特に展示場1号館)。

・ホテル利用を前提とすると価格競争力が低い。⇒利用者負担への公的な支援の拡充や、低価格で抑えることのできる公的施設の整備等による対応が必要。

・本来はコアとなるべき国際会議場が利用者ニーズに対応していない。(実質的に、会議場機能はポートピアホテル、2号館等が担っている)⇒将来的には、国際会議場の抜本的な見直しを検討していく必要も。

・駅と各施設、各施設間の移動がやや不便。⇒エリア内の回遊性を向上させるような動線の改善や統一的なサイン計画が必要。

「FMからの評価」からみた課題整理

・国際会議場については、早急な耐震補強・改修を実施するが、将来的に現状の機能のままでよいかについて検討が必要。

・国際展示場については、まずは1号館の機能維持・老朽化対応が早急に必要となるが、将来的にはその他の施設(2、3号館)での対応も必要となる。⇒整備時期や稼働状況の異なる各施設について、施設・設備の更新を計画的・戦略的に進めていく必要性。(本来ならば、1~3号館の一体的な整備が望ましい)

商品価値低下に直結

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【競争力強化のための施設整備の必要性】

他都市においてコンベンション施設整備等の動きが加速している。大阪市では、2013 年に大阪駅

北側のグランフロント大阪に 3,000 人収容規模のコンベンション施設の開業が予定されている。ま

た、特に競合関係にある横浜市や京都市、福岡市等では 4,000~5,000 人を超える規模の多目的ホー

ルの整備を検討中である。

このままでは、特に神戸市の課題となっている施設面での改善をはじめ、商品価値の向上に資す

る抜本的な対策を講じなければ、大型医学会をはじめとするコンベンション誘致に関して、神戸市

の競争力が大幅に低下する可能性もある。

競争力あるコンベンション都市を形成していくためには、全市的なコア施設である神戸コンベン

ションセンターの機能・役割をより一層充実していく必要がある。

施設整備面をはじめとした、神戸コンベンションセンターの再構築を検討・実行していくことが、

神戸の都市経営戦略上、急務となっているといえる。

5.これからの望ましい施設整備のあり方

メインターゲットとなる大型医学会の神戸コンベンションセンター、特に国際展示場に対する施

設面での代表的な評価・意見・要望を整理すると以下のとおりであり、大きく3つの課題に整理さ

れる。

①集約型施設の必要性

②学会の規模拡大に対応した展示場面積と多数の講演会場等の必要性

③無柱、均質的な展示空間の必要性

以上の3つの課題に対して、今後の施設整備の望ましいあり方については、下記のとおりである。

・ 今後、各施設・設備の更新を進めていく際は、国際展示場1~3号館を個別の施設ではな

く一体として捉え、主催者にとって使い勝手の良い集約型施設として、戦略的・段階的に

整備していくことが望ましい。

・ 参加者や出展企業の増加に対応して、相応の面積を有する展示空間を確保し、複数の会議

室の設置や、懇親会会場となるホール等、主催者の多様なニーズに対応した施設の整備・

充実が必要となる。

・ 大型医学会の開催にあたっては、多くの企業が出展しやすいような十分な面積の展示空間

を確保するとともに、主催者による自由なレイアウトが可能となるような、無柱の大規模

な展示空間の整備・充実が求められる。

Page 20: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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第5章 今後の神戸コンベンションセンターのあり方

1.神戸コンベンションセンター再構築の基本方針

今後、全国主要都市において、大型国際会議等が誘致可能となる大規模な展示場・会議場の整備

が進むことになる。神戸市においても、国際的な競争力を維持・強化するためには、相応の規模、

クオリティを誇る施設の整備が必須となる。

現在の国際展示場1~3号館の敷地において、各施設の更新・建替え時期等にあわせながら、コ

ンベンションセンターの整備を進め、神戸市の競争力を高めることが必要である。

隣接する神戸ポートピアホテル等とも連携・連動しながら、コンベンションセンターを中心とす

る西エリア、ホテルを中心とする東エリアのそれぞれの商品価値(施設の規模・構成、クオリティ、

価格)を高め、エリア全体において競争力の高いコンベンションゾーンを形成する。

また、エリア全体での共通のサイン計画や動線整備、簡易な改修など、短期的に解決が可能とな

る課題への着実な対応も必要である。

2.新コンベンションセンターの基本要件

(1)新コンベンションセンターが備えるべき機能

競争力の高い多機能・多用途型のコンベンション施設として、新コンベンションセンターが備え

るべき機能は以下のとおりとなる。

・無柱・ワンスパンで分割利用可能なマルチユースの大規模展示空間

・分割や統合により多様な規模で開催できる会議室

・参加者の交流のための十分なコミュニケーションスペース

・ハレの場として会議と展示会への流れを演出する動線

・参加者が滞在中に寛げる飲食・物販等のスペース

・展示・会議準備がスムーズにできるサービス動線

・主催者・演者の準備・交流に十分な数の控え室

・主催者・VIPルートを独立に確保できる動線 等

(2)施設規模および諸室構成

新コンベンションセンターの施設規模および諸室構成については以下のとおりである。

なお、施設規模、諸室構成等については、今後策定される基本計画においてより詳細に検討する

ことが求められる。

Page 21: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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施設規模および諸室構成

展示ホール規模 ・現行でも1号館から3号館の合計で 13,600㎡であり、最低限この面積が必要。今後の

競争力強化を考えると、合計 15,000~20,000㎡程度が妥当。

会議室規模 ・長期的にエリア全体での競争力を維持していくためには、現行を上回る 6,000~8,000

㎡程度のスペース確保が望まれる。

会議室規模・構成 ・大型医学会の開催を前提とした会議室の規模や構成とする必要がある。

ラウンジ・ロビー・

ホワイエ

・展示ホール、会議室による適正規模を確保する。

・ホール、会議室との一体利用を可能とする。

・複数イベント時の動線に配慮する。

・周辺動線との関係性を重要視する。

控え室 ・展示ホール、会議室の隣接に設置する。

・大小規模、及び応接に対応可能とする。

附置義務駐車場 ・施設面積を50,000㎡と想定すると、計画台数は200台となる。

※附置義務駐車台数=特定用途延床面積÷250(展示場用途の場合)

(3)空間構成

新コンベンションセンターにおいては、大型医学会等において非常に使いやすい空間構成とす

るなど、今までにない使い勝手のよい、競争力の高い施設となるような空間構成を導入する。

また、ポートライナーの市民広場駅から直結したエントランスの設置と会議室、展示ホールへ

の円滑な動線を整備し、またサービス動線と分離することによって、利用しやすい平面構成を導

入する。

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3.新コンベンションセンターの整備プラン

コンベンションゾーンの西エリアにおいて、現在の国際展示場1~3号館の敷地をひとまとまり

の街区とし、会議室等を併設したコンベンションセンターとして、将来のあるべき姿を検討する。

神戸ポートピアホテルを中心とした東エリアとの連携を図り、地域全体として神戸市のコンベン

ション機能のコア施設として再構築する。

なお、展示面積は国内競合都市の整備状況を見据え、合計面積で 15,000 ㎡を確保する。また、ワ

ンスパン空間の規模として、15,000 ㎡ 1 室空間(A 案)と、10,000 ㎡+5,000 ㎡ 2 室空間(B 案)

の 2 パターンにおいて配置検討する。

また、展示場と会議室のフロア構成としては、2 案を検討する。(展示ホール 1 階:-1案、展示

ホール 2 階:-2案)

全体構想プランについて

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4パターンの整備プラン

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4.新コンベンションセンター整備に向けた施設の建替え手順

いずれの案においても、最も稼働率が高く商品価値の高い国際展示館2号館、および隣接する1

号館は稼働させたまま、まずは国際展示場3号館から解体をはじめるのが合理的である。

A 案(A-1案)については、まず国際展示場3号館の解体を経て、北半分の展示ホール(7,000

㎡)を建設、その後、1・2号館の解体を経て、南半分の展示ホール(8,000 ㎡)を整備する。最

大、63 カ月程度の工期が想定される。

B 案(B-1案)については、まず国際展示場3号館の解体を経て、北側の展示ホール(10,000

㎡)を建設、その後、1号館の解体を経てサービス棟を建設し、その後に2号館の解体を経て南側

の展示ホール(5,000 ㎡)を整備する。最大、68 カ月程度の工期が想定される。

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整備イメージ(1)

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整備イメージ(2)

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整備イメージ(3)

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5.整備プラン間の比較

A-1~B-2の4案については、センターの競争力強化の観点からは、15,000 ㎡の

ワンスパンの展示空間を有し、展示空間を外部からの搬入に便利な1階に、会議室を2

階に配置したA-1案が最も望ましい。今後、整備プランの詳細について検討を進める

必要がある。

6.建替え時の対応について

新コンベンションセンターは現行の国際展示場の敷地に再整備するものであり、国際

展示場の各号館を順次建替えする形で進められるものである。そのため、建替え期間中

はセンター全体での床面積が大幅に縮小することとなる。

A-1案~B-2案の各案とも、仮に3号館の解体から着手した場合、着工から1次オ

ープンまでの3年間は床面積が 9,800 ㎡に減少する。さらに、その後については、もっ

とも競争力を高めることのできる A-1案の場合、1次オープン後の第 3期~第 4期工事

期間中は床面積が 7,000㎡まで減少する。

㈶神戸国際観光コンベンション協会へのヒアリングによると、どの会議・展示会も3

~6年後の建替え期間後に必ず神戸で引き続き開催してくれるまでの確実なロイヤリテ

ィは低いと考えられる。そのため、大型医学会をはじめとした規模が大きく、集客力・

経済効果の高い会議・展示会誘致の他都市との競合が激しくなるなかで、上記のように

建替えによって一旦逸失した顧客が戻らなくなる可能性は高い。第3章で述べた今後の

コンベンション誘致戦略の実現が困難となりかねない。

【建替え時における影響】

2010 年度の国際展示場の会議開催データを用いて、建替え時における会議・展示会等

の逸失件数・逸失利用者数を試算すると、全館利用の大型医学会等の逸失をはじめ、利

用者数は半減することが予測され、相当大きな経済損失が見込まれる。さらに、建替え

後にそれまでの全ての顧客が即座に戻ってくることは考えられないため、長期的な経済

効果の損失はさらに大きくなるものと考えられる。

【代替施設の必要性】

以上を整理すると、コンベンション誘致戦略の実現のため、長期にわたる新コンベン

ションセンターの整備期間中においては、会議・展示会等の開催の受け皿となる代替的

な施設の整備が必要である。

Page 29: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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そのため、新コンベンションセンターの着工までに、建替え時に最低でも合計 10,000

㎡程度の床面積(現行の1号館1階あるいは2階+2号館+3号館に相当)を確保でき

るよう、3,000 ㎡程度のマルチユースのコンベンション施設を整備しておくことが求めら

れる。なお、代替施設の立地については、現行の国際会議場・国際展示場の周辺に適地

がないか検討を要する。隣接施設の建替えの可能性、公園や広場における整備の可能性

等も含めて、総合的に勘案する必要がある。

代替施設の立地や施設規模・構成、諸室構成、施設スペック、動線等の候補イメージ

については以下のとおりである。

代替施設の候補イメージ

項目 方向性

立地 ・ポートピアホテル東側のコーズ跡地等

施設規模・構成 ・多目的ホール:3,000 ㎡程度

・平面、一部2階(北側)

諸室構成 ・(2分割可能な)ワンスパンの多目的ホール

・小規模な会議室、控室等

施設スペック ①3号館レベル

②3号館+αレベル

③その他

動線 ・国際会議場・国際展示場とのスムーズな利用者導線の確保

なお、代替施設とはいうものの、一定水準のクオリティを確保した魅力ある施設でな

ければ、利用者の評価や稼働率は上がらず、建替え時のセンター全体の競争力を維持す

ることに寄与しない恐れがある。

そのため、低スペックの暫定的な施設ではなく、新コンベンションセンターの整備完

了後も、東エリアを構成する主要施設としてセンター全体の競争力向上に寄与できるよ

うな施設とすることが望ましい。

代替施設については、建替え時はもとより、整備完了後の利用方法も十分に検討した

うえで、その整備内容や運営手法等について、詳細に検討していくことが求められる。

Page 30: コンベンションセンター再構築基本構想について ( …...1 第1章 コンベンションセンター再構築基本構想の位置づけ 1.基本構想策定の背景・目的

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第6章 神戸コンベンションセンターの整備・運営のあり方

1.事業計画のあり方

(1)神戸コンベンションセンターの事業

神戸コンベンションセンターの位置づけについては、①全市のコンベンション政策・

戦略に基づき、誘致戦略の立案・マーケティングや各種事業の企画立案等を実施・統括

するとともに、効率的かつ効果的な事業実行のためのコントロールセンターとなること、

②全市的な産業・集客政策の一翼を担う施設として、神戸市のリーディング産業を推進

する重要な産業インフラ、知の集積による知の交流拠点、滞在型観光を推進するための

戦略的施策の拠点となること、③神戸ならではの付加価値の高いサービスの提供によっ

て他都市と差別化をはかること、が求められる。

以上を踏まえて、コンベンションセンターの業務は下図表のとおりとなる。このうち、

上記の2つの戦略的拠点としての「コア業務」がとりわけ重要となる。「コア業務」の推

進にあたっては、政策・戦略レベルの「市の業務」、実行レベルの「センターの業務」と

の適切な連携を図ることが求められる。

神戸コンベンションセンターの業務戦略

レベル 項 目

政策・戦略レベル

コンベンション誘致政策・戦略立案

施設整備計画

施設デザイン・整備

大規模改修・設備投資

企画・誘致等レベル

運営戦略立案

誘致・マーケティング

各種商品企画・開発

産業政策との連携

観光政策との連携

実行レベル

施設メンテナンス

小規模改修・設備投資

展示会・会議運営支援

ケータリング等

飲食・レストラン等

駐車場

センターのコア業務

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(2)事業展開イメージ

2022年以降を目途に、神戸コンベンションセンターが国際(アジア)メディカル MICE

センターの中核施設となっていることをゴールとして、コンベンションセンターの事業

展開を、短期・中期・長期に分けて示すと以下のとおりである。

2015 年までの短期では、医療分野に強いコンベンションシティとして、学会誘致の機

能強化を行う。

2022年頃までの中期では、産業政策との連携策の推進や国際展開の本格化等によって、

医療分野における我が国 No.1のコンベンションシティを目指す。

2022 年以降の長期では、シンボル的な会議開催等により、医療分野におけるアジア有

数のコンベンションシティとなることを目指す。

神戸コンベンションセンターの事業展開イメージ

(3)誘致プラン

今後の誘致プランについては下表のとおりであり、メインターゲットは大型医学会、

その他の医療関連の会議・展示会、医療関連の資格試験、医療関連企業を中心とするイ

ンセンティブツアー等を想定する。

また、神戸の特色・強みを活かしたファッション・デザイン、健康・スポーツ、先端

科学技術・防災関連等の国際会議、展示会もターゲットと想定する。

なお、メインターゲットとなる会議・展示会等については、イベントの規模も大きく、

経済効果や情報発信力が高いものが多いと考えられるが、必ずしも年間の開催件数は多

くなく、また特定の時期に集中していることなども想定される。上記分野以外にも、企

業・従業員や消費者向けの販促イベント・説明会等は年間を通じて多数開催されており、

継続的な利用促進や新たな顧客の開拓によって、年間を通じた稼働率の平準化、向上を

目指す。

短期(2015年まで) 中期(2022年頃) 長期(2022年以降)

医療分野における我が国No.1のコンベンションシティ

医療分野におけるアジア有数のコンベンションシティ

国際(アジア)メディカルMICE

センターとなっている

医療分野に強いコンベンションシティとしての機能強化

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2.運営主体・事業主体のあり方

(1)現行の運営体制

神戸市におけるコンベンション誘致事業に係る体制については、神戸市長をキャプテ

ンとする「観光コンベンションビューロー」を設置し、市観光コンベンション部及び㈶

神戸国際観光コンベンション協会が連携しながらコンベンション政策の基本方針や事業

の立案等を実施している。

神戸国際会議場・展示場の運営は、開業以来、2006 年 3 月まで、㈶神戸国際観光コン

ベンション協会が担ってきた。2006 月 4 月からは指定管理者制度が導入され、その後は

公募選定により、2010 年 3 月までは協会が単独で、また 2010 年 4 月からは「神戸コン

ベンションコンソーシアム」(協会+JCS)として運営を担っている。なお、センター全

体でのコンベンション誘致には、協会と神戸ポートピアホテル(営業本部コンベンショ

ン部)が連携をとって実施している。

また、市内のホテル等が参画する神戸コンベンション誘致協議会や、同じく市内の民

間事業者 80 社が参画する MEET IN KOBE 21 など、事業者による連携組織が組成され

ており、官民連携でコンベンション誘致を展開しているところである。

このように神戸市(観光コンベンションビューロー)と㈶神戸国際観光コンベンショ

ン協会が一体となって、神戸コンベンションセンターの施設運営にとどまらず、神戸市

全体のコンベンション誘致をリードしてきた歴史的な経緯があり、こうした体制が神戸

市におけるコンベンション戦略推進上の強みとなってきた。

(2)事業実施体制の現状と課題

市全体での戦略立案レベルでは、市長をキャプテンとして、庁内関係部局が参画する

「観光コンベンションビューロー」が設置されているが、観光分野と一体となっており

コンベンション事業独自の戦略立案が手薄となりやすい、産業政策部門等との連携が十

分ではない、などの課題が挙げられる。

企画・誘致レベルに関しては、全市的な誘致活動を㈶神戸国際観光コンベンション協

会・コンベンション事業部が担いつつ、コンベンションセンターの誘致についても、株

式会社神戸ポートピアホテルと連携しながら担当している。一方、指定管理者であるコ

ンベンション施設部も一部の誘致(利用から 1.5 年先までのもの)に関わっている。課題

としては、誘致や事業企画等の体制強化などが挙げられる。

施設管理・運営の実行レベルについては、協会のコンベンション施設部と日本コンベ

ンションサービス株式会社(JCS)が施設管理や主催者サポート業務等を実施している。

また、一部の主催者サポート業務については、協会のコンベンション事業部も担ってい

る。

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神戸市では、このように施設運営を担うコンベンション施設部と誘致を担うコンベン

ション事業部が相互に連携しながら、誘致の強化や主催者支援のサービスの充実を図っ

ていることが特徴である。

【現行の施設の管理・運営体制の問題点】

2006 年4月以降、施設管理や主催者サポート等の実行レベルの業務を一括して指定管

理者が管理する体制に移行し、公募選定している。今までのところ、協会・コンベンシ

ョン施設部が指定管理者として実行レベルの業務を継続的に担っていることから、協会

内で企画・誘致活動と施設運営との密な連携が図られ、円滑な誘致活動や主催者への一

貫したサポート等が可能となっている。しかしながら、今後、仮に協会とは異なる事業

者が指定管理者に選定されれば、従来のような企画・誘致と施設運営との有機的な連携

について課題が生じることが予測される。

また、4 年ごとに指定管理者を公募選定する従来の方法では、運営体の継続性の担保が

希薄であり、長期的視点での施設管理計画の実施ができないなど、長期的・戦略的視点

を持ってコンベンション施設を運営する体制としては問題が多いと考えられる。

コンベンション施設としての競争力強化の観点から、現行の指定管理者制度を軸とす

る運営体制については、見直しを検討する必要がある。

(3)センターの運営体制・事業者に求められる要件

神戸コンベンションセンターの運営体制・事業者については、

・誘致ターゲットとの緊密な関係性をベースとした、誘致・マーケティング体制の構築

・付加価値の高いサービスの提供による他都市との差別化

・中長期的な観点からの運営や施設への投資、専門性の高い人材の育成・確保

・市内の産業育成・支援団体との連携協力関係の保有・構築

・経済波及効果を確実に市内に還元するための競争的な環境の確保

・大規模コンベンション施設の管理・運営のための十分なノウハウ・実績

等が求められる要件となる。

加えて、政策・戦略レベルを扱う市行政との連携や、実行部隊の円滑なマネジメント

の推進など、政策・戦略レベルから実行レベルに至るまで、神戸市のコンベンション誘

致事業の推進拠点となることが求められる。

こうした要件に応えるために、誘致・マーケティングはもちろんのこと、事業企画、

人材育成、産業政策との連携、業務マネジメント等について、現行の運営体制をより一

層、強化していくことが求められる。

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(4)今後の運営体制のあり方

「(2)運営体制上の課題」、および「(3)センターの運営体制・事業者に求められる

要件」を踏まえた、今後の望ましい運営体制のあり方については、以下のとおりである。

市全体の政策・戦略レベルでは、現在の観光コンベンションビューローに関して、コ

ンベンション部門と観光部門とを切り離すことによって、コンベンション事業に特化し

た組織を組成し、コンベンション事業に機軸をおいた戦略立案組織とする。

企画・誘致レベルでは、市全体のコンベンション誘致のマーケティング・セールスの

ための組織と、企画・自主事業実施の組織を設置し、コア業務の円滑な推進とコンベン

ション事業全体をマネジメントする体制を構築する。この際、医学会や産業政策等の公

的機関と連携したビジネスマッチング等の推進が必須となる。そのため、公益性を有し、

かつ長期的継続性を担保した組織となることが望ましい。

施設管理・運営の実行レベルでは、コンベンションセンター運営組織が、施設管理や

警備・清掃等の事業者のマネジメント、会場設営・ケータリングサービス提供等の主催

者支援等を実施する。その際に、「企画・誘致組織と一体化し、サービス提供事業者も抱

え込むパターン」、「企画・誘致組織とは分離するパターン」、「企画・誘致組織とは一体

化するが、サービス提供事業者は抱え込まないパターン」などが想定される。

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3.事業手法のあり方

(1)運営手法のあり方

センターの事業を本格的に展開していくためには、既に述べたようにセンターの運営

体制を強化していく必要がある。その際、通常の行政において多くみられる、民間事業

者を主体とした短期的な契約に基づいた実施体制では、長期的な視点に基づいた公的機

関との連携、学会とのパートナーシップの構築、神戸独自の官民連携のビジネスモデル

の構築等を推進することは困難になると考えられる。

今後のセンター運営にあっては、地域に根ざした主体が長期的に担うことのできる実

施体制が望まれる。その場合に長期継続性の実現や公益的な視点での事業実施を実現で

きる運営手法の検討が必要となる。

下表では、「直営」、「指定管理者」、「PFI」、「貸付」の4つの運営手法を、長期継続性、

公的戦略実現度、導入容易性の観点から評価した。

長期継続性の観点からは、「直営」や長期の契約となる「PFI」のメリットが高いが、「指

定管理者」の場合でも、例えば施設整備に PFI 事業を導入し、指定管理者による運営期

間もPFI事業と同様の長期に設定することができれば、長期継続性が担保しやすくなる。

公的戦略の実現度については、「指定管理者」や「貸付」の場合でも、運営を公的な性

格を有する機関とすることにより、担保することが可能となる。

望ましい運営体制を実現させるための運営手法

概要

直営

・市が直接センターを運営する。

指定管理者

・公の施設の指定管理者として、指定期間中のセンターの運営をする。

PFI(整備・運営一体型)

・PFI事業者(SPC)として、センターの運営をする。

貸付

・市がセンター運営組織に施設を貸付する。

長期継続性

公的戦略実現度

導入容易性

・確保できる。

・一般的に3-5年間。・整備にPFI導入の場合、PFI契約と同じ長期間が可能。

・10年以上の期間が設定可能。

・10年以内(建物賃貸借による私法上の契約)。

○ △ ○ △

・高い。・公的機関が指定管理者の場合には高い。(ただし、非公募の場合)

・基本的に民間企業がSPCを構成するため、低い。

・公的機関が貸付を受ける場合は高い。

○ ○/× × ○

・既に指定管理者制度を導入しているため、直営のための理由づけが必要。・人材確保が困難。

・既に導入している指定管理者制度と同じ手続き。

・PFI法に則った総合評価方式の導入により、事業者選定に一定の期間がかかる。

・行政財産の貸付手続きが必要。

△ ○ △ △

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(2)整備手法のあり方

以上で整理した運営体制を実現するための、センターの整備手法については、「従来手

法」、「PFI 手法」、「民間整備手法」等が考えられる。下表では運営手法と整備手法との可

能な組み合わせについて整理した。

このうち、民間が施設整備・維持管理を行い、行政が有償で床を借りて施設を運営す

る「民間整備手法」については、民間のリース事業として相応の利回りが必要とされ、

その分が床の賃借料に反映されることから、一般的には直営や PFI 手法に比べてコスト

面では不利になることが予測される。

「従来手法」の場合、金利負担の少ない地方債や補助金等の充当が可能な場合には有

利になるが、逆に地方債や補助金等の充当が困難な場合、整備当初に整備費を調達する

工夫が必要となる。

「PFI 手法」では、民間が資金調達を行い、市はサービス購入費を PFI 事業期間中に

割賦払いをすることで財政負担が平準化されるなどのメリットがある。従来方式と比較

してどちらの方にメリットがあるか、また PFI のどういった方式が望ましいかは、PFI

可能性調査の実施による詳細検討が必要となる。

望ましい運営体制を実現させるための運営・整備手法

従来手法

直営

・運営を直営とするための理由づけが必要

指定管理者

・現状の事業実施体制と同じ・公的戦略実現のために運営体の組成に工夫が必要

PFI(運営) 貸付

・公的戦略実現のために、運営体(公的機関)が行政財産の貸付を受ける理由づけが必要

概要

・従来同様に、行政が設計、建設、施設管理を別々に分離して発注する。・資金調達は市が実施(一般会計予算又は地方債発行等)

PFI手法

・運営を直営とするための理由づけが必要

・公的戦略実現のために運営体の組成に工夫が必要・指定管理期間とPFI契約期間とを一致させ、指定管理期間を長期間とすることが可能。

・PFI事業者(SPC)が一体的に事業を実施するため、公的戦略実現度が低い

・公的戦略実現のために、運営体(公的機関)が行政財産の貸付を受ける理由づけが必要

・行政が設計・建設・維持管理(運営体制がPFIの場合は運営も含む)を一体的に発注し、PFI事業者(SPC)が実施する。・資金調達はSPCが実施。市はサービス購入費として割賦払い。

整備手法

運営手法

(運営のみのPFIはなし)

民間整備手法

・運営を直営とするための理由づけが必要

・公的戦略実現のために、運営体の組成に工夫が必要・指定管理期間とリース契約期間とを一致させ、指定管理期間を長期間とすることが可能。

・民間が施設整備・維持管理を行い、行政が有償で床を借りて施設を運営する。

(運営のみのPFIはなし)

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第7章 今後の課題

本基本構想では、神戸市におけるコンベンション政策の現状と課題を踏まえたうえで、

今後の神戸市のコンベンション誘致戦略を検討し、その中核となる神戸コンベンション

センターの現状評価、および今後のコンベンションセンターの整備・運営のあり方をと

りまとめた。

次年度は、今後のコンベンションセンターの整備・運営のあり方について、施設整備

内容や運営・事業手法等をより詳細に検討し、具体的な整備に向けた基本計画を策定す

ることが求められる。

次年度に向けた主な検討課題は以下のとおりである。

【施設整備面】

・新コンベンションセンターの施設整備内容の検討(次世代型の通信環境に対応した

設備面を含む)

・ワールド記念ホール(神戸ポートアイランドホール)や、ポートアイランドスポー

ツセンターなど、隣接する施設との連携についても十分に配慮したプランの検討

・神戸国際会議場の今後の活用方法の検討

・市民広場等も含めたエリア一体としての動線計画の検討

・市民に愛される神戸らしい施設・空間のデザインに向けた検討

・競争力を強化し、かつ効率的な整備・運営が可能な事業手法の検討

・収支見通しの検討

・長期的な観点から設備投資が担保可能なしくみの検討 など

【運営・体制面】

・マーケットの動向を着実に把握したうえで、他都市と差別化が可能であり、かつ実

行可能な誘致プランの検討

・夏・冬の稼働率向上策の検討

・戦略を実行する体制や人材の育成・確保等の検討

・他都市の成功事例・先行事例も参考とした実施事業等の検討

・㈶神戸国際観光コンベンション協会における今後の業務のあり方

・指定管理制度の評価と今後の対応方向

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コンベンションセンター再構築基本構想

~アジアの MICEセンターを目指して~

平成 25年3月

神戸市 産業振興局 観光コンベンション部 観光コンベンション課