プローブデータによる 交通事故多発危険交差点の...
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プローブデータによる 交通事故多発危険交差点の 抽出可能性に関する分析
名古屋大学 山本俊行 豊和繊維工業 鄧磊 名古屋大学 森川高行 国土交通省 森川博邦 国土交通省 森本善也
背景と目的 交通事故発生プロセスと分析データ(古屋ら(2001,2003)を修正)
道路状況
信号・標識
他車の状況
気象条件
など
交通環境 認知・判断
結果
運転者 ヒヤリ体験 ・ヒヤリ地図
・危険評価アンケート
車両挙動 ・車両位置・加速度データ
実事故 ・交通事故原票
データ
行動
背景と目的 • ヒヤリ体験
– 主観的であり信頼性に不安 • 車両挙動
– データ収集の費用が高い • 実事故
– 稀事象のため統計的分析が困難
ITSの発展により車両挙動のデータ収集費用が低下
プローブデータによる交通事故多発交差点抽出の可能性
プローブデータ • タクシー約1500台の実車時のみのデータ • 対象地域:名古屋市周辺 • 2002年10月~2003年3月(残念ながら事故データと一致しない)
• データ項目:車両ID,日時,車両位置,走行速度,加減速度,等
• 収集タイミング:車両発進時(35%),車両停車時(30%),300m走行時(31%),0.3G以上の加減速時(0.42%)等
プローブデータ基礎集計
台キロ当たり発生頻度は • 金曜日 • 朝8時台 で最も高い
曜日別急ブレーキ発生状況
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
0.03
0.035
急ブレーキ発生回数(回) 走行台キロあたり(回/台・km)
時間帯別急ブレーキ発生状況
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
0.03
発生回数(回) 走行台キロあたり(回/千台・km)
既存研究(樋口ら,2004)と一致
出合い頭6.4%
車両単独1.8%
追突42.1%
左折12.1%
右折21.9%
横断中(車対人)6.5%
その他6.4%
正面衝突0.3%
進路変更2.6%
交通事故データ • データ:交通事故総合分析センターのデータ • 期間:1996年~2001年 • 内容:人身事故のみ
事故DB 単位 事故1件毎 位置 事故発生地点のキロポスト 情報 •年月日,昼夜別
•事故類型,人の死傷 •道路線形,道路形状 •交通状況(路面,センサス)
表 交通事故総合データベース
図 交差点事故類型別発生状況
事故発生分布と急制動分布の比較例
旗屋町
西高蔵
熱田神宮南
駅前
高蔵
交通事故 急制動
交差点での交通事故と急制動の相関
1. 交差点中心からの距離
2. 急制動の強度
3. 交通事故の類型
4. 比較単位:台キロ当たり発生率と発生数(急ブレーキの場合は拡大推計値) 対象交差点
(環状線と弥富・名古屋通りで囲まれる地域における100交差点)
1.交差点中心からの距離 交差点ごと事故と急ブレーキ発生回数(1mあたり)
0
5
10
15
20
25
30
35
40
0-5 5-10
10-15
15-20
20-25
25-30
30-35
35-40
40-45
45-50
交差点の中心から距離(m)
急ブレーキ発生回数
0.00.51.01.52.02.53.03.54.04.55.0
事故発生回数
急ブレーキ
事故
交差点中心から10~15m
交差点中心から50m以内
交差点から離れた10m~15m区間
0
0.0002
0.0004
0.0006
0.0008
0.001
0.0012
0 10 20 30 40急ブレーキ率(回/千台)
事故
率(回
/千
台)
交差点中心から半径50m以内
0
0.0002
0.0004
0.0006
0.0008
0.001
0.0012
0.0014
0 50 100 150急ブレーキ率(回/千台)
事故
率(
回/千
台)
交差点中心から離れた10m~15m区間
0
0.0002
0.0004
0.0006
0.0008
0.001
0.0012
0 1 2 3 4
急ブレーキ率(回/千台)
事故
率(
回/千
台)
交差点中心から半径50m以内
0
0.0002
0.0004
0.0006
0.0008
0.001
0.0012
0.0014
0 2 4 6 8 10
急ブレーキ率(回/千台)
事故
率(
回/千
台)
相関係数:0.141
相関係数:0.047
相関係数:0.356
相関係数:0.114
2.急制動強度 0.
5G以上
0.
3G以上
3.交通事故の類型 事故類型別相関分析(交差点中心から離れた10~15m道路区間)
-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
追突 右左折 出合い頭 横断 進路変更 その他
事故類型
相関係数
0.3G以上0.4G以下0.5G以下 • 交差点における
急ブレーキデータは横断中(車対人)との相関が高い
• 交差点から10m~15m,急ブレーキ強度を0.5G以上に限定した方が相関が高い
① 交差点中心から10m~15m
② 交差点中心から50m以内
事故類型別相関分析(交差点中心から半径50m以内区間)
-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
追突 右左折 出合い頭 横断 進路変更 その他
事故類型
相関係数
0.3G以上0.4G以上0.5G以上
交差点中心から10~15m
交差点中心から50m以内
4.台キロ当たり発生率と発生数(0.5G以上) 発生数
発生率
交差点中心から離れた10m~15m区間
0
0.0002
0.0004
0.0006
0.0008
0.001
0.0012
0 1 2 3 4
急ブレーキ率(回/千台)
事故
率(
回/千
台)
交差点中心から半径50m以内
0
0.0002
0.0004
0.0006
0.0008
0.001
0.0012
0.0014
0 2 4 6 8 10
急ブレーキ率(回/千台)
事故
率(
回/千
台)
y = 2E-04 x + 0.002R= 0.388t= 4.17
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
0 20 40 60 80 100
急ブレーキ発生回数(千回/年)
事故
発生
回数
(千
回/年
) y = 2E-05 x + 0.0072
R=0.143t= 1.43
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
0.03
0.035
0 50 100 150 200 250
急ブレーキ発生回数(千回/年)
事故
発生
回数
(千
回/年
)
まとめ
交差点での急制動が交通事故と相関を持つのは • 交差点中心から10~15mのデータ
– より遠い地点では事故に無関係な急ブレーキ? • 急制動強度は高いほどよい
– より事故発生に近い(ただしデータ数は少なくなる) • 横断中(車対人)との相関が高い
– 特定の危険状況の発見に活用可能か?