トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1...

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トラゼンタ錠 5mg CTD 第2部 資料概要 2.7 臨床概要 2.7.6 個々の試験のまとめ 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

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トラゼンタ錠 5mg

CTD 第2部 資料概要

2.7 臨床概要

2.7.6 個々の試験のまとめ

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

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2.7.6 個々の試験のまとめ 1.........................................................

1. 生物薬剤学試験 23..............................................................

1.1 試験1218.8 23.................................................................

1.2 試験1218.10 29................................................................

1.3 試験1218.33 39................................................................

1.4 試験1218.34 46................................................................

1.5 試験1218.25 52................................................................

1.6 試験1218.45 60................................................................

2. 臨床薬物動態(PK)試験 69.......................................................

2.1 試験1218.1 69.................................................................

2.2 試験1218.7 76.................................................................

2.3 試験1218.11 90................................................................

2.4 試験1218.58 105...............................................................

2.5 試験1218.2 110................................................................

2.6 試験1218.26 118...............................................................

2.7 試験1218.27 134...............................................................

2.8 試験1218.4 148................................................................

2.9 試験1218.9 157................................................................

2.10 試験1218.13 169..............................................................

2.11. 試験1218.28 183.............................................................

2.12 試験1218.29 194..............................................................

2.13 試験1218.30 203..............................................................

Table of Contents

Page 4: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

2.14 試験1218.31 213..............................................................

2.15 試験1218.44 221..............................................................

2.16 試験1218.67 230..............................................................

3. 臨床薬力学(PD)試験 240.......................................................

3.1 試験1218.32 240...............................................................

3.2 試験1218.37 246...............................................................

4. 有効性及び安全性試験 265.......................................................

4.1 試験1218.3 265................................................................

4.2 試験1218.5 280................................................................

4.3 試験1218.6 304................................................................

4.4 試験1218.12 328...............................................................

4.5 試験1218.15 350...............................................................

4.6 試験1218.16 378...............................................................

4.7 試験1218.17 411...............................................................

4.8 試験1218.18 446...............................................................

4.9 試験1218.23 477...............................................................

4.10 試験1218.35 541..............................................................

4.11 試験1218.40 (中間解析) 571..................................................

Table of Contents

Page 5: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

2.7.6 個々の試験のまとめ

表 1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0008 (5.3.1.1-1)

(U -1363-01) (ドイツ)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356 BS(リナグリプチ

ン)1 mg 錠とリナグリプ

チン 1 mg 粉末製剤溶解液

ならびにリナグリプチン

10 mg 錠とリナグリプチ

ン 10 mg 粉末製剤溶解液

のバイオアベイラビリテ

ィの比較 リナグリプチン 10 mg 錠

のバイオアベイラビリテ

ィに及ぼす食事の影響の

検討

ランダム化,非盲検, 2 期(1 mg)および 3期(10 mg)クロスオ

ーバー試験

健康男性 (24 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 1 mg 錠,リナグリ

プチン 10 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 40 mg瓶入り粉末製

薬物動態: リナグリプチンの AUC0-∞および

Cmax に基づく相対バイオアベイ

ラビリティ 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

1218. 0010 (5.3.1.1-2)

(U -1800-01) (ドイツ)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356 BS(リナグリプチ

ン)0.5 mg,2.5 mg,5 mgおよび 10 mg を単回静脈

内投与後の安全性,忍容

性,薬物動態および薬力学

の検討 リナグリプチン 5 mg 静脈

内投与用製剤と 10 mg 錠

のバイオアベイラビリテ

ィの比較

ランダム化,単盲検

(群内),プラセボ対

照試験 クロスオーバー試験

(5 mg の静脈内投与

と 10 mg 錠の経口投

与)

健康男性 (36 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 0.5 mg/mL 静注用製

剤 リナグリプチン 10 mg錠 対照薬:プラセボ静注

液 リナグリプチン 10 mg錠に対応するプラセ

ボ錠

リナグリプチンおよび CD 1790 の

薬物動態パラメータ

薬力学的パラメータ: DPP-4 阻害率

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

Page

1

Page 6: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(2/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0033 (5.3.1.1-3)

(U -1139-01) (ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者における

リナグリプチン 1,2.5 お

よび 5 mg 錠(市販予定製

剤)の薬物動態および用量

比例性の検討

ランダム化,非盲検,

反復投与, 3 期クロス

オーバー試験

健康男性およ

び女性 (12 例)

リナグリプチン 1 mg,2.5 mg,5 mg 錠

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ s 安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

1218. 0034 (5.3.1.1-4)

(U -1628-01) (ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者における

BI 1356 BS(リナグリプチ

ン)5 mg 錠の単回投与時

の薬物動態に及ぼす食事

の影響の検討

ランダム化,非盲検,

単回投与,2 期クロス

オーバー試験

健康男性およ

び女性 (32 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠

薬物動態: リナグリプチンの AUC0-72および

Cmax に基づく相対バイオアベイ

ラビリティ 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性 1218. 0025

(5.3.1.2-1) (U -2003) (ドイツ)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356(リナグリプチン)

5 mg錠TF2bに対するリナ

グリプチン 5 mg 錠 TF2 お

よび iFF(第 III 相試験製

剤)のバイオアベイラビリ

ティの検討

ランダム化,非盲検,

単回投与,3-way クロ

スオーバー試験

健康男性 (24 例)

被験薬剤:リナグリプ

チン 5 mg 錠 TF2(T1),

リナグリプチン 5 mg錠 iFF(T2) 対照薬剤:リナグリプ

チン 5 mg 錠 TF2b(R)

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ 薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率,血糖値 安全性

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象,

忍容性

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

Page

2

Page 7: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(3/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0045 (5.3.1.2-2)

(U -2132-01)(ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者における

BI 1356 BS(リナグリプチ

ン)5 mg を 1 日 1 回 7 日

間反復投与および 2.5 mgを 1日 2回 7日間反復投与

したときの定常状態にお

ける薬物動態および薬力

学的特性の比較

非盲検,反復投与,2期クロスオーバー試

健康男性およ

び女性 (16 例)

リナグリプチン 2.5 mg フィルムコーティ

ング錠 リナグリプチン 5 mgフィルムコーティン

グ錠

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ

薬力学的パラメータ: DPP-4 阻害率

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性 1218. 0001

(5.3.3.1-1) (U -2072)

(ドイツ)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356BS(リナグリプチ

ン )2.5-5 mg 溶液および

25-600 mg 錠の単回経口投

与後の安全性,忍容性,薬

物動態および薬力学の検

ランダム化,二重盲検

(群内),プラセボ対

照試験

健康男性 (66 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg,100 mg の瓶

入り粉末製剤 リナグリプチン 25 mg,50 mg,200 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 5 mg,100 mg の瓶

入り粉末製剤に対応

するプラセボ瓶入り

粉末製剤 リナグリプチン 25 mg,50 mg,200 mg 錠

に対応するプラセボ

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ 薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象,

忍容性

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

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3

Page 8: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(4/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0007 (5.3.3.1-2)

(U -1363-01)(オランダ)

I ・ 完了

健康男性被験者における

[14C]BI 1356(リナグリプ

チン)の経口および静脈内

投与後のリナグリプチン

お よ び そ の 代 謝 物

CD 1790 の吸収,代謝,排

泄および薬物動態の評価 [14C]リナグリプチンの安

全性および忍容性の検討

非盲検,単回投与,並

行群間試験 健康男性 (12 例)

経口薬:[14C]リナグリ

プチン 10 mg経口用粉

末製剤 注射薬:[14C]リナグリ

プチン 6.5 mg 注射用

粉末製剤

薬物動態パラメータ: [14C]放射能の全血,血漿,尿,お

よび糞中濃度-時間プロファイ

ル リナグリプチンおよび CD 1790の血漿および尿中濃度-時間プ

ロファイル 尿および糞中総[14C]放射能に基

づくマスバランス

リナグリプチンおよび CD 1790の血漿および尿中濃度,ならびに

全血,血漿,尿,糞中[14C]放射能

に基づく薬物動態パラメータ 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

Page

4

Page 9: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(5/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0011 (5.3.3.1-3) (U -3116)

(日本)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356BS(リナグリプチ

ン)を群漸増法により単回

投与(1,2.5,5,10 mg)または反復投与(2.5,5,10 mg,1 日 1 回,12 日間)

したときの安全性,忍容

性,薬物動態および薬力学

の検討

ランダム化,二重盲

検,プラセボ対照,単

回投与および反復投

与試験(群漸増法)

健康男性 (56 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 1 mg,2.5 mg,10 mg錠 対照薬:リナグリプチ

ン 1 mg,2.5 mg,10 mg錠に対応するプラセ

ボ錠

単回および反復投与時のリナグリ

プチンの薬物動態パラメータ 薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率,血漿中 GLP-1 濃

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査および有害

事象 1218. 0058

(5.3.3.1-4) (U -3113-02)

(中国)

I ・ 完了

健康男女被験者におけるBI 1356(リナグリプチン)5 mg 錠の単回および反復投与後のリナグリプチンの薬物動態の検討

非盲検,単回および反復投与試験

健康男性および女性 (12 例)

リナグリプチン 5 mg錠

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

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5

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表 1 臨床試験一覧表(6/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0002 (5.3.3.2-1) (U -1139)

(ドイツ,オラン

ダ)

I ・ 完了

2 型糖尿病患者における

BI 1356 BS(リナグリプチ

ン)1,2.5,5 および 10 mgを 1 日 1 回 12 日間経口反

復投与後の安全性,忍容

性,薬物動態および薬力学

の検討

ランダム化,二重盲検

(群内),プラセボ対

照,反復漸増投与試験

2 型糖尿病患

者 (48 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 40 mgの瓶入り粉末

製剤 対照薬:リナグリプチ

ン 40 mgの瓶入り粉末

製剤に対応するプラ

セボ(キニーネ硫酸

塩)の瓶入り粉末製剤

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ 薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率,血漿中グルコース

濃度,血漿中バイオマーカー

(GLP-1 およびフルクトサミン)

濃度

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

Page

6

Page 11: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(7/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0026 (5.3.3.3-1)

(U -1467-01)(ドイツ)

I ・ 完了

重症度の異なる腎機能障

害が,リナグリプチン経口

投与時の安全性,薬物動態

および薬力学に与える影

響の検討

非盲検,単回および反

復投与,並行群間試験 健康男性およ

び女性,軽度,

中等度および

高度腎機能障

害者,末期腎

障害患者,高

度腎機能障 2型糖尿病患者

および腎機能

正常 2 型糖尿

病患者 (54 例)

リナグリプチン 5 mg錠

主要評価項目: リナグリプチンの薬物動態パラ

メータ: AUCτ,ss,Cmax,ss(健康被験者,

軽度,中等度腎機能障害患者,

高度腎機能障害 2 型糖尿病患

者,腎機能正常 2 型糖尿病患

者) AUC0-24,Cmax(高度腎機能障

害患者,末期腎障害患者) 副次要評価項目:

薬力学的パラメータ: DPP-4 阻害率,DPP-4 濃度

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

Nippon B

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o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

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7

Page 12: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(8/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0027 (5.3.3.3-2)

(U -1219-01)(ルーマニア)

I ・ 完了

軽度,中等度,または高度

肝機能障害患者および健

康被験者における BI 1356(リナグリプチン)5 mgを単回または反復経口投

与したときの薬物動態お

よび薬力学の検討

非盲検,並行群間比較

試験 健康男性およ

び女性,軽度,

中等度,また

は高度の肝機

能障害患者 (32 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠

主要評価項目: リナグリプチンの薬物動態パラ

メータ: 健康被験者,軽度または中等度

肝機能障害患者:AUCτ,ss およ

び Cmax,ss

高度肝機能障害患者:AUC0-24

および Cmax

副次評価項目: 薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性 1218. 0004

(5.3.5.1-1) (U -3414)

(米国)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356 BS(リナグリプチ

ン)(10 mg,1 日 1 回)と

メトホルミン(850 mg,1日 3 回)併用またはメトホ

ルミン非併用時のリナグ

リプチン反復経口投与時

のバイオアベイラビリテ

ィの比較,およびメトホル

ミンとリナグリプチン併

用またはリナグリプチン

非併用時のメトホルミン

反復経口投与時のバイオ

アベイラビリティの比較

ランダム化,非盲検,

反復投与,2 期クロス

オーバー試験

健康男性 (14 例)

リナグリプチン 10 mg錠 メトホルミン 850 mg錠

リナグリプチンおよびメトホルミ

ンの薬物動態パラメータ: 薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率

安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査および有害

事象

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

Page

8

Page 13: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(9/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0009 (5.3.3.4-2) (U -1584)

(ドイツ)

I ・ 完了

健康男性における BI 1356 BS(リナグリプチン)併

用または非併用時のシン

バスタチンおよびシンバ

スタチン酸の薬物動態,安

全性および忍容性の検討

非盲検,反復投与試験 健康男性 (20 例)

リナグリプチン 5 mg錠 シンバスタチン 40 mgフ ィ ル ム コ ー ト 錠

( )

シンバスタチンの薬物動態パラメ

ータ 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性 1218. 0013

(5.3.3.4-3) (U -1996)

(ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者におけるBI 1356 BS(リナグリプチン)およびピオグリタゾンの併用投与時とリナグリプチンおよびピオグリタゾンそれぞれを単独投与したときのバイオアベイラビリティの比較

ランダム化,非盲検,反復投与,2 期クロスオーバー試験

健康男性および女性 (20 例)

リナグリプチン 10 mg 錠 ピオグリタゾン 45 mg 錠( )

薬物動態パラメータ: リナグリプチンのピオグリタゾ

ン併用または非併用時の AUCτ,ss

および Cmax,ss,ピオグリタゾンお

よびその活性代謝物 M-III,M-IVのリナグリプチン併用または非

併用時の AUCτ,ss および Cmax,ss 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性 1218. 0028

(5.3.3.4-4) (U -1674-02)

(ドイツ)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356(リナグリプチン)

がワルファリンの薬物動

態および薬力学的パラメ

ータに及ぼす影響の有無

および程度の検討

非盲検,2 期投与順序

固定試験 CYP2C9 の遺

伝子型が野生

型ホモ接合体

(*1/*1)の健

康男性 (18 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠 ワルファリン 10 mg錠( )

R-ワルファリンおよび S-ワルファ

リンの薬物動態パラメータ 薬力学的パラメータ:

国際標準化比(INR):AUC0-168

および Emax INR,プロトロンビン

時間(PT):AUC0-168 および Emax PT

安全性評価項目: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

Page

9

Page 14: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(10/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0029 (5.3.3.4-5)

(U -1618-01)(ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者における

BI 1356(リナグリプチン)

併用または非併用時のジ

ゴキシンの薬物動態,安全

性および忍容性の検討,お

よびジゴキシン併用時の

定常状態におけるリナグ

リプチンの薬物動態の検

ランダム化,非盲検, 2 群 2 期クロスオーバ

ー試験

健康男性およ

び女性 (20 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠 ジゴキシン 0.25 mg 錠

( )

ジゴキシンの薬物動態: 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

1218. 0030 (5.3.3.4-6)

(U -1247-01)(ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者における

BI 1356(リナグリプチン)

5 mg 錠 1 日 1 回反復投与

後 の 定 常 状 態 で の

glyburide(グリベンクラミ

ド)1.75 mg の単回経口投

与時の薬物動態,安全性お

よび忍容性に及ぼす影響

の検討 グリベンクラミドの標準

用量 1.75 mgの単回投与が

リナグリプチンとその薬

理活性をもたない代謝物

CD 1790 の反復投与時の

薬物動態に及ぼす影響の

検討

ランダム化,非盲検, 2 期クロスオーバー試

健康男性およ

び女性 (20 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠 グリベンクラミド

1.75 mg 錠

( )

リナグリプチンおよびグリベンク

ラミドの薬物動態パラメータ 安全性

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

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Page 15: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(11/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0031 (5.3.3.4-7)

(U -1077-01) (ドイツ)

I ・ 完了

健康男性被験者における

BI 1356(リナグリプチン)

5 mg 錠単回投与に対する

リトナビル(200 mg,1 日

2 回)反復併用投与時また

は非併用時のリナグリプ

チンの薬物動態の比較

ランダム化,非盲検, 2 期クロスオーバー試

験(リトナビル反復投

与,リナグリプチン単

回投与)

健康男性 (12 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠 リトナビル 100 mg カ

プセル( )

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

1218. 0044 (5.3.3.4-8)

(U -1393-01) (ドイツ)

I ・ 完了

閉経前健康女性被験者に

おける BI 1356 BS(リナグ

リプチン)5 mg 錠の経口

反復投与によるエチニル

エストラジオールおよび

レボノルゲストレル(とも

に の成分)の

定常状態における薬物動

態への影響の検討

非盲検,2 期,固定投

与順序,反復投与試験 閉経前健康女

性 (18 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠

フィルム

コート錠(エチニルエ

ストラジオール 30 µgおよびレボノルゲス

トレル 150 µg 含有)

エチニルエストラジオールおよび

レボノルゲストレルの薬物動態パ

ラメータ 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

1218. 0067 (5.3.3.4-9)

(U -1328-01) (ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者におけるBI 1356(リナグリプチン)の定常状態の薬物動態に対するリファンピシン反復投与の影響の検討

非盲検,2 期,投与順序固定,反復投与試験

健康男性および女性 (16 例)

リナグリプチン 5 mgフィルムコート錠 リファンピシン 600 mg 糖衣錠( )

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ: 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性

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Page 16: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(12/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0032 (5.3.4.1-1)

(U -1067-01)(ドイツ)

I ・ 完了

健康男女被験者における

BI 1356(リナグリプチン)

5 mg および 100 mg 単回投

与時のQT間隔延長のプラ

セボに対する非劣性の検

ランダム化,二重盲

検,プラセボおよび陽

性対照,4 期クロスオ

ーバー試験(非盲検下

で陽性対照を追加)

健康男性およ

び女性 (44 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg,50 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 5 mg,50 mg 錠に対

応するプラセボ錠 モキシフロキサシン

( )400 mg 錠

主要評価項目: QTcI(QT 間隔の被験者ごとの補

正値)の投与後 1~4 時間の平均

値とベースライン値(各投与日の

投与前の平均値)の差 副次評価項目:

QtcI の投与後 30 分~24 時間の平

均値とベースライン値の差,QtcIの投与後 30 分~24 時間の各時点

の値とベースライン値の差 安全性:

身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図(PR 間隔,QRS 間隔,

心拍数,心電図異常,T 波および

U 波の形態),臨床検査,有害事

象および忍容性

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Page 17: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(13/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0037 (5.3.4.2-1.) (U -2397-01) (ドイツ)

IIa ・ 完了

血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象とし

た BI 1356(リナグリプチ

ン)5 mg およびシタグリ

プチン 100 mgの 24時間血

糖コントロールに対する

効果のプラセボとの比較

および薬力学的パラメー

タの検討

ランダム化,二重盲

検,ダブルダミー,プ

ラセボ対照,多施設,

並行 3 群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (120 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン錠に対応したプラ

セボ錠,シタグリプチ

ン 100 mg カプセルお

よびシタグリプチン

カプセルに対応した

プラセボカプセル

主要評価項目 加重平均血糖(WMG:24 時間の

血中グルコース濃度時間曲線下

面積を 24 で除した平均)の変化

量(投与 28 日後-ベースライン) 食事負荷試験(MTT)後の GLP-1 AUEC0-2h の変化量(投与 28 日

後−ベースライン) 副次評価項目 空腹時血糖の変化量 食事負荷試験後の血糖 AUEC0-3h

の変化量 探索的評価項目

WMG の変化量,日中および夜間

の 12 時間 WMG の変化量,食事

負荷試験,空腹時血糖の変化量,

HbA1c, フルクトサミンおよび

1,5-AG の変化量,インスリン分

泌率の逆重畳積分による推測,血

糖 180 mg/dL 超の濃度時間曲線

下 面 積 , HOMA-IR お よ び

HOMA-IS,Disposition Index,ト

ラフ時の血漿 DPP-4 阻害,MTT後の血糖 AUEC0-3h の変化量

安全性 有害事象の発現頻度および重症

度,バイタルサイン,12 誘導心電

図,身体所見,臨床検査

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Page 18: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(14/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0003 (5.3.5.1-1.) (U 1822)

(ドイツ,英国,

オランダ)

I ・ 完了

2型糖尿病の男性患者およ

び閉経後の女性患者にお

ける BI 1356 BS(リナグリ

プチン)2.5 mg,5 mg およ

び 10 mg 1 日 1 回,28 日間

反復投与後の安全性,忍容

性,薬物動態および薬力学

の検討

ランダム化,二重盲

検,プラセボ対照試験 2 型糖尿病の

男性患者およ

び閉経後の女

性患者 (75 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 2.5 mg,5 mg,10 mg錠 対照薬:リナグリプチ

ン 2.5 mg,5 mg,10 mg錠に対応するプラセ

ボ錠

薬力学的パラメータ DPP-4 阻害率,MTT 後の空腹時

血糖の変化量(AUEC0-3)

リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータ 安全性: 身体所見,バイタルサイン,12誘導心電図,臨床検査,有害事象

および忍容性 1218. 0005

(5.3.5.1-2) (U -3761-01)

(米国,カナダ,

オーストラリア,

チェコ共和国,ウ

クライナ,ロシ

ア)

IIa ・ 完了

血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象とし

た,複数用量(0.5 mg,2.5 mg および 5 mg)の BI 1356 BS(リナグリプチン)の

12 週間投与における有効

性,安全性および忍容性の

プラセボとの比較検討 メトホルミン非盲検下で

の分析感度の確認 母集団薬物動態解析法に

よるリナグリプチンの薬

物動態の評価

ランダム化,二重盲

検,プラセボ対照,メ

トホルミン非盲検群,

並行群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (270 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 0.5 mg 錠,2.5 mg錠,5 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 0.5 mg 錠,2.5 mg錠,5 mg 錠に対応した

識別不能なプラセボ

錠,メトホルミン塩酸

塩 500 mg 錠,1000 mg錠

有効性 主要評価項目

HbA1c の変化量(投与 12 週後

-ベースライン) 副次評価項目

FPG の変化量,治療目標効果の

達成率 安全性

有害事象の発現頻度および重症

度,有害事象による治験薬の投与

中止,身体所見,バイタルサイン,

12 誘導心電図,臨床検査

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Page 19: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(15/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0006 (5.3.5.1-3)

(U -1056-02) (フランス,ドイ

ツ,スロバキア,

スウェーデン,ウ

クライナ,英国)

IIb ・ 完了

血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象とし

た,メトホルミンに追加投

与した複数用量(1 mg,5 mg および 10 mg)のリナ

グリプチンの 12 週間投与

における有効性,安全性お

よび忍容性のプラセボと

の比較検討 グリメピリド非盲検下で

の分析感度の確認

ランダム化,二重盲

検,プラセボ対照,グ

リメピリド非盲検群,

並行群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (375 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 1mg 錠,5 mg 錠,

10mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 1mg 錠,5 mg 錠,

10mg 錠に対応したプ

ラセボ錠, グリメピリド 1mg 錠,

2mg 錠,3mg 錠

有効性 主要評価項目

HbA1c の変化量(投与 12 週後

-ベースライン)。 副次評価項目

FPG の変化量,治療目標効果の

達成率 安全性

有害事象の発現頻度および重症

度,有害事象による治験薬の投与

中止,身体所見,バイタルサイン,

12 誘導心電図,臨床検査

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Page 20: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(16/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0012 (5.3.5.1-4)

(U -3213-01) (日本)

II ・ 完了

日本人 2 型糖尿病患者を対象とした BI 1356 BS(リナグリプチン)0.5,2.5,10 mg を 1 日 1 回,28 日間経口投与したときの安全性,忍容性,薬物動態および薬力学の検討

ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,反復投与,並行群間比較試験

2 型糖尿病患者 (60 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 0.5 mg,2.5 mg,10 mg 錠 対照薬:リナグリプチン 0.5 mg,2.5 mg,10 mg 錠に対応するプラセボ錠

主要評価項目 治験担当医師判定による忍容性,

有害事象,バイタルサイン,臨床

検査 副次評価項目

初回および最終投与後のリナグ

リプチンの薬物動態パラメータ 薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率 血漿中グルコース,フルクトサ

ミン,GLP-1,HbA1c

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Page 21: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(17/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0015 (5.3.5.1-5)

(U -2519-01) (オーストリア,

ギリシャ,ハンガ

リー,日本,ポル

トガル,ルーマニ

ア,スペイン)

III ・ 完了

血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象とし

たピオグリタゾン 30 mgとリナグリプチン 5mg(1日 1 回)を 24 週間併用投

与したときの有効性,安全

性および忍容性のプラセ

ボとの比較検討

ランダム化,二重盲

検,プラセボ対照,並

行群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (375 例)

被験薬:リナグリプ

チン 5 mg 錠 ピオグリタゾン 30 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠プラセボ ピオグリタゾン 30 mg 錠プラセボ

有効性 主要評価項目

HbA1c の変化量(投与 24 週後-

ベースライン) 副次評価項目

治療目標効果の達成率 有効性反応の発現,HbA1c およ

び FPG の変化量の Visit ごとの推

移,FPG の変化量 安全性

有害事象の発現頻度および重症

度,有害事象による治験薬の投与

中止,身体所見,12 誘導心電図,

バイタルサイン,臨床検査 1218. 0016

(5.3.5.1-6) (U -1103-02)(クロアチア,イ

ンド,イタリア,

イスラエル,マレ

ーシア,ポーラン

ド,ルーマニア,

スロバキア,ウク

ライナ,タイ,オ

ランダ)

III ・ 完了

血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象としたリナグリプチン 5 mg を24 週間単独投与したときの有効性,安全性および忍容性のプラセボとの比較検討

ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,並行2 群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (450 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠 対照薬:リナグリプチン 5 mg 錠に対応したプラセボ錠

有効性 主要評価項目:

HbA1c の変化量(投与 24 週後-

ベースライン)。 副次評価項目:

治療目標効果の達成率,相対的有

効性反応の発現,HbA1c の変化

量の Visit ごとの推移,FPG の変

化量,食事負荷試験(MTT) 安全性

有害事象の発現頻度および重症

度,有害事象による治験薬の投与

中止,身体所見,12 誘導心電図,

バイタルサイン,臨床検査

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Page 22: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(18/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0017 (5.3.5.1-7)

(U -2533-02) (チェコ共和国,

フィンランド,ギ

リシャ,インド,

イスラエル,メキ

シコ,ニュージー

ランド,ロシア,

スウェーデン,米

国)

III ・ 完了

血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象としたリナグリプチン 5mg をメトホルミンへの追加療法として 24 週間投与したときの有効性および安全性のプラセボとの比較検討

ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,並行2 群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (600 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠 対照薬:リナグリプチン 5 mg に対応したプラセボ錠

有効性 主要評価項目:

HbA1c の変化量(投与 24 週後-

ベースライン) 副次評価項目:

治療目標効果の達成率,相対的有

効性反応の発現,HbA1c の変化

量の Visit ごとの推移,FPG の変

化量,食事負荷試験(MTT),健

康関連 QOL(EQ-5D)および糖

尿病治療満足度質問表(DTSQs) 安全性 有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験薬の投与中止,身体所見,12 誘導心電図,バイタルサイン,臨床検査

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Page 23: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(19/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0018 (5.3.5.1-8)

(U -2458-02) (アルゼンチン,

ベルギー,カナ

ダ,中国,ドイツ,

韓国,フィリピ

ン,ロシア,台湾,

トルコ,英国)

III ・ 完了

メトホルミンおよびスル

ホニル尿素薬の基礎治療

にもかかわらず血糖コン

トロール不良の 2 型糖尿

病患者を対象としたリナ

グリプチン(5 mg,1 日 1回)を 24 週間投与したと

きの有効性および安全性

のプラセボとの比較検討

ランダム化,プラセボ

対照,二重盲検,並行

群間比較試験

血糖コントロ

ール不十分の

2 型糖尿病患

者 (800 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠に対応する

プラセボ錠

有効性 主要評価項目

HbA1c の変化量(投与 24 週後-

ベースライン) 副次評価項目

治療目標効果の達成率,有効性反

応の発現,HbA1cの変化量のVisitごとの推移,空腹時血糖の変化

量,空腹時血糖の変化量の Visitごとの推移

安全性 有害事象の発現頻度および重症

度,有害事象による治験薬の投与

中止,身体所見,12 誘導心電図,

バイタルサイン,臨床検査

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Page 24: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(20/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0023 (5.3.5.1-9.) (U -1466-01)

(日本)

III ・ 完了

血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象とし

た BI 1356(リナグリプチ

ン)5 mg または 10 mg を 1日 1回 12週間および 26週間投与したときの有効性,

安全性,忍容性のプラセボ

およびボグリボースとの

比較検討 52 週継続投与時の長期安

全性の検討

ランダム化,二重盲

検,プラセボおよびボ

グリボース対照,並行

群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (441 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠, 10 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 5 mg,10 mg 錠に対

応したプラセボ錠,ボ

グリボース 0.2 mg 錠,

ボグリボース 0.2 mg錠に対応したプラセ

ボ錠

有効性 主要評価項目

リナグリプチンのプラセボに対

する優越性の検討(12 週間投

与),リナグリプチンのボグリボ

ースに対する優越性の検討(26週間投与),長期安全性の検討(52週間投与)

副次評価項目 治療目標効果の達成率,相対的有

効性反応の発現,HbA1c のベー

スラインからの変化量の Visit ごとの推移,空腹時血糖のベースラ

インからの変化量 安全性

有害事象の発現頻度および重症

度,有害事象による治験薬の投与

中止,身体所見,12 誘導心電図,

バイタルサイン,臨床検査

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のまとめ

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Page 25: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1 臨床試験一覧表(21/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0035 (5.3.5.1-10) (U -3206-01)

(アルゼンチン,

ハンガリー,イン

ド,日本,ポーラ

ンド,ロシア,米

国)

III ・ 完了

スルホニル尿素薬の基礎

治療にもかかわらず血糖

コントロール不良の 2 型

糖尿病患者を対象とした,

追加治療として BI 1356(リナグリプチン)5 mg 1日 1 回を 18 週間経口投与

したときの有効性,安全性

および忍容性のプラセボ

との比較検討

ランダム化,二重盲

検,プラセボ対照,並

行群間比較試験

血糖コントロ

ール不良の 2型糖尿病患者 (255 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠 対照薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠に対応した

プラセボ錠

有効性 主要評価項目:

HbA1c の変化量(投与 18 週後-

ベースライン)。 副次評価項目:

治療目標効果の達成率,有効性反

応の発現,HbA1c の変化量の投

与週ごとの推移,FPG の変化量,

FPG の変化量の投与週ごとの推

移 安全性

有害事象の発現頻度および重症

度,有害事象による治験の中止,

身体所見,12 誘導心電図,バイタ

ルサイン,臨床検査

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々の試験

のまとめ

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表 1 臨床試験一覧表(22/22) 試験番号

(資料番号) (U-Number) (実施国)

相 ・

進行状況 試験の目的 試験デザイン

被験者の 種類(目標 症例数)

試験薬剤 評価項目

1218. 0040 (5.3.5.2-1)

(U -1468-01) (欧州,北米,南

米,アジア 32 カ

国)

III ・

実施中

非盲検長期投与における

BI 1356(リナグリプチン)

5 mg の安全性および忍容

性の検討 副次目的はリナグリプチ

ンの単剤投与または 2 型

糖尿病患者の治療に通常

用いられる他の治療法と

の併用投与における有効

性の検討

非盲検,継続投与試験

先に実施した試験

1218.15,1218.16,1218.17 および 1218.18を計画どおりに完了

した 2 型糖尿病患者を

対象に,リナグリプチ

ンを 1 日 1 回 78 週間

経口投与したときの

安全性および忍容性

の検討試験

2 型糖尿病患

者 (2000 例)

被験薬:リナグリプチ

ン 5 mg 錠 対照薬:ピオグリタゾ

ン 30 mg 錠

主要評価項目 有害事象の発現率および程度,有

害事象による治験中止,身体所見

で見つかった臨床的に問題とな

る新たな,または悪化した有害事

象,バイタルサインのベースライ

ンからの変化,12 誘導心電図で見

つかった臨床的に問題となる新

たな,または悪化した有害事象,

臨床検査項目のベースラインか

らの変化 副次評価項目

HbA1c のベースラインからの変

化量の推移,HbA1c が 7.0%未満

と定義する治療目標効果の達成

の推移,HbA1c が 6.5%未満と定

義する治療目標効果の達成の推

移,HbA1c の 0.5%以上の低下と

定義する有効性反応の発現の推

移,空腹時血糖のベースラインか

らの変化量の推移

Nippon B

oehringer Ingelheim C

o., Ltd.

Linagliptin 2.7.6 個

々の試験

のまとめ

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1. 生物薬剤学試験

1.1 試験 1218.8

(CTD 5.3.1.1-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 1.1: 1 に示した。

表 1.1: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男性被験者における BI 1356 BS(リナグリプチン)1 mg 錠と 0.1%酒石酸水溶液で溶

解したリナグリプチン 1 mg 瓶入り粉末製剤ならびにリナグリプチン 10 mg 錠と 0.1%酒石

酸水溶液で溶解したリナグリプチン 10 mg瓶入り粉末製剤のバイオアベイラビリティの比

較,およびリナグリプチン 10 mg 錠のバイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検, 2 期(1 mg)および 3 期(10 mg)クロスオーバー試験

対象 21~65 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 1 mg 錠

リナグリプチン 10 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 40 mg 瓶入り粉末製剤(0.1%酒石酸水溶液 80 mL に溶解)

目標症例数 24 例(1 mg 群および 10 mg 群各 12 例)

投与方法

投与期間

・リナグリプチン 1 mg 群:Day 1 に単回経口投与(投与期間は合計 2 日間)

リナグリプチン 1 mg 錠(T1)およびリナグリプチン 1 mg 溶液(R1)を,2 期のクロス

オーバー法により単回経口投与した。

・リナグリプチン 10 mg 群:Day 1 に単回経口投与(投与期間は合計 3 日間)

リナグリプチン 10 mg 錠(T2),リナグリプチン 10 mg 溶液(R2),およびリナグリプチ

ン 10 mg 錠(食後:TF)を 3 期のクロスオーバー法により単回経口投与した。

いずれの群も,各期の移行時にウォッシュアウト期間を 5 日間以上設けた。また,リナグ

リプチン 10 mg 錠(食後)の投与は高脂肪食摂取後約 25 分に行い,その他の投与は 10 時

間以上の絶食後の朝に行った。いずれの場合も投与後 4 および 10 時間目に標準食を,投

与後 7 および 13 時間目に軽食を提供した。

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表 1.1: 1 試験方法の概略(2/2)

投与方法

投与期間

(続き)

投与群 N 投与順序

1 mg 群

第 1 期 第 2 期

6 錠剤 溶液

6 溶液 錠剤

10 mg 群

第 1 期 第 2 期 第 3 期

2 錠剤 溶液 錠剤(食後)

2 錠剤 錠剤(食後) 溶液

2 溶液 錠剤 錠剤(食後)

2 溶液 錠剤(食後) 錠剤

2 錠剤(食後) 錠剤 溶液

2 錠剤(食後) 溶液 錠剤

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期,ウォッシュアウト期および治験終了期からなる。

投与期における薬物濃度測定用採血は,治験薬投与 30 分前,投与後 15,30,45 分,1,

1.5,2,3,4,6,8,12,24,48,96,168,216,240a),264 時間に行った。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

a) リナグリプチン 1 mg 群のみ採血

評価項目

評価基準

有効性・薬物動態:

主要評価項目:AUC0-∞および Cmax に基づく相対バイオアベイラビリティ

副次評価項目:AUC0-tz,tmax,λz,t1/2,MRTpo,CL/F,Vz/F

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 AUC0-∞および Cmax について,投与順序,投与順序内被験者,時期および薬剤を含むモデ

ルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析(ANOVA)を行った。幾何平均値の比

および両側 90%信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した。その他の全パラメ

ータについて記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

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2) 治験対象

合計 24 例の健康男性被験者が登録され,リナグリプチン 1 mg 群またはリナグリプチン 10 mg

群に各 12 例ずつランダム化割付けされた。リナグリプチン 1 mg 群では第 1 期にリナグリプチ

ン 1 mg 錠,第 2 期にリナグリプチン 1 mg 溶液の順序で各 1 回投与される群,またはその逆の

順序で投与される群に 6 例ずつランダム化割付けされた。リナグリプチン 10 mg 群では,リナ

グリプチン 10 mg 錠,リナグリプチン 10 mg 溶液,およびリナグリプチン 10 mg 錠(食後)の

各 1 回を異なる 6 種類の順序で投与される群に 2 例ずつランダム化割付けされた。

治験実施計画書からの重大な逸脱の報告はなく,すべての被験者が試験を完了した。

24 例の被験者すべてが白人男性であり,年齢の平均は 41.5 歳であった。各群の平均年齢はリ

ナグリプチン 1 mg 群で 32.8 歳,リナグリプチン 10 mg 群で 50.3 歳であり,約 20 歳の差がみ

られたが,このほかの人口統計学的特性は両群間で類似していた(CTD 5.3.1.1-1,試験 1218.8,

Table 11.2:1)。

3) 薬物動態

(1) 薬物動態パラメータ

リナグリプチン 1 mg または 10 mg を単回経口投与したときのリナグリプチンの薬物動態パラ

メータを表 1.1: 2 に示した。

絶食下すべての用量群において,リナグリプチンの血漿中濃度は投与後速やかに増加した。

1 mg 錠での最高血漿中濃度(Cmax)の幾何平均値は 2.81 nM,最高血漿中濃度到達時間(tmax)

は 1~6 時間の範囲であった。1 mg 溶液での Cmax の幾何平均値は 2.60 nM,tmax は 1~6 時間の範

囲であり,1 mg 錠と類似していた。全体として,1 mg 投与時の血漿中濃度-時間推移は 2 製剤間

で類似していた。

10 mg 錠での Cmax の幾何平均値は 12.4 nM,tmaxは 0.5~6 時間の範囲であった。10 mg 溶液での

Cmax の幾何平均値は 14.6 nM,tmax は 0.75~6 時間の範囲であった。食後に 10 mg 錠を投与した時

の Cmax の幾何平均値は 9.32 nM,tmaxは 0.75~4 時間の範囲であった。10 mg 錠投与時の Cmax は

10 mg 溶液投与時に対して 15%低かった。10 mg 錠投与時の Cmax は食事の影響により 25%低下し

た。

絶食下でのリナグリプチン投与後の時間ゼロから無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面

積(AUC0-∞)の幾何平均値は,いずれの用量でも錠剤と溶液間で同程度であった。リナグリプ

チン 10 mg 錠の食後投与では,AUC0-∞の幾何平均値(幾何変動係数)は 916 nM・h(17.3%)で

あり,食事による影響は認められなかった。

消失半減期(t1/2)の幾何平均値は各用量の製剤間で同程度であり,t1/2 に対する食事の影響は認

められなかった。見かけのクリアランス(CL/F)の幾何平均値は,リナグリプチン 1 mg 投与

時では錠剤と溶液でほぼ等しく,リナグリプチン 10 mg 投与時では錠剤,溶液,および錠剤の

食後投与間の差はごくわずかであった。

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見かけの分布容積(Vz/F)の幾何平均値は,いずれの用量でも溶液の方が錠剤と比較して高値

を示し,リナグリプチン 10 mg 錠では食後投与で絶食下投与よりも Vz/F は増加したが,いずれ

もその程度はわずかであった。

表 1.1: 2 リナグリプチン 1 mg 錠,リナグリプチン 1 mg 溶液,リナグリプチン 10 mg

錠,リナグリプチン 10 mg 溶液,およびリナグリプチン 10 mg 錠(食後)

の単回経口投与時の薬物動態パラメータ

1 mg 錠

(T1)

1 mg 溶液

(R1)

10 mg 錠

(T2)

10 mg 錠(食後)

(TF)

10 mg 溶液

(R2)

gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUC0-∞ [nM·h] 179 46.8 178 43.7 957 14.4 916 17.3 999 21.5

AUC0-∞,norma)

[(nM·h)/mg] 179 46.8 178 43.7 95.7 14.4 91.6 17.3 99.9 21.5

AUC0-tz [nM·h] 144 47.7 141 41.7 728 16.2 679 18.3 743 20.8

Cmax [nM] 2.81 24.0 2.60 33.7 12.4 32.2 9.32 24.5 14.6 48.2

Cmax,normb) [nM/mg] 2.81 24.0 2.60 33.7 1.24 32.2 0.932 24.5 1.46 48.2

tmaxc) [h] 1.50 1.00-6.00 2.00 1.00-6.00 1.50 0.50-6.00 2.00 0.75-4.00 2.00 0.75-6.00

t1/2 [h] 125 14.2 137 17.4 153 14.4 162 22.3 167 21.6

MRTpo [h] 146 18.1 158 15.6 181 11.0 194 20.0 191 20.1

CL/F [mL/min] 197 46.8 199 43.7 369 14.4 385 17.3 353 21.5

Vz/F [L] 2130 47.0 2350 43.1 4880 24.5 5390 29.9 5090 24.4

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)全体の幾何平均値(N=60):123 (nM·h)/mg

b)全体の幾何平均値(N=60):1.65 (nM)/mg

c)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD5.3.1.1-1,試験 1218.8,Table 15.5.2.1: 1 - 5 より作成

(2)相対バイオアベイラビリティ

リナグリプチン 1 mg および 10 mg の絶食下の錠剤または溶液投与時の Cmax および AUC0-∞の幾

何平均値の比とその両側 90%信頼区間,さらに,リナグリプチン 10 mg 錠の食後または絶食下

投与時の Cmax および AUC0-∞の幾何平均値の比とその両側 90%信頼区間を表 1.1: 3 に示した。

リナグリプチン 1 mg の錠剤投与時を Test,溶液投与時を Reference としたときの Cmax および

AUC0-∞の幾何平均値の比(Test/Reference)(90%信頼区間)は,それぞれ 108.2%(95.5~122.6%)

および 100.9%(87.4~116.5%)であり,リナグリプチン 1 mg のバイオアベイラビリティは錠

剤および溶液間で差がなかった。

リナグリプチン 10 mg の錠剤投与時を Test,溶液投与時を Reference としたときの Cmax および

AUC0-∞の幾何平均値の比(Test/Reference)(90%信頼区間)は,それぞれ 84.8%(68.6~104.8%)

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および 95.8%(90.2~101.6%)であった。Cmax は溶液投与時と比較して 15%減少したが,リナ

グリプチン 10 mg の AUC0-∞は錠剤および溶液間で差がなかった。

リナグリプチン 10 mg 錠の食後投与を Test,絶食下投与を Reference としたときの Cmax および

AUC0-∞の幾何平均値の比(Test/Reference)(90%信頼区間)は,それぞれ 75.1%(60.7~92.8%)

および 95.8%(90.3~101.6%)であった。Cmax は食事により 25%減少したものの,吸収量,tmax

の中央値および t1/2 は同程度であったことから,臨床的に問題となる食事の影響はないと考え

られた。

表 1.1: 3 リナグリプチン 1 mg およびリナグリプチン 10 mg の錠剤または溶液の単回

経口投与時,およびリナグリプチン 10 mg 錠の食後または絶食下投与のリナ

グリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ N Test Reference 被験者内

gCV [%]

gMean の比

(Test/Reference)

[%]

両側 90 %信頼区間

下限値[%] 上限値[%]

絶食下投与

Cmax [nM] 12 1 mg 錠 1 mg 溶液 17.1 108.20 95.453 122.647

AUC0-∞[nM·h] 12 1 mg 錠 1 mg 溶液 19.6 100.90 87.392 116.500

Cmax [nM] 12 10 mg 錠 10 mg 溶液 30.8 84.82 68.630 104.841

AUC0-∞[nM·h] 12 10 mg 錠 10 mg 溶液 8.4 95.75 90.244 101.595

食事の影響

Cmax [nM] 12 10 mg 錠(食後) 10 mg 錠 30.8 75.08 60.742 92.792

AUC0-∞[nM·h] 12 10 mg 錠(食後) 10 mg 錠 8.4 95.77 90.265 101.618

gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均値

引用元:CTD5.3.1.1-1,試験 1218.8,Table 11.5.2: 2 より作成

4) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,24 例の被験者のうち 9 例(37.5%)に 15 件の有害事象が認められた。高頻度に認

められた有害事象は,頭痛が 5/24 例(20.8%)に 7 件,浮動性めまいが 3/24 例(12.5%)に

3 件であった。その他の有害事象は,疲労,悪心,血管迷走神経性失神,顎膿瘍で,それぞれ

被験者 1 例に発現した(CTD 5.3.1.1-1,試験 1218.8,Table 12.2.2:1)。

高度の有害事象が 4 例に各 1 件認められたが,いずれも治験担当医師により治験薬との因果関

係は否定された。このうち 1 例は,スクリーニング期の採血用静脈カテーテルの挿入直後に血

管迷走神経性失神を発現した。高度の頭痛は 2 例に認められ,1 例はリナグリプチン 10 mg 錠

投与後約 10.5 時間に,もう 1 例はリナグリプチン 10 mg 溶液の投与 5 日後(ウォッシュアウト

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期)に発現した。残りの 1 例はリナグリプチン 10 mg 錠(食後)の投与 4 日後(ウォッシュア

ウト期)に顎膿瘍を発現した。

治験担当医師により治験薬との因果関係がありと判定された有害事象は,3 例に 6 件(浮動性

めまいおよび頭痛各 2 件,疲労および悪心各 1 件)認められた。このうちリナグリプチン 10 mg

群の錠剤投与時に発現した浮動性めまいの程度が中等度であったほかは,すべて軽度であった。

死亡,重篤な有害事象,および治試験中止に至った有害事象はみられなかった。

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

全体として臨床検査値はベースラインと比較して安定しており,治験担当医師により臨床的に

問題となる変動および基準値からの逸脱と判定された所見はみられなかった。また,バイタル

サインおよび 12 誘導心電図に臨床的に問題となる所見はみられなかった。

(3) 忍容性

本試験で投与されたリナグリプチンの錠剤および粉末製剤の忍容性は,全被験者について治験

担当医師により良好と判定された。

5) まとめ

リナグリプチン 1 mg 錠および 1 mg 溶液投与時の吸収量(AUC0-∞)および Cmax に差は認められ

なかった。また,リナグリプチン 10 mg 錠投与後の Cmax はリナグリプチン 10 mg 溶液投与後よ

りも 15%減少したが,リナグリプチン 10 mg の錠剤および溶液の吸収量に差は認められなかっ

た。食事はリナグリプチンの吸収量に影響を及ぼさなかったが,Cmax は食事により 25%減少し

た。食事の有無にかかわらず,リナグリプチンの吸収量,tmax の中央値および t1/2 は同程度であ

ったことから,臨床的に問題となる食事の影響はないと考えられた。

リナグリプチン 1 mg または 10 mg の錠剤および溶液の単回経口投与時の忍容性は良好であっ

た。

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1.2 試験 1218.10

(CTD 5.3.1.1-2)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 1.2: 1 に示した。

表 1.2: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 1)健康男性被験者における BI 1356 BS(リナグリプチン)0.5,2.5,5 および 10 mg の単

回静脈内投与後の安全性,忍容性,薬物動態および薬力学の検討

2)リナグリプチン 5 mg 静脈内投与用製剤と 10 mg 錠のバイオアベイラビリティの比較

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,単盲検(群内),プラセボ対照試験(単回静脈内投与)

2 期クロスオーバー法試験(5 mg 静脈内投与および 10 mg 錠経口投与)

対象 18~50 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 0.5 mg/mL 静脈内投与用製剤(0.9%塩化ナトリウム溶液に溶解)

リナグリプチン 10 mg 錠

対照薬:プラセボ静脈内投与液(0.9%塩化ナトリウム溶液)

リナグリプチン 10 mg 錠に対応するプラセボ錠

目標症例数 36 例

・0.5 mg(静脈内投与),2.5 mg(静脈内投与),10 mg(静脈内投与):

24 例(各用量 8 例[リナグリプチン 6 例,プラセボ 2 例])

・5 mg(静脈内投与)/10 mg(錠剤):

12 例(各投与順序 6 例[リナグリプチン 5 例,プラセボ 1 例])

投与方法

投与期間

群漸増法によりリナグリプチンまたはプラセボの 0.5 mg(静脈内投与),2.5 mg(静脈内投

与),5 mg(静脈内投与)/10 mg(錠剤),10 mg(静脈内投与)を単回投与した。静脈内

投与は 1.5 時間の持続静脈内投与により実施した。用量ごとに新たな被験者を採用したが,

5 mg(静脈内投与)/10 mg(錠剤)に割付けられた被験者には,2 期のクロスオーバー法

により 5 mg(静脈内投与)と 10 mg(錠剤)を,25 日以上のウォッシュアウト期を設けて

交互に試験した。

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表 1.2: 1 試験方法の概略(2/2)

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期および治験終了期からなる。投与期における薬物濃

度および薬力学的パラメータ(DPP-4 活性)測定用に以下の時間に採血した。薬物濃度測

定用蓄尿は治験薬投与 25 分前,投与開始後 0~4,4~8,8~12,12~24,24~48,48~

72,72~96,96~120 時間に行った。

用法 採血時間

静脈内投与 投与 0.5時間前,投与開始後 0.5,1,1.5(投与終了),1.533,1.583,1.667,1.75,

2,2.25,2.5,3,3.5,4,5,6,8,12,24,48,72,96,120,168,

192 時間

錠剤 投与 0.5 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,12,

24,48,72,96,120,168,192 時間

なお,治験薬の投与は 10 時間以上の絶食の後に行い,投与約 2.5,5,9,12 時間後に標

準食を提供した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

有効性・薬物動態:

リナグリプチンおよび代謝物 CD 1790 の薬物動態パラメータ:

Cmax,tmax,AUC0-∞,%AUCtz-∞,AUC0-tz,λz,t1/2,MRT,MRTpo,CL,CL/F,Vz,

Vz/F,Vss,Aet1-t2,fet1-t2,CLR,t1-t2

絶対バイオアベイラビリティの評価

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 安全性,薬物動態,薬力学の各評価項目について記述統計量を算出した。

リナグリプチン 5 mg 静脈内投与用製剤と 10 mg 錠のバイオアベイラビリティを比較した。

回帰モデルを用いてリナグリプチン静脈内投与用製剤の薬物動態パラメータ(AUC0-∞およ

び Cmax)の用量比例性を探索し,傾きの点推定値および 95%信頼区間を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 36 例の健康男性被験者が本試験に組入れられた。全員が治験薬の投与を受け,計画どおり

試験を完了し,中止例はなかった。なお,本試験に参加した被験者は白人 35 例,黒人 1 例で,

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30

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年齢は平均 38.2 歳,身長は平均 178.3 cm,体重は平均 79.7 kg,BMI は平均 25.1 kg/m2 であった。

治験実施計画書からの重大な逸脱はなかった。

3) 薬物動態

リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンおよび代謝物 CD 1790 の平均血漿中濃度推移を図

1.2: 1 および図 1.2: 2 に,リナグリプチンおよび CD 1790 の尿中累積排泄率を図 1.2: 3 および図

1.2: 4 に,薬物動態パラメータを表 1.2: 2 および表 1.2: 3 に示した。 静脈内投与後のリナグリプチンは投与終了直後に最高血漿中濃度(Cmax)に達した。Cmax は 0.5 mg 群と 2.5mg 群間では用量比をわずかに下回る増加であったが,2.5 mg~10 mg 群において用

量比例的に増加した。血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)は用量比を下回る増加を示した。

終末相における半減期は 126~139 時間の範囲であった。全身クリアランス(CL)および定常

状態の分布容積(Vss)は用量の増加に伴い増加した。尿中累積排泄率(fe0-120)は 0.5 mg で 2.72%,

2.5 mg で 17.6%,5 mg で 21.8%,10 mg で 23.0%であった。尿中へのリナグリプチンの排泄は,

投与後 24~48 時間でほぼ終了していた。 経口投与後のリナグリプチンは約 3 時間で Cmax に到達し,その範囲は 0.50~4 時間であった。

終末相における半減期は 116 時間であった。未変化体の尿中累積排泄率は 3.5%と低く,腎排泄

は主な排泄経路でないことが示唆された。 リナグリプチン静脈内投与後の薬理活性をもたない主代謝物である CD 1790 はすべての用量に

おいて投与開始後 2.00~2.38 時間(中央値)で Cmax に到達した。CD 1790 の Cmax は用量比を上

回る増加を示し,AUC0-∞は用量比を上回るか,ほぼ用量比に応じて増加した。CD 1790 の終末

相における半減期はリナグリプチンと比較して短かった。 リナグリプチン経口投与後,CD 1790 は 2.5 時間(中央値)で Cmax に到達し,終末相における

半減期は静脈内投与時と同程度であった。リナグリプチンと CD 1790 の薬物動態の違いは,CD 1790 の DPP-4 に対する親和性が低いためと考えられた。CD 1790 の尿中累積排泄率は経口投与

時も静脈内投与時もごくわずか(投与量の 0.1%未満)であった。

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31

Page 36: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

図 1.2:1 リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD5.3.1.1-2,試験 1218.10,Figure 11.5.2.1: 1 より作成

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32

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図 1.2: 2 リナグリプチン単回投与時の CD 1790 の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD5.3.1.1-2,試験 1218.10,Figure 11.5.2.1:2 より作成

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33

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図 1.2: 3 リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの尿中累積排泄率

引用元:CTD5.3.1.1-2,試験 1218.10,Figure 11.5.2.1:4 より作成

図 1.2: 4 リナグリプチン単回投与時の CD 1790 の尿中累積排泄率

引用元:CTD5.3.1.1-2,試験 1218.10,Figure 11.5.2.1:5 より作成

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表 1.2: 2 リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

0.5 mg(静注) 2.5 mg(静注) 5 mg(静注) 10 mg(静注) 10 mg(経口)

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

Cmax [nM] 11.7 (18.7) 48.6 (24.1) 90.9 (14.7) 176 (23.0) 21.0 (73.1)

tmaxa) [h]

1.50

(1.50-1.53)

1.50

(1.50-1.53)

1.50

(1.50-1.53)

1.25

(1.00-1.53)

3.00

(0.500-4.00) AUC0-tz [nM·h] 302 (19.0) 581 (20.0) 944 (12.9) 1190 (7.91) 742 (28.5)

AUC0-∞ [nM·h] 422 (24.9) 821 (26.2) 1250 (17.9) 1480 (6.99) 1010 (31.8) t1/2 [h] 126 (20.7) 139 (19.0) 127 (18.5) 127 (10.9) 116 (17.8) CL [mL/min] 41.8 (24.9) 107 (26.2) 141 (17.9) 239 (6.34) 349 (31.8)b) Vz [L] 456 (18.7) 1300 (18.2) 1550 (14.9) 2620 (10.5) 3520 (27.1)c) Vss [L] 380 (15.5) 1000 (14.2) 1110 (10.2) 1540 (13.5) - MRT [h] 152 (18.8) 156 (18.8) 132 (18.4) 107 (11.4) 142 (17.6)d)

fe0-120e) [%] 2.72 (20.4) 17.6 (18.1) 21.8 (13.9) 23.0 (5.75) 3.51 (89.0)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)中央値(最小値~最大値) b)CL/F c)Vz/F d)MRTpo

e)0.5mg i.v.:N=5 引用元:CTD5.3.1.1-2,試験 1218.10,Table 11.5.2.1: 1,Table 11.5.2.1: 2 より作成

表 1.2: 3 リナグリプチン単回投与時の CD 1790 の薬物動態パラメータ

0.5 mg(静注) 2.5 mg(静注) 5 mg(静注) 10 mg(静注) 10 mg(経口)

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

Cmax [nM] 0.127 (46.9) 1.69 (18.0) 4.81 (36.5) 11.9 (28.3) 5.28 (88.0)

tmaxa) [h]

2.38

(2.00-3.00)

2.13

(1.67-2.50)

2.25

(1.67-2.50)

2.00

(1.75-2.50)

2.50

(1.00-4.00) AUC0-tz [nM·h] 0.385 (73.3) 13.0 (24.7) 47.1 (25.7) 101 (22.8) 50.3 (64.7)

AUC0-∞ [nM·h] 0.912 (22.0) 15.7 (20.9) 49.1 (25.8) 103 (22.7) 53.4 (60.5) t1/2 [h] 4.58 (30.3) 18.0 (20.2) 13.6 (31.2) 12.8 (21.5) 15.3 (39.5) MRT [h] 7.09 (30.4) 19.3 (30.5) 15.2 (24.4) 14.2 (22.9) 16.7 (38.4)b) fe0-tz [%] n.d. 0.0446 (21.1) 0.0845 (23.2) 0.0864 (21.3) 0.0442 (72.4)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)中央値(最小値~最大値) b)MRTpo

n.d.:検出されず 引用元:CTD5.3.1.1-2,試験 1218.10,Table 11.5.2.1: 3,Table 11.5.2.1: 4 より作成

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リナグリプチン 5 mg 静脈内投与およびリナグリプチン 10 mg 錠の単回経口投与時の Cmax およ

び AUC0-∞の幾何平均値の比とその両側 90%信頼区間を表 1.2: 4 に示した。 リナグリプチンの AUC0-∞および Cmax は,10 mg(錠剤経口投与)と比較して 5 mg(静脈内投与)

で高く,それぞれ 1.24 倍と 4.33 倍であった。また,薬物動態モデルを用いた解析から算出し

た 10 mg(錠剤)の絶対バイオアベイラビリティは約 30%であった。

表 1.2: 4 リナグリプチン 5 mg 静脈内投与およびリナグリプチン 10 mg 錠の単回投与

時のリナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ N 被験者内

gCV [%]

gMean の比

(Test/Reference)

[%]

90 %信頼区間

下限値[%] 上限値[%]

AUC0-∞ 10 9.8 124.1 114.4 134.6

Cmax 10 34.8 433.1 327.0 573.5

引用元:CTD5.3.1.1-2,試験 1218.10,Table 11.5.2.3: 1 より作成

4) 薬力学

リナグリプチン 0.5~10 mg を静脈内投与したとき,用量依存的に DPP-4 活性は阻害された。リ

ナグリプチン 10 mg を経口投与したときの DPP-4 阻害率は,リナグリプチン 2.5~5 mg を静脈

内投与したときと同程度であった。DPP-4 阻害率とリナグリプチンの血漿中濃度は良好な相関

を示し,DPP-4 活性を阻害率はリナグリプチンの血漿中濃度が 2~4 nM で約 50%,4~6 nM で

約 80%であった(CTD 5.3.1.1-2,試験 1218.10,Figure 11.5.3:1)。

5) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,36 例の被験者のうち,15 例(41.7%)に 21 件の有害事象が認められた。スクリ

ーニング期では 1 件の有害事象が認められた。有害事象はプラセボ群では 1 例(12.5%)に 3件,リナグリプチン群では 13 例(46.4%)に 17 件認められた。ほとんどの有害事象は軽度で

あり,中等度の有害事象は頭痛 3 件であった。高頻度に発現した有害事象は頭痛 9 例,咽喉頭

疼痛 2 例であり,その他の有害事象はいずれも 1 件であった(表 1.2: 5)。リナグリプチンと因

果関係ありと判定された有害事象は 13 例中 7 例に認められた。処置を必要とした有害事象は 4件であった。死亡,重篤な有害事象,治験中止に至った有害事象は認められなかった。

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表 1.2: 5 治験期間に発現した有害事象(Safety Set)

Subject

No.

器官別大分類/基本語 a) Treatment Intensity Therapy required

Drug related

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations)

16 鼻炎 (Rhinitis) 2.5 mg iv Mild No No

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders)

19 低血糖症 (Hypoglycaemia) 2.5 mg iv Mild Yes Yes

神経系障害 (Nervous system disorders)

32 体位性めまい (Dizziness postural) 5.0 mg iv Mild No Yes

53 頭痛 (Headache) Placebo iv Mild No No

5 頭痛 (Headache) 0.5 mg iv Mild No No

15 頭痛 (Headache) 2.5 mg iv Mild No Yes

18 頭痛 (Headache) 2.5 mg iv Moderate Yes Yes

26 頭痛 (Headache) Washout Moderate Yes No

28 頭痛 (Headache) 5.0 mg iv Mild No Yes

29 頭痛 (Headache) 10 mg po Mild No No

29 頭痛 (Headache) 5.0 mg iv Mild No No

31 頭痛 (Headache) 10 mg po Mild No No

54 頭痛 (Headache) 10 mg iv Moderate Yes Yes

呼吸器、胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders)

25 咽喉頭疼痛 (Pharyngolaryngeal pain) 10 mg po Mild No No

31 咽喉頭疼痛 (Pharyngolaryngeal pain) 10 mg po Mild No No

眼障害 (Eye disorders)

53 眼痛 (Eye pain) Placebo iv Mild No No

全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

53 倦怠感 (Malaise) Placebo iv Mild No No

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders)

30 多汗症 (Hyperhidrosis) 5.0 mg iv Mild No Yes

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders)

29 筋肉痛 (Myalgia) 10 mg po Mild No No

a )MedDRA version

引用元:CTD 5.3.1.1-2,試験 1218.10,Table 12.2.2: 1 より作成

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 血液学的検査値および生化学検査値に基準値からのわずかな逸脱が複数認められたが,いずれ

も臨床的に問題となる異常ではなかった。有害事象と判定されたバイタルサインは認められな

かった。数名の被験者でベースライン時にはみられなかった12誘導心電図異常,伝導障害(プ

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ラセボ1例,リナグリプチン群1例)およびリズム障害(プラセボ群4例,リナグリプチン3例)

が認められた。また,QT間隔の補正方法に依存したQT間隔の延長がプラセボ群とリナグリプ

チン群の両群で認められたが,群間および投与方法間に差はみられなかった。 (3) 忍容性 治験担当医師は,身体所見,有害事象,バイタルサインおよび臨床検査値の評価に基づき,す

べての患者の忍容性を良好と判定した。静脈内投与後における注射部位の忍容性に問題はなか

った。

6) まとめ

リナグリプチン 0.5~10 mg を静脈内投与したとき,非線形の薬物動態が認められ,用量の増加

に伴う AUC の上昇は,用量比を下回った。全身クリアランスおよび定常状態の分布容積は,

用量の増加に伴い増加した。尿中累積排泄率は用量の増加に伴い増加し,0.5 mg(静脈内投与)

で 2.72%,10 mg(静脈内投与)で 23.0%であった。薬物動態パラメータの個体間変動は小さか

った。リナグリプチンの一部(10%未満)は CD 1790 へ速やかに代謝された。リナグリプチン

と異なり,CD 1790 の AUC および Cmax は用量比を上回るか,ほぼ用量比に応じて増加した。

CD 1790 の終末相における半減期は約 13 時間であり,リナグリプチンと比較して短かく,これ

は CD 1790 の DPP-4 に対する親和性が低いためと考えられた。薬物動態モデルを用いた解析か

ら算出したリナグリプチン 10 mg(錠剤)の絶対バイオアベイラビリティは約 30%であった。 リナグリプチン 0.5~10 mg を静脈内投与または経口投与したときの有害事象の発現率は,プラ

セボ群(12.5%)と比較してリナグリプチン群(46.4%)で多かった。頭痛を発現した 3 例の重

症度が中等度であったのを除き,全有害事象は軽度であった。高頻度に認められた有害事象は

頭痛 9 例,咽喉頭疼痛 2 例であった。死亡,重篤な有害事象,投与中止に至った有害事象は認

められなかった。臨床検査値およびバイタルサインに臨床的に問題となる基準値からの逸脱は

認められなかった。治験担当医師による忍容性評価は全症例で良好であった。

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1.3 試験 1218.33

(CTD 5.3.1.1-3)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 1.3: 1 に示した。

表 1.3: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男女被験者におけるリナグリプチン 1,2.5 および 5 mg 錠(市販予定製剤)の薬物動

態および用量比例性の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検,反復投与,3 期クロスオーバー試験

対象 18~55 歳までの健康男性被験者および健康女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 1 mg 錠,2.5 mg 錠,5 mg 錠

目標症例数 12 例

投与方法

投与期間

第 1~3 期の Day 1~7 の朝にリナグリプチン 1,2.5 または 5 mg を 1 日 1 回反復投与した

(投与期間は各期 7 日間)。3 期クロスオーバー法により,リナグリプチン 1 mg,2.5 mg,

5 mg を異なる 6 通り(各 2 例)の投与順序で投与した。各期の間にウォッシュアウト期は

設けなかった。各期の Day 7 の投与は,10 時間以上の絶食後の朝に実施し,投与後 4 時間

以上絶食状態を維持することとした。第 2 期および第 3 期の初回投与は,第 1 期および第

2 期の Day 7 の翌朝に行われた。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期,治験終了期からなる。投与期における薬物濃度測

定用採血は,各期 Day 1 の投与直前,各期 Day 1 投与後 24(第 2 期および第 3 期のみ),

96,120,144(それぞれ Day 2,5,6,7 の投与直前),144.5,145,145.5,146,147,148,

150,152,156,168 時間に行った。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

薬物動態:

薬物動態パラメータ:

主要評価項目:リナグリプチンの AUCτ,ss,Cmax,ss および C24,ss

副次評価項目:代謝物 CD 1790 の AUCτ,ss および Cmax,ss

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

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表 1.3: 1 試験方法の概略(2/2)

解析方法 回帰モデルを用いてリナグリプチンの用量比例性を探索し,傾きの点推定値および 95%信

頼区間を算出した。

薬物動態パラメータは,対数変換後に,薬剤,投与順序,時期を固定効果,投与順序内被

験者を変量効果,および対数変換後の用量を共変量とする ANCOVA を用いて解析した。

その他のすべてのパラメータについて記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 12 例の被験者が本試験に組入れられた。3 期クロスオーバー法により 6 とおりの投与順序

に 2 例ずつランダム化割付けされ,すべての被験者にリナグリプチン 1,2.5,5 mg が投与され

た。すべての被験者が試験を完了した。本試験では重大な治験実施計画書からの逸脱はなかっ

た。

本試験に組入れられた健康被験者 12 例(男女各 6 例)は,すべて白人であり,年齢は平均 39.8

歳,BMI は平均 23.97 kg/m2 であった。非喫煙者は 5 例(41.7%),喫煙歴のある被験者は 3 例

(25.0%),喫煙者は 4 例(33.3%)であった。被験者の飲酒量は本試験の結果に影響を及ぼす

程度ではなかった。すべての被験者で,既往歴またはベースラインの所見に臨床的に問題とな

るものはなかった。被験者 7 例(58.3%)が試験期間中に併用療法を受けていたが,すべて薬

物動態の解析結果に影響を与えるものではないと判断された。

3) 薬物動態

(1) 薬物動態パラメータ

リナグリプチン 1,2.5,5 mg を反復投与したときのリナグリプチンおよび代謝物 CD 1790 の薬

物動態パラメータを表 1.3: 2 および表 1.3: 3 に示した。

Day 7 におけるリナグリプチンの最高血漿中濃度到達時間(tmax,ss)の中央値は各用量間で類似

しており,1.01~1.51 時間であった。定常状態における最高血漿中濃度(Cmax,ss)および曝露量

(AUCτ,ss)の増加は 1~5 mg の用量範囲では用量比以下であった。AUCτ,ss の幾何平均値は 5 mg

投与時(153 nM·h)に対して 2.5 mg 投与時(114 nM·h)で 25.5%の減少を示し,1 mg 投与時(86.0

nM·h)では 5 mg 投与時に対して 43.8%の減少を示した。Cmax,ss の幾何平均値は 5 mg 投与時(12.9

nM)に対して 2.5 mg 投与時(7.50 nM)で 41.9%の減少を示し,1 mg 投与時(4.84 nM)では 5

mg 投与時に対して 62.5%の減少を示した。リナグリプチンの定常状態での見かけのクリアラン

ス(CL/Fss)および見かけの分布容積(Vz/Fss)は,用量の増加に伴って増加した。代謝物 CD 1790

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の AUCτ,ss および Cmax,ss は用量の増加に伴って用量比をわずかに上回って増加し,5 mg 投与時

の CD 1790 の AUCτ,ss はリナグリプチンの AUCτ,ss の 13.3%であった。

表 1.3: 2 リナグリプチン 1,2.5,5 mg 反復投与時のリナグリプチンの薬物動態パラ

メータ

N=12 1 mg 2.5 mg 5 mg

gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 86.0 17.0 114 16.2 153 23.7

AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] 86.0 17.0 45.7 16.2 30.6 23.7

Cmax,ss [nM] 4.84 21.2 7.50 23.8 12.9 47.8

tmax,ssa) [h] 1.51 0.500-6.00 1.01 0.500-3.00 1.27 1.00-4.00

Cmax,ss,norm [(nM)/mg] 4.84 21.2 3.00 23.8 2.57 47.8

MRTpo,ss [h] 76.2 77.8 89.1 62.0 63.5 53.3

CL/Fss [mL/min] 410 17.0 771 16.2 1150 23.7

Vz/Fss [L] 1900 73.4 4330 58.0 4720 63.0

C24,ss [nM] 2.92 21.6 3.92 18.4 4.90 22.5

C24,ss,norm [(nM)/mg] 2.92 21.6 1.57 18.4 0.981 22.5

PTF [%] 52.5 44.4 77.7 42.4 123 56.0

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.1.1-3,試験 1218.33,Table 11.5.2.1: 1 より作成

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表 1.3: 3 リナグリプチン 1,2.5,5 mg 反復投与時の CD 1790 の薬物動態パラメータ

N=12 1 mg 2.5 mg 5 mg

gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 2.72 51.4 8.54 38.2 20.4 43.5

Cmax,ss [nM] 0.375 67.4 1.34 49.7 3.30 55.1

tmax,ssa) [h] 2.00 1.00-4.00 1.74 1.00-3.00 1.77 1.00-4.00

t1/2,ssb) [h] 8.59 109 16.6 63.1 17.5 74.6

MRTpo,ss [h] 11.3 76.5 16.7 68.2 17.4 74.4

C24,ssc) [nM] - - 0.128 66.5 0.311 54.3

PTF [%] 259 41.4 346 33.7 360 35.0

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

b)1 mg 投与時の消失相における半減期(t1/2,ss)の幾何平均値が短いのは,血漿中 CD 1790 濃度が低いためで

ある可能性が非常に高い。CD 1790 はほとんどの被験者で投与後 12 時間まで定量可能であった。

c)-:定量可能な濃度であった被験者が全体の 3 分の 2 未満(5 例)であったため,幾何平均値および幾何変

動係数は算出しなかった。

引用元:CTD 5.3.1.1-3,試験 1218.33,Table 11.5.2.1: 2 より作成

(2) 統計解析による評価

リナグリプチン 1,2.5,5 mg 反復投与時のリナグリプチンの AUCτ,ss,Cmax,ss および C24,ss の用

量比例性をパワーモデルにより解析した結果を表 1.3: 4 に示した。

解析の結果,リナグリプチンの曝露(Cmax,ss および AUCτ,ss)ならびに血漿中トラフ濃度(C24,ss)

の増加は用量比以下であった。

表 1.3: 4 リナグリプチン 1,2.5,5 mg 反復投与時の AUCτ,ss,Cmax,ss および C24,ss の

回帰直線の傾きの点推定値(パワーモデル)

95%信頼区間

パラメータ 点推定値 下限値 上限値

AUCτ,ss 0.3561 0.3135 0.3986

Cmax,ss 0.5999 0.5010 0.6988

C24,ss 0.3228 0.2840 0.3616

引用元:CTD 5.3.1.1-3,試験 1218.33,Table 11.5.2.1: 3 より作成

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4) 安全性

(1) 曝露状況

本試験ではすべての被験者が計画通りの用量のリナグリプチンを投与され,被験者ごとの総投

与量は 59.5 mg であった。

(2) 有害事象(MedDRA を使用)

第 1~3 期において,12 例の被験者のうち 7 例(58.3%)に 9 件の有害事象が認められた(CTD

5.3.1.1-3, 試験 1218.33,Table 12.2.1: 1)。そのうち 2 例に認められた 3 件の有害事象(すべて頭

痛)は高度と判定され,3 例に認められた 3 件の有害事象は中等度,2 例に認められた 3 件の有

害事象は軽度と判定された。治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象

はなかった。薬物治療を必要とした有害事象は 8 件であった。認められたすべての有害事象は

試験終了時までに回復し,治験中止に至った有害事象はなかった。重篤な有害事象およびその

他の重要な有害事象はなかった。

投与期に発現した有害事象を表 1.3: 5 に示した。高頻度に発現した有害事象は,器官別大分類

の神経系障害(4 例,33.3%)ならびに筋骨格系および結合組織障害(2 例,16.7%)であった。

基本語別では,頭痛(4 例,33.3%)が最も高頻度に発現した。その他の有害事象はいずれも 1

例のみに認められた。

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表 1.3: 5 投与期に発現した有害事象(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) Linagliptin

1 mg

Linagliptin

2.5 mg

Linagliptin

5 mg

Total

N (%) N (%) N (%) N (%)

例数 12 (100.0) 12 (100.0) 12 (100.0) 12 (100.0)

有害事象発現例数 2 (16.7) 3 (25.0) 4 (33.3) 7 (58.3)

神経系障害(Nervous system disorders) 1 (8.3) 3 (25.0) 1 (8.3) 4 (33.3)

頭痛(Headache) 1 (8.3) 3 (25.0) 1 (8.3) 4 (33.3)

筋骨格系および結合組織障害

(Musculoskeletal and connective tissue

disorders)

1 (8.3) 0 1 (8.3) 2 (16.7)

関節痛(Arthralgia) 1 (8.3) 0 0 1 (8.3)

骨痛(Bone pain) 0 0 1 (8.3) 1 (8.3)

傷害、中毒および処置合併症(Injury,

poisoning and procedural complications) 0 0 1 (8.3) 1 (8.3)

開放創(Open wound) 0 0 1 (8.3) 1 (8.3)

血管障害(Vascular disorders) 0 0 1 (8.3) 1 (8.3)

静脈炎(Phlebitis) 0 0 1 (8.3) 1 (8.3)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.1.1-3,試験 1218.33,Table 12.2.2: 1 より作成

(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

臨床検査値,バイタルサインおよび 12 誘導心電図に,臨床的に問題となる異常はみられなかっ

た。

(4) 忍容性

治験担当医師により,リナグリプチンの忍容性は全被験者および全評価時点について良好と判

定された。

5) まとめ

リナグリプチンは投与後速やかに吸収され,Cmax,ss および AUCτ,ss の増加は 1~5 mg の用量範囲

では用量比以下であった。AUCτ,ssは 5 mg 投与時に対して 2.5 mg 投与時で 25.5%の減少を示し,

1 mg 投与時では 5 mg 投与時に対して 43.8%の減少を示した。Cmax,ss は 5 mg 投与時に対して

2.5 mg 投与時で 41.9%の減少を示し,1 mg 投与時では 5 mg 投与時に対して 62.5%の減少を示し

た。したがって,用量を 5 mg から 2.5 mg に減量した場合でも AUCτ,ss は 50%まで減少しなかっ

た。リナグリプチンの代謝物 CD 1790 の AUCτ,ss および Cmax,ss は用量比をわずかに上回って増

加し,CD 1790 の曝露量はリナグリプチンの曝露量の 13.3%であった。

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1,2.5,5 mg のリナグリプチンを健康男性被験者および健康女性被験者に 1 日 1 回 7 日間反復

投与した場合の忍容性および安全性は良好であり,3 用量間の安全性について臨床的に意味の

ある違いはみられなかった。

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1.4 試験 1218.34

(CTD

5.3.1.1-4)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 1.4: 1 に示した。

表 1.4: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男女被験者における BI 1356(リナグリプチン)5 mg 錠の単回投与時のバイオアベ

イラビリティおよび薬物動態に及ぼす食事の影響の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検,単回投与,2 期クロスオーバー試験

対象 18~50 歳までの健康男性および女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

目標症例数 32 例

投与方法

投与期間

・リナグリプチン 5 mg:第 1 期および第 2 期の Day 1 に経口単回投与(投与期間は合計

2 日間)

リナグリプチン 5 mg 錠の食後投与と絶食時投与を 2 期のクロスオーバー法により交互に

試験した。各期の移行時にウォッシュアウト期を 5 週間以上設けた。食後投与は,10 時

間以上の絶食後,朝の投与 30 分前に高脂肪,高カロリー食を摂食させた。絶食時投与は

10 時間以上の絶食後の朝に投与を行った。投与は水 240 mL とともに実施した。いずれ

の場合も投与後 4 および 11 時間に標準食を,投与後 7 時間に軽食を提供した。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期,ウォッシュアウト期および治験終了期からなる。

投与期における薬物濃度測定用採血は,治験薬投与 1.5 時間前,投与後 0.5,1,1.5,2,

3,4,6,8,12,24,48,72,96 時間に行った。また,その他の主な観察項目としては,

身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿

検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を行った。

評価項目

評価基準

有効性・薬物動態:

主要評価項目:AUC0-72 および Cmax に基づく相対バイオアベイラビリティ

副次評価項目:AUC0-tz,AUC0-24,AUC0-∞,tmax,λz,t1/2,MRTpo,CL/F,Vz/F

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象お

よび忍容性

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表 1.4: 1 試験方法の概略(2/2)

解析方法 AUC0-72 および Cmax について,投与順序,時期および投与条件を固定効果,投与順序内

被験者を変量効果として含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する ANOVA を行

った。幾何平均値の比および 90%信頼区間を算出した。信頼区間は ANOVA における残

差に基づいて算出した。その他の全パラメータについて記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 32 例の健康被験者が本試験に組入れられた。すべての被験者が,第 1 期にリナグリプチン

を食後投与,第 2 期に絶食下投与される群,またはその逆の順序で投与される群に 16 例ずつラ

ンダム化割付けされ,治験薬を 1 回以上投与された。

第 1 期にリナグリプチンを食後投与された被験者 1 例が,高度の有害事象(急性扁桃炎)のた

めに第 2 期に移行せずに試験を中止したが,その他の 31 例は試験を完了した。本試験では重大

な治験実施計画書からの逸脱はなかった。

本試験に組入れられた被験者 32 例(男性 17 例,女性 15 例)は,すべて白人であり,平均年齢

は 32.8 歳であった。平均身長は 174.3 cm,平均体重は 74.3 kg,平均 BMI は 24.21 kg/m2 であっ

た。喫煙者は 5 例(15.6%),喫煙歴のある被験者は 6 例(18.8%),非喫煙者は 21 例(65.6%),

また,非飲酒者は 6 例(18.8%),飲酒者は 26 例(81.3%)であった。飲酒者 26 例の飲酒量は

本試験の結果に影響を及ぼす程度ではなかった。被験者 13 例(40.6%)が試験期間中に併用療

法を受けていたが,すべて薬物動態の解析結果に影響を与えるものではないと判断された。

3) 薬物動態

(1) 血漿中濃度推移

リナグリプチン 5 mg を 10 時間以上の絶食後および食後に単回投与したときのリナグリプチン

の平均血漿中濃度の推移を図 1.4: 1 に示した。

絶食時投与では,食後投与よりもリナグリプチンの吸収が速く,投与後約 1 時間で最高血漿中

濃度(Cmax)に到達した。食後投与では投与後約 3 時間で Cmax に到達し,Cmax は絶食時と比較

して低値となった。終末相における血漿中濃度の消失は食事の有無にかかわらず類似していた。

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上図:普通軸,下図:片対数軸

図 1.4: 1 リナグリプチン 5 mg の絶食時および食後単回投与時のリナグリプチンの幾

何平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.1.1-4,試験 1218.34,Figure 11.5.2: 3 より作成

(2) 薬物動態パラメータ

リナグリプチン 5 mg を 10 時間以上の絶食後および食後に単回投与したときのリナグリプチン

の薬物動態パラメータを表 1.4: 2 に示した。

リナグリプチンの薬物動態パラメータは,絶食時および食後投与間で大きな違いはなかった。

血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-72)は絶食時および食後投与間で同程度であったが,最高

血漿中濃度到達時間(tmax)の中央値は絶食時投与の 1.02 時間から食後投与では 2.99 時間に延

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長し,食事により吸収速度が遅延した。また,Cmax の幾何平均値は絶食時投与の 7.04 nM から

食後投与では 5.97 nM に減少した。AUC の被験者間変動は低度~中程度であった(幾何変動係

数が絶食時投与では<33%,食後投与では<25%)。

表 1.4: 2 リナグリプチン 5 mg の絶食時および食後単回投与時の薬物動態パラメータ

絶食時投与(N=31) 食後投与(N=32)

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUC0-24 [nM·h] 105 23.7 102 17.9

AUC0-72 [nM·h] 229 25.9 236 20.0

AUC0-∞ [nM·h] 391 32.3 397 24.4

AUCtz-∞ [%] 30.8 17.1 29.5 18.0

Cmax [nM] 7.04 34.0 5.97 19.5

C24 [nM] 3.52 24.7 4.28 18.9

tmaxa) [h] 1.02 0.517-8.00 2.99 0.500-8.00

t1/2 [h] 59.4 16.1 55.4 16.0

MRTpo [h] 82.5 15.6 79.8 14.9

CL/F [mL/min] 451 32.3 444 24.4

Vz/F [L] 2320 25.8 2130 21.2

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および範囲

引用元:CTD 5.3.1.1-4,試験 1218.34,Table 11.5.2: 1 より作成

(3) 統計解析による評価(相対バイオアベイラビリティ)

リナグリプチン 5 mg の絶食時または食後投与時の Cmax および AUC0-72 の幾何平均値の比とそ

の両側 90%信頼区間を表 1.4: 3 に示した。

リナグリプチン 5 mg の食後投与を Test,絶食時投与を Reference としたときの AUC0-72 および

Cmax の幾何平均値の比(Test/Reference)(90%信頼区間)は,それぞれ 103.5%(98.1~109.2%)

および 84.7%(75.9~94.6%)であり,高脂肪食の摂取はリナグリプチンの吸収量(AUC0-72)

に影響を及ぼさなかったが,Cmax は食事により約 15%減少した。高脂肪食の摂取によりリナグ

リプチンの吸収速度は減少したが,吸収量に対する影響はみられなかったことから,食事はリ

ナグリプチンの有効性に対して臨床的に問題となる影響を及ぼさないと考えられた。

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表 1.4: 3 リナグリプチン 5 mg の絶食時および食後単回投与の薬物動態パラメータの

ANOVA の結果

パラメータ

N

(Test/

Reference)

Test Reference 被験者内 gCV

[%]

gMean の比

(Test/Reference)

[%]

両側 90%信頼区間

下限値 [%] 上限値 [%]

AUC0-72

[nM·h] 32/31 食後 絶食時 12.4 103.5 98.1 109.2

Cmax [nM] 32/31 食後 絶食時 26.1 84.7 75.9 94.6

gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均値

引用元:CTD 5.3.1.1-4,試験 1218.34,Table 11.5.2: 2 より作成

4) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,32 例の被験者のうち 17 例(53.1%)に有害事象が認められた(CTD 5.3.1.1-4,試

験 1218.34,Appendix 16.1.9.2,Table 7.1.3)。このうち 11 例(34.4%)に認められた 17 件の有

害事象は投与期に発現した。有害事象の発現率はリナグリプチンの絶食時投与(7 例,22.6%)

と食後投与(7 例,21.9%)で同程度であった。高頻度に発現した投与期の有害事象は頭痛(絶

食時:6 例,18.8%,食後:3 例,9.7%),嘔吐(絶食時:2 例,6.5%,食後:0 例%)であった

(CTD 5.3.1.1-4,試験 1218.34,Table 12.2.2:1)。

高度の有害事象(急性扁桃炎,関節捻挫,悪心)が 3 例(9.4%)に認められたが,このうち投

与期(絶食時投与)に発現したのは悪心のみであった。また,急性扁桃炎を発現した 1 例(3.1%)

は,食後投与 29 日後に当該有害事象を発現し,絶食時投与の前に治験を中止した。

死亡,重篤な有害事象,および治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事

象はみられなかった。

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

臨床検査値について,臨床的に問題となる所見および有害事象と判定された変動はみられなか

った。また,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図に臨床的に問題となるベースライ

ンからの変化は認められなかった。

(3) 忍容性

治験担当医師により,リナグリプチンの忍容性はすべての被験者について良好と判定された。

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5) まとめ

高脂肪食の摂取によりリナグリプチンの吸収速度は減少したが,吸収量に対する影響はみられ

なかった。したがって,食事はリナグリプチンの有効性に対して臨床的に問題となる影響を及

ぼさないと考えられた。リナグリプチン 5 mg の経口単回投与の安全性および忍容性は,絶食

時投与および食後投与共に良好であった。

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1.5 試験 1218.25

(資料番号 5.3.1.2-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 1.5: 1 に示した。

表 1.5: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男性被験者における BI 1356(リナグリプチン)5 mg 錠 TF2b に対するリナグリプチン

5 mg 錠 TF2 および iFF(第 III 相試験製剤)のバイオアベイラビリティの検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検,単回投与,3 期クロスオーバー試験

対象 21~55 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠 TF2(T1),リナグリプチン 5 mg 錠 iFF(T2)

対照薬:リナグリプチン 5 mg 錠 TF2b(R)

目標症例数 24 例

投与方法

投与期間

本試験では,リナグリプチン 5 mg 錠の 3 種の製剤(TF2,iFF および TF2b)を各投与期(1

~3 期)にそれぞれ単回投与した。各投与期の間には 27 日以上のウォッシュアウト期を設

けた。

24 例の被験者を以下の 6 とおりの投与順序に 4 例ずつランダムに割り付けた。

・TF2/iFF/TF2b

・TF2/TF2b/iFF

・iFF/TF2/TF2b

・iFF/TF2b/TF2

・TF2b/TF2/iFF

・TF2b/iFF/TF2

それぞれの投与期では,10 時間以上の絶食後の朝に 240 mL の水とともに治験薬を経口単回

投与した。投与 4,7 および 10 時間後に標準食を提供した。

観察項目

観察時期

本試験はスクリーニング期,投与期(1~3 期),ウォッシュアウト期,治験終了期からなる。

各投与期には,以下のスケジュールで薬物濃度測定用に採血した。

投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,12,24,48,96,168,216,240,

264 時間

また,薬力学的マーカー測定用に以下のスケジュールで採血した。

投与前,投与後 1.5,8,24 時間

その他の主な観察項目として,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍),12 誘導心

電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を行った。

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Page 57: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 1.5: 1 試験方法の概略(2/2)

評価項目

評価基準

有効性・薬物動態:

薬物動態パラメータ

主要評価項目:AUC0-24

副次評価項目:Cmax,AUC0-∞,AUC0-tz,C24,tmax,λz,t1/2,MRTpo,CL/F,Vz/F

薬力学的パラメータ:DPP-4 阻害率,血糖値

安全性

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象,忍容性

解析方法 AUC0-24,Cmax,AUC0-∞について,投与順序,投与順序内被験者,時期および薬剤を含むモ

デルを用いた対数変換パラメータに対する ANOVA を行った。幾何平均値の比および 90%

信頼区間を算出した。

その他のすべてのパラメータについて記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Ingelheim am

Rhein,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

組入れられた 24 例の被験者すべてに治験薬が投与され,全 24 例が試験を完了した。被験者は

すべて白人男性であり,年齢は平均 34.4 歳,BMI は平均 25.38 kg/m2 であった。本試験では重

大な治験実施計画書からの逸脱はなかった。

3) 薬物動態

リナグリプチンの終末相における半減期が長いため,リナグリプチンの投与を受けた 4 例の被

験者で 2 期以降の投与前のリナグリプチン血漿中濃度が直前の投与期の最高血漿中濃度(Cmax)

の 5%を超えていた。治験実施計画書に従い薬物動態パラメータの統計解析には,これらの被

験者のデータを含めた場合と除外した場合の 2 種類の解析を実施した。解析の結果,被験者の

除外が結果に影響しなかったことから,主解析は治験薬が投与されたすべての被験者 24 例を対

象とした。 (1) 血漿中濃度推移 リナグリプチンの平均血漿中濃度推移を図 1.5: 1 に,各製剤投与時の薬物動態パラメータの比

較を表 1.5: 2 に示した。 3 製剤間で,被験者内での血漿中濃度-時間推移は類似していた。リナグリプチンは投与後 15分からほとんどの被験者で血漿中に検出され,消化管からの吸収が速やかであることが示され

た。Cmax 到達後,リナグリプチンの血漿中濃度は速やかに減少した。投与後 8~12 時間以降で

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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は,緩やかな消失相を示した。すべての製剤投与時において,リナグリプチンは投与後 264 時

間まで全被験者で検出された。

[上図:普通軸,下図:片対数軸]

図 1.5: 1 リナグリプチン 5 mg 錠(TF2b,TF2,iFF)単回投与後のリナグリプチン血

漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.1.2-1,試験 1218.25,Figure 11.5.2: 4 より作成

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(2) 薬物動態パラメータ 投与後 24 時間までの曝露量(AUC0-24)は製剤間で同程度で TF2b,TF2,iFF でそれぞれ 144,142,139 nM·h であった。TF2 と iFF の Cmax の幾何平均値は,それぞれ 8.78,8.90 nM で,TF2bの 8.67 nM と同程度であった。最高血漿中濃度到達時間(tmax)の中央値は,3 製剤で 1.5~2.5時間であり,製剤の種類に関係なく,その範囲は 0.5~8 時間と被験者間でばらつきがみられた。

AUC0-∞は製剤間で同程度で,TF2b,TF2,iFF でそれぞれ 809,801,779 nM·h であった。経口

クリアランス(CL/F)は 3 つの製剤間で同程度であった。見かけの分布容積(Vz/F)は TF2bと比較して TF2 および iFF で若干高かった。 薬物動態パラメータは 3 つの製剤で同様であり,Cmax(gCV:26.2%~40.3%)を除いて,被験

者間のばらつきは 30%前後もしくはそれを下回っていた。

表 1.5: 2 各製剤投与時の薬物動態パラメータの比較

TF2b (R)

N=24

TF2 (T1)

N=24

iFF (T2)

N=24

gMean gCV(%) gMean gCV(%) gMean gCV(%)

AUC0-24 [nM・h] 144 22.1 142 19.9 139 25.9

AUC0-∞ [nM・h] 809 28.4 801 27.2 779 28.5

AUC0-tz [nM・h] 619 26.8 600 24.0 593 26.5

Cmax [nM] 8.67 26.2 8.78 36.9 8.90 40.3

C24 [nM] 5.09 24.2 4.92 21.6 4.88 22.5

tmaxa) [h] 2.00 0.750-7.97 2.50 0.500-8.00 1.50 0.500-8.00

t1/2 [h] 149 19.6 162 25.4 155 19.8

MRTpo [h] 178 17.1 189 21.3 181 17.2

CL/F [mL/min] 218 28.4 220 27.2 226 28.5

Vz/F [L] 2810 28.5 3080 29.2 3030 31.8

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.1.2-1,試験 1218.25,Table11.5.2: 1 より作成

(3) 統計解析による評価(相対バイオアベイラビリティ) リナグリプチンの相対バイオアベイラビリティの ANOVA の結果を表 1.5: 3 に示した。TF2(T1)

と TF2b(R)間では,AUC0-24(幾何平均値の比[T1/R]:98.5%,90%信頼区間:91.7~105.9%),

AUC0-∞(幾何平均値の比[T1/R]:99.0%,90%信頼区間 92.7~105.8%),Cmax(幾何平均値の比

[T1/R]:101.2%,90%信頼区間 87.9~116.5%)に差はみられなかった。同様に,製剤 iFF(T2)

と TF2b(R)の間で,AUC0-24(幾何平均値の比[T2/R]:96.6%,90%信頼区間:89.9~103.8%),

AUC0-∞(幾何平均値の比[T2/R]:96.4%,90%信頼区間 90.2~102.9%),Cmax(幾何平均値の比

[T2/R]:102.7%,90%信頼区間 89.2~118.2%)に差はみられなかった。これらの統計解析結果

より 3 つの製剤は生物学的に同等であると考えられた。

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表 1.5: 3 製剤間の薬物動態パラメータの 90%信頼区間の比較

パラメータ N Test Reference被験者内

gCV(%)

gMean の比

(Test/Reference)

(%)

両側 90%信頼区間

下限値(%) 上限値(%)

AUC0-24

[nM·h] 24 iFF TF2b 14.9 96.6 89.9 103.8

Cmax [nM] 24 iFF TF2b 29.7 102.7 89.2 118.2

AUC0-∞

[nM·h] 24 iFF TF2b 13.6 96.4 90.2 102.9

AUC0-24

[nM·h] 24 TF2 TF2b 14.9 98.5 91.7 105.9

Cmax [nM] 24 TF2 TF2b 29.7 101.2 87.9 116.5

AUC0-∞

[nM·h] 24 TF2 TF2b 13.6 99.0 92.7 105.8

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.1.2-1,試験 1218.25,Table 11.5.2: 2 より作成

4) 薬力学的パラメータ

薬力学的パラメータ DPP-4 阻害率の推移を図 1.5: 2 に示した。 DPP-4 阻害率は,各製剤(TF2b,TF2,iFF)で同様であった。投与 24 時間後の DPP-4 阻害率

の中央値(範囲)は,TF2b,TF2 および iFF でそれぞれ 73.0%(46.0~84.0%),73.0%(55.0~84.0%),および 72.5%(42.0~86.0%)であった。

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Time [h]0 4 8 12 16 20 24

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

-20

0

20

40

60

80

100

5 mg linagliptin TF IIb (R) (N=24) 5 mg linagliptin TF II (T1) (N=24)5 mg linagliptin iFF (T2) (N=24)

図 1.5: 2 リナグリプチン 5 mg 錠(TF2b,TF2,iFF)単回投与後の DPP-4 阻害率の

推移(算術平均値+/-標準偏差)

引用元:CTD 5.3.1.2-1,試験 1218.25,Table 15.6.1: 7, 8 および 9 より作成

5) 安全性

(1) 曝露状況 すべての被験者において,リナグリピチンの総投与量は 15 mg(TF2,iFF および TF2b 各製剤 5 mg 単回投与)であった。 (2) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,12 例(50.0%)に 16 件の有害事象が認められた。本試験中に認められた有害事象

を表 1.5: 4 に示した。発現時に投与されていた製剤別にみると,TF2 投与時に 3 件,iFF 投与時

に 5 件,TF2b 投与時に 6 件,ウォッシュアウト期に 2 件の有害事象が発現した。 最も高頻度に発現した有害事象は頭痛(5 例,20.8%)であり,次いで鼻咽頭炎(3 例,12.5%)

であった。すべての有害事象の重症度は軽度もしくは中等度で,治験薬と因果関係ありと判定

された有害事象はなかった。10 件の有害事象で処置を要したが,すべて回復した。

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本試験期間中に死亡,重篤な有害事象および他の重要な有害事象は認められなかった。また,

治験中止に至った有害事象は認められなかった。

表 1.5: 4 有害事象一覧

器官別大分類 基本語

被験者番号 発現時投与

製剤 重症度 治験薬との

因果関係 処置

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations)

胃腸炎 (Gastroenteritis) 10 TF2 中等度 なし なし 鼻咽頭炎 6 TF2b 中等度 なし あり (Nasopharyngitis) 16 TF2b 中等度 なし あり

21 iFF 軽度 なし あり 中耳炎 (Otitis media) 23 TF2 中等度 なし あり

免疫系障害 (Immune system disorders)

食物アレルギー (Food allergy)

20 iFF 軽度 なし あり

神経系障害 (Nervous system disorders)

頭痛 (Headache) 3 iFF 軽度 なし なし 6 TF2b 中等度 なし なし 12 iFF 軽度 なし なし 20 TF2b 軽度 なし なし 21 TF2 軽度 なし なし 呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders)

咽喉刺激感 (Throat irritation)

2 ウォッシュ

アウト期 1 軽度 なし あり

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders)

下痢 (Diarrhoea) 21 TF2b 中等度 なし あり 消化不良(Dyspepsia) 1 iFF 軽度 なし あり 歯痛 (Toothache) 7 TF2b 中等度 なし あり

傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications)

節足動物咬傷 (Arthropod bite)

22 ウォッシュ

アウト期 1 中等度 なし あり

引用元:CTD 5.3.1.2-1,試験 1218.25,Table 12.2.2: 1 より作成

(3) 臨床検査,12 誘導心電図,バイタルサインおよび身体所見 臨床検査値はベースラインから変化なく,臨床的に問題となる異常は認められなかった。12 誘

導心電図,バイタルサインおよび身体所見に,臨床的に問題となる異常は認められなかった。 (4) 忍容性 忍容性は,すべての被験者でいずれの投与期においても良好と判定された。

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6) まとめ

対照製剤であるリナグリプチン 5mg 錠 TF2b と比較し,被験製剤である iFF および TF2 ともに

バイオアベイラビリティ(AUC0-24,AUC0-∞および Cmax)に差はみられず,3 製剤は生物学的に

同等であると考えられた。

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1.6 試験 1218.45

(CTD 5.3.1.2-2)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 1.6: 1 に示した。

表 1.6: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男女被験者における BI 1356(リナグリプチン)5 mg を 1 日 1 回 7 日間反復投与およ

び 2.5 mg を 1 日 2 回 7 日間反復投与したときの定常状態における薬物動態および薬力学的

特性の比較

試験デザイン 第 I 相,非盲検,反復投与,2 期クロスオーバー試験

対象 18~65 歳までの健康男性および女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 2.5 mg フィルムコート錠

リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

目標症例数 16 例(男女各 8 例)

投与方法

投与期間

以下の 2 つの投与方法を,2 期のクロスオーバー法により交互に試験した。各期の間にウ

ォッシュアウト期は設けなかった。

・Treatment A:リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回,7 日間,朝食後経口投与

・Treatment B:リナグリプチン 2.5 mg 1 日 2 回,7 日間,朝食および夕食後経口投与

治験薬の朝の投与は一晩絶食後の朝食後 30 分以内に行った。また入院時(Day 6 夕方~Day

8 朝,Day 13 夕方~Day 15 朝)には朝の治験薬投与 6 時間後および 11 時間後に標準食を,

2 時間 10 分後および 9 時間後に軽食を提供した。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期および治験終了期からなる。

投与期における薬物濃度および薬力学マーカー(DPP-4 活性)測定用に以下の時間に採血

した。薬物濃度測定用の蓄尿は,Day 1 の投与前 2 時間以内,Day 7,14 の投与後 0~12,

12~24 時間に行った。

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表 1.6: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

投与順序 AB の薬物濃度および DPP-4 活性測定用採血時間

投与期 Day 採血時間

5 mg 1 日 1 回投与

(Day 1~7)

Day 1,5,6 投与前

Day 7 投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,

4,6,8,12,16,23.25a)時間

2.5 mg 1 日 2 回投

与(Day 8~14)

Day 8,12,13 朝投与前

Day 14 朝投与前,朝投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,

3,4,6,8,11.75 時間(夕方投与前),夕方投与

後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,12

時間

投与順序 BA の薬物濃度および DPP-4 活性測定用採血時間

投与期 Day 採血時間

2.5 mg 1 日 2 回投

与(Day 1~7)

Day 1,5,6 朝投与前

Day 7 朝投与前,朝投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,

3,4,6,8,11.75 時間(夕方投与前),夕方投与

後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,11.25a)

時間

5 mg 1 日 1 回投与

(Day 8~14)

Day 8,12,13 投与前

Day 14 投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,

4,6,8,12,16,24 時間

a)Day 8 の投与前採血を兼ねる

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

薬物動態:

薬物動態パラメータ:

主要評価項目;AUC0-24,ss

副次評価項目;Cmax,ss,Cpre,N,tmax,ss,AUC0-12,ss,CL/Fss,CLR,ss,Aet1-t2,ss,fet1-t2,ss

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率に関する Eavg0-24,ss,Eavg0-12,ss,E24,ss,E12,ss,Emax,ss,Emin,ss

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

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表 1.6: 1 試験方法の概略(3/3)

解析方法 AUC0-24,ss を,対数変換後に,投与順序,時期および薬剤を固定効果,投与順序内被験者を

変量効果として含むモデルを用いた ANOVA を用いて解析した。90%信頼区間を算出した

後,オリジナルスケールに逆変換して,幾何平均値の比とその信頼区間を求めた。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 16 例(男性 8 例,女性 8 例)が本試験に組入れられた。女性被験者は第 1 期にリナグリプ

チン 5 mg を 1 日 1 回投与され,第 2 期に 2.5 mg を 1 日 2 回投与された。男性被験者はその逆

の投与順序に割付けられた。全被験者が治験薬の投与を受けた。女性被験者 1 例が第 1 期(5 mg

1 日 1 回投与)の Day 5 に高度のインフルエンザ様疾患のため試験を中止し,薬物動態および

薬力学解析対象から除外された。残りの被験者は治験実施計画書どおり試験を完了した。

被験者全 16 例が白人であり,年齢は平均 36.4 歳,体重は平均 75.7 kg,BMI は平均 24.79 kg/m²

であった。喫煙者は 4 例(25.0%),喫煙歴のある被験者は 6 例(37.5%),非喫煙者は 6 例(37.5%)

であった。また,非飲酒者は 4 例(25.0%),飲酒者は 12 例(75.0%)であり,被験者の飲酒量

は本試験の組入れに影響を及ぼす程度ではなかった(CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Tables 15.1.4:

1)。本試験では重大な治験実施計画書からの逸脱はなかった。

3) 薬物動態

(1) 血漿中濃度推移

リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回および 2.5 mg 1 日 2 回を反復投与したときのリナグリプチンの平

均血漿中濃度推移を図 1.6: 1 に示した。

視覚的判断から,リナグリプチン 5 mg 錠 1 日 1 回投与および 2.5 mg 錠 1 日 2 回投与後のトラ

フ時の血漿中リナグリプチン濃度は,いずれも投与開始後 6 日以内に定常状態に到達している

と考えられた。投与開始後 7 日目での 5 mg 投与後の血漿中リナグリプチン濃度は速やかに増

加し,最高血漿中濃度到達時間(tmax,ss)の中央値は 1.5 時間であった。2.5 mg 錠 1 日 2 回投与

では,吸収にわずかな遅延が認められ,より変動が大きかった。5 mg 投与時の定常状態におけ

る最高血漿中濃度(Cmax,ss)と比較して,2.5 mg 投与時の Cmax,ss は朝食後投与で約 24%,夕食

後投与で約 37%低下していた。

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図 1.6: 1 リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回反復投与時および 2.5 mg 1 日 2 回反復投与時

の平均血漿中濃度推移(投与開始 7 日後,幾何平均値)

引用元:CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Figure 11.5.2: 3 より作成

(2) 薬物動態パラメータ

リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与時と 2.5 mg 1 日 2 回投与時の定常状態における薬物動態パラ

メータ(0~24 時間値)の比較を表 1.6: 2 に,リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与時および 2.5 mg

1 日 2 回投与時の定常状態における薬物動態パラメータをそれぞれ表 1.6: 3 および表 1.6: 4 に示

した。

リナグリプチンの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-24,ss)は 5 mg 1 日 1 回投与(132 nM·h)

と 2.5 mg 1 日 2 回投与(124 nM·h)で同程度であった。AUC0-24,ss の幾何変動係数はそれぞれ各

投与方法で 18.0%と 14.2%であり,おおむね被験者間変動は小さかった。定常状態における見

かけのクリアランス(CL/Fss)の被験者間変動は小さく,両投与方法で類似していた。tmax,ss の

中央値は両投与方法で同程度であり,2.5 mg 1 日 2 回投与時の朝投与後と夕方投与後でも類似

していた。腎クリアランスは 1 日 1 回投与時と 1 日 2 回投与時の朝投与後で同程度であり,1

日 2 回投与時の夕投与後で若干低かったが,いずれもリナグリプチンの総排泄に対する腎排泄

の寄与はわずかであった。

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表 1.6: 2 リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与時と 2.5 mg 1 日 2 回投与時の定常状態に

おける薬物動態パラメータの比較

5 mg 1 日 1 回 2.5 mg 1 日 2 回

gMean (N=15) gCV [%] gMean (N=15) gCV [%]

AUC0-24 ss [nM·h] 132 18.0 124 14.2

CL/Fssa) [mL/min] 1330 18.0 1420 14.2

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)2.5 mg 1 日 2 回投与時の CL/Fss は 0~24 時間の値から算出

引用元:CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Table 11.5.2: 1 より作成

表 1.6: 3 リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与時の定常状態における薬物動態パラメー

5 mg 1 日 1 回

gMean (N=15) gCV [%]

AUC0-12,ss [nM·h] 73.6 18.4

Cmax,ss [nM] 9.02 24.9

tmax,ssa) [h] 1.50 0.750-2.03

CL/Fss [mL/min] 1330 18.0

fe0-12,ss [%] 2.14b) 36.9 b)

fe0-24,ss [%] 3.17 b) 34.0 b)

CLR,0-12,ss [mL/min] 50.9 b) 20.6 b)

CLR,0-24,ss [mL/min] 42.1 b) 19.8 b)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

b)N=14(1 例で定常状態での 0~12 時間の蓄尿が不完全であったため除外した)

引用元:CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Table 11.5.2: 2 より作成

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表 1.6: 4 リナグリプチン 2.5 mg 1日 2回投与時の定常状態における薬物動態パラメー

2.5 mg 1 日 2 回

13 回目(朝)投与

2.5 mg 1 日 2 回

14 回目(夕方)投与

gMean (N=15) gCV [%] gMean (N=15) gCV [%]

AUC0-12,ss [nM·h] 64.8 14.3 59.6 14.3

Cmax,ss [nM] 6.88 14.2 5.70 15.5

tmax,ssa) [h] 2.00 0.750-4.00 2.07 1.00-11.4

CL/Fss [mL/min] 1360 14.3 1480 14.3

fe0-12,ss [%] 3.06 37.0 2.23 31.9

CLR,0-12,ss [mL/min] 41.7 33.4 33.0 30.5

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Table 11.5.2: 3 より作成

(3) 統計解析による評価(相対バイオアベイラビリティ)

リナグリプチンの AUC0-24,ss の幾何平均値の比(Test/Reference)とその両側 90%信頼区間を表

1.6: 5 に示した。

リナグリプチン 2.5 mg 1日 2回投与をTest,5 mg 1日 1回投与をReferenceとしたときのAUC0-24,ss

の幾何平均値の比(両側 90%信頼区間)は 93.89%(89.49~98.51%)であり,生物学的同等性

の基準範囲(80~125%)内であった。したがって,両投与方法は生物学的に同等であると判断

した。

表 1.6: 5 リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与時と 2.5 mg 1 日 2 回投与時のリナグリプ

チンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ N Test Reference 個体内

gCV

[%]

gMean の比

(Test/Reference)

[%]

両側 90%信頼区間

下限値 [%] 上限値 [%]

AUC0-24,ss

[nM·h] 15

2.5 mg

1 日 2 回

5 mg

1 日 1 回 7.4 93.89 89.49 98.51

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Table 11.5.2: 4 より作成

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4) 薬力学

リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与および 2.5 mg 1 日 2 回投与 7 日後の血漿中 DPP-4 阻害率の推

移を図 1.6: 2 に,DPP-4 阻害率に関する薬力学的パラメータを表 1.6: 6 に示した。

トラフ時の DPP-4 阻害率はいずれの投与方法でも同程度であった。それぞれの投与間隔でのト

ラフ時の DPP-4 阻害率(E24,ss;E12,ss)の中央値は,5 mg 投与時で 78.7%,2.5 mg 朝投与時で

84.2%および 2.5 mg 夕投与時で 82.7%であった。定常状態における DPP-4 阻害率は両投与方法

で 24 時間にわたり同程度であった。DPP-4 阻害率の平均値(Eavg0-24,ss)の中央値は,5 mg 1 日

1 回投与で 85.9%,2.5 mg 1 日 2 回投与で 86.5%であった。

図 1.6: 2 リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回および 2.5 mg 1 日 2 回,7 日間投与したとき

の 7 日目の DPP-4 阻害率の推移

引用元:CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Figure 11.5.3: 1 より作成

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表 1.6: 6 DPP-4 阻害率に関する薬力学的パラメータ

DPP-4

阻害率

5 mg 1 日 1 回投与 2.5 mg 1 日 2 回投与

13 回目(朝)投与

2.5 mg 1 日 2 回投与

14 回目(夕方)投与

中央値(最小値-最大値)

(N=15)

中央値(最小値-最大値)

(N=15)

中央値(最小値-最大値)

(N=15)

Emax,ss [%] 91.8 (89.8 - 94.1) 90.9 (87.4 - 92.6) 88.4 (85.1- 90.7)

Eavg0-12,ss [%] NC 87.2 (82.5 - 90.5) 85.3 (81.0 - 89.6)

Eavg0-24,ssa) [%] 85.9 (80.6 - 89.6) 86.5 (81.9- 90.0) –b)

E12,ss [%] NC 84.2 (78.6 - 89.3) 82.7 (77.9 - 89.5)

E24,ss [%] 78.7 (69.5 - 87.1) NC NC

NC:算出せず

a)2.5 mg 1 日 2 回投与時の Eavg0-24,ss は,13 回目投与後および 14 回目投与後の Eavg0-12,ss の合計として算出した。

b)13 回目投与参照

引用元:CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Table 15.7.2.1: 1-2 より作成

5) 安全性

(1) 暴露状況

15 例の被験者において,リナグリプチンが 14 日間投与され,総投与量は 70 mg であった。1

例の早期に試験を中止した被験者のリナグリプチンの総投与量は 25 mg であった。

(2) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,16 例の被験者のうち 6 例(37.5%)に有害事象が認められた。1 例でスクリーニ

ング期に軽度の下痢が発現したほかは,すべて投与期に認められた。各投与期での有害事象は,

リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与で 4 例(25.0%),2.5 mg 1 日 2 回投与で 2 例(13.3%)であ

った(CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Tables 12.2.1: 1)。

死亡および重篤な有害事象は認められなかった。ほとんどの有害事象が軽度または中等度であ

った。高度の有害事象は 1 例に認められ,本被験者は第 1 期(5 mg 1 日 1 回投与)の Day 5 に

インフルエンザ様疾患を発現し,試験を中止した。当該有害事象の治験薬との因果関係は否定

された。本試験で認められた有害事象は,頭痛(2 例,12.5%),下痢,疲労,インフルエンザ

様疾患,鼻咽頭炎,口腔ヘルペス,皮膚裂傷(左人さし指),およびそう痒症(各 1 例,6.3%)

であった(CTD 5.3.1.2-2,試験 1218.45,Tables 12.2.2: 1)。

リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回投与時に 1 例で認められた有害事象(頭痛,中等度)は,治験担

当医師により治験薬と因果関係ありと判定された。

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(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

全体として臨床検査値はそれぞれの基準範囲内であり,臨床的に問題となる臨床検査値異常は

認められなかった。また,バイタルサインおよび 12 誘導心電図に関して臨床的に問題となる所

見は認められなかった。

(4) 忍容性

有害事象および臨床検査値に基づく評価により,いずれの投与方法においても忍容性は良好と

判定された。

6) まとめ

リナグリプチン 5 mg 1 日 1 回 7 日間投与および 2.5 mg 1 日 2 回 7 日間投与の AUC0-24,ss は同程

度であり(幾何平均値の比:93.89%,90%信頼区間:89.49~98.51%),両投与方法は生物学的

に同等であると判断した。DPP-4 阻害率の中央値についても両投与方法で類似していた。定常

状態における DPP-4 阻害率は 24 時間にわたり両投与方法で同程度であった。リナグリプチン

の忍容性は両投与方法ともに良好であった。

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2. 臨床薬物動態(PK)試験

2.1 試験 1218.1

(CTD 5.3.3.1-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.1: 1 に示した。

表 2.1: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男性被験者における BI 1356BS(リナグリプチン)2.5 - 5 mg 溶液および 25 - 600 mg 錠

の単回経口投与後の安全性,忍容性,薬物動態および薬力学の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,二重盲検(群内),プラセボ対照,単回投与試験

対象 21~65 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 5 mg,100 mg の瓶入り粉末製剤(0.5%酒石酸水溶液 80 mL に溶解)

リナグリプチン 25 mg,50 mg,200 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 5 mg,100 mg の瓶入り粉末製剤に対応するプラセボ瓶入り粉末製

剤(0.5%酒石酸水溶液 80 mL に溶解)

リナグリプチン 25 mg,50 mg,200 mg 錠に対応するプラセボ錠

目標症例数 66 例,各用量 8 例(リナグリプチン 6 例,プラセボ 2 例),ただし 100 mg 用量は 10 例(リ

ナグリプチン 8 例,プラセボ 2 例)

投与方法

投与期間

群漸増法によりリナグリプチンまたはプラセボの 2.5 mg(溶液),5 mg(溶液),25 mg(錠

剤),50 mg(錠剤),100 mg(錠剤/溶液),200 mg(錠剤),400 mg(錠剤),600 mg(錠

剤)を単回投与した。用量ごとに新たな被験者を登録したが,100 mg(錠剤/溶液)に割

付けられた被験者には錠剤単回投与後,21 日以上のウォッシュアウト期を設け溶液を単回

投与した。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期,ウォッシュアウト期および治験終了期からなる。

投与期における薬物濃度および薬力学的パラメータ(DPP-4 活性)測定用に以下の時間に

採血した。

測定項目 用量 採血時間

薬物濃度 5~50 mg 投与 0.5 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,

8,10,12,14,24,48,72,96,120 時間

2.5 mg,

100~600 mg

投与 0.5 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,

8,10,12,14,24,48,72,96,120,144,168,192 時間

DPP-4

活性

2.5~600 mg 投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,10,

12,14,24,48,72,96 時間

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表 2.1: 1 試験方法の概略(2/2)

観察項目

観察時期

(続き)

薬物濃度測定用蓄尿を治験薬投与 25 分前,投与後 0~4,4~8,8~24,24~48,48~72,

72~96,96~120 時間に行った。

なお,治験薬の投与は 10 時間以上の絶食の後に行い,投与後約 4,10,24 時間に標準食を,

投与後約 13 時間に軽食を提供した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,心拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

有効性・薬物動態:

薬物動態パラメータ:

Cmax,tmax,AUC0-∞,%AUCtz-∞,AUC0-tz,λz,t1/2,MRTpo,CL/F,Vz/F,Aet1-t2,fet1-t2,

CLR,t1-t2

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,心拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 安全性,薬物動態,薬力学の各評価項目について記述統計量を算出した。回帰モデルを用

いてリナグリプチン錠剤の薬物動態パラメータの用量比例性を探索し,傾きの点推定値お

よび 95%信頼区間を算出した。

リナグリプチン 100 mg の錠剤と溶液について,Cmax および AUC0-∞を対数変換後に,薬剤

を固定効果とした分散分析モデルを用いて解析した。両側 90%信頼区間を算出した後,オ

リジナルスケールに逆変換して,幾何平均の比とその信頼区間を求め,探索的に相対バイ

オアベイラビリティを評価した。統計学的検定は行わなかった。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 66 例の健康男性被験者が登録されたが,2 例(2.5 および 50 mg 群各 1 例)がランダム化

前に中止し,計 64 例がランダム化割付けされた。ランダム化割付けされた被験者のうち,400 mg群の 1 例は治験実施計画書からの重大な逸脱(除外基準に抵触)のため治験薬投与前に中止し

た。63 例が治験薬の投与を受け,治験実施計画書どおり試験を完了した。なお,本試験に参加

した被験者の全員が白人で,年齢は平均 38.3 歳,体重は平均 80.4 kg,BMI は 20.3~31.1 kg/m2

であった。

3) 薬物動態

リナグリプチン単回投与時の薬物動態パラメータを表 2.1: 2 および表 2.1: 3 に示した。

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リナグリプチン 2.5 mg(溶液)群および 5 mg(溶液)群において,リナグリプチンの血漿中濃

度は投与後 1 時間以内に速やかに上昇し,投与後 1~6 時間の間で安定した濃度を維持した。血

漿中濃度は投与後 6 時間から緩やかに消失し,投与後 24 時間での血漿中濃度は最高血漿中濃度

(Cmax)の 3 分の 1 程度であった。用量の増加に伴い,2.5 mg および 5 mg 群ではみられなかっ

た 2 峰性の吸収ピークが観察された。25 mg 以上の用量群において,投与後最初の吸収ピーク

はおおよそ 0.75~2 時間,2 番目の吸収ピークは 3~6 時間であった。25 mg 以上の用量群では,

リナグリプチンの血漿中濃度は投与後 24時間までにCmaxの約 10分の 1まで速やかに減少した。

投与量が高用量になるに伴い,投与後 96 時間までの血漿中からの消失はより速やかであり,リ

ナグリプチンの分布および/または排泄過程は非線形であることが示唆された。2.5~50 mg 群

の終末相における半減期の幾何平均値は 69.7~79.9 時間であり,100 mg 以上の投与群では 128~184 時間の範囲であった。96 時間以降,すべての用量群で血漿中濃度推移の傾きは平行とな

り終末相の類似性が示された。このことより少なくとも 2 相性の消失相の存在することが示さ

れた。2.5 mg および 5 mg 群の Cmax および時間ゼロから投与後無限大時間までの血漿中濃度-

時間曲線下面積(AUC0-∞)はそれぞれ幾何平均値で 4.41 nM と 5.72 nM,291 nM・h と 427 nM・

h であり,用量に比例した増加はみられなかった。投与剤形が溶液から錠剤に変更となる 25 mg群の Cmax は,5 mg 群に対して 12 倍増加したが,AUC0-∞の増加は 2.6 倍であった。25~100 mgの錠剤投与群では用量比以上の Cmax の増加がみられたが,100~600 mg の錠剤投与群の Cmax

は用量に比例して増加した。AUC0-∞は 25~600 mg の用量範囲で用量比例的に増加した。腎ク

リアランスも同様に非線形性を示し,血漿中濃度の上昇に伴い増加した。リナグリプチンの血

漿中濃度が 2 nM 以下では腎からの排泄は認められず,200 nM 以上の濃度での腎クリアランス

は 100~200 mL/min の範囲であった。尿中排泄率は最低用量の 0%から最高用量の 33%へと増

加し,これは高濃度の血漿中リナグリプチンは腎から速やかに排泄されるが,低濃度の血漿中

リナグリプチンの排泄に対して腎クリアランスの関与はほとんどないことを示唆している。 リナグリプチン 100 mg の溶液と錠剤のバイオアベイラビリティを個体内で比較した結果,8 例

中 7 例で溶液のバイオアベイラビリティは錠剤の約 2 分の 1 であった。この要因として溶液中

でのリナグリプチンの溶解性などが関与している可能性が考えられた。

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表 2.1: 2 リナグリプチン単回投与時の薬物動態パラメータ(用量 2.5~50 mg)

2.5 mg(溶液) 5 mg(溶液) 25 mg(錠剤) 50 mg(錠剤)

gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%])

Cmax [nM] 4.41 (19.1) 5.72 (19.4) 72.3 (40.2) 250 (47.0)

Cmax,norm [(nM)/mg] 1.76 (19.1) 1.14 (19.4) 2.89 (40.2) 5.01 (47.0)

tmaxa) [h] 2.05 (1.48-3.05) 1.47 (1.02-5.95) 2.97 (0.700-4.02) 0.733 (0.450-1.48)

AUC0-∞ [nM·h] 291 (33.8) 427 (33.0) 1110 (15.8) 1930 (25.7)

AUC0-∞,norm [(nM·h)/mg] 116 (33.8) 85.4 (33.0) 44.4(15.8) 38.7 (25.7)

AUC0-24 [nM·h] 75.3 (22.8) 100 (23.0) 468 (33.6) 1040 (39.8)

AUC0-24,norm [(nM·h)/mg] 30.1 (22.8) 20.1 (23.0) 18.7 (33.6) 20.8 (39.8)

t1/2 [h] 79.9 (34.7) 69.7 (17.2) 79.9 (24.6) 75.9 (5.60)

CLR,0-24 [mL/min] NC NC 108 (18.8) 137 (19.5)

CL/F [mL/min] 303 (33.8) 413 (33.0) 794 (15.8) 912 (25.7)

Vz/F [L] 2100 (12.9) 2490 (26.7) 5490 (37.5) 5990 (26.4)

fe0-tz [%] NC 0.958 (69.6) 6.81 (49.1) 9.36 (43.9)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数,NC:Not calculated a)中央値(最小値~最大値) 引用元:CTD 5.3.3-1,試験 1218.1,Tables 15.5.2.1: 1~9 より作成

表 2.1:3 リナグリプチン単回投与時の薬物動態パラメータ(用量 100~600 mg)

100 mg(錠剤) 100 mg(溶液) 200 mg(錠剤) 400 mg(錠剤) 600 mg(錠剤)

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

gMean

(gCV [%])

Cmax [nM] 757 (38.8) 310 (57.9) 1440 (25.9) 3270 (36.7) 4340 (32.1)

Cmax,norm [(nM)/mg] 7.57 (38.8) 3.10 (57.9) 7.22 (25.9) 8.18 (36.7) 7.24 (32.1)

tmaxa) [h]

1.73

(0.517-3.03)

2.49

(0.483-5.97)

1.13

(0.467-2.03)

3.00

(0.683-4.00)

2.21

(0.700-3.02)

AUC0-∞ [nM·h] 5690 (21.0) 3760 (29.0) 10700 (16.8) 27700 (35.7) 39500 (19.6)

AUC0-∞,norm [(nM·h)/mg] 56.9 (21.0) 37.6 (29.0) 53.5 (16.8) 69.3 (35.7) 65.9 (19.6)

AUC0-24 [nM·h] 4010 (21.8) 2240 (41.6) 7840 (25.5) 22800 (36.3) 33000 (21.2)

AUC0-24,norm [(nM·h)/mg] 40.1 (21.8) 22.4 (41.6) 39.2 (25.5) 56.9 (36.3) 55.1 (21.2)

t1/2 [h] 143 (19.8) 132 (28.5) 172 (43.2) 184 (50.9) 128 (41.3)

CLR,0-24 [mL/min] 146 (16.9) 186 (31.0) 168 (6.45) 171 (21.0) 187 (20.3)

CL/F [mL/min] 620 (21.0) 938 (29.0) 659 (16.8) 509 (35.7) 535 (19.6)

Vz/F [L] 7670 (17.5) 10700 (44.8) 9830 (52.0) 8090 (44.9) 5920 (57.5)

fe0-tz [%] 18.2 (26.2) 13.2 (48.2) 21.1 (23.4) 30.4 (19.7) 32.7 (13.4)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)中央値(最小値~最大値) 引用元:CTD 5.3.3.1-1,試験 1218.1,Tables 15.5.2.1: 1~9 より作成

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4) 薬力学

リナグリプチン単回投与時の DPP-4 阻害率を表 2.1: 4 に示した。 リナグリプチンの単回投与後,全用量で血漿中 DPP-4 阻害作用が認められた。リナグリプチン

投与後,血漿中 DPP-4 活性は速やかに阻害され,DPP-4 阻害率は 2.5 mg 群ではベースラインに

対して中央値で 72.0%,25 mg 以上の群で 95%以上であり,DPP-4 阻害率は血漿中リナグリプ

チン濃度が約 10.6 nM 以上で最大(>95%)となった。DPP-4 阻害率が最大となるまでの到達

時間は用量の増加に伴い減少し,2.5 mg 群では中央値で 3.05 時間,200 mg 以上の群では中央

値で 0.733 時間未満であった。リナグリプチンの DPP-4 阻害作用は長時間持続し,その作用は

投与後 96 時間においても認められた。全用量において DPP-4 阻害率の個体間変動は比較的小

さかったが,阻害率が最大に到達するまでの時間は 0.233~6 時間と個体間にばらつきが認めら

れた。プラセボ投与後の DPP-4 阻害率は変化せず,各時点の変動係数は小さく 12%以下であっ

た。 DPP-4 阻害率とリナグリプチンの血漿中濃度は良好な相関を示していることから,リナグリプ

チンの薬物動態は DPP-4 活性阻害と直接関連していることが推察された(CTD 5.3.3.1-1,試験

1218.1,Figure 11.5.3: 1)。検討した用量範囲において,DPP-4 阻害率および薬物動態パラメー

タの変動は小さく,PK/PD が良く相関することからリナグリプチンの薬物動態と薬力学の予

測可能性は高いと考えられた。

表 2.1: 4 リナグリプチン 2.5~600 mg 単回投与時の薬力学的パラメータ(DPP-4 阻害

率,中央値(最小値-最大値))

Dose N Emax E24 tmax

[mg] [%] [%] [h]

2.5 5 72.0 (67.0-81.0) 44.0 (42.0-49.0) 3.05 (1.52-6.00)

5 6 88.5 (71.0-91.0) 67.5 (43.0-78.0) 1.47 (1.02-5.95)

25 6 95.5 (94.0-96.0) 91.0 (91.0-92.0) 0.742 (0.517-2.95)

50 5 96.0 (95.0-97.0) 93.0 (92.0-94.0) 0.717 (0.450-1.02)

100 (錠剤) 8 97.0 (96.0-98.0) 94.0 (93.0-95.0) 0.850 (0.467-2.02)

100 (溶液) 8 95.0 (94.0-96.0) 93.0 (92.0-94.0) 0.500 (0.250-5.97)

200 6 97.0 (97.0-98.0) 95.0 (94.0-96.0) 0.733 (0.233-1.47)

400 5 98.0 (97.0-98.0) 96.0 (96.0-96.0) 0.500 (0.483-1.05)

600 6 97.0 (95.0-98.0) 95.0 (93.0-97.0) 0.600 (0.467-1.47)

引用元:CTD 5.3.3.1-1,試験 1218.1,Tables 15.6.1: 48~50 より作成

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5) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,63 例(リナグリプチン群 47 例,プラセボ群 16 例)の被験者のうち,22 例に 35件の有害事象が認められた(CTD 5.3.3.1-1,試験 1218.1,Table 12.2.2: 1)。その内訳はプラセボ

投与群で 6 例に 8 件,リナグリプチン投与群で 13 例に 20 件,スクリーニング期に 3 例に 4 件,

治験終了後に 2 例に 3 件であった。19 件は治験薬と因果関係ありと判定され,そのうち 14 件

はリナグリプチン群で認められた。 高頻度に発現した有害事象は頭痛(19/35 件),インフルエンザ様疾患(5/35 件),悪心(3/35 件)であった。頭痛の発現率はリナグリプチン群 28%(13/47 例),プラセボ群 38%(6/16 例),悪心の発現率はリナグリプチン群 4%(2/47 例),プラセボ群 6%(1/16 例)であ

り,リナグリプチン群とプラセボ群で同程度であった。 死亡および重篤な有害事象は認められなかった。ほとんどの有害事象は軽度(21/35 件)また

は中等度(11/35 件)であった。リナグリプチン 50 mg を投与された 1 例で高度の有害事象が

3 件(頭痛,嘔吐,悪心各 1 件)認められた。有害事象の発現率に用量依存性は認められなか

った。 リナグリプチンと因果関係なしと判定された有害事象は 10 例に 14 件認められ,その内訳はイ

ンフルエンザ様疾患(5 件/5 例),頭痛(5 件/3 例),背部痛(1 件/1 例),事故(1 件/1例),抜歯(1 件/1 例),処置後痛(1 件/1 例)であった。これらの事象は,ほとんどが感染

による疾患であった。 (2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 低血糖症または薬剤に起因するアレルギー様症状を示す臨床所見および臨床検査値は認められ

なかった。治験薬と因果関係ありと判定された臨床的に問題となる臨床検査値異常は認められ

なかった。臨床的に問題となる 12 誘導心電図の異常は認められなかった。 (3) 忍容性 忍容性は 63 例中 59 例で良好,4 例(リナグリプチン 50 mg[錠剤],100 mg[錠剤],200 mg[錠剤],プラセボに各 1 例)で十分であった。

6) まとめ

投与した全用量で DPP-4 阻害作用が認められ,DPP-4 阻害率の最大値は 25 mg 以上の用量では

95%を上回っていた。DPP-4 阻害作用は全用量で投与 96 時間後においても認められた。 リナグリプチンの吸収過程で 2 峰性のピークが認められ,100 mg までの用量で非線形の分布お

よび/または排泄過程が認められた。最高血漿中濃度は 25~100 mg の用量で用量比以上に増

加したが,100~600 mg の用量では用量に比例して増加した。総曝露量は 25~600 mg の用量範

囲でほぼ用量比例的に増加した。腎クリアランスは血漿中濃度の増加に伴い増加し,尿中排泄

率は 0%(最低用量)から 33%(最高用量)まで増加した。消失半減期は 2.5~50 mg 群では 69.7~79.9 時間であり,100 mg 以上の投与群では 128~184 時間の範囲であった。

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DPP-4 阻害率とリナグリプチンの血漿中濃度に良好な相関が認められ,DPP-4 阻害率は血漿中

リナグリプチン濃度が約 10.6 nM 以上で最大(>95%)となった。 リナグリプチン群における治験薬と因果関係ありと判定された有害事象のほとんどは頭痛また

は悪心であり,これらの事象の発現率はリナグリプチン群とプラセボ群で同程度であった。有

害事象の発現率に用量依存性は認められなかった。 リナグリプチン 2.5~600 mg を単回投与(100 mg は間に 21 日以上のウォッシュアウト期を設

けて 2 回投与)したときの安全性および忍容性は良好であった。

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2.2 試験 1218.7

(CTD 5.3.3.1-2)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.2: 1 に示した。

表 2.2: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男性被験者における[14C]BI 1356(リナグリプチン)の経口および静脈内投与後のリナ

グリプチンおよびその代謝物 CD 1790 の吸収,代謝,排泄および薬物動態を評価する。ま

た,[14C]リナグリプチンの安全性および忍容性を検討する。

試験デザイン 第 I 相,非盲検,単回投与,並行群間試験

対象 30~60 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 経口薬:[14C]リナグリプチン 10 mg 経口用粉末製剤(0.1%酒石酸水溶液 20 mL に溶解)

注射薬:[14C]リナグリプチン 6.5 mg 注射用粉末製剤(酢酸緩衝液 13 mL に溶解後、生理食

塩水で希釈し 5mg/40mL 溶液を調製)

目標症例数 12 例

投与方法

投与期間

・経口投与群:

Day 1 に[14C]リナグリプチン 10 mg/20 mL(2.0 MBq)溶液を単回経口投与。

・静脈内投与群:

Day 1 に[14C]リナグリプチン 5 mg/40 mL(2.0 MBq)溶液を 1.5 時間の持続静脈内投与。

なお,各群の治験薬の投与は 10 時間以上の絶食後の朝に行った。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期および治験終了期からなる。投与期における血漿中

薬物濃度測定用に以下の時間に採血した。

投与群 採血時間

経口投与群 投与 0.5 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,12,

24,48,72,96,120,168,216,264 時間

静脈内投与群

投与 0.5 時間前,投与後 0.5,1 時間,投与後 1.5~1.75 時間まで 5 分ご

と,投与後 2,2.25,2.5,3,3.5,4,5,6,8,12,24,48,72,96,

120,168,216,264 時間

薬物濃度測定用蓄尿は治験薬投与前(投与日または投与前日),投与後 0~4,4~8,8~12,

12~24,24~48,48~72,72~96,96~120 時間に行った。また,糞中薬物濃度測定用に,

治験薬投与前(投与日または投与前日),および投与後 0~24,24~48,48~72,72~96,

96~120 時間に便を採取した。

なお,各群の治験薬の投与は 10 時間以上の絶食後に行い,食事は Day 1 では投与後 2.5,5,

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表 2.2: 1 試験方法の概略(2/2)

観察項目

観察時期

(続き)

10,13 時間に,その他の日は 8:30,13:00,18:00,21:00 に標準食または軽食を提供した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価(全

般的評価,局所忍容性[静脈内投与群])を行った。

評価項目

評価基準

薬物動態:

・[14C]放射能の全血,血漿,尿,および糞中濃度-時間プロファイル

・リナグリプチンおよび代謝物 CD 1790 の血漿および尿中濃度-時間プロファイル

・尿および糞中総[14C]放射能に基づくマスバランス

・尿,糞,および血漿中代謝物の構造推定および主要代謝物の同定

・経口および静脈内投与後の放射能測定値に基づく吸収率(Fa)

・血漿中[14C]放射能に対する血球中[14C]放射能比(CBlood cell/Cplasma)

・総[14C]放射能のヒト血漿タンパク結合(ex vivo)

・リナグリプチンおよび CD 1790 の血漿および尿中濃度,ならびに全血,血漿,尿,糞

中[14C]放射能に基づく薬物動態パラメータ

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 リナグリプチンとその代謝物 CD 1790 の血漿および尿中濃度,ならびに全血,血漿,尿,

糞中[14C]放射能に基づき,ノンコンパートメントモデル解析により薬物動態パラメータを

算出した。すべての薬物動態パラメータについて,記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 オランダ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 12 例の健康男性被験者がランダム化割付けされ,治験薬の投与を受けた。経口投与群とし

て[14C]リナグリプチン 10 mg および静脈内投与群として[14C]リナグリプチン 5 mg が各 6 例に

投与された。重大な治験実施計画書からの逸脱はなく,すべての被験者が試験を完了した。

被験者 12 例の年齢は平均 46.3 歳であった。経口投与群の年齢の中央値は 38.5 歳,静脈内投与

群の年齢の中央値は 50.5 歳であった。経口投与群の 1 例が黒人,1 例がアジア人であり,残り

はすべて白人であった。経口投与群および静脈内投与群の平均身長(182.2 cm および 177.8 cm),

平均体重(85.0 kg および 79.8 kg),平均 BMI(25.62 kg/m2 および 25.23 kg/m2)は,両群間でそ

れぞれ同様であった(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 11.2: 1)。

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3) 薬物動態

(1) 静脈内投与時の薬物動態

健康男性被験者に[14C]リナグリプチン 5 mg を 1.5 時間かけて静脈内投与したときの,血漿中リ

ナグリプチンおよび代謝物 CD 1790 の濃度推移,ならびに全血および血漿中[14C]リナグリプチ

ンの濃度推移を図 2.2: 1 に,リナグリプチン,CD 1790,および[14C]リナグリプチンの尿中累積

排泄率を図 2.2: 2 に,[14C]リナグリプチンの尿および糞中累積排泄率ならびに総排泄率を図 2.2:

3 に示した。また,血漿中リナグリプチン,血漿中 CD 1790,全血および血漿中[14C] リナグリ

プチンの薬物動態パラメータを表 2.2: 2 に,尿中リナグリプチン,尿中 CD 1790,尿および糞

中[14C]リナグリプチンの薬物動態パラメータを表 2.2: 3 に示した。

[14C]リナグリプチン静脈内投与時の血漿中リナグリプチン,血漿中総放射能および全血中総放

射能の濃度推移は類似していた。

CD 1790 は投与開始 30 分後から検出され,最高血漿中濃度到達時間(tmax)はリナグリプチン

投与開始後 2.14 時間であった。CD 1790 の半減期はリナグリプチンと比較して短く,15.9 時間

であった。

リナグリプチン,CD 1790 および [14C]リナグリプチンの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-tz)

はそれぞれ 947 nM・h,40.9 nM・h および 1430 nMeq・h であり,血漿中放射能の約 66%はリナグ

リプチンに由来するものであった。リナグリプチンおよび CD1790 の合計の血漿中放射能に対

する割合は約 70%であった。

全血中[14C]リナグリプチンの AUC0- tz に対する血漿中[14C]リナグリプチンの AUC0- tz の比は

0.679 であり,放射能の大部分が血漿中で見られたことから,血球への分布はごくわずかであ

ることが示された。この結果はリナグリプチン投与後 1.5,3,24 時間の CBlood cell/Cplasma の平均

値が,それぞれ 0.379,0.261,0.0195 であったことからも支持された(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,

Table 15.5.1.3: 4)。

リナグリプチン静脈内投与開始後 1.5 および 3 時間の総放射能の血漿タンパク結合率の平均値

は,約 92%であった。

リナグリプチンの尿中累積排泄率は,投与 24 時間後まででは 18.0%,120 時間後まででは 21.2%

であり,CD 1790 の尿中累積排泄率は投与 24 時間後までで 0.0615%であった(CTD 5.3.3.1-2,

試験 1218.7,Figure 11.5.2.1.2: 1)。投与 48 時間後までの[14C]リナグリプチンの尿中排泄率は

27.8%であった。投与 144 時間後までの[14C] リナグリプチンの糞中累積排泄率は,43.3%であ

った。[14C] リナグリプチンの総排泄率は 89.1%,尿中累積排泄率は 30.8%,糞中累積排泄率は

58.2%であった。

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上図:普通軸(0-24 時間),下図:片対数軸(0-264 時間)

図 2.2: 1 [14C]リナグリプチン 5 mg 単回静脈内投与時の血漿中リナグリプチン,血漿

中 CD 1790,全血および血漿中[14C]リナグリプチンの幾何平均濃度推移

引用元:CTD5.3.3.1-2,試験 1218.7,Figure 11.5.2.1.1: 5 より作成

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図 2.2: 2 [14C]リナグリプチン 5 mg 単回静脈内投与時のリナグリプチン,CD 1790,

および[14C]リナグリプチンの尿中幾何平均累積排泄率

引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Figure 11.5.2.1.2: 1 より作成

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図 2.2: 3 [14C]リナグリプチン 5 mg 単回静脈内投与時の[14C]リナグリプチンの尿およ

び糞中幾何平均累積排泄率ならびに幾何平均総排泄率

引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Figure 11.5.2.1.2: 3 より作成

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表 2.2: 2 [14C]リナグリプチン 5 mg 単回静脈内投与時の血漿中リナグリプチン,血漿

中 CD 1790,全血および血漿中[14C]リナグリプチンの薬物動態パラメータ

血漿中

リナグリプチン

(N=6)

血漿中

CD 1790

(N=6)

血漿中

[14C]リナグリプチン

(N=6)

全血中

[14C]リナグリプチ

ン(N=6)

パラメータ gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUC0-24 [nM·h]a) 356 13.6 34.1 29.6 552 6.71 375 5.64

AUC0-tz [nM·h]a) 947 17.9 40.9 32.0 1430 6.66 375 5.64

AUC0-∞ [nM·h]a) 1180 17.0 42.9 31.4 1960 6.87 517 10.1

%AUCtz-∞ [%] 19.0 21.9 4.24 36.8 26.2 16.6 26.8 18.3

Cmax [nM]b) 82.7 18.8 5.30 42.7 112 14.0 84.3 11.8

tmaxc) [h] 1.25 1.00-1.52 2.14 1.75-3.00 1.50 1.00-1.53 1.50 1.00-1.53

t1/2 [h] 142 19.1 15.9 61.5 193 14.8 15.8 15.0

MRT [h] 148 17.3 14.9 32.3 195 17.8 17.3 17.4

CL [mL/min] 150 17.2 --- --- 90.1 7.01 341 10.0

Vz [L] 1840 28.3 --- --- 1510 13.5 466 8.00

Vss [L] 1330 24.0 --- --- 1060 15.3 354 9.99

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)[14C]リナグリプチンの単位は nMeq·h b)[14C]リナグリプチンの単位は nMeq c)中央値および最小値~最大値 引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 11.5.2.1.3: 1 より作成

表 2.2: 3 [14C]リナグリプチン 5 mg 単回静脈内投与時の尿中リナグリプチン,尿中

CD 1790,尿および糞中[14C]リナグリプチンの薬物動態パラメータ

尿中

リナグリプチン

(N=6)

尿中

CD 1790

(N=6)

尿中

[14C]リナグリプチン

(N=6)

糞中

[14C]リナグリプチン

(N=6)

パラメータ gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

CLR,0-120 [mL/min] 52.2 8.46 --- --- 48.3 5.64 --- ---

Ae0-tz [nmol]a) 2240 9.55 6.90 44.6 3260 6.75 6150 5.00

fe0-tz [%] 21.2 9.57 0.0652 44.4 30.8 6.74 58.2 4.81

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)[14C]リナグリプチンの単位は nmoleq 引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 11.5.2.1.3: 2 より作成

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82

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(2) 経口投与時の薬物動態

健康男性被験者に[14C]リナグリプチン 10 mg を単回経口投与したときの,血漿中リナグリプチ

ンおよび CD 1790 の濃度推移,ならびに全血および血漿中[14C]リナグリプチンの濃度推移を図

2.2: 4 に,リナグリプチン,CD 1790,および[14C]リナグリプチンの尿中累積排泄率を図 2.2: 5

に,[14C]リナグリプチンの尿および糞中累積排泄率ならびに総排泄率を図 2.2: 6 に示した。ま

た,血漿中リナグリプチン,血漿中 CD 1790,全血および血漿中[14C] リナグリプチンの薬物動

態パラメータを表 2.2: 4,尿中リナグリプチン,尿中 CD 1790,尿および糞中[14C]リナグリプチ

ンの薬物動態パラメータを表 2.2: 5 に示した。

[14C]リナグリプチン経口投与時の血漿中総放射能濃度は血漿中リナグリプチン濃度より高か

った。血漿中総放射能の濃度-時間推移は,血漿中リナグリプチンおよび全血中総放射能の濃度

推移と類似していた。血漿中総放射能に基づく吸収率(Fa)は 36.7%であった。

CD 1790 は投与後 15 分から血漿中に検出され,tmax はリナグリプチンより短かった。CD 1790

の半減期はリナグリプチンと比較して短かった。

リナグリプチンおよび血漿中[14C]リナグリプチンの AUC0-120 はそれぞれ 510 nM・h および 822

nMeq・h,CD 1790 の AUC0-tz は 40.3 nM・h であり(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 11.5.2.1: 3),

血漿中放射能の約 62%はリナグリプチンに由来した。リナグリプチンおよび代謝物を合計する

と血漿中放射能の約 66%であった。

全血中[14C]リナグリプチンに対する血漿中[14C]リナグリプチンの AUC0-12 比は 0.703 であった

ことから,放射能の大半が血漿に由来しており,血球への分布はごくわずかであることが示さ

れた。この結果はリナグリプチン投与 1.5,3,24 時間後の CBlood cell/Cplasma の平均値が,それぞ

れ<0,0.0668,<0 であったことからも支持された(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 11.5.1.3:

3)。

リナグリプチン経口投与後 1.5 および 3 時間で測定した総放射能の血漿タンパク結合率の平均

値は約 94%であった(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Appendix 16.3.1)。

[14C]リナグリプチン経口投与 120 時間後までのリナグリプチンおよび CD 1790 の尿中累積排泄

率は,それぞれ 2.42%および 0.0377%であった(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Figure 11.5.2.2.2: 1)。

[14C]リナグリプチンの総排泄率は 91.5%(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 15.5.1.4: 17),尿中

累積排泄率は 5.44%,糞中累積排泄率は 84.7%であった。

血漿中のリナグリプチンおよび CD 1790 の総量と総放射能値の間に差の生じている要因のひと

つとして,CD 1790 以外の微量代謝物およびサンプルから抽出できない低濃度の放射性化合物

の存在することが示唆された。

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上図:普通軸(0-24 時間),下図:片対数軸(0-264 時間)

図 2.2: 4 [14C]リナグリプチン 10 mg 単回経口投与時の血漿中リナグリプチン,血漿中

CD 1790,全血および血漿中[14C]リナグリプチンの幾何平均濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Figure 11.5.2.2.1: 5 より作成

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図 2.2: 5 [14C]リナグリプチン 10 mg 単回経口投与時のリナグリプチン,CD 1790,お

よび[14C]リナグリプチンの尿中幾何平均累積排泄率

引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Figure 11.5.2.2.2: 1 より作成

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図 2.2: 6 [14C]リナグリプチン 10 mg 単回経口投与時の[14C]リナグリプチンの尿およ

び糞中幾何平均累積排泄率ならびに幾何平均総排泄率

引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Figure 11.5.2.2.2: 3 より作成

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表 2.2: 4 [14C]リナグリプチン 10 mg 単回経口投与時の血漿中リナグリプチン,血漿中

CD 1790,全血および血漿中[14C]リナグリプチンの薬物動態パラメータ

血漿中リナグリプチ

(N=6)

血漿中 CD 1790

(N=6)

血漿中[14C]リナグリ

プチン (N=6)

全血中[14C]リナグ

リプチン (N=5)

パラメータ gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUC0-24 [nM·h]a) 191 32.6 34.2 63.6 342 38.8 216 26.3

AUC0-120 [nM·h]a) 510 19.2 --- --- 822 27.1 --- ---

AUC0-∞ [nM·h]a) 933 17.4 42.8 71.8 1440 24.4 291 44.6

AUC0-∞,norm

[(nM·h)/mg]b)

94.2 18.6 --- --- 145 26.0 29.4 43.1

%AUCtz-∞[%] 25.5 20.1 4.14 90.1 28.8 28.5 45.2 42.3

Cmax [nM]c) 16.3 73.8 4.23 83.5 31.0 64.4 23.6 48.9

Cmax,norm [(nM)/mg]d) 1.65 74.4 --- --- 3.13 65.1 2.38 50.4

tmaxe) [h] 2.75 0.500-4.00 2.26 1.00-4.00 1.75 1.00-4.00 1.50 0.500-4.00

t1/2 [h] 155 16.2 10.8 47.3 137 27.3 9.77 98.4

MRTpo [h] 178 17.4 13.9 37.5 158 31.4 15.1 83.9

CL/F [mL/min] 374 18.6 --- --- 243 26.0 1200 43.1

Vz/F [L] 5010 23.6 --- --- 2880 28.6 1010 55.9

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)[14C]リナグリプチンの単位は nMeq·h

b)[14C]リナグリプチンの単位は(nMeq·h)/mg c)[14C]リナグリプチンの単位は nMeq d)[14C]リナグリプチンの単位は(nMeq)/mg e)中央値および最小値~最大値 引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 11.5.2.2.3: 1 より作成

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表 2.2: 5 [14C]リナグリプチン 10 mg 単回経口投与時の尿中リナグリプチン,尿中

CD 1790,尿および糞中[14C]リナグリプチンの薬物動態パラメータ

尿中リナグリプチン

(N=6)

尿中 CD 1790

(N=6)

尿中[14C]リナグリプ

チン (N=6)

糞中 [14C]リナグリプ

チン (N=6)

パラメータ gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

CLR,0-120 [mL/min] 16.6 127 --- --- 21.7 71.4 --- ---

Ae0-tz [nmol]a) 507 169 8.63 47.2 1140 99.3 17000 84.7

fe0-tz [%] 2.42 169 0.0412 47.8 5.44 100 84.7 5.80

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)[14C]リナグリプチンの単位は nmoleq 引用元:CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 11.5.2.2.3: 2 より作成

4) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,12 例(経口投与群,静脈内投与群各 6 例)の被験者のうち,6 例(50%,各群 3

例)に 14 件の有害事象が認められた(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 12.2.1: 1)。14 件の有

害事象はいずれも軽度であった。

高頻度に発現した有害事象は頭痛(25%,経口投与群 2 例,静脈内投与群 1 例)および浮動性

めまい(16.7%,各群 1 例)であった(CTD 5.3.3.1-2,試験 1218.7,Table 12.2.2: 1)。

治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は,3 例(25%,経口投与群 2

例,静脈内投与群 1 例)で認められた 5 件(頭痛 2 件,浮動性めまい 2 件,背部痛 1 件)であ

った。

重篤な有害事象および死亡はみられなかった。

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

臨床検査,バイタルサイン,身体所見,および 12 誘導心電図に臨床的に問題となる所見はみら

れなかった。

(3) 忍容性

リナグリプチンの忍容性は,すべての被験者で良好と判定された。

静脈内投与群での注射部位の局所忍容性の評価において,腫脹,硬化,熱感,発赤,または疼

痛は認められなかった。

5) まとめ

投与した[14C]リナグリプチンの総回収率は約 90%であり,ほぼ完全に回収されたと考えられた。

[14C]放射能の大半は経口投与後では 96 時間以内,静脈内投与後では 120 時間以内に排泄され

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た。代謝物パターンの検討から,血漿中総放射能は主に親化合物であるリナグリプチン,およ

び薬理活性をもたない主代謝物である CD 1790 に由来すると考えられた。さらに,血漿中の総

放射能に CD 1790 以外の微量代謝物およびサンプルから抽出できない低濃度の放射性化合物が

含まれていることが示唆された。リナグリプチンの経口投与後の吸収は速やかで,CD 1790 へ

の代謝は少なかった。吸収率は投与量の約 36.7%であった。[14C]放射能の血球への分布はごく

わずかであった。

経口投与後,リナグリプチンは主に糞中に排泄され,[14C]リナグリプチンの尿中排泄率は 5.4%

とわずかであった。

健康男性被験者に対する[14C]リナグリプチンの単回経口または単回静脈内投与時の安全性は

良好であった。

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2.3 試験 1218.11

(CTD 5.3.3.1-3)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.3: 1 に示した。

表 2.3: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男性被験者における BI 1356 BS(リナグリプチン)を群漸増法により単回投与(1,

2.5,5,10 mg)または反復投与(2.5,5,10 mg,1 日 1 回,12 日間)したときの安全性,

忍容性,薬物動態および薬力学の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,単回投与および反復投与試験(群漸増法)

対象 20~35 歳までの健康男性被験者,BMI は 17.6~29.9 kg/m2

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 1 mg,2.5 mg,10 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 1 mg,2.5 mg,10 mg 錠に対応するプラセボ錠

目標症例数 56 例(単回投与 32 例,反復投与 24 例),各用量群 8 例(リナグリプチン 6 例,プラセボ

2 例)

投与方法

投与期間

・単回投与(用量 1,2.5,5,10 mg):

1 mg から投与を開始し,投与後 6 日間の安全性を確認した後,一段階上の用量群の投

与を開始した。10 mg までの全用量で安全性を確認した後,治験審査委員会の承認を得

て反復投与を開始した。

・反復投与(用量 2.5,5,10 mg,1 日 1 回,投与期間 12 日間):

2.5 mg から投与を開始し,12 日間反復投与後 6 日間の安全性を確認した後,一段階上

の用量群の投与を開始した。

なお,治験薬の投与は 10 時間以上の絶食の後に行った。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(単回投与:Day 1~9,反復投与:Day 1~20)およ

び治験終了期からなる。投与期における薬物濃度および薬力学的パラメータ測定用に以下

の時間に採血した。薬物濃度測定用蓄尿は単回投与時では Day 1 の治験薬投与後から 4 時

間,治験薬投与後 4~8,8~12,12~24 時間,Day 2~9 に 24 時間ごとに行い,反復投与

時では Day 1 および Day 12 の治験薬投与後から 4 時間,治験薬後投与 4~8,8~12,12~

24 時間,Day 2~11 および Day 13~20 に 24 時間ごとに行った。

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表 2.3: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

投与方法 測定項目 Day 採血時間

単回投与 薬物濃度,

DPP-4 活性

Day 1 投与前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

Day 2~9 投与後 24,48,72,96,144,192 時間

GLP-1 Day 1 投与前,投与後 4,4.75,5.25 時間

反復投与 薬物濃度,

DPP-4 活性

Day 1,12 投与前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

Day 2~11 投与前

Day 13~20 Day 12 の投与後 24,48,72,96,144,192 時

GLP-1 Day 1,12 投与前,投与後 4,4.75,5.25 時間

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を行

った。

評価項目

評価基準

有効性・薬物動態:

薬物動態パラメータ(リナグリプチンおよび代謝物 CD 1790 XX について算出):

単回投与:Cmax,tmax,AUCt1-t2,AUC0-∞,AUC0-tz,%AUCtz-∞,λz,t1/2,MRTpo,CL/F,

Vz/F,Aet1-t2,fet1-t2,CLR,t1-t2

反復投与:Cmax,1,tmax,1,AUCτ, 1,Aet1-t2,1,fet1-t2,1,CLR,0-24,1,Cmax,ss,tmax,ss,AUCτ,ss,

λz,ss,t1/2,ss,Cmin,ss,Cavg,MRTpo,ss,CL/F,ss,Vz/F,ss,RA,AUC,RA,Cmax,Aet1-t2,ss,

fet1-t2,ss,CLR,ss,Cpre,N,Cpre,ss

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率

血漿中 GLP-1 濃度

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査(尿検査を含む),

および有害事象

解析方法 安全性,薬物動態,薬力学の各評価項目について記述統計量を算出した。回帰モデルを用い

てリナグリプチンおよび CD 1790 XX の薬物動態パラメータの用量比例性を探索し,傾きの

点推定値および 95%信頼区間を算出した。

定常状態への到達は,リナグリプチンのトラフ濃度について時点を反復効果とした線形混合

モデルを用いて解析し,さらに各時点の差の対比較 t 統計量により行った。

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表 2.3: 1 試験方法の概略(3/3)

治験責任医師

治験実施施設 日本

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

計 154 例(単回投与 88 例,反復投与 66 例)が本試験に登録され,そのうち選択基準に合致し,

除外基準に抵触しなかった計 56 例(単回投与 32 例,反復投与 24 例)がランダム化割付けされ

た。各用量(単回投与:1,2.5,5,10 mg,反復投与:2.5,5,10 mg)に 8 例(リナグリプチ

ン 6 例,プラセボ 2 例)ずつ割付けられ,治験薬が投与された。プラセボの反復投与に割付け

られた 1 例は Day 12 までの治験薬投与を計画どおり終了した後,同意撤回のため中止した。計

55 例(単回投与 32 例,反復投与 23 例)が試験を完了した。治験実施計画書からの重大な逸脱

はなかった。

本試験にランダム化割付けされた 56 例全例が日本人であった。また,単回投与群 32 例の年齢

は平均 24.5 歳,身長は平均 171.5 cm,体重は平均 61.2 kg,BMI は平均 20.8 kg/m2 であり,反復

投与群 24 例の年齢は平均 25.4 歳,身長は平均 170.9 cm,体重は平均 61.6 kg,BMI は平均 21.1

kg/m2 であった。

3) 薬物動態

(1) 血漿中濃度推移

リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度推移を図 2.3: 1 に示した。

リナグリプチン 1~10 mg を単回投与したとき,リナグリプチンは投与 1.5~6 時間後に最高血

漿中濃度に到達し,その後緩やかに減少した。

リナグリプチン 1~10 mg を単回投与したとき,代謝物 CD 1790 XX は投与 1.5~4 時間後に最

高血漿中濃度に到達し,その後速やかに減少した。

リナグリプチン反復投与の初回投与時(Day 1)では,リナグリプチンは投与 3~6 時間後に最

高血漿中濃度に到達した。定常状態(Day 12)では,投与 1.5~6 時間後に最高血漿中濃度に到

達し,その後緩やかに減少した。

リナグリプチン反復投与の初回投与時(Day 1)では,CD 1790 XX は投与 2~4 時間後に最高血

漿中濃度に到達した。定常状態(Day 12)では,投与 2~4 時間後に最高血漿中濃度に到達し,

その後速やかに減少した。

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0 24 48 72 96 120 144 168 192

Lina

glip

tin p

lasm

a co

nc. [

nM]

0

10

20

30

40

Time [h]0 24 48 72 96 120 144 168 192

Lina

glip

tin p

lasm

a co

nc. [

nM]

0.1

1

10

100

1mg Mean (N=6) 2.5mg Mean (N=6)5mg Mean (N=6) 10mg Mean (N=6)

0 4 8 12 16 20 24

Lina

glip

tin p

lasm

a co

nc. [

nM]

0

10

20

30

40

上図:普通軸,下図:片対数軸

図 2.3: 1 リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Tables 15.5.1.1: 10~13 より作成

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(2) リナグリプチンの薬物動態パラメータ

リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータを表 2.3: 2 に示した。

リナグリプチンの最高血漿中濃度(Cmax)は 1 mg 群で 4.27 nM,2.5 mg 群で 5.92 nM,5 mg 群

で 9.00 nM,10 mg 群で 23.1 nM であった。

リナグリプチンの消失半減期(t1/2)の幾何平均値は 96.9~113 時間で,幾何変動係数は小さく,

8.26~18.4%であった。見かけのクリアランス(CL/F)および見かけの分布容積(Vz/F)の幾何

平均値は用量の増加に伴い増加した。腎クリアランス(CLR,0-24)も用量の増加に伴い増加した。

定量可能な最終時点までのリナグリプチンの尿中排泄率(fe0-tz)は用量の増加に伴い増加した。

表 2.3: 2 リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

単回投与時,

リナグリプチン

1 mg 2.5 mg 5 mg 10 mg

N=6 N=6 N=6 N=6

gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%])

AUC0-24 [nM·h] 62.0 (28.0) 108 (20.7) 159 (34.0) 294 (26.3)

AUC0-tz [nM·h] 196 (28.8) 404 (15.7) 582 (32.8) 847 (21.5)

AUC0-tz,norm [(nM·h)/mg] 196 (28.8) 162 (15.7) 116 (32.8) 84.7 (21.5)

AUC0-∞ [nM·h] 253 (26.4) 517 (17.7) 765 (34.2) 1120 (23.5)

AUC0-∞,norm [(nM·h)/mg] 253 (26.4) 207 (17.7) 153 (34.2) 112 (23.5)

Cmax [nM] 4.27 (32.1) 5.92 (18.3) 9.00 (40.6) 23.1 (32.1)

Cmax,norm [(nM)/mg] 4.27 (32.1) 2.37 (18.3) 1.80 (40.6) 2.31 (32.1)

tmaxa) [h] 1.77 (1.50-4.00) 2.00 (1.00-8.00) 6.00 (2.00-8.00) 1.50 (1.00-6.00)

t1/2 [h] 104 (14.0) 96.9 (13.3) 105 (8.26) 113 (18.4)

MRTpo [h] 125 (13.2) 124 (12.2) 132 (8.11) 133 (16.6)

CL/F [mL/min] 140 (26.4) 171 (17.7) 231 (34.2) 314 (23.5)

Vz/F [L] 1260 (36.0) 1430 (14.4) 2090 (34.3) 3060 (22.1)

fe0-tz [%] 0.0510b)(241) 0.273 (514) 1.15 c)(459) 7.06 (37.0)

CLR,0-24 [mL/min] NC 1.55c) (30.0) 3.86 (288) 60.6 (24.5)

NC: Not calculated,gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

b)N=4

c)N=5

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,16.3.2.3 Table3. 1~4 より作成

リナグリプチン反復投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータを表 2.3: 3 に示した。

リナグリプチンの定常状態(Day 12)での Cmax,ss は,2 .5 mg 群で 7.79 nM,5 mg 群で 12.0 nM,

10 mg 群で 21.8 nM であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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リナグリプチンの定常状態での t1/2,ssの幾何平均値は 142~175 時間で,幾何変動係数は小さく,

7.62~16.5%であった。定常状態での見かけのクリアランス(CL/F,ss)および見かけの分布容積

(Vz/F,ss)の幾何平均値は用量の増加に伴い増加した。Day 1 の腎クリアランス(CLR,0-24,1)お

よび定常状態の腎クリアランス(CLR,ss)は用量の増加に伴い増加した。

AUC から算出した累積係数(RA,AUC)および Cmax から算出した累積係数(RA,Cmax)は用量の増

加に伴い減少し,リナグリプチンの 1 日 1 回反復投与後のリナグリプチンの累積係数は,すべ

ての群で 1.5 未満であった。

リナグリプチンの尿中排泄率(fe0-24,1 および fe0-24,ss)は,Day 1 より Day 12 の方が高く,また

用量の増加とともに増加したが,10 mg 群の Day 12 でも 6.88%であった。

表 2.3: 3 リナグリプチン反復投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

反復投与時,リナグリプチン

2.5 mg 5 mg 10 mg

N=6 N=6 N=6

gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%])

Day 1

AUCτ,1 [nM·h] 101 (15.6) 151 (26.6) 249 (26.9)

AUCτ,1,norm [(nM·h)/mg] 40.6 (15.6) 30.1 (26.6) 24.9 (26.9)

Cmax,1 [nM] 5.54 (13.9) 8.71 (35.3) 18.9 (64.2)

Cmax,1,norm [(nM)/mg] 2.22 (13.9) 1.74 (35.3) 1.89 (64.2)

tmax,1a) [h] 3.75 (1.00-6.00) 5.00 (0.500-6.00) 4.50 (1.00-8.00)

fe0-24,1 [%] 0.148 (51.6) 0.606 (274) 3.47 (93.5)

CLR,0-24,1 [mL/min] 1.28 (48.0) 7.09 (186) 49.1 (59.8)

Day 12

AUCτ,ss [nM·h] 133 (13.9) 193 (16.2) 285 (10.6)

AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] 53.1 (13.9) 38.6 (16.2) 28.5 (10.6)

Cmax,ss [nM] 7.79 (24.3) 12.0 (29.1) 21.8 (17.7)

Cmax,ss,norm [(nM)/mg] 3.11 (24.3) 2.40 (29.1) 2.18 (17.7)

tmax,ssa) [h] 3.75 (0.500-6.00) 2.25 (0.500-6.00) 4.00 (1.50-6.00)

t1/2,ss [h] 142 (7.62) 143 (16.5) 175 (12.5)

MRTpo,ss [h] 130 (4.94) 117 (24.2) 95.5 (11.6)

CL/F,ss [mL/min] 664 (13.9) 913 (16.2) 1240 (10.6)

Vz/F,ss [L] 8180 (16.3) 11300 (21.1) 18700 (16.4)

fe0-24,ss [%] 4.20 (46.7) 4.88 (60.2) 6.88 (18.8)

CLR,ss [mL/min] 27.9 (40.3) 44.6 (42.6) 85.0 (16.9)

RA,AUC 1.31 (16.6) 1.28 (14.1) 1.14 (20.6)

RA,Cmax 1.41 (31.1) 1.37 (25.7) 1.16 (48.4)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,16.3.2.3 Table3. 5~7 より作成

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(3) CD 1790 XX の薬物動態パラメータ

リナグリプチン単回投与時の CD 1790 XX の薬物動態パラメータを表 2.3: 4 に示した。

各群の CD 1790 XX の Cmax は 1 mg 群で 0.395 nM,2 .5 mg 群で 0.873 nM,5 mg 群で 1.99 nM,

10 mg 群で 11.6 nM であった。t1/2 の幾何平均値は 10 mg 群で 12.3 時間であり,リナグリプチン

より短かった。

CD 1790 XX の fe0-tz は非常に小さく,すべての群で 0.06%未満であった。

表 2.3: 4 リナグリプチン単回投与時の CD 1790 XX の薬物動態パラメータ

単回投与時,CD 1790 XX

1 mg 2.5 mg 5 mg 10 mg

N=6 N=6 N=6 N=6

gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%])

AUC0-24 [nM·h] NC 7.56 (40.9) 17.2 (82.3) 99.0 (25.2)

AUC0-tz [nM·h] 1.66 (87.8) 7.84 (44.4) 18.7 (85.4) 116 (21.7)

AUC0-tz,norm [(nM·h)/mg] 1.66 (87.8) 3.14 (44.4) 3.74 (85.4) 11.6 (21.7)

AUC0-∞ [nM·h] NC NC NC 118 (21.5)

AUC0-∞,norm [(nM·h)/mg] NC NC NC 11.8 (21.5)

Cmax [nM] 0.395 (79.2) 0.873 (43.0) 1.99 (83.1) 11.6 (42.8)

Cmax,norm [(nM)/mg] 0.395 (79.2) 0.349 (43.0) 0.398 (83.1) 1.16 (42.8)

tmaxa) [h] 1.50 (1.00-3.00) 3.00 (1.00-6.00) 3.00 (2.00-6.00) 2.00 (2.00-4.00)

t1/2 [h] NC NC NC 12.3 (26.4)

MRTpo [h] NC NC NC 13.0 (23.7)

fe0-tz [%] 0.0201b)(102) 0.0205 (85.1) 0.0303c)(74.2) 0.0514 (53.6)

CLR,0-24 [mL/min] NC NC 2.42c) (72.7) 1.53 (60.0)

NC: Not calculated,gMean:幾何平均値 gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

b)N=4

c)N=5

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,16.3.2.3 Table3. 8~11 より作成

リナグリプチン反復投与時の CD 1790 XX の薬物動態パラメータを表 2.3: 5 に示した。

CD 1790 XX の定常状態(Day 12)での Cmax,ss は,2 .5 mg 群で 1.37 nM,5 mg 群で 3.56 nM,10

mg 群で 7.16 nM であった。

RA,AUC および RA,Cmax は用量の増加に伴い減少し,リナグリプチンの 1 日 1 回反復投与後の CD

1790 XX の累積係数は,すべての群で 2 未満であった。

CD 1790 XX の fe0-24,1 および fe0-24,ss の幾何平均値は非常に小さく,すべての群で 0.08%未満で

あった。

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表 2.3: 5 リナグリプチン反復投与時の CD 1790 XX の薬物動態パラメータ

反復投与時,CD 1790 XX

2.5 mg 5 mg 10 mg

N=6 N=6 N=6

gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%])

Day 1

AUCτ,1 [nM·h] NC 19.0 (83.4) 53.2 (71.8)

AUCτ,1,norm [(nM·h)/mg] NC 3.81 (83.4) 5.32 (71.8)

Cmax,1 [nM] 0.706 (42.1) 2.34 (88.2) 5.88 (108)

Cmax,1,norm [(nM)/mg] 0.283 (42.1) 0.468 (88.2) 0.588 (108)

tmax,1a) [h] 2.00 (1.50-4.00) 2.50 (1.00-4.00) 2.50 (1.50-4.00)

fe0-24,1 [%] NC 0.0364 (45.8)b) 0.0454 (69.0)

CLR,0-24,1 [mL/min] NC 2.65 (28.3)b) 3.01 (6.83)

Day 12

AUCτ,ss [nM·h] 9.97 (29.2) 27.4 (53.8) 62.7 (32.8)

AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] 3.99 (29.2) 5.48 (53.8) 6.27 (32.8)

Cmax,ss [nM] 1.37 (50.2) 3.56 (66.4) 7.16 (45.1)

Cmax,ss,norm [(nM)/mg] 0.550 (50.2) 0.711 (66.4) 0.716 (45.1)

tmax,ssa) [h] 1.75 (1.00-4.00) 2.50 (1.00-3.00) 3.50 (1.00-6.00)

t1/2,ss [h] NC 11.7 (21.6) 11.2 (20.0)

MRTpo,ss [h] NC 12.4 (16.6) 13.1 (17.7)

fe0-24,ss [%] 0.0485 (47.0)b) 0.0597 (66.9) 0.0727 (42.3)

CLR,ss [mL/min] 4.01 (19.9)b) 3.84 (26.5) 4.09 (18.7)

RA,AUC NC 1.44 (34.3) 1.18 (51.1)

RA,Cmax 1.95 (88.1) 1.52 (62.1) 1.22 (71.0)

NC: Not calculated,gMean:幾何平均値 gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

b)N=5

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,16.3.2.3 Table3. 12~14 より作成

(4) 定常状態への到達

線形混合モデルを用いて推定したリナグリプチンおよび CD 1790 XX のトラフ濃度が定常状態

に達するまでの日数を表 2.3: 6 に示した。

リナグリプチンのトラフ濃度が定常状態(Day 13)の 95%に達するまでの日数は 2~3 日であり,

用量の増加に伴い短縮した。

各時点の差を t 統計量を用いて比較したところ,2.5 および 5 mg 群では,リナグリプチンのト

ラフ濃度は Day 3 で定常状態に達した。10 mg 群では,Day 2 に Day 13 と同様のトラフ濃度に

達したものの,Day 5~Day 8 のトラフ濃度は Day 13 と比較して高かった。

CD 1790 XX のトラフ濃度が定常状態(Day 13)の 95%に達するまでの日数は 2~4 日であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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各時点の差を t 検定により比較したところ,2.5 mg 群では CD 1790 XX のトラフ濃度は Day 4

に定常状態に達した。5 および 10 mg 群では,Day 2 に Day 13 と同様のトラフ濃度に達した。

表 2.3: 6 線形混合モデルを用いて推定したリナグリプチンおよび CD 1790 XX のトラ

フ濃度が定常状態に達するまでの日数

定常状態の 80%の濃度に

達するまでの日数

定常状態の 90%の濃度に

達するまでの日数

定常状態の 95%の濃度に

達するまでの日数

リナグリプチン

2.5 mg 1.42 2.03 2.64

5 mg 0.98 1.41 1.83

10 mg 0.85 1.21 1.58

CD 1790 XX

2.5 mg 1.87 2.67 3.48

5 mg 0.72 1.04 1.35

10 mg 1.23 1.76 2.29

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Table 11.5.2.3: 1,11.5.2.3: 2 より作成

(5) 用量比例性の検討

リナグリプチンおよび CD 1790 XX の薬物動態パラメータの用量比例性の解析結果を表 2.3: 7

に示した。

リナグリプチンを単回投与したとき,リナグリプチンの AUC0-tz,AUC0-∞および Cmax の増加は,

用量比以下であった。リナグリプチンを反復投与したとき,リナグリプチンの Cmax,1 は用量比

例的に増加したが,AUCτ,1,AUCτ,ss および Cmax,ss の増加は用量比以下であった。

リナグリプチンを単回投与したとき,CD 1790 XX の Cmax は,用量比をわずかに上回って増加

した。リナグリプチンを反復投与したとき,CD 1790 XX の AUCτ,ss,Cmax,1 および Cmax,ss は,い

ずれも用量比例的に増加した。

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表 2.3: 7 リナグリプチンおよび CD 1790 XX の薬物動態パラメータの用量比例性の解

析結果

傾き(β) 傾きの 95%信頼区間

下限値 上限値

リナグリプ

チン

単回投与時(N=24)

AUC0-tz 0.6315 0.5090 0.7540

AUC0-∞ 0.6444 0.5202 0.7686

Cmax 0.7065 0.5282 0.8847

反復投与時(N=18)

AUCτ,1 0.6490 0.4487 0.8493

AUCτ,ss 0.5515 0.4345 0.6684

Cmax,1 0.8840 0.5345 1.2334

Cmax,ss 0.7440 0.5374 0.9506

CD 1790 XX

単回投与時(N=24) Cmax 1.4213 1.0972 1.7453

反復投与時(N=18)

AUCτ,ss 1.3267 0.9975 1.6560

Cmax,1 1.5283 0.9185 2.1382

Cmax,ss 1.1903 0.7522 1.6283

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Table 11.5.2.4: 1,11.5.2.4: 2 より作成

4) 薬力学

(1) DPP-4 阻害

リナグリプチン単回投与時の DPP-4 阻害率の経時変化を図 2.3: 2 に示した。

リナグリプチン 1~10 mg を単回投与したとき,DPP-4 阻害率は用量依存的に増加した。DPP-4

阻害率の最大値は,1 mg 群(60.7%)を除き,すべての群で 80%超であった。投与 24 時間後の

DPP-4 阻害率は,1 mg 群で 27.7%,2.5 mg 群で 61.4%,5 mg 群で 75.9%,10 mg 群で 88.5%で

あり,阻害作用は持続していた。5 および 10 mg 群では,投与 192 時間後でも DPP-4 阻害率は,

投与前の値を上回っていた。プラセボ投与後には DPP-4 活性は変化せず,DPP-4 阻害率の変動

(gCV)はすべての時点で 9%未満であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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0 4 8 12 16 20 24

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

0

20

40

60

80

100

1mg (N=6) 2.5mg (N=6) 5mg (N=6)

10mg (N=6) placebo (N=8)

Time [h]

0 24 48 72 96 120 144 168 192

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

0

20

40

60

80

100

上図:投与後 0~24 時間,下図:投与後 0~192 時間

図 2.3: 2 リナグリプチン単回投与時の DPP-4 阻害率の経時変化

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Table 15.6.1: 10~14 より作成

リナグリプチン反復投与時の DPP-4 阻害率の経時変化を図 2.3: 3 に示した。

リナグリプチン 2.5~10 mg を反復投与したとき,Day 1 の血漿中の DPP-4 阻害率は用量依存的

に増加した。視覚的に判断した結果,すべての群で Day 2(10 mg 群)~Day 4(2.5 mg 群)に

定常状態に達したと考えられた。最終投与 24 時間後の DPP-4 阻害率は,5 および 10 mg 群の各

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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6 例すべてで 80%超であったが,2.5 mg 群ではこれらの群と比較して小さく,6 例中 4 例で 80%

未満であった。最高用量である 10 mg 群では,初回投与 24 時間後の DPP-4 阻害率は 86.7%で

あった。定常状態時の DPP-4 阻害率の最大値は,用量の増加に伴いわずかに増加した。最終投

与 24 時間後の DPP-4 阻害率の中央値は 2.5 mg 群で 78.0%,5 mg 群で 86.0%,10 mg 群で 90.0%

であり,用量の増加に伴いわずかに増加した。12 日間の投与期間を通して,プラセボ投与後に

は DPP-4 阻害率は変化しなかった。

0 48 96 144 192 240 288 336 384 432

DPP

-4 in

hibi

tion

[%]

0

20

40

60

80

100

2.5mg (N=6) 5mg (N=6) 10mg (N=6) Placebo (N=6)

Day 1

0 4 8 12 16 20 24

DPP

-4 in

hibi

tion

[%]

0

20

40

60

80

100

Day 12

264 268 272 276 280 284 288

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

0

20

40

60

80

100

Time [h]

上図:Day 1,中図:Day 12,下図:Day1 – Day20

図 2.3: 3 リナグリプチン反復投与時の DPP-4 阻害率の経時変化

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Table 15.6.1: 15~18 より作成

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(2) PK/PD 相関

リナグリプチン単回投与時および反復投与時(Day 1 および Day 12)の DPP-4 阻害率とリナグ

リプチン血漿中濃度の相関を図 2.3: 4 および図 2.3: 5 に示した。

リナグリプチンの血漿中濃度は DPP-4 阻害率と良く相関していた。DPP-4 活性を 50%阻害する

リナグリプチン濃度は,単回投与時で 3.03 ± 0.0808 nM,反復投与時の Day 1 で 2.65 ± 0.0576 nM,

反復投与時の Day 12 で 2.26 ± 0.0391 nM であった。

視覚的に判断した結果,単回投与時,反復投与時の Day 1 および Day 12 のいずれも,DPP-4 活

性は 2.3~3.0 nM の血漿中濃度で約 50%,4~6 nM の血漿中濃度で約 80%阻害されると考えら

れた。

Single dose

Linagliptin plasma conc. [nM]

0.1 1 10 100

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

0

20

40

60

80

100

図 2.3: 4 リナグリプチン単回投与時の DPP-4 阻害率とリナグリプチン血漿中濃度の

相関

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Table 15.5.1.1: 10~13 および Table 15.6.1: 10~13 より作成

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102

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Multiple dose, Day 1

Linagliptin plasma conc. [nM]

0.1 1 10 100

DPP

-4 in

hibi

tion

[%]

0

20

40

60

80

100

Multiple dose, Day 12

Linagliptin plasma conc. [nM]

0.1 1 10 100

DPP

-4 in

hibi

tion

[%]

0

20

40

60

80

100

上図:Day 1,下図:Day12

図 2.3: 5 リナグリプチン反復投与時の DPP-4 阻害率とリナグリプチン血漿中濃度の

相関

引用元:CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Table 15.5.1.1: 15~17 および Table 15.6.1: 15~17 より作成

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103

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(3) GLP-1

血漿中 GLP-1 濃度のベースライン(各測定日の投与前の値)に対する変化率は,リナグリプチ

ン単回投与時の Day 1 では 1,2.5,5,10 mg 群で 198~416%であり,反復投与時の Day 12 で

は,2.5,5,10 mg 群で 182~250%であった。変化率は,単回投与時は 5 mg 群,反復投与時は

Day 1 および Day 12 ともに 2.5 mg 群で最も大きかった(CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,

Appendix16.3.4,Tables 2.1.3,2.2.3)。

リナグリプチンを 12 日間反復投与したとき,Day 1 から Day 12 までの血漿中 GLP-1 濃度の変

化率は,2.5,5,10 mg 群で 150~245%であった(CTD 5.3.3.1-3,試験 1218.11,Appendix16.3.4,

Table 2.2.3)。

5) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,56 例の被験者のうち,3 例に 3 件の軽度の有害事象が認められた。

32 例の被験者を対象とした単回投与試験では,リナグリプチン 5 mg 投与の 1 例にヒスタミン

濃度増加,10 mg 投与の 1 例に血管迷走神経性失神が発現した。ヒスタミン濃度増加は偶発性

の事象と判断され,血管迷走神経性失神は治験薬服用後 1 時間までの頻回の採血に起因するも

のと判断された。いずれの有害事象も,治験担当医師により治験薬と因果関係なしと判定され

た。

24 例を対象とした反復投与試験では,リナグリプチン 10 mg 投与の 1 例に咽頭炎が発現した。

偶発性の事象と判断され,治験担当医師により治験薬と因果関係なしと判定された。

低血糖症を発現した被験者はいなかった。死亡および重篤な有害事象は認められなかった。

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

有害事象と判定されたヒスタミン濃度増加を除き,臨床検査,バイタルサインおよび 12 誘導心

電図に,臨床的に問題となる異常は認められなかった。

6) まとめ

日本人健康男性被験者におけるリナグリプチンの薬物動態的な特徴(非線形,終末相における

長い消失半減期[薬物動態的な特徴を表すものではない],尿中排泄率の投与量の増加に伴う増

加)は,これまでに得られている白人を対象とした試験の結果と同様であった。定常状態では,

リナグリプチンと薬理活性をもたない代謝物 CD 1790 XX の曝露量の合計に対する,CD 1790

XX の曝露量の占める割合は小さかった(7~18%)。リナグリプチンは DPP-4 活性を阻害し,

GLP-1 濃度を上昇させた。リナグリプチンの血漿中濃度は DPP-4 阻害率と良く相関していた。

本試験では合計 3 件の有害事象が認められたが,いずれも治験担当医師により,治験薬と因果

関係なしと判定された。重篤な有害事象は認められず,低血糖症を発現した被験者はいなかっ

た。したがって,56 例の日本人健康男性被験者にリナグリプチンを単回投与(1,2.5,5,10 mg)

または反復投与(2.5,5,10 mg)したときの忍容性および安全性は良好であった。

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2.4 試験 1218.58

CTD

5.3.3.1-4)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.4: 1 に示した。

表 2.4: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男女被験者における BI 1356(リナグリプチン)5mg 錠の単回および反復投与後のリナ

グリプチンの薬物動態の検討

試験デザイン 第 I 相,非盲検,単回および反復投与試験

対象 18~45 歳までの中国人健康男性および女性被験者,BMI は 19~24 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg 錠

目標症例数 12 例(男女各 6 例)

投与方法

投与期間

・単回投与期:Day 1 にリナグリプチン 5 mg 錠を単回経口投与(投与期間 1 日間)

・反復投与期:Day 8~13 にリナグリプチン 5 mg 錠を 1 日 1 回反復経口投与(投与期間 6

日間)

各投与は一晩の絶食後に 240 mL の水とともに実施した。

なお,単回投与(Day1)から反復投与期開始(Day 8)まで 6 日間のウォッシュアウト期を

設定した。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,単回投与期,反復投与期,ウォッシュアウト期および治験

終了期からなる。投与期における薬物濃度測定用に以下の時間に採血および蓄尿を行った。

なお,各投与は一晩の絶食後に 240 mL の水とともに実施した。

投与 採血時間 蓄尿時間

単回投与 Day 1 の投与前,投与後 0.5,1,1.5,

2,3,4,6,8,12,24,48,72,

96,144 時間

Day 1 の投与 25 分前,投与後 0~4,4

~8,8~12,12~24,24~72,72~96,

96~120,120~144,144~168a)時間

反復投与 Day 8の投与前,Day 8の投与後 24b),

48b),72b),96b),120b),120.5,121,

121.5,122,123,124,126,128,

132,144,168,192,216,264 時間

Day 13 の投与後 0~4,4~8,8~12,

12~24 時間

a)Day 8 の投与 25 分前までとした。

b)Day 9~13 の投与前に実施した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

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105

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表 2.4: 1 試験方法の概略(2/2)

評価項目

評価基準

薬物動態:

主要評価項目:リナグリプチンの Cmax,ss,AUCτ,ss

副次評価項目:薬物動態パラメータ

・単回投与後の Cmax,tmax,AUC0-∞,AUC0-24,AUC0-72,AUC0-tz,λz,t1/2,MRTpo,CL/F,

Vz/F,Aet1-t2,fet1-t2,CLR,t1-t2

・反復投与後の Cmax,ss,Cmin,ss,Cavg,ss,tmax,ss,AUCτ,ss,λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,CL/Fss,Vz/Fss,

RA,AUC,RA,Cmax,PTF,Aet1-t2,ss,fet1-t2,ss,CLR,t1-t2,ss,Cpre,ss,Cpre,N

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 安全性の評価項目および薬物動態パラメータについて,記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 中国

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 12 例(男女各 6 例)の健康被験者が本試験に組入れられ,治験薬の投与を受けた。全 12

例が試験を完了した。年齢は平均 24 歳,体重は平均 60 kg,BMI は平均 21.1 kg/m2 であった(CTD

5.3.3.1-4,試験 1218.58,Table 11.2: 1)。本試験では重大な治験実施計画書からの逸脱はなかっ

た。

3) 薬物動態

リナグリプチン 5 mg を単回および反復投与したときのリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

を図 2.4: 1 に示した。また,リナグリプチンの薬物動態パラメータを表 2.4: 2 に示した。

リナグリプチンは速やかに吸収され,単回投与後の最高血漿中濃度到達時間(tmax)は中央値で

1.75 時間,反復投与後の定常状態では 1.5 時間であった。リナグリプチンは,反復投与開始 3

日目のトラフ時に定常状態に到達していた。単回投与後 144 時間の時点で,すべての被験者の

血漿中にリナグリプチンが検出された。終末相における半減期は単回投与後で 82.4 時間,反復

投与の最終投与後で 103 時間と長かった。しかし,これらの値は血漿中濃度-時間曲線下面積

(AUC)および最高血漿中濃度(Cmax)の累積係数がともに 1.35 と低いことから薬物動態的な

特徴を表す半減期ではないと考えられた。AUC の累積係数から算出した半減期の幾何平均値は

約 11.5 時間(幾何変動係数 46.9%)であった。これらの結果は DPP-4 に対するリナグリプチン

の結合が強く,解離が緩徐であるためと考えられた。

リナグリプチンの尿中排泄率は,単回投与時では 2%未満,定常状態では 8%未満と低かった。

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図 2.4: 1 リナグリプチン 5 mg 錠単回および反復投与時のリナグリプチンの平均血漿

中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.1-4,試験 1218.58,Figure 15.6.5.3: 1 より作成

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表 2.4: 2 リナグリプチン 5 mg 錠単回および反復投与時のリナグリプチンの薬物動態

パラメータ

Unit gMean gCV[%]

AUC0-∞ [nM・h] 658 28

AUC0-24 [nM・h] 150 25.3

Cmax [nM] 10.4 46

tmaxa) [h] 1.75 1.50 - 8.00

t1/2 [h] 82.4 16.7

Vz/F [L] 1910 23.5

CL/F [mL/min] 268 28.0

MRTpo [h] 109 16.0

fe0-24 [%] 1.91 138

fe0-168 [%] 5.11 48.4

CLR0-24 [mL/min] 22.3 109

CLR0-144 [mL/min] 18.3 48.5

AUCτ,ss [nM・h] 204 24.5

Cmax,ss [nM] 14.1 49.4

tmax,ss a) [h] 1.50 0.500 - 4.00

C24,ss [nM] 6.05 17.8

t1/2,ss [h] 103 14.5

Vz/Fss [L] 7730 24.6

CL/Fss [mL/min] 866 24.5

MRTpo,ss [h] 86.5 23.7

fe0-24,ss [%] 7.86 39.6

CLR0-24,ss [mL/min] 68.1 23.0

RA,AUC0-24 [.] 1.35 17.8

RA,Cmax [.] 1.35 38.3

Accumulation t1/2 [h] 11.5 46.9

a)中央値および最小値~最大値

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.1-4,試験 1218.58,Table 11.5.2.2: 1 より作成

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4) 安全性

(1) 有害事象

本試験では有害事象は認められなかった。

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図に臨床的に問題となる異常は認めら

れなかった。

(3) 忍容性

リナグリプチン 5 mg を単回経口投与および 1 日 1 回 6 日間反復投与したときの忍容性は,全

被験者で良好であった。

5) まとめ

リナグリプチンの薬物動態的な特徴として,累積係数が低いこと,終末相における長い半減期

は薬物動態的な特徴を表す半減期ではないこと,尿中排泄率の少ないことが示された。これら

の特徴はこれまでに日本人および白人被験者でみられた結果と一致した。本試験における定常

状態での吸収速度および曝露量は,日本人健康被験者で得られた結果と同程度であった。

中国人健康被験者にリナグリプチン 5 mg を 6 日間反復投与した場合の安全性および忍容性は

良好であった。

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2.5 試験 1218.2

(CTD 5.3.3.2-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.5: 1 に示した。

表 2.5: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 2 型糖尿病患者における BI 1356 BS(リナグリプチン)1,2.5,5 および 10 mg を 1 日 1 回

12 日間経口反復投与後の安全性,忍容性,薬物動態および薬力学の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,二重盲検(群内),プラセボ対照,反復漸増投与試験

対象 選択基準

食事療法および運動療法のみによる治療を受けているおよび/または 1 あるいは 2 剤の経

口血糖降下薬(グリタゾン系薬剤以外)による治療を受けている 2 型糖尿病の男性患者で,

下記の基準を満たす者

・スクリーニング時の HbA1c が 8.5%以下の食事療法および運動療法のみによる治療を受

けているか 1 剤の経口血糖降下薬による治療を受けている患者,またはスクリーニング

時の HbA1c が 8.0%以下の 2 剤の経口糖尿病治療薬による治療を受けている患者

・年齢が 21~65 歳で,BMI が 18.5~35 kg/m2 である患者

・白人

・GCP および各地域の要件に従って治験登録前に文書による同意が本人から得られた患者

除外基準

・診察(血圧,脈拍数,心電図を含む)により,基準値から逸脱し,臨床的に問題となる

所見が認められた患者

・腎不全,NYHA II~IV の心不全,160/110 mmHg(ドイツ試験施設では 140/95 mmHg)

を超える高血圧を含む心血管系疾患,脳卒中および一過性脳虚血発作などの臨床的に問

題となる合併症を有する患者

・胃腸障害,肝障害,腎障害,呼吸器系障害,心血管障害,代謝障害,免疫系障害または

内分泌障害(2 型糖尿病,高脂血症および治療中の高血圧を除く)を有する患者

・中枢神経系疾患(てんかんなど),精神障害または臨床的に問題となる神経系障害(多発

ニューロパチーを除く)を有する患者

・慢性感染症または臨床的に問題となる急性感染症(HIV,肝炎など)を有する患者

・臨床的に問題となるアレルギーまたは過敏症の既往を有する患者(治験薬またはその賦

形剤に対するアレルギーを含む)

・併用可能薬以外の半減期の長い(24 時間超)薬剤を,治験薬投与前の 1 カ月以内あるい

はその薬剤の半減期の 10 倍未満の期間中,または治験期間中に服用した患者

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表 2.5: 1 試験方法の概略(2/3)

対象(続き) ・治験実施計画書の作成時点の知見に基づき本治験の結果に影響を与えると考えられた薬

剤を,治験薬投与前 10 日以内または治験期間中に服用した患者

・治験薬投与前 2 カ月以内または治験期間中に他の治験に参加した患者

・タバコ 10 本/日,葉巻 3 本/日またはパイプ 3 回/日を超える喫煙者

・治験期間中の禁煙ができない患者

・60 g/日(ドイツでは 20 g/日)を超えるアルコールを摂取する者

・薬物乱用者

・治験薬投与前 4 週間以内または治験期間中に 100 mL を超える献血を行った患者

・治験薬投与前 1 週間以内または治験期間中に過度の運動を行った患者

・臨床検査で臨床的に問題となる基準値外の値が認められた患者(ドイツでは,「臨床検査

で臨床的に問題となる基準値外の値,または肝酵素などに基準値上限の 3 倍を超える値

が認められた患者」に変更)

・過去 3 カ月以内に併用可能薬(高血圧治療薬,アセチルサリチル酸,スタチン系薬剤)

の用量を変更した患者(ドイツでは,「過去 3 カ月以内に併用可能薬である規定の高血圧

治療薬およびアセチルサリチル酸の用量を変更した患者」に変更)

・心電図で臨床的に問題となる基準外値(120 ms を超える QRS 間隔,450 ms を超える QTcB

間隔または 500 ms を超える QT 間隔を含むがこれに限定されない)が認められた患者

・ウォッシュアウト期に 2 日間連続で 240 mg/dL(13.3 mmol/L)を超える空腹時血糖が認

められた患者

・スクリーニング時に基準値上限を超える血清クレアチニン値が認められた患者

・(ドイツのみ適用)治験薬の初回投与から最終投与 1 カ月後までの間,適切な避妊法を行

う意志のない患者

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 40 mg の瓶入り粉末製剤(0.1%酒石酸水溶液 80 mL に溶解)

対照薬:リナグリプチン 40 mg の瓶入り粉末製剤に対応するプラセボ(キニーネ硫酸塩)

の瓶入り粉末製剤(0.1%酒石酸水溶液 80 mL に溶解)

目標症例数 48 例,各用量 12 例(リナグリプチン 9 例,プラセボ 3 例)

投与方法

投与期間

用量漸増法によりリナグリプチンまたはプラセボ 1,2.5,5,10 mg を 1 日 1 回,12 日間

投与した。用量ごとに新たな患者を登録した。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,ウォッシュアウト期(14 日間),投与期および治験終了期

からなる。投与期における薬物濃度および薬力学的パラメータ(DPP-4 活性)測定用に以

下の時間に採血した。薬物濃度測定用蓄尿は Day 1 の治験薬投与 25 分前,投与後 0~4,4

~8,8~12,12~24 時間,Day 4,7,9,10,11 の投与後 0~24 時間,Day 12 の投与後 0

~4,4~8,8~12,12~24 時間に行った。

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表 2.5: 1 試験方法の概略(3/3)

観察項目

観察時期

(続き)

なお,投与期では朝,昼,夕食として標準食を,就寝前に軽食を提供し,治験薬投与は朝

食前に行った。ただし,初回治験薬投与,スクリーニング観察および治験終了観察は 10

時間の絶食後に実施した。なお,1 日の水分摂取量は 3 L 以下とした。

経口糖負荷試験(OGTT)を Day−1,1 および 13 に実施した。バイオマーカー(GLP-1 お

よびフルクトサミン)の測定を Day−1 および 13 に実施した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,心拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

Day 採血時間

Day 1,12 投与 0.5 時間前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,12 時間

Day 2~10,13 投与 0.5 時間前

Day 11 投与 6,0.5 時間前

Day 14,16,18,20 来院時

評価項目

評価基準

薬物動態パラメータ:

Cmax,tmax,AUCτ,1,AUC0-tz,Ae0-24,fe0-24,CLR,0-24,Cpre,N,Cmax,ss,Cmin,ss,tmax,ss,AUCτ,ss,

Aeτ,ss,feτ,ss,λz,ss,t1/2,ss,CL/Fss,Vz/Fss,CLR,ss,MRTpo,ss,RA,PTF,定常状態への到達,

薬物動態の用量比例性

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率,血漿中グルコース濃度,血漿中バイオマーカー(GLP-1 およびフルクト

サミン)濃度

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,心拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 安全性および薬物動態の各評価項目について記述統計量を算出した。

回帰モデルを用いてリナグリプチンの薬物動態パラメータの用量比例性を探索し,傾きの

点推定値および 95%信頼区間を算出した。

定常状態への到達は,リナグリプチンのトラフ濃度について時点を反復効果とした線形混

合モデルを用いて解析し,さらに各時点の差の対比較を t 統計量により行った。

経口糖負荷試験(OGTT)により得られたグルコースの AUC の変化量について,ANOVA

を用いて各用量の比較を探索的に行った。

治験責任医師 (ドイツ)

治験実施施設 2 施設: (ドイツ), (オランダ)

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

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2) 治験対象

合計 48 例の 2 型糖尿病男性患者が本治験に組入れられ,全員がランダム化割付けされた。各施

設の患者数は 24 例ずつであった。ランダム化された患者のうち,5 mg 群の 1 例は,投与開始

前日の OGTT 実施時に 400 mg/dL を超える血糖上昇が認められたため,治験薬投与前に中止と

なった。残りの 47 例は治験薬の投与を受け,試験を完了した。なお,本試験に参加した患者の

全員が白人で,年齢は平均 56.0 歳,身長は平均 179.0 cm,体重は平均 91.9 kg,BMI は平均 28.6 kg/m2 であった。

3) 薬物動態

リナグリプチン反復投与時の薬物動態パラメータを表 2.5: 2 に示した。 用量漸増法によりリナグリプチン 1~10 mg を反復投与したとき,非線形の薬物動態が認めら

れ,用量の増加に伴う最高血漿中濃度(Cmax)および血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)の

増加は用量比を下回った。 定常状態(Day 12)でのリナグリプチンの血漿中濃度は投与 1~3 時間後に Cmax に到達した。

定常状態に達するまでの時間は 1,2.5,5 mg 群で 4~7 日であった。10 mg 群では,Day 2 と

Day 13 の投与前の血漿中濃度は同程度であり,定常状態に達するまでの時間は用量の増加に伴

い減少した。累積係数(RA, AUC)は 1.2~2.0 であった。 1,2.5,10 mg 投与時のリナグリプチンの腎排泄は見かけのクリアランスの約 3%,5 mg 投与時

は約 6%であった。尿中排泄量は用量の増加に伴い増加した。定常状態における見かけのクリ

アランス(CL/F,ss)の幾何平均値は 1 mg 投与群で 431 mL/min,から 10 mg 投与群で 1850 mL/minと 4 倍以上の増加を示した。定常状態でのリナグリプチンの見かけの分布容積(Vz/F,ss)の幾

何平均値も同様に 1 mg 投与群と 10 mg 投与群でそれぞれ 4510 L から 20800 L に増加した。終

末相における半減期(t1/2,ss)はほとんど影響を受けず,その幾何平均値は 113~131 時間の範囲

であった。 血漿中の非結合型リナグリプチンの増加に伴い,排泄が促進されるため,トラフ時における幾

何平均値の定常状態血漿中濃度は用量が 1 mg から 10 mg へ 10 倍増加しても約 2 倍程度の増加

であった。 終末相における半減期が 100 時間を超えているにもかかわらず,反復投与後の累積係数は 2 以

下であり,用量の増加に伴い減少した。さらに,定常状態への到達時間も用量の増加に伴い短

くなった。薬物動態学的には一般に定常状態への到達に 5 半減期が必要であると考えると,リ

ナグリプチンの薬物動態的な特徴を表す半減期は 10~33 時間の範囲であると推定される。リナ

グリプチンの腎排泄は用量の増加に伴いわずかに増加したが,全用量群で尿中排泄率は幾何平

均値で 7%未満であり,主要な排泄経路でないことが推察される。

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113

Page 118: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 2.5: 2 リナグリプチン反復投与時の薬物動態パラメータ

1 mg 群 2.5 mg 群 5 mg 群 10 mg 群

gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%])

AUC0-24 [nM·h] 40.2 (39.7) 85.3 (22.7) 119 (16.0) 161 (15.7)

AUCτ,ss [nM·h] 81.8 (28.3) 117 (16.3) 158 (10.1) 191 (17.4)

AUC0-24,norm [(nM·h)/mg] 40.2(39.7) 34.1 (22.7) 23.7 (16.0) 16.1 (15.7)

AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] 81.8 (28.3) 46.6 (16.3) 31.6 (10.1) 19.1 (17.4)

Cmax [nM] 3.13 (43.2) 5.25 (24.5) 8.32 (42.4) 9.70 (29.8)

tmaxa) [h] 1.50 (1.00-3.00) 2.00 (1.00-3.00) 1.75 (0.917-6.02) 2.00 (1.50-6.00)

Cmax,ss [nM] 4.52 (29.0) 6.58 (23.0) 11.1 (21.7) 13.6 (29.6)

tmax,ssa) [h] 1.50 (1.00-3.00) 1.50 (1.00-3.00) 1.50 (1.00-3.00) 1.50 (0.500-3.00)

Cmax,norm [(nM)/mg] 3.13 (43.2) 2.10 (24.5) 1.66 (42.4) 0.970 (29.8)

Cmax,ss,norm [(nM)/mg] 4.52 (29.0) 2.63 (23.0) 2.22 (21.7) 1.36 (29.6)

t1/2,ss [h] 121 (21.3) 113 (10.2) 131 (17.4) 130 (11.7)

MRTpo,ss [h] 143 (17.1) 134 (9.10) 131 (10.9) 116 (12.2)

CL/Fss [mL/min] 431 (28.3) 757 (16.3) 1120 (10.1) 1850 (17.4)

Vz/Fss [L] 4510 (32.1) 7400 (13.1) 12700 (17.7) 20800 (22.7)

CLR,0-24 [mL/min] --- 1.42 (46.2) 6.73 (106) 20.1 (98.3)

CLR,ss [mL/min] 14.0 (24.2) 23.1 (39.3) 70.0 (35.0) 59.5 (22.5)

fe0-24 [%] --- 0.139 (51.2) 0.453 (125) 0.919 (115)

feτ,ss [%] 3.34 (38.3) 3.06 (45.1) 6.27 (42.2) 3.22 (34.2)

RA,Cmax 1.44 (25.6) 1.25 (10.6) 1.33 (30.0) 1.40 (47.7)

RA,AUC 2.03 (30.7) 1.37 (8.19) 1.33 (15.0) 1.18 (23.4)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

引用元:CTD 5.3.3.2-1,試験 1218. 2,Tables 15.5.2.1: 1-8 より作成

4) 薬力学

リナグリプチン反復投与時(Day 1 および Day 12)の DPP-4 阻害率を表 2.5: 3 に示した。 用量漸増法により反復投与したリナグリプチンの全用量で,DPP-4 阻害作用が認められた。リ

ナグリプチン 1 日 1 回 12 日間投与後の最大 DPP-4 阻害率の中央値は,1 mg 群で 82.0%,2.5 mg群で 89.0%,5 mg 群で 92.0%,10 mg 群で 94.0%であった。最大 DPP-4 阻害率は用量の増加に

伴い増加したものの,既に 5 mg 群でほぼ最大に達しており,2 倍の用量である 10 mg 群におい

ても増加はみられなかった。視覚的に判断した結果,12 日間の投与期間では 1 および 2.5 mg群の DPP-4 阻害率は定常状態に到達しなかった。また,DPP-4 阻害率の個体間変動は小さかっ

た(幾何変動係数 29%未満)。

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リナグリプチンの血漿中濃度は DPP-4 阻害率と相関しており,視覚的に判断した結果,DPP-4阻害率はリナグリプチンの血漿中濃度が約 3.2 nM で 50%,約 5.3 nM で 80% 程度であると考

えられた(CTD 5.3.3.2-1,試験 1218.2,Figure 11.5.3: 1)。 フルクトサミンの血漿中濃度は 1,2.5,5 mg 群では変化しなかったが,10 mg 群で約 10%低下

した(CTD 5.3.3.2-1,試験 1218.2,Table 11.5.4.1: 1)。Day 13 のグルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)の血漿中濃度のベースライン(各測定日の投与前の値)に対する平均変化量は,2.5,5,10 mg群で 12.4~14.0 pmol/L の範囲であった(CTD 5.3.3.2-1,試験 1218.2,Table 11.5.4.2: 1)。リナグ

リプチン群では,OGTT 後 2 時間までのグルコースの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUEC0-2)

は,Day 1 の時点で大きく減少した。リナグリプチン群とプラセボ群の比の 95%信頼区間の下

限を求めた結果,5 および 10 mg 群の Day 1 および Day 13 の AUEC0-2 と AUEC0-2,norm(ベース

ライン値による補正値)において,統計学的に有意な減少が認められた(CTD 5.3.3.2-1,試験

1218.2,Figure 11.5.4.3: 1 および Table 11.5.4.3:2)。

表 2.5: 3 リナグリプチン反復投与時(Day 1 および Day 12)の DPP-4 阻害率

単回投与時(Day 1) Dose N Emax [%] E24 [%] tmax [h]

Placebo 12 10.0 (3.00-28.0) -3.00 (-8.00-15.0) 4.00 (2.00-6.00)

1 mg 9 59.0 (44.0-84.0) 25.0 (17.0-44.0) 1.52 (1.50-3.00)

2.5 mg 9 85.0 (74.0-88.0) 53.0 (28.0-61.0) 2.00 (1.50-4.00)

5 mg 8 90.5 (79.0-93.0) 74.0 (50.0-81.0) 2.00 (0.917-6.00)

10 mg 9 92.0 (88.0-94.0) 86.0 (75.0-90.0) 3.00 (1.55-6.00)

反復投与時(Day 12)

Dose N Emax,ss [%] Eτ,ss [%] tmax, ss [h]

Placebo 12 16.5 (-2.00-38.0) 6.00 (-24.0-30.0) 3.00 (0.00-23.5)

1 mg 9 82.0 (71.0-87.0) 60.0 (57.0-71.0) 2.00 (1.00-3.00)

2.5 mg 9 89.0 (87.0-93.0) 77.0 (73.0-82.0) 1.50 (0.500-4.00)

5 mg 8 92.0 (91.0-94.0) 85.5 (78.0-88.0) 0.750 (0.500-3.00)

10 mg 9 94.0 (91.0-95.0) 90.0 (85.0-92.0) 1.00 (0.500-3.00)

中央値(最小値~最大値)

引用元:CTD 5.3.3.2-1,試験 1218. 2,Tables 15.6.2: 1-5 より作成

5) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,有害事象は 33 例(70.2%)に認められ,その内訳はスクリーニング期に 5 件(5/47 例,10.6%),プラセボ群に 18 件(9/12 例,75.0%),リナグリプチン群に 31 件(19/35例,54.3%)であった。重篤な有害事象,他の重要な有害事象および有害事象による中止は認

められなかった。

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治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は,プラセボ群に 7 例(58.3%),

リナグリプチン群に 13 例(37.1%)認められた。有害事象と判定された臨床的に問題となる臨

床検査値異常は認められなかった。高頻度に発現した有害事象は,頭痛(10 例),頻尿(7 例),

浮動性めまい(4 例),および便秘,下痢,筋肉痛(各 3 例)であった(表 2.5: 4)。有害事象の

発現率とリナグリプチンの用量に関連性は認められなかった。

表 2.5: 4 治験期間中に 3 例以上発現した有害事象(Safety set)

Screening

N (%)

Placebo

N (%)

リナグリプチン

器官別大分類/基本語 1 mg

N (%)

2.5 mg

N (%)

5 mg

N (%)

10 mg

N (%)

例数 47 (100) 12 (100.0) 9 (100.0) 9 (100.0) 8 (100.0) 9 (100.0)

神経系障害

(Nervous system disorders)

3 (6.4) 4 (33.3) 1 (11.1) 1 (11.1) 2 (25.0) 3 (33.3)

頭痛 (Headache) 3 (6.4) 4 (33.3) 1 (11.1) 1 (11.1) 0 (0.0) 1 (11.1)

浮動性めまい (Dizziness) 0 (0.0) 1 (8.3) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (25.0) 1 (11.1)

胃腸障害

(Gastrointestinal disorders)

1 (2.1) 4 (33.3) 0 (0.0) 1 (11.1) 0 (0.0) 2 (22.2)

下痢 (Diarrhoea) 0 (0.0) 2 (16.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (11.1)

便秘 (Constipation) 1 (2.1) 1 (8.3) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (11.1)

筋骨格系および結合組織障害

(Musculoskeletal and connective

tissue disorders)

1 (2.1) 2 (16.7) 0 (0.0) 2 (22.2) 1 (12.5) 1 (11.1)

筋肉痛 (Myalgia) 1 (2.1) 1 (8.3) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (11.1)

腎および尿路障害

(Renal and urinary disorders)

0 (0.0) 3 (25.0) 4 (44.4) 1 (11.1) 0 (0.0) 1 (11.1)

頻尿 (Pollakiuria) 0 (0.0) 3 (25.0) 4 (44.4) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

引用元:CTD 5.3.3.2-1,試験 1218.2,Table 15.3.1.2: 2 より作成

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 臨床的に問題となる臨床検査値異常,低血糖症および臨床的に問題となるヒスタミン値の上昇

は認められなかった。コレステロール減少およびトリグリセリド減少が数例認められた。1,5,10 mg 群では,プラセボ群と比較して体重の減少量がわずかに大きかった。 臨床的に問題となる心電図異常は認められなかった。ベースライン,Day 1 および Day 12 の

QT 間隔の Fridericia 式による補正値は,リナグリプチンの各用量群とプラセボ群で類似してお

り,特記すべき変化は認められなかった。補正前値,Bazett 式および Fridericia 式による補正値

のいずれにおいても,治験薬投与後の QT 間隔が 500 ms を超えるものは認められなかった。治

験期間を通して心拍数,PR 間隔,QRS 間隔に特記すべき変化は認められなかった。

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(3) 忍容性 治験担当医師は,有害事象および臨床検査値の評価に基づき,すべての患者の忍容性を良好と

判定した。

6) まとめ

リナグリプチンの血漿中濃度は DPP-4 阻害率と良く相関していた。視覚的に判断した結果,

DPP-4 阻害率はリナグリプチンの血漿中濃度が約 3.2 nM で 50%,約 5.3 nM で 80%程度である

と考えられた。 2 型糖尿病患者を対象としてリナグリプチン 1~10 mg を用量漸増法により 1 日 1 回 12 日間反

復投与したときの忍容性および安全性は良好であった。有害事象の全体の発現率はリナグリプ

チン群とプラセボ群で同程度であり,プラセボ群と比較してリナグリプチン群で発現率が高い

有害事象は認められなかった。また,重篤な有害事象および高度の有害事象は認められなかっ

た。高頻度に認められた有害事象は頭痛(プラセボ群 33.3%,リナグリプチン群 8.6%)および

頻尿(プラセボ群 25.0%,リナグリプチン群 11.4%)であり,いずれもリナグリプチン群と比

較してプラセボ群で発現率が高かった。

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2.6 試験 1218.26

(CTD 5.3.3.3-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.6: 1 に示した。

表 2.6: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 重症度の異なる腎機能障害が,リナグリプチン経口投与時の安全性,薬物動態および薬力

学に与える影響の検討

試験デザイン 第 I 相,非盲検,単回および反復投与,並行群間試験

対象 クレアチニンクリアランス(CrCl)が以下の範囲の健康被験者,腎機能障害患者,および

2 型糖尿病患者

グループ 1:健康被験者群(CrCl が 80 mL/min 超)

グループ 2:軽度腎機能障害患者群(CrCl が 50 mL/min 超 80 mL/min 以下)

グループ 3:中等度腎機能障害患者群(CrCl が 30 mL/min 超 50 mL/min 以下)

グループ 4:高度腎機能障害患者群(CrCl が 30 mL/min 以下)

グループ 5:末期腎障害患者群(CrCl が 30 mL/min 以下で血液透析が必要)

グループ 6:高度腎機能障害 2 型糖尿病患者群(CrCl が 30 mL/min 以下)

グループ 7:腎機能正常 2 型糖尿病患者群(CrCl が 80 mL/min 超)

・年齢は 18~80 歳

・BMI は 18~40 kg/m2(女性の体重は 45 kg 以上)

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg 錠

症例数 目標症例数:54 例

Group No. of patients

1 健康被験者群(Normal renal function) 6

2 軽度腎機能障害患者群(Mild RI) 6

3 中等度腎機能障害患者群(Moderate RI) 6

4 高度腎機能障害患者群(Severe RI) 6

5 末期腎障害患者群(ESRD) 6

6 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者群(Severe RI, T2DM) 12

7 腎機能正常 2 型糖尿病患者群(Normal renal function, T2DM) 12

実施症例数:

・登録例:51 例(健康被験者群,軽度腎機能障害患者群,中等度腎機能障害患者群,高度

腎機能障害患者群,末期腎障害患者群各 6 例,高度腎機能障害 2 型糖尿病患者群 10 例,

腎機能正常 2 型糖尿病患者群 11 例)

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表 2.6: 1 試験方法の概略(2/3)

症例数(続き) ・割付け例:51 例

・治験薬投与例:51 例

・解析例(主要評価項目):51 例

投与方法

投与期間

健康被験者,軽度,中等度腎機能障害患者:

Day 1~7 にリナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回 7 日間投与

高度腎機能障害患者,末期腎障害患者:

Day 1 にリナグリプチン 5 mg を単回投与

高度腎機能障害 2 型糖尿病患者,腎機能正常 2 型糖尿病患者:

Day 1~10 にリナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回 10 日間投与

なお,治験薬の投与は,絶食後の朝に行い,入院期間中の食事は投与 2,4,10 時間後に

提供した。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(健康被験者,軽度,中等度腎機能障害患者は Day

1~18,高度腎機能障害患者,末期腎障害患者は Day 1~12,高度腎機能障害 2 型糖尿病

患者,腎機能正常 2 型糖尿病患者は Day 1~21,いずれも外来検査日を含む)および治

験終了期からなる。投与期の薬物濃度および薬力学マーカー測定用に以下の時間に採血

した。薬物濃度測定用蓄尿は健康被験者,軽度,中等度腎機能障害患者は Day 1~7 の投

与後 0~24 時間に,高度腎機能障害患者,末期腎障害患者は Day 1 の投与後 0~12 およ

び 12~24 時間に,高度腎機能障害 2 型糖尿病患者,腎機能正常 2 型糖尿病患者は Day1

および Day10 の投与後 0~24 時間に行った。

対象 Day 採血時間

健康被験者

軽度,中等度腎機

能障害患者

Day 1 投与 1 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,

4,6,7,8,10,12 時間

Day 2~6 投与前

Day 7 投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,

7,8,10,12 時間

Day 8~18 Day 7 の投与後 24,48,96,168,216,240,264 時間

高度腎機能障害患

末期腎障害患者

Day 1 投与 1 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,

4,6,7,8,10,12 時間

Day 2~12 Day 1 の投与後 24,48,96,168,216,240,264 時間

高度腎機能障害 2

型糖尿病患者

腎機能正常 2 型糖

尿病患者

Day 1 投与 1 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,

4,6,7,8,10,12 時間

Day 2, 4,

7~9

投与前

Day 10 投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,

7,8,10,12 時間

Day 11~21 Day 10 の投与後 24,48,96,168,216,240,264 時間

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表 2.6: 1 試験方法の概略(3/3)

観察項目

観察時期

(続き)

また,その他の主な観察項目としては,身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価

を行った。

評価項目

評価基準

主要評価項目:

薬物動態パラメータ:

リナグリプチンの AUCτ,ss,Cmax,ss(健康被験者,軽度,中等度腎機能障害患者,高

度腎機能障害 2 型糖尿病患者,腎機能正常 2 型糖尿病患者)

リナグリプチンの AUC0-24,Cmax(高度腎機能障害患者,末期腎障害患者)

副次要評価項目:

薬物動態パラメータ:

リナグリプチン及び CD 1790 の tmax,ss,C24,ss,λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,CL/F,ss,Vz/F,ss,

AUC0-24,Cmax,AUC0-∞,AUC0-tz,% AUCtz-∞,蛋白結合率

CD 1790 の AUCτ,ss,Cmax,ss

薬物動態モデルを用いた AUCτ,ss,Cmax,ss 予測値(高度腎機能障害患者,末期腎障害

患者)

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率,DPP-4 濃度

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象お

よび忍容性

解析方法 対数変換した AUCt,ss,,Cmax,ss,,AUC0-24 および Cmax に対する腎臓機能障害の有無を固定

効果とするモデルを用いた ANOVA による解析を行った。幾何平均値の比と 90%信頼区

間を算出した。

定常状態への到達の解析は,濃度の対数変換値を用いて反復測定による分散分析により

実施した。調整平均値と 95%信頼区間はオリジナルスケールに逆変換して求めた。

治験調整医師

治験実施施設 ドイツ

ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

本試験に合計 51 例が組入れられ,その内訳は健康被験者 6 例,軽度,中等度,高度の腎機能障

害患者各 6 例,末期腎障害患者 6 例,高度腎機能障害 2 型糖尿病患者 10 例,腎機能正常 2 型糖

尿病患者 11 例であった。51 例が治験薬の投与を受け,全例が試験を完了した。全 51 例は男性

が 30 例,女性が 21 例で,年齢は平均 58.5 歳,体重は平均 79.4 kg,BMI は平均 26.7 kg/m2 であ

った。治験実施計画書からの重大な逸脱はなかった。

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120

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3) 薬物動態

(1) 血漿中濃度推移 健康被験者および重症度の異なる腎機能障害患者におけるリナグリプチン単回投与時の平均血

漿中濃度推移を図 2.6: 1 に,反復投与時の平均血漿中濃度推移を図 2.6: 2 に示した。 単回投与時におけるリナグリプチンの血漿中濃度-時間推移は腎機能障害の程度によらず,ほ

ぼ同様であった。投与 24 時間後の血漿中濃度は軽度,中等度,高度腎機能障害患者で同程度で

あった。健康被験者の血漿中濃度は腎機能障害患者と比較して 20~40%程度低かったが,消失

相の推移は腎機能障害患者と同様であった。 反復投与時(Day 7)におけるリナグリプチンの血漿中濃度推移は健康被験者と軽度腎機能障害

患者で同様であった。中等度腎機能障害患者の血漿中濃度は,健康被験者と比べて 50~80%高

かったが,血漿中濃度推移の傾向は同様であった。

図 2.6: 1 健康被験者および重症度の異なる腎機能障害患者におけるリナグリプチン 5 mg の

単回投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Figure 11.5.2.1.2: 1 より作成

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121

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図 2.6: 2 健康被験者および,軽度および中等度腎機能障害患者におけるリナグリプチン 5 mgの反復投与後の定常状態におけるリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Figure 11.5.2.1.3: 1 より作成

高度腎機能障害 2 型糖尿病患者および腎機能正常 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチン単回

投与時の平均血漿中濃度推移を図 2.6: 3 に,反復投与時の平均血漿中濃度推移を図 2.6: 4 に示

した。 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者における単回投与時の血漿中濃度は腎機能正常 2 型糖尿病患者

と比較して 20~30%程度高かったが,血漿中濃度推移は同様の傾向を示した。 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者における反復投与時の血漿中濃度は腎機能正常 2 型糖尿病患者

と比較して 30~50%程度高かったが,血漿中濃度推移は腎機能正常 2 型糖尿病患者と同様の傾

向であった。

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122

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図 2.6: 3 高度腎機能障害および腎機能正常 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチン 5 mg の

単回投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Figure 11.5.2.1.2: 2 より作成

図 2.6: 4 高度腎機能障害および腎機能正常 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチン 5 mg の

反復投与後の定常状態におけるリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Figure 11.5.2.1.3: 2 より作成

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123

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(2) 薬物動態パラメータ リナグリプチン単回投与時および反復投与時それぞれの薬物動態パラメータを表 2.6: 2 および

表 2.6: 3 に示した。リナグリプチンの AUC0-24 および Cmax の幾何平均値の比とその両側 90%信

頼区間を表 2.6: 4(Day 1)および表 2.6: 5(Day 7 および Day 10)に示した。リナグリプチンの

AUCτ,ss の幾何平均値の比および予測値を表 2.6: 6 に示した。中等度腎機能障害患者 1 例のリナ

グリプチンの初回投与後および高度腎機能障害 2 型糖尿病患者1例のリナグリプチンの初回お

よび最終投与後の血漿中濃度が著しく高く,併用薬もしくは合併症との関連性がある可能性が

推察された。このため,中等度腎機能障害患者群および高度腎機能障害 2 型糖尿病患者群の薬

物動態パラメータの記述統計量は,当該患者を含めた場合と除外した場合の両方について算出

した。 (a) 主要評価項目 軽度腎機能障害患者において,定常状態のリナグリプチンの曝露量(AUCτ,ss)および最高血漿

中濃度(Cmax,ss)は対照群の健康被験者と同程度であった(AUCτ,ss の幾何平均値の比 107.9%,

90%信頼区間 90.8~128.3%,Cmax,ss の幾何平均値の比 97.7%,90%信頼区間 70.2~138.9%)。 中等度腎機能障害患者において,定常状態のリナグリプチンの AUCτ,ss は,対照群の健康被験

者と比較して 70.8%増加し,Cmax,ss は 46.2%増加した(AUCτ,ss の幾何平均値の比 170.8%,90%信頼区間 134.1~217.7%;Cmax,ss の幾何平均値の比 146.2%,90%信頼区間 97.6~218.9%)。しか

し,終末相における半減期,累積係数から算出した半減期,累積係数は健康被験者と同程度で

あり,中等度腎機能障害患者におけるクリアランスの明らかな低下は認められなかった。 高度腎機能障害患者または末期腎障害患者において,単回投与時のリナグリプチンの曝露量は,

健康被験者と比較して約 41~54%高かったが(高度腎機能障害患者:AUC0-24 の幾何平均値の

比 140.6%,90%信頼区間 103.9~190.5%;Cmax の幾何平均値の比 147.2%,90%信頼区間 83.2~260.7%;末期腎障害患者:AUC0-24 の幾何平均値の比 153.7%,90%信頼区間 117.9~200.4%;Cmax

の幾何平均値の比 150.2%,90%信頼区間 93.5~241.4%),軽度または中等度の腎機能障害患者

とは同程度であった。 高度腎機能障害 2型糖尿病患者と腎機能正常 2型糖尿病患者の単回投与時のCmaxおよびAUC0-24

は同程度であった。高度腎機能障害 2 型糖尿病患者において,定常状態のリナグリプチンの曝

露量は,腎機能正常 2 型糖尿病患者と比較して約 40%高かった(AUCτ,ss の幾何平均値の比

141.8%,90%信頼区間 110.4~182.1%;Cmax,ss の幾何平均値の比 135.6%,90%信頼区間 96.6~190.1%)。 (b) 副次評価項目 腎機能障害を有する患者における単回投与時のリナグリプチンの曝露量は,対照群の健康被験

者と比較して 26~57%高かった。腎機能障害の重症度と曝露量の相関は認められなかった。 単回投与時および反復投与時のリナグリプチンの腎クリアランスおよび尿中排泄率(5%未満)

は低く,腎機能障害の重症度によらず同程度であった。 反復投与時の定常状態におけるリナグリプチンの薬物動態パラメータは,軽度腎機能障害患者

と対照群の健康被験者とで同程度であった。中等度腎機能障害患者における定常状態の AUC

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および Cmax に関して,個々の被験者の値の分布は,健康被験者および軽度腎機能障害患者と重

なりが大きかったが,曝露量がより高くなる傾向が認められた。 中等度腎機能障害患者および高度腎機能障害 2 型糖尿病患者のデータを用いて,高度腎機能障

害患者および末期腎障害患者におけるリナグリプチンの定常状態の AUC を予測したところ,

中等度腎機能障害患者および高度腎機能障害 2 型糖尿病患者の曝露量と同程度であることが示

された。末期腎障害患者で,定常状態の曝露量の予測値が最も高かったが,2 倍未満の増加で

あった(腎機能正常 2 型糖尿病患者と比較して 1.6 倍,健康被験者と比較して 1.9 倍)。 リナグリプチン単回投与後の高度腎機能障害 2 型糖尿病患者の Cmax と AUC0-24 は腎機能正常 2型糖尿病患者と比べて約 1.2 倍と若干高い傾向を示した。累積係数から算出した半減期および

累積係数は両群で同程度であり,リナグリプチンの見かけのクリアランスは腎機能の低下によ

り大きく変動しないことが示唆された。 リナグリプチンの主な代謝物である CD 1790 の生成に関して,親化合物に対する代謝物の AUC比は,単回投与時,反復投与時のいずれの場合でも,腎機能障害患者と健康被験者とで同程度

であり,代謝物の生成率の明らかな減少は認められなかった。CD 1790 の尿中排泄率はごくわ

ずかであり,単回および反復投与時のいずれの場合でも,リナグリプチンの投与量の 1%未満

であった。 リナグリプチンの蛋白結合率は健康被験者と重症度の異なる腎機能障害患者で測定したところ

腎機能の重症度による変動は認められなかった。

表 2.6: 2 リナグリプチン 5 mg の単回投与後のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

Group normal RF mild RI moderate RI severe RI ESRD severe RI

+T2DM

normal RF

+T2DM

N 6 6 6 6 6 10 11

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

AUC0-24

[nM·h]

101 32.6 130 11.0 158 44.3 142 26.3 155 16.8 155 50.3 127 25.3

Cmax [nM] 7.32 62.7 9.20 18.1 11.5 89.1 10.8 55.0 11.0 28.6 12.2 74.2 10.0 41.1

tmaxa)[h] 2.25 0.500-

8.00

1.50 0.500-

3.03

2.25 0.750-

4.00

1.50 0.750-

3.00

3.00 1.00-

4.00

1.50 0.750-

4.02

3.00 0.500-

4.00C24 [nM] 3.59 33.8 4.66 24.7 4.85 18.8 4.61 23.3 5.32 16.0 4.88 43.9 4.12 25.3

fe0-24 [%] 0.232 183 0.332 117 0.368 391 0.308 104 --- --- 0.530 140 0.935 156

CLR,0-24

[mL/min]

4.06 119 4.50 132 4.12 208 3.83 77.0 --- --- 6.02 74.6 13.0 130

t½ [h] --- --- --- --- --- --- 133 51.0 129 21.7 --- --- --- ---

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.2.2: 1 より作成

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125

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表 2.6: 3 リナグリプチン 5 mg の反復投与後の定常状態におけるリナグリプチンの薬

物動態パラメータ

Group normal RF mild RI moderate RI severe RI+T2DM normal RF+T2DM

N 6 6 6 10 11 gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 154 21.2 166 10.3 263 25.6 262 43.8 185 22.8

Cmax,ss [nM] 13.2 38.9 12.9 24.5 19.3 41.3 22.6 60.8 16.7 32.1

tmax,ssa)[h] 0.517 0.500-1.50 2.50 0.533-3.10 1.27 0.750-3.00 1.26 0.750-2.00 1.00 0.500-3.00

C24,ss [nM] 5.13 16.9 5.36 12.1 7.91 20.6 7.24 46.7 5.70 25.5

t1/2,ss [h] 192 31.4 233 17.6 190 32.5 165 56.6 179 47.2 Accumulation, t1/2 [h]

15.2 32.0 10.1 42.1 15.9 88.1 17.7 44.3 13.6 38.3

CL/Fss [mL/min] 1150 21.2 1060 10.3 672 25.6 673 43.8 954 22.8

Vz/Fss [L] 19000 41.5 20500 22.2 11000 37.7 9630 81.9 14800 66.9

MRTpo,ss [h] 145 17.4 158 18.5 119 16.8 111 33.5 112 23.2

fe0-24,ss [%] 4.26 60.8 3.71 41.2 4.03 47.7 2.68 78.4 6.45 36.4

CLR,0-24,ss [mL/min] 48.9 40.3 39.4 38.6 27.1 24.2 18.1 43.2 61.5 35.6

RA,AUC0-24 1.52 15.6 1.27 14.1 1.66 31.9 1.69 22.5 1.45 18.3

RA,Cmax 1.81 37.4 1.40 28.3 1.68 63.8 1.85 31.2 1.67 30.2

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.2.2: 2 より作成

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表 2.6: 4 リナグリプチンの Cmax および AUC0-24 の幾何平均値の比と 90%信頼区間

(Day 1)

Parameter Test Reference Inter-indiv.

gCV

(%)

Adjusted

gMean Ratio

(Test/Reference)

(%)

Two sided

90 % Confidence Interval

Lower limit

[%]

Upper limit

[%]

Cmax [nM] Mild impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

44.7 125.6 80.4 196.3

Cmax [nM] Moderate

impaired (N=6)

Normal RF

(N=6)

76.2 157.2 77.4 319.2

Cmax [nM] Severe impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

58.9 147.2 83.2 260.7

Cmax [nM] ESRD

(N=6)

Normal RF

(N=6)

47.7 150.2 93.5 241.4

Cmax [nM] Severe impaired

+ T2DM

(N=10)

Normal RF

+ T2DM

(N=11)

58.0 122.5 81.5 184.0

AUC0-24

[nM·h]

Mild impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

24.1 129.1 100.7 165.7

AUC0-24

[nM·h]

Moderate

impaired (N=6)

Normal RF

(N=6)

38.8 156.4 105.8 231.5

AUC0-24

[nM·h]

Severe impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

29.6 140.6 103.9 190.5

AUC0-24

[nM·h]

ESRD

(N=6)

Normal RF

(N=6)

25.8 153.7 117.9 200.4

AUC0-24

[nM·h]

Severe impaired

+ T2DM

(N=10)

Normal RF

+ T2DM

(N=11)

38.7 121.9 92.0 161.6

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.2.3: 1 より作成

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表 2.6: 5 リナグリプチンの Cmax,ss および AUCτ,ss の幾何平均値の比と 90%信頼区間

(正常,軽度と中等度腎機能障害患者は Day 7 で測定,高度腎機能障害 2 型

糖尿病患者と腎機能正常 2 型糖尿病患者は Day 10 で測定)

Parameter Test Reference Inter-

indiv.

gCV

(%)

Adjusted

gMean Ratio

(Test/Reference)

(%)

Two sided

90 % Confidence Interval

Lower limit [%] Upper limit

[%]

Cmax,ss [nM] Mild impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

32.3 97.7 70.2 138.9

Cmax,ss [nM] Moderate impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

40.1 146.2 97.6 218.9

Cmax,ss [nM] Severe impaired

+ T2DM

(N=10)

Normal RF

+ T2DM

(N=11)

47.1 135.6 96.6 190.1

AUCτ,ss

[nM·h]

Mild impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

16.6 107.9 90.8 128.3

AUC τ,ss

[nM·h]

Moderate impaired

(N=6)

Normal RF

(N=6)

23.5 170.8 134.1 217.7

AUC τ,ss

[nM·h]

Severe impaired

+ T2DM

(N=10)

Normal RF

+ T2DM

(N=11)

34.1 141.8 110.4 182.1

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.2.3: 2 より作成

表 2.6: 6 リナグリプチンの AUCτ,ss の幾何平均値の比および予測値

Group gMean AUCτ,ss gMean ratio of AUCτ,ss vs.

AUCτ,ss of Normal RF

gMean ratio of AUCτ,ss vs.

AUCτ,ss of Severe RI+T2DM

Normal RF 153.7

Mild RI 165.8 1.08

Moderate RI 253.1 1.65

Severe RI 253.5a) 1.65 a) 1.34 a)

ESRD 291.4 a) 1.89 a) 1.54 a)

Normal RF+T2DM 189.2 1.23

Severe RI+T2DM 238.8 1.55 1.26

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)予測値

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.2.3: 3 より作成

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(3) 薬力学 DPP-4 阻害率とリナグリプチン血漿中濃度の相関を図 2.6: 5 に,健康被験者および重症度の異

なる腎機能障害患者における DPP-4濃度および DPP-4阻害率をそれぞれ表 2.6: 7および表 2.6: 8に示した。 リナグリプチン血漿中濃度と DPP-4阻害率との間の相関は健康被験者と重症度の異なる腎機能

障害者で類似していた。 リナグリプチン投与前の DPP-4濃度の変動係数は腎機能障害の程度が重症になるにつれて増加

し,DPP-4 濃度の個体間変動は大きくなったが,DPP-4 濃度と腎機能障害の重症度の間に一定

の傾向は認められなかった。一方,腎機能が正常な 2 型糖尿病患者と高度の腎機能障害を伴う

2 型糖尿病患者では,DPP-4 濃度の変動係数は小さく,DPP-4 濃度も同程度であった。 DPP-4 阻害率は,健康被験者と腎機能障害患者とで同程度であった。また,すべての群におい

て定常状態での DPP-4 阻害率の中央値は 80%を超えていた。

図 2.6: 5 健康被験者および重症度の異なる腎機能障害患者における DPP-4 阻害率と

リナグリプチン血漿中濃度の相関

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.4: 1 より作成

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表 2.6: 7 健康被験者および重症度の異なる腎機能障害患者における DPP-4 濃度

Plasma DPP-4 concentration [ng/mL]

Group Normal RF Mild RI Moderate RI Severe RI ESRD Severe RI

+T2DM

Normal RF

+ T2DM

N 6 6 6 6 6 10 11

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%]

gMean gCV

[%] DPP-4

concentration

219 30.2 256 44.6 116 45.0 189 56.7 113 105 395 21.0 417 19.3

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.3.1: 1 より作成

表 2.6: 8 健康被験者および重症度の異なる腎機能障害患者における DPP-4 阻害率

Plasma DPP-4 inhibition [%]

Group Normal RF Mild RI Moderate RI Severe RI ESRD Severe RI,

T2DM

Normal RF,

T2DM

N 6 6 6 6 6 10 11

Median E24 70.9 77.5 83.5 81.0 84.2 84.0 80.7

Median E24,ss 84.0 87.2 91.1 --- --- 90.6 89.4

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,Table 11.5.3.2: 1 より作成

4) 安全性

(1) 曝露状況 健康被験者,軽度,中等度腎機能障害患者の全例がリナグリプチン 5 mg 錠の 1 日 1 回 7 日間

投与を受け,高度腎機能障害患者,末期腎障害患者の全例がリナグリプチン 5 mg 錠の単回投

与を受けた。また,高度腎機能障害 2 型糖尿病患者,腎機能正常 2 型糖尿病患者の全例がリナ

グリプチン 5 mg 錠の 1 日 1 回 10 日間投与を受けた。 (2) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与日までに発現した好ましくないすべての事象を

治験期間中の有害事象とした。 本試験では,健康被験者,軽度,中等度,高度の腎機能障害患者,末期腎障害患者,高度腎機

能障害 2 型糖尿病患者および腎機能正常 2 型糖尿病患者で計 51 例中 14 例(27.5%)に有害事

象が認められた。リナグリプチン投与前のスクリーニング期に 2 例(3.9%)の有害事象(中等

度の歯痛および軽度の血中クレアチンホスホキナーゼ増加)が発現した。

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130

Page 135: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

治験期間中に認められた有害事象を表 2.6: 9 に示す。リナグリプチン投与期に 12 例(23.5%)

に有害事象が発現した。最も高頻度に発現した有害事象は,器官別大分類の筋骨格系および結

合組織障害の 4 例(7.8%)であった。基本語別では背部痛が 3 例(5.9%)に認められた。薬

物治療を必要とした有害事象は 4 例に 4 件(軽度の頭痛,軽度の背部痛,軽度の皮膚損傷,中

等度の背部痛)であり,いずれも治験薬との因果関係はなしと判定された。2 例(3.9%)の有

害事象(1 例:軽度の頭痛,1 例:軽度の下痢および軽度の疲労)が治験担当医師により治験薬

との因果関係ありと判定された。いずれの有害事象も,軽度または中等度であった。 死亡,重篤な有害事象,重度の有害事象,その他の重要な有害事象,治験中止に至った有害事

象は認められなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

131

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表 2.6: 9 治験期間中に発現した有害事象

器官別大分類 基本語

Normal RF Mild RI Moderate

RI Severe RI ESRD

Severe RI + T2DM

Normal RF + T2DM

Total

投与例数 6 6 6 6 6 10 11 51

有害事象発現例数 [N(%)]ª) 0 4 (66.7%)

2(33.3%) 0 0 1

(10.0%) 5

(45.4%) 14ª)

(27.5%)有害事象発現件数 0 4 0 0 0 2 5 11

胃腸障害(Gastrointestinal disorders) 0 0 0 0 0 1

(10.0%) 0 1 (2.0%)

下痢(Diarrhoea) 0 0 0 0 0 1 (10.0%) 0 1

(2.0%)全身障害および投与局所様態(General disorders and administration site conditions)

0 0 0 0 0 1 (10.0%)

1 (9.1%)

2 (3.9%)

疲労(Fatigue) 0 0 0 0 0 1 (10.0%) 0 1

(2.0%)静脈穿刺部位炎症(Venipuncture site inflammation)

0 0 0 0 0 0 1 (9.1%)

1 (2.0%)

感染症および寄生虫症(Infections and infestations) 0 0 0 0 0 0 1

(9.1%) 1

(2.0%)

鼻咽頭炎(Nasopharyngitis) 0 0 0 0 0 0 1

(9.1%) 1

(2.0%)

傷害、中毒および処置合併症(Injury, poisoning and procedural complications)

0 0 1 (16.7%) 0 0 0 0 1

(2.0%)

皮膚損傷(Skin injury) 0 0 1 (16.7%) 0 0 0 0 1

(2.0%)

臨床検査(Investigations) 0 0 1 (16.7%) 0 0 0 0 1

(2.0%)

血中カリウム増加(Blood potassium increased) 0 0 1

(16.7%) 0 0 0 0 1 (2.0%)

筋骨格系および結合組織障害(Musculoskeletal and connective tissue disorders)

0 3 (50.0%) 0 0 0 0 1

(9.1%) 4

(7.8%)

背部痛(Back pain) 0 2 (33.3%) 0 0 0 0 1

(9.1%) 3

(5.9%)頚部痛(Neck pain) 0 1

(16.7%) 0 0 0 0 0 1 (2.0%)

神経系障害(Nervous system disorders) 0 1

(16.7%) 0 0 0 0 1 (9.1%)

2 (3.9%)

頭痛(Headache) 0 1 (16.7%) 0 0 0 0 1

(9.1%) 2

(3.9%)腎および尿路障害(Renal and urinary disorders) 0 0 0 0 0 0 2

(18.2%) 2

(3.9%) 夜間頻尿(Nocturia) 0 0 0 0 0 0 2

(18.2%) 2

(3.9%)a) スクリーニング期から観察された2例の有害事象を含む

引用元:CTD 5.3.3.3-1,試験 1218.26,16.2.7: Listing 2.1 より作成

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132

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(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 リナグリプチン投与前のスクリーニング期にみられた軽度の血中クレアチンホスホキナーゼ増

加 1 例および投与終了期にみられた軽度の血中カリウム増加 1 例を除き,臨床的に問題となる

臨床検査値異常はなかった。バイタルサイン,12 誘導心電図に臨床的に問題となる異常は認め

られなかった。 (4) 忍容性 忍容性は,全 51 例で良好と判定された。

5) まとめ

単回経口投与時のリナグリプチンの曝露量は,対照群の健康被験者に比較して腎機能障害を有

する患者で 1.3~1.6 倍の高値を示した。リナグリプチンの曝露量は,軽度,中等度,高度およ

び末期の腎機能障害患者のいずれにおいても同程度であった。 定常状態において,軽度腎機能障害患者でのリナグリプチンの曝露量は対照群の健康被験者と

同程度であった。中等度腎機能障害患者群では,対照群と比較して 71%の曝露量の増加が観察

された。この曝露量の増加は,対照群と比較して累積係数から算出した半減期もしくは終末相

における半減期の延長,または累積係数の増加を伴わなかった。 定常状態におけるリナグリプチンの尿中排泄率はいずれの群でも 5%未満であり,腎機能低下

の影響を受けなかった。 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者の曝露量は,腎機能正常 2 型糖尿病患者と比較して 42%増加し

た。いずれの 2 型糖尿病患者群においても定常状態でのリナグリプチンの尿中排泄率は 7%未

満であった。 リナグリプチン血漿中濃度と DPP-4阻害率との間の相関は健康被験者と重症度の異なる腎機能

障害者で類似していた。すべての群において定常状態における DPP-4 阻害率は 80%を超えてい

た。 リナグリプチンは,健康被験者,軽度腎機能障害患者および中等度腎機能障害患者に 1 日 1 回

5 mg を 7 日間経口投与したとき,高度腎機能障害患者および末期腎障害患者に 5 mg を単回投

与したとき,ならびに高度腎機能障害 2 型糖尿病患者および腎機能正常 2 型糖尿病患者に 1 日

1 回 5 mg を 10 日間投与したときの安全性および忍容性は良好であった。 本試験において,糖尿病の有無にかかわらず腎機能障害患者でみられたリナグリプチン 5 mg錠の単回および反復投与時の AUC は,腎機能正常患者の 1.1~1.7 倍であり,腎機能の低下に

よる曝露量の増加は小さいと考えられる。したがって,腎機能障害の重症度の程度にかかわら

ず,リナグリプチンの用量調節は不要と考える。

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2.7 試験 1218.27

(CTD 5.3.3.3-2)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.7: 1 に示した。

表 2.7: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 軽度,中等度,または高度肝機能障害患者および健康被験者における BI 1356(リナグリ

プチン)5 mg を単回または反復経口投与したときの薬物動態および薬力学の検討

試験デザイン 第 I 相,非盲検,並行群間比較試験

対象 ・軽度(Child-Pugh 分類 A:スコア 6),中等度(Child-Pugh 分類 B:スコア 7~9),また

は高度(Child-Pugh 分類 C:スコア 10~15)の肝機能障害患者および健康被験者

・年齢は 18~70 歳,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

・クレアチニンクリアランスは,健康被験者および軽度または中等度の肝機能障害患者は

80 mL/min 以上,高度の肝機能障害患者は 40 mL/min 以上

なお,健康被験者は,性別,年齢および体重について肝機能障害患者とマッチングを行っ

た。

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

症例数 目標症例数:32 例(各群 8 例)

実施症例数:

・登録例:33 例(健康被験者 8 例,軽度肝機能障害患者 8 例,中等度肝機能障害患者 9 例,

高度肝機能障害患者 8 例)

・治験薬投与例:33 例(健康被験者 8 例,軽度肝機能障害患者 8 例,中等度肝機能障害患

者 9 例,高度肝機能障害患者 8 例)

投与方法

投与期間

健康被験者,軽度および中等度肝機能障害患者:リナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回,7 日間

反復投与

高度肝機能障害患者:リナグリプチン 5 mg を単回投与

各群の治験薬の投与は 10 時間以上の絶食後に実施した。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期および治験終了期からなる。薬物濃度および薬力学

的パラメータ(DPP-4 活性)測定用に以下の時間に採血した。薬物濃度測定用蓄尿を治験

薬初回投与日および最終投与日の投与 0.25 時間前,投与後 0~4,4~8,8~12,12~24,

24~48 時間に行った。

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表 2.7: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を行

った。

対象 採血時間

健康被験者,軽度

または中等度肝

機能障害患者

Day 1 および 7 の投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,

6,8,12 時間

Day 2~6 の投与前

Day 8~12 の朝の Day 7 の薬剤服用時と同じ時間

高度肝機能障害

患者

Day 1 の投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,12

時間

Day 2~6 の朝の Day 1 の薬剤服用時と同じ時間

評価項目

評価基準

主要評価項目:

健康被験者,軽度または中等度肝機能障害患者:リナグリプチンの AUCτ,ss および Cmax,ss

高度肝機能障害患者:リナグリプチンの AUC0-24 および Cmax

副次評価項目:

健康被験者,軽度または中等度肝機能障害患者:

・リナグリプチンの tmax (ss),C24 (ss),λz (ss),t1/2 (ss),MRTpo (ss),CL/F (ss),Vz/F (ss),AUC0-24,

Cmax

・CD 1790 の AUCτ,ss,Cmax (ss),tmax (ss),λz (ss),t1/2 (ss),MRTpo (ss)

高度肝機能障害患者:

・モデル解析により求めたリナグリプチンの AUCτ,ss および Cmax,ss

全被験者:

・リナグリプチンの AUC0-∞,AUC0-tz,%AUCtz-∞

・CD 1790 の AUC0-24,AUC0-tz,%AUCtz-∞,AUC0-∞

・リナグリプチンおよび CD 1790 の血漿蛋白結合

・DPP-4 阻害率

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象および

忍容性

解析方法 各評価項目について記述統計量を算出した。薬物動態パラメータについて ANOVA を行っ

た。薬物動態モデルを用いて,高度肝機能障害患者での定常状態の薬物動態パラメータを予

測した。

治験責任医師

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表 2.7: 1 試験方法の概略(3/3)

治験実施施設 ルーマニア

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 33 例(健康被験者 8 例,軽度肝機能障害患者 8 例,中等度肝機能障害患者 9 例,高度肝機

能障害患者 8 例)が本試験に組入れられ,治験薬の投与を受けた。このうち 32 例が計画どおり

試験を完了し,中等度肝機能障害患者 1 例が 6 回目の投与後に同意撤回のため中止した。なお,

本試験に参加した被験者の全員が白人であった。健康被験者と肝機能障害患者の性別,年齢,

体重のマッチングを行った結果,各群で男性は 5 名,女性は 3~4 名であり,年齢は健康被験者

で 41~59 歳,肝機能障害患者で 44~66 歳,体重は健康被験者で 56~88 kg,肝機能障害患者

で 55~105 kg であった(CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Table 11.2:1)。身長,BMI,体表面積も

健康被験者と肝機能障害患者で類似していた。2 件の治験実施計画書からの重大な逸脱が報告

され、いずれもクレアチニンクリアランスが 80 mL/min 以上に合致しない組入れ基準違反によ

るものであった。

3) 薬物動態

(1) 薬物動態パラメータ

リナグリプチンの平均血漿中濃度推移を図 2.7: 1(単回投与時)および図 2.7: 2(反復投与時)

に,薬物動態パラメータを表 2.7: 2(単回投与時)および表 2.7: 3(反復投与時)に示した。

リナグリプチン 5 mg 単回投与後の健康被験者,軽度,中等度および高度肝機能障害患者におけ

る最高血漿中濃度到達時間(tmax)の中央値は,それぞれ 1.50 時間,1.50 時間,1.00 時間,0.875

時間であった。単回投与時のリナグリプチンの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)および

最高血漿中濃度(Cmax)はすべての肝機能障害患者群で類似しており,肝機能の低下に伴い増

加する傾向は認められなかった。肝機能障害患者と比較して健康被験者でリナグリプチンの血

漿中濃度は投与後 6 時間まで高かったが,6 時間以降は肝機能障害患者と同程度であった。リ

ナグリプチンの腎クリアランス(CLR,0-24)は低かった。尿中排泄率(fe0-24)の幾何平均値はす

べての群で 1.4%未満であり,リナグリプチンの排泄に腎排泄の寄与は低く,腎排泄が主な排

泄経路でないことが示された。また,肝機能障害の重症度によりリナグリプチンの排泄は影響

を受けないことが示された。

リナグリプチン 5 mg 反復投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータは健康被験者と軽度ま

たは中等度肝機能障害患者で類似しており,排泄の低下の指標となる,累積係数から算出した半

減期および AUC または Cmax から算出した累積係数は,各群で同程度であった。

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図 2.7: 1 リナグリプチン 5 mg 単回投与時の健康被験者および肝機能障害患者におけ

るリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Figure 11.5.2.1.1: 5 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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図 2.7: 2 リナグリプチン 5 mg 反復投与後の定常状態での健康被験者および肝機能障

害患者におけるリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Figure 11.5.2.1.1: 7 より作成

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表 2.7: 2 リナグリプチン 5 mg 単回投与時の健康被験者および肝機能障害患者におけ

るリナグリプチンの薬物動態パラメータ

Single dose non-compartmental PK parameters of linagliptin

Healthy Mild Moderate Severe

gMean gCV gMean gCV gMean gCV gMean gCV

N 8 7 9/(7)b) 8

AUC0-24 [nM·h] 189 27.8 164 33.3 148 (155) 21.3 (17.9) 190 39.4

Cmax [nM] 17.3 56.9 11.9 45.2 12.1 (12.0) 31.2 (35.8) 13.3 77.8

tmaxa) [h] 1.50 0.500-3.00 1.50 0.250-3.00 1.00 (1.00) 0.250-2.00

(0.250-2.00)

0.875 0.500-6.00

C24 [nM] 6.26 24.5 6.45 26.9 5.28 (5.62) 27.0 (19.5) 6.67 23.7

fe0-24 [%] 1.31 148 0.705c) 336 0.483 (0.535) 162 (199) 0.923d) 275

CLR,0-24 [mL/min] 12.2 123 7.31c) 215 5.75 (6.10) 145 (169) 8.74d) 161

t½ [h] --- --- --- --- --- --- 124 61.2

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

b)カッコ内の数値は 2 例の組入れ基準に合致しない患者を除いて算出

c)N=6

d)N=7

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Table 11.5.2.2.1: 1 より作成

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表 2.7: 3 リナグリプチン 5 mg 反復投与時の健康被験者および肝機能障害患者におけ

るリナグリプチンの定常状態での薬物動態パラメータ

Steady state non-compartmental PK parameters of linagliptin

Healthy Mild Moderate

gMean gCV gMean gCV gMean gCV

N 8 8 8 (6)b)

AUCτ,ss [nM·h] 254 18.9 191 27.2 217 (207) 26.0 (25.2)

Cmax,ss [nM] 20.8 38.6 13.4 55.8 19.2 (17.9) 52.5 (54.2)

tmax,ssa) [h] 1.50 0.500-2.00 1.00 0.500-3.00 0.625 (0.625) 0.250-2.00

(0.250-2.00)

C24,ss [nM] 8.41 18.2 6.75 28.2 7.85 (7.92) 18.8 (13.7)

t1/2,ss [h] 77.7 32.6 95.0 18.0 96.1 (113) 54.7 (36.9)

Accumulation, t1/2 [h] 10.9 66.2 8.11c) 86.8 13.1 (10.8) 61.7 (55.7)

CL/Fss [mL/min] 696 18.9 922 27.2 813 (852) 26.0 (25.2)

Vz/Fss [L] 4680 35.7 7580 38.4 6760 (8350) 65.3 (53.0)

MRTpo,ss [h] 95.4 23.2 109 27.0 119 (146) 58.9 (41.2)

fe0-24,ss [%] 7.12 50.3 4.84c) 57.8 6.13 (7.10) 51.2(36.8)

CLR,0-24,ss [mL/min] 49.5 40.8 44.7c) 40.1 49.8 (60.6) 50.8 (34.3)

RA,AUC0-24 1.34 22.2 1.25c) 23.9 1.46 (1.33) 28.4 (25.3)

RA,Cmax 1.20 53.9 1.22c) 64.3 1.53 (1.43) 65.8 (68.8)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

b)カッコ内の数値は 2 例の組入れ基準に合致しない患者を除いて算出

c)N=7

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Table 11.5.2.2.1: 2 より作成

主代謝物 CD 1790 の平均血漿中濃度推移を図 2.7: 3(単回投与時)および図 2.7: 4(反復投与時)

に示した。

リナグリプチン 5 mg 単回投与後の主代謝物 CD 1790 は投与 0.75~4 時間後に最高血漿中濃度に

到達した。血漿中濃度は健康被験者で最も高く,次いで軽度の肝機能障害患者で高かった。反

復投与後の血漿中濃度は軽度および中等度肝機能障害患者より健康被験者の方が高かった。

肝機能の低下に伴う CD 1790 の生成の低下はわずかであり,リナグリプチンの消失過程におけ

る代謝の役割は重要ではないことが示唆された。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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Page 145: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

図 2.7: 3 リナグリプチン 5 mg 単回投与時の健康被験者および肝機能障害患者におけ

る CD1790 の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Figure 11.5.2.1.2: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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Page 146: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

図 2.7: 4 リナグリプチン 5 mg 反復投与後の定常状態での健康被験者および肝機能障

害患者における CD 1790 の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Figure 11.5.2.1.2: 2 より作成

(2) 薬物動態パラメータの比較

リナグリプチン単回投与時のリナグリプチンの AUC0-24 および Cmax の健康被験者と肝機能障害

患者の比を表 2.7: 4 に,リナグリプチン反復投与時のリナグリプチンの AUCτ,ss および Cmax,ss

の健康被験者と軽度および中等度肝機能障害患者の比を表 2.7: 5 に示した。

反復投与時において,軽度肝機能障害患者では,健康被験者と比較して AUCτ,ss は約 25%小さ

く,Cmax,ss は約 36%低かった。中等度肝機能障害患者では,健康被験者と比較して AUCτ,ss は約

14%小さく,Cmax,ss は約 8%低かった。

単回投与時において,高度肝機能障害患者では,健康被験者と比較して AUC0-24 は同程度であ

り,Cmax は約 23%低かった。

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142

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表 2.7: 4 リナグリプチン単回投与時(Day 1)のリナグリプチンの AUC0-24 および Cmax

の健康被験者と肝機能障害患者の比(Treated Set)

薬物動態パ

ラメータ

Test Reference 被験者内

gCV

[%]

幾何平均値の比

(test/reference)

[%]

両側

90%信頼区間

下限値

[%]

上限値

[%]

Cmax

[nM]

Mild

(N=7)

Healthy

(N=8)

51.7 68.8 44.0 107.4

AUC0-24

[nM·h]

Mild

(N=7)

Healthy

(N=8)

30.4 86.8 66.1 114.0

Cmax

[nM]

Moderate

(N=9)

Healthy

(N=8)

44.5 70.0 48.7 100.5

AUC0-24

[nM·h]

Moderate

(N=9)

Healthy

(N=8)

24.5 78.2 63.6 96.0

Cmax

[nM]

Severe

(N=8)

Healthy

(N=8)

67.7 77.0 44.9 132.3

AUC0-24

[nM·h]

Severe

(N=8)

Healthy

(N=8)

34.0 100.4 75.0 134.3

gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Table 11.5.2.3: 1 より作成

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表 2.7: 5 リナグリプチン反復投与時(Day 7)のリナグリプチンのAUCτ,ssおよびCmax,ss

の健康被験者と肝機能障害患者の比(Treated Set)

薬物動態パ

ラメータ

Test Reference 被験者内

gCV

[%]

幾何平均値の比

(test/reference)

[%]

両側

90%信頼区間

下限値

[%]

上限値

[%]

Cmax,ss

[nM]

Mild

(N=8)

Healthy

(N=8)

47.7 64.4 43.2 96.0

AUCτ,ss

[nM·h]

Mild

(N=8)

Healthy

(N=8)

23.4 75.5 61.6 92.5

Cmax,ss

[nM]

Moderate

(N=8)

Healthy

(N=8)

45.9 92.3 62.8 135.6

AUCτ,ss

[nM·h]

Moderate

(N=8)

Healthy

(N=8)

22.7 85.5 70.2 104.2

gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Table 11.5.2.3: 2 より作成

高度肝機能障害患者における定常状態のリナグリプチンの薬物動態について薬物動態モデルを

用いて推定した(AUCτ,ss の推定値 233 nM·h,Cmax,ss の推定値 19.0 nM)ところ,リナグリプチ

ン反復投与時の健康被験者および軽度または中等度肝機能障害患者と比較して曝露量は増加し

なかった。

(3) 血漿蛋白結合

リナグリプチンの血漿蛋白結合は,肝機能の低下に伴い変化しなかった。

4) 薬力学

リナグリプチン反復投与後の血漿中 DPP-4 阻害率を図 2.7: 5 に示した。

定常状態のトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値は,軽度肝機能障害患者で 90.4%,中等度肝機能

障害患者で 88.7%,健康被験者で 90.6%であり,いずれも 80%以上であった。高度肝機能障害

患者における投与 24 時間後の DPP-4 阻害率の中央値は 84.1%であり,単回投与で阻害率 80%

を上回った。

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144

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図 2.7: 5 リナグリプチン 5 mg 反復投与後の健康被験者および肝機能障害患者におけ

る血漿中 DPP-4 阻害率

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Figure 11.5.3.2: 2 より作成

5) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用)

投与期に 2 例以上で認められた有害事象を表 2.7: 6 に示した。

リナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回,7 日間投与したときの有害事象の発現率は,健康被験者で 3

例(37.5%),軽度肝機能障害患者で 1 例(12.5%),中等度肝機能障害患者で 4 例(44.4%)で

あり,軽度肝機能障害患者で低かった。高度肝機能障害患者にリナグリプチン 5 mg を単回投

与したところ 5 例(62.5%)に有害事象が発現した。最も高頻度に発現した有害事象の器官別

大分類は,胃腸障害の 4 例であり,次いで筋骨格系および結合組織障害と血管障害でそれぞれ

3 例であった。いずれの有害事象も,軽度または中等度であった。軽度の心電図 QT 延長がみ

られた 2 例中 1 例(高度肝機能障害患者)が治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定

された。治験実施計画書で規定した重要な有害事象が健康被験者 1 例にリナグリプチン初回投

与後に認められ,事象は中等度の心筋虚血であった。重篤な有害事象,その他の重要な有害事

象および治験中止に至った有害事象は認められなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

145

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表 2.7: 6 投与期に 2 例以上で認められた有害事象(Treated Set)

Healthy

N (%)

Mild

N (%)

Moderate

N (%)

Severe

N (%)

投与例数 8 (100.0) 8 (100.0) 9 (100.0) 8 (100.0)

有害事象発現例数 3 (37.5) 1 (12.5) 4 (44.4) 5 (62.5)

関節痛(Arthralgia) 0 0 0 2 (25.0)

心電図 QTc間隔延長

(Prolonged QTc)

0 0 1 (11.1) 1 (12.5)

頭痛(Headache) 1 (12.5) 1 (12.5) 0 0

高血圧(Hypertension) 0 0 1 (11.1) 1 (12.5)

鉄欠乏性貧血(Iron

deficiency anaemia)

1 (12.5) 0 0 1 (12.5)

悪心(Nausea) 1 (12.5) 0 0 1 (12.5)

嘔吐(Vomiting) 0 0 1 (11.1) 1 (12.5)

引用元:CTD 5.3.3.3-2,試験 1218.27,Table 12.2.2: 1 より作成

(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

12 誘導心電図および臨床検査に臨床的に問題となる異常は認められなかった。血圧および脈拍

数に臨床的に問題となるベースラインからの変化は認められなかった。

(3) 忍容性

治験担当医師はすべての健康被験者における忍容性を良好,肝機能障害患者における忍容性を

良好または十分であると判定した。

6) まとめ

リナグリプチン単回投与時の AUC0-24 および Cmax は健康被験者と比較して肝機能障害患者でや

や低かったが,肝機能の低下に伴う曝露の増加は認められなかった。リナグリプチン反復投与

時の AUCτ,ss および Cmax,ss は,健康被験者と比較して軽度または中等度肝機能障害患者でやや低

かった。高度肝機能障害患者では,健康被験者と比較して AUC0-24 は同程度であり,Cmax はわ

ずかに低かった。高度肝機能障害患者における定常状態のリナグリプチンの薬物動態について

薬物動態モデルを用いて予測したところ,リナグリプチン反復投与時の健康被験者および軽度

または中等度肝機能障害患者と比較して曝露量の増加は示唆されなかった。

リナグリプチン 5 mg を反復投与したときの有害事象の発現率は,健康被験者で 37.5%,軽度肝

機能障害患者で 12.5%,中等度肝機能障害患者で 44.4%であり,軽度肝機能障害患者で低かっ

た。高度肝機能障害患者にリナグリプチン 5 mg を単回投与したときの有害事象の発現率は

62.5%であった。有害事象はいずれも軽度または中等度であり,重篤な有害事象は認められな

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かった。本試験の結果により,リナグリプチンはあらゆる重症度の肝機能障害患者に対して,

用量を調整せずに投与可能と考えられた。

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2.8 試験 1218.4

(CTD 5.3.3.4-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.8: 1 に示した。

表 2.8: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男性被験者における BI 1356 BS(リナグリプチン)(10 mg,1 日 1 回)とメトホルミン

(850 mg,1 日 3 回)併用またはメトホルミン非併用時のリナグリプチン反復経口投与時

のバイオアベイラビリティの比較,およびメトホルミンとリナグリプチン併用またはリナ

グリプチン非併用時のメトホルミン反復経口投与時のバイオアベイラビリティの比較

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検,反復投与,2 期クロスオーバー試験

対象 21~50 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 10 mg 錠

メトホルミン 850 mg 錠

目標症例数 14 例

投与方法

投与期間

クロスオーバー法により,以下のメトホルミン単独投与(Treatment A)と併用投与(Treatment

B)を行った。投与順序は AB または BA のいずれかとした。メトホルミン単独投与期から

併用投与期への移行時に 2 日間(48 時間),併用投与期からメトホルミン単独投与期への移

行時に 18 日間のウォッシュアウト期を設けた。

・メトホルミン単独投与期(Treatment A,投与期間は Day 1~3 の 3 日間):

Day 1~3 の 3 日間に,メトホルミン 1 回 850 mg を 1 日 3 回投与(メトホルミン単独投

与)。ただし Day 3 のメトホルミン投与は 1 回のみ。

・併用投与期(Treatment B,投与期間は Day 1~9 の 9 日間):

Day 1~6 の 6 日間はリナグリプチン 10 mg を 1 日 1 回投与(リナグリプチン単独投与),

続いて Day 7~9 の 3 日間はリナグリプチン 10 mg を 1 日 1 回およびメトホルミン 1 回

850 mg を 1 日 3 回投与(メトホルミン併用)。ただし Day 9 のメトホルミン投与は 1 回

のみ。

なお,各投与期での朝の治験薬の投与は 10 時間以上の絶食後に行った。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(メトホルミン単独投与期は Day 1~5,併用投与期

は Day 1~11),ウォッシュアウト期および治験終了期からなる。投与期における薬物濃度

および薬力学的マーカー(DPP-4 活性)測定用に下表の時間に採血した。リナグリプチン

の薬物濃度測定用蓄尿は,併用投与期の Day 6 および Day 9 の治験薬投与後 0~4,4~8,8

~12,12~24 時間に行った。メトホルミンの薬物濃度測定用蓄尿は,メトホルミン単独投

与期の Day 3 の治験薬投与後 0~4,4~8,8~12,12~24 時間,および併用投与期の Day 9

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表 2.8: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

の治験薬投与後 0~4,4~8,8~12,12~24 時間に行った。

投与期 測定項目 Day 採血時間

Treatment

A

メ ト ホ ル ミ

ン単独投与

薬物濃度

(メトホ

ルミン),

DPP-4 活

Day 1 朝投与前 a)

Day 2 昼投与前,夜投与前

Day 3~5 Day 3 の朝投与前,投与後 0.25,

0.5,0.75,1,1.5,2,2.5,3,

4,6,8,12,24,48 時間

Treatment

B

リ ナ グ リ プ

チ ン 単 独 投

与(メトホル

ミン非併用)

薬物濃度

(リナグ

リ プ チ

ン ) ,

DPP-4 活

Day 1b),4,5 投与前

Day 6

投与前,投与後 0.25,0.5,0.75,

1,1.5,2,2.5,3,4,6,8,

12 時間

リ ナ グ リ プ

チ ン と メ ト

ホ ル ミ ン の

併用投与

Day 7 朝投与前

Day 8 朝投与前,昼投与前 c),

夜投与前 c)

Day 9b),

10 b),11b)

Day 9 の朝投与前,投与後 0.25,

0.5,0.75,1,1.5,2,2.5,3,

4,6,8,12,24,48 時間

a) リナグリプチンの薬物濃度測定用採血も実施 b) メトホルミンの薬物濃度測定用採血も実施 c) メトホルミンの薬物濃度測定用採血のみ実施

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む)および有害事象の観察を行った。

評価項目

評価基準

薬物動態パラメータ:

主要評価項目:

リナグリプチンのメトホルミン併用時または非併用時の AUCτ,ss および Cmax,ss

メトホルミンのリナグリプチン併用時または非併用時の AUCτ,ss および Cmax,ss

副次評価項目:

リナグリプチン,メトホルミンそれぞれの tmax,ss,Cmin,ss,λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,CL/F,ss,

Vz/F,ss,feτ,ss,CLR,ss

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査および有害事象

解析方法 AUCτ,ss および Cmax,ss を,対数変換後に,投与順序,時期および薬剤を固定効果,投与順序

内被験者を変量効果とした分散分析モデルを用いて解析し,幾何平均値の比とその両側

90%信頼区間を求めた。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 2.8: 1 試験方法の概略(3/3)

解析方法

(続き)

リナグリプチンのメトホルミン併用時の薬物動態は,AUCτ,ss および Cmax,ss の幾何平均値

の比の両側 90%信頼区間が 80~125%の範囲内にあれば,メトホルミン非併用時と同等で

あると判断した。メトホルミンのリナグリプチン併用時の薬物動態は,AUCτ,ss および

Cmax,ss の幾何平均値の比の両側 90%信頼区間が 80~125%の範囲内にあれば,リナグリプ

チン非併用時と同等であると判断した。

治験責任医師

治験実施施設 米国

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 37 例が登録され,このうち 16 例の健康被験者が本試験に組入れられた。16 例のうち,第

1 期がメトホルミン単独投与期(Treatment A)で第 2 期が併用投与期(Treatment B)の AB 群

に 7 例,第 1 期が併用投与期(Treatment B)で第 2 期がメトホルミン単独投与期(Treatment A)

の BA 群に 9 例がそれぞれランダム化割付けされ,16 例すべての被験者が治験薬の投与を受け

安全性の解析対象とされた。併用投与期の Day 4 にリナグリプチンを服用しなかったが治験を

継続・完了した BA 群の 1 例および併用投与期の Day 5 にリナグリプチンを服用せず治験を中

止した AB 群の 1 例を除いた 14 例(AB 群 6 例,BA 群 8 例)が,薬物動態の解析対象とされ

た。なお,本試験に組入れられた 16 例すべての被験者が男性であり,年齢の平均値は両群(AB群 33 歳,BA 群 31 歳)で類似していた。AB 群の 43%が白人,57%が黒人であり,BA 群では

78%が白人,22%が黒人であった。身長および体重の平均値は両群で類似していた(身長:AB群 175 cm,BA 群 178 cm;体重:AB 群 80 kg,BA 群 83 kg)。BMI の平均値はいずれも 26 kg/m2

であった。全体として,ベースラインの人口統計学的特性は 2 つの群で類似していた。

3) 薬物動態

(1) メトホルミンの血漿中濃度推移 メトホルミン単独投与時またはメトホルミンとリナグリプチン併用投与時の定常状態でのメト

ホルミンの平均血漿中濃度推移を図 2.8: 1 に示した。 メトホルミンの投与 2 日目と 3 日目の血漿中トラフ濃度を比較したところ,濃度の平均値は,

メトホルミン単独投与時(Day 2:484 ng/mL,Day 3:444 ng/mL)でもリナグリプチン併用投

与時(Day 8:539 ng/mL,Day 9:540 ng/mL)でも,2 日目と 3 日目で同程度であった。したが

って,メトホルミンは定常状態に達していると考えられた(CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Table 15.5.1.1: 5-6)。 メトホルミン単独投与時の定常状態における最高血漿中濃度到達時間(tmax,ss)の中央値は約 1時間であった。リナグリプチン併用投与時に tmax,ss の中央値はわずかに遅延し,約 1.5 時間であ

った。終末相における半減期(t1/2,ss)はリナグリプチンの併用により変化しなかった。メトホ

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ルミンの血漿中濃度推移は,メトホルミン単独投与時とリナグリプチン併用投与時で類似して

いた。

図 2.8: 1 メトホルミン単独投与時またはリナグリプチンとメトホルミン併用投与時

の定常状態でのメトホルミンの平均血漿中濃度(+/- SD)推移

引用元:CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Figure 11.5.2: 1 より作成

(2) メトホルミンの薬物動態パラメータ メトホルミン単独投与時またはメトホルミンとリナグリプチン併用投与時のメトホルミンの薬

物動態パラメータを表 2.8: 2 に示した。 リナグリプチン併用投与時にメトホルミンの吸収はわずかに遅延した。尿中排泄率(feτ,ss)は

同程度であった。メトホルミンの他の薬物動態パラメータは,単独投与時とリナグリプチン併

用投与時で類似していた。

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表 2.8: 2 メトホルミン単独投与時またはリナグリプチンとメトホルミン併用投与時

のメトホルミンの薬物動態パラメータ

メトホルミン単独投与 リナグリプチンとメトホルミンの併用投与

gMean(gCV[%]) gMean(gCV[%])

N 14 14

AUCτ,ss [ng·h/mL] 8000 (26.9) 8210 (32.6)

Cmax,ss [ng/mL] 1930 (23.6) 1720 (25.0)

tmax,ssa)[h] 1.00 (0.75-2.00) 1.50 (0.75-2.00)

CL/F,ss [mL/min] 1770 (26.9) 1730 (32.6)

Vz/F,ss [L] 2400 (52.7) 1980 (59.8)

t1/2,ss [h] 15.6 (49.4) 13.2 (52.5)

feτ,ss [%] 29.5 (32.6) 29.8 (35.3)

CLR,ss [mL/min] 523 (21.0) 515 (31.9)

gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均値

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Table 11.5.2: 1 より作成

メトホルミンの Cmax,ss および定常状態における血漿中濃度-時間曲線下面積(AUCτ,ss)の幾何

平均値の比(Test/Reference)とその両側 90%信頼区間を表 2.8: 3 に示した。なお,メトホルミ

ンの幾何平均値の比は,リナグリプチンとメトホルミンの併用投与時を Test,メトホルミン単

独投与時を Reference として算出した。 メトホルミンの AUCτ,ss は,メトホルミン単独投与時とリナグリプチン併用投与時で変化しな

かった(幾何平均値の比 100.8%,90%信頼区間 89.2~113.9%)。Cmax,ss はリナグリプチンの併用

により 11.4%減少した(幾何平均値の比 88.6%,90%信頼区間 78.2~100.4%)。

表 2.8: 3 メトホルミン単独投与時(Reference)またはメトホルミンとリナグリプチ

ンの併用投与時(Test)のメトホルミンの薬物動態の ANOVA 結果

薬物動態

パラメー

N Test Reference 個体内

gCV [%]

gMean の比

(Test/Reference ratio) [%]

両側 90%信頼区間

下限値[%] 上限値 [%]

Cmax,ss

[ng/mL]

14 メトホルミン

+リナグリプチン

メトホル

ミン単独

18.5 88.63 78.223 100.410

AUCτ,ss

[ng·h/mL]

14 メトホルミン

+リナグリプチン

メトホル

ミン単独

18.0 100.81 89.24 113.86

gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均値

引用元:CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Table 11.5.2: 2 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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(3) リナグリプチンの血漿中濃度推移 Day 4,5,および 6 のリナグリプチンの血漿中トラフ濃度の幾何平均値は,それぞれ 6.98,6.92,および 7.22 nM であった(CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Table 15.5.1.1: 7 より算出)。血漿中トラ

フ濃度を視覚的に判断した結果,リナグリプチンは投与開始後 6 日以内に定常状態に達してい

ると考えられた。 Day 6 および 9 の血漿中濃度はリナグリプチン投与後速やかに増加した。リナグリプチン単独

投与時の tmax,ss の中央値は約 1 時間であった。リナグリプチンとメトホルミン併用投与時にリ

ナグリプチンの吸収はわずかに遅延し,tmax,ss の中央値は約 1.5 時間であった。 (4) リナグリプチンの薬物動態パラメータ リナグリプチン単独投与時またはリナグリプチンとメトホルミン併用投与時のリナグリプチン

の薬物動態パラメータを表 2.8: 4 に示した。 メトホルミン併用投与時にリナグリプチンの吸収はわずかに遅延した。吸収量は約 20.5%増加

したが,Cmax,ss の増加は 3.4%とわずかであった。見かけのクリアランス(CL/F,ss)は減少した

が,見かけの分布容積(Vz/F,ss)は変化しなかった。吸収が増加した結果,feτ,ss はメトホルミ

ンとの併用投与時に 4.1%から 5.5%へと約 33%増加した。しかし,リナグリプチンの尿中排泄

率はわずか(6%未満)であった。

表 2.8: 4 リナグリプチン単独投与時またはリナグリプチンとメトホルミン併用投与

時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

リナグリプチン単独投与 リナグリプチンとメトホルミンの併用投与

gMean(gCV[%]) gMean(gCV[%])

N 14 14 AUCτ,ss [nM·h] 234 (29.9) 281 (23.2) Cmax,ss [nM] 19.6 (49.8) 20.3 (31.9)

tmax,ssa)[h] 1.00 (0.5-2.03) 1.50 (0.5-4.03)

CL/F,ss [mL/min] 1500 (29.9) 1250 (23.2)

Vz/F,ss [L] 4620 (72.0) 4620 (31.0)

t1/2,ss [h] 35.5 (45.4) 42.6 (15.6)

feτ,ss [%] 4.09 (44.1) 5.45 (28.7)

CLR,ss [mL/min] 61.5 (23.8) 68.4 (19.2)

gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均値

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Table 11.5.2: 3 より作成

リナグリプチンの Cmax,ss および AUCτ,ss の幾何平均値の比とその両側 90%信頼区間を表 2.8: 5 に

示した。なお,リナグリプチンの幾何平均値の比(Test/Reference)は,リナグリプチンとメト

ホルミンの併用投与時を Test,リナグリプチン単独投与時を Reference として算出した。

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リナグリプチンの AUCτ,ssは,メトホルミンの併用により,20%増加した(幾何平均値の比 120.0%,

90%信頼区間 107.3~134.1%)。リナグリプチン単独投与時とメトホルミン併用投与時のリナグ

リプチンの Cmax,ss は変わらなかった(幾何平均値の比 103.4%,90%信頼区間 86.4~123.9%)。

表 2.8: 5 リナグリプチン単独投与時(Reference)またはリナグリプチンとメトホル

ミン併用投与時(Test)のリナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA結果

薬物動態

パラメー

N Test Reference 個体内

gCV [%]

gMean の比

(Test/Reference ratio)

[%]

両側 90%信頼区間

下限値[%] 上限値 [%]

Cmax,ss 14 リナグリプチン

+メトホルミン

リナ グ リ プ

チン単独 27.4 103.44 86.393 123.850

AUCτ,ss 14 リナグリプチン

+メトホルミン

リナ グ リ プ

チン単独 16.8 119.96 107.32 134.10

gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均値

引用元:CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Table 11.5.2: 4 より作成

4) 薬力学

(1) DPP-4 阻害 リナグリプチン単独投与時,メトホルミン単独投与時,およびリナグリプチンとメトホルミン

併用投与時の DPP-4 阻害率を表 2.8: 6 に示した。 メトホルミン単独投与時に DPP-4 活性に対する明らかな阻害作用は認められず,ベースライン

に対して最大 DPP-4 阻害率(Emax,ss)の中央値は 11.0%であった。リナグリプチン単独投与時

の投与 24 時間後の DPP-4 阻害率(E24,ss)の中央値は 89.0%であり,その阻害作用は投与間隔

の 24 時間を超えて持続した。投与後,最大の阻害作用が観察されるまでの時間は中央値で 0.64時間であり,最大 DPP-4 阻害率の中央値は 93.0%であった。メトホルミン併用投与時の DPP-4阻害作用は投与後 0.5 時間で最大となり,最大 DPP-4 阻害率の中央値は 93.5%であった。リナ

グリプチンとメトホルミンの併用投与は DPP-4 阻害率に影響しなかった。

表 2.8: 6 リナグリプチン単独投与時,メトホルミン単独投与時,およびリナグリプチ

ンとメトホルミン併用投与時の DPP-4 阻害率(中央値(最小~最大))

Dose N Emax, ss [%] E24, ss [%] tmax,ss [h]

10 mg リナグリプチン 14 93.0 (92.0 - 95.0) 89.0 (86.0 - 92.0) 0.642 (0.250 - 2.53)

10 mg リナグリプチン +

850 mg メトホルミン 14 93.5 (91.0 - 95.0) 91.0 (86.0 - 93.0) 0.500 (0.250 - 3.00)

850 mg メトホルミン 14 11.0 (4.00 - 34.0) - 3.50 (0.00 - 8.00)

引用元:CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Tables 15.6.2: 1 より作成

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5) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験における有害事象の発現率は低く,各投与期(メトホルミン単独,リナグリプチン単独,

リナグリプチンとメトホルミン併用)でそれぞれ 16 例中 2 例(12.5%)に有害事象が認められ

た(CTD 5.3.3.4-1,試験 1218.4,Table 12.2.1: 1)。リナグリプチン単独投与期の 1 例を除き,す

べての有害事象が治験薬と因果関係ありと判定された。ほとんどの有害事象が胃腸関連の事象

(腹痛,下痢および悪心)であった。胃腸関連の有害事象は,メトホルミンでプラセボに比べ

て多く認められることが報告されているが,本試験ではメトホルミンの併用により胃腸関連お

よびその他の有害事象の発現率は増加しなかった。リナグリプチンとメトホルミン併用投与期

の有害事象の発現率は,リナグリプチン単独またはメトホルミン単独投与期と同程度であった。 すべての有害事象は軽度で,重篤な有害事象および死亡は認められなかった。また,有害事象

による治験薬の投与中止および治験実施計画書で規定された重要な有害事象も認められなかっ

た。 (2) 臨床検査 試験期間を通して,リナグリプチン単独,メトホルミン単独,あるいはリナグリプチンとメト

ホルミン併用投与のいずれも,血液学的パラメータ,肝機能および腎機能に影響を及ぼしてい

ることを示すベースラインからの変化は認められなかった。また,メトホルミンあるいはリナ

グリプチンの単独投与と比べ,メトホルミンとリナグリプチンの併用投与が,腎機能検査値を

含む臨床検査値に問題となる影響を及ぼしていることを示す変化はみられなかった。肝機能検

査において,リナグリプチンとメトホルミンの併用投与期の Day 9 で 1 例に ALT 上昇が認めら

れたが,その上昇は基準値上限の 2 倍以内であり,試験終了時には基準値範囲内となり,他の

肝機能検査値の上昇は認められなかった。この ALT 上昇を除き,いずれの投与期においても,

投与期間を通して,基準値から臨床的に問題となる異常値への変化はみられなかった。 (3) バイタルサイン 試験期間を通じて,バイタルサインの変化はすべて軽微かつ基準値域内での変動であり,いず

れの投与期においても問題となる影響は認められなかった。 (4) 12 誘導心電図 リナグリプチンの単独投与またはメトホルミンとの併用投与のいずれについても,問題となる

12 誘導心電図の所見は認められなかった。

6) まとめ

メトホルミンとリナグリプチンの併用投与により,リナグリプリンはメトホルミンの曝露

(AUCτ,ss)に影響を及ぼさないことが示されたが,メトホルミンの Cmax,ss は 11%減少した。一

方,メトホルミンとリナグリプリンの併用投与によりリナグリプチンの曝露量(AUCτ,ss)は 20%増加したが,リナグリプチンの Cmax,ss は変化しなかった。単独またはメトホルミン併用のいず

れのリナグリプチン投与によっても DPP-4 阻害率は同程度であった。本治験で観察されたリナ

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グリプチンおよびメトホルミンの併用による薬物動態への影響は臨床上問題にならず,投与量

の調整は必要ないものと考えられた。

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2.9 試験 1218.9

(CTD 5.3.3.4-2)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.9: 1 に示した。

表 2.9: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男性被験者における BI 1356 BS(リナグリプチン)併用または非併用時のシンバスタ

チンおよびシンバスタチン酸の薬物動態,安全性および忍容性の検討

試験デザイン 第 I 相,非盲検,反復投与試験

対象 21~65 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg 錠

シンバスタチン 40 mg フィルムコート錠( )

目標症例数 20 例

投与方法

投与期間

投与期間は Day 1~20 の 20 日間で,Day 1~6 の 6 日間はシンバスタチン 40 mg を 1 日 1

回投与(シンバスタチン単独投与),続いて Day 7~12 の 6 日間はシンバスタチン 40 mg

およびリナグリプチン 10 mg を 1 日 1 回投与(リナグリプチン併用),その後 Day 13~20

の 8 日間はシンバスタチン 40 mg を 1 日 1 回投与 (シンバスタチン単独投与)を行った。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(Day 1~20)および治験終了期からなる。投与期の

リナグリプチンおよびシンバスタチンの薬物濃度測定用に以下の時間に採血した。Day 6

~13,Day 16~17,および Day 20~21 は入院して薬物濃度測定用採血を行った。

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表 2.9: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

a) シンバスタチンの薬物濃度測定用採血のみ実施

b) リナグリプチンの薬物濃度測定用採血のみ実施

c) 投与後 0.25~12 時間はシンバスタチンの薬物濃度測定用採血のみ実施

なお,治験薬の投与は一晩絶食後の朝に行い,投与 1 時間後に朝食を提供した(Day 6,

12,16 および 20 を除く)。入院時(Day 6~12,16 および 20)は,投与 5,10 および 13

時間後にも標準食を提供した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

Day 採血時間

Day 1,4a),5a) 投与 0.5 時間前

Day 6a) 投与 0.5 時間前,投与後 0.25,�.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

Day 7,10b),11b) 投与 0.5 時間前

Day 12 投与 0.5 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

Day 13,14 投与 0.5 時間前

Day 16c) 投与 0.5 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

Day 17,19 投与 0.5 時間前

Day 20c) 投与 0.5 時間前,投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

Day 21,26 Day 20 の投与後 24,144 時間

評価項目

評価基準

薬物動態パラメータ:

主要評価項目:

シンバスタチンの AUCτ,ss および Cmax,ss

副次評価項目:

シンバスタチン,シンバスタチン酸,リナグリプチンそれぞれの tmax,ss,Cmin,ss,Cpre,N,

λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,CL/Fss,Vz/Fss

シンバスタチン酸,リナグリプチンそれぞれの AUCτ,ss および Cmax,ss

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

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表 2.9: 1 試験方法の概略(3/3)

解析方法 AUCτ,ss および Cmax,ss を対数変換後に,薬剤を固定効果,被験者を変量効果とした分散分析

(ANOVA)モデルを用いて解析した。幾何平均値の比および 90%信頼区間を ANOVA に

おける残差に基づいて算出した。その他のすべてのパラメータについて記述統計量を算出

した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 20 例の健康男性被験者が本試験に組入れられ,治験薬の投与を受けた。全 20 例が計画ど

おり試験を完了し,中止例はなかった。本試験に組入れられたすべての被験者が白人で,年齢

は平均 37.3 歳,身長は平均 179.7 cm,体重は平均 81.0 kg,BMI は平均 25.0 kg/m2 であった。治

験実施計画書からの重大な逸脱はなかった。

3) 薬物動態

(1) シンバスタチンおよびシンバスタチン酸の血漿中濃度推移および薬物動態パラメータ シンバスタチン単独投与時(Day 6)またはリナグリプチンとシンバスタチン併用投与時(Day 12)の定常状態でのシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の平均血漿中濃度推移を図 2.9: 1および図 2.9: 2 に,薬物動態パラメータを表 2.9: 2 および表 2.9: 3 に示した。 シンバスタチンの定常状態における最高血漿中濃度(Cmax,ss)の幾何平均値は,リナグリプチ

ンの併用投与によりわずかに増加した。定常状態の血漿中濃度-時間曲線下面積(AUCτ,ss)の

幾何平均値は,リナグリプチンの併用投与により 34%増加した。定常状態の最高血漿中濃度到

達時間(tmax,ss)は 0.5~6 時間の範囲で変動し,中央値はシンバスタチン単独投与時で 0.75 時

間,リナグリプチンとの併用投与時で 1 時間であった。また,定常状態での経口クリアランス

(CL/Fss)および見かけの分布容積(Vz/Fss)はシンバスタチン単独投与時およびリナグリプチ

ンとの併用投与時のいずれにおいても被験者間変動の大きいことが示された。 シンバスタチン酸の Cmax,ss および AUCτ,ss の幾何平均値は,リナグリプチンの併用投与によりシ

ンバスタチンと同様な増加を示した。 全体として,シンバスタチンおよびシンバスタチン酸の個体間変動は大きかったが,リナグリ

プチンの併用による Cmax および AUC の増加は 1.4 倍以下であり臨床的に問題とならないと推

察された。

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図 2.9: 1 シンバスタチン 40 mg 錠 1 日 1 回(Day 1~20)およびリナグリプチン 10 mg錠 1 日 1 回(Day 7~12)反復経口投与後の定常状態でのシンバスタチンの

平均血漿中濃度推移

引用元:CTD5.3.3.4-2,試験 1218.9,Figure 11.5.2.1: 1 より作成

Arithmetic mean plasma conc.

0

2

4

6

8

0 4 8 12 16 20 24

Sim

vast

atin

pl

asm

a co

nc. [

ng/m

L]

○ Day 6 (N=20) ● Day 12 (N=20)

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図 2.9: 2 シンバスタチン 40 mg 錠 1 日 1 回(Day 1~20)およびリナグリプチン 10 mg錠 1 日 1 回(Day 7~12)反復経口投与後の定常状態でのシンバスタチン酸

の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD5.3.3.4-2,試験 1218.9,Figure 11.5.2.1: 4 より作成

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表 2.9: 2 シンバスタチン単独投与時(Day 6)またはリナグリプチンとシンバスタチ

ン併用投与時(Day 12)の定常状態でのシンバスタチンの薬物動態パラメー

Day 6

gMean (%gCV)

Day 12

gMean (%gCV)

AUC0-12,ss [ng·h/mL] 21.5 (69.3) 28.4 (60.6)

AUCτ,ss [ng·h/mL] 26.4 (72.6) 35.4 (70.1)

AUC0-tz,ss [ng·h/mL] 25.8 (74.6) 34.8 (71.7)

Cmax,ss [ng/mL] 6.29 (77.3) 6.92 (50.5)

tmax,ssa) [h] 0.750 (0.483 - 6.02) 1.00 (0.500 - 6.05)

MRTpo,ss [h] 8.41 (54.0) 8.78 (63.0)

CL/Fss [mL/min] 25300 (72.6) 18800 (70.1)

Vz/Fss [L] 14600 (76.1) 10500 (66.0)

RA, AUCτ,ss - 1.34 (30.8)

RA, Cmax,ss - 1.10 (58.3)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

引用元:CTD5.3.3.4-2,試験 1218.9,Table 11.5.2.1: 1 より作成

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表 2.9: 3 シンバスタチン単独投与時(Day 6)またはリナグリプチンとシンバスタチ

ン併用投与時(Day 12)の定常状態でのシンバスタチン酸の薬物動態パラメ

ータ

Day 6

gMean (%gCV)

Day 12

gMean (%gCV)

AUC0-12,ss [ng·h/mL] 12.7 (69.5) 15.7 (77.3)

AUCτ,ss [ng·h/mL] 17.5 (70.9) 23.3 (80.9)

AUC0-tz,ss [ng·h/mL] 15.1 (86.3) 20.8 (96.7)

Cmax,ss [ng/mL] 1.64 (69.2) 1.98 (77.4)

tmax,ssa) [h] 5.98 (0.750 - 12.1) 6.10 (0.750 - 12.0)

MRTpo,ss [h] 11.3 (45.5) 13.1 (38.1)

CL/Fss [mL/min] 38100 (70.9) 28600 (80.9)

Vz/Fss [L] 19600 (99.2) 15300 (116)

RA, AUCτ,ss - 1.33 (32.0)

RA, Cmax,ss - 1.21 (47.3)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

引用元:CTD5.3.3.4-2,試験 1218.9,Table 11.5.2.1: 2 より作成

(2) リナグリプチンの血漿中濃度推移および薬物動態パラメータ リナグリプチンとシンバスタチン併用投与時(Day 12)の定常状態でのリナグリプチンの薬物

動態パラメータを表 2.9: 4 に示した。 リナグリプチンをシンバスタチンと併用した場合,リナグリプチンの血漿中濃度は 6 日以内に

定常状態に達した。Day 12 において,リナグリプチン投与後血漿中濃度は速やかに増加し,tmax,ss

の中央値は 1 時間であった。薬物動態パラメータの値はこれまでの試験結果と同程度であった。

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表 2.9: 4 リナグリプチンとシンバスタチン併用投与時(Day 12)の定常状態でのリナ

グリプチンの薬物動態パラメータ

Day 12

gMean (%gCV)

AUC0-12,ss [nM·h] 159 (28.5)

AUCτ,ss [nM·h] 244 (25.3)

AUC0-tz,ss [nM·h] 241 (25.4)

Cmax,ss [nM] 25.9 (40.7)

tmax,ssa) [h] 1.00 (0.500 - 6.00)

MRTpo,ss [h] 91.7 (18.5)

CL/Fss [mL/min] 1450 (25.3)

Vz/Fss [L] 20800 (25.8)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値(最小値~最大値)

引用元:CTD5.3.3.4-2,試験 1218.9,Table 11.5.2.2: 1 より作成

(3) シンバスタチンおよびシンバスタチン酸の統計解析による評価 シンバスタチンおよびシンバスタチン酸のシンバスタチン単独投与時及びリナグリプチンとシ

ンバスタチン併用投与時の AUCτ,ss および Cmax,ss の幾何平均値の比(Test/Reference)とその両

側 90%信頼区間を表 2.9: 5 に示した。なお,リナグリプチンとシンバスタチン併用投与時の Day 12 を Test,シンバスタチン単独投与時の Day 6 を Reference として算出した。 リナグリプチンの併用投与によりシンバスタチンの AUCτ,ss および AUC0-12,ss はそれぞれ 34.2%および 32.5%増加した。また,シンバスタチンの Cmax,ss への影響は小さく,幾何平均値の比は

110.0%であった。シンバスタチン酸の AUCτ,ss および Cmax,ss も同様な傾向であった。 シンバスタチンは CYP3A4 に対する特異性の高い基質であり,既知の CYP3A4 阻害剤との併用

によりシンバスタチンの AUC が 19 倍程度増加することが示されている。6 日間のリナグリプ

チンとの併用による定常状態のシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の AUCの増加は 1.4倍未満であることから,リナグリプチンの CYP3A4 阻害作用は弱く,シンバスタチンとの併用は

臨床的に問題とならないと考えられた。

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Page 169: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 2.9: 5 シンバスタチン単独投与時(Reference)またはリナグリプチンとシンバス

タチン併用投与時(Test)の薬物動態パラメータの ANOVA の結果

パラメータ Test

(N=20)

Reference

(N=20)

被験者

内 gCV

gMean の比

(Test/Reference)

両側 90%信頼区間

[%] [%] 下限値

[%]

上限値 [%]

シンバスタチン

AUCτ,ss

[ng·h/mL]

シンバスタチン+リ

ナグリプチン(D12)

シンバス

タチン(D6)

21.5 134.2 119.4 150.7

AUC0-12,ss

[ng·h/mL]

シンバスタチン+リ

ナグリプチン(D12)

シンバス

タチン(D6)

17.9 132.5 120.2 146.1

Cmax,ss

[ng/mL]

シンバスタチン+リ

ナグリプチン(D12)

シンバス

タチン(D6)

39.7 110.0 89.3 135.6

シンバスタチン酸

AUCτ,ss

[ng·h/mL]

シンバスタチン+リ

ナグリプチン(D12)

シンバス

タチン(D6)

22.3 133.3 118.1 150.3

AUC0-12,ss

[ng·h/mL]

シンバスタチン+リ

ナグリプチン(D12)

シンバス

タチン(D6)

26.8 123.7 107.1 142.9

Cmax,ss

[ng/mL]

シンバスタチン+リ

ナグリプチン(D12)

シンバス

タチン(D6)

32.6 120.7 101.5 143.6

gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均値

引用元:CTD5.3.3.4-2,試験 1218.9,Table 11.5.2.3: 1 より作成

4) 安全性

(1) 曝露状況 すべての被験者において,20 日間の投与期間でシンバスタチンの総累積曝露量は 800 mg,リ

ナグリプチンの総累積曝露量は 60 mg であった。 (2) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,投与期(Day 1~20)および治験終了期に発現した好ましくないすべての事象を治

療期間中の有害事象とした。 20 例の被験者のうち 11 例(55.0%)に 20 件の有害事象が認められた。ほとんどの有害事象が

軽度であり,中等度の有害事象は 3 件(頭痛,下痢,高血圧),高度の有害事象は 1 件(頭痛)

認められた。重篤な有害事象,死亡,および治験中止に至った有害事象は認められなかった。

スクリーニング期に認められた有害事象はなかった(CTD 5.3.3.4-2,試験 1218.9,Table 12.2.1: 1)。

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治験期間中に発現した主な有害事象を表 2.9: 6 に示した。最も高頻度に認められた有害事象は

頭痛で,8 例に 9 件認められた。9 件中 6 件がリナグリプチン併用前の最初のシンバスタチン単

独投与期(Day 1~6)に認められた。頭痛の重症度は,ほとんどが軽度であったが,他に中等

度および高度の頭痛がそれぞれ 1 件認められた。 治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は 6 例で,その内訳は頭痛,

下痢,ミオパチー,出血時間延長であった。頭痛,下痢,ミオパチーはシンバスタチンの副作

用として知られている。ミオパチーは,Day 1 のシンバスタチン投与約 4 時間後に軽度なもの

が 1 件認められ,約 18 時間持続した。出血時間延長は Day 13 の朝,治験薬投与前に最初に認

められたが,血液学的検査,特に血液凝固検査の結果,異常所見または基準値からの逸脱は認

められなかった。

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表 2.9: 6 治験期間中に発現した有害事象(Safety Set)

Sub

No.

器官別大分類/基本語 a) Treatment at onset Start

day

End

day

Intensity Relationship

神経系障害(Nervous system disorders)

1 頭痛(Headache) Sim 3 3 mild yes

5 頭痛(Headache) Sim 1 1 mod yes

9 頭痛(Headache) Sim 6 6 mild yes

15 頭痛(Headache) Sim 6 6 mild no

頭痛(Headache) Sim + BI 1356 BS 12 13 mild no

17 頭痛(Headache) Sim 6 7 severe no

18 頭痛(Headache) Sim 3 4 mild yes

12 頭痛(Headache) Sim + BI 1356 BS 12 13 mild no

7 頭痛(Headache) Post 24 24 mild no

血管障害(Vascular disorders)

18 高血圧(Hypertension) Sim + BI 1356 BS 10 10 mod no

呼吸器、胸郭および縦隔障害

(Respiratory, thoracic, and mediastinal disorders)

5 咽喉頭疼痛(Pharyngolaryngeal pain) Sim post BI 1356 BS 15 18 mild no

胃腸障害(Gastrointestinal disorders)

9 下痢(Diarrhoea) Sim 2 5 mod yes

17 悪心(Nausea) Sim /

Sim + BI 1356 BS

6 7 mild no

嘔吐(Vomiting) Sim 6 6 mild no

10 歯痛/歯の脱落(Toothache/Tooth loss) Post 22/24 22/27 mild/mild no/no

18 腹痛(Abdominal pain) Post 26 27 mild no

筋骨格系および結合組織障害

(Muscoskeletal and connective tissue disorders)

19 ミオパチー(Myopathy) Sim 1 2 mild yes

全身障害および投与局所様態

(General disorders)

15 インフルエンザ様疾患

(Influenza like symptoms)

Post 22 42 mild no

臨床検査(Investigations)

11 出血時間延長(Bleeding time prolonged) Sim + BI 1356 BS /

Sim post BI 1356 BS

13 26 mild yes

a )MedDRA version

引用元:CTD 5.3.3.4-2,試験 1218.9,Table 12.2.2: 1 より作成

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(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 概して,臨床検査値のベースラインからの変化は少なく安定しており,併用/非併用投与間で

臨床的に問題となる差は認められなかった。個々の患者でシンバスタチンの副作用として知ら

れている肝機能検査値の変動が観察されたが,いずれも基準値上限の 2 倍以内の変動であった。

1 例において,スクリーニング時および Visit 4(2 回目のシンバスタチン単独投与時)に総ビリ

ルビンの基準値上限の 2 倍を超える上昇が認められたが,他の肝機能検査値はすべて基準範囲

内にあった。他に安全性に関する臨床検査値が基準値上限の 2 倍に上昇した被験者はいなかっ

た。 (4) 忍容性 忍容性は,Visit 2 に十分であると判定された 1 例を除き,すべての被験者のすべての評価日で

良好と判定された。

5) まとめ

リナグリプチンの併用投与により,CYP3A4 の基質であるシンバスタチンおよびシンバスタチ

ン酸の Cmax,ss および AUCτ,ss が 10~34%の範囲で増加した。この結果から,リナグリプチンの

CYP3A4 阻害作用は弱く,リナグリプチンとシンバスタチンを併用しても両薬剤の相互作用は

臨床的に問題とならないと考えられる。 全体的に安全性は良好であった。臨床検査値は,数例で軽微な変動が認められたことを除き,

ベースラインからの変化は少なく安定していた。リナグリプチン,シンバスタチンともに忍容

性は良好で,有害事象の発現率は低かった。重篤な有害事象,死亡,および治験中止に至った

有害事象は認められなかった。

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2.10 試験 1218.13

(CTD 5.3.3.4-3)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.10: 1 に示した。

表 2.10: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男女被験者における BI 1356 (リナグリプチン)およびピオグリタゾンの併用投与時

とリナグリプチンおよびピオグリタゾンそれぞれを単独投与したときのバイオアベイラ

ビリティの比較

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検,反復投与,2 期クロスオーバー試験

対象 18~65 歳までの健康男性被験者および健康女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 10 mg 錠

ピオグリタゾン 45 mg 錠( )

目標症例数 20 例

投与方法

投与期間

クロスオーバー法により,以下の併用投与期とピオグリタゾン単独投与期を交互に試験し

た。

・併用投与期(投与期間は Day 1~12 の 12 日間):

Day 1~5 の 5 日間にリナグリプチン 10 mg を 1 日 1 回投与(リナグリプチン単独投与),

続いて Day 6~12 の 7 日間にリナグリプチン 10 mg およびピオグリタゾン 45 mg を 1 日

1 回投与(ピオグリタゾン併用)

・ピオグリタゾン単独投与期(投与期間は Day 1~7 の 7 日間):

Day 1~7 の 7 日間にピオグリタゾン 45 mg を 1 日 1 回投与(ピオグリタゾン単独投与)

なお,各期の間に以下のウォッシュアウト期を設けた。

併用投与期からピオグリタゾン単独投与期への移行時:リナグリプチン最終投与後 21 日

間以上

ピオグリタゾン単独投与期から併用投与期への移行時:ピオグリタゾン最終投与後 6 日間

以上

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(併用投与期は Day 1~21,ピオグリタゾン単独投

与期は Day 1~12,いずれも外来検査日を含む),ウォッシュアウト期,および治験終了期

からなる。投与期における薬物濃度測定用に以下の時間に採血した。なお,併用投与期の

Day 4~13 およびピオグリタゾン単独投与期の Day 6~8 は入院とした。

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表 2.10: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

a)ピオグリタゾンの血漿中濃度測定用採血も実施

b)リナグリプチンの血漿中濃度測定用採血のみ実施

薬物濃度測定用蓄尿は以下の時間に行った。

投与期 測定項目 Day 蓄尿時間

併用

投与期

リナグリプチ

ン単独投与(ピ

オグリタゾン

非併用)

薬物濃度(リナ

グリプチン)

Day 1 投与 15 分前

Day 5 投与 15 分前,投与後 0~4,4

~8,8~12,12~24 時間

リナグリプチ

ンとピオグリ

タゾンの併用

投与

薬物濃度(リナ

グリプチン,

ピオグリタゾ

ン)

Day 6a) 投与 15 分前

Day 12

投与 15 分前,投与後 0~4,4

~8,8~12,12~24 時間

ピ オ グ

リ タ ゾ

ン 単 独

投与期

ピオグリタゾ

ン単独投与

薬物濃度(ピオ

グリタゾン)

Day 1 投与 15 分前

Day 7 投与 15 分前,投与後 0~4,4

~8,8~12,12~24 時間

a)ピオグリタゾンの尿中濃度測定用蓄尿のみ実施

なお,治験薬の投与は一晩絶食後の朝に行い,投与 1 時間後に朝食を提供した(併用投与

期の Day 5 および 12,ビオグリタゾン単独投与期の Day 7 を除く)。入院時(併用投与期

投与期 測定項目 Day 採血時間

併用

投与期

リナグリプチ

ン 単 独 投 与

(ピオグリタ

ゾン非併用)

薬物濃度

(リナグ

リプチン)

Day 1a),3,4 投与 15 分前

Day 5

投与 15 分前,投与後 15,30,

45 分,1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

リナグリプチ

ンとピオグリ

タゾンの併用

投与

薬物濃度

(リナグ

リプチン,

ピオグリ

タゾン)

Day 6,10,11 投与 15 分前

Day 12 投与 15 分前,投与後 15b),30,

45 分 b),1,1.5,2,3,4,6,8,

12 時間

Day 13~21 Day 12 の投与後 24,48,96,144,

192,216 時間

ピオグ

リタゾ

ン単独

投与期

ピオグリタゾ

ン単独投与

薬物濃度

(ピオグ

リタゾン)

Day 1,5,6 投与 15 分前

Day 7 投与 15 分前,投与後 0.5,1,1.5,

2,3,4,6,8,12 時間

Day 8~12 Day 7 の投与後 24,48,72,96,

120 時間

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表 2.10: 1 試験方法の概略(3/3)

観察項目

観察時期

(続き)

の Day 5~12,単独投与期の Day 7)は,投与 1 時間,4 時間 15 分,9 および 13 時間後に

も標準食を提供した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

薬物動態パラメータ:

主要評価項目:

リナグリプチンのピオグリタゾン併用または非併用時の AUCτ,ss および Cmax,ss

ピオグリタゾンおよびその活性代謝物 M-III ならびに M-IV のリナグリプチン併用ま

たは非併用時の AUCτ,ss および Cmax,ss

副次評価項目:

リナグリプチンおよびピオグリタゾンの tmax,ss,C24,ss,λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,CL/Fss,

Vz/Fss

M-III および M-IV の tmax,ss,C24,ss,λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,CL/Fss,Vz/Fss

活性を持たないリナグリプチンの代謝物 CD 1790 の AUCτ,ss,Cmax,ss ,tmax,ss,C24,ss,

λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,CL/Fss,Vz/Fss

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 リナグリプチンは AUCτ,ss および Cmax,ss を対数変換後に,薬剤を固定効果,被験者を変量

効果とした ANOVA モデルを用いて解析した。ピオグリタゾンは AUCτ,ss および Cmax,ss を対

数変換後に,投与順序,時期および薬剤を固定効果,投与順序内被験者を変量効果とした

ANOVA を用いて解析した。両側 90%信頼区間を算出した後,オリジナルスケールに逆変

換して,幾何平均値の比とその信頼区間を求めた。

治験責任医師

治験実施施設 ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 20 例(男女各 10 例)の健康被験者が本試験に組入れられた。20 例のうち,第 1 期が併用

投与期で第 2期がピオグリタゾン単独投与期の群またはその逆の順序の群にそれぞれ 10例がラ

ンダム化割付けされ,全被験者が治験薬の投与を受けた。全 20 例が計画どおり試験を完了し,

中止例はなかった。なお,本試験に組入れられた全被験者が白人で,年齢は平均 44.6 歳,身長

は平均 174.4 cm,体重は平均 73.4 kg,BMI は平均 24.2 kg/m2 であった。治験実施計画書からの

重大な逸脱はなかった。

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3) 薬物動態

(1) リナグリプチンの薬物動態 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投与時の定常状態にお

ける,リナグリプチンおよびその薬理活性をもたない代謝物 CD 1790 それぞれの平均血漿中濃

度推移を図 2.10: 1 および図 2.10: 2 に,薬物動態パラメータを表 2.10: 2 および表 2.10: 3 に示し

た。 リナグリプチン 10 mg を 1 日 1 回投与時のリナグリプチンの血漿中濃度は,投与開始 5 日以内

に定常状態に達した。 リナグリプチンの定常状態における最高血漿中濃度(Cmax,ss)の幾何平均値(幾何変動係数)

は,リナグリプチン単独投与時で 29.0 nM(62.1%),ピオグリタゾンとの併用投与時で 31.1 nM(60.9%)であった。ピオグリタゾンとの併用の有無にかかわらずリナグリプチン投与後の血

漿中濃度は速やかに上昇し最高血漿中濃度到達時間(tmax,ss)の中央値は約 1.5 時間であった。

リナグリプチンの定常状態における 1 投与間隔 τ までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUCτ,ss)

の幾何平均値は,リナグリプチン単独投与時で 308 nM·h,ピオグリタゾンとの併用投与時で 349 nM·h であった。主代謝物である CD 1790 の Cmax,ss の幾何平均値は,リナグリプチン単独投与時

で 9.00 nM,ピオグリタゾンとの併用投与時で 10.2 nM であり,tmax,ss の中央値はそれぞれ 2 時

間および 1.5 時間であった。CD 1790 の AUCτ,ss の幾何平均値は,リナグリプチン単独投与時で

66.0 nM·h,ピオグリタゾンとの併用投与時で 84.0 nM·h であった。

図 2.10: 1 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の定常状態でのリナグリプチンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Figure 11.5.2.1: 1 より作成

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図 2.10: 2 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の定常状態での CD 1790 の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Figure 11.5.2.1: 2 より作成

表 2.10: 2 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

リナグリプチン単独投与 リナグリプチンとピオグリタゾン併用投与

N 20 20

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 308 40.2 349 37.3 Cmax,ss [nM] 29.0 62.1 31.1 60.9

tmax,ssa) [h] 1.50 0.500-6.00 1.50 0.750-8.05

CL/Fss [mL/min] 1150 40.2 1010 37.3

feτ,ss [%] 6.92 48.9 8.54 43.8

CLR,ss [mL/min] 79.4 24.3 85.5 20.4

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 11.5.2.2: 1 より作成

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表 2.10: 3 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の CD 1790 の薬物動態パラメータ

リナグリプチン単独投与 リナグリプチンとピオグリタゾン併用投与

N 20 20

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 66.0 60.9 84.0 48.2

Cmax,ss [nM] 9.00 67.9 10.2 63.9

tmax,ssa) [h] 2.00 1.00-6.00 1.50 1.00-4.00

t1/2,ss [h] NC NC 18.3 67.9

feτ,ss [%] 0.0835 51.7 0.109 49.9

CLR,ss [mL/min] 4.46 41.7 4.54 39.5

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数,NC:not calculated

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 11.5.2.2: 2 より作成

(2) ピオグリタゾンの薬物動態 ピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投与時の定常状態にお

ける,ピオグリタゾン,その活性代謝物 M-IV および M-III それぞれの平均血漿中濃度推移を図

2.10: 3,図 2.10: 4 および図 2.10: 5 に,薬物動態パラメータを表 2.10: 4,表 2.10: 5 および表 2.10: 6 に示した。 ピオグリタゾン 45 mg を 1 日 1 回投与時のピオグリタゾンの血漿中濃度は,投与開始 7 日以内

に定常状態に達した。 ピオグリタゾンの Cmax,ss の幾何平均値は,ピオグリタゾン単独投与時で 1410 ng/mL,リナグリ

プチンとの併用投与時で 1210 ng/mL であり,tmax,ss の中央値はそれぞれ 1.75 時間および 2.03 時

間であった。ピオグリタゾンの AUCτ,ss の幾何平均値は,ピオグリタゾン単独投与時で 14100 ng·h/mL,リナグリプチンとの併用投与時で 13300 ng·h/mL であった。ピオグリタゾンの代謝物

である M-IV および M-IV からさらに代謝されて生成する代謝物である M-III の Cmax,ss の幾何平

均値は,ピオグリタゾン単独投与時でそれぞれ 1190 ng/mL および 484 ng/mL,リナグリプチン

との併用投与時でそれぞれ 1240 ng/mL および 466 ng/mL であった。M-IV および M-III の AUCτ,ss

の幾何平均値は,ピオグリタゾン単独投与時でそれぞれ 24800 ng·h/mL および 9260 ng·h/mL,リナグリプチンとの併用投与時でそれぞれ 25700 ng·h/mL および 9050 ng·h/mL であった。

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図 2.10: 3 ピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の定常状態でのピオグリタゾンの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Figure 11.5.2.1: 3 より作成

図 2.10: 4 ピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の定常状態での M-IV の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Figure 11.5.2.1: 4 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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Page 180: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

図 2.10: 5 ピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の定常状態での M-III の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Figure 11.5.2.1: 5 より作成

表 2.10: 4 ピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時のピオグリタゾンの薬物動態パラメータ

ピオグリタゾン単独投与 リナグリプチンとピオグリタゾン併用投与

N 20 20

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [ng·h/mL] 14100 29.9 13300 37.4 Cmax,ss [ng/mL] 1410 30.8 1210 42.8

tmax,ssa) [h] 1.75 0.500-4.00 2.03 0.500-8.00

CL/Fss [mL/min] 53.1 29.9 56.2 37.4

Vz/Fss [L] 44.0 40.1 58.4 52.4

t1/2,ss [h] 9.57 39.9 12.0 34.2

feτ,ss [%] NC NC NC NC

CLR,ss [mL/min] NC NC NC NC

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数,NC: not calculated

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 11.5.2.2: 3 より作成

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Page 181: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 2.10: 5 ピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の M-IV の薬物動態パラメータ

ピオグリタゾン単独投与 リナグリプチンとピオグリタゾン併用投与

N 20 20

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [ng·h/mL] 24800 19.6 25700 24.8

Cmax,ss [ng/mL] 1190 18.9 1240 24.4

tmax,ssa) [h] 8.00 1.50-12.0 6.00 1.50-12.0

t1/2,ss [h] 22.1 21.8 22.6 14.9

feτ,ss [%] 0.163 45.9 0.145 62.1

CLR,ss [mL/min] 0.0495 43.8 0.0422 54.7

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 11.5.2.2: 4 より作成

表 2.10: 6 ピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチンとピオグリタゾン併用投

与時の M-III の薬物動態パラメータ

ピオグリタゾン単独投与 リナグリプチンとピオグリタゾン併用投与

N 20 20

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [ng·h/mL] 9260 31.3 9050 36.3 Cmax,ss [ng/mL] 484 27.6 466 36.8

tmax,ssa) [h] 4.00 1.50-12.0 4.00 0-24.0

t1/2,ss [h] 22.5 24.5 23.2 19.3

feτ,ss [%] NC NC NC NC

CLR,ss [mL/min] NC NC NC NC

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数,NC: not calculated

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 11.5.2.2: 5 より作成

(3) 統計解析による評価(相対バイオアベイラビリティ) リナグリプチン,CD 1790,ピオグリタゾン,M-III および M-IV に関する AUCτ,ss および Cmax,ss

の幾何平均値の比(Test/Reference)とその両側 90%信頼区間を表 2.10: 7 に示した。なお,幾何

平均値の比は,リナグリプチンとピオグリタゾンの併用投与時を Test,リナグリプチンまたは

ピオグリタゾンの単独投与時を Reference として算出した。 リナグリプチンの曝露は,ピオグリタゾンの併用投与により影響を受けなかった。リナグリプ

チンの AUCτ,ss および Cmax,ss の幾何平均値の比は,113.4%および 107.3%であり,生物学的同等

性の基準(80~125%)内であった。CD 1790 に関して,Cmax,ss では同様の結果であったが,AUCτ,ss

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はピオグリタゾン併用投与により,わずかに増加した(幾何平均値の比:127.3%,90%信頼区

間 111.3~145.6%)。 ピオグリタゾンの Cmax,ss を除き,ピオグリタゾン,M-III および M-IV に関する AUCτ,ss および

Cmax,ss は,リナグリプチン併用投与による影響はみられなかった。ピオグリタゾンの Cmax,ss は

リナグリプチン併用投与で約 14%低下したが(幾何平均値の比:85.6%,90%信頼区間 78.1~93.8%),長期投与される薬剤では Cmax よりも AUC の方が重要であり,Cmax の低下による安全

性上の懸念は生じないと考えられるため,この結果は,臨床的に問題とならないと考えられた。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 2.10: 7 リナグリプチンおよびピオグリタゾンを単独および併用投与したときの薬

物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ Test

(N=20)

Reference

(N=20)

個体内

gCV[%]

gMean の比

(Test/Reference)

両側 90%信頼区間

[%] 下限値

[%]

上限値

[%]

リナグリプチン

AUCτ,ss [nM·h] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

リナグリ

プチン

17.8 113.4 103.0 124.9

Cmax,ss [nM] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

リナグリ

プチン

28.2 107.3 92.3 124.8

CD 1790

AUCτ,ss [nM·h] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

リナグリ

プチン

24.9 127.3 111.3 145.6

Cmax,ss [nM] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

リナグリ

プチン

29.0 113.5 97.1 132.6

ピオグリタゾン

AUCτ,ss [ng·h/mL] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

ピオグリ

タゾン

14.7 94.4 87.1 102.2

Cmax,ss [ng/mL] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

ピオグリ

タゾン

16.8 85.6 78.1 93.8

M-III

AUCτ,ss [ng·h/mL] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

ピオグリ

タゾン

12.3 97.7 91.3 104.4

Cmax,ss [ng/mL] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

ピオグリ

タゾン

19.1 96.4 86.8 106.9

M-IV

AUCτ,ss [ng·h/mL] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

ピオグリ

タゾン

12.6 103.9 97.0 111.3

Cmax,ss [ng/mL] リナグリプチン+

ピオグリタゾン

ピオグリ

タゾン

13.9 104.6 97.0 112.8

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 11.5.2.3: 1 より作成

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4) 安全性

(1) 曝露状況 すべての被験者において,リナグリプチンの総投与量は 120 mg(1 日 1 回 10 mg 12 日間投与),

ピオグリタゾンの総投与量は 630 mg(1 日 1 回 45 mg 14 日間投与)であった。 (2) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,20 例の被験者のうち 14 例(70.0%)に 27 件の有害事象が認められた。有害事象

の重症度は,軽度が 14 件,中等度が 12 件(腹痛,疲労,冷感,頭痛,鼻咽頭炎),高度が 1件(浮動性めまい)であった(CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 12.2.1:1)。重篤な有害事象,

死亡,他の重要な有害事象および治験中止に至った有害事象は認められなかった。 治験期間中に発現した有害事象を表 2.10: 8 に示した。最も高頻度に発現した有害事象は頭痛(4例に 7 件)および疲労(5 例に 6 件)で,それぞれの発現率はすべての投与方法で同程度であ

った。7 件の頭痛のうち 6 件が因果関係ありと治験担当医師により判定された。その発現時期

は,リナグリプチン単独投与時に 3 件,ピオグリタゾン単独投与時に 1 件,リナグリプチンと

ピオグリタゾン併用投与時に 1 件,およびウォッシュアウト期に 1 件であった。疲労は 6 件の

うち 5 件が因果関係ありと判定され,ピオグリタゾン単独投与時に 3 件およびリナグリプチン

単独投与時に 2 件であった。その他,リナグリプチン単独投与時に 1 件の軽度な下痢が発現し

因果関係ありと判定された。これらのほかに,治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は

本試験では認められなかった。唯一高度と判定された有害事象(浮動性めまい)は,ピオグリ

タゾン単独投与終了後のウォッシュアウト期に発現し,採血時の血管迷走神経性反応として報

告された。

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表 2.10: 8 治験期間中に発現した有害事象

Subj. No.

器官別大分類 基本語 a)

Treatment at onset

Start day b)

End day b)

Duration (hours)

Intensity Drug related

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations)

12 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) BI 1356 + Pio

6 38 768 moderate no

17 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) Pio 2 15 300 mild no 9 鼻炎 (Rhinitis) Pio 3 12 205 mild no 精神障害 (Psychiatric disorders) 13 睡眠障害 (Sleep disorder) Washout 2 5 6 10 mild no 神経系障害 (Nervous system disorders) 9 浮動性めまい (Dizziness) Washout 1 1 1 1 severe no 10 頭痛 (Headache) BI 1356 2 2 4 mild yes 13 頭痛 (Headache) Washout 2 6 7 18 mild no 17 17 17

頭痛 (Headache) 頭痛 (Headache) 頭痛 (Headache)

Washout 1BI 1356 BI 1356 +Pio

1 1 1

2 2 7

13 17 24

mild moderate moderate

yes yes yes

20 20

頭痛 (Headache) 頭痛 (Headache)

Pio BI 1356

2 2

7 6

8 21

mild moderate

yes yes

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 20 腹痛 (Abdominal pain) BI 1356 5 5 15 moderate no 5 下痢 (Diarrhoea) Post-treat-

ment 3 4 35 mild no

14 下痢 (Diarrhoea) BI 1356 6 6 3 mild yes 18 下痢 (Diarrhoea) Washout 2 5 5 1 mild no 16 悪心 (Nausea) BI 1356 +

Pio 7 7 2 mild no

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders)

16 皮膚乾燥 (Dry skin) Washout 1 4 6 50 mild no 全身障害および投与局所様態

(General disorders and administration site conditions)

2 疲労 (Fatigue) Pio 1 2 21 moderate yes 4 疲労 (Fatigue) BI 1356 1 1 6 moderate yes 7 疲労 (Fatigue) Pio 2 4 28 moderate yes 19 疲労 (Fatigue) BI 1356 1 1 1 moderate no 20 20

疲労 (Fatigue) 疲労 (Fatigue)

Pio BI 1356

2 1

2 1

4 7

mild moderate

yes yes

17 17

冷感 (Feeling cold) 冷感 (Feeling cold)

BI 1356 BI 1356 + Pio

1 1

4 8

20 21

moderate moderate

no no

20 末梢性浮腫 (Oedema peripheral) BI 1356 + Pio

3 3 1 mild no

注)BI 1356=リナグリプチン 10 mg,Pio=ピオグリタゾン 45 mg,Washout 1 = 1 期にピオグリタゾン投与後の

ウォッシュアウト期,Washout 2 = 1 期にリナグリプチンとピオグリタゾン併用投与後のウォッシュアウト期

a)MedDRA

b)投与開始日および投与終了日

引用元:CTD 5.3.3.4-3,試験 1218.13,Table 12.2.2: 1 より作成

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(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 臨床検査値および安全性に関連する他のすべての観察項目において臨床的に問題となる基準値

からの逸脱は認められず,投与方法間で臨床的に問題となる差も認められなかった。 (4) 忍容性 忍容性は,すべての被験者,すべての投与方法について良好と判定された。

5) まとめ

ピオグリタゾンの併用投与により,リナグリプチンの定常状態での薬物動態は影響を受けなか

った。リナグリプチン単独投与時に対するピオグリタゾン併用投与時のリナグリプチンの

AUCτ,ss および Cmax,ss の幾何平均値の比の信頼区間は生物学的同等性の基準である 80~125%内

であった。同様に,ピオグリタゾンの AUCτ,ss および 2 つの活性代謝物の AUCτ,ss および Cmax,ss

は,ピオグリタゾン単独投与時とリナグリプチンとの併用投与時で同程度であった。ピオグリ

タゾンの Cmax,ss はリナグリプチンとの併用投与時に約 14%低下したが,糖尿病治療薬のように

長期投与される薬剤の有効性には Cmax よりも AUC の方が重要であり,Cmax の低下による安全

性上の懸念は生じないと推察され,臨床的に問題とならないと考えられた。全体的に,本試験

でみられたリナグリプチンおよびピオグリタゾンの薬物動態への影響は臨床的に問題とならな

いと推察され,リナグリプチンとピオグリタゾン併用投与において,両薬剤の用量調整の必要

性はないと考えられた。 リナグリプチンおよびピオグリタゾンは,それぞれの単独投与時,併用投与時のいずれにおい

ても良好な忍容性を示した。臨床検査値は安定しており,全体的な安全性プロファイルはすべ

ての投与方法で良好であった。有害事象の発現率は低く,投与方法間で差は認められなかった。

ほとんどの有害事象は軽度または中等度であり,重篤な有害事象,死亡,他の重要な有害事象

および治験中止に至った有害事象は認められなかった。

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2.11. 試験 1218.28

(CTD 5.3.3.4-4)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.11: 1 に示した。

表 2.11: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男性被験者における BI 1356(リナグリプチン)がワルファリンの薬物動態および薬

力学的パラメータに及ぼす影響の有無および程度の検討

試験デザイン 第 I 相,非盲検,2 期投与順序固定試験

対象 18~50 歳までの CYP2C9 の遺伝子型が野生型ホモ接合体(*1/*1)の健康男性被験者,BMI

は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

ワルファリン 10 mg 錠( )

目標症例数 18 例

投与方法

投与期間

本試験では,2 つの投与期(ワルファリン単独投与期;Reference 期,およびワルファリン

とリナグリプリンの併用投与期;Test 期)を設け,Reference 期から Test 期への移行時に

14 日間以上のウォッシュアウト期を設定した。

・ワルファリン単独投与期(以下「単独投与期」)

ワルファリン 10 mg を単独単回投与

・ワルファリンとリナグリプリンの併用投与期(以下「併用投与期」)

リナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回 12 日間反復投与し,6 日目のみワルファリン 10 mg を

併用単回投与した。

なお,治験薬の投与は 10 時間以上の絶食後に実施した。

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表 2.11: 1 試験方法の概略(2/2)

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,単独投与期,ウォッシュアウト期,併用投与期,治験終了

期からなる。各投与期では,薬物濃度および薬力学マーカー測定用に以下のスケジュール

で採血した。

投与期 測定項目 採血時期

ワルファリン

単独投与期

ワルファリン 投与前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,10,12,

24,36,48,72,96,120,144,168 時間

PT/INR 投与前,投与後 6,12,24,36,48,72,96,120,144,

168 時間

休薬期 14 日以上

ワルファリン/

リナグリプチン

併用投与期

リナグリプチン 投与前

ワルファリン 投与前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,10,12,

24,36,48,72,96,120,144,168 時間

PT/INR 投与前,投与後 6,12,24,36,48,72,96,120,144,

168 時間

また,その他の観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧・脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

薬物動態パラメータ:R-ワルファリンおよび S-ワルファリン

主要評価項目:AUC0-∞および Cmax

副次評価項目:AUC0-tz,AUC0-168,tmax,λz,t1/2,MRTpo,CL/F および Vz/F

薬力学的パラメータ:INR(国際標準化比):AUC0-168 および Emax INR

プロトロンビン時間(PT):AUC0-168 および Emax PT

安全性評価項目:

身体所見,バイタルサイン(血圧・脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象,忍

容性

解析方法 R-ワルファリンと S-ワルファリンそれぞれの AUC0-∞および Cmax について,薬剤を固定効

果,被験者を変量効果として含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する ANOVA を

行った。幾何平均値の比および 90%信頼区間を算出した。信頼区間は ANOVA における残

差に基づいて算出した。

他のパラメータについて,記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

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2) 治験対象

組入れられた 18 例の被験者すべてが治験実施計画書に従って治験薬を投与され,試験を完了し

た。被験者はすべて白人男性であり,年齢は平均 35.3 歳,BMI は平均 23.4 kg/m2 であった。合

併症のある被験者はいなかった。組入れられた被験者のうち,1 例は CYP 2C9 の遺伝子型が野

生型ホモ接合体(*1/*1)であるという選択基準を満たしていなかった。本被験者の遺伝子型は

*1/*3 であり,S-ワルファリンの intermediate metabolizer であったが,ワルファリン単独投与後

のプロトロンビン時間(PT)を含む臨床検査値の明らかな変化もなく,問題なく試験を完了し

た。

3) 薬物動態

(1) 薬物動態パラメータ

ワルファリン 10 mg 単独投与後およびリナグリプチン 5 mg の併用投与後の R-および S-ワルフ

ァリンの平均血漿中濃度推移を図 2.11: 1 および図 2.11: 2 に,単独および併用投与後の R-およ

び S-ワルファリンの薬物動態パラメータを表 2.11: 2 に示した。

ワルファリン 10 mg 単独投与と比較してリナグリプチン 5 mg の併用投与は, R-ワルファリン

および S-ワルファリンの血漿中濃度-時間推移や薬物動態パラメータに対し影響を与えなか

った。また,トラフ時の血漿中リナグリプチン濃度の幾何平均値(幾何変動係数)は 6 日目で

4.62 nM(18.0%)であり,これまでの試験結果から予想された範囲内であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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Time [hours]

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 156 168

R-w

arfa

rin p

lasm

a co

nc. [

ng/m

L]

0

100

200

300

400

500

600

700

warfarin (N=18) warfarin with linagliptin (N=18)

図 2.11: 1 ワルファリン単独投与後およびリナグリプチン+ワルファリン併用投与後の

R-ワルファリンの平均血漿中濃度推移(算術平均値+/-標準偏差)

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Figure 11.5.2.1: 1 より作成

Time [hours]

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 156 168

S-w

arfa

rin p

lasm

a co

nc. [

ng/m

L]

0

100

200

300

400

500

600

700

warfarin (N=18) warfarin with linagliptin (N=18)

図 2.11: 2 ワルファリン単独投与後およびリナグリプチン+ワルファリン併用投与後の

S-ワルファリンの平均血漿中濃度推移(算術平均値+/-標準偏差)

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Figure 11.5.2.1: 2 より作成

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Page 191: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 2.11: 2 ワルファリン単独投与後およびリナグリプチン+ワルファリン併用投与後のR-

ワルファリンおよび S-ワルファリンの薬物動態パラメータ

R-ワルファリン リナグリプチン+

R-ワルファリン

S-ワルファリン リナグリプチン+

S-ワルファリン

gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

N 18 18 18 18

AUC0-∞ [ng·h/mL] 29800 21.1 29300 21.6 17800 21.4 18300 24.8

AUC0-168 [ng·h/mL] 26900 18.5 26600 19.3 16600 20.6 17100 23.0

Cmax [ng/mL] 573 12.7 571 17.3 574 13.7 579 20.0

tmax a) [h] 1.50 0.48-4.00 1.25 0.50-4.00 1.02 0.48-3.00 1.25 0.50-4.00

t1/2 [h] 53.1 16.6 52.0 19.3 53.4 16.9 53.0 18.0

CL/F [mL/min] 2.61 21.1 2.65 21.6 4.37 21.4 4.24 24.8

Vz/F [L] 12.0 20.5 11.9 23.8 20.2 30.9 19.5 29.7

MRTpo [h] 68.2 16.9 68.0 17.4 54.0 13.3 54.8 16.1

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Table 11.5.2.2: 1 より作成

R-ワルファリンおよび S-ワルファリンのぞれぞれの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)お

よび最高血漿中濃度(Cmax)について,それぞれ単独投与後に対する併用投与後の幾何平均値

の比を算出した結果を表 2.11: 3 に示した。R-ワルファリンの AUC0-∞が 98.54%(90%信頼区間:

95.67~101.49%),Cmax が 99.66%(90%信頼区間:94.66~104.93%),S-ワルファリンの AUC0-∞

が 102.98%(90%信頼区間:99.08~107.03%),Cmax が 100.86%(90%信頼区間:93.70~108.56%)

であり,いずれも生物学的同等性の基準の範囲(80%~125%)内であった。

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表 2.11: 3 ワルファリン単独投与後およびリナグリプチン+ワルファリン併用投与後の

R-および S-ワルファリンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ Test Reference 個体内 gCV (%)

gMean の比

(Test/Reference)

[%]

両側 90%信頼区間

下限

[%]

上限

[%]

R-ワルファリン

AUC0-∞[ng·h/mL] リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 5.1 98.54 95.67 101.49

Cmax [ng/mL] リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 8.9 99.66 94.66 104.93

S-ワルファリン

AUC0-∞[ng·h/mL] リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 6.7 102.98 99.08 107.03

Cmax [ng/mL] リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 12.8 100.86 93.70 108.56

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

N=18

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Table 11.5.2.3: 1 および Table 11.5.2.3: 2 より作成

4) 薬力学的パラメータ

ワルファリン 10 mg 単独投与後とリナグリプチン 5 mg の併用投与後の INR および PT の推移を

図 2.11: 3 および図 2.11: 4 に示した。

リナグリプチン 5 mg 反復投与時にワルファリン 10 mg を単回投与したが,INR および PT の

AUC0-168 に影響はみられなかった。AUC0-168 のワルファリン単独投与後に対する併用投与後の

幾何平均値の比は INR では 93.35%(90%信頼区間:86.20~101.08%),PT では 103.17%(90%

信頼区間:95.36~111.61%)であった。一方,Emax は,単独投与後に対する併用投与後の幾何

平均値の比が INR で 104.27%(90%信頼区間:85.22~127.59%),PT で 115.12%(90%信頼区間:

94.27~140.59%)と,併用投与後で若干高かったもののいずれの 90%信頼区間も 100%を含ん

でいた。AUC0-168 の被験者間のばらつき(幾何変動係数)は 14%以下であったが,Emax の被験

者間のばらつきは INR で 35.9%,PT で 35.5%と大きかった(表 2.11: 4)。幾何平均値の比の 90%

信頼区間は 80~125%の範囲外であったものの,100%を含んでおり,臨床的に問題となるもの

ではないと考えられた。

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図 2.11: 3 ワルファリン単独投与後とリナグリプチン+ワルファリン併用投与後の INR

の推移(算術平均値+/-標準偏差)

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Figure 11.5.3: 2 より作成

図 2.11: 4 ワルファリン単独投与後とリナグリプチン+ワルファリン併用投与後の PT

の推移(算術平均値+/-標準偏差)

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Figure 11.5.3: 1 より作成

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表 2.11: 4 ワルファリン単独投与後およびリナグリプチン+ワルファリン併用投与後の

INR および PT のパラメータの ANOVA 結果

パラメータ Test Reference 個体内 gCV (%)

gMean の比

(Test/Reference)

[%]

両側 90%信頼区間

下限

[%]

上限

[%]

INR

AUC0-168 リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 13.8 93.35 86.20 101.08

Emax リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 35.9 104.27 85.22 127.59

PT

AUC0-168 [s·h] リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 13.6 103.17 95.36 111.61

Emax [s] リナグリプチン

+ワルファリン ワルファリン 35.5 115.12 94.27 140.59

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

N=18

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Table 11.5.3: 1 より作成

5) 安全性

(1) 曝露状況

すべての被験者において,ワルファリンの総投与量は 20 mg(1 回 10 mg 2 回投与),リナグリ

ピチンの総投与量は 60 mg(1 日 1 回 5 mg 12 日間投与)であった。

(2) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験中に認められた有害事象を表 2.11: 5 に示した。18 例中 8 例(44.4%)に有害事象が認め

られた。ワルファリン単独投与期に 6 例(33.3%),リナグリプチン単独投与時(併用投与期の

ワルファリンとリナグリプリンの併用投与前)に 2 例(11.1%),リナグリプチン+ワルファリ

ン併用投与時(併用投与期のリナグリプリンとワルファリンの併用投与後)に 2 例(11.1%),

およびウォッシュアウト期に 1 例(5.6%)の有害事象が認められた。スクリーニング期および

試験終了後に有害事象はみられなかった。

器官別大分類で最も高頻度に発現した有害事象は神経系障害で,基本語ではすべて頭痛(7 例,

38.9%)であった。次いで器官別大分類が胃腸障害に分類される有害事象(2 例,11.1%)で,

基本語では歯痛および悪心(それぞれ 1 例,5.6%)であった。その他の有害事象(基本語[器官

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別大分類])は 1 例のみに認められた口腔ヘルペス(感染症および寄生虫症),挫傷(傷害、中

毒および処置合併症),静脈炎(血管障害)であった。

ウォッシュアウト期の 1 例に認められた頭痛の重症度は中等度であり,解熱鎮痛薬を服用し回

復した。それ以外の有害事象の重症度は軽度であった。

治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象はワルファリン単独投与期

に認められた歯痛 1 件であり,治療を必要とせずに回復した。

本試験期間中に死亡,重篤な有害事象および他の重要な有害事象は認められなかった。また,

治験中止に至った有害事象は認められなかった。

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表 2.11: 5 有害事象発現状況

器官別大分類 基本語 a)

ワルファリン

単独投与期 b)

併用投与期

ウォッシュ

アウト期 e)

リナグリ

プチン投

与時 合計 f)

合計リナグリプ

チン単独投

与時 c)

リナグリプ

チン+ワルフ

ァリン併用

投与時 d)

N N N N N N

投与被験者 18 18 18 18 18 18

有害事象発現被験者 6 2 2 1 3 8

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders)

1 1 0 0 1 2

悪心 (Nausea) 0 1 0 0 1 1

歯痛 (Toothache) 1 0 0 0 0 1

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations)

1 0 0 0 0 1

口腔ヘルペス (Oral herpes)

1 0 0 0 0 1

傷害、中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications)

0 1 0 0 1 1

挫傷 (Contusion) 0 1 0 0 1 1

神経系障害 (Nervous system disorders)

5 2 1 1 3 7

頭痛 (Headache) 5 2 1 1 3 7

血管障害 (Vascular disorders) 0 0 1 0 1 1

静脈炎 (Phlebitis) 0 0 1 0 1 1

a)MedDRA b)単独投与期のワルファリン投与開始から同投与期の最後の PK/PD 測定用採血まで c)併用投与期の最初のリナグリプチン+ワルファリン併用投与まで d)併用投与期の最初のリナグリプチン+ワルファリン併用投与後,同投与期の最後の PK/PD 測定用採血まで e)ワルファリン単独投与期の最後の PK/PD 測定用採血後,併用投与期の最初のリナグリプチン投与まで f)リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+ワルファリン併用投与時合計(リナグリプチンの最終投

与後 48 時間以内に発現した有害事象も含む)。

引用元:CTD 5.3.3.4-4,試験 1218.28,Table 12.2.2: 2 より作成

(3) 身体所見,バイタルサイン,12 誘導心電図および臨床検査

身体所見,バイタルサイン,12 誘導心電図および臨床検査に,臨床的に問題となる異常は認め

られず,ワルファリンとリナグリプチンの併用において安全性または臨床上の懸念となる事象

はみられなかった。

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(4) 忍容性

忍容性は,すべての被験者でいずれの投与期においても良好と判定された。

6) まとめ

リナグリプチンはワルファリン 10 mgの単回併用投与時のR-ワルファリンおよび S-ワルファリ

ンの薬物動態パラメータに影響を及ぼさなかった。R-ワルファリンおよび S-ワルファリンの

AUC0-∞および Cmax のワルファリン単独投与時に対するリナグリプチン併用投与時の幾何平均

値の比の 90%信頼区間は,生物学的同等性の基準の範囲(80%~125%)内であり,リナグリプ

チン 5 mg とワルファリン 10 mg の併用は凝固パラメータ(INR,PT)の AUC0-168 に影響を及

ぼさなかった。INR と PT の Emax はワルファリン単独投与後と比べ,リナグリプチン併用投与

後で若干高く,被験者間のばらつきが大きかったため,幾何平均値の比の 90%信頼区間は 80%

~125%の範囲外であったものの,100%を含んでおり,臨床的に問題となるものではないと考

えられた。

ワルファリンの単独投与とリナグリプチンとワルファリンの併用投与はいずれも安全であり,

忍容性はすべての被験者でいずれの投与期においても良好であった。本試験の結果は,リナグ

リプチン併用時にワルファリンの用量調整が必要ないことを示唆している。

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2.12 試験 1218.29

(CTD 5.3.3.4-5)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.12: 1 に示した。

表 2.12: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男女被験者における BI 1356(リナグリプチン)併用または非併用時のジゴキシンの

薬物動態,安全性および忍容性の検討,およびジゴキシン併用時の定常状態におけるリ

ナグリプチンの薬物動態の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検, 2 群 2 期クロスオーバー試験

対象 18~50 歳までの健康男性被験者および健康女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

ジゴキシン 0.25 mg 錠( )

目標症例数 20 例

投与方法

投与期間

本試験では,2 つの投与期(ジゴキシンとリナグリプチンの併用投与:Test 期,およびジ

ゴキシン単独投与:Reference 期)をクロスオーバー法により 2 期で交互に試験した。Test

期から Reference 期への移行時に 35 日以上,Reference 期から Test 期への移行時に 14 日

以上のウォッシュアウト期を設けた(実際のウォッシュアウト期間はいずれも 39 日であ

った)。

・ジゴキシンとリナグリプチンの併用投与(Test 期):Day 1~5 の 5 日間はジゴキシン

0.25 mg を 1 日 1 回投与(リナグリプチン非併用),続いて Day 6~11 の 6 日間はジゴ

キシン 0.25 mg およびリナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回投与(リナグリプチン併用)

・ジゴキシン単独投与(Reference 期):Day 1~11 の 11 日間はジゴキシン 0.25 mg を 1

日 1 回投与(ジゴキシン単独投与)

なお,各投与期における Day 1 および Day 11 の治験薬の投与は 10 時間以上の絶食後に

行い,Day 11 では治験薬投与 2 時間後まで絶食とした。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(Day 1~17),ウォッシュアウト期および治験終

了期からなる。

投与期のリナグリプチンおよびジゴキシンの薬物濃度測定用の採血は以下の時間に行っ

た。

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表 2.12: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

投与期 Day 採血時間

ジゴキシンと

リナグリプチ

ンの併用投与

(Test 期)

ジゴキシン

単独投与

Day

1~5

Day 1 の投与前

ジゴキシン

とリナグリ

プチンの併

用投与

Day

6~11

Day 8 a),9,10 の投与前,Day 11 の投与前,

投与後 0.5,1,1.25,1.5,2,3,4,6,8,

10,12 時間

- Day

12~17

Day 11 の投与後 24,48,72,96,120,144

時間

ジゴキシン単独

投与

(Reference 期)

a)

ジゴキシン

単独投与

Day

1~11

Day 1 の投与前,Day 8,9,10 の投与前,

Day 11 の投与前,投与後 0.5,1,1.25,1.5,

2,3,4,6,8,10,12 時間

- Day

12~17

Day 11 の投与後 24,48,72,96,120,144

時間

a)ジゴキシンの濃度測定用の採血のみを実施

ジゴキシンの薬物濃度測定用の蓄尿は,各投与期の Day 11 の治験薬投与後から 2 時間,

治験薬投与 2~4,4~8,8~12,12~24,24~48,48~72,72~96,96~120,120~144

時間に行った。なお,投与期において食事は適宜摂食させた。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12

誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を行

った。

評価項目

評価基準

薬物動態:

主要評価項目:

ジゴキシンの AUCτ,ss,Cmax,ss および CLR,ss に基づく相対バイオアベイラビリティ

副次評価項目:

ジゴキシンの薬物動態パラメータ:AUC0-∞,ss,AUC0-tz,ss,AUCt1-t2,ss,tmax,ss,λz,ss,t1/2,ss,

MRTpo,ss,CL/Fss,Vz/Fss,Cpre,ss,Aet1-t2,ss および fet1-t2,ss

リナグリプチンの薬物動態パラメータ:AUCτ,ss,Cmax,ss,tmax,ss,λz,ss,t1/2,ss,MRTpo,ss,

CL/Fss,Vz/Fss および Cpre,ss

ジゴキシンおよびリナグリプチンの定常状態への到達時間

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査(尿検査を含

む),有害事象および忍容性

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表 2.12: 1 試験方法の概略(3/3)

解析方法 薬物動態パラメータ(AUCτ,ss,Cmax,ss および CLR,ss)に対して,投与順序,時期および薬

剤を固定効果,投与順序内被験者を変量効果として含むモデルを用いた対数変換パラメ

ータに対する分散分析(ANOVA)を行った。幾何平均値の比および 90%信頼区間を算出

した。その他のパラメータは記述統計量を計算した。

治験責任医師

治験実施施設 ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 40 例が登録されてスクリーニングを受け,このうち 20 例(男性 9 例,女性 11 例)の健康

被験者が本試験に組入れられた。すべての被験者が,第 1 期にジゴキシンとリナグリプチンを

併用投与,第 2 期にジゴキシンを単独投与される群,または第 1 期にジゴキシンを単独投与,

第 2 期にジゴキシンとリナグリプチンを併用投与される群に 1:1 でランダム化割付けされ,リ

ナグリプチンおよびジゴキシンを反復投与された。治験実施計画書遵守違反,同意撤回または

有害事象により治験を中止した被験者および追跡不能の被験者はなく,全例が試験を完了した。

本試験に組入れられた 20 例は全例が白人であり,年齢は平均 38.7 歳,体重は平均 74.8 kg,BMI

は平均 25.39 kg/m2 であった。スクリーニング時に,本試験の目的に影響を及ぼす既往歴または

合併症を有する被験者はいなかったが,8 例が併用薬を使用していた。被験者 1 例は薬物動態

パラメータ測定用の採血の終了後に抗生物質(クロルテトラサイクリンおよびアモキシシリン)

を投与された。これらの併用薬の使用は,報告書検討会議において薬物動態の解析に影響しな

いと判断された。治験薬の服薬遵守の違反はなかった。

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3) 薬物動態

(1) 薬物動態パラメータ

ジゴキシン単独投与時(Reference 期),およびジゴキシンとリナグリプチンの併用投与時(Test

期)の定常状態におけるジゴキシンの薬物動態パラメータを表 2.12: 2 に示した。

定常状態のジゴキシンの薬物動態パラメータは,ジゴキシン単独投与時とジゴキシンとリナグ

リプチンの併用投与時で類似していた。

表 2.12: 2 ジゴキシン単独投与時およびジゴキシンとリナグリプチンの併用投与時の

ジゴキシンの薬物動態パラメータ

ジゴキシンとリナグリプチンの併用投与 ジゴキシン単独投与

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

N 20 20

AUCτ,ss [ng·h/mL] 15.6 23.4 15.4 28.1

Cmax,ss [ng/mL] 1.66 22.8 1.76 28.8

tmax,ssa)[h] 1.00 0.500~2.00 1.00 0.500~1.50

CL/Fss [mL/min] 267 23.4 271 28.1

Vz/Fss [L] 1180 55.0 1170 52.1

T1/2,ss [h] 50.9 45.7 49.7 28.6

MRTpo,ss [h] 61.6 45.0 61.1 28.7

fe0-24,ss [%] 48.6 10.5 47.9 20.0

Ae0-24,ss [µg] 122 10.5 120 20.0

CLR,0-24,ss [mL/min] 130 20.6 130 20.1

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-5,試験 1218.29,Table 11.5.2.2: 1 より作成

ジゴキシン併用時のリナグリプチンの薬物動態パラメータを表 2.12: 3 に示した。

ジゴキシンとリナグチプチンの併用投与時,リナグリプチンの最高血漿中濃度到達時間(tmax,ss)

の中央値は 1.13 時間(範囲 0.500~4.28 時間)であり,速やかに最高血漿中濃度(Cmax,ss)に到

達した。投与後 144 時間までの血漿中濃度から算出した終末相における半減期は 95.4 時間であ

った。

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表 2.12: 3 ジゴキシン併用時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

N=20 gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 201 29.9

Cmax,ss [nM] 15.2 44.9

tmax,ssa) [h] 1.13 0.500~4.28

CL/Fss [mL/min] 877 29.9

Vz/Fss [L] 7240 44.4

t1/2,ss [h] 95.4 26.1

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-5,試験 1218.29,Table 11.5.2.2: 2 より作成

(2) 統計解析による評価(相対バイオアベイラビリティ)

ジゴキシンとリナグリプチンの併用投与時(Test 期)およびジゴキシン単独投与時(Reference

期)の相対バイオアベイラビリティの解析結果とその 90%信頼区間を表 2.12: 4 に示した。

ジゴキシンの定常状態における血漿中濃度-時間曲線下面積(AUCτ,ss), Cmax,ss および腎クリア

ランス(CLR,0-24,ss)の幾何平均値の比(90%信頼区間)は,それぞれ 101.51%(96.89~106.36%),

94.21%(86.62~102.46%)および 99.53%(91.42~108.35%)であり,いずれも生物学的同等性

の基準の範囲(80~125%)内であった。ジゴキシンとリナグリプチンの併用投与は,定常状態

でのジゴキシンの吸収速度,曝露量および腎クリアランスに影響を及ぼさなかった。

表 2.12: 4 リナグリプチン併用または非併用時のジゴキシンの薬物動態パラメータの

ANOVA 結果

ジゴキシン ジゴキシンと

リナグリプチン

の併用投与

(Test 期)

(N=20)

ジゴキシン

単独投与

(Reference 期)

(N=20)

個体内

gCV

幾何平均値の比

(Test/Reference)

両側 90%信頼区間

下限値 上限値

[%] [%] [%] [%]

AUCτ,ss [ng·h/mL] ジゴキシン

+リナグリプチン

ジゴキシン 8.5 101.51 96.89 106.36

Cmax,ss [ng/mL] ジゴキシン

+リナグリプチン

ジゴキシン 15.4 94.21 86.62 102.46

CLR,0-24,ss [mL/min] ジゴキシン

+リナグリプチン

ジゴキシン 15.6 99.53 91.42 108.35

gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.4-5,試験 1218.29,Table 11.5.2.3: 1 より作成

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(3) ジゴキシンおよびリナグリプチンの定常状態への到達

ジゴキシンとリナグリプチンの併用投与(Test 期)およびジゴキシン単独投与(Reference 期)

の Day 9~11 において,ジゴキシンの血漿中トラフ濃度はすべて同程度であった。ジゴキシン

は Day 9 までに定常状態に達したと考えられた。

リナグリプチンの血漿中濃度は,Day 9 および 10 では同程度であったが(Day 9/Day 10 の幾

何平均値 0.96),Day 11 ではわずかに増加した(Day 10/Day 11 の幾何平均値 0.91)。Day 9~

11 におけるリナグリプチンの血漿中トラフ濃度は過去の試験と同程度であり,Day 11 でみられ

た血漿中トラフ濃度の増加は自然変動によるものと考えられた。

4) 安全性

(1) 曝露状況

すべての被験者において,リナグリプチンの総投与量は 30 mg(1 日 1 回 5 mg 6 日間投与),

ジゴキシンは 5.5 mg(1 日 1 回 0.25mg 22 日間投与)であった。

(2) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験における有害事象の発現状況を表 2.12: 5 に示した。

ジゴキシンとリナグリプチンの併用投与(Test 期)では,リナグリプチン非投与時に 9 例(45%),

リナグリプチン併用投与時に 13例(65%),ジゴキシン単独投与(Reference期)では 14例(70%),

合計では 17 例(85%)に有害事象が認められた。Test 期のリナグリプチン非投与時に高度の頭

痛が認められた 1 例を除き,すべての有害事象は軽度または中等度であった。リナグリプチン

非投与時にみられた高度の頭痛は,治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定されたが,

処置なく回復した。治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は,Test

期では,リナグリプチン非投与時に 7 例(35%),リナグリプチン投与時に 9 例(45%),Reference

期では 13 例(65%),合計では 17 例(85%)であった。

重篤な有害事象,死亡,その他の重要な有害事象および治験中止に至った有害事象は認められ

なかった。

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表 2.12: 5 有害事象発現状況

スクリー

ニング期

N (%)

ジゴキシンとリナグリプチン

の併用投与(Test 期)

ジゴキシン

単独投与

(Reference

期)

(Day 1~11)

N (%)

休薬期間

N (%)

合計

N (%)

リナグリプチ

ン非投与

(Day1~5)

N (%)

リナグリプチ

ン投与

(Day 6~11)

N (%)

被験者数 20 (100) 20 (100) 20 (100) 20 (100) 20 (100) 20 (100)

有害事象発現例数

軽度 a)

中等度 a)

高度 a)

治験薬と因果関係

あり b)

2 (10)

-

2 (10)

-

-

9 (45)

7 (35)

3 (15)

1 (5)

7 (35)

13 (65)

9 (45)

7 (35)

-

9 (45)

14 (70)

12 (60)

8 (40)

-

13 (65)

2 (10)

1 (5)

1 (5)

-

-

17 (85)

16 (80)

11 (55)

1 (5)

17 (85)

a)被験者 1 例が 1 つ以上の重症度の基準に該当する場合あり

b)治験担当医師による判定

-:N = 0 (0.0 %)

引用元:CTD 5.3.3.4-5,試験 1218.29,Table 12.2.1: 1 より作成

器官別大分類で被験者 3 例以上に発現した有害事象を,表 2.12: 6 に示した。

高頻度に発現した有害事象は,器官別大分類で,神経系障害 14 例(70%),胃腸障害 11 例(55%),

全身障害および投与局所様態 4 例(20%),眼障害 3 例(15%)であった。また,基本語別では,

頭痛(13 例[65%]36 件),悪心(6 例[30%]8 件)および疲労(4 例[20%]4 件)であった。

治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象うち高頻度に発現したものは,

頭痛 29 件(Test 期では,リナグリプチン非投与時に 6 件,リナグリプチン投与時に 7 件,Reference

期では 16 件),悪心 8 件(Test 期では,リナグリプチン非投与時に 2 件,リナグリプチン投与

時に 4 件,Reference 期では 2 件)および疲労 4 件(Test 期では,リナグリプチン非投与時に 1

件,リナグリプチン投与時に 1 件,Reference 期では 2 件)であった。

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表 2.12: 6 器官別大分類で 3 例以上の被験者に発現した有害事象

スクリー

ニング期 ジゴキシンとリナグリプチン

の併用投与(Test 期)0 ジゴキシン 単独投与

(Reference 期) (Day 1~11)

N (%)

合計

器官別大分類 基本語 a)

N (%)

リナグリプチン

非投与 (Day1~5)

N (%)

リナグリプチン

投与 (Day 6~11)

N (%)

N (%)

被験者数 20 (100) 20 (100) 20 (100) 20 (100) 20 (100)

有害事象発現例数 2 (10) 9 (45) 13 (65) 14 (70) 17 (85)

神経系障害 (Nervous system disorders)

注意力障害 (Disturbance in attention) 浮動性めまい (Dizziness) 頭痛 (Headache) ミオトニー (Myotonia) 坐骨神経痛 (Sciatica) 振戦 (Tremor)

2 (10) - -

2 (10) - - -

6 (30) -

1 (5) 6 (30)

- - -

8 (40) - -

6 (30) 1 (5) 1 (5)

-

11 (55)

1 (5) 1 (5)

10 (50) - -

1 (5)

14 (70)

1 (5) 1 (5)

13 (65)1 (5) 1 (5) 1 (5)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 腹痛 (Abdominal pain) 下腹部痛 (Abdominal pain lower) 下痢 (Diarrhoea) 悪心 (Nausea) レッチング (Retching) 胃不快感 (Stomach discomfort) 歯痛 (Toothache) 嘔吐 (Vomiting)

- - - - - - - - -

3 (15) - -

1 (5) 1 (5)

- - -

1 (5)

6 (30) 1 (5) 1 (5)

- 4 (20) 1 (5) 1 (5) 1 (5)

-

4 (20) - -

2 (10) 2 (10)

- - -

1 (5)

11 (55)1 (5) 1 (5)

2 (10) 6 (30) 1 (5) 1 (5) 1 (5)

2 (10) 全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

疲労 (Fatigue) 疼痛 (Pain)

- - -

1 (5)

1 (5) -

1 (5)

1 (5) -

2 (10)

2 (10) 1 (5)

4 (20)

4 (20) 1 (5)

眼障害 (Eye disorders) 結膜炎 (Conjunctivitis) 眼刺激 (Eye irritation) 視力障害 (Visual impairment)

- - - -

- - - -

2 (10) -

1 (5) 2 (10)

1 (5) 1 (5)

- -

3 (15) 1 (5) 1 (5)

2 (10)

a)MedDRA

-:N=0 (0.0 %)

引用元:CTD 5.3.3.4-5,試験 1218.29,Table 12.2.2: 1 より作成

(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図に,臨床的に問題となる異常はみら

れず,投与期による差も認められなかった。

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(4) 忍容性

ジゴキシン単独投与(Reference 期)の忍容性は,全被験者で良好であった。また,ジゴキシン

とリナグリプチンの併用投与(Test 期)の忍容性は,被験者 18 例で良好であったが,2 例では

有害事象を考慮して十分と判定された。

5) まとめ

リナグリプチンの併用投与は,定常状態におけるジゴキシンの薬物動態に影響を及ぼさなかっ

た。ジゴキシンの AUCτ,ss,Cmax,ss および CLR,0-24,ss の幾何平均値とその 90%信頼区間は,いずれ

も生物学的同等性の基準の範囲(80%~125%)内であった。したがって,リナグリプチンとジ

ゴキシンの併用時に,ジゴキシンの用量調整は必要ないと考えられた。本試験の結果により,

リナグリプチンは,ジゴキシンの薬物動態に関与する P-糖蛋白または OATP などの他のトラン

スポーターの阻害剤ではないと考えられた。またリナグリプチンの曝露量にも,ジゴキシン併

用投与による影響はみられなかった。安全性の評価では,ジゴキシンを単独またはリナグリプ

チンとの併用により定常状態まで反復投与した場合の安全性および忍容性は良好であった。

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2.13 試験 1218.30

(CTD 5.3.3.4-6)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.13: 1 に示した。

表 2.13: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男女被験者における BI 1356(リナグリプチン)5 mg 錠 1 日 1 回反復投与後の定常

状態における glyburide(グリベンクラミド)1.75 mg の単回経口投与時の薬物動態,安

全性および忍容性に及ぼす影響の検討

グリベンクラミドの標準用量 1.75 mg の単回投与がリナグリプチンとその薬理活性をも

たない代謝物 CD 1790 の反復投与時の薬物動態に及ぼす影響の検討

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検, 2 期クロスオーバー試験

対象 18~55 歳までの健康男性および女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

グリベンクラミド 1.75 mg 錠( )

目標被験者数 20 例(男女各 10 例)

投与方法

投与期間

投与方法

治験薬はいずれも一晩絶食後,240 mL の水とともに経口投与した。

投与期間

リナグリプチン:6 日間(投与期 A:5 日間,投与期 B:1 日間)

グリベンクラミド:2 日間(投与期 B:1 日間,投与期 C:1 日間)

投与期 A(リナグリプチン単独投与期):

リナグリプチン 5 mg を 5 日間

投与期 B(リナグリプチン+グリベンクラミド併用投与期):

リナグリプチン 5 mg を 1 日間,グリベンクラミド 1.75 mg を 1 日間

投与期 C(グリベンクラミド単独投与期):

グリベンクラミド 1.75 mg を 1 日間

被験者(各 10 例)を以下のいずれかの投与順序に割付けた。

投与順序 AB_C:投与期 AB→ウォッシュアウト期(35 日間以上)→投与期 C

投与順序 C_AB:投与期 C→ウォッシュアウト期(7 日間以上)→投与期 AB

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表 2.13: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

治験期間は,スクリーニング期,投与期 A~C,ウォッシュアウト期および治験終了期か

らなる。投与期 A~C では,薬物濃度測定用に以下のスケジュールで採血した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

投与期 測定項目 Day 採血時間

投与期 A リナグリプチン

および CD 1790

Day 1,3,4 投与 15 分前

Day 5 投与 15 分前,投与後 15,30,45 分,1,1.5,2,

3,4,6,8,12 時間

グリベンクラミ

Day 1 投与 15 分前

投与期 B リナグリプチン

および CD 1790

Day 1 投与 15 分前,投与後 15,30,45 分,1,1.5,2,

3,4,6,8,12,23.75 時間

グリベンクラミ

Day 1 投与 15 分前,投与後 15,30,45 分,1,1.5,2,

3,4,6,8,12,23.75,48 時間

投与期 C リナグリプチン

および CD 1790

Day 1 投与 15 分前

グリベンクラミ

Day 1 投与 15 分前,投与後 15,30,45 分,1,1.5,2,

3,4,6,8,12,23.75,48 時間

評価項目

評価基準

薬物動態

主要評価項目:

血漿中リナグリプチンの AUCτ,ss および Cmax,ss

血漿中グリベンクラミドの AUC0-∞および Cmax

副次評価項目:

グリベンクラミドの AUC0-tz,AUCt1-t2,tmax,λz,t1/2,MRTpo,CL/F および Vz/F

CD 1790 の AUCτ,ss,Cmax,ss

リナグリプチンおよび CD 1790 の tmax,ss,AUCt1-t2,ss,MRTpo,ss

リナグリプチンの CL/Fss,Vz/Fss

安全性

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象,忍

容性

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表 2.13: 1 試験方法の概略(3/3)

解析方法 リナグリプチンおよびグリベンクラミドの薬物動態パラメータを評価した。

リナグリプチンは AUCτ,ss および Cmax,ss を対数変換後に,薬剤を固定効果,被験者を変量

効果とした ANOVA モデルを用いて解析した。グリベンクラミドは AUC0-∞および Cmax を

対数変換後に,投与順序,時期および薬剤を固定効果,投与順序内被験者を変量効果とし

た ANOVA モデルを用いて解析した。単独投与時に対する併用時の幾何平均値の比および

両側 90%信頼区間を算出した。他のパラメータについて,記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Human Pharmacology Centre, Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 20 例(男女 10 例ずつ)が 2 とおりの投与順序(投与順序 AB_C の群と投与順序 C_AB の

群)のいずれかに各 10 例(男女各 5 例)ずつランダム化割付けされ,すべての被験者が治験薬

の投与を受けた。19 例が計画どおり試験を完了した。C_AB 群の 1 例が投与期 A の Day5 時に

採血針の留置が困難なため早期中止となった。すべての被験者は白人で,年齢は平均 35.9 歳,

体重は平均 72.7 kg,BMI は平均 23.8 kg/m²であった。本試験では重大な治験実施計画書からの

逸脱はなかった。

3) 薬物動態

(1) リナグリプチンの薬物動態 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+グリベンクラミド併用投与時の定常状態に

おけるリナグリプチンの平均血漿中濃度の推移を図 2.13: 1,リナグリプチンの薬物動態パラメ

ータを表 2.13: 2,およびリナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果を表 2.13: 3 に示

した。 リナグリプチンは投与後速やかに吸収され,0.5~3 時間の範囲で最高濃度に到達した。反復投

与後 5 日以内に定常状態に到達していた。リナグリプチン単独投与時に対するリナグリプチン

+グリベンクラミド併用投与時の AUCτ,ss の幾何平均値の比は 101.7%,90%信頼区間は 97.7~105.8%,個体内幾何変動係数は 7.1%であった。リナグリプチン単独投与時に対するリナグリプ

チン+グリベンクラミド併用投与時の Cmax,ss の幾何平均値の比は 100.8%,90%信頼区間は 89.0~114.3%,個体内幾何変動係数は 22.5%であった。

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注)幾何平均値

図 2.13: 1 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+グリベンクラミド併用投

与時の定常状態におけるリナグリプチンの平均血漿中濃度の推移

引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Figure 11.5.2.1: 2 より作成

表 2.13: 2 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+グリベンクラミド併用投

与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

定常状態 リナグリプチン リナグリプチン単独投与 リナグリプチン+グリベンクラミド併用投与

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

N=19 N=19

AUCτ,ss [nM·h] 166 22.3 168 22.8 Cmax,ss [nM] 12.7 31.9 12.9 36.0

tmax,ssa) [h] 1.52 0.500-3.00 2.00 0.500-3.00

t1/2,ss [h] 38.1 35.6 54.1 85.6

CL/Fss [mL/min] 1060 22.3 1050 22.8

Vz/Fss [L] 3510 52.0 4900 104

MRTpo,ss 52.0 35.6 72.8 86.8 gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)中央値および最小値~最大値 引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Table 11.5.2.2: 1 より作成

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表 2.13: 3 リナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ Test Reference 個体内

gCV [%]

gMean の比

(Test/Reference)[%]

両側 90%信頼区間

(N=19) (N=19) 下限[%] 上限[%]

AUCτ,ss リナグリプチン+

グリベンクラミド リナグリプチン 7.1 101.7 97.7 105.8

Cmax,ss リナグリプチン+

グリベンクラミド リナグリプチン 22.5 100.8 89.0 114.3

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Table 11.5.2.3: 1 より作成

(2) CD 1790 の薬物動態 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+グリベンクラミド併用投与時の定常状態に

おける CD 1790 の平均血漿中濃度推移を図 2.13: 2 に,CD 1790 の薬物動態パラメータを表 2.13: 4 に示した。 リナグリプチン投与後,主代謝物 CD 1790 の血漿中濃度は速やかに上昇し,投与 0.75~3 時間

後の間に最高血漿中濃度に到達した。リナグリプチン単独反復投与あるいはグリベンクラミド

との併用投与後で,CD 1790 の定常状態での曝露量,最高血漿中濃度および最高血漿中濃度到

達時間に変わりはなかった。

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注)幾何平均値

図 2.13: 2 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+グリベンクラミド併用投

与時の定常状態における CD 1790 の平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Figure 11.5.2.1: 4 より作成

表 2.13: 4 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+グリベンクラミド併用投

与時の CD 1790 の薬物動態パラメータ

定常状態 CD 1790 リナグリプチン単独投与 リナグリプチン+グリベンクラミド併用投与

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

N=19 N=19

AUCτ,ss [nM·h] 14.3 60.8 15.0 51.7

Cmax,ss [nM] 2.26 65.2 2.19 58.0

tmax,ssa) [h] 1.50 0.750-3.00 1.52 1.00-3.08

MRTpo,ss [h] 16.8 111 15.5 53.5 gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)中央値および最小値~最大値 引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Table 11.5.2.2: 2 より作成

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208

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(3) グリベンクラミドの薬物動態 グリベンクラミド単独投与時とリナグリプチン+グリベンクラミド併用投与時のグリベンクラ

ミドの平均血漿中濃度の推移を図 2.13: 3,薬物動態パラメータを表 2.13: 5,グリベンクラミド

の薬物動態パラメータの ANOVA 結果を表 2.13: 6 に示した。 血漿中グリベンクラミドは投与後速やかに上昇し,1~2.02 時間の間で最高血漿中濃度に到達

した。グリベンクラミド単独投与時に対するリナグリプチン+グリベンクラミド併用投与時の

AUC0-∞の幾何平均値の比は 85.7%,90%信頼区間は 79.8~92.1%,個体内幾何変動係数は 12.6%であった。 グリベンクラミド単独投与時に対するリナグリプチン併用投与時の Cmax の幾何平均値の比は

86.2%,90%信頼区間は 79.6~93.3%,個体内幾何変動係数は 14.1%であった。 グリベンクラミドの最高血漿中濃度到達時間(tmax)の中央値はグリベンクラミド単独投与時,

リナグリプチン併用投与時いずれも 1.5 時間であった。

図 2.13: 3 グリベンクラミド単独投与時とリナグリプチン+グリベンクラミド併用投与

時のグリベンクラミド平均血漿中濃度の推移

引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Figure 11.5.2.1: 6 より作成

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表 2.13: 5 グリベンクラミド単独投与時とリナグリプチン併用投与時のグリベンクラ

ミドの薬物動態パラメータ

グリベンクラミド グリベンクラミド単独投与 リナグリプチン+グリベンクラミド併用投与

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

N=19 N=19

AUC0-∞ [ng·h/mL] 348 32.7 299 34.0

Cmax [ng/mL] 131 32.2 113 28.2

tmaxa) [h] 1.50 1.00-2.02 1.50 1.00-2.02

t1/2 [h] 2.28 42.7 2.09 53.8

CL/F [mL/min] 83.7 32.7 97.5 34.0

Vz/F [L] 16.5 44.8 17.6 41.2

MRTpo [h] 3.22 24.5 2.96 29.2 gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数 a)中央値および最小値~最大値 引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Table 11.5.2.2: 3 より作成

表 2.13: 6 グリベンクラミドの薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ Test Reference 個体内

gCV[%]

gMean の比

(Test/Reference)[%]

両側 90%信頼区間

(N=19) (N=19) 下限[%] 上限[%]

AUCτ,ss リナグリプチン+

グリベンクラミド グリベンクラミド 12.6 85.7 79.8 92.1

Cmax,ss リナグリプチン+

グリベンクラミド グリベンクラミド 14.1 86.2 79.6 93.3

引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Table 11.5.2.3: 2 より作成

4) 安全性

(1) 曝露状況 本試験期間中に,治験実施計画書に従い 19 例が,総投与量としてリナグリプチンを 30 mg お

よびグリベンクラミドを 3.5 mg を服用した。途中中止した 1 例の総投与量はリナグリプチンが

20 mg,グリベンクラミドが 1.75 mg であった。 (2) 有害事象(MedDRA を使用) 有害事象の発現状況を表 2.13: 7 に示した。 10 例(50.0%)の被験者に有害事象が認められた。器官別大分類では神経系障害に分類される

有害事象が最も高頻度に発現し(7 例,35.0%),基本語では頭痛が最も多く認められた(5 例,

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25%)。器官別大分類では代謝および栄養障害の有害事象が次に高頻度に発現し(3 例,15.0%),

すべて低血糖症であった。 高度の有害事象は 1 件(スクリーニング期に認められた頭痛)で,処置を要するものではなか

った。その他の有害事象は,すべて軽度か中等度であった。 治験担当医師が治験薬と因果関係ありと判定した有害事象は 6 例(30.0%)に認められた。こ

れらの有害事象は,リナグリプチン単独投与時では 3 例(15.0%)に認められ(頭痛 2 例,重

感 1 例),リナグリプチン+グリベンクラミド併用投与時では,4 例(21.1%)に 5 件(低血糖症

2 件,浮動性めまい 2 件,傾眠 1 件),グリベンクラミド単独投与時では,4 例(20.0%)に認

められた(低血糖症 1 例,頭痛 3 例)。これらの被験者はすべて回復し,すべて試験薬の投与を

完了した。処置を要したのは低血糖症の 2 例(1 例はグリベンクラミド単独投与時,もう 1 例

はリナグリプチン+グリベンクラミド併用投与時)であった。 本試験では,死亡,重篤な有害事象,他の重要な有害事象および治験中止に至った有害事象は

認められなかった。

表 2.13: 7 有害事象発現状況

器官別大分類

基本語 a)

リナグリプチン

n (%)

リナグリプチン+

グリベンクラミド

n (%)

グリベンクラミド

n (%)

合計

n (%)

投与被験者 20 (100.0) 19 (100.0) 20 (100.0) 20 (100.0)

有害事象発現被験者 4 (20.0) 5 (26.3) 4 (20.0) 10 (50.0)

代謝および栄養障 (Metabolism

and nutrition disorders) 0 (0.0) 2 (10.5) 1 (5.0) 3 (15.0)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 0 (0.0) 2 (10.5) 1 (5.0) 3 (15.0)

筋骨格系および結合組織障害

(Musculoskeletal and connective

tissue disorders)

1 (5.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.0)

重感 (Sensation of heaviness) 1 (5.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.0)

神経系障害

(Nervous system disorders) 3 (15.0) 4 (21.1) 3 (15.0) 7 (35.0)

浮動性めまい (Dizziness) 1 (5.0) 2 (10.5) 0 (0.0) 3 (15.0)

頭痛 (Headache) 2 (10.0) 0 (0.0) 3 (15.0) 5 (25.0)

傾眠 (Somnolence) 0 (0.0) 2 (10.5) 0 (0.0) 2 (10.0)

a)MedDRA 注)被験者 1 例が 1 つ以上の器官別大分類または基本語に該当する場合あり。 引用元:CTD 5.3.3.4-6,試験 1218.30,Table 12.2.2: 1 より作成

(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図からは臨床的に問題となる異常は認

められなかった。

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(4) 忍容性

忍容性評価は,すべての被験者でいずれの投与期においても良好と判定された。

5) まとめ

リナグリプチン単独投与時に対するグリベンクラミド併用投与時におけるリナグリプチンの

AUCτ,ss と Cmax,ss の幾何平均値の比(90%信頼区間)は,それぞれ 101.7%(97.7~105.8%)およ

び 100.8%(89.0~114.3%)であった。グリベンクラミドの併用投与により,リナグリプチンの

定常状態の薬物動態は影響を受けなかった。 グリベンクラミド単独投与時に対するリナグリプチン併用投与時におけるグリベンクラミドの

AUC0-∞と Cmax の幾何平均値の比(90%信頼区間)は,それぞれ 85.7%(79.8~92.1%)および

86.2%(79.6~93.3%)であった。グリベンクラミドの Cmax および AUC0-∞は,リナグリプチン

の併用により約 14%減少した。Cmax および AUC0-∞での幾何平均値の比の 90%信頼区間の下限

は 80%未満であり,生物学的同等性の基準範囲外であった。また,90%信頼区間は 100%を含ん

でいなかった。リナグリプチンの併用により,グリベンクラミドの曝露量が増加した場合は,

リナグリプチンがグリベンクラミドの吸収,分布および排泄に関与するチトクローム P450 な

どの代謝酵素および P-糖蛋白などのトランスポーターを阻害すると推測できるが,実際には,

逆に 14%減少したため,リナグリプチンはこれらの酵素やトランスポーターを阻害する可能性

はないと考えられた。これまでに得られているデータから,リナグリプチンはグリベンクラミ

ドの曝露量を減少させるような酵素誘導をおこすという知見は得られていない。 グリベンクラミドの薬物動態は個人差の大きいことが知られており,スルホニル尿素剤(特に

グリベンクラミド)では,明確な用量(血漿中濃度)-反応相関がないことから,リナグリプ

チンとの併用時にグリベンクラミドの曝露量が 14%減少したことは臨床的に問題となるもので

はないと考えられた。リナグリプチンとグリベンクラミドを併用した場合の安全性および忍容

性は良好であった。 以上より,リナグリプチンとグリベンクラミドの併用投与に際しては用量調節の必要はなく,

リナグリプチンとグリベンクラミドは単独投与,併用投与のいずれも安全で忍容性が高いと考

えられた。

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2.14 試験 1218.31

(CTD 5.3.3.4-7)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.14: 1 に示した。

表 2.14: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 健康男性被験者における BI 1356(リナグリプチン)5 mg 錠単回投与に対するリトナビル

(200 mg,1 日 2 回)反復併用投与時または非併用時のリナグリプチンの薬物動態の比較

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,非盲検, 2 期クロスオーバー試験(リトナビル反復投与,リナグリ

プチン単回投与)

対象 18~50 歳までの健康男性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

リトナビル 100 mg カプセル( )

目標被験者数 12 例

投与方法

投与期間

リトナビル+リナグリプチン併用投与期(併用投与期):

リトナビル 200 mg を 1 日 2 回(400 mg/日)3 日間(Day–1,Day1,Day 2)投与

リナグリプチン 5 mg 単回投与(Day 1)

リトナビルは 12 時間間隔で朝・夕食後に投与し,リナグリプチンは朝,リトナビル投

与 1 時間後に投与した。Day1 の朝の投与は一晩の絶食後に実施した。

リナグリプチン単独投与期(単独投与期):

リナグリプチン 5 mg 単回投与

一晩の絶食後に投与を実施した。

両投与期の間はリナグリプチンの最終投与から 35日以上のウォッシュアウト期を設けた。

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表 2.14: 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

本試験は,スクリーニング期,投与期(併用投与期,単独投与期),ウォッシュアウト期,治験終

了期からなる。

投与期では,薬物濃度測定用に以下のスケジュールで採血した。

また,薬物濃度測定用に以下のスケジュールで採尿した。

その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数および体温),

血糖値の測定,12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性

の評価を行った。

投与期 測定項目 Day 採血時間

併用投与期 リナグリプチ

ンおよび CD

1790

Day 1 リナグリプチン投与 0.25 時間前(リトナビル朝投与後),リ

ナグリプチン投与後 0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,3,5,7,9,

10.5,12 時間(リトナビル夕投与後)

Day 2 リナグリプチン投与後 24 時間

Day 3~5 リナグリプチン投与後 48,72,96 時間

リトナビル Day −1 リトナビル朝投与 1 時間前

Day 1 リトナビル朝投与 0.5 時間前,リトナビル朝投与後 0.75 時間,

2 時間,11.5 時間

Day 2 リトナビル朝投与 0.5 時間前,リトナビル朝投与後 1 時間,

リトナビル夕投与直後

Day 3,4 リトナビル最終投与後 13,37 時間

単独投与期 リナグリプチ

ンおよび CD

1790

Day 1 リナグリプチン投与 0.25 時間前,リナグリプチン投与後 0.25,

0.5,0.75,1,1.5,2,3,5,7,9,10.5,12 時間

Day 2~5 リナグリプチン投与後 24,48,72,96 時間

投与期 測定項目 Day 採尿時期(蓄尿期間)

併用投与期 リナグリプチ

ンおよび CD

1790

Day 1 リナグリプチン投与後 0~12 時間

Day 2 リナグリプチン投与後 12~24 時間

単独投与期 リナグリプチ

ンおよび CD

1790

Day 1 リナグリプチン投与後 0~12 時間

Day 2 リナグリプチン投与後 12~24 時間

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表 2.14: 1 試験方法の概略(3/3)

評価項目

評価基準

薬物動態パラメータ:

主要評価項目:

リナグリプチンの AUC0-24 および Cmax

副次評価項目:

リナグリプチンの AUCt1-t2,AUC0-∞,%AUCtz-∞,AUC0-tz,tmax,t1/2,λz,MRTpo,CL/F,

Vz/F,Aet1-t2,fet1-t2,CLR,t1-t2

CD 1790 の AUC0-∞,AUCt1-t2,%AUCtz-∞,AUC0-24,Cmax,AUC0-tz,tmax,t1/2,λz,MRTpo,

CLR,t1-t2,Aet1-t2

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍,体温),血糖値,12 誘導心電図,臨床検査,

有害事象および忍容性

解析方法 AUC0-24 および Cmax は対数変換後,投与順序,時期および薬剤を固定効果,投与順序内被

験者を変量効果として含むモデルを用いた ANOVA を行った。幾何平均値の比および 90%

信頼区間を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach, ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

12 例の健康被験者が組入れられ,2 とおりの投与順序に各 6 例が割付けられた。12 例すべての

被験者に治験薬が投与され,治験実施計画書どおりに試験を完了した。本試験では重大な治験

実施計画書からの逸脱はなかった。 本試験に組入れられた被験者は全例が白人男性であり,年齢は平均 37.1 歳,身長は平均 183.1 cm,

体重は平均 85.1 kg,BMI の平均は 25.4 kg/m2 であった。12 例のうち,2 例の被験者が併用薬(ア

モキシシリン 1 例:リトナビル最終投与後 13 日間の休薬期間中、イブプロフェン 1 例:治験薬

投与前)を投与されたが,これらの併用薬は治験に影響を及ぼさないと考えられた。

3) 薬物動態

(1) 薬物動態パラメータ Day 1 のリトナビル 200 mg 投与後 2 時間(リナグリプチン投与後 1 時間)のリトナビルの血漿

中濃度は 3580 ng/mL で,P-糖蛋白および CYP 3A4 を阻害するのに十分な濃度であった。 リナグリプチンおよび代謝物 CD 1790 の薬物動態パラメータを表 2.14: 2,リナグリプチンの薬

物動態パラメータの ANOVA の結果を表 2.14: 3,リナグリプチン単独投与時とリナグリプチン

+リトナビル併用投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度の推移を図 2.14: 1 に示した。 リナグリプチン単独投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータはこれまでのリナグリプチ

ン 5 mg の単回投与試験の結果と一致した。

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併用投与時ではリナグリプチンの血漿中濃度は単独投与時より速く上昇した。リナグリプチン

の最高血漿中濃度(Cmax)はリナグリプチン単独投与時の 9.10 nM に対し,リトナビルの併用

投与期は 26.9 nMと約 3倍高かった(単独投与時に対する併用投与時の幾何平均値の比:295.7%,

90%信頼区間:252.0~347.0%)。tmax の中央値は単独投与時の 1.5 時間に対し,併用投与時は 1.0時間であった。リトナビルにより P-糖蛋白と CYP 3A4 が阻害されたことで,リナグリプチン

の吸収速度および吸収量は併用投与時でいずれも増加した。リナグリプチンの AUC0-24 は単独

投与時の 122 nM·h に対し,併用投与時では 246 nM·h と約 2 倍増加した(単独投与時に対する

併用投与時の幾何平均値の比:201.4%,90%信頼区間:185.8~218.3%)。AUC および Cmax の被

験者内幾何変動係数は低く,それぞれ 10.9%および 21.9%であった。併用投与時と単独投与時

のリナグリプチンの血漿中濃度推移を比較したところ,リトナビル併用によりリナグリプチン

の分布相と消失相はほとんど影響を受けず,リナグリプチンの終末相における半減期は変化し

なかった。CD 1790 の生成はほぼ完全に阻害され,CYP 3A4 の阻害効果が示された(CTD5.3.3.4-7,試験 1218.31,Figure 11.5.2.1: 4)。尿中排泄率は,リナグリプチン単独投与時の 0.5%未満から,

リトナビル併用投与時で 12.2%まで増加した。

表 2.14: 2 リナグリプチンおよび CD 1790 の薬物動態パラメータ

投与期 リナグリプチン+リトナビル

併用投与期

(N=12)

リナグリプチン単独投与期

(N=12)

測定物質 リナグリプチン リナグリプチン CD 1790

gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUC0-24 [nM·h] 246 28.6 122 26.1 12.0 50.3

AUC0-∞ [nM·h] 796 23.8 473 23.4 15.5 44.2

AUC0-tz [nM·h] 537 23.5 315 23.5 12.9 54.9

%AUCtz−∞ [%] 31.2 23.7 32.8 16.1 14.4 55.8

Cmax [nM] 26.9 50.2 9.10 41.0 1.92 72.0

C24 [h] 6.44 23.3 4.26 20.7 - -

tmaxa)[h] 1.00 0.50 - 2.00 1.50 1.50 - 3.00 1.75 0.98 – 3.00

t1/2 [h] 66.5 26.3 63.2 12.5 13.3 26.9

λz [1/h] 0.0104 26.3 0.0110 12.5 0.0521 26.9

MRTpo [h] 84.6 27.3 87.0 14.3 15.2 33.0

CL/F [mL/min] 221 23.8 373 23.4 - -

Vz/F [L] 1270 27.5 2040 26.2 - -

Ae0-24 [nmol] 1290 45.3 50.2 160 - -

fe0-24 [%] 12.2 45.3 0.474 160 - -

CLR,0-24 [mL/min] 87.4 18.6 6.85 118 - -

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD5.3.3.4-7,試験 1218.31,Table 11.5.2.2: 1 より作成

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表 2.14: 3 リナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメータ Test (N=12)

Reference (N=12)

幾何平均値の比 (Test/Reference)[%]

両側 90%信頼区間 被験者内 幾何変動係数

[%] 下限[%] 上限[%]

AUC0-24 [nM·h]

リナグリプチン +リトナビル リナグリプチン 201.4 185.8 218.3 10.9

Cmax [nM]

リナグリプチン +リトナビル リナグリプチン 295.7 252.0 347.0 21.9

引用元:CTD5.3.3.4-7,試験 1218.31,Table 11.5.2.3: 1 より作成

注)幾何平均値

図 2.14: 1 リナグリプチン単独投与期とリナグリプチン+リトナビル併用投与期のリナ

グリプチンの平均血漿中濃度の推移

引用元:CTD5.3.3.4-7,試験 1218.31,Figure 11.5.2.1: 5 より作成

(2) コンパートメント解析 薬物動態モデルを用いたリナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+リトナビル併用投

与時の定常状態でのリナグリプチンの薬物動態パラメータを予測した結果を表 2.14: 4 に示し

た。 予測された AUC に基づく累積係数は単独投与時で 1.20,併用投与時で 1.13 であった。

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シミュレーションの結果,リトナビル併用によるリナグリプチンの曝露の増加が主にバイオア

ベイラビリティの上昇で説明できることが示唆され,曝露の増加に伴う蓄積の上昇はないと予

測された。

表 2.14: 4 リナグリプチン単独投与時およびリナグリプチン+リトナビル併用投与時の

リナグリプチンの AUC および Cmax の予測値

リナグリプチン単独投与 リナグリプチン+リトナビル

単回投与

gMean (gCV[%])

定常状態

gMean (gCV[%])

単回投与

gMean (gCV[%])

定常状態

gMean (gCV[%])

AUC [nM·h] 118 (25) 142 (21) 259 (29) 293 (29)

Cmax [nM] 10.3 (36) 12.7 (32) 31.7 (45) 35 (41)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD5.3.3.4-7,試験 1218.31,Table 11.5.2.4: 1 より作成

4) 安全性

(1) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験中,12 例中 9 例(75%)に有害事象が認められた。発現した有害事象を表 2.14: 5 に示し

た。 併用投与期のリナグリプチン投与前(すなわち,リトナビル単独投与時)に 2 例(16.7%),リ

ナグリプチン単独投与期に 6 例(50.0%),リナグリプチン+リトナビル併用投与時(併用投与

期のリナグリプチン投与後)に 4 例(33.3%),ウォッシュアウト期に 2 例(16.7%)の有害事

象が認められた。 器官別大分類で筋骨格系および結合組織障害に分類される有害事象が最も多く認められ(5 例),

基本語では 3 例に認められた背部痛が最も多かった。器官別大分類で次に多く有害事象が認め

られたのは神経系障害(3 例)で,いずれも頭痛であった。すべての有害事象の重症度は軽度

もしくは中等度であった。治験担当医師が治験薬と因果関係ありと判定した有害事象はリナグ

リプチン+リトナビル併用投与時に 1 件認められた筋肉痛であり,リトナビルと因果関係あり

と判定された。本事象は,処置を要することなく回復した。

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表 2.14: 5 有害事象発現状況(Treated set)

器官別大分類

基本語 a)

単独投与期 併用投与期

ウォッシュ

アウト期

N(%)

リナグリ

プチン合計

N(%)

合計

N(%)

リナグリプチ

N(%)

リトナビル

単独投与時

N(%)

リナグリプ

チン+リト

ナビル

N(%)

投与例数 12 (100.0) 12 (100.0) 12 (100.0) 12 (100.0) 12 (100.0) 12 (100.0)

有害事象発現例数 6 (50.0) 2 (16.7) 4 (33.3) 2 (16.7) 9 (75.0) 9 (75.0)

筋骨格系および結合組織障害

(Musculoskeletal and

connective tissue disorders)

3 (25.0) - - 4 (33.3) - - 5 (41.7) 5 (41.7)

背部痛(Back pain) 2 (16.7) - - 3 (25.0) - - 3 (25.0) 3 (25.0)

筋肉痛(Myalgia) - - - 1 (8.3) - - 1 (8.3) 1 (8.3)

重感(Sensation of

heaviness) 1 (8.3) - - - - - - 1 (8.3) 1 (8.3)

神経系障害(Nervous system

disorders) 2 (16.7) 2 (16.7) - - 1 (8.3) 3 (25.0) 3 (25.0)

頭痛(Headache) 2 (16.7) 2 (16.7) - - 1 (8.3) 3 (25.0) 3 (25.0)

感染症および寄生虫症

(Infections and infestations) 1 (8.3) - - - - 1 (8.3) 2 (16.7) 2 (16.7)

鼻咽頭炎(Nasopharyngitis) 1 (8.3) - - - - - 1 (8.3) 1 (8.3)

扁桃炎(Tonsillitis) - - - - - 1 (8.3) 1 (8.3) 1 (8.3)

眼障害(Eye disorders) - - 1 (8.3) - - - - - - 1 (8.3)

眼瞼炎(Blepharitis) - - 1 (8.3) - - - - - - 1 (8.3)

全身障害および投与局所様態

(General disorders and

administration site conditions)

1 (8.3) - - - - - - 1 (8.3) 1 (8.3)

疲労(Fatigue) 1 (8.3) - - - 1 (8.3) 1 (8.3)

a)MedDRA -:当該有害事象の発現なし 注)被験者 1 例が 1 つ以上の器官別大分類に該当する場合あり 引用元:CTD5.3.3.4-7,試験 1218.31,Table 12.2.2: 1 より作成

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(2) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 臨床検査では,リナグリプチン単独投与期およびリトナビル併用投与期のいずれでも一貫した

変化または臨床的に問題となる変化はみられなかった。すべての項目について投与期中の平均

値は基準値範囲内であった。被験者によっては基準値の上限または下限を超える値もみられた

が,ベースライン時に既に基準値範囲外であるなど,治験薬の投与と関連する一貫した傾向は

みられなかった。 バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図に,臨床的に問題となる異常は認められなかっ

た。 (3) 忍容性 忍容性は,すべての被験者でいずれの投与期においても良好と判定された。

5) まとめ

リナグリプチンの吸収速度および吸収量は,P-糖蛋白と CYP 3A4 の強力な阻害剤であるリトナ

ビルの併用により増加した。リナグリプチンの最高血漿中濃度(Cmax)の幾何平均値は,併用

投与時では単独投与時の約 3 倍であった。リトナビルにより P-糖蛋白と CYP 3A4 が阻害され

たことで,リナグリプチンの吸収速度および吸収量は併用投与時でいずれも増加した。併用投

与時の血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)は,単独投与時の約 2 倍となった。リトナビル

を併用投与しても,リナグリプチンの分布相や消失相に影響はほとんどみられず,終末相にお

ける半減期は変化しなかった。 リナグリプチンの単独投与およびリナグリプチンとリトナビルの併用投与後の忍容性はいずれ

も良好であった。これまでに得られている非臨床試験(リナグリプチンの無毒性量は臨床用量

の 300 倍を超える)および臨床試験(健康被験者において 1 日 1 回 600 mg まで)の結果,リ

ナグリプチンの安全域は広く,P-糖蛋白および CYP 3A4 の強力な阻害剤であるリトナビルの併

用による約 2 倍の曝露量の増加は,リナグリプチンの投与を受ける患者の安全性に対して臨床

的な意味を持つものではないと考えられた。

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2.15 試験 1218.44

(CTD 5.3.3.4-8)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.15: 1 に示した。

表 2.15: 1 試験方法の概略(1/3)

目的 閉経前健康女性被験者における BI 1356 (リナグリプチン)5 mg 錠の経口反復投与による

の成分であるエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの定常状

態における薬物動態への影響の検討

試験デザイン 第 I 相,非盲検,2 期,固定投与順序,反復投与試験

対象 18~40 歳までの閉経前健康女性被験者,BMI は 18.5~27.0 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

フィルムコート錠(エチニルエストラジオール 30 µg およびレボノルゲストレ

ル 150 µg 含有)

目標症例数 18 例

投与方法

投与期間

以下の 2 期で試験を行った。なお,第 1 期の前に,導入期として,21~48 日間(各被験者

の生理周期により異なる) を第 1 期開始の 8 日前(Day -8)まで 1 日 1 回 1 錠

投与した。Day -7 から-1 は の投与を行わなかった。

・第 1 期(投与期間は Day 1~14 の 14 日間):

Day 1~14 に を 1 日 1 回 1 錠投与( 単独投与)

・第 2 期(投与期間は Day 15~21 の 7 日間):

Day 15~21 にリナグリプチン 5 mg および を 1 日 1 回,各 1 錠投与(リナ

グリプチンと 併用投与)

第 1 期と第 2 期の間にウォッシュアウト期は設けなかった。Day 14 および 21 は, 10 時間

以上絶食後の朝に治験薬の投与を行い,投与後 4 および 11 時間目に標準食を提供した。

その他の日は絶食下投与の条件を設けなかった。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,導入期,投与期(第 1 期,第 2 期)および治験終了期から

なる。投与期における薬物濃度測定用に以下の時間に採血した。

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表 2.15 1 試験方法の概略(2/3)

観察項目

観察時期

(続き)

a)投与後 0.5,3~24 時間はエチニルエストラジオール/レボノルゲストレルの薬物濃

度測定用採血のみ実施

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

投与期 測定項目 Day 採血時間

第 1 期

単独投与

薬物濃度(エチニ

ルエストラジオー

ル/レボノルゲス

トレル)

Day 1,5,

10~13

投与 15 分前

Day 14

投与 15 分前,投与後 0.5,

1,1.5,2,3,4,6,9,12

時間

第 2 期 リナグリプ

チンと

の併用投与

薬物濃度(リナグ

リプチン,エチニ

ルエストラジオー

ル/レボノルゲス

トレル)

Day 15,18

~20

投与 15 分前

Day 21a) ,

22a)

投与 15 分前,投与後 0.5,

1,1.5,2,3,4,6,9,12,

24 時間

評価項目

評価基準

薬物動態パラメータ:

主要評価項目:

エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの AUCτ,ss および Cmax,ss

副次評価項目:

エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの tmax,ss,CL/Fss,Vz/Fss,t1/2,ss,

λz,ss,MRTpo,ss,AUCt1-t2,ss および C24,ss

リナグリプチン,エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの投与前血漿

中濃度(定常状態への到達の評価)

リナグリプチンの Day 21 の血漿中濃度(これまでの試験結果から予測される範囲内

にあるかの確認)

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの Day 14 および 21 における薬物動

態パラメータ(AUCτ,ss および Cmax,ss)を各被験者内で比較した。エチニルエストラジオー

ルおよびレボノルゲストレルの AUCτ,ss および Cmax,ss を対数変換後に薬剤を固定効果,被

験者を変量効果とした ANOVA モデルを用いて解析した。両側 90%信頼区間を算出した後,

オリジナルスケールに逆変換して,幾何平均値の比および 90%信頼区間を求めた。

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表 2.15: 1 試験方法の概略(3/3)

解析方法

(続き)

定常状態への到達は,リナグリプチン,エチニルエストラジオールおよびレボノルゲスト

レルの投与直前の血漿中濃度を用いて評価した。その他のすべての薬物動態および安全性

パラメータについては記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 18 例の健康な閉経前の女性被験者が本試験に組入れられ,全被験者が治験薬の投与を受け

た。全 18 例が計画どおり試験を完了し,中止例はなかった。なお,本試験に組入れられた全被

験者が白人で,年齢は平均 29.3 歳,体重は平均 60.8 kg,BMI は平均 22.16 kg/m2 であった。本

試験では重大な治験実施計画書からの逸脱はなかった。

3) 薬物動態

(1) 血漿中濃度推移 単独投与時およびリナグリプチンと 併用投与時の,エチニルエストラ

ジオールおよびレボノルゲストレルそれぞれの平均血漿中濃度推移を,図 2.15: 1 および図 2.15: 2 に示した。 エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの薬物動態は,Day 5 から 15 で得られた

トラフ濃度の結果から,それぞれ遅くとも Day 5 および 12 には定常状態に到達し,第 2 期の終

了時まで定常状態が持続したと考えられた。エチニルエストラジオールの血漿中濃度はいずれ

の投与期においても速やかに増加し, 単独投与時では 1 時間,リナグリプチン併用

投与時では 1.25 時間で最高血漿中濃度に到達した。レボノルゲストレルの血漿中濃度はいずれ

の投与期においても速やかに増加し,約 1 時間で最高血漿中濃度に到達した。 リナグリプチンの薬物動態は,遅くとも Day 18(リナグリプチン投与 4 日目)には定常状態に

到達した。リナグリプチンの Day 21 のトラフ,投与後 1,1.5 および 2 時間の血漿中濃度の幾

何平均値は,これまでの反復投与試験で得られたリナグリプチンの血漿中濃度と同程度であっ

た。

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Day 14(~24 h)および Day 21(~24 h)(片対数軸)

図 2.15: 1 単独投与時およびリナグリプチンと 併用投与時の

エチニルエストラジオールの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-8,試験 1218.44,Figure 11.5.2.1: 1 より作成

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Day 14(~24 h)および Day 21(~24 h)(片対数軸)

図 2.15: 2 単独投与時およびリナグリプチンと 併用投与時の

レボノルゲストレルの平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.3.4-8,試験 1218.44,Figure 11.5.2.1: 2 より作成

(2) 薬物動態パラメータ

単独投与時およびリナグリプチンと 併用投与時の,エチニルエストラ

ジオールおよびレボノルゲストレルそれぞれの定常状態での薬物動態パラメータを,表 2.15: 2および表 2.15: 3 に示した。 全体として,エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの主な薬物動態パラメータ

はリナグリプチンの併用の有無にかかわらず類似していた。

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表 2.15: 2 単独投与時およびリナグリプチンと 併用投与時の

エチニルエストラジオールの薬物動態パラメータ

リナグリプチン+

gMean (N=18) gCV [%] gMean (N=18) gCV [%]

AUCτ,ss [pg·h/mL] 839 30.2 851 32.5

Cmax,ss [pg/mL] 85.1 32.8 91.8 38.4

tmax,ssa) [h] 1.00 0.500 – 4.00 1.25 0.517 – 3.02

CL/Fss [mL/min] 596 30.2 587 32.5

Vz/Fss [L] 659 31.2 666 34.7

t1/2,ss [h] 12.8 27.0 13.1 23.4

MRTpo,ss [h] 17.0 24.7 17.3 17.8

a)中央値および最小値~最大値

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.4-8,試験 1218.44,Table 11.5.2.2: 1 より作成

表 2.15: 3 単独投与時およびリナグリプチンと 併用投与時の

レボノルゲストレルの薬物動態パラメータ

リナグリプチン+

gMean (N=18) gCV [%] gMean (N=18) gCV [%]

AUCτ,ss [ng·h/mL] 93.2 41.1 101 43.8

Cmax,ss [ng/mL] 7.59 35.7 8.61 39.1

tmax,ssa) [h] 1.00 0.500 – 2.02 1.00 0.500 – 3.02

CL/Fss [mL/min] 26.8 23.4 24.7 43.8

Vz/Fss [L] 68.6 46.5 64.5 45.7

t1/2,ss [h] 29.5 25.8 30.2 21.5

MRTpo,ss [h] 40.4 24.9 41.2 20.8

a)中央値および最小値~最大値

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.4-8,試験 1218.44,Table 11.5.2.2: 2 より作成

(3) 統計解析による評価(相対バイオアベイラビリティ) エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの定常状態における血漿中濃度-時間曲

線下面積(AUCτ,ss)および最高血漿中濃度(Cmax,ss)の幾何平均値の比とその両側 90%信頼区

間を表 2.15: 4 に示した。なお,幾何平均値の比(Test/Reference)は,リナグリプチンと

の併用投与時を Test, 単独投与時を Reference として算出した。 リナグリプチンと の併用投与により,エチニルエストラジオールの定常状態での

Cmax,ss および AUCτ,ss とレボノルゲストレルの AUCτ,ss は影響を受けなかったが,レボノルゲス

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トレルの Cmax,ss は 13.5%増加した。いずれのパラメータでも 90%信頼区間は生物学的同等性の

基準範囲(80~125%)内にあった。このことから,レボノルゲストレルの曝露に対する軽微な

増加は,臨床的に問題とならないと考えられる。また, の避妊効果は,レボノルゲ

ストレルの曝露量の増加により影響を受けないと考えられる。

表 2.15: 4 単独投与時に対するリナグリプチンと 併用投与時

のエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの相対バイオアベ

イラビリティ

パラメータ

Test

(N=18)

Reference

(N=18)

gMean の比

(Test/Reference)

被験者内

gCV

両側 90%信頼区間

[%] [%] 下限値

[%]

上限値

[%]

エチニルエストラジオール

AUCτ,ss [pg·h/mL] リナグリプチン

+

101.4 7.3 97.24 105.79

Cmax,ss [pg/mL] リナグリプチン

+

107.8 13.6 99.71 116.63

レボノルゲストレル

AUCτ,ss [ng·h/mL] リナグリプチン

+

108.8 7.0 104.52 113.34

Cmax,ss [ng/mL] リナグリプチン

+

113.5 11.6 106.08 121.32

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.4-8,試験 1218.44,Table 11.5.2.3: 1 より作成

4) 安全性

(1) 曝露状況 すべての被験者において,リナグリプチンが 7 日間投与され,総投与量量は 35 mg であった。

エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルについては,被験者により導入期の長さ

が異なるため,総投与量量は被験者間で異なっており,それぞれ 1260~2280 µg および 6300~11400 µg の範囲にあった。 (2) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験では,18 例の被験者のうち 15 例(83.3%)に有害事象が認められた。投与期に認められ

た有害事象を表 2.15: 5 に示す。 発現時期別では, 単独投与期( を投与した導入期および 14 日間の投与

期)中に 14 例(77.8%),リナグリプチンと の 7 日間の併用投与期中に 6 例(33.3%)

であった。高度の有害事象は 単独投与期に 3 例(16.7%)に認められた(頭痛 2 例,

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頚部痛 1 例)。死亡,重篤な有害事象,その他の重要な有害事象および治験中止に至った有害事

象は認められなかった。 治験担当医師が治験薬と因果関係ありと判定した有害事象が 11 例(61.1%)に 16 件認められ

た。その内訳は,頭痛( 単独投与時 8 例,リナグリプチンと 併用投与

時 1 例),嘔吐( 単独投与時 2 例),そう痒症(リナグリプチンと 併用

投与時 2 例),眼乾燥,悪心および不正子宮出血( 単独投与時各 1 例)であった。

表 2.15: 5 投与期に発現した有害事象

b) リナグリプチン +

Total

基本語 a) N (%) N (%) N (%)

投与例数 18 (100.0) 18 (100.0) 18 (100.0)

有害事象発現例数 14 ( 77.8) 6 ( 33.3) 15 ( 83.3)

頭痛 (Headache) 8 ( 44.4) 1 ( 5.6) 9 ( 50.0)

口腔咽頭痛 (Oropharyngeal pain) 4 ( 22.2) 0 4 ( 22.2)

嘔吐 (Vomiting) 2 ( 11.1) 0 2 ( 11.1)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 1 ( 5.6) 1 ( 5.6) 2 ( 11.1)

そう痒症 (Pruritus) 0 2 ( 11.1) 2 ( 11.1)

眼乾燥 (Dry eye) 1 ( 5.6) 0 1 ( 5.6)

上腹部痛 (Abdominal pain upper) 0 1 ( 5.6) 1 ( 5.6)

悪心 (Nausea) 1 ( 5.6) 0 1 ( 5.6)

頚部痛 (Neck pain) 1 ( 5.6) 0 1 ( 5.6)

不正子宮出血 (Metrorrhagia) 1 ( 5.6) 0 1 ( 5.6)

鼻閉 (Nasal congestion) 0 1 ( 5.6) 1 ( 5.6)

a)MedDRA

b)導入期を含む

引用元:CTD 5.3.3.4-8,試験 1218.44,Table 12.2.2: 1 より作成

(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 臨床検査,バイタルサインおよび 12 誘導心電図に臨床的に問題となる異常は認められなかっ

た。 (4) 忍容性 忍容性は,治験担当医師によりすべての被験者について良好と判定された。

5) まとめ

リナグリプチン 5 mg と (エチニルエストラジオール 30 µg およびレボノルゲスト

レル 150 µg 含有)の併用投与により,エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの

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228

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定常状態での薬物動態に臨床的に問題となる影響は認められなかった。また,リナグリプチン

の定常状態のトラフ濃度は, の併用投与により明らかな影響を受けなかった。 単独投与およびリナグリプチンと の併用投与のいずれの投与方法も,

安全で忍容性は良好であった。

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229

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2.16 試験 1218.67

(CTD 5.3.3.4-9)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 2.16: 1 に示した。

表 2.16: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男女被験者における BI 1356(リナグリプチン)の定常状態の薬物動態に対するリフ

ァンピシン反復投与の影響の検討

試験デザイン 第 I 相,非盲検,2 期,投与順序固定,反復投与試験

対象 18~50 歳までの健康男性および女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 リナグリプチン 5 mg フィルムコート錠

リファンピシン 600 mg 糖衣錠(Rifa®)

目標症例数 16 例

投与方法

投与期間

第 1 期(リナグリプチンとリファンピシンを併用):

Day −6~6 の夕方にリファンピシン 600 mg を 1 日 1 回,12 日間経口投与し,Day 1~6

の朝にリナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回,6 日間経口投与した。

第 2 期(リナグリプチン単独投与):

Day 1~12 の朝にリナグリプチン 5 mg を 1 日 1 回,12 日間経口投与した。

なお,第 1 期終了後は直接第 2 期に移行し,ウォッシュアウト期は設けなかった。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(第 1 期,第 2 期)および治験終了期からなる。投

与期における薬物濃度および薬力学マーカー(DPP-4 活性)測定用に以下の時間に採血し

た。薬物濃度測定用蓄尿はリナグリプチン初回投与前,各投与期のリナグリプチン最終投

与後 0~4,4~8,8~12,12~24 時間に行った。

測定項目 投与期 採血時間

薬物濃度 第 1 期 Day 1,4,5 のリナグリプチン投与前,Day 6 の投与 1 時間前,Day

6 の投与後 20,40 分,1,1.5,2,2.5,3,4,6,8,12 時間

第 2 期 Day 1,4,8,10,11 のリナグリプチン投与前,Day 12 の投与 1

時間前,Day 12 の投与後 20,40 分,1,1.5,2,2.5,3,4,6,8,

12,24 時間

薬力学 第 1 期 Day 1,4,5 のリナグリプチン投与前,Day 6 の投与 1 時間前,Day

6 の投与後 1,1.5,2,3,4,8,12 時間

第 2 期 Day 1,4,8,10,11 のリナグリプチン投与前,Day 12 の投与 1

時間前,Day 12 の投与後 1,1.5,2,3,4,8,12,24 時間

なお,薬物濃度測定用の採血日では,リナグリプチンの投与は 10 時間以上の絶食の後に

行った。

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表 2.16: 1 試験方法の概略(2/2)

観察項目

観察時期

(続き)

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数)

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

主要評価項目:

リナグリプチンの AUCτ,ss および Cmax,ss

副次評価項目:

DPP-4 阻害率,CD 1790(リナグリプチンの主な代謝物)の AUCτ,ss および Cmax,ss,6β-

ヒドロキシコルチゾールとコルチゾールの尿中濃度の比(リファンピシンによる酵素誘

導のマーカー),リナグリプチンの Aet1-t2,ss および fet1-t2,ss,リナグリプチンおよび CD 1790

のその他の血漿中および尿中薬物動態パラメータ

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 AUCτ,ss および Cmax,ss について,対数変換後に,薬剤を固定効果,被験者を変量効果とした

ANOVA モデルを用いて解析した。両側 90%信頼区間を算出した後に,オリジナルスケー

ルに逆変換して,幾何平均の比の推定値とその信頼区間を求めた。信頼区間は ANOVA の

残差に基づいて算出した。各評価項目について記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 16 例の健康被験者が本試験に組入れられた。全員が治験薬の投与を受け,計画どおり試験

を完了した。なお,本試験に参加した被験者の全員が白人で,男性は 10 例(62.5%),女性は 6例(37.5%),年齢は平均 40.1 歳,体重は平均 71.4 kg,BMI は平均 23.95 kg/m2 であった。本試

験では重大な治験実施計画書からの逸脱はなかった。

3) バイオマーカー

6β-ヒドロキシコルチゾールとコルチゾールの尿中濃度比を表 2.16: 2 に示した。 6β-ヒドロキシコルチゾールとコルチゾールの尿中濃度の比は,リファンピシン単独投与 6 日後

にベースラインの約 5.1 倍に増加し,リナグリプチンとリファンピシンの併用投与 6 日後まで

同程度の値を維持した後,リナグリプチン単独投与開始 12 日後(リファンピシン最終投与 12日後)ではベースラインと同程度の値まで減少した。したがって,リナグリプチンの併用投与

はリファンピシンの酵素(CYP3A4)誘導作用に影響せず,本試験ではリナグリプチンの薬物

動態に対するリファンピシンの酵素誘導作用の影響を適切に検討できると判断した。

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表 2.16: 2 6β-ヒドロキシコルチゾールとコルチゾールの尿中濃度比

6β-hydroxycortisol to cortisol ratio

N gMean (gCV [%])

Baseline 16 3.64 (47.0)

Rifampicin alone (6 days treatment) 16 18.5 (53.3)

Linagliptin plus rifampicin (6 days combined treatment) 16 20.4 (50.2)

Linagliptin alone (Day 4 after rifampicin stop) 16 16.5 (68.0)

Linagliptin alone (Day 6 after rifampicin stop) 16 9.45 (55.5)

Linagliptin alone (Day 8 after rifampicin stop) 16 6.87 (59.8)

Linagliptin alone (Day 12 after rifampicin stop) 16 4.91 (40.7)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Tables 11.5.3: 1 より作成

4) 薬物動態

リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度の

推移を図 2.16: 1 に,代謝物 CD 1790 の平均血漿中濃度の推移を図 2.16: 2 に示した。また,リ

ナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ

を表 2.16: 3 に,CD 1790 の薬物動態パラメータを表 2.16: 4 に,ANOVA の結果を表 2.16: 5 に示

した。 リファンピシンの併用の有無にかかわらず,リナグリプチンの血漿中濃度は速やかに増加し,定

常状態における最高血漿中濃度到達時間(tmax,ss)の中央値はリナグリプチン単独投与時で 1.26時間,リファンピシン併用投与時で 1.50 時間であり,単独投与時と比較して併用投与時でわず

かに延長した。ANOVA の結果から,リナグリプチンの定常状態における血漿中濃度-時間曲線

下面積(AUCτ,ss)および最高血漿中濃度(Cmax,ss)は,リナグリプチン単独投与時と比較してリ

ファンピシン併用投与時にそれぞれ 40%と 44%減少した。リナグリプチンの相対バイオアベイ

ラビリティはリファンピシンの併用投与により有意に減少した。リナグリプチンの終末相にお

ける半減期(t1/2,ss)の幾何平均値は,単独投与時と併用投与時で同程度であった。リナグリプ

チンの尿中排泄率(fe0-24,ss)の幾何平均値は,単独投与時と比較して併用投与時で減少したが,

いずれも 5%未満であった。 リファンピシンの併用の有無にかかわらず,CD 1790 の血漿中濃度は速やかに増加し,tmax,ss の中

央値はリナグリプチン単独投与時で 2.00時間,リファンピシン併用投与時で 1.50時間であった。

CD 1790 の AUCτ,ss の幾何平均値は,単独投与時と比較して併用投与時で 83%減少した。CD 1790の Cmax,ss の幾何平均値は,単独投与時と比較して併用投与時で 70%減少した。 CD 1790 とリナグリプチンの AUCτ,ss の比(CD 1790/リナグリプチン)は,リナグリプチン単独

投与時で 0.109,リファンピシン併用投与時で 0.0307 であり,単独投与時と比較して併用投与

時で 72%減少した。CD 1790 とリナグリプチンの Cmax,ss の比(CD 1790/リナグリプチン)は,リ

ナグリプチン単独投与時で 0.220,リファンピシン併用投与時で 0.119 であり,単独投与時と比

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較して併用投与時で 46%減少した。これらの結果は,CD 1790 がリナグリプチンの CYP3A4 に

よる代謝物であることから予想される結果とは異なっていた。

注)幾何平均値

図 2.16: 1 リナグリプチン単独投与時とリナグリプチン+リファンピシン併用投与時の

リナグリプチンの平均血漿中濃度の推移

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Figure 11.5.2.1: 1 より作成

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注)幾何平均値

図 2.16: 2 リナグリプチン単独投与時とリナグリプチン+リファンピシン併用投与時の

CD 1790 の平均血漿中濃度の推移

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Figure 11.5.2.1: 2 より作成

表 2.16: 3 リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時のリナグリプチン

の薬物動態パラメータ

リナグリプチン リナグリプチン 単独投与

(Reference)

(N=16)

リナグリプチン + リファンピシン

(Test) (N=16)

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 145 25.4 87.6 16.8

Cmax,ss [nM] 9.84 38.6 5.53 24.2

tmax,ssa) [h] 1.26 0.333 - 6.00 1.50 0.667 - 6.00

t1/2,ss [h] 56.1 52.7 58.9 42.9

fe0-24,ss [%] 3.46 54.4 0.415 105

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Table 11.5.2.2: 1 より作成

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表 2.16: 4 リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時の CD 1790 の薬物

動態パラメータ

CD 1790 リナグリプチン 単独投与

(Reference)

(N=16)

リナグリプチン + リファンピシン

(Test) (N=16)

gMean gCV [%] gMean gCV [%]

AUCτ,ss [nM·h] 15.8 51.5 2.69 50.3

Cmax,ss [nM] 2.17 61.9 0.659 63.6

tmax,ssa) [h] 2.00 0.650 - 4.00 1.50 0.667 - 6.00

t1/2,ss [h] 13.3 48.4 3.90 87.1

RAUCτ,ss, M/P 0.109 36.1 0.0307 49.8

RCmax,ss, M/P 0.220 36.0 0.119 46.6

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Table 11.5.2.2: 2 より作成

表 2.16: 5 リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時のリナグリプチン

の薬物動態パラメータの ANOVA 結果

パラメ

ータ

N=16

リナグリプチン +

リファンピシン (Test)

リナグリプチン

単独投与

(Reference)

gMean の比

(Test/Reference)

被験者内 gCV

90%信頼区間

gMean gMean [%] [%] 下限値 [%] 上限値 [%] AUCτ,ss

[nM•h] 87.6 145 60.5 13.3 55.7 65.7

Cmax,ss

[nM] 5.53 9.84 56.2 26.5 47.8 66.0

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Table 11.5.2.3: 1 より作成

5) 薬力学

リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時の DPP-4 阻害率の経時変化を図 2.16: 3に,リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時の DPP-4 阻害率を表 2.16: 6 に示し

た。 リファンピシンの併用によりリナグリプチンの血漿中濃度が低下したことにより,DPP-4 阻害

率が減少した。しかしながら,最大 DPP-4 阻害率(Emax,ss)の中央値はリナグリプチン単独投

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与時で 92.6%,リファンピシン併用投与時で 86.5%と 7%の減少を示したのみであった。定常状

態のトラフ時の DPP-4 阻害率(E24,ss)の中央値は,リナグリプチン単独投与時で 81.1%,リフ

ァンピシン併用投与時で 52.7%であった。定常状態の平均 DPP-4 阻害率(Eavg,ss)の中央値は,

リナグリプチン単独投与時で 85.6%,リファンピシン併用投与時で 67.6%であった。

図 2.16: 3 リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時の DPP-4 阻害率の経時変

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Figure 11.5.3: 2 より作成

表 2.16: 6 リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時の DPP-4 阻害率

DPP-4 阻害率 リナグリプチン単独投与

(Reference)

(N=16)

リナグリプチン +リファンピシン

(Test)

(N=16)

Parameter Median (range) Median (range)

E24,ss [%] 81.1 (59.6 - 88.1) 52.7 (37.2 - 69.9)

Emax,ss [%] 92.6 (87.7 - 94.5) 86.5 (69.9 - 91.6)

Eavg,ss [%] 85.6 (70.8 - 90.4) 67.6 (51.7 - 78.1)

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Table 11.5. 3: 2 より作成

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6) PK/PD 関係

リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時の DPP-4阻害率とリナグリプチン血漿

中濃度との相関を図 2.16: 4 に示した。 リファンピシンの併用による,リナグリプチンの PK/PD(リナグリプチン血漿中濃度/DPP-4 阻

害率)関係に対する影響は認められなかった。

図 2.16: 4 リナグリプチン単独投与時とリファンピシン併用投与時の DPP-4 阻害率と

リナグリプチン血漿中濃度との相関

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Figure 11.5.4: 1 より作成

7) 安全性

(1) 曝露状況 すべての被験者において,リナグリプチンの総投与量は 90 mg およびリファンピシンの総投与

量は 7200 mg であった。 (2) 有害事象(MedDRA を使用) 本試験で発現した有害事象を表 2.16: 7 に示した。16 例の被験者すべてに有害事象が認められ

た(リファンピシン単独投与時 16 例,リナグリプチンとリファンピシンの併用投与時 9 例,リ

ナグリプチン単独投与時 5 例)。リファンピシン単独投与時の 16 例すべてに着色尿が認められ

た。着色尿はリファンピシン初回投与日から発現したため,リファンピシン単独投与時の事象

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として集計されたが,リナグリプチンとリファンピシンの併用投与の終了時まで持続していた。

着色尿はいずれも治験薬と因果関係ありと判定された。着色尿以外で 2 例以上認められた有害

事象は,頭痛(リファンピシン単独投与時 1 例,リナグリプチンとリファンピシンの併用投与

時 8 例,リナグリプチン単独投与時 1 例),口内乾燥(リファンピシン単独投与時 2 例,リナグ

リプチンとリファンピシンの併用投与時 1 例),異常便(リファンピシン単独投与時 1 例,リナ

グリプチン単独投与時 1 例)であった。 着色尿以外で治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は,リファンピシン単独投与時の 2例(食欲減退および異常便)に認められた。リナグリプチンとリファンピシンの併用投与時お

よびリナグリプチン単独投与時では,治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は認められ

なかった。 高度の有害事象はリナグリプチンとリファンピシンの併用投与時に 1 例(頭痛)認められ,治

験薬と因果関係なしと判定された。その他の有害事象はいずれも軽度または中等度であった。 本試験では,死亡,重篤な有害事象,他の重要な有害事象,治験中止に至った有害事象は認め

られなかった。

表 2.16: 7 有害事象発現状況

基本語 a)

リファンピシン 単独投与 N(%)

リナグリプチン+リファンピシン

N(%)

リナグリピチン 単独投与 N(%)

合計

N(%) 投与例数 16(100.0) 16(100.0) 16(100.0) 16(100.0) 有害事象発現例数 16(100.0) 9 (56.3) 5 (31.3) 16(100.0) 着色尿 (Chromaturia) 16(100.0) 0 0 16(100.0) 頭痛 (Headache) 1 (6.3) 8 (50.0) 1 (6.3) 9 (56.3) 口内乾燥 (Dry mouth)

2 (12.5) 1 (6.3) 0 2 (12.5)

異常便 (Abnormal faeces)

1 (6.3) 0 1 (6.3) 2 (12.5)

消化管感染 (Gastrointestinal infection)

0 0 1 (6.3) 1 (6.3)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis)

0 0 1 (6.3) 1 (6.3)

食欲減退 (Decreased appetite)

1 (6.3) 0 0 1 (6.3)

腹痛 (Abdominal pain)

0 1 (6.3) 0 1 (6.3)

舌苔 (Tongue coated) 0 1 (6.3) 0 1 (6.3) 発疹 (Rash) 0 0 1 (6.3) 1 (6.3)

a)MedDRA

引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験 1218.67,Table 12.2. 2: 1 より作成

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(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図 臨床検査,バイタルサインおよび 12 誘導心電図に,臨床的に問題となる異常は認められなかっ

た。 (4) 忍容性 両投与期においてすべての被験者の忍容性は良好と判定された。

8) まとめ

P-糖蛋白および CYP3A4 の強力な誘導剤であるリファンピシンをリナグリプチンと併用したと

き,リナグリプチン単独投与時と比較してリナグリプチンの吸収速度および吸収量は減少した

(AUCτ,ss は 40%減少,Cmax,ss は 44%減少,tmax,ss はわずかに延長)。リファンピシンとリナグリ

プチンの併用投与による,リナグリプチンの分布相および消失相に対する影響はわずかであり,

t1/2,ss の変化は認められなかった。リナグリプチンの CYP3A4 による代謝物である CD 1790 の生

成が,リファンピシン併用投与時に減少したことから,本試験で認められたリナグリプチンの

薬物動態に対するリファンピシンの影響は,主に消化管での P-糖蛋白の誘導に起因するものと

考えられた。 リファンピシンを併用したとき,リナグリプチン単独投与時と比較してトラフ時の DPP-4 阻害

率は 35%減少し,平均 DPP-4 阻害率は 21%減少した。リファンピシンとリナグリプチンの併用

投与時の平均 DPP-4 阻害率は 67.6%,トラフ時の DPP-4 阻害率は 52.7%であった。したがって,

リファンピシンと併用した場合でもリナグリプチンは臨床的に有効であると期待できるものの,

最大の効果は得られない可能性があると考えられた。 リナグリプチンとリファンピシンの併用投与およびリナグリプチンの単独投与のいずれも安全

で忍容性は良好であった。

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3. 臨床薬力学(PD)試験

3.1 試験 1218.32

(資料番号 5.3.4.1-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 3.1: 1 に示した。

表 3.1: 1 試験方法の概略(1/2)

目的 健康男女被験者における BI 1356(リナグリプチン)5 mg および 100 mg 単回投与時の QT

間隔延長のプラセボに対する非劣性の検証

試験デザイ

第 I 相,二重盲検,ランダム化,プラセボ対照,4 期クロスオーバー試験(非盲検下で陽性

対照を追加)

対象 21~50 歳までの健康男性および女性被験者,BMI は 18.5~29.9 kg/m2

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 5 mg,50 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 5 mg,50 mg 錠に対応するプラセボ錠

モキシフロキサシン( )400 mg 錠

目標症例数 44 例

投与方法

投与期間

4 期クロスオーバー法によりリナグリプチン 5 mg(L),リナグリプチン 100 mg(H),プラ

セボ(P),モキシフロキサシン 400 mg(M)を以下の 12 とおりの投与順序で単回投与した。

投与順序 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

第 1 期 H L P M M M H L P L H P 第 2 期 L P H L H P M M M H P L 第 3 期 P H L H P L L P H M M M 第 4 期 M M M P L H P H L P L H

各投与期の間には 6 週間以上のウォッシュアウト期を設けた。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,投与期(第 1~4 期),ウォッシュアウト期および治験終了期

からなる。

12 誘導心電図は,スクリーニング期,第 1~4 期の投与 1 時間前,55 分前,50 分前,投与

後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,12,24 時間,治験終了期に測定し,第 1~4 期では 30~120

秒の間隔をあけて 3 回測定した。

薬物濃度測定用採血は,第 1~4 期の投与 1 時間前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,

12,24 時間に行った。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,バイタルサイン(血圧,脈拍数),

臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を行った。

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240

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表 3.1: 1 試験方法の概略(2/2)

評価項目

評価基準

主要評価項目:

QTcI(QT 間隔の被験者ごとの補正値)の投与後 1~4 時間の平均値とベースライン値(各

投与日の投与前の平均値)の差

副次評価項目:

QTcI の投与後 30 分~24 時間の平均値とベースライン値の差

QTcI の投与後 30 分~24 時間の各時点の値とベースライン値の差

その他の評価項目:

QTcN(「被験者集団データによる補正値),QTcF(QT 間隔の Fridericia 補正法による補

正値),QTcB(QT 間隔の Bazett 補正法による補正値),RR 間隔,未補正の QT 間隔

QTcI,QTcN,QTcF,QTcB,未補正の QT 間隔について,ベースライン後に新たに 500,

480,または 450 ms を上回ったか,ベースラインからの変化量が 60 または 30 ms を上

回った被験者をそれぞれ集計した。

薬物動態パラメータ:

リナグリプチンの AUCt1-t2,Cmax,tmax

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図(PR 間隔,QRS 間隔,心

拍数,心電図異常,T 波および U 波の形態),臨床検査,有害事象および忍容性

解析方法 主要評価項目である QTcI の投与後 1~4 時間の平均値とベースライン値の差について,投

与順序,薬剤,時期を固定効果,投与順序内被験者を変量効果,ベースライン値を共変量

とする ANCOVA を行った後,ベースライン値で補正した各薬剤間の差およびその両側 90%

信頼区間を求めた。

QTcI の投与後の各時点の値とベースライン値の差について,投与順序,薬剤,時期を固定

効果,投与順序内被験者を変量効果,ベースライン値を共変量,時点を反復効果,薬剤と

時点,時期と時点を交互作用とする ANCOVA を行った。薬物動態パラメータについては

記述統計量を算出した。

治験責任医師

治験実施施設 Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Human Pharmacology Centre, Biberach,ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 治験対象

合計 44 例の健康男女被験者が本試験に組入れられ,全員が治験薬の投与を受けた。このうち

43 例が計画どおり試験を完了し,1 例が重篤な有害事象(乳癌,治験薬との因果関係なし)の

ため第 3 期終了後に中止した。なお,本試験に参加した被験者の全員が白人で,男性は 26 例

(59.1%),女性は 18 例(40.9%)で,年齢は平均 36.4 歳,体重は平均 72.2 kg,BMI は平均 23.61

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kg/m2 であった。喫煙歴のある被験者は 26 例(59.1%)で、そのうち本試験実施時点での喫煙

者は 10 例(22.7%)であった。本試験では重大な治験実施計画書からの逸脱はなかった。

3) 12 誘導心電図

QTcI のリナグリプチン投与後 1~4 時間の平均値とベースライン値の差を表 3.1: 2 に示した。

主要評価項目である QTcI の投与後 1~4 時間の平均値とベースライン値の差について,プラセ

ボに対する差はリナグリプチン 5 mg で−1.12 ms,100 mg で−2.49 ms であった。両側 90%信頼

区間の上限は,リナグリプチン 5 mg で 0.48 ms,100 mg で−0.90 ms であり,いずれも事前に規

定した非劣性限界(10 ms)未満であることから,リナグリプチン 5 および 100 mg を投与した

とき,プラセボと比較して臨床的に問題となる QTcI の延長はないことが示された。

表 3.1: 2 QTcI のリナグリプチン投与後 1~4 時間の平均値とベースライン値の差

(FAS)

N

各用量の値(ms) プラセボとの差(ms)

調整平均値 ± 標準誤差 調整平均値 ± 標準誤差 90%信頼区間

(下限値、上限値)

プラセボ 44 −5.61 ± 1.00

リナグリプチン 5 mg 43 −6.73 ± 1.00 −1.12 ± 0.96 −2.72, 0.48

リナグリプチン 100 mg 44 −8.10 ± 0.99 −2.49 ± 0.96 −4.07, −0.90

引用元:CTD 5.3.4.1-1,試験 1218.32,Table 11.5.3.1: 1 より作成

QTcI のリナグリプチン投与後 30 分~24 時間の平均値とベースライン値の差を表 3.1: 3 に示し

た。

副次評価項目である QTcI の投与後 30 分~24 時間の平均値とベースライン値の差について,プ

ラセボに対する差はリナグリプチン 5 mg で−0.91 ms,100 mg で−2.09 ms であった。両側 90%

信頼区間の上限は,リナグリプチン 5 mg で 0.44 ms,100 mg で−0.75 ms であり,いずれも事前

に規定した非劣性限界(10 ms)未満であった。また,QTcI の投与後 30 分~24 時間の各時点の

値とベースライン値の差について,プラセボに対する差はリナグリプチン 5 mg で−2.0~0.2 ms,

100 mg で−4.7~−0.9 ms であった。これらのプラセボに対する差はリナグリプチン 5 mg では投

与 1 時間後で,100 mg では投与 6 時間後で最大であった。両側 90%信頼区間の上限の最大値は

リナグリプチン 5および 100 mgでともに 2.5 ms未満であり,事前に規定した非劣性限界(10 ms)

未満であった。

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242

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表 3.1: 3 QTcI のリナグリプチン投与後 30 分~24 時間の平均値とベースライン値の差

(FAS)

N

ベースラインとの差(ms) プラセボとの差(ms)

調整平均値 ± 標準誤差 調整平均値 ± 標準誤差 90%信頼区間

(下限値、上限値)

プラセボ 44 −7.14 ± 0.90

リナグリプチン 5 mg 43 −8.05 ± 0.91 −0.91 ± 0.81 −2.26, 0.44

リナグリプチン 100 mg 44 −9.23 ± 0.90 −2.09 ± 0.81 −3.43, −0.75

引用元:CTD 5.3.4.1-1,試験 1218.32,Table 11.5.3.2: 1 より作成

QTcI のモキシフロキサシン投与後 1~4 時間の平均値とベースライン値の差を表 3.1: 4 に示し

た。

モキシフロキサシン 400 mg を陽性対照として感度分析を行った。QTcI の投与後 1~4 時間の平

均値とベースライン値の差について,モキシフロキサシンのプラセボに対する差は 6.94 ms,両

側 90%信頼区間の下限は 5.35 ms であった。また,最も注目すべき時点として事前に規定した

QTcI の投与 2 時間後の値とベースライン値との差について,プラセボに対する差は 6.7 ms,両

側 90%信頼区間の下限は 4.4 ms であった。プラセボに対する差の最大値は投与 3 時間後の 10.5

ms であり,両側 90%信頼区間の下限は 8.1 ms であった。

これらの結果は治験実施計画書で規定した感度の要件を満たしていた。また,プラセボに対す

る差の最大値(10.5 ms)は,モキシフロキサシンについて予想される範囲(10~12 ms)内で

あり,本試験では QT 間隔の意味のある変化を検出できると考えられた。

表 3.1: 4 QTcI のモキシフロキサシン投与後 1~4 時間の平均値とベースライン値の差

(FAS)

N

ベースラインとの差(ms) プラセボとの差(ms)

調整平均値 ± 標準誤差 調整平均値 ± 標準誤差 90%信頼区間

(下限値、上限値)

プラセボ 44 −5.61 ± 1.00 - -

モキシフロキサシン

400 mg 44 1.32 ± 0.99 6.94 ± 0.96 5.35, 8.52

引用元:CTD 5.3.4.1-1,試験 1218.32,Table 11.5.3.2: 3 より作成

リナグリプチン 100 mg を投与したとき,プラセボと比較して心拍数が約 2~3 拍/分増加し,そ

れに応じて RR 間隔が短縮されたが,臨床的に問題となる変化ではなかった。

本試験では QTcI,QTcN,QTcF の特記すべき変化は認められなかった。

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4) 薬物動態

リナグリプチン 5 mg を投与したとき,最高血漿中濃度(Cmax)の幾何平均値(幾何変動係数)

は 7.05 nM(28.5%),最高血漿中濃度到達時間(tmax)の中央値(範囲)は 2.00 時間(0.50~3.02

時間),血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)の幾何平均値(幾何変動係数)は 101 nM·h(25.1%)

であった。リナグリプチン 100 mg を投与したとき,Cmax の幾何平均値(幾何変動係数)は 267

nM(66.6%),tmax の中央値(範囲)は 1.52 時間(0.50~6.03 時間),AUC0-24 の幾何平均値(幾

何変動係数)は 1760 nM·h(59.2%)であった。リナグリプチンの臨床用量(5 mg)の 20 倍で

ある 100 mg を投与したとき,Cmax は 5 mg 投与したときの約 38 倍となった。

5) 安全性

(1) 曝露状況

本試験期間中に,44 例が治験実施計画書に従い,リナグリプチン 100 mg およびモキシフロキ

サシン 400 mg を服用した。また,43 例がリナグリプチン 5 mg を服用した。1 例は第 3 期終了

後に重篤な有害事象が発現したため,リナグリプチン 5 mg を服用しなかった。

(2) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験に参加した 44 例の被験者のうち,43 例が 4 期すべての投与期を完了した。

本試験では,有害事象はリナグリプチン 100 mg で 6 例(13.6%),5 mg で 4 例(9.3%),プラセ

ボで 3 例(6.8%),モキシフロキサシンで 2 例(4.5%)認められた。投与期に認められたほと

んどの有害事象は軽度で,中等度の有害事象はわずかであり,高度の有害事象は認められなか

った。治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は,リナグリプチン

100 mg で 4 例(9.1%),5 mg で 3 例(7.0%),プラセボで 2 例(4.5%),モキシフロキサシンで

2 例(4.5%)認められた。

高頻度に発現した有害事象は主に神経系障害に分類される事象であった。最も高頻度に発現し

た有害事象は頭痛であり,リナグリプチン 100 mg で 5 例(11.4%),5 mg で 3 例(7.0%),プラ

セボで 2 例(4.5%),モキシフロキサシンで 2 例(4.5%)に認められた。

本試験では投与中止に至った重篤な有害事象が 1 件認められた。当該被験者は 39 歳の女性で,

乳癌と診断され手術が計画された。当該事象は第 3 期完了後の投与期ではない時期(被験者は

第 4 期に来院しなかった)に報告され,治験薬と因果関係なしと判定された。

(3) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

バイタルサイン,身体所見および臨床検査値に臨床的に問題となる異常は認められなかった。

12 誘導心電図では,心拍数,PR 間隔,QRS 群に特記すべき所見は認められなかった。各投与

期間の 12 誘導心電図に意味のある差は認められなかった。

(4) 忍容性

全投与期間を通してすべての患者の忍容性は良好と判定された。

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6) まとめ

本試験の結果から,リナグリプチン 5 mg(臨床用量)または 100 mg(臨床用量の 20 倍)を単

回投与したとき,12 誘導心電図の QT 間隔は延長されないことが示された。リナグリプチン

100 mg を投与したときの Cmax は 5 mg を投与したときの約 38 倍となった。12 誘導心電図およ

びその他の安全性の評価項目において,臨床的に問題となる所見は認められなかった。

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3.2 試験 1218.37

(CTD 5.3.4.2-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 3.2: 1 に示した。

表 3.2: 1 試験方法の概略(1/5)

目的 血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象とした BI 1356(リナグリプチン)5 mg お

よびシタグリプチン 100 mg の 24 時間血糖コントロールに対する効果のプラセボとの比較

および薬力学的パラメータの検討

試験デザイン 第 IIa 相,ランダム化,二重盲検,ダブルダミー,プラセボ対照,多施設,並行群間比較

試験

対象 選択基準

(1) 前治療薬が 1 剤以下の 2 型糖尿病患者(性別は問わない)で,同意取得前 12 週間以内

に糖尿病の治療法を変更していない患者

(2) 同意取得前に 2 型糖尿病と診断された患者

(3) スクリーニング時(Visit 1a)の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

糖尿病の前治療薬のウォッシュアウトを必要とする患者:HbA1c 6.5~9.0%

糖尿病の前治療薬のウォッシュアウトを必要としない患者:HbA1c 6.5~10.0%

(4) プラセボ導入期開始時(Visit 2)の HbA1c が 6.5~10.0%

(5) スクリーニング時(Visit 1a)の年齢が 18~80 歳

(6) スクリーニング時(Visit 1a)の BMI が 40kg/m2 以下

(7) スクリーニング時(Visit 1a)までに GCP および各地域の要件に従って試験登録前に文

書による同意が本人から得られた患者

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表 3.2: 1 試験方法の概略(2/5)

対象(続き) 除外基準

(1) 同意取得前 6 カ月以内に心筋梗塞,脳卒中,または一過性脳虚血発作を発現した患者

(2) Visit 1a 時の血清アラニントランスアミナーゼ(ALT/SGPT),アスパラギン酸トランス

アミナーゼ(AST/SGOT),またはアルカリホスファターゼ(ALP)のいずれかが基

準値上限(ULN)の 3 倍を超える肝機能障害を有する患者

(3) リナグリプチン,シタグリプチンまたはその賦形剤に対する過敏症またはアレルギー

の既往を有する患者

(4) 同意取得前 3 カ月以内に rosiglitazone,ピオグリタゾンによる治療を受けた患者

(5) 同意取得前 3 カ月以内に GLP-1 アナログによる治療を受けた患者

(6) 同意取得前 3 カ月以内にインスリンによる治療を受けた患者

(7) 同意取得前 3 カ月以内に DPP-4 阻害薬による治療を受けた患者

(8) 同意取得前 3 カ月以内に抗肥満薬(例えば sibutramine,orlistat,rimonabant)による治

療を受けた患者

(9) 過去 3 カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用歴を有

する患者

(10) 同意取得前 2 カ月以内に治験薬を用いた他の治験へ参加した患者

(11) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれ

かに該当する患者:

- 妊娠中または授乳中の女性

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(12) 同意取得前時に全身性ステロイドで治療中の患者,または同意取得前 6 週間以内に甲

状腺ホルモンの投与量を変更した患者

(13) Visit 1a 時のクレアチニンクリアランスが 50 mL/min 未満の腎機能障害を有する患者

(14) 治験薬の初回投与前 4 週間以内または試験期間中に 100 mL を超えて献血した患者

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表 3.2: 1 試験方法の概略(3/5)

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠

対照薬:リナグリプチン錠に対応したプラセボ錠,シタグリプチン 100 mg カプセル(50 mg

錠×2 をカプセル内に封入)およびシタグリプチンカプセルに対応したプラセボ

カプセル

症例数 目標症例数:割付け例 120 例

登録例 194 例

割付け例 治験薬投与例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン 5 mg 群 40 例 40 例 39 例

シタグリプチン 100 mg 群 41 例 41 例 41 例

プラセボ群 40 例 40 例 38 例

計 121 例 121 例 118 例

投与方法

ウォッシュアウト期・導入期

糖尿病治療薬 1 剤による前治療を受けている患者には最後の 2 週間をプラセボ導入期間と

する 4 週間のウォッシュアウトを行い,糖尿病治療薬による前治療を受けていない患者に

は 2 週間のプラセボ導入のみを行った。

投与期

リナグリプチン群の患者にはリナグリプチン 5mg 錠およびシタグリプチン 100 mg カプセ

ルに対応するプラセボカプセルを,シタグリプチン群の患者にはリナグリプチン 5 mg に対

応するプラセボ錠およびシタグリプチン 100 mg カプセルを,プラセボ群はリナグリプチン

5 mg に対応するプラセボ錠とシタグリプチン 100 mg に対応するプラセボカプセルを,1

日 1 回,1 晩絶食後,150 mL の水とともに投与した。

投与初日とその前後(投与 2 日前から 2 日後まで)および投与最終日とその前後(投与 27

日後から 30 日後)は患者を入院させ医学的監視下においた。入院中の水分補給は投与前後

の 1 時間以外は自由とした。食事負荷試験(MTT)を実施した入院中の投与前日,初回投

与日,最終投与日,最終投与 1 日後および 2 日後は,朝食の代わりに栄養飲料と栄養バー

を摂取し,入院中の他の食事は 2 型糖尿病患者に適した標準食とした。

併用療法 試験期間中は,他の経口糖尿病治療薬,インスリン,GLP-1 アナログ/アゴニスト注射剤

等の治験薬以外の糖尿病治療を禁止した。抗肥満薬および全身性ステロイドの使用も禁止

した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

経口糖尿病治療薬 1 剤による治療を受けている患者はプラセボ導入期前に 4 週間のウォ

ッシュアウト期間

・治験薬投与期間:4 週間

・追跡期間:2 週間

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表 3.2: 1 試験方法の概略(4/5)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

試験期間 スクリーニング/ ウォッシュアウト期

プラセボ

導入期治験薬投与期

追跡

Visit 1aa, b) 1bb) 2 3d) 4 5d) 6

Number of days −14 -2 -1 1 2 15 27 28 29 30 42

人口統計学的特性 X X

身体所見 X X X

身長 X

体重 X

臨床検査 Xc) Xc) X X Xc)

妊娠検査 X X X X Xc)

血糖 Xc) Xc) X X X Xc) X X X Xc)

C-ペプチド, インスリン X X X X X

GLP-1, GIP, グルカゴン X X X X X

DPP-4 活性 X X X X X X

HbA1c, 1,5-AG,フルクト

サミン X X X X X X

12 誘導心電図 X X X X

バイタルサイン X X X X X X X

有害事象 X X X X X X X X X X X X X

a)Visit 1a:投与 44 日~29 日前(ウォッシュアウトの必要な患者) b)スクリーニングは Visit 1a および 1b の 2 回に分けた c)空腹時の血液検体(10 時間絶食とし,飲水のみ) d)投与 2 日前および 27 日後に入院

評価項目

評価基準

1) 有効性

(1) 主要評価項目

・ 加重平均血糖(WMG:24 時間の血中グルコース濃度時間曲線下面積を 24 で除した

平均)の変化量(投与 28 日後-ベースライン)

・ 食事負荷試験(MTT)後の GLP-1 AUEC0-2h の変化量(投与 28 日後−ベースライン)

(2) 副次評価項目

・ 空腹時血糖の変化量(投与 28 日後−ベースライン)

・ 食事負荷試験(MTT)後の血糖 AUEC0-3h の変化量(投与 28 日後−ベースライン)

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表 3.2: 1 試験方法の概略(5/5)

評価項目

評価基準

(続き)

(3) 探索的評価項目

・ WMG の変化量(投与 1 および 29 日後-ベースライン)

・ 日中(WMG8-20)および夜間(WMG20-8)の 12 時間 WMG の変化量(投与 1,28 お

よび 29 日後−ベースライン)

・ 食事負荷試験(MTT):食後 2 時間の血糖値(2 時間 PPG)の変化(投与 1,28,29

および 30 日後−ベースライン)

・ 食事負荷試験(MTT):各バイオマーカーの濃度の経時変化およびピーク値変動に

加えて,標準食後の血糖,インスリン,C-ペプチド,グルカゴン,活性型 GLP-1,

活性型および総 GIP の濃度時間曲線下面積(AUEC0-2h)を解析

・ 空腹時血糖の変化量(投与 1,15,29,30 および 42 日後−ベースライン)

・ HbA1c,フルクトサミンおよび 1,5-AG の変化量(投与 15,28 および 42 日後−ベー

スライン)

・ インスリン分泌率(ISR)の逆重畳積分による推測(ベースライン,投与 1,28,29

および 30 日後)

・ 血糖 180 mg/dL 超(AUEC>180)の濃度時間曲線下面積(ベースライン,投与 1,28

および 29 日後)

・ HOMA-IR および HOMA-IS(ベースライン,投与 1 および 28 日後)

・ Disposition Index(ベースライン,投与 1 および 28 日後のインスリン感受性および

β細胞機能より算出)

・ トラフ時の血漿 DPP-4 阻害

・ MTT 後の血糖 AUEC0-3h の変化量(投与 1,29 および 30 日後)

2) 安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験中止,バイタルサイン,12 誘導

心電図,身体所見,臨床検査

解析方法 主要評価項目:投与 4 週間後の WMG および GLP-1 のベースラインからの変化量について,

薬剤および糖尿病前治療薬を固定効果とし,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散

分析(ANCOVA)を行い,プラセボに対するリナグリプチンの優越性を検定した。

副次/探索的評価項目および安全性評価項目:記述統計量

インスリン分泌率(ISR)の逆重畳積分による推定

症例数設定の

根拠

本試験の症例数は 2 つの主要評価項目に基づいて設定した。試験 1218.12 で WMG の変動

係数が GLP-1 の変動係数よりも大きかったことから,WMG を設定根拠として用い,各群

割付け例を 38 例とした。この症例数で GLP-1 の帰無仮説を棄却するための検出力は>98%

となった。

治験調整医師

治験実施施設 ドイツ

,ドイツ

ドイツ

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

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2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

本試験の患者の内訳を図 3.2: 1 に示した。本試験に計 194 例が登録され,うち 121 例がプラセ

ボ群(40 例),リナグリプチン群(40 例)およびシタグリプチン群(41 例)にランダム化割付

けされた。73 例が割付けられなかったが,その主な理由は選択基準を満たさない/除外基準に

抵触であった。割付け例の全例に治験薬が投与され,うちプラセボ群の 2 例が高血糖を発現し

効果不十分で,またリナグリプチン群の 1 例が採血困難なため治験薬の投与が中止された。投

与完了例はプラセボ群が 38 例,リナグリプチン群が 39 例およびシタグリプチン群が 41 例であ

った。

登録例 194 例 非割付け例 73 例

ランダム化割付け例 121 例

プラセボ群 リナグリプチン群 シタグリプチン群

40 例 (100.0%) 40 例 (100.0%) 41 例 (100.0) 中止例:2 例 (5.0%) 中止例:1 例 (2.5%) 中止例:0 例 (0.0%) 中止理由 中止理由 中止理由

・効果不十分 2 例 ・効果不十分 0 例 ・効果不十分 0 例 ・その他 0 例 ・その他 1 例 ・その他 0 例

投与完了例 投与完了例 投与完了例 38 例 (95.0%) 39 例 (97.5%) 41 例 (100.0%)

図 3.2: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 10.1: 1

(b) 治験実施計画書からの逸脱

割付け例 121 例中,プラセボ群の 1 例で治験実施計画書からの重大な逸脱(治験薬の投与時期

が不適切)がみられた。

(c) 解析対象集団

割付け例(治験薬投与例)の 121 例が安全性解析対象例(Treated Set),早期中止例 3 例(プラ

セボ群 2 例およびリナグリプチン群 1 例)を除いた 118 例が PD-Set,PD-Set から治験実施計画

書からの重大な逸脱例 1 例(プラセボ群)を除いた 117 例が PPS-completers となった(表 3.2: 2)。

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表 3.2: 2 各解析対象集団の例数

Placebo N (%)

LinagliptinN (%)

Sitagliptin N (%)

Total N (%)

Randomised set 40 (100.0) 40 (100.0) 41 (100.0) 121 (100.0)

Treated set 40 (100.0) 40 (100.0) 41 (100.0) 121 (100.0)

PD-set (% of randomised set) 38 (95.0) 39 (97.5) 41 (100.0) 118 (97.5)

PPS-completersa) (% of PD-Set) 37 (97.4) 39 (100.0) 41 (100.0) 117 (99.2)

a)Completers は治験薬の早期中止することなく 28 日間の投与期間を完了した患者と定義

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性

人口統計学的特性およびベースライン値

主な人口統計学的特性およびベースライン値を表 3.2: 3 に示した。平均年齢は 61.1 歳,ほぼ半

数(52.1%)は 65 歳以上であった。体重は平均 91.4 kg,BMI は平均 30.8 kg/m2 であった。ベー

スラインの HbA1c は全体で平均 7.3%であり,シタグリプチン群が平均値でやや低く,投与群

間にわずかであるが,不均衡がみられた。67.8%の患者が登録時に糖尿病の治療薬の投与を受

けていて,これらの患者はプラセボ導入期前に 2 週間のウォッシュアウトを受けた。インスリ

ン,HOMA-IRおよびHOMA-ISのベースライン値は群内および群間でバラツキがみられた(CTD

5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.1.4.2: 1)。

表 3.2: 3 人口統計学的特性およびベースライン値(Treated Set)

Placebo Linagliptin Sitagliptin Total

Number of patients 40 40 41 121

Gender (Male) 29 (72.5%) 25 (62.5%) 32 (78.0%) 86 (71.1%)

Age [years] 60.5 ( 9.50) 60.7 (10.11) 62.0 (7.85) 61.1 (9.14)

Weight [kg] 90.8 (13.65) 92.1 (18.55) 91.4 (15.66) 91.4 (15.95)

BMI [kg/m²] 30.3 (3.83) 31.4 (4.48) 30.7 (4.56) 30.8 (4.29)

Baseline HbA1c [%] 7.5 ( 0.53) 7.3 (0.59) 7.2 ( 0.44) 7.3 (0.53)

Baseline HbA1c category (≥8.5%) 1 (2.5%) 2 (5.0%) 0 (0.0%) 3 (2.5%)

Prior use of antidiabetic therapy (yes) 28 (70.0%) 27 (67.5%) 27 (65.9%) 82 (67.8%)

データは表記のない限り平均(SD)または n (%)

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.2: 1 より作成

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(2) 有効性

(a) 主要評価項目

加重平均血糖(WMG)の変化量

加重平均血糖は 24 時間の血糖・時間曲線下面積を 24 で除して求めた。プラセボ群とリナグリ

プチン群の投与 28 日における WMG のベースラインからの調整平均変化量を表 3.2: 4 に示した。

投与 28 日の WMG の調整平均変化量におけるリナグリプチン群のプラセボ群に対する差は−

19.9 mg/dL(95%信頼区間 −28.0~−11.9,p<0.0001)であり,リナグリプチン群のプラセボ群に

対する優越性が示された。

表 3.2: 4 投与 28 日における WMG のベースラインからの調整平均変化量(PD-Set)

Weighted mean glucose 24 h [mg/dL] Placebo Linagliptin

Number of patients with endpoint data 38 39

Baseline (Day -1) mean (SE) 190.8 (5.8) 188.8 (6.9)

Adjusted mean change from baseline (SE) 0.1 (3.0) −19.8 (2.9)

Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) (95% CI) p-value

−19.9 (4.0)

(−28.0, −11.9) <0.0001

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

PPS-completers での解析においても同様の結果であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table

15.5.1.1.2: 1)。なお,WMG の調整平均変化量におけるシタグリプチン群のプラセボ群に対する

差は−25.9 mg/dL(95%信頼区間 −33.9~−18.0)であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table

15.5.1.1.2: 3)。

GLP-1 AUEC0-2h の変化量

投与 28 日における食事負荷試験(MTT)後の GLP-1 AUEC0-2h のプラセボ群とリナグリプチン

群のベースラインからの調整平均変化量を表 3.2: 5 に示した。なお,治験薬投与 30 分後に MTT

用の食事を摂取し、MTT を実施した。投与 28 日後の GLP-1 AUEC0-2h の調整平均変化量におけ

るリナグリプチン群のプラセボに対する差は 18.1 pmol·h/L(95%信頼区間 12.4~23.9,p<0.0001)

であり,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優越性が示された。

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表 3.2: 5 投与 28 日における GLP-1 AUEC0-2h のベースラインからの調整平均変化量(PD-Set)

GLP-1 AUEC0-2h [pmol·h/L] Placebo Linagliptin

Number of patients with endpoint data 38 39

Baseline (day −1) mean (SE) 15.0 (1.9) 17.4 (1.8)

Adjusted mean change from baseline (SE) 0.4 (2.1) 18.5 (2.1)

Comparison vs. placebo mean (SE) (95% CI) p-value

18.1 (2.9)

(12.4, 23.9) <0.0001

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

PPS-completers での解析においても同様の結果であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table

15.5.1.2.2: 1)。なお,GLP-1 AUEC0-2h の調整平均変化量におけるシタグリプチン群のプラセボ

群に対する差は 15.5 pmol·h/L(95%信頼区間 9.9~21.0)であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,

Table 15.5.1.2.2: 3)。

(b) 副次評価項目

空腹時血糖の変化量

投与 28 日におけるプラセボ群とリナグリプチン群の空腹時血糖のベースラインからの調整平

均変化量を表 3.2: 6 に示した。投与 28 日後の空腹時血糖の調整平均変化量におけるリナグリプ

チン群のプラセボに対する差は−10.8 mg/dL(95%信頼区間 −20.4~−1.2)であり,リナグリプ

チン群のプラセボ群に対する優越性が示された。

表 3.2: 6 投与 28 日における空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量(PD-Set)

Fasting plasma glucose [mg/dL] Placebo Linagliptin

Number of patients with endpoint data 38 39

Baseline (day −1) mean (SE) 169.6 (4.2) 166.6 (4.5)

Adjusted mean change from baseline (SE) −0.1 (3.6) −10.9 (3.5)

Comparison vs. placebo mean (SE) (95% CI) p-value

−10.8 (4.8)

(−20.4, −1.2) 0.0283

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.4.1.2.1: 1 より作成

なお,空腹時血糖の変化量におけるシタグリプチン群のプラセボ群に対する差は−16.0 mg/dL

(95%信頼区間 −24.7~−7.2)であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.5.2.1.2: 3)。

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血糖 AUEC0-3h の変化量

MTT 後の血糖 AUEC0-3h の投与 28 日におけるプラセボ群とリナグリプチン群のベースラインか

らの調整平均変化量を表 3.2: 7 に示した。投与 28 日後の血糖 AUEC0-3h の調整平均変化量にお

けるリナグリプチン群のプラセボに対する差は−106.5 mg·h/dL(95%信頼区間 −147.0~−66.0)

であり,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優越性が示された。

表 3.2: 7 投与 28 日における血糖 AUEC0-3h のベースラインからの調整平均変化量

(PD-Set)

Plasma glucose AUEC0-3h [mg*h/dL] Placebo Linagliptin

Number of patients with endpoint data 38 39

Baseline (day −1) mean (SE) 722.0 (22.5) 728.4 (25.0)

Adjusted mean change from baseline (SE) 8.1 (15.1) −98.4 (14.7)

Comparison vs. placebo mean (SE) (95% CI) p-value

−106.5 (20.3)

(−147.0, −66.0) <0.0001

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.4.1.2.2: 1 より作成

なお,血糖 AUEC0-3h の調整平均変化量におけるシタグリプチン群のプラセボ群に対する差は−

128.9 mg·h/dL(95%信頼区間 −166.7~−91.2)であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table

15.5.2.2.2: 3)。

(3) 臨床薬理

(a) 薬力学:バイオマーカー

探索的評価項目の各パラメータの結果を以下に示す。

血糖

リナグリプチンは 24 時間 WMG,12 時間 WMG(日中,夜間),空腹時血糖および血糖 180 mg/dL

超の AUC(AUEC>180)を低下させた(表 3.2: 8)。

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表 3.2: 8 WMG および空腹時血糖のプラセボに対する調整平均変化量(SE)の差の推

移(PPS-completers)

Linagliptin – Placebo

WMG [mg/dL]

WMG8-20 [mg/dL]

WMG20-8 [mg/dL]

FPG [mg/dL]

AUEC>180 [mg·h/dL]

Mean baseline(Placebo / Linagliptin) 191.7 / 188.8 203.0 / 198.8 180.5 / 178.8 170.4 / 166.6 597.8 / 609.7

Day 1/2 – adj. mean (SE) −9.2 (2.1) −12.7 (3.3) −5.6 (1.8) −1.2 (4.4) −151.7 (42.2)

Day 15 – adj. mean (SE) - - - −11.6 (4.3) -

Day 28 – adj. mean (SE) −19.8 (4.1) −24.3 (5.3) −15.4 (3.7) −11.0 (4.9) −275.8 (71.9)

Day 29 a)– adj. mean (SE) −18.0 (4.0) −21.0 (4.9) −15.0 (3.6) −9.2 (4.8) −207.9 (72.4)

Day 30 a) – adj. mean (SE) - - - −6.7 (5.6) -

a)患者数は 37 例~39 例であったが,投与 29 日後および 30 日後のプラセボ群の患者数は 36 例

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.1: 1 より作成

食事負荷試験(MTT)

• グルコース測定

リナグリプチンは食後 2 時間血糖,MTT 後 0~2 時間の血糖ピーク値,MTT 後 0~2 時間およ

び 0~3 時間の血糖曲線下面積(AUEC0-2h および AUEC0-3h)を減少させた。この効果は投与 1

日目から認められた(表 3.2: 9)。

表 3.2: 9 食後 2 時間血糖(2 時間 PPG),MTT 後 0-2 時間の血糖ピーク値,血糖 AUEC0-2h

お よ び AUEC0-3h の プ ラ セ ボ に 対 す る 調 整 平 均 変 化 量 ( SE ) の 差

(PPS-completers)

Linagliptin – Placebo

PPG 2h [mg/dL] Glucose peak

[mg/dL] AUEC0-2h

[mg·h/dL] AUEC0-3h [mg·h/dL]

Mean baseline (Placebo/ Linagliptin) 262.6 / 266.7 284.0 / 286.7 483.0 / 483.1 725.2 / 728.4

Day 1 – adj. mean (SE) −19.9 (7.4) −30.7 (6.3) −41.1 ( 8.7) −58.6 (14.2)

Day 28 – adj. mean (SE) −42.6 (9.8) −40.2 (8.7) −66.0 (12.8) −105.6 (20.5)

Day 29 – adj. mean (SE) −37.9 (10.6) −37.2 (9.4) −64.8 (13.1) −99.3 (21.4)

Day 30 a) – adj. mean (SE) −29.4 (11.1) −36.9 (9.0) −61.0 (12.9) −89.2 (21.8)

患者数は 37~39 例であったが,投与 29 および 30 日後のプラセボ群の患者数は 36 例

a)ベースライン値は投与 28 日後の評価項目を有する患者

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.2.1: 1 より作成

• 活性型 GLP-1 濃度の経時変化,ピーク値変動および AUEC0-2h

リナグリプチンは活性型 GLP-1 ピーク値および活性型 GLP-1 の 0~2 時間の血糖曲線下面積

(AUEC0-2h)を増加させた。この効果は投与 1 日目から認められた(表 3.2: 10)。

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表 3.2: 10 活性型 GLP-1 のピーク値および AUEC0-2h のプラセボに対する調整平均変化

量(SE)の差(PPS-completers)

Linagliptin – Placebo

Active GLP-1

Endpoint Peak [pmol/L] AUEC0-2h [pmol·h/L]

Mean baseline (Placebo / Linagliptin) a) 12.0 / 12.3 14.6 / 17.4

Day 1 – adj. mean (SE) 10.3 (3.5) 10.5 (2.0)

Day 28 – adj. mean (SE) 16.1 (3.5) 18.1 (2.9)

Day 29 – adj. mean (SE) 13.2 (3.4) 15.6 (2.9)

Day 30 – adj. mean (SE) 14.9 (4.2) 12.7 (2.9)

評価項目実施例は評価項目,投与群および投与後日数により 37 例~39 例

a)ベースライン値は投与 28 日後の評価項目実施例に基づく

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.2.2: 1 より作成

• インスリンおよび C-ペプチドの経時変化,ピーク値変動および AUEC0-2h

いずれの評価時期ともインスリンおよび C-ペプチドのばらつきは大きかった。リナグリプチン

群の投与 28 日後におけるプラセボに対する調整平均変化量の差はインスリンのピーク値が 2.2

mU/mL であり,AUEC0-2h が−8.0 mU·h/L であった(表 3.2: 11)。

表 3.2: 11 インスリンおよび C-ペプチドのピーク値および AUEC0-2h のプラセボに対する

調整平均変化量(SE)の差(PPS-completers)

Linagliptin – Placebo

Insulin C-peptide

Endpoint Peak [mU/L]

AUEC0-2h

[mU·h/L] Peak

[pmol/L] AUEC0-2h [pmol·h/L]

Mean baseline (Placebo/Linagliptin) a) 72.1 / 78.8 87.6 / 102.4 3201.8 / 3574.2 4515.0 / 5161.4

Day 1 – adj. mean (SE) 0.5 (6.0) −4.3 (7.4) −167.6 (127.7) −322.3 (181.6)

Day 28 – adj. mean (SE) 2.2 (6.7) −8.0 (7.2) −7.3 (148.0) −24.8 (210.7)

Day 29 – adj. mean (SE) −1.6 (6.6) −9.8 (7.6) −49.0 (155.1) −43.6 (255.1)

Day 30 – adj. mean (SE) −4.7 (9.2) −6.8 (9.6) −9.2 (165.2) −152.8 (235.3)

評価項目実施例は評価項目,投与群および投与後日数により 33 例~38 例

a)ベースライン値は投与 28 日後の評価項目実施例に基づく

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.2.3: 1 より作成

• 血漿グルカゴンの経時変化,ピーク値変動および AUEC0-2h

投与 28 日後のリナグリプチン群におけるグルカゴンのプラセボに対する調整平均変化量の差

はピーク値で−16.8 pg/mL であり,投与 1 日目から最終投与時の約 86%の効果がみられた。投

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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与 1 日目における AUEC0-2h のプラセボに対する調整平均変化量の差は−23.4 pg·h/mL であり,

投与 28 日(−18.7 pg/mL)より大きな減少がみられた(表 3.2: 12)。

表 3.2: 12 グルカゴンのピーク値および AUEC0-2h のプラセボに対する調整平均変化量

(SE)の差(PPS-completers)

Linagliptin – Placebo

Parameter Glucagon

Endpoint Peak [pg/mL] AUEC0-2h [pg·h/mL]

Mean baseline (Placebo/Linagliptin ) a) 109.2 / 110.0 183.0 / 182.1

Day 1 – adj. mean (SE) −14.4 (5.9) −23.4 (6.7)

Day 28 – adj. mean (SE) −16.8 (6.0) −18.7 (9.2)

Day 29 – adj. mean (SE) −19.4 (6.6) −18.8 (10.0)

Day 30 – adj. mean (SE) −15.2 (6.6) −17.5 (8.9)

評価項目実施例は評価項目,投与群および投与後日数により 36 例~39 例

a)ベースライン値は投与 28 日後の評価項目実施例に基づく

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.2.4: 1 より作成

• 活性型および総 GIP の経時変化,ピーク値の変動および AUEC0-2h

リナグリプチンは,活性型 GIP(ピーク値および AUEC0-2h)を増加させ,総 GIP を減少させた

(表 3.2: 13)。したがって,リナグリプチンは GIP 分泌を増加するのではなく,活性型 GIP の

分解を阻害することが示された。

表 3.2: 13 活性型および総 GIP のピーク値および AUEC0-2h のプラセボに対する調整平

均変化量(SE)の差(PPS-completers)

Linagliptin – Placebo

Parameter Active GIP Total GIP

Endpoint Peak [pM]

AUEC0-2h [pM·h]

Peak [pM]

AUEC0-2h [pM·h]

Mean baseline (Placebo/ Linagliptin) a) 73.4 / 92.9 105.2 / 129.9 168.9 / 214.1 239.6 / 301.4

Day 1 – adj. mean (SE) 21.1 (11.3) 40.7 (13.4) −102.4 (25.6) −133.3 (26.7)

Day 28 – adj. mean (SE) 51.1 (9.5) 91.4 (12.2) −80.3 (15.8) −106.7 (20.7)

Day 29 – adj. mean (SE) 41.6 (13.2) 86.1 (17.4) −91.4 (25.1) −100.7 (25.7)

Day 30 – adj. mean (SE) 35.2 (11.4) 66.0 (15.3) −71.5 (17.5) −92.4 (21.0)

評価項目実施例は評価項目,投与群および投与後日数により 36~39 例

a)ベースライン値は投与 28 日後の評価項目実施例に基づく

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.2.5: 1 より作成

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HbA1c,フルクトサミンおよび 1,5-アンヒドログルシトールの変化量

• HbA1c

投与 15 日後,28 日後(投与終了時)および 42 日後(投与終了 2 週後)におけるリナグリプチ

ン群の HbA1c のプラセボに対する調整平均変化量の差は,それぞれ−0.05%(p=0.3088),−0.22%

(p=0.0021)および−0.28%(p=0.0003)であった(表 3.2: 14)。

表 3.2: 14 HbA1c のプラセボに対する調整平均変化量(SE)の差(PPS-completers)

Linagliptin

Day 15 Day 28 Day 42

Number of patients with endpoint data 39 39 39

Baseline (Day −1) mean (SE) [%] 7.31 (0.10) 7.31 (0.10) 7.31 (0.10)

Adjusted mean change from baseline mean (SE) [%]

−0.15 (0.03)

−0.27 (0.05)

−0.28 (0.05)

Comparison vs. placebo mean (SE) [%] (95% CI) [%] p-value

−0.05 (0.05) (−0.14, 0.05)

0.3088

−0.22 (0.07)

(−0.35, -0.08) 0.0021

−0.28 (0.07)

(−0.42, -0.13) 0.0003

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.3: 1 より作成

• フルクトサミン

投与 15 日,28 日(投与終了時)および 42 日(投与終了 2 週後)におけるリナグリプチン群の

プラセボに対するフルクトサミン濃度の調整平均変化量の差は,それぞれ−7.9 µmol/L

(p=0.1069),−9.0 µmol/L(p=0.0446)および−5.1µmol/L(p=0.3848)であった(表 3.2: 15)。

表 3.2: 15 フ ル ク ト サ ミ ン の プ ラ セ ボ に 対 す る 調 整 平 均 変 化 量 ( SE ) の 差

(PPS-completers)

Linagliptin

Day 15 Day 28 Day 42

Number of patients with endpoint data 37 37 38

Baseline (Day −1) mean (SE) [µmol/L] 255.1 (5.4) 257.6 (6.1) 258.1 (6.0)

Adjusted mean change from baseline mean (SE) [µmol/L]

9.0 (3.5)

−6.1 (3.2)

12.4 (4.2)

Comparison vs. placebo mean (SE) [µmol/L] (95% CI) [µmol/L] p-value

−7.9 (4.9)

(−17.6, 1.8) 0.1069

−9.0 (4.4)

(−17.9, -0.2) 0.0446

−5.1 (5.8)

(−16.8, 6.5) 0.3848

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.3: 2 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

259

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• 1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)

投与 15 日,28 日(投与終了時)および 42 日(投与終了 2 週後)におけるリナグリプチン群の

プラセボに対する 1,5-AG の調整平均変化量の差は,それぞれ 1.3 µg/mL(p<0.0001),1.8 µg/mL

(p<0.0001)および 0.8 µg/mL(p=0.3634)であった(表 3.2: 16)。

表 3.2: 16 1,5-AG のプラセボに対する調整平均変化量(SE)の差(PPS-completers)

Linagliptin

Day 15 Day 28 Day 42

Number of patients with endpoint data 36 37 36

Baseline (Day −1) mean (SE) [µg/mL] 10.2 (1.1) 9.9 (1.0) 9.8 (1.1)

Adjusted mean change from baseline mean (SE) [µg/mL]

0.8 (0.2)

1.0 (0.3)

0.6 (0.6)

Comparison vs. placebo mean (SE) [µg/mL] (95% CI) [µg/mL] p-value

1.3 (0.3) (0.8, 1.8) <0.0001

1.8 (0.4) (1.0, 2.5) <0.0001

0.8 (0.9)

(−1.0, 2.6) 0.3634

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.3: 3 より作成

インスリン分泌率(ISR)(推定値)

MTT においてリナグリプチンは ISR 曝露量/グルコース曝露量を投与初日から増加させた。そ

の効果は投与 28,29 および 30 日でプラセボに対して有意であった(表 3.2: 17)。

表 3.2: 17 投与 1,28,29 および 30 日後の MTT におけるグルコース曝露に対する ISR

曝露比のベースラインからの変化量

Linagliptin

baseline (Day -1) mean (SE) 125 (48)

Day 1 Day 28 Day 29 Day 30

Number of patients with endpoint data 34 36 36 35

Mean change from baseline mean (SE) [µg/mL] 16.2(31.4) 15.4 (37.4) 29.3 (33.7) 29.6 (44.8)

Comparison vs. Placebo

mean (SE) (95% CI) p-value

5.64 (7.69)(−9.7, 21)

0.466

28.7 (7.60)(14, 44)

0.0003

28.7 (7.31) (14, 43) 0.0002

31.5 (8.47)(15, 49)0.0005

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.4: 1 より作成

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HOMA-IR および HOMA-IS

リナグリプチン群の HOMA-IR のベースラインからの変化量に対する幾何平均値の比(リナグ

リプチン/プラセボ)は,投与初日の 18.6%から投与 28 日に 4.5%に減少した。HOMA-IS の幾何

平均値の比(リナグリプチン/プラセボ)は投与初日の 5.7%から投与 28 日後に 24.2%に増加し

た(表 3.2: 18)。

表 3.2: 18 投与 1および 28日におけるHOMA-IRおよびHOMA-ISの幾何平均値の比(リ

ナグリプチン/プラセボ)(PPS-completers)

Linagliptin

Day 1 Day 28

HOMA-IR HOMA-IS HOMA-IR HOMA-IS

Number of patients with endpoint data 39 39 39 39

Baseline (Day −1) gMean (gCV[%]) 3.4 (100.4) 30.4 (112.4)

3.4 (100.4) 30.4 (112.4)

% change from baseline Adjusted gMean (gCV[%]) 32.9 (108.4) 23.9 (111.9)

−19.0 (116.5) −0.7 (114.8)

Placebo adjusted % change from baseline Adjusted gMean (gCV[%]) (95% CI) p-value

18.6 (139.1)(−7.3, 51.8)

0.1707

5.7 (144.4)(−18.3, 36.8)

0.6689

4.5 (151.1)

(−20.4, 37.2) 0.7466

24.2 (148.6) (−4.9, 62.1)

0.1101

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.5.3.1: 15 および Table 15.5.3.3: 15 より作成

Disposition index

リナグリプチン群におけるプラセボ群に対するベースラインからの Disposition index の変化量

の差は,投与初日は−1.06 であったが,投与 15,28 および 29 日に,それぞれ 1.54,1.83 およ

び 1.79 と増加し,インスリン分泌の改善が示唆された(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table

15.5.4.1: 16)。

トラフ時の DPP-4 阻害率

リナグリプチン投与 2 日目(初回投与約 24 時間後)における DPP-4 阻害率の中央値は 79.8%,

投与 28 日(最終投与日),29 日(最終投与 24 時間後)および投与 30 日後(最終投与 48 時間

後)ではそれぞれ 82.2,85.7 および 80.0%を示した。リナグリプチン最終投与 24 時間後におい

て,39 例中 35 例(89.7%)の DPP-4 阻害率が 80%以上であった(表 3.2: 19)。

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表 3.2: 19 トラフ時の DPP-4 阻害率と阻害率 80%以上の患者の割合

Linagliptin Patients with ≥80% DPP-4 inhibition

N (%) N % of baseline Median (P20)

Day 2 39 79.8 (72.2) 19 (48.7)

Day 28 39 82.2 (77.1) 23 (59.0)

Day 29 morning 39 85.7 (81.9) 35 (89.7)

Day 29 evening 39 84.2 (78.5) 28 (71.8)

Day 30 39 80.0 (74.4) 20 (51.3)

Day 42 30 17.4 (10.7) 0 (0.0)

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 11.5.3.7: 1 より作成

なお,シダグリプチン最終投与 24 時間後に DPP-4 阻害率 80%以上を示した患者は 41 例中 3 例

(7.32%)であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.5.4.1: 18)。

(4) 安全性

(a) 曝露状況

リナグリプチン群 40 例中,採血が困難のため投与 1 日で中止となった 1 例を除いた 39 例が規

定通り 28 日間リナグリプチン 1 日 5 mg の投与を受けた。シダグリプチン群では 41 例の全例

が,28 日間シダグリプチン 1 日 100 mg の投与を受けた(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table

15.3.1: 1)。

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 7 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中に発現した有害事象とした。

有害事象の概略

有害事象発現率はプラセボ群,リナグリプチン群およびシタグリプチン群で,それぞれ 32.5%,

30.0%および 43.9%であり,ほとんどの有害事象の重症度は軽度であり,高度の有害事象はみら

れなかった。治験薬と因果関係ありと判定された有害事象はプラセボ群,リナグリプチン群お

よびシタグリプチン群で,それぞれ 1 例(2.5%),2 例(5.0%)および 5 例(12.2%)に認めら

れた(表 3.2: 20)。治験中止に至った有害事象,治験実施計画書で規定した重要な有害事象お

よび重篤な有害事象の発現はいずれの投与群ともなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 3.2: 20 有害事象の概略(Treated Set)

Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

Sitagliptin N (%)

Total N (%)

Number of patients 40 (100.0) 40 (100.0) 41 (100.0) 121 (100.0)

Patients with any AEs 13 (32.5) 12 (30.0) 18 (43.9) 43 (35.5)

Patients with investigator-defined drug-related AEs 1 (2.5) 2 (5.0) 5 (12.2) 8 (6.6)

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 12.2.1: 1 より作成

高頻度に発現した有害事象

治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で 2 例以上)を表 3.2: 21 に示す。最も高頻

度に発現した有害事象は頭痛で,プラセボ群で 3 例(7.5%),リナグリプチン群で 4 例(10.0%)

およびシタグリプチン群で 5 例(12.2%)に発現した。

表 3.2: 21 治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で 2 例以上)(Treated set)

基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

Sitagliptin N (%)

Total N (%)

例数 40 (100.0) 40 (100.0) 41 (100.0) 121 (100.0)

有害事象発現例 13 ( 32.5) 12 ( 30.0) 18 ( 43.9) 43 ( 35.5)

頭痛(Headache) 3 ( 7.5) 4 ( 10.0) 5 ( 12.2) 12 ( 9.9)

背部痛(Back pain) 2 ( 5.0) 3 ( 7.5) 1 ( 2.4) 6 ( 5.0)

鼻咽頭炎(Nasopharyngitis) 1 ( 2.5) 2 ( 5.0) 2 ( 4.9) 5 ( 4.1)

鼻出血(Epistaxis) 0 ( 0.0) 2 ( 5.0) 1 ( 2.4) 2 ( 1.7)

関節痛(Arthralgia) 0 ( 0.0) 2 ( 5.0) 0 ( 0.0) 2 ( 1.7)

A)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 12.2.2: 1 より作成

治験薬と因果関係のある有害事象

治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象は,プラセボ群で 1 例(上腹

部痛),リナグリプチン群で 2 例(頭痛,多汗症),シタグリプチン群で 5 例(頭痛 [2 例],ほ

てり,腹部膨満,鼻漏・口内乾燥)に発現した(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.3.2: 3)。

(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

本試験の治験期間中において,死亡例,その他の重篤な有害事象および試験実施計画書で規定

した重要な有害事象および ICH E3 で規定された他の重要な有害事象の発現はなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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(d) 臨床検査

いずれの投与群も,ほとんどの患者の臨床検査値はベースラインと投与期で変動は小さく,投

与前後および投与群間に臨床的に問題となる差および傾向はみられなかった。血液学的検査値

および電解質の平均値は正常値であり,投与前後の変動で特に傾向はみられなかった(CTD

5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.3.3: 1)。治験薬投与後に CK がベースラインに比較してわず

かに上昇した患者も少数例みられたが,CK-MB(Creatinine kinase isoenzyme)は基準値の範囲

内であった(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.3.3: 2)。また,リナグリプチンの1例で投

与 28 日後の AST,ALT および GGT が異常値を示したが,いずれも基準値上限の 2 倍以下の異

常値であった。

(e) バイタルサイン

いずれの投与群とも最終投与時における収縮期および拡張期血圧のベースラインからの変動は

わずかであり,臨床的に問題となる変動はみられなかった。治験薬投与後の心拍数はいずれの

投与群ともベースラインに比較してやや増加した(CTD 5.3.4.2-1,試験 1218.37,Table 15.3.4.1:

1)。

3) 結論

本試験において,リナグリプチン 5 mg は DPP-4 阻害作用を介して血漿中の GLP-1 消失時間を

延長することにより 24 時間血糖コントロールに対してプラセボよりも優れていることが示さ

れた。リナグリプチンの安全性に関して特に問題はみられず,忍容性は良好であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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4. 有効性及び安全性試験

4.1 試験 1218.3

(CTD 5.3.5.1-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.1: 1 に示した。

表 4.1: 1 試験方法の概略(1/4)

目的 2 型糖尿病の男性患者および閉経後の女性患者における,BI 1356 BS(リナグリプチン)2.5,

5 および 10 mg 1 日 1 回,28 日間反復投与後の安全性,忍容性,薬物動態および薬力学の検

試験デザイン 第 I 相,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照試験

対象 選択基準

(1) 食事療法および運動療法のみによる治療を受けている,または 1 剤あるいは 2 剤の経口

血糖降下薬(グリタゾン系薬剤以外)による治療を受けている 2 型糖尿病の男性または

閉経後の女性患者

(2) スクリーニング時の HbA1c が 8.5%以下の食事療法および運動療法のみによる治療を受

けているおよび/または 1 剤の経口血糖降下薬による治療を受けている患者,またはス

クリーニング時の HbA1c が 8.0%以下の 2 剤の経口血糖降下薬による治療を受けている

患者

(3) 年齢が 21~70 歳の男性患者,および年齢が 60~70 歳の閉経後の女性患者

(4) BMI が 18.5~35 kg/m2 である患者

(5) 白人

(6) GCP および各地域の要件に従って治験登録前に文書による同意が本人から得られた患者

除外基準

(1) 診察(血圧,脈拍数,心電図を含む)により,基準値から逸脱し,臨床的に問題となる

所見が認められた患者

(2) 腎不全,NYHA II~IV の心不全,150/95 mmHg を超える高血圧を含む心血管系疾患,

脳卒中および一過性脳虚血発作などの臨床的に問題となる合併症を有する患者

(3) 胃腸障害,肝障害,腎障害,呼吸器系障害,心血管障害,代謝障害,免疫系障害または

内分泌障害(2 型糖尿病,高脂血症,治療中の高血圧を除く)を有する患者

(4) 中枢神経系疾患(てんかんなど),精神障害,臨床的に問題となる神経障害(多発ニュー

ロパチーを除く)を合併している患者

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表 4.1: 1 試験方法の概略(2/4)

対象(続き) (5) 慢性感染症または臨床的に問題となる急性感染症(HIV,肝炎など)を有する患者

(6) 臨床的に問題となるアレルギーまたは過敏症の既往を有する患者(治験薬またはその

賦形剤に対するアレルギーを含む)

(7) 併用可能薬以外の半減期の長い(24 時間超)薬剤を,治験薬投与前の 1 カ月以内あ

るいはその薬剤の半減期の 10 倍未満の期間中,または治験期間中に服用した患者

(8) 治験実施計画書の作成時点の知見に基づき本治験の結果に影響を与えると考えられ

た薬剤を,治験薬投与前 10 日以内または治験期間中に服用した患者

(9) 治験薬投与前 2 カ月以内または治験期間中に他の治験に参加した患者

(10) タバコ 10 本/日,葉巻 3 本/日またはパイプ 3 回/日を超える喫煙者

(11) 治験期間中の禁煙ができない患者

(12) 純アルコール換算で 40 g/日を超えるアルコール乱用者

(13) 薬物乱用者

(14) 治験薬投与前 4 週間以内または治験期間中に 100 mL を超える献血を行った患者

(15) 治験薬投与前 1 週間以内または治験期間中に過度の運動を行った患者

(16) 臨床検査で臨床的に問題となる基準値外の値,または肝酵素などに基準値上限の 3 倍

を超える値が認められた患者

(17) 過去 3 カ月以内に併用可能薬(高血圧治療薬,アセチルサリチル酸,スタチン系薬剤)

の用量を変更した患者

(18) ウオッシュアウト期に 2 日間連続で 240 mg/dL(13.3 mmol/L)を超える空腹時血糖が

認められた患者

(19) スクリーニング時に基準値上限を超える血清クレアチニンが認められた患者

(20) 治験薬の初回投与から最終投与 1 カ月後までの間,適切な避妊法を用いる意思のない

男性患者,または妊娠検査で陽性となった女性患者

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 2.5 mg,5 mg,10 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 2.5 mg,5 mg,10 mg 錠に対応するプラセボ錠

目標症例数 目標症例数:75 例

組入れ例数:77 例

投与例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン 2.5 mg 26 26

リナグリプチン 5 mg 16 16

リナグリプチン 10 mg 19 19

プラセボ 16 16

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表 4.1: 1 試験方法の概略(3/4)

投与方法

投与期間

リナグリプチンまたはプラセボ 2.5,5,10 mg(低用量から)を 1 日 1 回,28 日間投与し

た。

治験薬は一晩絶食後,朝食前に水とともに投与し,治験薬投与後 1 時間は飲食を禁じた。

治験薬の投与間隔は 24 時間とした

ウォシュアウト期間:14 日間

治験薬投与期間:28 日間

併用療法 高血圧治療薬,アセチルサリチル酸,スタチン系薬剤を除く併用薬(血糖降下薬を含む)

の使用を禁止。ただし,有害事象発現時の対処のための薬剤は併用可とした。

観察項目

観察時期

治験期間はスクリーニング期,ウォッシュアウト期(治験薬服用前:14 日間,治験薬投与

後:Day29-43),投与期(Day1-28)および治験終了期からなる。投与期における薬物濃度

および薬力学的パラメータ(DPP-4 活性)測定用に以下の時間に採血した。

Day 採血時間

Day 1 投与 0.5 時間前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,12 時間

Day 2,6,12,

19,26,27

投与 0.5 時間前

Day 28 投与 6,0.5 時間前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,12 時間

なお,投与期では 2 型糖尿病患者にとって適切な食事を提供した。Day -1,1,29 の朝食

は食事負荷試験(MTT)のための標準食を提供した。治験薬投与は朝食前に行った。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察,血圧,脈拍数,12 誘導心電図の

測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を行った。

評価項目

評価基準

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率,MTT 後の空腹時血糖の変化量(AUEC0-3)

薬物動態パラメータ:

Cmax,tmax,AUCτ,1,AUC0-tz,Cpre,ss,Cmax,ss,tmax,ss,AUCτ,ss,t1/2,ss,CL/Fss,Vz/Fss,MRTpo,ss,

RA,PTF,定常状態への到達,薬物動態の用量比例性

安全性:

身体所見,バイタルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査,有害事象およ

び忍容性

解析方法 安全性および薬物動態の各評価項目について記述統計量を算出した。

回帰モデルを用いてリナグリプチンの薬物動態パラメータの用量比例性を探索し,傾きの

点推定値および 95%信頼区間を算出した。

定常状態への到達は,リナグリプチンのトラフ濃度について時点を反復効果とした線形混

合モデルを用いて解析し,さらに各時点の差の対比較を t 統計量により行った。

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表 4.1: 1 試験方法の概略(4/4)

解析方法

(続き)

MTT により得られたグルコースの AUC の変化量について,ANOVA を用いて各用量の比

較を探索的に行った。計画外の追加解析として,HbA1c の ANOVA を行った。

症例数設定の

根拠

症例数は検出力に基づいて設定はしなかった。反復投与時の本薬の安全性および薬物動態

の探索的な評価に十分と考えられる症例数とした。

治験責任医師

治験実施施設 5 施設:ドイツ(3 施設),オランダ(1 施設),英国(1 施設)

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

合計 77 例の 2 型糖尿病患者が本試験に組入れられ,全員が治験薬の投与を受けた(プラセボ群

16 例,リナグリプチン群 61 例)。計 4 例が試験を中止し,5 mg 群の 1 例は Day 1 の治験薬投与

後に心室性期外収縮を発現したため,プラセボ群の 2 例および 2.5 mg 群の 1 例は治験薬最終投

与後に 2 日間連続した 240 mg/dL(13.3 mmol/L)を超える空腹時血糖のため中止した。

(b) 治験実施計画書からの逸脱

治験実施計画書からの重大な逸脱があった症例はなかった。

治験薬投与後に空腹時血糖 >240 mg/dL(13.3 mmol/L)を示した患者で治験薬の投与が中止さ

れなかった症例があったが,いずれも重大な逸脱例ではないと判断された。また,薬物動態お

よび薬力学的パラメータ測定のための採血時間が規定から逸脱した患者の取り扱いにおいて,

その逸脱が重要であった場合は,その測定値を記述統計量の算出から除外した。

(c) 解析対象集団

安全性解析対象集団(Safety set)は治験薬投与例の計 77 例(プラセボ群:16 例,リナグリプ

チン 2.5 mg 群:26 例,5 mg:16 例,10 mg 群:19 例)であった。Day 1 のリナグリプチン 5 mg

初回投与後に心室性期外収縮により中止となった 1 例は薬物動態解析対象集団(PK set)およ

び薬力学解析対象集団(PD MTT set)から除いた。その結果,PK set は 60 例,PD MTT set は

76 例となった(CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 15.1.3: 1 および Table 15.6.1: 2)。

人口統計学的特性およびベースライン値

Safety set の人口統計学的特性を表 4.1: 2 に示した。本試験に参加した患者の全員が白人で,女

性は 5 例(6.5%,リナグリプチン 2.5 mg 群:4 例,5 mg 群:1 例)であった。年齢は平均 60.1

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歳,身長は平均 175.2 cm,体重は平均 89.5 kg,BMI は平均 29.2 kg/m2 であった。非喫煙患者が

53.2%を占め,喫煙歴のある患者が 33.8%,喫煙患者は 13.0%であった。

表 4.1: 2 人口統計学的特性(Safety set)

Placebo

Linagliptin

2.5mg

Linagliptin

5 mg

Linagliptin

10 mg Total

Number of patients 16 26 16 19 77

Gender [N (%)]

Male 16 (100.0) 22 (84.6) 15 (93.8) 19 (100.0) 72 (93.5)

Female 0 (0.0) 4 (15.4) 1 (6.3) 0 (0.0) 5 (6.5)

Age [years]

Mean 60.8 59.2 62.3 58.9 60.1

SD 6.4 7.4 5.5 7.2 6.8

Height [cm]

Mean 174.9 173.8 175.5 177.1 175.2

SD 4.5 7.6 5.1 5.8 6.1

Weight [kg]

Mean 90.1 87.5 88.4 92.7 89.5

SD 11.3 11.6 12.7 12.5 11.9

BMI [kg/m2]

Mean 29.46 28.97 28.66 29.55 29.15

SD 3.44 3.16 3.45 3.77 3.38

Smoking history [N (%)]

Never smoked 9 (56.3) 11 (42.3) 9 (56.3) 12 (63.2) 41 (53.2)

Ex smoker 6 (37.5) 10 (38.5) 4 (25.0) 6 (31.6) 26 (33.8)

Smoker 1 (6.3) 5 (19.2) 3 (18.8) 1 (5.3) 10 (13.0)

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 15.1.4: 1 より作成

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食事・運動療法のみによる治療を受けていた患者の割合はリナグリプチン 10 mg 群と比較して

プラセボ群,2.5 mg 群および 5 mg 群で高く,逆に 2 剤の経口血糖降下薬による治療を受けて

いた患者の割合はリナグリプチン 10 mg 群で高かった(表 4.1: 3)。

表 4.1: 3 糖尿病の前治療薬の数の割合(Safety set)

Number of antidiabetic

medication

Placebo Linagliptin

(N=16) 2.5 mg (N=26) 5 mg (N=16) 10 mg (N=19)

No therapy 5 (31.3%) 11 (42.3%) 7 (43.8%) 3 (15.8%)

One therapy 8 (50.0%) 12 (46.2%) 6 (37.5%) 9 (47.4%)

Two therapies 3 (18.8%) 3 (11.5%) 3 (18.8%) 7 (36.8%)

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.2: 1 より作成

(2) 薬物動態

リナグリプチン反復投与時の血漿中リナグリプチン濃度推移を図 4.1: 1 に示した。

図 4.1: 1 リナグリプチン反復投与時の血漿中濃度推移(Day 1~42)

引用元:資料番号 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Figure 11.5.2: 1 より作成

リナグリプチン単回投与時(Day1)および定常状態(Day 28)の薬物動態パラメータを表 4.1:

4 に示した。リナグリプチン単回投与において,2.5 mg から 10 mg への用量増加で,時間 0 か

ら時間 24 までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)の幾何平均値は約 2 倍,最高血漿中

濃度(Cmax)の幾何平均値は約 3 倍に増加した。単回投与時の最高血漿中濃度到達時間(tmax)

の範囲は 0.5 時間から 8 時間と広く,中央値は 1.5~2 時間であった。28 日間反復投与後の定

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常状態では,tmax, ss の中央値は 1 時間であり,投与 2~6 日で定常状態に達した。定常状態での

見かけのクリアランス(CL/Fss)は,用量の増加とともに増加した。定常状態の見かけの分布

容積(Vz/Fss)は大きく,用量の増加とともに増加した。終末相における半減期の幾何平均値は

183 時間から 203 時間であった。リナグリプチンの累積係数(RA)は Cmax および AUC ともに

1.3 以下であった。

表 4.1: 4 リナグリプチン 1 日 1 回単回投与および 28 日間反復投与時の薬物動態パラ

メータ

2.5 mg (N=26) 5 mg (N=15) 10 mg (N=19)

gMean gCV [%] gMean gCV [%] gMean gCV [%]

Single dose (Day 1)

AUC0-24 [nM·h] 93.1 27.5 124 20.4 188 32.5

AUC0-24,norm [(nM·h)/mg] 37.2 27.5 24.8 20.4 18.8 32.5

Cmax [nM] 6.09 42.0 9.55 39.3 18.8 64.5

Cmax,norm [(nM)/mg] 2.44 42.0 1.91 39.3 1.88 64.5

tmax a) [h] 1.50 0.50-8.00 2.00 0.983-6.20 1.50 1.00-8.00

Steady state (Day 28)

AUCτ,ss [nM·h] 116 20.7 148 19.1 207 26.8

AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] 46.5 20.7 29.7 19.1 20.7 26.8

Cmax,ss [nM] 7.41 27.9 12.3 40.4 18.6 56.3

Cmax,ss,norm [(nM)/mg] 2.96 27.9 2.47 40.4 1.86 56.3

tmax,ss a) [h] 1.00 0.500-3.00 1.00 0.500-4.02 1.00 0.45-6.00

t½,ss [h] 183 20.9 194 15.1 203 16.4

MRTpo,ss [h] 164 16.9 145 20.3 130 23.2

CL/Fss [mL/min] 785 20.7 1190 19.1 1700 26.8

Vz/Fss [L] 12000 28.0 20000 28.5 30000 24.7

RA,Cmax 1.22 34.1 1.29 40.5 0.991 87.3

RA,AUC 1.25 19.2 1.20 19.9 1.10 29.6

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

引用元:資料番号 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.5.2: 1 より作成

(3) 薬力学

(a) DPP-4 阻害

Day 1 および Day 28 における最大 DPP-4 阻害率(Emax および Emax,ss)の中央値および投与 24

時間後の DPP-4 阻害率(E24 および Eτ,ss)の中央値を表 4.1: 5 に示した。

リナグリプチン 2.5,5,10 mg 投与により DPP-4 阻害率は,用量依存的に増加し,プラセボ投

与群では DPP-4 阻害はほとんどみられなかった。リナグリプチン単回投与 24 時間後の DPP-4

阻害率の中央値は,2.5 mg で 65.0%,5 mg で 81.0%,10 mg で 89.0%であった。リナグリプチ

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ン 28日間反復投与の最終投与から 24時間後の DPP-4阻害率の中央値はリナグリプチン 2.5,5,

10 mg 群とも 80%以上であった。リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群では最終投与 24 時間

後の DPP-4 阻害率は全例で 80%以上であった。

表 4.1: 5 リナグリプチン 1 日 1 回 28 日間投与時における Day 1 および Day 28 での

DPP-4 阻害率[中央値(範囲)]

Day 1 Day 28

Dose N Emax (range) [%] E24 (range) [%] Emax,ss (range) [%] Eτ,ss (range) [%]

Placebo 16 15.5 (0.00-51.0) 5.00 (-6.00-15.0) 16.5 (-4.00-41.0) 6.00 (-8.00-31.0)

Linagliptin 2.5 mg 26 88.5 (63.0-95.0) 65.0 (37.0-86.0) 91.0 (83.0-97.0) 81.0 (68.0-90.0)

Linagliptin 5 mg 15 91.0 (87.0-94.0) 81.0 (68.0-88.0) 92.0 (90.0-94.0) 88.0 (81.0-92.0)

Linagliptin 10 mg 19 93.0 (87.0-95.0) 89.0 (76.0-92.0) 93.0 (91.0-95.0) 90.0 (87.0-93.0)

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Tables 15.6.2: 1-8 より作成

(b) 食事負荷試験(MTT)

MTT は Day -1,Day 1 および Day 29 に実施した。MTT は Day 1 では治験薬投与 1 時間後から

開始し,Day -1 および Day 29 では Day 1~28 の治験薬投与と同じ時間に開始した。ベースライ

ン(Day -1)からの血糖値-時間曲線下面積(AUEC0-3)の平均変化量および個々の患者のそれ

ぞれの日の Epre 値で補正した血糖値-時間曲線下面積(AUEC0-3,norm)の平均変化量を表 4.1: 6

に示した。Day 1 の AUEC0-3 は,いずれの群ともにベースラインに比較して減少したが,プラ

セボ群とリナグリプチン群との差は小さかった。Day 29 における AUEC0-3 のベースラインから

の減少量は,プラセボ群の 18.9 mg·h/dL に比較して,リナグリプチン 2.5,5 および 10 mg 群で,

それぞれ 76.8,104.8 および 58.0 mg·h/dL と大きく,いずれもプラセボ群と比較して統計学的に

有意であった。AUEC0-3,norm のベースラインからの減少量は,Day 1 および Day 29 ともにリナ

グリプチン 5 mg 群が最も大きかった。

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表 4.1: 6 ベースライン(Day -1)と比較した Day 1 および Day 29 の血糖値-時間曲

線下面積(AUEC0-3)および Epre 値で補正した血糖値-時間曲線下面積

(AUEC0-3,norm)の平均変化量

Change of AUEC0-3 from Day -1

[mg·h/dL]

Change of AUEC0-3,norm from Day -1

corrected for individual baseline [mg·h/dL]

Dose N Day 1 (SD) Day 29 (SD) Day 1 (SD) Day 29 (SD)

Placebo 15 -35.1 (39.6) -18.9 (99.8) -10.5 (41.7) -9.1 (74.6)

Linagliptin 2.5 mg 26 -51.5 (44.3) -76.8 (93.8) a) -11.8 (37.5) -13.9 (61.9)

Linagliptin 5 mg 15 -47.1 (63.9) -104.8 (88.1) a) -44.9 (55.9) a) -44.6 (56.6)

Linagliptin 10 mg 19 -37.0 (48.0) -58.0 (80.5) a) -21.7 (46.2) -25.6 (45.0)

a) p<0.025(片側) 引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.4.1.2: 1 より作成

MTT 後の AUEC0-3 および AUEC0-3,norm のベースライン(Day -1)からの変化量比(プラセボ/

リナグリプチン)の調整平均値を表 4.1: 7 に示した。プラセボ群と比較して,Day 29 でリナグ

リプチンのいずれの用量群とも AUEC0-3 の有意な減少がみられ,AUEC0-3,norm は Day 1 で,リナ

グリプチン 5 mg 群に有意な減少が認められた。

表 4.1: 7 AUEC0-3 および AUEC0-3,norm のベースライン(Day -1)からの変化量比(プ

ラセボ/リナグリプチン)の調整平均値

Mean ratio between placebo and active treatment of AUEC0-3 [mg·h/dL] relative to baseline

Mean ratio between placebo and active treatment of AUEC0-3,norm corrected for individual baseline

[mg·h/dL] relative to baseline

Dose Day 1 (lower limit of 95% CI)

Day 29 (lower limit of 95% CI)

Day 1 (lower limit of 95% CI)

Day 29 (lower limit of 95% CI)

Linagliptin 2.5 mg 1.05 (0.97) 1.14 (1.05) a) 1.18 (0.83) 0.79 (0.55)

Linagliptin 5 mg 1.04 (0.95) 1.19 (1.09) a) 1.68 (1.12)a) 1.27 (0.85)

Linagliptin 10 mg 1.01 (0.93) 1.09 (1.00) a) 1.30 (0.90) 0.94 (0.65)

a) p<0.025(片側) 引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.4.1.2: 2 より作成

(c) HbA1c

Day 29 および Day 43 におけるベースラインからの HbA1c 平均変化量およびプラセボ補正調整

平均変化量を表 4.1: 8 に示した。Day 29 におけるベースラインからの HbA1c のプラセボで補正

した変化量の調整平均値は,リナグリプチン 2.5 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群で,それぞれ

-0.31%,-0.37%および-0.28%であり,いずれも統計学的に有意であった。

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表 4.1: 8 治験薬 28 日間投与後の Day 29 および Day 43 のベースラインからの HbA1c

の調整平均変化量 a)

Mean change in HbA1c from baseline [%] Mean placebo corrected HbA1c change from

baseline [%]

Dose Day 29 (95% CI) Day 43 (95% CI) Day 29 (95% CI) Day 43 (95% CI)

Placebo 0.36 ( 0.16, 0.57) 0.44 ( 0.12, 0.77) -- --

Linagliptin 2.5 mg 0.06 (-0.11, 0.22) 0.11 (-0.14, 0.36) -0.31 (-0.56, -0.05)b) -0.34 (-0.73, 0.05)

Linagliptin 5 mg -0.01 (-0.22, 0.20) 0.06 (-0.24, 0.36) -0.37 (-0.67, -0.08)b) -0.39 (-0.83, 0.05)

Linagliptin 10 mg 0.08 (-0.11, 0.27) 0.09 (-0.18, 0.36) -0.28 (-0.56, -0.01)b) -0.36 (-0.78, 0.06)

a)ANCOVA:投与薬剤,ベースライン HbA1c および糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む b) p<0.025(片側) 引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.5.4.1: 1 より作成

(d) フルクトサミン

Day 29 のおける幾何平均血漿中フルクトサミン濃度は,ベースラインと比較してリナグリプチ

ン 2.5 mg 群および 5 mg 群でわずかに低下し,リナグリプチン 10 mg 群およびプラセボ群でわ

ずかに上昇した(表 4.1: 9)。

表 4.1: 9 治験薬投与前(Day -1)および治験薬反復投与後(Day 12 および Day 29)

における幾何平均(%gCV)血漿中フルクトサミン濃度

Dose

Day -1

[µmol/L]

Day 12

[µmol/L]

Day 29

[µmol/L]

Placebo (N=16) 263 (16.2) 275 (15.1) 267 (18.0)

Linagliptin 2.5 mg (N=26) 246 (18.2) 250 (16.2) 238 (15.3)

Linagliptin 5 mg (N=15) 232 (19.5) 239 (16.6) 228 (18.5)

Linagliptin 10 mg (N=19) 251 (16.2) 265 (15.5) 253 (19.1)

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.5.4.2: 1 より作成

(e) グルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)

リナグリプチン群では,Day 1 におけるグルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)の MTT 開始 30 分後

の増加量は Day -1 の 2 倍以上であり,Day 29 における GLP-1 の増加量はリナグリプチン 2.5 mg

群で Day -1 の 3.6 倍,リナグリプチン 5 mg 群で 4.5 倍,リナグリプチン 10 mg 群で 4.0 倍であ

った。プラセボ群では GLP-1 濃度に変化は認められなかった(表 4.1: 10)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

274

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表 4.1: 10 治験薬投与前(Day -1)および治験薬単回および反復投与後(Day 1 および

Day 29)における MTT 前および開始 30 分後の血漿中 GLP-1 濃度の差の平

均値(%CV)

Dose

Day -1

[pmol/L]

Day 1

[pmol/L]

Day 29

[pmol/L]

Placebo (N=16) 2.40 (64.5) 1.72 (84.9) 3.61 (202)

Linagliptin 2.5 mg (N=26) 2.99 (89.3) 6.26 (71.4) 10.7 (129)

Linagliptin 5 mg (N=16/16/15) 2.38 (141) 5.72 (84.9) 10.7 (167)

Linagliptin 10 mg (N=19) 1.92 (85.0) 8.32 (143) 7.77 (123)

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.5.4.3: 1 より作成

(f) グルカゴン

治験薬の 28 日間投与後,MTT 開始 30 分後の血漿中グルカゴン濃度のベースライン(Day -1)

に対する変化量は,大きい順にリナグリプチン 5 mg 群で-7.04 pg/mL,2.5 mg 群で-4.97 pg/mL,

10 mg 群で-1.72 pg/mL であり,プラセボ群ではグルカゴン濃度に変化は認められなかった(表

4.1: 11)。

表 4.1: 11 治験薬投与前(Day -1)および治験薬単回および反復投与後(Day 1 および

Day 29)における MTT 前および 30 分後の血漿中グルカゴン濃度の差の平均

値(SD),ならびに 28 日間投与後のベースラインからの変化量

Dose

Day -1

[pg/mL]

Day 1

[pg/mL]

Day 29

[pg/mL]

4-week reduction in

glucagon30min [pg/mL]

Placebo (N=16) 34.4 (29.1) 29.9 (16.9) 34.0 (20.1) -0.411 (20.6)

Linagliptin 2.5 mg (N=26) 29.1 (18.9) 23.5 (18.2) 24.1 (16.7) -4.97 (15.9)

Linagliptin 5 mg (N=15) 29.6 (12.0) 27.8 (25.2) 22.6 (17.9) -7.04 (18.0)

Linagliptin 10 mg (N=19) 25.1 (32.4) 25.2 (19.8) 23.3 (25.5) -1.72 (27.5)

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 11.5.4.4: 1 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

プラセボ群(16 例)およびリナグリプチン 2.5 mg 群(26 例)は全例が 28 日間,治験薬の投与

を受けた。リナグリプチン 5 mg 群(16 例)では,Day 1 で初回の治験薬投与後に中止となった

1 例を除いて,15 例が 28 日間の投与を受けた。リナグリプチン 10 mg 群では 19 例中 18 例が

28 日間,治験薬の投与を受けたが,1 例は Day 17 で治験薬を服薬しなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 8 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中の有害事象とした。

有害事象の概略

本試験では,33.8%(26/77 例)の患者に 1 件以上の有害事象が報告され,その内訳はプラセ

ボ群に 6 件(5/16 例,31.3%),リナグリプチン群合計で 35 件(21/61 例,34.4%),スクリ

ーニング期間中に 3 例,試験終了後(治験薬最終投与 23 日後)に1例であった。有害事象の概

略を表 4.1: 12 に示した。ほとんどの有害事象は軽度であり,中等度の有害事象は 4 例に認めら

れ,高度の有害事象はなかった。治験薬との因果関係ありと治験担当医師が判定した有害事象

はプラセボ群で 12.5%(2/16 例),リナグリプチン群合計で 6.6%(4/61 例)であった。治験

期間中に重篤な有害事象はなかった。治験薬最終投与 23 日後にリナグリプチン 10 mg 群の 1

例で重篤な有害事象(心筋梗塞)が認められた。その他の重要な有害事象はリナグリプチン 5 mg

群で 1 例に認められた。治験薬初回投与後にリナグリプチン 5 mg 群の 1 例で心室性期外収縮

が認められたため,試験を中止した。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.1: 12 有害事象の概略(Safety set)

Placebo Linagliptin

N (%)

2.5 mg N (%)

5 mg N (%)

10 mg N (%)

Total N (%)

Number of patients 16 (100.0) 26 (100.0) 16 (100.0) 19 (100.0) 61 (100.0)

Patients with any AEs 5 (31.3) 7 (26.9) 7 (43.8) 7 (36.8) 21 (34.4)

Patients with severe AEs 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

Patients with investigator defined drug related AEs 2 (12.5) 1 (3.8) 2 (12.5) 1 (5.3) 4 (6.6)

Patients with other significant AEs 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (6.3) 0 (0.0) 1 (1.6)

Patients with AEs leading to discontinuation 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (6.3) 0 (0.0) 1 (1.6)

Patients with serious AEs 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 12.2.1: 1 より作成

(c) 高頻度に発現した有害事象

リナグリプチン群で高頻度に発現した有害事象は,鼻咽頭炎(4 例),背部痛(3 例)および上

腹部痛(3 例)であった。鼻咽頭炎および背部痛の発現率は,プラセボ群とリナグリプチン群

で同程度であった(表 4.1: 13)。

表 4.1 13 治験期間中に発現した主な有害事象(リナグリプチン群合計で 2 例以上で発

現)(Safety set)

Placebo Linagliptin

器官別大分類/基本語 a)

N (%)

2.5 mg N (%)

5 mg N (%)

10 mg N (%)

Total N (%)

例数 16 (100.0) 26 (100.0) 16 (100.0) 19 (100.0) 61 (100.0)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 1 (6.3) 3 (11.5) 0 (0.0) 3 (15.8) 6 (9.8)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 1 (6.3) 2 (7.7) 0 (0.0) 2 (10.5) 4 (6.6)

神経系障害 (Nervous system disorder) 1 (6.3) 2 (7.7) 1 (6.3) 1 (5.3) 4 (6.6)

頭痛 (Headache) 0 (0.0) 2 (7.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (3.3)

呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic, and mediastinal disorders)

0 (0.0) 1 (3.8) 1 (6.3) 1 (5.3) 3 (4.9)

咽喉頭疼痛 (Pharyngolaryngeal pain) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (6.3) 1 (5.3) 2 (3.3)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorder) 0 (0.0) 3 (11.5) 2 (12.5) 1 (5.3) 6 (9.8)

上腹部痛 (Abdominal pain upper) 0 (0.0) 2 (7.7) 1 (6.3) 0 (0.0) 3 (4.9)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders)

1 (6.3) 2 (7.7) 1 (6.3) 1 (5.3) 4 (6.6)

四肢痛 (Pain in extremity) 0 (0.0) 2 (7.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (3.3)

背部痛 (Back pain) 1 (6.3) 1 (3.8) 1 (6.3) 1 (5.3) 3 (4.9)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3, Table 12.2.2: 1 より作成

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(d) 治験薬と因果関係がある有害事象

治験薬との因果関係ありと判定された有害事象を表 4.1: 14 に示した。治験薬との因果関係あり

と判定された有害事象は 6 例に認められ,そのうちリナグリプチン 5 mg 群の 1 例に認められ

た心室性期外収縮は軽度であったが,安全性を考慮して,試験が中止された。

表 4.1: 14 治験薬との因果関係ありと判定された有害事象(Safety set)

Patient No. AE Preferred Term a) Intensity Notes

Placebo 8003 動悸 (Palpitations) Mild -

2 例(12.5%) 5014 心電図T波逆転 (ECGT-wave inversion) Mild -

Linagliptin 2.5 mg 7003 頭痛 (Headache) Moderate -

1 例(3.8%) 上腹部痛 (Abdominal pain upper) Mild -

悪心 (Nausea) Moderate -

Linagliptin 5 mg 6006 心室性期外収縮 (Ventricular extrasystoles) Mild Discontinued

2 例(12.5%) 5026 胸痛 (Chest pain) Mild -

Linagliptin 10 mg 7001 悪心 (Nausea) Mild -

1 例(5.3%) 無力症 (Asthenia) Mild -

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-1,試験 1218.3,Table 15.3.1.2: 3 より作成

(e) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

本試験において死亡例はなかった。

重篤な有害事象

治験期間中の重篤な有害事象はなかった。リナグリプチン 10 mg 群の 1 例(患者番号 6010,63

歳,男)が,治験薬最終投与 23 日後に心筋梗塞(疑い)で入院したが(重篤な有害事象として

報告),バイパス手術を受け回復した。治験担当医師は本事象と治験薬との因果関係はないと判

定した。

治験中止至った有害事象

5 mg 群の 1 例は初回の治験薬投与後(Visit 3 の Day 1)に軽度の心室性期外収縮が認められた

ため,安全性の理由から試験を中止した。試験終了時の検査にて回復が確認された。有害事象

の発現により試験を中止したことから,本事象は ICH E3 基準に従った重要な有害事象と定義

された.。治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された。その後,本被験者は冠動

脈疾患を有していることが判明した。

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(f) 臨床検査,バイタルサイン,身体所見および 12 誘導心電図

各臨床検査値のベースラインからの変動は小さかった。基準値からわずかに逸脱した検査値も

複数認められたが,血中尿酸増加(リナグリプチン 5 mg 群)の 1 例を除き,いずれも臨床的

に問題となる異常ではなかった。なお,血中尿酸増加の 1 例はベースライン時から尿酸値が 14.3

mg/dL と高値(基準値:2~8.6 mg/dL)を示しており,Day 19 の検査で 16.3 mg/dL と上昇し,

有害事象として報告された(治験薬との因果関係なし)。他に有害事象と判定された臨床的に問

題となる臨床検査値異常は認められなかった。また,低血糖の症状が認められた患者はいなか

った。

計 3 例(プラセボ群 2 例,2.5 mg 群 1 例)で,事前に規定した基準である 240 mg/dL(13.3 mmol/L)

を超える空腹時血糖値が 2 日間連続で認められたため,試験を中止した。

バイタルサインおよび 12 誘導心電図に臨床的に問題となる所見はみられなかった。

忍容性

治験担当医師により,リナグリプチンの忍容性は 89.6%の患者で“良好”,6.5%で“満足“,

2.6%で”十分でない“および 1.3%で”不良“と判定された。なお,”不良“と判定された 1 例

は心室性期外収縮の発現により試験中止となった患者であった。

3) 結論

Day 28(定常状態)における DPP-4 阻害率は,リナグリプチン 2.5,5 および 10 mg 群ともにリ

ナグリプチン最終投与後 24 時間以上の間,約 80%以上であった。Day 29 における GLP-1 はリ

ナグリプチン 2.5 mg 群で Day -1 の 3.6 倍,リナグリプチン 5 mg 群で 4.5 倍,リナグリプチン

10 mg 群で 4.0 倍であった。Day 29 における AUEC0-3 のベースラインからの減少量は,リナグ

リプチン 2.5,5 および 10 mg 群ともにプラセボ群と比較して統計学的に有意であった。Day 29

における HbA1c の変化率の平均値のプラセボ群との差は,2.5 mg 群で-0.31%,5 mg 群で-0.37%,

10 mg 群で-0.28%であり,いずれも統計学的に有意であった。

2 型糖尿病患者を対象としてリナグリプチン 2.5,5,10 mg を 1 日 1 回 4 週間反復投与したと

きの忍容性および安全性は良好であった。有害事象の発現率は低く,プラセボ群とリナグリプ

チン群で同程度であった。高頻度に発現した有害事象は,鼻咽頭炎,背部痛および上腹部痛で

あった。死亡例はなかった。重篤な有害事象は治験終了後に 1 件認められ,治験薬との因果関

係なしと判定された。有害事象による中止例は治験薬初回投与日での 1 例であった。

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4.2 試験 1218.5

(CTD 5.3.5.1-2)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.2: 1 に示した。

表 4.2: 1 試験方法の概略(1/5)

目的 血糖コントロール不良の 2型糖尿病患者を対象とした,複数用量(0.5 mg,2.5 mgおよび 5 mg)

の BI 1356 BS(リナグリプチン)の 12 週間投与における有効性,安全性および忍容性のプ

ラセボとの比較検討

メトホルミンを非盲検下投与での分析感度の確認

母集団薬物動態解析法によるリナグリプチンの薬物動態の評価

試験デザイン 前期第 II 相,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,メトホルミン非盲検群,並行群間比

較試験

対象 選択基準

(1) 食事療法および運動療法のみによる治療を受けている(drug naïve)あるいは 1 または 2

剤の経口血糖降下薬(rosiglitazone およびピオグリタゾン以外)による治療を受けている

2 型糖尿病患者(性別は問わない)で,スクリーニング前 10 週以上糖尿病の治療法を変

更していない患者

(2) 糖尿病の罹病期間が 3 カ月以上である患者

(3) スクリーニング時の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

- drug naïve の患者:HbA1c 7.5~10.0%(ウォッシュアウト不要)

- 経口糖尿病治療薬を 1 剤服用している患者:HbA1c 7.0~9.0%(ウォッシュアウト要)

- 経口糖尿病治療薬を 2 剤服用している患者:HbA1c 6.5~8.0%(ウォッシュアウト要)

(4) Visit 3(2 週間のプラセボ導入期開始日)の HbA1c が 7.5~10.0%である患者

(5) 年齢が 21~75 歳である患者

(6) BMI が 25.0~40 kg/m2 である患者

(7) GCPおよび各地域の要件に従って試験登録前に文書による同意が本人から得られた患者

カナダの保健省からの要求により,カナダ国内の施設では上記(3),(4)の選択基準は

下記のように異なる:

(3) スクリーニング時の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

- drug naïve の患者:HbA1c 7.5~9.0%(ウォッシュアウト不要)

- 経口糖尿病治療薬を 1 剤服用している患者:HbA1c 7.0~8.5%(ウォッシュアウト要)

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表 4.2: 1 試験方法の概略(2/5)

対象(続き) (4) Visit 3(2 週間のプラセボ導入期開始日)の HbA1c が 7.5~9.0%である患者

除外基準

(1) 臨床的に問題となる循環器疾患を有する患者(例;登録前 6 カ月以内に心筋梗塞,脳卒

中または一過性脳虚血発作[TIA]の既往のある患者)

(2) スクリーニング時に下記の基準に該当する肝機能障害がみられた患者

- 血清 ALT(SGPT),AST(SGOT)またはアルカリホスファターゼが基準値上限の 3 倍

を超える患者

(3) スクリーニング時に下記の基準に該当する腎障害または腎機能障害がみられた患者

- 血清クレアチニンが基準値を超える患者

(4) 試験参加を妨げる可能性のある中枢神経疾患(例;てんかん),精神疾患または臨床的に

問題となる神経疾患(脳血管疾患を含むが,多発ニューロパチーを除く)を有する患者

(5) 慢性感染症または臨床的に問題となる急性感染症(例;HIV,肝炎)を有する患者

(6) 試験参加を妨げる可能性のある問題となるアレルギーまたは過敏症の既往を有する患者

(被験薬またはその賦形剤に対するアレルギーを含む)

(7) スクリーニング前 6 カ月以内に rosiglitazone またはピオグリタゾンの投与を受けた患者

(8) スクリーニング前 3 カ月以内にインスリンまたは GLP-1 アナログ注射剤の投与を受けた

患者

(9) 過去 3 カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用歴を有す

る患者

(10) 治験薬投与開始 2 カ月前から治験終了までの期間での他の治験への参加

(11) Visit 2(ウォッシュアウト開始日,経口糖尿病治療薬が投与されていた患者のみ),3(プ

ラセボ導入期開始日)または 4(治験薬投与開始日)またはその他の来院時に空腹時血

糖(FPG)が 240 mg/dL(13.3 mmol/L)を超え,かつ別の日に行われた検査でも同様の

結果が確認された患者

(12) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれ

かに該当する患者:

- 不妊手術を受けていない女性

- 授乳または妊娠中の女性

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(13) メトホルミン不耐症である患者

試験薬剤 被験薬:リナグリプチン 0.5 mg 錠,2.5 mg 錠,5 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 0.5 mg 錠,2.5 mg 錠,5 mg 錠に対応した識別不能なプラセボ錠,

メトホルミン塩酸塩 500 mg 錠,1000 mg 錠

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表 4.2: 1 試験方法の概略(3/5)

症例数 目標症例数:登録例 991 例,割付け例 270 例

登録例:1003 例,割付け例:302 例

治験薬投与例 解析対象例(主要評価項目)

プラセボ群 67 例 63 例

リナグリプチン 0.5 mg群 58 例 57 例

リナグリプチン 2.5 mg群 57 例 55 例

リナグリプチン 5 mg 群 55 例 54 例

メトホルミン群 65 例 65 例

計 302 例 294 例

投与方法 プラセボ導入期

・drug naïve 患者:プラセボ導入期として Visit 3 より 2 週間プラセボを投与した。

・経口糖尿病治療薬が投与されていた患者:経口糖尿病治療薬による治療を中止し,2 週間

のプラセボ導入期を含む 6 週間のウォシュアウトを行った。ウォシュアウト期の最後の 2

週間は,プラセボ導入期としてプラセボを投与した。

投与期

・リナグリプチン 0.5,2.5,5 mg 群およびプラセボ群では,盲検下でリナグリプチンの各用

量とプラセボ(計 3 錠)を 1 日 1 回朝食後 30 分以内に 150 mL の水とともに経口投与し

た。

・メトホルミン群では非盲検下でメトホルミンを最初の 4 週間は 500 mg 1 日 2 回,以降の 8

週間は 1000 mg 1 日 2 回を食後に経口投与した。

併用療法 治験薬以外の経口糖尿病治療薬またはインスリンの併用投与を禁止した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

経口糖尿病治療薬による治療を受けていた患者はプラセボ導入期の前に 4 週間のウォッ

シュアウト期間

・投与期間:12 週間

・追跡期間: 2 週間

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282

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表 4.2: 1 試験方法の概略(4/5)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

スクリーニング a) ウォッシュアウト b) 導入期 治験薬投与期 追跡 d)

Visit 1 2 3 4 5l) 6 7 8c) 9 c)

割付からの日数 -49 ~ -21 -42 -14 0 14 28 56 84 98

人口統計学的特性 X

病歴 e) X

身体所見 X X

バイタルサイン X X X X X X X X

身長 X

体重 X X X

ウエスト周囲径 X

臨床検査 X X X X X X

妊娠検査 f) X X X X

12 誘導心電図 X X X

血糖 Xg)

HbA1c Xg) X X X X X X X

空腹時血糖 h) X X X X X X X X

DPP-4 活性 i) Xj) Xj) Xj) Xj) Xk)

空腹時インスリン/プロイ

ンスリン i)

X X

有害事象 X X X X X X X X X

併用療法 X X X X X X X X X

母集団薬物動態解

析用 i)

Xj) Xj) Xj) Xj) Xk)

a) 経口糖尿病治療薬を服用していた患者はウォシュアウト期の 1 週間前までにスクリーニングを行い,

未服用患者は導入期の 1 週間前までにスクリーニングを行うこととした。 b) 経口糖尿病治療薬を服用していた患者のみ c) 早期中止例では薬物濃度および DPP-4 活性測定の採血を除く Visits 8 および 9 のすべての評価を中止

時に実施 d) 投与終了 14 日後実施 e) 既治療薬および現治療薬を含む f) 妊娠する可能性のある女性に対して,血清 HCG は中央検査機関で,尿妊娠検査は各治験実施機関で

実施 g) 中央検査機関で測定(非空腹時:スクリーニング時のみ) h) 10 時間以上の絶食後に採血 i) メトホルミン投与群では実施せず j) 治験薬投与前,投与 1 時間(±0.5 時間)および 2 時間(+1 時間)に採血(母集団薬物動態解析用) k) 来院中に採血(採血時間を規定せず) l) 治験担当医師の判断による任意の visit

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表 4.2: 1 試験方法の概略(5/5)

評価項目

評価基準

主要評価項目

HbA1c の変化量(投与 12 週後−ベースライン)。

副次評価項目

FPG の変化量(投与 12 週後−ベースライン)

治療目標効果の達成率(投与 12 週後の HbA1c が 7.0%以下に低下した患者)

その他の評価項目

DPP-4 阻害率

プロインスリン/インスリン比

HOMA Index(インスリン抵抗性 HOMA-IR およびインスリン分泌 HOMA-IS)

体重の変化

相対的有効性反応の発現(投与 12 週後の HbA1c が最低 0.5%低下した患者)

リナグリプチンの母集団薬物動態

安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験薬の投与中止,身体所見,バイ

タルサイン(血圧,脈拍数),12 誘導心電図,臨床検査

解析方法 主要評価項目である投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの変化量に関して,薬剤を

固定効果,ベースラインの HbA1c を共変量とした ANCOVA を行い,プラセボに対するリナ

グリプチンの優越性を検定した。検定は最高用量であるリナグリプチン 5 mg から開始し,

統計学的有意差がみられれば,次に低い用量で行った。各仮説検定の有意水準は 0.025(片

側)とした。副次評価項目である FPG の変化に関しても同様の解析を行った。

症例数設定

の根拠

HbA1c のベースラインからの変化量のプラセボとの差を 0.5%,標準偏差を 1.0%とした場合,

有意水準 0.025(片側),検出力 0.85 で,プラセボ群とリナグリプチン群の差を検出するた

めの必要な症例数は各群 73 例(計 365 例)であった。しかし,第 3 回治験実施計画書変更

時,HbA1c の変化量の群間差を 0.7%と見積もり,検出力 0.90 で,プラセボ群とリナグリプ

チン群の差を検出するための必要な症例数を再検討した結果,必要症例数は 270 例とした。

治験調整医師

治験実施施設 71 施設;米国(34 施設),カナダ(15 施設),オーストラリア(6 施設),チェコ共和国(5

施設),ウクライナ(6 施設)およびロシア(5 施設)

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

本試験の患者の内訳を図 4.2: 1 に示した。本試験に計 1003 例が登録され,このうち 302 例がラ

ンダム化割付けされ,治験薬が投与された。701 例は割付けされなかったが,その理由は大部

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分の患者(90.2%,632/701 例)で「プラセボ導入期終了後の選択基準/除外基準からの逸脱」

であった。

全体では 78.8%(238/302 例)の患者が 12 週間の投与を完了し,21.2%(64/302 例)が試験

を中止した。最も多い中止理由は効果不十分(11.3%,34/302 例)であった。

登録例 1003 例

非割付け例 701 例

ランダム化割付け/投与例 302 例

プラセボ群 リナグリプチン リナグリプチン リナグリプチン メトホルミン群 0.5 mg 群 2.5 mg 群 5 mg 群

67 例 (100.0%) 58 例 (100.0%) 57 例 (100.0%) 55 例 (100.0%) 65 例 (100.0%)

中止例:22 例 中止例:14 例 中止例:10 例 中止例:13 例 中止例:5 例 (32.8%) (24.1%) (17.5%) (23.6%) (7.7%)

中止理由 中止理由 中止理由 中止理由 中止理由 ・有害事象 :3 例 ・有害事象 :2 例 ・有害事象 :1 例 ・有害事象 :2 例 ・有害事象 :1 例

・効果不十

:14 例 ・効果不十

:9 例 ・効果不十

:4 例 ・効果不十

:4 例 ・効果不十

:3 例

・不遵守 :0 例 ・不遵守 :1 例 ・不遵守 :1 例 ・不遵守 :0 例 ・不遵守 :0 例

・追跡不能 :1 例 ・追跡不能 :1 例 ・追跡不能 :2 例 ・追跡不能 :1 例 ・追跡不能 :1 例

・同意撤回 :1 例 ・同意撤回 :1 例 ・同意撤回 :1 例 ・同意撤回 :6 例 ・同意撤回 :0 例

・その他 :3 例 ・その他 :0 例 ・その他 :1 例 ・その他 :0 例 ・その他 :0 例

投与完了例 投与完了例 投与完了例 投与完了例 投与完了例 45 例 (67.2%) 44 例 (75.9%) 47 例 (82.5%) 42 例 (76.4%) 60 例 (92.3%)

図 4.2: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 10.1: 1 より作成

(b) 治験実施計画書からの逸脱

最大の解析対象集団(FAS)294 例中,計 27 例(9.2%)に治験実施計画書からの重大な逸脱が

1 件以上みられ,その割合はプラセボ群(14.3%,9/63 例)で高かった。全体では,最も頻度

が高い治験実施計画書からの重大な逸脱は,「スクリーニング時の BMI が治験実施計画書の規

定を満たさない」(2.4%,7/294 例)であった。

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(c) 解析対象集団

本試験では,治験薬が投与された患者を Treated Set,ベースラインおよび治験薬投与中に HbA1c

の測定が行われた患者を最大の解析対象集団(FAS)とし,有効性の解析対象集団とした。全

体では,割付け例 302 例のうち,投与中の HbA1c の測定値がない 8 例を除く 294 例(97.4%)

が FAS であった。また,治験薬の投与期間が 11 週間以上であり,治験実施計画書からの重大

な逸脱がない患者を実施計画書に合致した解析集団(PPS)と定義した。FAS 294 例のうち,231

例が PPS であった。PPS からの主な除外理由は「投与期間が 11 週間未満」であった。また,

安全性の解析対象は Treated set の 302 例であった(表 4.2: 2)。

表 4.2: 2 各解析対象集団の例数

Placebo Linagliptin

0.5mg

Linagliptin

2.5 mg

Linagliptin

5 mg Metformin Total

Treated Set (TS) 67 58 57 55 65 302

Full Analysis Set (FAS) 63 57 55 54 65 294

Per Protocol Set (PPS) 45 44 45 41 56 231

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性およびベースライン値

治験薬投与例 302 例の人口統計学的特性を表 4.2: 3 に示した。全体では,年齢の平均値は 57.29

歳(75.2%はスクリーニング時に 65 歳未満),BMI は平均 31.1 kg/m2 であった。人種では,大

部分の患者が白人(90.1%)であった。また,全体では 57.9%が男性であった。

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表 4.2: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo

Linagliptin

0.5mg

Linagliptin

2.5 mg

Linagliptin

5 mg Metformin

Number of patients [N (%)] 67 (100.0) 58 (100.0) 57 (100.0) 55 (100.0) 65 (100.0)

Age [years]

N 67 58 57 55 65

Mean 58.63 58.00 59.81 56.56 53.71

SD 8.89 9.44 10.3 9.56 10.7

Median 61.0 59.0 60.0 57.0 54.0

Range (35, 74) (30, 75) (37, 75) (30, 73) (25, 75)

Age Categories [N(%)]

<65 years 47 (70.1) 44 (75.9) 38 (66.7) 44 (80.0) 54 (83.1)

≥65 years 20 (29.9) 14 (24.1) 19 (33.3) 11 (20.0) 11 (16.9)

Gender [N(%)]

Female 34 (50.7) 13 (22.4) 30 (52.6) 24 (43.6) 26 (40.0)

Male 33 (49.3) 45 (77.6) 27 (47.4) 31 (56.4) 39 (60.0)

Race [N(%)]

White 58 (86.6) 52 (89.7) 53 (93.0) 52 (94.5) 57 (87.7)

Black 6 (9.0) 3 (5.2) 3 (5.3) 1 (1.8) 5 (7.7)

Asian 3 (4.5) 3 (5.2) 1 (1.8) 2 (3.6) 2 (3.1)

Missing 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5)

Hispanic [N(%)]

No 63 (94.0) 54 (93.1) 51 (89.5) 49 (89.1) 61 (93.8)

Yes 4 (6.0) 4 (6.9) 6 (10.5) 6 (10.9) 4 (6.2)

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.2: 1 より作成

ベースライン値および糖尿病前治療薬の数を表 4.2: 4 に示した。治験薬投与の全例における平

均 HbA1c は 8.3%であり,44.7%の患者の HbA1c は 8%以上 9%未満であった。糖尿病の罹病期

間は平均 4.9 年であった。本試験開始の前にメトホルミンを服用していた患者の割合は 40.1%

であり,経口糖尿病治療薬を服用していなかった患者(drug naïve)の割合は 47.4%であった。

Drug naïve の患者の割合は各群のばらつきが大きかった(39.7~60.0%)。なお,頻度の高かっ

た合併症(器官別大分類)は血管障害(63.2%)であり,続いて代謝および栄養障害(51.0%)

であった。これらの中で頻度が高かった合併症(基本語)は高血圧(60.3%),高脂血症(20.5%),

高コレステロール血症(13.2%),脂質異常症(8.3%)および肥満(6.6%)であった(CTD 5.3.5.1-2,

試験 1218.5,Table 15.1.4.1:2)。

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表 4.2: 4 ベースライン値および糖尿病前治療薬の数(Treated Set)

Placebo

Linagliptin

0.5mg

Linagliptin

2.5 mg

Linagliptin

5 mg Metformin Total

Number of patients [N (%)] 67 (100.0) 58 (100.0) 57 (100.0) 55 (100.0) 65 (100.0) 302 (100.0)

Baseline HbA1c [%]

N 64 58 56 53 62 293

Mean 8.286 8.231 8.396 8.396 8.321 8.324

SD 0.63 0.62 0.80 0.80 0.64 0.69

Baseline HbA1c [N(%)]

<8% 24 (35.8) 22 (37.9) 22 (38.6) 16 (29.1) 18 (27.7) 102 (33.8)

8 - <9% 29 (43.3) 29 (50.0) 18 (31.6) 25 (45.5) 34 (52.3) 135 (44.7)

≥9% 11 (16.4) 7 (12.1) 16 (28.1) 12 (21.8) 10 (15.4) 56 (18.5)

Missing 3 (4.5) 0 (0.0) 1 (1.8) 2 (3.6) 3 (4.6) 9 (3.0)

Baseline FPG [mg / dL]

N 67 57 57 54 63 297

Mean 183.0 185.2 191.9 188.7 193.9 188.4

SD 34.9 34.0 37.8 40.1 45.9 38.8

Duration of diabetes [years]

N 66 58 57 55 65 301

Mean 5.603 4.416 4.799 4.928 4.604 4.883

SD 6.5 4.1 4.1 4.7 5.2 5.0

Previous anti-diabetic medication

Glinides 2 (3.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 3 (1.0)

Sulphonylurea 9 (13.4) 12 (20.7) 14 (24.6) 10 (18.2) 19 (29.2) 64 (21.2)

Metformin 34 (50.7) 29 (50.0) 16 (28.1) 15 (27.3) 27 (41.5) 121 (40.1)

Other 0 (0.0) 1 (1.7) 3 (5.3) 1 (1.8) 2 (3.1) 7 (2.3)

Number of previous anti-diabetic

medication

0 29 (43.3) 23 (39.7) 30 (52.6) 33 (60.0) 28 (43.1) 143 (47.4)

1 31 (46.3) 28 (48.3) 21 (36.8) 18 (32.7) 25 (38.5) 123 (40.7)

2 7 (10.4) 7 (12.1) 6 (10.5) 4 (7.3) 12 (18.5) 36 (11.9)

注)ベースライン値:Visit 4

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.2: 2 より作成

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(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は,いずれの来院時にも治験薬の服薬率が 80~120%に含まれる場合に「良好」

と判定した。割付け例の投与期中(Week 4~12)の服薬遵守状況に関しては,244 例からデー

タが得られ,このうち遵守状況が良好であった患者は 224 例(91.8%)であった。

(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主解析:HbA1c の変化量

投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン各群とプラセボ

群との比較を表 4.2: 5 に示した。投与 12 週での HbA1c のベースラインからの変化量のプラセ

ボ群との差は,リナグリプチン 5 mg 群で−0.46%(95%信頼区間:−0.74~−0.18%),リナグリ

プチン 2.5 mg 群で−0.42%(95%信頼区間:−0.69~−0.14%)であり,いずれも統計学的に有意

であった(それぞれ,p=0.0012,p=0.0032)。リナグリプチン 0.5 mg 群では,プラセボ群と比較

して統計学的に有意な差はみられなかった(p=0.3271)。

表 4.2: 5 投与 12 週における HbA1c のベースラインからの変化量の群間比較(FAS)

Placebo Linagliptin 0.5mg Linagliptin 2.5 mg Linagliptin 5 mg

Number of patients 63 57 55 54

HbA1c [%]

Adjusted Mean (SE) 0.18 (0.10) 0.04 (0.10) -0.24 (0.10) -0.28 (0.10)

HbA1c difference to Placebo [%]

Adjusted Mean (SE) -0.14 (0.14) -0.42 (0.14) -0.46 (0.14)

95% CI (-0.41, 0.14) (-0.69, -0.14) (-0.74, -0.18)

p-value 0.3271 0.0032 0.0012

ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c をモデルに含む

注:上記結果は,リナグリプチン各用量群,メトホルミン群およびプラセボ群のデータを含む解析に基づく。

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

なお,PPS においても FAS と同様に投与 12 週での HbA1c のベースラインからの変化量のプラ

セボ群との差は,リナグリプチン 2.5 mg 群および 5 mg 群ともに有意であった(それぞれ,

p=0.0112,p=0.0016)(CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 15.2.1.2.3.1: 1)。

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副次解析

• HbA1c の推移

HbA1c のベースラインからの平均変化量の推移を図 4.2: 2 に示した。投与 12 週における HbA1c

のベースラインからの平均変化量はリナグリプチン 2.5 mg 群および 5 mg 群で他群に比較して

大きかった(それぞれ,−0.25%および−0.29%)(CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 15.2.1.2.2:2)。

しかし,投与 12 週に外れ値も観察されたため,変化量の中央値でみると,リナグリプチン 5 mg

群で投与 4 週,8 週で低下し,投与 12 週まで維持されていた(それぞれ−0.25%,−0.40%および

−0.40%)。リナグリプチン 2.5 mg 群では,低下は投与 12 週で最も大きかった(4 週:0.00%,8

週:−0.10%,12 週:−0.20%)。これに対して,プラセボ群では投与 4 週,8 週および 12 週とも

に,変化量の中央値は 0.10%であった(CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 15.2.1.2.2: 2)。

図 4.2: 2 HbA1c のベースラインからの平均変化量の推移(FAS)

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Figure 11.4.1.1.2: 1 より作成

• HbA1c のベースラインからの変化量の層別解析

- 性別による層別解析

投与 12 週における HbA1c のベースラインからの変化量について,性別によるサブグループ解

析の結果を表 4.2: 6 に示す。リナグリプチン 5 mg 群では,男性および女性患者ともに HbA1c

のベースラインからの変化量のプラセボ群との差がみられた。薬剤と性別の交互作用はみられ

なかった(p=0.9712)。

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表 4.2: 6 投与 12 週における HbA1c のベースラインからの変化量(性別による層別解

析)(FAS)

Gender Placebo

Linagliptin 0.5mg

Linagliptin 2.5 mg

Linagliptin 5 mg

Male Number of patients 32 44 26 31

HbA1c [%]

Adjusted Mean (SE) 0.06 (.14) -0.02 (0.12) -0.33 (0.15) -0.36 (0.14)

HbA1c difference to Placebo [%]

Adjusted Mean (SE) -0.08 (0.18) -0.38 (0.20) -0.41 (0.19)

95% CI (-0.43, 0.27) (-0.79, 0.02) (-0.80, -0.03)

p-value 0.6636 0.0622 0.0346

Female Number of patients 31 13 29 23

HbA1c [%]

Adjusted Mean (SE) 0.30 (0.13) 0.27 (0.21) -0.16 (0.14) -0.18 (0.15)

HbA1c difference to Placebo [%]

Adjusted Mean (SE) -0.03 (0.24) -0.47 (0.19) -0.48 (0.20)

95% CI (-0.51, 0.45) (-0.85, -0.09) (-0.88, -0.08)

p-value 0.9015 0.0159 0.0201

ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c をモデルに含む

注:上記結果は,リナグリプチン各用量群,メトホルミン群およびプラセボ群のデータを含む解析に基づく。

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

- 糖尿病治療薬の前治療の有無による層別解析

投与 12 週後における HbA1c のベースラインからの変化量について糖尿病治療薬の有無による

層別解析の結果を表 4.2: 7 に示した。Drug naïve 患者における HbA1c の投与 12 週後におけるベ

ースラインからの低下量は,糖尿病治療薬が投与されていた患者に比較して大きく,リナグリ

プチン 2.5 mg群および 5 mg群はプラセボ群に比較して,調整平均値の変化量でそれぞれ−0.46%

および−0.52%減少した。一方,糖尿病治療薬が投与されていた患者では,リナグリプチンによ

る効果は小さかった,もしくは効果がなかった。

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表 4.2: 7 投与 12 週における HbA1c のベースラインからの変化量(糖尿病治療薬の前

治療の有無による層別解析)(FAS)

Previous Anti-Diabetic Medication Placebo Linagliptin

0.5mg Linagliptin

2.5 mg

Linagliptin

5 mg

No Number of patients 28 22 29 33

HbA1c [%]

Adjusted Mean (SE) -0.09 (0.12) -0.17 (0.14) -0.55 (0.12) -0.61 (0.11)

HbA1c difference to Placebo [%]

Adjusted Mean (SE) -0.08 (0.19) -0.46 (0.17) -0.52 (0.17)

95% CI (-0.45, 0.29) (-0.80, -0.12) (-0.85, -0.19)

p-value 0.6686 0.0087 0.0022

Yes Number of patients 35 35 26 21

HbA1c [%]

Adjusted Mean (SE) 0.40 (0.12) 0.17 (0.12) 0.11 (0.14) 0.24 (0.16)

HbA1c difference to Placebo [%]

Adjusted Mean (SE) -0.22 (0.17) -0.29 (0.19) -0.16 (0.20)

95% CI (-0.57, 0.12) (-0.66, 0.09) (-0.56, 0.25)

p-value 0.2057 0.1341 0.4445

ANCOVA:薬剤と,ベースライン HbA1c をモデルに含む

注:上記結果は,リナグリプチン各用量,メトホルミンおよびプラセボのデータを含む解析に基づく。

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.4.1.1.2: 2 より作成

(b) 副次評価項目

治療目標効果の達成率(HbA1c)

投与 12 週後において,HbA1c が治療目標の 7.0%以下に低下した患者の割合は,リナグリプチ

ン 0.5 mg 群,2.5 mg 群,5 mg 群およびプラセボ群で,それぞれ 10.53%(6/57 例),7.27%(4

/55 例),11.11%(6/54 例)および 6.35%(4/63 例)であった (CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,

Table 15.2.2.2: 2)。また,HbA1c が 6.5%以下に低下した患者の割合は,リナグリプチン 0.5 mg

群,2.5 mg 群,5 mg 群およびプラセボ群で,それぞれ 0%(0/57 例),5.46%(3/55 例),1.85%

(1/54 例)および 1.59%(1/63 例)であった(CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 15.2.2.3: 2)。

FPG の変化

投与 12 週における FPG のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン各群とプラセ

ボ群との比較を表 4.2: 8 に示した。投与 12 週でのベースラインからの FPG の調整平均変化量

のプラセボ群との差は,リナグリプチン 2.5 mg群で−19.4 mg/dL,リナグリプチン 5 mg群で−13.3

mg/dL であり,プラセボ群と比較して統計学的に有意差がみられた(それぞれ p=0.0030,

p=0.0418)。一方,リナグリプチン 0.5 mg 群では,投与 12 週での FPG の調整平均変化量に関し

てプラセボ群と比較して統計学的に有意な差はみられなかった。

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表 4.2: 8 投与 12 週における FPG のベースラインからの変化の比較(FAS)

Placebo

Linagliptin 0.5mg

Linagliptin 2.5 mg

Linagliptin 5 mg

Number of patients 63 57 55 54

FPG [mg / dL]

Adjusted Mean (SE) 4.24 (4.4) 6.69 (4.6) -15.2 (4.7) -9.09 (4.8)

FPG difference to Placebo [mg / dL]

Adjusted Mean (SE) 2.45 (6.4) -19.4 (6.5) -13.3 (6.5)

95% CI ( -10, 15.1) ( -32, -6.6) ( -26, -0.50)

p-value 0.7027 0.0030 0.0418

ANCOVA:薬剤と,ベースライン FPG をモデルに含む

注:上記結果は,リナグリプチン各用量群,メトホルミン群およびプラセボ群のデータを含む解析に基づく。

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.4.1.2: 1 より作成

(c) その他の評価項目

体重

投与 12 週における体重のベースラインからの変化量はいずれの群とも小さく,0~−1 kg の範

囲であった(図 4.2: 3)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

293

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図 4.2: 3 投与 12 週における体重のベースラインからの変化量(FAS)

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Figure 11.4.1.3: 1 より作成

プロインスリン/インスリン比,HOMA-IR および HOMA-IS

投与 12 週におけるプロインスリン/インスリン比の中央値は,各投与群間でほぼ同様であり,

0.10(メトホルミン群)~0.17(リナグリプチン 5m 群およびプラセボ群)であった(CTD 5.3.5.1-2,

試験 1218.5,Table 15.2.3.2: 1)。また,投与 12 週後のプロインスリン/インスリン比のベース

ラインからの変化量は,いずれの投与群でも小さかった。

投与 12 週におけるインスリン抵抗性の HOMA Index の変化量の平均値(CTD 5.3.5.1-2,試験

1218.5,Table 16.1.9.2.6.4.1)はリナグリプチン 0.5 mg 群,2.5mg 群および 5 mg 群で,それぞれ

0.10,−0.55 および−0.54 であった。また,メトホルミン群で−1.34 であったが,プラセボ群では

0.4 と増加した。インスリン分泌の HOMA Index の変化量の平均値(CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,

Table 16.1.9.2.6.4.2)は,リナグリプチン 0.5 mg 群,2.5 mg 群および 5 mg 群で,それぞれ−1.41,

4.51 および 16.6 であり,メトホルミン群では 39.41,プラセボ群では−3.67 であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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(3) 臨床薬理

(a)薬物動態

リナグリプチンの血漿中トラフ濃度の幾何平均値を表 4.2: 9 に示した。いずれのリナグリプチ

ン投与群においても投与 4 週後以降に血漿中リナグリプチン濃度の増加はみられなかった。用

量 0.5~5 mg の間でのトラフ濃度の増加は 2 倍以下であり,これは,リナグリプチンの非線形

な薬物動態特性を反映するものであり,リナグリプチン 5 mg 群の血漿中トラフ濃度の幾何平

均値は 2.5 mg 群と比較して明らかな増加はみられなかった。

表 4.2: 9 リナグリプチンの血漿中トラフ濃度(nmol/L)の幾何平均値

Visit 6

(Week 4)

Visit 7

(Week 8)

Visit 8

(Week 12)

Visit 9

(Week 14)

Linagliptin 0.5 mg N 45 45 45 41

gMean 2.45 2.52 2.52 0.576

Linagliptin 2.5 mg N 49 43 46 44

gMean 4.42 4.36 4.14 0.936

Linagliptin 5 mg N 44 42 46 42

gMean 4.89 5.04 4.33 0.924

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.5.2: 1 より作成

(b) 薬力学

DPP-4 阻害率

投与 12 週後のトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値はリナグリプチン 0.5 mg 群,2.5 mg 群および

5 mg 群で,それぞれ 40.0,75.0 および 82.5%であり,用量とともに阻害率が高くなった(表 4.2:

10)。リナグリプチン 2.5 mg 群の 27.1%,リナグリプチン 5 mg 群の 55.1%の患者でトラフ時に

も 80%を超える DPP-4 阻害率を示したが,プラセボ群およびリナグリプチン 0.5 mg 群ではト

ラフ時に 80%を超える DPP-4 阻害率を示した患者はいなかった(CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,

Table 15.2.3.5.1:2)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.2: 10 投与 12 週後の DPP-4 阻害率

Placebo Linagliptin 0.5 mg Linagliptin 2.5 mg Linagliptin 5 mg

Number of patients 51 46 48 49

N 38 40 41 38

Mean -4.63 % 40.58 % 64.90 % 62.58 %

SD 16.63 17.43 26.03 38.74

Min -77.00 % -5.00 % -19.00 % -55.00 %

Median -1.50 % 40.00 % 75.00 % 82.50 %

Max 25.00 % 77.00 % 91.00 % 90.00 %

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 11.5.3: 1 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

全体では,67%(201/302 例)が治験薬を 12 週間以上投与されており,平均曝露期間は 76 日

間であった。リナグリプチンの平均曝露期間は 0.5 mg 群,2.5 mg 群および 5 mg 群で,それぞ

れ 75,79 および 75 日であった。プラセボ群およびメトホルミン群の平均曝露期間はそれぞれ

69 および 84 日間であった。

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 30 日後までに発現した有害事象を治験期間中に

発現した有害事象として集計した。

有害事象の概要

全体では,44.4%(134/302 例)の患者に 1 件以上の有害事象が報告された。高度の有害事象

は 2.3%(7/302 例)の患者に発現し,治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定さ

れた有害事象は 9.3%(28/302 例)に認められた。治験中止に至った有害事象は 11.9%(36/

302 例)の患者に発現した。その他の重要な有害事象が 11.9%(36/302 例)に認められた。重

篤な有害事象は 5 例(1.7%)にみられたが,試験期間中の死亡例はなかった(表 4.2: 11)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.2: 11 有害事象の概略(Treated Set)

Double-blind Open-label

Placebo N (%)

Linagliptin0.5 mg N (%)

Linagliptin2.5 mg N (%)

Linagliptin 5 mg N (%)

MetforminN (%)

Number of patients 67 (100.0) 58 (100.0) 57 (100.0) 55 (100.0) 65 (100.0)

Patients with any AE 35 ( 52.2) 26 ( 44.8) 22 ( 38.6) 24 ( 43.6) 27 ( 41.5)

Patients with severe AEs 1 ( 1.5) 1 ( 1.7) 2 ( 3.5) 1 ( 1.8) 2 ( 3.1)

Patients with investigator defined drug-related AEs

10 ( 14.9) 5 ( 8.6) 1 ( 1.8) 5 ( 9.1) 7 ( 10.8)

Patients with other significant AEs (according to ICH E3)

14 ( 20.9) 10 ( 17.2) 2 ( 3.5) 5 ( 9.1) 5 ( 7.7)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug

14 ( 20.9) 10 ( 17.2) 3 ( 5.3) 5 ( 9.1) 4 ( 6.2)

Patients with serious AEs 1 ( 1.5) 1 ( 1.7) 2 ( 3.5) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

Patients with AE outcome fatal 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 12.2.2: 1 より作成

高頻度に発現した有害事象

治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で発現頻度 2%以上)を表 4.2: 12 に示した。

有害事象の発現率はリナグリプチン 0.5 mg 群,2.5 mg 群および 5 mg 群で,それぞれ 44.8,38.6

および 43.6%であり,メトホルミン群およびプラセボ群で,それぞれ 41.5 および 52.2%であっ

た。全体で高頻度に発現率した有害事象は,高血糖(6.6%),頭痛(4.0%),鼻咽頭炎(3.6%),

下痢(3.3%)であった。高血糖は,リナグリプチン 0.5 mg 群(12.1%)またはプラセボ群(10.4%)

と比較して,リナグリプチン 2.5 mg 群(3.5%),5 mg 群(1.8%)またはメトホルミン群(4.6%)

で発現頻度が低かった。その他の有害事象に関しては,発現頻度は各投与群で同程度であり,

リナグリプチンの用量との関連はみられなかった。なお,リナグリプチン投与群では,低血糖

症が報告された患者はいなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.2: 12 治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で発現率 2%以上)

(Treated set)

Double-blind Open-label

基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin0.5 mg N (%)

Linagliptin2.5 mg N (%)

Linagliptin 5 mg N (%)

Metformin N (%)

例数 67 (100.0) 58 (100.0) 57 (100.0) 55 (100.0) 65 (100.0)

有害事象発現例数 35 ( 52.2) 26 ( 44.8) 22 ( 38.6) 24 ( 43.6) 27 ( 41.5)

高血糖 (Hyperglycaemia) 7 ( 10.4) 7 ( 12.1) 2 ( 3.5) 1 ( 1.8) 3 ( 4.6)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 5 ( 7.5) 1 ( 1.7) 2 ( 3.5) 1 ( 1.8) 2 ( 3.1)

頭痛 (Headache) 1 ( 1.5) 5 ( 8.6) 1 ( 1.8) 3 ( 5.5) 2 ( 3.1)

下痢 (Diarrhoea) 2 ( 3.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 5 ( 7.7)

インフルエンザ (Influenza) 1 ( 1.5) 1 ( 1.7) 3 ( 5.3) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased)

4 ( 6.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 2 ( 3.1)

尿路感染 (Urinary tract infection) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

関節痛 (Arthralgia) 3 ( 4.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 2 ( 3.1)

上気道感染 (Upper respiratory tract infection)

0 ( 0.0) 3 ( 5.2) 1 ( 1.8) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

高血圧 (Hypertension) 3 ( 4.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

悪心 (Nausea) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 1 ( 1.8) 2 ( 3.6) 1 ( 1.5)

気管支炎 (Bronchitis) 1 ( 1.5) 1 (1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

浮動性めまい (Dizziness) 3 ( 4.5) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

咽喉頭疼痛 (Pharyngolaryngeal pain) 0 ( 0.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 1 ( 1.5)

咳嗽 (Cough) 0 ( 0.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

疲労 (Fatigue) 1 ( 1.5) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

背部痛 (Back pain) 2 ( 3.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

無力症 (Asthenia) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

腹痛 (Abdominal pain) 0 ( 0.0) 2 ( 3.4) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

動悸 (Palpitations) 0 ( 0.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

鼻炎 (Rhinitis) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

末梢性浮腫 (Oedema peripheral) 0 ( 0.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

血中クレアチンホスホキナーゼ増加

(Blood creatine phosphokinase increased) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.1)

リンパ節症 (Lymphadenopathy) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

副鼻腔炎 (Sinusitis) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

霧視(Vision blurred) 0 ( 0.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 12.2.2: 2 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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治験薬と因果関係がある有害事象

治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象の発現率は,リナグリプチ

ン 0.5 mg 群,2.5 mg 群,5 mg 群,プラセボ群およびメトホルミン群で,それぞれ 8.6,1.8,9.1,

14.9 および 10.8%であった(表 4.2: 13)。いずれかの群で 3 例以上に報告された治験薬との因果

関係ありと判定された有害事象は,高血糖および下痢であった。治験薬との因果関係ありと判

定された高血糖は,リナグリプチン 0.5 mg 群で 2 例,2.5 mg 群で 1 例,5 mg 群で 1 例,プラ

セボ群で 5 例およびメトホルミン群で 1 例が報告された。治験薬との因果関係ありと判定され

た下痢は,メトホルミン群の 4 例,プラセボ群の 1 例で報告されたが,リナグリプチン投与群

では報告はなかった。

表 4.2: 13 治験期間中において 2 例以上の患者で報告された治験薬と因果関係のある有

害事象(Treated Set)

Double-blind Open-label

基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin 0.5 mg N (%)

Linagliptin 2.5 mg N (%)

Linagliptin 5 mg N (%)

Metformin N (%)

TOTAL N (%)

例数 67 (100.0) 58 (100.0) 57 (100.0) 55 (100.0) 65 (100.0) 302 (100.0)

有害事象発現例数 35 ( 52.2) 26 ( 44.8) 22 ( 38.6) 24 ( 43.6) 27 ( 41.5) 134 (44.4)

因果関係のある有害事象発現例 10 ( 14.9) 5 ( 8.6) 1 ( 1.8) 5 ( 9.1) 7 ( 10.8) 28 ( 9.3)

高血糖 (Hyperglycaemia) 5 ( 7.5) 2 ( 3.4) 1 ( 1.8) 1 ( 1.8) 1 ( 1.5)b) 10 ( 3.3)

下痢 (Diarrhoea) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 4 ( 6.2) 5 ( 1.7)

頭痛 (Headache) 1 ( 1.5) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 4 ( 1.3)

悪心 (Nausea) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 1 ( 1.5) 3 (1.0)

疲労 (Fatigue) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0) 3 (1.0)

浮動性めまい (Dizziness) 2 ( 3.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 (0.7)

動悸 (Palpitations) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 2 (0.7)

血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased)

2 ( 3.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 (0.7)

血中アミラーゼ増加 (Blood amylase increased)

0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5) 2 (0.7)

リパーゼ増加 (Lipase increased)

0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5) 2 (0.7)

a)MedDRA version

b)Clinical Trial Report,Table 12.2.2: 3 は誤記のため訂正した。

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 12.2.2: 3 より作成

重症度別有害事象

発現した有害事象の多くは,重症度が軽度(21.5%,65/302 例)または中等度(27.5%,83/

302 例)であった。高度の有害事象は 9 例(3.0%)に発現し,うち 7 例(プラセボ群:1 例,

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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リナグリプチン 0.5 mg 群:1 例,2.5 mg 群:2 例,5 mg 群:1 例,メトホルミン群:2 例)は

治験期間中に発現した(表 4.2: 14)。

表 4.2: 14 治験期間中に発現した高度な有害事象(Treated set)

例数 高度の有害事象発現例 高度の有害事象(基本語 a))

Placebo 67 1 (1.5) 血中クレアチンホスホキナーゼ増加 (Blood creatine phosphokinase increased)

Linagliptin 0.5 mg 58 1 (1.7) 疲労 (Fatigue)

Linagliptin 2.5 mg 57 2 (3.5) 腎疝痛 (Renal colic)・急性膵炎 (Pancreatitis acute), 関節捻挫 (Joint sprain)

Linagliptin 5 mg 55 1 (1.8) 歯肉痛 (Gingival pain)・歯痛 (Toothache)

Metformin 65 2 (3.1) 高血糖 (Hyperglycaemia),下痢 (Diarrhoea)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 15.3.1.2: 3 より作成

治験中止に至った有害事象

全体では,治験期間中において 302 例中 36 例(11.9%)に治験中止に至った有害事象がみられ

た(リナグリプチン 0.5 mg 群:10 例,リナグリプチン 2.5 mg 群:3 例,リナグリプチン 5 mg

群:5 例,プラセボ群:14 例,メトホルミン群:4 例)。治験中止に至った有害事象のうち高頻

度に発現したものは,高血糖(6.0%,18/302 例)および血中ブドウ糖増加(2.6%,8/302 例)

であり,投与群別の発現率は,それぞれリナグリプチン 0.5 mg 群で 8.6 および 3.4%,2.5 mg

群で 3.5 および 0%,5 mg 群で 1.8 および 3.6%,プラセボ群で 10.4 および 6.0%,メトホルミン

群で 4.6 および 0%であった(表 4.2: 15)。

その他の治験中止に至った有害事象のうち,2 例以上で発現した事象は,無力症(リナグリプ

チン 5 mg 群 2 例)のみであった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.2: 15 治験中止に至った有害事象(Treated set)

Double-blind Open-label

器官別大分類/基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin0.5 mg N (%)

Linagliptin 2.5 mg N (%)

Linagliptin 5 mg N (%)

MetforminN (%)

例数 67 (100.0) 58 (100.0) 57 (100.0) 55 (100.0) 65 (100.0)

治験中止に至った有害事象発現例 14 ( 20.9) 10 ( 17.2) 3 ( 5.3) 5 ( 9.1) 4 ( 6.2)

心臓障害 (Cardiac disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

動悸 (Palpitations) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

眼障害 (Eye disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

霧視(Vision blurred) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

急性膵炎 (Pancreatitis acute) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

下痢 (Diarrhoea) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

1 ( 1.5) 1 (1.7) 0 ( 0.0) 2( 3.6) 0 ( 0.0)

無力症 (Asthenia) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

口渇 (Thirst) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

胸部不快感 (Chest discomfort) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

疲労 (Fatigue) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

歩行障害 (Gait disturbance) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications)

1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

眼外傷 (Eye injury) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 (0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

皮膚裂傷 (Skin laceration) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 (0.0) 0 ( 0.0) 0 (0.0)

臨床検査 (Investigations) 4 ( 6.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased) 4 ( 6.0) 2 ( 3.4) 0 ( 0.0) 2 ( 3.6) 0 ( 0.0)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 7 (10.4) 6 ( 10.3) 2 ( 3.5) 2 ( 3.6) 3 ( 4.6)

高血糖 (Hyperglycaemia) 7 (10.4) 5 ( 8.6) 2 ( 3.5) 1 ( 1.8) 3 ( 4.6)

糖尿病 (Diabetes mellitus) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

コントロール不良の糖尿病 (Diabetes mellitus inadequate control)

0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

多飲症 (Polydipsia) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

神経障害 (Nervous system disorders) 3 ( 4.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

頭痛 (Headache) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

浮動性めまい (Dizziness) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

嗜眠 (Lethargy) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

末梢性ニューロパチー (Neuropathy peripheral) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders)

0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

そう痒症 (Pruritus) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0)

多汗症 (Hyperhidrosis) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

a)MedDRA version 引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 15. 3.1.2:7 より作成

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(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

試験期間中の死亡はなかった。

重篤な有害事象

重篤な有害事象は治験期間中に計 5 例(リナグリプチン 0.5 mg 群:1 例 1 件[心筋虚血],リ

ナグリプチン 2.5 mg 群:2 例 3 件[注射部位膿瘍,急性膵炎,腎仙痛],プラセボ群:1 例 1 件

[慢性気管支炎],メトホルミン群:1 例 1 件[統合失調感情障害])が報告されたが,リナグ

リプチン 5 mg 群では重篤な有害事象はなかった(表 4.2: 16)。いずれの重篤な有害事象も治験

薬との因果関係は否定された。

表 4.2: 16 重篤な有害事象(Treated Set)

Double-blind Open-label

器官別大分類/基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin0.5 mg N (%)

Linagliptin 2.5 mg N (%)

Linagliptin 5 mg N (%)

Metformin N (%)

例数 67 (100.0) 58 (100.0) 57 (100.0) 55 (100.0) 65 (100.0)

重篤な有害事象発現例 1 ( 1.5) 1 ( 1.7) 2 ( 3.5) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

注射部位膿瘍( Injection site abscess) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

慢性閉塞性気管支炎急性悪化 (Obstructive chronic bronchitis with acute exacerbation)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

精神障害 (Psychiatric disorders) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

統合失調感情障害 (Schizoaffective disorder)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.5)

心臓障害 (Cardiac disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

心筋虚血 (Myocardial ischaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 1.7) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders)

1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

慢性気管支炎 (Bronchitis chronic) 1 ( 1.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

急性膵炎 (Pancreatitis acute) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

腎仙痛 (Renal colic) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.8) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 12. 3: 1 より作成

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(d) 臨床検査値

臨床検査値にリナグリプチンに関連する特定の所見はみられず,臨床検査値の変動にリナグリ

プチンの用量との関連性はみられなかった。また,リナグリプチン群とプラセボ群またはメト

ホルミン群と比較して,臨床検査値異常を示した患者の割合に,明確な差はみられなかった。

治験期間中における臨床的に重要な臨床検査異常の頻度を表 4.2: 17 に示した。

表 4.2: 17 治験期間中における臨床的に重要な臨床検査異常(Treated set)

Double-blind Open-label

Placebo N (%)

Linagliptin 0.5 mg N (%)

Linagliptin 2.5 mg N (%)

Linagliptin 5 mg N (%)

Metformin N (%)

TOTAL N (%)

Haemoglobin decreased 1.8% (1/56) 0% (0/51) 1.9% (1/54) 0% (0/53) 0% (0/62) 0.7% (2/276)

White blood cell count increased 0% (0/56) 0% (0/51) 1.9% (1/54) 0% (0/53) 0% (0/62) 0.4% (1/276)

Eosinophils increased 1.8% (1/56) 2.0% (1/51) 1.9% (1/53) 1.9% (1/53) 0% (0/62) 1.5% (4/275)

Sodium increased 0% (0/56) 0% (0/52) 0% (0/54) 1.9% (1/53) 0% (0/62) 0.4% (1/277)

Potassium increased 1.8% (1/56) 7.7% (4/52) 1.9% (1/53) 0% (0/53) 1.6% (1/62) 2.5% (7/276)

Phosphate increased 0% (0/56) 0% (0/52) 1.9% (1/54) 0% (0/53) 0% (0/62) 0.4% (1/277)

GGT increased 0% (0/56) 0% (0/52) 0% (0/54) 0% (0/53) 1.6% (1/62) 0.4% (1/277)

Creatine kinase increased 1.8% (1/56) 0% (0/52) 0% (0/54) 0% (0/53) 1.6% (1/62) 0.7% (2/277)

Amylase increased 1.8% (1/56) 1.9% (1/52) 1.9% (1/54) 0% (0/53) 1.6% (1/62) 1.4% (4/277)

Cholesterol total increased 3.6% (2/56) 7.7% (4/52) 7.4% (4/54) 5.7% (3/53) 3.2% (2/62) 5.4% (15/277)

Creatinine increased 1.8% (1/56) 0% (0/52) 0% (0/54) 0% (0/53) 0% (0/62) 0.4% (1/277)

Triglyceride increased 7.1% (4/56) 15.4% (8/52) 11.1% (6/54) 7.5% (4/53) 8.1% (5/62) 9.7% (27/277)

Uric acid increased 0% (0/56) 1.9% (1/52) 1.9% (1/54) 3.8% (2/53) 0% (0/62) 1.4% (4/277)

Urine pH increased 1.8% (1/56) 0% (0/52) 0% (0/54) 0% (0/52) 0% (0/61) 0.4% (1/275)

引用元:CTD 5.3.5.1-2,試験 1218.5,Table 12.4: 1 より作成

(e) 血圧,脈拍数および 12 誘導心電図

収縮期血圧,拡張期血圧,脈拍数および 12 誘導心電図にリナグリプチンの用量との関連性はみ

られず,また,リナグリプチン群とプラセボ群またはメトホルミン群の変動を比較して,特に

特定の傾向はみられなかった。

3) 結論

リナグリプチン 0.5 mg 群ではプラセボ群と比較して HbA1c の変化量に有意な差はみられなか

ったが,リナグリプチン 2.5 mg 群および 5 mg 群ではプラセボ群に比較して HbA1c が有意に低

下した。リナグリプチン 5 mg 群ではリナグリプチン 2.5 mg 群より HbA1c の低下および DPP-4

阻害作用が大きく,5 mg がより有効性の高いことが示唆された。リナグリプチンは 3 用量すべ

てで忍容性が良好であり,3 用量間で安全性に大きな違いはみられなかった。リナグリプチン

の安全性プロファイルはプラセボと同様であった。

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4.3 試験 1218.6

(CTD 5.3.5.1-3)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.3: 1 に示した。

表 4.3: 1 試験方法の概略(1/5)

目的 血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象とした,メトホルミンに追加投与した複

数用量(1 mg,5 mg および 10 mg)のリナグリプチンの 12 週間投与における有効性,安

全性および忍容性をのプラセボとの比較検討

グリメピリドの非盲検下投与での分析感度の確認

試験デザイン 後期第 II 相,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,グリメピリド非盲検群,並行群間

比較試験

対象 選択基準

(1) メトホルミン単独,またはメトホルミンと他の経口糖尿病治療薬 1 剤(rosiglitazone,

ピオグリタゾンを除く)との併用による治療を受けている 2 型糖尿病患者(性別は問

わない)で,スクリーニング前 10 週間以上糖尿病の治療法を変更していない患者

(2) 2 型糖尿病の罹病期間が 3 カ月以上と診断された患者

(3) スクリーニング時(Visit 1a)の HbA1c が下記の基準に該当する患者

- メトホルミンと他の経口糖尿病治療薬 1 剤との併用による治療を受けている患者:

HbA1c 7.0~9.5%

- メトホルミン単独による治療を受けている患者:HbA1c 7.5~10.0%

(4) Visit 3(2 週間のプラセボ導入期開始日)の HbA1c が 7.5~10.0%である患者

(5) 年齢が 21~75 歳である患者

(6) BMI が 25~40 kg/m2 である患者

(7) GCP および各地域の要件にしたがって試験登録前に文書による同意が本人から得ら

れた患者

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表 4.3: 1 試験方法の概略(2/5)

対象(続き) 除外基準

(1) 登録前 6 カ月以内に臨床的に問題となる循環器疾患,心筋梗塞,脳卒中,または一過

性脳虚血発作を発現した患者

(2) 血清 ALT(SGPT),AST(SGOT),またはアルカリホスファターゼのいずれかが基準

値上限(ULN)の 3 倍を超える肝機能障害を有する患者

(3) スクリーニング時に血清クレアチニンが基準値上限(ULN)の 3 倍を超える腎機能不

全または腎機能障害を有する患者

(4) 試験参加を妨げる可能性のある中枢神経疾患(例:てんかん),精神障害または多発

ニューロパチーに加えて臨床的に問題となる神経疾患(脳血管疾患を含む)を有する

患者

(5) 慢性感染症または臨床的に問題となる急性感染症(例:HIV,肝炎)を有する患者

(6) 試験参加を妨げる可能性があり臨床的に問題となるアレルギーまたは過敏症の既往

を有する患者(治験薬またはその賦形剤に対するアレルギーを含む)

(7) スクリーニング前 6 カ月以内に rosiglitazone またはピオグリタゾンによる治療を受け

た患者

(8) スクリーニング前 3 カ月以内にインスリンによる治療を受けた患者

(9) 過去 3カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用歴を有

する患者

(10) 治験薬投与前 2 カ月前から治験終了までの期間に治験薬を用いた他の治験へ参加し

た患者

(11) Visit 2,3 または 4 における空腹時血糖が 240 mg/dL(13.3 mmol/L)を超え,かつ別

の日に行われた検査でも同様の結果が確認された患者

(12) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれ

かに該当する患者:

- 授乳中または妊娠中の女性

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

治験薬 被験薬:リナグリプチン 1 mg 錠,5 mg 錠,10 mg 錠(メトホルミンへの追加療法として)

対照薬:リナグリプチン 1 mg 錠,5 mg 錠,10 mg 錠に対応した識別不能なプラセボ錠,

グリメピリド 1 mg 錠,2 mg 錠,3 mg 錠(両剤ともメトホルミンへの追加療法として)

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表 4.3: 1 試験方法の概略(3/5)

症例数 目標症例数:登録例 500 例,割付け例 375 例

登録例:669 例,割付け例 333 例

割付け例 治験薬投与例 解析対象例(主要評価項目)

プラセボ群 71 例 71 例 70 例

リナグリプチン 1 mg 群 65 例 65 例 64 例

リナグリプチン 5 mg 群 66 例 66 例 62 例

リナグリプチン 10 mg 群 66 例 66 例 66 例

グリメピリド群 65 例 65 例 64 例

計 333 例 333 例 326 例

投与方法

導入期

メトホルミンと他の経口糖尿病治療薬 1 剤との併用による治療を受けている患者には最

後の 2 週間をプラセボ導入期とする 6 週間のウォッシュアウトを行い,メトホルミン単

独による治療を受けている患者には導入期として 2 週間のプラセボ投与のみを行った。

投与期

リナグリプチン群およびプラセボ群の患者は治験薬を 1 日 1 回朝食後 30 分以内に 150 mL

の水とともに服用した。グリメピリド群の患者はグリメピリドを,最初の 4 週間は 1 mg

を,Visit 6 以後から投与期間終了までは治験担当医師の判断による投与量を,朝食直前ま

たは朝食後に服用した。また,全期間を通して,3 群ともメトホルミンによる標準的治療

を継続した(ウォッシュアウト期およびプラセボ導入期を含む)。

併用療法 試験期間中は,治験薬以外の経口糖尿病治療薬(メトホルミンを除く)またはインスリ

ンの使用を禁止した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

経口糖尿病治療薬による治療を受けていた患者はプラセボ導入期の前に 4 週間のウォ

ッシュアウト期間を設けた

・投与期間:12 週間

・追跡期間:2 週間

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表 4.3: 1 試験方法の概略(4/5)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

試験期間 スクリー

ニング ウォッシュ

アウト期 プラセボ

導入期 投与期 追跡期

Visit 1 2c) 3 4 5a) 6 7 8d) 9d)

割付けからの日数 −42 −14 0 14 28 56 84 98

既往歴/合併症 X

患者背景 X

身体所見 X X

バイタルサイン X X X X X X X X

身長 X

体重 X X X

ウエスト周囲径 X

臨床検査 X X X X X X

妊娠検査 i) X X X X

12 誘導心電図 X X X

血糖 X Xb) Xb) Xb) Xb) Xb) Xb) Xb) Xb)

HbA1c X X X X X X X X

DPP-4h) X X X X X

プロインスリン+インスリン X X

薬物動態 g) Xe) Xe) Xe) Xe) Xf)

有害事象 X X X X X X X X

併用療法 X X X X X X X X X

a)安全性の確認のための任意の来院

b)空腹時(10 時間絶食,飲水のみ)

c)メトホルミンおよび別の経口糖尿病薬による前治療を受けた患者のみ来院

d)早期中止例では,薬物濃度および薬力学パラメータ(DPP-4 活性)測定用の採血(採

血は 1 回のみ)を除く Visit 8 および Visit 9 のすべての評価を実施。

e)採血は投与 1 時間前,1 時間後(+/−0.5 時間),および 2 時間後(+1 時間)に実施。

f)来院中に採血(採血時間を規定せず)。

g)非盲検のグリメリピド群では薬物濃度測定用の採血は実施せず。採取した血液検体は

すべての投与群でメトホルミンの測定に使用。

h)グリメピリド群では実施せず。

i)女性患者に実施。

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表 4.3: 1 試験方法の概略(5/5)

評価項目

評価基準

有効性

主要評価項目

HbA1c の変化量(投与 12 週後−ベースライン)。

副次評価項目

FPG の変化量(投与 12 週後−ベースライン)

治療目標効果の達成率(投与 12 週後の HbA1c が 7.0%以下に低下した患者)

その他の評価項目

DPP-4 阻害率

プロインスリン/インスリン比

HOMA Index(インスリン抵抗性 HOMA-IR およびインスリン分泌 HOMA-IS)

体重の変化

相対的有効性反応の発現(投与 12 週後の HbA1c が 0.5%以上低下した患者)

安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験薬の投与中止,身体所見,バ

イタルサイン(血圧および脈拍),12 誘導心電図,臨床検査

解析方法 プラセボに対する優越性をリナグリプチンの最大用量から階層型に検定を実施した。薬剤

を固定効果,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析を実施した。副次評価項

目については記述統計的に解析した。

症例数設定の

根拠

HbA1c のベースラインからの変化量のリナグリプチンのプラセボに対する差を 0.5%,標

準偏差を 1.0%として,有意水準 0.025(片側),検出力 85%で,プラセボ群とリナグリプ

チン群の差を検出するための必要な症例数は各群 73 例と設定したが,その後の DPP-4 阻

害剤についての新たな公表データに基づき,HbA1c のベースラインからの変化量の差を

0.7%に修正し,90%の検出力を得るために各群 45 例,計 225 例とした。

治験調整医師

治験実施施設 47 施設(フランス,ドイツ,スロバキア,スウェーデン,ウクライナ,英国)

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

本試験の患者の内訳を図 4.3: 1 に示した。本試験に計 669 例が登録された(データベース固定

2 カ月後に,他の 2 例からも試験参加の同意が得られていたことが判明したが,患者番号が付

与されておらず,データベースに組込まれなかったため,本報告書の成績には含まれなかった。

なお,1 例はスクリーニング前に同意撤回,他の 1 例は「選択基準/除外基準からの逸脱」で

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あった)。669 例中 333 例(49.8%)が 5 投与群にランダム化割付けされ,治験薬が投与された。

336 例は割付けされなかったが,その理由は大部分の患者(87.2%)において「選択基準/除外

基準からの逸脱」であった。

全体で 85.9%(286 例)の患者が治験実施計画書で規定した投与期間を完了し,治験中止例は

47 例であった。多い中止理由は効果不十分(20 例),有害事象(14 例)であった。

登録例 669 例

非割付け例 336 例

ランダム化割付け/投与例 333 例

プラセボ群 リナグリプチン リナグリプチン リナグリプチン グリメピリド群 1 mg 群 5 mg 群 10 mg 群

71 例 (100.0%) 65 例 (100.0%) 66 例 (100.0%) 66 例 (100.0%) 65 例 (100.0%)

中止例:14 例 中止例:13 例 中止例:10 例 中止例:6 例 中止例:4 例 (19.7%) (20.0%) (15.2%) (9.1%) (6.2%)

中止理由 中止理由 中止理由 中止理由 中止理由 ・有害事象 :1 例 ・有害事象 :5 例 ・有害事象 :3 例 ・有害事象 :2 例 ・有害事象 :3 例

効果不十分 :10 例 ・

効果不十分 :4 例 ・

効果不十分

:3 例 ・

効果不十分

:3 例 ・効果不十分 :0 例

・不遵守 :2 例 ・不遵守 :0 例 ・不遵守 :0 例 ・不遵守 :0 例 ・不遵守 :0 例

・追跡不能 :0 例 ・追跡不能 :0 例 ・追跡不能 :2 例 ・追跡不能 :0 例 ・追跡不能 :1 例

・同意撤回 :1 例 ・同意撤回 :4 例 ・同意撤回 :2 例 ・同意撤回 :0 例 ・同意撤回 :0 例

・その他 :0 例 ・その他 :0 例 ・その他 :0 例 ・その他 :1 例 ・その他 :0 例

投与完了例 投与完了例 投与完了例 投与完了例 投与完了例 57 例 (80.3%) 52 例 (80.0%) 56 例 (84.8%) 60 例 (90.9%) 61 例 (93.8%)

図 4.3: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 10.1: 1 より作成

(b) 治験実施計画書からの逸脱

ランダム化割付けされた 333 例中,計 70 例(21.0%)に治験実施計画書からの重大な逸脱が 1

件以上みられた。主な治験実施計画書からの重大な逸脱は,「投与終了後から追跡 visit までの

期間が短かった」(36 例),「主要評価項目の HbA1c の測定時期の逸脱」(13 例),「採血前に治

験薬を服用」(10 例)等であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

309

Page 314: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

(c) 解析対象集団

本試験では,治験薬が投与された患者を Treated Set,ベースラインおよび治験薬投与中に HbA1c

の測定が行われた患者を最大の解析対象集団(FAS)とした。治験実施計画書の規定から有効

性に影響する重大な逸脱がなく,治験薬を 77 日以上投与された患者を実施計画書に合致した解

析集団(PPS)と定義した。

治験薬投与例 333 例中 7 例が治験薬投与後の HbA1c の測定がなかったため,FAS は 326 例とな

った。FAS の 326 例中 274 例が PPS に含まれた(表 4.3: 2)。PPS からの主な除外理由は「治験

薬の投与期間が 77 日未満」(34 例)であった。リナグリプチン 1 mg 群の PPS 54 例中 2 例は中

止例であったが,治験薬の投与期間が 77 日以上(77 日および 84 日)であったため PPS に含ま

れた。

表 4.3: 2 各解析対象集団の例数

Placebo

N (%)

Linagliptin

1 mg

N (%)

Linagliptin

5 mg

N (%)

Linagliptin

10 mg

N (%)

Glimepiride

N (%)

Total

N (%)

Included in the treated set 71 (100.0) 65 (100.0) 66 (100.0) 66 (100.0) 65 (100.0) 333 (100.0)

Included in the full analysis set 70 (98.6) 64 (98.5) 62 (93.9) 66 (100.0) 64 (98.5) 326 (97.9)

Included in the per protocol set 55 (77.5) 54 (83.1) 54 (81.8) 57 (86.4) 54 (83.1) 274 (82.3)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性およびベースライン値

人口統計学的特性

投与群別の人口統計学的特性を表 4.3: 3 に示す。各群の患者の年齢,BMI,体重および身長は

ほぼ類似していた。男性の割合はリナグリプチン 10 mg 群で 53.0%に対してプラセボ群で 62.0%,

グリメピリド群 63.1%と,投与群間にわずかな違いがみられた。人種では 98.5%の患者が白人

であった(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.1.4.1:1)。また,糖尿病の平均罹病期間は,全

体では 7.0 年であり,群別ではプラセボ群が 6.2 年で最も短く,リナグリプチン 10 mg 群が 8.2

年と最も長かった。

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310

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表 4.3: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo

Linagliptin

1 mg

Linagliptin

5 mg

Linagliptin

10 mg Glimepiride

Total

Number of patients 71 65 66 66 65 333

Age, mean [years] (SD) 60.1 (8.1) 59.2 (8.4) 59.6 (9.8) 61.8 (8.8) 59.4 (9.9) 60.0 (9.0)

Age group <65 years N (%) 41 (57.7) 41 (63.1) 45 (68.2) 37 (56.1) 41 (63.1) 205 (61.6)

Male gender, N (%) 44 (62.0) 36 (55.4) 37 (56.1) 35 (53.0) 41 (63.1) 193 (58.0)

Baseline BMI, mean

[kg/m2] (SD) 32.2 (4.2) 32.3 (4.3) 31.7 (4.5) 31.7 (4.5) 31.5 (4.2) 31.9 (4.3)

Baseline BMI, [kg/m2]

<30

30 to 35

≥35

20 ( 28.2)

35 ( 49.3)

16 ( 22.5)

23 ( 35.4)

22 ( 33.8)

20 ( 30.8)

23 ( 34.8)

24 ( 36.4)

19 ( 28.8)

21 ( 31.8)

28 ( 42.4)

17 ( 25.8)

23 ( 35.4)

27 ( 41.5)

15 ( 23.1)

110 ( 33.0)

136 ( 40.8)

87 ( 26.1)

Duration of diabetes, mean

[years] (SD) 6.2 (5.1) 6.9 (5.9) 7.3 (7.5) 8.2 (6.8) 6.7 (5.9) 7.0 (6.3)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.2.1: 1 より作成

合併症および糖尿病合併症

治験薬投与例 333 例中 96.1%の患者が合併症を有していた。主な合併症は器官別大分類で血管

障害(74.5%),代謝および栄養障害(55.0%),筋骨格系および結合組織障害(29.4%),心臓障

害(21.0%)および胃腸障害(20.7%)であった(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.1.4.1:2)。

ベースラインにおける糖尿病関連合併症を表 4.3: 4 に示した。治験薬投与例 333 例中 68.5%の

患者がメタボリック・シンドロームを有していて,その割合はプラセボ群(64.8%)およびグ

リメピリド群(61.5%)に比較して,リナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群(それぞ

れ,67.7,72.7 および 75.8%)がやや高かった。

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311

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表 4.3: 4 ベースラインにおける糖尿病関連合併症(Treated Set)

Placebo

N (%)

Linagliptin

1 mg

N (%)

Linagliptin

5 mg

N (%)

Linagliptin

10 mg

N (%)

Glimepiride

N (%)

Total

N (%)

Number of patients 71 (100.0) 65 (100.0) 66 (100.0) 66 (100.0) 65 (100.0) 333 (100.0)

Patients reported with

Metabolic syndrome 46 (64.8) 44 (67.7) 48 (72.7) 50 (75.8) 40 (61.5) 228 (68.5)

Coronary artery disease 15 (21.1) 12 (18.5) 16 (24.2) 12 (18.2) 11 (6.9) 66 (19.8)

Diabetic neuropathy 7 (9.9) 16 (24.6) 10 (15.2) 15 (22.7) 6 (9.2) 54 (16.2)

Diabetic retinopathy 6 (8.5) 8 (12.3) 6 (9.1) 14 (21.2) 7 (10.8) 41 (12.3)

Diabetic nephropathy 9 (12.7) 4 (6.2) 4 (6.1) 7 (10.6) 3 (4.6) 27 (8.1)

Peripheral artery

occlusive disease 4 (5.6) 3 (4.6) 4 (6.1) 3 (4.5) 5 (7.7) 19 (5.7)

Cerebro-vascular disease 2 (2.8) 3 (4.6) 3 (4.5) 4 (6.1) 3 (4.6) 15 (4.5)

Diabetic foot 1 (1.4) 0 (0.0) 1 (1.5) 2 (3.0) 1 (1.5) 5 (1.5)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.2.2: 1 より作成

ベースライン値

FAS における投与群ごとのベースライン値を表 4.3: 5 に示した。全般的にみて,各投与群のベ

ースライン値は類似していた。各投与群の HbA1c のベースラインの平均値は 8.2~8.5%,空腹

時血糖値のベースラインの平均値は 179.9~189.3 mg/dL であった。なお,グリメピリド群の

HOMA-IS の平均値は 77.0 と他の投与群に比べて高かったが,これはグリメピリド群に極めて

高い値を示した患者(895.53)がいたためであり,中央値は 32 であった(他の投与群:35~46)。

登録時のメトホルミン 1 日用量が 1500 mg 未満の患者の割合は 23.3%であった。

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312

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表 4.3: 5 ベースライン値(FAS)

Placebo

Linagliptin1 mg

Linagliptin5 mg

Linagliptin10 mg

Glimepiride

Total

Baseline HbA1c, mean (SD) [%]

8.4 (0.7)

8.2 (0.7)

8.5 (0.8)

8.4 (0.7)

8.2 (0.7)

8.3 (0.8)

Baseline HbA1c, categorical, N(%) <8% 8 to 9% ≥9%

20 ( 28.6) 35 ( 50.0) 15 ( 21.4)

27 ( 42.2) 26 ( 40.6) 11 ( 17.2)

21 ( 33.9) 26 ( 41.9) 15 ( 24.2)

21 ( 31.8) 31 ( 47.0) 14 ( 21.2)

25 ( 39.1) 28 ( 43.8) 11 ( 17.2)

114 ( 35.0)146 ( 44.8)66 ( 20.2)

Baseline fasting blood plasma glucose, mean (SD) [mg/dL] 185.5 (38.8) 182.3 (42.0) 189.3 (42.4) 188.7 (42.4) 179.9 (40.4) 185.1 (41.0)

Baseline HOMA-IR, mean (SD) 8.1 (12.2) 7.6 (6.3) 7.4 (7.5) 6.8 (4.1) 6.6 (4.1) 7.4 (7.9)

Baseline HOMA-IS, mean (SD) 57.1 (51.6) 56.1 (37.4) 48.6 (46.6) 45.8 (29.4) 77.0 (176.4) 54.2 (65.5)

Baseline plasma proinsulin/insulin ratio, mean (SD) 0.2 (0.1) 0.2 (0.1) 0.2 (0.1) 0.2 (0.1) 0.2 (0.1) 0.2 (0.1)

Dose of metformin at enrolment [mg], categorical, N(%) <1500 mg ≥1500 mg

17 ( 24.3) 53 ( 75.7)

13 ( 20.3) 51 ( 79.7)

11 ( 17.7) 51 ( 82.3)

21 ( 31.8) 45 ( 68.2)

14 ( 21.9) 50 ( 78.1)

76 ( 23.3) 250 ( 76.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.2.3: 1 より作成

メトホルミンに加えて他の糖尿病治療薬 1 剤の投与を受けていた患者の割合は,グリメピリド

群 28.1%およびリナグリプチン 1 mg 群 29.7%に対して,プラセボ群,リナグリプチン 5 mg 群

および 10 mg 群で,それぞれ 32.9,40.3 および 42.4%と高かった(表 4.3: 6)。本試験ではメト

ホルミン単独,またはメトホルミンと他の糖尿病治療薬 1 剤の投与を受けていた患者を対象と

したが,他の 2 剤の糖尿病治療薬の投与を受けていた患者が 2 例あった。

表 4.3: 6 糖尿病前治療薬の数(FAS)

Placebo

Linagliptin1 mg

Linagliptin5 mg

Linagliptin10 mg

Glimepiride

Total

Number of patients 70 64 62 66 64 326

Previous antidiabetic therapies, N(%) Glinides Sulfonylurea Others

6 ( 8.6) 16 (22.9) 2 ( 2.9)

2 ( 3.1) 14 (21.9) 3 ( 4.7)

5 ( 8.1) 19 (30.6) 1 ( 1.6)

2 ( 3.0) 25 (37.9) 2 ( 3.0)

2 ( 3.1) 15 (23.4) 1 ( 1.6)

17 ( 5.2) 89 (27.3) 9 ( 2.8)

Number of antidiabetic therapies at screening, N (%) None One Two

46 (65.7) 23 (32.9) 1 ( 1.4)

45 (70.3) 19 (29.7)

0 (0.0)

37 (59.7) 25 (40.3) 0 ( 0.0)

37 (56.1) 28 (42.4) 1 ( 1.5)

46 (71.9) 18 (28.1) 0 ( 0.0)

211 (64.7) 113 (34.7)

2 ( 0.6)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.2.3: 2 より作成

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(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は,いずれの来院時にも治験薬服薬率が 80~120%に含まれる場合に「良好」と

した。投与期の服薬遵守状況は治験薬投与例 331 例中 314 例(94.9%)が「良好」であった。「不

良」の 17 例の内訳は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群,プラセボ群およびグリメピリド群

が,それぞれ 1,5,5 および 6 例であった。

(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主解析:HbA1c の変化量

投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量を表 4.3: 7 に示した。HbA1c の調

整平均変化量は,リナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群で,それぞれ−0.15%,−0.48

および−0.42%であり,いずれもプラセボ群(0.25%)と有意な差が認められた。プラセボ群と

の調整平均変化量の差は,それぞれ−0.40,−0.73 および−0.67%であった。また,リナグリプチ

ン 1 mg 群の低下はリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群に比較して小さかった。

表 4.3: 7 投与 12 週における HbA1c のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-LOCF)

HbA1c (%) Placebo Linagliptin 1 mg Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

Number of patients 70 64 62 66

Adjusted mean change from

baseline (SE) 0.25 ( 0.10) –0.15 ( 0.10) –0.48 ( 0.11) –0.42 ( 0.10)

Difference to placebo (SE)

95% CI

p-value

–0.40 (0.14)

(–0.68, –0.12)

0.0055

–0.73 (0.14)

(–1.01, –0.44)

<.0001

–0.67 (0.14)

(–0.95, –0.39)

<.0001

ANCOVA:薬剤と,ベースライン HbA1c をモデルに含む

注)上記結果は,リナグリプチン各用量群,グリメピリド群およびプラセボ群のデータを含む解析に基づく。

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

副次解析

• HbA1c のサブグループ解析

投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの変化量のサブグループ解析結果を表 4.3: 8 に示し

た。ベースラインの HbA1c の分類,性別,BMI の分類によるサブグループ解析においては大

きな違いはみられなかった。これに対して,糖尿病の前治療薬(メトホルミンを除く)の有無,

また,程度は小さいが併用していたメトホルミンの用量別で違いがみられた。リナグリプチン

群における「メトホルミン単剤を併用していた患者」では,HbA1c の変化量は−0.33~−0.70%

であったが,「メトホルミン以外の糖尿病の治療薬による治療を受けていた患者」では変化量は

0.31~− 0.19%でわずかであった。また,リナグリプチン群における「併用メトホルミン用量が

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

314

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1500 mg 未満の患者」での HbA1c の低下は「併用メトホルミン用量が 1500 mg 以上の患者」に

比較して大きかったが,薬剤と併用メトホルミン用量との交互作用はみられなかった(p=0.904,

CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.2.1.2.1.3: 6)。

表 4.3: 8 投与 12 週における HbA1c のベースラインからの変化量のサブグループ解析

(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin 1 mg Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

N HbA1c change [%], mean (SD)

N HbA1c change [%], mean (SD)

N HbA1c change [%], mean (SD)

N HbA1c change [%], mean (SD)

All patients 70 0.24 (0.74) 64 –0.14 (0.92) 62 –0.50 (0.81) 66 –0.42 (0.87)

ATSa) No Yes

46 24

0.12 (0.62) 0.48 (0.90)

4519

–0.33 (0.76) 0.31 (1.11)

3725

–0.70 (0.62) –0.19 (0.97)

37 29

–0.64 (0.75) –0.15 (0.94)

HbA1c baseline group <8% 8 to 9% ≥9%

20 35 15

0.07 (0.45) 0.51 (0.62)

–0.17 (1.05)

272611

0.15 (1.04) –0.48 (0.61) –0.05 (1.02)

212615

–0.12 (0.80) –0.58 (0.73) –0.87 (0.80)

21 31 14

–0.39 (0.66) –0.43 (0.72) –0.46 (1.37)

Gender Male Female

43 27

0.31 (0.80) 0.13 (0.64)

3628

–0.26 (0.95) 0.01 (0.87)

3329

–0.42 (0.77) –0.58 (0.86)

35 31

–0.57 (0.81) –0.25 (0.91)

Age group <65 years ≥65 years

40 30

0.28 (0.68) 0.19 (0.82)

4024

–0.12 (0.96) –0.18 (0.86)

4220

–0.49 (0.75) –0.51 (0.95)

37 29

–0.39 (0.89) –0.46 (0.85)

BMI group <30 kg/m2 30 to 35 kg/m2 ≥35 kg/m2

20 34 16

0.15 (0.77) 0.26 (0.72) 0.31 (0.78)

232219

–0.26 (0.78) –0.18 (0.85) 0.04 (1.14)

222317

–0.64 (0.63) –0.30 (0.98) –0.58 (0.75)

21 28 17

–0.36 (0.98) –0.67 (0.85) –0.11 (0.64)

Metformin dose group <1500 mg ≥1500 mg

17 53

0.12 (0.79) 0.28 (0.73)

1351

–0.25 (0.55) –0.11 (0.99)

1151

–0.80 (0.69) –0.43 (0.83)

21 45

–0.49 (0.76) –0.40 (0.92)

a)ATS:メトホルミンを除く糖尿病前治療薬の有無

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

• 糖尿病の前治療薬の有無を主解析のモデルに含めた HbA1c の変化量

糖尿病の前治療薬の有無を主解析のモデルに加えた解析による,投与 12 週後の HbA1c のベー

スラインからの調整平均変化量を表 4.3: 9に示した。主解析結果と同様に,投与 12週後の HbA1c

の調整平均変化量において,すべてのリナグリプチン群はプラセボ群に有意にまさっていた。

なお,糖尿病の前治療薬の有無と投与群の間に交互作用は認められなかった(p=0.86,CTD

5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.2.1.2.1.3: 1)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

315

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表 4.3: 9 投与 12 週における HbA1c のベースラインからの調整平均変化量(糖尿病の

前治療薬の有無をモデルに含む)(FAS-LOCF)

HbA1c (%) Placebo Linagliptin 1 mg Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

Number of patients 70 64 62 66

Adjusted mean change from

baseline (SE) 0.34 ( 0.10) –0.05 ( 0.10) –0.42 ( 0.10) –0.39 ( 0.10)

Difference to placebo (%)

95% CI

p-value

–0.39 ( 0.14)

(–0.66, –0.12)

0.0049

–0.75 ( 0.14)

(–1.02, –0.48)

<.0001

–0.73 ( 0.14)

(–0.99, –0.46)

<.0001

ANCOVA:薬剤と,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の有無をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.4.1.1.2: 2 より作成

BMI によるサブグループ解析を上記のモデルを用いて行った。BMI 35 kg/m2 以上の患者におけ

るプラセボで補正した HbA1c の変化量は,30 kg/m2 未満および 30~35 kg/m2 未満の患者に比較

して小さかった。また,BMI は HbA1c の変化量に有意に影響した(p=0.013,CTD 5.3.5.1-3,

試験 1218.6,Table 15.2.1.2.1.4: 4)。

• HbA1c の推移

HbA1c の調整平均値の推移を図 4.3: 2 に示した。リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群では投

与 4 週以降にプラセボ群と比較して有意な低下がみられた。HbA1c の調整平均値はリナグリプ

チン 5 mg 群では投与 12 週後に最も低下(平均 HbA1c:7.79%)し,リナグリプチン 10 mg 群

では投与 8 週後に最も低下(平均 HbA1c:7.87%)した。リナグリプチン 1 mg 群は,投与 8 週

以降にプラセボ群と比較して有意となり,投与 12 週後に最も低下(平均 HbA1c:8.11%)した。

なお,グリメピリド群では,投与 4 週以降にプラセボ群と比較して HbA1c の有意な低下がみら

れ,投与 12 週後に最大の低下(平均 HbA1c:7.64%)を示した(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,

Table 15.2.1.2.3: 4)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

316

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Placebo BI1356 1mg BI1356 5mg BI1356 10mgTreatment

Adj

uste

d m

ean

HbA

1c (S

E)

7.5

8.0

8.5

9.0

WEEK

0 4 8 12

ANCOVA:薬剤,ベースライン HBA1c,投与時期および薬剤と投与時期の交互作用項をモデルに含む

図 4.3:2 調整平均 HbA1c の推移(FAS-OC)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Figure 11.4.1.1.2: 1 より作成

(b) 副次評価項目

空腹時血糖

リナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群の投与 12 週における空腹時血糖のベースライ

ンからの調整平均変化量のプラセボ群との差は,それぞれ−19.2,−34.7 および−29.0 mg/dL であ

り,いずれも統計学的に有意であった(表 4.3: 10)。

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317

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表 4.3: 10 投与 12 週における空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-LOCF)

Fasting plasma glucose (mg/dL) Placebo Linagliptin 1 mg Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

Number of patients 68 63 62 66

Adjusted mean change from

baseline (SE)

12.7 ( 4.3) –6.5 ( 4.4) –22.0 ( 4.5) –16.3 ( 4.3)

Difference to placebo (SE)

95% CI

p-value

–19.2 (6.1)

(–31.3, –7.1)

0.0020

–34.7 (6.2)

(–46.8, –22.5)

<.0001

–29.0 (6.1)

(–41.0, –17.1)

<.0001

ANCOVA:薬剤とベースライン FPG をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.4.1.2: 1 より作成

なお,グリメピリド群の空腹時血糖のベースラインから投与 12 週の変化量は−25.0 mg/dL であ

った(リナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群は,それぞれ−5.4,−22.8 および−16.9 mg/dL

であった)(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.2.2.1.1: 2)。

治療目標効果の達成率および有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 12 週後における HbA1c の治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率を表 4.3: 11 に示し

た。リナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群において投与 12 週後に HbA1c がベース

ラインから 0.5%以上低下した患者の割合は,それぞれ 43.8,53.2 および 48.5%であり,プラセ

ボ群(12.9%)に比較して高かった。HbA1c が 1%以上低下した患者の割合は,プラセボ群の

7.1%,リナグリプチン 1 mg 群の 14.1%に対して,リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群では,

それぞれ 27.4および 22.7%であった。投与 12週後においてHbA1cが 7.0%以下であった患者は,

プラセボ群では 1 例(1.4%)であったが,リナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群で

は,それぞれ 15.6,14.5 および 21.2%であった。投与 12 週後において HbA1c が 6.5%以下の患

者の割合は,リナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群で,それぞれ 3.1,3.2 および 7.6%

であった。

表 4.3: 11 投与 12 週における HbA1c のカテゴリー別の患者数の割合(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin 1 mg

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Number of patients N (%) 70 (100) 64 (100) 62 (100) 66 (100)

Response criterion HbA1c ≤7% HbA1c ≤6.5%

HbA1c reduction from baseline ≥0.5% HbA1c reduction from baseline ≥1%

1 ( 1.4) 1 ( 1.4)

9 (12.9) 5 ( 7.1)

10 (15.6) 2 ( 3.1)

28 (43.8) 9 (14.1)

9 (14.5) 2 ( 3.2)

33 (53.2) 17 (27.4)

14 (21.2) 5 ( 7.6)

32 (48.5) 15 (22.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.4.1.2: 2 より作成

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(c) その他の評価項目

体重

投与 12 週後の体重はリナグリプチンの各群およびプラセボ群でベースラインから減少した(表

4.3: 12)。これに対してグリメピリド群では体重が増加した。

表 4.3: 12 投与 12 週における体重のベースラインからの変化量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

1 mg

Linagliptin

5 mg

Linagliptin

10 mg

Glimepiride

Baseline

Number of patients 70 64 62 66 64

Body weight (kg), mean (SD) 93.20 (16.93) 92.35 (17.00) 89.89 (13.47) 89.92 (16.27) 90.81 (14.96)

Week 12

Number of patients 63 52 53 55 60

Body weight change from

baseline (kg), mean (SD) –0.84 (2.51) –0.15 (2.26) –0.57 (1.61) –1.27 (2.65) 0.73 (3.20)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.4.1.3: 1 より作成

プロインスリン/インスリン比,HOMA-IR および HOMA-IS(PPS での解析)

プロインスリン/インスリン比,HOMA-IR および HOMA-IS の投与 12 週後のベースラインか

らの変化量を表 4.3: 13 に示した。プロインスリン/インスリン比はいずれの投与群ともベース

ラインから変動はみられなかった。HOMA-IR の平均変化量はリナグリプチン投与群の−0.8~−

1.3 (mU/L)×(mmol/L),グリメピリド群の−1.7 (mU/L)×(mmol/L)に対して,プラセボ群では 0.5

(mU/L)×(mmol/L)であった。HOMA-IS の平均変化量はリナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および

10 mg 群で,それぞれ 3.4,8.1 およびで 7.9 (mU/L)/(mmol/L)であった。これに対してプラセボ

群およびグリメピリド群は,それぞれ−2.5 および−20.1 (mU/L)/(mmol/L)であった。しかし,グ

リメピリド群に極めて高いベースライン値を示した患者がいたことが影響していた。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

319

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表 4.3: 13 投与 12 週におけるプロインスリン/インスリン比,HOMA-IR および

HOMA-IS のベースラインからの変化量(PPS-OC)

Placebo Linagliptin

1mg

Linagliptin

5mg

Linagliptin

10mg

Glimepiride

Proinsulin/insulin ratio

Number of patients 44 43 43 45 18

Mean change from baseline (SD) 0.0 (0.1) –0.0 (0.1) –0.0 (0.1) –0.0 (0.1) –0.0 (0.0)

HOMA-IR (mU/L)×(mmol/L)

Number of patients 43 40 42 44 18

Mean change from baseline (SD) 0.5 (4.1) –0.8 (4.0) –1.3 (5.1) –1.3 (2.5) –1.7 (3.8)

HOMA-IS (mU/L)/(mmol/L)

Number of patients 43 40 42 44 18

Mean change from baseline (SD) –2.5 (31.5) 3.4 (23.5) 8.1 (34.5) 7.9 (19.5) –20.1 (210.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.4.1.3: 2 より作成

(3) 臨床薬理

(a) 薬物動態

リナグリプチンの血漿中トラフ濃度の幾何平均値を表 4.3: 14 に示した。リナグリプチン 1 mg

群,5 mg 群および 10 mg 群における投与 12 週後のリナグリプチンの血漿中トラフ濃度の幾何

平均値は,それぞれ 3.57,5.89 および 8.12 nM であり,これはリナグリプチンの薬物動態が非

線形であるというこれまでの結果と一致していた。投与終了 2 週後(Week 14)では,リナグ

リプチンの血漿中濃度の幾何平均値は 0.68(1 mg 群)~1.24 nM(10 mg 群)に低下した。

表 4.3: 14 リナグリプチンの血漿中トラフ濃度の幾何平均値

Week 4 Week 8 Week 12 Week 14

1 mg N 59 55 61 53

gMean (nM) 3.79 3.66 3.57 0.68

5 mg N 61 57 57 51

gMean (nM) 6.04 5.81 5.89 1.01

10 mg N 63 58 63 58

gMean (nM) 8.61 9.06 8.12 1.24

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.5.2: 1 より作成

(b) 薬力学

投与 12 週におけるトラフ時の DPP-4 阻害率と DPP-4 阻害率が 80%以上であった患者の割合を

表 4.3: 15 に示した。リナグリプチンの投与量の増加に伴い,DPP-4 阻害率は高くなった。投与

12 週においてトラフ時で 80%以上の DPP-4 阻害がリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群で,

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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それぞれ 87 および 93%の患者にみられたが,リナグリプチン 1 mg 群では 8%にみられたのみ

であった。

表 4.3: 15 投与 12 週におけるトラフ時の DPP-4 阻害率と 80%以上の DPP-4 阻害がみ

られた患者の割合(Treated Set-observed case)

Placebo Linagliptin

1 mg

Linagliptin

5 mg

Linagliptin

10 mg

Number of patients 71 65 66 66

Number of patients with DPP-4 data 53 53 54 61

20% percentile of DPP-4 inhibition –15% 47% 80% 87%

Median of DPP-4 inhibition 1% 62% 85% 89%

Frequency of patients with DPP-4 inhibition of ≥80% at trough 0% 8% 87% 93%

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 11.5.3.1: 1 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

ランダム化割付け例の計 333 例中 228 例(85.1%)で治験薬が 10 週間超から 14 週間投与され

た。治験薬の平均曝露期間はリナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で,

それぞれ 79.8,79.4,83.4 および 78.2 日であった(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 12.1: 1)。

非盲検のグリメピリド群に割付けられた 65 例のグリメピリド平均曝露期間は 83.7 日であった

(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 12.1: 2)。

グリメピリドは投与開始から 4 週間は 1 日 1 mg,その後は治験担当医師の判断で 1 日 3 mg ま

で増量可能とした。グリメピリドの 1 日用量が最大 1 mg であった患者は 30 例,2 mg であった

患者は 12 例,3 mg であった患者は 23 例であった。

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 30 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中に発現した有害事象として集計した。

有害事象の概略

治験薬投与例 333 例中 149 例(44.7%)に 1 件以上の有害事象が報告された。高度の有害事象

は 10 例(3.0%)に発現し,治験担当医師により治験薬と因果関係があると判定された有害事

象は 28 例(8.4%)に認められた。治験中止に至った有害事象は 16 例(4.8%)に発現した。重

篤な有害事象は 10 例(3.0%)にみられた。ICH E3 に準ずる他の重要な有害事象は 17 例(5.1%)

にみられた(表 4.3: 16)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.3: 16 有害事象の概略(Treated Set)

Double-blind Open-label

Placebo N (%)

Linagliptin1 mg N (%)

Linagliptin5 mg N (%)

Linagliptin 10 mg N (%)

GlimepirideN (%)

Number of patients 71 (100.0) 65 (100.0) 66 (100.0) 66 (100.0) 65 (100.0)

Patients with any AE 33 ( 46.5) 25 ( 38.5) 32 ( 48.5) 30 ( 45.5) 29 ( 44.6)

Patients with severe AEs 2 ( 2.8) 4 ( 6.2) 1( 1.5) 2 ( 3.0) 1 ( 1.5)

Patients with investigator defined drug-related AEs

4 ( 5.6) 3 ( 4.6) 7 ( 10.6) 6 ( 9.1) 8 ( 12.3)

Patients with other significant AEs (according to ICH E3)

2 ( 2.8) 5 ( 7.7) 3 ( 4.5) 2 ( 3.0) 5 ( 7.7)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug

2 ( 2.8) 6 ( 9.2) 3 ( 4.5) 2 ( 3.0) 3 ( 4.6)

Patients with serious AEs 1 ( 1.4) 3 ( 4.6) 1 ( 1.5) 4 ( 6.1) 1 ( 1.5)

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 12.2.1: 1 より作成

高頻度に発現した有害事象

治験期間中に高頻度に発現した有害事象(いずれかの群で発現頻度 2%超)を表 4.3: 17 に示し

た。有害事象発現率はリナグリプチン 1 mg 群,5 mg 群および 10 mg 群で,それぞれ 38.5,48.5,

45.5%であり,プラセボ群およびグリメピリド群で,それぞれ 46.5,44.6%であった。全体で,

最も高頻度に発現した有害事象は鼻咽頭炎で,計 25 例に発現し,投与群別ではプラセボ群

(9.9%)が最も高頻度に発現した。下痢は計 11 例にみられ,各群で 1~3 例に発現した。悪心

はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で,それぞれ 4 例,3 例および 3 例の計

10 例に認められた。低血糖症はグリメピリド群の 3 例に発現したが,リナグリプチンのいずれ

の群においてもみられなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.3: 17 治験期間中に高頻度に発現した有害事象(いずれかの群で発現頻度 2%超)

(Treated Set)

Double-blind Open-label

器官別大分類/基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin1 mg N (%)

Linagliptin.5 mg N (%)

Linagliptin 10 mg N (%)

GlimepirideN (%)

例数 71 (100.0) 65 (100.0) 66 (100.0) 66 (100.0) 65 (100.0)

有害事象発現例数 33 ( 46.5) 25 ( 38.5) 32 ( 48.5) 30 ( 45.5) 29 ( 44.6)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 7 (9.9) 4 (6.2) 5 (7.6) 5 (7.6) 4 (6.2)

上気道感染 (Upper respiratory tract infection) 3 (4.2) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5)

インフルエンザ (Influenza) 1 (1.4) 0 (0.0) 2 (3.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

尿路感染 (Urinary tract infection) 1 (1.4) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (3.0) 0 (0.0)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders)

下痢 (Diarrhoea) 3 (4.2) 1 (1.5) 2 (3.0) 2 (3.0) 3 (4.6)

悪心 (Nausea) 3 (4.2) 0 (0.0) 4 (6.1) 3 (4.5) 0 (0.0)

便秘 (Constipation) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 2 (3.0) 1 (1.5)

消化不良 (Dyspepsia) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 1 (1.5) 2 (3.1)

臨床検査 (Investigations)

血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased) 2 (2.8) 2 (3.1) 0 (0.0) 1 (1.5) 1 (1.5)

血中トリグリセリド増加 (Blood triglycerides increased) 0 (0.0) 2 (3.1) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders)

関節痛 (Arthralgia) 2 (2.8) 2 (3.1) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0)

筋骨格痛 (Musculoskeletal pain) 1 (1.4) 0 (0.0) 2 (3.0) 1 (1.5) 0 (0.0)

呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders)

咳嗽 (Cough) 0 (0.0) 1 (1.5) 2 (3.0) 1 (1.5) 0 (0.0)

喘息 (Asthma) 0 (0.0) 2 (3.1) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5)

疲労 (Fatigue) 0 (0.0) 1 (1.5) 1 (1.5) 2 (3.0) 0 (0.0)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 3 (4.6)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 12.2.2: 1 より作成

高度な有害事象

発現した有害事象の多くは,軽度または中等度であった。高度の有害事象は 10 例(3.0%)に

発現した。リナグリプチン 1 mg 群の高度の有害事象の発現率(6.2%)は,他の群に比較して

やや高かった(表 4.3: 18)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.3: 18 治験期間中に発現した高度の有害事象(Treated Set)

例数 高度の有害事象 発現例 (%)

高度の有害事象(基本語 a))

Placebo 71 2 (2.8) 側腹部痛 (Flank pain),過敏性腸症候群 (Irritable bowel syndrome)

Linagliptin 1 mg 65 4 (6.2) 腎結石症 (Nephrolithiasis)・尿路閉塞 (Urinary tract obstruction),心筋

梗塞 (Myocardial infarction),腹痛 (Abdominal pain),糖尿病 (Diabetes mellitus)・多渇症 (Polydipsia)

Linagliptin 5 mg 66 1 (1.5) 片頭痛 (Migraine)

Linagliptin 10 mg 66 2 (3.0) 胸痛 (Chest pain),腎腫瘤 (Renal mass)

Glimepiride 65 1 (1.5) 消化不良 (Dyspepsia)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Appendix 16.2, Listing 7.2.3 より作成

治験薬と因果関係がある有害事象

治験期間において発現し,治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象

は,計 28 例に認められた。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびグリペピリド群の治験薬

との因果関係ありと判定された有害事象の発現率は,それぞれ 10.6,9.1 および 12.3%であり,

プラセボ群(5.6%)およびリナグリプチン 1 mg 群(4.6%)に比較して高かった。いずれかの

投与群で 2 例以上発現した治験薬と因果関係がある有害事象を表 4.3: 19 に示した。

表 4.3: 19 治験薬と因果関係のある有害事象(いずれかの群で 2 例以上)(Treated Set)

Double-blind Open-label

基本語 a) Placebo

Linagliptin 1 mg

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Glimepiride

例数 71 (100.0) 65 (100.0) 66 (100.0) 66 (100.0) 65 (100.0)

有害事象発現例数 33 (46.5) 25 (38.5) 32 (48.5) 30 (45.5) 29 (44.6)

治験薬と因果関係のある有害事象発現例 4 (5.6) 3 (4.6) 7 (10.6) 6 (9.1) 8 (12.3)

下痢 (Diarrhoea) 1 (1.4) 0 (0.0) 2 (3.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

悪心 (Nausea) 1 (1.4) 0 (0.0) 2 (3.0) 1 (1.5) 0 (0.0)

消化不良 (Dyspepsia) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 2 (3.1)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 3 (4.6)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Appendix 16.2, Listing 7.2.3 より作成

治験中止に至った有害事象

治験期間中において治験中止に至った有害事象を表 4.3: 20 に示す。有害事象による治験中止例

は計 16 例(リナグリプチン 1 mg 群:6 例,5 mg 群:3 例,10 mg 群:2 例,プラセボ群:2 例,

グリメピリド群:3 例)であった。治験中止に至った有害事象は,血中ブドウ糖増加が計 4 例

(リナグリプチン 1 mg 群:2 例,10 mg 群:1 例,プラセボ群:1 例),悪心が計 2 例(リナグ

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リプチン 5 mg 群:1 例,プラセボ群:1 例),疲労が計 2 例(リナグリプチン 5 mg 群:1 例,

10 mg 群:1 例)および糖尿病が計 2 例(リナグリプチン 1 mg 群:1 例,10 mg 群:1 例)であ

った。他の治験中止に至った有害事象は 1 例のみでの発現であった。治験中止に至った有害事

象の重症度は,リナグリプチン 1 mg 群で発現した糖尿病,心筋梗塞および腹痛が高度であっ

たが,その他の有害事象は軽度ないし中等度であった。これらの有害事象のうち,糖尿病(リ

ナグリプチン 1 mg 群),血中アミラーゼ増加,鼓腸,疲労(いずれもリナグリプチン 5 mg 群),

白血球数減少(グリメピリド群)を除いて,いずれも回復した。

表 4.3: 20 治験中止に至った有害事象(Treated Set)

Double-blind Open-label

器官別大分類/基本語 a) PlaceboN (%)

Linagliptin1 mg N (%)

Linagliptin 5 mg N (%)

Linagliptin 10 mg N (%)

GlimepirideN (%)

例数 71 (100.0) 65 (100.0) 66 (100.0) 66 (100.0) 65 (100.0)

治験中止に至った有害事象発現例 2 ( 2.8) 6 ( 9.2) 3 ( 4.5) 2 ( 3.0) 3 ( 4.6)

免疫系障害 (Immune system disorders) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5)

薬物過敏症 (Drug hypersensitivity) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 0 (0.0) 2 (3.1) 0 (0.0) 1 (1.5) 1 (1.5)

糖尿病 (Diabetes mellitus) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0)

コントロール不良の糖尿病(Diabetes mellitus inadequate control) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5)

心臓障害 (Cardiac disorders) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

心筋梗塞 (Myocardial infarction) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 1 (1.4) 1 (1.5) 2 (3.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

腹痛 (Abdominal pain) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

下痢 (Diarrhoea) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0)

鼓腸 (Flatulence) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0)

悪心 (Nausea) 1 (1.4) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0)

筋肉痛 (Myalgia) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0)

全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 1 (1.5) 0 (0.0)

疲労 (Fatigue) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 1 (1.5) 0 (0.0)

臨床検査 (Investigations) 1 (1.4) 2 (3.1) 1 (1.5) 1 (1.5) 1 (1.5)

血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased) 1 (1.4) 2 (3.1) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0)

血中アミラーゼ増加 (Blood amylase increased) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5) 0 (0.0) 0 (0.0)

白血球数減少 (White blood cell count decreased) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.5)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.3.2: 5 より作成

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死亡およびその他の重篤な有害事象

• 死亡

治験期間中の死亡はなかった。

• 重篤な有害事象

治験薬投与例 333 例中,計 10 例(リナグリプチン 1 mg 群:3 例,5 mg 群:1 例,10 mg 群:4

例,プラセボ群:1 例,グリメピリド群:1 例)に重篤な有害事象が発現した(表 4.3: 21)。リ

ナグリプチン投与群に発現した重篤な有害事象は主に器官別大分類で心臓障害に分類される有

害事象であった。いずれの重篤な有害事象も治験薬との因果関係は否定された。また,リナグ

リプチン 5 mg 群で発現した冠動脈疾患(追跡期で未回復)および 10 mg 群でみられた腎腫瘤

(追跡不能)を除いて,いずれの重篤な有害事象も回復した。

表 4.3: 21 重篤な有害事象(Treated Set)

例数 重篤な有害事象 発現例(%)

重篤な有害事象(基本語 a))

Placebo 71 1 (1.4) 側腹部痛 (Flank pain)

Linagliptin 1 mg 65 3 (4.6) 腎結石症 (Nephrolithiasis)・尿路閉塞 (Urinary tract obstruction), 心筋梗塞 (Myocardial infarction)・冠動脈疾患(Coronary artery disease)

Linagliptin 5 mg 66 1 (1.5) 狭心症 (Angina pectoris)

Linagliptin 10 mg 66 4 (6.1) 甲状腺腫(Goitre),胸痛 (Chest pain), 錯乱状態 (Confusional state)・不全片麻痺 (Hemiparesis),腎腫瘤 (Renal mass),

Glimepiride 65 1 (1.5) 狭心症 (Angina pectoris)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.3.2: 4 より作成

(c) 臨床検査値

治験中止に至った有害事象として臨床検査値変動が 7 例で報告された(血中アミラーゼ増加,

白血球数減少,低血糖症:各 1 例,血中ブドウ糖増加 4 例)(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table

15.3.2: 5)。これらのうち,リナグリプチン 5 mg 群で認められた血中アミラーゼ増加は,血中

アミラーゼが投与 4 週後に基準値上限の 2 倍超を示し,治験薬との関連がある異常値と判定さ

れた。また,グリメピリド群で認められた白血球数減少および低血糖症も治験薬と関連がある

異常値と判定された。4 例で認められた血中ブドウ糖増加は,いずれも治験薬との因果関係が

ないと判定された。臨床検査異常で重篤な有害事象とされたものはなかった。

臨床的に重要な臨床検査値変動(ベーリンガーインゲルハイム社の社内基準に基づく)の発現

は,血糖,トリグリセリド,尿酸,総コレステロールおよびカリウムを除いて少なかった(CTD

5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.4.1: 2)。臨床的に重要な血糖の上昇は計 37 例で認められた。

血糖の上昇はリナグリプチン群またはグリメピリド群に比較して,プラセボ群で多かった(リ

ナグリプチン 1 mg 群:7 例,5 mg 群:3 例,10 mg 群:8 例,プラセボ群:14 例,グリメピリ

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ド群:5 例)。臨床的に重要なトリグリセリドの上昇は計 24 例(リナグリプチン 1 mg 群:4 例,

5 mg 群:7 例,10 mg 群:3 例,プラセボ群:4 例,グリメピリド群:6 例)で認められた。

臨床的に重要な尿酸の上昇は計 13 例(リナグリプチン 1 mg 群:4 例,5 mg 群:4 例,10 mg

群:1 例,プラセボ群:2 例,グリメピリド群:2 例)でみられた。臨床的に重要な総コレステ

ロールの上昇は計 9 例(リナグリプチン 1 mg 群:1 例,5 mg 群:3 例,10 mg 群:2 例,プラ

セボ群:2 例,グリメピリド群:1 例)で認められた。臨床的に重要なカリウムの上昇は計 9

例(リナグリプチン 1 mg 群:3 例,5 mg 群:2 例,10 mg 群:0 例,プラセボ群:1 例,グリ

メピリド群:3 例)で認められた。これらの臨床的に重要な臨床検査変動の頻度は,各群でほ

ぼ同じであった。

尿検査において臨床的に重要な臨床検査変動がみられた患者はいなかった。

(d) 血圧,脈拍数および 12 誘導心電図

血圧および脈拍数の治験薬投与前後の変動で群間に臨床的に問題となる差はみられなかった。

投与 12 週後における収縮期血圧の平均値はいずれの群ともにベースラインからわずかに低下

した(プラセボ群の− 0.64 mmHg およびリナグリプチン 5 mg 群の−4.81 mmHg)。各群における

投与 12 週後の拡張血圧のベースラインからの変動は,−0.21 mmHg(リナグリプチン 5 mg 群)

から−1.44 mmHg(グリメピリド群)の範囲内にあった。投与 12 週後の脈拍数のベースライン

からの変動はわずかで,各群ともに−1.29 拍/分(リナグリプチン 5 mg 群)から+1.75 拍/分(リ

ナグリプチン 1 mg 群)の間であった(CTD 5.3.5.1-3,試験 1218.6,Table 15.3.4: 1)。

12 誘導心電図ではいずれの群とも特に安全性で問題はみられなかった。

3) 結論

本試験において検討したリナグリプチンのすべての用量(1 mg,5 mg および 10 mg)は,プラ

セボと比較して,投与 12 週後の HbA1c および空腹時血糖を有意に低下させた。プラセボで補

正した HbA1c のベースラインからの変化量は,リナグリプチン 1 mg,5 mg および 10 mg で,

それぞれ−0.40,−0.73 および−0.67%であった。リナグリプチン 5 mg および 10 mg 投与後では,

トラフ時に 80%以上の患者で 80%以上の DPP-4 阻害を示した。リナグリプチン 1 mg ではその

患者の割合は 8%であった。

全体的に,2 型糖尿病患者に対するリナグリプチン 1 mg,5 mg および 10 mg 投与(メトホル

ミンに追加投与)の忍容性は良く,安全性に特に問題のないことが確認された。

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4.4 試験 1218.12

(CTD

5.3.5.1-4)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.4: 1 に示した。なお,HbA1c 値は全て NGSP 基準で測定した。

表 4.4: 1 試験方法の概略(1/4)

目的 日本人 2 型糖尿病患者を対象とした BI 1356 BS(リナグリプチン)0.5,2.5,10 mg を 1 日

1 回,28 日間経口投与したときの安全性,忍容性,薬物動態および薬力学の検討

試験デザイン 第 II 相,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,反復投与,並行群間比較試験

対象 選択基準

(1) 食事療法および/または運動療法のみによる治療を受けている,または 1 あるいは 2

剤の経口血糖降下薬(グリタゾン系薬剤以外)による治療を受けている日本人 2 型糖

尿病患者

(2) スクリーニング時の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

・食事療法および/または運動療法のみによる治療を受けているおよび/または 1 剤の経

口血糖降下薬による治療を受けている患者: HbA1c 8.5%以下

・2 剤の経口血糖降下薬による治療を受けている患者: HbA1c 8.0%以下

(3) 年齢が 21~70 歳の患者

(4) BMI が 17.6~35 kg/m2 の患者

医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 9 年 3 月 27 日厚生省令第 28 号)に従

って治験登録前に文書による同意が本人から得られなければならない。

除外基準

(1) 診察(血圧,脈拍数,心電図を含む)により,基準値から逸脱し,臨床的に問題とな

る所見が認められた患者

(2) 腎機能不全,NYHA II~IV の心不全,150/95 mmHg を超える高血圧を含む心血管疾患,

脳卒中および一過性脳虚血発作などの臨床的に問題となる合併症を有する患者

(3) 胃腸障害,肝障害,腎障害,呼吸器系障害,心血管障害,代謝障害,免疫系障害また

は内分泌障害(2 型糖尿病,高脂血症,治療中の高血圧を除く)を有する患者

(4) 多発性ニューロパチーに加えて,中枢神経系疾患(てんかんなど),精神障害または重

大な神経系障害を合併している患者

(5) 慢性感染症または臨床的に問題となる急性感染症(HIV,肝炎など)を有する患者

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表 4.4: 1 試験方法の概略(2/4)

対象(続き) (6) 臨床的に問題となるアレルギーまたは過敏症の既往を有する患者(薬物またはその賦

形剤に対するアレルギーを含む)

(7) 高血圧治療薬,アセチルサリチル酸およびスタチン系薬剤以外の半減期の長い(24 時

間超)薬剤を,治験薬投与前 1 カ月以内またはその薬剤の半減期の 10 倍未満の期間中

に服用した患者

(8) 血糖降下作用のある薬剤を治験薬投与前 10 日以内に服用した患者

(9) 治験薬投与前 2 カ月以内に他の治験に参加した患者

(10) アルコール乱用者

(11) 薬物乱用者

(12) 治験薬投与前 4 週間以内に 100 mL 以上の献血を行った患者

(13) 過激な運動(治験薬投与開始前 1 週間以内または治験期間中)を行った患者

(14) 臨床検査で臨床的に問題となる基準値外の値,または肝酵素(AST,ALT,γALP,LDH

など)などに基準値上限の 3 倍を超える値が認められた患者

(15) ウォッシュアウト期に 2 日間連続で 240 mg/dL(13.3 mmol/L)を超える空腹時血糖が

認められた患者

(16) スクリーニング時に 1.3 mg/dL を超える血清クレアチニンが認められた患者

(17) 妊娠中,授乳中または妊娠の可能性がある患者

(18) 治験薬の初回投与から最終投与 1 カ月後までの間,適切な避妊法を用いる意志のない

患者。

治験薬 被験薬:リナグリプチン 0.5 mg,2.5 mg,10 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 0.5 mg,2.5 mg,10 mg 錠に対応するプラセボ錠

症例数 目標症例数:割付け例 60 例(各群 15 例)

登録例 98 例

割付け例 治験薬投与例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン 0.5 mg 群 19 例 19 例 19 例

リナグリプチン 2.5 mg 群 18 例 18 例 18 例

リナグリプチン 10 mg 群 18 例 18 例 18 例

プラセボ群 18 例 17 例 17 例

計 73 例 72 例 72 例

投与方法

リナグリプチン 0.5,2.5,10 mg 錠,またはそれぞれに対応する識別不能なプラセボ錠を 1

日 1 回,28 日間,一晩の絶食後,午前 8 時前後に水とともに服用した。入院期間中は服用

後 1 時間を絶食とした。また入院期間中は,服用前後 1 時間は水の摂取を控え,その後は

自由に摂取してよいものとした。

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表 4.4: 1 試験方法の概略(3/4)

併用療法 本試験に参加する 2 型糖尿病患者の併用薬は,高血圧治療薬,アセチルサリチル酸,およ

びスタチン系薬剤に制限された。治験薬の初回投与の 14 日前には,それぞれの糖尿病治

療薬を中止し,治験終了時検査が実施されるまで再開しないものとした。

投与期間 ウォッシュアウト期間:14 日間

投与期間:28 日間

追跡期間:15~22 日間

観察項目

観察時期

下記のスケジュールで,一部の入院期間を含む外来ベースで実施した。

PK=薬物濃度測定用単回採血 PKp=薬物濃度測定用頻回採血 PD=薬力学的パラメータ(DPP-4 活性, 血糖)測定用単回採血 PDp=薬力学的パラメータ(DPP-4 活性, 血糖)測定用頻回採血 MTT=食事負荷試験,および 7 点グルコース測定 BM=バイオマーカー OP=来院しない日 A=来院日 a) Day 27 の治験薬服用後から入院

治験期間はスクリーニング期,ウォッシュアウト期(14 日間),投与期および後観察期か

らなる。投与期における薬物濃度および薬力学マーカー(DPP-4 活性)測定用に以下の時

間に採血した。薬物濃度測定用蓄尿は治験薬初回投与前,Day 1 および 28 の投与後 0~4,

4~8,8~12,12~24 時間に行った。

Day 採血時間

Day 1 投与 0.5 時間前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,12 時間

Day 2,14 投与 0.5 時間前

Day�28 投与 6,0.5 時間前,投与後 0.5,1,1.5,2,3,4,6,8,12 時間

Day 29~43 Day 28 投与後 24,48,120,168,240,312,360 時間

Visit 2 Visit 3 Visit 4

経過日(日)

−14 - −2 −1 1 2 14 28 29 30 33, 35±1,

38±1, 41±1 43

ウォッシュアウト期 投与期 後観察期

PKp PK PK PKp PK PK PK PK

PD PDp PD PD PDp PD PD PD PD

MTT MTT MTT

BM BM BM BM BM

OP 入院 A 入院 a) A A

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表 4.4: 1 試験方法の概略(4/4)

観察項目

観察時期

(続き)

なお,投与期(入院中)では 2 型糖尿病患者にとって適切な食事を提供し,水は投与前後

1 時間を除き適宜摂取させた。Day -1,1,29 の朝食は食事負荷試験(MTT)のための標準

食を提供した。

また,その他の主な観察項目としては,身体所見の観察(体重測定を含む),血圧,脈拍数,

12 誘導心電図の測定,臨床検査(尿検査を含む),有害事象の観察および忍容性の評価を

行った。

評価項目

評価基準

主要評価項目

本試験では統計学的な主要評価項目は設定せず,安全性と忍容性を次の項目の記述統計

量を算出して評価:

・治験担当医師判定による忍容性

・有害事象

・バイタルサイン(血圧,脈拍数)

・臨床検査(血液検査,臨床化学検査,尿検査)

副次評価項目

薬物動態パラメータ:

初回投与後:Cmax,1,tmax,1,AUCτ,1,Aet1-t2,1,fet1-t2,1,CLR,0-24,1

最終投与後:Cmax,ss,Cmin,ss,Cavg,tmax,ss,AUCτ,ss,t1/2,ss,λz,ss,MRTpo,ss,CL/Fss,Vz/Fss,

Aet1-t2,ss,fet1-t2,ss,CLR,ss,Cpre,N,Cpre,ss

蓄積係数:Cmax に基づく RA,Cmax,AUCτに基づく RA,AUC

薬力学的パラメータ:

DPP-4 阻害率:Emax,1,E24,1,Emax,ss,E24,28

バイオマーカー:血漿中グルコース,フルクトサミン,GLP-1,HbA1c

解析方法 安全性,薬物動態および薬力学の各評価項目について記述統計量を算出した。

回帰モデルを用いてリナグリプチンの用量比例性を探索した。

MTT により得られたデータについて,患者を変量効果,用量を固定効果とする線形混合モ

デルを用いて比較した。

症例数設定の

根拠

症例数は検出力に基づいた算出でなく,ドイツで実施した反復投与試験(試験 1218.3)の

症例数に基づいて決定した。本試験では 72 例が治験薬の投与を受けたが,反復投与の安全

性および薬物動態の探索的評価に十分な症例数と考えた。

治験調整医師

治験実施施設 5 施設

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

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2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

患者の内訳を図 4.4: 1 に示した。本試験に計 98 例が登録されたが,そのうち 25 例は割付けら

れなかった。割付けられた 73 例のうち,1 例は治験薬投与前に同意を撤回し,72 例に治験薬が

投与された。投与期(Day 1~28)にリナグリプチン 0.5 mg 群の 1 例が治験薬紛失のため,2.5 mg

群の 1 例が同意撤回のため治験を中止した。後観察期(Day 29~43)にプラセボ群の 1 例が,

治験実施計画書で規定した中止基準である 240 mg/dL を超える空腹時血糖が 2 日間連続で認め

られたため,試験を中止した。有害事象による治験中止はなかった。合計 69 例(95.8%)が試

験を完了した。 登録例 98 例 非割付け例 25 例 ランダム化割付け例 73 例 非投与例 1 例

プラセボ群 リナグリプチン リナグリプチン リナグリプチン 0.5 mg 群 2.5 mg 群 10 mg 群

17 例(100.0%) 19 例(100.0%) 18 例(100.0%) 18 例(100.0%)

中止例:0 例 中止例:1 例 中止例:1 例 中止例:0 例 (0.0%) (5.3%) (5.6%) (0.0%)

中止理由 中止理由 中止理由 中止理由 ・同意撤回 : 0 例 ・同意撤回 : 0 例 ・同意撤回 : 1 例 ・同意撤回 :0 例

・その他 : 0 例 ・その他 : 1 例 ・その他 : 0 例 ・その他 :0 例

投与完了例 投与完了例 投与完了例 投与完了例

17 例(100.0%) 18 例(94.7%) 17 例(94.4%) 18 例(100.0%)

中止例:1 例 中止例:0 例 中止例:0 例 中止例:0 例 (5.9%) (0.0%) (0.0%) (0.0%)

中止理由 中止理由 中止理由 中止理由 ・同意撤回 : 0 例 ・同意撤回 : 0 例 ・同意撤回 : 0 例 ・同意撤回 : 0 例 ・その他 : 1 例 ・その他 : 0 例 ・その他 : 0 例 ・その他 : 0 例

後観察完了例 後観察完了例 後観察完了例 後観察完了例 16 例 (94.1%) 18 例 (94.7%) 17 例 (94.4%) 18 例 (100.0%)

図 4.4: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.1.1: 1 より作成

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(b) 治験実施計画書からの逸脱

治験薬投与例 72 例中 30 例(41.7%)に治験実施計画書からの重大な逸脱がみられた。その内

容は Day 14 の医療機関に来院前に治験薬を服用(5 例,6.9%),採血時間のずれ(30 例,

41.7%)であった(CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.1.2: 1)。

(c) 解析対象集団

本試験における解析対象集団は Treated Set,PD Set および PK Set の 3 種類であった。いずれの

解析対象集団とも,治験薬が投与された計 72 例(プラセボ群:17 例,リナグリプチン 0.5 mg

群:19例,リナグリプチン 5 mg群:18例, リナグリプチン 10mg群:18例)であった(CTD 5.3.5.1-4,

試験 1218.12,Table 15.1.3: 1)。

(d) 人口統計学的特性およびベースライン値

人口統計学的特性

人口統計学的特性は各群で類似していた(表 4.4: 2)。女性は各群ともに 4~5 例であり,年齢

および身長は各群で類似していた。体重および BMI はリナグリプチン 2.5 mg 群およびプラセ

ボ群でわずかに大きかった。BMI の平均値は,プラセボ群で 24.9 kg/m2,リナグリプチン 0.5 mg

群で 22.8 kg/m2,2.5 mg 群で 26.0 kg/m2,10 mg 群で 23.8 kg/m2 であり,BMI が 25 kg/m2 以上で

あった患者はプラセボ群で 7 例(41.2%),リナグリプチン 0.5 mg 群で 4 例(21.1%),2.5 mg

群で 12 例(66.7%),10 mg 群で 5 例(27.8%)であった。

表 4.4: 2 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo

Linagiliptin

0.5 mg 2.5 mg 10 mg

Number of Patients 17 19 18 18

Gender [N (%)]

Male 13 ( 76.5) 15 ( 78.9) 14 ( 77.8) 13 ( 72.2)

Female 4 ( 23.5) 4 ( 21.1) 4 ( 22.2) 5 ( 27.8)

Age [years] Mean (SD) 59.7 ( 6.4) 60.8 ( 9.2) 60.2 ( 6.4) 59.1 ( 8.6)

Range 47 - 67 29 - 69 42 - 68 40 - 69

Height [cm] Mean (SD) 164.0 ( 8.8) 167.9 ( 7.5) 163.7 ( 5.2) 163.2 ( 6.5)

Range 148 - 179 153 - 182 152 - 171 154 - 177

Weight [kg] Mean (SD) 67.2 ( 10.0) 64.5 ( 9.0) 69.6 ( 9.4) 63.5 ( 12.2)

Range 50.2 - 83.0 48.3 - 75.4 45.5 - 82.1 47.4 - 89.4

BMI [kg/m2] Mean (SD) 24.9 ( 3.0) 22.8 ( 2.1) 26.0 ( 3.2) 23.8 ( 4.5)

Range 20.8 - 31.4 18.4 - 26.5 19.7 - 33.3 18.4 - 34.4

<25 kg/m2 10 ( 58.8) 15 ( 78.9) 6 ( 33.3) 13 ( 72.2)

>=25 kg/m2 7 ( 41.2) 4 ( 21.1) 12 ( 66.7) 5 ( 27.8)

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.2.1: 1 より作成

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ベースライン値

ベースライン値を表 4.4: 3 に示した。2 型糖尿病の診断から同意取得までの期間は,リナグリ

プチン 10 mg 群で平均 2.63 年であり,他の群に比較して短かった。登録時に糖尿病の治療薬の

投与を受けていた患者の割合は,リナグリプチン 2.5 mg 群が他の群に比較して高かった。GLP-1

の平均値はリナグリプチン 0.5 mg 群が他の群よりやや高かったが,グルカゴン,フルクトサミ

ンおよび HbA1c の平均値は各群ともほぼ同じであった。

表 4.4: 3 ベースライン値(Treated Set)

Placebo Linagliptin

0.5 mg 2.5 mg 10 mg

Number of Patients 17 19 18 18

History of type 2 diabetes mellitus

Duration of type 2 diabetes mellitus [years]

Mean (SD) 5.13 (4.20) 5.18 (4.73) 5.90 (4.77) 2.63 (2.34)

Range 0.0 - 17.6 0.0 - 15.7 0.0 - 19.6 0.0 - 8.6

Number of antidiabetic medications taken [n (%)]

0 11 (64.7) 16 (84.2) 10 (55.6) 14 (77.8)

1 4 (23.5) 3 (15.8) 7 (38.9) 4 (22.2)

2 2 (11.8) 0 ( 0.0) 1 ( 5.6) 0 ( 0.0)

Baseline values for GLP-1, glucagon, fructosamine, and HbA1c

GLP-1 [pmol/L] Mean (SD) 1.7 ( 1.1) 3.7 ( 7.2) 2.7 ( 3.4) 2.2 ( 2.2)

Range 1.0 - 4.5 1.0 - 31.6 1.0 - 13.2 1.0 - 8.1

Glucagon [pg/mL] Mean (SD) 63.2 (25.2) 53.2 (14.4) 65.9 (19.0) 65.9 (19.8)

Range 33.3 - 121.3 27.4 - 77.9 36.6 - 93.3 35.9 - 103.5

Fructosamine [µmol/L] Mean (SD) 247.1 (75.7) 259.6 (122.6) 239.0 (78.5) 228.5 (94.4)

Range 142.0 - 392.0 98.0 - 604.0 127.0 - 420.0 58.0 - 459.0

HbA1c [%] Mean (SD) 7.0 ( 0.5) 6.9 (0.9) 7.1 (0.5) 7.2 (0.9)

Range 5.9 - 7.8 5.4 - 9.5 6.3 - 7.6 5.7 - 8.6

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.2.2: 1 より作成

(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は良好で,投与期全体で服薬率が 80%未満の患者はいなかった。

(2) 有効性

(a) 薬力学

DPP-4 阻害率

リナグリプチン反復投与時の DPP-4 阻害率の推移を図 4.4: 2 に,最大 DPP-4 阻害率(ベースラ

インに対する%)および Day 1 の単回投与 24 時間後と Day 28 の反復投与 24 時間後の DPP-4 阻

害率の記述統計量の要約を表 4.4: 4 に示した。

リナグリプチンを反復投与したとき,Day 1 および 28 の DPP-4 阻害率は用量依存的に増加した。

定常状態時の最大 DPP-4 阻害率(Emax,ss)の中央値はリナグリプチン 0.5 mg 群,2.5 mg 群およ

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び 10 mg でそれぞれ,68.5%,91.0%および 93.0%であった。最高用量であるリナグリプチン 10

mg 群では,初回投与 24 時間後の DPP-4 阻害率は 89.5%であった。最終投与 24 時間後の DPP-4

阻害率は,リナグリプチン 0.5 mg 群,2.5 mg 群および 10 mg 群でそれぞれ,47.0%,80.0%お

よび 90.0%であった。最終投与 24 時間後の DPP-4 阻害率が 80%以上であった患者は,リナグ

リプチン 0.5 mg 群で 0/17 例,2.5 mg 群で 9/17 例(53%),10 mg 群で 18/18 例(100%)で

あった。

表 4.4: 4 最大 DPP-4 阻害率(ベースラインに対する%)および Day 1 と Day 28 の反

復投与 24 時間後の DPP-4 阻害率(中央値[最小値~最大値])

N Emax,1 [%]

(min - max)

E24,1 [%]

(min - max)

N Emax,ss [%]

(min - max)

E24,28 [%]

(min - max)

Placebo 17

10.0

(1.00 - 14.0)

5.00

(-9.00 - 13.0) 17

10.0

(2.00 - 18.0)

2.00

(-16.0 - 14.0)

Linagliptin 0.5 mg 19

36.0

(17.0 - 79.0)

12.0

(-14.0 - 25.0) 18

68.5

(45.0 - 88.0)

47.0a)

(18.0 - 68.0)

Linagliptin 2.5 mg 18

88.0

(65.0 - 93.0)

68.5

(42.0 - 77.0) 17

91.0

(80.0 - 93.0)

80.0

(67.0 - 85.0)

Linagliptin 10 mg 18

92.5

(90.0 - 94.0)

89.5

(85.0 - 91.0) 18

93.0

(91.0 - 95.0)

90.0

(86.0 - 92.0)

a)N=17

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.7.5.4: 5-8 より作成

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0.5mg (N=19) 2.5mg (N=18) 10mg (N=18) Placebo (N=17)

Day 1

0 4 8 12 16 20 24

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

0

20

40

60

80

100

Day 28

Time [h]

648 652 656 660 664 668 672

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

0

20

40

60

80

100

0 4 8 12 16 20 24648 720 792 864 936 1008

DP

P-4

inhi

bitio

n [%

]

0

20

40

60

80

100

上図:Day 1,中図:Day 28,下図:Day 1~43

図 4.4: 2 28 日間のリナグリプチンまたはプラセボ反復投与における平均(± SD)

DPP-4 阻害率(ベースラインに対する%)の推移

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.7.1: 9-12 より作成

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空腹時血糖

リナグリプチンの投与により,空腹時血糖は用量依存的に低下し,投与期間(28 日間投与)が

長くなるとともにより低下した(表 4.4: 5)。

表 4.4: 5 空腹時血糖(mg/dL)のベースラインからの変化量(PD Set)

Placebo Linagliptin 0.5 mg Linagliptin 2.5 mg Linagliptin 10 mg

N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD)

Baseline (Day 1) 17 155.5 ( 21.3) 19 147.9 ( 25.4) 18 154.7 ( 25.1) 18 158.4 ( 28.6)

Day 2 17 −3.8 ( 7.7) 19 −2.8 ( 8.3) 18 −1.0 ( 9.7) 18 −5.9 ( 13.1)

Day 14 16 0.3 ( 27.0) 16 −3.8 ( 10.8) 17 −12.1 ( 15.3) 17 −22.8 ( 15.9)

Day 28 16 1.4 ( 26.3) 17 −12.8 ( 24.1) 17 −6.6 ( 21.8) 18 −18.9 ( 12.7)

Day 29 15 −3.2 ( 22.5) 15 −11.5 ( 8.3) 15 −13.6 ( 15.2) 16 −25.0 ( 12.3)

Day 30 16 0.9 ( 15.8) 17 −12.9 ( 12.8) 17 −13.4 ( 17.4) 18 −18.4 ( 16.4)

Day 33 16 0.3 ( 22.1) 17 −18.6 ( 20.1) 17 −9.6 ( 19.9) 18 −22.2 ( 19.0)

Day 35 16 −1.7 ( 29.0) 17 −15.0 ( 15.4) 17 −9.5 ( 17.3) 18 −23.9 ( 20.1)

Day 38 16 4.1 ( 27.5) 17 −12.6 ( 19.9) 17 −7.9 ( 22.0) 18 −13.4 ( 19.9)

Day 41 15 −4.9 ( 15.7) 17 −17.7 ( 17.1) 17 −4.2 ( 20.8) 18 −17.9 ( 18.0)

Day 43 15 −7.2 ( 14.5) 17 −16.3 ( 16.0) 17 −0.1 ( 22.4) 18 −19.5 ( 21.9)

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.4.1.2: 2 より作成

Day 14,Day 29(反復投与 24 時間後)および Day 43(最終投与 15 日後)における空腹時血糖

のプラセボ群とリナグリプチン各群を比較した ANCOVA 結果を表 4.4: 6 に示した。Day 14 で

は空腹時血糖のベースラインからの変化量においてリナグリプチン 2.5 mg 群および 10 mg 群と

プラセボ群の間に統計学的に有意な差が,また Day 29 ではリナグリプチン各群とプラセボ群の

間に統計学的に有意な差が認められた。Day 43 ではリナグリプチン各群とプラセボ群の間に有

意な差はみられなかった。

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表 4.4: 6 空腹時血糖のプラセボとリナグリプチンの ANCOVA による比較(PD Set)

Treatment group

Treatment group

Mean SE p-value 95% CI

Lower bound Upper bound

Day 14 Placebo Linagliptin 0.5 mg 6.68 6.23 0.2881 −5.78 19.14

Placebo Linagliptin 2.5 mg 12.34 6.06 0.0462 0.22 24.46

Placebo Linagliptin 10 mg 22.40 6.07 0.0005 10.26 34.54

Day 29 Placebo Linagliptin 0.5 mg 12.50 5.18 0.0191 2.13 22.88

Placebo Linagliptin 2.5 mg 10.23 5.06 0.0479 0.10 20.37

Placebo Linagliptin 10 mg 20.70 4.99 0.0001 10.71 30.70

Day 43 Placebo Linagliptin 0.5 mg 12.20 6.36 0.0597 −0.52 24.91

Placebo Linagliptin 2.5 mg −6.85 6.29 0.2807 −19.43 5.73

Placebo Linagliptin 10 mg 11.46 6.22 0.0699 −0.96 23.89

引用元:CTD 5.3.5.1-4, 試験 1218.12,Table 11.4.1.2: 3 より作成

7 点グルコース測定

7 点グルコース測定は各測定日の 7 点(食事負荷試験(MTT)用の標準食摂取前および 1 時間

後,昼食前および 1 時間後,夕食前および 1 時間後,ならびに就寝前)の血糖の AUC から算

出した。7 点グルコース測定のベースラインからの変化量を表 4.4: 7 に示した。ベースライン

からの変化量において,Day 1 ではリナグリプチン各群とプラセボ群との間に統計学的に有意

な差はみられなかったが,Day 29 ではリナグリプチン 2.5 mg 群および 10 mg 群とプラセボ群の

間に有意な差が認められた(それぞれ,p=0.0078 および p=0.0071)(CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,

Table 11.4.1.2: 5)。

表 4.4: 7 7 点グルコース(mg・h/dL)のベースラインからの変化量(PD Set)

Placebo Linagliptin 0.5 mg Linagliptin 2.5 mg Linagliptin 10 mg

N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD)

Baseline (Day -1) 11 4159.3 ( 468.6) 10 3735.7 ( 530.0) 10 4456.1 ( 879.4) 11 4080.6 ( 681.8)

Day 1 11 −82.3 ( 320.8) 10 −160.0 ( 268.9) 10 −291.9 ( 279.8) 11 −256.8 ( 183.6)

Day 29 11 12.9 ( 358.9) 10 −158.8 ( 283.0) 10 −477.1 ( 409.3) 11 −418.3 ( 401.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.4.1.2: 4 より作成

食事負荷試験(MTT)

ベースライン,Day 1 および Day 29 に実施した MTT における 3 時間後までの血漿中グルコー

ス濃度の AUEC0-3 および投与前値で標準化した AUEC0-3,norm のベースラインからの変化量を表

4.4: 8 に示した。リナグリプチン群の AUEC0-3 および AUEC0-3,norm は用量依存的に減少し,Day 1

および Day 29 において AUEC0-3,norm の変化量でリナグリプチン 10 mg 群とプラセボ群間に有意

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な差が認められた(それぞれ,p=0.0210 および p=0.0038)(CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table

11.4.1.2: 7)。

表 4.4: 8 AUEC0-3(mg·h/dL)のベースラインからの変化量(PD Set)

Placebo Linagliptin 0.5 mg Linagliptin 2.5 mg Linagliptin 10 mg

N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD)

Absolute effect

Baseline (Day -1) 11 529.4 ( 64.2) 10 452.1 ( 60.8) 10 532.5 ( 111.2) 11 517.5 ( 106.7)

Day 1 11 9.6 ( 40.6) 10 −4.7 ( 18.6) 10 −20.3 ( 19.5) 11 −22.3 ( 42.4)

Day 29 11 −10.8 ( 31.2) 10 −35.1 ( 32.4) 10 −59.6 ( 68.8) 11 −83.3 ( 58.5)

Predose adjusted

Baseline (Day -1) 11 83.8 ( 33.0) 10 57.0 ( 39.8) 10 86.7 ( 39.1) 11 83.3 ( 35.9)

Day 1 11 −2.6 ( 35.4) 10 −4.7 ( 22.8) 10 −15.2 ( 24.4) 11 −29.4 ( 29.8)

Day 29 11 −2.6 ( 27.0) 10 −16.8 ( 18.9) 10 −17.6 ( 36.0) 11 −37.8 ( 28.9)

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.4.1.2: 6 より作成

HbA1c

本試験の投与期間は 4 週間と短かったものの,リナグリプチン群の HbA1c は Day 29 および Day

43(最終投与 14 日後)において低下を示した。低下量はリナグリプチン 10 mg 群で最も大き

かった(表 4.4: 9)。ANCOVA を用いて比較したところ,Day 29 および Day 43 ともにリナグリ

プチン 0.5 mg 群および 10 mg 群ではプラセボ群との間に統計的に有意な差が認められた(2.5

mg 群では認められなかった)(CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.5.3: 3)。

表 4.4: 9 ベースラインの HbA1c(%)とベースラインからの変化量(PD Set)

Placebo Linagliptin 0.5 mg Linagliptin 2.5 mg Linagliptin 10 mg N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD)

Baseline Day−1 17 7.04 ( 0.50) 19 6.94 ( 0.90) 18 7.07 ( 0.45) 18 7.22 ( 0.92)

Day 29 16 0.04( 0.55) 17 −0.31( 0.19) 17 −0.20( 0.39) 18 −0.44( 0.28) Day 43 15 −0.06( 0.42) 17 −0.46( 0.22) 17 −0.22( 0.48) 18 −0.59( 0.34)

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.5.3: 1,Table 11.5.3: 2 より作成

GLP-1

リナグリプチン群では,定常状態における血漿中 GLP-1 濃度が増加し,食後の血漿中 GLP-1

濃度応答を高めた(表 4.4: 10)。リナグリプチン初回投与(Day 1)30 分後の食前血漿中 GLP-1

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濃度は,投与前(Day −1)に比較して増加したことから,リナグリプチンは速やかに作用を発

揮することが示唆された。また,リナグリプチン群において,最終投与の 24 時間後(Day 29)

の食前および食後の血漿中 GLP-1 濃度が増加していることから,リナグリプチンは長時間作用

を示すことが示唆された。

表 4.4: 10 GLP-1(nmol/L)の記述統計量(PD Set)

Placebo Linagliptin 0.5 mg Linagliptin 2.5 mg Linagliptin 10 mg

N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD) N Mean (SD)

Day −1 (before) 17 1.7 ( 1.1) 19 3.7 ( 7.2) 18 2.7 ( 3.4) 18 2.2 ( 2.2)

Day −1 (after) 17 3.9 ( 2.1) 19 6.5 ( 9.7) 18 5.2 ( 3.3) 18 4.4 ( 2.8)

Day 1 (before) 17 1.6 ( 1.1) 19 4.0 ( 8.0) 18 3.5 ( 3.3) 18 3.8 ( 2.8)

Day 1 (after) 17 4.2 ( 2.5) 19 7.2 ( 8.3) 18 8.5 ( 4.5) 18 9.0 ( 4.2)

Day 29 (before) 16 1.5 ( 1.1) 17 5.1 ( 10.8) 17 5.7 ( 4.6) 18 5.1 ( 3.2)

Day 29 (after) 16 4.0 ( 2.2) 17 8.5 ( 6.8) 17 9.7 ( 4.5) 18 12.3 ( 8.3)

定量下限値以下の GLP-1 値は定量下限値の 1/2 として計算した.

Before: 食前 after: 食後

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.5.3: 4 より作成

フルクトサミン

フルクトサミンに対するリナグリプチンの明らかな影響はみられなかった(CTD 5.3.5.1-4,試

験 1218.12,Table 15.7.6.7: 1)。

(b) 薬物動態

リナグリプチンおよび CD 1790 XX の血漿中濃度の推移

リナグリプチン反復投与時の平均血漿中リナグリプチン濃度推移を図 4.4: 3 に,リナグリプチ

ンの薬理活性をもたない代謝物である CD 1790 XX の平均血漿中濃度推移を図 4.4: 4 に示した。

リナグリプチン初回投与(Day 1)1.5 時間後にリナグリプチンおよび CD 1790 XX ともに最高

血漿中濃度に達した。定常状態(Day 28)では,リナグリプチンは投与 1.25~1.5 時間後に,

CD 1790 XX は投与 1.5 時間後に,最高血漿中濃度に達し,その後徐々に減少した。

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340

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Day 1

0 4 8 12 16 20 24

BI 1

356

BS

plas

ma

conc

.[n

mol

/L]

0

20

40

60

80

100

Day 28

648 652 656 660 664 668 672

BI 1

356

BS p

lasm

a co

nc.

[nm

ol/L

]

0

20

40

60

80

100

Time [h]0 6 12 18 24 672 720 768 816 864 912 960 1008

BI 1

356

BS p

lasm

a co

nc.

[nm

ol/L

]

0.1

1

10

100

0.5mg (N=19) 2.5mg (N=18) 10mg (N=18) 上図:Day 1(普通軸),中図:Day 28(普通軸),下図:Day 1~43(片対数軸)

図 4.4: 3 リナグリプチン 28 日間反復投与における平均血漿中濃度推移

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Figure 11.5.2: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

341

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Day 1

0 4 8 12 16 20 24

CD

175

0 XX

pla

sma

conc

.[n

mol

/L]

0

5

10

15

20

25

Day 28

648 652 656 660 664 668 672

CD

175

0 XX

pla

sma

conc

.[n

mol

/L]

0

5

10

15

20

25

Time [h]0 6 12 18 24 648 672 696 720 744 768

CD

175

0 XX

pla

sma

conc

.[n

mol

/L]

0.01

0.1

1

10

100

0.5mg (N=18) 2.5mg (N=18) 10mg (N=18)

上図:Day 1(普通軸),中図:Day 28(普通軸),下図:Day 1~43(片対数軸)

図 4.4: 4 リナグリプチン 28 日間反復投与における CD 1790 XX の平均血漿中濃度推

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Figure 11.5.2: 2 より作成

1790

1790

1790

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342

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リナグリプチンおよび CD 1790 XX の尿中排泄

リナグリプチン反復投与時のリナグリプチンの平均尿中排泄率の推移を図 4.4: 5 に示した。リ

ナグリプチン初回投与時(Day 1),尿中リナグリプチン濃度は,リナグリプチン 2.5 mg 群およ

び 10 mg 群では 2.5 mg 群の 1 例を除き,全検体で定量下限以上であったが,0.5 mg 群では多く

の検体で定量下限未満であった。尿中 CD 1790 XX はリナグリプチン 10 mg 群の全検体で,ま

た 2.5 mg 群では多くの検体(48/72 例)で定量下限以上であったが,0.5 mg 群では定量下限

以上の検体は少なかった(3/76 例)。反復投与の最終投与後の尿中リナグリプチン濃度は 3 投

与群の全例で定量下限以上であった。尿中 CD 1790 XXはリナグリプチン 10 mg 群の全検体で,

また 2.5 mg 群では多くの検体(58/67 例)で定量下限以上であったが,0.5 mg 群では定量下

限以上の検体は少なかった(5/72 例)(CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Figure 11.5.2: 3)。

Day 1

Time [h]

0 4 8 12 16 20 24

Cum

ulat

ive

excr

etio

n of

BI 1

356

BS

[% o

f dos

e]

0

5

10

15Day 28

Time [h]648 652 656 660 664 668 672

0

5

10

15

0.5 mg (N=16) 2.5mg (N=18) 10mg (N=18)

図 4.4: 5 リナグリプチンの 28 日間反復投与時のリナグリプチン平均尿中排泄率の推

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Figure 11.5.2: 3 より作成

リナグリプチンおよび CD 1790 XX の薬物動態パラメータ

• リナグリプチン

28 日反復間投与時のリナグリプチン薬物動態パラメータを表 4.4: 11 に示した。リナグリプチ

ンの初回投与,反復投与後の最高血漿中濃度到達時間(tmax,1)および tmax,ss の中央値は 1.25~

1.50 h であった。検討した用量範囲(0.5~10 mg)では,リナグリプチンの血漿中濃度-時間

曲線下面積(AUC)および最高血漿中濃度(Cmax)の増加は用量比を下回っていた。見かけの

クリアランス(CL/Fss)および見かけの分布容積(Vz/Fss)は用量の増加に伴い増加した。リナ

グリプチンの累積係数は中程度(RA:2.9 未満)であり,用量の増加に伴い減少した。リナグ

リプチンの消失半減期(t1/2,ss)は 223~260 h であり,リナグリプチンの薬物動態的な特徴を表

す半減期ではなかった。リナグリプチンの尿中排泄率は用量の増加とともに増加し,また,Day

28 の尿中排泄率はいずれの用量群においても Day 1 に比べて高かった。しかし,尿中排泄率

(fe0-24,ss)は最高用量であるリナグリプチン 10 mg 群の定常状態においても 7%未満であった。

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343

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表 4.4: 11 リナグリプチン 28 日反復間投与における薬物動態パラメータ

0.5 mg 2.5 mg 10 mg

gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%]) gMean(gCV [%])

Day 1

N 19 18 18 AUCτ,1 [nM·h] 29.9 (45.7) 129 (23.7) 323 (32.6) AUCτ,1,norm [(nM·h)/mg] 59.7 (45.7) 51.8 (23.7) 32.3 (32.6) Cmax,1 [nM] 2.81 (55.4) 8.84 (35.1) 35.1 (80.1) Cmax,1,norm [nM)/mg] 5.62 (55.4) 3.54 (35.1) 3.51 (80.1) tmax,1

a) [h] 1.50 (1.00-2.00) 1.50 (0.500-8.00) 1.50 (0.500-12.0) fe0-24,1 [%] NC 0.227 (145) 4.08 (94.7) CLR,0-24,1 [mL/min] NC 1.54 (120) 44.6 (59.2)

Day 28

N 17 17 18 AUCτ,ss [nM·h] 89.4 (27.2) 164 (23.4) 373 (33.5) AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] 179 (27.2) 65.6 (23.4) 37.3 (33.5) Cmax,ss [nM] 5.02 (33.9) 11.0 (40.9) 44.0 (80.4) Cmax,ss,norm [nM)/mg] 10.0 (33.9) 4.40 (40.9) 4.40 (80.4) tmax,ss

a) [h] 1.50 (1.00-8.00) 1.50 (0.500-4.00) 1.25 (0.500-2.00) t1/2,ss [h] 240 (33.1) 223 (23.0)b) 260 (32.3) MRTpo,ss [h] 214 (16.9) 178 (17.5)b) 119 (39.6) CL/Fss [mL/min] 197 (27.2) 537 (23.4) 945 (33.5) Vz/Fss [L] 4090 (45.0) 10400 (31.2)b) 21200 (55.5) fe0-24,ss [%] 2.26 (93.1)b) 4.25 (72.4)b) 6.79 (51.6)c) CLR,ss [mL/min] 4.50 (76.6)b) 22.8 (54.7)b) 65.0 (30.0)c)

RA,AUC 2.88 (28.3) 1.27 (21.4) 1.16 (27.8) RA,Cmax 1.71 (35.8) 1.23 (40.4) 1.25 (78.0)

NC: 算出せず

gMean: 幾何平均値,gCV: 幾何変動係数

a)中央値および最小値~最大値

b)N = 16

c)N = 17

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.5.2: 1 より作成

• CD 1790 XX

リナグリプチン 28日反復間投与時のCD 1790 XXの薬物動態パラメータを表 4.4: 12に示した。

リナグリプチンの薬理活性をもたない代謝物である CD 1790 XX の tmax,1 および tmax,ss の中央値

は約 1.5 h であり,t1/2,ss は 15.9~18.4 h であった。CD 1790 XX の累積係数(RA)は 1.6 未満で

あった。

CD 1790 XX の尿中排泄率は Day 1 および 28 でともに非常に小さかった(0.08%未満)。

リナグリプチンと CD 1790 XX の総曝露量(AUCτ,ss)の合計に占める CD 1790 XX の総曝露量

の割合(RAUCτ,ss,Met)は,用量の増加に伴い増加し,リナグリプチン 2.5 mg 群で 7.98%,10 mg

群で 18.6%であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

344

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表 4.4: 12 リナグリプチン 28 日間反復投与における CD 1790 XX の薬物動態パラメータ

0.5 mg 2.5 mg 10 mg gMean (gCV %) gMean(gCV %) gMean (gCV %)

Day 1 N 18 18 18 AUCτ,1 [nM·h] --- 10.4 (54.6) 81.2 (53.2) AUCτ,1,norm [(nM·h)/mg] --- 4.17 (54.6) 8.12 (53.2) Cmax,1 [nM] 0.220 (74.6) 1.61 (73.2) 12.2 (89.6) Cmax,1,norm [(nM)/mg] 0.441 (74.6) 0.643 (73.2) 1.22 (89.6)

tmax,1a) [h]

1.50 (0.917-2.00)

1.50 (1.00-2.00)

1.51 (0.917-12.0)

fe0-24,1 [%] --- --- 0.0588 (80.5) CLR,0-24,1 [mL/min] --- --- 2.55 (47.3) Day 28 N 18 17 18 AUCτ,ss [nM·h] --- 14.3 (55.1) 85.7 (48.8) AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] --- 5.72 (55.1) 8.57 (48.8) Cmax,ss [nM] 0.347 (81.3)b) 1.82 (95.7) 12.6 (73.9) Cmax,ss,norm [(nM)/mg] 0.694 (81.3)b) 0.727 (95.7) 1.26 (73.9)

tmax,ssa) [h]

1.50 (0.500-2.00)b)

1.50 (1.50-4.00)

1.50 (1.00-2.00)

t1/2,ss [h] --- 18.4 (33.8)c) 15.9 (26.5)d) MRTpo,ss [h] --- 18.7 (37.5)c) 15.7 (24.5)d) fe0-24,ss [%] --- --- 0.0758 (74.0)d) CLR,ss [mL/min] --- --- 3.23 (38.6)d) RA,AUC --- 1.34 (69.1) 1.06 (59.4) RA,Cmax 1.53 (94.8)b) 1.10 (100) 1.03 (97.8)

---: 算出せず

a)中央値および最小値~最大値

b)N = 16

c)N = 14

d)N=17

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 11.5.2: 2 より作成

(c) PK/PD 評価

リナグリプチン 0.5 mg,2.5 mg および 10 mg 1 日 1 回,28 日間反復投与における DPP-4 阻害率

とリナグリプチン血漿中濃度の相関を図 4.4: 6 に示した。50%DPP-4 阻害率は 3.15 ± 0.05 nM で

あった。視覚的に判断した結果,DPP-4 阻害率はリナグリプチンの血漿中濃度が約 6 nM で 80%

に達した。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

345

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Linagliptin plasma conc. [nM]

0.1 1 10 100

DPP

-4 in

hibi

tion

[%]

0

20

40

60

80

100

図 4.4: 6 リナグリプチン 28 日間反復投与における DPP-4 阻害率とリナグリプチン血

漿中濃度の相関

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.6.1.1: 6-8 and Table 15.7.1: 10-12 より作成

(3) 安全性

(a) 曝露状況

治験薬投与例 72 例中 70 例の投与期間は 28 日間であり,平均投与期間は 27.6 日であった(CTD

5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.3.1: 1)。

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

有害事象の概略

有害事象の発現率は,リナグリプチン群で 20.0%(11/55 例),プラセボ群で 35.3%(6/17 例)

であった(表 4.4: 13)。中等度の有害事象はリナグリプチン群で 2 例(3.6%)認められ,その

他の有害事象はいずれも軽度であり,高度の有害事象の発現はなかった。最も高頻度に発現し

た有害事象は鼻咽頭炎であり,プラセボ群で 2 例(11.8%),リナグリプチン群で 4 例(7.3%)

認められた。治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象は 3 例(5.5%)

認められ,その内訳はリナグリプチン 0.5 mg 群で 1 例および 2.5 mg 群で 2 例であった。治験

中止に至った有害事象,死亡,重篤な有害事象および重要な有害事象は認められなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

346

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表 4.4: 13 有害事象の概略(Treated Set)

Linagliptin

Placebo 0.5 mg 2.5 mg 10 mg Total

N (%) N (%) N (%) N (%) N (%)

Number of patients 17 (100.0) 19 (100.0) 18 (100.0) 18 (100.0) 55 (100.0)

Patients with any AE 6 (35.3) 2 (10.5) 5 (27.8) 4 (22.2) 11 (20.0)

Patients with severe AEs 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

Patients with investigator defined drug-related AEs

0 (0.0) 1 (5.3) 2 (11.1) 0 (0.0) 3 (5.5)

Patients with other significant AEs (according to ICH E3)

0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug

0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

Patients with significant non-serious AEs (pre-specified events)

0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

Patients with serious AEs 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 12.2.1: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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高頻度に発現した有害事象

最も高頻度に発現した有害事象は鼻咽頭炎であり,プラセボ群で 2 例(11.8%),リナグリプチ

ン群で 4 例(7.3%)認められた(表 4.4: 14)。

表 4.4: 14 投与期に発現した有害事象(Treated Set)

Linaglipitin

System organ class/ Preferred terma) Placebo 0.5 mg 2.5 mg 10 mg Total

N (%) N (%) N (%) N (%) N (%)

例数 17 (100.0) 19 (100.0) 18 (100.0) 18 (100.0) 55 (100.0)

有害事象発現例 6 (35.3) 2 (10.5) 5 (27.8) 4 (22.2) 11 (20.0)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations)

4 (23.5) 1 (5.3) 2 (11.1) 2 (11.1) 5 (9.1)

胃腸炎 (Gastroenteritis) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 0 (0.0) 1 (1.8)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 2 (11.8) 1 (5.3) 1 (5.6) 2 (11.1) 4 (7.3)

咽頭炎 (Pharyngitis) 2 (11.8) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

免疫系障害 (Immune system disorders) 1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

季節性アレルギー (Seasonal allergy) 1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

眼障害 (Eye disorders) 1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

眼脂 (Eye discharge) 1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

眼充血 (Ocular hyperaemia) 1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

血管障害 (Vascular disorders) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 1 (1.8)

ほてり (Hot flush) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 1 (1.8)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 1 (5.9) 1 (5.3) 1 (5.6) 0 (0.0) 2 (3.6)

便秘 (Constipation) 0 (0.0) 1 (5.3) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.8)

下痢 (Diarrhoea) 1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

排便回数減少 (Infrequent bowel movements)

0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 0 (0.0) 1 (1.8)

下部消化管出血 (Lower gastrointestinal haemorrhage)

1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

口内炎 (Stomatitis) 1 (5.9) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders)

0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 1 (5.6) 2 (3.6)

接触性皮膚炎 (Dermatitis contact) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 1 (1.8)

湿疹 (Eczema) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 0 (0.0) 1 (1.8)

全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 1 (5.6) 2 (3.6)

悪寒 (Chills) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 1 (1.8)

早期満腹 (Early satiety) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 0 (0.0) 1 (1.8)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 12.2.2: 1 より作成

治験薬と因果関係がある有害事象

治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象はリナグリプチン 2.5 mg

群で 2 例(早期満腹,排便回数減少),0.5 mg 群で 1 例(便秘)に発現した。

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死亡およびその他の重篤な有害事象

本試験において死亡例,重篤な有害事象および重要な有害事象はなかった。

(c) 臨床検査

多くの患者において投与期間を通して臨床検査値の変化は少なかった(CTD 5.3.5.1-4,試験

1218.12, Appendix 16.2.8,Listings 1.4.1.1~1.3,1.4.1.5)。有害事象と判定された臨床的に問題と

なる臨床検査値異常は認められなかった。低血糖症の症状が認められた患者はいなかった。

(d) バイタルサイン,身体所見および心電図

投与期の収縮期および拡張期血圧の平均値は,いずれの群ともベースラインに比較して,やや

低値を示した。平均脈拍数はいずれの群ともベースラインに比較してやや増加した(CTD

5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.3.4.1: 1)。平均体重ではベースラインと投与期で著変はみられ

なかった(CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12,Table 15.3.4.4: 1)。

(e) 忍容性評価

治験担当医師が有害事象および臨床検査値から,患者ごとに忍容性を「良好」,「十分」,「不十

分」および「不良」の 4 段階で評価した。リナグリプチン群の計 55 例中 51 例(92.7%)で忍

容性は「良好」,3 例(5.5%)で「十分」と評価された(1 例は治験中止により評価なし)。

3) 結論

日本人 2 型糖尿病患者を対象としてリナグリプチン 0.5,2.5,10 mg を 1 日 1 回,28 日間経口

投与したとき,DPP-4 活性は阻害され,阻害率は用量の増加に伴い増加した。

リナグリプチンの薬物動態的な特徴は,非線形の薬物動態を示すこと,終末相における半減期

は長いものの薬物動態的な特徴を表すものではないこと,および尿中排泄率は低いことなど,

これまでに得られている日本人健康被験者および白人を対象とした試験の結果と同様であった。

リナグリプチンの血漿中濃度は DPP-4 阻害率と良く相関していた。

リナグリプチンを投与したとき,すべての群で DPP-4 阻害率および GLP-1 濃度は増加し,空腹

時血糖および HbA1c は減少した。

リナグリプチンを経口投与したときの忍容性および安全性は良好であった。有害事象の発現率

は低く,リナグリプチン群とプラセボ群で類似していた。最も高頻度に報告された有害事象は

鼻咽頭炎であった。死亡,重篤な有害事象および重要な有害事象は認められなかった。投与期

間を通して臨床検査値の変化は少なかった。低血糖の症状が認められた患者はいなかった。

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4.5 試験 1218.15

(CTD 5.3.5.1-5)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.5: 1 に示した。なお,HbA1c 値は全て NGSP 基準で測定した。

表 4.5: 1 試験方法の概略(1/5)

目的 血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象としたピオグリタゾン 30 mg とリナグリプ

チン 5mg(1 日 1 回)を 24 週間併用投与したときの有効性,安全性および忍容性のプラセ

ボとの比較検討

試験デザイン 第 III 相,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,並行群間比較試験

対象 選択基準

(1) 2 型糖尿病と診断された患者(経口血糖降下薬による治療歴の有無は問わない)

(2) GCP および各地域の要件に従ってスクリーニング(Visit 1a)までに文書による同意が

本人から得られた患者

(3) スクリーニング時(Visit 1a)の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

・前治療薬のウォッシュアウトが必要な患者:HbA1c 7.0~9.5%

・前治療薬のウォッシュアウトが不要な患者:HbA1c 7.5~11.0%

(4) プラセボ導入期開始時(Visit 2)の HbA1c が 7.5~11.0%

(5) スクリーニング時(Visit 1a)の年齢が 18~80 歳の男女

(日本の試験では年齢が 20~80 歳の男女)

(6) スクリーニング時(Visit 1a)の BMI が 40 kg/m2 以下

除外基準

(1) 同意取得前 6 カ月以内に心筋梗塞,脳卒中,または一過性脳虚血発作を発現した患者

(2) Visit 1a における血清 ALT(SGPT),AST(SGOT),またはアルカリホスファターゼ(ALP)

のいずれかが基準値上限(ULN)の 3 倍を超える肝機能障害を有する患者

(3) 治験薬またはその賦形剤に対して過敏症またはアレルギーの既往を有する患者。塩酸

ピオグリタゾンまたはその賦形剤(カルメロースカルシウム,ヒドロキシプロピルセ

ルロース,乳糖水和物,ステアリン酸マグネシウム)に対する過敏症またはアレルギ

ーの既往を有する患者

(4) 同意取得前 3 カ月以内に GLP-1 アナログ注射剤,インスリン,または抗肥満薬(例:

sibutramine,rimonabant,orlistat)の投与を受けた患者を有する患者

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表 4.5: 1 試験方法の概略(2/5)

対象(続き) (5) 同意取得前 3 カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用

歴のある患者

(6) 同意取得前 2 カ月以内に治験薬を用いた他の治験へ参加した患者

(7) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれか

に該当する患者:

- 授乳中または妊娠中の患者

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(8) 同意取得前 6 週間以内にステロイドの全身投与を受けた患者または甲状腺ホルモンの

投与量を変更した患者

(9) スクリーニング時の空腹時血糖が 240 mg/dL(=13.3 mmol/L)を超えた患者

(10) NYHA III~IV の心不全患者または本試験以前に心不全の既往歴のある患者

(11) 同意取得前 6 カ月以内に糖尿病性ケトアシドーシスを発症した患者

(12) 血液透析を受けている患者(チアゾリジン類の使用経験が限られているため)

(13) その他,患者の安全性に問題なく治験を完了することやリナグリプチンおよびピオグ

リタゾンの投与を行うことが困難な状態にあると治験責任医師が判断する臨床状態に

ある患者

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠(初回治療としてピオグリタゾン 30mg を併用投与)

ピオグリタゾン 30 mg 錠(カプセル内に封入)

対照薬:リナグリプチン 5 mg 錠プラセボ,ピオグリタゾン 30 mg 錠プラセボ

症例数 目標症例数:割付け例 375 例

登録例 707 例

割付け例 治験薬投与例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン 5 mg群 259 例 259 例 252 例

プラセボ群 130 例 130 例 128 例

計 389 例 389 例 380 例

投与方法

ウォッシュアウト期・導入期

経口糖尿病治療薬による治療を受けている患者には最後の 2 週間をプラセボ導入期とする

6 週間のウォッシュアウトを行った。プラセボ導入期の 2 週間には,全患者がリナグリプチ

ンのプラセボおよびピオグリタゾンのプラセボを 1 日 1 回服用した。

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表 4.5: 1 試験方法の概略(3/5)

投与方法

(続き)

投与期

リナグリプチン群の患者はリナグリプチン 5mg 錠を,プラセボ群はリナグリプチン 5mg の

プラセボ錠を,1 日 1 回 150 mL の水とともに服用した。また,投与期開始時点から全期間

を通して,両群ともカプセル入りのピオグリタゾン 30mg 錠を 1 日 1 回併用投与した。

併用療法 試験期間中は,救援治療薬以外の経口糖尿病治療薬(ピオグリタゾンを除く),抗肥満薬,

全身性ステロイド剤の使用を禁止した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

経口糖尿病治療薬による治療を受けていた患者はプラセボ導入期の前に 4 週間のウォ

ッシュアウト期間

・投与期間:24 週間

・追跡期間:1 週間

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

試験期間 スクリーニング/ウォッシュアウト期

プラセボ

導入期 投与期 追跡

Visit 1aa) 1ba) 2 3 4 5 6 7b, c) 8b, c)

週 −4 −3 −2 6 12 18 24 25

割付けからの期間(日) −28 −21 −14 0 42 84 126 168 175

患者背景 X X

身長 X

体重 X X X

ウエスト周囲径 X X

臨床検査 Xd) X X Xk) Xk) Xk) Xk) Xk) Xe)

HbA1c X X X X X X X

空腹時血糖 f) X X X X X X X

身体所見 X X

バイタルサイン X X X X X X X Xe)

12 誘導心電図 X X X

妊娠検査 g) X X X

インスリン h) X X

健康アンケート EQ-5D X X X X

医 療 資 源 利 用 ア ン ケ ー ト

HCRU Data X X X X

遺伝子解析用採血 i) X

有害事象 Xj) X X � X X X X

併用薬 X X X X X X X X X

a)スクリーニングは Visit 1a および 1b の 2 回に分けた。

b)早期中止例には Visit 7(および追跡として Visit 8)の評価を実施することとした。

c)Visit 8 は本試験を完了し非盲検延長試験(1218.40)に移行する患者には不要とした。

d)Visit 1a での安全性評価のための臨床検査は,HbA1c に加え,AST,ALT,ALP,血清ク

レアチニンのみ実施した。また,Visit 1a の血液検体は空腹時のものでなくてもよいとした。

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表 4.5: 1 試験方法の概略(4/5)

観察項目

観察時期

(続き)

e)Visit 8 の安全性評価のための臨床検査およびバイタルサインの測定は医療機関への来

院時にのみ実施

f)空腹時の血液検体(10 時間絶食とし,飲水のみ)

g)妊娠検査は妊娠の可能性のある女性にのみ実施。

h)採血は治験薬投与前に実施(トラフ時採血)。

i)遺伝子解析は任意の検査項目

j)スクリーニング時に不適格となった患者については重篤な有害事象に関する情報のみ収

集。

k)Visit 3~7 では安全性を確認するために Amino-terminal fragment of B-type natriuretic

peptide (NTproBNP)測定のみ

評価項目

評価基準

有効性

主要評価項目

HbA1c のベースラインからの変化量(投与 24 週後−ベースライン)

副次評価項目

治療目標効果の達成率(投与 24 週後の HbA1c が 7.0%未満または 6.5%未満に低下し

た患者)

有効性反応の発現(投与 24 週後の HbA1c が 0.5%以上低下した患者)

HbA1c のベースラインからの変化量の Visit ごとの推移

空腹時血糖のベースラインからの変化量(投与 24 週後−ベースライン)

空腹時血糖のベースラインからの変化量の Visit ごとの推移

その他の評価項目

救援治療薬の投与

HOMA-IR および HOMA-IS(ベースラインおよび投与 24 週後)

Disposition index(ベースラインおよび投与 24 週後のインスリン感受性およびβ細胞

機能より算出)

体重のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

ウエスト周囲径のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

脂質パラメータのベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験中止,身体所見,12 誘導心電

図,バイタルサイン(血圧,脈拍数),NTproBNP を含む臨床検査

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表 4.5: 1 試験方法の概略(5/5)

解析方法 主要評価項目:薬剤および糖尿病の前治療薬を固定効果,ベースラインの HbA1c を共変量

とした ANCOVA を行い,投与 24 週後の HbA1c の変化量について,プラセボに対するリナ

グリプチンの優越性を検証した。

副次評価項目および安全性評価項目:記述統計法を用いた。

症例数設定の

根拠

リナグリプチンおよびプラセボ群の標準偏差は 1.6%と仮定した。ベースラインからの

HbA1c 値の変化量の差 0.7%に対して 90%の検出力を得るためにはプラセボ群 83 例,リナ

グリプチン群 166 例が必要であった。プラセボ群 125 例,リナグリプチン群 250 例であれ

ば,検出力は 97%となる。

治験調整医師

治験実施施設 43 施設(オーストリア,ギリシャ,ハンガリー,日本,ポルトガル,ルーマニア,スペイ

ン)

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

本試験の患者の内訳を図 4.5: 1 に示した。本試験に計 707 例が登録され,うち 468 例がプラセ

ボ導入期に入った。468 例中 389 例がプラセボ群またはリナグリプチン群に 1:2 の割合でラン

ダム化割付けされ,プラセボ群 130 例,リナグリプチン群 259 例に治験薬が投与された。318

例は割付けされなかったが,その主な理由は Visit 1 または Visit 2 で「HbA1c が選択基準を満た

さない」であった。

プラセボ群で 111 例,リナグリプチン 244 例の計 355 例が本試験で規定した投与期間を完了し,

試験中止例はプラセボ群で 19 例(14.6%),リナグリプチン群で 15 例(5.8%)であった。主な

中止理由は有害事象(プラセボ群:4.6%,リナグリプチン群:1.5%),同意撤回(それぞれ,

3.1%および 1.5%)であった。

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登録例 707 例 プラセボ導入期 468 例 非割付け例 318 例

ランダム化割付け/投与例 389 例

プラセボ群 リナグリプチン群

130 例 (100.0%) 259 例 (100.0%) 中止例:19 例 (14.6%) 中止例:15 例 (5.8%) 中止理由 中止理由

・有害事象 : 6 例 (4.6%) ・有害事象 : 4 例 (1.5%) ・効果不十分 a) : 1 例 (0.8%) ・効果不十分 a) : 1 例 (0.4%) ・不遵守 : 2 例 (1.5%) ・不遵守 : 3 例 (1.2%) ・追跡不能 : 3 例 (2.3%) ・追跡不能 : 2 例 (0.8%) ・同意撤回 : 4 例 (3. 1%) ・同意撤回 : 4 例 (1.5%) ・その他 : 3 例 (2.3%) ・その他 : 1 例 (0.4%)

投与完了例 投与完了例 111 例 (85.4%) 244 例 (94.2%)

a)高血糖による中止例を含む

図 4.5: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 10.1: 4 より作成

(b) 治験実施計画書からの逸脱

治験薬投与例 389 例中,計 12 例(プラセボ群:3.8%,リナグリプチン群:2.7%)に有効性評

価に関する治験実施計画書からの重大な逸脱が 1 件以上みられた。主な逸脱理由は,併用薬使

用に関する事項(プラセボ群およびリナグリプチン群ともに 1.5%),および選択/除外基準か

らの逸脱(プラセボ群:1.5%,リナグリプチン群:0.8%)であった(CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,

Table 10.2: 1)。なお,安全性評価に関して治験実施計画書からの重大な逸脱(肝機能障害)が

プラセボ群で 1 例みられたが,本症例は PPS から除外されなかった。

(c) 解析対象集団

治験薬が投与された患者を Treated Set とし,そのうちベースラインおよび治験薬投与中に

HbA1c が測定された患者を最大の解析対象集団(FAS)と定義した。また,FAS のうち早期中

止に至らず,治験薬を 149 日間以上投与され,投与終了後の有効な HbA1c の値が存在する患者

を FAS-completers と定義した。さらに,治験実施計画書の規定から有効性評価に影響する重大

な逸脱がみられなかった患者を実施計画書に合致した解析集団(PPS)とした。その結果,Treated

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Set は 389 例,FAS は 380 例,FAS-completers は 342 例,および PPS は 369 例となった(表 4.5:

2)。

表 4.5: 2 各解析対象集団の例数

Placebo Linagliptin Total

N (%) N (%) N (%)

Randomised set 130 (100.0) 259 (100.0) 389 (100.0)

Treated set 130 (100.0) 259 (100.0) 389 (100.0)

FAS 128 (98.5) 252 (97.3) 380 (97.7)

FAS-completers 106 (82.8) 236 (93.7) 342 (90.0)

PPS 123 (96.1) 246 (97.6) 369 (97.1)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性および他の基準値の特性

人口統計学的特性

治験薬投与例における人口統計学的特性を表 4.5: 3 に示した。両群の人口統計学的特性はほぼ

類似していた。全体で患者の年齢は平均 57.5 歳,人種では白人が 74.6%,アジア人が 24.9%を

占め,60.9%の患者は男性であった。体重のベースラインの平均値は,プラセボ群が 82.7 kg,

リナグリプチン群が 78.3 kg であり,BMI のベースラインの平均値はそれぞれ 29.7 kg/m2 および

28.7 kg/m2 であった。ベースラインの腎機能(MDRD 式で計算した糸球体濾過率の予測値

(eGFR))は,52.4%の患者が正常(90 mL/min 以上),39.1%の患者が軽度障害(60 mL/min 以

上 90 mL/min 未満)および 4.4%の患者が中等度障害(30 mL/min 以上 60 mL/min 未満)であっ

た。

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表 4.5: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total Number of patients, N (%) 130 (100.0) 259 (100.0) 389 (100.0) Gender, N (%) Male 85 (65.4) 152 (58.7) 237 (60.9) Female 45 (34.6) 107 (41.3) 152 (39.1) Race, N (%) American Indian or Alaska Native 1 (0.8) 1 (0.4) 2 (0.5) Asian 32 (24.6) 65 (25.1) 97 (24.9) White 97 (74.6) 193 (74.5) 290 (74.6) Ethnicity – Hispanic / Latino, N (%) Not Hispanic / Latino 120 (92.3) 246 (95.0) 366 (94.1) Hispanic / Latino 9 (6.9) 12 (4.6) 21 (5.4) Missing 1 (0.8) 1 (0.4) 2 (0.5) Age [years] Mean (SD) 57.1 (10.1) 57.7 (9.6) 57.5 (9.8) Age groups [years], N (%) <65 95 (73.1) 195 (75.3) 290 (74.6) 65 to 74 30 (23.1) 58 (22.4) 88 (22.6) ≥75 5 (3.8) 6 (2.3) 11 (2.8) Baseline weight [kg] Mean (SD) 82.7 (15.8) 78.3 (15.6) 79.8 (15.8) Baseline weight, categorical [kg], N (%) ≤70 28 (21.5) 84 (32.4) 112 (28.8) >70 to ≤80 33 (25.4) 65 (25.1) 98 (25.2) >80 to ≤90 26 (20.0) 53 (20.5) 79 (20.3) >90 43 (33.1) 57 (22.0) 100 (25.7) Baseline BMI [kg/m2] Mean (SD) 29.7 ( 4.8) 28.7 ( 4.8) 29.0 (4.9) Baseline BMI, categorical [kg/m2], N(%) <30 68 (52.3) 157 (60.6) 225 (57.8) ≥30 62 (47.7) 102 (39.4) 164 (42.2) Baseline eGFR (MDRD) [mL/min], N (%) ≥90 64 (49.2) 140 (54.1) 204 (52.4) 60 to <90 55 (42.3) 97 (37.5) 152 (39.1) 30 to <60 5 (3.8) 12 (4.6) 17 (4.4) Missing 6 (4.6) 10 (3.9) 16 (4.1)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.2: 1 より作成

ベースライン値

HbA1c のベースラインの平均値はプラセボ群で 8.58%,リナグリプチン群で 8.60%であり,両

群でほぼ同じであった。空腹時血糖のベースラインの平均値はプラセボ群で 190.3 mg/dL,リナ

グリプチン群で 189.8 mg/dL であった。ほぼ半数(49.7%)の患者が経口糖尿病治療薬による治

療を受けておらず,31.8%の患者が 1 剤の経口糖尿病治療薬の投与,18.4%の患者が 2 剤以上の

経口糖尿病治療薬の投与を受けていた(表 4.5: 4)。

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表 4.5: 4 ベースライン値および糖尿病前治療薬の数(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Baseline HbA1c [%]

Number of patients, N (%) 128 (100.0) 252 (100.0) 380 (100.0)

Mean (SD) 8.58 (0.87) 8.60 (0.79) 8.59 (0.82)

Baseline HbA1c, categorical, N (%)

<7.0% 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

7.0% to <8.0% 35 (27.3) 59 (23.4) 94 (24.7)

8.0% to <9.0% 52 (40.6) 115 (45.6) 167 (43.9)

≥9.0% 41 (32.0) 78 (31.0) 119 (31.3)

Number of prior antidiabetic drugs, N (%)

Number of patients, N (%) 128 (100.0) 252 (100.0) 380 (100.0)

0 65 (50.8) 124 (49.2) 189 (49.7)

1 40 (31.3) 81 (32.1) 121 (31.8)

≥2 23 (18.0) 47 (18.7) 70 (18.4)

Baseline fasting plasma glucose [mg/dL]

Number of patients, N (%) 128 (100.0) 251 (100.0) 379 (100.0)

Mean (SD) 190.3 (43.8) 189.8 (42.7) 189.9 (43.0)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.2: 2 より作成

糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症

糖尿病の診断から同意取得までの期間の分布は両群でほぼ同じであった。患者の 40%以上は糖

尿病の診断から同意取得までの期間は 5 年超であった(表 4.5: 5)。

表 4.5: 5 糖尿病の診断から同意取得までの期間(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 128 (100.0) 252 (100.0) 380 (100.0)

Time since diagnosis of diabetes, N (%)

Up to 1 year 34 (26.6) 63 (25.0) 97 (25.5)

>1 to 5 years 40 (31.3) 82 (32.5) 122 (32.1)

>5 years 54 (42.2) 107 (42.5) 161 (42.4)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.2: 3 より作成

ベースライン時に頻度の高かった糖尿病関連合併症は,大血管疾患(プラセボ群:66.9%,リ

ナグリプチン群:73.7%)およびメタボリック・シンドローム(それぞれ 60.8%および 65.3%)

であった(表 4.5: 6)。

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358

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表 4.5: 6 ベースラインにおける糖尿病関連合併症(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 128 (100.0) 259 (100.0) 389 (100.0)

Patients with

Microvascular disease a), N (%) 17 (13.1) 32 (12.4) 49 (12.6)

Macrovascular disease b), N (%) 87 (66.9) 191 (73.7) 278 (77.4)

Diabetic foot, N (%) 1 (0.8) 0 (0.0) 1 (0.3)

Metabolic syndrome, N (%) 79 (60.8) 169 (65.3) 248 (63.8)

糖尿病関連合併症の重複例もある

a)糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症および糖尿病性神経障害

b)冠状動脈疾患,末梢動脈閉塞性疾患,脳血管疾患および高血圧

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.2: 4 より作成

インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値

患者のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値を表 4.5: 7 に示し

た。インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値は両群でほぼ同じで

あった。インスリンのベースラインの平均値は,プラセボ群がリナグリプチン群に比較してや

や高かったが,幾何平均値ではほぼ同じであった(プラセボ群:8.5 mU/L,リナグリプチン群:

8.4 mU/L)。

表 4.5: 7 インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 128 (100.0) 252 (100.0) 380 (100.0)

Baseline insulin [mU/L]

Mean (SD) 12.1 (19.8) 11.3 (10.6) 11.5 (14.3)

gMean (gCV) 8.5 (82.7) 8.4 (84.8) 8.4 (84.0)

Baseline HOMA index for insulin resistance [mU/L x mmol/L]

Mean (SD) 5.9 (11.7) 5.2 (4.7) 5.4 (7.7)

gMean (gCV) 3.9 (91.1) 3.8 (89.5) 3.8 (89.8)

Baseline HOMA index for insulin secretion [(mU/L)/(mmol/L)]

Mean (SD) 36.0 (47.3) 36.6 (41.5) 36.4 (43.4)

gMean (gCV) 25.1 (92.1) 25.6 (93.9) 25.4 (93.1)

Disposition index

Mean (SD) 7.6 (5.2) 7.5 (4.1) 7.6 (4.5)

gMean (gCV) 6.4 (61.0) 6.6 (57.8) 6.5 (58.8)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.2: 5 より作成

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(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は,プラセボ導入期の終わりと二重盲検期の来院時に評価し,治験薬服薬率が 80

~120%に含まれる場合に「良好」とした。プラセボ導入期から投与 24 週後までの服薬率は,

プラセボ群の投与 13 週後から 18 週後の 96.6%を除いて,両群ともに 98%を超えていた(CTD

5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 15.1.5: 1)。なお,二重盲検期の来院時の 2 回以上で服薬遵守状

況が「不良」の患者は治験実施計画書からの重大な逸脱としたが,両群の各 1 例がこの基準に

該当した。

(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主解析:HbA1c の変化量

投与 24 週後の HbA1c のベースラインからの変化量を薬剤と糖尿病の前治療薬の数を固定効果

とし,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析結果を表 4.5: 8 に示した。HbA1c のベ

ースラインからの調整平均変化量は,リナグリプチン群で−1.07%,プラセボ群で−0.56%であり,

その差は−0.51%(95%信頼区間:−0.71~−0.30)で,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優

越性が認められた(p<0.0001)。

表 4.5: 8 投与 24 週における HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients 128 252

Number of patients with baseline and on-treatment results 128 252

Baseline

Mean (SE) 8.58 (0.08) 8.60 (0.05)

Change from baseline

Mean (SE) −0.75 (0.11) −1.25 (0.07)

Adjusted mean (SE) a) −0.56 (0.09) −1.07 (0.06)

Comparison vs. pbo (difference lina – pbo)

Adjusted mean (SE) a) −0.51 (0.10)

95% Confidence interval (−0.71, −0.30)

p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースラインの HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

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副次解析

• 投与 24 週後の HbA1c の感度分析

PPS および FAS-completers で行った感度分析において,投与 24 週後の HbA1c のベースライン

からの変化量に対する共分散分析においても,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優越性

が認められた。ベースラインの HbA1c 値と糖尿病の前治療薬の主要評価項目への影響を,共分

散分析により解析したところ,薬剤と糖尿病の前治療薬の数に交互作用が認められた

(p=0.0145)。リナグリプチン群とプラセボ群の変化量の差は,「糖尿病の前治療薬なし」の患

者に比べて,「糖尿病の前治療薬 1 剤」の患者で大きかった。「糖尿病の前治療薬 2 剤以上」の

患者では,2 群間に差はみられなかった。

• HbA1c の推移

HbA1c のベースラインからの経時的な平均変化量について,主解析と同じモデルを用いて解析

を行った。プラセボ群とリナグリプチン群ともに投与後の各測定時期の HbA1c はベースライン

から低下したが,リナグリプチン群の低下量はプラセボ群に比較して大きく,いずれの測定時

期においても有意な差がみられた(p<0.0001)。リナグリプチン群のプラセボ群に対する HbA1c

のベースラインからの調整平均変化量の差は,投与 18 週後まで増加し(プラセボ群:−0.55%;

リナグリプチン群:−1.06%),その差(−0.51%)は投与 24 週後まで一定であった。

プラセボ群とリナグリプチン群の HbA1c の平均値の推移を図 4.5: 2 に示した。

図 4.5: 2 平均 HbA1c (%)の推移(平均値±標準誤差)(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Figure 11.4.1.1.2: 1 より作成

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• HbA1c の層別解析

投与 24 週後の HbA1c のベースラインからの平均変化量を層別に表 4.5: 9 に示した。

治験実施国別にみると,プラセボを投与された患者では,アジアで参加した患者(日本人のみ,

32 例)の平均変化量は−0.41%,欧米で参加した患者の平均変化量は−0.87%であった。一方,リ

ナグリプチンを投与された患者では,アジアで参加した患者(日本人のみ,65 例)の平均変化

量は−1.33%,欧米で参加した患者の平均変化量は−1.22%であった。プラセボ群とリナグリプチ

ン群ともにアジアで参加した患者では,欧米で参加した患者より HbA1c の大きな低下がみられ

た。

薬剤と有意な交互作用があった層別因子は,糖尿病の前治療薬の数(p=0.0266),治験実施国

(p=0.0238),人種(p=0.0774),性別(p=0.0856)および HOMA-IS(p=0.0871)であった。こ

れら 5 つの層別因子について HbA1c のベースラインからの調整平均変化量を表 4.5: 10 に示し

た。治験実施国にみられた有意な交互作用は,プラセボ群の調整平均変化量がアジアで参加し

た患者(−0.05%)が欧米で参加した患者(−0.71%)に比較して小さかったことが影響していた。

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表 4.5: 9 層別の HbA1c (%)のベースラインからの平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo (N=128)

Linagliptin (N=252)

N Mean (SD) N Mean (SD) HbA1c at baseline <7.5% 8 −0.65 0.63 13 −0.84 0.68 7.5% to <8.0% 27 −0.56 1.04 46 −1.08 0.63 8.0% to <9.0% 52 −0.61 1.05 115 −1.14 0.99 ≥9.0% 41 −1.08 1.51 78 −1.58 1.35 Number of prior antidiabetic drugs, N (%) 0 65 −1.30 1.05 124 −1.64 0.94 1 40 −0.06 0.78 81 −1.09 0.95 ≥2 23 −0.40 1.51 47 −0.49 1.15 Region Asia 32 −0.41 1.14 65 −1.33 1.01 Europe 96 −0.87 1.21 187 −1.22 1.10 Age group [years] <65 95 −0.85 1.24 190 −1.24 1.08 65 to 74 29 −0.53 1.13 56 −1.31 1.09 ≥75 4 −0.13 0.66 6 −0.95 0.82 Gender Male 85 −0.56 1.29 147 −1.14 1.09 Female 43 −1.12 0.92 105 −1.41 1.03 Race American Indian or Alaska Native 1 −1.30 1 −1.40 Asian 32 −0.41 1.14 65 −1.33 1.01 White 95 −0.86 1.22 186 −1.22 1.10 Ethnicity Not Hispanic / Latino 119 −0.79 1.22 239 −1.30 1.07 Hispanic / Latino 8 −0.11 1.00 12 −0.29 0.76 Missing 1 −1.30 1 −1.60 BMI [kg/m2] <30 66 −0.63 1.15 152 −1.15 1.12 ≥30 62 −0.88 1.26 100 −1.41 0.99 Time since diagnosis of diabetes Up to 1 year 34 −1.24 1.17 63 −1.59 1.15 >1 to 5 years 40 −0.51 1.22 82 −1.29 0.84 >5 years 54 −0.62 1.15 107 −1.02 1.13 Metabolic syndrome at screening No 49 −0.43 1.23 85 −1.06 1.15 Yes 79 −0.95 1.16 167 −1.35 1.02 HOMA-IR ≤4 59 −0.77 1.17 113 −1.15 1.07 >4 to ≤5.5 18 −1.33 1.05 39 −1.65 0.96 >5.5 to ≤8.5 25 −0.82 1.15 44 −1.17 1.01 >8.5 12 −0.15 1.58 34 −1.51 1.09 Missing value 14 −0.32 1.05 22 −0.82 1.19 HOMA-IS ≤25 55 −0.53 1.11 120 −1.06 1.10 >25 to ≤40 33 −0.79 1.32 42 −1.59 0.93 >40 to ≤70 16 −1.49 1.28 45 −1.42 0.95 >70 9 −1.19 0.90 23 −1.71 0.96 Missing value 15 −0.42 1.08 22 −0.82 1.19

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

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表 4.5: 10 糖尿病の前治療薬,治験実施国,人種,性別および HOMA-IS 別の HbA1c (%)

のベースラインからの調整平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

p-value

N Adjusted mean a) (SE) N

Adjusted mean a) (SE)

Number of previous oral antidiabetic drugs None 65 −1.29 (0.12) 124 −1.68 (0.09) 0.0078b) Monotherapy 40 −0.18 (0.15) 81 −1.08 (0.11) <0.0001b) Combination therapy 23 −0.26 (0.20) 47 −0.40 (0.14) 0.5745b) Main effect of subgroup variable <0.0001 Interaction of subgroup variable

with treatment group 0.0266

Region Asia 32 −0.05 (0.17) 65 −0.96 (0.12) <0.0001b) Europe 96 −0.71 (0.10) 187 −1.09 (0.07) 0.0020b) Main effect of subgroup variable 0.0011 Interaction of subgroup variable

with treatment group 0.0238

Race Amer.Ind / Alaska Nat 1 −0.79 (0.96) 1 −0.93 (0.96) 0.9148b) Asian 32 −0.05 (0.17) 65 −0.96 (0.12) <0.0001b) White 95 −0.71 (0.10) 186 −1.09 (0.07) 0.0020 b) Main effect of subgroup variable 0.0052 Interaction of subgroup variable

with treatment group 0.0774

Gender Male 85 −0.34 (0.11) 147 −0.99 (0.08) <0.0001b) Female 43 −0.93 (0.15) 105 −1.21 (0.10) 0.1099b) Main effect of subgroup variable 0.0003 Interaction of subgroup variable

with treatment group 0.0856

Baseline HOMA-IS (categorical) ≤25 55 −0.26 (0.13) 120 −0.92 (0.09) <0.0001 b) >25 to ≤40 33 −0.63 (0.16) 42 −1.28 (0.15) 0.0026 b) >40 to ≤70 16 −1.40 (0.23) 45 −1.32 (0.14) 0.7689 b) >70 9 −1.07 (0.31) 23 −1.35 (0.20) 0.4443 b) Main effect of subgroup variable <0.0001 Interaction of subgroup variable

with treatment group 0.0871

a)ANCOVA:薬剤,ベースラインの HbA1c,糖尿病の前治療薬の数,層別変数および薬剤と層別変数の交互

作用項をモデルに含む

b)Linagliptin vs. Placebo

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.4.1.1.2: 2 より作成

(b) 副次評価項目

空腹時血糖

投与 24 週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量を表 4.5: 11 に示した。投与 24

週後のリナグリプチン群の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量はプラセボ群に比

較して大きく,その差は−14.2 mg/dL(95%信頼区間:−21.1~−7.3 mg/dL,p<0.0001)であった。

本試験に参加した日本人患者での解析結果は,全体の結果と類似していた。投与 24 週後におけ

る空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量は,プラセボ群で−12.54. mg/dL,リナグリ

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プチン群で−31.13 mg/dL であった。リナグリプチン群のプラセボ群に対する調整平均変化量の

差は−18.59 mg/dL で統計学的に有意であった(p=0.0035)。

表 4.5: 11 投与 24 週における空腹時血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均変化

量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients in analysis set 128 252

Number of patients with baseline and on-treatment results 122 243

Baseline

Mean (SE) 186.4 (3.6) 188.4 (2.7)

Change from baseline

Mean (SE) −21.3 (3.4) −36.3 (2.5)

Adjusted mean (SE) a) −18.4 (3.0) −32.6 (2.2)

Comparison vs. pbo (difference lina – pbo)

Adjusted mean (SE) a) −14.2 (3.5)

95% Confidence interval (−21.1, −7.3)

p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,ベースライン空腹時血糖,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.4.1.2.1: 1 より作成

平均空腹時血糖の推移を図 4.5: 3 に示した。両群の平均空腹時血糖は,ともに投与 6 週後で大

きく低下したが,リナグリプチン群の低下はプラセボ群に比較して大きかった。リナグリプチ

ン群では投与 6 週後から 24 週後までその低下は維持された(約 152 mg/dL)。投与 6 週後から

24 週後までのすべての測定時期で,空腹時血糖の調整平均変化量は,リナグリプチン群がプラ

セボ群に比較して統計学的に有意に大きかった(p<0.0001)。

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図 4.5: 3 平均空腹時血糖(mg/dL)と標準誤差の推移(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Figure 11.4.1.2.1: 1 より作成

治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 24 週後における HbA1c の治療目標効果達成率(7.0%または 6.5%未満の患者の割合)と有

効性反応の発現率(ベースラインから 0.5%以上低下した患者の割合)を表 4.5: 12 に示した。

なお,解析において,途中中止例は,24 週後の失敗とみなす(NCF)方法,すなわち,治療目

標の未達成および有効性反応の未発現とみなす方法で欠測値の補完を行った。

投与 24 週後に HbA1c が 7.0%未満となった患者の割合は,プラセボ群の 30.5%に対して,リナ

グリプチン群は 42.9%であった(オッズ比:2.10,p=0.0051)。投与 24 週後に HbA1c が 6.5%未

満となった患者の割合はそれぞれ 14.1%および 17.5%であった(オッズ比:1.35,p=0.3547)。

また,投与 24 週後に HbA1c がベースラインから 0.5%以上低下した患者の割合は,リナグリプ

チン群がプラセボ群に比較して有意に高かった(プラセボ群:50.8%,リナグリプチン群:75.0%,

オッズ比:3.82,p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 15.2.2.5: 1)。

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表 4.5: 12 投与 24 週における HbA1c の治療目標効果の達成例数と有効性反応の発現例

数と割合(FAS-NCF)

Placebo Linagliptin

na) (%) Nb) na) (%) Nb)

Response criterion

HbA1c<7.0% 39 (30.5) 128 108 (42.9) 252

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 39 (30.5) 128 108 (42.9) 252

HbA1c<6.5% 18 (14.1) 128 44 (17.5) 252

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 18 (14.1) 128 44 (17.5) 252

Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 18 (14.1) 128 44 (17.5) 252

HbA1c reduction from baseline ≥0.5% 65 (50.8) 128 189 (75.0) 252

a)治療目標効果の達成例数または有効性反応の発現例数

b)解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.4.1.2.2: 1 より作成

(c)その他の評価項目

救援治療薬の使用

救援治療薬を使用した患者の割合は,プラセボ群で 14.1%,リナグリプチン群で 7.9%であった

(オッズ比:0.446,p=0.0352)(CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 15.2.3.1: 1,15.2.3.1: 2)。

体重およびウエスト周囲径

投与 24 週後における体重およびウエスト周囲径のベースラインからの平均変化量を表 4.5: 13

に示した。

投与 24 週後の体重の平均値はベースラインに比較して,プラセボ群で 1.2 kg,リナグリプチン

群で 2.4 kg 増加したが,ベースラインおよび試験終了時の体重は,リナグリプチン群がプラセ

ボ群より少なかった。

投与 24 週後の平均ウエスト周囲径はベースラインに比較して,プラセボ群で 0.2 cm 減少した

が,リナグリプチン群では 1.0 cm 増加した。

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367

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表 4.5 13 投与 24 週における体重およびウエスト周囲径のベースラインからの変化量

(FAS-OC)

Placebo Linagliptin

N Mean (SD) N Mean (SD)

Waist circumference [cm]

Change to Week 24 101 −0.2 (9.4) 227 1.0 (8.9)

Body weight [kg]

Change to Week 24 102 1.2 (3.9) 228 2.4 (3.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.4.1.3.2: 1 より作成

健康アンケートおよび医療資源利用

入院,救急処置室,往診を必要とした患者,また仕事ができなかった日数が少なかったため,

医療資源利用について十分な検討はできなかった。しかし,予定外の外来のあった患者数の割

合はリナグリプチン群(14.3%)に比較してプラセボ群(21.1%)が高かった(CTD 5.3.5.1-5,

試験 1218.15,Table 15.2.4.2:1)。なお,健康アンケートEQ-5Dの結果はCTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,

Table 15.2.4.1: 1 および Table 15.2.4.1: 2 に示している。

(3) 臨床薬理

(a) インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標

投与 24 週後のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースラインからの調整

平均変化量を表 4.5: 14 に示した。

ピオグリタゾンの既知の効果である HOMA-IR の減少が両群でみられ,その調整平均変化量は

プラセボ群の−2.58 に比較して,リナグリプチン群は−2.90 と大きかった(p=0.1623)。また,リ

ナグリプチン群の disposition index のベースラインからの変化量のプラセボ群に対する差は

2.69 と大きかった(p=0.0101)。

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368

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表 4.5: 14 投与 24 週におけるインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベ

ースラインからの調整平均変化量(FAS-OC)

Placebo Linagliptin

HOMA-IR [(mU/L) * (mmol/L)]

Number of patients 80 191

Baseline, mean (SE) 6.01 (1.53) 5.13 (0.35)

Adjusted mean change from baseline (SE) −2.58 (0.21) −2.90 (0.14)

Comparison vs. pbo

Adjusted mean (SE) −0.32 (0.23)

95% Confidence interval (−0.77, 0.13)

p-value 0.1623

HOMA-IS ([mU/L] / [mmol/L])

Number of patients 79 191

Baseline, mean (SE) 40.89 (6.11) 37.88 (3.19)

Adjusted mean change from baseline (SE) −1.44 (3.89) −2.17 (2.58)

Comparison vs. pbo

Adjusted mean (SE) −0.73 (4.28)

95% Confidence interval (−9.16, 7.70)

p-value 0.8647

Disposition index [(mmol/L) * (mmol/L)]

Number of patients 96 216

Baseline, mean (SE) 8.56 (0.57) 7.80 (0.27)

Adjusted mean change from baseline (SE) 3.87 (0.93) 6.56 (0.65)

Comparison vs. pbo

Adjusted mean (SE) 2.69 (1.04)

95% Confidence interval (0.65, 4.74)

p-value 0.0101

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 11.5.3.1: 1 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

治験薬の平均曝露期間はプラセボ群で 157.6 日,リナグリプチン群で 164.0 日であり,中央値

は両群とも 169.0 日であった。暴露日数が 20 週超から 26 週以下の患者の割合は,プラセボ群

で 87.7%,リナグリプチン群で 94.2%であった。リナグリプチン群の曝露量は 116.3 患者・年で

あった(CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.1: 1)。

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 7 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中の有害事象とした。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

369

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有害事象の概略

有害事象の発現率は両群でほぼ同じであった(プラセボ群:53.1%,リナグリプチン群:52.5%)

(表 4.5: 15)。ほとんどの有害事象は軽度または中等度であり,高度の事象はプラセボ群で 1

例(0.8%),リナグリプチン群で 3 例(1.2%)に発現したのみであった。治験担当医師により

治験薬との因果関係ありと判定された有害事象の発現率はプラセボ群で 4.6%,リナグリプチン

群で 6.2%であった。治験中止に至った有害事象はプラセボ群で 5 例(3.8%),リナグリプチン

群で 4 例(1.5%)に発現した。重篤な有害事象の発現率はプラセボ群およびリナグリプチン群

で,それぞれ 2.3%,3.1%であり,致死的な重篤な有害事象はなかった。治験実施計画書で規定

した重要な有害事象がプラセボ群で 2 例(1.5%),リナグリプチン群で 1 例(0.4%)にみられ、

その他の重要な有害事象がプラセボ群で 4 例(3.1%),リナグリプチン群で 2 例(0.8%)にみ

られた。

表 4.5: 15 有害事象の概略(Treated Set)

Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

Number of patients 130 (100.0) 259 (100.0)

Patients with any AE 69 ( 53.1) 136 ( 52.5)

Patients with severe AEs 1 (0.8) 3 (1.2)

Patients with investigator defined drug-related AEs 6 (4.6) 16 (6.2)

Patients with significant AEs a) 2 (1.5) 1 (0.4)

Patients with ‘other significant’ AEs (according to ICH E3) 4 (3.1) 2 (0.8)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 5 (3.8) 4 (1.5)

Patients with serious AEs 3 (2.3) 8 (3.1)

Requiring hospitalisation 3 (2.3) 8 (3.1)

a)治験担当医師の報告に基づく過敏性反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.2.1: 1 より作成

高頻度に発現した有害事象

いずれかの群で発現率が 2%超の有害事象を表 4.5 16 に示した。高頻度に発現した有害事象は,

基本語で鼻咽頭炎(プラセボ群:8.5%,リナグリプチン群:9.3%),上気道感染(それぞれ,

7.7%および 3.5%)であった。その他,リナグリプチン群で発現率が 2%超の有害事象は,高脂

血症(2.7%),ならびに背部痛,頭痛,高血圧および体重増加(いずれも 2.3%)であった。

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表 4.5: 16 治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で 2%超)(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

例数 130 (100.0) 259 (100.0)

有害事象発現例数 69 (53.1) 136 (52.5)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 32 (24.6) 54 (20.8)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 11 (8.5) 24 (9.3)

上気道感染 (Upper respiratory tract infection) 10 (7.7) 9 (3.5)

インフルエンザ (Influenza) 3 (2.3) 1 (0.4)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 13 (10.0) 21 (8.1)

便秘 (Constipation) 4 (3.1) 5 (1.9)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 12 (9.2) 25 (9.7)

骨関節炎 (Osteoarthritis) 4 (3.1) 2 (0.8)

関節痛 (Arthralgia) 3 (2.3) 3 (1.2)

背部痛 (Back pain) 2 (1.5) 6 (2.3)

代 謝 お よ び 栄 養 障 害 (Metabolism and nutrition disorders) 8 (6.2) 19 (7.3)

高脂血症 (Hyperlipidaemia) 1 (0.8) 7 (2.7)

高血糖 (Hyperglycaemia) 3 (2.3) 0 (0.0)

傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications) 10 (7.7) 11 (4.2)

挫傷 (Contusion) 3 (2.3) 2 (0.8)

神経系障害 (Nervous system disorders) 5 (3.8) 15 (5.8)

頭痛 (Headache) 3 (2.3) 6 (2.3)

血管障害 (Vascular disorders) 3 (2.3) 9 (3.5)

高血圧 (Hypertension) 3 (2.3) 6 (2.3)

臨床検査 (Investigations) 2 (1.5) 10 (3.9)

体重増加 (Weight increased) 1 (0.8) 6 (2.3)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.2.2: 1 より作成

高度な有害事象

高度の有害事象は,プラセボ群で 1 例(腱炎),リナグリプチン群で 3 例(上顆炎,背部痛,感

覚鈍麻)に発現した。

治験薬と因果関係がある有害事象

治験担当医師により治験薬と因果関係ありと判定された有害事象を表 4.5: 17 に示した。高頻度

に発現した治験薬と因果関係があると判定された有害事象は,体重増加(プラセボ群:0.8%,

リナグリプチン群:2.3%),低血糖症(それぞれ,0.0%および 1.2%)であった。

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表 4.5: 17 治験薬と因果関係のある有害事象(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

例数 130 (100.0) 259 (100.0)

治験薬と因果関係のある有害事象発現例 6 (4.6) 16 (6.2)

代 謝 お よ び 栄 養 障 害 (Metabolism and nutrition disorders)

2 (1.5) 5 (1.9)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 0 (0.0) 3 (1.2)

体液貯留 (Fluid retention) 0 (0.0) 2 (0.8)

高血糖 (Hyperglycaemia) 1 (0.8) 0 (0.0)

高カリウム血症 (Hyperkalaemia) 1 (0.8) 0 (0.0)

神経系障害 (Nervous system disorders) 0 (0.0) 2 (0.8)

頭痛 (Headache) 0 (0.0) 1 (0.4)

感覚鈍麻 (Hypoaesthesia) 0 (0.0) 1 (0.4)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 2 (1.5) 4 (1.5)

上腹部痛 (Abdominal pain upper) 1 (0.8) 1 (0.4)

便秘 (Constipation) 1 (0.8) 2 (0.8)

胃炎 (Gastritis) 0 (0.0) 1 (0.4)

悪心 (Nausea) 0 (0.0) 1 (0.4)

嘔吐 (Vomiting) 0 (0.0) 1 (0.4)

全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions) 2 (1.5) 3 (1.2)

全身性浮腫 (Generalised oedema) 1 (0.8) 0 (0.0)

末梢性浮腫 (Oedema peripheral) 1 (0.8) 2 (0.8)

顔面浮腫 (Face oedema) 0 (0.0) 1 (0.4)

限局性浮腫 (Localised oedema) 0 (0.0) 1 (0.4)

臨床検査 (Investigations) 1 (0.8) 6 (2.3)

体重増加 (Weight increased) 1 (0.8) 6 (2.3)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.2.2: 2 より作成

治験中止に至った有害事象

治験中止に至った有害事象を表 4.5: 18 に示した。プラセボ群で発現した緑内障,リナグリプチ

ン群で発現した急性冠動脈症候群および感覚鈍麻は入院を要したため重篤な有害事象でもあっ

た。治験中止に至った有害事象のうち,緑内障と急性冠動脈疾患以外の有害事象はいずれも治

験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された。なお,これら治験中止に至った有害

事象はすべて試験中止後に回復した。

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表 4.5: 18 治験中止に至った有害事象(Treated Set)

Patient no.

Age [years] / gender

AE Preferred Term a) Start day

Duration[days]

Intensity Outcome Remark

Treatment at onset: Placebo

54909 52/M 緑内障 (Glaucoma) 3 104 Moderate Recovered SAE b)

50206 68/F 上腹部痛 (Abdominal pain upper) 50 93 Mild Recovered -

58002 59/F 全身性浮腫 (Generalised oedema) 144 54 Moderate Recovered -

55204 68/F 末梢性浮腫 (Oedema peripheral) 46 3 Mild Recovered -

体重増加 (Weight increased) 47 11 Mild Recovered -

51401 65/M 高血糖 (Hyperglycaemia) 17 3 Mod Recovered -

Treatment at onset: Linagliptin

54604 67/M 急性冠動脈症候群 (Acute coronary syndrome) 1 9 Moderate Recovered SAE b)

51301 63/F 胃炎 (Gastritis) 3 8 Mild Recovered -

悪心 (Nausea) 3 8 Moderate Recovered -

嘔吐 (Vomiting) 3 1 Mild Recovered -

頭痛 (Headache) 3 8 Mild Recovered -

55137 59/M 末梢性浮腫 (Oedema peripheral) 23 73 Mild Recovered -

51307 43/F 感覚鈍麻 (Hypoesthesia) 2 8 Severe Recovered SAE b)

a)MedDRA version

b)入院を要した有害事象(重篤な有害事象)

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.2.2: 3 より作成

低血糖イベント

治験担当医師の判定による低血糖イベント(低血糖症および低血糖症の症状に関連する有害事

象)は,リナグリプチン群で 3 例(1.2%)認められた(表 4.5: 19)。これらの低血糖イベント

はいずれも救援治療薬未投与下に発現し,その重症度はいずれも軽度であった。これら 3 例は

いずれも 60 歳以上の患者であった。

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表 4.5: 19 治験担当医師により判定された低血糖イベントを発現した患者(Treated

Set)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N (%) 130 (100.0) 259 (100.0)

Number of patients with any investigator-defined hypoglycaemia, N (% of patients treated) a)

0 (0.0) 3 (1.2)

Any asymptomatic hypoglycaemia, N (% of patients with hypoglycaemia) b) 0 (0.0) 0 (0.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemia and measured plasma glucose ≥54 mg/dL and ≤70 mg/dL, N (% of patients with hypoglycaemia) c)

0 (0.0) 1 (33.3)

Any documented symptomatic hypoglycaemia and measured plasma glucose <54 mg/dL, N (% of patients with hypoglycaemia) d)

0 (0.0) 0 (0.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemia and not measured plasma glucose (worst episode)

0 (0.0) 2 (66.7)

Any severe hypoglycaemic episode, N (% of patients with hypoglycaemia) e) 0 (0.0) 0 (0.0)

Number of hypoglycaemic episodes per patient, N (% of patients with hypoglycaemia)

1 0 (0.0) 2 (66.7)

2 to 3 0 (0.0) 1 (33.3)

≥4 0 (0.0) 0 (0.0)

a)各カテゴリーまたは各イベントに重複例あり

b)低血糖症の症状を伴っていないが,血糖値 70 mg/dL 以下

c)低血糖症の症状を伴う。

d)低血糖症の症状を伴うが,他者による介助は不要

e)ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処置に他者による介助が必要

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.2.2: 4 より作成

臨床イベント委員会で審査・判定された心血管イベントまたは脳血管イベント

リナグリプチン群の 2 例でみられた心血管イベントが臨床イベント委員会で審査され,安定狭

心症と非 ST 上昇型心筋梗塞であると判定された。安定狭心症と判定された有害事象は軽度で,

重篤な有害事象とされなかった。非 ST 上昇型心筋梗塞と判定された有害事象は中等度で,重

篤な有害事象とされ,治験中止に至った。

(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

本試験において死亡例はなかった。

重篤な有害事象

重篤な有害事象は,プラセボ群で 3 例(2.3%),リナグリプチン群で 8 例(3.1%)に発現した。

リナグリプチン群での重篤な有害事象は,急性冠動脈症候群(臨床イベント委員会で非 ST 上

昇型心筋梗塞と判定)等の 9 件であった(表 4.5: 20)。重篤な有害事象のうち感覚鈍麻を除い

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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て,いずれも治験薬との因果関係は否定された。また,これらすべての重篤な有害事象は入院

を要したが,試験終了時にはいずれも回復した。

表 4.5: 20 重篤な有害事象(Treated Set)

Patient no.

Age [years] /gender

AE preferred term a) Start day

Duration[days]

Intensity Drug related

Action taken b)

Outcome

Treatment at onset: Placebo

54909 52/M 緑内障 (Glaucoma) 3 104 Moderate No Disc Recovered

51014 56/M 急性胆嚢炎 (Cholecystitis acute) 137 14 Moderate No Rein Recovered

胆石症 (Cholelithiasis) 137 14 Moderate No Rein Recovered

51108 58/M 腱炎 (Tendonitis) 25 1 Severe No Cont Recovered

Treatment at onset: Linagliptin

54604 67/M 急性冠動脈症候群 (Acute coronary syndrome)

1 9 Moderate No Disc Recovered

51608 64/M 上腹部痛 (Abdominal pain upper) 41 5 Mild No Cont Recovered

嘔吐 (Vomiting) 41 5 Mild No Cont Recovered

55124 62/M 結腸ポリープ (Colonic polyp) 105 37 Mild No Cont Recovered

53114 68/F 胆石症 (Cholelithiasis) 168 32 Moderate No Cont Recovered

53614 67/M 頚動脈狭窄 (Carotid artery stenosis) 52 61 Moderate No Cont Recovered

51307 43/F 感覚鈍麻 (Hypoaesthesia) 2 8 Severe Yes Disc Recovered

50704 60/M 半月板切除 (Meniscus removal) 123 1 Moderate No Cont Recovered

53601 48/M 静脈瘤 (Varicose vein) 153 2 Moderate No Cont Recovered

a)MedDRA version

b)Disc:投与中止,Rein:再投与,Cont:投与継続

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.3.2: 1 より作成

治験実施計画書で規定した重要な有害事象

治験実施計画書で規定した重要な有害事象(過敏症反応,肝酵素上昇,急性腎不全)は SMQs

(MedDRA 標準検索式)で検索した。該当する有害事象はプラセボ群の 1 例(男,56 歳)にみ

られた紅斑のみで重要な有害事象の過敏症反応に該当した。

(d) 臨床検査値

臨床的に重要な臨床検査値変動(ベーリンガーインゲルハイム社の社内基準に基づく)の発現

頻度を表 4.5: 21 に示した。臨床的に重要な臨床検査値変動の頻度は両群で低かった。血清カリ

ウム上昇が,プラセボ群で 2.5%,リナグリプチン群で 2.8%の患者で認められた。肝酵素に関

しては臨床的に重要な上昇として,リナグリプチン群の 1 例(0.4%)で AST 上昇(91 UL/L,

ULN の約 2.5 倍)が,プラセボ群の 2 例(1.7%)およびリナグリプチン群の 1 例(0.4%)で

GGT 上昇(ULN の 3 倍以上)がみられた。なお,本試験において Hy’s law ケースに該当する

患者はみられなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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クレアチンキナーゼについては,プラセボ群 2 例(1.7%),リナグリプチン群 4 例(1.6%)で

臨床的に重要な上昇(ULN の 3 倍以上)がみられた。また,アミラーゼの臨床的に重要な上昇

がリナグリプチン群で 3 例(1.2%)にみられた。

トリグリセリドの臨床的に重要な上昇が,プラセボ群で 12 例(9.9%),リナグリプチン群で 13

例(5.1%)にみられた。また,総コレステロールの臨床的に重要な上昇がプラセボ群の 1 例(0.8%)

にみられた。

表 4.5: 21 臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度(Treated Set)

Placebo (N=121) Linagliptin (N= 253)

Decrease n (%)

Increase n (%)

Decrease n (%)

Increase n (%)

Haematology

Haematocrit 1 (0.8) n.a. 9 (3.6) n.a.

Haemoglobin 0 (0.0) 0 (0.0) 4 (1.6) 0 (0.0)

Red blood cells 0 (0.0) n.a. 1 (0.4) n.a.

White blood cells 0 (0.0) 0 (0.0) 6 (2.4) 0 (0.0)

Eosinophils n.a. 3 (2.5) n.a. 4 (1.6)

Platelets a) 1 (0.8) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)

Clinical chemistry

Amylase n.a. 0 (0.0) n.a. 3 (1.2)

AST n.a. 0 (0.0) n.a. 1 (0.4)

GGT b) n.a. 2 (1.7) n.a. 1 (0.4)

Creatine kinase n.a. 2 (1.7) n.a. 4 (1.6)

Potassium 0 (0.0) 3 (2.5) 0 (0.0) 7 (2.8)

Creatinine n.a. 1 (0.8) n.a. 1 (0.4)

Calcium 1 (0.8) 0 (0.0) 1 (0.4) 0 (0.0)

Phosphate 1 (0.8) 0 (0.0) 1 (0.4) 0 (0.0)

Uric acid 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (0.4)

Total cholesterol n.a. 1 (0.8) n.a. 0 (0.0)

Plasma triglycerides n.a. 12 (9.9) n.a. 13 (5.1)

略語:N/A=基準無し、N=治療中に測定を1回以上実施した患者数,n = 臨床的に重要な減少/低下または増加/

上昇した患者数

a)リナグリプチン群の血小板数の評価例数は 252 例

b)γ-Glutamyl-transferase

引用元:CTD 5.3.5.1-5,試験 1218.15,Table 12.4: 1 より作成

プラセボ群の平均 NTproBNP は,ベースラインで 12.8 pg/mL(SD 37.1)であり,ベースライン

からの変化量は投与 6 週の 0.8 pg/mL から投与 24 週の−3.1 pg/mL の範囲にあった。リナグリプ

チン群の平均 NTproBNP は,ベースラインで 9.9 pg/mL(SD 17.3)であり,ベースラインから

の変化量は投与 6 週の 1.4 pg/mL から投与 24 週の 0.3 pg/mL の範囲にあった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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両群ともに総コレステロール,HDL-コレステロールおよび LDL-コレステロールの平均値は,

ベースラインおよび投与終了時ともに正常値域内あって,ベースラインからの平均変化量はわ

ずかであった。プラセボ群およびリナグリプチン群のトリグリセリドのベースラインにおける

平均値は,それぞれ 236 mg/dL および 228 mg/dL であったが,両群ともに投与終了時に,それ

ぞれ平均 18 mg/dL および 35 mg/dL 減少した。

試験期間中,両群のほとんどの患者(プラセボ群:95.7%,リナグリプチン群:93.4%)で,腎

機能は正常(stage 1,eGFR ≥90 mL/min)ないし軽度の障害(stage 2,eGFR 60~89 mL/min)に

維持され,高度の腎障害(stage 4/5,< 30 mL/min)を示した患者はなかった。

(e) バイタルサイン

両群ともに収縮期血圧,拡張期血圧および脈拍数の平均値のベースラインからの変動で特に臨

床上問題となる変動はみられなかった。平均収縮期血圧のベースラインからの変化量はプラセ

ボ群で−0.03~0.94 mmHg,リナグリプチン群で−1.35~0.0 mmHg であった。また,平均拡張期

血圧のベースラインからの変化量はプラセボ群で−0.77~0.42 mmHg,リナグリプチン群で−1.41

~−1.29 mmHg であった。

3) 結論

血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象として,ピオグリタゾン 30 mg の併用療法を試

験開始時から実施したリナグリプチン 5 mg 1 日 1回 24週間投与後における HbA1cの低下では,

プラセボに対し統計学的に有意に優れていた。リナグリプチンの忍容性は高く,安全性におい

て特に臨床的な問題はみられなかった。リナグリプチンによる低血糖症の発現もほとんどなか

った。

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4.6 試験 1218.16

(CTD 5.3.5.1-6)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.6: 1 示した

表 4.6: 1 試験方法の概略(1/5)

目的 血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象としたリナグリプチン 5 mg を 24 週間単独

投与したときの有効性,安全性および忍容性のプラセボとの比較検討

試験デザイン 第 III 相,ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,並行 2 群間比較試験

対象 選択基準

(1) 未治療または経口糖尿病治療薬 1 剤以下による治療を受けている 2 型糖尿病の患者(性

別は問わない)で,同意取得前 10 週間以上糖尿病の治療法を変更していない患者

(2) 同意取得前に 2 型糖尿病と診断された患者。スクリーニング(Visit 1a)までに GCP お

よび各地域の要件に従って文書による同意を本人から取得している患者

(3) スクリーニング時(Visit 1a)の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

糖尿病治療薬による前治療のウォッシュアウトを必要とする患者:HbA1c 6.5~9.0%

糖尿病治療薬による前治療のウォッシュアウトを必要としない患者:HbA1c 7.0~10.0%

(4) プラセボ導入期開始時(Visit 2)の HbA1c が 7.0~10.0%である患者

(5) スクリーニング時(Visit 1a)の年齢が 18~80 歳である患者

(6) スクリーニング時(Visit 1a)の BMI が 40kg/m2 以下である患者

除外基準

(1) 同意取得前 6 カ月以内に心筋梗塞,脳卒中,または一過性脳虚血発作を発現した患者

(2) Visit 1a 時の血清 ALT(SGPT),AST(SGOT),またはアルカリホスファターゼ(ALP)

のいずれかが基準範囲上限(ULN)の 3 倍を超える肝機能障害を有する患者

(3) 治験薬またはその賦形剤に対する過敏症またはアレルギーの既往を有する患者

(4) 同意取得前 10 週間以内に糖尿病治療薬1剤を超える治療を受けた患者

(5) 同意取得前 3 カ月以内に rosiglitazone,ピオグリタゾン,GLP-1 アナログ,インスリン,

または抗肥満薬(例:sibutramine,rimonabant,オルリスタット)による治療を受けた

患者

(6) 同意取得前 3 カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用

歴を有する患者

(7) 同意取得前 2 カ月以内に治験薬を用いた他の治験へ参加した患者

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表 4.6: 1 試験方法の概略(2/5)

対象(続き) (8) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれか

に該当する患者:

- 授乳中または妊娠中の患者

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(9) 同意取得時に全身性ステロイドで治療中の患者,または同意取得前 6 週間以内に甲状腺

ホルモンの投与量を変更した患者

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 5 mg 錠に対応したプラセボ錠

症例数 目標症例数:割付け例 450 例

登録例 935 例

割付け例 治験薬投与例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン群 336 例 336 例 333 例

プラセボ群 167 例 167 例 163 例

計 503 例 503 例 496 例

投与方法

ウォッシュアウト期・プラセボ導入期

経口糖尿病治療薬による治療を受けている患者には最後の 2 週間をプラセボ導入期間と

する 6 週間ウォッシュアウトを行い,経口糖尿病治療薬による治療を受けていない患者

には導入期として 2 週間のプラセボ投与のみ行った。

投与期

リナグリプチン群の患者はリナグリプチン 5 mg 錠を,プラセボ群の患者はリナグリプ

チン 5 mg 錠に対応した識別不能なプラセボ錠を,1 日 1 回 150 mL の水とともに服用し

た。

併用療法 試験期間中は,救援治療薬を除く糖尿病治療(例:経口糖尿病治療薬やインスリン)を禁

止した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

経口糖尿病治療薬による治療を受けていた患者はプラセボ導入期の前に 4 週間のウォッシ

ュアウト期間

・投与期間:24 週間

・追跡期間:1 週間

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表 4.6: 1 試験方法の概略(3/5)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

スクリーニング・

ウォッシュアウト期

プラセボ

導入期 投与期 追跡期

Visit 1aa) 1ba) 2 3 4 5 6 7b), c) 8b), c)

Study week −7 −6 −2 6 12 18 24 25

Days from randomisation −49 −42 −14 0 42 84 126 168 175

人口統計学的特性 X X

身長 X

体重 X X X

ウエスト周囲径 X X

臨床検査 Xd) X X X X X Xe)

HbA1c X X X X X X X

空腹時血糖 f) X X X X X X X

MTT X X

DPP-4 活性 X X X

身体所見 X X

バイタルサイン X X X X X X X Xe)

12 誘導心電図 X X X

脂質プロファイル f) X X X

妊娠検査 g) X X X

インスリン/プロインスリン h) X X

リナグリプチンの 薬物濃度測定用採血 i)

Xh) Xh)

遺伝子解析用採血 j) X

有害事象 Xk) X X X X X X X

併用薬 X X X X X X X X X

a)スクリーニングは Visit 1a および 1b の 2 回に分けた b)早期中止例には Visit 7(および追跡として Visit 8)の検査項目を実施 c)Visit 8 は本試験を完了し非盲検延長投与試験(1218.40)に移行する患者のみ実施する。非盲検延

長投与試験に移行しないが,24 週間の投与を予定通り終了した患者には電話で Visit 8 を実施する

(有害事象情報の収集のみを実施) d)Visit 1a での安全性評価のための臨床検査は,AST,ALT,ALP,血清クレアチニンのみ実施 e)Visit 8 の安全性評価のための臨床検査,バイタルサインの測定は医療機関への来院時にのみ必要 f)空腹時の血液検体を採取(10 時間絶食とし,飲水のみ) g)妊娠検査は妊娠の可能性のある女性にのみに実施 h)採血は治験薬投与前に実施(トラフ時採血) i)薬物濃度測定用の採血は全患者に実施したが,濃度測定はリナグリプチン投与群のみ実施(測定担

当者には開鍵) j)遺伝子解析は任意の解析項目 k)重篤な有害事象のみ対象とする

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表 4.6: 1 試験方法の概略(4/5)

評価項目

評価基準

有効性

主要評価項目

HbA1c のベースラインからの変化量(投与 24 週後−ベースライン)

副次評価項目

治療目標効果の達成率(投与 24 週後の HbA1c が 7.0%未満または 6.5%未満に低下し

た患者)

相対的有効性反応の発現(投与 24 週後の HbA1c が 0.5%以上低下した患者)

HbA1c の変化量の Visit ごとの推移

空腹時血糖(FPG)のベースラインからの変化量(投与 24 週後−ベースライン)

食事負荷試験(MTT):食後 2 時間の血糖(2hPPG)のベースラインからの変化(投

与 24 週後−ベースライン)

その他の評価項目

救援治療薬の投与

HOMA Index(ベースラインおよび投与 24 週後のインスリン抵抗性 HOMA-IR および

インスリン分泌 HOMA-IS)

disposition index(ベースラインおよび投与 24 週後のインスリン感受性およびβ細胞

機能より算出)

体重のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

ウエスト周囲径のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

脂質パラメータのベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

食事負荷試験(MTT):グルコース AUC,インスリン AUC,C-ペプチド AUC,イン

スリン AUC/グルコース AUC 比のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースラ

イン)

プロインスリン/インスリン比の Visit ごとの推移

リナグリプチンの PK/PD 評価(投与 12 週後および 24 週後のトラフ血漿中濃度およ

び DPP-4 阻害率)

安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験薬の投与中止,身体所見,12 誘

導心電図,バイタルサイン,臨床検査

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表 4.6: 1 試験方法の概略(5/5)

解析方法 主要評価項目:薬剤および糖尿病の前治療薬を固定効果とし,ベースラインの HbA1c を共

変量とした ANCOVA を行い,プラセボに対するリナグリプチンの優越性を検定した。

副次評価項目およびその他の評価項目:主要評価項目と同様の ANCOVA を探索的に行っ

た。救援治療薬の投与についてはロジスティック回帰およびカプラン・マイヤー法を用い

た。

安全性評価項目:記述統計法を用いた。

症例数設定の

根拠

投与 24 週間後の HbA1c のベースラインからの変化量の差を 0.7%,差の標準偏差を 1.0%と

仮定し,95%以上の検出力を得るためにはプラセボ群 150 例,リナグリプチン群 300 例を

必要とした。また,安全性データベースに関するプロジェクトで必要とされた症例数を満

たす症例数とした。

治験調整医師

治験実施施設 66 施設(クロアチア,インド,イタリア,イスラエル,マレーシア,ポーランド,ルーマ

ニア,スロバキア,ウクライナ,タイ,オランダ)

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

患者の内訳を図 4.6: 1 に示した。本試験に計 935 例が登録され,うち 503 例がプラセボ群また

はリナグリプチン群に 1:2 の割合でランダム化割付けされ,プラセボ群 167 例,リナグリプチ

ン群 336 例に治験薬が投与された。432 例は割付けされなかったが,その主な理由は選択基準

/除外基準に合致しなかったためであった。治験薬投与例のうちプラセボ群 152 例,リナグリ

プチン群 318 例が治験実施計画書で規定したスケジュールを完了し,治験中止例はプラセボ群

で 15 例(9.0%),リナグリプチン群で 18 例(5.4%)であった。主な中止理由は有害事象(プ

ラセボ群:2.4%,リナグリプチン群:1.5%),同意撤回(それぞれ,2.4%および 1.8%)であっ

た。

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登録例 935 例 非割付け例 432 例

ランダム化割付け/投与例 503 例

プラセボ群 リナグリプチン群

167 例 (100.0%) 336 例 (100.0%) 中止例:15 例 (9.0%) 中止例:18 例 (5.4%) 中止理由 中止理由

・有害事象 : 4 例 ・有害事象 : 5 例 ・効果不十分 a) : 2 例 ・効果不十分 : 0 例 ・追跡不能 : 1 例 ・追跡不能 : 2 例 ・同意撤回 : 4 例 ・同意撤回 : 6 例 ・その他 : 4 例 ・その他 : 5 例

投与完了例 投与完了例 152 例 (91.0%) 318 例 (94.6%)

a)高血糖による中止例を含む

図 4.6: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-6, 試験 1218.16,Table 10.1: 3 より作成

(b) 治験実施計画書からの逸脱

ランダム化割付けされた 503 例中,計 32 例(プラセボ群:6.6%,リナグリプチン群:6.3%)

に有効性評価に関連する治験実施計画書からの重大な逸脱が 1 件以上みられた。主な治験実施

計画書からの重大な逸脱は,「治験薬および割付けに関する逸脱」(プラセボ群:5.4%,リナグ

リプチン群:5.4%)および「併用薬に関する事項」(プラセボ群:1.2%,リナグリプチン群:

0.9%)であった(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 10.2: 1)。

(c) 解析対象集団

ランダム化割付けされた全例(503 例)が治験薬の投与を受けた(Treated Set)。そのうちベー

スラインおよび投与期に HbA1c の測定が行われた患者を最大の解析対象集団(FAS)と定義し

た。また,早期中止に至らず,治験薬を 149 日間以上投与され,投与終了後の有効な HbA1c

の値が存在する患者を FAS-completers と定義した。治験実施計画書の規定から有効性の評価に

影響する重大な逸脱がみられなかった患者を実施計画書に合致した解析集団(PPS)と定義し

た。また,FAS のうちベースラインおよび投与期に食事負荷試験が適切に実施された患者を

MTT 集団と定義した。その結果,Treated Set は 503 例,FAS は 496 例,FAS-completers は 460

例,PPS は 466 例,および MTT 集団は 102 例となった(表 4.6: 2)。

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表 4.6: 2 各解析対象集団の例数

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Total

N (%)

Randomised set 167 (100.0) 336 (100.0) 503 (100.0)

Treated set 167 (100.0) 336 (100.0) 503 (100.0)

FAS 163 (97.6) 333 (99.1) 496 (98.6)

FAS-completers 148 (90.8) 312 (93.7) 460 (92.7)

PPS 152 (93.3) 314 (94.3) 466 (94.0)

MTT-set 29 (17.8) 73 (21.9) 102 (20.6)

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性

人口統計学的特性

Treated Set における人口統計学的特性を表 4.6: 3 に示した。両群の人口統計学的特性はほぼ類

似していた。男性が 48.3%を占めた。両群の患者集団はアジア人(46.1%)および白人(53.7%)

から構成されていた(プラセボ群にアメリカ/アラスカ先住民が 1 例)。65 歳未満の割合はプ

ラセボ群で 83.8%,リナグリプチン群で 76.8%,65~74 歳の割合はプラセボ群で 15.6%,リナ

グリプチン群で 21.1%,75 歳以上の割合はプラセボ群で 0.6%,リナグリプチン群で 2.1%であ

った。

腎機能が正常の患者(MDRD 式で計算した糸球体濾過率の予測値(eGFR 値)が 90 mL/min 以

上)の割合が 43.1%であり,軽度障害(eGFR が 60 mL/min 以上 90 mL/min 未満)の患者が 49.3%,

中等度障害(eGFR が 30 mL/min 以上 60 mL/min 未満)の患者が 3.6%であった。高度障害(eGFR

が 30 mL/min 未満)の患者はいなかった。

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表 4.6: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total Number of patients, N (%) 167 (100.0) 336 (100.0) 503 (100.0) Gender, N (%)

Male 79 (47.3) 164 (48.8) 243 (48.3) Female 88 (52.7) 172 (51.2) 260 (51.7)

Race, N (%) American Indian/Alaska Native 1 (0.6) 0 (0.0) 1 (0.2) Asian 76 (45.5) 156 (46.4) 232 (46.1) White 90 (53.9) 180 (53.6) 270 (53.7)

Ethnicity, N (%) Not Hispanic/Latino 163 (97.6) 330 (98.2) 493 (98.0) Hispanic/Latino 4 (2.4) 6 (1.8) 10 (2.0)

Age [years] Mean (SD) 54.4 (10.3) 56.4 (10.1) 55.7 (10.2)

Age groups [years], N (%) <65 140 (83.8) 258 (76.8) 398 (79.1) 65 to 74 26 (15.6) 71 (21.1) 97 (19.3) ≥75 1 (0.6) 7 (2.1) 8 (1.6)

Baseline weight [kg] Mean (SD) 79.21 (15.95) 78.53 (16.73) 78.76 (16.46)

Baseline weight, categorical [kg], N (%) ≤70 56 (33.5) 113 (33.6) 169 (33.6) >70 to 80 40 (24.0) 80 (23.8) 120 (23.9) >80 to 90 29 (17.4) 72 (21.4) 101 (20.1) >90 42 (25.1) 71 (21.1) 113 (22.5)

Baseline BMI [kg/m2] Mean (SD) 29.08 (4.84) 29.04 (4.80) 29.05 (4.81)

Baseline BMI, categorical [kg/m2], N (%) <25 41 (24.6) 71 (21.1) 112 (22.3) 25 to <30 60 (35.9) 130 (38.7) 190 (37.8) ≥30 66 (39.5) 135 (40.2) 201 (40.0)

Baseline eGFR (MDRD staging) [mL/min], N (%) ≥90 76 (45.5) 141 (42.0) 217 (43.1) 60 to <90 83 (49.7) 165 (49.1) 248 (49.3) 30 to <60 4 (2.4) 14 (4.2) 18 (3.6)

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.2: 1 より作成

ベースライン値

HbA1c のベースラインの平均値は,両群とも 8.0%であった。HbA1c のベースライン値が 7.0%

以上 8.0%未満の患者が多く,プラセボ群で 42.9%,リナグリプチン群で 45.6%を占めた。空腹

時血糖のベースライン値はプラセボ群およびリナグリプチン群で,それぞれ 168.7 mg/dL およ

び 164.7 mg/dL でほぼ同じであった。糖尿病治療薬の投与を受けていなかった患者の割合は両

群でほぼ同じであった(プラセボ群:57.1%,リナグリプチン群:56.2%)(表 4.6: 4)。なお,

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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両群の計 496 例中,32.3%の患者がメトホルミン,10.9%の患者がスルホニル尿素薬の投与を受

けていた(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.1.4.2:2)。

表 4.6: 4 ベースライン値および糖尿病前治療薬の有無(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Baseline HbA1c [%]

Number of patients, N (%) 163 (100.0) 333 (100.0) 496 (100.0)

Mean (SD) 8.00 (0.86) 8.00 (0.87) 8.00 (0.87)

Baseline HbA1c ,categorical, N (%)

<7.0 16 (9.8) 27 (8.1) 43 (8.7)

7.0 to <8.0 70 (42.9) 152 (45.6) 222 (44.8)

8.0 to <9.0 53 (32.5) 99 (29.7) 152 (30.6)

≥9.0 24 (14.7) 55 (16.5) 79 (15.9)

Number of prior antidiabetic drugs, N (%)

Number of patients, N (%) 163 (100.0) 333 (100.0) 496 (100.0)

0 93 (57.1) 187 (56.2) 280 (56.5)

1 a) 70 (42.9) 146 (43.8) 216 (43.5)

Baseline FPG [mg/dL]

Number of patients, N (%) 159 (100.0) 326 (100.0) 485 (100.0)

Mean (SD) 168.7 (39.3) 164.7 (41.9) 166.0 (41.1)

a)2 剤以上の糖尿病治療薬の投与を受けていた 1 例(患者番号 63082:プラセボ群)を含む

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.2: 2 より作成

糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症

両群の糖尿病の診断から同意取得までの期間の分布はほぼ同じであり,1 年以下が 36.1%,1 年

超 5 年以下が 38.7%,5 年超が 25.2%であった(表 4.6: 5)。

表 4.6: 5 糖尿病の診断から同意取得までの期間(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 163 (100.0) 333 (100.0) 496 (100.0)

Time since diagnosis of diabetes, N (%)

Up to 1 year 59 (36.2) 120 (36.0) 179 (36.1)

>1 to 5 years 63 (38.7) 129 (38.7) 192 (38.7)

>5 years 41 (25.2) 84 (25.2) 125 (25.2)

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.2: 3 より作成

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ベースラインにおける糖尿病関連合併症では,大血管疾患を有している患者の割合がリナグリ

プチン群(79.8%)に比較してプラセボ群(91.1%)で高かったが,その他の糖尿病関連合併症

の割合はほぼ同じであった(表 4.6: 6)。

表 4.6: 6 ベースラインにおける糖尿病関連合併症(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 167 (100.0) 336 (100.0) 503 (100.0)

Patients with

Microvascular diseasea), N (%) 29 (17.4) 55 (16.4) 84 (16.7)

Macrovascular diseaseb), N (%) 152 (91.1) 268 (79.8) 420 (83.5)

Diabetic foot, N (%) 2 (1.2) 1 (0.3) 3 (0.6)

Metabolic syndrome, N (%) 103 (61.7) 209 (62.2) 312 (62.0)

注)糖尿病関連合併症の重複例もある

a)糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症および糖尿病性神経障害

b)冠状動脈疾患,末梢動脈閉塞性疾患,脳血管疾患および高血圧

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.2: 4 より作成

インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値

患者のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値を表 4.6: 7 に示し

た。バイオマーカー(プロインスリン,インスリン,プロインスリン/インスリン比,C-ペプチ

ド,HOMA-IS,HOMA-IR および Disposition index)のベースライン値は両群でほぼ同じであっ

た。

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387

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表 4.6: 7 インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値(FAS)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N(%) 163 (100.0) 333 (100.0)

Baseline C-peptide [pmol/L]

Mean (SD) 940.6 (364.3) 947.75 (465.2)

gMean (gCV) 879.6 (38.0) 874.16 (39.2)

Baseline proinsulin [pmol/L]

Mean (SD) 14.1 (12.6) 15.2 (12.0)

gMean (gCV) 11.2 (70.6) 11.9 (77.2)

Baseline insulin [mU/L]

Mean (SD) 15.1 (9.2) 15.9 (13.3)

gMean (gCV) 13.2 (53.2) 13.2 (59.3)

Baseline proinsulin/insulin ratio

Mean (SD) 0.2 (0.1) 0.2 (0.1)

gMean (gCV) 0.2 (60.6) 0.2 (68.1)

Baseline HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)]

Mean (SD) 6.7 (5.4) 6.9 (7.3)

gMean (gCV) 5.5 (66.2) 5.3 (73.7)

Baseline HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)]

Mean (SD) 56.0 (36.3) 61.56 (51.11)

gMean (gCV) 47.4 (62.0) 51.3 (61.8)

DI [(1/((mmol/L)×(mmol/L))]

Mean (SD) 10.5 (6.0) 12.0 (10.3)

gMean (gCV) 9.0 (63.0) 9.7 (70.7)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.2: 5 より作成

(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は,プラセボ導入期の終わりと投与期の来院時に評価し,治験薬服薬率が 80~

120%に含まれる場合に「良好」とした。全体で,97.5%を超える患者において,「良好」であっ

た(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.1.5:1)。

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388

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(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主解析:HbA1c の変化量

投与 24 週後の HbA1c のベースラインからの変化量を薬剤および糖尿病の前治療薬の数を固定

効果とし,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析結果を表 4.6: 8 に示した。HbA1c

のベースラインの平均値は両群ともに 8.00%であった。HbA1c のベースラインからの調整平均

変化量のリナグリプチン群とプラセボ群との差は−0.69%(95%信頼区間:−0.85~−0.53%)であ

り,HbA1c の低下に関してプラセボ群に対するリナグリプチン群の優越性が検証された

(p<0.0001)。

表 4.6: 8 投与 24 週における HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients 163 333

Number of patients with baseline and on-treatment results 163 333

Baseline

Mean (SE) 8.00 (0.07) 8.00 (0.05)

Change from baseline

Mean (SE) 0.22 (0.08) -0.46 (0.05)

Adjusteda)mean (SE) 0.25 (0.07) -0.44 (0.05)

Comparison vs. placebo (difference linagliptin - placebo)

Adjusteda)mean (SE) -0.69 (0.08)

95% Confidence interval -0.85, -0.53

p-value <0.0001

a)ANCOVA: 薬剤,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

副次解析

• 投与 24 週後の HbA1c の感度分析

PPS および FAS-completers で行った感度分析において,投与 24 週後の HbA1c のベースライン

からの調整平均変化量のリナグリプチン群とプラセボ群との差は,それぞれ−0.69%および

− 0.56%であり,いずれもリナグリプチン群がプラセボ群に対して統計学的に有意であった(い

ずれも p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.2.1.2.1: 1 および Table 15.2.1.2.1: 2)。

また,救援治療薬投与後の HbA1c 値を含めた FAS(LOCF-ROC)解析においても同様の結果で

あった(p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.2.1.2.1: 6)。

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投与 24 週後のベースラインからの HbA1c の調整平均変化量の群間差は「糖尿病の前治療薬(1

剤)あり」の患者および「糖尿病の前治療薬なし」の患者においてほぼ同じであった(それぞ

れ,−0.71%および−0.67%,いずれも p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.2.1.2.1: 3)。

• HbA1c の推移

HbA1c のベースラインからの経時的な平均変化量について,主解析と同じモデルを用いて解析

した。投与後のベースラインからの調整平均変化量の両群の差(リナグリプチン群-プラセボ

群)は,投与 6 週後の−0.46%から投与 24 週後の−0.69%を示し,いずれの測定時期ともに統計

学的に有意な差がみられた(p<0.0001)。HbA1c はリナグリプチン群ではベースラインから投与

12 週後まで低下し,その後も維持されたが,プラセボ群では HbA1c は投与期間とともに上昇

した。

プラセボ群とリナグリプチン群の HbA1c の平均値の推移を図 4.6: 2 に示した。

Figure 11.4.1.1.2: 1 HbA1c (%) mean and SE over time - FAS (LOCF)

P l a c e b o ( N = 1 6 3 ) L i n a g l i p t i n ( N = 3 3 3 )T r e a t m e n t

HbA1c (%) Mean (SE) over time

7 . 0 0

7 . 5 0

8 . 0 0

8 . 5 0

T r e a t m e n t d u r a t i o n

Ba s e l i n e W e e k 6 W e e k 1 2 W e e k 1 8 W e e k 2 4

図 4.6: 2 平均 HbA1c(%)および標準誤差の推移(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Figure 11.4.1.1.2: 1 より作成

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• HbA1c の層別解析

投与 24 週後の HbA1c のベースラインからの平均変化量の層別解析結果を表 4.6: 9 に示した。

リナグリプチン群のいずれの層においても同様の HbA1c の低下がみられた。薬剤との有意な交

互作用があった層別因子は人種(p=0.0190)(表 4.6: 10)および試験実施国(p=0.0098)(CTD

5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.2.1.2.4: 3)であった。

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表 4.6: 9 層別の HbA1c(%)のベースラインからの平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo (N=163)

Linagliptin (N=333)

N Mean SD N Mean SD Baseline HbA1c [%]

<7.5 59 0.41 0.96 109 -0.18 0.72 7.5 to <8.0 27 0.15 0.72 70 -0.44 0.65 8.0 to <9.0 53 0.08 1.11 99 -0.57 0.82 ≥9.0 24 0.16 1.49 55 -0.86 0.96

Number of prior antidiabetic drugs 0 93 0.02 1.08 187 -0.64 0.87 1 70 0.49 1.01 146 -0.23 0.67

Region Asia 79 0.39 1.22 167 -0.50 0.88 Europe 84 0.07 0.88 166 -0.42 0.74

Age group [years] <65 136 0.26 1.08 256 -0.45 0.87 65 to 74 26 0.01 1.01 70 -0.50 0.58 ≥75 1 1.10 7 -0.66 0.50

Gender Male 75 0.17 1.10 162 -0.49 0.81 Female 88 0.27 1.04 171 -0.43 0.82

Race American Indian/Alaska Native 1 -0.20 0 Asian 72 0.40 1.27 155 -0.51 0.90 White 90 0.09 0.86 178 -0.42 0.73

Ethnicity Not Hispanic/Latino 159 0.24 1.04 328 -0.47 0.82 Hispanic/Latino 4 -0.25 2.11 5 -0.24 0.71

BMI [kg/m2] <30 97 0.18 1.07 199 -0.49 0.85 ≥30 66 0.29 1.07 134 -0.42 0.76

Time since diagnosis of diabetes Up to 1 year 59 0.12 1.21 120 -0.58 0.83 >1 to 5 years 63 0.31 0.88 129 -0.36 0.84 >5 years 41 0.25 1.13 84 -0.45 0.74

Metabolic syndrome at screening No 61 0.30 1.22 126 -0.53 0.83 Yes 102 0.18 0.97 206 -0.42 0.81 Missing 0 -- -- 1 0.00 0

HOMA-IR [(mU/L)*(mmol/L)] ≤4.0 30 0.31 0.92 79 -0.58 0.68 >4.0 to ≤5.5 26 0.10 1.52 56 -0.25 0.76 >5.5 to ≤8.5 22 0.09 0.89 40 -0.35 0.92 >8.5 19 0.37 0.93 48 -0.48 1.06 Missing 66 0.24 1.03 110 -0.52 0.76

HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)] ≤25 9 0.12 1.72 20 -0.63 0.69 >25 to ≤40 32 0.48 0.91 51 -0.46 0.94 >40 to ≤70 30 0.06 1.24 99 -0.43 0.73 >70 26 0.10 0.86 53 -0.35 1.00 Missing 66 0.24 1.03 110 -0.52 0.76

Proinsulin to insulin ratio ≤0.10 13 0.23 0.84 39 -0.49 0.73 >0.10 to ≤0.15 20 0.01 0.89 52 -0.30 0.75 >0.15 to ≤0.25 42 0.20 1.25 70 -0.59 0.87 >0.25 18 0.29 1.07 52 -0.48 0.91 Missing 70 0.28 1.06 120 -0.44 0.79

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

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表 4.6: 10 人種別の HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo (N=162) Linagliptin (N=333) p-value

N Adjusteda)mean (SE) N Adjusteda)mean (SE)

Race

Asian 72 0.46 (0.10) 155 -0.45 (0.07) <.0001b)

White 90 0.10 (0.09) 178 -0.42 (0.06) <.0001b)

Main effect of race 0.0470

Interaction of race with

treatment group

0.0190

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,人種,薬剤と人種の相互作用,糖尿病の前治療薬の数をモデルに

含む

b)リナグリプチン vs. プラセボ

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.4.1.1.2: 2 より作成

(b) 副次評価項目

空腹時血糖

投与 24 週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量を表 4.6: 11 に示した。投与 24

週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン群とプラセボ群間の

差は−23.3 mg/dL であり,統計学的に有意であった(p<0.0001)。

表 4.6: 11 投与 24 週における空腹時血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均変化

量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients 163 333

Number of patients with baseline and on-treatment results 149 318

Baseline

Mean (SE) 165.7 (3.1) 163.9 (2.3)

Change from baseline

Mean (SE) 13.3 (3.5) -8.5 (2.1)

Adjusted a)mean (SE) 14.8 (3.0) -8.5 (2.0)

Comparison vs. placebo (difference linagliptin - placebo)

Adjusted a)mean (SE) -23.3 (3.6)

95% Confidence interval -30.4, -16.3

p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,ベースライン空腹時血糖,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.4.1.2.1: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

393

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平均空腹時血糖の推移を図 4.6: 3 に示した。リナグリプチン群では平均空腹時血糖はベースラ

インから投与 6 週後に低下し,その後もほぼ維持された。プラセボ群では経時的に増加して,

推移した。

Figure 11.4.1.2: 1 Fasting plasma glucose (mg/dL) mean and SE over time - FAS (LOCF)

P l a c e b o ( N = 1 6 3 ) L i n a g l i p t i n ( N = 3 3 3 )T r e a t m e n t

FPG (mg/dL) Mean and SE over time

1 2 5 . 0

1 5 0 . 0

1 7 5 . 0

2 0 0 . 0

T r e a t m e n t d u r a t i o n ( w e e k )

Ba s e l i n e W e e k 6 W e e k 1 2 W e e k 1 8 W e e k 2 4

図 4.6: 3 平均空腹時血糖(mg/dL)および標準誤差の推移(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Figure 11.4.1.2.1: 1 より作成

治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 24 週後の HbA1c の治療目標効果の達成率(7.0%または 6.5%未満の患者の割合)と有効性

反応の発現率(ベースラインから 0.5%以上低下した患者の割合)を表 4.6: 12 に示した。なお,

途中中止例を,24 週時点での治療目標効果の未達成および有効性反応の未発現とみなす方法

(NCF)で 24 週時の欠測値を補完して解析した。

HbA1c のベースライン値が 7.0%以上であった患者のうち,投与 24 週後に HbA1c が 7.0%未満

となった患者の割合は,プラセボ群で 11.6%,リナグリプチン群で 25.2%(オッズ比 2.869,

p=0.0006)であった。HbA1c のベースライン値 6.5%以上であった患者のうち,投与 24 週後に

HbA1c が 6.5%未満となった患者の割合は,プラセボ群で 4.9%,リナグリプチン群で 10.6%(オ

ッズ比 2.436,p=0.0323)であった。

投与 24週後に HbA1cがベースラインから 0.5%以上減少した患者の割合は,プラセボ群で 19.0%,

リナグリプチン群で 47.1%(オッズ比 4.243,p<0.0001)であった。

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394

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表 4.6: 12 投与 24 週における HbA1c の治療目標効果の達成例数と有効性反応の発現例

数と割合(FAS-NCF)

Placebo Linagliptin

na) (%) Nb) na) (%) Nb)

Response criterion

HbA1c <7.0% 25 (15.3) 163 94 (28.2) 333

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 17 (11.6) 25 77 (25.2) 94

HbA1c <6.5% 8 (4.9) 163 36 (10.8) 333

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 6 (12.8) 8 26 (20.1) 36

Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 8 (4.9) 8 35 (10.6) 36

HbA1c reduction from baseline HbA1c ≥0.5% 31 (19.0) 163 157 (47.1) 333

a)治療目標効果の達成例数または有効性反応の発現例数

b)解析例数

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.4.1.2.2: 1 より作成

食後 2 時間血糖

投与 24週後の食後 2時間血糖のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン群とプラ

セボ群との差は,–58.38 mg/dL(p<0.0001)であった(表 4.6: 13)。

表 4.6: 13 投与 24 週における食後 2 時間血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均

変化量(MTT Set-OC)

Placebo Linagliptin

Number of patients 29 73

Number of patients with baseline and on-treatment results 24 67

Baseline

Mean (SE) 243.750 (17.011) 258.000 (9.739)

Change from baseline

Mean (SE) 27.417 (10.765) -35.478 (7.224)

Adjusted a)mean (SE) 24.87 (10.33) -33.51 (6.19)

Comparison vs. placebo (difference linagliptin - placebo)

Adjusted a)mean (SE) -58.38 (12.05)

95% Confidence interval -82.33, -34.43

p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,ベースライン食後 2 時間血糖,糖尿病の前治療薬の数をモデルに

含む

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.4.1.2.3: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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(c) その他の評価項目

救援治療薬の使用

救援治療薬を使用した患者の割合は,プラセボ群で 20.9%,リナグリプチン群で 10.2%(オッ

ズ比 0.316,p=0.0002)であった。

体重およびウエスト周囲径

投与 24 週後の体重(kg)のベースラインからの調整平均変化量において,プラセボ群とリナグ

リプチン群間に有意な差は認められなかった(p=0.2122)(表 4.6: 14)。

表 4.6: 14 投与 24 週における体重(kg)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-OC)

Placebo Linagliptin

Number of patients 163 333

Number of patients with baseline and on-treatment results 124 288

Baseline

Mean (SE) 79.077 (1.390) 77.887 (0.945)

Week 24

Mean (SE)

78.765 (1.408)

77.866 (0.948)

Change from baseline

Mean (SE) -0.313 (0.183) -0.021 (0.126)

Adjusted a) mean (SE) -0.29 (0.19) -0.00 (0.13)

Comparison vs. placebo (difference linagliptin - placebo)

Adjusted a mean (SE) 0.28(0.23)

95% Confidence interval -0.16, 0.73

p-value 0.2122

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,ベースライン体重,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.2.3.2.: 1 より作成

投与 24週後におけるウエスト周囲径のベースラインからの平均変化量は,プラセボ群が−0.6 cm,

リナグリプチン群が 0.4 cm であり,ほぼ同程度であった(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table

11.4.1.3.2: 1 および Table 15.2.3.3: 1)

(3) 臨床薬理

(a) 薬物動態

リナグリプチン反復投与時のトラフ濃度は,軽度または中等度の腎機能障害を有する患者と腎

機能正常の患者で同程度であった(表 4.6: 15)。

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表 4.6: 15 腎機能の重症度別のトラフ時の血漿中リナグリプチン濃度の幾何平均値

(FAS-OR)

Visit 5 (Week 12) Visit 7 (Week 24)

N gMean [nM] N gMean [nM]

MDRD

no renal impairment 123 6.55 114 6.23

mild renal impairment 142 6.30 114 6.82

moderate renal impairment 14 6.30 11 6.32

eCcr

no renal impairment 200 6.33 176 6.34

mild renal impairment 73 6.77 59 6.99

moderate renal impairment 6 5.15 4 7.31

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.5.2: 1 より作成

また,リナグリプチンのトラフ濃度は,P 糖蛋白阻害剤または CYP3A4 阻害剤を継続的に併用

していた患者(投与 12 週:8.89 nM,投与 24 週:12.14 nM)のほうが非併用の患者(投与 12

週:6.36 nM,投与 24 週:6.41 nM)よりも高かった。ただし,P 糖蛋白阻害剤または CYP3A4

阻害剤を併用していた患者数は少なく(投与 12 週:7 例,投与 24 週:5 例),少数例での結果

であることを考慮する必要がある(CTD 5.3.5.1.-6,試験 1218.16,Table 15.6: 3)。

(b) 薬力学

DPP-4 阻害

リナグリプチン投与患者における投与 12 週および 24 週でのトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値

は,それぞれ 84.18%および 82.81%で,いずれも 80%を上回った(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,

Table 15.7.1: 1)。トラフ時の DPP-4 阻害率は,リナグリプチンのトラフ濃度の増加に伴い上昇

した(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.7.1: 2)。

• インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標

投与 24 週後のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースラインからの調整

平均変化量を表 4.6: 16 に示した。β 細胞機能のバイオマーカーには改善傾向が認められた。投

与 24 週後のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン群とプラセボ群との差は,プ

ロインスリン/インスリン比で –0.039( p=0.0249),HOMA-IS で 22.21 (mU/L)/(mmol/L)

(p=0.0490),disposition index で 3.73 (1/((mmol/L)×(mmol/L)))(p=0.0005)であり,いずれも統

計学的に有意であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.6: 16 投与 24 週におけるインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベ

ースラインからの調整平均変化量(FAS-OC)

Placebo Linagliptin Proinsulin/insulin ratio

Number of patients with baseline and on-treatment results 47 142 Baseline, mean (SE) 0.177 (0.012) 0.202 (0.012) Adjusted mean change from baseline (SE) 0.024 (0.015) -0.015 (0.009) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) -0.039 (0.017) 95% Confidence interval -0.074, -0.005 p-value 0.0249

HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)] Number of patients with baseline and on-treatment results 57 157 Baseline, mean (SE) 5.630 (0.451) 7.086 (0.632) Adjusted mean change from baseline (SE) -1.32 (0.49) -1.12 (0.30) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 0.20 (0.57) 95% Confidence interval -0.92, 1.32 p-value 0.7250

HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)] Number of patients with baseline and on-treatment results 57 157 Baseline, mean (SE) 62.305 (5.205) 66.829 (4.500) Adjusted mean change from baseline (SE) -17.20 (9.72) 5.02 (5.86) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 22.21 (11.22) 95% Confidence interval 0.09, 44.33 p-value 0.0490

DI [(1/((mmol/L)×(mmol/L))] Number of patients with baseline and on-treatment results 107 257 Baseline, mean (SE) 12.054 (0.588) 12.771 (0.669) Adjusted mean change from baseline (SE) -0.68 (0.91) 3.05 (0.58) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 3.73 (1.07) 95% Confidence interval 1.64, 5.83 p-value 0.0005

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.5.3.2: 1 より作成

• 食事負荷試験におけるパラメータ

投与 24 週後の食事負荷試験パラメータのベースラインからの調整平均変化量を表 4.6: 17 に示

した。投与 24 週後の総グルコース AUC のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチ

ン群とプラセボ群との差は–3.26 mmol·h/L であり,統計学的に有意であった(p=0.0026)。この

結果は,主要評価項目,副次評価項目および他のバイオマーカーの結果と一致していた。

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表 4.6: 17 投与 24 週における食事負荷試験パラメータのベースラインからの調整平均

変化量(MTT Set-OC)

Placebo Linagliptin

Total glucose AUC [mmol·h/L] Number of patients with baseline and on-treatment results 23 65 Baseline, mean (SE) 25.620 (1.069) 25.760 (0.663) Adjusted mean change from baseline (SE) 1.33 (0.90) -1.93 (0.54) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) -3.26 (1.05) 95% Confidence interval -5.35, -1.17 p-value 0.0026

Total insulin AUC/total glucose AUC ratio [pmol/mmol] Number of patients with baseline and on-treatment results 10 44 Baseline, mean (SE) 28.819 (5.343) 30.188 (2.014) Adjusted mean change from baseline (SE) -4.98781 (3.9140) 2.16164 (1.8541) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 7.14945 (4.3442) 95% Confidence interval -1.5805, 15.879 p-value 0.1062

Total insulin AUC/total C-peptide AUC ratio Number of patients with baseline and on-treatment results 8 30 Baseline, mean (SE) 0.157 (0.011) 0.216 (0.020) Adjusted mean change from baseline (SE) -0.01 (0.02) -0.05 (0.01) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) -0.04 (0.03) 95% Confidence interval -0.09, 0.02 p-value 0.1630

Total glucose AUC / (total insulin AUC/total C-peptide AUC ratio) [mmol·h/L] Number of patients with baseline and on-treatment results 8 30 Baseline, mean (SE) 173.539 (15.702) 145.173 (11.478) Adjusted mean change from baseline (SE) 18.83 (18.12) 18.87 (9.30) Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 0.03 (20.73) 95% Confidence interval -42.15, 42.22 p-value 0.9987

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 11.5.3.3: 1 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

治験薬の曝露日数の平均値は,プラセボ群で 164 日,リナグリプチン群で 169 日であった。曝

露日数の中央値(範囲)は,プラセボ群で 171 日(2~190 日),リナグリプチン群で 171 日(1

~207 日)であった。曝露日数が 20 週超 26 週以下の患者の割合は,プラセボ群で 89.8%,リ

ナグリプチン群で 91.7%であった。リナグリプチン群の曝露期間は 155.0 患者·年(リナグリプ

チンを 1 年間服用したと仮定した場合の患者数)であった。

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(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 7 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中に発現した有害事象,投与期治験薬の投与開始前および最終投与後 7 日以降に

発現した好ましくない事象をそれぞれ,投与期前および追跡期に発現した有害事象として集計

した。

有害事象の概略

有害事象の概略を表 4.6: 18 に示した。有害事象はプラセボ群で 98 例(58.7%),リナグリプチ

ン群で 176 例(52.4%)にみられた。高度の有害事象はプラセボ群で 5 例(3.0%),リナグリプ

チン群で 3 例(0.9%)に認められた。治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定され

た有害事象はプラセボ群で 6 例(3.6%),リナグリプチン群で 17 例(5.1%)にみられた。治験

実施計画書で規定した重要な有害事象はプラセボ群で 2 例(1.2%),リナグリプチン群では認

められず,その他の重要な有害事象はプラセボ群で 2 例(1.2%),リナグリプチン群で 2 例(0.6%)

に認められた。治験中止に至った有害事象はプラセボ群で 4 例(2.4%),リナグリプチン群で 4

例(1.2%)にみられ,重篤な有害事象はプラセボ群で 7 例(4.2%),リナグリプチン群で 10 例

(3.0%)に認められた。なお,本試験において死亡例はなかった。

表 4.6: 18 有害事象の概略(Treated Set)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Number of patients 167 (100.0) 336 (100.0)

Patients with any AE 98 (58.7) 176 (52.4)

Patients with severe AEs 5 (3.0) 3 (0.9)

Patients with investigator defined drug-related AEs 6 (3.6) 17 (5.1)

Patients with significant AEs a 2 (1.2) 0 (0.0)

Patients with 'other significant AEs' (according to ICH E3) 2 (1.2) 2 (0.6)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 4 (2.4) 4 (1.2)

Patients with serious AEs 7 (4.2) 10 (3.0)

Disabling 1 (0.6) 0 (0.0)

Requiring hospitalisation 3 (1.8) 9 (2.7)

Other 3 (1.8) 1 (0.3)

a 治験担当医師の報告に基づく過敏症反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.2.1: 1 より作成

• 高頻度に発現した有害事象

いずれかの群で発現率が 2%超の有害事象を表 4.6: 19 に示した。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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いずれかの群で発現率が基本語で 2%超の器官別大分類のうち,プラセボ群と比較してリナグ

リプチン群で高頻度に発現した有害事象は,血液およびリンパ系障害(プラセボ群:1.2%,リ

ナグリプチン群:2.1%),神経系障害(プラセボ群:2.4%,リナグリプチン群:4.5%),眼障害

(プラセボ群:1.2%,リナグリプチン群:2.1%),心臓障害(プラセボ群:0.6%,リナグリプ

チン群:3.6%),血管障害(プラセボ群:1.2%,リナグリプチン群:5.1%),呼吸器,胸郭およ

び縦隔障害(プラセボ群:1.2%,リナグリプチン群:3.9%),皮膚および皮下組織障害(プラ

セボ群:1.8%,リナグリプチン群:4.5%),筋骨格系および結合組織障害(プラセボ群:6.0%,

リナグリプチン群:9.5%)であった。

いずれかの群で 2%以上認められた基本語のうち,プラセボ群と比較してリナグリプチン群で

高頻度に発現した有害事象は,頭痛(プラセボ群:1.2%,リナグリプチン群:2.7%),高血圧

(プラセボ群:1.2%,リナグリプチン群:3.6%),背部痛(プラセボ群:1.8%,リナグリプチ

ン群:2.7%),血中ブドウ糖増加(プラセボ群:1.8%,リナグリプチン群:2.1%)であった。

表 4.6: 19 治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で 2%超)(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

例数 167 (100.0) 336 (100.0)

有害事象発現例 98 (58.7) 176 (52.4)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 38 (22.8) 55 (16.4)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 7 (4.2) 13 (3.9)

上気道感染 (Upper respiratory tract infection) 5 (3.0) 9 (2.7)

気道感染 (Respiratory tract infection) 4 (2.4) 1 (0.3)

ウイルス感染 (Viral infection) 4 (2.4) 1 (0.3)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 45 (26.9) 44 (13.1)

高血糖 (Hyperglycaemia) 38 (22.8) 29 (8.6)

脂質異常症 (Dyslipidaemia) 4 (2.4) 4 (1.2)

神経障害 (Nervous system disorders) 4 (2.4) 15 (4.5)

頭痛 (Headache) 2 (1.2) 9 (2.7)

血管障害 (Vascular disorders) 2 (1.2) 17 (5.1)

高血圧 (Hypertension) 2 (1.2) 12 (3.6)

筋骨格系および結合組織障害

(Musculoskeletal and connective tissue disorders)

10 (6.0) 32 (9.5)

背部痛 (Back pain) 3 (1.8) 9 (2.7)

臨床検査 (Investigations) 11 (6.6) 21 (6.3)

血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased) 3 (1.8) 7 (2.1)

a)MedDRA version 引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.2.2: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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• 高度な有害事象

高度の有害事象は,プラセボ群で 5 例(3.0%)に 6 件(交通事故・肋骨骨折,乳癌:2 例,コ

ントロール不良の糖尿病,坐骨神経痛),リナグリプチン群で 3 例(0.9%)に 4 件(非ホジキ

ンリンパ腫・椎間板突出,咳嗽,鼻漏)発現した。

• 治験薬と因果関係がある有害事象

治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象はプラセボ群で 6 例(3.6%),

リナグリプチン群で 17 例(5.1%)に認められた(表 4.6: 20)。そのうち器官別大分類では代謝

および栄養障害に分類される有害事象が最も高頻度に発現し,プラセボ群で 2 例(1.2%),リ

ナグリプチン群で 5 例(1.5%)に認められた。基本語で最も高頻度に発現した有害事象は高血

糖であり,プラセボ群で 2 例(1.2%),リナグリプチン群で 3 例(0.9%)に認められた。また,

リナグリプチン群では,皮膚および皮下組織障害に分類される事象として,湿疹およびそう痒

症が各 1 例,臨床検査に分類される事象として,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増

加,アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加,血中アミラーゼ増加,血小板数減少が各 1 例

認められた。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.6: 20 治験薬と因果関係のある有害事象(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

例数 167 (100.0) 336 (100.0) 治験薬と因果関係のある有害事象発現例 6 (3.6) 17 (5.1) 感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 1 (0.6) 1 (0.0)

上気道感染 (Upper respiratory tract infection) 1 (0.6) 0 (0.0) 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 0 (0.0) 1 (0.3)

血液およびリンパ系障害 (Blood and lymphatic system disorders)

0 (0.0) 1 (0.3)

貧血 (Anaemia) 0 (0.0) 1 (0.3) 代 謝 お よ び 栄 養 障 害 (Metabolism and nutrition disorders)

2 (1.2) 5 (1.5)

高血糖 (Hyperglycaemia) 2 (1.2) 3 (0.9) コントロール不良の糖尿病 (Diabetes mellitus inadequate control)

0 (0.0) 1 (0.3)

脂質異常症 (Dyslipidaemia) 0 (0.0) 1 (0.3) 神経系障害 (Nervous system disorders) 1 (0.6) 1 (0.3)

感覚鈍麻 (Hypoaesthesia) 1 (0.6) 0 (0.0) 頭痛 (Headache) 0 (0.0) 1 (0.3)

呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders)

0 (0.0) 1 (0.3)

咳嗽 (Cough) 0 (0.0) 1 (0.3) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 1 (0.6) 2 (0.6)

悪心 (Nausea) 1 (0.6) 0 (0.0) 腹痛 (Abdominal pain) 0 (0.0) 1 (0.3) 上腹部痛 (Abdominal pain upper) 0 (0.0) 1 (0.3)

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders)

0 (0.0) 2 (0.6)

湿疹 (Eczema) 0 (0.0) 1 (0.3) そう痒症 (Pruritus) 0 (0.0) 1 (0.3)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders)

0 (0.0) 1 (0.3)

筋痙縮 (Muscle spasms) 0 (0.0) 1 (0.3) 生殖系および乳房障害 (Reproductive system and breast disorders)

1 (0.6) 2 (0.6)

勃起不全 (Erectile dysfunction) 1 (0.6) 1 (0.3) 腟分泌物 (Vaginal discharge) 0 (0.0) 1 (0.3)

臨床検査 (Investigations) 0 (0.0) 3 (0.9) アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 (Alanine aminotransferase increased)

0 (0.0) 1 (0.3)

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 (Aspartate aminotransferase increased)

0 (0.0) 1 (0.3)

血中アミラーゼ増加 (Blood amylase increased) 0 (0.0) 1 (0.3) 血小板数減少 (Platelet count decreased) 0 (0.0) 1 (0.3)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.3.2: 11 より作成

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• 治験中止に至った有害事象

治験中止に至った有害事象を表 4.6: 21 に示した。治験中止に至った有害事象はプラセボ群で 4

例(2.4%),リナグリプチン群で 4 例(1.2%)に認められた。これらの有害事象のうち,リナ

グリプチン群の咳嗽およびプラセボ群の勃起不全を除き,いずれも治験薬との因果関係なしと

判定された。

表 4.6: 21 治験中止に至った有害事象(Treated Set)

Patient No.

Age [years] /gender

Preferred term a) Start day

Duration [days]

Intensity Drug related

Outcome Remark

Placebo

65181 71 / female 乳癌 (Breast cancer) 12 147§ Severe No Not recovered& SAE

65841 60 / female 乳癌 (Breast cancer) 47 243§ Severe No Not recovered& SAE

67648 47 / male 血尿 (Haematuria) 1 4 Mild No Recovered --

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(Aspartate aminotransferase increased)

1 14 Mild No Recovered Significant AE

66690 52 / male 勃起不全 (Erectile dysfunction)

1 34 Mild Yes Recovered --

Linagliptin

60046 53 / female 非ホジキンリンパ腫(Non-Hodgkin's lymphoma)

112 151§ Severe No Unknown SAE

65184 79 / female 側頭動脈炎 (Temporal arteritis)

175 85§ Moderate No Not recovered& SAE

62890 67 / male 咳嗽 (Cough) 2 22 Severe Yes Recovered --

62881 65 / female 筋骨格系胸痛(Musculoskeletal chest pain)

25 10 Mild No Recovered --

§ = 打ち切り; & = 追跡終了

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.2.2: 2 より作成

• 低血糖イベント

治験担当医師判定による低血糖イベント(低血糖症および低血糖症の症状に関連する有害事象)

は,プラセボ群で 1 例(0.6%),リナグリプチン群で 1 例(0.3%)に認められた。リナグリプ

チン群の 1 例で救援治療薬未投与下に 2~3 件の低血糖イベントが発現し,無力症と報告された

が,いずれの場合も無処置で回復した。プラセボ群の 1 例で救援治療薬投与下に 1 件の低血糖

イベントが発現し,低血糖症と報告された。

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• 臨床イベント委員会で審査・判定された心血管イベントまたは脳血管イベント

心血管イベントおよび脳血管イベントとして報告され,臨床イベント委員会で審査された 10

例(リナグリプチン群:8 例,プラセボ群:2 例)のうち,リナグリプチン群の 2 例が,安定狭

心症と判定された(CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 15.3.2: 13)。

(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

本試験で死亡例はなかった。

重篤な有害事象

重篤な有害事象を表 4.6: 22 に示した。

重篤な有害事象はプラセボ群で 7 例(4.2%),リナグリプチン群で 10 例(3.0%)に発現した。

リナグリプチン群で認められた重篤な有害事象は,咽頭蜂巣炎,肺炎,心房細動,冠動脈疾患,

高血圧クリーゼ,低血圧,側頭動脈炎,背部痛,椎間板突出,非ホジキンリンパ腫,交通事故

および手骨折であった。いずれも治験薬の因果関係は否定され,冠動脈疾患,側頭動脈炎およ

び非ホジキンリンパ腫を除き,治験期間中に回復した。

プラセボ群で認められた重篤な有害事象は,乳癌 2 例,およびコントロール不良の糖尿病,心

房細動,冠動脈疾患,血小板数減少,足骨折,交通事故および肋骨骨折であった。いずれも治

験薬との因果関係は否定され,2 例の乳癌およびコントロール不良の糖尿病を除き,治験期間

中に回復した。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.6: 22 重篤な有害事象(Treated Set)

Patient No.

Age [years] /gender

Preferred term a) Start day

Duration [days]

Intensity Drug related

Action taken Outcome

Placebo

65181 71 / female 乳癌 (Breast cancer) 12 147§ Severe No Discontinued Not recovered&

65841 60 / female 乳癌 (Breast cancer) 47 243§ Severe No Discontinued Not recovered&

66482 29 / female コントロール不良の糖尿病 (Diabetes mellitus inadequate control)

90 212§ Severe No Continued Not recovered&

63171 68 / female 心房細動 (Atrial fibrillation) 1 2 Moderate No Continued Recovered

冠動脈疾患 (Coronary artery disease) 1 2 Moderate No Continued Recovered

67648b) 47 / male 血小板数減少 (Platelet count decreased) 4 11 Mild No Not

applicable Recovered

62962 56 / male 足骨折 (Foot fracture) 109 27 Moderate No Continued Recovered

66648 43 / male 交通事故 (Road traffic accident) 88 43 Severe No Continued Recovered

肋骨骨折 (Rib fracture) 88 43 Severe No Continued Recovered

Linagliptin

68209 55 / female 咽頭蜂巣炎 (Cellulitis pharyngeal)

111 21 Moderate No Continued Recovered

63123 50 / female 肺炎 (Pneumonia) 149 8 Moderate No Continued Recovered

60046 53 / female 椎間板突出 (Intervertebral disc protrusion)

44 50 Severe No Continued Recovered

非ホジキンリンパ腫(Non-Hodgkin's lymphoma)

112 151§ Severe No Discontinued Unknown

65960 70 / male 心房細動 (Atrial fibrillation)

22 6 Moderate No Re-introduced Recovered

67566 54 / male 冠動脈疾患 (Coronary artery disease)

93 147§ Moderate No Continued Not recovered&

62103 69 / female 高血圧クリーゼ(Hypertensive crisis)

116 18 Moderate No Continued Recovered

60041 67 / male 低血圧 (Hypotension) 96 2 Moderate No Continued Recovered

65184 79 / female 側頭動脈炎 (Temporal arteritis)

175 85§ Moderate No Discontinued Not recovered&

61407 55 / male 背部痛 (Back pain) 121 4 Mild No Continued Recovered

66731 41 / female 交通事故 (Road traffic accident)

5 1 Mild No Continued Recovered

手骨折 (Hand fracture) 5 37 Mild No Continued Recovered

§ = 打ち切り; & = 追跡終了 a)MedDRA version b)本事象は追跡期の Day 4 に発現した 引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.3.2: 1,Table 12.3.2: 2 より作成

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• 治験実施計画書で規定した重要な有害事象

治験実施計画書で規定した重要な有害事象(過敏症反応,肝酵素上昇,急性腎不全)について,

SMQs(MedDRA 標準検索式)で検索した。

これに該当した重要な有害事象は,リナグリプチン群で低血圧が 1 例,プラセボ群ではアスパ

ラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加,アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加,肝酵素

上昇が各 1 例であった(表 4.6: 23)。

表 4.6: 23 SMQs に基づく治験実施計画書で規定した重要な有害事象(Treated Set)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Number of patients 167 (100.0) 336 (100.0)

Patients with hypersensitivity reactions a) 0 (0.0) 1 (0.3)

低血圧(Hypotension) 0 (0.0) 1 (0.3)

Patients with liver toxicity b) 2 (1.2) 0 (0.0)

アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加

(ALT increased)

1 (0.6) 0 (0.0)

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加

(AST increased)

1 (0.6) 0 (0.0)

肝酵素上昇(Hepatic enzyme increased) 1 (0.6) 0 (0.0)

a)SMQs で'「高度皮膚副作用」,「アナフィラキシー反応」,「血管浮腫」および「喘息気管支攣縮」に該当 b)SMQs での「非感染性肝炎」,「肝不全,線維症,肝硬変およびその他の肝細胞障害」,「肝関連臨床検査,

徴候および症状」および「肝由来の胆汁うっ帯および黄疸」に該当 引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.3.3: 1 より作成

(d) 臨床検査

ベースラインからの変動およびリナグリプチン群とプラセボ群間で臨床的に問題となる差が検

出された臨床検査値はなかった。

ベーリンガーインゲルハイム社の社内基準に基づく臨床的に重要な臨床検査値変動の発現頻度

を表 4.6: 24 に示す。臨床的に重要な臨床検査値変動を示した患者も少数例あったが,臨床的に

問題があると考えられる臨床的に重要な増加または減少を示した臨床検査値もなかった。

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表 4.6: 24 臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度(Treated Set)

Placebo (N= 160) Linagliptin N= 331)

Decrease Increase Decrease Increase

n (%) n (%) n (%) n (%)

Haematology

Haematocrit 3 (1.9) N/A 6 (1.8) N/A

Haemoglobin 1 (0.6) N/A 3 (0.9) N/A

Erythrocytes 0 N/A 1 (0.3) N/A

Leucocytes 1 (0.6) 0 1 (0.3) 1 (0.3)

Eosinophils N/A 7 (4.4) N/A 17 (5.1)

Clinical chemistry

Sodium 0 0 0 2 (0.6)

Potassium 0 4 (2.5) 0 7 (2.1)

Calcium 1 (0.6) 0 1 (0.3) 1 (0.3)

Inorganic phosphorus 0 3 (1.9) 0 0

AST N/A 2 (1.2) N/A 2 (0.6)

ALT N/A 2 (1.2) N/A 0

Alkaline phosphatase N/A 0 N/A 1 (0.3)

GGT a) N/A 2 (1.2) N/A 6 (1.8)

Creatine kinase N/A 0 N/A 3 (0.9)

Amylase N/A 2 (1.2) N/A 9 (2.7)

Glucose 1 (0.6) N/A 1 (0.3) N/A

Creatinine N/A 3 (1.9) N/A 3 (0.9)

Total bilirubin N/A 1 (0.6) N/A 2 (0.6)

Triglycerides N/A 18 (11.8) N/A 16 (5.1)

Uric acid N/A 0 N/A 8 (2.4)

Total protein 0 2 (1.2) 0 0

Albumin 0 N/A 1 (0.3) N/A

略語:N/A=基準無し、N=治療中に測定を1回以上実施した患者数,n = 臨床的に重要な減少/低下または増加/

上昇した患者数

a)γ-Glutamyl-transferase

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.4: 1 より作成

Hy's law に該当する所見を示した患者は認められなかった。また,腎機能検査値の変動におい

て両群間で特記すべき差は認められなかった。

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(e) バイタルサイン

収縮期血圧および拡張期血圧のベースラインからの推移を表 4.6: 25 に示した。

表 4.6: 25 収縮期血圧および拡張期血圧の推移(Treated Set)

Placebo Linagliptin

SBP [mmHg] N Mean (SD) N Mean (SD)

Visit 3 167 129.01 (13.63) 336 129.81 (14.52)

Visit 4 161 127.09 (14.40) 332 129.93 (14.98)

Visit 5 157 128.58 (14.96) 329 130.91 (14.89)

Visit 6 154 128.85 (14.37) 324 130.59 (14.30)

Visit 7 / EoT 158 128.53 (13.73) 322 130.66 (14.33)

Change from Visit 3 to Visit 4 161 -2.09 (12.25) 332 0.18 (12.57)

Change from Visit 3 to Visit 5 157 -0.46 (13.44) 329 1.14 (13.36)

Change from Visit 3 to Visit 6 154 -0.30 (13.84) 324 0.75 (13.66)

Change from Visit 3 to Visit 7 / EoT 158 -0.83 (13.85) 322 0.63 (14.17)

DBP [mmHg]

Visit 3 167 79.40 (8.74) 336 78.74 (7.76)

Visit 4 161 78.07 (8.25) 332 79.83 (7.88)

Visit 5 157 78.12 (7.89) 329 79.56 (7.23)

Visit 6 154 78.97 (7.79) 324 78.64 (7.74)

Visit 7 / EoT 158 77.88 (8.38) 322 79.48 (7.68)

Change from Visit 3 to Visit 4 161 -1.22 (8.40) 332 1.10 (7.58)

Change from Visit 3 to Visit 5 157 -1.12 (8.21) 329 0.78 (7.93)

Change from Visit 3 to Visit 6 154 -0.36 (8.73) 324 -0.18 (8.22)

Change from Visit 3 to Visit 7 / EoT 158 -1.42 (8.71) 322 0.87 (8.47)

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.5: 1 より作成

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脈拍数のベースラインからの推移を表 4.6: 26 に示した。

表 4.6: 26 脈拍数の推移(Treated Set)

Placebo Linagliptin

Pulse rate [bpm] N Mean (SD) N Mean (SD)

Visit 3 167 75.59 (9.93) 336 74.15 (9.54)

Visit 4 161 74.65 (8.73) 332 74.66 (9.17)

Visit 5 157 75.25 (7.78) 329 74.93 (8.88)

Visit 6 154 74.97 (8.51) 324 74.60 (9.14)

Visit 7 / EoT 158 75.35 (8.68) 322 74.25 (9.11)

Change from Visit 3 to Visit 4 161 -0.65 (9.20) 332 0.47 (7.39)

Change from Visit 3 to Visit 5 157 -0.17 (10.09) 329 0.78 (8.94)

Change from Visit 3 to Visit 6 154 -0.47 (8.93) 324 0.48 (8.84)

Change from Visit 3 to Visit 7 / EoT 158 -0.01 (8.95) 322 0.22 (8.82)

引用元:CTD 5.3.5.1-6,試験 1218.16,Table 12.5: 2 より作成

リナグリプチン群およびプラセボ群において,臨床的に問題となる血圧および脈拍に対する作

用は認められなかった。

3) 結論

血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象としたリナグリプチン 5 mg 24 週間投与は,プ

ラセボと比較して HbA1c の臨床的に意味のある低下を示し,プラセボに対するリナグリプチン

の優越性が検証された。リナグリプチン投与時の低血糖イベントの発現率は非常に低かった。

リナグリプチンの忍容性は良好で,安全性に特に問題はないことが認められた。

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4.7 試験 1218.17

(CTD 5.3.5.1-7)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.7:1 に示した。

表 4.7: 1 試験方法の概略(1/6)

目的 血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象としたリナグリプチン 5mg をメトホルミン

への追加療法として 24 週間投与したときの有効性および安全性のプラセボとの比較検討

試験デザイン 第 III 相,ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,並行群間比較試験

対象 選択基準

(1) メトホルミンおよび他の経口糖尿病治療薬 1 剤以下による治療を受けている 2 型糖尿

病の患者(性別は問わない)で,同意取得前 10 週間以上糖尿病の治療法を変更してい

ない患者。試験参加にはメトホルミンの投与量が 1500mg/日以上であることを必須と

し,投与量はランダム化割付け前 12 週間以上一定であることとした。メトホルミンの

投与量が 1500mg/日未満の場合は,患者の現投与量が最大耐用量であると治験担当医師

が確認した患者(この場合もランダム化割付け前 12 週間以上投与量が一定であること)

(2) 同意取得前に 2 型糖尿病と診断された患者。スクリーニング時(Visit 1a)までに GCP

および各国の法規制に基づいた同意文書への署名を取得

(3) スクリーニング時(Visit 1a)の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

糖尿病の前治療薬のウォッシュアウトを必要とする患者:HbA1c 6.5~9.0%

糖尿病の前治療薬のウォッシュアウトを必要としない患者:HbA1c 7.0~10.0%

(4) プラセボ導入期開始時(Visit 2)の HbA1c が 7.0~10.0%の患者

(5) スクリーニング時(Visit 1a)の年齢が 18~80 歳の患者

(6) スクリーニング時(Visit 1a)の BMI が 40kg/m2 以下の患者

除外基準

(1) 同意取得前 6 カ月以内に心筋梗塞,脳卒中,または一過性脳虚血発作を発現した患者

(2) Visit 1a 時の血清アラニントランスアミナーゼ(ALT/SGPT),アスパラギン酸トラン

スアミナーゼ(AST/SGOT),またはアルカリホスファターゼ(ALP)のいずれかが

基準範囲上限(ULN)の 3 倍を超える肝機能障害を有する患者

(3) 治験薬,その賦形剤,メトホルミン,またはプラセボに対する過敏症またはアレルギ

ーの既往を有する患者

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表 4.7: 1 試験方法の概略(2/6)

対象(続き) (4) 同意取得前 3 カ月以内に rosiglitazone,ピオグリタゾン,GLP-1 類似体,インスリン,

または抗肥満薬(例えば sibutramine,rimonabant,オルリスタット)による治療を受け

た患者

(5) 同意取得前 3 カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用

歴を有する患者

(6) 同意取得前 2 カ月以内に治験薬を用いた他の治験へ参加した患者

(7) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれ

かに該当する患者:

- 妊娠中または授乳中の女性

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(8) 同意取得時に全身性ステロイドで治療中の患者,または同意取得前 6 週間以内に甲状

腺ホルモンの投与量を変更した患者

(9) Visit 1a時に腎不全または血清クレアチニン濃度が 1.5 mg/dL以上の腎機能障害を有する

患者

(10) 脱水症と治験担当医師によって臨床的に判断された患者

(11) 不安定または急性うっ血性心不全を有する患者

(12) 急性または慢性代謝性アシドーシスの既往を有する患者

(13) 遺伝性ガラクトース不耐症の患者

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 5 mg に対応したプラセボ錠

症例数 目標症例数:600 例

登録例:1268 例

割付け例:701 例

割付け例 治 験 薬 投 与

例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン群 524 例 523 例 513 例

プラセボ群 177 例 177 例 175 例

計 701 例 700 例 688 例

投与方法 ウォッシュアウト期・プラセボ導入期

メトホルミンを除く経口糖尿病治療薬 1 剤による追加治療を受けている患者には最後の 2

週間をプラセボ導入期とする 6 週間のウォッシュアウトを行った。メトホルミンを除く経

口糖尿病治療薬による追加治療を受けていない患者には 2 週間のプラセボ導入のみを行っ

た。

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表 4.7: 1 試験方法の概略(3/6)

投与方法

(続き)

投与期

リナグリプチン群の患者はリナグリプチン 5mg 錠を,プラセボ群はリナグリプチン 5mg

錠に対応する識別不能のプラセボ錠を,1 日 1 回 150 mL の水とともに服用した。全期間を

通して両群とも前治療(メトホルミン)と同じ投与量および投与方法で継続した。試験期

間中にメトホルミンの投与量を変更した患者については,試験を中止せず,試験継続可能

とし,メトホルミン併用時のリナグリプチンの安全性の追加情報を取得した。なお,本試

験では 2 因子(プラセボ導入期開始時点での HbA1c [<8.5%,≥8.5%],糖尿病の前治療薬 [メ

トホルミン単独,併用])をサブグループ因子として動的割付を用いて,プラセボ群,リナ

グリプチン群に 1:3 でランダムに割付けた。

併用療法 試験期間中は,救援治療薬を除く経口糖尿病治療薬(メトホルミンを除く)やインスリン

等の治験薬以外の糖尿病治療を禁止した。ヨウ素を含む造影剤の静脈注射を行う場合はメ

トホルミン治療を 48 時間前に中止した。また,抗肥満薬および全身性ステロイドの使用も

禁止した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

メトホルミンを除く経口糖尿病治療薬 1剤による追加治療を受けている患者はプラセボ

導入期前に 4 週間のウォッシュアウト期間を設けた

・投与期間:24 週間

・追跡期間:1 週間

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表 4.7: 1 試験方法の概略(4/6)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

試験期間 スクリーニング/ ウォッシュアウト期

プラセボ 導入期 投与期 追跡期

Visit 1aa) 1ba) 2 3 4 5 6 7b, c) 8b, c) Study Week −4 −3 −2 6 12 18 24 25 Days from randomisation −28 −21 −14 0 42 84 126 168 175 人口統計学的特性 X X 身体所見 X X バイタルサイン X X X X X X X Xe) 身長 X 体重 X X X ウエスト周囲径 X X 臨床検査 Xd) X X X X X Xe) 妊娠検査 f) X X X 12 誘導心電図 X X X 空腹時血糖 g) X X X X X X X MTTh) X X HbA1c X X X X X X X インスリン,C-ペプチド X X 遺伝子解析用採血 i) X 有害事象 Xj) X X X X X X X 併用療法(糖尿病治療を含む) X X X X X X X X X 健康アンケート EQ-5Dk) X X X X 糖尿病治療満足度質問表 DTSQsk) X X X X 医療資源利用(HCRU)データ k) X X X X

a) スクリーニングは Visit 1a および 1b の 2 回に分けた b)早期中止例には Visit 7(および追跡として Visit 8)の検査項目を実施することとした c) Visit 8 は本試験を完了し非盲検延長試験(1218.40)に移行する患者には不要。早期中

止例には Visit 7 および Visit 8(バイタルサイン,安全性評価のための臨床検査)は必須 d)Visit 1a での安全性評価のための臨床検査は,AST,ALT,ALP,血清クレアチニンのみ

実施 e) Visit 8 の安全性評価のための臨床検査およびバイタルサインの測定は医療機関への来

院時にのみ必要 f) 妊娠検査は妊娠の可能性のある女性にのみ実施 g)空腹時の血液検体(10 時間絶食とし,飲水のみ) h)食事負荷試験(MTT)は患者のサブグループで標準朝食を使用して治療薬投与 30 分後

(ベースラインでは 30 分前)に実施。食後血糖値(PPG),インスリン,C-ペプチドの

血液検体を投与前,食事開始 1 時間後および 2 時間後に採取 i) 遺伝子解析は任意の検査項目 j) 重篤な有害事象のみ k)患者による医療効果評価(PRO)を収集。健康関連 QOL(HrQoL)の評価には健康ア

ンケート EQ-5D を使用。治療満足度評価には現行の糖尿病治療満足度質問表(DTSQs)を使用。

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表 4.7: 1 試験方法の概略(5/6)

評価項目

評価基準

有効性

主要評価項目

HbA1c のベースラインからの変化量(投与 24 週後−ベースライン)

副次評価項目

治療目標効果の達成率(投与 24 週後の HbA1c が 7.0%未満または 6.5%未満に低下した

患者)

相対的有効性反応の発現(投与 24 週後の HbA1c が 0.5%以上低下した患者)

HbA1c の変化量の Visit ごとの推移

空腹時血糖(FPG)のベースラインからの変化量(投与 24 週後−ベースライン)

FPG の変化量の Visit ごとの推移

食事負荷試験(MTT):食後 2 時間の血糖値(2 時間 PPG)のベースラインからの変化(投

与 24 週後−ベースライン)

投与 24 週後の食後 2 時間の血糖値(2hPPG)の FPG に対する増加量

その他の評価項目

救援治療薬の投与およびその開始時期

HOMA Index(ベースラインおよび投与 24 週後のインスリン抵抗性 HOMA-IR およびイ

ンスリン分泌 HOMA-IS)

Disposition Index(ベースラインおよび投与 24 週後のインスリン感受性およびβ細胞機

能より算出)

体重のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

ウエスト周囲径のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

脂質パラメータのベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

食事負荷試験(MTT):グルコース AUC,インスリン AUC,C-ペプチド AUC,インス

リン AUC/グルコース AUC 比のベースラインからの変化(投与 24 週後−ベースライン)

健康関連 QOL(EQ-5D)および糖尿病治療満足度質問表(DTSQs)

安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験薬の投与中止,身体所見,12 誘

導心電図,バイタルサイン,臨床検査,臨床イベント委員会による心臓または脳血管イ

ベントの審査

解析方法 主要評価項目:薬剤および糖尿病の前治療薬を固定効果とし,ベースラインの HbA1c を共

変量とした ANCOVA を行い,プラセボに対するリナグリプチンの優越性を検定した。

副次評価項目およびその他の評価項目:主要評価項目と同様の ANCOVA を探索的に行っ

た。救援治療薬の投与についてはロジスティック回帰およびカプラン・マイヤー法を用い

た。

安全性評価項目:記述統計法を用いた。

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表 4.7: 1 試験方法の概略(6/6)

症例数設定の

根拠

投与 24 週間後の HbA1c のベースラインからの変化量の差を 0.7%,差の標準偏差を 1.6%と

仮定し,95%以上の検出力を得るために,リナグリプチン群 450 例,プラセボ群 150 例と

した。また,安全性データベースに関するプロジェクトで必要とされた症例数を満たす症

例数とした。

治験調整医師

治験実施施設 82 施設(チェコ共和国,フィンランド,ギリシャ,インド,イスラエル,メキシコ,ニュ

ージーランド,ロシア,スウェーデン,米国)

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

患者の内訳図 4.7: 1 に示した。本試験に計 1268 例が登録され,うち 701 例がプラセボ群または

リナグリプチン群にランダム化割付けされた。567 例が割付けされなかったが,その主な理由

は Visit 1a または Visit 2 で「HbA1c が選択基準を満たさない」であった。割付け例のうちリナ

グリプチン群の 1 例は治験薬の投与を受けなかったため,治験薬投与例はプラセボ群 177 例,

リナグリプチン群 523 例であった。プラセボ群の 163 例(92.1%),リナグリプチン群の 484 例

(92.5%)が本試験で規定した投与期間を完了し,治験中止例はそれぞれ 14 例(7.9%)および

39 例(7.5%)であった。主な中止理由は同意撤回(プラセボ群:2.3%,リナグリプチン群:2.5%),

有害事象(両群とも 1.7%)であった。

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登録例 1268 例 非割付け例 567 例

ランダム化割付け例 701 例 非投与例 1 例

プラセボ群 リナグリプチン群

177 例 (100.0%) 523 例 (100.0%) 中止例:14 例 (7.9%) 中止例:39 例 (7.5%) 中止理由 中止理由

・有害事象 : 3 例 ・有害事象 : 9 例 ・効果不十分 a) : 0 例 ・効果不十分 a) : 1 例 ・不遵守 : 3 例 ・不遵守 : 2 例 ・追跡不能 : 2 例 ・追跡不能 : 6 例 ・同意撤回 : 4 例 ・同意撤回 :13 例 ・その他 : 2 例 ・その他 : 8 例

投与完了例 投与完了例 163 例 (92.1%) 484 例 (92.5%)

a)高血糖による中止例を含む

図 4.7: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.1.1: 1 より作成

(b) 治験実施計画書からの逸脱

治験薬投与例 700 例中計 80 例(プラセボ群:20 例,リナグリプチン群:60 例)に有効性評価

に関連する治験実施計画書からの重大な逸脱がみられた。治験実施計画書からの最も多かった

重大な逸脱は治験薬服薬に関する逸脱であった(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 10.2: 1)。

なお,実施計画書に合致した解析集団(PPS)から除外されないが安全性評価に関する重大な

逸脱例として同意取得の遅延が 2 例あった。

(c) 解析対象集団

1 回以上治験薬が投与された患者を Treated set,そのうちベースラインおよび治験薬投与中に

HbA1c の測定が行われた患者を最大の解析対象集団(FAS)とした。また,FAS のうち早期中

止に至らず,治験薬を 149 日間以上投与され,投与終了後の有効な HbA1c の値が存在する患者

を FAS-completers と定義した。さらに,治験実施計画書の規定から有効性評価に影響する重大

な逸脱がみられなかった患者を実施計画書に合致した解析集団(PPS)とし,FAS のうちベー

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スラインと visit 7(投与 24 週)に食事負荷試験が適切に実施された患者を MTT 集団(MTT set)

と定義した。その結果,Treated set は 700 例,FAS は 688 例,FAS-completers は 624 例,PPS は

616 例および MTT set は 111 例となった(表 4.7: 2)。

表 4.7: 2 各解析対象集団の例数

Placebo Linagliptin Total

N (%) N (%) N (%)

Randomised set 177 (100.0) 524 (100.0) 701 (100.0)

Treated set N (% of randomised set) 177 (100.0) 523 (99.8) 700 (99.9)

FAS N (% of randomised set) 175 (98.9) 513 (97.9) 688 (98.1)

FAS-completers N (% of FAS) 156 (89.1) 468 (91.2) 624 (90.7)

PPS N (% of FAS) 156 (89.1) 460 (89.7) 616 (89.5)

MTT set N (% of FAS) 26 (14.9) 85 (16.6) 111 (16.1)

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性

人口統計学的特性

Treated Set における人口統計学的特性を表 4.7: 3 に示した。両群の人口統計学的特性は類似し

ていた。全体で男性の割合(54.1%)がやや高かったが,両群の男女比はほぼ同じであった。

人種では白人(76.1%)とアジア人(20.9%)がほとんどを占めた。年齢は平均 56.5 歳で,その

多くは 65 歳未満(78.0%)であった。BMI は平均 29.9 kg/m2 であった。腎機能は 59.1%の患者

が正常(MDRD 式で計算した糸球体濾過率の予測値(eGFR)が 90 mL/min 以上)で,34.0%が

軽度障害患者(eGFR が 60 mL/min 以上 90 mL/min 未満)であり,中等度障害患者(eGFR が 30

mL/min 以上 60 mL/min 未満)は 3.3%であった。

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表 4.7: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total Number of patients 177 (100.0) 523 (100.0) 700 (100.0) Gender [N (%)] Male 101 (57.1) 278 (53.2) 379 (54.1) Female 76 (42.9) 245 (46.8) 321 (45.9) Race [N (%)] Amer.Ind./Alaska Nat 2 (1.1) 5 (1.0) 7 (1.0) Asian 32 (18.1) 114 (21.8) 146 (20.9) Black/African Amer. 2 (1.1) 7 (1.3) 9 (1.3) Hawaiian/Pacif. Isle 1 (0.6) 4 (0.8) 5 (0.7) White 140 (79.1) 393 (75.1) 533 (76.1) Ethnicity [N (%)] Not Hispanic/Latino 139 (78.5) 406 (77.6) 545 (77.9) Hispanic/Latino 34 (19.2) 113 (21.6) 147 (21.0) Missing 4 (2.3) 4 (0.8) 8 (1.1) Age [years] Mean (SD) 56.6 (10.9) 56.5 (10.1) 56.5 (10.3) Age (categorical) [N (%)] <65 years 136 (76.8) 410 (78.4) 546 (78.0) 65-74 years 35 (19.8) 98 (18.7) 133 (19.0) ≥75 years 6 (3.4) 15 (2.9) 21 (3.0) Baseline weight [kg] Mean (SD) 83.3 (16.6) 82.2 (17.2) 82.5 (17.1) Baseline weight (categorical) [N (%)] ≤70 kg 36 (20.3) 148 (28.3) 184 (26.3) >70 to ≤80 52 (29.4) 109 (20.8) 161 (23.0) >80 to ≤90 31 (17.5) 94 (18.0) 125 (17.9) >90 58 (32.8) 172 (32.9) 230 (32.9) Baseline body mass index (BMI) [kg/m2] Mean (SD) 30.1 (5.0) 29.9 (4.8) 29.9 (4.9) Baseline BMI (categorical) [N (%)] <25 kg/m2 27 (15.3) 82 (15.7) 109 (15.6) 25 to <30 kg/m2 71 (40.1) 213 (40.7) 284 (40.6) ≥30 kg/m2 79 (44.6) 228 (43.6) 307 (43.9) Baseline eGFR (MDRD) (cat.) a)[N (%)] ≥90 mL/min 112 (63.3) 302 (57.7) 414 (59.1) 60 to <90 mL/min 55 (31.1) 183 (35.0) 238 (34.0) 30 to <60 mL/min 5 (2.8) 18 (3.4) 23 (3.3) <30 mL/min 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) Missing 5 (2.8) 20 (3.8) 25 (3.6) Baseline eCCR (Cockcroft-Gault) (cat.) b)[N (%)] ≥80 mL/min 148 (83.6) 423 (80.9) 571 (81.6) Missing 5 (2.8) 20 (3.8) 25 (3.6)

a)ベースラインの糸球体濾過率の予測値(MDRD)

b)ベースラインのクレアチニンクリアランスの予測値(Cockcroft-Gault)

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.2: 1 より作成

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ベースライン値

ベースライン値および糖尿病の前治療薬の数を表 4.7: 4 に示した。HbA1c のベースラインの平

均値はプラセボ群が 8.02%,リナグリプチン群が 8.09%であり,両群ともほぼ同じで,両群と

もに HbA1c が 7.0 以上 8.0%未満の患者が多くを占めた(45.3%)。同様に,空腹時血糖のベー

スライン値はプラセボ群が 166.4 mg/dL,リナグリプチン群が 169.6 mg/dL であり,両群ともほ

ぼ同じであった。全体で 68.6%の患者が糖尿病の前治療薬として 1 剤(メトホルミン)を使用

しており,31.4%の患者がメトホルミンと他の糖尿病治療薬(主にスルホニル尿素薬)を併用

していた(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.1.4.2: 2)。

表 4.7: 4 ベースライン値および糖尿病前治療薬の数(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients 175 (100.0) 513 (100.0) 688 (100.0)

Baseline HbA1c [%]

Mean (SD) 8.02 (0.88) 8.09 (0.86) 8.08 (0.87)

Baseline HbA1c (categorical) [N (%)]

<7.0% 12 (6.9) 28 (5.5) 40 (5.8)

7.0% to <8.0% 83 (47.4) 229 (44.6) 312 (45.3)

8.0% to <9.0% 51 (29.1) 160 (31.2) 211 (30.7)

>=9.0% 29 (16.6) 96 (18.7) 125 (18.2)

Baseline fasting plasma glucose [mg/dL]

Mean (SD) 166.4 (41.9) 169.6 (43.5) 168.8 (43.1)

Number of previous antidiabetic drugs [N (%)]

One 121 (69.1) 351 (68.4) 472 (68.6)

Two 54 (30.9) 162 (31.6) 216 (31.4)

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.2: 2 より作成

糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症

糖尿病の診断から同意取得までの期間の分布は両群でほぼ同じであった。糖尿病の診断から同

意取得までの期間が 5 年超であった患者は 54.9%,1 年超 5 年以下の患者は 34.0%,1 年以下の

患者は 11.0%であった(表 4.7: 5)。

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表 4.7: 5 糖尿病の診断から同意取得までの期間(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients 175 (100.0) 513 (100.0) 688 (100.0)

Time since diagnosis of diabetes (cat.) [N (%)]

Up to 1 year 22 (12.6) 54 (10.5) 76 (11.0)

>1 to 5 years 60 (34.3) 174 (33.9) 234 (34.0)

>5 years 93 (53.1) 285 (55.6) 378 (54.9)

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.2: 3 より作成

ベースラインにおいて最も高頻度に発現した糖尿病関連合併症は,大血管疾患,特に高血圧

(61.0%)であった(表 4.7: 6,CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.1.4.2: 3)。

表 4.7: 6 ベースラインにおける糖尿病関連合併症(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients 177 (100.0) 523 (100.0) 700 (100.0)

Patients with [N (%)]

Microvascular disease a) 26 (14.7) 100 (19.1) 126 (18.0)

Macrovascular disease b) 126 (71.2) 377 (72.1) 503 (71.9)

Diabetic foot 3 (1.7) 2 (0.4) 5 (0.7)

Metabolic syndrome 102 (57.6) 291 (55.6) 393 (56.1)

a)糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症および糖尿病性神経障害

b)冠状動脈疾患,末梢動脈閉塞性疾患,脳血管疾患および高血圧

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.2: 4 より作成

インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値

患者のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値を表 4.7: 7 に示し

た。すべてのバイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値は両群でほぼ同じであった。

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表 4.7: 7 インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値

(FAS-OC)

Placebo Linagliptin

Number of patients 175 (100.0) 513 (100.0)

Baseline fasting plasma C-peptide [pmol/L]

Mean (SD) 1042.5 (640.3) 948.5 (492.6)

gMean (gCV) 930.9 (46.9) 862.2 (44.6)

Baseline fasting plasma insulin [mU/L]

Mean (SD) 11.0 (8.3) 11.6 (11.9)

gMean (gCV) 8.7 (76.9) 8.9 (76.3)

Baseline HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)]

Mean (SD) 4.7 (4.1) 4.9 (6.0)

gMean (gCV) 3.5 (84.3) 3.6 (82.6)

Baseline HOMA-IS [(mU/L) / (mmol/L)]

Mean (SD) 44.7 (43.0) 47.0 (59.6)

gMean (gCV) 32.5 (93.0) 33.0 (83.2)

Disposition Index [1 / (mmol/L)×(mmol/L)]

Mean (SD) 11.8 (9.7) 12.2 (19.3)

gMean (gCV) 9.5 (72.2) 9.1 (76.5)

gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.2: 5 より作成

(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は,プラセボ導入期の終わりと投与期の来院時に評価し,治験薬服薬率が 80~

120%に含まれる場合に「良好」とした。96%の患者で服薬遵守状況は「良好」であった(CTD

5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.1.5: 1)。

(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主解析:HbA1c の変化量

投与 24 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量を,薬剤と糖尿病の前治療薬の数

を固定効果とし,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析結果を表 4.7: 8 に示した。

両群の HbA1c ベースラインの平均値はほぼ同じであった。投与 24 週後の HbA1c のベースライ

ンからの調整平均変化量はリナグリプチン群が−0.49%,プラセボ群が 0.15%であった。その差

は−0.64%(95%信頼区間:−0.78~−0.50%)で,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優越

性が認められた(p<0.0001)。

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表 4.7: 8 投与 24 週における HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients with baseline and on-treatment results 175 513

Baseline

Mean (SE) 8.02 (0.07) 8.09 (0.04)

Change from baseline

Mean (SE) 0.10 (0.08) −0.56 (0.04)

Adjusteda)mean (SE) 0.15 (0.06) −0.49 (0.04)

Comparison vs. Placebo (diff. Linagliptin - Placebo)

Adjusteda)mean (SE) −0.64 (0.07)

95% confidence interval (−0.78, −0.50)

p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

副次解析

• 投与 24 週後の HbA1c の感度分析

PPS および FAS-completers で行った感度分析において,投与 24 週後の HbA1c のベースライン

からの変化量に対する ANCOVA で,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優越性が認めら

れた(p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Tables 15.2.1.2.1: 1,Tables 15.2.1.2.1: 2)。また,

ベースラインの HbA1c と糖尿病の前治療薬の主要評価項目への影響を,ANCOVA により検討

したところ,いずれも交互作用は認められなかった。糖尿病の前治療薬 2 剤の投与を受けてい

た患者の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量の 2 群間の差(−0.76%)は糖尿病の前

治療薬 1 剤の投与を受けていた患者の 2 群間の差(−0.59%)に比較してやや大きかったが,い

ずれもリナグリプチン群とプラセボ群間に統計学的に有意な差がみられた(p<0.0001)(CTD

5.3.5.1-7,試験 1218.17,Tables 15.2.1.2.1: 3)。

• HbA1c の推移

HbA1c のベースラインからの経時的な平均変化量に付いて,主解析と同じモデルを用いて解析

を行った。投与後のベースラインからの調整平均変化量の差は,投与 6 週後の−0.43%から投与

18 週後の−0.65%と大きくなり,投与 24 週後(−0.64%)までその差は維持された。また,いず

れの測定時期ともに有意な差がみられた(p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Tables

15.2.1.2.2: 1)。

リナグリプチン群とプラセボ群の HbA1c の平均値の推移を図 4.7: 2 に示した。

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図 4.7: 2 平均 HbA1c (%)の推移(平均±標準誤差)(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Figure 11.4.1.1.2: 1 より作成

• HbA1c のサブグループ解析

投与 24 週後の HbA1c のベースラインから平均変化量をサブグループに表 4.7: 9 に示した。

4 区分したベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数および民族において主効果に統計学的

に有意な差がみられた。ベースラインの HbA1c が高い患者を低い患者と比較した場合および糖

尿病の前治療薬が 2 剤の患者を 1 剤の患者と比較した場合,プラセボで補正した HbA1c のベー

スラインからの変化量はベースラインの HbA1cが高い患者および糖尿病の前治療薬が 2剤の患

者で大きかった。民族に関しては,例数の少ない民族での効果が影響しているため,信頼性は

低いと考えられた。他のサブグループにおいては,いずれも主効果に統計学的に有意な差がみ

られなかった。

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表 4.7: 9 サブグループの HbA1c(%)のベースラインからの平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo (N=175)

Linagliptin (N=513)

N Mean (SD) N Mean (SD) Baseline HbA1c <7.5% 49 0.34 0.87 128 −0.26 0.67 7.5% to <8.0% 46 0.13 0.94 129 −0.43 0.72 8.0% to <9.0% 51 0.06 1.17 160 −0.64 0.74 ≥9.0% 29 −0.27 0.91 96 −0.99 1.07 Number of prior antidiabetic drugs, N (%) 1 121 −0.02 0.98 351 −0.62 0.80 2 54 0.37 1.01 162 −0.42 0.87 Region Asia 64 0.10 1.07 208 -0.60 0.91 Europe 51 -0.08 0.69 130 -0.57 0.71 North America (incl. New Zealand) 35 0.28 1.05 94 -0.50 0.83 South America (incl. Mexico) 25 0.26 1.28 81 -0.49 0.81 Age group [years] <65 134 0.08 1.02 401 −0.58 0.85 65 to 74 35 0.14 1.02 97 −0.47 0.77 ≥75 6 0.38 0.57 15 −0.43 0.55 Gender Male 101 0.21 0.99 273 −0.53 0.82 Female 74 −0.04 1.01 240 −0.59 0.84 Race American Indian or Alaska Native 2 1.45 0.78 4 0.20 0.18 Asian 32 0.31 1.26 111 −0.54 1.03 Black or African American 2 0.30 0.14 6 −0.53 0.61 Native Hawaiian or other Pacific Islander 1 −0.40 4 −0.82 0.10 White 138 0.04 0.93 388 −0.57 0.77 Ethnicity Not Hispanic / Latino 138 0.07 0.92 399 −0.58 0.84 Hispanic / Latino 33 0.28 1.33 110 −0.48 0.81 Missing 4 −0.32 0.75 4 −0.70 0.73 BMI [kg/m2] <30 96 0.06 1.12 290 −0.54 0.89 ≥30 79 0.15 0.85 223 −0.58 0.75 Time since diagnosis of diabetes Up to 1 year 22 −0.33 1.08 54 −0.46 0.90 >1 to 5 years 60 0.06 1.00 174 −0.53 0.82 >5 years 93 0.24 0.97 285 −0.59 0.82 Metabolic syndrome at screening No 74 0.16 1.10 228 −0.58 0.83 Yes 101 0.06 0.93 285 −0.54 0.83 HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)] ≤4 86 0.19 0.99 230 −0.53 0.87 >4 to ≤5.5 21 0.08 0.67 76 −0.52 0.82 >5.5 to ≤8.5 23 0.12 1.09 74 −0.43 0.68 >8.5 19 −0.18 1.03 45 −0.60 1.06 Missing 26 0.05 1.19 88 −0.74 0.69 HOMA-IS [(mU/L) / (mmol/L)] ≤25 60 0.18 0.95 152 −0.51 0.88 >25 to ≤40 22 0.14 1.08 97 −0.59 0.80 >40 to ≤70 40 0.12 0.91 106 −0.51 0.88 >70 27 −0.07 1.05 70 −0.45 0.83 Missing 26 0.05 1.19 88 −0.74 0.69

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

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425

Page 430: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

糖尿病の診断からの同意取得までの期間別の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量を

表 4.7: 10 に示した。薬剤と交互作用がみられたサブグループは糖尿病の診断から同意取得まで

の期間であった(p=0.0154)。交互作用がみられた理由として糖尿病の診断から同意取得までの

期間が1年以下のプラセボ群 22 例(−0.21%)で観察された効果が起因している。リナグリプ

チンの効果は糖尿病の診断から同意取得までの期間が1年以下の群で-0.40%(N=54),1 年超

5 年以下の群で−0.46%(N=174),5 年超の群で−0.53%(N=285)であり,3 群すべてにおいて良

好に示されていた。

表 4.7: 10 糖尿病の診断からの期間別 HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化

量(FAS-LOCF)

Placebo

(N=175)

Linagliptin

(N=513)

p-value

N

Adjusted a)

mean (SE)

N

Adjusted a)

mean (SE)

Time since diagnosis of diabetes

Up to 1 year 22 −0.21 (0.18) 54 −0.40 (0.12) 0.3595b)

>1 to 5 years 60 0.07 (0.11) 174 −0.46 (0.07) <0.0001b)

>5 years 93 0.28 (0.09) 285 −0.53 (0.05) <0.0001b)

Main effect of time since diagnosis of diabetes <0.0001

Interaction of time since diagnosis of diabetes with treatment group 0.0154

a)ANCOVA: 薬剤,ベースラインの HbA1c,糖尿病の前治療薬の数,糖尿病の診断から同意取得までの期間,

薬剤と糖尿病の診断から同意取得までの期間の交互作用項をモデルに含む

b)リナグリプチンとプラセボの比較

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.1.2: 2 より作成

(b) 副次評価項目

空腹時血糖

投与 24 週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量を表 4.7: 11 に示した。投与 24

週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量はプラセボ群で 10.5 mg/dL,リナグリ

プチン群で−10.7 mg/dL であった。その差は−21.1 mg/dL で,リナグリプチン群はプラセボ群に

対し統計学的に有意な差を示した(p<0.0001)。

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426

Page 431: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 4.7: 11 投与 24 週における空腹時血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均変化

量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients 175 513

Number of patients with baseline and on-treatment results 159 495

Baseline

Mean (SE) 163.8 (3.1) 169.0 (1.9)

Change from baseline

Mean (SE) 10.8 (3.8) −12.7 (1.7)

Adjusteda)mean (SE) 10.5 (2.8) −10.7 (1.7)

Comparison vs. placebo (difference linagliptin – placebo)

Adjusteda)mean (SE) −21.1 (3.1)

95% Confidence interval (−27.3, −15.0)

p-value <0.0001

a)ANCOVA: 薬剤,べースライン HbA1c,ベースライン空腹時血糖,糖尿病の前治療薬種類の数をモデルに

含む

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.2.1: 1 より作成

平均空腹時血糖の推移を図 4.7: 3 に示した。ベースラインからの調整平均変化量の各測定時期

での 2 群間の差(−16.5~−21.1 mg/dL)はいずれも統計学的に有意であった(p<0.0001)(CTD

5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.2.2.1: 6,15.2.2.1: 7)。

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427

Page 432: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

図 4.7: 3 平均空腹時血糖(mg/dL)の推移(平均±標準誤差)(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.2.1: 1 より作成

治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 24 週後における HbA1c の治療目標効果の達成率(7.0%または 6.5%未満の患者の割合)と

有効性反応の発現率(ベースラインから 0.5%以上低下した患者の割合)を表 4.7: 12 に示した。

途中中止例を,24 週時点で治療目標の未達成および有効性反応の未発現とみなす方法(NCF)

で 24 週時の欠測値を補完して解析した。

HbA1c のベースライン値が 7.0%以上であった患者のうち,投与 24 週後に HbA1c が 7.0%未満

となった患者の割合は,プラセボ群で 9.2%,リナグリプチン群で 26.2%(オッズ比 4.395,

p<0.0001)であった。ベースラインの HbA1c が 6.5%以上であった患者のうち,24週時点で HbA1c

が 6.5%未満となった患者の割合は,プラセボ群で 2.3%,リナグリプチン群で 10.4%(オッズ比

5.456,p=0.0016)であった。また, 24 週時点にベースラインから HbA1c が 0.5%以上低下し

た患者の割合は,プラセボ群で 21.7%,リナグリプチン群で 49.7%(オッズ比 3.754,p<0.0001)

であった(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Tables 15.2.2.2: 1, 15.2.2.3: 1, 15.2.2.4: 1)。

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428

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表 4.7: 12 投与 24 週における HbA1c の治療目標効果の達成例数と有効性反応の発現例

数と割合(FAS-NCF)

Placebo Linagliptin

na) (%) Nb) na) (%) Nb)

Response criterion

HbA1c<7.0% 20 (11.4) 175 145 (28.3) 513

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 15 (9.2) 163 127 (26.2) 485

HbA1c<6.5% 6 (3.4) 175 55 (10.7) 513

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 4 (2.5) 163 47 (9.7) 485

Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 4 (2.3) 171 53 (10.4) 511

HbA1c reduction from baseline ≥0.5% 38 (21.7) 175 255 (49.7) 513

a)治療目標効果達成例数または有効性反応の発現例数

b)解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.2.2: 1 より作成

食後 2 時間血糖

投与 24週後の食後 2時間血糖のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン群とプラ

セボ群との差は,–67.1 mg/dL(p<0.0001)であった(表 4.7: 13)。

表 4.7: 13 投与 24 週における食後 2 時間血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均

変化量(MTT set-OC)

Placebo Linagliptin

Number of patients 26 85

Number of patients with baseline and on-treatment results 21 78

Baseline

Mean (SE) 274.5 (14.9) 269.9 (7.5)

Change from baseline

Mean (SE) 23.2 (16.7) −39.6 (7.8)

Adjusteda)mean (SE) 18.3 (12.9) −48.9 (7.4)

Comparison vs. Placebo (diff. Linagliptin - Placebo)

Adjusteda)mean (SE) −67.1 (13.9)

95% Confidence interval (−94.7, −39.6)

p-value <0.0001

a)ANCOVA: 薬剤,ベースライン HbA1c,ベースラインの食後 2 時間血糖,糖尿病の前治療薬の数をモデル

に含む

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.2.3: 1 より作成

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(c) その他の評価項目

救援治療薬の使用

救援治療薬の使用の解析では,治験実施計画書で規定した救援治療薬(グリメピリド)だけで

なく,他の糖尿病治療薬の追加ならびにメトホルミンの増量も救援治療薬の使用例に含めた。

救援治療薬を使用した患者の割合は,プラセボ群で 18.9%であり,リナグリプチン群の 2 倍以

上(7.8%)であった(オッズ比 0.276,p< 0.0001)(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Tables 15.2.3:

1,Tables 15.2.3: 2)。

体重およびウエスト周囲径

投与 24 週後の体重およびウエスト周囲径のベースラインからの平均変化量は両群ともにわず

かであった(表 4.7: 14)。

表 4.7: 14 投与 24 週における体重(kg)およびウエスト周囲径のベースラインからの

平均変化量(FAS- OC)

Placebo (N=175) Linagliptin (N=513)

N Mean (SD) N Mean (SD)

Body weight [kg]

Change to Week 24 135 −0.5 (3.3) 461 −0.4 (3.3)

Waist circumference [cm]

Change to Week 24 135 −1.4 (4.5) 460 −0.1 (8.2)

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.4.1.3.2: 1 より作成

健康関連 QOL(EQ-5D)および糖尿病治療満足度質問表(DTSQs)

健康に関する 5 項目からなる EQ-5D,および治療満足度(6 項目)ならびに高血糖および低血

糖症を自覚した頻度を評価する 2 項目からなる DTSQs について,ベースライン,投与 6,12

および 24 週に調査を実施した。

EQ-5D スコアおよび DTSQs のベースラインからのトータルスコア変化量は,両群でほぼ同じ

であった(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.2.4.1: 1,Table 15.2.4.1: 2,Table 15.2.4.3: 1)。

(3) 臨床薬理

(a) インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標

投与 24 週後のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースラインからの調整

平均変化量を表 4.7: 15 に示した。HOMA-IR,HOMA-IS,および Disposition index のベースラ

インからの調整平均変化量では 2 群間に有意な差はみられなかった。また,Disposition index で

は,リナグリプチンのプラセボに対する調整平均変化量の差は 4.50 であり,有意な差ではなか

ったが,プラセボ群に比較してリナグリプチン群でβ細胞機能の改善が示唆された。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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対数変換データに基づく投与 24 週後の HOMA-IS のベースラインからの調整平均変化量では,

リナグリプチンのプラセボに対する差は 1.26 (mU/L)/(mmol/L)で,有意な差が認められ

(p=0.0005)(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.7.1.4: 2),Disposition index と同様にプラセ

ボ群に比較してリナグリプチン群でβ細胞機能の改善が示唆された。

表 4.7: 15 投与 24 週におけるインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベ

ースラインからの調整平均変化量(FAS-OC)

Placebo Linagliptin

HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)]

Number of patients 98 323

Baseline, mean (SE) 4.47 (0.41) 4.93 (0.37)

Adjusted mean change from baseline (SE) −0.96 (0.31) −0.97 (0.17)

Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) −0.01 (0.34)

95% Confidence interval (−0.67, 0.65)

p-value 0.9855

HOMA-IS [(mU/L) / (mmol/L)]

Number of patients 98 323

Baseline, mean (SE) 48.32 (4.78) 49.71 (3.55)

Adjusted mean change from baseline (SE) −10.67 (6.92) 1.21 (3.94)

Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 11.87 (7.57)

95% Confidence interval (−3.01, 26.76)

p-value 0.1177

disposition index [(mmol/L)×(mmol/L)]

Number of patients 120 394

Baseline, mean (SE) 12.71 (0.94) 12.81 (0.94)

Adjusted mean change from baseline (SE) 1.43 (4.95) 5.93 (2.83)

Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 4.50 (5.40)

95% Confidence interval (−6.11, 15.11)

p-value 0.4053

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.5.3.1: 1 より作成

(b) 食事負荷試験におけるパラメータ

投与 24 週後の食事負荷試験パラメータのベースラインからの調整平均変化量を表 4.7: 16 に示

した。投与 24 週後の総血糖 AUC のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン群と

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プラセボ群の差は−5.35 mmol·h/L であり,統計学的に有意な差が認められた(p<0.0001)。この

結果は主要評価項目および副次評価項目の結果と一致していた。他のパラメータでは 2 群間に

統計学的に有意な差はみられなかった。

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表 4.7: 16 投与 24 週における食事負荷試験パラメータのベースラインからの調整平均

変化量(MTT Set-OC)

Placebo Linagliptin Total glucose AUC [mmol·h/L] Number of patients 21 77 Baseline, mean (SE) 28.03 (1.29) 26.34 (0.62) Adjusted mean change from baseline (SE) 1.57 (1.08) −3.79 (0.61) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) −5.35 (1.17) 95% Confidence interval (−7.67, -3.04) p-value <0.0001 Total insulin AUC [pmol·h/L] Number of patients 13 46 Baseline, mean (SE) 457.05 (90.55) 511.92 (44.91) Adjusted mean change from baseline (SE) 104.66 (79.15) 85.09 (49.51) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) −19.58 (88.81) 95% Confidence interval (−197.6, 158.5) p-value 0.8264 Total C-peptide AUC [pmol·h/L] Number of patients 14 57 Baseline, mean (SE) 3369.10 (391.4) 3473.62 (175.0) Adjusted mean change from baseline (SE) 906.50 (314.3) 563.83 (181.7) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) −342.67 (351.3) 95% Confidence interval (−1044, 358.72) p-value 0.3329 Total insulin AUC/total glucose AUC ratio [pmol/mmol] Number of patients 13 45 Baseline, mean (SE) 18.37 (3.59) 21.02 (1.95) Adjusted mean change from baseline (SE) 3.87 (3.24) 5.98 (2.02) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) 2.11 (3.64) 95% Confidence interval (−5.19, 9.41) p-value 0.5643 Total insulin AUC/total C-peptide AUC ratio Number of patients 11 40 Baseline, mean (SE) 0.12 (0.01) 0.14 (0.01) Adjusted mean change from baseline (SE) 0.01 (0.01) −0.01 (0.01) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) −0.01 (0.01) 95% Confidence interval (−0.04, 0.01) p-value 0.2872 Total glucose AUC / (total insulin AUC/total C-peptide AUC ratio) [mmol·h/L] Number of patients 11 39 Baseline, mean (SE) 254.44 (33.02) 219.10 (25.25) Adjusted mean change from baseline (SE) 4.44 (29.58) −43.01 (18.08) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) −47.45 (33.17) 95% Confidence interval (−114.3, 19.36) p-value 0.1595

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 11.5.3.2: 1 より作成

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(4) 安全性

(a) 曝露状況

治験薬の平均曝露期間はプラセボ群で 165 日,リナグリプチン群で 167 日であった。曝露日数

の中央値は両群ともに 171 日であった(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.1: 1)。

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 7 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中に発現した有害事象とした。

有害事象の概略

有害事象の概略を表 4.7: 17 に示した。有害事象の発現率はプラセボ群で 55.4%,リナグリプチ

ン群で 52.8%であり,2 群間でほぼ同じであった。高度の有害事象はプラセボ群で 2 例(1.1%)

に,リナグリプチン群で 11 例(2.1%)に発現した。治験担当医師により治験薬との因果関係

ありと判定された有害事象はプラセボ群で 19 例(10.7%),リナグリプチン群で 36 例(6.9%)

にみられた。ICH-E3 に準ずる他の重要な有害事象はプラセボ群で 1 例(0.6%),リナグリプチ

ン群で 10 例(1.9%)認められた。治験中止に至った有害事象はプラセボ群で 3 例(1.7%),リ

ナグリプチン群で 8 例(1.5%)認められた。治験実施計画書で定義した重要な有害事象はプラ

セボ群で 4 例(2.3%),リナグリプチン群で 2 例(0.4%)認められた。重篤な有害事象はプラ

セボ群で 4 例(2.3%),リナグリプチン群で 18 例(3.4%)に発現した。本試験において致死的

有害事象はなかった。

表 4.7: 17 有害事象の概略(Treated Set)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Number of patients 177 (100.0) 523 (100.0)

Patients with any AE 98 (55.4) 276 (52.8)

Patients with severe AEs 2 (1.1) 11 (2.1)

Patients with investigator-defined drug-related AEs 19 (10.7) 36 (6.9)

Patients with ‘other significant’ AEs (according to ICH E3) 1 (0.6) 10 (1.9)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 3 (1.7) 8 (1.5)

Patients with significant AEs1) 4 (2.3) 2 (0.4)

Patients with serious AEs 4 (2.3) 18 (3.4)

Immediately life-threatening 0 (0.0) 1 (0.2)

Requiring hospitalisation 3 (1.7) 17 (3.3)

Prolonging hospitalisation 0 (0.0) 1 (0.2)

Other 1 (0.6) 1 (0.2)

1)治験担当医師の報告に基づく過敏症反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇 引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.2.1: 1 より作成

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高頻度に発現した有害事象

いずれかの群で発現率が 2%超の有害事象を表 4.7: 18 に示した。基本語で高頻度に発現した有

害事象は,高血糖(プラセボ群 14.7%,リナグリプチン群 5.2%),次いで鼻咽頭炎(それぞれ,

5.1%,5.2%),尿路感染(4.0%,3.1%),血中ブドウ糖増加(4.0%,1.0%),頭痛(4.0%,2.9%)

であった。

血管障害の有害事象発現率はプラセボ群 4.0%,リナグリプチン群 4.2%であり,基本語で高血

圧であり,同様に 3.4%および 3.3%で発現した。なお,心臓障害の有害事象はプラセボ群の 1

例(狭心症)0.6%に対して,リナグリプチン群で 12 例(2.3%)に発現した。リナグリプチン

群でみられた心臓障害の有害事象は,動悸(5 例),狭心症(2 例),頻脈(2 例),心房細動,

心筋虚血,心筋梗塞および心室性期外収縮(各 1 例)であった。また,皮膚および皮下組織障

害は,プラセボ群で 5 例(2.8%)リナグリプチン群で 18 例(3.4%)に認められた。リナグリ

プチン群でみられた皮膚および皮下組織障害の有害事象は,そう痒症(5 例),多汗症(3 例),

発疹(2 例),皮膚潰瘍,皮膚炎(2 例),ざ瘡,水疱,湿疹,過角化,神経皮膚炎,そう痒性皮

疹,皮膚剥脱,皮膚亀裂,皮膚病変および尋常性白斑(各 1 例)であった(CTD 5.3.5.1-7,試

験 1218.17,Table 15.3.2: 2)。

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435

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表 4.7: 18 治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で 2%超)(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

例数 177 (100.0) 523 (100.0)

有害事象発現例 98 (55.4) 276 (52.8)

感染症および寄生虫症(Infections and infestations) 38 (21.5) 112 (21.4)

鼻咽頭炎(Nasopharyngitis) 9 (5.1) 27 (5.2)

尿路感染(Urinary tract infection) 7 (4.0) 16 (3.1)

インフルエンザ(Influenza) 5 (2.8) 18 (3.4)

上気道感染(Upper respiratory tract infection) 4 (2.3) 15 (2.9)

代謝および栄養障害(Metabolism and nutrition disorders) 38 (21.5) 47 (9.0)

高血糖(Hyperglycaemia) 26 (14.7) 27 (5.2)

低血糖症(Hypoglycaemia) 5 (2.8) 3 (0.6)

臨床検査(Investigations) 15 (8.5) 19 (3.6)

血中ブドウ糖増加(Blood glucose increased) 7 (4.0) 5 (1.0)

神経障害(Nervous system disorders) 9 (5.1) 36 (6.9)

頭痛(Headache) 7 (4.0) 15 (2.9)

血管障害(Vascular disorders) 7 (4.0) 22 (4.2)

高血圧(Hypertension) 6 (3.4) 17 (3.3)

胃腸障害(Gastrointestinal disorders) 20 (11.3) 57 (10.9)

下痢(Diarrhoea) 4 (2.3) 15 (2.9)

腹痛(Abdominal pain) 4 (2.3) 2 (0.4)

筋骨格系および結合組織障害

(Musculoskeletal and connective tissue disorders)

14 (7.9) 58 (11.1)

背部痛(Back pain) 5 (2.8) 12 (2.3)

関節痛(Arthralgia) 3 (1.7) 11 (2.1)

呼吸器,胸郭および縦隔障害

(Respiratory, thoracic and mediastinal disorders)

5 (2.8) 25 (4.8)

咳嗽(Cough) 3 (1.7) 11 (2.1)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.2.2: 1

高度な有害事象

高度の有害事象はプラセボ群で2例(1.1%)に3件(頭痛・脳虚血,直腸瘤),リナグリプチン

群で11例(2.1%)に12件(尿管結石:2例,浮動性めまい,糖尿病性ニューロパチー,心筋虚血,

高血圧,気管支反応性亢進,滑液包炎,腎結石症,筋挫傷,霧視,蛇咬傷:各1例)に認められ

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た(CTD 5.3.5.1-7,試験1218.17,Appendix 16.1.9.2,Listing 7.2.5)。

治験薬と因果関係がある有害事象

治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象を表 4.7: 19 に示した。治験

薬と因果関係のある有害事象で高頻度に発現した事象は,高血糖(プラセボ群:2.3%,リナグ

リプチン群:1.0%),低血糖症(同様に 2.3%,0.4%),頭痛(0.6%,1.0%)および悪心(同様

に 1.7%,0.4%)であった。

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表 4.7: 19 治験薬と因果関係のある有害事象(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) Placebo Linagliptin N (%) N (%) 例数 177 (100.0) 523 (100.0) 治験薬と因果関係のある有害事象発現例 19 ( 10.7) 36 (6.9) 感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 1 ( 0.6) 2 ( 0.4) 尿路感染 (Urinary tract infection) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 0 ( 0.0) 2 ( 0.4) 血液およびリンパ系障害 (Blood and lymphatic system disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 白血球増加症 (Leukocytosis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 9 ( 5.1) 8 ( 1.5)

高血糖 (Hyperglycaemia) 4 ( 2.3) 5 ( 1.0) 低血糖症 (Hypoglycaemia) 4 ( 2.3) 2 ( 0.4)

コントロール不良の糖尿病 (Diabetes mellitus inadequate control) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 脂質異常症 (Dyslipidaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 神経系障害 (Nervous system disorders) 1 ( 0.6) 8 ( 1.5)

浮動性めまい (Dizziness) 0 ( 0.0) 5 ( 1.0) 頭痛 (Headache) 1 ( 0.6) 5 ( 1.0)

嗜眠 (Lethargy) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 眼障害 (Eye disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) アレルギー性結膜炎 (Conjunctivitis allergic) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 血管障害 (Vascular disorders) 2 ( 1.1) 0 ( 0.0) 高血圧 (Hypertension) 2 ( 1.1) 0 ( 0.0) 呼吸器,胸郭および縦隔障害(Respiratory, thoracic and mediastinal disorders) 1 ( 0.6) 6 ( 1.1) 咳嗽 (Cough) 1 ( 0.6) 3 ( 0.6) 気管支反応性亢進 (Bronchial hyperactivity) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

アレルギー性鼻炎 (Rhinitis allergic) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 鼻漏 (Rhinorrhoea) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) くしゃみ (Sneezing) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 5 ( 2.8) 13 ( 2.5) 悪心 (Nausea) 3 ( 1.7) 2 ( 0.4) 下痢 ( Diarrhoea) 1 ( 0.6) 4 ( 0.8) 便秘 (Constipation) 0 ( 0.0) 3 ( 0.6) 鼓腸 (Flatulence) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 消化不良 (Dyspepsia) 0 ( 0.0) 2 ( 0.4) 腹部不快感 (Abdominal discomfort) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

上腹部痛(Abdominal pain upper) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 胃炎 (Gastritis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

過敏性腸症候群 (Irritable bowel syndrome) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 嘔吐 (Vomiting) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 肝胆道系障害 (Hepatobiliary disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 脂肪肝 (Hepatic steatosis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 皮膚および皮下組織障害(Skin and subcutaneous tissue disorders) 0 ( 0.0) 2 ( 0.4) そう痒症 (Pruritus) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 発疹 (Rash) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

滑液包炎 (Bursitis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) 腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0)

腎機能障害 (Renal impairment) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions) 1 ( 0.6) 3 ( 0.6)

状態悪化 (Condition aggravated) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 薬効欠如 (Drug ineffective) 0 ( 0.0) 2 ( 0.4) 無力症 (Asthenia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

臨床検査 (Investigations) 3 ( 1.7) 3 ( 0.6) 血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased) 2 ( 1.1) 0 ( 0.0) 血中尿素増加 (Blood urea increased) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 (Alanine aminotransferase increased) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 (Aspartate aminotransferase increased) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

血中アミラーゼ増加 (Blood amylase increased) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2) γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 (Gamma-glutamyltransferase increased) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

a)MedDRA version 引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.3.2: 11 より作成

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治験中止に至った有害事象

治験中止に至った有害事象を表 4.7: 20 に示した。治験中止にいたった有害事象はプラセボ群で

3 例(1.1%),リナグリプチン群で 8 例(1.5%)であった。リナグリプチン群で発現した気管

支反応性亢進および尿管結石は入院を要する,重篤な有害事象であった。

表 4.7: 20 治験中止に至った有害事象(Treated Set)

Patient no.

Age[years] /Sex

AE Preferred Term a) Start day

Duration[days]

Intensity Outcome Remark

Treatment at onset: Placebo

70527 60/M 便秘(Constipation) 141 21 Mild Recovered -

下痢(Diarrhoea) 141 21 Mild Recovered -

70089 65/M 腎機能障害(Renal impairment) 85 14 Moderate Recovered Signif. AE

74023 48/M アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 (Alanine aminotransferase increased)

85 251§ Moderate Nrec # Signif. AE

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加

(Aspartate aminotransferase increased) 85 25 Moderate Recovered Signif. AE

Treatment at onset: Linagliptin

78248 58/F 高血糖(Hyperglycaemia) 1 90§ Moderate Nrec& -

72095 61/M 不安(Anxiety) 4 22 Mild Recovered -

78242 61/M 糖尿病性ニューロパチー (Diabetic neuropathy)

14 14 Severe Recovered -

72093 74/F 側頭動脈炎(Temporal arteritis) 163 107§ Mild Nrec& -

78201 61/F 気管支反応性亢進 (Bronchial hyperreactivity) 46 19 Severe Recovered SAE*

血中ブドウ糖増加(Blood glucose increased) 47 5 Mild Recovered -

79088 56/F 脂肪肝(Hepatic steatosis) 134 84§ Moderate Nrec& -

アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 (Alanine aminotransferase increased)

93 97§ Moderate Nrec& Signif. AE

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加

(Aspartate aminotransferase increased) 134 84§ Moderate Nrec& Signif. AE

72091 43/M 皮膚潰瘍(Skin ulcer) 25 329§ Moderate Nrec& -

74054 67/F 尿管結石(Calculus ureteric) 89 5 Severe Recovered SAE*

Nrec:未回復,Signif AE:重要な有害事象,SAE:重篤な有害事象,*:入院,#:追跡不能,§:打ち切り,

&:追跡終了

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.2.2: 2 より作成

低血糖イベント

治験担当医師判定による低血糖イベント(低血糖症および低血糖症の症状に関連する有害事象)

は,プラセボ群で 5 例(2.8%),リナグリプチン群で 3 例(0.6%)に認められた(表 4.7: 21)。

プラセボ群の 1 例をのぞいて,いずれの低血糖イベントも軽度であった。リナグリプチン群の

3 例でみられた低血糖イベントは,救援治療薬未投与下で発現し,いずれも無症候性であり,2

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例で治験薬との因果関係ありと判定された。プラセボ群の 5 例中 4 例は救援治療薬(スルホニ

ル尿素薬)の使用中に低血糖イベントが発現した。

表 4.7: 21 治験担当医師により判定された低血糖イベントを発現した患者(Treated

Set)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N (%) 177 (100.0) 523 (100.0)

Number of patients with any investigator-defined hypoglycaemia N (% of patients treated)a)

5 (2.8) 3 (0.6)

Number of patients with hypoglycaemia (% of patients) 5 (100.0) 3 (100.0)

Any asymptomatic hypoglycaemia N (% of patients with hypoglycaemia) b)

2 (40.0) 3 (100.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemia and measured plasma glucose ≥54 mg/dL and ≤70 mg/dL N (% of patients with hypoglycaemia) c)

3 (60.0) 0 (0.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemia and measured plasma glucose <54 mg/dL N (% of patients with hypoglycaemia) d)

1 (20.0) 0 (0.0)

Any severe hypoglycaemic episode N (% of patients with hypoglycaemia) e)

0 (0.0) 0 (0.0)

Number of hypoglycaemic episodes per patient N (% of patients with hypoglycaemia)

1 3 (60.0) 1 (33.3)

2 to 3 1 (20.0) 1 (33.3)

≥4 1 (20.0) 1 (33.3)

a)各カテゴリーまたは各イベントに重複例あり

b)低血糖症の症状を伴っていないが,血糖値 70 mg/dL 以下

c)低血糖症の症状を伴う

d)低血糖症の症状を伴うが,他者による介助は不要

e)ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処置に他者の介助が必要

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.2.2: 3 より作成

臨床イベント委員会で審査・判定された心血管イベントまたは脳血管イベント

リナグリプチン群の 3 例でみられた心血管イベントが臨床イベント委員会で審査され,それぞ

れ非 ST 上昇型心筋梗塞,安定狭心症および不安定狭心症と判定された。また,プラセボ群の 2

例でみられた心臓・脳血管イベントは,安定狭心症および非致死的急性虚血性脳卒中と判定さ

れた。

(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

本試験で死亡例はなかった。

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重篤な有害事象

プラセボ群の 4 例(2.3%),リナグリプチン群の 18 例(3.4%)で重篤な有害事象の報告があっ

た。リナグリプチン群の 1 例(患者番号 76186)で報告された心筋虚血(CEC で不安定狭心症

と確認)が生命を脅かす有害事象であった。また,リナグリプチン群の 1 例(患者番号 78201)

の気管支反応性亢進(既存疾患の悪化)を除いて,いずれの重篤な有害事象も治験薬と因果関

係なしと判定された(表 4.7: 22)。

表 4.7: 22 重篤な有害事象(Treated set)

Patient no.

Age [years] / Sex

AE preferred term a) Start day

Duration[days]

Intensity Drug related

Action taken

Outcome

Treatment at onset: Placebo

74023 48/M ウィルス性肝炎(Hepatitis viral) 90 246§ Moderate No n.a. Nrec

72099 57/M 脳虚血(Cerebral ischaemia) 69 172 Severe No Cont Recovered

頭痛(Headache) 103 2 Severe No Cont Recovered

71103 73/M 椎間板突出(Intervertebral disc protrusion) 51 240§ Moderate No Cont Nrec&

77127 55/F 直腸瘤(Rectocele) 149 4 Severe No Cont Recovered

Treatment at onset: Linagliptin

76037 57/M 濾過胞炎(Blebitis) 24 9 Moderate No Cont Recovered

70526 58/M 胃腸炎(Gastroenteritis) 16 4 Moderate No Cont Recovered

76221 60/M ウィルス性胃腸炎(Gastroenteritis viral) 133 12 Moderate No Rein Recovered

71053 55/M 狭心症(Angina pectoris)b) 50 4 Moderate No Cont Recovered

心筋梗塞(Myocardial infarction)b) 53 1 Mild No Cont Recovered

75246 64/M 心房細動(Atrial fibrillation) 131 2 Mild No Cont Recovered

76186 44/F 心筋虚血(Myocardial ischaemia)b) 79 7 Severe No Rein Recovered

79209 61/F 高血圧(Hypertension) 58 15 Severe No Cont Recovered

78201 61/F 気管支反応性亢進(Bronchial hyperreactivity) 46 19 Severe Yes Disc Recovered

72091 43/M 肺塞栓症(Pulmonary embolism) 16 5 Moderate No Cont Recovered

75283 55/M 消化不良(Dyspepsia) 11 2 Moderate No Cont Recovered

76017 59/F 椎間板突出(Intervertebral disc protrusion) 39 90 Moderate No Cont Recovered

70090 66/M 尿管結石(Calculus ureteric) 52 2 Severe No Cont Recovered

腎腫瘤(Renal mass) 52 196§ Moderate No Cont Nrec#

74054 67/F 尿管結石(Calculus ureteric) 89 5 Severe No Disc Recovered

72126 68/F 腎結石症(Nephrolithiasis)c) 73 127 Severe No Cont Recovered

78103 47/F 腎結石症(Nephrolithiasis) 31 20 Mild No Cont Recovered

76101 60/F 非心臓性胸痛(Non-cardiac chest pain) 128 3 Moderate No Cont Recovered

76028 71/F 剥離骨折(Avulsion fracture) 61 109 Moderate No Cont Recovered

尺骨骨折(Ulna fracture) 61 109 Moderate No Cont Recovered

70121 49/F 蛇咬傷(Snake bite) 43 4 Severe No Cont Seq

Cont:治験薬継続投与,Rein:再開,Nrec:未回復,Seq:後遺症,#:追跡不能,§:打ち切り,&:追跡終了

a)MedDRA version

b)Clinical Event Committee (CEC)で審査・確認

c)投与期後に重篤な有害事象(腎盂造瘻術後の手術部位感染)が認められた

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.3.2: 1 より作成

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治験実施計画書で規定した重要な有害事象

治験実施計画書で規定した重要な有害事象(過敏症反応,肝酵素上昇,急性腎不全)は SMQs

(MedDRA 標準検索式)で検索した。

これらの重要な有害事象はプラセボ群で 4 例(2.3%)5 事象(過敏性反応,腎機能障害,アス

パラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加,アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加[2 事象]),

リナグリプチン群で 3 例(0.6%)5 事象(気管支反応性亢進,アスパラギン酸アミノトランス

フェラーゼ増加[2 事象],アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加[2 事象])であった(表 4.7:

23)。

表 4.7: 23 SMQs に基づく治験実施計画書で規定した重要な有害事象(Treated Set)

SMQ /Preferred term a) Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Number of patients 177 (100.0) 523 (100.0)

Number of patients with protocol-specified significant AEs 4 (2.3) 3 (0.6)

Patients with hypersensitivity reactionsb) 1 (0.6) 1 (0.2)

Hypersensitivity 1 (0.6) 0 (0.0)

Bronchial hyperreactivity 0 (0.0) 1 (0.2)

Patients with acute renal failurec) 1 (0.6) 0 (0.0)

Renal impairment 1 (0.6) 0 (0.0)

Patients with liver toxicityd) 2 (1.1) 2 (0.4)

Aspartate aminotransferase increased 1 (0.6) 2 (0.4)

Alanine aminotransferase increased 2 (1.1) 2 (0.4)

a)MedDRA version

b )SMQs で「高度皮膚副作用」,「アナフィラキシー反応」,「血管浮腫」および「喘息気管支攣縮」に該当

c)SMQ で「急性腎不全」に該当

d)SMQs で「非感染性肝炎」,「肝不全,線維症,肝硬変およびその他の肝細胞障害」,「肝関連臨床検査,徴

候および症状」および「肝由来の胆汁うっ帯および黄疸」に該当

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.3.3: 1 より作成

(d) 臨床検査

臨床検査値のベースラインからの変動において臨床的に重要な傾向はみられなかった。両群と

も投与終了時のアミラーゼの平均値は,ベースラインに比較してやや高かった(プラセボ群: 4

U/L 増加,リナグリプチン群:5 U/L 増加)(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.3.3: 1)。ベ

ースラインのアミラーゼが基準値内から投与終了時に基準値上限を超えた患者の割合は,プラ

セボ群で 6.4%,リナグリプチン群で 5.9%であった(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.3.3:4)。

投与終了時における総コレステロール,HDL コレステロールおよび LDL コレステロールの平

均値は,ベースラインからわずかに増加した(総コレステロール:プラセボ群 4 mg/dL および

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リナグリプチン群 1 mg/dL,HDL:両群とも 1 mg/dL,LDL:それぞれ 9 mg/dL および 4 mg/dL)

が,ベースラインおよび投与終了時におけるそれぞれの平均値は,両群ともに基準値内にあっ

た。トリグリセリドの平均値は,ベースラインおよび投与終了時ともに基準値上限を超えてい

たが,投与終了時における平均トリグリセリドはベースラインに比較して減少した(プラセボ

群:−7 mg/dL,リナグリプチン群:−21 mg/dL)(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 15.3.3: 1)。

臨床的に重要な臨床検査値変動(ベーリンガーインゲルハイム社の社内基準に基づく)の発現

頻度を表 4.7: 24 に示す。ヘモグロビン減少(プラセボ群:2.3%,リナグリプチン群:0.8%),

アミラーゼ増加(同様に,3.5%および 2.0%)トリグリセリド増加(12.7%および 8.5%)が両群

でやや異なったが,全体的に両群はほぼ同じであった。AST ではプラセボ群の 1 例が 236 U/L

(上限基準値の 6 倍超),リナグリプチン群の 1 例が 170 U/L(上限基準値の 4 倍超)の臨床的

に重要な変動を示した。ALT ではプラセボ群の 2 例(1.2%)が臨床的に重要な変動を示し,う

ち 1 例は 518 U/L(上限基準値の 11 倍超)となり,また,リナグリプチン群の 1 例は 204 U/L

(上限基準値の 4 倍超)の臨床的に重要な変動を示した。これらのうち,両群の各 1 例が重要

な有害事象と判定され,治験が中止された。なお,Hy’ s law に該当した患者はいなかった。プ

ラセボ群の 1 例(0.6%)で救援治療薬(スルホニル尿素薬)の併用投与中に血糖が 47 mg/dL

に低下した(CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Appendix 16.2,Listing 6.3.1.)。

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表 4.7: 24 臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度(Treated Set)

Placebo Linagliptin

N

Decrease

n (%)

Increase

n (%)

N

Decrease

n (%)

Increase

n (%)

Haematology

Haematocrit 173 6 (3.5) N/A 505 15 (3.0) N/A

Haemoglobin 173 4 (2.3) N/A 505 4 (0.8) N/A

Red blood cells 173 1 (0.6) N/A 505 1 (0.2) N/A

Eosinophils 173 N/A 6 (3.5) 503 N/A 16 (3.2)

Platelets 173 0 (0.0) 0 (0.0) 502 1 (0.2) 0 (0.0)

Clinical chemistry

Amylase 173 N/A 6 (3.5) 506 N/A 10 (2.0)

AST 173 N/A 1 (0.6) 502 N/A 1 (0.2)

ALT 173 N/A 2 (1.2) 502 N/A 1 (0.2)

GGT 173 N/A 1 (0.6) 506 N/A 6 (1.2)

Alkaline phosphatase 173 N/A 0 (0.0) 506 N/A 2 (0.4)

Total bilirubin 173 N/A 1 (0.6) 504 N/A 1 (0.2)

Albumin 173 0 (0.0) N/A 506 1 (0.2) N/A

Creatine kinase 173 N/A 0 (0.0) 505 N/A 1 (0.2)

Potassium 173 0 (0.0) 5 (2.9) 506 0 (0.0) 16 (3.2)

Sodium 173 1 (0.6) 1 (0.6) 506 1 (0.2) 0 (0.0)

Creatinine 173 N/A 1 (0.6) 506 N/A 3 (0.6)

Calcium 173 0 (0.0) 0 (0.0) 506 0 (0.0) 1 (0.2)

Phosphate 173 1 (0.6) 1 (0.6) 504 3 (0.6) 5 (1.0)

Uric acid 173 N/A 4 (2.3) 506 N/A 11 (2.2)

Triglycerides 173 N/A 22 (12.7) 504 N/A 43 (8.5)

Glucose 176 1 (0.6) N/A 513 0 (0.0) N/A

略語:N/A=基準無し N=治療中に測定を1回以上実施した患者数 n=臨床的に重要な減少/低下または増加/

上昇した患者数

引用元:CTD 5.3.5.1-7,試験 1218.17,Table 12.4: 1

ほとんどの患者(95%以上)で腎機能は正常(stage 1)ないし軽度異常(stage 2)であり,治験

薬投与で腎機能の重症度が変動した患者はわずかであった。プラセボ群では中等度腎機能障害

(stage 3)の患者の割合はベースラインで 3.0%,投与終了時で 2.4%であり,リナグリプチン群

では,それぞれ 3.5%および 3.1%であった。リナグリプチン群の 1 例で腎機能障害がベースラ

インの中等度から投与終了時に高度/末期腎障害(stage 4/5)になった。

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(e) バイタルサイン

プラセボ群およびリナグリプチン群ともに血圧,脈拍数の平均値のベースラインからの変動で

特記すべき傾向はみられなかった。血圧(平均値)のベースラインから変動は,収縮期血圧が

プラセボ群で−0.34~1.64 mmHg,リナグリプチン群で−1.84~−0.27 mmHg,拡張期血圧が,そ

れぞれ−0.73~0.73 mmHg および−1.26~−0.32 mmHg であった。

3) 結論

メトホルミン単独療法で血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者へのリナグリプチン 1 日 1 回

5 mg 投与はプラセボと比較して HbA1c および空腹時血糖を有意に低下させた。リナグリプチ

ンは有効な薬剤であり,忍容性も良好であった。リナグリプチンの安全性に特に問題はみられ

なかった。数例で低血糖症の発現が報告されたが,リナグリプチンを投与した時の低血糖症発

現率は,プラセボを投与した時よりも低かった。

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4.8 試験 1218.18

(CTD 5.3.5.1-8)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.8: 1 に示した。

表 4.8: 1 試験方法の概略(1/5)

目的 メトホルミンおよびスルホニル尿素薬の基礎治療にもかかわらず血糖コントロール不良

の 2 型糖尿病患者を対象としたリナグリプチン(5 mg,1 日 1 回)を 24 週間投与したと

きの有効性および安全性のプラセボとの比較検討

試験デザイン 第 III 相,ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,並行群間比較試験

対象 選択基準

(1) 2 型糖尿病と診断され,メトホルミン(1500 mg/日)および治験担当医師が当該患者

の最大耐用量と確認したスルホニル尿素薬による治療を受けている患者(性別は問わ

ない)。メトホルミンおよびスルホニル尿素薬とも同意取得前の 10 週間以上および投

与期間を通して用法・用量の変更がない患者とした。メトホルミンの投与量が 1500

mg/日未満の場合は,患者のその投与量が最大耐容量であると治験担当医師が確認す

れば適格とした

(2) スクリーニング(Visit 1a)時およびプラセボ導入期の開始時(Visit 2)の HbA1c が

7.0~10.0%の患者

(3) スクリーニング時(Visit 1a)の年齢が 18~80 歳の患者

(4) スクリーニング時(Visit 1a)の BMI が 40kg/m2 以下の患者

(5) スクリーニング(Visit 1a)までに GCP および GCP および各地域の要件に従って文書

による同意を本人から取得している患者

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表 4.8: 1 試験方法の概略(2/5)

対象(続き)

除外基準

(1) 同意取得前 6 カ月以内に心筋梗塞,脳卒中,または一過性脳虚血発作を発現した患者

(2) スクリーニング時(Visit 1a)の血清アラニントランスアミナーゼ(ALT),アスパラ

ギン酸トランスアミナーゼ(AST),またはアルカリホスファターゼ(ALP)のいず

れかが基準値上限(ULN)の 3 倍を超える肝機能障害を有する患者

(3) スクリーニング時(Visit 1a)に腎不全または腎機能障害(血清クレアチニンが

1.5 mg/dL 以上)を有する患者

(4) 同意取得前 3 カ月以内に rosiglitazone,ピオグリタゾン,GLP-1 アナログ,インスリ

ン,または抗肥満薬(例えば sibutramine,rimonabant,orlistat)による治療を受けた

患者

(5) 同意取得前時に全身性ステロイドで治療中の患者,または同意取得前 6 週間以内に甲

状腺ホルモンの投与量を変更した患者

(6) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれ

かに該当する患者:

- 妊娠中または授乳中の女性

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(7) 治験薬およびその賦形剤,基礎治療薬(スルホニル尿素薬併用下のメトホルミン),

またはサルファ剤に対する過敏症またはアレルギーの既往を有する患者

(8) 脱水症と治験担当医師によって臨床的に判断された患者

(9) 急性または慢性代謝性アシドーシスを発現している患者

(10) 遺伝性ガラクトース不耐症患者

(11) 過去 3 カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用歴を

有する患者

(12) 同意取得前 2 カ月以内に治験薬を用いた他の治験へ参加した患者

(13) その他,治験参加および安全性に影響を及ぼす可能性があると治験担当医師が判断

した臨床症状を有する患者

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表 4.8: 1 試験方法の概略(3/5)

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 5 mg 錠に対応するプラセボ錠

症例数 目標症例数:800 例(リナグリプチン群 600 例,プラセボ群 200 例)

登録例:1598 例

割付け例:1058 例

割付け例 治験薬投与

例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン 5 mg 群 793 例 792 例 778 例

プラセボ群 265 例 263 例 262 例

計 1058 例 1055 例 1040 例

投与方法

プラセボ導入期

2 週間のプラセボ導入を行った。

投与期

リナグリプチン群の患者にはリナグリプチン 5 mg 錠を,プラセボ群の患者にはリナグリ

プチン 5 mg 錠に対応する識別不能のプラセボ錠を,1 日 1 回 150 mL の水とともに投与

した。全期間を通して両群とも基礎治療(メトホルミンおよびスルホニル尿素薬)を各

患者の投与量および投与方法を変更せずに継続した。試験期間中にメトホルミンおよび

スルホニル尿素薬の投与量を変更した患者については,試験を中止せず,安全性の追加

情報を取得するために試験継続可能とした。なお,プラセボ導入期開始時点での HbA1c

[<8.5%,≥8.5%]によってサブグループ化を行い,プラセボ群,リナグリプチン 5 mg 群に

1:3 でランダムに割り付けた。

併用療法 試験期間中は,救援治療薬(他の経口糖尿病治療薬やインスリン等〔カナダ以外〕)を除

く他の糖尿病治療薬の追加療法を禁止した。ヨウ素を含む造影剤の静脈注射を行う場合

はメトホルミン治療を 48 時間前に中止した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

・投与期間:24 週間

・追跡期間:1 週間

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表 4.8: 1 試験方法の概略(4/5)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール 試験期間 スクリーニング

期 プラセボ

導入期 二重盲検治療期 追

跡 Visit 1aa) 1ba) 2 3 4 5 6 7b, c) 8b, c) 観察週数 −4 −3 −2 6 12 18 24 25 割付けからの日数 −28 −21 −14 0 42 84 126 168 175 人口統計学的特長 X X 身長 X 体重 X X X ウエスト周囲径 X X 臨床検査(血液・尿検査) Xd) X X X X X Xe) HbA1c X X X X X X X 空腹時血糖 f) X X X X X X X 既往歴/合併症 X X 身体所見 X X バイタルサイン X X X X X X X Xe) 12 誘導心電図 X X X 脂質プロフィール f) X X X X 妊娠検査 g) X X X インスリン X X 健康アンケート EQ-5Dh) X X X X 糖尿病治療満足度質問表

DTSQsh)

X X X X

遺伝子解析用採血 i) X 有害事象 X j) X X X X X X X

a)スクリーニングは Visit 1a および 1b の 2 回に分けた b)早期中止例には Visit 7(および追跡として Visit 8)の検査項目を実施することとした c)Visit 8 は本試験を完了し非盲検延長投与試験(1218.40)に移行する患者には不要。本

試験を完了したが非盲検延長投与試験に移行しない患者には Visit 8 の検査項目は電話

で対応可 d)Visit 1a での安全性評価のための臨床検査は,AST,ALT,ALP,血清クレアチニンの

み実施 e)Visit 8 の安全性評価のための臨床検査およびバイタルサインの測定は医療機関への来

院時にのみ必要 f)空腹時の血液検体(10 時間絶食とし,飲水のみ) g)妊娠検査は妊娠の可能性のある女性にのみ実施 h)健康関連 QOL(HrQoL)の評価には健康アンケート EQ-5D を使用。治療満足度評価

には現行の糖尿病治療満足度質問表 DTSQs を使用 i)遺伝子解析は任意の検査項目 j)重篤な有害事象のみ

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表 4.8: 1 試験方法の概略(5/5)

評価項目 評価基準

有効性 主要評価項目 ・ HbA1c の変化量(投与 24 週後−ベースライン) 副次評価項目 ・治療目標効果の達成率(投与 24 週後の HbA1c が 7.0%未満または 6.5%未満に低下

した患者) ・有効性反応の発現(投与 24 週後の HbA1c が 0.5%以上低下した患者) ・HbA1c の変化量の Visit ごとの推移 ・空腹時血糖の変化量(投与 24 週後−ベースライン) ・空腹時血糖の変化量の Visit ごとの推移 その他の評価項目 ・救援治療薬の投与 ・HOMA-IR および HOMA-IS(ベースラインおよび投与 24 週後) ・Disposition Index(ベースラインおよび投与 24 週後のインスリン感受性およびβ細

胞機能より算出) ・体重の変化(投与 24 週後−ベースライン) ・ウェスト周囲径の変化(投与 24 週後−ベースライン) ・脂質パラメータの変化(投与 24 週後−ベースライン)

安全性 有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験中止,身体所見,12 誘導心

電図,バイタルサイン,臨床検査および臨床イベント委員会によって審査・判定され

た心血管イベントおよび脳血管イベント

解析方法 主要評価項目:薬剤を固定効果,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析

(ANCOVA)により,投与 24 週後の HbA1c の変化量について,プラセボに対するリナ

グリプチンの優越性を検証した。 副次評価項目およびその他の評価項目:主要評価項目と同様の共分散分析を探索的に行

った。救援治療薬の投与についてはロジスティック回帰分析およびカプラン・マイヤー

法を用いた。 安全性の評価項目:記述統計法を用いた。

症例数の設定根

FAS(LOCF)におけるリナグリプチンおよびプラセボ群の標準偏差は 1.2%と仮定した。

解析対象数を 760 例と想定した場合,有意水準 α=0.05(両側)で平均値の差 0.7%(標

準偏差 1.2%)が 99%の確率で検出可能となる。 また,安全性データベースに関するプロジェクトで必要とされた症例数を満たすため,

ランダム化割付けされた患者が治験薬を投与されないか,投与期に HbA1c が 1 回も測定

されない患者が 5%と想定して 800 例(リナグリプチン群 600 例,プラセボ群 200 例)

を目標症例数とした。

治験調整医師

治験実施施設 11 カ国(アルゼンチン,ベルギー,カナダ,中国,ドイツ,韓国,フィリピン,ロシア,

台湾,トルコ,英国),100 施設

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

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2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

患者の内訳を図 4.8: 1 に示した。本試験に計 1598 例が登録され,そのうち 1136 例が 2 週間の

プラセボ導入期に移行し,さらに 1058 例が投与期に移行してプラセボ群(265 例)およびリナ

グリプチン群(793 例)に 1:3 の割合でランダム化割付けされた。ランダム化割付けされたが

治験薬の投与を受けなかった 3 例を除き,合計 1055 例がプラセボ(263 例)またはリナグリプ

チン(792 例)の投与を受けた。976 例(92.5%)が本試験で規定した投与期間を完了し,79 例

(7.5%)が試験を中止した(プラセボ群:21 例 8.0%,リナグリプチン群:58 例 7.3%)。中止

理由は有害事象(プラセボ群:5 例 1.9%,リナグリプチン群:23 例 2.9%),治験実施計画書遵

守違反(プラセボ群:4 例 1.5%,リナグリプチン群:19 例 2.4%),同意撤回(プラセボ群:8

例 3.0%,リナグリプチン群:14 例 1.8%),効果不十分(プラセボ群:4 例 1.5%,リナグリプチ

ン群:2 例 0.3%)であった。

登録例 1598 例 非割付け例 540 例

ランダム化割付け例 1058 例 治験薬非投与 3 例

プラセボ群 リナグリプチン群

263 例 (100.0%) 792 例 (100.0%) 中止例:21 例 (8.0%) 中止例:58 例 (7.3%) 中止理由 中止理由

・有害事象 : 5 例 ・有害事象 :23 例 ・効果不十分 a) : 4 例 ・効果不十分 a) : 2 例 ・不遵守 : 4 例 ・不遵守 :19 例 ・同意撤回 : 8 例 ・同意撤回 :14 例

投与完了例 投与完了例 242 例 (92.0%) 734 例 (92.7%)

a)高血糖による中止例を含む

図 4.8: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 10.1: 2 より作成

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(b) 治験実施計画書からの逸脱

治験薬投与例 1055 例中,計 76 例(プラセボ群:17 例 [6.5%],リナグリプチン群:59 例 [7.4%])

に有効性評価に関する治験実施計画書からの重大な逸脱がみられた。主な逸脱理由は併用薬使

用に関する事項であった(プラセボ群:3.8%,リナグリプチン群:2.8%)であった(CTD 5.3.5.1-8,

試験 1218.18,Table 10.2: 1)。

(c) 解析対象集団

治験薬が投与された患者を Treated set とし,そのうちベースラインおよび治験薬投与中に

HbA1c が測定された患者を最大の解析対象集団(FAS)とした。また,FAS のうち早期中止に

至らず,治験薬を 149 日間以上投与され,投与終了後の有効な HbA1c の値が存在する患者を

FAS-completers と定義した。さらに,治験実施計画書の規定から有効性評価に影響する重大な

逸脱がみられなかった患者を実施計画書に合致した解析集団(PPS)とした。その結果,Treated

Set は 1055 例,FAS は 1040 例,FAS-completers は 961 例,および PPS は 979 例となった(表

4.8: 2)。

表 4.8: 2 各解析対象集団の例数

Placebo Linagliptin Total

N (%) N (%) N (%)

Randomised 265 (100.0) 793 (100.0) 1058 (100.0)

Treated set 263 (99.2) 792 (99.9) 1055 (99.7)

FAS 262 (98.9) 778 (98.1) 1040 (98.3)

FAS-completers 236 (90.1) 725 (93.2) 961 (92.4)

PPS 246 (93.9) 733 (94.2) 979 (94.1)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性

人口統計学的特性

Treated Set における人口統計学的特性を表 4.8: 3 に示した。全体として,患者の人口統計学的

特性は 2 群間で類似していた。女性の割合が 52.8%であり,人種ではアジア人(51.7%)と白人

(46.6%)がほとんどを占めた。年齢は平均 58.1 歳,BMI は平均 28.3 kg/m2 であった。ベース

ラインの腎機能(MDRD 式で計算した糸球体濾過率の予測値[eGFR])は,57.0%の患者が正

常(90 mL/min 以上:プラセボ群:60.1%,リナグリプチン群:55.9%),34.6%の患者が軽度障

害(60 mL/min 以上 90 mL/min 未満:プラセボ群:31.6%,リナグリプチン群:35.6%),5.0%

の患者が中等度障害(30 mL/min 以上 60 mL/min 未満:プラセボ群:6.1%,リナグリプチン群:

4.7%)であり,高度障害(30 mL/min 未満)の患者はいなかった。

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表 4.8: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total Number of patients, N (%) 263 (100.0) 792 (100.0) 1055 (100.0) Gender, N (%) Male 127 (48.3) 371 (46.8) 498 (47.2) Female 136 (51.7) 421 (53.2) 557 (52.8) Race, N (%) American Indian or Alaska Native 4 (1.5) 6 (0.8) 10 (0.9) Asian 141 (53.6) 404 (51.0) 545 (51.7) Black or African American 2 (0.8) 6 (0.8) 8 (0.8) White 116 (44.1) 376 (47.5) 492 (46.6) Ethnicity – Hispanic / Latino, N (%) Not Hispanic / Latino 204 (77.6) 611 (77.1) 815 (77.3) Hispanic / Latino 58 (22.1) 180 (22.7) 238 (22.6) Missing 1 (0.4) 1 (0.1) 2 (0.2) Age [years] Mean (SD) 57.6 (9.7) 58.3 (9.9) 58.1 (9.8) Age groups [years], N (%) <65 192 (73.0) 575 (72.6) 767 (72.7) 65 to 74 63 (24.0) 179 (22.6) 242 (22.9) ≥75 8 (3.0) 38 (4.8) 46 (4.4) Baseline weight [kg] Mean (SD) 76.8 (16.8) 76.5 (16.8) 76.6 (16.8) Baseline weight, categorical [kg], N (%) ≤70 108 (41.1) 306 (38.6) 414 (39.2) >70 to ≤80 56 (21.3) 203 (25.6) 259 (24.5) >80 to ≤90 41 (15.6) 123 (15.5) 164 (15.5) >90 58 (22.1) 160 (20.2) 218 (20.7) Baseline BMI [kg/m2] Mean (SD) 28.2 (4.5) 28.4 (4.8) 28.3 (4.7) Baseline BMI, categorical [kg/m2], N (%) <30 185 (70.4) 532 (67.2) 717 (67.9)

≥30 78 (29.7) 260 (32.8) 338 (32.0) Baseline eGFR [mL/min]a), N(%) ≥90 158 (60.1) 443 (55.9) 601 (57.0) 60 to <90 83 (31.6) 282 (35.6) 365 (34.6) 30 to <60 16 (6.1) 37 (4.7) 53 (5.0) Missing 6 (2.3) 30 (3.8) 36 (3.4) Baseline eCcr [mL/min]a), N(%)

>80 198 (75.3) 586 (74.0) 784 (74.3) 50 to 80 50 (19.0) 156 (19.7) 206 (19.5) 30 to <50 9 (3.4) 19 (2.4) 28 (2.7) Missing 6 (2.3) 31 (3.9) 37 (3.5)

a)eGFR および eCcr 分類で 30 mL/min 未満の患者なし

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.2: 1 より作成

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ベースライン値および糖尿病の前治療薬の数

ベースライン値および糖尿病の前治療薬の数を表 4.8: 4 に示した。HbA1c のベースライン値は

プラセボ群で 8.14%,リナグリプチン群で 8.15%,平均空腹時血糖のベースライン値はプラセ

ボ群で 162.6 mg/dL,リナグリプチン群で 159.3 mg/dL であり,いずれも 2 群間でほぼ同じであ

った。2 例を除きすべての患者が 2 剤の糖尿病前治療薬の投与を受けていた。

表 4.8: 4 ベースライン値および糖尿病の前治療薬の数(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 262 (100.0) 778 (100.0) 1040 (100.0) Baseline HbA1c [%] Mean (SD) 8.14 (0.84) 8.15 (0.80) 8.14 (0.81) Baseline HbA1c, categorical, N(%) <7.0% 15 (5.7) 36 (4.6) 51 (4.9) 7.0% to <8.0% 104 (39.7) 309 (39.7) 413 (39.7) 8.0% to <9.0% 95 (36.3) 297 (38.2) 392 (37.7) ≥9.0% 48 (18.3) 136 (17.5) 184 (17.7) Number of prior antidiabetic drugs, N(%) 0 0 1 (0.1) 1 (0.1) 1 0 0 0 2 262 (100.0) 776 (99.7) 1038 (99.8) 3 0 1 (0.1) 1 (0.1) Baseline FPG [mg/dL] Number of patients, N (%) 250 (100.0) 745 (100.0) 995 (100.0) Mean (SD) 162.6 (37.1) 159.3 (36.5) 160.1 (36.6)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.2: 2 より作成

糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症

糖尿病の診断から同意取得までの期間の分布は両群で同様であった。糖尿病の診断から同意取

得までの期間が 5 年超の患者は 73.3%(プラセボ群:73.7%,リナグリプチン群:73.1%)であ

った(表 4.8: 5)。

表 4.8: 5 糖尿病の診断から同意取得までの期間(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 262 (100.0) 778 (100.0) 1040 (100.0)

Time since diagnosis of diabetes, N(%)

Up to 1 year 5 (1.9) 24 (3.1) 29 (2.8)

>1 to 5 years 64 (24.4) 185 (23.8) 249 (23.9)

>5 years 193 (73.7) 569 (73.1) 762 (73.3)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.2: 3 より作成

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ベースライン時に頻度が高かった糖尿病関連合併症は大血管疾患(プラセボ群:80.2%,リナ

グリプチン群:81.2%),次いで代謝症候群(それぞれ,65.4%および 69.1%),微小血管疾患(そ

れぞれ,47.1%および 45.6%)であった(表 4.8: 6)。

表 4.8: 6 ベースラインにおける糖尿病関連合併症(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 263 (100.0) 792 (100.0) 1055 (100.0) Patientsa) with Microvascular diseaseb), N(%) 124 (47.1) 361 (45.6) 485 (46.0) Macrovascular disease c), N(%) 211 (80.2) 643 (81.2) 854 (80.9) Diabetic foot, N(%) 3 (1.1) 10 (1.3) 13 (1.2) Metabolic syndrome, N(%) 172 (65.4) 547 (69.1) 719 (68.2)

a)重複例あり

b)糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症および糖尿病性神経障害

c)冠状動脈疾患,末梢動脈閉塞性疾患,脳血管疾患および高血圧

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.2: 4 より作成

インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値

患者のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースライン値を表 4.8: 7 に示し

た。2 群間のインスリン,HOMA-IR,HOMA-IS および Disposition index のベースラインの平均

値はほぼ同じであった。

表 4.8: 7 ベースラインのバイオマーカーおよび関連指標(FAS)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N (%) 262 (100.0) 778 (100.0) Baseline insulin [mU/L] Mean (SD) 9.1 (6.5) 10.3 (11.0) gMean (gCV) 7.4 (70.7) 7.8 (77.8) Baseline HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)] Mean (SD) 3.7 (3.0) 4.1 (4.9) gMean (gCV) 2.9 (81.8) 3.0 (86.8) Baseline HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)] Mean (SD) 37.5 (28.0) 48.0 (89.7) gMean (gCV) 29.6 (78.1) 31.7 (95.1) Disposition index [(1/mmol/L)×(mmol/L)] Mean (SD) 12.8 (11.2) 16.1 (47.8) gMean (gCV) 10.0 (73.4) 10.7 (79.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.2: 5 より作成

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(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況はプラセボ導入期の終わりと二重盲検期の来院日に評価し,治験薬服薬率が 80~

120%の場合に,服薬遵守状況が「良好」とした。服薬率は導入期から投与期を通じて,96%超

であった(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.1.5: 1)。

(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主解析:HbA1c の変化量

投与 24 週後の HbA1c ベースラインからの変化量を,薬剤と糖尿病の前治療薬の数を固定効果

とし,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析結果を表 4.8: 8 に示した。リナグリプ

チン群のプラセボ群に対する調整平均変化量の差は–0.62 %(95%信頼区間–0.73~–0.50%)であ

り,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優越性が認められた(p<0.0001)。

表 4.8: 8 投与 24 週における HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N (%) 262 (100.0) 778 (100.0) Number of patients with baseline and on-treatment results, N (%) 262 (100.0) 778 (100.0) Baseline Mean (SE) 8.14 (0.05) 8.15 (0.03) Change from baseline Mean (SE) −0.10 (0.05) −0.72 (0.03) Adjusteda) mean (SE) −0.10 (0.05) −0.72 (0.03) Comparison vs. placebo (difference linagliptin – placebo) Adjusteda) mean (SE) −0.62 (0.06) 95% Confidence interval (−0.73, −0.50) p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

副次解析

• 投与 24 週後の HbA1c の感度分析

PPS および FAS-completers で行った感度分析において,投与 24 週後の HbA1c のベースライン

からの変化量に対する共分散分析でも,リナグリプチン群のプラセボ群に対する優越性が認め

られた(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Tables 15.2.1.2.1: 1,15.2.1.2.1: 2)。

• HbA1c の推移

HbA1c のベースラインから経時的な平均変化量について,主解析と同じモデルを用いて解析を

行った。投与後のベースラインから各 Visit までの HbA1c の調整平均変化量の差は−0.49(投与

6 週後)~−0.69%(投与 18 週後)でありいずれの測定時期ともに統計学的に有意な差がみられ

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た(p<0.0001)。リナグリプチン群では,投与 12 週後において HbA1c の調整平均変化量は最も

大きかった(−0.84 %)(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.2.1.2.2: 1)。

プラセボ群とリナグリプチン群の HbA1c の平均値の推移を図 4.8: 2 に示した。リナグリプチン

群の平均 HbA1c はベースラインの 8.15%から投与 12 週に 7.31%に低下し,投与 24 週では 7.43%

であった。プラセボ群の平均 HbA1c はベースラインで 8.14%,投与 24 週で 8.04%であった。

図 4.8: 2 平均 HbA1c (%)の推移(平均値±標準誤差)(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Figure 11.4.1.1.2: 1 より作成

• HbA1c のサブグループ解析

投与 24 週後の HbA1c のベースラインからの平均変化量を層別に表 4.8: 9 に示した。

ベースライン HbA1c(p=0.0728),治験実施国(p=0.0840),HOMA-IR(p=0.0529),および HOMA-IS

(p=0.0839)のサブグループ解析で,薬剤との交互作用がみられた(p<0.1)(表 4.8: 10)。HbA1c

のベースライン値が 9.0%以上の患者で,2 群間の調整平均変化量の差が最も大きかった

(−0.75%)。HOMA-IR および HOMA-IS では分類による変化量に一定の傾向はみられなかった。

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表 4.8: 9 層別の HbA1c (%)のベースラインからの平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo (N=262)

Linagliptin (N=778)

N Mean (SD) N Mean (SD) Baseline HbA1c <7.5% 66 0.27 (0.81) 176 −0.32 (0.56) 7.5% to <8.0% 53 −0.21 (0.65) 169 −0.53 (0.74) 8.0% to <9.0% 95 −0.15 (0.86) 297 −0.86 (0.90) ≥9.0% 48 −0.41 (1.02) 136 −1.16 (0.93) Region Asia 140 −0.01 (0.92) 386 −0.71 (0.85) Europe 45 −0.15 (0.77) 148 −0.61 (0.73) North America 20 0.08 (0.60) 69 −0.64 (0.85) South America 57 −0.34 (0.85) 175 −0.87 (0.94) Age group [years] <65 192 −0.08 (0.88) 565 −0.69 (0.84) 65 to 74 62 −0.17 (0.74) 175 −0.77 (0.83) ≥75 8 −0.24 (1.42) 38 −0.90 (1.14) Gender Male 127 −0.11 (0.91) 364 −0.64 (0.88) Female 135 −0.10 (0.83) 414 −0.79 (0.83) Race American Indian or Alaska Native 4 0.22 (0.32) 6 −0.22 (0.88) Asian 141 0.01 (0.92) 397 −0.71 (0.83) Black or African American 2 0.05 (0.49) 6 −1.58 (1.06) White 115 −0.25 (0.79) 369 −0.72 (0.88) Ethnicity Not Hispanic / Latino 203 −0.03 (0.87) 600 −0.69 (0.82) Hispanic / Latino 58 −0.33 (0.85) 177 −0.83 (0.98) Missing 1 −0.70 1 −0.60 BMI [kg/m2] <30 184 −0.05 (0.88) 524 −0.71 (0.87) ≥30 78 −0.23 (0.83) 254 −0.74 (0.82) Time since diagnosis of diabetes Up to 1 year 5 −0.46 (1.13) 24 −0.23 (0.97) >1 to 5 years 64 0.04 (0.87) 185 −0.64 (0.86) >5 years 193 −0.14 (0.86) 569 −0.76 (0.84) Metabolic syndrome at screening No 91 0.05 (0.85) 241 −0.67 (0.96) Yes 171 −0.18 (0.87) 537 −0.74 (0.81) HOMA-IR ≤4.0 157 −0.13 (0.88) 465 −0.74 (0.86) >4.o to ≤5.5 31 0.17 (0.88) 77 −0.74 (0.83) >5.5 to ≤8.5 29 −0.37 (0.79) 64 −0.64 (0.93) >8.5 17 0.02 (0.60) 68 −0.56 (0.85) Missing 28 −0.03 (0.94) 104 −0.74 (0.81) HOMA-%B ≤25 99 −0.17 (0.90) 283 −0.79 (0.90) >25 to ≤40 56 0.10 (0.84) 154 −0.77 (0.74) >40 to ≤70 54 −0.19 (0.82) 131 −0.65 (0.84) >70 25 −0.19 (0.80) 104 −0.53 (0.96) Missing 28 −0.03 (0.94) 106 −0.73 (0.81)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

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表 4.8: 10 ベースラインの HbA1c(%),国,HOMA-IR および HOMA-IS 別の HbA1c (%)

のベースラインからの調整平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

p-value b)

N Adjusted a)

mean (SE)

N Adjusted a)

mean (SE)

Baseline HbA1c <7.5% 66 0.27 (0.10) 176 −0.32 (0.06) <0.0001 7.5% to <8.0% 53 −0.21 (0.11) 169 −0.53 (0.06) 0.0110 8.0% to <9.0% 95 −0.15 (0.08) 297 −0.86 (0.05) <0.0001 ≥9.0% 48 −0.41 (0.12) 136 −1.16 (0.07) <0.0001 Main effect of subgroup variable <0.0001 Interaction of subgroup variable with treatment group

0.0728

Country Argentina 57 −0.35 (0.11) 175 −0.88 (0.06) <0.0001 Belgium 5 −0.02 (0.36) 16 −0.94 (0.20) 0.0243 Canada 20 0.09 (0.18) 69 −0.63 (0.10) 0.0004 China 48 0.08 (0.11) 141 −0.60 (0.07) <0.0001 Germany 14 −0.06 (0.21) 45 −0.49 (0.12) 0.0771 Korea 51 0.06 (0.11) 121 −0.84 (0.07) <0.0001 Philippines 16 −0.38 (0.20) 48 −0.97 (0.11) 0.0096 Russia 19 −0.40 (0.18) 52 −0.73 (0.11) 0.1259 Taiwan 24 −0.04 (0.16) 73 −0.53 (0.09) 0.0085 Turkey 1 −0.79 (0.79) 3 1.16 (0.46) 0.0345 United Kingdom 7 0.15 (0.30) 35 −0.54 (0.13) 0.0368

Main effect of subgroup variable 0.0004 Interaction of subgroup variable with treatment group

0.0840

HOMA-IR ≤4.0 157 −0.19 (0.06) 465 −0.76 (0.04) <0.0001 >4.0 to ≤5.5 31 0.27 (0.15) 77 −0.69 (0.09) <0.0001 >5.5 to ≤8.5 29 −0.29 (0.15) 64 −0.56 (0.10) 0.1281 >8.5 17 0.16 (0.20) 68 −0.56 (0.10) 0.0012 Main effect of subgroup variable 0.0086 Interaction of subgroup variable with treatment group

0.0529

Baseline HOMA-IS ≤25 99 −0.13 (0.08) 283 −0.73 (0.05) <0.0001 >25 to ≤40 56 0.09 (0.11) 154 −0.77 (0.07) <0.0001 >40 to ≤70 54 −0.25 (0.11) 131 −0.68 (0.07) 0.0015 >70 25 −0.21 (0.16) 104 −0.65 (0.08) 0.0173 Main effect of subgroup variable 0.5569 Interaction of subgroup variable with treatment group

0.0839

a)ANCOVA:薬剤,ベースラインの HbA1c,サブグループ変数,薬剤とサブグループ変数の交互作用項をモ

デルに含む b)リナグリプチンとプラセボの比較 引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.4.1.1.2: 2 より作成

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(b) 副次評価項目

空腹時血糖

投与 24 週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量を表 4.8: 11 に示した。調整平

均変化量のリナグリプチン群のプラセボ群に対する差は−12.7 mg/dL であり,統計学的に有意な

差を示した(p<0.0001)。

表 4.8: 11 投与 24 週における空腹時血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均変化

量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N (%) 262 778 Number of patients with baseline and on-treatment results, N (%) 248 739 Baseline Mean (SE) 162.6 (2.4) 159.2 (1.3) Change from baseline Mean (SE) 6.9 (2.5) −4.2 (1.5) Adjusteda) mean (SE) 8.1 (2.4) −4.6 (1.4) Comparison vs. placebo (difference linagliptin – placebo) Adjusteda) mean (SE) −12.7 (2.8) 95% Confidence interval (−18.1, −7.3) p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,ベースライン空腹時血糖をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.4.1.2.1: 1 より作成

空腹時血糖の推移

平均空腹時血糖の推移(LOCF)を図 4.8: 3 に示した。プラセボ群の平均空腹時血糖はベースラ

インの 162.6 mg/dL から投与 24 週後の 169.7 mg/dL に増加した。これに対して,リナグリプチ

ン群はベースラインの 159.3 mg/dL から投与 6 週後に 148.2 mg/dL に低下し,その後,やや増加

し,投与 24 週後に 155.4 mg/dL となった(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.2.2.1: 7)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

460

Page 465: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

図 4.8: 3 平均空腹時血糖(mg/dL)の推移(平均値±標準誤差)(FAS-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Figure 11.4.1.2.1: 1 より作成

治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 24 週後における HbA1c の治療目標効果の達成率(7.0%または 6.5%未満の患者の割合)と

有効性反応の発現率(ベースラインから 0.5%以上低下した患者の割合)を表 4.8: 12 に示した。

なお,途中中止例を,24 週時点で治療目標効果の未達成および有効性反応の未発現とみなす方

法(NCF)で 24 週時の欠測値を補完して解析した。

HbA1c のベースライン値が 7.0%以上であった患者のうち,投与 24 週後に HbA1c が 7.0%未満

となった患者の割合は,プラセボ群で 8.1%,リナグリプチン群で 29.2%(オッズ比 5.510,

p<0.0001)であった(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.2.2.2: 1)。ベースラインの HbA1c

が 6.5%以上であった患者のうち,投与 24 週後に HbA1c が 6.5%未満となった患者の割合は,

プラセボ群で 4.2%,リナグリプチン群で 13.1%(オッズ比 3.818,p<0.0001)であった(CTD

5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.2.2.3: 1)。

投与 24 週後に HbA1c がベースラインから 0.5%以上低下した患者の割合は,リナグリプチン群

のほうが高く,また HbA1c のベースライン値が高いほどその割合は高かった(9.0%以上:プラ

セボ群 39.6%,リナグリプチン群 66.9%;8.0%以上 9.0%未満:プラセボ群 32.6%,リナグリプ

チン群 64.6%;7.0%以上 8.0%未満:プラセボ群 25.0%;リナグリプチン群 50.5%,7.0%未満:

プラセボ群:20.0%,リナグリプチン群:38.9%)(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.2.2.4:

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2)。投与 24 週後に HbA1c が 0.5%以上低下した患者のオッズ比は 3.360(p<0.0001)であった

(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.2.2.4: 1)。

表 4.8: 12 投与 24 週における HbA1c の治療目標効果の達成例数と有効性反応の発現例

数と割合(FAS-NCF)

Placebo Linagliptin na) (%) Nb) na) (%) Nb)

Response criterion HbA1c<7.0% 24 (9.2) 262 243 (31.2) 778 Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 20 (8.1) 247 217 (29.2) 742 HbA1c<6.5% 11 (4.2) 262 102 (13.1) 778 Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 8 (3.2) 247 85 (11.5) 742 Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 11 (4.2) 262 102 (13.1) 777 HbA1c reduction from baseline ≥0.5% 79 (30.2) 262 453 (58.2) 778

a)治療目標効果達成例数または有効性反応の発現例数

b)解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.4.1.2.2: 1 より作成

(c) その他の評価項目

救援治療薬の使用

救援治療薬を使用した患者の割合は,プラセボ群(13.0%)がリナグリプチン群(5.4%)と比

較して高かった。プラセボ群に対するリナグリプチン群のオッズ比は,0.361(p<0.0001)であ

った(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.2.3.1: 1,15.2.3.1: 2)。

体重およびウエスト周囲径

両群ともに体重およびウエスト腹囲径の平均値に特記すべき変化はみられなかった(CTD

5.3.5.1-8,試験 1218.18,Tables 15.2.3.2: 1,15.2.3.3: 1)。

(3) 臨床薬理

(a) インスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標

投与 24 週後のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースラインからの調整

平均変化量を表 4.8: 13 に示した。HOMA-IS のベースラインからの調整平均変化量は,プラセ

ボ群で−9.07 [mU/L]/[mmol/L]と減少したのに対し,リナグリプチン群では 7.81 [mU/L]/[mmol/L]

と増加し,2 群間の差(16.87 [mU/L]/[mmol/L])は統計学的に有意であった(p=0.0008)。Disposition

index のベースラインからの調整平均変化量は,プラセボ群では−2.00 (1/mmol/L)×(mmol/L),

リナグリプチン群では 5.48 (1/mmol/L)×(mmol/L)であり,2 群間の差(7.48 [1/mmol/L]×

[mmol/L])は統計学的に有意ではなかった(p=0.0666)。

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表 4.8: 13 投与 24 週におけるインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベ

ースラインからの調整平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)] Number of patients with baseline and on-treatment results, N 175 539 Baseline, mean (SE) 36.78 (2.05) 45.00 (2.18) Adjusted mean change from baseline (SE) −9.07 (4.34) 7.81 (2.47) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) 16.87 (5.00) 95% Confidence interval (7.05, 26.70) p-value 0.0008 Disposition index [(1/mmol/L)×(mmol/L)] Number of patients with baseline and on-treatment results 187 621 Baseline, mean (SE) 14.13 (0.89) 14.90 (0.92) Adjusted mean change from baseline (SE) −2.00 (3.57) 5.48 (1.96) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) 7.48 (4.07) 95% Confidence interval (−0.51, 15.46) p-value 0.0666 HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)] Number of patients with baseline and on-treatment results 175 541 Baseline, mean (SE) 3.36 (0.20) 4.09 (0.20) Adjusted mean change from baseline (SE) −0.74 (0.25) −0.06 (0.14) Comparison vs. placebo Adjusted mean (SE) 0.68 (0.29) 95% Confidence interval (0.12, 1.25) p-value 0.0178

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 11.5.3.1: 1 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

プラセボ群およびリナグリプチン群ともに,治験薬の曝露日数の平均値は 166 日,中央値は 170

日であった。いずれの群も大部分の患者が 20 週超 26 週以下の治験薬の投与を受けた(プラセ

ボ群:91.3%,リナグリプチン群:93.2%)。リナグリプチン群の曝露期間は 358.9 患者・年であ

った(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.1: 1)。

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 7 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中に発現した有害事象とした。

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有害事象の概略

有害事象の概略を表 4.8: 14 に示した。プラセボ群 157 例(59.7%),リナグリプチン群 525 例

(66.3%)に有害事象が認められた。高度の有害事象はプラセボ群で 4 例(1.5%),リナグリプ

チン群で 19 例(2.4%)であり,ほとんどの有害事象は軽度または中等度であった。治験担当

医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象はプラセボ群で 30 例(11.4%),リ

ナグリプチン群で 142 例(17.9%)に認められた。治験実施計画書に定義した重要な有害事象

はプラセボ群で 1 例(0.4%),リナグリプチン群で 10 例(1.3%)に認められた。ICH E3 に準ず

る他の重要な有害事象はプラセボ群で 5 例(1.9%),リナグリプチン群で 19 例(2.4%)に認め

られた。治験中止に至った有害事象はプラセボ群で 5 例(1.9%),リナグリプチン群で 23 例

(2.9%),重篤な有害事象はプラセボ群で 10 例(3.8%),リナグリプチン群で 25 例(3.2%)に

認められた。なお,両群とも致死的な有害事象はなかった。

表 4.8: 14 有害事象の概略(Treated Set)

Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

Number of patients 263 (100.0) 792 (100.0) Patients with any AE 157 (59.7) 525 (66.3) Patients with severe AEs 4 (1.5) 19 (2.4) Patients with investigator defined drug-related AEs 30 (11.4) 142 (17.9) Patients with significant AEsa) 1 (0.4) 10 (1.3) Patients with other significant AEs (according to ICH E3) 5 (1.9) 19 (2.4) Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 5 (1.9) 23 (2.9) Patients with serious AEs 10 (3.8) 25 (3.2) Requiring hospitalisation 9 (3.4) 23 (2.9) Prolonging hospitalisation 1 (0.4) 1 (0.1) Other 0 2 (0.3)

a)治験担当医師の報告に基づく

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.2.1: 1 より作成

高頻度に発現した有害事象

治験期間中にいずれかの群で発現率が 2%超の有害事象を表 4.8: 15 に示した。高頻度に発現し

た有害事象は,器官別大分類では代謝および栄養障害(プラセボ群:25.9%,リナグリプチン

群:31.1%),基本語では低血糖症(プラセボ群 14.8%,リナグリプチン群 22.7%)であった。

いずれかの群で 2%超の患者で認められた有害事象のうち,器官別大分類別でプラセボ群より

もリナグリプチン群で高頻度に認められたのは,代謝および栄養障害,次いで筋骨格系および

結合組織障害(プラセボ群:9.1%,リナグリプチン群:12.2%),呼吸器,胸郭および縦隔障害

(プラセボ群:2.7%,リナグリプチン群:4.2%),血管障害(プラセボ群:2.3%,リナグリプ

チン群:4.3%)であった。皮膚障害は他の DPP-4 阻害薬を用いた試験で報告されている注目す

べき有害事象であるが,本試験における皮膚および皮下組織障害(器官別大分類)の発現率は,

リナグリプチン群およびプラセボ群ともに 4.9%であった。心臓障害は新規の糖尿病治療薬の開

発時に留意すべき有害事象であるが,本試験における心臓障害(器官別大分類)の発現率は,

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プラセボ群では 1.9%,リナグリプチン群では 2.5%であった(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table

15.3.2: 2)。

表 4.8: 15 治験期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で 2%超)(Treated Set)

器官別大分類 a)/基本語 b) Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

例数 263 (100.0) 792 (100.0) 有害事象発現例 157 (59.7) 525 (66.3) 代謝および栄養障害(Metabolism and nutrition disorders) 68 (25.9) 246 (31.1)

低血糖症(Hypoglycaemia) 39 (14.8) 180 (22.7) 高血糖(Hyperglycaemia) 23 (8.7) 45 (5.7)

感染および寄生虫症(Infections and infestations) 76 (28.9) 170 (21.5) 上気道感染(Upper respiratory tract infection) 25 (9.5) 46 (5.8) 尿路感染(Urinary tract infection) 14 (5.3) 26 (3.3) 鼻咽頭炎(Nasopharyngitis) 12 (4.6) 41 (5.2)

神経障害(Nervous system disorders) 30 (11.4) 77 (9.7) 頭痛(Headache) 13 (4.9) 33 (4.2) 浮動性めまい(Dizziness) 12 (4.6) 29 (3.7)

胃腸障害(Gastrointestinal disorders) 48 (18.3) 103 (13.0) 下痢(Diarrhoea) 9 (3.4) 21 (2.7) 上腹部痛(Abdominal pain upper) 7 (2.7) 9 (1.1) 悪心(Nausea) 6 (2.3) 10 (1.3)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders)

24 (9.1) 97 (12.2)

背部痛(Back pain) 8 (3.0) 13 (1.6) 関節痛(Arthralgia) 4 (1.5) 21 (2.7)

全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

19 (7.2) 61 (7.7)

無力症(Asthenia) 5 (1.9) 19 (2.4) 呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders)

7 (2.7) 33 (4.2)

咳嗽(Cough) 3 (1.1) 19 (2.4) 血管障害(Vascular disorders) 6 (2.3) 34 (4.3)

高血圧(Hypertension) 5 (1.9) 19 (2.4) 精神障害(Psychiatric disorders) 9 (3.4) 18 (2.3)

不眠症(Insomnia) 6 (2.3) 5 (0.6)

a)器官別大分類ごとの有害事象の発現例数は 2%以下の発現率の有害事象も含む

b)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.2.2: 1 より作成

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高度な有害事象

高度の有害事象はプラセボ群で 4 例(1.5%),リナグリプチン群で 19 例(2.4%)であり,ほと

んどは回復した。試験期間中に回復が確認できなかった高度の有害事象は,リナグリプチン群

で 6 例 7 件であった(関節周囲炎,消化性潰瘍,貧血,関節痛,血中クレアチンホスホキナー

ゼ増加,骨髄機能不全,急性胆嚢炎)。急性胆嚢炎の 1 例を除いて,試験終了後に回復が確認さ

れた。プラセボ群では 1 例に発現した B 型肝炎の回復が確認されなかった(CTD 5.3.5.1-8,試

験 1218.18,Appendix 16.1.9.2,Table 7.2.4 および Appendix 16.2,Listing 7.2.2)

治験薬と因果関係がある有害事象

治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象(いずれかの群の基本語で

0.2%以上)を表 4.8: 16 に示した。治験薬との因果関係ありと判定された有害事象は,プラセボ

群 30 例(11.4%),リナグリプチン群 142 例(17.9%)に認められた。そのうち高頻度に発現し

た有害事象は,低血糖症(プラセボ群 7.6%,リナグリプチン群 14.5%)であった。

なお,治験薬と因果関係があると判定された皮膚および皮下組織障害(器官別大分類)の有害

事象の発現率は,リナグリプチン群で 0.9%,プラセボ群で 1.1%であった。基本語ではリナグ

リプチン群で,多汗症(0.4%),発疹(0.3%),そう痒症,そう痒性皮疹,皮膚剥脱(各 0.1%)

が治験薬との因果関係ありと判定された(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.3.2: 11)。また,

プラセボ群では,多汗症(0.4%),発疹(0.4%),アレルギー性皮膚炎(0.4%)が治験薬との因

果関係ありと判定された。

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表 4.8: 16 治験薬と因果関係のある有害事象(いずれかの群の基本語で 0.2%以上)

(Treated Set)

器官別大分類 a)/基本語 b) Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

例数 263 (100.0) 792 (100.0)

治験薬と因果関係のある有害事象発現例 30 (11.4) 142 (17.9)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 4 (1.5) 11 (1.4)

下痢 (Diarrhoea) 1 (0.4) 3 (0.4)

上腹部痛 (Abdominal pain upper) 1 (0.4) 2 (0.3)

悪心 (Nausea) 0 (0.0) 2 (0.3)

便秘 (Constipation) 0 (0.0) 2 (0.3)

食道憩室 (Diverticulum oesophageal) 1 (0.4) 0 (0.0)

鼓腸 (Flatulence) 1 (0.4) 0 (0.0)

全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

4 (1.5) 4 (0.5)

無力症 (Asthenia) 0 (0.0) 3 (0.4)

空腹 (Hunger) 1 (0.4) 1 (0.1)

疲労 (Fatigue) 2 (0.8) 0 (0.0)

全身性浮腫 (Generalised oedema) 1 (0.4) 0 (0.0)

臨床検査 (Investigations) 1 (0.4) 5 (0.6)

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 (Aspartate aminotransferase increased)

0 (0.0) 2 (0.3)

血中アミラーゼ増加 (Blood amylase increased) 1 (0.4) 0 (0.0)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 22 (8.4) 118 (14.9)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 20 (7.6) 115 (14.5)

高血糖 (Hyperglycaemia) 2 (0.8) 3 (0.4)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 0 (0.0) 5 (0.6)

関節痛 (Arthralgia) 0 (0.0) 2 (0.3)

筋肉痛 (Myalgia) 0 (0.0) 2 (0.3)

神経障害(Nervous system disorders) 3 (1.1) 7 (0.9)

振戦 (Tremor) 0 (0.0) 4 (0.5)

浮動性めまい (Dizziness) 2 (0.8) 3 (0.4)

頭痛 (Headache) 1 (0.4) 1 (0.1)

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 3 (1.1) 7 (0.9)

多汗症 (Hyperhidrosis) 1 (0.4) 3 (0.4)

発疹 (Rash) 1 (0.4) 2 (0.3)

アレルギー性皮膚炎 (Dermatitis allergic) 1 (0.4) 0 (0.0)

a)器官別大分類の合計値は発現率 0.2%以上のみでなく全有害事象発現例数

b)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.3.2: 11 より作成

治験中止に至った有害事象

治験中止に至った有害事象を表 4.8: 17 に示した。治験中止に至った有害事象はプラセボ群で 5

例(1.9%),リナグリプチン群で 23 例(2.9%)に認められた。うち最も高頻度に発現した有害

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事象は器官別大分類では代謝および栄養障害(プラセボ群 0%,リナグリプチン群 1.0%)で,

基本語では低血糖症(リナグリプチン群 0.6%)であった。

表 4.8: 17 治験中止に至った有害事象(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

例数 263 (100.0) 792 (100.0) 治験薬の投与中止に至った有害事象発現例 5 (1.9) 23 (2.9) 心臓障害 (Cardiac disorders) 1 (0.4) 2 (0.3)

不安定狭心症 (Angina unstable) 1 (0.4) 0 (0.0) 冠動脈疾患 (Coronary artery disease) 1 (0.4) 0 (0.0) 心筋梗塞 (Myocardial infarction) 0 (0.0) 1 (0.1) 心筋炎 (Myocarditis) 0 (0.0) 1 (0.1)

内分泌障害 (Endocrine disorders) 0 (0.0) 1 (0.1) 甲状腺機能亢進症 (Hyperthyroidism) 0 (0.0) 1 (0.1) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 0 (0.0) 4 (0.5)

上腹部痛 (Abdominal pain upper) 0 (0.0) 2 (0.3) 下痢 (Diarrhoea) 0 (0.0) 1 (0.1) 悪心 (Nausea) 0 (0.0) 1 (0.1)

全身障害および投与局所様態(General disorders and administration site conditions) 1 (0.4) 1 (0.1) 末梢性浮腫 (Oedema peripheral) 1 (0.4) 1 (0.1)

傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications) 0 (0.0) 2 (0.3) 大腿骨頚部骨折 (Femoral neck fracture) 0 (0.0) 1 (0.1) 頭部損傷 (Head injury) 0 (0.0) 1 (0.1)

臨床検査 (Investigations) 0 (0.0) 1 (0.1) 血中クレアチンホスホキナーゼ増加 (Blood creatine phosphokinase increased 0 (0.0) 1 (0.1)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 0 (0.0) 8 (1.0) 糖尿病性ケトアシドーシス (Diabetic ketoacidosis) 0 (0.0) 1 (0.1) 高血糖 (Hyperglycaemia)) 0 (0.0) 2 (0.3) 低血糖症 (Hypoglycaemia 0 (0.0) 5 (0.6)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 0 (0.0) 4 (0.5) 筋痙縮 (Muscle spasms) 0 (0.0) 1 (0.1) 筋肉痛 (Myalgia) 0 (0.0) 1 (0.1) 骨関節炎 (Osteoarthritis) 0 (0.0) 1 (0.1) 四肢痛 (Pain in extremity) 0 (0.0) 1 (0.1) 関節リウマチ (Rheumatoid arthritis) 0 (0.0) 1 (0.1)

神経障害(Nervous system disorders) 0 (0.0) 2 (0.3) 頭痛 (Headache) 0 (0.0) 1 (0.1) 片頭痛 (Migraine) 0 (0.0) 1 (0.1)

精神障害 (Psychiatric disorders) 1 (0.4) 1 (0.1) うつ病 (Depression) 1 (0.4) 0 (0.0) 不眠症 (Insomnia) 0 (0.0) 1 (0.1)

腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 1 (0.4) 0 (0.0) 腎不全 (Renal failure) 1 (0.4) 0 (0.0) 皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 1 (0.4) 3 (0.4)

そう痒症 (Pruritus) 1 (0.4) 1 (0.1) 発疹 (Rash) 1 (0.4) 1 (0.1) 皮膚剥脱 (Skin exfoliation) 0 (0.0) 1 (0.1)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.3.2: 5 より作成

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低血糖イベント

治験担当医師判定による低血糖イベント(低血糖症および低血糖症の症状に関連する有害事象)

は,プラセボ群で 16.0%,リナグリプチン群で 23.7%の患者に認められた。そのうち高度の低

血糖イベント(経口ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処置に他者による介助が必要)

は,プラセボ群で 4.8%,リナグリプチン群で 2.7%であった(表 4.8: 18)。年齢別(65 歳未満,

65~74 歳,75 歳以上)の解析では,年齢の上昇に従い有害事象発現率は,プラセボ群では 12.0

から 37.5%,リナグリプチン群では 22.8 から 44.7%と大きく上昇した。両投与群ともに,低血

糖イベント発現例のうちプラセボ群は 52.4%,リナグリプチン群は 44.7%が投与 28 日超以降に

発現しており,低血糖イベントのほとんどは両投与群とも症候性であった(低血糖イベントの

うちプラセボ群:76.2%,リナグリプチン群:73.4%)。ただし,最も高度な場合でも他者の介

助を必要としたのはごく一部の患者(低血糖イベントのうちプラセボ群:4.8%,リナグリプチ

ン群:2.7%)であった(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.3.2: 15)。本試験では,患者がス

ルホニル尿素薬とメトホルミンの 2 剤併用基礎治療に治験薬を上乗せ投与する試験デザインか

ら低血糖イベントの発現頻度が高くなることが予測された。低血糖イベントの発現頻度におけ

るロジスティック回帰分析(オッズ比 1.644,p=0.0083)の結果から,3 剤併用となるリナグリ

プチン群における低血糖イベント発現の上昇が予想通り示された(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,

Table 15.3.2: 17)。

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469

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表 4.8: 18 治験担当医師により判定された低血糖イベントを発現した患者(Treated

Set)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N(%) 263 (100.0) 792 (100.0) Number of patients with any investigator-defined hypoglycaemia, N(% of patients treated)

42 (16.0) 188 (23.7)

Number of patients with any investigator-defined hypoglycaemia, N(%) a)

42 (100.0) 188 (100.0)

Any asymptomatic hypoglycaemia, N(% of patients with hypoglycaemia) b) 15 (35.7) 83 (44.1) Any documented symptomatic hypoglycaemia and measured plasma glucose ≥54 mg/dL and ≤70 mg/dL, N(% of patients with hypoglycaemia) c)

15 (35.7) 76 (40.4)

Any documented symptomatic hypoglycaemia and measured plasma glucose <54 mg/dL, N(% of patients with hypoglycaemia) d)

10 (23.8) 51 (27.1)

Any severe hypoglycaemic episode, N(% of patients with hypoglycaemia) e) 2 (4.8) 5 (2.7) Number of hypoglycaemic episodes per patient, N(% of patients with hypoglycaemia)

1 23 (54.8) 71 (37.8) 2 to 3 11 (26.2) 61 (32.4) ≥4 8 (19.0) 56 (29.8)

a)各カテゴリーまたは各イベントに重複例あり

b)低血糖症の症状を伴っていないが,血糖値 70 mg/dL 以下

c)低血糖症の症状を伴う

d)低血糖症の症状を伴うが,他者による介助は不要

e)ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処置に他者の介助が必要

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.2.2: 2 より作成

臨床イベント委員会で審査・判定された心血管イベントまたは脳血管イベント

臨床イベント委員会で審査されたプラセボ群 6 例,リナグリプチン群 15 例のうち,各群 3 例の

事象が心血管イベントまたは脳血管イベントと判定された。一過性脳虚血発作はプラセボ群で

1 例(0.4%)のみで認められ,非致死性心筋梗塞はリナグリプチン群で 1 例(0.1%)のみ認め

られた。その他の心筋虚血と判定された事象の発現率は 2 群間で同程度であった(プラセボ群:

0.8%,リナグリプチン群:0.3%),(表 4.8: 19)。

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表 4.8: 19 臨床イベント委員会で審査・判定された心血管イベントおよび脳血管イベン

ト (Treated Set)

Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

Number of patients 263 (100.0) 792 (100.0) Patients with TIA 1 (0.4) 0 (0.0) Patients with non-fatal MI 0 (0.0) 1 (0.1) Patients with other myocardial ischaemia 2 (0.8) 2 (0.3) Patients with stable angina 2 (0.8) 2 (0.3) Patients with unstable angina 1 (0.4) 0 (0.0)

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.2.3: 1 より作成

(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

本試験において死亡例はなかった。

重篤な有害事象

重篤な有害事象を表 4.8: 20(プラセボ群)および表 4.8: 21(リナグリプチン群)に示した。重

篤な有害事象はプラセボ群で 10 例(3.8%)に 19 件,リナグリプチン群で 25 例(3.2%)に 49

件認められた。そのうち最も高頻度に発現した事象は,器官別大分類では傷害,中毒および処

置合併症(プラセボ群:1.1%,リナグリプチン群:0.9%),基本語では転倒・転落(プラセボ

群:0.4%,リナグリプチン群:0.3%)であった。リナグリプチン群の 1 例で認められた腎機能

障害のみが,治験薬との因果関係ありと判定された。当該患者はベースライン時から中等度の

腎機能障害を有していた。

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表 4.8: 20 プラセボ群に発現した重篤な有害事象(Treated Set)

Patient no.

Sex / Age [years]

AE (preferred term)a) Start day/ duration [days]

Intensity Action taken Drug -related

Outcome

80090 M/64 膀胱ポリープ(Urinary bladder polyp) 141/44 Moderate Continued No Recovered 80709 F/76 悪心(Nausea) 44/5 Moderate Reintroduced No Recovered 嘔吐(Vomiting) 44/5 Moderate Reintroduced No Recovered 82055 M/63 不安定狭心症(Angina unstable) 97/5 Severe Discontinued No Recovered 82462 M/54 狭心症(Angina pectoris) 39/27 Severe Continued No Recovered 83158 F/69 憩室炎(Diverticulitis) 22/8 Moderate Continued No Recovered 83925 M/45 緑内障(Glaucoma) 43/15 Moderate Continued No Recovered 84211 F/39 交通事故(Road traffic accident) 65/1 Mild Continued No Recovered 背部痛(Back pain) 65/13 Mild Continued No Recovered 無力症(Asthenia) 69/105 Mild Continued No Recovered 84306 F/63 転倒・転落(Fall) 121/1 Moderate Continued No Recovered 関節捻挫(Joint sprain) 121/48 Moderate Continued No Recovered 靱帯断裂(Ligament rupture) 121/48 Moderate Continued No Recovered 84822 F/69 上気道感染

(Upper respiratory tract infection) 120/16 Moderate Continued No Recovered

85378 F/69 高血圧(Hypertension) 48/15 Mild Continued No Recovered 気管支炎(Bronchitis) 144/20 Moderate Continued No Recovered 気道感染(Respiratory tract infection) 144/20 Moderate Continued No Recovered 挫傷(Contusion) 149/15 Mild Continued No Recovered ケトン尿(Ketonuria) 153/4 Mild Continued No Recovered

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.3.2: 1 より作成

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表 4.8: 21 リナグリプチン群に発現した重篤な有害事象(Treated Set)

Patient no.

Sex / Age [years]

AE (Preferred term)a) Start day/ duration [days]

Intensity Action taken Drug -related

Outcome

80139 F/65 腎盂腎炎(Pyelonephritis) 75/4 Moderate Continued No Recovered 80402 M/39 網膜剥離(Retinal detachment) 62/1 Moderate Continued No Recovered 硝子体出血(Vitreous haemorrhage) 62/283 Moderate Continued No Recovered 80408 F/61 手根管症候群(Carpal tunnel syndrome) 61/1 Moderate Reintroduced No Recovered 80503 M/52 高トリグリセリド血症

(Hypertriglyceridaemia) 87/50 Moderate NA No Recovered

80541 F/54 骨髄機能不全(Bone marrow failure) 154/51b) Severe Continued No Not recoveredc)

82160 M/54 糖尿病性ケトアシドーシス (Diabetic ketoacidosis)

29/1 Moderate Discontinued No Recovered

82757 M/71 腎機能障害(Renal impairment) 146/97b) Moderate Continued Yes Not recoveredc)

胸部不快感(Chest discomfort) 146/12 Mild Continued No Recovered 83155 M/71 心筋炎(Myocarditis) 48/12 Moderate Discontinued No Recovered 高血圧クリーゼ(Hypertensive crisis) 48/12 Mild NA No Recovered 83644 F/63 転倒・転落(Fall) 164/1 Severe Continued No Recovered 関節脱臼(Joint dislocation) 164/11 Severe Continued No Recovered

84317 F/71 骨関節炎(Osteoarthritis) 89/27 Severe Continued No Recovered 84404 F/72 交通事故(Road traffic accident) 154/1 Mild Continued No Recovered

挫傷(Contusion) 154/12 Mild Continued No Recovered 84410 F/52 低血圧(Hypotension) 112/15 Mild NA No Recovered 胃腸障害(Gastrointestinal disorder) 112/15 Mild NA No Recovered 84411 F/58 腓骨骨折(Fibula fracture) 116/10 Moderate Continued No Recovered

関節捻挫(Joint sprain) 116/10 Moderate Continued No Recovered

84509 F/60 大腿骨頚部骨折(Femoral neck fracture) 112/18 Moderate Discontinued No Recovered

84618 F/60 嵌入爪(Ingrowing nail) 85/9 Moderate Continued No Recovered 85119 M/39 緊張性頭痛(Tension headache) 79/5 Severe Continued No Recovered 高血圧クリーゼ(Hypertensive crisis) 85/3 Moderate Continued No Recovered 85359 F/74 尿路感染(Urinary tract infection) 16/42 Moderate Reintroduced No Recovered 骨関節炎(Osteoarthritis) 16/39 Moderate Reintroduced No Recovered 85909 F/54 慢性中耳炎(Otitis media chronic) 57/4 Moderate Reintroduced No Sequelae 86229 M/77 高血糖(Hyperglycaemia) 1/14 Moderate Continued No Recovered 転倒・転落(Fall) 106/1 Moderate Continued No Recovered 眼部腫脹(Eye swelling) 106/15 Moderate Continued No Recovered 眼充血(Ocular hyperaemia) 106/15 Moderate Continued No Recovered 鼻浮腫(Nasal oedema) 106/15 Moderate Continued No Recovered 歯肉腫脹(Gingival swelling) 106/22 Mild Continued No Recovered 口唇腫脹(Lip swelling) 106/15 Moderate Continued No Recovered 口腔内潰瘍形成(Mouth ulceration) 106/22 Mild Continued No Recovered 紅斑(Erythema) 106/15 Moderate Continued No Recovered 嚥下性肺炎(Pneumonia aspiration) 108/13 Severe Continued No Recovered 便秘(Constipation) 108/20 Mild Continued No Recovered 創傷感染(Wound infection) 108/13 Moderate Continued No Recovered 高血圧(Hypertension) 108/13 Moderate Continued No Recovered 発熱(Pyrexia) 108/3 Mild Continued No Recovered 硬膜下血腫(Subdural haematoma) 108/13 Moderate Continued No Recovered

86321 F/67 肋骨骨折(Rib fracture) 36/140 Moderate Continued No Sequelae

86602 M/56 心筋梗塞(Myocardial infarction) 111/29 Severe Discontinued No Recovered 86906 M/68 循環虚脱(Circulatory collapse) 48/2 Moderate Continued No Recovered 88202 M/42 頭部損傷(Head injury) 99/200b) Mild Discontinued No Unknown 88203 M/43 急性胆嚢炎(Cholecystitis acute) 8/12 Mild Continued No Recovered 胆石症(Cholelithiasis) 8/12 Mild Continued No Recovered 88410 M/62 狭心症(Angina pectoris) 32/25 Moderate Continued No Recovered

a)MedDRA version ,b)打ち切り,c)追跡終了 引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.3.2: 2 より作成

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治験実施計画書で規定した重要な有害事象

治験実施計画書で規定した重要な有害事象(過敏症反応,肝酵素上昇,急性腎不全)は SMQs

(MedDRA 標準検索式)で検索した。器官別大分類で過敏症反応(プラセボ群:0.4%,リナグ

リプチン群:1.4%)に分類される有害事象が高頻度に発現した(表 4.8: 22)。

表 4.8: 22 SMQs に基づく治験実施計画書で規定した重要な有害事象(Treated Set)

Placebo N (%)

Linagliptin N (%)

例数 263 (100.0) 792 (100.0) 過敏症反応発現例(Patients with hypersensitivity reactions)a, d) 1 (0.4) 11 (1.4)

発疹(Rash) 1 (0.4) 1 (0.1) 蕁麻疹(Urticaria) 0 2 (0.3) 過敏症(Hypersensitivity) 0 2 (0.3) 胸部不快感(Chest discomfort) 0 1 (0.1) 循環虚脱(Circulatory collapse) 0 1 (0.1) 紅斑(Erythema) 0 1 (0.1) 眼部腫脹(Eye swelling) 0 1 (0.1) 低血圧(Hypotension) 0 1 (0.1) 口唇腫脹(Lip swelling) 0 1 (0.1) そう痒症(Pruritus) 0 1 (0.1) そう痒性皮疹(Rash pruritic) 0 1 (0.1) 歯肉腫脹(Gingival swelling) 0 1 (0.1) 鼻浮腫(Nasal oedema) 0 1 (0.1) 口腔内潰瘍形成(Mouth ulceration) 0 1 (0.1) 皮膚剥脱(Skin exfoliation) 0 1 (0.1)

腎臓の有害事象発現例(Patients with renal AEs)b) 0 1 (0.1) 腎機能障害(Renal impairment) 0 1 (0.1)

肝臓の有害事象発現例(Patients with hepatic AEs)c, d) 0 3 (0.4) アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 (Aspartate aminotransferase increased)

0 2 (0.3)

アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 (Alanine aminotransferase increased)

0 1 (0.1)

a) SMQs で「高度皮膚副作用」,「アナフィラキシー反応」,「血管浮腫」および「喘息気管支攣縮」に該当

b) SMQ で「急性腎不全」に該当

c) SMQs で「非感染性肝炎」,「肝不全,線維症,肝硬変およびその他の肝細胞障害」,「肝臓関連臨床検査値,

徴候および症状」および「肝臓由来の胆汁うっ帯および黄疸」に該当

d) 重複例あり

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.3.3: 1 より作成

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(d) 臨床検査

ベースライン時および投与期最終時におけるすべての臨床検査値の平均値は基準値の範囲内で

あり,ベースラインから投与期最終までの変化量の平均値は小さかった(CTD 5.3.5.1-8,試験

1218.18,Table 15.3.3: 1)。臨床的に問題となる臨床検査値の変動はみられなかった。

臨床的に重要な臨床検査値変動(ベーリンガーインゲルハイム社の社内基準に基づく)の発現

頻度は低く,プラセボ群とリナグリプチン群で同程度であった。最も高頻度に発現した臨床的

に重要な臨床検査値変動はトリグリセリド増加であった(表 4.8: 23)。少数ではあるが臨床的

に問題と考えられる異常変動が,血液学的検査値,カリウム,AST,ALT,CK および CK-MB

(Creatinine kinase isoenzyme)で認められた。なお,それらの臨床検査値異常は有害事象と

しても報告されている。

表 4.8: 23 臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の発現頻度(Treated Set)

Placebo Linagliptin Decrease Increase Decrease Increase N n (%) n (%) N n (%) n (%) Haematology Haematocrit 260 5 (1.9) N/A 770 17 (2.2) N/A Haemoglobin 260 6 (2.3) N/A 770 14 (1.8) N/A Red blood cell count 260 3 (1.2) N/A 770 6 (0.8) N/A White blood cell count 260 2 (0.8) 0 770 6 (0.8) 0 Eosinophils 259 N/A 4 (1.5) 770 N/A 15 (1.9) Platelets 260 0 0 770 1 (0.1) 0 Clinical chemistry Potassium 260 0 7 (2.7) 771 1 (0.1) 17 (2.2) Sodium 260 1 (0.4) 0 771 0 1 (0.1) Calcium 260 0 0 770 1 (0.1) 2 (0.3) Phosphate 260 1 (0.4) 1 (0.4) 770 1 (0.1) 2 (0.3) AST 259 N/A 1 (0.4) 767 N/A 2 (0.3) ALT 259 N/A 0. 767 N/A 5 (0.7) GGT 1) 260 N/A 3 (1.2) 771 N/A 13 (1.7) Creatine kinase 260 N/A 3 (1.2) 771 N/A 8 (1.0) Amylase 260 N/A 10 (3.8) 771 N/A 37 (4.8) Glucose 262 0 N/A 778 6 (0.8) N/A Creatinine 260 N/A 0 771 N/A 7 (0.9) Albumin 260 1 (0.4) N/A 771 N/A N/A Triglycerides 260 N/A 23 (8.8) 770 N/A 68 (8.8) Uric acid 260 N/A 4 (1.5) 771 N/A 25 (3.2)

1)γ-Glutamyl-transferase

略語:N/A=基準無し N=治療中に測定を 1 回以上実施した患者数 n = 臨床的に重要な減少/低下または増加/

上昇した患者数

引用元:CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 12.4: 1 より作成

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(e) バイタルサイン

投与期を通して観察された収縮期/拡張期血圧および脈拍数の変化はわずかであり、臨床的に

重要な異常は認められなかった(CTD 5.3.5.1-8,試験 1218.18,Table 15.3.4: 1)。12 誘導心電図

にも有害事象としての報告は認められなかった。

3) 結論

メトホルミンおよびスルホニル尿素薬で血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者へリナグリプ

チンを追加投与したときの HbA1c 低下効果において,リナグリプチンのプラセボに対する優越

性が認められた。救援治療薬を必要とした患者は,リナグリプチン群はプラセボ群と比較して

少なかった。スルホニル尿素薬を含む基礎治療にリナグリプチンを追加投与すると低血糖症の

リスクが上昇した。本試験において,全体としてリナグリプチンの忍容性は良好であり,安全

性に関して新たな問題は認められなかった。

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4.9 試験 1218.23

(CTD

5.3.5.1-9)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.9: 1 に示した。なお,HbA1c 値は全て NGSP 基準で測定した。

表 4.9: 1 試験方法の概略(1/6)

目的 血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対象とした BI 1356(リナグリプチン)5 mg ま

たは 10 mg を 1 日 1 回 12 週間および 26 週間投与したときの有効性,安全性,忍容性のプ

ラセボおよびボグリボースとの比較検討

52 週継続投与時の長期安全性の検討

試験デザイン 第 III 相,ランダム化,二重盲検,プラセボおよびボグリボース対照,並行群間比較試験

対象 選択基準

(1) 日本人の 2 型糖尿病患者で,グリタゾン系薬剤以外の経口血糖降下薬(1 剤または 2

剤注))で治療されている患者,もしくは経口血糖降下薬による治療を受けていない患

者で,Visit 1 の前 10 週間以上糖尿病の治療法を変更していない患者

(2) スクリーニング時(Visit 1)の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

- 経口血糖降下薬で治療されていない患者(ウォッシュアウト不要):7.0~10.0%

- 経口血糖降下薬で治療されている患者(ウォッシュアウト要):7.0~9.0%

(3) 2 週間のプラセボ導入期開始時(Visit 3)の HbA1c が 7.0~10.0%

(4) 年齢 20~80 歳

(5) BMI 40 kg/m2 以下

(6) GCP および薬事法に従って治験参加前に文書による同意が本人から得られた患者

注)2 剤で治療されている場合,経口血糖降下薬の投与量

スルホニル尿素薬:承認用量の 1 日 高投与量の 1/2 以下

その他の血糖降下薬:承認用量の 1 日 高投与量未満

除外基準

(1) Visit 1 前の 6 カ月以内に,心筋梗塞,脳卒中または一過性脳虚血発作を発現した患者

(2) ALT,AST または ALP が基準値上限の 3 倍を超える肝機能障害の患者

(3) 薬物またはその添加物に対するアレルギーを含む重大なアレルギー/過敏症の既往を

有する患者

(4) ボグリボースに対して不耐性/アレルギー/過敏症の既往を有する患者

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表 4.9: 1 試験方法の概略(2/6)

対象(続き) (5) Visit 1 前の 3 カ月以内に,グリタゾン系薬剤による治療を受けた患者

(6) Visit 1 前の 3 カ月以内に,インスリンによる治療を受けた患者

(7) Visit 1 前の 3 カ月以内に,抗肥満薬(例:マジンドール,sibutramine)による治療を

受けた患者

(8) 同意取得時に全身性のステロイドで治療中の患者,もしくは同意取得前 6 週間以内に

甲状腺ホルモン剤の用量を変更した患者

(9) Visit 2 または Visit 3 の空腹時血糖が 240 mg/dL(=13.3 mmol/L)を超えた患者

(10) アルコール乱用者

(11) 薬物乱用者

(12) Visit 1 前の 2 カ月以内に治験薬を用いた他の臨床試験へ参加した患者

(13) 妊娠中または妊娠している可能性のある患者および授乳中の患者

(14) 治験参加期間中および 終投与の 1 カ月後までの間,適切な避妊法を行う意思のない

患者

(15) その他,本試験に適さないと治験責任医師または治験分担医師が判断した患者

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 5 mg 錠に対応したプラセボ錠,ボグリボース 0.2 mg 錠,

ボグリボース 0.2 mg 錠に対応したプラセボ錠

症例数 目標症例数:登録例 750 例,割付け例 441 例

登録例 700 例,割付け例 561 例

割付け例 治験薬投与例

解析対象例(主要評価項目)

12 週間投与 26 週間投与

リナグリプチン 5 mg 群 159 例 159 例 159 例 159 例

リナグリプチン 10 mg 群 160 例 160 例 157 例 157 例

プラセボ群 80 例 80 例 80 例 ―

ボグリボース群 162 例 162 例 ― 162 例

計 561 例 561 例 396 例 478 例

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478

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表 4.9: 1 試験方法の概略(3/6)

投与方法

ウォッシュアウト期・プラセボ導入期,二重盲検治療期(前期 12 週間,後期 14 週間)お

よび継続治療期(26 週間)に分けて,プラセボ,リナグリプチン 5 mg,10 mg(朝食直前,

1 日 1 回)およびボグリボース 0.6 mg(0.2 mg 1 日 3 回毎食直前)を投与した。なお,本

試験では 3 因子(ベースラインの HbA1c [<8.5%,≥8.5%],糖尿病前治療薬の数[0,1,

2],性別)が群間で均一化されるよう動的割付けし,プラセボ群,リナグリプチン 5 mg

群,10 mg 群およびボグリボース群に 1:2:2:2 の割合で割付けた。

なお,二重盲検治療期の盲検性を保つために,継続治療期でも二重盲検法を用いた。

併用療法 試験期間中は,治験薬以外の糖尿病治療薬(その他の経口薬およびインスリンを含む)の

使用を禁止した。原則として,食事療法および運動療法の内容および指導方法は治験薬投

与開始以降に変更しないこととした。

投与期間 ・観察期間:プラセボ導入期間 2 週間。経口血糖降下剤で治療されていた患者にはプラセ

ボ導入期の前に 2 週間のウォッシュアウト期間

・二重盲検治療期 26 週間(前期 12 週間,後期 14 週間),継続治療期 26 週間

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表 4.9: 1 試験方法の概略(4/6)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

試験期間

スクリーニング

観察期 二重盲検治療期 ウォッシュアウト

前期(12 週間) 後期(14 週間) プラセボ

導入期 Visit 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 観察週数 -4 -2 0 2 4 8 12 14 18 22 26 割付けからの日数 -28 -14 0 14 28 56 84 98 126 154 182人口統計学的特性/ 合併症/既往歴 X

診察 X X X X X X X X X X X X バイタルサイン X X X X X X X X X X X 身長・体重・ウエスト周囲径 a) X X X X X X 臨床検査 X X X X X X X 妊娠検査 X X X X 12 誘導心電図 X X X X X X 血糖 X X X X X X X X X X X X HbA1c X Xb) X X X X X X グリコアルブミン X X X X X X DPP-4/PK X X X X X プロインスリン,インスリン X X X X X 有害事象 X X X X X X X X X X X 併用療法 X X X X X X X X X X X X 糖尿病治療満足度質問表 DTSQd) X X X

試験期間 継続治療期 (26 週間) 追跡期

Visit 13 14 15 16 17 18 19 20 観察週数 28 32 36 40 44 48 52 割付けからの日数 196 224 252 �80 308 336 364 7~10e) 人口統計学的特性/ 合併症/既往歴

診察 X X X X X X X X バイタルサイン X X X X X X X X 身長・体重・ウエスト周囲径 a) X X X X 臨床検査 X X X X 妊娠検査 X X 12 誘導心電図 X X X X 血糖 X X X X HbA1c X X X グリコアルブミン X X DPP-4/PK Xc) Xc) Xc) プロインスリン,インスリン X X X 有害事象 X X X X X X X X 併用療法 X X X X X X X X 糖尿病治療満足度質問表 DTSQsd) X

a)身長測定は Visit 1 のみ,b)ウォッシュアウト不要,かつ Visit 1 からの経過日数が 2

週間以内の場合,測定不要,c)DPP-4 活性測定用のみ採血(3 mL 採血),d)糖尿病治

療満足度質問表(DTSQ)の 新版を使用,e)Visit 19 からの経過週数

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表 4.9: 1 試験方法の概略(5/6)

評価項目

評価基準

有効性

主要評価項目

・リナグリプチンのプラセボに対する優越性の検討(12 週間投与):

2 型糖尿病患者を対象に,HbA1c のベースラインからの変化量を指標として,リナグ

リプチン(5 mg または 10 mg)を 1 日 1 回 12 週間投与したときの有効性をプラセボ

と比較検討

・リナグリプチンのボグリボースに対する優越性の検討(26 週間投与):

2 型糖尿病患者を対象に,HbA1c のベースラインからの変化量を指標として,リナグ

リプチン(5 mg または 10 mg)を 1 日 1 回 26 週間投与したときの有効性をボグリボ

ース 0.6 mg(0.2 mg を 1 日 3 回投与)と比較検討

・長期安全性の検討(52 週間投与):

2 型糖尿病患者を対象に,リナグリプチン(5 mg または 10 mg)を 1 日 1 回 52 週間投

与したときの長期安全性を,頻度 5%以上の有害事象の発現例数で検討

副次評価項目

治療目標効果の達成率(投与 12,26 および 52 週後の HbA1c が 7.0%未満および 6.5%未

満に低下した患者)

相対的有効性反応の発現(投与 12,26 および 52 週後の HbA1c が 0.5%以上低下した患

者)

HbA1c のベースラインからの変化量の Visit ごとの推移

治験薬投与 12,26 および 52 週後の空腹時血糖(FPG)のベースラインからの変化量

空腹時血糖(FPG)のベースラインからの変化量の Visit ごとの推移

その他の評価項目

血漿プロインスリン/インスリン比のベースラインからの Visit ごとの推移

HOMA-IR および HOMA-IS(ベースラインおよび投与 12,26,52 週後)

ß 細胞機能を示す HOMA-IS(インスリン分泌)とインスリン感受性[1/HOMA-IR(イ

ンスリン抵抗性)]との積によって求められる disposition index(ベースラインおよび投与

12,26,52 週後)

グリコアルブミンのベースラインからの変化量の Visit ごとの推移

体重のベースラインからの変化(投与 12,26,52 週後−ベースライン)

BMI のベースラインからの変化(投与 12,26,52 週後−ベースライン)

ウエスト周囲径のベースラインからの変化(投与 12,26,52 週後−ベースライン)

リナグリプチンの PK/PD 特性:投与 12,26 週後トラフ時の血漿中リナグリプチン濃度,

ベースラインおよび投与 12,26,52 週後トラフ時の DPP-4 阻害率

脂質パラメータのベースラインからの変化(投与 12,26,52 週後−ベースライン)

糖尿病治療満足度質問表 DTSQ(ベースライン,12,26,52 週後)

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表 4.9: 1 試験方法の概略(6/6)

評価項目

評価基準

(続き)

安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験中止,身体所見,12 誘導心電図,

バイタルサイン(血圧,脈拍数),臨床検査

解析方法 投与 12 週後の HbA1c をプラセボ対照,投与 26 週後の HbA1c をボグリボース対照として

リナグリプチンの有効性を検証した。リナグリプチンとプラセボおよびリナグリプチンと

ボグリボースの比較は薬剤および糖尿病の前治療薬の数を固定効果,ベースライン値を共

変量とした ANCOVA にて実施した。

安全性評価項目,血漿中薬物濃度,薬力学的パラメータおよびバイオマーカーについては

記述統計量を算出した。

症例数設定の

根拠

国内外で実施した臨床試験結果を参考に,リナグリプチンを 12 週間投与した場合のベー

スラインからの HbA1c の変化量を 0.5%,プラセボの HbA1c の変化量を 0%,群間の差を

0.5%とし,両群間の差の標準偏差を 0.9%と推定した。有意水準を片側 2.5%とし,プラセ

ボ群とリナグリプチン群に 1:2 の割合で割付けをした場合,プラセボ群 52 例以上,リナ

グリプチン群 104 例以上で検出力 90%以上が得られた。

またリナグリプチンを 26 週間投与した場合のベースラインからの HbA1c の変化量を

0.7%,ボグリボースの HbA1c の変化量を 0.25%,群間の差を 0.45%とし,両群間の差の標

準偏差を 1.0%と推定した。有意水準を片側 2.5%とした場合,各群 105 例以上で 90%以上

の検出力が得られた。なお,プラセボを対照とした 12 週時の解析で有意でない限り,26

週の解析を行わないことより,有意水準αの調整は実施しなかった。

以上より,試験期間中の中止・脱落を約 15%と考慮して,プラセボ群 63 例,リナグリプ

チン群およびボグリボース群にそれぞれ 126 例の計 441 例組入れることとした。

また,本例数に対する 52 週間の安全性調査の実施により,「致死的でない疾患に対して長

期間の投与が想定される新医薬品」の治験段階での安全性評価に必要な症例数を満すこと

になる。

治験調整医師

治験実施施設 国内 47 施設

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2) 試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

本試験の患者の内訳を図 4.9: 1 に示した。本試験に計 700 例が登録され,うち 597 例がプラセ

ボ導入期に入った。597 例中 561 例がプラセボ群(80 例),リナグリプチン 5 mg 群(159 例),

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リナグリプチン 10 mg 群(160 例),またはボグリボース群(162 例)のいずれかにランダム化

割付けされ,前期(12 週間)の投与が行われた。前期 12 週間における中止例は計 18 例であっ

た。

後期(14 週間)において,前期のプラセボ群の 12 週完了例 74 例は,リナグリプチン 5 mg(36

例)または 10 mg(38 例)の投与を受けた。リナグリプチン 5 mg,10 mg 群およびボグリボー

ス群の前期完了例のそれぞれ 156 例,155 例および 158 例は,引き続き同じ治験薬の投与を継

続した。後期における中止例は計 20 例で,完了例はプラセボ/リナグリプチン 5 mg 群 34 例,

プラセボ/リナグリプチン 10 mg 群 38 例,リナグリプチン 5 mg/リナグリプチン 5 mg 群 153

例,リナグリプチン 10 mg/リナグリプチン 10 mg 群 151 例およびボグリボース/ボグリボー

ス群 147 例であった。

継続治療期(26 週間)では,後期のリナグリプチン投与完了例は,同用量の投与を継続し,

ボグリボース投与完了例は 71 例がリナグリプチン 5 mg,76 例がリナグリプチン 10 mg の投与

を受けた。継続治療期での中止例は計 29 例で,前期,後期および継続治療期(計 52 週間)の

投与完了例は,計 494 例であった。

なお,いずれの治療期においても,主な投与中止理由は有害事象であった。

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登録例 700 例

不適格例 103 例

プラセボ導入期 597 例

非割付け例 36 例

ランダム化割付け/投与 561 例

投与期

前期 12 週間

(12 週投与)a) プラセボ群

80 例 (100.0%)

リナグリプチン 5 mg 群

159 例 (100.0%)

リナグリプチン 10 mg 群

160 例 (100.0%)

ボグリボース群

162 例 (100.0%)

中止例:6 例 中止例:3 例 中止例:5 例 中止例:4 例 (7.5%) (1.9%) (3.1%) (2.5%) 中止理由: 中止理由: 中止理由: 中止理由: 有害事象 6 例 有害事象 3 例 有害事象 3 例 有害事象 3 例

効果不十分 0 例 効果不十分 0 例 効果不十分 0 例 効果不十分 0 例

不遵守 0 例 不遵守 0 例 不遵守 0 例 不遵守 0 例

追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例

同意撤回 0 例 同意撤回 0 例 同意撤回 1 例 同意撤回 1 例

その他 0 例 その他 0 例 その他 1 例 その他 0 例

後期 14 週間

(26 週投与)a)

リナグリプチン 5 mg 群

36 例 (92.3%)

リナグリプチン 10 mg 群

38 例 (92.7%)

リナグリプチン 5 mg 群

156 例 (98.1%)

リナグリプチン 10 mg 群

155 例 (96.9%)

ボグリボース群

158 例 (97.5%)

中止例:2 例 中止例:0 例 中止例:3 例 中止例:4 例 中止例:11 例 (5.1%) (0.0%) (1.9%) (2.5%) (7.0%) 中止理由: 中止理由: 中止理由: 中止理由: 中止理由: 有害事象 2 例 有害事象 0 例 有害事象 2 例 有害事象 3 例 有害事象 9 例

効果不十分 0 例 効果不十分 0 例 効果不十分 0 例 効果不十分 0 例 効果不十分 0 例

不遵守 0 例 不遵守 0 例 不遵守 0 例 不遵守 0 例 不遵守 0 例

追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例

同意撤回 0 例 同意撤回 0 例 同意撤回 0 例 同意撤回 0 例 同意撤回 2 例

その他 0 例 その他 0 例 その他 1 例 その他 1 例1 その他 0 例

継続治療期 26 週間

(52 週投与)a)

リナグリプチン 5 mg 群

34 例 (87.2%)

リナグリプチン 10 mg 群

38 例 (92.7%)

リナグリプチン 5 mg 群

153 例 (96.2%)

リナグリプチン 10 mg 群

151 例 (94.4%)

リナグリプチン 5 mg 群

71 例 (87.7%)

リナグリプチン 10 mg 群

76 例 (93.8%)

中止例:1 例 中止例:2 例 中止例:11 例 中止例:9 例 中止例:3 例 中止例:3 例 (2.6%) (4.9%) (6.9%) (5.6%) (3.7%) (3.7%) 中止理由: 中止理由: 中止理由: 中止理由: 中止理由: 中止理由: 有害事象 1 例 有害事象 2 例 有害事象 9 例 有害事象 7 例 有害事象 1 例 有害事象 1 例

効果不十分 0 例 効果不十分 0 例 効果不十分 1 例 効果不十分 0 例 効果不十分 0 例 効果不十分 0 例

不遵守 0 例 不遵守 0 例 不遵守 0 例 不遵守 1 例 不遵守 0 例 不遵守 0 例

追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例 追跡不能 0 例

同意撤回 0 例 同意撤回 0 例 同意撤回 1 例 同意撤回 1 例 同意撤回 1 例 同意撤回 1 例

その他 0 例 その他 0 例 その他 0 例 その他 0 例 その他 1 例 その他 1 例

投与完了 リナグリプチン 5 mg 群

33 例 (84.6%)

リナグリプチン 10 mg 群

36 例 (87.8%)

リナグリプチン 5 mg 群

142 例 (89.3%)

リナグリプチン 10 mg 群

142 例 (88.8%)

リナグリプチン 5 mg 群

68 例 (84.0%)

リナグリプチン 10 mg 群

73 例 (90.1%)

投与薬剤 および 投与順序

プラセボ リナグリプチン 5 mg リナグリプチン 5 mg

プラセボ リナグリプチン 10 mg リナグリプチン 10 mg

リナグリプチン 5 mg リナグリプチン 5 mg リナグリプチン 5 mg

リナグリプチン 10 mg リナグリプチン 10 mg リナグリプチン 10 mg

ボグリボース ボグリボース リナグリプチン 5 mg

ボグリボース ボグリボース リナグリプチン 10 mg

a)投与期間(治験薬の投与開始からの期間)

図 4.9: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 10.1: 1 および Table 15.1.1: 1 より作成

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(b) 治験実施計画書からの逸脱

ランダム化割付けされた 561 例中,計 31 例において治験実施計画書からの重大な逸脱がみられ

た。実施計画書に合致した解析集団(PPS)から除外された主な重大な逸脱は併用禁止薬の使

用,治験薬服薬遵守率不良であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 10.2:1)。

(c) 解析対象集団

ランダム化割付けされた全例(561 例)が治験薬の投与を受けた(Treated Set)。本試験ではベ

ースラインおよび治験薬投与中に有効性評価項目の測定が行われた患者を 大の解析対象集団

(FAS)とした。それぞれの期間と比較に用いる集団に応じて FAS12(リナグリプチンとプラ

セボとの比較),FAS26(リナグリプチンとボグリボースとの比較)とした。FAS12,FAS26 の

うち,治験薬を 70 日間以上,168 日間以上投与された患者をそれぞれ 12 週 FAS-completer

(FASC12),26 週 FAS-completer(FASC26)とした。治験実施計画書からの重大な逸脱がみら

れなかった患者を PPS とし,それぞれの期間と比較に用いる集団に応じて PPS12,PPS26 とし

た。また,試験期間中に 1 回以上リナグリプチンを投与された患者を TSLI,FASLI とし,ボグ

リボースに割付けられ継続治療期でリナグリプチンを投与された患者を FASVL,さらに治験薬

投与後に血漿中薬物濃度測定用採血が行われた患者を薬物動態解析集団(PKS)と定義した(表

4.9: 2 の脚注参照)。

各解析対象集団の例数を表 4.9: 2 に示した。

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表 4.9: 2 各解析対象集団の例数

Placebo/ Lina 5/ Lina 5

Placebo/ Lina 10/ Lina 10

Lina 5/ Lina 5/ Lina 5

Lina 10/ Lina 10/ Lina 10

Vog/ Vog/

Lina 5

Vog/ Vog/

Lina 10

Total

N (%) N (%) N (%) N (%) N (%) N (%) N (%)

RS 39 (100.0) 41 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 81 (100.0) 81 (100.0) 561 (100.0)TS 39 (100.0) 41 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 81 (100.0) 81 (100.0) 561 (100.0)FAS 39 (100.0) 41 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 81 (100.0) 81 (100.0) 561 (100.0)PPS 38 ( 97.4) 40 ( 97.6) 155 ( 97.5) 154 ( 96.3) 78 ( 96.3) 80 ( 98.8) 545 ( 97.1) TS12 39 (100.0) 41 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 399 ( 71.1)FAS12 39 (100.0) 41 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 399 ( 71.1)FASC12 36 ( 92.3) 38 ( 92.7) 157 ( 98.7) 156 ( 97.5) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 387 ( 69.0)PPS12 39 (100.0) 40 ( 97.6) 157 ( 98.7) 157 ( 98.1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 393 ( 70.1) TS26 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 81 (100.0) 81 (100.0) 481 ( 85.7)FAS26 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 81 (100.0) 81 (100.0) 481 ( 85.7)FASC26 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 153 ( 96.2) 151 ( 94.4) 72 ( 88.9) 76 ( 93.8) 452 ( 80.6)PPS26 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 155 ( 97.5) 154 ( 96.3) 78 ( 96.3) 80 ( 98.8) 467 ( 83.2) TSLI 36 ( 92.3) 38 ( 92.7) 159 (100.0) 160 (100.0) 71 ( 87.7) 76 ( 93.8) 540 ( 96.3)FASLI 36 ( 92.3) 38 ( 92.7) 159 (100.0) 160 (100.0) 71 ( 87.7) 76 ( 93.8) 540 ( 96.3)FASVL 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 71 ( 87.7) 76 ( 93.8) 147 ( 26.2) PKS 39 (100.0) 41 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 81 (100.0) 81 (100.0) 561 (100.0)

略語:Lina=リナグリプチン,Vog=ボグリボース,RS=randomised set,TS=treated set,FAS=full analysis set,PPS=per

protocol set,TS12=12 週 treated set,FAS12=12 週 FAS,FASC12=12 週 FAS-completers,PPS12=12 週 PPS,TS26=26

週 treated set,FAS26=26 週 FAS,FASC26=26 週 FAS-completers,PPS26=26 週 PPS,TSLI=リナグリプチン treated

set,FASLI=リナグリプチン FAS,FASVL=ボグリボース/ボグリボース/リナグリプチン FAS,PKS=薬物動

態解析集団.

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.1: 1 より作成

(d) 二重盲検治療期における人口統計学的特性およびベースライン値

人口統計学的特性

Treated Set の人口統計学的特性を表 4.9: 3 に示した。全体的に,各群の人口統計学的特性は類

似していた。

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486

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表 4.9: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Voglibose

Total

Number of patients [N (%)] 80 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 162 (100.0) 561 (100.0)Sex [N (%)] Male 57 (71.3) 111 (69.8) 112 (70.0) 115 (71.0) 395 (70.4) Female 23 (28.8) 48 (30.2) 48 (30.0) 47 (29.0) 166 (29.6)Age [years] Mean (SD) 59.7 (8.9) 60.3 (9.4) 61.3 (10.0) 58.5 (9.9) 60.0 (9.7)Age group [N (%)] <50 years 9 (11.3) 23 (14.5) 20 (12.5) 35 (21.6) 87 (15.5)

50 to <65 years 41 (51.3) 70 (44.0) 77 (48.1) 73 (45.1) 261 (46.5) 65 to <75 years 29 (36.3) 61 (38.4) 48 (30.0) 51 (31.5) 189 (33.7) 75 to <80 years 0 ( 0.0) 5 ( 3.1) 14 ( 8.8) 3 ( 1.9) 22 ( 3.9) ≥80 years 1 ( 1.3) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 2 ( 0.4)Baseline weight [kg] Mean (SD) 65.31 (11.60) 64.61 (12.02) 66.22 (12.34) 69.36 (12.64) 66.54 (12.35)Baseline BMI [kg/m2] Mean (SD) 24.34 (3.39) 24.58 (3.96) 24.98 (3.76) 25.66 (4.01) 24.97 (3.86)Baseline BMI (categorical) [N (%)]

<25 kg/m2 53 (66.3) 102 (64.2) 87 (54.4) 78 (48.1) 320 (57.0) ≥25 kg/m2 27 (33.8) 57 (35.8) 73 (45.6) 84 (51.9) 241 (43.0)Baseline eGFR (MDRD) [mL/min]

Mean (SD) 111.4 (26.3) 113.9 (24.9) 110.6 (26.5) 113.4 (25.8) 112.5 (25.8)Baseline eGFR (MDRD) (categorical) [N (%)]

≥90 (normal) 65 (81.3) 135 (84.9) 130 (81.3) 132 (81.5) 462 (82.4) 60 to <90 (mild) 14 (17.5) 20 (12.6) 28 (17.5) 29 (17.9) 91 (16.2) 30 to <60 (moderate) 1 ( 1.3) 4 ( 2.5) 2 ( 1.3) 1 ( 0.6) 8 ( 1.4) 15 to <30 (severe) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) <15 (end stage) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)Baseline eCcr (Cockcroft-Gault) [mL/min]

Mean (SD) 99.2 (37.4) 98.8 (32.4) 98.0 (35.6) 107.2 (35.9) 101.1 (35.2)Baseline eCcr (categorical) [N (%)]

≥80 (normal) 58 (72.5) 113 (71.1) 104 (65.0) 127 (78.4) 402 (71.7) 50 to <80 (mild) 20 (25.0) 42 (26.4) 51 (31.9) 32 (19.8) 145 (25.8) 30 to <50 (moderate) 2 ( 2.5) 4 ( 2.5) 5 ( 3.1) 3 ( 1.9) 14 ( 2.5) 15 to <30 (severe) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) <15 (end stage) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

略語:MDRD=modification of diet in renal disease 引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.2.1: 1 より作成

合併症およびスクリーニング時の併用薬

Treated Set の計 561 例中 531 例(94.7%)が合併症を有しており,主な合併症は代謝および栄養

障害(高脂血症等),肝胆道系障害(脂肪肝等),胃腸障害(胃炎等)などであった(CTD 5.3.5.1-9,

試験 1218.23,Table 15.1.4: 4)。

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スクリーニング時にアスピリン,降圧薬,高脂血症治療薬,P-糖蛋白阻害剤または CY3A4 阻害

剤のいずれかの投与を受けていた患者の割合は 59.9%であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,

Table 11.2.1:2)。

ベースライン値

有効性評価項目のベースライン値を表 4.9: 4 に示した。HbA1c のベースラインの全体の平均値

は 8.01%であり,各群でほぼ同様であった。HbA1c が 8.0%未満の患者の割合は,プラセボ群,

リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,それぞれ 57.5,44.7,54.4 および

51.2%であった。空腹時血糖のベースラインの全体の平均値は 163.5 mg/dL,グリコアルブミン

の全体の平均値は 22.6%であり,各群ともほぼ同じであった。

HOMA-IR および HOMA-IS のベースライン値は全体で,それぞれ 2.23 (mU/L) x (mmol/L)およ

び 21.99 (mU/L)/(mmol/L)であった。

脂質パラメータのベースライン値では,リナグリプチン 5 mg 群の平均トリグリセリドが他の

群に比較して低かったが,総コレステロール,HDL および LDL の平均値は各群でほぼ同じで

あった。

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表 4.9: 4 ベースライン値(Treated Set)

Placebo

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Voglibose Total

Baseline HbA1c [%] N 80 159 160 162 561 Mean (SD) 7.95 (0.67) 8.07 (0.66) 7.98 (0.68) 8.02 (0.71) 8.01 (0.68)Baseline HbA1c (categorical)

[N (%)]

<8.5% 61 (76.3) 117 (73.6) 121 (75.6) 121 (74.7) 420 (74.9) ≥8.5% 19 (23.8) 42 (26.4) 39 (24.4) 41 (25.3) 141 (25.1)Baseline HbA1c(categorical) [N (%)]

<8.0% 46 (57.5) 71 (44.7) 87 (54.4) 83 (51.2) 287 (51.2) ≥8.0% 34 (42.5) 88 (55.3) 73 (45.6) 79 (48.8) 274 (48.8)Baseline FPG [mg/dL] N 80 159 160 162 561 Mean (SD) 161.7 (30.6) 163.3 (31.8) 165.0 (34.8) 163.1 (31.8) 163.5 (32.4)Baseline glycosylated albumin

[%]

N 80 159 160 162 561 Mean (SD) 22.9 (4.1) 22.9 (3.5) 22.5 (3.9) 22.4 (3.4) 22.6 (3.7)Baseline HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)]

N 16 34 29 28 107 Mean (SD) 1.59 (0.67) 2.05 (2.10) 2.22 (1.83) 2.81 (2.18) 2.23 (1.92)Baseline HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)]

N 16 34 29 28 107 Mean (SD) 13.72 (5.00) 19.95 (24.25) 20.08 (16.78) 31.18 (37.41) 21.99 (25.54)Baseline proinsulin/insulin ratio N 16 34 26 27 103 Mean (SD) 0.24 (0.14) 0.28 (0.17) 0.23 (0.09) 0.23 (0.14) 0.25 (0.14)Baseline cholesterol total [mg/dL]

N 80 159 160 162 561 Mean (SD) 207.7 (33.6) 203.1 (29.7) 202.3 (28.6) 203.6 (29.7) 203.6 (29.9)Baseline HDL [mg/dL] N 80 159 160 162 561 Mean (SD) 55.5 (13.8) 56.2 (11.8) 57.0 (15.0) 54.5 (12.3) 55.9 (13.2)Baseline LDL [mg/dL] N 80 159 160 162 561 Mean (SD) 127.4 (27.6) 126.0 (26.5) 120.5 (27.9) 124.6 (25.4) 124.2 (26.8)Baseline triglyceride [mg/dL] N 80 159 160 162 561 Mean (SD) 139.9 (128.5) 128.4 (92.5) 150.0 (139.6) 143.0 (90.7) 140.4 (112.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.2.1: 3 より作成

糖尿病前治療薬

糖尿病の前治療薬の数と種類を表 4.9: 5 に示した。本試験では糖尿病の前治療薬数を動的割付

け因子の一つとし,各群で均一になるよう割付けた。全体で対象の 54.9%は糖尿病治療薬の投

与を受けていない患者であった。

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表 4.9: 5 糖尿病の前治療薬の数と種類(Treated Set)

Placebo Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose Total

Number of patients [N (%)] 80 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 162 (100.0) 561 (100.0)

Number of previous antidiabetic drug [N (%)]

0 43 (53.8) 87 (54.7) 88 (55.0) 90 (55.6) 308 (54.9)

1 29 (36.3) 58 (36.5) 57 (35.6) 55 (34.0) 199 (35.5)

2 8 (10.0) 14 ( 8.8) 15 ( 9.4) 17 (10.5) 54 ( 9.6)

Antidiabetic drugs at enrolment [N (%)]

Metformin 5 ( 6.3) 22 (13.8) 9 ( 5.6) 17 (10.5) 53 ( 9.4)

Sulfonylurea 16 (20.0) 21 (13.2) 26 (16.3) 19 (11.7) 82 (14.6)

A-glucosidase inhibitor 7 ( 8.8) 10 ( 6.3) 15 ( 9.4) 17 (10.5) 49 ( 8.7)

Glinide 1 ( 1.3) 4 ( 2.5) 7 ( 4.4) 2 ( 1.2) 14 ( 2.5)

Other antidiabetics 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.2)

Metformin, Sulfonylurea 1 ( 1.3) 8 ( 5.0) 4 ( 2.5) 6 ( 3.7) 19 ( 3.4)

Metformin, A-glucosidase inhibitor 3 ( 3.8) 2 ( 1.3) 7 ( 4.4) 2 ( 1.2) 14 ( 2.5)

Sulfonylurea, A-glucosidase inhibitor 2 ( 2.5) 3 ( 1.9) 3 ( 1.9) 9 ( 5.6) 17 ( 3.0)

A-glucosidase inhibitor, Glinide 2 ( 2.5) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 4 ( 0.7)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.2.1: 4 より作成

糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症

糖尿病の診断から同意取得までの期間の分布は各群でほぼ同じであった。糖尿病関連合併症と

して大血管疾患を 52.4%,代謝症候群を 44.6%,微小血管疾患を 34.9%の患者が有していた(表

4.9: 6)。

表 4.9: 6 糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症または症候群

(Treated Set)

Placebo Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose Total

Number of patients 80 (100.0) 159 (100.0) 160 (100.0) 162 (100.0) 561 (100.0)

Time since diagnosis of diabetes [N (%)]

Up to 1 year 7 ( 8.8) 19 (11.9) 19 (11.9) 20 (12.3) 65 (11.6)

>1 to 5 years 36 (45.0) 61 (38.4) 59 (36.9) 65 (40.1) 221 (39.4)

>5 years 37 (46.3) 79 (49.7) 82 (51.3) 77 (47.5) 275 (49.0)

Number of patients with at least one diagnosis of relevant concomitant disease or syndrome [N (%)]

52 (65.0) 112 (70.4) 120 (75.0) 131 (80.9) 415 (74.0)

Microvascular diseasea)[N (%)] 28 (35.0) 57 (35.8) 54 (33.8) 57 (35.2) 196 (34.9)

Macrovascular diseaseb)[N (%)] 36 (45.0) 77 (48.4) 91 (56.9) 90 (55.6) 294 (52.4)

Diabetic foot [N (%)] 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 1 ( 0.2)

Metabolic syndrome [N (%)] 31 (38.8) 59 (37.1) 75 (46.9) 85 (52.5) 250 (44.6)

a)糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,および糖尿病性神経障害を含む

b)冠動脈疾患,末梢動脈閉塞性疾患,脳血管疾患,および高血圧を含む

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.2.1: 5 より作成

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(e) 継続治療期におけるボグリボースからリナグリプチンへの切り替え患者の人口統計学的特

性およびベースライン値

二重盲検治療期を完了したボグリボース群の患者で,継続治療期にリナグリプチン 5 mg また

は 10 mg の投与を受けた 147 例の投与 26 週の人口統計学的特性(年齢は試験開始時)および

ベースライン値を次に示す。

人口統計学的特性(継続治療開始時)

ボグリボース/ボグリボース/リナグリプチン 5 mg 群とボグリボース/ボグリボース/リナ

グリプチン 10 mg 群における男性の割合(73.2%,69.7%),平均年齢(58.4 歳,58.5 歳),平均

体重(67.21 kg,69.48 kg),平均 BMI(25.13 kg/m2,25.56 kg/m2)および平均糸球体濾過率の予

測値(eGFR)(113.2 mL/min,113.5 mL/min)は類似していた(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,

Table 11.2.2: 1)。

合併症および継続治療開始時の併用薬

147 例中 134 例(91.2%)が合併症を有しており,主な合併症は代謝および栄養障害(高脂血症

等),肝胆道系障害(脂肪肝等),胃腸障害(胃炎等)などであった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,

Table 15.1.4: 10)。

アスピリン,降圧薬,高脂血症治療薬,P-糖蛋白阻害剤または CY3A4 阻害剤のいずれかの投与

を受けていた患者の割合は 72.8%(107/147 例)であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table

11.2.2: 2)。

ベースライン値(継続治療開始時)

継続治療開始時の有効性評価項目のベースライン値(投与 26 週)を表 4.9: 7 に示した。ボグリ

ボース/ボグリボース/リナグリプチン 10 mg 群の平均 HbA1c は 7.91%であり,ボグリボース

/ボグリボース/リナグリプチン 5 mg 群(7.65%)に比較してやや高く,HbA1c が 8.0%以上

の患者の割合(39.5%)もボグリボース/ボグリボース/リナグリプチン 5 mg 群(25.4%)よ

りも高かった。平均空腹時血糖は両群でほぼ同じであった。

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表 4.9: 7 有効性評価項目のベースライン値(継続治療開始時)(TSLI)

Voglibose/Voglibose/

Linagliptin 5 mg Voglibose/Voglibose/

Linagliptin 10 mg Baseline HbA1c [%]a) N 71 76 Mean (SD) 7.65 (1.01) 7.91 (1.16) Baseline HbA1c (categorical) [N (%)]a)

<8.5% 59 (83.1) 57 (75.0) ≥8.5% 12 (16.9) 19 (25.0)

Baseline HbA1c(categorical) [N (%)]a) <8.0% 53 (74.6) 46 (60.5) ≥8.0% 18 (25.4) 30 (39.5)

Baseline FPG [mg/dL]a)) N 71 76

Mean (SD) 154.7 (32.7) 157.9 (36.7) Baseline glycosylated albumin [%]a)

N 71 76 Mean (SD) 21.2 ( 3.7) 22.3 ( 4.6) Baseline HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)]a)

N 59 66 Mean (SD) 1.90 (1.41) 2.32 (1.83) Baseline HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)]a)

N 59 66 Mean (SD) 20.61 (14.84) 29.34 (47.65) Baseline proinsulin/insulin ratioa)

N 59 66 Mean (SD) 0.21 (0.10) 0.22 (0.14) Baseline cholesterol total [mg/dL]a)

N 71 76 Mean (SD) 208.4 (36.9) 210.8 (30.2) Baseline HDL [mg/dL]a)

N 71 76 Mean (SD) 54.5 (13.2) 55.9 (13.7) Baseline LDL [mg/dL]a)

N 71 76 Mean (SD) 131.8 (30.5) 130.8 (26.9) Baseline triglyceride [mg/dL]a)

N 71 76 Mean (SD) 116.6 (63.0) 126.5 (56.7)

a)ベースライン値(投与 26 週)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.2.2: 3 より作成

糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症

糖尿病の診断から同意取得までの期間が 1 年以上 5 年未満,5 年以上の患者の割合は,ボグリ

ボース/ボグリボース/リナグリプチン 5 mg 群(それぞれ,38.0%および 43.7%)に比較して,

ボグリボース/ボグリボース/リナグリプチン 10 mg 群(それぞれ,43.4%および 50.0%)が高

かった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.2.2: 5)。

糖尿病関連合併症として大血管疾患を 56.5%,代謝症候群を 51.0%,微小血管疾患を 34.7%の

患者が有していた(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.2.2: 5)。

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(f) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は,二重盲検治療期前期の 12 週間,前期および後期の 26 週間,および全治療期

間の 52 週間において,治験薬の服薬率が 80~120%に含まれる場合を「良好」とした。服薬遵

守状況が「不良」の患者は,それぞれの期間で 3 例,5 例および 4 例と少数であった。

(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主要評価項目は,投与 12 週後のプラセボ群と比較したリナグリプチン 5 mg 群と 10 mg 群の

HbA1c のベースラインからの変化量,投与 26 週後のボグリボース群と比較したリナグリプチ

ン 5 mg 群と 10 mg 群の HbA1c のベースラインからの変化量とした。

主解析

• 投与 12 週におけるリナグリプチン群とプラセボ群の HbA1c の変化量

投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)は,リナグリプチン 5 mg

群,10 mg 群およびプラセボ群で,それぞれ−0.24%,−0.25%および 0.63%であった。リナグリ

プチン 5 mg 群,10 mg 群のプラセボ群に対する調整平均変化量の差は,それぞれ−0.87%(95%

信頼区間:−1.04~−0.70%)および−0.88%(95%信頼区間:−1.05~−0.71%)であり,いずれも

統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:p<0.0001)(表 4.9: 8)。

表 4.9: 8 投与 12 週における HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS12-LOCF)

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Placebo

Number of patients 159 160 80 Number of patients with baseline and on-treatment results 159 157 80 Baseline Mean (SE) 8.07 ( 0.05) 7.98 ( 0.05) 7.95 ( 0.07) Change from baseline Mean (SE) -0.49 ( 0.06) -0.50 ( 0.05) 0.39 ( 0.10) Adjusteda)mean (SE) -0.24 ( 0.06) -0.25 ( 0.06) 0.63 ( 0.08) Comparison vs. placebo (difference: Linagliptin - Placebo) Adjusteda)mean (SE) -0.87 ( 0.09) -0.88 ( 0.09) 95% confidence interval (-1.04, -0.70) (-1.05, -0.71) p-value <0.0001 <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.1.1: 1 より作成

• 投与 26 週におけるリナグリプチン群とボグリボース群の HbA1c の変化量

投与 26 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg

群およびボグリボース群で,それぞれ−0.13,−0.19 および 0.19%であった。リナグリプチン 5 mg

群,10 mg 群のボグリボース群に対する調整平均変化量の差は,それぞれ−0.32%(95%信頼区

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間:−0.49~−0.15%)および−0.39%(95%信頼区間:−0.56~−0.21%)であり,いずれも統計学

的に有意な差が認められた(ANCOVA:それぞれ,p=0.0003 および p<0.0001)(表 4.9: 9)。

表 4.9: 9 投与 26 週における HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS26-LOCF)

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Voglibose

Number of patients 159 160 162 Number of patients with baseline and on-treatment results 159 157 162 Baseline Mean (SE) 8.07 ( 0.05) 7.98 ( 0.05) 8.02 ( 0.06) Change from baseline Mean (SE) -0.44 ( 0.07) -0.48 ( 0.06) -0.10 ( 0.08) Adjusteda)mean (SE) -0.13 ( 0.07) -0.19 ( 0.07) 0.19 ( 0.07) Comparison vs. placebo (difference: Linagliptin -

Voglibose)

Adjusteda)mean (SE) -0.32 ( 0.09) -0.39 ( 0.09) 95% confidence interval (-0.49, -0.15) (-0.56, -0.21) p-value 0.0003 <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.1.2: 1 より作成

副次解析

感度分析として,投与 12 週および 26 週後の治験実施計画書からの重大な逸脱例を除いた PPS

12および PPS 26でHbA1cのベースラインからの変化量について主解析と同様の解析を行った。

さらに FAS 12 および FAS 26 で糖尿病の前治療薬の数を主解析の解析モデルから除いた,薬剤,

ベースライン HbA1c をモデルに含めた ANCOVA を行った。

• 投与 12 週後の HbA1c

- 投与 12 週後の HbA1c の感度分析

PPS 12 での投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)はリナグリ

プチン 5 mg 群(N=157),10 mg 群(N=156)およびプラセボ群(N=79)で,それぞれ−0.25%,

−0.25%および 0.63%であった。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のプラセボ群に対する調整平

均変化量の差は,それぞれ−0.88%(95%信頼区間:−1.05~−0.70%)および−0.88%(95%信頼区

間:−1.05~−0.70%)であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:p<0.0001)

(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.2.1: 1)。

FAS12 で糖尿病の前治療薬の数を主解析の解析モデルから除いた,薬剤とベースライン HbA1c

をモデルに含めた ANCOVAによる投与 12週後の HbA1cのベースラインからの調整平均変化量

(LOCF)は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で,それぞれ−0.50,−0.50

および 0.39%であった。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のプラセボ群に対する調整平均変化

量の差は,それぞれ−0.89%(95%信頼区間:−1.10~−0.69%)および−0.89%(95%信頼区間:−1.09

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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~−0.69%)であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:p<0.0001)(CTD

5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.2.1: 2)。

- 12 週間投与におけるリナグリプチン群とプラセボ群の HbA1c の推移

12 週間投与における平均 HbA1c の推移(LOCF)を図 4.9: 2 に示した。ベーラインから投与 12

週で,平均 HbA1c はリナグリプチン 5 mg 群(8.07%から 7.58%)および 10 mg 群(7.98%から

7.48%)で低下したが,プラセボ群(7.95%から 8.34%)では上昇した。

7.2

7.4

7.6

7.8

8

8.2

8.4

8.6

Treatment duration

HbA

1c (%

) mea

n (S

E) o

ver t

ime

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Placebo

Baseline Week 4 Week 8 Week 12

図 4.9: 2 12週間投与におけるリナグリプチン群とプラセボ群の平均 HbA1c(%)の推移

(平均値±標準誤差)(FAS12-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 11.4.1.1.2.1: 1,Table 15.2.1: 1 より作成

- 投与 12 週後のリナグリプチン群とプラセボ群の HbA1c の層別解析

投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)についての層別解析(カ

テゴリー別 HbA1c,糖尿病の前治療薬数,性別)の結果を表 4.9: 10 に示した。糖尿病の前治療

薬数による層別解析では,糖尿病の前治療薬を 2 剤投与されていた場合,いずれの群も投与 12

週後の調整平均 HbA1c はベースラインから増加していたが,いずれの層別解析においても,リ

ナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の調整平均 HbA1c はプラセボ群に比較して統計学的に有

意に低かった。

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表 4.9: 10 層別の投与 12 週後の HbA1c (%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS12-LOCF)

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Placebo

HbA1c at baseline <8.0%, N 71 85 46

Adjusteda)mean (SE) -0.40 ( 0.08) -0.36 ( 0.08) 0.32 ( 0.09) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001

≥8.0%, N 88 72 34 Adjusteda)mean (SE) -0.20 ( 0.09) -0.27 ( 0.09) 0.89 ( 0.13) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001

HbA1c at baseline <8.5%, N 117 118 61

Adjusteda)mean (SE) -0.30 ( 0.06) -0.27 ( 0.06) 0.50 ( 0.08) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001

≥8.5%, N 42 39 19 Adjusteda)mean (SE) -0.14 ( 0.14) -0.31 ( 0.14) 0.97 ( 0.21) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001

Number of prior antidiabetic drugs 0, N 87 85 43 Adjustedb)mean (SE) -0.75 ( 0.06) -0.82 ( 0.06) -0.16 ( 0.08) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001 1, N 58 57 29 Adjustedb)mean (SE) -0.34 ( 0.09) -0.20 ( 0.09) 1.00 ( 0.13) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001 2, N 14 15 8 Adjustedb)mean (SE) 0.43 ( 0.20) 0.13 ( 0.19) 1.19 ( 0.27) p-value (Linagliptin vs. Placebo) 0.0298 0.0029

Sex Male, N 111 110 57 Adjusteda)mean (SE) -0.29 ( 0.07) -0.21 ( 0.07) 0.57 ( 0.09) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001 Female, N 48 47 23 Adjusteda)mean (SE) -0.09 ( 0.13) -0.32 ( 0.12) 0.78 ( 0.15) p-value (Linagliptin vs. Placebo) <0.0001 <0.0001

a) ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

b) ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.2.1: 4 より作成

• 投与 26 週後の HbA1c

- 投与 26 週後の HbA1c の感度分析

PPS26 での投与 26 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)は,リナグリ

プチン 5 mg 群(N=155),10 mg 群(N=154)およびボグリボース群(N=158)で,それぞれ−0.14%,

−0.20%および 0.15%であり,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のボグリボース群に対する調整

平均変化量の差は,それぞれ−0.30%(95%信頼区間:−0.47~−0.12%)および−0.36%(95%信頼

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区間:−0.53~−0.18%)であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:それぞ

れ,p=0.0008 および p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.2.2: 1)。

FAS26 で糖尿病の前治療薬の数を主解析の解析モデルから除いた,薬剤とベースラインの

HbA1c をモデルに含めた ANCOVA による投与 26 週後の HbA1c のベースラインからの調整平

均変化量(LOCF)は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,それぞれ

−0.44%,−0.48%および−0.10%であった。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のボグリボース群

に対する調整平均変化量の差は,それぞれ−0.33%(95%信頼区間:−0.53~−0.14%)および−0.38%

(95%信頼区間:−0.57~−0.18%)であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた

(ANCOVA:それぞれ,p=0.0008 および p=0.0002)(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.2.2:

2)。

- 26 週間投与におけるリナグリプチン群とボグリボース群の HbA1c の推移

26 週間投与における平均 HbA1c の推移(LOCF)を図 4.9: 3 に示した。投与 4 週から 26 週まで

の各測定時期におけるリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の HbA1c は,いずれもボグリボ

ース群に比較して統計学的に有意に低下した(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Tables 15.2.1: 6 お

よび Tables 15.2.2: 3~15.2.2: 5)。

7.3

7.4

7.5

7.6

7.7

7.8

7.9

8

8.1

8.2

Treatment duration

HbA

1c (%

) mea

n (S

E) o

ver t

ime

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose

Baseline Week 4 Week 8 Week 12 Week 18 Week 26

図 4.9: 3 26週間投与におけるリナグリプチン群とボグリボース群の平均 HbA1c(%)の

推移(平均値±標準誤差)(FAS26-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 11.4.1.1.2.2: 1,Table 15.2.1: 5 より作成

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- 投与 26 週後のリナグリプチン群とボグリボース群の HbA1c の層別解析

投与 26 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)についての層別解析(カ

テゴリー別 HbA1c,糖尿病の前治療薬の数,性別)の結果を表 4.9: 11 に示した。リナグリプチ

ン 5 mg 群および 10 mg 群では,糖尿病の前治療薬を 2 剤投与されていた場合を除いて,いず

れの層別解析でも投与 26 週後の調整平均 HbA1c はベースラインから低下したが,ボグリボー

ス群では糖尿病の前治療薬なしの場合を除いて,いずれの層別解析においても増加した。HbA1c

のベースライン値が 8.0%未満および 8.5%未満,糖尿病の前治療薬が 1 剤および男性のサブグ

ループではリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群ともにボグリボース群に比較して統計学的

に有意に低下した。HbA1c のベースライン値が 8.0%以上,糖尿病の前治療薬なし,および女性

のサブグループでは,リナグリプチン 10 mg 群とボグリボース群では統計学的に有意な差が認

められたが,リナグリプチン 5 mg 群とボグリボース群では統計学的に有意な差はなかった。

HbA1cのベースライン値が 8.5%以上および糖尿病の前治療薬が 2剤のサブグループではリナグ

リプチン 5 mg 群および 10 mg 群ともにボグリボース群との間に統計学的に有意な差はみられ

なかった。

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表 4.9: 11 層別の投与 26 週後の HbA1c (%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS26-LOCF)

Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg

Voglibose

HbA1c at baseline <8.0%, N 71 85 83 Adjusteda)mean (SE) -0.37 ( 0.10) -0.40 ( 0.09) 0.01 ( 0.09) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.0002 <0.0001 ≥8.0%, N 88 72 79 Adjusteda)mean (SE) -0.10 ( 0.10) -0.20 ( 0.11) 0.16 ( 0.11) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.0630 0.0156 HbA1c at baseline <8.5%, N 117 118 121 Adjusteda)mean (SE) -0.20 ( 0.08) -0.21 ( 0.08) 0.20 ( 0.08) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) <0.0001 <0.0001 ≥8.5%, N 42 39 41 Adjusteda)mean (SE) -0.04 ( 0.17) -0.28 ( 0.17) 0.06 ( 0.17) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.6633 0.1555 Number of prior antidiabetic drugs 0, N 87 85 90 Adjustedb)mean (SE) -0.69 ( 0.07) -0.83 ( 0.08) -0.51 ( 0.07) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.0792 0.0025 1, N 58 57 55 Adjustedb)mean (SE) -0.27 ( 0.11) -0.22 ( 0.11) 0.29 ( 0.11) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.0003 0.0011 2, N 14 15 17 Adjustedb)mean (SE) 0.55 ( 0.30) 0.43 ( 0.29) 0.70 ( 0.28) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.7176 0.5047 Sex Male, N 111 110 115 Adjusteda)mean (SE) -0.12 ( 0.08) -0.13 ( 0.08) 0.24 ( 0.08) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.0007 0.0005 Female, N 48 47 47 Adjusteda)mean (SE) -0.16 ( 0.13) -0.32 ( 0.13) 0.09 ( 0.12) p-value (Linagliptin vs. Voglibose) 0.1470 0.0140

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

b)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.1.2.2: 4 より作成

(b) 副次評価項目

HbA1c

• 投与 12 週後の治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 12 週後のリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群で HbA1c が<7.0%,<6.5%の治療目標効果を達

成した患者の割合および HbA1c が有効性反応を発現した患者(ベースラインから 0.5%以上低

下)の割合は,プラセボ群に比較して統計学的に有意に高かった(Fisher 正確確率検定,リナ

グリプチン 5 mg 群:p<0.0001~p=0.0038,リナグリプチン 10 mg 群:p<0.0001)(表 4.9: 12,

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Appendix 16.1.9.2,Statdocs 6.2.7,6.2.8,6.2.12,6.2.13,6.2.17,

6.2.18)。

表 4.9: 12 投与 12 週における HbA1c の治療目標効果の達成例数と有効性反応の発現例

数と割合(FAS12-LOCF)

Linagliptin 5 mg n/N (%)

Linagliptin 10 mg n/N (%)

Placebo n /N (%)

Response criterion HbA1c <7.0% 42/159 (26.4) a) 56/157 (35.7) a) 8/80 (10.0) Among patients with baseline ≥7.0% 37/154 (24.0) a) 51/152 (33.6) a) 8/80 (10.0) HbA1c <6.5% 15/159 ( 9.4) a) 18/157 (11.5) a) 0/80 ( 0.0) Among patients with baseline ≥7.0% 12/154 ( 7.8) a) 15/152 ( 9.9) a) 0/80 ( 0.0) Among patients with baseline ≥6.5% 14/158 ( 8.9) a) 18/157 (11.5) a) 0/80 ( 0.0) HbA1c reduction from baseline ≥0.5% 91/159 (57.2) a) 94/157 (59.9) a) 7/80 ( 8.8)

略語:n=治療目標効果または有効性反応の発現例数,N=解析対象例数,a)プラセボに対し p<0.05(Fisher 正

確確率検定)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.1.1: 1 より作成

• 投与 26 週後の治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 26 週後のリナグリプチン 10 mg 群で HbA1c が<7.0%,<6.5%の治療目標効果を達成した患

者の割合はボグリボース群に比較して統計学的に有意に高かった(Fisher 正確確率検定: それ

ぞれ p=0.0181 および p=0.0051)。また,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群で HbA1c が有効性

反応を発現した患者(ベースラインから 0.5%以上低下)の割合はボグリボース群に比較して統

計学的に有意に高かった(Fisher 正確確率検定:それぞれ p<0.0001 および p=0.0050)(表 4.9: 13,

CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Appendix 16.1.9.2,Statdocs 6.2.9,6.2.10,6.2.14,6.2.15,6.2.19,

6.2.20)。

表 4.9: 13 投与 26 週における HbA1c の治療目標効果の達成例数と有効性反応の発現例

数と割合(FAS26-LOCF)

Linagliptin 5 mg n/N (%)

Linagliptin 10 mg n/ N (%)

Voglibose n/ N (%)

Response criterion HbA1c <7.0% 48/159 (30.2) 54/157 (34.4) a) 36/162 (22.2) Among patients with baseline ≥7.0% 43/154 (27.9) 50/152 (32.9) a) 31/157 (19.7) HbA1c <6.5% 15/159 ( 9.4) 21/57 (13.4) a) 7/162 ( 4.3) Among patients with baseline ≥7.0% 11/154 ( 7.1) 18/152 (11.8) a) 6/157 ( 3.8) Among patients with baseline ≥6.5% 14/158 ( 8.9) 21/157 (13.4) a) 7/162 ( 4.3) HbA1c reduction from baseline ≥0.5% 91/159 (57.2) a) 84/157 (53.5) a) 61/162 (37.7)

略語:n=治療目標効果または有効性反応の発現例数,N=解析対象例数,a)ボグリボースに対し p<0.05(Fisher

正確確率検定)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.1.2: 1 より作成

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• 投与 52 週後の治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

投与 52 週後の HbA1c が<7.0%,<6.5%の治療目標効果を達成した患者の割合は,リナグリプチ

ンで投与を開始したリナグリプチン 5mg 群および 10 mg 群(リナグリプチン 1 年投与)で,そ

れぞれ 23.9%および 18.5%,3.8%および 6.4%であった。また,HbA1c が有効性反応を発現した

患者(ベースラインから 0.5%以上低下)の割合は,リナグリプチン 5mg 群および 10 mg 群で,

それぞれ 39.0%および 39.5%であり,ほぼ同じであった(表 4.9: 14)。

表 4.9: 14 投与 52 週におけるリナグリプチン投与群(リナグリプチン 1 年投与)の

HbA1c の 治 療 目 標 効 果 の 達 成 例 と 有 効 性 反 応 の 発 現 例 数 と 割 合

(FASLI-LOCF)

Linagliptin 5 mg n/N (%)

Linagliptin 10 mg n/N (%)

Response criterion HbA1c <7.0% 38/159 (23.9) 29/157 (18.5) Among patients with baseline ≥7.0% 33/154 (21.4) 26/152 (17.1) HbA1c <6.5% 6/159 ( 3.8) 10/157 ( 6.4) Among patients with baseline ≥7.0% 3/154 ( 1.9) 9/152 ( 5.9) Among patients with baseline ≥6.5% 5/158 ( 3.2) 10/157 ( 6.4) HbA1c reduction from baseline ≥0.5% 62/159 (39.0) 62/157 (39.5)

略語:n=治療目標効果または有効性反応の発現例数,N=解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.1.3: 1 より作成

• 52 週間投与における HbA1c の推移

二重盲検治療期前期をリナグリプチンで開始したリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群

(FASLI)の 52 週間投与における平均 HbA1c の推移(OC:欠測値の補完を行わない)を図 4.9:

4 に示した。両群とも同様に平均 HbA1c は投与 8 週まで低下し,その後投与 52 週まで維持さ

れた。投与 52 週における平均 HbA1c はリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群で,それぞれ

7.67%および 7.62%であった。

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501

Page 506: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

図 4.9: 4 52 週間投与におけるリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群(リナグリプチ

ン 1 年投与)の平均 HbA1c (%)の推移(平均値±標準誤差)(FASLI- OC)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 11.4.1.2.1.4: 1 より作成

ボグリボース/ボグリボース/リナグリプチン 5 mg 群およびボグリボース/ボグリボース/

リナグリプチン 10 mg 群の HbA1c は,投与 26 週(リナグリプチン投与開始)から低下し,投

与 52 週までベースライン値(投与 26 週)より低かった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

502

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空腹時血糖

• 投与 12 週におけるリナグリプチン群とプラセボ群の空腹時血糖

12 週間投与における平均空腹時血糖の推移(LOCF)を図 4.9: 5 に示した。投与 4 週で平均空

腹時血糖はリナグリプチン 5 mg 群(163.3 mg/dL から 148.3 mg/dL)および 10 mg 群(165.0 mg/dL

から 145.7 mg/dL)で低下し,その後投与 12 週まで維持されたが,プラセボ群ではベースライ

ンの 161.7 mg/dL から投与 12 週の 167.2 mg/dL へやや上昇した。

140

145

150

155

160

165

170

175

Treatment duration

FPG

(mg/

dL) m

ean

(SE)

ove

r tim

e

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Placebo

Baseline Week 4 Week 8 Week 12Week 2

図 4.9: 5 12 週間投与におけるリナグリプチン群とプラセボ群の平均空腹時血糖

(mg/dL)の推移(平均値±標準誤差)(FAS12-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 11.4.1.2.2.1: 1 より作成

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503

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投与 12 週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量は,リナグリプチン 5 mg 群,

10 mg 群およびプラセボ群で,それぞれ−12.3 mg/dL,−13.0 mg/dL および 7.4 mg であった。リ

ナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のプラセボ群に対する調整平均変化量の差は,それぞれ−19.7

mg/dL および−20.4 mg/dL であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:いず

れも p<0.0001)(表 4.9: 15)。

表 4.9: 15 投与 12 週における空腹時血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均変化

量(FAS12-LOCF)

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Placebo Number of patients 159 160 80 Number of patients with baseline and on-treatment results

159 160 80

Baseline Mean (SE) 163.3 ( 2.5) 165.0 ( 2.7) 161.7 ( 3.4) Change from baseline Mean (SE) -14.9 ( 1.9) -16.1 ( 1.7) 5.5 ( 2.7) Adjusteda) mean (SE) -12.3 ( 1.9) -13.0 ( 1.9) 7.4 ( 2.5) Comparison vs. placebo (difference: Linagliptin - Placebo)

Adjusteda) mean (SE) -19.7 ( 2.9) -20.4 ( 2.9) 95% confidence interval (-25.4, -14.0) (-26.2, -14.7) p-value <0.0001 <0.0001

a) ANCOVA:薬剤,ベースライン空腹時血糖,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.2.1: 2 より作成

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504

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• 投与 26 週におけるリナグリプチン群とボグリボース群の空腹時血糖

26 週間投与における平均空腹時血糖の推移(LOCF)を図 4.9: 6 に示した。投与 4 週で平均空

腹時血糖はリナグリプチン 5 mg 群(163.3 mg/dL から 148.3 mg/dL)および 10 mg 群(165.0 mg/dL

から 145.7 mg/dL)で低下し,投与 18 週まで維持され,その後投与 26 週までやや上昇した。ボ

グリボース群の平均空腹時血糖は投与 4 週でベースラインからわずかに低下し(163.1 mg/dL か

ら 160.5 mg/dL),その後投与 26 週まで維持した(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.2.2:

1)。

140

145

150

155

160

165

170

Treatment duration

FPG

(mg/

dL) m

ean

(SE)

ove

r tim

e

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose

Baselineweek 4 week 8 week 12 week 18 week 26week 2 week 22week 14

図 4.9: 6 26 週間投与におけるリナグリプチン群とボグリボース群の平均空腹時血糖

(mg/dL)±SE の推移(FAS26-LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 11.4.1.2.2.2: 1 より作成

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505

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投与 26 週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量は,リナグリプチン 5 mg 群,

10 mg 群およびボグリボース群で,それぞれ−5.0,−7.8 および 2.0 mg/dL であった。リナグリプ

チン 5 mg 群,10 mg 群のボグリボース群に対する調整平均変化量の差は,それぞれ−6.9 および

−9.8 mg/dL であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:リナグリプチン 5 mg

群:p=0.0239,リナグリプチン 10 mg 群:p=0.0015)(表 4.9: 16)。

表 4.9: 16 投与 26 週におけるリナグリプチン群とボグリボース群の空腹時血糖

(mg/dL)のベースラインからの調整平均変化量(FAS26-LOCF)

Linagliptin 5 mg Linagliptin10 mg Voglibose Number of patients 159 160 162 Number of patients with baseline and on-treatment results

159 160 162

Baseline Mean (SE) 163.3 ( 2.5) 165.0 ( 2.7) 163.1 ( 2.5) Change from baseline Mean (SE) -9.1 ( 2.4) -12.4 ( 1.9) -1.9 ( 2.5) Adjusted1) mean (SE) -5.0 ( 2.4) -7.8 ( 2.4) 2.0 ( 2.4) Comparison vs. voglibose (difference: Linagliptin - Voglibose)

Adjusted1) mean (SE) -6.9 ( 3.1) -9.8 ( 3.1) 95% confidence interval (-13.0, -0.9) (-15.8, -3.8) p-value 0.0239 0.0015

1) ANCOVA:薬剤,ベースライン空腹時血糖,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.2.2: 2 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

506

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• 投与 52 週における空腹時血糖

二重盲検治療期前期をリナグリプチンで開始したリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群

(FASLI-LOCF)の 52 週間投与における平均空腹時血糖の推移を図 4.9: 7 に示した。両群とも

ほぼ同様の推移を示した。リナグリプチンで投与を開始したリナグリプチン 5 mg 群および 10

mg 群(FASLI)の投与 52 週後の空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)は,

それぞれ−3.2 mg/dL および−5.9 mg/dL であった。

140

145

150

155

160

165

170

Treatment duration (Week)

FPG

(mg/

dL) m

ean

(SE)

ove

r tim

e

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

BL 2 4 8 12 14 18 22 26 28 40 52

図 4.9: 7 52 週間投与におけるリナグリプチン 5 mg 群およびリナグリプチン 10 mg 群

(リナグリプチン 1 年投与)の平均空腹時血糖(mg/dL)±SE の推移

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 11.4.1.2.2.3: 1 より作成

DPP-4 阻害率

• 投与 12 週における DPP-4 阻害率

投与 12 週後の DPP-4 阻害率の中央値(OC)は,リナグリプチン 5 mg 群で 81.4%,リナグリプ

チン 10 mg 群で 88.0%であった。なお,プラセボ群の中央値は 4.5%であった。また,投与 12

週後の 80%以上の DPP-4 阻害率がみられた患者の割合は,リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg

群で,それぞれ 59.1%(91/154 例)および 90.3%(140/155 例)であり,その割合はリナグ

リプチン 10 mg 群が高かった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.3.2: 1)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

507

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• 投与 26 週における DPP-4 阻害率

投与 26 週後の DPP-4 阻害率の中央値(OC)は,リナグリプチン 5 mg 群で 80.9%,リナグリプ

チン 10 mg 群で 87.6%であった。なお,ボグリボース群の中央値は 10.2%であった。また,投

与 26 週後の 80%以上の DPP-4 阻害率がみられた患者の割合は,リナグリプチン 5 mg 群および

10 mg 群で,それぞれ 53.1%(78/147 例)および 91.2%(135/148 例)であった。なお,ボグ

リボース群では 80%以上の DPP-4 阻害率がみられた患者はいなかった(CTD 5.3.5.1-9,試験

1218.23,Table 11.4.1.2.3.4: 1)。

• 投与 52 週における DPP-4 阻害率

投与 52 週の DPP-4 阻害率の中央値(OC)は,リナグリプチンで投与を開始したリナグリプチ

ン 5 mg 群および 10 mg 群で,それぞれ 84.5%および 89.7%であった。投与 52 週後の 80%以上

の DPP-4 阻害率がみられた患者の割合は,リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群で,それぞ

れ 78.2%(104/133 例)および 96.2%(127/132 例)であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,

Table 11.4.1.2.3.6: 1)。

グリコアルブミン

• 投与 12 週におけるリナグリプチン群とプラセボ群のグリコアルブミン

投与 12 週後のグリコアルブミンのベースラインからの調整平均変化量(LOCF)はリナグリプ

チン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で,それぞれ−1.46%,−1.14%および 2.22%であった。

リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のプラセボ群に対する調整平均変化量(LOCF)の差は,そ

れぞれ−3.68%および−3.36%であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:い

ずれも,p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.5.1: 1)。

• 投与 26 週におけるリナグリプチン群とボグリボース群のグリコアルブミン

投与 26 週後のグリコアルブミンのベースラインからの調整平均変化量(LOCF)はリナグリプ

チン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,それぞれ−1.09%,−1. 17%および 0.41%であ

った。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のボグリボース群に対する調整平均変化量の差は,そ

れぞれ−1.50%および−1.58%であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:い

ずれも,p<0.0001)(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.5.2: 1)。

• 投与 52 週におけるグリコアルブミン

二重盲検治療期前期をリナグリプチンで開始したリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の投

与 52 週後のベースラインからのグリコアルブミンの調整平均変化量(LOCF)は,それぞれ−

0.88%および−0.81%であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.5.3: 1)。

プロインスリン/インスリン比

• 投与 12 週におけるリナグリプチン群とプラセボ群のプロインスリン/インスリン比

プロインスリン/インスリン比のベースラインの平均値は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群

およびプラセボ群で,それぞれ 0.27,0.23 および 0.22 であり,投与 12 週後のベースラインか

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

508

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らの調整平均変化量(OC)は,それぞれ−0.04,−0.07 および 0.05 あった。リナグリプチン 5 mg

群,10 mg 群のプラセボ群に対する調整平均変化量(OC)の差は,それぞれ−0.08(ANCOVA:

p=0.0065)および−0.12(ANCOVA:p=0.0004)であり,いずれも統計学的に有意な差が認めら

れた(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.6.1: 1)。

• 投与 26 週におけるリナグリプチン群とボグリボース群のプロインスリン/インスリン比

プロインスリン/インスリン比のベースラインの平均値は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群

およびボグリボース群で,それぞれ 0.29,0.24 および 0.24 であり,投与 26 週後ベースライン

からの調整平均変化量(OC)は,それぞれ−0.06,−0.06 および 0.03 あった。リナグリプチン 5

mg 群,10 mg 群のボグリボース群に対する調整平均変化量(OC)の差は,それぞれ−0.09 およ

び−0.09であり,いずれも統計学的に有意な差が認められた(ANCOVA:いずれも p=0.0009)(CTD

5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.6.2: 1)。

• 投与 52 週におけるプロインスリン/インスリン比

二重盲検治療期前期をリナグリプチンで開始したリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群

(FASLI)の投与 52 週後のプロインスリン/インスリン比のベースラインからの調整平均変化

量(OC)は,いずれも−0.07 であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.6.3: 1)。

体重,BMI およびウエスト周囲径

• 投与 12 週におけるリナグリプチン群とプラセボ群の体重,BMI およびウエスト周囲径,

体重のベースラインの平均値はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で,それぞ

れ 64.61,66.28 および 65.31 kg であり,投与 12 週後のベースラインからの調整平均変化量

(LOCF)は,それぞれ−0.06,−0.04 および−0.39 kg あった。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群

のプラセボ群に対する調整平均変化量(LOCF)の差に,いずれも統計学的に有意な差はなか

った(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.7.1: 1)。

BMI のベースラインの平均値はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で,それぞ

れ 24.58,25.01 および 24.33 kg/m2 であり,投与 12 週後のベースラインからの調整平均変化量

(LOCF)は,それぞれ−0.02,−0.01 および−0.13 kg/m2 あった。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg

群のプラセボ群に対する調整平均変化量(LOCF)の差に,いずれも統計学的に有意な差はな

かった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.8.1: 1)。

ウエスト周囲径のベースラインの平均値はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群

で,それぞれ 87.19,88.55 および 86.77 cm であり,投与 12 週後のベースラインからの調整平

均変化量(LOCF)は,それぞれ−0.00,−0.19 および−0.50 kg あった。リナグリプチン 5 mg 群,

10 mg 群のプラセボ群に対する調整平均変化量(LOCF)の差に,いずれも統計学的に有意な差

はみられなかった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.9.1: 1)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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• 投与 26 週におけるリナグリプチン群とボグリボース群の体重,BMI およびウエスト周囲

体重のベースラインの平均値はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,そ

れぞれ 64.61,66.28 および 69.36 kg であった。投与 26 週後のベースラインからの調整平均変

化量(LOCF)は,それぞれ−0.16,−0.01 および−1.04 kg であり,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg

群のボグリボース群に対する調整平均変化量(LOCF)の差は 0.88 kg(ANCOVA:p=0.0002),

および 1.03 kg(ANCOVA:p<0.0001)であった。(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.4.1.2.7.2:

1)。

BMI,ウエスト周囲径においても投与 26 週後のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)

において,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群とボグリボース群の間に統計学的に有意な差が認

められた。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のボグリボース群に対する調整平均変化量(LOCF)

の差は,BMIがそれぞれ 0.34 kg/m2(ANCOVA:p=0.0001)および 0.39 kg/m2(ANCOVA:p<0.0001),

ウェスト周囲径がそれぞれ 0.92 cm(ANCOVA:p=0.0067)および 1.02 cm(ANCOVA:p=0.0026)

であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Tables 11.4.1.2.8.2: 1,11.4.1.2.9.2: 1)。

• 投与 52 週における体重,BMI およびウエスト周囲径

二重盲検治療期前期をリナグリプチンで開始したリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の投

与 52 週後のベースラインからの調整平均変化量(LOCF)は,体重がそれぞれ−0.11 および−007

kg,BMI が−0.04 および−0.03 kg/m2,ウエスト周囲径が−0.14 および 0.01 cm とわずかな変動で

あった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Tables 11.4.1.2.7.3: 1,11.4.1.2.8.3: 1,11.4.1.2.9.3: 1)。

脂質パラメータ(総コレステロール,HDL コレステロール,LDL コレステロールおよびトリグ

リセリド)

• 投与 12 週におけるリナグリプチン群とプラセボ群の脂質パラメータ

投与 12 週後の各脂質パラメータのベースラインからの調整平均変化量(OC)において,リナ

グリプチン 5 mg 群,10 mg 群とプラセボ群間に統計学的に有意な差はみられなかった。

• 投与 26 週におけるリナグリプチン群とボグリボース群の脂質パラメータ

投与 26 週後のリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の総コレステロールの調整平均のベース

ラインからの変動はわずかで(それぞれ,0.9 mg/dL および 1.0 mg/dL),ボグリボース群ではや

や増加(6.5 mg/dL)した。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のボグリボース群に対する調整平

均変化量(OC)の差は,それぞれ−5.6 mg/dL(ANCOVA:p=0.0381)および−5.5 mg/dL(ANCOVA:

p=0.0425)で,いずれも統計学的に有意な差がみられた(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Tables

11.4.1.2.10.2: 1)。LDL コレステロールも同様に,リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の調

整平均(OC)のベースラインからの変動はわずかで(それぞれ,0.4 mg/dL および 0.7 mg/dL)

で,ボグリボース群では増加(7.0 mg/dL)した。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群のボグリボ

ース群に対する調整平均変化量(OC)の差は,それぞれ−6.5 mg/dL(ANCOVA:p=0.0053)お

よび−6.3 mg/dL(ANCOVA:p=0.0075)で,いずれも統計学的に有意な差がみられた(CTD 5.3.5.1-9,

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

510

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試験 1218.23,Tables 11.4.1.2.12.2: 1)。HDL コレステロールおよびトリグリセリドではリナグリ

プチン 5 mg 群,10 mg 群とボグリボース群の間に統計学的に有意な差は認められなかった。

• 投与 52 週における脂質パラメータ

二重盲検治療期前期をリナグリプチンで開始したリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の投

与 52 週後の脂質パラメータのベースラインからの調整平均変化量(OC)の変動はわずかであ

った。

糖尿病治療満足度質問表(DTSQ)スコア

治療満足度を評価する 6 項目と,高血糖および低血糖症の自覚頻度を評価する 2 項目からなる

DTSQ を用いて患者の糖尿病治療満足度について調査した。

投与 12 週後のリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群とプラセボ群の総スコアの調整平均(OC)の

変動において,いずれも統計学的に有意な差はみられなかった。投与 26 週後のリナグリプチン

5 mg 群,10 mg 群とボグリボース群の間においても同様にいずれも統計学的に有意な差はみら

れなかった。

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(3) 臨床薬理

(a) 薬物動態

リナグリプチン反復経口投与後の平均トラフ時血漿中濃度の推移を図 4.9: 8 に示した。リナグ

リプチンのトラフ時血漿中濃度は 26 週間投与を通してほぼ一定であった。また,リナグリプチ

ン 5 mg と 10 mg で,トラフ時血漿中濃度の増加は用量比以下であり,5 mg と 10 mg で用量比

が 2 倍であるのに対しトラフ時血漿中濃度の増加は 1.2~1.3 倍であった。

Time after the first administration of linagliptin [weeks]

4 6 12 14 18 26

Lina

glip

tin tr

ough

pla

sma

conc

. [nm

ol/L

]

0

2

4

6

8

10

12

14

16

5 mg (N=158/34/153/33/155/147)10 mg (N=156/37/155/38/149/149)

図 4.9: 8 リナグリプチン反復経口投与後のトラフ時血漿中濃度の平均値(±SD)の推

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Figure 11.5.2: 1 より作成

リナグリプチンのトラフ時血漿中濃度の影響因子別の記述統計量を表 4.9: 17 に示した。リナグ

リプチンのトラフ時血漿中濃度は,軽度腎機能障害患者で 5~11%,中等度腎機能障害患者で

19~21%(リナグリプチン 5 mg 投与での eCcr を除く)増加した。P-糖蛋白阻害剤または CYP3A4

阻害剤との併用例は少数(N<10)であり,併用によりリナグリプチンのトラフ時血漿中濃度が

増加する明らかな傾向はみられなかった。性別による差はわずかで,トラフ時血漿中濃度は女

性の方が男性よりも約 9~16%高かった。

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表 4.9: 17 リナグリプチンのトラフ時血漿中濃度(nM)の影響因子別の記述統計量

Covariate [unit] Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

N gMean gCV(%) N gMean gCV(%)

eGFR (MDRD) ≥90 (normal) 571 6.89 (30.9) 565 8.49 (31.3)

[mL/min] 60 to <90 (mild) 95 7.35 (28.2) 111 8.94 (24.9)

30 to <60 (moderate) 14 8.23 (21.8) 8 10.1 (14.9)

eCcr ≥80 (normal) 494 6.83 (31.3) 454 8.25 (32.2)

[mL/min] 50 to <80 (mild) 172 7.18 (25.3) 210 9.19 (25.0)

30 to <50 (moderate) 14 10.3 (29.8) 20 10.0 (14.8)

P-gp inhibitors Without use 138 7.09 (26.7) 139 8.75 (33.5)

(Week 26) Intermittent use 7 7.90 (24.5) 8 7.51 (23.6)

Throughout use 2 7.00 (7.48) 2 10.3 (6.15)

CYP3A4 inhibitors Without use 137 7.10 (26.8) 138 8.77 (33.6)

(Week 26) Intermittent use 7 7.90 (24.5) 9 7.44 (22.2)

Throughout use 3 6.61 (11.3) 2 10.3 (6.15)

P-gp inhibitors or CYP3A4 inhibitors

Without use 137 7.10 (26.8) 138 8.77 (33.6)

(Week 26) Intermittent use 7 7.90 (24.5) 9 7.44 (22.2)

Throughout use 3 6.61 (11.3) 2 10.3 (6.15)

Sex Male 483 6.68 (28.3) 489 8.35 (31.4)

Female 209 7.73 (32.7) 200 9.14 (26.0)

Age <65 418 6.57 (31.1) 421 8.18 (29.9)

[years] ≥65 274 7.66 (26.9) 268 9.22 (29.0)

略語:gMean=幾何平均値,gCV=幾何変動係数,N=解析対象例数,eGFR=糸球体濾過率の予測値,eCcr=クレ

アチニンクリアランスの予測値,MDRD=modification of diet in renal disease,P-gp=P-糖蛋白

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 11.5.2: 2 および Appendix 16.2.5, Listing 4, 5 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

プラセボと比較した 12 週間投与の曝露状況

159 例にリナグリプチン 5 mg/日,160 例にリナグリプチン 10 mg/日および 80 例にプラセボが

投与された。治験薬の平均曝露期間はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群でそ

れぞれ 83.6,82.5 および 81.1 日であり,中央値はいずれの群も 84.0 日であった(CTD 5.3.5.1-9,

試験 1218.23,Tables 12.1.1: 1)。

ボグリボースと比較した 26 週間投与の曝露状況

159 例にリナグリプチン 5 mg/日,160 例にリナグリプチン 10 mg/日および 162 例にボグリボー

スが投与された。治験薬の平均曝露期間はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボー

ス群でそれぞれ 179.3,175.4 および 175.7 日であり,中央値はいずれの群も 182 日であった(CTD

5.3.5.1-9,試験 1218.23,Tables 12.1.2: 1)。

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リナグリプチン 5 mg と 10 mg の 52 週投与の曝露状況

計 266 例にリナグリプチン 5 mg/日,計 274 例にリナグリプチン 10 mg/日が投与された。リナ

グリプチン 5 mg および 10 mg の平均曝露期間は 289.2 日および 286.4 日で,中央値はいずれも

357 日であった。治験薬の曝露期間が 358 日以上の患者は,リナグリプチン 5 mg が 122 例,リ

ナグリプチン 10 mg が 117 例であった(CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Tables 12.1.3: 1)。

(b) 有害事象

本試験では,治験薬の 初の投与から 終投与後 7 日まで(治験薬が変更された場合は 終投

与日まで)に発現した好ましくない事象を治験期間中に発現した有害事象として集計した。治

療期治験薬の投与開始前および 終投与後 7 日以降に発現した好ましくない事象をそれぞれ,

治療期前および後観察期に発現した有害事象として集計した。

有害事象の概要

• 12 週間投与におけるリナグリプチンとプラセボとの比較

12 週間投与における有害事象および重篤な有害事象の発現率は 3 群でほぼ同じであった(表

4.9: 18)。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群の有害事象の発現頻度はそれぞ

れ 56.0,53.1 および 56.3%,治験薬との因果関係ありと判定された有害事象の発現率は 9.4,8.8

および 10.0%であった。高度の有害事象はリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群の各 1 例

(0.6%)に発現した。治験中止に至った有害事象はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプ

ラセボ群で,それぞれ 3 例(1.9%),4 例(2.5%)および 7 例(8.8%)にみられ,重篤な有害事

象は,それぞれ 1 例(0.6%),4 例(2.5%)および 1 例(1.3%)に発現した。その他の重要な有

害事象は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群でそれぞれ 2 例(1.3%),3 例

(1.9%)および 7 例(8.8%)にみられた。なお,治験実施計画書で規定した重要な有害事象,

致死的有害事象および生命を脅かす有害事象はなかった。

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表 4.9: 18 12 週間投与における有害事象の概略(TS12)

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Placebo N (%) N (%) N (%)

Number of patients 159 (100.0) 160 (100.0) 80 (100.0) Patients with any AE 89 ( 56.0) 85 ( 53.1) 45 ( 56.3) Patients with severe AEs 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) Patients with investigator defined drug-related AEs 15 ( 9.4) 14 ( 8.8) 8 ( 10.0) Patients with significant AEs (protocol-specified events)a) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) Patients with other significant AEs (according to ICH E3) 2 ( 1.3) 3 ( 1.9) 7 ( 8.8) Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 3 ( 1.9) 4 ( 2.5) 7 ( 8.8) Patients with serious AEs 1 ( 0.6) 4 ( 2.5) 1 ( 1.3)

Fatal 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) Immediate life-threatening 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) Disability/incapability 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) Required hospitalisation 1 ( 0.6) 4 ( 2.5) 1 ( 1.3) Prolonged hospitalisation 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) Congenital anomaly 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) Other 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

略語:AE=有害事象,SAE=重篤な有害事象 a)治験担当医師の報告に基づく過敏性反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇 引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.1.1: 1 より作成

• 26 週間投与におけるリナグリプチンとボグリボースとの比較

26 週間投与における有害事象および重篤な有害事象の発現率は 3 群でほぼ同じであった(表

4.9: 19)。リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群の有害事象の発現頻度は,

それぞれ 72.3,77.5 および 71.6%,治験薬との因果関係ありと判定された有害事象の発現率は

11.3,10.6 および 18.5%であった。高度の有害事象は各群の各 1 例(0.6%)に発現した。治験

中止に至った有害事象はリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,それぞれ

4 例(2.5%),7 例(4.4%)および 12 例(7.4%)にみられ,重篤な有害事象は,それぞれ 5 例

(3.1%),8 例(5.0%)および 7 例(4.3%)に発現した。その他の重要な有害事象は,リナグリ

プチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群でそれぞれ 2 例(1.3%),6 例(3.8%)および

10 例(6.2%)にみられた。なお,治験実施計画書で規定した重要な有害事象,致死的有害事

象および生命を脅かす有害事象の発現はなかった。

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表 4.9: 19 26 週間投与における有害事象の概略(TS26)

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose

N (%) N N (%) N

Number of patients 159 (100.0) 160 (100.0) 162 (100.0)

Patients with any AE 115 ( 72.3) 124 ( 77.5) 116 ( 71.6)

Patients with severe AEs 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6)

Patients with investigator defined drug-related AEs 18 ( 11.3) 17 ( 10.6) 30 ( 18.5)

Patients with significant AEs (protocol-specified events)a) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Patients with other significant AEs (according to ICH E3) 2 ( 1.3) 6 ( 3.8) 10 ( 6.2)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 4 ( 2.5) 7 ( 4.4) 12 ( 7.4)

Patients with serious AEs 5 ( 3.1) 8 ( 5.0) 7 ( 4.3)

Fatal 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Immediate life-threatening 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Disability/incapability 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Required hospitalisation 5 ( 3.1) 8 ( 5.0) 6 ( 3.7)

Prolonged hospitalisation 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Congenital anomaly 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Other 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6)

略語:AE=有害事象,SAE=重篤な有害事象

a)治験担当医師の報告に基づく過敏性反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.1.2: 1 より作成

• 52 週間投与における有害事象

52 週間投与におけるリナグリプチン 5 mg/日および 10 mg/日投与例の有害事象および重篤な有

害事象の発現率は両群でほぼ同じであった。52 週間投与におけるリナグリプチン 5 mg 群およ

び 10 mg 群の有害事象の発現率は,それぞれ 76.7 および 81.8%,治験薬との因果関係ありと判

定された有害事象の発現率は 10.2 および 10.6%であった(表 4.9: 20)。高度の有害事象は各群 3

例(1.1%)に発現した。治験中止に至った有害事象はリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群

で,それぞれ 16 例(6.0%)および 16 例(5.8%)にみられ,重篤な有害事象は,それぞれ 20

例(7.5%)および 14 例(5.1%)に発現した。治験実施計画書で規定した重要な有害事象はリ

ナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群でそれぞれ 2 例(0.8%)および 3 例(1.1%)にみられ,

その他の重要な有害事象は,でそれぞれ 11 例(4.1%)および 12 例(4.4%)にみられた。なお,

致死的有害事象および生命を脅かす有害事象の発現はなかった。

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表 4.9: 20 52 週間投与における有害事象の概略(TSLI)

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

N (%) N (%)

Number of patients 266 (100.0) 274 (100.0)

Patients with any AE 204 ( 76.7) 224 ( 81.8)

Patients with severe AEs 3 ( 1.1) 3 ( 1.1)

Patients with investigator defined drug-related AEs 27 ( 10.2) 29 ( 10.6)

Patients with significant AEs (protocol-specified eventsa) 2 ( 0.8) 3 ( 1.1)

Patients with other significant AEs (according to ICH E3) 11 ( 4.1) 12 ( 4.4)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 16 ( 6.0) 16 ( 5.8)

Patients with serious AEs 20 ( 7.5) 14 ( 5.1)

Fatal 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Immediate life-threatening 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Disability/incapability 1 ( 0.4) 1 ( 0.4)

Required hospitalisation 19 ( 7.1) 14 ( 5.1)

Prolonged hospitalisation 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Congenital anomaly 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Other 5 ( 1.9) 2 ( 0.7)

略語:AE=有害事象,SAE=重篤な有害事象

a)治験担当医師の報告に基づく過敏性反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.1.3: 1 より作成

有害事象の内訳

• 12 週間投与におけるリナグリプチンとプラセボとの比較

- 12 週間投与における高頻度に発現した有害事象

12 週間投与において,いずれかの群で基本語レベルの発現率が 2%超の有害事象を表 4.9: 21 に

示した。器官別大分類では感染症および寄生虫症(リナグリプチン 5 mg 群:23.9%,10 mg 群:

20.6%,プラセボ群:15.0%)に分類される有害事象が全体で も高頻度に発現し,次いで胃腸

障害(同様に,18.2,16.3 および 13.8%)に分類される有害事象であった。DPP-4 阻害薬で危

惧される皮膚および皮下組織障害の有害事象は,リナグリプチン 5 mg 群で 13 例(8.2%),リ

ナグリプチン 10 mg 群で 9 例(5.6%)に発現した。なお,プラセボ群では 2 例(2.5%)にみら

れた。

基本語で全体として も高頻度に発現した有害事象は鼻咽頭炎であり,その発現率はリナグリ

プチン 5 mg 群で 16.4%,10mg 群で 12.5%,プラセボ群では 12.5%であった。

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表 4.9: 21 12 週間投与において発現した主な有害事象(いずれかの群で発現頻度 2%超)

(TS12)

器官別大分類/基本語 a) Linagliptin

5 mg

Linagliptin

10 mg Placebo

N (%) N (%) N (%)

例数 159 (100.0) 160 (100.0) 80 (100.0)

有害事象発現例数 89 ( 56.0) 85 ( 53.1) 45 ( 56.3)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 38 ( 23.9) 33 ( 20.6) 12 ( 15.0)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 26 ( 16.4) 20 ( 12.5) 10 ( 12.5)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 4 ( 2.5) 4 ( 2.5) 7 ( 8.8)

糖尿病 (Diabetes mellitus) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 4 ( 5.0)

高血糖 (Hyperglycaemia) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 3 ( 3.8)

神経系障害 (Nervous system disorders) 9 ( 5.7) 10 ( 6.3) 4 ( 5.0)

頭痛 (Headache) 2 ( 1.3) 2 ( 1.3) 2 ( 2.5)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 29 ( 18.2) 26 ( 16.3) 11 ( 13.8)

便秘 (Constipation) 9 ( 5.7) 5 ( 3.1) 5 ( 6.3)

鼓腸 (Flatulence) 3 ( 1.9) 6 ( 3.8) 1 ( 1.3)

腹部膨満 (Abdominal distension) 5 ( 3.1) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0)

下痢 (Diarrhoea) 4 ( 2.5) 3 ( 1.9) 1 ( 1.3)

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 13 ( 8.2) 9 ( 5.6) 2 ( 2.5)

接触性皮膚炎 (Dermatitis contact) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 2.5)

発疹 (Rash) 4 ( 2.5) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 10 ( 6.3) 15 ( 9.4) 8 ( 10.0)

背部痛 (Back pain) 3 ( 1.9) 7 ( 4.4) 2 ( 2.5)

四肢痛 (Pain in extremity) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 2.5)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.1: 1

- 12 週間投与における重症度別有害事象

高度の有害事象はリナグリプチン 5 mg 群の 1 例(胆管結石・胆管炎)および 10 mg 群の 1 例

(痔核)にみられた。

- 12 週間投与における治験薬と因果関係のある有害事象

12 週間投与において治験薬との因果関係ありと判定された有害事象を表 4.9: 22 に示した。治

験薬と因果関係がある有害事象の発現率はリナグリプチン群とプラセボ群でほぼ同じであった。

器官別大分類では胃腸障害に分類される因果関係がある有害事象が多く,基本語で発現率がい

ずれかの群で 2%超の治験薬と因果関係がある有害事象は,便秘(リナグリプチン 5 mg 群:3.1%,

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10 mg 群:1.9%,プラセボ群:3.8%),腹部膨満(同様に,3.1,0.6 および 0.0%)および鼓腸

(1.9,3.1 および 1.3%)であった。

表 4.9: 22 12 週間投与における治験薬と因果関係のある有害事象(TS12)

器官別大分類/基本語 a) Linagliptin 5 mg

Linagliptin 10 mg Placebo

N (%) N (%) N (%) 例数 159 (100.0) 160 (100.0) 80 (100.0) 治験薬と因果関係のある有害事象発現例 15 ( 9.4) 14 ( 8.8) 8 ( 10.0) 感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 2 ( 1.3) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) せつ (Furuncle) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) トリコフィトン感染症 (Trichophytosis) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 血液およびリンパ系障害 (Blood and lymphatic system disorders) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0)

鉄欠乏性貧血 (Iron deficiency anaemia) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 赤血球増加症 (Polycythaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 1 ( 1.3) 高血糖 (Hyperglycaemia) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.3) 高アミラーゼ血症 (Hyperamylasaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 高リパーゼ血症 (Hyperlipasaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 耳および迷路障害 (Ear and labyrinth disorders) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 2 ( 2.5) 突発難聴 (Sudden hearing loss) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.3) 回転性めまい (Vertigo) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 1 ( 1.3) 耳鳴 (Tinnitus) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 血管障害 (Vascular disorders) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.3) 高血圧 (Hypertension) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 1.3) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 11 ( 6.9) 10 ( 6.3) 4 ( 5.0) 便秘 (Constipation) 5 ( 3.1) 3 ( 1.9) 3 ( 3.8) 腹部膨満 (Abdominal distension) 5 ( 3.1) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 鼓腸 (Flatulence) 3 ( 1.9) 5 ( 3.1) 1 ( 1.3) 腹部不快感 (Abdominal discomfort) 0 ( 0.0) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0) 下痢 (Diarrhoea) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 消化不良 (Dyspepsia) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 硬便 (Faeces hard) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 排便回数増加 (Frequent bowel movements) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

そう痒症 (Pruritus) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 頻尿 (Pollakiuria) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0)

皮膚裂傷 (Skin laceration) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.1: 2 より作成

- 12 週間投与における治験中止に至った有害事象

リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で,投与 12 週までに治験中止に至った有

害事象を表 4.9: 23 に示した。リナグリプチン群の 2 例(5 mg 群および 10 mg 群の各 1 例)に

発現した胆管結石および 1 例(胆管結石発現例と同一例)で発現した胆管炎は重篤な有害事象

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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でもあった。対象疾患で危惧される糖尿病悪化または高血糖は治験中止に至る有害事象として

プラセボ群で 6 例にみられ,リナグリプチン投与例では 10 mg 群で 1 例にみられた。

表 4.9: 23 12 週間投与における治験中止に至った有害事象(TS12)

Patient No.

Age [years] / Sex Preferred Terma) Start

day Duration

[days] Intensity Outcome Remark

Treatment at onset: Linagliptin 5 mg 10821 68/F 歯周病 (Periodontal disease) 34 56 Mild Rcver - 11427 70/M 回転性めまい (Vertigo) 73 12 Moderate Rcver Drug-related 13117 66/M 胆管結石 (Bile duct stone) 63 27 Severe Rcver SAEb) 胆管炎 (Cholangitis) 63 27 Severe Rcver SAEb) Treatment at onset: Linagliptin 10 mg 10507 45/M 赤血球増加症 (Polycythaemia) 29 246c) Mild Nrec Drug-related 11302 39/F 高血糖 (Hyperglycaemia) 1 376 Moderate Nrec& - 12605 67/M 下痢 (Diarrhoea) 14 8 Mild Rcver - 14702 70/M 胆管結石 (Bile duct stone) 17 14 Moderate Rcver SAEb) Treatment at onset: Placebo 10704 53/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 29 85 Moderate Rcver - 10709 67/F 糖尿病 (Diabetes mellitus) 29 183 Moderate Rcver - 11005 70/M 突発難聴

(Sudden hearing loss) 44 15 Moderate Rcver Drug-related

12208 68/M 高血糖 (Hyperglycaemia) 1 51 Mild Rcver - 13701 57/F 糖尿病 (Diabetes mellitus) 26 92 Mild Rcver - 13807 55/M 高血糖 (Hyperglycaemia) 29 36 Moderate Rcver Drug-related 14604 71/F 糖尿病 (Diabetes mellitus) 15 92 Mild Rcver -

略語:M=男性,F=女性,Nrec=未回復,Rcver=回復,&=追跡終了,SAE=重篤な有害事象

a)MedDRA version

b)入院を要した有害事象

c)データ一部不明または不明な日時データを補完

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.1: 3 より作成

- 12 週間投与における低血糖イベントの発現

12 週間投与において,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群で治験担当医師の

判定による低血糖イベントの発現例はなかった。

• 26 週間投与におけるリナグリプチンとボグリボースとの比較

- 26 週間投与における高頻度に発現した有害事象

26 週間投与において,基本語で発現率がいずれかの群で 2%超の有害事象を表 4.9: 24 に示した。

器官別大分類では感染症および寄生虫症(リナグリプチン 5 mg 群:44.4%,10 mg 群:36.3%,

ボグリボース群:34.6%)に分類される有害事象が全体で も高頻度に発現し,次いで胃腸障

害(同様に,30.2,23.8 および 30.2%)に分類される有害事象であった。DPP-4 阻害薬で危惧

される皮膚および皮下組織障害の有害事象は,リナグリプチン 5 mg 群で 22 例(13.8%),リナ

グリプチン 10 mg 群で 13 例(8.1%)に発現した。なお,ボグリボース群では 7 例(4.3%)に

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

520

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みられた。いずれかの群の発現率が 5%超で,リナグリプチンのいずれかの群の発現率がボグ

リボース群の 2 倍以上であった有害事象は器官別大分類で,呼吸器,胸郭および縦隔障害,お

よび皮膚および皮下組織障害であった。基本語で全体として も高頻度に発現した有害事象は

鼻咽頭炎であり,その発現率はリナグリプチン 5 mg 群で 28.9%,10mg 群で 24.4%,ボグリボ

ース群では 22.2%であった。

表 4.9: 24 26 週間投与において発現した主な有害事象(いずれかの群で発現頻度 2%超)

(TS26)

器官別大分類/基本語 a) Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose N (%) N (%) N (%) 例数 159 (100.0) 160 (100.0) 162 (100.0) 有害事象発現例数 115 ( 72.3) 124 ( 77.5) 116 ( 71.6) 感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 70 ( 44.0) 58 ( 36.3) 56 ( 34.6) 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 46 ( 28.9) 39 ( 24.4) 36 ( 22.2) 気管支炎 (Bronchitis) 5 ( 3.1) 3 ( 1.9) 4 ( 2.5) 膀胱炎 (Cystitis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 4 ( 2.5) 胃腸炎 (Gastroenteritis) 4 ( 2.5) 3 ( 1.9) 2 ( 1.2) 帯状疱疹 (Herpes zoster) 4 ( 2.5) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 7 ( 4.4) 12 ( 7.5) 14 ( 8.6) 糖尿病 (Diabetes mellitus) 1 ( 0.6) 4 ( 2.5) 7 ( 4.3) 高尿酸血症 (Hyperuricaemia) 0 ( 0.0) 4 ( 2.5) 0 ( 0.0) 神経系障害 (Nervous system disorders) 17 ( 10.7) 15 ( 9.4) 16 ( 9.9) 浮動性めまい (Dizziness) 2 ( 1.3) 2 ( 1.3) 4 ( 2.5) 頭痛 (Headache) 3 ( 1.9) 2 ( 1.3) 4 ( 2.5) 呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders) 9 ( 5.7) 10 ( 6.3) 5 ( 3.1)

上気道の炎症 (Upper respiratory tract inflammation) 5 ( 3.1) 5 ( 3.1) 2 ( 1.2) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 48 ( 30.2) 38 ( 23.8) 49 ( 30.2) 下痢 (Diarrhoea) 9 ( 5.7) 5 ( 3.1) 15 ( 9.3) 便秘 (Constipation) 10 ( 6.3) 9 ( 5.6) 5 ( 3.1) 鼓腸 (Flatulence) 4 ( 2.5) 7 ( 4.4) 10 ( 6.2) 腹部膨満 (Abdominal distension) 6 ( 3.8) 3 ( 1.9) 7 ( 4.3) 消化不良 (Dyspepsia) 5 ( 3.1) 0 ( 0.0) 4 ( 2.5) 腹部不快感 (Abdominal discomfort) 1 ( 0.6) 4 ( 2.5) 2 ( 1.2) 齲歯 (Dental caries) 2 ( 1.3) 3 ( 1.9) 4 ( 2.5) 胃炎 (Gastritis) 4 ( 2.5) 1 ( 0.6) 2 ( 1.2) 歯周炎 (Periodontitis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 4 ( 2.5) 皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 22 ( 13.8) 13 ( 8.1) 7 ( 4.3)

発疹 (Rash) 6 ( 3.8) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 湿疹 (Eczema) 5 ( 3.1) 5 ( 3.1) 2 ( 1.2) そう痒症 (Pruritus) 4 ( 2.5) 4 ( 2.5) 0 ( 0.0) 筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 19 ( 11.9) 24 ( 15.0) 14 ( 8.6)

背部痛 (Back pain) 8 ( 5.0) 9 ( 5.6) 6 ( 3.7) 筋肉痛 (Myalgia) 2 ( 1.3) 4 ( 2.5) 1 ( 0.6)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.2: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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- 26 週間投与における重症度別有害事象

高度の有害事象は前述の 12 週間投与におけるリナグリプチン群の 2 例(胆管結石・胆管炎およ

び痔核),およびボグリボース群の 1 例(糖尿病)にみられた。

- 26 週間投与における治験薬と因果関係のある有害事象

26 週間投与において治験薬との因果関係ありと判定された有害事象を表 4.9: 25 に示した。治

験薬と因果関係がある有害事象の発現率はリナグリプチン群がボグリボース群に比較して低か

った。器官別大分類で胃腸障害に分類される因果関係がある有害事象が多く,基本語で発現率

がいずれかの群で 2%超の治験薬と因果関係がある有害事象は,鼓腸(リナグリプチン 5 mg 群:

2.5%,10 mg 群:3.8%,ボグリボース群:6.2%),下痢(同様に,0.6,0.0 および 5.6%),腹部

膨満(3.1,1.3 および 3.7%)および便秘(3.1,1.9 および 0.0%)であった。

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表 4.9: 25 26 週間投与における治験薬と因果関係のある有害事象(TS26)

器官別大分類/基本語 a) Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose N (%) N (%) N (%) 例数 159 (100.0) 160 (100.0) 162 (100.0) 治験薬と因果関係のある有害事象発現例 18 ( 11.3) 17 ( 10.6) 30 ( 18.5) 感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 3 ( 1.9) 1 ( 0.6) 2 ( 1.2) 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 気管支炎 (Bronchitis) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) せつ (Furuncle) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) トリコフィトン感染症 (Trichophytosis) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 腟感染 (Vaginal infection) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 血液およびリンパ系障害 (Blood and lymphatic system disorders) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 鉄欠乏性貧血 (Iron deficiency anaemia) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 赤血球増加症 (Polycythaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 2 ( 1.2) 食欲減退 (Decreased appetite) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 高アミラーゼ血症 (Hyperamylasaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 高リパーゼ血症 (Hyperlipasaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 高血糖 (Hyperglycaemia) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 神経系障害 (Nervous system disorders) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 頭痛 (Headache) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 耳および迷路障害(Ear and labyrinth disorders) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 耳鳴 (Tinnitus) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 回転性めまい (Vertigo) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 心臓障害 (Cardiac disorders) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 動悸 (Palpitations) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6)

口腔咽頭痛 (Oropharyngeal pain) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) アレルギー性鼻炎 (Rhinitis allergic) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 13 ( 8.2) 13 ( 8.1) 23 ( 14.2) 鼓腸 (Flatulence) 4 ( 2.5) 6 ( 3.8) 10 ( 6.2) 下痢 ( Diarrhoea) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 9 ( 5.6) 腹部膨満 (Abdominal distension) 5 ( 3.1) 2 ( 1.3) 6 ( 3.7) 便秘 (Constipation) 5 ( 3.1) 3 ( 1.9) 0 ( 0.0) 腹部不快感 (Abdominal discomfort) 0 ( 0.0) 2 ( 1.3) 1 ( 0.6) 消化不良 (Dyspepsia) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 硬便 (Faeces hard) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 排便回数増加 (Frequent bowel movements) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 胃炎 (Gastritis) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 悪心 (Nausea) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 肝胆道系障害 (Hepatobiliary disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 2 ( 1.2) 肝機能異常 (Hepatic function abnormal) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 肝障害 (Liver disorder) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 皮膚および皮下組織障害(Skin and subcutaneous tissue disorders) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0) 2 ( 1.2) そう痒症 (Pruritus) 2 ( 1.3) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 蕁麻疹 (Urticaria) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 2 ( 1.2) 腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0) 頻尿 (Pollakiuria) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 0 ( 0.0)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.2: 2

- 26 週間投与における治験中止に至った有害事象

リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,投与 26 週までに治験中止に至っ

た有害事象を表 4.9: 26 に示した。リナグリプチン 5 mg 群では治験中止に至った有害事象 4 例

5 事象のうち 3 例 4 事象,10 mg 群では 7 例 7 事象のうち 4 例 4 事象は投与 12 週までに治験中

止に至った有害事象である(表 4.9: 23 参照)。治験中止に至った有害事象のうち,リナグリプ

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

523

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チン 5 mg 群では 2 例 3 事象(脳出血,胆管結石・胆管炎),10 mg 群では 1 例 1 事象(胆管結

石)およびボグリボース群では 2 例 2 事象(狭心症,肺の悪性新生物)は重篤な有害事象でも

あった。

表 4.9: 26 26 週間投与における治験中止に至った有害事象(TS26)

Patient No.

Age [years] / Sex Preferred Terma) Start

day Duration

[days] Intensity Outcome Remark

Treatment at onset: Linagliptin 5 mg 10821 68/F 歯周病 (Periodontal disease) b) 34 56 Mild Rcver - 11427 70/M 回転性めまい (Vertigo)b) 73 12 Moderate Rcver Drug-related12710 68/M 脳出血 (Cerebral haemorrhage) 133 126 Moderate Seq SAEc)d) 13117 66/M 胆管結石 (Bile duct stone) b) 63 27 Severe Rcver SAEc) 胆管炎 (Cholangitis) b) 63 27 Severe Rcver SAEc) Treatment at onset: Linagliptin 10 mg 10507 45/M 赤血球増加症 (Polycythaemia) b) 29 246e) Mild Nrec Drug-related10511 70/F 糖尿病 (Diabetes mellitus) 85 32 Moderate Nrec& - 10601 65/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 85 135 Moderate Nrec& - 10610 44/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 85 99 Moderate Nrec& - 11302 39/F 高血糖 (Hyperglycaemia) b) 1 376 Moderate Nrec& - 12605 67/M 下痢 (Diarrhoea) b) 14 8 Mild Rcver - 14702 70/M 胆管結石 (Bile duct stone) b) 17 14 Moderate Rcver SAEc) Treatment at onset: Voglibose 10305 59/M 狭心症 (Angina pectoris) 117 164 Moderate Nrec& SAEc) 11101 55/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 113 113 Moderate Rcver - 11109 53/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 151 114 Mild Rcver - 11205 59/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 155 43 Mild Rcver - 11301 30/F 糖尿病 (Diabetes mellitus) 85 133 Severe Nrec& - 11520 49/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 85 85 Mild Rcver - 12504 69/M 肝障害 (Liver disorder) 85 141 Mild Rcver Drug-related13112 58/M 肺の悪性新生物

(Lung neoplasm malignant) 26 194 Moderate Nrec& SAEf)

13912 68/F 下痢 (Diarrhoea) 13 148 Mild Rcver Drug-related 悪心 (Nausea) 13 148 Mild Rcver Drug-related14003 77/F 食欲減退 (Decreased appetite) 128 9 Mild Rcver Drug-related 疲労 (Fatigue) 128 21 Mild Rcver Drug-related14104 64/F 高血糖 (Hyperglycaemia) 28 87 Moderate Rcver - 14601 65/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 29 162 Mild Rcver -

略語:M=男性,F=女性,Nrec=未回復,Rcver=回復,Seq=後遺症,&=追跡終了,SAE=重篤な有害事象

a)MedDRA version

b)投与 12 週までに治験中止に至った有害事象(表 4.9: 23 参照)

c)入院を要した有害事象

d)永続的又は重大な障害・機能不全に至った有害事象

e)データ一部不明または不明な日時データを補完

f)その他の理由による有害事象

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.2: 3 より作成

- 26 週間投与における低血糖イベントの発現

治験担当医師判定による低血糖イベントはリナグリプチン 10 mg 群で 1 例(0.6%),ボグリボ

ース群で 2 例(1.2%)に発現した(表 4.9: 27)。これら 3 例で発現した低血糖症状は高度では

なく,低血糖イベント発現時の血糖が測定されていなかった。いずれもブドウ糖,グルカゴン

投与または他の蘇生処置に他者による介助を必要としなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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Page 529: トラゼンタ錠 5mg - 医薬品医療機器総合機構...2.7.6 個々の試験のまとめ 表1 臨床試験一覧表(1/22) 試験番号 (資料番号) (U-Number) (実施国)

表 4.9: 27 26 週間投与において治験担当医師により判定された低血糖イベントを発現

した患者(TS26)

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg Voglibose

N (%) N (%) N (%)

Number of patients, N (%) 159 (100.0) 160 (100.0) 162 (100.0)

Number of patients with any investigator-defined hypoglycaemia, N (% of patients treated)a)

0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 2 ( 1.2)

Any asymptomatic hypoglycaemiab), N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemiac)and measured plasma glucose ≥54 mg/dL and ≤70 mg/dL, N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemiad)and measured plasma glucose <54 mg/dL, N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Any severe hypoglycaemic episodee), N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Number of hypoglycaemic episodes per patient, N (% of patients with hypoglycaemia)

1 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 1 ( 0.6)

2 to 3 0 ( 0.0) 1 ( 0.6) 1 ( 0.6)

≥4 0 ( 0.0) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

a)各カテゴリーまたは各イベントに重複例あり

b)低血糖症の症状を伴っていないが,血糖値 70 mg/dL 以下

c)低血糖症の症状を伴う

d)低血糖症特有の症状を伴うが,他者による介助は不要

e)ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処置に他者による介助が必要。

注)3 例において低血糖イベントの発現時に血糖値測定せず,ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処

置に他者による介助不要であった。

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.2: 4 より作成

• 52 週間投与における有害事象

- 52 週間投与における高頻度に発現した有害事象

52 週間投与において,いずれかの群で基本語レベルの発現率が 2%超の有害事象を表 4.9: 28 に

示した。器官別大分類では感染症および寄生虫症(リナグリプチン 5 mg 群:45.1%,10 mg 群:

44.5%)に分類される有害事象が全体で も高頻度に発現し,次いで胃腸障害(同様に,28.6

および 28.5%)に分類される有害事象であった。DPP-4 阻害薬で危惧される皮膚および皮下組

織障害の有害事象は,リナグリプチン 5 mg 群で 37 例(13.9%),リナグリプチン 10 mg 群で 32

例(11.7%)に発現した。基本語で全体として も高頻度に発現した有害事象は鼻咽頭炎であ

り,その発現率はリナグリプチン 5 mg 群で 31.6%,10mg 群で 29.6%であった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

525

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表 4.9: 28 52 週間投与において発現した主な有害事象(いずれかの群で発現頻度 2%超)

(TSLI)

器官別大分類/基本語 a) Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg N (%) N (%) 例数 266 (100.0) 274 (100.0) 有害事象発現例数 204 ( 76.7) 224 ( 81.8) 感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 120 ( 45.1) 122 ( 44.5) 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 84 ( 31.6) 81 ( 29.6) 気管支炎 (Bronchitis) 9 ( 3.4) 8 ( 2.9) 胃腸炎 (Gastroenteritis) 8 ( 3.0) 6 ( 2.2) 上気道感染 (Upper respiratory tract infection) 7 ( 2.6) 3 ( 1.1) インフルエンザ (Influenza) 3 ( 1.1) 6 ( 2.2) 代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 28 ( 10.5) 28 ( 10.2) 糖尿病 (Diabetes mellitus) 12 ( 4.5) 11 ( 4.0) 高脂血症 (Hyperlipidaemia) 6 ( 2.3) 3 ( 1.1) 神経系障害 (Nervous system disorders) 30 ( 11.3) 27 ( 9.9) 頭痛 (Headache) 6 ( 2.3) 4 ( 1.5) 眼障害 (Eye disorders) 19 ( 7.1) 31 ( 11.3) 白内障 (Cataract) 4 ( 1.5) 8 ( 2.9) 糖尿病性網膜症 (Diabetic retinopathy) 2 ( 0.8) 6 ( 2.2) 血管障害 (Vascular disorders) 6 ( 2.3) 7 ( 2.6) 高血圧 (Hypertension) 1 ( 0.4) 6 ( 2.2) 呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders) 21 ( 7.9) 25 ( 9.1) 上気道の炎症 (Upper respiratory tract inflammation) 12 ( 4.5) 13 ( 4.7) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 76 ( 28.6) 78 ( 28.5) 便秘 (Constipation) 12 ( 4.5) 19 ( 6.9) 下痢 ( Diarrhoea) 10 ( 3.8) 6 ( 2.2) 齲歯 (Dental caries) 8 ( 3.0) 7 ( 2.6) 鼓腸 (Flatulence) 4 ( 1.5) 8 ( 2.9) 消化不良 (Dyspepsia) 7 ( 2.6) 2 ( 0.7) 胃炎 (Gastritis) 7 ( 2.6) 3 ( 1.1) 腹部膨満 (Abdominal distension) 6 ( 2.3) 3 ( 1.1) 上腹部痛 (Abdominal pain upper) 6 ( 2.3) 6 ( 2.2) 腹部不快感 (Abdominal discomfort) 2 ( 0.8) 6 ( 2.2) 歯周炎 (Periodontitis) 2 ( 0.8) 6 ( 2.2) 皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 37 ( 13.9) 32 ( 11.7) 湿疹 (Eczema) 9 ( 3.4) 6 ( 2.2) そう痒症 (Pruritus) 5 ( 1.9) 8 ( 2.9) 発疹 (Rash) 6 ( 2.3) 6 ( 2.2) 筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 43 ( 16.2) 56 ( 20.4) 背部痛 (Back pain) 15 ( 5.6) 21 ( 7.7) 関節痛 (Arthralgia) 5 ( 1.9) 6 ( 2.2) 筋肉痛 (Myalgia) 4 ( 1.5) 6 ( 2.2) 傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications) 26 ( 9.8) 22 ( 8.0) 挫傷 (Contusion) 7 ( 2.6) 6 ( 2.2) 転倒・転落 (Fall) 7 ( 2.6) 0 ( 0.0)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.3: 1 より作成

- 52 週間投与における重症度別有害事象

高度の有害事象はリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群で各 3 例,計 6 例(リナグリプチン 5

mg 群:冠動脈閉塞,胆管結石および胆管炎,急性心筋梗塞およびうっ血性心不全,リナグリ

プチン 10 mg 群:急性冠動脈症候群,脳梗塞,痔核)にみられた。

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- 52 週間投与における治験薬と因果関係のある有害事象

52 週間投与において治験薬との因果関係ありと判定された有害事象を表 4.9: 29 に示した。器

官別大分類では胃腸障害に分類される因果関係がある有害事象が多く,基本語で発現率がいず

れかの群で 2%超の治験薬と因果関係がある有害事象は,鼓腸(リナグリプチン 5 mg 群:1.5%,

10 mg 群:2.6%)および便秘(それぞれ,1.9%および 2.2%)であった。基本語で胃腸障害以外

の有害事象のリナグリプチン 5 mg 群または 10 mg 群での発現例は 2 例以下であった。

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表 4.9: 29 52 週間投与における治験薬と因果関係のある有害事象(TSLI)

器官別大分類/基本語 a) Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg N (%) N (%)例数 266 (100.0) 274 (100.0)治験薬と因果関係のある有害事象発現例 27 ( 10.2) 29 ( 10.6)感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 4 ( 1.5) 3 ( 1.1) 鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 2 ( 0.8) 1 ( 0.4) 気管支炎 (Bronchitis) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) せつ (Furuncle) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 胃腸炎 (Gastroenteritis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) トリコフィトン感染症 (Trichophytosis) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)血液およびリンパ系障害 (Blood and lymphatic system disorders) 2 ( 0.8) 2 ( 0.7) 貧血 (Anaemia) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 鉄欠乏性貧血 (Iron deficiency anaemia) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 赤血球増加症 (Polycythaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 血小板減少症 (Thrombocytopenia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 1 ( 0.4) 1 ( 0.4) 高アミラーゼ血症 (Hyperamylasaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 高リパーゼ血症 (Hyperlipasaemia) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 高脂血症 (Hyperlipidaemia) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)神経系障害 (Nervous system disorders) 3 ( 1.1) 0 ( 0.0) 浮動性めまい (Dizziness) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 頭痛 (Headache) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 感覚鈍麻 (Hypoaesthesia) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)眼障害 (Eye disorders) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 眼瞼痙攣 (Blepharospasm) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)耳および迷路障害 (Ear and labyrinth disorders) 1 ( 0.4) 1 ( 0.4) 耳鳴 (Tinnitus) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 回転性めまい (Vertigo) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)心臓障害 (Cardiac disorders) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 心室性期外収縮 (Ventricular extrasystoles) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal

disorders) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 口腔咽頭痛 (Oropharyngeal pain) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 13 ( 4.9) 19 ( 6.9) 鼓腸 (Flatulence) 4 ( 1.5) 7 ( 2.6) 便秘 (Constipation) 5 ( 1.9) 6 ( 2.2) 腹部膨満 (Abdominal distension) 5 ( 1.9) 2 ( 0.7) 消化不良 (Dyspepsia) 2 ( 0.8) 0 ( 0.0) 腹部不快感 (Abdominal discomfort) 0 ( 0.0) 2 ( 0.7) 腹部ヘルニア (Abdominal hernia) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 腹痛 (Abdominal pain) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 下痢 (Diarrhoea) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 硬便 (Faeces hard) 1 ( 0.4) 1 ( 0.4) 排便回数増加 (Frequent bowel movements) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) びらん性胃炎 (Gastritis erosive) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 悪心 (Nausea) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 食道炎 (Oesophagitis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 逆流性食道炎 (Reflux oesophagitis) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)肝胆道系障害 (Hepatobiliary disorders) 2 ( 0.8) 1 ( 0.4) 肝機能異常 (Hepatic function abnormal) 2 ( 0.8) 0 ( 0.0) 肝障害 (Liver disorder) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 2 ( 0.8) 3 ( 1.1) そう痒症 (Pruritus) 2 ( 0.8) 0 ( 0.0) 蕁麻疹 (Urticaria) 0 ( 0.0) 2 ( 0.7) 発疹 (Rash) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 1 ( 0.4) 2 ( 0.7) 尿管結石 (Calculus ureteric) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 糖尿病性腎症 (Diabetic nephropathy) 1 ( 0.4) 0 ( 0.0) 頻尿 (Pollakiuria) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)全身障害および投与局所様態 (General disorders and

administration site conditions) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 全身性浮腫 (Generalised oedema) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 倦怠感 (Malaise) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)傷害,中毒および処置合併症(Injury, poisoning and procedural

complications) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4) 皮膚裂傷 (Skin laceration) 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)

a)MedDRA version 引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.3: 2 より作成

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- 52 週間投与における治験中止に至った有害事象

リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群で,投与 52 週までに治験中止に至った有害事象を表 4.9:

30 に示した。リナグリプチン 5 mg 群では治験中止に至った有害事象 16 例 18 事象のうち 4 例

5 事象,10 mg 群では 16 例 17 事象中 7 例 7 事象は投与 26 週までに治験中止に至った有害事象

であり,表 4.9: 26 に示している。治験中止に至った有害事象のうち,リナグリプチン 5 mg 群

では 5 例 7 事象(不安定狭心症,脳出血,胆管結石・胆管炎,急性心筋梗塞・うっ血性心不全,

再発胃癌),10 mg 群では 5 例 6 事象(肝転移・膵癌,急性冠動脈症候群,脳梗塞,再発膀胱癌,

胆管結石)は重篤な有害事象でもあった。

表 4.9: 30 投与 52 週における治験中止に至った有害事象(TS52)

Patient No.

Age [years] / Sex Preferred Terma) Start

day Duration [days] Intensity Outcome Remark

Treatment at onset: Linagliptin 5 mg 10207 60/M 不安定狭心症 (Angina unstable) 28 21 Moderate Rcver SAEc) 10711 36/M 高血糖 (Hyperglycaemia) 186 274 Mild Nrec& - 10821 68/F 歯周病 (Periodontal disease)b) 34 56 Mild Rcver - 11306 51/F 高血糖 (Hyperglycaemia) 197 88 Moderate Nrec& - 11427 70/M 回転性めまい (Vertigo) b) 73 12 Moderate Rcver Drug-related11472 50/M 肝機能異常 (Hepatic function abnormal) 225 85 Moderate Rcver Drug-related11603 63/F 心室性期外収縮 (Ventricular extrasystoles) 1 185 Mild Nrec& Drug-related11905 57/F 高血糖 (Hyperglycaemia) 42 241 Moderate Nrec& - 12710 68/M 脳出血 (Cerebral haemorrhage) b) 133 97 Moderate Seq SAEc)d) 13117 66/M 胆管結石 (Bile duct stone) b) 63 27 Severe Rcver SAEc) 胆管炎 (Cholangitis) b) 63 27 Severe Rcver SAEc) 13212 66/M 急性心筋梗塞 (Acute myocardial infarction) 249 184 Severe Nrec# SAEc) うっ血性心不全 (Cardiac failure congestive) 249 184 Severe Nrec# SAEc) 13309 78/M 再発胃癌 (Gastric cancer recurrent) 268 16 Moderate Rcver SAEc)e) 13401 71/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 229 100 Mild Rcver - 13507 55/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 183 175 Mild Nrec& - 13604 67/M コントロール不良の糖尿病

(Diabetes mellitus inadequate control) 183 78 Mild Rcver -

13907 66/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 253 17 Moderate Nrec& - Treatment at onset: Linaglilptin 10 mg 10204 68/M 肝転移 (Metastases to liver) 294 47 Moderate Nrec& SAEc)e) 膵癌 (Pancreatic carcinoma) 257 84 Moderate Nrec& SAEc)e) 10507 45/M 赤血球増加症 (Polycythaemia) b) 29 410 Moderate Nrec& Drug-related10511 70/F 糖尿病 (Diabetes mellitus) b) 85 32 Moderate Nrec& - 10601 65/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) b) 85 135 Moderate Nrec& - 10610 44/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) b) 85 99 Moderate Nrec& - 10903 54/M 高血糖 (Hyperglycaemia) 223 102 Moderate Nrec& - 11112 56/M 急性冠動脈症候群 (Acute coronary syndrome) 209 42 Severe Rcver SAEc) 11302 39/F 高血糖 (Hyperglycaemia) b) 1 376 Moderate Nrec& - 11303 66/M アレルギー性皮膚炎 (Dermatitis allergic) 237 17 Moderate Rcver - 12605 67/M 下痢 (Diarrhoea) b) 14 8 Mild Rcver - 13101 69/F 脳梗塞 (Cerebral infarction) 263 154 Severe Seq SAEc)d) 13505 56/M 発疹 (Rash) 192 110 Mild Nrec& Drug-related13908 59/F うつ病 (Depression) 212 29 Mild Nrec& - 14102 62/M 高血糖 (Hyperglycaemia) 338 85 Moderate Rcver - 14206 73/M 再発膀胱癌 (Bladder cancer recurrent) 103 32 Moderate Rcver SAEc)e) 14702 70/M 胆管結石 (Bile duct stone) b) 17 14 Moderate Rcver SAEc)

a)MedDRA ,b)投与 26 週までの治験中止に至った有害事象(表 4.9: 26 参照) 略語:M=男性,F=女性,Nrec=未回復,Rcver=回復,Seq=後遺症,&=追跡終了,#=追跡不能,SAE=重篤な有

害事象 c)入院を要した有害事象 d)永続的又は重大な障害・機能不全に至った有害事象 e)その他の理由による有害事象 引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.3: 3 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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- 52 週間投与における低血糖イベントの発現

治験担当医師判定による低血糖イベントはリナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群で各 1 例に

発現した(表 4.9: 31)。これら 2 例で発現した低血糖症状は高度ではなく,低血糖イベント発

現時の血糖が測定されていなかった。いずれもブドウ糖,グルカゴン投与または他の蘇生処置

に他者による介助を必要とはしなかった。

表 4.9: 31 52 週投与において治験担当医師により判定された低血糖イベントを発現し

た患者(TSLI)

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

N (%) N (%)

Number of patients, N (%) 266 (100.0) 274 (100.0)

Number of patients with any investigator-defined hypoglycaemia, N (% of patients treated)a)

1 ( 0.4) 1 ( 0.4)

Any asymptomatic hypoglycaemiab) N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemiac)and measured plasma glucose ≥54 mg/dL and ≤70 mg/dL, N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Any documented symptomatic hypoglycaemiad)and measured plasma glucose <54 mg/dL, N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Any severe hypoglycaemic episodee), N (% of patients with hypoglycaemia)

0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Number of hypoglycaemic episodes per patient, N (% of patients with hypoglycaemia)

1 1 ( 0.4) 0 ( 0.0)

2 to 3 0 ( 0.0) 1 ( 0.4)

≥4 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

a)各カテゴリーまたは各イベントに重複例あり

b)低血糖症の症状を伴っていないが,血糖値 70 mg/dL 以下

c)低血糖症の症状を伴う

d)低血糖症特有の症状を伴うが,他者による介助は不要

e)ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処置に他者による介助が必要

注)2 例において低血糖イベントの発現時に血糖値測定せず,ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処

置に他者による介助不要であった。

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.2.2.3: 4 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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臨床イベント委員会で審査・判定された心血管イベントまたは脳血管イベント

• 12 週間投与(リナグリプチン群とプラセボ群)における心血管イベントまたは脳血管イベ

ント

12 週間投与においては,臨床イベント委員会で確認された心血管イベントまたは脳血管イベン

トはなかった。

• 26 週間投与(リナグリプチン群とボグリボース群)における心血管イベントまたは脳血管

イベント

リナグリプチン 5 mg 群の 1 例(患者 12710:非致死性脳卒中)とボグリボース群の 2 例(患者

10305:安定狭心症,患者 10414:安定狭心症)が心血管イベントまたは脳血管イベントとして

臨床イベント委員会で判定された。

• 52 週間投与(リナグリプチン 5 mg 群および 10 mg 群)における心血管イベントまたは脳

血管イベント

リナグリプチン 5 mg 群において 7 例(患者 10402:一過性脳虚血発作,患者 10416,11706,12710:

非致死性脳卒中,患者 12501,13212:非致死性心筋梗塞,患者 10207:不安定狭心症)が心血

管イベントまたは脳血管イベントと臨床イベント委員会で判定された。

また,リナグリプチン 10 mg 群において 5 例(患者 12209,13101:非致死性脳卒中,患者 11112:

非致死性心筋梗塞,患者 10204,14015:安定狭心症)が心血管イベントまたは脳血管イベント

と臨床イベント委員会で判定された。

(c) 死亡,その他の重篤なおよび重要な有害事象

死亡

本試験において死亡例はなかった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

531

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重篤な有害事象

• 12 週間投与におけるリナグリプチンとプラセボとの比較

12 週間投与においてリナグリプチン 5 mg 群で 1 例 2 事象,10 mg 群で 4 例 4 事象およびプラ

セボ群で 1 例 1 事象の重篤な有害事象がみられた(表 4.9: 32)。いずれも入院を要した。なお,

いずれの重篤な有害事象も治験薬との因果関係はないと治験担当医師により判定された。

表 4.9: 32 12 週間投与における重篤な有害事象(TS12)

Patient No.

Age [years] / Sex Preferred Terma) Start day Duration

[days] Intensity Drug related

Action taken Outcome

Treatment at onset: Linagliptin 5 mg 13117 66/M 胆管結石 (Bile duct stone) 63 27 Severe No Disc Rcver 胆管炎 (Cholangitis) 63 27 Severe No Disc Rcver Treatment at onset: Linagliptin 10 mg 13506 70/M 結腸ポリープ (Colonic polyp) 65 2 Mild No Cont Rcver 13607 55/M 痔核 (Haemorrhoids) 31 6 Severe No Cont Rcver 14702 70/M 胆管結石 (Bile duct stone) 17 14 Moderate No Disc Rcver 14808 68/M 不整脈 (Arrhythmia) 30 67 Mild No Cont Rcver Treatment at onset: Placebo 12311 64/M 鼡径ヘルニア (Inguinal hernia) 73 65 Moderate No Cont Rcver

a)MedDRA

略語:M=男性,F=女性,Cont=治験薬継続,Disc=治験薬中止,Rcver=回復

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.3.2.1: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

532

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• 26 週間投与におけるリナグリプチンとボグリボースとの比較

26 週間投与においてリナグリプチン 5 mg 群で 5 例 8 事象,10 mg 群で 8 例 9 事象およびボグ

リボース群で 7 例 7 事象の重篤な有害事象がみられた(表 4.9: 33)。うち,リナグリプチン 5 mg

群の 1 例 2 事象,10 mg 群の 4 例 4 事象は投与 12 週までに発現した重篤な有害事象で,表 4.9:

32 に示している。発現したすべての有害事象は治験薬との因果関係はないと治験担当医師によ

り判定された。

表 4.9: 33 26 週間投与における重篤な有害事象(TS26)

Patient No.

Age [years] / Sex Preferred Term a) Start

day Duration [days] Intensity Drug

related Action taken Outcome

Treatment at onset: Linagliptin 5 mg 12303 52/M 背部痛 (Back pain) 116 77 Moderate No Cont Rcver 挫傷 (Contusion) 116 77 Moderate No Cont Rcver 転倒・転落 (Fall) 116 1 Moderate No Cont Rcver 12309 64/F 気管支炎 (Bronchitis) 13 125 Moderate No Cont Rcver 12710 68/M 脳出血 (Cerebral haemorrhage) 133 126 Moderate No Disc Seq 13117 66/M 胆管結石 (Bile duct stone)b) 63 27 Severe No Disc Rcver 胆管炎 (Cholangitis) b) 63 27 Severe No Disc Rcver 14508 58/M 胃潰瘍 (Gastric ulcer) 141 8 Moderate No Rein Rcver Treatment at onset: Linagliptin 10 mg 10301 47/F 気道熱傷 (Airway burns) 155 11 Mild No Cont Rcver 11211 60/F 鎖骨骨折 (Clavicle fracture) 109 141c) Moderate No Cont Nrec 交通事故 (Road traffic accident) 109 1 Moderate No Cont Rcver 11303 66/M 腎結石症 (Nephrolithiasis) 127 194 Moderate No Cont Nrec& 13506 70/M 結腸ポリープ (Colonic polyp) b) 65 2 Mild No Cont Rcver 13607 55/M 痔核 (Haemorrhoids) b) 31 6 Severe No Cont Rcver 13906 72/M 白内障 (Cataract) 164 2 Mild No Cont Rcver 14702 70/M 胆管結石 (Bile duct stone) b) 17 14 Moderate No Disc Rcver 14808 68/M 不整脈 (Arrhythmia) b) 30 67 Mild No Cont Rcver Treatment at onset: Voglibose 10305 59/M 狭心症 (Angina pectoris) 117 164 Moderate No Disc Nrec& 10414 45/M 狭心症 (Angina pectoris) 162 225 Moderate No -d) Nrec& 10707 69/F 白内障 (Cataract) 110 4 Mild No Cont Rcver 13112 58/M 肺の悪性新生物

(Lung neoplasm malignant) 26 194 Moderate No Disc Nrec&

13204 61/M 尿管結石 (Calculus ureteric) 135 64 Mild No Cont Rcver 13903 75/F 四肢の変形 (Limb deformity) 60 43 Mild No Cont Rcver 13912 68/F 手根管症候群

(Carpal tunnel syndrome) 127 41 Moderate No Cont Rcver

a)MedDRA ,b)投与 12 週までに発現した重篤な有害事象(表 4.9: 32 参照)

略語:M=男性,F=女性 ,Cont=治験薬継続 ,Disc=治験薬中止 ,Rein=再開 ,Nrec=未回復 ,Rcver=回復 ,

Seq=後遺症 ,&=追跡終了

c)日付一部不明または不明な日時データを補完

d)TS26 固定時に処置不明

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.3.2.2: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

533

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• 52 週間投与

投与 52 週においてリナグリプチン 5 mg 群で 20 例 26 事象,10 mg 群で 14 例 18 事象の重篤な

有害事象がみられた(表 4.9: 34)。うち,リナグリプチン 5 mg 群の 5 例 8 事象,10 mg 群の 8

例 9 事象は投与 26 週までに発現した重篤な有害事象であった。うち,リナグリプチン 5 mg 群

の 1 例で発現した腹部ヘルニアを除いて,いずれの事象も治験薬との因果関係はないと治験担

当医師により判定された。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

534

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表 4.9: 34 投与 52 週における重篤な有害事象(TSLI)

Patient No.

Age [years] / Sex Preferred Term Start

day Duration

[days] Intensity Drug related

Action taken

Outcome

Treatment at onset: Linagliptin 5 mg 10102 71/M 胃癌 (Gastric cancer) 340 73 Mod No Cont Rcver 10207 60/M 不安定狭心症 (Angina unstable) 28 21 Mod No Disc Rcver 10402 74/F 狭心症 (Angina pectoris) 218 163 Mild No Cont Nrec& 10416 59/M 脳梗塞(Cerebral infarction) 49 13 Mild No Cont Rcver 10914 61/F 関節炎 (Arthritis) 85 86 Mod No Cont Rcver 11307 72/F 腹部ヘルニア (Abdominal hernia) 302 18 Mod Yes Cont Rcver 11706 71/M 脳梗塞 (Cerebral infarction) 171 35 Mod No Rein Rcver 12301 59/M 甲状腺機能亢進症 (Hyperthyroidism) 218 99 Mod No Cont Rcver 心房細動 (Atrial fibrillation) 218 2 Mod No Cont Rcver 12303 52/M 背部痛 (Back pain)a) 116 77 Mod No Cont Rcver 挫傷 (Contusion) a) 116 77 Mod No Cont Rcver 転倒・転落 (Fall) a) 116 1 Mod No Cont Rcver 12305 66/M 背部痛 (Back pain) 44 148 Mod No Cont Nrec& 12309 64/F 気管支炎 (Bronchitis) a) 13 146 Mod No Cont Rcver 12501 68/M 冠動脈閉塞 (Coronary artery occlusion) 330 6 Sev No Cont Rcver 12710 68/M 脳出血 (Cerebral haemorrhage) a) 133 97 Mod No Disc Seq 13105 67/M 前立腺癌 (Prostate cancer) 291 89 Mod No Cont Nrec& 13117 66/M 胆管結石 (Bile duct stone) a) 63 27 Sev No Disc Rcver 胆管炎 (Cholangitis) a) 63 27 Sev No Disc Rcver 13201 72/M 大腸癌 (Large intestine carcinoma) 241 31 Mod No Cont Rcver 結腸ポリープ (Colonic polyp) 241 31 Mod No Cont Rcver 13212 66/M 急性心筋梗塞 (Acute myocardial infarction) 249 184 Sev No Disc Nrec# うっ血性心不全 (Cardiac failure congestive) 249 184 Sev No Disc Nrec# 13309 78/M 再発胃癌 (Gastric cancer recurrent) 268 16 Mod No Disc Rcver 14508 58/M 胃潰瘍 (Gastric ulcer) a) 141 8 Mod No Rein Rcver 14803 47/M 糖尿病 (Diabetes mellitus) 127 172 Mod No Cont Nrec& Treatment at onset: Linagliptin 10 mg 10204 68/M 骨髄炎 (Osteomyelitis) 267 48 Mod No Cont Rcver 肝転移 (Metastases to liver) 294 47 Mod No Disc Nrec& 膵癌 (Pancreatic carcinoma) 257 84 Mod No Disc Nrec& 10301 47/F 気道熱傷 (Airway burns) a) 155 11 Mild No Cont Rcver 11112 56/M 急性冠動脈症候群

(Acute coronary syndrome) 209 42 Sev No Disc Rcver

11211 60/F 鎖骨骨折 (Clavicle fracture) a) 109 278 Mod No Cont Nrec& 交通事故 (Road traffic accident) a) 109 1 Mod No Cont Rcver 11303 66/M 腎結石症 (Nephrolithiasis) a) 127 194 Mod No Cont Nrec& 13101 69/F 脳梗塞 (Cerebral infarction) 263 154 Sev No Disc Seq 高血圧 (Hypertension) 279 2 Mild No - Rcver 13122 67/M 帯状疱疹 (Herpes zoster) 156 43 Mod No Cont Nrec& 13506 70/M 結腸ポリープ (Colonic polyp) a) 65 2 Mild No Cont Rcver 13607 55/M 痔核 (Haemorrhoids) a) 31 6 Sev No Cont Rcver 13906 72/M 白内障 (Cataract) a) 164 2 Mild No Cont Rcver 14206 73/M 再発膀胱癌 (Bladder cancer recurrent) 103 32 Mod No Disc Rcver 14504 57/F 白内障 (Cataract) 147 23 Mild No Cont Rcver 14702 70/M 胆管結石 (Bile duct stone) a) 17 14 Mod No Disc Rcver 14808 68/M 不整脈 (Arrhythmia) a) 30 67 Mild No Cont Rcver

a)投与 26 週までに発現した重篤な有害事象(表 4.9: 33 参照)

略語:M=男性,F=女性,Cont=治験薬継続,Disc=治験薬中止,Rein=再開,Nrec=未回復,Rcver=回復,Seq=

後遺症,&=追跡終了,#=追跡不能

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.3.2.3: 1 より作成

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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重要な有害事象

本試験において,過敏性反応,腎関連の有害事象および肝臓酵素上昇を重要な有害事象として,

SQMs(MedDRA 標準検索式)で過敏性反応,急性腎不全,肝毒性について検索した。

12 週間投与におけるリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびプラセボ群,26 週間投与におけ

るリナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,重要な有害事象に該当した事象

はなかった。

52 週間投与において,重要な有害事象に該当する事象がリナグリプチン 5 mg 群で 2 例,10 mg

群で 3 例にみられ,いずれも肝毒性に関する事象であった。リナグリプチン 5 mg 群の 2 例は

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加および肝機能異常であり,10 mg 群の 3 例は肝

機能異常,トランスアミナーゼ増加およびアラニン・アミノトランスフェラーゼ増加であった

(表 4.9: 35)。

表 4.9: 35 投与 52 週における重要な有害事象(TS52)

Linagliptin 5 mg Linagliptin 10 mg

N (%) N (%)

Number of patients 266 (100.0) 274 (100.0)

Patients with hypersensitivity reactions1) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Patients with acute renal failure2) 0 ( 0.0) 0 ( 0.0)

Patients with liver toxicity3) 2 ( 0.8) 3 ( 1.1)

略語:SMQs=the standardised MedDRA queries

1)SMQ の「高度皮膚副作用」,「アナフィラキシー反応」,「血管浮腫」および「喘息気管支痙攣」に基づく

2)SMQ の「急性腎不全」に基づく

3)SMQ の「非感染性肝炎」,「肝不全,線維症,肝硬変およびその他の肝細胞障害」,「肝関連検査,徴候およ

び症状」および「肝由来の胆汁うっ帯および黄疸」に基づく

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.3.3.3: 1 より作成

臨床検査値

• 12 週間投与におけるリナグリプチンとプラセボとの比較

トリグリセリドを除く他の臨床検査値の平均値はベースラインおよび投与後も基準値内であっ

た。ベースラインの平均トリグリセリドはリナグリプチン 10 mg 群(202 mg/dL)で 5 mg 群

(165 mg/dL)およびプラセボ群(184 mg/dL)より高く,異常値を示していた。投与後,平均

トリグリセリドはリナグリプチン 10 mg 群で 31 mg/dL 低下,プラセボ群で 16 mg/dL 低下し,

リナグリプチン 5 mg 群では 5 mg/dL 上昇を示した。他の臨床検査値は平均値の推移で,いずれ

においても,臨床的に問題となる傾向は特にみられなかった。

12 週間投与における臨床的に重要な臨床検査値変動発現例の頻度を表 4.9: 36 に示した。臨床

的に重要なトリグリセリド増加を示した患者の割合が,リナグリプチン 5 mg 群(7.5%)およ

び 10 mg 群(8.2%)がプラセボ群(5.0%)に比較してやや高かったが,他の臨床的に重要な検

査値の変動が検出された割合は,3 群ともほぼ同じであった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

536

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表 4.9: 36 12 週間投与における臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度

(TS12)

Linagliptin 5 mg (n=159)

Linagliptin 10 mg (n=160)

Placebo (n=80)

Decrease Increase Decrease Increase Decrease Increase N (%) N (%) N (%) N (%) N (%) N (%)

Haematology Haematocrit 2 ( 1.3) N/A 3 ( 1.9) N/A 0 N/A Haemoglobin 3 ( 1.9) N/A 6 ( 3.8) N/A 1 ( 1.3) N/A Eosinophils N/A 1 ( 0.6) N/A 5 ( 3.1) N/A 1 ( 1.3) Clinical chemistry Sodium 1 ( 0.6) 0 1 ( 0.6) 0 0 0 Potassium 0 1 ( 0.6) 0 3 ( 1.9) 0 1 ( 1.3) ALT/GPT, SGPT N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 0.6) N/A 0 GGT N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 0.6) N/A 0 Creatine kinase N/A 0 N/A 0 N/A 1 ( 1.3) Amylase N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 1.3) Cholesterol, total N/A 1 ( 0.6) N/A 0 N/A 1 ( 1.3) Blood urea nitrogen N/A 0 N/A 1 ( 0.6) N/A 0 Creatinine N/A 1 ( 0.6) N/A 2 ( 1.3) N/A 0 Bilirubin, total N/A 0 N/A 1 ( 0.6) N/A 0 Bilirubin, direct N/A 0 N/A 1 ( 0.6) N/A 0 Triglyceride N/A 12 ( 7.5) N/A 13 ( 8.2) N/A 4 ( 5.0) Uric acid N/A 2 ( 1.3) N/A 2 ( 1.3) N/A 2 ( 2.5)

略語:N/A=該当無し,n=治療中に測定を1回以上実施した患者数

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.4.3.1: 1 より作成

腎機能(糸球体濾過率),クレアチニンクリアランスがベースラインの正常から投与後に軽度異

常になった例が少数例みられたが,その割合は 3 群ともほぼ同じであり,また,軽度異常から

正常になった患者もみられた。

• 26 週間投与におけるリナグリプチンとボグリボースとの比較

トリグリセリドを除く他の臨床検査値の平均値はベースラインおよび投与後も基準値内であっ

た。ベースラインの平均トリグリセリドはリナグリプチン 10 mg 群(202 mg/dL)で 5 mg 群(165

mg/dL)およびボグリボース群(190 mg/dL)より高かった。投与後,平均トリグリセリドはリ

ナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群およびボグリボース群で,それぞれ 13,27 および 29 mg/dL 低

下した。他の臨床検査値は平均値の推移で,いずれにおいても,臨床的に問題となる傾向は特

にみられなかった。

26 週間投与における臨床的に重要な臨床検査値変動発現例の頻度を表 4.9: 37 に示した。臨床

的に重要なトリグリセリド増加を示した患者の割合は,リナグリプチン 5 mg 群,10 mg 群お

よびボグリボース群で,それぞれ 12.6,11.3 および 13.0%と他の検査値にくらべ高かったが,3

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

537

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群ともその割合はほぼ同じであった。他の検査値の臨床的に重要な変動が検出された割合も,3

群ともほぼ同じであった。

表 4.9: 37 26 週間投与における臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度

(TS26)

Linagliptin 5 mg (n=159)

Linagliptin 10 mg (n=160)

Voglibose (n=162)

Decrease Increase Decrease Increase Decrease Increase N (%) N (%) N (%) N (%) N (%) N (%)

Haematology Haematocrit 2 ( 1.3) N/A. 3 ( 1.9) N/A 1 ( 0.6) N/A Haemoglobin 3 ( 1.9) N/A 7 ( 4.4) N/A 1 ( 0.6) N/A White blood cell count 2 ( 1.3) 0 0 0 0 0 Eosinophils N/A 4 ( 2.5) N/A 8 ( 5.0) N/A 2 ( 1.2) Clinical chemistry Sodium 1 ( 0.6) 0 1 ( 0.6) 0 1 ( 0.6) 0 Potassium 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 0 3 ( 1.9) 0 0 Calcium 0 0 0 1 ( 0.6) 1 ( 0.6) 0 ALT/GPT, SGPT N/A 2 ( 1.3) N/A 2 ( 1.3) N/A 2 ( 1.2) GGT N/A 2 ( 1.3) N/A 3 ( 1.9) N/A 3 ( 1.9) Creatine kinase N/A 0 N/A 0 N/A 5 ( 3.1) Amylase N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 0.6) Cholesterol, total N/A 1 ( 0.6) N/A 0 N/A 6 ( 3.7) Blood urea nitrogen N/A 0 N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 0.6) Creatinine N/A 1 ( 0.6) N/A 3 ( 1.9) N/A 4 (2.5) Bilirubin, total N/A 2 ( 1.3) N/A 1 ( 0.6) N/A 0 Bilirubin, direct N/A 0 N/A 1 ( 0.6) N/A 0 Triglyceride N/A 20 ( 12.6) N/A 18 ( 11.3) N/A 21 ( 13.0) Uric acid N/A 3 ( 1.9) N/A 4 ( 2.5) N/A 1 ( 0.6) Protein, total 0 1 ( 0.6) 0 0 0 1 ( 0.6) Albumin 0 N/A 1 ( 0.6) N/A 1 ( 0.6) N/A

略語:N/A=基準無し,n=治療中に測定を1回以上実施した患者数

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.4.3.2: 1 より作成

腎機能(糸球体濾過率),クレアチニンクリアランスがベースラインの正常から投与後に軽度異

常になった例が少数例みられたが,その割合は 3 群ともほぼ同じであり,また,軽度異常から

正常になった患者もみられた。

• 52 週間投与における長期投与時の安全性

臨床検査値の平均値の推移は,いずれにおいても,臨床的に問題となる傾向は特にみられなか

った。

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52 週間投与における臨床的に重要な臨床検査値変動発現例の頻度を表 4.9: 38 に示した。トリ

グリセリドが臨床的に重要な変動(上昇)を示した患者の割合は,リナグリプチン 5 mg 群で

15.0%,10 mg 群で 15.8%とやや高かった。他の臨床検査値では臨床的に重要な変動が検出され

た割合は,両群ともに低かった。

表 4.9: 38 52 週間投与における臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度

(TSLI)

Linagliptin 5 mg (n=266)

Linagliptin 10 mg (n=273)

Decrease Increase Decrease Increase N (%) N (%) N (%) N (%)

Haematology Haematocrit 3 ( 1.1) N/A 3 ( 1.1) N/A Haemoglobin 8 ( 3.0) N/A 9 ( 3.3) N/A White blood cell count 2 ( 0.8) 1 ( 0.4) 1 ( 0.4) 0 Platelets 0 0 1 ( 0.4) 0 Eosinophils N/A 9 ( 3.4) N/A 12 ( 4.4) Clinical chemistry Sodium 1 ( 0.4) 0 1 ( 0.4) 0 Potassium 1 ( 0.4) 6 ( 2.3) 0 5 ( 1.8) Calcium 1 ( 0.4) 0 1 ( 0.4) 1 ( 0.4) AST/GOT, SGOT N/A 1 ( 0.4) N/A 1 ( 0.4) ALT/GPT, SGPT N/A 2 ( 0.8) N/A 4 ( 1.5) GGT N/A 7 ( 2.6) N/A 7 ( 2.6) Creatine kinase N/A 2 ( 0.8) N/A 4 ( 1.5) Amylase N/A 3 ( 1.1) N/A 5 ( 1.8) Cholesterol, total N/A 5 ( 1.9) N/A 3 ( 1.1) Blood urea nitrogen N/A 2 ( 0.8) N/A 1 ( 0.4) Creatinine N/A 5 ( 1.9) N/A 8 ( 2.9) Bilirubin, total N/A 4 ( 1.5) N/A 1 ( 0.4) Bilirubin, direct N/A 0 N/A 1 ( 0.4) Triglyceride N/A 40 ( 15.0) N/A 43 ( 15.8) Uric acid N/A 5 ( 1.9) N/A 8 ( 2.9) Protein, total 0 1 ( 0.4) 0 1 ( 0.4) Albumin 1 ( 0.4) N/A 1 ( 0.4) N/A

略語:N/A=基準無し,n=治療中に測定を1回以上実施した患者数

引用元:CTD 5.3.5.1-9,試験 1218.23,Table 12.4.3.3: 1 より作成

腎機能(糸球体濾過率),クレアチニンクリアランスがベースラインの正常から投与後に軽度異

常になった例が少数例みられたが,その割合は両群ともほぼ同じであり,また,軽度異常から

正常になった患者もみられた。

なお,いずれの群ともに Hy’s Law に該当する肝機能悪化を示した患者は認められなかった。

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539

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(d) バイタルサイン

投与 12,26 および 52 週において,収縮期・拡張期血圧および脈拍数はいずれの群ともに臨床

的に問題となる変動を示さなかった。

3) 結論

リナグリプチン(5 mg,10mg 1 日 1 回投与)は 2 型糖尿病患者において,主要評価項目である

投与 12 週後の HbA1c のベースラインからの低下でプラセボに,また投与 26 週後の HbA1c の

ベースラインからの低下でボグリボース(0.2 mg 1 日 3 回投与)に対して優越性を示した。リ

ナグリプチンの忍容性は良好で,52 週間の長期投与において安全性に特に問題はみられなかっ

た。リナグリプチン投与中における低血糖イベントの発現した例は極めて少なかった。リナグ

リプチンの安全性プロファイルは他の DPP-4 阻害薬と同様であり,新たな懸念となる点は特に

みられなかった。

リナグリプチン 1 日 1 回,26 週間投与において,トラフ時血漿中濃度はほぼ一定であり,長期

間の反復投与でリナグリプチンの薬物動態は変化しないことが示された。リナグリプチンの 1

日 5 mg と 10 mg の投与において,トラフ時血漿中濃度の増加は用量比未満であった。

以上,リナグリプチンは 2 型糖尿病患者に対して,プラセボおよびボグリボースより有効であ

り,忍容性も良好で,安全性に特に問題はなかった。52 週間の長期投与において,リナグリプ

チン 1 日 5 mg と 10 mg の有効性はほぼ同じであった。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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4.10 試験 1218.35

(CTD

5.3.5.1-10)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.10: 1 に示した。なお,HbA1c 値は全て NGSP 基準で測定した。

表 4.10: 1 試験方法の概略(1/6)

目的 スルホニル尿素薬の基礎治療にもかかわらず血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者を対

象とした,追加治療として BI 1356(リナグリプチン)5 mg 1 日 1 回を 18 週間経口投与し

たときの有効性,安全性および忍容性のプラセボとの比較検討

試験デザイン 第 III 相,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,並行群間比較試験

対象 選択基準

(1) スクリーニング(Visit 1a)までに GCP および各地域の要件に従って文書による同意

を本人から取得

(2) 2 型糖尿病の診断を受けた患者(性別不問)で,スルホニル尿素薬単剤,またはスル

ホニル尿素薬とその他の糖尿病治療薬 1 剤による併用治療を受けている患者

(3) 同意取得前 10 週間以上糖尿病の治療法の変更がなく,標準的な食事療法と運動の指

導を受けることに同意する患者

(4) スルホニル尿素薬を最高用量の 2 分の 1 以上の用量で投与されている患者(または最

大耐量で 12 週間以上投与されている場合にはそれ以下でも可)

(5) 同意取得前に 2 型糖尿病と診断を受けている患者

(6) Visit 1a(スクリーニング時)の HbA1c が下記の基準に該当する患者:

前治療のウォッシュアウトを行う患者:HbA1c 7.0~9.0%

前治療のウォッシュアウトを行わない患者:HbA1c 7.5~10.0%

(7) Visit 2(プラセボ導入期開始日)の HbA1c が 7.5~10.0%の患者

(8) Visit 1a(スクリーニング時)の年齢が 18 歳超 80 歳未満の患者

(日本では 20 歳超 80 歳未満の患者)

(9) Visit 1a(スクリーニング時)の BMI が 40 kg/m2 以下の患者

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表 4.10: 1 試験方法の概略(2/6)

対象(続き) 除外基準

(1) 同意取得前 6 カ月以内に心筋梗塞,脳卒中または一過性脳虚血発作を発現した患者

(2) Visit 1a 時の血清 ALT(SGPT),AST(SGOT),アルカリホスファターゼまたは総ビ

リルビンのいずれかが基準値上限(ULN)の 3 倍を超える肝機能障害を有する患者

(3) 薬剤またはその賦形剤,患者が使用中のスルホニル尿素薬またはプラセボに対するア

レルギーまたは過敏症の既往を有する患者

(4) 同意取得前 3 カ月以内にグリタゾン系薬剤(rosiglitazone,ピオグリタゾンなど)に

よる治療を受けた患者

(5) 同意取得前 3 カ月以内に GLP-1 類似体の注射剤(exenatide など)による治療を受け

た患者

(6) 同意取得前 3 カ月以内に慢性的に毎日インスリンによる治療を受けた患者

(7) 同意取得前 3 カ月以内に抗肥満薬(sibutramine,オルリスタット,rimonabant など)

による治療を受けた患者

(8) 同意取得前 3 カ月以内に治験参加を妨げる可能性のあるアルコールまたは薬物の乱用

歴を有する患者

(9) 同意取得前 2 カ月以内に他の治験薬の臨床試験に参加した患者

(10) 閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)のうち,下記のいずれ

かに該当する患者:

- 授乳中または妊娠中の患者

- 妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(11) 同意取得時に全身ステロイドの投与を受けている患者,または同意取得前 6 週間以内

に甲状腺ホルモンの用量を変更した患者

(12) 腎不全または腎障害を有する患者(Visit 1a 時の GFR が 30 mL/min 未満)

(13) 不安定または急性うっ血性心不全を有する患者

(14) 遺伝性ガラクトース不耐症を有する患者

(15) コントロール不良の高血糖の症状が認められる患者(アルゼンチンのみ適用)

(16) 治験責任医師により急性(6 カ月以内),直近または不安定な標的臓器障害を有する

と判断された患者(アルゼンチンのみ適用)

(17) 過去 12 カ月以内に糖尿病の急性合併症の既往を有する患者(アルゼンチンのみ適

用)

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表 4.10: 1 試験方法の概略(3/6)

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠

対照薬:リナグリプチン 5 mg 錠に対応したプラセボ錠

症例数 目標症例数:登録例 450 例,割付け例 255 例

登録例:471 例

割付け例:245 例

割付け例 治験薬投与例 解析対象例(主要評価項目)

リナグリプチン 5 mg 群 161 例 161 例 158 例

プラセボ群 84 例 84 例 82 例

計 245 例 245 例 240 例

投与方法

ウォッシュアウト期・導入期

スルホニル尿素薬およびそれ以外の糖尿病治療薬 1 剤による治療を受けている患者は最後

の 2 週間をプラセボ導入期間とする 6 週間のウォッシュアウトを行い,スルホニル尿素薬

単剤による治療を受けている患者は 2 週間のプラセボ導入のみ行った。

投与期

プラセボ導入期開始時点での HbA1c(<8.5%,≥8.5%),およびスルホニル尿素薬単剤/ス

ルホニル尿素薬とその他の糖尿病治療薬 1 剤による併用治療の前治療を層別割付け因子と

して,リナグリプチン群とプラセボ群に 2:1 の割合でランダムに割付けた。

リナグリプチン群の患者はリナグリプチン 5 mg 錠を,プラセボ群の患者はリナグリプチ

ン 5 mg 錠に対応した識別不能なプラセボ錠を 1 日 1 回(午前 9 時 ± 1 時間),水 150 mL

で 18 週間服用した。スルホニル尿素薬は,全治験期間(ウォッシュアウトおよびプラセ

ボ導入期を含む)を通して治験前の用法,用量を変更せずに服用した。

併用療法 試験期間中は,救援治療薬および用量変更せず継続するスルホニル尿素薬を除く糖尿病治

療(例:経口糖尿病治療薬やインスリン)を禁止した。

投与期間 ・プラセボ導入期間:2 週間

スルホニル尿素薬およびそれ以外の糖尿病治療薬 1 剤による治療を受けている患者にはプ

ラセボ導入期の前に 4 週間のウォッシュアウト期間

・投与期間:18 週間

・追跡期間: 1 週間

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表 4.10: 1 試験方法の概略(4/6)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

スクリーニング・

ウォッシュアウト期

プラセボ

導入期 投与期 追跡期

Visit 1a 1ba),b) 2 3 4 5 6 7c)

Study week −2 6 12 18 19

Days from randomisation −14 0 42 84 126 133

既往歴・合併症 ○ ○

人口統計学的特性 ○ ○

身体所見検査 ○ ○

バイタルサイン ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

身長 ○

体重 ○ ○ ○

ウエスト周囲径 ○ ○

臨床検査(尿検査を含む) ○d) ○ ○ ○ ○ ○ ○

妊娠検査 e) ○ ○ ○ ○

12 誘導心電図 ○ ○ ○

空腹時血糖 f) ○ ○ ○ ○ ○ ○

HbA1c ○ ○ ○ ○ ○ ○

インスリン,C ペプチド ○ ○

遺伝子解析用採血 g) ○

有害事象 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

併用療法 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

健康アンケート EQ-5Dh) ○ ○ ○ ○

糖尿病治療満足度質問表

DTSQsh) ○ ○ ○ ○

食事と運動の指導 ○

a)Visit 1a 後 1 週間以内に Visit 1b を実施 b)スルホニル尿素薬単剤およびそれ以外の糖尿病治療薬 1 剤による治療を受けていた患者は,最

後の 2 週間をプラセボ導入期間とする 6 週間のウォッシュアウトを実施。ウォッシュアウトが

不要な患者は Visit 1b と 2 を同日に実施可 c)完了例では有害事象の電話調査のみ実施し,中止例では Visit 6 と 7 の検査を実施 d)肝トランスアミナーゼ,ALP,血清クレアチニンのみ実施 e)妊娠の可能性がある女性のみに実施 f)1 晩絶食(10 時間以内は飲水のみ) g)遺伝子解析用採血は可能な限り割付け適格例全例に Visit 3 で実施 h)患者による医療効果評価(PRO)を収集。健康関連 QOL の評価には HrQoL および EQ-5D の健

康アンケートを使用。治療満足度評価には現行の糖尿病治療満足度質問表 DTSQs を使用。

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表 4.10: 1 試験方法の概略(5/6)

評価項目

評価基準

有効性

主要評価項目

HbA1c の変化量(投与 18 週後−ベースライン)

副次評価項目

治療目標効果の達成率(投与 18 週後の HbA1c が 7.0%未満または 6.5%未満に低下

した患者)

相対的有効性反応の発現(投与 18 週後の HbA1c が 0.5%以上低下した患者)

HbA1c の変化量の Visit ごとの推移

FPG の変化量(投与 18 週後−ベースライン)

FPG の変化量の Visit ごとの推移

その他の評価項目

救援治療薬の投与

HOMA Index(ベースラインおよび投与 18 週後のインスリン抵抗性 HOMA-IR およ

びインスリン分泌 HOMA-IS)

Disposition index の変化(投与 18 週後−ベースライン)

体重の変化(投与 18 週後−ベースライン)

ウエスト周囲径の変化(投与 18 週後−ベースライン)

EQ-5D,HCRU および DTSQ アンケートの投与後 6 週(Visit 4),12 週(Visit 5),

18 週(Visit 6)におけるベースライン(Visit 3)からの変化

安全性

有害事象の発現頻度および重症度,有害事象による治験の中止,身体所見,12 誘導心

電図,バイタルサイン,臨床検査

解析方法 主要評価項目:投与 18 週後の HbA1c のベースラインからの変化に関して,薬剤,糖尿

病の前治療薬を固定効果とし,ベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析

(ANCOVA)を行い,プラセボに対するリナグリプチンの優越性を検証した。

副次評価項目およびその他の評価項目:主要評価項目と同様の共分散分析を探索的に

行った。救援治療薬の投与についてはロジスティック回帰およびカプラン・マイヤー法

を用いた。

安全性評価項目:記述統計法を用いた。低血糖イベントについてはロジスティック回帰

およびカプラン・マイヤー法を用いた。

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表 4.10: 1 試験方法の概略(6/6)

症例数設定の

根拠

投与 18 週後の HbA1c のベースラインから変化量の差を 0.7%,差の標準偏差を 1.6%と仮

定し,90%の検出力(片側有意水準 0.025)で検出するために必要な症例数は,プラセボ群

85 例,リナグリプチン群 170 例であった。

治験調整医師 ,米国

治験実施施設 7 カ国(アルゼンチン,ハンガリー,インド,日本,ポーランド,ロシア,米国),45 施設

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日

2)試験成績

(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

患者の内訳を図 4.10: 1 に示した。合計 471 例が本試験に登録された。そのうち 245 例がラン

ダムに割付けされ(プラセボ群 84 例,リナグリプチン群 161 例),治験薬の投与を受けた。う

ち,プラセボ群の 77 例(91.7%)およびリナグリプチン群の 151 例(93.8%)が投与を完了し,

中止例はそれぞれ,7 例(8.3%)および 10 例(6.2%)であった。主な中止理由は有害事象で

あった。

登録例 471 例 非割付け例 226 例

ランダム化割付け/投与例 245 例

プラセボ群 リナグリプチン群

84 例 (100.0%) 161 例 (100.0%) 中止例:7 例 (8.3%) 中止例:10 例 (6.2%) 中止理由 中止理由

・有害事象 : 3 例 ・有害事象 : 5 例 ・不遵守 : 0 例 ・不遵守 : 1 例 ・追跡不能 : 2 例 ・追跡不能 : 0 例 ・同意撤回 : 1 例 ・同意撤回 : 2 例 ・その他 : 1 例 ・その他 : 2 例

投与完了例 投与完了例 77 例 (91.7%) 151 例 (93.8%)

図 4.10: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 10.1: 4 より作成

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(b) 治験実施計画書からの逸脱

ランダム化割付けされた 245 例中,計 10 例(プラセボ群:5 例,リナグリプチン群:5 例)に

有効性評価に関連する治験実施計画書からの重大な逸脱がみられた。主な重大な逸脱は「ベー

スラインまたは治験薬投与期での HbA1c 未測定」で計 5 例(それぞれ,2 例および 3 例)で

あった。なお,安全性評価に関する重大な逸脱はなかった。

(c) 解析対象集団

ランダム化割付けされた全例(245 例)が治験薬の投与を受けた(Treated set)。本試験では

ベースラインおよび投与期に HbA1c が測定された患者を最大の解析対象集団(FAS)と定義

した。また,FAS のうち,早期中止に至らず,治験薬を 107 日間以上投与され,救援治療薬

の使用がなく投与終了後の有効な HbA1c の値が存在する患者を FAS-completers とした。さら

に,治験実施計画書の規定から有効性評価に影響する重大な逸脱がみられなかった患者を治験

実施計画書に合致した解析集団(PPS)とした。その結果,Treated Set は 245 例,FAS は 240

例,FAS-completers は 227 例,PPS は 235 例となった(表 4.10: 2)。

表 4.10: 2 各解析対象集団の例数

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Total

N (%)

Randomised set 84 (100) 161 (100) 245 (100)

Treated set 84 (100) 161 (100) 245 (100)

FAS 82 (97.6) 158 (98.1) 240 (98.0)

FAS-completers 77 (93.9) 150 (94.9) 227 (94.6)

PPS 79 (96.3) 156 (98.7) 235 (97.9)

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.1: 1 より作成

(d) 人口統計学的特性およびベースライン値

人口統計学的特性

Treated Set における人口統計学的特性を表 4.10: 3 に示した。男性の割合はリナグリプチン群

(47.8%)と比較してプラセボ群(61.9%)で高かった。年齢は平均 56.9 歳で 65 歳未満の割合

はリナグリプチン群(74.5%)と比較してプラセボ群(83.3%)で高かった。これらを除く人

口統計学的特性は両群で類似していた。人種の内訳はアジア人 48.6%,白人 43.7%,黒人 6.9%,

アメリカ/アラスカ先住民 0.8%であった。民族の内訳は非ヒスパニック/ラテン系が 82.9%,

ヒスパニック/ラテン系が 17.1%であった。

腎機能正常患者(MDRD 式で計算した糸球体濾過率の予測値(eGFR)が 90 mL/min 以上)が

53.9%,軽度障害患者(eGFR が 60 mL/min 以上 90 mL/min 未満)が 38.4%,中等度障害患者

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(eGFR が 30 mL/min 以上 60 mL/min 未満)が 5.7%,高度障害患者(eGFR が 30 mL/min 未

満)が 0.8%であった。

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表 4.10: 3 人口統計学的特性(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 84(100.0) 161(100.0) 245(100.0)

Gender, N (%)

Male 52 ( 61.9) 77 ( 47.8) 129 ( 52.7)

Female 32 ( 38.1) 84 ( 52.2) 116 ( 47.3)

Race, N (%)

American Indian/Alaska Native 1 ( 1.2) 1 ( 0.6) 2 ( 0.8)

Asian 43 ( 51.2) 76 ( 47.2) 119 ( 48.6)

Black/African American 6 ( 7.1) 11 ( 6.8) 17 ( 6.9)

White 34 ( 40.5) 73 ( 45.3) 107 ( 43.7)

Ethnicity, N (%)

Not Hispanic/Latino 70 ( 83.3) 133 ( 82.6) 203 ( 82.9)

Hispanic/Latino 14 ( 16.7) 28 ( 17.4) 42 ( 17.1)

Age [years]

Mean (SD) 56.2 (10.2) 57.2 (9.8) 56.9 (9.9)

Age groups [years], N (%)

<65 70 ( 83.3) 120 ( 74.5) 190 ( 77.6)

65 to 74 11 ( 13.1) 38 ( 23.6) 49 ( 20.0)

≥75 3 ( 3.6) 3 ( 1.9) 6 ( 2.4)

Baseline weight [kg]

Mean (SD) 76.08 (17.02) 74.5 (16.97) 75.04 (16.97)

Baseline weight, categorical [kg], N (%)

≤70 38 ( 45.2) 74 ( 46.0) 112 ( 45.7)

>70 to 80 15 ( 17.9) 34 ( 21.1) 49 ( 20.0)

>80 to 90 12 ( 14.3) 22 ( 13.7) 34 ( 13.9)

>90 19 ( 22.6) 31 ( 19.3) 50 ( 20.4)

Baseline BMI [kg/m2]

Mean (SD) 28.21 ( 5.12) 28.4 (5.02) 28.33 (5.04)

Baseline BMI, categorical [kg/m2], N (%)

<25 23 ( 27.4) 46 ( 28.6) 69 ( 28.2)

25 to <30 33 ( 39.3) 60 ( 37.3) 93 ( 38.0)

≥30 28 ( 33.3) 55 ( 34.2) 83 ( 33.9)

Baseline eGFR (MDRD staging) [mL/min], N (%)

≥90 49 ( 58.3) 83 ( 51.6) 132 ( 53.9)

60 to <90 27 ( 32.1) 67 ( 41.6) 94 ( 38.4)

30 to <60 7 ( 8.3) 7 ( 4.3) 14 ( 5.7)

<30 1 ( 1.2) 1 ( 0.6) 2 ( 0.8)

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.2: 1 より作成

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ベースライン値

HbA1c のベースラインの平均値はプラセボ群で 8.60%,リナグリプチン群で 8.61%であり,平

均空腹時血糖のベースライン値はプラセボ群で 174.9 mg/dL,リナグリプチン群で 182.0 mg/dL

であり,いずれも両群でほぼ同じであった。スルホニル尿素薬単剤で治療されていた患者の割

合は両群で類似しており,プラセボ群で 67.1%,リナグリプチン群で 64.6%であった(表 4.10:

4)。また全体で 28.3%の患者がスルホニル尿素薬に加えてメトホルミンで,5.4%の患者が α-

グルコシダーゼ阻害薬で治療されていた(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.1.4.2: 2)。

表 4.10: 4 ベースライン値および糖尿病前治療薬の数(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Baseline HbA1c [%]

Number of patients, N (%) 82 (100.0) 158 (100.0) 240 (100.0)

Mean (SD) 8.60 (0.72) 8.61 (0.85) 8.61 (0.81)

Baseline HbA1c, categorical, N (%)

<7.0 0 ( 0.0) 2 ( 1.3) 2 ( 0.8)

7.0 to <8.0 18 ( 22.0) 30 ( 19.0) 48 ( 20.0)

8.0 to <9.0 35 ( 42.7) 70 ( 44.3) 105 ( 43.8)

≥9.0 29 ( 35.4) 56 ( 35.4) 85 ( 35.4)

Number of prior antidiabetic drugs, N (%)

Number of patients, N (%) 82 (100.0) 158 (100.0) 240 (100.0)

1 55 ( 67.1) 102 ( 64.6) 157 ( 65.4)

2 27 ( 32.9) 56 ( 35.4) 83 ( 34.6)

Baseline FPG [mg/dL]

Number of patients, N (%) 82 (100.0) 158 (100.0) 240 (100.0)

Mean (SD) 174.9 (49.0) 182.0 (51.8) 179.6 (50.9)

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.2: 2 より作成

糖尿病の診断から同意取得までの期間と糖尿病関連合併症

糖尿病の診断から同意取得までの期間の分布は両群でほぼ同じであった。糖尿病の診断から同

意取得までの期間が 5 年超であった患者は 57.5%,1 年超 5 年以下の患者は 35.0%,1 年以下

の患者は 7.5%であった(表 4.10: 5)。

Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd. Linagliptin 2.7.6 個々の試験のまとめ Page

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表 4.10: 5 糖尿病の診断から同意取得までの期間(FAS)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 82(100.0) 158(100.0) 240(100.0)

Time since diagnosis of diabetes, N (%)

Up to 1 year 7 ( 8.5) 11 ( 7.0) 18 ( 7.5)

>1 to 5 years 29 ( 35.4) 55 ( 34.8) 84 ( 35.0)

>5 years 46 ( 56.1) 92 ( 58.2) 138 ( 57.5)

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.2: 3 より作成

ベースラインにおいて,糖尿病関連合併症を有していた患者の割合は両群でほぼ同じであった。

頻度の高かった糖尿病関連合併症は,高血圧および代謝症候群で,糖尿病三大合併症の中では

糖尿病性ニューロパチーの合併率が最も高く,次いで糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症の順で

あった(表 4.10: 6)。

表 4.10: 6 ベースラインにおける糖尿病関連合併症(Treated Set)

Placebo Linagliptin Total

Number of patients, N (%) 84 (100.0) 161 (100.0) 245 (100.0)

Patients with:

Microvascular disease, N (%)

Diabetic retinopathy 6 ( 7.1) 21 (13.0) 27 (11.0)

Diabetic nephropathy 4 ( 4.8) 13 ( 8.1) 17 ( 6.9)

Diabetic neuropathy 16 (19.0) 30 (18.6) 46 (18.8)

Macrovascular disease, N (%)

Coronary artery disease 8 ( 9.5) 19 (11.8) 27 (11.0)

Peripheral artery occlusive disease 3 ( 3.6) 2 ( 1.2) 5 (2.0)

Cerebrovascular disease 3 ( 3.6) 5 ( 3.1) 8 ( 3.3)

Hypertension 50 (59.5) 98 (60.9) 148 (60.4)

Diabetic foot, N(%) 0 ( 0.0) 3 ( 1.9) 3 ( 1.2)

Metabolic syndrome, N(%) 31 ( 36.9) 71 ( 44.1) 102 ( 41.6)

注)糖尿病関連合併症の重複例もある

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.2: 4 より作成

ベースラインのインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標

患者のベースライン時のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標を表 4.10: 7 に示

した。すべてのインスリン関連バイオマーカーのベースライン時における平均値は両群で類似

していた。

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551

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表 4.10: 7 ベースラインのバイオマーカーおよびその派生指標(FAS)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N(%) 82 (100.0) 158 (100.0)

Baseline C-peptide [pmol/L]

Mean (SD) 962.5 (496.6) 979.5 (535.8)

gMean (gCV) 841.7 (58) 861.0 (55.6)

Baseline insulin [mU/L]

Mean (SD) 12.8 (42.8) 9.9 (10.5)

gMean (gCV) 6.7 (93.6) 7.2 (83.8)

Baseline HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)]

Mean (SD) 6.4 (26.3) 4.4 ( 4.8)

gMean (gCV) 2.8 (109) 3.1 (90.7)

Baseline HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)]

Mean (SD) 47.7 (111.3) 61.7 (205.8)

gMean (gCV) 24.8 (113.8) 25.3 (130.2)

Dispositon index [(1/((mmol/L)×(mmol/L))]

Mean (SD) 15.0 (34.1) 19.9 (98.4)

gMean (gCV) 8.8 (101) 8.0 (107)

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.2: 5 より作成

(e) 服薬遵守状況

服薬遵守状況は,導入期の終わりと投与期の来院時に評価し,治験薬服薬率が 80~120%に含

まれる場合に「良好」とした。両群ともに服薬遵守状況が不良の患者の割合は極めて低かった

(プラセボ群:最大で 3.7%,リナグリプチン群:最大で 3.8%)(CTD 5.3.5.1-10,試験

1218.35,Table 15.1.5: 1)。

(2) 有効性

(a) 主要評価項目

主解析:HbA1c の変化量

投与 18 週後のベースラインからの HbA1c の変化量に対し,薬剤,糖尿病前治療薬の数を固定

効果およびベースラインの HbA1c を共変量とした共分散分析を行った結果を表 4.10: 8 に示し

た。投与 18 週におけるベースラインからの HbA1c の調整平均変化量のリナグリプチン群とプ

ラセボ群との差(調整平均値)は,−0.47%(95%信頼区間:−0.70~−0.24%)であり,HbA1c

の低下に関してプラセボ群に対するリナグリプチン群の優越性が検証された(ANCOVA:

p<0.0001)。

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552

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表 4.10: 8 投与 18 週における HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量

(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients 82 158

Number of patients with baseline and on-treatment results 82 158

Baseline

Mean (SE) 8.60 ( 0.08) 8.61 ( 0.07)

Change from baseline

Mean (SE) −0.11 ( 0.08) −0.58 ( 0.07)

Adjusteda)mean (SE) −0.07 ( 0.10) −0.54 ( 0.07)

Comparison vs. placebo (difference linagliptin - placebo)

Adjusteda)mean (SE) −0.47 ( 0.12)

95% Confidence interval −0.70, −0.24

p-value <0.0001

a)ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む.

SE = Standard error

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.4.1.1.1: 1 より作成

副次解析

• 投与 18 週後の HbA1c の感度分析

ベースラインからの変化量の共分散分析結果において,調整平均変化量の差は,PPS および

FAS-completers で,それぞれ −0.44%(ANCOVA: p<0.0001)および −0.47%(ANCOVA:

p=0.0002)であり主解析と同様の結果が得られた(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Tables

15.2.1.2.1: 1 および 15.2.1.2.1: 2)。

HbA1c のベースライン値と糖尿病の前治療薬の数が,主要評価項目である HbA1c 変化量に影

響を及ぼすかを検討するために,薬剤と糖尿病の前治療薬の数,薬剤とベースライン HbA1c

の 2 つの交互作用項をモデルに含めた共分散分析を行った。その結果,糖尿病の前治療薬の数

ならびにベースライン HbA1c と薬剤との間に交互作用はなかった。

糖尿病の前治療薬がスルホニル尿素薬のみの患者とスルホニル尿素薬と他の糖尿病治療薬を併

用していた患者における投与 18 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量

(LOCF)は,それぞれ−0.49%および−0.42%であり,ほぼ同じであった(CTD 5.3.5.1-10,試

験 1218.35,Table 15.2.1.2.1: 3)。

• HbA1c の推移

投与 6,12 および 18 週後の HbA1c のベースラインからの調整平均変化量(OC)のリナグリ

プチン群とプラセボ群との差は,それぞれ−0.41,−0.50 および−0.47%であり,いずれも統計

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学的に有意であった(ANCOVA:それぞれ p≤0.0002,CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table

15.2.1.2.1: 4 および Table 15.2.1.2.1: 5)。

HbA1c(%)のベースラインからの調整平均変化量の推移を図 4.10: 2 に示した。

図 4.10: 2 ベースラインからの調整平均 HbA1c (%)変化量(±SE)の推移(FAS-

LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Figure 11.4.1.1.2: 1 より作成

• HbA1c の層別解析

投与 18 週後の HbA1c のベースラインからの平均変化量は各層でほぼ同程度であった(表

4.10: 9)。唯一,人種による層別解析で有意な交互作用(p=0.0091)を認めたが,例数が少な

いアメリカ/アラスカ先住民(各群で 1 例)を除いた層別解析では有意な交互作用は認められ

ず(p=0.3084),人種による交互作用はアメリカ/アラスカ先住民の層による影響であった。

本試験に参加した日本人患者でのベースライン値は,プラセボ群で 8.51%,リナグリプチン群

で 8.65%であり,2 群間に大きな差はなかった。投与 18 週後の調整平均変化量は,プラセボ

群で−0.19%,リナグリプチン群で−0.90%であり,その差は−0.71%(95%信頼区間:−1.14~

−0.28,p=0.0017)であった。日本人患者におけるリナグリプチン群のプラセボ群に対する効

果は,本試験全体での結果よりやや高く,日本人においてもスルホニル尿素薬に対する追加療

法としてのリナグリプチンの効果が示された。

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表 4.10: 9 層別の HbA1c (%)のベースラインからの平均変化量(FAS-LOCF)

Placebo

(N=82)

Linagliptin

(N=158)

N Mean SD N Mean SD

Baseline HbA1c [%]

<7.5 4 0.22 1.07 12 -0.05 0.88

7.5 to <8.0 14 -0.11 0.81 20 -0.46 0.82

8.0 to <9.0 35 -0.01 0.64 70 -0.57 0.82

≥9.0 29 -0.28 0.82 56 -0.75 1.02

Number of prior antidiabetic drugs

1 55 -0.19 0.76 102 -0.67 0.97

2 27 0.03 0.74 56 -0.41 0.76

Region

Asia 42 −0.16 0.75 75 −0.76 0.95

Europe 17 −0.11 0.88 44 −0.40 0.80

North America 15 −0.03 0.72 25 −0.41 0.90

South America 8 −0.04 0.74 14 −0.45 0.95

Race

American Indian/Alaska Native 1 -0.1 1 2.4

Asian 42 -0.16 0.75 76 -0.8 0.87

Black/African American 6 0.25 0.37 11 -0.41 0.82

White 33 -0.12 0.83 70 -0.4 0.87

Ethnicity

Hispanic/Latino 14 -0.01 0.87 27 -0.38 1.01

Not Hispanic/Latino 68 -0.13 0.74 131 -0.62 0.89

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.4.1.1.2: 1 より作成

人口統計学的特性において両群で不均衡がみられた性別および年齢(65 歳未満,65 歳以上)

で層別解析を行ったところ,性別および年齢とも交互作用は有意でなかった(それぞれ,

p=0.2311 および p=0.767 )( CTD 5.3.5.1-10 ,試験 1218.35 , Statdoc 6.1.2.3.7.1 , Statdoc

6.1.2.3.8.1,Appendix 16.1.9.2)。

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(b) 副次評価項目

空腹時血糖

投与 18 週後のベースラインからの空腹時血糖変化量(LOCF)のリナグリプチン群とプラセ

ボ群との差(調整平均値)は,−6.4 mg/dL であった(ANCOVA:p=0.2406)(表 4.10: 10)。

PPS および FAS-completers を対象とした解析でも同様の結果であった。本試験に参加した日本

人患者でも同様に,投与 18 週後のベースラインからの調整平均変化量は,プラセボ群で−4.16

mg/dL,リナグリプチン群で−13.80 mg/dL と,リナグリプチン群はプラセボ群に比べ低下した

が統計学的に有意な差ではなかった(p=0.2423)。また,空腹時血糖値のベースライン値と糖

尿病の前治療薬の数が,空腹時血糖の変化量に影響を及ぼすかを検討するために,薬剤と糖尿

病の前治療薬の数,薬剤とベースライン空腹時血糖の 2 つの交互作用項をモデルに含めた共分

散分析を行った。その結果,糖尿病の前治療薬の数ならびにベースライン空腹時血糖と薬剤の

間に交互作用はなかった。

表 4.10: 10 投与 18 週における空腹時血糖(mg/dL)のベースラインからの調整平均変

化量(FAS-LOCF)

Placebo Linagliptin

Number of patients 82 158

Number of patients with baseline and on-treatment results 78 155

Baseline

Mean (SE) 171.0 ( 5.3) 180.1 ( 4.0)

Change from baseline

Mean (SE) 1.2 ( 5.0) -10.1 ( 3.8)

Adjusted1 mean (SE) -1.8 ( 4.5) -8.2 ( 3.3)

Comparison vs. placebo (difference linagliptin - placebo)

Adjusted 1 mean (SE) -6.4 ( 5.5)

95% Confidence interval -17.2, 4.3

p-value 0.2406 1 ANCOVA:薬剤,ベースライン HbA1c,ベースライン空腹時血糖,糖尿病の前治療薬の数をモデルに含む

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.4.1.2.1: 1 より作成

空腹時血糖のベースラインからの変化量の推移を図 4.10: 3 に示した。

投与 12 週後では,空腹時血糖のベースラインからの調整平均変化量のリナグリプチン群とプ

ラセボ群との差は,統計学的に有意であったが(−14.5 mg/dL,p=0.0105),投与 6 週後および

18 週後では統計学的に有意ではなかった(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.2.2.1: 6)。

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図 4.10: 3 ベースラインからの平均空腹時血糖(mg/dL)変化量(±SE)の推移(FAS-

LOCF)

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Figure 11.4.1.2.1: 1 より作成

• 治療目標効果の達成率と有効性反応の発現率(HbA1c)

途中中止例を,18 週時点での治療目標の未達成および有効性反応の未発現とみなす方法

(NCF)で 18 週時の欠測値を補完して解析した。

HbA1c のベースライン値が 7.0%以上であった患者のうち,投与 18 週後において HbA1c が

7.0%未満の治療目標効果を達成した患者の割合は,プラセボ群の 3.7%対してリナグリプチン

群では 14.7%であった(オッズ比 6.466,p=0.0065; CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table

15.2.2.2:1)。ベースラインの HbA1c が 6.5%以上であった患者のうち,投与 18 週後の HbA1c

が 6.5%未満の治療目標効果を達成した患者の割合は,プラセボ群で 2.4%,リナグリプチン群

で 5.7%であった(表 4.10: 11)。

投与 18 週後に HbA1c がベースラインから 0.5%以上減少(有効性反応の発現)した患者の割

合は,プラセボ群と比較してリナグリプチン群で大きかった(オッズ比 5.125,p<0.0001;

CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.2.2.4: 1)。ベースラインの HbA1c が高いほど 0.5%以上

減少(有効性反応の発現)した患者の割合が大きく,ベースラインの HbA1c が 9.0%以上の場

合はプラセボ群で 34.5%,リナグリプチン群で 66.1%,8.0%以上 9.0%未満の場合はプラセボ

群で 14.3%,リナグリプチン群で 54.3%,7.0%以上 8.0%未満の場合はプラセボ群で 16.7%,リ

ナグリプチン群で 50.0%であった(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.2.2.4: 2)。

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表 4.10: 11 投与 18 週における HbA1c の治療目標効果の達成例数と有効性反応の発現

例数と割合(FAS- NCF)

Placebo Linagliptin

na) (%) Nb) na) (%) Nb)

Response criterion

HbA1c <7.0% 3 (3.7) 82 24 (15.2) 158

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 3 (3.7) 82 23 (14.7) 156

HbA1c <6.5% 2 (2.4) 82 9 (5.7) 158

Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 2 (2.4) 82 8 (5.1) 156

Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 2 (2.4) 82 9 (5.7) 157

HbA1c reduction from baseline HbA1c ≥0.5% 18 (22.0) 82 91 (57.6) 158

a)治療目標効果達成例数または有効性反応の発現例数

b)解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.4.1.2.2: 1 より作成

(c) その他の評価項目

救援治療薬の使用

救援治療薬を使用した患者の割合は,プラセボ群で 15.9%,リナグリプチン群で 7.6%(オッ

ズ比 0.398,p=0.0350)であった(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.2.3.1: 1,Table

15.2.3.1: 2)。

• 体重およびウエスト周囲径

投与 18 週後のベースラインからの体重およびウエスト周囲径の平均変化量は両群ともにわず

かであった(表 4.10: 12)。

表 4.10: 12 投与 18 週における体重(kg)およびウエスト周囲径のベースラインからの

平均変化量(FAS- OC)

Placebo (N=82) Linagliptin (N=158)

N Mean SD N Mean SD

Body weight [kg]

Change to Week 18 66 -0.0 1.8 141 0.4 2.0

Waist circumference [cm]

Change to Week 18 66 -0.7 3.6 141 0.3 3.3

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.4.1.3.2: 1 より作成

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• 健康関連 QOL(EQ-5D)および糖尿病治療満足度質問票(DTSQs)

健康に関する EQ-5D(5 項目),および治療満足度(6 項目)ならびに高血糖および低血糖症

を自覚した頻度を評価する DTSQs(2 項目)について,ベースライン,投与 6,12 および 18

週に調査を実施した。

EQ-5D スコアのベースラインからの変化量は,両群でほぼ同じであった(CTD 5.3.5.1-10,試

験 1218.35,Table 15.2.4.1: 1,Table 15.2.4.1: 2)。

DTSQs のベースラインからの変化量は,すべての項目でプラセボ群に比較して,リナグリプ

チン群が高い改善を示した(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.2.4.1: 1,Table 15.2.4.3:

1)。

(3) 臨床薬理

(a) インスリン関連バイオマーカーとその派生指標

投与 18 週後のインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標のベースラインからの調整

平均変化量を表 4.10: 13 に示した。HOMA-IR のベースラインからの調整平均変化量はプラセ

ボ群とリナグリプチン群で,それぞれ−2.09 および−0.80 (mU/L)×(mmol/L)であり,変化量に

統計学的に有意な差が認められた(p=0.0146)。一方,ベースラインからの幾何平均変化割合

はプラセボ群で 1.03,リナグリプチン群で 1.05 であり,両群間に有意な差は認められなかっ

た(p=0.1667)(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.7.1.5:2)。HOMA-IS および Disposition

index については,投与 18 週においてベースラインからの変化量に両群間で有意な差は認めら

れなかった。

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表 4.10: 13 投与 18 週におけるインスリン関連バイオマーカーおよびその派生指標の

ベースラインからの調整平均変化量(FAS-OC)

Placebo Linagliptin

HOMA-IR [(mU/L)×(mmol/L)]

Number of patients with baseline and on-treatment results 61 120

Baseline, mean (SE) 6.83 (3.84) 4.47 (0.44)

Adjusted mean change from baseline (SE) -2.09 (0.43) -0.80 (0.30)

Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 1.29 (0.53)

95% Confidence interval 0.26, 2.33

p-value 0.0146

HOMA-IS [(mU/L)/(mmol/L)]

Number of patients with baseline and on-treatment results 61 120

Baseline, mean (SE) 53.56 (16.19) 70.65 (20.56)

Adjusted mean change from baseline (SE) -27.92 (8.24) -13.98 (5.87)

Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 13.94 (10.12)

95% Confidence interval -6.03, 33.92

p-value 0.1700

Disposition index [(1/((mmol/L)×(mmol/L))]

Number of patients with baseline and on-treatment results 64 139

Baseline, mean (SE) 17.37 (4.77) 21.91 (8.88)

Adjusted mean change from baseline (SE) -9.22 (1.35) -7.41 (0.91)

Comparison vs. placebo

Adjusted mean (SE) 1.81 (1.63)

95% Confidence interval -1.40, 5.02

p-value 0.2676

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 11.5.3.1: 1 より作成

(4) 安全性

(a) 曝露状況

治験薬の平均曝露日数は,プラセボ群で 121 日,リナグリプチン群で 124 日であり,曝露日数

の中央値は両群ともに 127 日であった(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 12.1: 1)。

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(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本試験では,治験薬の最初の投与から最終投与 7 日後までに発現した好ましくないすべての事

象を治験期間中に発現した有害事象,治験薬の投与開始前および最終投与後 7 日以降に発現し

た好ましくない事象をそれぞれ,治療期前および後観察期に発現した有害事象として集計した。

有害事象の概略

有害事象の概略を表 4.10: 14 に示した。有害事象はプラセボ群で 36 例(42.9%),リナグリプ

チン群で 68 例(42.2%)に発現した。高度の有害事象はリナグリプチン群で 4 例(2.5%)に

みられたが,プラセボ群では認められなかった。治験担当医師により治験薬との因果関係あり

と判定された有害事象はプラセボ群で 8 例(9.5%),リナグリプチン群で 13 例(8.1%)に認

められた。治験実施計画書で規定した重要な有害事象はプラセボ群で 0 例(0.0%),リナグリ

プチン群で 3 例(1.9%)であり,その他の重要な有害事象はプラセボ群で 3 例(3.6%),リナ

グリプチン群で 2 例(1.2%)に認められた。治験中止に至った有害事象はプラセボ群で 3 例

(3.6%),リナグリプチン群で 4 例(2.5%)認められた。重篤な有害事象はプラセボ群で 1 例

(1.2%),リナグリプチン群で 5 例(3.1%)に発現した。致死的有害事象がリナグリプチン群

で 1 例に発現した。

表 4.10: 14 有害事象の概略(Treated Set)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Number of patients 84 (100.0) 161 (100.0)

Patients with any AE 36 (42.9) 68 (42.2)

Patients with severe AEs 0 (0.0) 4 (2.5)

Patients with investigator defined drug-related AEs 8 (9.5) 13 (8.1)

Patients with significant AEs a) 0 (0.0) 3 (1.9)

Patients with other significant AEs (according to ICH E3) 3 (3.6) 2 (1.2)

Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug 3 (3.6) 4 (2.5)

Patients with serious AEs 1 (1.2) 5 (3.1)

Fatal 0 (0.0) 1 (0.6)

Requiring/ prolonging hospitalisation 1 (1.2) 4 (2.5)

a)SMQ に基づく過敏症反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 12.2.1: 1 より作成

高頻度に発現した有害事象

いずれかの群で発現率が 2%超の有害事象を表 4.10: 15 に示した。

器官別大分類では,代謝および栄養障害(プラセボ群:21.4%,リナグリプチン群:16.1%),

感染症および寄生虫症(プラセボ群:4.8%,リナグリプチン群:12.4%),筋骨格系および結

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合組織障害(プラセボ群:7.1%,リナグリプチン群:6.8%)全身障害および投与局所様態

(プラセボ群:6.0%,リナグリプチン群:3.1%)に分類される有害事象が最も高頻度に発現

した。感染症および寄生虫症のうち,基本語で最も最も高頻度に発現した有害事象は,鼻咽頭

炎(プラセボ群:1.2%,リナグリプチン群:4.3%)であった。

器官別大分類で,皮膚および皮下組織障害ならびに血液およびリンパ系障害に分類される有害

事象は,DPP-4 阻害薬投与時に認められる典型的な有害事象であり,心臓障害は新規の糖尿病

治療薬の開発時に留意すべき有害事象である。皮膚および皮下組織障害はリナグリプチン群で

計 4 例(2.5%)に認められ,内訳は冷汗および蕁麻疹が各 2 例(1.2%)であった。プラセボ

群で 1 例(1.2%)に発疹が認められた。血液およびリンパ系障害に分類される有害事象では,

貧血がリナグリプチン群で 1 例(0.6%),プラセボ群で 1 例(1.2%)に認められた。心臓障害

として,心肺停止,心筋梗塞,上室性頻脈がリナグリプチン群で各 1 例(0.6%)に認められ

た。プラセボ群では心臓障害は認められなかった。

表 4.10: 15 治療期間中に発現した主な有害事象(いずれかの群で 2%超)(Treated

Set)

器官別大分類/基本語 a) Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

例数 84 (100.0) 161 (100.0)

有害事象発現例数 36 (42.9) 68 (42.2)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 18 (21.4) 26 (16.1)

高血糖 (Hyperglycaemia) 14 (16.7) 14 (8.7)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 4 (4.8) 7 (4.3)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 4 (4.8) 20 (12.4)

鼻咽頭炎 (Nasopharyngitis) 1 (1.2) 7 (4.3)

尿路感染 (Urinary tract infection) 0 (0.0) 5 (3.1)

筋骨格系および結合組織障害

(Musculoskeletal and connective tissue disorders) 6 (7.1) 11 (6.8)

背部痛 (Back pain) 2 (2.4) 1 (0.6)

四肢痛 (Pain in extremity) 2 (2.4) 2 (1.2)

全身障害および投与局所様態

(General disorders and administration site conditions) 5 (6.0) 5 (3.1)

疲労 (Fatigue) 2 (2.4) 0 (0.0)

器官別大分類ごとの有害事象の発現例数は 2%以下の発現率の有害事象の発現例数も含む.

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 12.2.2: 1 より作成

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高度な有害事象

リナグリプチン群で高度な有害事象が 4 例(2.5%)に発現した。内訳は,胆石症,心肺停止,

筋骨格痛を発現した患者が各 1 例,上室性頻脈・悪心・嘔吐・腎盂腎炎・急性腎不全・敗血

症・敗血症性ショックを発現した患者が 1 例であった(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table

15.3.2: 10)。なお,プラセボ群では高度な有害事象の報告はなかった。

治験薬と因果関係がある有害事象

治験担当医師により治験薬との因果関係ありと判定された有害事象を表 4.10: 16 に示した。高

頻度に発現した治験薬と因果関係がある有害事象は,器官別大分類で代謝および栄養障害に分

類される低血糖症でプラセボ群 4 例(4.8%),リナグリプチン群 7 例(4.3%)であった。高血

糖はプラセボ群の 3 例(3.6%)で発現したが,リナグリプチン群では認められなかった。基

本語で治験薬と因果関係があると判定された有害事象は,高血糖と低血糖症を除き,いずれも

1 例にのみ発現した有害事象であった。

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表 4.10: 16 治験期間中に発現した治験薬と因果関係がある有害事象(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

例数 84 (100.0) 161 (100.0)

治験薬と因果関係のある有害事象 8 (9.5) 13 (8.1)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 0 (0.0) 1 (0.6)

消化不良 (Dyspepsia) 0 (0.0) 1 (0.6)

全身障害および投与局所様態

(General disorders and administration site conditions) 0 (0.0) 2 (1.2)

無力症 (Asthenia) 0 (0.0) 1 (0.6)

疼痛 (Pain) 0 (0.0) 1 (0.6)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 0 (0.0) 1 (0.6)

副鼻腔炎 (Sinusitis) 0 (0.0) 1 (0.6)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 7 (8.3) 7 (4.3)

高血糖 (Hyperglycaemia) 3 (3.6) 0 (0.0)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 4 (4.8) 7 (4.3)

筋骨格性および結合組織障害

(Musculoskeletal and connective tissue disorders) 0 (0.0) 1 (0.6)

筋肉痛 (Myalgia) 0 (0.0) 1 (0.6)

神経系障害 (Nervous system disorders) 0 (0.0) 3 (1.9)

灼熱感 (Burning sensation) 0 (0.0) 1 (0.6)

注意力障害 (Disturbance in attention) 0 (0.0) 1 (0.6)

浮動性めまい (Dizziness) 0 (0.0) 1 (0.6)

腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 0 (0.0) 1 (0.6)

腎機能障害 (Renal impairment) 0 (0.0) 1 (0.6)

生殖系および乳房障害 (Reproductive system and breast disorders) 1 (1.2) 0 (0.0)

良性前立腺肥大症 (Benign prostatic hyperplasia) 1 (1.2) 0 (0.0)

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 0 (0.0) 1 (0.6)

冷汗 (Cold sweat) 0 (0.0) 1 (0.6)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.3.2: 11 より作成

治験中止に至った有害事象

治験中止に至った有害事象はリナグリプチン群で 4 例(2.5%),プラセボ群で 3 例(3.6%)に

認められた(表 4.10: 17)。リナグリプチン群で腎盂腎炎により中止した 1 例および肝酵素上

昇により中止した 1 例については,治験薬との因果関係はないと判定された。なお,後者の患

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者では,投与 116 日後に AST 131 U/L,ALT 231 U/L,ALP 89 U/L,GGT 215 U/L,LDH 256

U/L および総ビリルビン 10.3 µmol/L を示し,再検でも異常値であった。ベースラインおよび

中止後の検査値は正常範囲であった。本患者は臨床的に兆候がみられない軽度のウイルス性肝

炎を有していた。副鼻腔炎または低血糖症により中止した各 1 例については,治験薬との因果

関係ありと判定された。プラセボ群で中止に至った 3 例の有害事象は,コントロール不良の糖

尿病,高血糖および低血糖症であり,低血糖症は治験薬との因果関係ありと判定された。

表 4.10: 17 治験中止に至った有害事象(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

例数 84 (100.0) 161 (100.0)

治験中止に至った有害事象発現例 3 (3.6) 4 (2.5)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 0 (0.0) 2 (1.2)

腎盂腎炎 (Pyelonephritis) 0 (0.0) 1 (0.6)

副鼻腔炎 (Sinusitis) 0 (0.0) 1 (0.6)

臨床検査 (Investigations) 0 (0.0) 1 (0.6)

肝酵素上昇 (Hepatic enzyme increased) 0 (0.0) 1 (0.6)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders) 3 (3.6) 1 (0.6)

コントロール不良の糖尿病

(Diabetes mellitus inadequate control) 1 (1.2) 0 (0.0)

高血糖 (Hyperglycaemia) 1 (1.2) 0 (0.0)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 1 (1.2) 1(0.6)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.3.2: 5 より作成

低血糖イベント

治験担当医師判定による低血糖イベント(低血糖症および低血糖症の症状に関連する有害事

象)は,プラセボ群で 4 例(4.8%),リナグリプチン群で 9 例(5.6%)認められた(表 4.10:

18)。高度の低血糖イベントは認められなかった。

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表 4.10: 18 治験担当医師判定による低血糖イベントを発現した患者(Treated Set)

Placebo Linagliptin

Number of patients, N(%) 84 (100.0) 161 (100.0)

Number of patients with any investigator-defined hypoglycaemia,

N(% of patients treated)a)

4 (4.8) 9 (5.6)

Any asymptomatic hypoglycaemiab), N(% of patients with hypoglycaemia) 3 (75.0) 2 (22.2)

Any documented symptomatic hypoglycaemiac) and measured plasma glucose

≥54 mg/dL and ≤70 mg/dL, N(% of patients with hypoglycaemia)

1 (25.0) 4 (44.4)

Any documented symptomatic hypoglycaemiad) and measured plasma glucose

<54 mg/dL, N(% of patients with hypoglycaemia)

0 (0.0) 2 (22.2)

Any severe hypoglycaemic episodee), N(% of patients with hypoglycaemia) 0 (0.0) 0 (0.0)

Number of hypoglycaemic episodes per patient, N(% of patients with hypoglycaemia)

1 3 (75.0) 3 (33.3)

2 to 3 0 (0.0) 3 (33.3)

≥4 1 (25.0) 3 (33.3)

a)各カテゴリーまたは各イベントに重複例あり

b)低血糖症の症状を伴っていないが,血糖値 70 mg/dL 以下

c)低血糖症の症状を伴う

d)低血糖症の症状を伴うが,他者による介助は不要

e)ブドウ糖,グルカゴンの投与または他の蘇生処置に他者による介助が必要

注)1 例(リナグリプチン群)において低血糖イベントの発現日に血糖測定せず

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 12.2.2: 2 より作成

臨床イベント委員会で審査・確認された心血管イベントおよび脳血管イベント

臨床イベント委員会によってリナグリプチン群の 2 例が,心血管イベントおよび脳血管イベン

トを発現したと判定され,1 例が不安定狭心症と判定され,1 例が突然死と判定された。プラ

セボ群では該当する事象は認められなかった。

(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

本試験において 1 例の死亡例があった。当該患者は 64 歳の白人女性で,20 年 月 日に

リナグリプチン 5 mg の投与を開始し, に心肺停止のため死亡した。当該事

象は治験担当医師により治験薬との因果関係なしと判定され,臨床イベント委員会で審査され,

突然死と判定された。

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投与開始94日後*

negishis
テキストボックス
*:新薬承認情報提供時に置換え
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その他の重篤な有害事象

重篤な有害事象はプラセボ群で 1 例(1.2%)に 1 件,リナグリプチン群で 5 例(3.1%)に 9

件発現した(表 4.10: 14)。重篤な有害事象はいずれも治験担当医師により治験薬との因果関

係なしと判定された。リナグリプチン群で認められた重篤な有害事象は,腎盂腎炎・敗血症・

敗血症性ショック・上室性頻脈・急性腎不全,硝子体出血,心肺停止,心筋梗塞,胆石症(各

1 例)であった。プラセボ群で認められた重篤な有害事象は,てんかん 1 例であった(表

4.10: 19)。

表 4.10: 19 重篤な有害事象(Treated Set)

Patient No.

Age [years] /gender

Preferred term a Start day

Duration [days]

Intensity Drug related

Action taken Outcome

Placebo

50885 59 / female てんかん (Epilepsy) 13 1 Mild No Continued Recovered

Linagliptin

50125 47 / female 腎盂腎炎 (Pyelonephritis)

75 10 Severe No Discontinued Recovered

敗血症 (Sepsis) 75 10 Severe No NA Recovered

敗血症性ショック (Septic shock)

75 10 Severe No NA Recovered

上室性頻脈 (Supraventricular tachycardia)

76 1 Severe No NA Recovered

急性腎不全 (Renal failure acute)

75 35 Severe No NA Recovered

50253 43/male 硝子体出血 (Vitreous haemorrhage)

86 167§ Moderate No Continued Not recovered&

50630 64/female 心肺停止(Cardio-respiratory arrest)

95 1 Severe No NA Fatal

50865 53/female 心筋梗塞 (Myocardial infarction)

29 12 Mild No Continued Recovered

50945 46/male 胆石症 (Cholelithiasis) 77 7 Severe No Reintroduced Recovered

§ = 打ち切り,&=追跡終了

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.4.2: 1 より作成

治験実施計画書で規定した重要な有害事象

治験実施計画書で規定した重要な有害事象のうち,腎障害はリナグリプチン群で 2 例(急性腎

不全および腎機能障害),肝障害はリナグリプチン群で 1 例(肝酵素上昇),過敏症反応の可能

性のある有害事象はリナグリプチン群で 2 例(心肺停止および蕁麻疹)認められた(表 4.10:

20)。肝酵素上昇は治験中止に至った有害事象であり,治験担当医師により治験薬との因果関

係なしと判定された。心肺停止はアナフィラキシー反応によるものとして臨床イベント委員会

で審査されたが,過敏症反応(アナフィラキシー反応)の証拠がなく,突然死と判定された。

蕁麻疹は重篤ではないものの過敏症反応と考えられた。プラセボ群では腎障害,肝障害または

過敏症反応は認められなかった。

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表 4.10: 20 SMQs に基づく治験実施計画書で規定した重要な有害事象(Treated set)

Placebo

N (%)

Linagliptin

N (%)

Number of patients 84 (100.0) 161 (100.0)

Patients with hypersensitivity reactionsa) 0 (0.0) 2 (1.2)

Patients with renal adverse eventsb) 0 (0.0) 2 (1.2)

Patients with hepatic adverse eventsc) 0 (0.0) 1 (0.6)

a)SMQs で'「高度皮膚副作用」,「アナフィラキシー反応」,「血管浮腫」および「喘息気管支痙攣」に該当

b)SMQs で「急性腎不全」に該当

c)SMQs で「非感染性肝炎」,「肝不全,線維症,肝硬変およびその他の肝細胞障害」,「肝関連検査,徴候お

よび症状」および「肝由来の胆汁うっ帯および黄疸」に該当

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 12.3.3: 1 より作成

(d) 臨床検査

臨床検査値(血液学的検査,生化学検査,尿検査)の変動に両群間で顕著な差は認められな

かった。

臨床的に重要な臨床検査値変動発現の頻度を表 4.10: 21 に示した。臨床的に重要な臨床検査値

異常の発現頻度は両群とも低かった。血漿トリグリセリドで臨床的に重要な変動(上昇)が,

プラセボ群で 3 例(3.7%),リナグリプチン群で 16 例(10.1%)にみられた。ベースラインで

の血漿トリグリセリドが低値ないし正常値から投与期の最終時点で高値を示した患者の割合は,

プラセボ群で 14.9%(7/47 例),リナグリプチン群で 19.5%(15/77 例)であった(CTD

5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.3.3: 2)。なお,ベースラインから投与期最終の血漿トリグ

リセリド平均値の推移では,プラセボ群およびリナグリプチン群ともに,それぞれ 17 mg/dL

および 21 mg/dL 低下した(CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 15.3.3: 1)。

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表 4.10: 21 臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度(Treated Set)

Placebo Linagliptin

N

Decrease

n (%)

Increase

n (%)

N

Decrease

n (%)

Increase

n (%)

Haematology

Haematocrit 81 2 (2.5) N/A 158 3 (1.9) N/A

Haemoglobin 81 0 N/A 158 3 (1.9) N/A

Erythrocytes 81 0 N/A 158 1 (0.6) N/A

Leucocytes 81 1 (1.2) 0 158 0 0

Eosinophils 81 N/A 1 (1.2) 158 N/A 5 (3.2)

Clinical chemistry

Amylase 81 N/A 1 (1.2) 158 N/A 1 0.6)

AST 81 N/A 0 158 N/A 2 (1.3)

ALT 81 N/A 0 158 N/A 1 (0.6)

GGT a) 81 N/A 1 (1.2) 158 N/A 2 (1.3)

Creatine kinase 81 N/A 1 (1.2) 158 N/A 0

Potassium 81 0 1 (1.2) 158 0 3 (1.9)

Sodium 81 0 0 158 1 (0.6) 0

Creatinine 81 N/A 2 (2.5) 158 N/A 7 (4.4)

Calcium 81 0 0 158 1 (0.6) 0

Uric acid 81 N/A 1 (1.2) 158 N/A 8 (5.1)

Plasma triglycerides 81 N/A 3 (3.7) 158 N/A 16 (10.1)

Glucose 82 0 N/A 158 1 (0.6) N/A

略語:N/A=基準無し,N=治療中に測定を1回以上実施した患者数,n = 臨床的に重要な減少

/低下または増加/上昇した患者数 a)γ-Glutamyl-transferase

引用元:CTD 5.3.5.1-10,試験 1218.35,Table 12.4: 1 より作成

Hy's law に該当する肝機能検査値異常は認められなかった。両群の腎機能検査値に特記すべき

差は認められなかった。

(e) バイタルサイン,身体所見および心電図

ベースラインからの血圧または脈拍数の両群の推移は同様であった。

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3) 結論

スルホニル尿素薬の単剤療法で血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者にリナグリプチン 5

mg またはプラセボを 18 週間経口投与した結果,投与 18 週後のベースラインからの HbA1c

の変化量について,リナグリプチンとプラセボの間に統計学的に有意かつ臨床的に意味のある

低下が認められ,プラセボに対するリナグリプチンの優越性が検証された。

本試験においてリナグリプチンは,スルホニル尿素薬の単剤治療で血糖コントロール不良の 2

型糖尿病患者の HbA1c を低下させ,その安全性および忍容性は良好であり,安全性プロファ

イルはリナグリプチンとプラセボで類似していた。低血糖イベントの発現率はリナグリプチン

とプラセボでほぼ同じであり,重症度はいずれも軽度であった。体重およびウエスト周囲径に

変化は認められなかった。

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4.11 試験 1218.40 (中間解析)

(CTD

5.3.5.2-1)

1) 試験方法

試験方法の概略を表 4.11: 1 に示した。なお,HbA1c 値は全て NGSP 基準で測定した。

表 4.11: 1 試験方法の概略 (1/4)

目的 非盲検長期投与における BI 1356(リナグリプチン)5 mg の安全性および忍容性の検討 副次目的はリナグリプチンの単剤投与または 2 型糖尿病患者の治療に通常用いられる他の

治療法との併用投与における有効性の検討

試験デザイン 第 III 相,非盲検,継続投与試験 先に実施した試験 1218.15,1218.16,1218.17 および 1218.18 を計画どおりに完了した 2 型

糖尿病患者を対象に,リナグリプチンを 1 日 1 回 78 週間経口投与したときの安全性およ

び忍容性の検討試験

対象 選択基準

(1) GCP および各地域の要件にしたがって,遅くとも Visit 1 までに文書による同意が本人

から得られた患者

(2) 救援治療薬の使用の有無にかかわらず,先行する二重盲検試験の全投与期間を完了し

ている患者

除外基準

(1) 先行する二重盲検試験の投与期間の中止基準に 1 つ以上該当する患者

(2) 以下に該当する閉経前の女性(同意取得時点で最終月経から 1 年以内の患者)

•授乳中または妊娠中の患者

•妊娠の可能性がある女性で,適切な避妊法を用いる意思のない女性

(3) 同意取得前 3 カ月以内に試験参加を妨げる可能性のあるアルコール乱用歴を有する患

(4) 治験担当医師が治験参加を妨げると判断した薬物乱用歴を有する患者

(5) その他,本治験実施計画書に従い,治験を実施することが困難な状態にあると治験担

当医師が判断した患者

治験薬 被験薬:リナグリプチン 5 mg 錠

ピオグリタゾン 30 mg 錠(カプセル内に封入)

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表 4.11: 1 試験方法の概略(2/4)

症例数 目標症例数:治験薬投与例 2000 例

登録例 2124 例,治験薬投与例 2121 例

登録例 治験薬投与例

解析対象例 (主要評価項目)

リナグリプチン 5 mg+ピオグリタゾン 30 mg 群

(試験 1218.15 からの継続) 342 例 342 例 342 例

リナグリプチン 5 mg 群 (試験 1218.16 からの継続)

445 例 443 例 443 例

リナグリプチン 5 mg+メトホルミン群 (試験 1218.17 からの継続)

611 例 610 例 610 例

リナグリプチン 5 mg+メトホルミン+スルホニ

ル尿素薬群(試験 1218.18 からの継続) 726 例 726 例 726 例

計 2124 例 2121 例 2121 例

投与方法

投与方法は患者が参加した先行の二重盲検試験に準じた。試験 1218.16 から本試験に移行

した患者にはリナグリプチン 5 mg1 日 1 回の単剤投与,試験 1218.15 からの患者にはリナ

グリプチン 5 mg1 日 1 回とピオグリタゾン 30 mg との併用投与,試験 1218.17 からの患者

には基礎治療薬であるメトホルミンへのリナグリプチン 5 mg1 日 1 回追加投与,また試験

1218.18 からの患者にはメトホルミンとスルホニル尿素薬の併用基礎治療薬にリナグリプ

チン 5 mg1 日 1 回の追加投与を行った。

併用療法 メトホルミン,スルホニル尿素薬またはピオグリタゾンは救援治療薬として,治験開始時

から治験終了時まで投与可能とする。救援治療薬は患者の基礎治療薬によって選択する。

治療目標が達成されない場合,インスリンの追加投与を認める。

Visit 1 から治験終了時まで,または患者の治験を中止するまでの期間,治験薬および救援

治療薬以外の糖尿病治療薬は使用しないものとした。さらに,抗肥満薬および全身性副腎

皮質ステロイド剤の投与を禁止した。メトホルミンを服用している患者にヨウ素を含む造

影剤を静脈内投与する場合,造影剤投与 48 時間前にメトホルミンを中止することとした。

NYHA III~IV 度の心不全であると確定した患者には,ピオグリタゾンの使用は禁忌とし

た。

投与期間 ・治験薬投与期間:78 週間

・追跡期間:1 週間

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表 4.11: 1 試験方法の概略(3/4)

観察項目

観察時期

主な観察・検査項目と評価スケジュール

治験薬投与期 追跡期

Visit 1a) 2 3 4 5 6 7 8d) 9h)

Study week 1 6 18 30 42 54 66 78 79

Days from visit 1 0 42 126 210 294 378 462 546 553

人口統計学的特性 X

身体所見 Xb) X

バイタルサイン Xb) X X X X X X X X

身長 Xb)

体重 Xb) X X

ウエスト周囲径 Xb) X

臨床検査

(尿・血液検査)c) Xb) X X X X X X X X

妊娠検査 e) Xb) X X

12 誘導心電図 Xb) X X X

空腹時血糖 c) Xb) X X X X X X X

HbA1c Xb) X X X X X X X

HBGMf) X X X X X X X X Xg)

有害事象 X X X X X X X X X

食事・運動療法の助言 X X X

a)先行試験の二重盲検投与期を完了し,非盲検継続投与試験への継続参加を同意した患者

は,先行試験の Visit 7 と非盲検継続投与試験の Visit 1 を同一来院で実施可能

b)先行試験の Visit 7 から非盲検継続投与試験の Visit 1 の期間が 7 日を超えた場合,再度,

測定を実施

c)一晩の絶食後に実施(10 時間絶食,水のみ摂取可)

d)早期に非盲検継続投与試験を中止する場合,Visit 8 の全検査を実施

e)妊娠可能な女性患者においてのみ妊娠検査を実施

f)全患者は治験期間(1 週間の追跡期間を含む)を通して週 1 回朝食前(一晩の絶食後)

および低血糖症状がみられた場合,自己血糖(HBGM)を測定

g)全患者は1週間の追跡期間中,毎日自己血糖を測定

h)Visit 9 の来院は早期に治験を中止した患者のみ必須

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表 4.11: 1 試験方法の概略(4/4)

評価項目

評価基準

主要評価項目

本試験には統計学的な意味での主要評価項目はないが,以下の項目に基づいて安全性

および忍容性を記述的に評価:

• 有害事象の発現率および重症度(例えば,浮腫の発現率,体重増加)

• 有害事象による治験中止

• 身体所見でみつかった臨床的に問題となる,新たなまたは悪化した有害事象

• バイタルサイン(血圧および脈拍数)のベースラインからの変化

• 12 誘導心電図でみつかった臨床的に問題となる,新たなまたは悪化した有害事象

• 臨床検査項目のベースラインからの変化

副次評価項目

• HbA1c のベースラインからの変化量の推移

• HbA1c が 7.0%未満と定義する治療目標効果の達成の推移

• HbA1c が 6.5%未満と定義する治療目標効果の達成の推移

• HbA1c の 0.5%以上の低下と定義する相対的有効性反応の発現の推移

• 空腹時血糖のベースラインからの変化量の推移

その他の評価項目

• 救援治療薬の使用の有無

• 78 週間後までの体重のベースラインからの変化

• 78 週間後までのウエスト周囲径のベースラインからの変化

• 78 週間後までの脂質パラメータ(総コレステロール,LDL コレステロール,HDL コ

レステロール,トリグリセリドを含む)のベースラインからの変化

• 臨床検査値の評価

解析方法 先行試験でリナグリプチンを投与された患者とプラセボを投与された患者における安全

性を記述統計量により比較した。また,有害事象発現率を基礎治療として用いられていた

糖尿病治療薬で分類して比較した。中間解析を実施した。

症例数設定の

根拠

該当せず

治験調整医師

治験実施施設 欧州,北米,南米,アジア 32 カ国 231 施設

治験実施期間 20 年 月 日~20 年 月 日(20 年 月 日:中間解析用データのカットオフ

日)

2) 試験成績

本試験成績はデータカットオフ日(20 年 月 日)までのデータに基づいた中間報告であ

る。

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(1) 治験対象

(a) 患者の内訳

本試験の患者の内訳を図 4.11: 1 に示した。先行した試験の完了例 2124 例のうち 2121 例(リナ

グリプチン継続投与例:1532 例,リナグリプチン新規投与例:589 例)が本継続試験に組込ま

れ,すべての患者がリナグリプチンを投与された。なお,2124 例が先行試験を完了したが,う

ち試験 1218.16 からの継続例 2 例および試験 1218.17 からの継続例 1 例,合計 3 例が同意の撤

回により脱落した。2121 例のリナグリプチン投与例のうち 163 例(7.7%)が本中間報告のデー

タカットオフ日(20 年 月 日)までに治験中止となった。主な中止理由は有害事象,同

意撤回であった。

1218.15からの継続例 1218.16 からの継続例 1218.17 からの継続例 1218.18 からの継続例 リナグリプチン投与例

プラセボ投与例

リナグリプチン投与例

プラセボ投与例

リナグリプチン投与例

プラセボ投与例

リナグリプチン投与例

プラセボ 投与例

235 例 107 例 296 例 147 例 457 例 153 例 544 例 182 例

リナグリプチン継続投与群 リナグリプチン新規投与群 (先行試験でリナグリプチンを服用) (先行試験でプラセボを服用)

1532 例 (100.0%) 589 例 (100.0%)

中止例:124 例 (8.1%) 中止例:39 例 (6.6%) 中止理由 中止理由

・有害事象 : 40 例 ・有害事象 : 12 例 ・効果不十

分 : 9 例 ・効果不十分 : 6 例

・不遵守 : 5 例 ・不遵守 : 4 例 ・追跡不能 : 4 例 ・追跡不能 : 2 例 ・同意撤回 : 32 例 ・同意撤回 : 9 例 ・その他 : 34 例 ・その他 : 6 例

投与完了または継続例 a) 投与完了または継続例 a) 1408 例 (91.9%) 550 例 (93.4%)

a)データカットオフ時(20 年 月 日)

図 4.11: 1 患者の内訳

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 10.1: 3 および Table 15.1.1: 4 より作成

(b) 治験実施計画書からの逸脱

主要評価項目が安全性である本試験においては,有効性評価に関連する重大な逸脱の規定は設

定しなかった。被験者の安全性に関連する重大な逸脱はなかった。

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(c) 解析対象集団

治験薬投与例 2121 例(リナグリプチン継続投与例:1532 例,リナグリプチン新規投与例:589

例)が解析対象集団(Treated Set)であった。

(d) 人口統計学的特性およびベースライン値

人口統計学的特性

Treated Set の人口統計学的特性を表 4.11: 2 に示した。リナグリプチン継続投与群(以下,継続

投与群)とリナグリプチン新規投与群(以下,新規投与群)の人口統計学的特性はほぼ類似し

ていた。全体で,患者の年齢は平均 57.5 歳,体重は平均 79.1 kg,BMI は平均 29.0 kg/m2,51.9%

が男性であった。患者の 56.7%が白人であり,42.0%がアジア人であった。ベースラインの腎機

能は,正常(糸球体濾過率の予測値(eGFR):≥90 mL/min),軽度障害(eGFR:60~<90 mL/min)

および中等度障害(eGFR:30~<60 mL/min)の患者が,それぞれ 56.5%,39.0%および 4.4%で

あった。継続投与群の 1 例は高度の腎機能障害(eGFR:<30 mL/min)であった。

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表 4.11: 2 人口統計学的特性(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 計 Number of patients [N(%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0) Age [years] Mean (SD) 57.8 (9.8) 56.7 (10.0) 57.5 (9.9) Sex [n (%)] Male 790 (51.6) 310 (52.6) 1100 (51.9) Female 742 (48.4) 279 (47.4) 1021 (48.1) Race [n (%)] American Indian/Alaska Native 7 (0.5) 5 (0.8) 12 (0.6) Asian 646 (42.2) 245 (41.6) 891 (42.0) Black/African American 8 (0.5) 3 (0.5) 11 (0.5) Hawaiian/Pacific Islander 4 (0.3) 1 (0.2) 5 (0.2) White 867 (56.6) 335 (56.9) 1202 (56.7) Baseline weight [kg] Mean (SD) 78.7 (16.9) 80.1 (16.9) 79.1 (16.9) Baseline weight, categorical [kg], [n (%)] ≤70 kg 525 (34.3) 193 (32.8) 718 (33.9) >70 to 80 kg 360 (23.5) 132 (22.4) 492 (23.2) >80 to 90 kg 275 (18.0) 107 (18.2) 382 (18.0) >90 kg 372 (24.3) 157 (26.7) 529 (24.9) Baseline BMI [kg/m2] Mean (SD) 28.9 (4.8) 29.2 (4.9) 29.0 (4.9) Baseline BMI, categorical [kg/m2], [n (%)] <25 kg/m2 359 (23.4) 137 (23.3) 496 (23.4) 25 to <30 kg/m2 606 (39.6) 222 (37.7) 828 (39.0) ≥30 kg/m2 567 (37.0) 230 (39.0) 797 (37.6) Baseline waist circumference [cm] Mean (SD) 98.4 (13.2) 99.7 (13.1) 98.7 (13.2) Baseline eGFR [mL/min], [n (%)] ≥90 852 (55.6) 347 (58.9) 1199 (56.5) 60 to <90 606 (39.6) 222 (37.7) 828 (39.0) 30 to <60 73 (4.8) 20 (3.4) 93 (4.4) <30 1 (0.1) 0 1 (0.0)a) Baseline eCcr [mL/min], [n (%)] ≥80 1160 (75.7) 477 (81.0) 1637 (77.2) 50 to <80 339 (22.1) 101 (17.1) 440 (20.7) 30 to <50 32 (2.1) 10 (1.7) 42 (2.0) <30 1 (0.1) 1 (0.2) 2 (0.1)

a)四捨五入のため 0.0%

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 11.2: 1 より作成

ベースライン値

Treated Set のベースライン値を表 4.11: 3 に示した。本試験の Visit 1 の測定値(Visit 1 の測定値

のない場合は,Visit 1 前の入手可能な直近値)をベースラインとした。HbA1c のベースライン

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の平均値は継続投与群で 7.38%,新規投与群で 7.87%であった。空腹時血糖のベースラインの

平均値は,同様にそれぞれ 151.60 mg/dL および 164.19 mg/dL であった。

表 4.11: 3 ベースライン値(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 計 Number of patients [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0) Baseline HbA1c [%] Mean (SD) 7.38 (0.90) 7.87 (1.04) 7.51 (0.97) Baseline HbA1c, categorical [n (%)] <7.0% 532 (34.7) 108 (18.3) 640 (30.2) 7.0% to <8.0% 640 (41.8) 230 (39.0) 870 (41.0) 8.0% to <9.0% 272 (17.8) 164 (27.8) 436 (20.6) ≥ 9.0% 88 (5.7) 87 (14.8) 175 (8.3) Baseline FPG [mg/dL] Number of patients 1530 (100.0) 588 (100.0) 2118 (100.0) Mean (SD) 151.60 (35.27) 164.19 (37.33) 155.10 (36.29) Baseline FPG, categorical [n (%)] <126 mg/dL 340 (22.2) 77 (13.1) 417 (19.7) 126 to <140 mg/dL 264 (17.3) 78 (13.3) 342 (16.1) 140 to <200 mg/dL 788 (51.5) 331 (56.3) 1119 (52.8) ≥ 200 mg/dL 138 (9.0) 102 (17.3) 240 (11.3) Time since diagnosis of T2DM, categorical [n (%)] Up to 1 year 226 (14.8) 110 (18.7) 336 (15.8) >1 to 5 years 476 (31.1) 196 (33.3) 672 (31.7) >5 years 830 (54.2) 283 (48.0) 1113 (52.5)

ベースライン値は 1218.40 の Visit 1 での測定値,または入手可能な Visit 1 前の直近値

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 11.2: 2 より作成

Visit 1 での糖尿病治療薬(基礎治療薬以外)および救援治療薬の使用

Visit 1 で患者の多くは,先行試験で使用した基礎治療薬以外の糖尿病治療薬を使用していなか

った(先行の 4 試験で,84.9~97.1%)(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.1.4.2: 3)。

同様に,Visit 1 でほとんどの患者が先行試験において救援治療薬を使用していなかった(先行

の 4 試験で,86.2~95.5%)(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.1.4.2: 4)。

(e) 服薬遵守状況

投与期における治験薬服薬率が 80~120%である場合,服薬遵守状況が「良好」とした。継続

投与群および新規投与群ともに,来院日ごとの服薬状況は,98~100%の患者で「良好」であっ

た(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.1.5: 1)。

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(2) 有効性

本試験では有効性の主要評価項目は設定していない。データのカットオフ時点(20 年 月

日)において,本試験開始から 54 週間の投与を完了した例数が少ないため,本報告書では主に

投与 42 週後までの有効性データを示す。

(a) 副次評価項目

HbA1c のベースラインからの変化量の推移

HbA1c のベースラインから投与 42 週後までの平均変化量の推移を表 4.11: 4 に示した。継続投

与群の HbA1c の平均値は先行試験で低下していたため,ベースライン値は 7.38%であり,低下

した HbA1c は本試験の投与 42 週後まで維持された。これに対して新規投与群のベースライン

における平均 HbA1c は 7.87%であり,リナグリプチン投与開始後 18 週に最大のベースライン

からの低下を示した(−0.68%)。

表 4.11: 4 HbA1c(%)のベースラインからの平均変化量の推移(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 N Mean (SD) N Mean (SD) Baseline 1532 7.38 (0.9) 589 7.87 (1.0) Change from baseline to week 6 1444 -0.02 (0.5) 548 -0.47 (0.5) Change from baseline to week 18 1459 -0.01 (0.7) 567 -0.68 (0.8) Change from baseline to week 30 1419 -0.04 (0.8) 548 -0.66 (0.9) Change from baseline to week 42 1032 0.02 (0.8) 408 -0.61 (0.9)

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 11.4.1.2: 1 より作成

HbA1c 変化量に関する先行試験別の解析において,リナグリプチンの最大効果は試験 1218.16

の新規投与例(投与 18 週および 30 週の平均変化量:−0.71%)および試験 1218.18 の新規投与

例(投与 42 週の平均変化量:−0.71%)でみられた(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.2.2.1.1:

2)。

HbA1c の治療目標効果達成率(HbA1c が 7.0%未満の患者の割合)の推移

HbA1c が 7.0%未満の治療目標効果を達成した患者の割合の推移を表 4.11: 5 に示した。HbA1c

のベースライン値が 7%以上の患者のうち,投与 6 週後において継続投与群で 10.9%,新規投与

群で 18.0%の患者が 7.0%未満の治療目標効果を達成した。HbA1c のベースライン値が 7.0%以

上の患者で,7.0%未満になった患者の割合は投与 6 週後から 30 週後で両群とも増加したが,

その割合は新規投与群が継続投与群より高かった。

投与後のいずれの時点においても,HbA1c が 7.0%未満の治療目標効果を達成した患者の割合は,

ベースライン値が高かった患者(9.0%以上および 8.0~9.0%未満)に比較して,ベースライン

値が低かった患者(7.0~8.0%未満および 7%未満)で高かった(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,

Table 15.2.2.1.2: 1)。

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表 4.11: 5 HbA1c が 7.0%未満の治療目標効果の達成例数の推移(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 Response criterion na)/ Nb) % na)/ Nb) % Week 6

HbA1c <7.0% 499 / 1444 34.6 173 / 548 31.6 Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 103 / 941 10.9 81 / 450 18.0

Week 18 HbA1c <7.0% 514 / 1459 35.2 231 / 567 40.7 Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 154 / 947 16.3 135 / 462 29.2

Week 30 HbA1c <7.0% 519 / 1419 36.6 236 / 548 43.1 Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 173 / 917 18.9 153 / 445 34.4

Week 42 HbA1c <7.0% 329 / 1032 31.9 151 / 408 37.0 Among patients with baseline HbA1c ≥7.0% 116 / 671 17.3 98 / 339 28.9

a)治療目標効果達成例数(HbA1c が 7.0%未満)

b)解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 11.4.1.2: 2 より作成

HbA1c の治療目標効果達成率(HbA1c が 6.5%未満の患者の割合)の推移

HbA1c が 6.5%未満の治療目標効果を達成した患者の割合の推移を表 4.11: 6 に示した。HbA1c

のベースライン値が 6.5%以上の患者のうち,投与 6 週後において継続投与群で 4.7%,新規投

与群で 8.0%の患者が 6.5%未満の治療目標効果を達成した。HbA1c のベースライン値が 6.5%以

上の患者で,6.5%未満になった患者の割合は投与 6 週後から 18 週後で両群とも増加したが,

その割合は新規投与群が継続投与群より高かった。投与 30 週後および 42 週後で HbA1c が 6.5%

未満であった患者の割合は,両群ともやや減少した。

投与 18 週後から 42 週後において,HbA1c が 6.5%未満の治療目標効果を達成した患者の割合は,

ベースライン値が高かった患者(9.0%以上および 8.0~9.0%未満)に比較して,ベースライン

値が低かった患者(7.0~8.0%未満および 7%未満)で高かった(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,

Table 15.2.2.1.2: 2)。

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表 4.11: 6 HbA1c が 6.5%未満の治療目標効果の達成例数の推移(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 Response criterion na)/ Nb) % na)/ Nb) % Week 6

HbA1c <6.5% 192 / 1444 13.3 73 / 548 13.3 Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 59 / 1252 4.7 41 / 513 8.0

Week 18 HbA1c <6.5% 190 / 1459 13.0 100 / 567 17.6 Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 88 / 1257 7.0 71 / 529 13.4

Week 30 HbA1c <6.5% 181 / 1419 12.8 97 / 548 17.7 Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 82 / 1221 6.7 68 / 512 13.3

Week 42 HbA1c <6.5% 107 / 1032 10.4 61 / 408 15.0 Among patients with baseline HbA1c ≥6.5% 49 / 890 5.5 45 / 384 11.7

a)治療目標効果達成例数(HbA1c が 6.5%未満)

b)解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 11.4.1.2: 3 より作成

HbA1c の有効性反応の発現率(HbA1c が 0.5%以上低下した患者の割合)

投与 6 週後から投与 42 週後のいずれの時点においても,HbA1c がベースラインから 0.5%以上

低下した患者の割合は,継続投与群に比較して新規投与群で 2 倍以上高かった(表 4.11: 7)。

表 4.11: 7 HbA1c が 0.5%以上低下した患者数の推移(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 HbA1c reduction from baseline ≥0.5% na)/ Nb) % na)/ Nb) % Week 6 189 / 1444 13.1 262 / 548 47.8 Week 18 321 / 1459 22.0 329 / 567 58.0 Week 30 350 / 1419 24.7 307 / 548 56.0 Week 42 223 / 1032 21.6 215 / 408 52.7

a)有効性反応の発現例数(HbA1c が 0.5%以上低下)

b)解析対象例数

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 11.4.1.2: 4 より作成

空腹時血糖のベースラインからの変化量の推移

空腹時血糖のベースラインからの平均変化量は投与 42 週後にかけて,HbA1c と同様の推移を

示した(表 4.11: 8)。継続投与群の空腹時血糖は先行試験で低下しており,その効果は本試験

の投与 42 週まで維持された(最大変化量:投与 42 週の−1.93 mg/dL)。これに対して新規投与

群では,予想されるように空腹時血糖はより顕著なベースラインからの低下を示した(最大変

化量:投与 30 週の−18.42 mg/dL)。

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581

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表 4.11: 8 空腹時血糖(mg/dL)のベースラインから平均変化量の推移(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 N Mean (SD) N Mean (SD) Baseline 1529 151.59 (35.28) 588 164.19 (37.33) Change from baseline to week 6 1422 0.71 (31.15) 536 -16.21 (32.27) Change from baseline to week 18 1375 -0.36 (34.16) 533 -17.08 (36.23) Change from baseline to week 30 1345 -1.27 (34.90) 528 -18.42 (35.97) Change from baseline to week 42 949 -1.93 (35.68) 381 -18.28 (35.54)

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 11.4.1.2: 5 より作成

(b) その他の評価項目

救援治療薬の使用

救援治療薬の使用の解析では,治験実施計画書で規定したメトホルミン,スルホニル尿素薬,

ピオグリタゾンまたはインスリンの救援治療薬だけでなく,基礎治療薬の増量およびその他の

糖尿病治療薬の追加投与も救援治療薬の使用例に含めた。救援治療薬を使用した患者の割合は,

継続投与群で 22.7%,新規投与群で 18.7%であり,ほぼ同じであった。両群ともに最も多かっ

た救援治療薬はスルホニル尿素薬(継続投与群:7.8%,新規投与群:6.3%)であった。救援治

療薬が使用開始された時期は平均値で継続投与群が 282 日目,新規投与群が 288 日目であり,

中央値では,それぞれ 307日目および 314日目であった(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.2.3:

1)。

ウエスト周囲径および体重の平均変化量

両群ともにウエスト周囲径および体重にベースラインからの意味のある変動はみられなかった

(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.2.3: 2)。

(3) 安全性

(a) 曝露状況

計 2121 例(継続投与群:1532 例,新規投与群:589 例)にリナグリプチンが投与された。リナ

グリプチンの曝露状況を表 4.11: 9 に示した。中間解析のデータカットオフ時における曝露期間

は,中央値で継続投与群が 330 日,新規投与群が 334 日であり,平均値ではそれぞれ 324 日お

よび 326 日であった。リナグリプチンの曝露期間が 42 週超から 54 週までの患者が継続投与群

で 44.5%,新規投与群で 45.3%を占めていた。

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表 4.11: 9 リナグリプチンへの曝露状況(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 計 Number of patients [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0) Exposure categories >0 to 6 weeks 20 (1.3) 5 (0.8) 25 (1.2) >6 to 18 weeks 36 (2.3) 13 (2.2) 49 (2.3) >18 to 30 weeks 41 (2.7) 8 (1.4) 49 (2.3) >30 to 42 weeks 366 (23.9) 150 (25.5) 516 (24.3) >42 to 54 weeks 682 (44.5) 267 (45.3) 949 (44.7) >54 to 66 weeks 361 (23.6) 138 (23.4) 499 (23.5) >66 to 78 weeks 26 (1.7) 8 (1.4) 34 (1.6) Exposure Mean [days] 324 326 325 Median [days] 330 334 331 Sum [years] 1361.0 526.1 1887.1

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.3.1: 1 より作成

(b) 有害事象(MedDRA を使用)

本中間解析では 78 週投与完了例と投与継続例の有害事象について検討した。また,本試験にお

ける治験薬の投与開始から最終投与 7 日後までに発現した好ましくない事象を治験期間中に発

現した有害事象として集計した。

有害事象の概要

継続投与群で 1015 例(66.3%),新規投与群では 388 例(65.9%)に有害事象がみられた(表

4.11: 10)。先行試験ごとに有害事象発現率をみると,メトホルミンとスルホニル尿素薬を基礎

治療とした試験 1218.18 からの患者が最も高く(69.8%),次いでメトホルミンを基礎治療とし

た試験 1218.17 からの患者(68.4%),糖尿病治療薬を併用しなかった試験 1218.16 からの患者

(65.5%)であり,ピオグリタゾンを基礎治療とした試験 1218.15 からの患者(55.3%)で最も

低かった。

高度の有害事象がみられた患者は全体で 56 例(2.6%)であり,治験担当医師により治験薬と

の因果関係ありと判定された有害事象の発現率は 224 例(10.6%)であった。治験中止に至っ

た有害事象は 45 例(2.1%)に発現した。重篤な有害事象は 133 例(6.3%)にみられ,うち 3

例(0.1%)では致死的な有害事象が発現した。治験実施計画書で規定された重要な有害事象は

36 例(1.7%)にみられ、その他の重要な有害事象は 29 例(1.4%)で観察された。なお,これ

らの有害事象の発現率は継続投与群と新規投与群でほぼ同じであった。

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表 4.11: 10 有害事象の概略(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 計 Number of patients [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0)Patients with any AEs 1015 (66.3) 388 (65.9) 1403 (66.1) Patients with severe AEs 45 (2.9) 11 (1.9) 56 (2.6) Patients with investigator defined drug-related AEs 165 (10.8) 59 (10.0) 224 (10.6) Patients with pre-specified significant AEsa) 26 (1.7) 10 (1.7) 36 (1.7) Patients with other significant AEsb) 21 (1.4) 8 (1.4) 29 (1.4) Patients with AEs leading to discontinuation of study drug 35 (2.3) 10 (1.7) 45 (2.1) Patients with SAEs 100 (6.5) 33 (5.6) 133 (6.3) Fatal 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1) Immediately life-threatening 3 (0.2) 2 (0.3) 5 (0.2) Requiring hospitalisation 89 (5.8) 30 (5.1) 119 (5.6) Prolonging hospitalisation 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1) Other 12 (0.8) 2 (0.3) 14 (0.7)

a)治験担当医師の報告に基づく過敏性反応,腎関連の有害事象,肝酵素上昇

b)ICH E3 に基づき治験中止または投与量減量に至った非重篤有害事象と定義

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.2.1: 1 より作成

高頻度に発現した有害事象

投与期に発現した主な有害事象(いずれかの群の基本語または器官別大分類で 2%以上)を表

4.11: 11 に示した。最も高頻度に発現した有害事象は器官別大分類で,代謝および栄養障害の事

象であった(継続投与群:30.5%,新規投与群:30.1%)。代謝および栄養障害で高頻度に発現

した有害事象(基本語)は高血糖(16.3%)および低血糖症(9.7%)であった。高血糖の発現

率は新規投与群(13.2%)に比較して継続投与群(17.4%)で高かった。これに対して低血糖症

の発現率は継続投与群(8.7%)より新規投与群(12.1%)で高かった。次いで高頻度に発現し

た有害事象は器官別大分類で,感染症および寄生虫症(継続投与群:24.9%,新規投与群:27.3%),

筋骨格系および結合組織障害(継続投与群:13.0%,新規投与群:13.8%)であった。他の DPP-4

阻害薬は皮膚障害の有害事象の発現が報告されているが,本試験における皮膚および皮下組織

障害の有害事象発現率は継続投与群で 5.1%,新規投与群で 4.4%であった。

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表 4.11: 11 治験期間中に発現した主な有害事象(基本語または器官別大分類でいずれか

の群において 2%以上)(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) 継続投与群 新規投与群 計 例数 [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0)有害事象発現例 1015 (66.3) 388 (65.9) 1403 (66.1) 代謝および栄養障害(Metabolism and nutrition disorders) 467 (30.5) 177 (30.1) 644 (30.4)

高血糖(Hyperglycaemia) 267 (17.4) 78 (13.2) 345 (16.3) 低血糖症(Hypoglycaemia) 134 (8.7) 71 (12.1) 205 (9.7) 脂質異常症(Dyslipidaemia) 23 (1.5) 13 (2.2) 36 (1.7) 高トリグリセリド血症(Hypertriglyceridaemia) 23 (1.5) 14 (2.4) 37 (1.7)

感染症および寄生虫症(Infections and infestations) 381 (24.9) 161 (27.3) 542 (25.6) 鼻咽頭炎(Nasopharyngitis) 96 (6.3) 43 (7.3) 139 (6.6) 上気道感染(Upper respiratory tract infection) 80 (5.2) 44 (7.5) 124 (5.8) 尿路感染(Urinary tract infection) 44 (2.9) 19 (3.2) 63 (3.0) インフルエンザ(Influenza) 22 (1.4) 12 (2.0) 34 (1.6)

筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 199 (13.0) 81 (13.8) 280 (13.2)

背部痛(Back pain) 44 (2.9) 21 (3.6) 65 (3.1) 関節痛(Arthralgia) 39 (2.5) 21 (3.6) 60 (2.8)

胃腸障害(Gastrointestinal disorders) 182 (11.9) 75 (12.7) 257 (12.1) 下痢(Diarrhoea) 39 (2.5) 12 (2.0) 51 (2.4)

神経障害(Nervous system disorders) 133 (8.7) 54 (9.2) 187 (8.8) 頭痛(Headache) 46 (3.0) 17 (2.9) 63 (3.0) 浮動性めまい(Dizziness) 37 (2.4) 13 (2.2) 50 (2.4)

臨床検査(Investigations) 118 (7.7) 44 (7.5) 162 (7.6) 全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

112 (7.3) 40 (6.8) 152 (7.2)

傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications) 79 (5.2) 35 (5.9) 114 (5.4)

呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders) 80 (5.2) 30 (5.1) 110 (5.2)

咳嗽(Cough) 34 (2.2) 8 (1.4) 42 (2.0) 皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 78 (5.1) 26 (4.4) 104 (4.9)

血管障害(Vascular disorders) 60 (3.9) 30 (5.1) 90 (4.2) 高血圧(Hypertension) 43 (2.8) 20 (3.4) 63 (3.0)

腎および尿路障害(Renal and urinary disorders) 66 (4.3) 22 (3.7) 88 (4.1) 眼障害(Eye disorders) 63 (4.1) 20 (3.4) 83 (3.9) 心臓障害(Cardiac disorders) 50 (3.3) 21 (3.6) 71 (3.3) 血液およびリンパ系障害 (Blood and lymphatic system disorders)

39 (2.5) 9 (1.5) 48 (2.3)

精神障害(Psychiatric disorders) 33 (2.2) 15 (2.5) 48 (2.3) 生殖系および乳房障害 (Reproductive system and breast disorders) 39 (2.5) 6 (1.0) 45 (2.1)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.2.2: 1 より作成

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高度の有害事象

高度の有害事象は計 56 例(継続投与群:45 例[2.9%],新規投与群:11 例[1.9%])に発現し

た。基本語レベルで高度の有害事象は心筋梗塞が 3 例(継続投与群:2 例[0.1%],新規投与群:

1 例[0.2%])に発現したが,他の高度の有害事象は 2 例以下での発現であった。

治験薬と因果関係のある有害事象

治験薬との因果関係ありと判定された有害事象を表 4.11: 12 に示した。治験担当医師により治

験薬との因果関係ありと判定された有害事象は,継続投与群で 10.8%,新規投与群で 10.0%の

患者に発現した。最も高頻度に発現した治験薬と因果関係のある有害事象は低血糖症(継続投

与群:4.6%,新規投与群:5.8%)であった。

表 4.11: 12 治験期間中に発現した治験薬と因果関係のある有害事象(基本語または器官

別大分類でいずれかの群において 1%以上)(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) 継続投与群 新規投与群 計

例数 [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0) 治験薬と因果関係のある有害事象発現例 165 (10.8) 59 (10.0) 224 (10.6) 代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition disorders)

102 (6.7) 39 (6.6) 141 (6.6)

低血糖症 (Hypoglycaemia) 70 (4.6) 34 (5.8) 104 (4.9) 高血糖 (Hyperglycaemia) 30 (2.0) 3 (0.5) 33 (1.6)

臨床検査 (Investigations) 21 (1.4) 6 (1.0) 27 (1.3) 全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions)

18 (1.2) 7 (1.2) 25 (1.2)

胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 12 (0.8) 6 (1.0) 18 (0.8)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.2.2: 2 より作成

治験中止に至った有害事象

治験中止に至った有害事象(基本語または器官別大分類で,いずれかの群において発現例 2 例

以上)を表 4.11: 13 に示した。治験中止に至った有害事象は,継続投与群で 35 例(2.3%),新

規投与群で 10 例(1.7%)に発現した。器官別大分類で最も高頻度に発現した有害事象は,全

身障害および投与局所様態(継続投与群:0.5%,新規投与群:0.0%),次いで臨床検査(いず

れも 0.3%),心臓障害(いずれも 0.3%)であった。基本語レベルでは血中ブドウ糖増加(継続

投与群:0.1%,新規投与群:0.3%)および高血糖(それぞれ 0.2%および 0.0%)が多く,投与

群の合計では血中ブドウ糖増加および高血糖がそれぞれ 4 例(0.2%)および 3 例(0.1%)の発

現であった。他の有害事象は,計 2 例以下の発現であった。

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表 4.11: 13 治験中止に至った有害事象(基本語または器官別大分類で,いずれかの群に

おいて発現例 2 例以上)(Treated Set)

器官別大分類/基本語 a) 継続投与群 新規投与群 計 例数 [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0)治験中止に至った有害事象発現例 35 (2.3) 10 (1.7) 45 (2.1) 心臓障害(Cardiac disorders) 4 (0.3) 2 (0.3) 6 (0.3) 全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions) 7 (0.5) 0 (0.0) 7 (0.3)

浮腫 (Oedema) 2 (0.1) 0 (0.0) 2 (0.1) 臨床検査(Investigations) 5 (0.3) 2 (0.3) 7 (0.3)

血中ブドウ糖増加 (Blood glucose increased) 2 (0.1) 2 (0.3) 4 (0.2) 感染症および寄生虫症(Infections and infestations) 5 (0.3) 0 (0.0) 5 (0.2) 代謝および栄養障害(Metabolism and nutrition disorders) 4 (0.3) 1 (0.2) 5 (0.2)

高血糖(Hyperglycaemia) 3 (0.2) 0 (0.0) 3 (0.1) 低血糖症(Hypoglycaemia) 1 (0.1) 1 (0.2) 2 (0.1)

良性,悪性および詳細不明の新生物(嚢胞および ポリープを含む)(Neoplasms benign, malignant and unspecified (incl cysts and polyps)

3 (0.2) 1 (0.2) 4 (0.2)

胃癌 (Gastric cancer) 2 (0.1) 0 (0.0) 2 (0.1) 神経障害(Nervous system disorders) 3 (0.2) 1 (0.2) 4 (0.2) 胃腸障害(Gastrointestinal disorders) 1 (0.1) 1 (0.2) 2 (0.1) 呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders) 2 (0.1) 0 (0.0) 2 (0.1)

皮膚および皮下組織障害 (Skin and subcutaneous tissue disorders) 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1)

a)MedDRA version

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.3.2: 5 より作成

低血糖イベント

治験担当医師判定による低血糖イベント発現例の頻度を表 4.11: 14 に示した。治験担当医師判

定による低血糖イベント(治験実施計画書で規定した低血糖症および低血糖症の症状に関連し

た他の有害事象[基本語])は継続投与群で 139 例(9.1%),新規投与群で 73 例(12.4%)にみ

られた。低血糖イベントはメトホルミンおよびスルホニル尿素薬を基礎治療薬とした試験

1218.18 からの患者で最も高頻度に発現し(24.7%),試験 1218.15(基礎治療薬:ピオグリタゾ

ン)からの患者の 0.3%,試験 1218.16(基礎治療薬:なし)からの患者の 1.6%および試験 1218.17

(基礎治療薬:メトホルミン)からの患者の 4.1%に比較して非常に高かった(CTD 5.3.5.2-1,

試験 1218.40,Table 15.3.2: 19)。最も高度の低血糖イベントのうち,継続投与群の 5 例(3.6%)

および新規投与群の 2 例(2.7%)ではブドウ糖,グルカゴンの投与または蘇生処置に他者によ

る介助が必要な発作がみられた(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.3.2: 17)。

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表 4.11: 14 治験担当医師判定による低血糖イベントの発現頻度(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 計 N (%) N (%) N (%) Number of patients 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0)Number of patients with investigator-defined hypoglycaemic AEs 139 (9.1) 73 (12.4) 212 (10.0)Number of patients with investigator-defined hypoglycaemic AEs 139 (100.0) 73 (100.0) 212 (100.0)Minimum measured glucose level <54 mg/dL (worst episode) 35 (25.2) 13 (17.8) 48 (22.6)Minimum measured glucose level ≥54 mg/dL and ≤70 mg/dL (worst episode)

73 (52.5) 44 (60.3) 117 (55.2)

Minimum measured glucose level >70 mg/dL (worst episode) 22 (15.8) 13 (17.8) 35 (16.5)Not measured 9 (6.5) 3 (4.1) 12 (5.7)

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.2.2: 3 より作成

臨床イベント委員会で審査・判定された心血管イベントまたは脳血管イベント

試験期間中,計 61 例(2.9%)で発現した心血管イベントまたは脳血管イベントが臨床イベン

ト委員会で審査・判定された。また,10 例 11 件の心臓または神経学系の事象が,中間データ

ベースロック時点で臨床イベント委員会により審査されていなかった。臨床イベント委員会で

審査・判定された事象には,一過性脳虚血発作(継続投与群:1 例),非致死性脳卒中(継続投

与例:虚血性脳卒中を含めて 7 例[0.3%]),非致死性心筋梗塞(9 例[0.4%]),他の心筋虚血

(11 例[0.5%]),心血管死(継続投与例:1 例)が含まれた。非致死性心筋梗塞が確認された

9 例(継続投与群:3 例,新規投与群:6 例)のうち,7 例は非 ST 上昇型心筋梗塞(NSTEMI),

2 例は評価不能の心筋梗塞と判定された。心筋虚血と確認された 11 例(継続投与群:9 例,新

規投与群:2 例)のうち,8 例は安定狭心症,3 例は不安定狭心症と判定された(CTD 5.3.5.2-1,

試験 1218.40,Table 15.3.2: 15)。

(c) 死亡およびその他の重篤な有害事象

死亡

中間解析のカットオフ日までに試験実施中に 5 例の死亡の報告があった(表 4.11: 15)。これら

5 例の死因と治験薬との因果関係はないと治験担当医師により判定された。うち 3 例は治験薬

投与期の死亡で,死因は心肺停止(患者番号 95348),肺塞栓症(患者番号 95701)および大動

脈弁の感染性ポリープ性潰瘍性心内膜炎(患者番号 96456)であった。他の 2 例は治験薬投与

終了後に心肺停止および転移性肺腺癌により死亡した。

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表 4.11: 15 死亡例(Treated set)

Patient no.

Sex /Age [years]

Treatment perioda) AE with fatal outcome [MedDRA PT or LLTb)]c)

Start day [days]d)

95348 F / 52 Linagliptin + pioglitazone

心肺停止 (Cardio-respiratory arrest) 43

95701 M / 63 Linagliptin 肺塞栓症 (Pulmonary embolism) 141 96456 F / 55 Linagliptin 心内膜炎 (Endocarditis) 213

ポリープ (Polyp) 213 潰瘍 (Ulcer) 213

92542 M / 64 Post-treatment 心肺停止 (Cardio-respiratory arrest) 32 92923 M / 63 Post-treatment 転移性肺腺癌 (Metastatic pulmonary adenocarcinoma) 16

a)有害事象が発現した投与期(解析計画書の定義による)

b)治験終了期における有害事象は MedDRA Lowest Level Term による

c)他の有害事象または重篤な有害事象も伴った可能性あり(死亡時に併発していた転帰不明の重篤な有害事

象など)

d)投与期の開始日から有害事象発現までの日数

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.3.1: 1 より作成

重篤な有害事象

治験期間中に発現した重篤な有害事象(発現例 3 例以上)を表 4.11: 16 に示した。治験期間中

に計 133 例(6.3%,継続投与群:6.5%,新規投与群:5.6%)に重篤な有害事象が発現した。基

本語レベルで,比較的高頻度に発現した重篤な有害事象は心筋梗塞,前立腺癌および胸痛(い

ずれも 0.2%)であった。致死的な重篤な有害事象は 3 例に発現した(死亡例の項を参照)。生

命を脅かす重篤な有害事象は計 5 例(穿孔性虫垂炎,敗血症性ショック・急性心不全,血管浮

腫,急性心筋梗塞,大動脈狭窄)に発現した(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Appendix 16.2.7, Listing

2.2)。

重篤な有害事象はメトホルミンおよびスルホニル尿素薬を基礎治療薬とした試験 1218.18 から

の患者での発現率 7.3%が,試験 1218.17(基礎治療薬:メトホルミン)の 6.4%,試験 1218.15

(基礎治療薬:ピオグリタゾン)の 4.7%,試験 1218.16(基礎治療薬:なし)の 5.6%に比較し

てやや高かった(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.3.2: 11)。

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表 4.11: 16 治験期間中に発現した重篤な有害事象(基本語または器官別大分類で,両群

の合計において発現例 3 例以上)(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 計 例数 [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0) 重篤な有害事象の発現例 100 (6.5) 33 (5.6) 133 (6.3) 心臓障害 (Cardiac disorders) 13 (0.8) 12 (2.0) 25 (1.2)

心筋梗塞 (Myocardial infarction) 2 (0.1) 3 (0.5) 5 (0.2) 不安定狭心症 (Angina unstable) 3 (0.2) 0 3 (0.1)

感染症および寄生虫症 (Infections and infestations) 17 (1.1) 5 (0.8) 22 (1.0) 胃腸炎 (Gastroenteritis) 3 (0.2) 0 3 (0.1) 肺炎 (Pneumonia) 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1)

良性,悪性および詳細不明の新生物 (Neoplasms benign, malignant and unspecified) 17 (1.1) 2 (0.3) 19 (0.9)

前立腺癌 (Prostate cancer) 5 (0.3) 0 5 (0.2) 傷害,中毒および処置合併症 (Injury, poisoning and procedural complications) 12 (0.8) 5 (0.8) 17 (0.8)

交通事故(Road traffic accident) 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1) 筋骨格系および結合組織障害 (Musculoskeletal and connective tissue disorders) 10 (0.7) 2 (0.3) 12 (0.6)

骨関節炎 (Osteoarthritis) 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1) 全身障害および投与局所様態 (General disorders and administration site conditions) 6 (0.4) 4 (0.7) 10 (0.5)

胸痛 (Chest pain) 4 (0.3) 0 4 (0.2) 神経系障害 (Nervous system disorders) 8 (0.5) 1 (0.2) 9 (0.4) 胃腸障害 (Gastrointestinal disorders) 7 (0.5) 1 (0.2) 8 (0.4) 血管障害 (Vascular disorders) 4 (0.3) 2 (0.3) 6 (0.3) 肝胆道系障害 (Hepatobiliary disorders) 5 (0.3) 0 5 (0.2) 腎および尿路障害 (Renal and urinary disorders) 5 (0.3) 0 5 (0.2)

腎結石症 (Nephrolithiasis) 3 (0.2) 0 3 (0.1) 呼吸器,胸郭および縦隔障害 (Respiratory, thoracic and mediastinal disorders) 4 (0.3) 1 (0.2) 5 (0.2)

代謝および栄養障害 (Metabolism and nutrition system disorders) 3 (0.2) 1 (0.2) 4 (0.2)

眼障害 (Eye disorders) 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1) 生殖系および乳房障害 (Reproductive system and breast disorders) 2 (0.1) 1 (0.2) 3 (0.1)

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.3.2: 1 より作成

重要な有害事象(治験実施計画書で規定)

治験実施計画書で規定した重要な有害事象は SMQ(MedDRA 標準検索式)および過敏性反応,

肝毒性および急性腎不全に関しての治験担当医師の報告に基づいて行った。治験実施計画書で

規定した重要な有害事象の発現率は低かった。発現率は腎関連の有害事象が 0.7%(継続投与

群:0.5%,新規投与群:1.2%),肝関連の有害事象が 0.7%(それぞれ,0.9%および 0.2%),お

よび過敏性反応が 0.3%(それぞれ,0.3%および 0.5%)であった(表 4.11: 17)。

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表 4.11: 17 SMQ に基づく治験実施計画書で規定した重篤または重要な有害事象

(Treated Set)

SMQ / preferred term 継続投与群 新規投与群 計 Number of patients [N (%)] 1532 (100.0) 589 (100.0) 2121 (100.0) Patients with renal AEsa) 8 (0.5) 7 (1.2) 15 (0.7) Blood creatinine increased 5 (0.3) 6 (1.0) 11 (0.5) Renal failure acute 1 (0.1) 1 (0.2) 2 (0.1) Renal failure 1 (0.1) 0 1 (0.0)b) Renal impairment 1 (0.1) 0 1 (0.0)b) Patients with hypersensitivity reactionsc) 4 (0.3) 3 (0.5) 7 (0.3) Cardio-respiratory arrest 0 1 (0.2) 1 (0.0)2) Angioedema 2 (0.1) 0 2 (0.1) Chest discomfort 1 (0.1) 0 1 (0.0)b) Respiratory failure 1 (0.1) 0 1 (0.0)b) Generalised oedema 0 1 (0.2) 1 (0.0)b) Local swelling 0 1 (0.2) 1 (0.0)b) Patients with hepatic AEsd) 14 (0.9) 1 (0.2) 15 (0.7) Alanine aminotransferase increased 8 (0.5) 1 (0.2) 9 (0.4) Aspartate aminotransferase increased 6 (0.4) 0 6 (0.3) Gamma-glutamyltransferase increased 1 (0.1) 0 1 (0.0)b) Hepatic enzyme increased 2 (0.1) 0 2 (0.1) Hepatitis acute 1 (0.1) 0 1 (0.0)b)

a)SMQ の「急性腎不全」に基づく

b)四捨五入のため 0.0%

c)SMQ の「高度皮膚副作用」,「アナフィラキシー反応」,「血管浮腫」および「喘息気管支痙攣」に基づく

d)SMQ の「非感染性肝炎」,「肝不全,線維症,肝硬変およびその他の肝細胞障害」,「肝関連検査,徴候およ

び症状」および「肝由来の胆汁うっ帯および黄疸」に基づく

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.3.3: 1 より作成

(d) 臨床検査値

ほとんどの臨床検査値のベースラインおよび投与期最終の平均値は基準値内であり,ベースラ

インから投与期最終の変動はわずかであった。血糖の平均値はベースライン(継続投与群:158

mg/dL,新規投与群:172 mg/dL)および投与期最終(それぞれ,156 mg/dL および 152 mg/dL)

でともに基準値を超えて高値であった。同様にトリグリセリドの平均値はベースライン(継続

投与群:218 mg/dL,新規投与群:233 mg/dL)および投与期最終(それぞれ,217 mg/dL およ

び 211 mg/dL)でともに基準値を超えて高値を示していた(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table

15.3.3: 1)。

臨床的に重要な臨床検査値変動(ベーリンガーインゲルハイム社の社内基準に基づく)の発現

頻度を表 4.11: 18 に示した。臨床的に重要な臨床検査値変動で高頻度に発現した臨床検査項目

はトリグリセリド増加(継続投与群:17.6%,新規投与群:13.3%)および尿酸増加(それぞれ,

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5.0%および 6.2%)であった。そのほかの検査項目の臨床的に重要な臨床検査値変動の発現頻度

は,いずれも 5%未満であった。

表 4.11: 18 臨床的に重要な臨床検査値変動(顕著な変動)の頻度(Treated Set)

継続投与群 新規投与群 N Decrease

n (%) Increase

n (%) N Decrease

n (%) Increase

n (%) Haematology

Haematocrit 1513 37 (2.4) 0 578 17 (2.9) 0 Haemoglobin 1513 48 (3.2) 0 578 23 (4.0) 0 Red blood cell count 1513 20 (1.3) 0 578 9 (1.6) 0 White blood cell count 1513 22 (1.5) 1 (0.1) 578 7 (1.2) 0 Platelets 1512 5 (0.3) 0 578 0 0 Eosinophils 1512 0 63 (4.2) 578 0 26 (4.5)

Clinical chemistry Sodium 1514 12 (0.8) 0 578 2 (0.3) 1 (0.2) Potassium 1514 3 (0.2) 73 (4.8) 578 0 28 (4.8) Calcium 1514 11 (0.7) 4 (0.3) 578 3 (0.5) 0 Phosphate 1514 7 (0.5) 22 (1.5) 578 5 (0.9) 8 (1.4) AST 1511 0 13 (0.9) 577 0 2 (0.3) ALT 1511 0 13 (0.9) 577 0 5 (0.9) AP 1514 0 6 (0.4) 578 0 0 GGT 1514 0 41 (2.7) 578 0 6 (1.0) LDH 1511 0 1 (0.1) 576 0 0 Creatine kinase 1514 0 24 (1.6) 578 0 5 (0.9) Amylase 1514 0 65 (4.3) 578 0 26 (4.5) Glucose 1514 1 (0.1) 0 578 1 (0.2) 0 Cholesterol 1514 0 1 (0.1) 578 0 0 Creatinine 1514 0 35 (2.3) 578 0 10 (1.7) Bilirubin 1514 0 5 (0.3) 578 0 3 (0.5) Triglyceride 1514 0 266 (17.6) 578 0 77 (13.3) Uric acid 1514 0 76 (5.0) 578 0 36 (6.2) Albumin 1514 2 (0.1) 0 578 0 0

引用元:CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 12.4: 1 より作成

Hy’s law の基準に該当する異常値を示した患者はいなかった。

ほとんどの患者のベースラインにおける腎機能は,正常(stage 1,MDRD および eCcr)または

軽度障害(stage 2)であった。投与期最終における腎機能が正常または軽度障害の患者の割合

は,継続投与群および新規投与群ともにベースラインと比較してわずかに減少した(継続投与

群:97.8~96.5%,新規投与群:98.1~97.3%)(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.3.3: 3)。

(e) バイタルサイン

ベースラインから投与 30 週における収縮期/拡張期血圧の平均変化量は継続投与群で−0.42/

−0.06 mmHg,新規投与群で−1.13/−0.01 mmHg とわずかな変動であった。同様に平均脈拍数の

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ベースラインから投与 30 週における変動もわずかであった(継続投与群:−0.45 拍/分,新規投

与群:−0.69 拍/分)(CTD 5.3.5.2-1,試験 1218.40,Table 15.3.4: 1)。

3) 結論

本試験(非盲検継続長期投与)において,2 型糖尿病患者に対するリナグリプチン 5 mg の単独

投与,他の経口糖尿病治療薬(ピオグリタゾン,メトホルミン,メトホルミン+スルホニル尿

素薬)との併用投与の安全性,有効性について検討した。中間解析までの期間において,全般

的にリナグリプチンの忍容性は良好であり,安全性において臨床的に問題となる点は特に認め

られなかった。リナグリプチンの長期投与で臨床的に問題となる体重変動はみられなかった。

低血糖症の発現頻度は,先行試験成績と一致していて,メトホルミン+スルホニル尿素薬の基

礎治療を受けた患者において低血糖症が最も高頻度に発現した。先行試験において,24 週間投

与によりみられたリナグリプチンの血糖降下作用は,本試験の 42 週間継続投与においても維持

された。先行試験でプラセボの投与を受けた患者では,HbA1c および空腹時血糖の低下が認め

られた。

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