光渦レーザー照射の光重合による 金属的フラーレン膜作製 - …...1...
TRANSCRIPT
-
1
光渦レーザー照射の光重合による金属的フラーレン膜作製
千葉大学 融合科学研究科
名誉教授 落合勇一
准教授 青木伸之
-
2
シリコンをベースとした固体集積回路の材料構成•半導体: Si•ドーパント: B, P, As•絶縁体: SiO2 , HfO•金属電極: Al•金属配線: Cu•ワイヤーボンディング: Au
シリコン集積回路の作製には膨大なエネルギーが使用されているが,結局素子は使い捨てになっている。
⇒ 複雑な材料構成がリサイクルを妨げている“金属”“半導体”“絶縁体”
もしこれらの構成が一種類の分子から形成出来れば,リサイクルが促進されるであろう ⇒ 万能性基幹分子(PS分子)
(再生医療におけるiPS細胞のエレクトロニクス版)
なぜ、光重合による金属的フラーレン膜の作製が必要か?その1
-
3
金属・半導体・絶縁体を(ドーピングすることなく)一種類の分子C60だけで電子回路を実現
例えば!万能性基幹分子 (PS分子)?再生医療におけるiPS細胞のエレクトロニクス版
そのような可能性をC60フラーレン分子の特性に注目している
金属半導体絶縁体
(C60)フラーレン分子
FET,抵抗,キャパシタ,インダクタ等,どんなデバイス部品での製作可能
結合状態の違いだけで実現
C60のフラーレン分子の多様的利用
-
4
万能性ナノ部品、フラーレン分子の可能性
金属的絶縁体的
半導体的
6-6 ポリマー•光照射(紫外~可視光)•低温高圧環境•プラズマ照射
6-5ポリマー•高温高圧環境
ピーナッツ型ポリマー•低エネルギー電子線照射
大気中でのモノマー•H2O or O2の吸着
①分子間結合の違いによって特性が変わる②加熱により可逆的にモノマーに戻せる
集積回路をC60の分子結合・結晶構造の違いによって構成できる可能性
従来の材料・プロセスとは異なる発想に基づくエレクトロニクス構成
-
5
光渦と非光渦レーザー光の選択照射による電子回路の直接描画
光渦レーザー光:ソース・ドレイン・ゲート領域
非光渦レーザー光:半導体チャネル領域
ソース
ドレイン
ゲートチャネル
絶縁体
半導体的 金属的
絶縁体的ラスタースキャンによる面描画
例,フラーレンで構成された再生型フレキシブルトランジスタ
絶縁体
-
6
フラーレン分子を用いた循環型エコプロセス
加熱後トルエン洗浄
(溶解)
溶液中で容易に回収
簡単に分離(ドーピング無し)
C60溶液
蒸着
原料C60 溶媒
素子作製
C60分子を何度でも再利用可能
すべての材料が容易にリサイクル可能
C60分子
素子利用
(光渦/非光渦)
選択的光重合
半導体的重合化
金属的重合化
未重合:絶縁体化
加熱によりモノマー化
光重合の新手法の探求(光励起 + 光子圧)
問題:従来の光重合では 金属相が作れない
金属相/半導体相選択合成による素子形成
-
7
一種類の分子から何でも作れる魔法の分子
一種類の分子から,化学的にドーピング(他元素の付与)すること無しに,分子間の結合状態の違いによって機能(金属・半導体・絶縁体)が発現できる。分子構造が化学的に安定であり,室温で安定してデバイス動作する。使用後には,分子(籠)を可逆的(破壊すること無し)に分解・回収が可能。結晶体の形状が多様(薄膜,ナノウィスカー,ナノチューブ,ナノシート等)であり,適材的応用性がある。
分解・再構成が容易な構成へのイノベーションC60分子の特徴にその可能性を見出した。
なぜ、光重合による金属的フラーレン膜の作製が必要か?その2
-
8
ナノウィスカー
ナノチューブ ナノシート
薄膜状フラーレン分子の構造的な万能性
千葉大:落合・青木G
NIMS :宮澤G NIMS :宮澤G,横市大:橘
-
9
光渦照射を用いた光重合化
金属的特性を有する光重合体の形成をめざして
-
10
0
0.5
1
1.5
2
-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40
Current (nA)
Back gate voltage (V)
0
20
40
60
80
100
-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40
Current (nA)
Back gate voltage (V)
光渦照射で作製したC60重合薄膜伝導特性
金属的な振る舞いひび割れが見られない ⇒ 高密度な重合化を示唆
-3
-2
-1
0
1
2
3
-1 -0.5 0 0.5 1
Current (nA)
Voltage (V)
オーミックなI-V特性バックゲートに依存しない大気中で伝導
大気中
特許出願: 落合勇一,青木伸之,尾松孝茂,宮本克彦:フラーレン重合体の製造方法及び導体膜の製造方法,特願2011-119905(出願日2011.5.3)
従来の紫外線照射光渦照射されたC60薄膜
真空中
光渦照射 紫外線照射
Y. Chiba, N. Aoki, Y. Ochiai et al., JPCS,2009.
-
11
半導体相
金属相
金属相
金属相
絶縁体相
「キャパシタ」
「ダイオード」「ダイオードアレイ」
半導体相
金属相
光渦照射で作製するC60 光重合薄膜でのバイス応用例
-
12
従来技術とその問題点
現在エレクトロニクス素子として広範囲に使用されているのは、シリコン等による半導体FET素子が中心であるが、
素材リサイクルが困難
有害物質廃棄に起因する環境汚染
トップダウン技術の開発は年々困難となる
等が予想され、今後の利用には限界がある
-
13
新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術の問題点であった、C60電子デバイスとしての金属的伝導性を改良することに成功した。
• 従来は大気中での高抵抗化により、真空中のみでの動作に限られていたが、光重合制御による金属的伝導性の性能が向上できたため、実用デバイスにすることが可能となった。
• 本技術の適用により、電子デバイスのリサイクル化ができるので、廃棄コストが極端に削減されることが期待される。
-
14
想定される用途
• 本技術の特徴を生かすためには、リサイクル型半導体製造に適用することで、製造プロセスシンプル化へのメリットが大きいと考えられる。
• 上記以外に、環境保全の効果が得られることも期待される。
• また、達成されたデバイス応用に着目すると、太陽電池やバイオといった分野や用途に展開することも可能と思われる。
-
15
実用化に向けた課題
• 現在、重合体について金属伝導の確認が可能なところまで開発済み。しかし、初期デバイス化の点が未解決である。
• 今後、 、初期デバイス化について実験データを取得し、FETに適用していく場合の条件設定を行っていく。
• 実用化に向けて、FETの性能を従来半導体まで向上できるよう技術を確立する必要もあり。
-
16
企業への期待
• 未解決の実用FETデバイスについては、レーザ照射最適化と金属化C60の作製技術により克服できると考えている。
• カーボンデバイスの技術を持つ、企業との共同研究を希望。
• また、ナノカーボンを開発中の企業、太陽電池等の新規カーボン材料分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
-
17
本技術に関する知的財産権その1
• 発明の名称 :フラーレン重合体の製造方法及び導体膜の製 造方法
• 出願番号 :特許4997464 (2012.5.25)
• 出願人 :千葉大学
• 発明者 :落合勇一,青木伸之,尾松孝茂,宮本克彦
-
18
本技術に関する知的財産権その2
• 有機電子デバイスおよびその製造方法,特願2002-55299(2002.3.1),特開2003-258164(2003.9.12).堀内一永,清水正昭,青木伸之,落合勇一
• フラーレンデバイスの製造方法,およびフラーレンデバイス,特願2003-54366(2003.2.28),特開2004-263241(2004.9.24),特許4241094(2009.1.9).堀内一永,清水正昭,青木伸之,落合勇一
• 微細電子デバイスの製造方法,特願2003-429567(2003.12.25),特開2005-191214(2005.7.14)堀内一永,清水正昭,青木伸之,落合勇一
• 量子ポイントコンタクト,量子ドット,量子細線,メモリ素子,及び量子コンピュータ,特願2004-9083(2004.1.16),特開2005-203601(2005.7.28)落合勇一,青木伸之
• フラーレンナノウィスカーの製造方法とフラーレンナノウィスカー集合体,特願2006-284835(2006.10.19),特開2008-100874(2008.5.1),特許4997464 (2012.5.25).落合勇一,青木伸之,小川健一
-
19
産学連携の経歴(任意)
• 2000年- 2007年 千葉大学VBL第2プロジェクトリーダー
• 2000年--現在 千葉大学VB関連講義担当
• 2000年-2001年 双葉電子(株)とCNTFETデバイス探査に関して共同研究実施
• 2002年-2004年 富士ゼロックス(株)とC60FETデバイス開発の共同研究実施
• 2007年-2010年 千葉大学VBL副施設長
-
20
お問い合わせ先
千葉大学
産学連携・知的財産機構
産学官連携コーディネーター 小柏 猛
TEL TEL 043-290-3565FAX FAX 043-290-3519e-mail [email protected]