アンカー体の荷重分散方法 -...
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アンカー体の荷重分散方法
㈱日西テクノプラン 技術部調査設計1課 池田靖彦
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グラウンドアンカーの支持方式
摩擦型
非定着地盤 定着地盤
摩擦型アンカー( 荷重作用点)
基岩内埋設深さ 拡径区間
支圧型
引張型
圧縮型
拡孔型
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アンカーの破壊概念アンカーの破壊概念
設置地盤面
引張力
せん断破壊
支圧力(2)
グラウト
摩擦力
引抜け
引抜け
アンカー体埋設深さ
支圧力(2)
拘束具
支圧力(1)
地盤
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従来型アンカーの問題点
摩擦型アンカー
・定着地盤のせん断抵抗に支配される
↓
不均一な地盤では引抜き耐力が安定しない傾向にある。
孔壁の粘土化が避けられない地層ではグラウト材の付着
切れが生じやすい
・定着部の均一な荷重分散ができない
↓
引張り荷重の集中する区間から順次破壊しやすい
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拡孔支圧型アンカー
定着地盤内を拡孔し,この部分の支圧強度で支持
↓
圧縮力がアンカー引張り方向に集中する
↓
大きな引抜き耐力が得られない
基岩内埋設深さ 拡径区間
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グラウンドアンカーの支持方式
摩擦型
非定着地盤 定着地盤
摩擦型アンカー( 荷重作用点)
基岩内埋設深さ 拡径区間
( 荷重作用点)
支圧型
引張型
圧縮型
拡孔型
くさび型
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支圧型(くさび型)アンカーによる問題点の解決
摩擦型アンカー
・応力の集中する箇所から破壊が進行
・掘削時等の孔壁の粘土化による抵抗力の
消失
・引張方向の節理面等に沿う滑りが生ずる
くさび型アンカー
問題点の解決
・定着部の荷重分散を図る
ことで局部破壊を防ぐ
・定着地盤の支圧強度を利
用する
・拘束具を可動式のくさびとすることでア
ンカー体の荷重分散を達成
・くさびにより引張り力が孔壁方向へ変換
・定着地盤の支圧力により支持される
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アンカー体拘束具の構造
・側方地盤の支圧力を利用するには
↓拘束具をくさびにする
・定着部の均一な荷重分散を図る
↓拘束具を等変位させる
拡径ガイドレール くさびテーパー角=3~4°
ユニット長=n@100
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くさび引抜き模型実験
くさび グラウト材 アンカー孔壁
くさびを矢印の方向に引張る
くさびが矢印の方向に移動する
グラウトは側方へ押しやられアンカー孔壁へ圧力を及ぼす
アンカー孔壁の圧縮変位が止まり、くさびは固定される
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A
A
くさび力作用方向
アンカー体最大拡径時φ122.5mm
拡径ガイドレール
クラック
グラウト材
拘束具φ65~80mm
A-A断面 (アンカー孔径φ115mmの場合)
アンカー自由長部 基岩内埋設区間 拘束具(スライダー) 引張材固定部
n@100(1000~3000)受圧板
テンドン
グラウト
定着基岩面 拘束具等変位による
アンカー体拡径区間
連結パイプ
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拘束具と組立て図拘束具と組立て図
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拘束具の荷重作用点位置と荷重分散状況
1.室内実験
実験目的 :アンカー体の挙動を確認
想定定着基岩 :ヒューム管φ700mm,高さ2.4m,管厚50mm
アンカー体 :φ100mm,L=1.5m×3本(荷重作用点位置別)
引張り材 :PC鋼より線φ15.2mm×5本
ひずみゲージ :中央および上下の3カ所
荷重作用点位置:拘束具中央・引張り側・先端側
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a)荷重作用点位置・・・・拘束具中央
最大引張荷重:780kN(ヒューム管破壊)実験結果 :荷重作用点から引張り側→圧縮状態(4,000kN/m2)
荷重作用点から先端側 →引張状態ヒューム管が樽状に膨らみ、拘束具のスライド量は1.5m間で24~27mmとほぼ均等
↓↓
適正に荷重分散されている
0 11 0 拡径量 (mm )平均拡径量 c c(外壁)
5000 1000 1500 2000 2198
0
500
1000
1500
2000
2430
0.1 0 .1 0 .10. 1
0 .4
1 .0
0 . 3 0 .4 0. 5
1 .0 1 .0 1. 5
1. 2 1 .8 1. 02 .0
1. 2
0 .5
1 .0
0 . 1
0 .10 .5
0 . 7
1 . 0
1 . 0
0 .1
(下位 より0.1 ~0.7 凸)
(左 より0.5 凸)
bd aφ700
φ701.4
φ701.9
φ701.9
φ701
φ700
24
24
24
24
25
26
26
27
2 7
2 7
2 7
2 7
27
27
2 4
13
12
11
(スライ ド量mm)
引張り応力1000kN/m 圧縮応力1000kN/m
(C) (A)
◎スライダー内荷重作用点 歪みゲージ位置2 2
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試験体解体状況試験体解体状況
P拡径ガイドレールによる縦亀裂
くさび跡 引張亀裂
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b)荷重作用点位置・・・・引張り側最大引張荷重:794kN(ヒューム管破壊)実験結果 :荷重作用点側ほど大きな引張り力が働く
ヒューム管が樽状に膨らむc)荷重作用点位置・・・・先端側
最大引張荷重:683kN(ヒューム管破壊)実験結果 :拘束具上下位置→大きな圧縮状態
(12,000~14,000kN/m2)拘束具中央 →引張状態(3,500kN/m2)全体としていびつな応力状態
荷重作用点を引張側に設定 荷重作用点を先端側に設定
0 11 0拡径量 (mm )
平均拡径量φ700
φ700
φ700.6
φ701.1
φ701
φ700.4
6
7
8
0 11 0拡径量 (mm )
平均拡径量
φ700
φ700.4
φ700
φ700.1
φ700.3
φ700.7
6
7
8
(-1 1 50 0)
(- 14 00 0 )
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2.現場実験
実験目的 :アンカー体周辺地盤の応力状態を測定
定着地盤 :新第三紀層の泥岩(qu=1.1N/mm2)アンカー孔径 :φ115mmアンカー体長 :2.0mアンカー方向 :鉛直
荷重作用点位置:引張り側・拘束具中央
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a)荷重作用点位置・・・・引張り側
実験結果 :周辺地盤には圧縮力が働き、引張り側をピークとした三角分布をなしている
b)荷重作用点位置・・・・拘束具中央
実験結果 :アンカー体より50cm離れた位置に紡錘状の分布形態で圧縮力が確認
→およそ適正な荷重分散がなされている。
(GL-m)深度
(水平面からの作用角0~10°)
主応力方向 5N/cm (荷重600kN時)(引張)(圧縮)
6
5
荷重作用点
4
3
2
2
0.5m
1
アンカー
0
パイプ歪み計観測位置
1.0m
歪みゲージ位置
1.5m0.5m
歪みゲージ位置
荷重作用点
(圧縮)(引張)
6
5
4
3
2
(GL-m)
深度
1
アンカー
0
主応力方向 0.1N/cm (荷重550kN時)
A
2
(水平面からの作用角0~10°)
1.0m
パイプ歪み計観測位置
1.5m
荷重作用点を引張り側に設定 荷重作用点を拘束具中央に設定
( A はひずみゲージ損失)
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摩擦型アンカーとの比較
実験目的 :アンカー体設置地盤の応力状態を摩擦型アンカーと
比較(アンカー体より25cm離れた地点)
定着地盤 :新第三紀層の風化凝灰岩(qu=3.84N/mm2)アンカー体長:1.0mアンカー方向:鉛直
使用アンカー:摩擦-引張型・摩擦-圧縮型・支圧-くさび型
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a)摩擦-引張型
実験結果:先端部に引張力が集中。
荷重600kNから700kNに移行する段階で荷重ピーク地点が深層化
0
1
2
3
4
5
6
-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0最大主応力N/mm2
深度
GL-
m
200kN 400kN 600kN 750kN
○
○:荷重作用点
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b)摩擦-圧縮型
実験結果:アンカー体先端(荷重作用点)に大きな引張力が働
く。
○:荷重作用点
0
1
2
3
4
5
6
-1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0最大主応力N/mm2
深度
GL-
m
200kN 400kN 600kN 700kN
○
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c)支圧-くさび型
実験結果:アンカー体先端部に引張力が働くが、拘束具より浅
い位置に一様に圧縮力(荷重600kN時)が働き、しかも摩擦型より均一で小さい値を示す。
→荷重分散効果
○:荷重作用点
0
1
2
3
4
5
6
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5最大主応力N/mm2
深度
GL-
m
150kN 300kN 450kN 600kN
○
-
まとめまとめ
①成果①成果
・アンカー体拘束具を・アンカー体拘束具をくくさびとすることで周辺地盤に適正な荷さびとすることで周辺地盤に適正な荷
重分散がなされた。重分散がなされた。
・荷重作用点は拘束具中央とすることで適正な荷重分散を達成・荷重作用点は拘束具中央とすることで適正な荷重分散を達成
②今後の課題②今後の課題
・均等な分散形態になっておらず定着長の制限などの対応が必・均等な分散形態になっておらず定着長の制限などの対応が必
要である。多くの地盤でデータ収集を図り設計条件を明確に要である。多くの地盤でデータ収集を図り設計条件を明確に
していきたい。していきたい。