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10分で横断的理解!
マンガ
ISO39001(RTSMS)とは?
(道路交通安全マネジメントシステム)
あおいコンサルタント株式会社
執筆:山本昌幸
(ISO9001・ISO14001 主任審査員、運行管理者、社会保険労務士、行政書士)
名古屋市中区栄 3-28-21 建設業会館 7階 ☎052-269-3755
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今度、ISO39001 っていう
のが出るって聞いたんで
すけど、どのようなもの
ですか?
ISO39001 とは、Road traffic safty management systemus の事で、道路交通安全マネジメントシステムですね。 世界的な交通事故削減の先進国であるスェーデンの提案で策定されることになりました。
それって、道路の交通安全をマネジメントステムで実現する為のものですか?
簡単に言うとそうですが、他の ISO の規格を対象に考えてみましょう。ISO9001(QMS)は、品質マネジメントシステムで、自社の製品やサービスを提供するしくみを構築し顧客満足を向上させることが目的ですよね。 ISO14001(EMS)は、対象とした製品やサービスを提供する上で、どのような環境負荷があるのか調べて、少しでも環境保全につながる様な組織になることが目的ですよね。
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その考え方で、ISO39001を考えると・・・。
ズバリ!道路におけ
る交通事故を減らす
ことが目的なのです。
ただ、"交通事故"と言っても、"死亡事故"や"重傷事故"が対象です。"軽傷事故"や"物損事故"等の軽微な事故については、削減する対象になっていませんが、重大事故を削減する過程で軽微な事故も削減できればいいのですよ。 ただ、そうはいかない場合もあるかもしれませんね。
と、言うことは重大事故を削減する過程で、軽微な事故が増える可能性もあるってことですか?
その可能性もあります。 その辺りの考え方は、今回は置いておきましょう。
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"道路交通安全・・・"と言うことは、道路上の事故だけが削減の対象なのですか?
必ずしも"道路上の事故"だけに限定しなくてもよいでしょう。 例えば、公共の駐車スペースとか工場の敷地等も含まれますよね。
ISO39001 に取組む組織はどのような組織なのでしょうか?
先程説明したように、重大事故を削減することが目的ですから、重大事故発生に関連する全ての組織です。
もう少し分かり易く説明してもらえますか?
"重大事故発生に関連する全ての組織"とは、加害者であれ、被害者であれ、重大事故に関連する組織です。
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具体的には? そうですね。まず、一番最初に思い浮かぶのは、トラック、バス、タクシー会社等の貨物運送業や旅客運送業ですよね。他にも、自社配送している会社や従業員が自動車通勤している会社もそうですね。従業員が自転車通勤していても関連がありますよね。
なるほど! 分かり易いですね。
ただ、それらの組織が ISO39001 の対象となると、ISO9001.ISO14001 に比べて対象組織が少ないですよね。
いや、先程の事例は一部ですよね。その前の私の説明で、"重大事故発生に関する全ての組織ですね"と言いましたよね。
たしかに。
それは、直接、加害者や被害者になる場合だけではなく、間接的に関連する場合も含まれるのです。 例えば、自動車メーカーや、道路を設計したり構築している組織や大きな駐車場を管理している商業施設や学校等です。
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それはかなり広い範囲になってきましたね。
まだあります。 ISO39001 に取組むべき、一番の組織はどのような組織(業種)でしたっけ?
えーっと、確か トラック、バス、タクシー会社等の貨物運送業や旅客運送業でしたよね。
そう!その中でも、輸送を依頼する明確な立場の組織って、どのような組織がありますか?
トラック、バス、タクシー会社に輸送を依頼する組織? では、トラック運送業
者に輸送を依頼する立場の組織は?
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わかりました! 荷主ですよね。
そうです。荷主企業としても、「輸送を依頼する立場」ですが、どこの運動業者でもいいわけでなく、交通安全対策を適切に実施している運送業者に依頼することが必要ですよね。特に、荷主企業がISO9001 に取組んでいるのであれば、"7.4.1 購買データ"で供給者である運送業者を評価して選定しなくてはなりません。
と、なると、ISO39001 に 取組むべき対象は、殆どの組織が含まれるということですね。
そうです!交通安全に関係ない組織って、あまり思い当たりませんよね。 ISO39001 に取組むことのできる組織は、殆どの組織だと理解してもらって構わないです。
では、そもそもなんで、今頃、交通安全なのですか? ずいぶん言い古されたフレーズに思えますが。
確かに。でもよく考えて下さい。「交通事故」は人災ですよね。"人災"ということは、誰か、事故原因となる人物がいて、事故発生の原因があるのです。ということは、「交通事故」は、防ぐことができるのです。 だから、「交通事故を防ぐためのしくみ」が必要なのです。
ということは・・・
交通事故は防げる!
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・効果を上げる
・継続的改善をする
この為に必要なもの
「プロセス管理」
「マネジメントシステム」
"交通事故を防ぐためのしくみ"であれば、今までも色々あったと思うのですが。例えば、交通安全教育もそうですし、トラックやバスに取り付けるバックアイカメラや信号の種類や交差点の種類なども交通事故を防ぐ取組みですよね。
そうです。ただ、それらの取組みは、断片的であり「横断的なしくみ」ではないですよね。 一つ一つの取組みがリンクしていないので、効果が出難かったり、限界があるのです。 効果を挙げたり、限界を打破して継続的改善をするためには、 「プロセス管理」と「マネジメントシステム」が必要です。 いま、「プロセス管理」について説明すると、「難しい!」と感じる方もいると思うので控えますが、一つ一つの取組みを横断的に管理して運用することで「しくみ」となるのです。
交通事故削減という効果を挙げるためには、「プロセス管理」と「マネジメントシステム」が必要ということですね。
そのとおりです。「マネジメントステム」とは、 PDCA ですね。 PLAN:計画ーDO:実施ーCHECK:検証ーACT:改善 のサイクルを廻して、継続的に改善していくことです。
P:PLAN 計画
D:DO 実施
C:CHECK 検証
A:ACT 改善
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そのとおりです。事故削減のための取組みは、断片的でも効果がある場合がありますが、必ず”壁”に当たります。 だから、PDCA を廻して継続的に改善することが必要なのです。
交通事故削減の為の取組みを横断的にしくみとして PDCA を廻 し て い く の がISO39001 なのですね。
そう理解してもらって良いでしょう。
そういえば、交通事故を防ぐしくみで思い出したのですが、国土交通省がISO9001 を参考に作った「運輸安全マネジメント」がありますよね。
はい。「運輸安全マネジメント=ISO39001」ではありませんが、類似性は高いですね。現時点では、ISO39001 の要求事項が確定していないので、なんとも言えませんが、類似性が高いのは事実でしょう。
次のとおりです。
ISO39001 に取組む組織が具体的にどのようなことをするのか説明してもらえますか?
その考え方は、QMS(ISO9001) やEMS(ISO14001)と同じですね。
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目的 目標
決定!
達成手段の策定
規格の策定が現在DIS(ドラフト インターナショナル スタンダード)の段階であり、重要な個所の不確定な部分がありますので大まかに説明しますと、次の通りです。
① 経営層(トップマネジメント)として、死亡・重傷事故防止のために必要な様々なこと
をコミットメントする(”誓う”という日本語が適切?)
②「道路交通安全マネジメント方針」を策定する。
⑤ 目的・目標を決定し、その達成手段も策定する。
④ 「リスクにさらされる指標」「中間実施安全指標」「最終安全指標」を決定する。
③ 「死亡・重傷事故につながるリスク」を特定する。
⑦ ヒトについて重要な力量を明確にして、運用にあたらせる。
⑥ RTSMS の運用に必要な経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報等)を明確にする。
⑧ 社内・社外の情報共有のしくみを構築し運用する。
⑨ 死亡・重傷事故防止を実現するために決定したしくみを運用する。
⑩ 緊急事態の定義を決定し防止・軽減する。
⑪ RTSMS 運用の結果を評価する。
⑫ ヒヤリハット活動を取り入れ運用する。
⑬ 内部監査を実施する。
⑭ マネジメントレビューを実施する。
⑮ 継続的改善を実施する。
一つ一つの要求事項の説明は、FDIS(ファイナル ドラフト インターナショナル スタンダード)が発行されてから説明しますね。早ければ 4 月、遅くても 6 月には発行されると思います。
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何か難しそうですが、よく見ると、ISO9001・ISO14001 と似ていますね。
そうです。ISO9001・ISO14001 との類似性もあり、かつ、OHSAS18001 との類似性もあります。 ISO39001 を策定する上で、交通事故削減の先進国であり、かつ、議長国であるスウェーデンの交通事故削減の考え方が多く取り入れられています。また、日本も積極的に意見を出し存在感を表しているようです。
例えば、トラック 運 送 業 者 がISO39001 に取組んだ場合のメリットは何でしょうか?
もちろん、交通事故が削減されることにより、 ①損害保険料金が激減する(2t以上、30 両規模の会社で支払保険金が半額になると、損害保険料金が 100 万以上削減される試算もあり) ②交通事故処理の手間が省ける(遺族・被害者への謝罪はナント大変なことか!) ③車両修理代の経費が削減できる ④取引先、顧客から高い評価を得られる ⑤環境保全企業となれる(交通事故削減は環境負荷の低減です)
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ISO39001 に取組むにあたり注意点はありますか?
運送業者が取組む場合は、法令遵守が重要であることを認識して下さい。必ず、運送業関連の法令を認識したうえで取組むことが必要ですね。 この運送業関連の知識の中に、ドライバーの労務管理の法令である労働基準法や改善基準及び「運輸安全マネジメント」の知識が必要なことは言うまでもありません。 まちがってもこれらの知識なしに ISO39001に取組むことは危険です。もちろん、このことはコンサルタントにも当てはまります。
では、 ISO39001に取組む場合、法令遵守が一番大切なのですね。
いや、いや、もちろん大切ですが、その他にも"法令順守"と同じくらい重要な知識があります。それは ISO9001(QMS)と ISO14001(EMS)の知識でしょう。何といっても、審査対象規格である ISO の基礎は ISO9001(QMS)ですし、ISO39001 におけるリスク評価の考え方や緊急事態については、ISO14001(EMS)ですからね。
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そうすると、 ISO39001 に取組む運送業者=運送業関連法令(労基法、運輸安全マネジメントを含む)の知識、ISO9001、ISO14001 の知識が必要 ISO39001 を指導するコンサル=運送業関連(労基法、運輸安全マネジメントを含む)の知識、ISO9001、ISO14001 の深い知識
が必要となるのですね。
そのとおりです。でも、運送業関連の知識が必要なのは、運送業者や運送業者を活用する荷主企業が ISO39001 に取組む場合ですから、それ以外の組織が取組む場合、自社に適用される法令を意識することが必要ですね。
ISO39001 について、だいたいわかってきました。でも、取組み始めたら更にわからないことが沢山出てくるのでしょうね。
そうです。「ISO39001」は、交通事故・重傷事故をなくすために、「あれをしなさい」「これはどうなっていますか?」という要求事項のことですが、全ての組織に当てはまるように書いてあるので、表現がとにかく分かり難いのです。別に、意識して分かり難い表現がしてあるのではないのですが、理解するには少々厄介です。 ですが、専門家の意見を参考にするなど、どうか前向きに取組んで頂きたいと思います。
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《執筆者》
山本昌幸 あおいコンサルタント株式会社 主席コンサルタント
(ISO9001主任審査員、ISO14001主任審査員、行政書士、社会保険労務士、運行管理者)
食品会社、損害保険会社を経て、行政書士・社会保険労務士事務所を開業し、運送業、建設業
を対象に許認可、労働社会保険事務、労務管理に携わる。また、「運行管理者」合格のための「運
行管理者合格セミナー」を 6 年間に渡り開催。
1998 年から ISO9001、14001 関連業務に従事。現在までに、「ISO9001、14001、22000 審査業務 600
回以上」「ISO9001、14001 導入講座講師」「ISO 内部監査員研修講師」「ISOコンサルタント養成
講座講師」及び「ISO審査登録機関の新人審査員・主任審査員の検証業務」等のマネジメント
システム業務に多数携わる。また、経営コンサルタントとしは、「人事制度構築」
「成果主義導入」「目標管理制度導入」「ISO9001 導入指導」「ISO14001 導入指導」
「ISO27001 導入指導」「ISO22000 導入指導」「CI」「マーケティング」「運輸安
全マネジメント」「ヒューマンエラー対策」を 200 社以上に指導。
雑誌掲載は、「ISOマネジメント」(日刊工業新聞社発行)、「ビジネスガイ
ド」(日本法令発行)を始めとして、ISO9001、ISO14001、ISO39001、運輸安全
マネジメント、ヒューマンエラー、人事制度等の数多くの執筆を担当。2011 年
7 月には、我が国初の運輸安全マネジメント書籍である「運輸安全マネジメント
構築・運営マニュアル」(360 頁:日本法令発行)を執筆。
また、2011 年 11 月には ISO39001 策定の TC241 委員会議長国であるスウェーデンを訪問
し、事務局であるスウェーデン規格協会の ISO39001プロジェクトリーダー、秘書及び、ス
ウェーデン国内の責任者を訪ね、ISO39001 のレクチャーを受ける。2012 年 6 月再訪予定。
《マンガ》
高橋ゆかり
《参考文献》 JIS Q 9001:2008(ISO 9001:2008)品質マネジメントシステム-要求事項 (日本規格協会発行)
JIS Q 14001:2004(ISO 14001:2004)環境マネジメントシステム-要求事項 (日本規格協会発行)
ISO39001/DIS (ISO)
《発行日》
2012年2月18日 初版発行
《発行所》
あおいコンサルタント株式会社・運輸安全マネジメント推進協議会
本部:名古屋市中区栄 3-28-21 建設業会館7階 電話 052-269-3755 Fax 052-269-3631
Eメール:[email protected]
ご注意:当内容はDIS段階における執筆者の理解に基づく内容です。
2007年4月17日に国土交通省中部運
輸局にて、運輸局・運輸支局職員、
トラック協会適正化実施機関巡回指
導員、トラック協会職員、バス協会
職員、タクシー協会職員、自動車事
故対策機構職員等向けに、運輸安全
マネジメント研修の講師を務める。