【主体性・社会性を育む幼児キャンプ】...

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- 22 - 【主体性・社会性を育む幼児キャンプ】 「大自然に“い~っぽ”」 事業実施の必要性と特色 少子化・情報化などにより,人と関わりがないまま幼少期を過ごしていく 現状がある。基本的な生活習慣や態度,人と関わる力などは幼少期に確実に 育まれるようにすることが大切である。そのため,幼少期からの自然体験活 動を通し,幼児が他者ともに関わり合って学ぶ場が必要となる。 本事業は,幼少期の子どもたちに自然体験活動の場を提供し,人と自然・ 人と人とが関わりながら生活することで自主性や積極性・協調性の向上を図 ろうとするものであり、併せてそこで得られた成果を公立施設に普及してい くとともに,幼少年期における自然体験活動の幅を広げていくものである。 具体的には,施設周辺の自然環境を活用した活動や生活を通して,主体性・ 社会性を育んでいく。また,厳しい冬の中での活動を通して自然について学 ぶとともにたくましい心と体を培う。保護者は,実習・講義を通して自然体 験活動等の効果を体験的,理論的に学び,体験を経た子どもたちの理解や日 常に戻ってからの円滑な親子の関わりへとつなげていく。 事業の概要 趣旨 幼児が自然を介した学びの場において,自立心や協調性、感性を育む。ま た,その保護者が実習や講義を通して,幼児のための自然体験活動の意義に ついて理解を深め日常生活につなげる。 主催 国立花山青少年自然の家 協力 山形県神室少年自然の家 後援 宮城県教育委員会、栗原市教育委員会 5 期日 【第1回子どもプログラム】 平成22年9月18日(土)~9月20日(月・祝) [2泊3日]

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【主体性・社会性を育む幼児キャンプ】

「大自然に“い~っぽ”」

Ⅰ 事業実施の必要性と特色

少子化・情報化などにより,人と関わりがないまま幼少期を過ごしていく

現状がある。基本的な生活習慣や態度,人と関わる力などは幼少期に確実に

育まれるようにすることが大切である。そのため,幼少期からの自然体験活

動を通し,幼児が他者ともに関わり合って学ぶ場が必要となる。

本事業は,幼少期の子どもたちに自然体験活動の場を提供し,人と自然・

人と人とが関わりながら生活することで自主性や積極性・協調性の向上を図

ろうとするものであり、併せてそこで得られた成果を公立施設に普及してい

くとともに,幼少年期における自然体験活動の幅を広げていくものである。

具体的には,施設周辺の自然環境を活用した活動や生活を通して,主体性・

社会性を育んでいく。また,厳しい冬の中での活動を通して自然について学

ぶとともにたくましい心と体を培う。保護者は,実習・講義を通して自然体

験活動等の効果を体験的,理論的に学び,体験を経た子どもたちの理解や日

常に戻ってからの円滑な親子の関わりへとつなげていく。

Ⅱ 事業の概要

1 趣旨

幼児が自然を介した学びの場において,自立心や協調性、感性を育む。ま

た,その保護者が実習や講義を通して,幼児のための自然体験活動の意義に

ついて理解を深め日常生活につなげる。

2 主催

国立花山青少年自然の家

3 協力

山形県神室少年自然の家

4 後援

宮城県教育委員会、栗原市教育委員会

5 期日

【第1回子どもプログラム】

平成22年9月18日(土)~9月20日(月・祝)

[2泊3日]

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【第1回保護者プログラム】

平成22年9月19日(日)~平成22年9月20日(月・祝)

[1泊2日]

【第2回 子ども・保護者共通】

平成23年1月15日(土)~平成23年1月16日(日)

[1泊2日]

6 参加対象と人数

幼稚園・保育園年中・年長児 30名とその保護者

7 参加状況

【第1回】 【第2回】

8 日程

【第1回 子どもプログラム】

9 月18日(土) 9月19日(日) 9月20日(月・祝)

◇起床 7:00

◇朝食 7:30~

◇登山準備 9:00~

◇山へのい~っぽ

(御駒山登山) 10:00~

◇起床 7:00

◇朝食 7:30~

◇キャンプ場へ移動 8:30~

◇思い出のい~っぽ

(お絵かきタイム) 10:00~

◇おもてなしのい~っぽ

(炊飯・飾り付け)11:00~

◇受付 12:30

◇あそびのい~っぽ

(シャボン玉とばそ)13:00~

◇みずへのい~っぽ

(沢遊び) 14:00~

◇入浴、着替え、シュラフの準

備 16:00~

◇キャンプサイト到着

14:00

◇入浴、着替え 15:00~

◇カレーなるい~っぽ

(キッズクッキング)

16:00~

◇みんなでピザパーティー

(おうちの人をご招待)

13:00~

◇明日へのい~っぽ

(お別れ会)14:00~

◇たきびのい~っぽ

(たきび&夕食) 18:00~

◇えほんといっしょ 20:00~

(ログハウスにて就寝)

◇夕食 18:00~

◇後片付け 19:00~

◇テントでおやすみ 20:00~

宮城県 男 女

子ども 14 7 21 保護者 5 12 17 計 19 19 38

宮城県 男 女

子ども 9 6 15 保護者 5 9 14 計 14 15 29

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【第1回 保護者プログラム】

9 月18日(土) 9月19日(日) 9月20日(月・祝)

◇保護者集合 9:30~

◇がんばりを見守る

「御駒山登山」 10:00~

◇起床 7:00

◇朝食 7:30

◇講義・実習

「野外体験から学ぶ

子育てコミュニケーション」

9:00~12:30

多世代はうす 文字倶楽部

馬渡 達也 氏

◇受付・子どもとのお別れ

12:30

◇事業説明・アンケート記入

13:00~

◇帰宅 14:00~

◇子どもへのご褒美をつくる

「木んメダル」 14:00~

◇子どもたちの活動観察

16:00~

◇キャンプ場へ移動 12:30

◇みんなでピザパーティー

13:00~

◇明日へのい~っぽ

(お別れ会) 14:00~

◇子どもプログラムVTR視聴

18:30~

◇子育て座談会 20:00~

【第2回 子どもプログラム】

1月15日(土) 1月16日(日)

◇起床・シュラフ片付け 7:00~

◇着替え・朝食 7:30~

◇料理へのい~っぽ(野外炊飯) 9:00~

◇不思議のい~っぽ(雪を使った遊び)10:30~

◇力持ちへのい~っぽ(もちつき体験)11:30~

◇受付 12:30

◇あそびのい~っぽ(たこあげ) 13:00~

◇ゆきへのい~っぽ(雪遊び) 14:00~

◇冒険へのい~っぽ(テント設営) 16:00~

◇みんなであったかパーティー

(保護者と一緒の食事) 12:00~

◇思い出のい~っぽ(お絵かきタイム)13:30~

◇明日へのい~っぽ(お別れ会) 14:00~

◇夕食(ダッチオーブン料理) 18:00~

◇影絵シアターへようこそ! 19:00~

◇読み聞かせ・雪中テント泊 20:00~

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【第2回 保護者プログラム】

1月15日(土) 1月16日(日)

◇起床 7:00

◇朝食 7:30

◇実習「季節料理をつくる」 9:00~10:00

◇講義「子どもと一緒につくることの意義」

10:00~11:30

講師:多世代はうす 文字倶楽部

馬渡 達也 氏

◇実習「季節料理をつくるⅡ」 11:30~12:00

◇受付 12:30

◇開講式・事業説明 13:00~

◇子ども時代を思い出す「雪遊び体験」

13:30~15:00

◇子どもと楽しむ遊びをつくる「影絵づくり」

15:00~18:00

講師:影絵「とらのこ座」(加美町)

◇みんなであったかパーティー

(おうちの人と一緒に食べよ!) 12:00~

◇思い出のい~っぽ

(ふりかえりお絵かきタイム) 13:30~

◇明日へのい~っぽ

(子どもとの日常へのい~っぽ) 14:00~

◇影絵シアターへようこそ! 19:00~19:30

(保護者による実演)

◇子育て座談会 part2 20:00~

講師:多世代はうす 文字倶楽部

馬渡 達也氏

10 企画のポイント

本事業は平成 16 年度の幼児お泊り会が前身で、6 年目の継続事業であ

る。平成 20 年度までは、幼児及び小学校 1・2 年生を対象としていたが、

今年度から幼児(年中・年長)に対象を絞って募集することにした。また、

事業開始当初から、幼児と保護者それぞれのプログラムに分かれて実施し

ている。

今年度の事業のねらいとしては、以下のことに焦点を絞って企画した。

①低年齢期の体験活動の重要性を踏まえ、特に幼児の「自立心」をはぐく

むこと。

②保護者が、実習・講義を通して自然体験活動等の効果を体験的、理論的に

学ぶことで、体験を経た子どもたちの理解や日常に戻ってからの円滑な

親子のかかわりへとつなげること。

③参加する保護者同士の子育てに関する情報を交換する場を提供すること。

④単なる「親子向け」事業ではなく、親子それぞれに必要であろう課題を

見つけ、事業を通じて、双方が理解しあえる仕掛けを作り出すこと。

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上記のうち、今年度は特に②の「保護者の学び」や「子育て・子育ち

的内容」にこだわってプログラムを検討し、④の「仕掛け」を随所に盛

り込んだ内容にして実施してきた。

11 運営のポイント

《1 回目のプログラム》

【仕掛け1】1日目の別れ

幼児と保護者とは、自然の家の中の

敷地内にいるが、別な場所で別なプロ

グラムを実施するようにした。特に子

どもたちには親に対する依存心を持た

ないよう、近くにいることを知らせず、

幼児自らの力で3日間過ごすようにし

た。

受付の後、保護者に「子どもさんと

お別れの儀式をしてくださいね」と促

し、互いにけじめをつけて活動に入ることにした。そこで、日常子どもと

どのように接しているのかを垣間見ることができ、また、子どものリアク

ションによって、どれくらい親離れが進んでいるのかがわかった。それを

もとに、そこから子どもを引き継ぐカウンセラーがどう対応するか判断す

ることができた。

子どもにとっても、保護者にとっても互いに3日間も離れるのは初めての

体験。子ども達は夕方になるとホームシックにかかり、泣くこともあったが、

親も子も、3日間会わないことで、それぞれ成長するのだと感じた。

【仕掛け2】登山プログラムでの接近・観察

保護者組は、先に出発して見つから

ないように子ども達を観察するように

した。

子どもが御駒山登山をしている時に

は、親は、子どもと同じ体験した後、

木の陰から子どものがんばりを見守っ

た。日常では辛そうな姿を前にすると、

声をかけたり、手助けしたりするのだ

ろうが、何もできないもどかしさとと

もに沸きあがるのは、「やればできる」とこと、そして、子どもの知らなか

った一面への驚きであった。

保護者は子どもの成長を目の当たりにして、大いに感動していた。

また、直接観察するだけではなく、完全に離れ離れになった初日の活動を、

スタッフが撮影したビデオでふりかえった。ややもすると自分の前で見せる

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姿がすべてであるように錯覚することもあるが、親の前とは違う一面(甘え

ずにがんばる姿など)を再確認し、子どもへの理解がより深まるきっかけと

なった。

【仕掛け3】子どものがんばりをどう認めるか

翌日の子どもとの再会に向けて、が

んばった3日間を称える「木んメダル」

づくりを行った。子どもたちの登山を

見た直後だったこともあり、がんばっ

た姿を思い起こしながら、制作に熱が

入った。大切なのは親として感じた「

思い」をどう表現するか、直接子ども

に向き合ったときにどんなすてきな言

葉をかけるかである。子どものがんば

りや成長を認め、互いに成長するため

のきっかけとなってほしいプログラムである。

【仕掛け4】再会にむけて思いをカタチにする ~おもてなし~

終日には、お昼の再会に向けて子

ども達がピザやケーキを作り、昼食パ

ーティーにお父さん、お母さん達を招

待した。「今日はおうちの人たちに会

えるんだよ」と話し、「パーティーを

しようと思うんだけど、どういう感じ

にしようか?」と投げかける。そこに

子どもたちの「会える!」気持ちが形

となったもてなしが生まれる。高まる

気持ちをどう表現するか、じっくり時

間をかけて取り組みたい活動である。

調理以外にも、パーティー会場の飾

り付けをしたり、3日間の思い出を絵

に描き、食事をとりながら楽しかった

ことを説明した。

この3日間は、「親が子を想う」時間であった。普段、子どもに対して、

簡単に手や口をだしてしまっていることや子どもの話を真剣に聞いていな

かったりすることなどをふりかえり、「我慢すること」「待つこと」「真剣に

向き合うこと」などを親は学んだ。

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《2回目のプログラム》

【仕掛け1】外遊びへの自然な流れ

「雪国の子どもほど雪遊びをしない」

という声が聞かれ、魅力的な冬の外

遊び体験プログラムの開発が、われ

われの課題でもある。本事業では、

子どもたちが抵抗なく外に出かけら

れるようなプログラムを検討した。

その中でポイントとしたのが、季節

感のある遊びである。冬を代表する

遊びの一つである「たこあげ」に決

め、館内で制作し、揚げるために外に出ることにした。

ビニール袋を六角形に切り、竹ひごを二本取り付けるだけの簡単な凧で、

子どもたちでも上手につくり上げ、冬空にとても高く飛ばすことができた。

【仕掛け2】子どもと楽しむための遊びをつくる体験

~影絵シアターへようこそ!~

前回は自分の子どものためにプレゼ

ントをつくる活動を行ったが、今回は

プログラムをつくる上でのテーマを、

①家庭に戻って子どもと一緒に遊べる

活動で、かつ②参加者が協力・協働し

てつくり上げることのできる活動とした。

講師として、地元の影絵サークルの

方々に依頼し、『はらぺこあおむし』

と『まほうのほん』を題材に、保護者

に影絵を作って演じてもらうこととし

た。ただし、上演が夜になるので、保護者が演じていることは子どもたち

には内緒にして行った(親の声を聞いたり、姿を見たりすると自分たちだ

けでは眠れなくなる恐れがあるため)。保護者は全員初めての体験だったが、

制作が進み、リハーサルになると熱が入り、何度も試行錯誤を重ねて本番

に臨んだ。

子どもたちは思いがけぬサプライズによろこび、一同影絵に夢中となっ

た。「もっとみたい」という声や「きれい」というつぶやきに即興の保護者

劇団も満足感と達成感を感じたプログラムとなった。

【仕掛け3】同じ場所で違う活動をやったら・・・ ~野外炊飯活動~

これまでの活動は、すべて子どもと親が別々に活動し、時には場所も離

れ、時には子どもに見つからないように隠れて行ってきた。そこで「同じ

場所で別々の活動したらどうなるだろう?」という素朴な疑問がわいてき

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た。子どもの自立と親の子どもへのか

かわりをテーマにした事業だけに、こ

れまでの成果がみたいという企画者側

の願望もあり、野外炊飯をこのスタイ

ルで実施してみることにした。

1 回目のキャンプでは、親は子ども

の様子が気になり、いてもたってもい

られない様子が見られた。子どもも親

の姿が少しでも見えると駆け寄って

抱きついたり、思い出して泣き出した

りする子が多かった。1回目をうけて、

今回は、子どもと大人の料理リレーを

仕組んだ。子どもチームがきりたんぽ

を作り、保護者チームがそれを受けて

鍋にするというもの。同じ場所で違う

活動をしながらも、目的は一緒という

ことである。

われわれが 良のシナリオとして考

えていたのは、子どもは仲間と一緒に

楽しみながらきりたんぽをつくり、親

はその姿をほほえましく見守りながら、

自分たちの準備を進めるという光景。

悪のシナリオとして考えていたのは

子どもが親の姿を見るなり駆け寄り、

カウンセラーのコントロールが不能に

なり、親も子どもに手取り足取り、付

きっ切りになる光景である。

どちらに転ぶか、ハラハラしながら

スタートしたが、期待どおりの結果と

なった。親も子どももこちらの想像以

上に成長しており、ストレスがかかる

場面も難なくクリアした。その後のパ

ーティー、お絵かきタイムも同様であっ

た。

今回、われわれスタッフは、前回と比較してどんな学びや成長があった

のかを探ることを目的にしていた。とらえようでは「慣れ」や「ドライ」

な印象にも映るが、互いにこの事業を通して乗り越えてきた体験や感情を、

自らの次の行動に活かしていると思われる。子の「不安」、親の「心配」の

レベルから一歩前進した関係を築けている印象を受けた。

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12 安全管理のポイント

参加者を幼児に限定したことにより、これまで使用したフィールドやプ

ログラムをもう一度一から見直すことからはじまった。参加者の体力に応

じて、安全性が問われる箇所が出たため、活動場所については、すべて入

念な実地踏査を繰り返した。

実地踏査のポイントとして、1回目は、沢遊び・登山・テントサイト・

野外炊飯場について、幼児が使用する上での距離、高さ、障害物、トイレ

までの距離などをスタッフで確認し、変更が必要なものは、実施前に改善

した。2 回目は、雪遊びエリア・テントサイト・野外炊飯場について同様

の対策を行った。

また、使用する用具についても見直しを図った。1回目では、幼児のた

めの包丁を用意して、野外炊飯での事故を防いだ。2回目では、雪遊び用

具を見直した。子どもたちが長時間活動するためには、まずは「ぬれない

こと」が重要と考え、雪玉製造機や軽量のスコップを用意し、3 時間近く

野外で遊ぶことができた。

13 実施状況

《1回目 子どもプログラム》

【9月18日(土)】

(1)「あそびのい~っぽ」(シャボン玉と~ばそ!)

家から一緒に来た保護者と、自然

な流れで離れることができるかが課

題となる 初の活動だったが、夢中

になってシャボン玉をつくる子もい

れば、全く興味をもてずに泣いてば

かりの子もいた。スタッフやカウン

セラーとしては、子どもたちの保護

者との関係性や成長の度合いを確認

できた。

(2)「みずへのい~っぽ」(おもいっきり沢遊び!)

出発前は日差しがあり、汗ばむ陽

気だったが、到着して沢の水に触れ

るとその冷たさに驚くほどだった。

ライフジャケットをつけて、少しず

つ体をぬらしながら、徐々に沢の本

流に。 後は仰向けになって流れに

身を任せたり、泳いだりする子もあ

らわれ、たくましさを感じた。

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(3)「食へのい~っぽ」(みんなでコネコネ!)

沢から帰ってきて、シャワータイムと着替えを済ませた後、夕飯づく

りにとりかかる。メニューは『ねじりパン』。みんなで生地をこね、竹の

棒にまきつけ、スタッフが準備した特製かまどでじっくり焼き上げる。

沢の水で冷えた体を温め、一石二鳥の初調理となった。焼きあがったパ

ンにソーセージをはさんで準備万端。元気に「いただきます!」。

(4)「たき火のい~っぽ」(あつあつをほおばろう!)

焼きあがったねじりパンを大きな

口をあけてぺろりと食べた子どもた

ち。かぼちゃスープの相性は抜群。

デザートに焼きマシュマロをつくり、

たき火を囲んでの野外炊飯を締めく

くった。おなかいっぱいになって眠

くなってくる子もいたが、みんなで

協力して後片付けもきれいにできた。

(5)「おやすみなさい」(えほんといっしょに)

初日は子どもたちの疲れも考慮し

て、ログハウスでの就寝とした。初

めて寝袋に寝る子やお母さんと別れ

て寝たことのない子、友達と泊まる

のが初体験の子が多く、興奮状態。

ちょっとさみしくなってくるところ

でスタッフによる読み聞かせ。慣れ

ない環境に、しっかりと順応しよう

とする強さを感じた。

【9月19日(日)】

(1)「山へのい~っぽ」(御駒山登山)

朝食後、自分でリュックを準備し、メインの活動の登山へ。自分の力

で歩いて、ゴールする達成感を味わうのが目的。不安を自信に変える体

験をと考えたプログラムだ。10 時にキャンプ場を出発し、12 時に山頂

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でお弁当、15 時にキャンプ地である冒険広場に到着するコース。初めは

ハイキング気分で楽しく出発したが、途中小雨が降ったところから、急

な上り坂に苦戦する子も。しかし山頂につく頃には笑顔が。後半も予想

以上のがんばりで、ほぼ予定通りにゴールできた。そこで見せた子ども

たちの表情は、たった数時間で大きく成長したように感じた。

(2)「カレーなるい~っぽ」(カレーをつくっちゃお!)

この日の調理は、包丁を使って材料

を切る作業に挑戦した。子どもたちの

活動を決める上で重視したことは、一

つの作業に集中させること。全員が包

丁を使って野菜を切るようにした。カ

ウンセラーも安全管理に集中し、けが

なく活動を行うことができた。

(3)「星空へのい~っぽ」(テントでおやすみ)

予定では、星空を見ながらふりかえ

りをする予定だったが、雨天のためテ

ントに直行して就寝となった。テント

の中の温かさと程よい疲れで、ほとん

どの子がすぐに眠りについた。本来の

テントの機能である雨風をしのぐこと

が、子どもたち同士やスタッフとの距

離を近づけることとなった。

【9月20日(月)】

(1)「思い出のい~っぽ」(ふりかえりお絵かきタイム)

テントを片付けて、朝食をとった後、

冒険広場を出発。初日に過ごしたキャ

ンプ場へ戻った。「今日はおうちの人を

招いてパーティーをするから、飾りつ

けをしてみよう!」と声をかけるとみ

んな黙々と絵を描き始めた。この 3 日

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間に感じたことを伝えたいという気持ちが行動にあらわれていた。

(2)「おもてなしのい~っぽ」(パーティーをしよう!)

飾りの絵ができあがり、パーティー

の準備に取りかかる。初日のパン作り

の経験を生かしてピザ生地をしき、手

際よくトッピング。3 日間で子どもた

ちは主体性を持って行動するように変

容した。キャンプが持つ生活力をはぐ

くむ作用が、幼児の発達段階には極め

て有効だと改めて感じた。

(3)「みんなでピザパーティー」(おうちの人をご招待!)

ピザが焼きあがるまでの間に、デザートのケーキにトッピングをした

り、会場の飾り付けをした。「もうすぐおうちの人に会える」という期待

感から笑顔で、元気になる子が多い中、再会の瞬間までこらえきれずに

泣き出す子も。いよいよ再会のときは、子ども以上に保護者の感動が大

きく、いち早くわが子を抱きしめる姿が見られた。キャンプで過ごした

中で抱えた心の葛藤や不安の大きさはそれぞれであり、乗り越えるスピ

ードも違いがある。個々の多様性を受け止め、一人ひとりの成長に活き

る事業としたい。

(4)「明日へのい~っぽ」(キャンプとのお別れ会)

パーティーが終わり、後片付けを

一緒に行った後、カウンセラーが進

行してお別れ会を行った。子どもた

ちは自分が描いた絵を見せて、3 日

間の楽しかったことを話した。また、

カウンセラーからキャンプでの様子

について報告を行った。その中で、

子どもが今回のキャンプをどう感じ

ているか帰宅後にゆっくり引き出し

ていってほしいことを伝えた。

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《1回目 保護者プログラム》

【9月18日(土)】

(1)事業説明

受付後、子どもたちとお別れの儀

式をしてもらい、キャンプ場管理棟

で事業のねらいや活動について説明

を行った。親子別プログラムの効果

や、子どもの行動観察のポイントな

ど子育ての視点に立った事業にする

ことに理解を求めた。

【9月19日(日)】

(1)御駒山登山(子どもたちのがんばりを見守る)

1 日目は、子どもと離れて過ごす

ことで、いろいろ考えてもらう時間

をもち、2 日目に改めて集合しても

らった。その後、登山コースを先回

りして、子どもの様子を観察した。

小雨が降る中、心配そうに見守った

が、このときの心境を夜のプログラ

ムで互いに語り合い、子どもとのか

かわり方について考えるきっかけと

なった。

(2)「木んメダルづくり」(子どもたちへのご褒美をつくる)

子どものがんばりを直接目にして

施設へ戻り、その思いをかたちにす

る活動として、 終日に渡すメダル

をつくった。神室少年自然の家研修

主査の金田美代子氏の指導のもと、

子どものことを思いながら、黙々と

個性的な作品に仕上げた。

(3)「子どもたちの行動観察」(1 日目の様子をVTRでみる)

講師にくりこま高原自然学校で森

のようちえんを実践している馬渡達

也氏を招いて、子どもの行動から考

える親のかかわり方について講話を

いただいた。前日の子どもたちの映

像から具体的なアドバイスを得た。

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(4)「子育て座談会」(たき火を囲んで)

本事業の保護者プログラムのねらいの一つに、日常生活での子育てに

ついての悩みや不安について語り合う場の設定を考え、講師を交えて座

談会形式での実施とした。前述の直接的、間接的行動観察によって、よ

り実感を持った意見交換を行うことができ、大いに盛り上がった。

【9月20日(月)】

(1)講義・実習「野外体験から学ぶ子育てコミュニケーション」

前日の座談会から、子どもとのコミュニケーションのとり方について

悩む保護者が多いことがわかり、実習を含めた活動となった。子どもの

成長において「見守ること」、「待つこと」が大切であり、それを踏まえ

て、効果的な声がけの方法や言葉の引き出し方などを中心に実施した。

参加者からは、この後の子どもとの再会から即実践したいという声が聞

かれた。

(2)「みんなでピザパーティー!」(子どもたちとの再会)

子どもたちが準備した会場へ移動

して、2 日ぶりのわが子との対面と

なった。家庭生活では体験できない

非日常的な状況であるが、今後の小

学校生活など、親から少しずつ巣立

っていく場面の疑似体験となると考

える。

(4)「明日へのい~っぽ」(子どもとの日常への一歩)

子どもから感想画のプレゼントを受け、前日に作成したメダルを渡し、

声がけを行った。しっかりと向き合い、じっくり待ちながら十分に思い

を引き出す対話になり、2 日間のプログラムの成果が垣間見られた。

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《2回目 子どもプログラム》

【1月15日(土)】

(1)「あそびのい~っぽ」(たこあげであ~そぼ!)

初めての参加者 2 名を迎えて、2

回目の事業がスタートした。子ども

たちもスタッフもすぐに打ち解け、

早速凧作りにとりかかる。前回から

は考えられないほどの順応性に、担

当として大きな驚きがあった。

(2)「雪へのい~っぽ」(おもいっきり雪遊び!)

出来上がった凧を早くあげたくて、

室内で走り回る子どもたち。グルー

プに分かれて、着替えを済ませて雪

の中へ飛び出していった。凧揚げを

きっかけに自由に遊びを選んで活動

するように計画した。ソリすべりだ

けでなく、雪ほり・かまくらづくり・

雪玉遊び・雪だるまなど次々に遊び

を考え出し、たくましく遊ぶ姿が見られた。

(3)「冒険へのい~っぽ」(テントに泊まってみよう!)

前回体験した寝袋準備を行い、雪

上に設置されたテントを見た。不安

がるかと心配したが、楽しみでわく

わくした表情。今回の も大きなチャ

レンジ活動であるが、たくましく成

長した印象を受けた。その後、雪玉

でスノーランタンをつくり、夜の活

動を楽しみにしていた。

(4)「雪あかりへのい~っぽ」(影絵シアターへようこそ!)

夕食を終えてオリエンテーション室に戻ると、保護者が影絵シアター

を用意し、上演準備が整っていた。子どもたちは保護者が演じることを

知らず、何が始まるかドキドキして待って

いた。室内が暗くなり、影絵がはじまると

ストーリーに釘付けで、色の鮮やかさに驚

いたり、動きに歓声を上げたりして夢中に

なって楽しんだ。

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(5)「おやすみなさい」(えほんといっしょに)

企画段階で、夜の活動での保護者

の存在に気づき、テントで眠れなく

なることを心配していたが、影絵の

すばらしさに興奮し、いい流れで就

寝準備に入れた。絵本を見ながらお

だやかな気持ちになり、テントへ移

動した。グループ全員で寄り添いな

がら、暖かくして就寝した。

【1月16日(日)】

(1)「料理へのい~っぽ」(こねこね・にぎにぎタイム)

雪中テント泊であったが、起床時

は健康状態も良好で、元気に朝食を

とった。2 日目は調理に十分な時間

を確保した。前回、回を重ねるたび

に自発的な活動が見られたので、設

定した。季節料理「きりたんぽ」は、

子どもたちの作業量が前回と比較し

て多く、途中で困難も予想されたが、

楽しみながら取り組むとともに、仲

間と協力して作業する姿も見られた。

(2)「不思議のい~っぽ」(レッツ!ごろごろタイム)

きりたんぽを鍋にすることを保護

者に託し、子どもたちは日頃体験で

きない雪を利用した遊びとして、ア

イスクリームづくりを行った。雪と

塩を使って、転がすだけで出来るも

ので、不思議を体感することが目的。

活動の楽しさと出来上がりのおいし

さに大満足だった。

(3)「力持ちへのい~っぽ」(もちつき体験)

保護者の調理活動として予定した

もちつき体験に参加し、保護者と一

緒に楽しんだ。食に関する活動は子

どもの発育に大きくかかわり、子ど

もも強い好奇心を持って取り組むの

で、今後も取り入れていきたい。

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(4)「みんなであったかパーティー」(おうちの人と一緒に食べよ!)

自分たちがつくったきりたんぽが鍋に変身し、おいしそうに出来上が

った。前回は、親子の再会で大きな感動が生まれたが、今回は自然な流

れでみんなが一堂に会した。子どもたちも泣いたり、べったりしたりす

ることもなく、会場には笑顔があふれ、和やかに食事を取った。

(5)「思い出のい~っぽ」(ふりかえりお絵かきタイム)

親子で一緒に絵を描く予定にして

いたが、今回は子どもたちのグルー

プ(仲間)意識が強く、そのまま班

での活動になった。保護者はその様

子を一歩ひいたところで見守り、子

どもたちは楽しかったことを熱中し

て絵に表現した。

(6)「明日へのい~っぽ」(お友達とのお別れ会)

これまで 2 回にわたり、活動して

きた仲間との別れの会。参加者全員

が一つの輪になって行った。子ども

たちは全体の前で、感想を発表する

ことができ、自己表現の面での成長

もうかがえた。 後にスタッフの提

案で、キャンプ名にちなんで、一歩

踏み出すポーズで締めくくった。

《2回目 保護者プログラム》

【1月15日(土)】

(1)事業説明

今回は、参加者に活動の中で課題

に取り組んでもらうことにして、そ

れぞれのプログラムでの課題につい

て説明を行った。特に 2 日目は子ど

もと同じ場所で違う活動をするため、

どう見守るかが大切となると話した。

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(2)「思いっきり雪遊び体験!」(子どもの気持ちになって!)

子どもたちが雪遊びを行う中、保

護者にも別会場で実体験をしてもらっ

た。ソリ遊びとチューブすべりを、

子ども時代に戻って、夢中になって

活動し、子どもが遊ぶときの心境や

感性をつかんでもらうことができた。

(3)「影絵シアター」(子どもにみせる遊びをつくる)

加美町の中新田公民館で活動する

影絵とらのこ座の皆さんを講師に、

影絵公演を実際につくってもらうプ

ログラム。 初に実演してもらい、

必要なものの製作を行った。活動中

に参加者主体で、作業分担や役割、

演目の構成を決めるなど、自発的に

活動する姿が見られた。

(4)「影絵シアターへようこそ!」(上演)

前回は、自分の子どもに対してご褒美をつくる作業をしたが、今回は

参加者全員で、子どもたち全員にサプライズを仕掛ける活動になり、一

体感や協調性が生まれ、保護者同士の絆の深まりが出てきた。準備やリ

ハーサルで改善を繰り返し、本番では見事な影絵を披露した。

(5)「子育て座談会 part2」

全員が同じ活動を行ったため、そ

のふりかえりから始まった。保護者

からはプログラムに集中できたとの

声があり、子どもの活動への安心感

やスタッフとの信頼感ができたこと

で、自分に余裕が生まれたように思

われる。その心のゆとりが、子育て

に大切な要素であり、日常に生かし

てほしいと感じた。

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【1月16日(日)】

(1)実習「季節料理をつくるⅠ」

これまでの活動の中で、初めてと

なる調理。子どもたちがどのように

取り組むか観察することからスター

トし、子どもにどこまで任せるか、

どこまで待てるかをシミュレーショ

ンしながら行った。

(2)講義「子どもと一緒につくることの意義」

講師の馬渡達也氏から、森のよう

ちえんで実施している「キッズクッ

キング」について紹介してもらい、

その効果について学んだ。また、「歩

く保育」について、その重要性につ

いて参加者の声を交えて講義いただ

いた。

(3)実習「季節料理をつくるⅡ」

保護者の調理として、子どもが作っ

たきりたんぽを鍋にすることと、もち

つきを行った。子どもたちがもちつき

の様子をみて、「やりたい!」という声

があがり、参加者全員での活動になっ

た。保護者には講義を踏まえて、即実

践する機会となった。

(4)「みんなであったかパーティー」(子どもと一緒に食べよ!)

前述したように子どもと保護者が自然に出会い、活動も一緒に行った

ため、スムーズに食事に入った。保護者も子どもたちも、いつもと変わ

りなく振舞っていたが、互いに雰囲気に慣れてきたことや事業内容に対

する信頼から、リラックスして活動していたのではないかと感じる。特

に保護者は、日頃自分だけで向かい合っている育児からの解放感も大き

いのではないかと感じた。

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(5)「思い出のい~っぽ」(ふりかえりお絵かきタイム)

保護者が子どもから言葉を引き出

しながらふりかえる形を予定してい

たが、子どもの様子を見守ることに

絞って実施した。子どもたちは見守

られている安心感から、作業に集中

し、満足感を得ることができた。

(6)「明日へのい~っぽ」(子どもとの日常への一歩)

全体でのお別れ会で、子どもたち

全員に楽しかったこと発表してもらっ

た。初めての参加だった子は、恥ず

かしがって発表できなかったが、ほ

かの参加者の温かい雰囲気で、その

後は笑顔で会場を後にした。

Ⅲ 成果と課題

1 アンケート結果

《1 回目》

(1)参加者の満足度(アンケート回収率 100%)

事業全体の満足度は 93.3%であった。保護者には事業前に、ねらいや

活動プログラムについて説明を行った。特に保護者の子育てについての

学びの場であることや子どもを信じて見守る、待つことの大切さについ

てご理解いただいた。しかし、意見の中には「子どもだけが参加する事

業にしてほしい」という要望があった。2 回目に向けて、再度事業説明

の内容を検討し、理解を得る必要がある。

設問事項 満足 やや満足 やや不満 不満

事業全体を通してはどうでしたか 80.0% 13.3% 6.7% 0

事業のプログラムはどうでしたか 80.0% 13.3% 6.7% 0

事業の運営はどうでしたか 86.7% 13.3% 0 0

職員の指導・助言はどうでしたか 86.7% 13.3% 0 0

ボランティアの対応はどうでしたか 91.7% 8.3% 0 0

(2)自由記述

・親も同じ年の子を持つ同士、いろんな体験を通して話せてよかった。

・初めての(体験する)ことでしたので、どのプログラムもとても良か

ったと思います。

・是非また参加させたいです。本人(息子)も希望すると思います。あ

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りがとうございました。

・またぜひ参加したい事業でした。

・親自身も親同士の交流をして、子どもに帰って2日間楽しませていた

だきました。子どもも映像を見る限り、とても楽しんでいた様なので

よかったです。ありがとうございました。

・こんなに長い時間子どもと離れていることが、 初はきつかったので

すが、やはり1日だけでは感じられない思いがあるのだなと実感しま

した。

・とても貴重な体験ができました。子育てや息子との関わりを見直す良

い機会になりました。これからにつなげていきたいと思います。

・子どもの成長について新発見できてよかった。

《2回目》

(1)参加者の満足度(アンケート回収率 100%)

1 回目と比較して、事業全体の満足度は高まった。今回も事業説明を

行い、理解を得たことが満足度の向上につながった。また、2 回目の参

加で、参加者自身が目的意識を持って取り組んだことも要因であると考

える。ただし、前回は 2 泊 3 日で、ゆったりとしたプログラム構成だっ

たのに対して、1 泊 2 日の今回は保護者にとってはややタイトな日程に

なってしまったようである。来年度は事業を 3 回シリーズにする予定で

あり、各回の構成はもちろん、全体でのバランスや展開に配慮してプロ

グラムを組み立てていきたい。

設問事項 満足 やや満足 やや不満 不満

事業全体を通してはどうでしたか 85.7% 14.3% 0 0

事業のプログラムはどうでしたか 78.6% 14.3% 7.1% 0

事業の運営はどうでしたか 78.6% 21.4% 0 0

職員の指導・助言はどうでしたか 85.7% 14.3% 0 0

ボランティアの対応はどうでしたか 78.6% 21.4% 0 0

(2)自由記述

・普段の生活と全く違うので、よい体験をさせていただきました。

・久しぶりに子どもにかえった感じがしました。

・子どもたちのために、みんなで1つのことができてよかった。

・本人の自主性を引き出す指導・助言の仕方がためになった。

・2回目の参加でしたが、とても楽しく、子育てを見直すいい機会にな

りました。またこのような事業があれば参加したいです。

・子どもも親も一回目より安心して参加することができました。

・子どものみで参加する内容や、2歩、3歩となる事業を計画していた

だきたい。

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2 「自立」に関する調査研究 結果

本事業では、平成18年度から本施設で作成した調査「自立について

の調査項目」を用いて、体験活動が幼児の自立的発育にどのような効果

をもたらすのかを客観的に評価し、次年度の事業計画に活かしてきた。

今年度は事業再開にあたり、調査を再開してデータを蓄積していくこと

にした。

(1)調査項目について

調査項目は、平成18年度に本自然の家事業推進係員であった中村織

江氏(現機構本部調査研究係研究員)が作成した、33項目の尺度を用

いて実施した。使用した調査項目は以下(表1)のとおりである。

(表1)「自立」についての調査項目

【調査項目】

1 体力・健康について日常生活で特に支障はない

2 自分がやってみよう、やろうと決めたことは最後までやり通すことができる

3 自分が伝えようとして、表現したことがまわりに伝わっていないことがある

4 人と一緒に行動したり、一緒に何かすることが多い

5 次に起こりうることをあまり考えずに行動に移して、ケガや失敗を引き起こすことがある

6 日常生活で「待てない」ことが様々な場面である

7 ちょっとしたことではくよくよしない

8 周囲の人に不快感を与えない振る舞いができる

9 「やりたい」と思ったことを可能にするために行動にうつすことができる

10 決断する際、後先を考えない

11 最後まで話を聞かずにとりあえず行動にうつしてしまう

12 得た知識等を日常生活において活かそうとする

13 「上手になりたい」、「やりたい」という気持ちを持ったら、それに向かって努力できる

14 家族以外の人(先生や友だちなど)にも自分の意向(考え)をはっきり伝えられる

15 やりたいことがなく、やる気のない様子が見られる

16 いつも他人の意見に自分の考えをあわせてしまう傾向がある

17 他の人のためにすることを最優先にする

18 先のことを見通す力がある

19 夢は他の人(タレントや偶像の人物等)のことで、自分自身の夢は特にない

20 気持ちの浮き沈みは激しいほうである

21 自分の力を使って工夫することで生活を豊かにすることができる

22 「自分らしさ」を大切にしている

23 今までに興味を持ったことは実際体験してきた

24 運動をしてもあまり気持ちよいと思っていないようである

25 自分をより高めようとする気持ちがある

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26 自分の考えがコロコロ変わる

27 日常に起きるちょっとしたことでも楽しさにつなげることができる

28 自己中心的なところがある

29 人の意見に左右されるほうだ

30 物事を冷静に見つめることができる

31 自分の努力によって、目標を達成させたことがある

32 少しぐらいの嫌なことは耐えられる

33 ちょっとしたことではピリピリしない、心の余裕がある

※反転項目(意図して逆の質問の仕方をする項目)を含んでいます。

以上の 33 項目に対し、「まったくあてはまらない」から「とてもよく

あてはまる」までの間に、1から6の数字を示し、保護者が子どもにつ

いて感じていることに近いところに○をつける形をとった。この調査は

事業評価の指標として用いたもので、得点から「この人は自立している

人だ」等と断定することはできない。

(2)対象と調査時期について

調査は事業 2 回それぞれの事前・事後に実施した。

1 回目事前:平成 22 年 9 月 18 日(事業開始前)

事後:平成 22 年10月 3日(事業終了 2 週間後)

2 回目事前:平成 23 年 1月 15 日(事業開始前)

事後:平成 23 年 1 月 31 日(事業終了 2 週間後)

対象は保護者の参加者で、1 回目は 15 名、2 回目は 14 名であった。

なお、事後の調査については、参加者に家庭での生活の様子を 2 週間

観察してもらい、その後に記入してもらった。経過観察の期間(長さ)

については、事業担当スタッフで検討し、非日常の体験から気づき、ふ

りかえり、一般化して日常生活へむかう「体験学習サイクル」を踏まえ、

2 週間前後の時間を要するのではないかという仮説のもとに決定した。

また、保護者から子どもへのインタビュー形式での聞き取り調査と、

保護者から客観的にみた子どもの変容に関する調査も、あわせて実施し

ている。

(3)結果について

本調査は、事業体験前に比べて、体験後に得点の平均点が統計的に増

加していれば、事業内容が幼児の自立に良い効果を与えていると考えら

れる。統計は平均値の差を検定する「t検定」を用いた。

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(表2)t検定結果一覧(1回目)

因子名 平均得点の差 標準偏差 t値 有意確率

1 体力(健康) 1.000 2.483 -1.452 0.172

2 意志・意思 1.923 3.277 -2.115 0.056

3 コミュニケーション能力 0.923 1.934 -1.720 0.111

4 協調性 0.076 4.536 -0.061 0.952

5 洞察力 1.000 4.396 -0.820 0.428

6 忍耐力 0.846 2.640 -1.155 0.270

7 安定した心・寛容・許容 2.230 3.539 -2.273 0.042 *

8 マナー・挨拶・感謝 -0.384 1.502 0.923 0.374

9 行動力 0.000 1.000 0.000 1.000

10 決断力 0.153 1.463 -0.379 0.711

11 思考力 0.230 1.739 -0.478 0.641

12 知識 0.000 1.527 0.000 1.000

13 やる気・向上心 4.384 2.218 -7.125 0.001 **

14 人生・充実 1.000 2.943 -1.225 0.224

15 自分の意見・考え 0.384 2.063 -0.672 0.514

16 目標・目的・夢 1.076 2.752 -1.411 0.184

17 生活力・経済力 0.692 1.493 -1.671 0.121

18 個性・自尊心 0.384 1.502 -0.923 0.374

19 経験 0.307 1.109 -1.000 0.337

*P<0.05

**P<0.01

上表にある19項目について比較検討し、自立について分析した結果、

「安定した心」と「やる気」の項目について、確実に効果が上がったと

考えられる。

「安定した心」は、ちょっとしたことでくよくよせず、急にイライラ

することなく、心に余裕を持った状態をあらわしており、自然の中での

活動や居心地の良い集団での活動が効果的であることがわかった。また、

カウンセラーとのコミュニケーションの状態が良いことで、ストレスを

感じずに生活できていることも要因の一つと考える。

「やる気」は、自分の力を高めたいと思う向上心や「~をやりたい」

と思って努力する意欲についてあらわしており、活動プログラムにちょ

っと難しいくらいの課題を設定してチャレンジすることを盛り込んだこ

とが効果的であることがわかった。達成感を味わうことにより、さらに

上手になりたいという次へのモチベーションにつながり、成長のスパイ

ラル(向上していくサイクル)が機能すると考えられる。

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(表3)t検定結果一覧(2回目)

因子名 平均得点の差 標準偏差 t値 有意確率

1 体力(健康) 0.385 1.193 1.162 0.268

2 意志・意思 1.615 2.694 2.162 0.052

3 コミュニケーション能力 1.077 2.842 1.366 0.197

4 協調性 -0.154 1.281 -0.433 0.673

5 洞察力 0.923 2.565 1.298 0.219

6 忍耐力 1.154 1.994 2.087 0.059

7 安定した心・寛容・許容 1.231 2.948 1.505 0.158

8 マナー・挨拶・感謝 0.923 2.397 1.389 0.190

9 行動力 0.231 1.589 0.524 0.610

10 決断力 0.077 2.929 0.095 0.926

11 思考力 0.692 1.750 1.426 0.179

12 知識 0.385 1.193 1.162 0.268

13 やる気・向上心 0.000 1.080 0.000 1.000

14 人生・充実 0.385 1.325 1.046 0.316

15 自分の意見・考え 0.231 1.092 0.762 0.461

16 目標・目的・夢 0.462 1.713 0.971 0.351

17 生活力・経済力 -0.154 1.281 -0.433 0.673

18 個性・自尊心 0.231 2.166 0.384 0.708

19 経験 0.154 1.772 0.313 0.760

*P<0.05

**P<0.01

上表は 2 回目の調査結果であるが、有意な差は認められなかった。し

かし、「意志・意思」と「忍耐力」の項目で、確定的ではないが効果の傾

向は見られた。

「意志・意思」は、自分がやってみようと決めたことは 後までやり

とおしたり、自分の考えをはっきり伝えたりすることができるようにな

る状態をあらわしている。「忍耐力」は、自分の思うようにならない場面

でも待ったり、我慢したりすることができる状態をあらわしている。

1 回目に効果が見られた、「安定した心」と「やる気」の項目について

は、2 回目参加前からキャンプに対する期待感が高く、目的を持って参

加しようとする意欲があったことで、差が見られなかったと推測する。

主体性・社会性をはぐくむことを目的として、プログラムを構成して

きたが、子どもたちの中にそれらが芽生え、保護者が実感し、親子が互

いに充実感を得られるよう、来年度の計画にこの結果を活かしていきた

いと考える。

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3 成果

・今年度、重点化して取り組んだ「親の学び」としてのプログラムづくり

は、参加者に概ね好評を得ることができた。その要因として、第一に子

どもの活動を直接観察することができることがあったと考える。親と子

が別のプログラムで活動する中に、部分的に設けた仕掛けだが、そこか

ら見える新たな発見や気づきが、大きなインパクトを持ち、興味関心を

増幅させることにつながったようだ。

・平成20年度まで実施していた公立施設(山形県神室少年自然の家)と

の連携を再開し、職員・ボランティアの相互交換によるプログラムの普

及啓発を図った。事業当日だけではなく、企画会議に参加して花山のね

らいやプログラム中の仕掛けについて提案することができ、幼児キャン

プを実施する共通認識がより深まった。また、花山が休止していた間も

神室は同事業を継続し、花山の参加者を受け入れて実施してきた。この

ような参加者の相互交流も視野に入れて、今後の普及活動の展開を検討

していきたい。

・山形県内の公立施設で、幼児キャンプを実施している施設が増加した。

2回目に事業の見学を呼びかけ、公立施設の職員の参加があったことも

あり、同じねらいを持つ事業が徐々に広がりつつあるのを実感した。

・ちまたによくある子育て講演会では、講師を招いて講演を聴くようなス

タイルだが、情報を受信することが中心となる。わが子に置き換えて考

えたり、実践したりする発信型の学習については、各自に任せられてい

る。体験活動を通して、生きた感覚や思考を得ること、そして即実践す

ることが、学びの充実感を高めるのではないだろうか。青少年教育施設

や自然体験プログラムを実施できる施設では、学んだことをアウトプッ

トし、実感するところまでをパッケージ化した学びを仕組むことができ

る。そのメリットを活かしたプログラム開発を、今後も念頭において取

り組んでいきたい。

・事業によって参加者による「場」づくりができたことである。参加者は

自然体験に関心はあるものの、どう一歩を踏み出せばよいか不安も感じ

ていたと思うが、そこに踏み出しやすい階段を用意できたことで、1 回

目には子どもの成長を見ての驚きを感じ、2 回目には自らの活動に対す

る充実感を得ることができた。そして、ここから先は参加者自身が主体

となった学びの場を作っていってほしいと願っている。

学びにはコミュニティーなど集う場が必要であり、そこを入口や接続因

子にしてつながり(ネットワーク)が広がっていく。われわれの事業は、

ほんの小さなきっかけを提供するに過ぎないが、そこを意識した事業構成

をすることが大切だと感じた。花山をフィールドにして、子育てを考える

サークル活動がこの事業から生まれることを期待したい。

Page 27: 【主体性・社会性を育む幼児キャンプ】 「大自然に“い~っぽ”」hanayama.niye.go.jp/wp-content/uploads/2015/03/h22-ippo-h.pdf · 【主体性・社会性を育む幼児キャンプ】

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4 課題

・公立施設との連携を拡大することができなかった。来年度は、本事業へ

の見学受け入れ(本年度 2 回目に実施)や、幼児向け事業を検討してい

る施設も交えた企画会議、実践プログラムの提供や共同での実施、森の

ようちえんやNPO団体等との研修などを考えている。特に親向けプロ

グラムの充実を目的にしている施設や、新たな視点での子どもプログラ

ムを開発したい施設を中心に、積極的に連携を図る予定である。これら

を実現し、広くアンテナを張り、多くの情報の受信・発信し、新たなプ

ログラムにチャレンジする先進的事業を目指す。

・ボランティアスタッフの充実が課題である。子どもプログラムには各班

に 低 2 名(男女)のカウンセラーが必要と考える。また、カウンセラ

ーによる生活全般のサポートに加え、食事への対応も重要であり、食事

担当スタッフも専属で配置したほうが良いと考える。

・本事業をモデルプランとして、公立施設にプログラムの普及を行ってい

く上で、課題となるのが使用するフィールドや施設である。広い施設を

有する場合、子ども・保護者それぞれのプログラムをスムーズに実施で

きるが、限られた場所での実施についても提案できるようにしたい。今

年度取り組んだ、活動観察や同一活動を取り入れたプランを普及してい

きたい。

・事業への参加をきっかけに誕生した親同士のネットワークを、今後どの

ように支援していくのかも課題の一つである。「子育て」という同じテー

マの下でつどい、一緒に体験したことによって結束していったわけだが、

うまく軌道に乗り、自主グループやサークルとして育ってほしいと考え

る。そのためにわれわれができる支援の方法を模索したい。